説明

画像形成装置

【課題】画像形成出力用の用紙の搬送時間に応じて搬送機構の故障予測をする画像形成装置において、故障予測の正確性を向上すること。
【解決手段】搬送機構の劣化を判断可能な画像形成装置1であって、用紙を検知するタイミングセンサと、用紙を搬送するために要した搬送時間の情報を取得するタイミングセンサ制御部121と、搬送された用紙の厚さの情報を取得するメディアセンサ制御部122と、温度、湿度の情報を取得する環境センサ制御部123と、取得された搬送時間の情報に基づいて搬送機構の劣化を判断する経時劣化判断部126とを含み、経時劣化判断部126は、取得された厚さの情報及び温度、湿度の情報に基づいて経時劣化の判断結果を変える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、画像形成出力用の用紙を搬送する機構の劣化の判断に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報の電子化が推進される傾向にあり、電子化された情報の出力に用いられるプリンタやファクシミリ及び書類の電子化に用いるスキャナ等の画像処理装置は欠かせない機器となっている。このような画像処理装置は、撮像機能、画像形成機能及び通信機能等を備えることにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機として利用可能な複合機として構成されることが多い。
【0003】
このような画像処理装置のうち、電子化された情報の画像形成出力に用いられる画像形成装置においては、画像形成出力用の用紙の搬送に際して、タイミングセンサで検知される実際の用紙到達時間と予め設定されている用紙到達予定時間とを比較することにより、用紙を搬送する機構の経時劣化を認識し、故障予測を行うことが提案されている(例えば、特許文献1参照)
【0004】
また、画像形成装置における用紙の搬送においては、環境温度の変化により用紙面の摩擦係数が変化し、その結果用紙面と搬送ローラとの間でスリップ等が発生して、用紙の到達時間が変化することが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像形成装置において画像形成出力用に搬送される用紙の搬送時間は、特許文献2に開示されるように環境温度によって変化する他、湿度等、様々な要因によって変化する。従って、特許文献1に開示される方法では、装置の経時劣化を正確に認識することができない。また、様々な要因に応じて変化する搬送時間に対して、少しでも正確に故障予測をするためには、上述した用紙到達予定時間を的確に設定する必要があるため、その設定が困難であり、結果的に装置の設計が困難となっていた。
【0006】
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、画像形成出力用の用紙の搬送時間に応じて搬送機構の故障予測をする画像形成装置において、故障予測の正確性を向上し、装置の設計を容易化することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、用紙を搬送する搬送機構の劣化を判断可能な画像形成装置であって、搬送された用紙を搬送経路上の所定の位置において検知する用紙検知部と、前記搬送経路上の所定区間において前記用紙を搬送するために要した搬送時間の情報である搬送時間情報を前記用紙検知部による検知結果に応じて取得する搬送時間情報取得部と、前記搬送された用紙の摩擦係数に関する情報である摩擦係数関連情報を取得する摩擦係数関連情報取得部と、前記取得された搬送時間情報に基づいて前記搬送機構の劣化を判断する劣化判断部とを含み、前記劣化判断部は、前記取得された摩擦係数関連情報に基づいて前記劣化の判断結果を変える。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記摩擦係数関連情報取得部は、前記摩擦係数関連情報として前記用紙の厚さの情報を取得することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記搬送された用紙の厚さを検知する紙厚検知部を更に有し、前記摩擦係数関連情報取得部は、前記紙厚検知部の検知結果に基づいて前記用紙の厚さの情報を取得することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記摩擦係数関連情報取得部は、ユーザによって入力された情報に基づいて前記用紙の厚さの情報を取得することを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、請求項2乃至4いずれかに記載の画像形成装置において、前記劣化判断部は、前記取得された用紙の厚さが厚い程、前記取得された搬送時間よりも長い搬送時間が取得されたものとして前記劣化を判断することを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5いずれかに記載の画像形成装置において、前記画像形成装置が動作している環境の温度を検知する温度検知部を更に有し、前記摩擦係数関連情報取得部は、前記温度検知部の検知結果に基づき、前記摩擦係数関連情報として温度の情報を取得することを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の画像形成装置において、前記劣化判断部は、前記検知された温度が低い程、前記取得された搬送時間よりも短い搬送時間が取得されたものとして前記劣化を判断することを特徴とする。
【0014】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7いずれかに記載の画像形成装置において、前記画像形成装置が動作している環境の湿度を検知する湿度検知部を更に有し、前記摩擦係数関連情報取得部は、前記湿度検知部の検知結果に基づき、前記摩擦係数関連情報として湿度の情報を取得することを特徴とする。
【0015】
また、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の画像形成装置において、前記劣化判断部は、前記検知された湿度が高い程、前記取得された搬送時間よりも長い搬送時間が取得されたものとして前記劣化を判断することを特徴とする。
【0016】
また、請求項10に記載の発明は、請求項1乃至9いずれかに記載の画像形成装置において、前記劣化判断部は、前記搬送機構の劣化を判断するために前記搬送時間に適用する閾値である劣化判断閾値と前記搬送時間とを比較することにより、前記搬送機構が劣化しているか否かを判断し、前記取得された摩擦係数関連情報に基づいて前記劣化判断閾値と前記搬送時間との比較結果を変えることを特徴とする。
【0017】
また、請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の画像形成装置において、前記搬送機構の故障を判断するために前記搬送時間に対応して設定された故障判断閾値を記憶している故障判断閾値記憶部を更に有し、前記劣化判断部は、前記故障判断閾値により制限される範囲をより狭くすることにより、前記劣化判断閾値を求めることを特徴とする。
【0018】
また、請求項12に記載の発明は、請求項10または11に記載の画像形成装置において、前記搬送機構が劣化していると判断された場合に、ユーザに対して警告を発信する警告発信部を更に含むことを特徴とする。
【0019】
また、請求項13に記載の発明は、請求項1乃至12いずれかに記載の画像形成装置において、前記劣化判断部は、前記画像形成装置が所定回数の画像形成出力を実行する度に前記劣化を判断することを特徴とする。
【0020】
