説明

画像形成装置

【課題】搬送部を形成する樹脂の線膨張率と、搬送部を支持する第1フレームの樹脂の線膨張率とが大きく異なる場合において、搬送部に駆動力を安定して伝達することができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】メインフレーム35には、樹脂製の第1フレーム34および第2フレーム37が取り付けられており、樹脂製の搬送部23が、第1フレーム34に取り付けられている。搬送部23の樹脂は、第1フレーム34および第2フレーム37よりも線膨張率が低い。搬送部23の入力ギヤ50に連結されることによって駆動力を入力ギヤ50に伝達する出力ギヤ49が、第1フレーム34でなく、第2フレーム37に取り付けられている。これにより、搬送部23および第1フレーム34のそれぞれが膨張しても、入力ギヤ50と出力ギヤ49とが互いに離間することを抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置として、カラー印刷を行うことが可能なレーザプリンタが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のレーザプリンタは、本体フレームを備えている。本体フレームは、水平方向に所定間隔を隔てて対向配置される一対の側壁を備えている。各側壁は、樹脂フレームと板金フレームとで構成されている。
【0003】
そして、レーザプリンタにおいて、一対の側壁の間には、略水平方向に並ぶ複数の画像形成ユニットと、複数の画像形成ユニットの下側に位置するベルトユニットとが配置されている。
各画像形成ユニットは、トナー像が形成される感光体ドラムを備えている。
ベルトユニットは、そのほとんどが樹脂で形成されており、本体フレームにおける上述した樹脂フレームに支持されている。そして、ベルトユニットは、ベルトフレームと、ベルトフレームに支持された2本のベルト支持ローラと、2本のベルト支持ローラの間に巻回された無端状の搬送ベルトとを備えている。
【0004】
そして、樹脂フレームには、駆動モータが配置されており、この駆動モータの出力軸にはギヤが取り付けられている。そして、ベルトユニットのいずれかのベルト支持ローラにもギヤが取り付けられており、このギヤは、駆動モータのギヤに噛合している。
これにより、画像形成時には、駆動モータが発生した駆動力が、ベルト支持ローラに伝達され、ベルト支持ローラが回転する。ベルト支持ローラの回転に伴い、搬送ベルトが周回移動して用紙を所定方向に搬送し、その途中で、各画像形成ユニットの感光体ドラムに形成されたトナー像が、用紙に転写される。
【0005】
ここで、樹脂フレームを形成する樹脂の線膨張率と、ベルトユニットを形成する樹脂の線膨張率とは、ともに、比較的低く、これらの線膨張率の差は小さい。
そのため、画像形成に伴って画像形成装置内の温度が上昇しても、樹脂フレームおよびベルトユニットは、ともに熱膨張しにくい。また、熱膨張に伴う変形量について、樹脂フレームとベルトユニットとの間には、ほとんど差がない。
【0006】
よって、樹脂フレームおよびベルトユニットがともに熱膨張しても、樹脂フレームに配置された駆動モータのギヤとベルトユニット側のギヤとの相対位置がずれることはなく、これらのギヤの噛合状態が維持される。これにより、駆動モータの駆動力をベルトユニットの支持ローラに安定して伝達することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−148142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の樹脂フレームおよびベルトユニットを形成する線膨張率が低い樹脂は、一般的に、線膨張率が高い樹脂に比べて高価である。
そこで、コスト削減のために、線膨張率が高い樹脂を用いたい。また、線膨張率が高い(換言すれば柔らかい)樹脂を用いると、複雑な形状の製品の成形が可能となる。しかし、ベルトユニットには、用紙を精度よく搬送するために、ある程度の強度が必要なので、線膨張率が高い(換言すれば強度が低い)樹脂は適さない。そのため、ベルトユニットには、線膨張率が低い樹脂を使用して、樹脂フレームには、線膨張率が高い樹脂を使用することが考えられる。
【0009】
しかし、この場合、ベルトユニットと樹脂フレームとの間には、線膨張率に大きな差があるので、画像形成装置内の温度が上昇すると、熱膨張に伴う変形量について、樹脂フレームとベルトユニットとの間で差が生じる。これにより、駆動モータのギヤとベルトユニット側のギヤとが外れ易くなるので、駆動モータの駆動力をベルトユニットの支持ローラに安定して伝達することが困難になる。
【0010】
そこで、本発明の目的は、搬送部を形成する樹脂の線膨張率と、搬送部を支持する第1フレームの樹脂の線膨張率とが大きく異なる場合において、搬送部に駆動力を安定して伝達することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、画像形成装置であって、金属製のメインフレームを備える画像形成装置本体と、並列配置された状態で前記画像形成装置本体に複数設けられ、現像剤像が形成される感光体と、前記メインフレームよりも線膨張率が高い樹脂で形成されており、前記メインフレームに取り付けられる第1フレームと、前記メインフレームよりも線膨張率が高い樹脂で形成されており、前記メインフレームに取り付けられる第2フレームと、複数の前記感光体に対向するように前記第1フレームに取り付けられ、前記メインフレームよりも線膨張率が高く、前記第1フレームおよび前記第2フレームよりも線膨張率が低い樹脂で形成されており、駆動力が伝達されることによって、複数の前記感光体から複数色の現像剤像が転写された記録媒体を搬送する搬送部と、前記搬送部に設けられ、駆動力を受けて前記搬送部に伝達する入力部と、前記第2フレームに取り付けられ、前記入力部に連結されることにより、前記画像形成装置本体からの駆動力を前記入力部に伝達する出力部とを備えていることを特徴としている。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1フレームにおいて前記メインフレームに支持された第1部分と、前記入力部との間に、前記搬送部において前記第1フレームに支持された第2部分が配置されることを特徴としている。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記第1フレームに取り付けられ、前記搬送部をクリーニングするクリーニング部を備えていることを特徴としている。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の発明において、複数の前記感光体を保持し、前記画像形成装置本体に対して着脱自体な保持ユニットと、前記第1フレームに設けられ、前記画像形成装置本体に対する前記保持ユニットの着脱方向に沿って延び、前記画像形成装置本体に対して着脱される前記保持ユニットをガイドするレールとを備えていることを特徴としている。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記第1フレームには、電極が設けられていることを特徴としている。
また、請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の発明において、前記画像形成装置本体に設けられ、前記画像形成装置本体に対して着脱される前記保持ユニットを通過させる着脱口が形成された側壁と、前記側壁に設けられ、前記着脱口を開閉するカバーとを備え、前記第1フレームは、前記メインフレームにおいて前記着脱口を閉じた前記カバーと対向する部分を覆っていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、この画像形成装置では、金属製のメインフレームを備える画像形成装置本体に、現像剤像が形成される複数の感光体が、並列配置された状態で設けられている。
ここで、メインフレームには、樹脂製の第1フレームおよび第2フレームが取り付けられている。
【0016】
また、画像形成装置には、樹脂製の搬送部が備えられている。
搬送部は、複数の感光体に対向するように第1フレームに取り付けられている。搬送部に関連し、画像形成装置には、入力部と出力部とが備えられている。出力部は、入力部に連結されることにより、画像形成装置本体からの駆動力を入力部に伝達し、入力部は、搬送部に設けられ、駆動力を受けて搬送部に伝達する。
【0017】
このようにして駆動力が伝達されることによって、搬送部は、複数の感光体から複数色の現像剤像が転写された記録媒体を搬送する。
ここで、第1フレームおよび第2フレームの樹脂の線膨張率は、メインフレームよりも高い。そして、搬送部の樹脂は、メインフレームよりも線膨張率が高く、第1フレームおよび第2フレームよりも線膨張率が低い。
【0018】
そのため、画像形成に伴って画像形成装置内の温度が上昇すると、第1フレームおよび第2フレームのそれぞれがメインフレームを基準として膨張し、搬送部が第1フレームを基準として膨張する。
ここで、搬送部の樹脂は第1フレームの樹脂よりも線膨張率が低いので、搬送部は、第1フレームほど膨張しない。この場合において、第1フレームに、搬送部だけでなく、出力部も取り付けていると、搬送部および第1フレームのそれぞれの膨張量の差に伴い、搬送部に設けられた入力部と出力部とが互いに離間し、入力部と出力部との連結状態が解除されて出力部から入力部(搬送部)への駆動力の伝達が安定しなくなるおそれがある。
【0019】
しかし、本発明では、出力部を、第1フレームでなく、第1フレームとは別の第2フレームに取り付けている。これにより、搬送部および第1フレームのそれぞれが膨張しても、第1フレームに搬送部および出力部の両方が取り付けられる場合に比べて、入力部と出力部とが互いに離間することを抑えることができるので、入力部と出力部との連結状態を維持できる。
【0020】
この結果、搬送部を形成する樹脂の線膨張率と、搬送部を支持する第1フレームの樹脂の線膨張率とが大きく異なる場合において、搬送部に駆動力を安定して伝達することができる。
請求項2に記載の発明によれば、第1フレームにおいてメインフレームに支持された第1部分と、入力部との間に、搬送部において第1フレームに支持された第2部分が配置される。これにより、第1フレームおよび搬送部が膨張した場合には、入力部を、出力部へ近付けることができるので、入力部と出力部との連結状態を安定して維持できる。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、第1フレームには、搬送部をクリーニングするクリーニング部が取り付けられていることから、第1フレームは比較的大型となり、熱膨張による第1フレームの膨張量は大きい。
しかし、本発明によれば、出力部が、第1フレームでなく、第1フレームとは別の第2フレームに取り付けられているので、第1フレームの膨張量が大きくても、第1フレームに取り付けられた搬送部の入力部と出力部との連結状態を維持でき、搬送部に駆動力を安定して伝達することができる。
【0022】
また、搬送部と、搬送部をクリーニングするクリーニング部とが、ともに第1フレームに取り付けられていることから、搬送部とクリーニング部との相対位置の精度を向上させることができる。
請求項4に記載の発明によれば、画像形成装置は、複数の感光体を保持して画像形成装置本体に対して着脱自体な保持ユニットを備えている。
【0023】
そして、画像形成装置本体に対して着脱される保持ユニットをガイドするレールが、第1フレームに設けられている。このレールは、画像形成装置本体に対する保持ユニットの着脱方向に沿って延びていることから比較的長手である。
そのため、このようなレールが設けられた第1フレームは比較的大型となり、熱膨張による第1フレームの膨張量は大きい。
【0024】
しかし、本発明によれば、出力部が、第1フレームでなく、第1フレームとは別の第2フレームに取り付けられているので、第1フレームの膨張量が大きくても、第1フレームに取り付けられた搬送部の入力部と出力部との連結状態を維持でき、搬送部に駆動力を安定して伝達することができる。
請求項5に記載の発明によれば、第1フレームには、電極が設けられている。そのため、電極から周りの部品へのリークを防止しつつ第1フレームに電極を取り付けるためには、第1フレームが比較的大型となり、この場合、熱膨張による第1フレームの膨張量は大きい。
【0025】
しかし、本発明によれば、出力部が、第1フレームでなく、第1フレームとは別の第2フレームに取り付けられているので、第1フレームの膨張量が大きくても、第1フレームに取り付けられた搬送部の入力部と出力部との連結状態を維持でき、搬送部に駆動力を安定して伝達することができる。
請求項6に記載の発明によれば、画像形成装置本体の側壁には、画像形成装置本体に対して着脱される保持ユニットを通過させる着脱口が形成されており、また、この側壁には、着脱口を開閉するカバーが設けられている。
【0026】
ここで、第1フレームは、金属製のメインフレームにおいて着脱口を閉じたカバーと対向する部分を覆っているので、着脱口を開いたときにメインフレームが露出されず、見映えが良い。
そして、このような第1フレームは、着脱口側まで延長されるので、比較的大型となり、熱膨張による第1フレームの膨張量は大きい。
【0027】
しかし、本発明によれば、出力部が、第1フレームでなく、第1フレームとは別の第2フレームに取り付けられているので、第1フレームの膨張量が大きくても、第1フレームに取り付けられた搬送部の入力部と出力部との連結状態を維持でき、搬送部に駆動力を安定して伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の画像形成装置の一例としてのプリンタの一実施形態を示す模式的な右側断面図である。
【図2】本体ケーシング内の要部を右前側から見た斜視図である。
【図3】本体ケーシング内において第1フレームおよび第2フレームが取り付けられた左側の側壁を右から見た図である。
【図4】本体ケーシング内において左右の第2フレームを右前側から見た斜視図である。