また、請求項14に記載の発明は、請求項1乃至13いずれかに記載の画像形成装置において、前記劣化判断部は、前記画像形成装置による画像形成出力の累積枚数に応じた前記搬送時間の遷移に基づいて前記搬送機構の故障時期を予測する機能を有し、前記故障時期の予測に際して、前記取得された摩擦係数関連情報に基づいて前記搬送時間を修正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、画像形成出力用の用紙の搬送時間に応じて搬送機構の故障予測をする画像形成装置において、故障予測の正確性を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の機構の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置の搬送経路を模式的に示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るエンジン制御部の機能構成を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るタイミング閾値記憶部に記憶されている情報の例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係る画像形成装置の通常動作を示すタイミングチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係る画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係る画像形成装置により経時劣化の判断動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態に係る検知情報記憶部に記憶される情報の例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る経時劣化情報記憶部に記憶される情報の例を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る劣化部位表示画面の例を示す図である。
【図12】本発明の実施形態に係る劣化信号度表示画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、画像形成出力用の用紙を搬送する搬送機構の劣化を認識することにより故障予測が可能な画像形成装置について説明する。
【0024】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等の情報処理端末と同様の構成に加えて、画像形成を実行するエンジンを有する。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、エンジン40、HDD(Hard Disk Drive)50及びI/F60がバス90を介して接続されている。また、I/F60にはLCD(Liquid Crystal Display)70及び操作部80が接続されている。
【0025】
CPU10は演算手段であり、画像形成装置1全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。エンジン40は、画像形成装置1において実際に画像形成を実行する機構である。
【0026】
HDD50は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。I/F60は、バス90と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD70は、ユーザが画像形成装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部80は、キーボードやマウス等、ユーザが画像形成装置1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
【0027】
このようなハードウェア構成において、ROM30やHDD50若しくは図示しない光学ディスク等の記録媒体に格納されたプログラムがRAM20に読み出され、CPU10の制御に従って動作することにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る画像形成装置1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0028】
次に、図2を参照して、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成について説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、コントローラ100、ADF(Auto Documennt Feeder:原稿自動搬送装置)101、スキャナユニット102、排紙トレイ103、ディスプレイパネル104、給紙テーブル105、プリントエンジン106、排紙トレイ107、ネットワークI/F108、メディアセンサ109及び環境センサ110を有する。
【0029】
また、コントローラ100は、主制御部111、エンジン制御部112、入出力制御部113、画像処理部114及び操作表示制御部115を有する。図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、スキャナユニット102、プリントエンジン106を有する複合機として構成されている。尚、図2においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、用紙の流れを破線の矢印で示している。
【0030】
ディスプレイパネル104は、画像形成装置1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザが画像形成装置1を直接操作し若しくは画像形成装置1に対して情報を入力する際の入力インタフェース(操作部)でもある。ネットワークI/F108は、画像形成装置1がネットワークを介して他の機器と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インタフェースが用いられる。
【0031】
コントローラ100は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM30や不揮発性メモリ並びにHDD50や光学ディスク等の不揮発性記録媒体に格納されたファームウェア等の制御プログラムが、RAM20等の揮発性メモリ(以下、メモリ)にロードされ、CPU10の制御に従って構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ100が構成される。コントローラ100は、画像形成装置1全体を制御する制御部として機能する。
【0032】
主制御部111は、コントローラ100に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ100の各部に命令を与える。エンジン制御部112は、プリントエンジン106やスキャナユニット102等を制御若しくは駆動する駆動手段としての役割を担う。また、エンジン制御部112は、本実施形態の要旨に係る機能として、給紙テーブル105及びプリントエンジン106に含まれる搬送機構の劣化を認識し、故障時期を予測する機能を有する。エンジン制御部112の機能の詳細については後述する。
【0033】
入出力制御部113は、ネットワークI/F108を介して入力される信号や命令を主制御部111に入力する。また、主制御部111は、入出力制御部113を制御し、ネットワークI/F108を介して他の機器にアクセスする。
【0034】
画像処理部114は、主制御部111の制御に従い、入力された印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成する。この描画情報とは、画像形成部であるプリントエンジン106が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報である。また、印刷ジョブに含まれる印刷情報とは、PC等の情報処理装置にインストールされたプリンタドライバによって画像形成装置1が認識可能な形式に変換された画像情報である。
【0035】
また、画像処理部114は、スキャナユニット102から入力される撮像データを処理し、画像データを生成する。この画像データとは、スキャナ動作の結果物として画像形成装置1に格納され若しくはネットワークを介して接続されたファイルサーバ等に保存される情報である。操作表示制御部115は、ディスプレイパネル104に情報表示を行い若しくはディスプレイパネル104を介して入力された情報を主制御部111に通知する。
【0036】
画像形成装置1がプリンタとして動作する場合は、まず、入出力制御部113がネットワークI/F108を介して印刷ジョブを受信する。入出力制御部113は、受信した印刷ジョブを主制御部111に転送する。主制御部111は、印刷ジョブを受信すると、画像処理部114を制御して、印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成させる。
【0037】
画像処理部114によって描画情報が生成されると、エンジン制御部112は、生成された描画情報に基づき、給紙テーブル105から搬送される用紙に対して画像形成を実行する。即ち、プリントエンジン106が画像形成部として機能する。プリントエンジン106の具体的態様としては、インクジェット方式による画像形成機構や電子写真方式による画像形成機構等を用いることが可能である。プリントエンジン106によって画像形成が施された文書は排紙トレイ107に排紙される。
【0038】
画像形成装置1がスキャナとして動作する場合は、ユーザによるディスプレイパネル104の操作若しくはネットワークI/F108を介して外部のクライアント端末2等から入力されるスキャン実行指示に応じて、操作表示制御部115若しくは入出力制御部113が主制御部111にスキャン実行信号を転送する。主制御部111は、受信したスキャン実行信号に基づき、エンジン制御部112を制御する。
【0039】
エンジン制御部112は、ADF101を駆動し、ADF101にセットされた撮像対象原稿をスキャナユニット102に搬送する。また、エンジン制御部112は、スキャナユニット102を駆動し、ADF101から搬送される原稿を撮像する。また、ADF101に原稿がセットされておらず、スキャナユニット102に直接原稿がセットされた場合、スキャナユニット102は、エンジン制御部112の制御に従い、セットされた原稿を撮像する。即ち、スキャナユニット102が撮像部として動作する。
【0040】
撮像動作においては、スキャナユニット102に含まれるCCD等の撮像素子が原稿を光学的に走査し、光学情報に基づいて生成された撮像情報が生成される。エンジン制御部112は、スキャナユニット102が生成した撮像情報を画像処理部114に転送する。画像処理部114は、主制御部111の制御に従い、エンジン制御部112から受信した撮像情報に基づき画像情報を生成する。画像処理部114が生成した画像情報はHDD50の画像形成装置1に装着された記憶媒体に保存される。
【0041】
画像処理部114によって生成された画像情報は、ユーザの指示に応じてそのままHDD50等に格納され若しくは入出力制御部113及びネットワークI/F108を介して外部の装置に送信される。即ち、ADF101及びエンジン制御部112が画像入力部として機能する。
【0042】
また、画像形成装置1が複写機として動作する場合は、エンジン制御部112がスキャナユニット102から受信した撮像情報若しくは画像処理部114が生成した画像情報に基づき、画像処理部114が描画情報を生成する。その描画情報に基づいてプリンタ動作の場合と同様に、エンジン制御部112がプリントエンジン106を駆動する。
【0043】
メディアセンサ109は、画像形成装置1がプリンタ若しくは複写機として動作する際に、給紙テーブル105からプリントエンジン106に搬送される用紙についての情報を検知する。メディアセンサ109が検知可能な情報としては、用紙の厚さ、用紙の素材、紙質及び用紙表面の摩擦係数等がある。本実施形態に係るメディアセンサ109は、用紙の厚さを検知する紙厚検知部として機能する。メディアセンサ109による検知出力は、エンジン制御部112に入力される。
【0044】
環境センサ110は、画像形成装置1が動作している環境の条件として、温度及び湿度を検知する。即ち、環境センサ110が、温度検知部及び湿度検知部として機能する。環境センサ110が検知する環境条件は、画像形成装置1内部において搬送される用紙と、その用紙を搬送する搬送機構との摩擦係数を求めるために用いられるため、装置内部の環境条件を検知可能なように設けることが好ましい。尚、装置内部を搬送される用紙の摩擦に関する環境条件であれば、温度及び湿度に限らず、他の情報を検知可能としても良い。また、装置外部の環境条件を検知するようにしても良い。
【0045】
次に、本実施形態に係る給紙テーブル105、プリントエンジン106、排紙トレイ107及び夫々の間の用紙の搬送経路について、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態に係る給紙テーブル105、プリントエンジン106、排紙トレイ107及び夫々の間の用紙の搬送経路を模式的に示す図である。図3においては、用紙が搬送される搬送経路が一点鎖線で示されている。
【0046】
図3に示すように、本実施形態に係る給紙テーブル105は、給紙トレイ151、給紙ローラ152及び給紙センサ153を含む。給紙トレイ151は、用紙がスタックされるトレイである。給紙ローラ152は、給紙トレイ151にスタックされた用紙を引き出して搬送経路に給紙する。給紙センサ153は、給紙ローラ152によって搬送経路に給紙された用紙を検知するタイミングセンサである。
【0047】
また、図3に示すように、本実施形態に係る給紙テーブル105とプリントエンジン106との間の搬送経路には、メディアセンサ109に加えて、中間フィードローラ154及び中間フィードセンサ155が設けられている。中間フィードローラ154は、給紙テーブル105から搬送された用紙をプリントエンジン106に搬送する。中間フィードセンサ155は、中間フィードローラ154によって搬送された用紙を検知するタイミングセンサである。
【0048】
また、図3に示すように、本実施形態に係るプリントエンジン106は、レジストセンサ161、レジストローラ162、作像部163、転写・分離ユニット164、定着ユニット165、前排紙センサ166及び前排紙ローラ167を含む。
【0049】
レジストセンサ161は、プリントエンジン106内に搬送された用紙を検知するタイミングセンサである。レジストローラ162は、レジストセンサ161によって検知された用紙を転写・分離ユニット164に向って搬送する。レジストローラ162は作像部163とのタイミングを合わせて用紙を搬送する。作像部163は、感光体、帯電装置及び現像装置を含み、搬送された用紙に転写するためのトナー像を形成する。
【0050】
転写・分離ユニット164は、作像部163において形成されたトナー像を搬送された用紙に転写する。定着ユニット165は、用紙に転写されたトナー像を定着させる。前排紙センサ166は、定着ユニットを通過した用紙を検知するタイミングセンサである。前排紙ローラ167は、前排紙センサによって検知された用紙をプリントエンジン106外に搬送する。
【0051】
また、図3に示すように、本実施形態に係るプリントエンジン106と排紙トレイ107との間の搬送経路には、後排紙センサ168及び後排紙ローラ169が設けられている。後排紙センサ168は、プリントエンジン106から排出された用紙を検知するタイミングセンサである。後排紙ローラ169は、後排紙センサ168によって検知された用紙を排紙トレイ107に排紙する。
【0052】
このように、本実施形態に係る画像形成装置1の用紙搬送機構は、給紙ローラ152、中間フィードローラ154、レジストローラ162、前排紙ローラ167及び後排紙ローラ169によって構成される。また、図3に示す各タイミングセンサ、即ち、給紙センサ152、中間フィードセンサ155、レジストセンサ161、前排紙センサ166及び後排紙センサ168は、エンジン制御部112によって制御される。図3に示す各タイミングセンサは、用紙の搬送経路上の所定位置において用紙を検知する用紙検知部として機能する。
【0053】