【図5】本体ケーシング内において搬送部を右前側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
1.プリンタの全体構成
図1は、本発明の画像形成装置の一例としてのプリンタの一実施形態を示す模式的な右側断面図である。なお、方向について言及する場合には、図示した方向矢印を参照する(他の図についても同様)。ここで、左右方向と幅方向とは同じであり、上下方向と垂直方向とは同じである。そして、水平方向は、幅方向および前後方向を含んでいる。
【0030】
プリンタ1は、いわゆるダイレクトタンデムタイプのカラープリンタである。図1に示すように、プリンタ1は、前後方向に長手の略ボックス形状で画像形成装置本体の一例としての本体ケーシング2を備えている。
本体ケーシング2内には、4つの感光体の一例としての感光ドラム3が、回転自在な状態で、前後方向に沿って並列配置されている。この状態で、各感光ドラム3の中心軸は、幅方向に延びている。各感光ドラム3には、スコロトロン型の帯電器4と、現像ローラ5とが主に対向配置されている。
【0031】
また、各感光ドラム3には、現像ローラ5を保持し、現像剤の一例としてのトナーを収容する現像カートリッジ6が上から隣接配置されている。現像カートリッジ6は、感光ドラム3と同様に、4つある。各現像カートリッジ6は、本体ケーシング2に対して着脱自在に装着されている。各現像カートリッジ6では、現像ローラ5の表面(外周面)にトナーが担持される。
【0032】
画像形成時において、各感光ドラム3では、その表面(外周面)が、帯電器4によって一様に帯電された後、本体ケーシング2の上部に設けられたスキャナユニット7から出射されたレーザビーム(図示破線矢印参照)によって露光される。これにより、各感光ドラム3の表面には、画像データに基づく静電潜像が形成される。各感光ドラム3の静電潜像は、各感光ドラム3に対応する現像ローラ5の表面に担持されたトナーによって可視像化され、各感光ドラム3の表面上には、トナー像(現像剤像)が形成される。
【0033】
ここで、各現像カートリッジ6に収容されたトナーの色は、各現像カートリッジ6に応じて、たとえばブラック、イエロー、マゼンタまたはシアンと異なるので、各感光ドラム3のトナー像の色は、各感光ドラム3に応じて異なる。
なお、以下では、4つの感光ドラム3を、各感光ドラム3で形成されるトナー像の色に応じて、感光ドラム3K(ブラック)、感光ドラム3Y(イエロー)、感光ドラム3M(マゼンタ)、感光ドラム3C(シアン)と区別することがある。これらの感光ドラム3は、たとえば、前側から感光ドラム3K、感光ドラム3Y、感光ドラム3M、感光ドラム3Cの順番で配置されている。
【0034】
また、4つの感光ドラム3、ならびに、各感光ドラム3に対応する帯電器4、現像ローラ5および現像カートリッジ6等のまとまりは、プロセスユニット17とされる。つまり、プロセスユニット17は、4つの感光ドラム3を保持する保持ユニットの一例として機能する。
プロセスユニット17は、本体ケーシング2に対して、前後方向に沿って着脱自在である。そのため、本体ケーシング2の側壁の一例としての前壁2Aには、本体ケーシング2に対して着脱されるプロセスユニット17を通過させる着脱口2Bが形成されている。また、前壁2Aには、着脱口2Bを開閉するカバー18が設けられており、カバー18を開いて着脱口2Bを開放することにより、着脱口2Bを介して、本体ケーシング2に対してプロセスユニット17を着脱させることができる。
【0035】
ここで、本体ケーシング2(詳しくは、後述する第1フレーム34であり、図2参照)には、レール19が設けられている(図1において点線で示した部分を参照)。レール19は、前後方向(本体ケーシング2に対するプロセスユニット17の着脱方向)に沿って延び、前後方向に沿って長手である。レール19は、本体ケーシング2に対して着脱されるプロセスユニット17をガイドする。
【0036】
そして、記録媒体の一例としての用紙Sは、本体ケーシング2の底部に配置された給紙カセット8に、上下方向に積層された状態で、収容されている。
画像形成時には、給紙カセット8に収容された用紙Sのうち、最上位の用紙Sが、給紙カセット8の前端部に上から臨むように設けられた給紙ローラ9によって前側へ繰り出される。繰り出された用紙Sは、前側から後側に方向を変えながら上昇する。
【0037】
上昇した用紙Sは、1対のレジストローラ10の間に進入する。1対のレジストローラ10は、用紙Sを、所定のタイミングで、本体ケーシング2内においてレジストローラ10の後側にある搬送ベルト11へ向けて送り出す。
搬送ベルト11は、用紙Sより幅広で樹脂製のエンドレスベルトである。搬送ベルト11は、前後方向に間隔を隔てて対向配置された駆動ローラ21と従動ローラ22との間に、所定の張力が付与された状態で巻回されている。
【0038】
ここで、駆動ローラ21および従動ローラ22の各中心軸は、幅方向に延びている。そして、駆動ローラ21は、前後方向において感光ドラム3Cより後側に位置し、従動ローラ22は、前後方向において感光ドラム3Kより前側に位置している。
この状態で、搬送ベルト11は、幅方向から見て、上下に扁平な環状をなしている。また、搬送ベルト11において、駆動ローラ21の上端と従動ローラ22の上端とをつなぐ部分(上側部分11Aという。)の上面は、水平方向にほぼ沿っている。上述した4つの感光ドラム3は、搬送ベルト11の上側部分11Aの上面に上から接触している。
【0039】
搬送ベルト11の内側領域(詳しくは、駆動ローラ21と従動ローラ22との間の領域)には、4つの転写ローラ12が配置されている。4つの転写ローラ12は、前後方向に沿って並列配置されており、各転写ローラ12は、対応する感光ドラム3に対して、搬送ベルト11の上側部分11Aを挟んで下から対向している。各転写ローラ12には、転写バイアスが印加される。
【0040】
ここで、駆動ローラ21、従動ローラ22および4つの転写ローラ12は、ベルトフレーム24によって回転自在に支持されている。この状態において、搬送ベルト11、駆動ローラ21、従動ローラ22、4つの転写ローラ12およびベルトフレーム24のまとまりを、搬送部23という。搬送部23は、搬送ベルト11の上側部分11Aにおいて4つの感光ドラム3に下から対向するように本体ケーシング2(詳しくは、後述する第1フレーム34であり、図2を参照)に取り付けられている。搬送部23は、上述したようにカバー18を開いて着脱口2Bを前方へ露出させることによって、着脱口2Bを介して、本体ケーシング2に対して前側から着脱可能である。
【0041】
そして、上述したように1対のレジストローラ10から搬送ベルト11に送り出された用紙Sは、搬送ベルト11の上側部分11Aに受け渡される(上側部分11Aの上面に載置される)。搬送ベルト11は、駆動ローラ21が本体ケーシング2から駆動力を受けて回転することで、図1における時計回りの方向へ周回移動し、上側部分11Aにおいて、用紙Sを後側へ搬送する。
【0042】