エンジン制御部112は、図3に示す各タイミングセンサ及びメディアセンサ109の出力並びに画像形成装置1の環境情報に基づき、上述した用紙搬送機構の劣化を認識し、故障時期を予測する機能を有する。図4を参照して、本実施形態に係るエンジン制御部112の機能構成について説明する。
【0054】
図4に示すように、エンジン制御部112は、タイミングセンサ制御部121、メディアセンサ制御部122、環境センサ制御部123、検知情報記憶部124、タイミング閾値記憶部125、経時劣化判断部126及び経時劣化情報記憶部127を含む。タイミングセンサ制御部121は、図3に示す各タイミングセンサを制御してタイミングセンサ夫々による用紙の検知信号を取得し、図3に示す各搬送機構が搬送経路上の所定区間において用紙を搬送するために要した時間である搬送時間の情報を取得する。即ち、タイミングセンサ制御部121が搬送時間情報取得部として機能する。
【0055】
メディアセンサ制御部122は、メディアセンサ109を制御してその検知信号を取得し、搬送されている用紙に関する情報を取得する。上述したように、本実施形態に係るメディアセンサ109は用紙の厚さを検知するため、本実施形態に係るメディアセンサ制御部122は、用紙の厚さの情報(以降、紙厚情報とする)を取得する。
【0056】
環境センサ制御部123は、環境センサ123を制御し、その検知信号を取得する。上述したように、本実施形態に係る環境センサ110は温度及び湿度を検知するため、本実施形態に係る環境センサ制御部123は、画像形成装置1内部の温度及び湿度の情報(以降、環境情報とする)を取得する。
【0057】
メディアセンサ制御部122が取得した紙厚情報及び環境センサ制御部123が取得した環境情報は、搬送経路情報を搬送される用紙と搬送機構としてのローラとの摩擦係数に関連する情報として用いられ、この摩擦係数に関連する情報に基づいて搬送機構の劣化の判断を変えることが本実施形態に係る要旨の1つとなる。即ち、上述した紙厚情報及び環境情報は摩擦係数関連情報として用いられ、上記メディアセンサ制御部122及び環境センサ制御部123は摩擦係数関連情報取得部として機能する。
【0058】
検知情報記憶部124は、タイミングセンサ制御部121、メディアセンサ制御部122及び環境センサ制御部123が各センサの出力信号に基づいて取得した情報を記憶している。検知情報記憶部124が記憶している情報については、後に詳述する。
【0059】
タイミング閾値記憶部125は、夫々のタイミングセンサが検知する用紙の到達時間に対して、動作不良、即ち故障として判断するための閾値を記憶している。図5に、タイミング閾値記憶部が記憶している情報の例を示す。図5に示すように、タイミング閾値記憶部125は、給紙タイミング閾値(TK)、中間フィードタイミング閾値(TM)、レジストタイミング閾値(TR)、前排紙タイミング閾値(TH)及び後排紙タイミング閾値(TH)の情報を記憶している。即ち、上記TK、TM、TR、TH、THは、故障判断閾値として用いられる。従って、タイミング閾値記憶部125は、故障判断閾値記憶部として機能する。
【0060】
給紙タイミング閾値TKは、給紙センサ153による検知タイミングについて、動作不良を判断する際に基準となる値である。図3に示すように、給紙センサ153は、給紙ローラ152によって搬送される用紙の先端を検知するため、給紙タイミング閾値TKは、給紙ローラ152の故障を判断するための閾値として用いられる。
【0061】
中間フィードタイミング閾値TMは、中間フィードセンサ155による検知タイミングについて、動作不良を判断する際に基準となる値である。図3に示すように、中間フィードセンサ155は、中間フィードローラ154によって搬送される用紙の先端を検知するため、中間フィードタイミング閾値TMは、中間フィードローラ154の故障を判断するための閾値として用いられる。
【0062】
レジストタイミング閾値TRは、レジストセンサ161による検知タイミングについて、動作不良を判断する際に基準となる値である。前排紙タイミング閾値THは、前排紙センサ166による検知タイミングについて、動作不良を判断する際に基準となる値である。図3に示すように、前排紙センサ166は、レジストローラ162〜定着・分離ユニット165に至る作像系によって搬送される用紙の先端を検知するため、前排紙タイミング閾値THは、作像系の故障を判断するための閾値として用いられる。
【0063】
後排紙タイミング閾値は、後排紙センサ168による検知タイミングについて、動作不良を判断する際に基準となる値である。図3に示すように、後排紙センサ168は、前排紙ローラ167によって搬送される用紙の先端を検知するため、後排紙タイミング閾値THは、前排紙ローラ167の故障を判断するための閾値として用いられる。
【0064】
経時劣化判断部126は、上記タイミングセンサ制御部121、メディアセンサ制御部122及び環境センサ制御部123が取得して検知情報記憶部124に記憶した情報及びタイミング閾値記憶部125に記憶されている情報に基づき、画像形成装置1の搬送機構の経時劣化を判断する。経時劣化判断部126の機能については、後に詳述する。
【0065】
経時劣化情報記憶部127は、経時劣化判断部126の機能により判断された経時劣化の情報を記憶している記憶部である。経時劣化情報記憶部127に記憶された情報に基づき、画像形成装置1の搬送機構の経時劣化をユーザが確認するための画面が生成される。経時劣化情報記憶部127に記憶されている情報の詳細については後述する。
【0066】
このような画像形成装置1において、本実施形態に係る要旨は、エンジン制御部112による用紙搬送機構の経時劣化の判断にある。以下、本実施形態に係る画像形成装置1の動作について説明する。
【0067】
まず、本実施形態に係る画像形成装置1の通常動作における用紙搬送機構の動作状態及びタイミングセンサの検知状態について、図6を参照して説明する。図6は、本実施形態に係る画像形成装置1の通常動作における用紙搬送機構の動作状態及びタイミングセンサの検知状態を示すタイミングチャートである。
【0068】
図6に示すように、まず、エンジン制御部112による給紙開始信号の出力(図中のタイミングt)に応じて給紙ローラ152及び中間フィードローラ154が回転を開始し、給紙トレイ151にスタックされた用紙が中間フィードローラ154に向って分離・搬送される。その過程で、給紙センサ153が用紙の先端を検知し、出力を“0”から“1”に切り換える(図中のタイミングt)。タイミングセンサ制御部121は、給紙開始信号の出力タイミングから給紙センサ153の出力が“1”に切り換わったタイミング、即ち、tからtまでの期間を給紙到達期間tKとして認識する。
【0069】
中間フィードローラ154によって搬送された用紙は、レジストローラ162に向って搬送される。その過程で、中間フィードセンサ155が用紙の先端を検知し、出力を“0”から“1”に切り換える(図中のタイミングt)。更に、レジストセンサ161が、用紙の先端を検知し、出力を“0”から“1”に切り換える(図中のタイミングt)。
【0070】
これにより、タイミングセンサ制御部121は、給紙開始信号の出力タイミングから中間フィードセンサ155の出力が“1”に切り換わったタイミング、即ち、tからtまでの期間を中間フィード到達期間tMとして認識する。また、タイミングセンサ制御部121は、給紙開始信号の出力タイミングからレジストセンサ161の出力が“1”に切り換わったタイミング、即ち、tからtまでの期間をレジスト到達期間tRとして認識する。
【0071】
そして、エンジン制御部112は、レジストセンサ161の出力が“1”に切り換わったタイミングに応じて、中間フィードローラ154の回転を停止させる。また、中間フィードローラ154によって搬送された用紙がレジストローラ162に到達する過程で、メディアセンサ109が、用紙の厚さを検知する。メディアセンサ制御部122は、メディアセンサ109の検知出力を取得し、搬送中の用紙の厚さを認識する。
【0072】
エンジン制御部112は、レジストセンサ161の出力が“1”に切り換わったタイミングに応じて、レジストローラ162を回転させるためのレジストローラ回転信号を“0”から“1”に切り換える(図中のタイミングt´)。これにより、レジストローラ162が回転を開始し、作像部163、転写・分離ユニット164に向けて用紙を搬送する。尚、レジストローラ162の回転開始と同時に、前排紙ローラ167及び後排紙ローラ169が回転を開始する。転写・分離ユニット164によって紙面上にトナー像が転写された用紙は、更に搬送されて定着ユニット165に到達する。定着ユニット165により、紙面上に転写されたトナー像が定着される。
【0073】
定着ユニット165による定着処理が完了した用紙は、更に搬送されて前排紙ローラ167に到達する。その過程で、前排紙センサ166が用紙の先端を検知し、出力を“0”から“1”に切り換える(図中のタイミングt)。タイミングセンサ制御部121は、給紙開始信号の出力タイミングから給紙センサ153の出力が“1”に切り換わったタイミング、即ち、tからtまでの期間を前排紙到達期間tHとして認識する。
【0074】
前排紙ローラ167に到達した用紙は、前排紙ローラ167によって更に搬送され、後排紙ローラ169に到達する。その過程で、後排紙センサ168が用紙の先端を検知し、出力を“0”から“1”に切り換える(図中のタイミングt)。タイミングセンサ制御部121は、給紙開始信号の出力タイミングから給紙センサ153の出力が“1”に切り換わったタイミング、即ち、tからtまでの期間を後排紙到達期間tHとして認識する。後排紙ローラ167に到達した用紙は、後排紙ローラ167によって装置外に排出され、画像形成装置1内部における用紙の搬送が完了する。
【0075】
このような画像形成装置1の動作において、本実施形態に係るエンジン制御部112は、上記取得したtK、tM、tH、tHの期間即ち、用紙の搬送時間の情報と所定の閾値とを比較することにより、搬送機構の故障を判断する。更に、経時劣化判断部126は、上記取得した搬送時間の情報、メディアセンサ109の検知結果及び環境センサ110の検知結果に基づき、各搬送機構の経時劣化を認識し、各搬送機構の故障時期を予測する。本実施形態に係る上記故障判断及び経時劣化の認識動作について、図を参照して説明する。図7は、本実施形態に係る画像形成装置1による画像形成出力動作における用紙1枚分の搬送動作を示すフローチャートである。
【0076】
図7に示すように、給紙が開始されて給紙センサ153が用紙を検知すると(S701)、エンジン制御部112は、認識した給紙到達期間tKを、タイミング閾値記憶部125に記憶されている給紙タイミング閾値TKと比較する(S702)。また、エンジン制御部112は、給紙到達期間tKに基づいた経時劣化の判断処理を実行する(S703)。S703の処理の詳細については、後に詳述する。
【0077】
S702の比較の結果、tKがTKを上回っている場合(S702/NO)、エンジン制御部112は、搬送不良と判断し、エラー処理を実行して(S715)、処理を終了する。他方、S702の比較の結果、tKがTK以下である場合(S703/YES)、用紙はそのまま搬送される。そして、中間フィードセンサ155が用紙を検知すると(S704)、エンジン制御部112は、認識した中間フィード到達期間tMを、中間フィード閾値TMと比較する(S705)。また、エンジン制御部112は、中間フィード到達期間tMに基づいた経時劣化の判断処理を実行する(S706)。S706の処理の詳細については、後に詳述する。
【0078】
S705の比較の結果、tMがTMを上回っている場合(S705/NO)、エンジン制御部112は、搬送不良と判断し、エラー処理を実行して(S715)、処理を終了する。他方、S705の比較の結果、tMがTM以下である場合(S705/YES)、用紙はそのまま搬送される。そして、レジストセンサ161が用紙を検知すると(S707)、エンジン制御部112は、認識したレジスト到達期間tRを、レジストタイミング閾値TRと比較する(S708)。
【0079】
S708の比較の結果、tRがTRを上回っている場合(S708/NO)、エンジン制御部112は、搬送不良と判断し、エラー処理を実行して(S715)、処理を終了する。他方、S708の比較の結果、tRがTR以下である場合(S708/YES)、用紙はそのまま搬送される。そして、前排紙センサ166が用紙を検知すると(S709)、エンジン制御部112は、認識した前排紙到達期間tHと前排紙タイミング閾値THとを比較する(S710)。また、エンジン制御部112は、前排紙到達期間tHに基づいた経時劣化の判断処理を実行する(S711)。S711の処理の詳細については、後に詳述する。
【0080】
S710の比較の結果、tHがTHを上回っている場合(S710/NO)、エンジン制御部112は、搬送不良と判断し、エラー処理を実行して(S715)、処理を終了する。他方、S710の比較の結果、tHがTH以下である場合(S710/YES)、用紙はそのまま搬送される。そして、後排紙センサ168が用紙を検知すると(S712)、エンジン制御部112は、認識した後排紙到達期間tHと後排紙タイミング閾値THとを比較する(S713)。また、エンジン制御部112は、後排紙到達期間tHに基づいた経時劣化の判断処理を実行する(S714)。S714の処理の詳細については、後に詳述する。
【0081】
S713の比較の結果、tHがTHを上回っている場合(S713/NO)、エンジン制御部112は、搬送不良と判断し、エラー処理を実行して(S715)、処理を終了する。他方、S713の比較の結果、tHがTH以下である場合(S713/YES)、用紙は後排紙ローラ169によって装置外に排出される。
【0082】
このように、本実施形態に係る経時劣化の判断動作は、給紙センサ153、中間フィードセンサ155、前排紙センサ166及び後排紙センサ168の夫々のタイミングセンサによる用紙の検知に応じて実行される。図8を参照して、本実施形態に係る経時劣化の判断動作について説明する。尚、図8においては、図7のS703において実行される給紙到達期間tKに基づいた経時劣化の判断処理を例として説明するが、参照する情報が異なるのみで、S706、S711及びS713も同様の処理である。
【0083】
図8に示すように、給紙センサ152が用紙を検知してタイミングセンサ制御部121が検知結果を取得すると(S801/YES)、エンジン制御部112は、給紙センサの用紙カウンタ値をインクリメントする(S802)。この用紙カウンタ値は、エンジン制御部112内の記憶領域に記憶されている。S801のYESは、図7のS701に対応する。そして、エンジン制御部112は、タイミングセンサ制御部121によって取得された給紙到達期間tKの情報を検知情報記憶部124に記憶させる(S803)。
【0084】
尚、S803において、エンジン制御部112は、環境センサ制御部123が環境センサ110の出力信号に基づいて取得した温度及び湿度の情報(以降、環境情報とする)を記憶する。更に、S803において、エンジン制御部112は、メディアセンサ制御部122がメディアセンサ109の出力信号に基づいて取得した用紙の厚さの情報(以降、紙厚情報とする)を記憶する。
【0085】
S803において記憶される情報は、エンジン制御部112内の記憶領域である検知情報記憶部124に記憶される。検知情報記憶部124に記憶されている情報の例を図9に示す。図9に示すように、検知情報記憶部124は、タイミングセンサ制御部121によって取得されたtK、tM、tR等の搬送時間の値と、夫々の値を取得した際に検知されて取得された環境情報及び紙厚情報とを関連付けて記憶している。
【0086】
エンジン制御部112は、給紙センサ152が用紙を検知する都度、S802及びS803の処理を繰り返す。これにより、用紙カウンタ値が予め定められた所定値に達するまで、そのカウンタ値分のtK、環境情報及び紙厚情報が、図9に示すように検知情報記憶部124に蓄積されていく(S804/NO)。
【0087】
S802のインクリメントの結果、用紙カウンタのカウント値が所定値“N”に達したら(S804/YES)、経時劣化判断部126が、検知情報記憶部124に記憶されているすべてのtKを、給紙タイミング閾値TK、環境情報及び紙厚情報に基づいて求められた経時劣化判断閾値T´Kと比較し、記憶されているtKのうちT´Kを超えているものの数(以降、劣化予兆数とする)をカウントする(S805)。