その際、各感光ドラム3の表面上のトナー像は、対応する転写ローラ12に印加された転写バイアスによって、搬送ベルト11に搬送されてきた用紙S上(上側部分11Aの上面に載置された用紙Sの上面)に転写され、順次重ね合わされる。ここで、上述したように各感光ドラム3に応じて各感光ドラム3のトナー像の色が異なることから、4色分のトナー像が用紙S上で重ね合わされることで、用紙Sには、カラー画像が形成される。
【0043】
このように4つの感光ドラム3から4色のトナー像が転写された(カラー画像が形成された)用紙Sは、搬送ベルト11によって、本体ケーシング2内において搬送部23の後側に設けられた定着部13へ向けて、引き続き後側に搬送される。
つまり、搬送部23は、駆動ローラ21(詳しくは、後述する入力部の一例としての入力ギヤ50であり、図2参照)において駆動力が伝達されることによって、4つの感光ドラム3から4色のトナー像が転写された用紙Sを搬送する。
【0044】
定着部13は、定着ケーシング25と、加熱ローラ26と、加圧ローラ27とを備えている。
定着ケーシング25は、幅方向に長手で中空のボックス形状である。定着ケーシング25の前面には入口28が形成されており、定着ケーシング25の後面には出口29が形成されている。入口28および出口29は、ともに、幅方向に長手で用紙Sを通過させ得る大きさを有しており、定着ケーシング25内部に連通している。
【0045】
加熱ローラ26および加圧ローラ27は、それぞれの中心軸が幅方向に延びた状態で、定着ケーシング25内で回転可能に配置されている。
加熱ローラ26の外周面は、たとえばフッ素樹脂などで被覆されている。加熱ローラ26には、加熱ローラ26の外周面を加熱するためのハロゲンランプ(図示せず)が内蔵されている。
【0046】
加圧ローラ27の外周面は、シリコンゴムなどで被覆されている。加圧ローラ27は、加熱ローラ26に対して下側から圧接している。加熱ローラ26と加圧ローラ27との接触位置(ニップ位置Nという。)は、入口28の後側、かつ、出口29の前側にある。
上述したようにトナー像が転写された(カラー画像が形成された)後に搬送ベルト11によって定着部13に搬送された(受け渡された)用紙Sは、入口28を介して定着ケーシング25内に進入し、加熱ローラ26と加圧ローラ27との間(ニップ位置N)を後向きに通過する。
【0047】
用紙Sがニップ位置Nを通過するときに、加圧ローラ27が、用紙Sにおいてトナー像が転写された面(ここでは上面)を、加熱ローラ26の加熱された外周面へ圧接させる。これにより、用紙Sに転写されたトナー像は、用紙Sに熱定着される。このように、定着部13は、搬送部23によって搬送された用紙Sに転写されたトナー像を用紙Sに定着する。
【0048】
そして、定着部13においてトナー像が熱定着された用紙Sは、出口29を介して定着ケーシング25の外へ出た後、搬送ローラ14によって搬送されることによって、後側から前側に方向を変えながら上昇し、本体ケーシング2上部の排紙トレイ15に排出される。
なお、搬送ベルト11の上側部分11Aから定着部13に受け渡されようとする用紙Sは、搬送部23と定着部13との間に設けられた用紙ガイド部30によって、定着部13へ向けてガイドされる。
【0049】
また、本体ケーシング2内において、搬送部23の下側には、クリーニング部31が設けられている。クリーニング部31は、回収ボックス32と、たとえば一対のクリーニングローラ33を含んでいる。
ここで、一対のクリーニングローラ33のうち上側のクリーニングローラ33の上側外周面が、搬送ベルト11の下側外周面に対して、幅方向における全域に亘って接触している。クリーニング部31では、用紙Sに転写されずに搬送ベルト11の外周面に付着したトナーが、画像形成後に、バイアスが印加されたクリーニングローラ33によって捕獲され、その後、回収ボックス32に回収される。つまり、クリーニング部31は、搬送部23をクリーニングする。
2.各部の詳細
(1)本体ケーシング
図2は、本体ケーシング内の要部を右前側から見た斜視図である。図3は、本体ケーシング内において第1フレームおよび第2フレームが取り付けられた左側の側壁を右から見た図である。
【0050】
図2に示すように、本体ケーシング2は、金属製のメインフレーム35を備えている。メインフレーム35は、幅方向において間隔を隔てて配置される一対の区画壁36を含んでいる。図2では、一対の区画壁36のうち、右側の区画壁36が点線で示されている。
各区画壁36は、幅方向から見て、前後および上下に延びる面を有する矩形の板状であり、幅方向において薄い。各区画壁36は、所定の金型を用いて金属の板材をプレスすることで成型される。
【0051】
各区画壁36の幅方向内面(図2に示す左側の区画壁36では右側面)には、第1フレーム34と第2フレーム37(ドットで塗り潰された部分)とがそれぞれ1つずつ取り付けられている。第1フレーム34および第2フレーム37は、ともに、金属製のメインフレーム35よりも線膨張率が高い樹脂(たとえばABS樹脂)で形成されている。第1フレーム34および第2フレーム37については、以降で詳説する。
【0052】
そして、左右の区画壁36の間に、上述したプロセスユニット17(図1参照)、搬送部23、定着部13(図1参照)、用紙ガイド部30(図1参照)等が配置されている。つまり、左右の区画壁36は、本体ケーシング2の内部空間2Cを幅方向において区画している。ここで、搬送部23は、左右の区画壁36の下端部の間で前後に延びるように配置されている。
【0053】
そして、上述した着脱口2Bは、本体ケーシング2の内部空間2Cに対して前側から連通している。また、左右の区画壁36の前端部は、着脱口2Bの近傍に位置している。
(2)第1フレーム
第1フレーム34は、本体ケーシング2において、幅方向に間隔を隔てて一対設けられている。各第1フレーム34は、前後方向に長手で幅方向に薄い板状である。詳しくは、第1フレーム34の前後方向寸法は、区画壁36の前後方向寸法の約4分の3であり、第1フレーム34の上下方向寸法は、区画壁36の上下方向寸法の約半分である。
【0054】
また、幅方向から見た左側の第1フレーム34Lの形状に関し、左側の第1フレーム34Lでは、略上半分をなす上部34Aが、略下半分をなす下部34Bよりも前後にやや長手である(図3参照)。また、下部34Bの右側面は、上部34Aの右側面よりも右側へ突出している。
そして、左右の第1フレーム34のうち、左側の第1フレーム34Lは、メインフレーム35における左側の区画壁36の右側面に取り付けられており、右側の第1フレーム34R(図示せず)は、右側の区画壁36の左側面に取り付けられている。各第1フレーム34は、対応する区画壁36において、区画壁36の上下方向中央よりやや下側の位置に配置されており、各第1フレーム34の前端は、対応する区画壁36の前端と一致している。上述したプロセスユニット17(図1参照)は、本体ケーシング2の内部空間2Cにおいて、左右の第1フレーム34によって挟まれた空間に配置される。
【0055】
ここで、各第1フレーム34の上端部、下端部、前端部および後端部(つまり、幅方向から見たときの第1フレーム34の縁部)のほとんどは、幅方向外側(左側の第1フレーム34Lの場合には左側)へ折り曲げられている。