【0088】
経時劣化判断閾値T´Kを求める際に、環境情報及び紙厚情報を加味する点が、本実施形態に係る要旨の1つである。尚、本実施形態においては、上記予め定められた所定値“N”として“100”を用いる。即ち、エンジン制御部は、S802及びS803の動作を100回繰り返す毎に、S805以降の処理を実行する。この所定値の値は、100未満であっても良いし、101以上であっても良い。
【0089】
ここで、本実施形態においては、搬送機構が劣化していることを判断するための閾値となるT´Kの算出方法が特徴となる。本実施形態に係るT´Kは、以下の式(1)によって求められる。

【0090】
ここで、式(1)の“ΔTK”は、給紙タイミング閾値TKを更に厳しい値にするため、即ち、給紙タイミング閾値TKによって制限される範囲を更に狭くするためにTKから減ずる修正値である。ΔTKの値の例としては、例えば、TKの値の10%〜20%程度の値である。これにより、給紙ローラ152が劣化することにより給紙到達期間tKが給紙タイミング閾値TKに近づいていることを判断することができる。
【0091】
また、式(1)の“α”は、tKを記録した際の用紙と搬送機構との摩擦係数に応じた修正値(以降、条件修正値とする)である。式(1)の“α”は、以下の式(2)に示すように、比較対象となるtKを記録した際の環境情報、即ち温度、湿度をパラメータとする値及び紙厚情報をパラメータとする値によって求められる。

【0092】
このように、経時劣化判断閾値T´Kの算出において、式(2)に示す条件修正値αを用いることにより、搬送機構の経時劣化の判断を高精度に行うことが可能となる。本実施形態に係る上記効果の原理について、以下により詳細に説明する。
【0093】
本実施形態に係る経時劣化の判断処理は、出力枚数に応じた用紙の搬送速度の遅延量を監視することにより、正常な装置動作が不可能となる程度に装置が劣化するタイミングを予測する処理である。
【0094】
画像形成装置1内部を搬送される用紙の搬送速度は、搬送機構に含まれるローラと用紙との間でスリップが発生することにより低下する。その結果、図3に示す夫々のタイミングセンサへの到達時間が遅れる。尚、ローラと用紙との間でスリップが発生する確率は、ローラと用紙との間の摩擦係数に依存する。
【0095】
ここで、ローラと用紙との間の摩擦係数は、ローラの摩耗等の経時劣化のみならず、搬送される用紙の厚さや、搬送時の温度、湿度等の他の条件によっても変化する。従って、上記他の条件を加味することなく一律に用紙の搬送速度を判断すると、それほどローラが劣化していないにも関わらず劣化していると判断される場合や、ローラが劣化しているにも関わらず劣化が検知されない場合があり得る。
【0096】
これに対して、上記式(1)、(2)において説明したように、搬送された用紙の厚さ及び用紙搬送時の環境条件を加味してT´Kを求めることにより、上記課題を解決することができる。例えば、温度が低い程、用紙やローラの摩擦係数は下がる傾向にある。その結果、ローラの摩耗が進んでいない場合でも、スリップが発生する確率が上がる。従って、式(2)に含まれるfは、温度が低い程、T´Kの値を高くするような式、即ち条件修正値αをプラスの値とするような式となる。
【0097】
また、湿度が高い程、用紙やローラの摩擦係数は上がる傾向にある。その結果、ローラの摩耗が進んでいる場合でも、スリップが発生する確率が下がる。従って、式(2)に含まれるfは、湿度が高い程、T´Kの値を低くするような式、即ち条件修正値αをマイナスの値とするような式となる。
【0098】
また、用紙の厚さが厚い程、ローラと用紙との摩擦係数は上がる傾向にある。その結果、ローラが摩耗している場合でも、スリップが発生し辛くなる。従って、式(2)に含まれるfは、用紙の厚さが厚い程、T´Kの値を低くするような式、即ち条件修正値αをマイナスの値とするような式となる。
【0099】
このような条件修正値αの算出方法を用いることにより、搬送機構の経時劣化を判断するタイミング夫々の環境条件に応じて適切な判断を行うことが可能となり、経時劣化の判断精度を向上することが可能となる。
【0100】
尚、条件修正値αを用いてTKを修正する態様に限らず、tKとTKとの比較においてαが加味されていれば良く、例えば、条件修正値αを用いてtKを修正し、修正したtKとTKとを比較しても良い。即ち、用紙の厚さの場合であれば、メディアセンサ制御部122によって取得された用紙の厚さが厚い程、タイミングセンサ制御部121によって取得されたtKの値、即ち搬送時間の実測値よりも搬送時間が長いものとして上記比較を行えば良く、TK及びtKのいずれを修正しても良い。
【0101】
また、温度の場合であれば、環境センサ制御部123によって取得された温度が高い程、タイミングセンサ制御部121によって取得されたtKの値よりも搬送時間が長いものとして上記比較を行えば良い。また、湿度の場合であれば、環境センサ制御部123によって取得された湿度が低い程、タイミングセンサ制御部121によって取得されたtKの値よりも搬送時間が短いものとして上記比較を行えば良い。
【0102】
S805のカウントの結果、劣化予兆数がゼロであれば(S806/YES)、エンジン制御部112は、経時劣化情報記憶部127の情報を更新すると共に、検知情報記憶部124に記憶された情報をリセットし(S807)、処理を終了する。他方、S805のカウントの結果、劣化予兆数がゼロでない場合(S806/NO)、エンジン制御部112は、経時劣化情報記憶部127の情報を更新すると共に、検知情報記憶部124に記憶された情報をリセットし(S808)、警告画面の表示処理を実行して(S809)、処理を終了する。
【0103】
S807、S808において更新される検知情報記憶部124に記憶されている情報の例を図10に示す。図10においては、図8と同様に、給紙到達期間tKについての情報を例として示すが、tM、tH及びtHについても同様である。図10に示すように、本実施形態に係る検知情報記憶部124は、累積出力枚数、tK平均値、tK最悪値、tK最頻値及び劣化予兆数の情報を記憶している。
【0104】
累積出力枚数は、画像形成装置1が使用され始めてからの累積の出力枚数である。本実施形態においては、図8のS804において説明したように、100枚毎に判断を行うため、100枚毎に累積出力枚数の情報が記憶されている。tK平均値は、夫々の情報更新時に記憶された100回のtK実測値の平均値である。
【0105】
tK最悪値は、夫々の情報更新時に記憶された100のtK実測値のうち、最も値が悪かった、即ち、最も期間が長かった値である。tK最頻値は、夫々の情報更新時に記憶された100のtK実測値のうち、最も頻繁に検知された値である。劣化予兆数は、図8のS805においてカウントされた値である。
【0106】
ここで、上記tK平均値、tK最悪値、tK最頻値は、夫々上述した条件修正値αで修正されたtKの値に基づく。これにより、搬送機構の劣化状態に基づくtKの値として、環境条件や用紙の種類に影響されていない純粋なtKの値を記憶することができる。この条件修正値αによる修正処理は、S807、S808においてエンジン制御部112が情報を更新する処理の一環として実行される。このような情報に基づき、S809における警告画面が生成される。
【0107】
次に、S809において表示される警告画面のGUI(Graphical Usert Interface)の例を図11、図12に示す。図11は本実施形態に係る警告画面のうち、劣化が検知された部位を示す劣化部位表示画面のGUIを示す図である。図11に示すように、本実施形態に係る劣化部位表示画面は、搬送機構部位表示部11a及び劣化状態表示部11bを含む。
【0108】
搬送機構部位表示部11aは、画像形成装置1に含まれる搬送機構の各部の名称を表示する。図11に示すように、本実施形態においては、“給紙ローラ”、“中間フィードローラ”、“作象ユニット”及び“前排紙ローラ”が表示されている。図11中の“給紙ローラ”は、図3の給紙ローラ152を示し、給紙センサ153による検知結果、即ち、給紙到達期間tKに基づいて劣化状態が判断される機構部位である。