各第1フレーム34において幅方向外側へ折り曲げられた上端部34Cの上面は、水平方向に沿って平坦であり、前後に長手である。上端部34Cの上面が、上述したレール19である。
【0056】
また、レール19の幅方向外側端縁には、前後に間隔を隔てて配置された複数の爪38が一体的に設けられおり、これらの爪38が対応する区画壁36に係合することで、第1フレーム34が区画壁36に位置決めされる。ただし、第1フレーム34において区画壁36に対して主として固定(支持)される部分は、爪38とは別の部分(後述する第1部分の一例としての第1位置決め部51であり、図3参照)であり、以降で詳説する。
【0057】
そして、各第1フレーム34(左側の第1フレーム34の場合には、上部34A)において幅方向外側へ折り曲げられた前端部34Dは、対応する区画壁36の前端部の一部を、前側から覆っている。
区画壁36の前端部において、対応する第1フレーム34の前端部34Dによって前側から覆われた部分(隠れ部分36Aといい、点線で示した部分を参照)は、たとえば、第1フレーム34において切り欠かれた部分である。また、この隠れ部分36Aは、上述した着脱口2Bを閉じたカバー18(図1参照)に対して後側から対向する部分である。
【0058】
そのため、カバー18を開いて着脱口2Bを開放すると、隠れ部分36Aは、第1フレーム34の前端部34Dによって覆われていない場合には、着脱口2Bから前側へ露出されるが、このプリンタ1では、第1フレーム34の前端部34Dによって覆われているので、着脱口2Bから露出されない。
そして、各第1フレーム34の前端部34Dにおいて、前側から見て隠れ部分36Aを避けた位置には、切欠き34Eが形成されている。切欠き34Eに関連して、プロセスユニット17(図1参照)の前端部には、幅方外側へ突出する位置決め軸17A(図1参照)が設けられており、位置決め軸17Aが、対応する第1フレーム34の切欠き34Eに受け入れられて区画壁36の前端部に係合することで、プロセスユニット17の前側部分が本体ケーシング2に対して位置決めされる。
【0059】
また、上述したクリーニング部31(図1参照)は、左右の少なくともどちらかの第1フレーム34の下端部(左側の第1フレーム34Lでは、下部34Bの下端部の前端部)に取り付けられており、第1フレーム34によって支持されている(図示せず)。
また、各第1フレーム34には、電極が設けられている。たとえば、左側の第1フレーム34Lの下部34Bの下端部の前後方向略中央には、電極の一例としてのアース電極40が設けられている(図3参照)。アース電極40は、搬送部23に接続され、搬送部23を接地させる。
【0060】
また、左側の第1フレーム34Lの上部34Aには、前後に並ぶ4つの貫通穴39の組が、上下に2組形成されている。上側の組の貫通穴39Aは、下側の組の貫通穴39Bより小さい。画像形成時には、これらの貫通穴39から、プロセスユニット17の各部材(感光ドラム3や現像ローラ5であり、図1参照)に駆動力が供給される。詳しくは、上側の貫通穴39Aからは、対応する現像ローラ5(図1参照)に駆動力が供給され、下側の貫通穴39Bからは、対応する感光ドラム3(図1参照)に駆動力が供給される。
(3)第2フレーム
図4は、本体ケーシング内において左右の第2フレームを右前側から見た斜視図である。
【0061】
図4に示すように、第2フレーム37は、本体ケーシング2において、幅方向に間隔を隔てて一対設けられている。左右の第2フレーム37のうち、左側の第2フレーム37Lは、メインフレーム35における左側の区画壁36の右側面の後端部に取り付けられており、右側の第2フレーム37Rは、右側の区画壁36の左側面の後端部に取り付けられている(図2参照)。詳しくは、各第2フレーム37は、同じ区画壁36に取り付けられた第1フレーム34の後側に配置されている(図2参照)。
【0062】
この状態で、左右の第2フレーム37は、幅方向において対向している。つまり、左右の第2フレーム37のそれぞれの前後上下方向における位置はほぼ同じである。対応する区画壁36に対する各第2フレーム37の取り付けについては、以降で説明する。
左右の第2フレーム37は、ともに、上下に長手で左右に薄いブロック形状であるが、具体的な部分に関して、左右の第2フレーム37の形状は、互いに異なっている。
【0063】
詳しくは、左側の第2フレーム37Lを右側から見たときの形状は、略J字形状であり、その前後方向寸法は、上下方向略中央から上側へ向かうに従って後側へ大きくなっており、また、上下方向略中央から下側へ向かうに従って前側へ大きくなっている。
ここで、第2フレーム37Lには、第2フレーム37Lを幅方向に貫通する2つの開口部41が上下に並んで形成されている。
【0064】
上側の開口部41Aには、定着部13(図1参照)に駆動力を入力するための本体ケーシング2側の出力部材(モータ等)に連結されたギヤ(図示せず)が幅方向外側から挿通される。
下側の開口部41Bには、図3に示すように、搬送部23(図1参照)に駆動力を伝達するための本体ケーシング2側の出力部材(モータ等)に連結された出力部の一例としての出力ギヤ49が幅方向外側から挿通されている。つまり、出力ギヤ49は、第2フレーム37Lに取り付けられている。出力ギヤ49は、中心軸が幅方向に延び、外周面にギヤ歯が形成された円筒体である。出力ギヤ49が開口部41Bに挿通された状態において、出力ギヤ49の前側外周面は、第2フレーム37Lの右側かつ前側へ露出されている。
【0065】
図4に示すように、右側の第2フレーム37Rは、その下端から略垂直方向に沿って上側へ延び、その後、後上側へ傾斜して延びている。
左右の第2フレーム37の下端部の幅方向内側面(左側の第2フレーム37Lでは右側面であり、右側の第2フレーム37Rでは左側面)において、ほぼ対向する位置には、凹部42が形成されている。凹部42は、前後に延びる溝状であり、対応する第2フレーム37の幅方向内側面において前端から前後方向途中までの領域を切欠いている。そのため、凹部42の前端が、対応する第2フレーム37の前端面から前方へ露出されている。
(4)搬送部
図5は、本体ケーシング内において搬送部を右前側から見た斜視図である。
【0066】
図5に示すように、搬送部23において、上述したベルトフレーム24は、前後方向に長手で上下に扁平な略平板状である。ベルトフレーム24は、メインフレーム35よりも線膨張率が高く、かつ、第1フレーム34および第2フレーム37(図2参照)よりも線膨張率が低い樹脂(たとえば所定量のフィラーが添加されたマルチロン(登録商標))で形成されている。ここで、ベルトフレーム24は、搬送部23のほとんどの部分をなしており、搬送部23全体が、上述した樹脂(マルチロン(登録商標))で形成されているとみなすことができる。
【0067】
ベルトフレーム24において、ほとんどの部分は、搬送ベルト11の内側に配置されているが、左右の端部は、前後方向における全域に亘って、搬送ベルト11から幅方向外側へはみ出した側枠部24L、24Rを有している。
左右の両側枠部24L、24Rの前端部間には、把持部45が架設されている。把持部45は、幅方向において長手であり、搬送ベルト11の前端部に対して、間隔を隔てて前から対向している。上述したように搬送部23が本体ケーシング2(図1参照)に対して着脱される際に、把持部45が把持される。
【0068】
左右の側枠部24L、24Rのそれぞれには、幅方向外側へ突出する2つのボスが前後に並んで設けられている。ここで、ベルトフレーム24の左右の端部(側枠部24L、24R)のそれぞれにおける2つのボスのうち、前側のボスを、第2部分の一例としての前ボス47といい、後側のボスを、後ボス48という。
ベルトフレーム24の左右の端部(側枠部24L、24R)のそれぞれにおいて、前ボス47は、前後方向中央よりやや後側へずれた部分に設けられており、後ボス48は、後端部に設けられている。前ボス47は、たとえば、幅方向に長手の四角柱である。後ボス48は、円筒体48Aと、円筒体48Aに対して前側から接続された前後にやや長手のリブ48Bとを一体的に備えており、全体的に前後に長手である。
【0069】
ここで、駆動ローラ21の軸21Aの幅方向両端部は、幅方向で同じ側にある後ボス48の円筒体48Aに挿通されている。つまり、軸21Aは、左右の後ボス48の円筒体48Aによって回転自在に支持されている。
そして、軸21Aの左端部(円筒体48Aに挿通されていない部分)には、入力ギヤ50が取り付けられている。入力ギヤ50は、中心軸が幅方向に延び、外周面にギヤ歯が形成された円筒体である。入力ギヤ50の円中心位置に軸21Aの左端部が挿通されており、入力ギヤ50は、軸21A(駆動ローラ21)と一体となって回転自在である。
(5)メインフレームに対する第1フレーム、第2フレームおよび搬送部の取り付け
次に、第1フレーム34、第2フレーム37および搬送部23が、メインフレーム35に対してどのように取り付けられているか(支持されているか)について、主に図3を参照しながら説明する。
【0070】
まず、第1フレーム34に関し、各第1フレーム34(左側の第1フレーム34Lの場合には上部34A)の下端部において前後方向(第1フレーム34の長手方向)の中央から少し後側の位置に、第1位置決め部51が一体的に設けられている。第1位置決め部51は、幅方向外側へ突出する凸部であってもよいし、穴であってもよい。
第1位置決め部51が凸部である場合、第1フレーム34が取り付けられる区画壁36において、幅方向から見て第1位置決め部51と一致する部分には、穴が形成されており、この穴に、第1位置決め部51が嵌め込まれている。また、第1位置決め部51が穴である場合、第1フレーム34が取り付けられる区画壁36において、幅方向から見て第1位置決め部51と一致する部分には、凸部が形成されており、第1位置決め部51に、この凸部が嵌め込まれている。
【0071】
このようにして、各第1フレーム34において、第1位置決め部51が、対応する(幅方向で同じ側にある)区画壁36(つまりメインフレーム35)に支持されている。つまり、各第1フレーム34は、第1位置決め部51においてメインフレーム35に対して位置決めされている。
そして、第2フレーム37に関し、各第2フレーム37の後端部(左側の第2フレーム37Lの場合には下側の開口部41Bの後上側の部分)に、第2位置決め部52が一体的に設けられている。第2位置決め部52は、第1位置決め部51と同様に、幅方向外側へ突出する凸部であってもよいし、穴であってもよい。
【0072】
第1フレーム34の第1位置決め部51と同様に、各第2フレーム37において、第2位置決め部52が、対応する(幅方向で同じ側にある)区画壁36(メインフレーム35)に支持されている。つまり、各第2フレーム37は、第2位置決め部52においてメインフレーム35に対して位置決めされている。
搬送部23では、まず、ベルトフレーム24の左右の後ボス48(図5参照)のそれぞれが、幅方向において同じ側にある第2フレーム37の凹部42(図4参照)に対して前側から嵌っている。これにより、搬送部23の後端部が、左右の第2フレーム37に保持されている。このとき、後ボス48は、対応する凹部42に嵌った状態において、ある程度前後に移動することはできるが、上下に移動することはできない。つまり、搬送部23は、後ボス48において、各第2フレーム37に対して上下方向に位置決めされている。
【0073】
そして、ベルトフレーム24の左右の前ボス47(図5参照)のそれぞれが、幅方向において同じ側にある第1フレーム34に支持されている。詳しくは、各第1フレーム34において、幅方向から見て、対応する(幅方向で同じ側にある)前ボス47と一致する部分には、幅方向外側へ窪む凹部53が形成されており、この凹部53に、対応する前ボス47が嵌め込まれる。この状態で、前ボス47は、図示しない付勢部材によって前側へ付勢されることによって、第1フレーム34において凹部53の前側を区画する面(区画面34F)に押し付けられており、前後に移動することができない。つまり、搬送部23は、前ボス47において、各第1フレーム34に対して前後方向に位置決めされている。
【0074】
このように、搬送部23は、左右の第1フレーム34および第2フレーム37のそれぞれに支持されており、第1フレーム34および第2フレーム37を介して、メインフレーム35によって間接的に支持されている。
ここで、搬送部23が、メインフレーム35でなく、樹脂製の第1フレーム34および第2フレーム37に直接支持されていることから、ユーザが本体ケーシング2の内部空間2C内を覗いたときに、金属の地肌がむき出しとなったメインフレーム35がユーザの視界に入りにくくなるので、内部空間2Cの見映えがよい。
【0075】
以上のように第1フレーム34、第2フレーム37および搬送部23がメインフレーム35に支持されている状態において、搬送部23に設けられた入力ギヤ50(図5も参照)は、左側の第2フレーム37Lに取り付けられた出力ギヤ49に対して前側から噛合している。つまり、出力ギヤ49に入力ギヤ50が連結されている。
これにより、本体ケーシング2側の上述した出力部材(モータ等)が発生した駆動力が、出力ギヤ49から入力ギヤ50に伝達され、そして、入力ギヤ50が、この駆動力を搬送部23(詳しくは、駆動ローラ21)に伝達する。その結果、上述したように、搬送部23において、搬送ベルト11が周回移動する。
【0076】
また、この状態において、幅方向から見て(換言すれば、前後方向において)、第1フレーム34の第1位置決め部51と入力ギヤ50との間に、搬送部23の前ボス47(換言すれば、前ボス47が嵌め込まれる凹部53)が配置されている。
3.作用効果
(1)以上のように、このプリンタ1では、図1に示すように、金属製のメインフレーム35(図2参照)を備える本体ケーシング2に、トナー像が形成される複数の感光ドラム3が、並列配置された状態で設けられている。
【0077】
ここで、図2に示すように、メインフレーム35には、樹脂製の第1フレーム34および第2フレーム37が取り付けられている。
また、プリンタ1には、樹脂製の搬送部23が備えられている。