【0109】
“中間フィードローラ”は、図3の中間フィードローラ154を示し、中間フィードセンサ155による検知結果、即ち、中間フィード到達期間tMに基づいて劣化状態が判断される機構部位である。
【0110】
“作象ユニット”は、図3のレジストローラ162、作象部163、転写・分離ユニット164及び定着ユニット165を含む搬送系を示し、前排紙センサ166による検知結果、即ち、前排紙到達期間tHに基づいて劣化状態が判断される機構部位である。
【0111】
“前排紙ローラ”は、図3の前排紙ローラ167を示し、後排紙センサ168による検知結果、即ち、後排紙到達期間tHに基づいて劣化状態が判断される機構部位である。
【0112】
劣化状態表示部11bは、搬送機構部位表示部11aに示された夫々の部位の劣化状態を、記号を用いて示す。本実施形態に係る劣化状態表示部11bは、“○”若しくは“●”の記号によって、各搬送機構部位の劣化状態を示しており、“○”は劣化が進行していないこと、“●”は劣化が進行していることを示している。このような表示により、ユーザは、画像形成装置1の搬送機構のうち、どの部分が劣化しているかを確認することができる。
【0113】
図12は本実施形態に係る警告画面のうち、劣化の進行具合を示す劣化進行度表示画面のGUIを示す図である。図12に示すように、本実施形態に係る劣化進行度表示画面は、図11において説明した搬送機構の各部についての劣化進行度をグラフで示す劣化進行度表示部12a、故障予測に基づく余命として残りの出力枚数を示す故障予測タイミング表示部12bを含む。尚、図12においては、給紙ローラ152についての劣化進行度を示す画面を説明するが、他の搬送機構においても同様である。
【0114】
図12の例において、劣化進行度表示部12aは、横軸を累積出力枚数、縦軸をtK、tM等のタイミングセンサの検知結果に基づいて取得された搬送時間(図12においては、給紙到達期間tK)として、累積出力枚数毎に到達期間をプロットしたグラフを表示している。ここで、本実施形態においては、累積出力枚数毎にプロットする値として、図10に示すtK平均値を用いるが、tK最悪値若しくはtK最頻値を用いても良い。
【0115】
尚、上記到達期間は、搬送機構の経時劣化により、出力枚数の増加に伴って長くなるが、“劣化”という概念をユーザに感覚的に伝えるため、本実施形態に係る劣化進行度表示部12aのグラフ(以降、劣化進行度グラフとする)においては、縦軸の正負が逆になっている。
【0116】
図12に示すように、本実施形態に係る劣化進行度グラフは、既に検知された実測値に基づく曲線(以降、実測カーブとする)が実線で示され、実測値のプロットに基づいて予測された曲線(以降、予測カーブとする)が破線で示されている。尚、上記予測カーブは、実測カーブのフィッティング曲線による公知の方法により求めることが可能である。
【0117】
そして、劣化進行度グラフは、図5において説明したタイミング閾値の値(図12においては、給紙タイミング閾値TK)を表示している。この予測カーブと給紙タイミング閾値とが交差する点における累積枚数の値(以降、故障予測累積枚数とする)が、故障予測の結果となる。従って、故障予測タイミング表示部12bは、上記故障予測累積枚数の値から、現在の累積出力枚数を減じた値を余命枚数として表示する。
【0118】
上述したように、劣化進行表示部12aにおけるプロットの縦軸の値は、タイミングセンサ制御部121が取得した到達期間そのものではなく、上述した条件修正値αに基づいて修正された値である。これにより、環境条件や用紙の種類に影響されない、純粋な搬送機構の経時劣化の曲線を得ることができ、より正確な故障予測が可能となる。尚、故障予測の線は曲線である必要はなく、直線であっても良い。即ち、実測値に対して直線でフィッティングを行い、故障予測の線を求めても良い。
【0119】
図11及び図12に示す画面は、経時劣化情報記憶部127に記憶されている情報に基づいて生成される。S809においては、まず、エンジン制御部112が主制御部111に対して、警告画面表示開始信号を出力する。この際、経時劣化情報記憶部127に記憶されている情報も出力される。主制御部111は、エンジン制御部112からの警告画面表示開始信号を受けて、操作表示制御部115を制御し、ディスプレイパネル104に図11、図12に示すような画面を表示させる。即ち、操作表示制御部115及びディスプレイパネル104が警告発信部として機能する。
【0120】
尚、図11、図12に示す画面は、画像形成装置1本体に表示する他、例えばネットワークを介して接続されたクライアント用のPCや、管理者用の端末等の他の機器に表示することも可能である。この場合、主制御部111は、エンジン制御部112からの警告画面表示開始信号を受けて、入出力制御部113を制御し、ネットワークI/F108を介して図11、図12に示す画面を表示するための情報を出力する。この場合、入出力制御部113及びネットワークI/F108が警告発信部として機能する。
【0121】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置1の故障予測においては、各タイミングセンサの検知結果に基づいて取得された用紙の搬送時間の実測値が、環境条件や用紙の厚さ等、用紙と搬送機構との摩擦係数に影響する要因に応じて修正される。そして、その修正された値に基づいて故障予測を行う。これにより、温度や湿度並びに用紙の厚さ等の影響をキャンセルし、搬送機構の劣化状態のみに基づいた経時劣化を認識し、故障予測を行うため、故障予測の精度を向上することが可能となる。
【0122】
加えて、上記条件修正値αによる修正を行うことにより、タイミング閾値記憶部125に予め記憶しておく夫々のタイミング閾値は装置の劣化状態のみを対象として設定すれば良く、上記他の条件を考慮して設定する必要がなくなる。これにより、夫々のタイミング閾値の設定を容易化することができ、装置設計を容易化することが可能となる。
【0123】
尚、故障予測の判断のみならず、図7のS702、S705、S708、S710及びS713における故障の判断についても、上述した条件修正値αを用いることが好ましい。即ち、タイミングセンサ制御部121がタイミングセンサの検知信号に基づいて取得した値とタイミング閾値記憶部125に記憶されている閾値とを比較する際、条件修正値αを加味して比較を行うことにより、純粋に搬送機構の劣化のみに基づいて故障を判断することができる。
【0124】
また、上記実施形態においては、メディアセンサ109が検知する情報の例として、用紙の厚さが挙げられている。この他、メディアセンサ109が検知する情報としては、用紙に関する情報であって摩擦係数を求めるために用いられる情報であれば何でも良い。特に、メディアセンサ109及び環境センサ110による検知結果は、用紙の摩擦係数に応じて搬送期間を修正するために用いられるため、メディアセンサ109として、直接用紙の摩擦係数を検知可能なセンサを用いることにより、他のセンサを省略することが可能である。
【0125】
また、上記実施形態においては、メディアセンサ109により用紙の情報を検知する態様が説明されている。この他、例えば、給紙テーブル105に格納されている用紙の情報を予め入力しておくようにしても良い。この場合、エンジン制御部112は、ユーザによって入力された情報に基づいて上述した式(2)の計算を行う。給紙テーブル105に格納されている用紙の情報をユーザが正確に入力していれば、上記と同様の効果を得ることが可能である。
【0126】
また、上記実施形態においては、式(1)に示すように、タイミング閾地記憶部125に記憶されている閾値を条件修正値αで修正することにより経時劣化判断閾値を求め、その経時劣化判断閾値とタイミングセンサの検知に基づく実測値とを比較する。しかしながら、閾値及び実測値のいずれか一方に条件修正値αによる修正を適用して比較をすれば良く、上述したように閾値を修正する態様に限られない。
【0127】