搬送部23は、複数の感光ドラム3に対向するように第1フレーム34に取り付けられている(図1参照)。搬送部23に関連し、プリンタ1には、入力ギヤ50と出力ギヤ49(図3参照)とが備えられている。出力ギヤ49は、入力ギヤ50に連結されることにより(図3参照)、本体ケーシング2からの駆動力を入力ギヤ50に伝達し、入力ギヤ50は、搬送部23に設けられ、駆動力を受けて搬送部23に伝達する。
【0078】
このようにして駆動力が伝達されることによって、搬送部23は、複数の感光ドラム3から複数色のトナー像が転写された用紙Sを搬送する(図1参照)。
ここで、第1フレーム34および第2フレーム37の樹脂の線膨張率は、メインフレーム35よりも高い。そして、搬送部23の樹脂は、メインフレーム35よりも線膨張率が高く、第1フレーム34および第2フレーム37よりも線膨張率が低い。
【0079】
そのため、画像形成に伴ってプリンタ1内の温度が上昇すると、第1フレーム34および第2フレーム37のそれぞれがメインフレーム35を基準として膨張し、搬送部23が第1フレーム34を基準として膨張する。
ここで、搬送部23の樹脂は第1フレーム34の樹脂よりも線膨張率が低いので、搬送部23は、第1フレーム34ほど膨張しない。この場合において、第1フレーム34に、搬送部23だけでなく、出力ギヤ49(図3参照)も取り付けていると、搬送部23および第1フレーム34のそれぞれの膨張量の差に伴い、搬送部23に設けられた入力ギヤ50と出力ギヤ49とが互いに離間しやすい。
【0080】
詳しくは、図3を参照して、第1フレーム34に第2フレーム37が一体化されており、一体化された第1フレーム34および第2フレーム37が、第1位置決め部51のみによってメインフレーム35に位置決めされているとする。そして、第1フレーム34および第2フレーム37の樹脂の線膨張率をαとし、搬送部23の樹脂の線膨張率をβとする。
【0081】
そして、第1位置決め部51から前ボス47(前ボス47と区画面34Fとの接触位置)までの前後方向距離をAとし、前ボス47(前ボス47と区画面34Fとの接触位置)から入力ギヤ50の円中心までの前後方向距離をBとし、第1位置決め部51から出力ギヤ49の円中心までの前後方向距離をCとする。
第1フレーム34および第2フレーム37が一体化されている場合(換言すれば、第1フレーム34に搬送部23および出力ギヤ49の両方が取り付けている場合)における、熱膨張に伴う、第1位置決め部51を基準とした入力ギヤ50および出力ギヤ49のそれぞれの前後方向のずれ量(詳しくは、後方へのずれ量)は、以下のようになる。
【0082】
入力ギヤ50のずれ量X=A・α+B・β
出力ギヤ49のずれ量Y=C・α
この場合、線膨張率αが線膨張率βより高く、さらに、距離Cが距離Aと距離Bとの和よりも大きいので(図3参照)、出力ギヤ49のずれ量Yが入力ギヤ50のずれ量Xより大きくなり、プリンタ1内の温度上昇に伴う熱膨張により、出力ギヤ49は、入力ギヤ50から後方へ外れ得る。
【0083】
これにより、入力ギヤ50と出力ギヤ49との連結状態が解除されて出力ギヤ49から入力ギヤ50(搬送部23)への駆動力の伝達が安定しなくなるおそれがある。
しかし、本発明では、出力ギヤ49を、第1フレーム34でなく、第1フレーム34とは別の第2フレーム37に取り付けているので、上述したように算出されたずれ量Yに相当する出力ギヤ49のずれが発生しない。なお、厳密には、金属製のメインフレーム35の線膨張率γに上述したC(詳しくは、このCと後述するDとの和)を乗じた値に相当する量だけ出力ギヤ49が後方へずれるが、このずれ量は、微小なので無視できる。
【0084】
このように、出力ギヤ49のずれがほとんど発生しないので、搬送部23および第1フレーム34のそれぞれが膨張しても、第1フレーム34に搬送部23および出力ギヤ49の両方が取り付けられる場合に比べて、入力ギヤ50と出力ギヤ49とが互いに離間することを抑えることができるので、入力ギヤ50と出力ギヤ49との連結状態を維持できる。
【0085】
この結果、搬送部23を形成する樹脂の線膨張率と、搬送部23を支持する第1フレーム34の樹脂の線膨張率とが大きく異なる場合において、搬送部23に駆動力を安定して伝達することができる。ここで、各線膨張率の具体的な値に関し、第1フレーム34および第2フレーム37の線膨張率αは、8.0×10−5(mm/℃)であり、搬送部23の線膨張率βは、3.5×10−5(mm/℃)であり、メインフレーム35の線膨張率γは、1.2×10−5(mm/℃)である。
【0086】
また、このように入力ギヤ50と出力ギヤ49との連結状態を維持するためには、第1位置決め部51を、第1フレーム34の長手方向(前後方向)の中心からやや入力ギヤ50寄りに配置し、前ボス47を、搬送部23の長手方向(前後方向)の中心からやや入力ギヤ50寄りに配置するとよい。そして、第1位置決め部51と前ボス47とが互いに近い位置にあるとよい。こうすることで、入力ギヤ50のずれ量Xを小さく抑えることができる。
【0087】
ただし、第1位置決め部51を、第1フレーム34の長手方向中心から大きく外れた位置に配置すると、第1フレーム34における熱膨張量が、第1フレーム34の長手方向における各位置において不均一となるので、第1位置決め部51を、第1フレーム34の長手方向中心から大きく外れないように配置することが望ましい。前ボス47についても同様である。
(2)第1フレーム34においてメインフレーム35に支持された第1位置決め部51と、入力ギヤ50との間に、搬送部23において第1フレーム34に支持された前ボス47が配置される。これにより、第1フレーム34および搬送部23が膨張した場合には、入力ギヤ50を、上述したずれ量X分、出力ギヤ49へ近付けることができるので、入力ギヤ50と出力ギヤ49との連結状態を安定して維持できる。
【0088】
また、出力ギヤ49は、出力ギヤ49が取り付けられる第2フレーム37においてメインフレーム35に位置決めされる第2位置決め部52よりも前側にある。そのため、出力ギヤ49は、第2位置決め部52から出力ギヤ49の円中心までの前後方向距離Dに第2フレーム37の樹脂の線膨張率αを乗じた値に相当する量だけ前側へずれ、入力ギヤ50に近づこうとする。これによっても、入力ギヤ50と出力ギヤ49との連結状態を安定して維持できる。
【0089】
なお、このように出力ギヤ49が前側へずれることから、入力ギヤ50が後側へずれると、入力ギヤ50と出力ギヤ49とが必要以上に接近しすぎて、入力ギヤ50および出力ギヤ49が円滑に回転できなくなることが想定される。この場合には、第1位置決め部51と入力ギヤ50との間でなく、第1位置決め部51より前側に前ボス47を配置する。これにより、入力ギヤ50が逆に前側へずれようとするので、入力ギヤ50と出力ギヤ49とが必要以上に接近しすぎることを防止できる。
(3)第1フレーム34には、搬送部23をクリーニングするクリーニング部31(図1参照)が取り付けられていることから、第1フレーム34は比較的大型となり、熱膨張による第1フレーム34の膨張量は大きい。