また、上記実施形態においては、式(1)に示すように、条件修正値αによる修正の適用として、閾値に条件修正値αを足す場合、即ち、足し算を行う場合が例として説明されている。この他、条件修正値αの適用方法としては、掛け算や割り算、その他の計算式等、様々な方法を用いることが可能である。
【0128】
また、上記実施形態においては、図8において説明したように、累積出力枚数100枚毎に、搬送機構の経時劣化を判断する。一般的に、画像形成装置1の搬送機構は、急激に劣化するものではなく、1枚の出力毎に劣化を判断することは非効率な処理となってしまう。これに対して、本実施形態のように、100枚毎に経時劣化の判断を行うことにより、処理を効率化することができる。尚、経時劣化を判断する間隔は100枚毎に限られるものではなく、99枚以下であっても、101枚以上であっても良い。
【0129】
また、上記実施形態においては、経時劣化判断部126が搬送機構の経時劣化を判断することを例として説明しているが、本実施形態の要旨は搬送機構の劣化を判断して故障を予測することであり、経時劣化に限定されるものではない。即ち、経時劣化判断部126は、劣化判断部である。
【符号の説明】
【0130】
1 画像形成装置、
10 CPU、
11a 搬送機構部位表示部、
11b 劣化状態表示部、
12a 劣化進行度表示部、
12b 故障予測タイミング表示部、
20 RAM、
30 ROM、
40 エンジン、
50 HDD、
60 I/F、
70 LCD、
80 操作部、
90 バス、
100 コントローラ、
101 ADF、
102 スキャナユニット、
103 排紙トレイ、
104 ディスプレイパネル。
105 給紙テーブル、
106 プリントエンジン、
107 排紙トレイ、
108 ネットワークI/F、
109 厚さセンサ、
110 環境センサ、
111 主制御部、
112 エンジン制御部、
113 入出力制御部、
114 画像処理部、
115 操作表示制御部、
121 タイミングセンサ制御部、
122 メディアセンサ制御部、
123 環境センサ制御部、
124 検知情報記憶部、
125 タイミング閾値記憶部、
126 経時劣化判断部、
127 経時劣化情報記憶部、
151 給紙トレイ、
152 給紙ローラ、
153 給紙センサ、
154 中間フィードローラ、
155 中間フィードセンサ、
161 レジストセンサ、
162 レジストローラ、
163 作像部、
164 転写・分離ユニット、
165 定着ユニット、
166 前排紙センサ、
167 前排紙ローラ、
168 後排紙センサ、
169 後排紙ローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0131】
【特許文献1】特開2000−307786号公報
【特許文献2】特開平11−24334号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送する搬送機構の劣化を判断可能な画像形成装置であって、
搬送された用紙を搬送経路上の所定の位置において検知する用紙検知部と、
前記搬送経路上の所定区間において前記用紙を搬送するために要した搬送時間の情報である搬送時間情報を前記用紙検知部による検知結果に応じて取得する搬送時間情報取得部と、
前記搬送された用紙の摩擦係数に関する情報である摩擦係数関連情報を取得する摩擦係数関連情報取得部と、
前記取得された搬送時間情報に基づいて前記搬送機構の経時劣化を判断する経時劣化判断部とを含み、
前記経時劣化判断部は、前記取得された摩擦係数関連情報に基づいて前記経時劣化の判断結果を変える、画像形成装置。
【請求項2】
前記摩擦係数関連情報取得部は、前記摩擦係数関連情報として前記用紙の厚さの情報を取得することを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送された用紙の厚さを検知する紙厚検知部を更に有し、
前記摩擦係数関連情報取得部は、前記紙厚検知部の検知結果に基づいて前記用紙の厚さの情報を取得することを特徴とする、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記摩擦係数関連情報取得部は、ユーザによって入力された情報に基づいて前記用紙の厚さの情報を取得することを特徴とする、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記経時劣化判断部は、前記取得された用紙の厚さが厚い程、前記取得された搬送時間よりも長い搬送時間が取得されたものとして前記経時劣化を判断することを特徴とする、請求項2乃至4いずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成装置が動作している環境の温度を検知する温度検知部を更に有し、
前記摩擦係数関連情報取得部は、前記温度検知部の検知結果に基づき、前記摩擦係数関連情報として温度の情報を取得することを特徴とする、請求項1乃至5いずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記経時劣化判断部は、前記検知された温度が低い程、前記取得された搬送時間よりも短い搬送時間が取得されたものとして前記経時劣化を判断することを特徴とする、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成装置が動作している環境の湿度を検知する湿度検知部を更に有し、
前記摩擦係数関連情報取得部は、前記湿度検知部の検知結果に基づき、前記摩擦係数関連情報として湿度の情報を取得することを特徴とする、請求項1乃至7いずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記経時劣化判断部は、前記検知された湿度が高い程、前記取得された搬送時間よりも長い搬送時間が取得されたものとして前記経時劣化を判断することを特徴とする、請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記経時劣化判断部は、前記搬送機構の経時劣化を判断するために前記搬送時間に適用する閾値である経時劣化判断閾値と前記搬送時間とを比較することにより、前記搬送機構が劣化しているか否かを判断し、
前記取得された摩擦係数関連情報に基づいて前記経時劣化判断閾値と前記搬送時間との比較結果を変えることを特徴とする、請求項1乃至9いずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記搬送機構の故障を判断するために前記搬送時間に対応して設定された故障判断閾値を記憶している故障判断閾値記憶部を更に有し、
前記経時劣化判断部は、前記故障判断閾値により制限される範囲をより狭くすることにより、前記経時劣化判断閾値を求めることを特徴とする、請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記搬送機構が劣化していると判断された場合に、ユーザに対して警告を発信する警告発信部を更に含むことを特徴とする、請求項10または11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記経時劣化判断部は、前記画像形成装置が所定回数の画像形成出力を実行する度に前記経時劣化を判断することを特徴とする、請求項1乃至12いずれかに記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記経時劣化判断部は、
前記画像形成装置による画像形成出力の累積枚数に応じた前記搬送時間の遷移に基づいて前記搬送機構の故障時期を予測する機能を有し、
前記故障時期の予測に際して、前記取得された摩擦係数関連情報に基づいて前記搬送時間を修正することを特徴とする、請求項1乃至13いずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−210801(P2010−210801A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55280(P2009−55280)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】