【0090】
しかし、本発明によれば、出力ギヤ49が、第1フレーム34でなく、第1フレーム34とは別の第2フレーム37に取り付けられているので、第1フレーム34の膨張量が大きくても、第1フレーム34に取り付けられた搬送部23の入力ギヤ50と出力ギヤ49との連結状態を維持でき、搬送部23に駆動力を安定して伝達することができる。
また、搬送部23と、搬送部23をクリーニングするクリーニング部31とが、ともに第1フレーム34に取り付けられていることから、搬送部23とクリーニング部31との相対位置の精度を向上させることができる。
(4)プリンタ1は、複数の感光ドラム3を保持して本体ケーシング2に対して着脱自体なプロセスユニット17(図1参照)を備えている。
【0091】
そして、本体ケーシング2に対して着脱されるプロセスユニット17をガイドするレール19が、第1フレーム34に設けられている。このレール19は、本体ケーシング2に対するプロセスユニット17の着脱方向(前後方向)に沿って延びていることから前後方向に比較的長手である。
そのため、このようなレール19が設けられた第1フレーム34は前後方向に比較的大型となり、熱膨張による第1フレーム34の膨張量は大きい。
【0092】
しかし、本発明によれば、出力ギヤ49が、第1フレーム34でなく、第1フレーム34とは別の第2フレーム37に取り付けられているので、第1フレーム34の膨張量が大きくても、第1フレーム34に取り付けられた搬送部23の入力ギヤ50と出力ギヤ49との連結状態を維持でき、搬送部23に駆動力を安定して伝達することができる。
(5)第1フレーム34には、アース電極40が設けられている。そのため、アース電極40から周りの部品へのリークを防止しつつ第1フレーム34にアース電極40を取り付けるためには、第1フレーム34が比較的大型となり、この場合、熱膨張による第1フレーム34の膨張量は大きい。
【0093】
しかし、本発明によれば、出力ギヤ49が、第1フレーム34でなく、第1フレーム34とは別の第2フレーム37に取り付けられているので、第1フレーム34の膨張量が大きくても、第1フレーム34に取り付けられた搬送部23の入力ギヤ50と出力ギヤ49との連結状態を維持でき、搬送部23に駆動力を安定して伝達することができる。
(6)本体ケーシング2の前壁2A(図1参照)には、本体ケーシング2に対して着脱されるプロセスユニット17を通過させる着脱口2Bが形成されており、また、この前壁2Aには、着脱口2Bを開閉するカバー18が設けられている(図1参照)。
【0094】
ここで、第1フレーム34は、図2に示すように、金属製のメインフレーム35において着脱口2Bを閉じたカバー18と対向する部分(隠れ部分36A)を覆っているので、着脱口2Bを開いたときにメインフレーム35(特に、隠れ部分36Aにおける切欠きの縁)が露出されず、見映えが良い。
そして、このような第1フレーム34は、着脱口2B側まで延長されるので、前後方向に比較的大型となり、熱膨張による第1フレーム34の膨張量は大きい。
【0095】
しかし、本発明によれば、出力ギヤ49が、第1フレーム34でなく、第1フレーム34とは別の第2フレーム37に取り付けられているので(図2参照)、第1フレーム34の膨張量が大きくても、第1フレーム34に取り付けられた搬送部23の入力ギヤ50と出力ギヤ49との連結状態を維持でき、搬送部23に駆動力を安定して伝達することができる。
【符号の説明】
【0096】
1 プリンタ
2 本体ケーシング
2A 前壁
2B 着脱口
3 感光ドラム
17 プロセスユニット
18 カバー
19 レール
23 搬送部
31 クリーニング部
34 第1フレーム
35 メインフレーム
36A 隠れ部分
37 第2フレーム
40 アース電極
47 前ボス
49 出力ギヤ
50 入力ギヤ
51 第1位置決め部
S 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製のメインフレームを備える画像形成装置本体と、
並列配置された状態で前記画像形成装置本体に複数設けられ、現像剤像が形成される感光体と、
前記メインフレームよりも線膨張率が高い樹脂で形成されており、前記メインフレームに取り付けられる第1フレームと、
前記メインフレームよりも線膨張率が高い樹脂で形成されており、前記メインフレームに取り付けられる第2フレームと、
複数の前記感光体に対向するように前記第1フレームに取り付けられ、前記メインフレームよりも線膨張率が高く、前記第1フレームおよび前記第2フレームよりも線膨張率が低い樹脂で形成されており、駆動力が伝達されることによって、複数の前記感光体から複数色の現像剤像が転写された記録媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部に設けられ、駆動力を受けて前記搬送部に伝達する入力部と、
前記第2フレームに取り付けられ、前記入力部に連結されることにより、前記画像形成装置本体からの駆動力を前記入力部に伝達する出力部と
を備えていることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記第1フレームにおいて前記メインフレームに支持された第1部分と、前記入力部との間に、前記搬送部において前記第1フレームに支持された第2部分が配置されることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1フレームに取り付けられ、前記搬送部をクリーニングするクリーニング部を備えていることを特徴とする、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
複数の前記感光体を保持し、前記画像形成装置本体に対して着脱自体な保持ユニットと、
前記第1フレームに設けられ、前記画像形成装置本体に対する前記保持ユニットの着脱方向に沿って延び、前記画像形成装置本体に対して着脱される前記保持ユニットをガイドするレールと
を備えていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1フレームには、電極が設けられていることを特徴とする、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成装置本体に設けられ、前記画像形成装置本体に対して着脱される前記保持ユニットを通過させる着脱口が形成された側壁と、
前記側壁に設けられ、前記着脱口を開閉するカバーと
を備え、
前記第1フレームは、前記メインフレームにおいて前記着脱口を閉じた前記カバーと対向する部分を覆っていることを特徴とする、請求項4または5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−197653(P2010−197653A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−41887(P2009−41887)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】