説明

画像形成装置

【課題】新品のプロセスカートリッジを使用した際にも、クリーニングブレード捲れが発生しない画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】プロセスカートリッジが新品の場合には、現像剤担持体の長手全域にまで十分にトナー(現像剤)が供給された後、像担持体とクリーニングブレードの接触部トナーを堆積させる初期化動作を実行する。これにより、プロセスカートリッジが新品時のクリーニングブレードの捲れを確実に防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスカートリッジを着脱可能であって、記録媒体に画像を形成するための画像形成装置に関する。
【0002】
ここで、画像形成装置には、電子写真方式或いは静電記録方式の複写機、プリンタ(レーザービームプリンタ、LEDプリンタ)、ファクシミリ装置、ワードプロセッサ、それらの複合機能機等が含まれる。
【0003】
プロセスカートリッジは、静電潜像が形成される回転可能な像担持体と、この像担持体に作用する画像形成プロセス手段とを一体的にカートリッジ化して、画像形成装置の装置本体に対して着脱可能に装着されるものである。プロセス手段は、像担持体の表面を帯電する帯電手段、像担持体の帯電処理面に静電潜像を形成する情報書き込み手段、静電潜像を現像剤で現像する現像手段、像担持体の表面から現像剤を除去するクリーニング手段などである。プロセスカートリッジは、像担持体と、上記のようなプロセス手段の少なくとも1つとが一体的にカートリッジ化されたものである。記録媒体は、例えば、用紙、OHPシート、ラベル、布などのシート状部材である。装置本体は、プロセスカートリッジ以外の画像形成装置部分である。
【背景技術】
【0004】
従来、電子写真画像形成プロセスを用いた画像形成装置においては、プロセスカートリッジ方式が多く採用されている。プロセスカートリッジ方式によれば、装置のメンテナンスをサービスマンによらず使用者(ユーザー)自身で行うことができるので、格段に操作性を向上させることができる。
【0005】
ところで、プロセスカートリッジ内にある像担持体(以下、感光ドラムと記す)の表面の残留したトナー(現像剤)を除去するクリーニング手段としては、ブレードクリーニング方式が多く用いられている。これは、クリーニング部材として、ウレタンゴムなどの弾性体材料からなるクリーニングブレードを用いる。このクリーニングブレードを、転写部位よりも感光ドラム回転方向に対して下流側において感光ドラム回転方向に対してカウンター方向に配設してクリーニングブレードに形成した尖鋭なエッジを感光ドラム表面に圧接して残留トナーを掻き取るものである。
【0006】
ブレードクリーニング方式によれば高いクリーニング性能を得ることができる。しかし、クリーニングブレードと感光ドラム表面の摩擦抵抗が高いと、ブレードエッジと感光ドラムとの間に大きな摩擦が生じる。特に、使用者が使用を開始する新品のプロセスカートリッジでは、クリーニングブレードと感光ドラムの間には、残留トナーのような潤滑剤として働くようなものが何もない。よって、ブレードエッジと感光ドラムとの間に大きな摩擦力が生じ、クリーニングブレード捲れやびびり等の問題が発生しやすい。
【0007】
この問題に対して、特許文献1のうように、クリーニングブレードの感光ドラム面との当接する領域に、感光ドラムとの摩擦抵抗を小さくするための潤滑作用剤として、微粒子の潤滑剤を塗布することが多い。微粒子の潤滑剤としては、例えばトナー、シリカ粒子、フッ化カーボン等の粒子がある。この微粒子の剤を塗布することで、プロセスカートリッジ使用初期において、クリーニングブレードと感光ドラムとの摩擦抵抗を抑えることができ、画像形成装置の動作中にクリーニングブレードの鳴き、めくれ、破損といったトラブルを防止することができる。
【0008】
更に、特許文献2のようにプロセスカートリッジが新品と判断されたときに、ある所定の帯電バイアス、現像バイアスを印加して、トナーを感光ドラムに付着させる。これにより、クリーニングブレードの感光ドラム当接部にトナーを滞留させて、潤滑作用剤として用いる方法もある。
【0009】
また、特許文献3のように、感光ドラム表面の潤滑性を向上させる表面層を用いる提案もある。これは高潤滑性を感光ドラム表面に持たせることで、クリーニングブレードの鳴き、めくれ、破損の問題を解決することが可能である。
【特許文献1】特開平06−118856号公報
【特許文献2】特開2004−341235号公報
【特許文献3】特開2001−305770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、特許文献1においては、微粒子を溶剤に分散させてクリーニングブレードを塗布する工程が必要となり、溶剤の使用が必要となる。
【0011】
その点では、特許文献3の手段により、クリーニングブレードに微粒子の潤滑剤を塗布する必要なくなる。しかしながら、特許文献3の潤滑性を向上させる感光ドラムの表面層においては、高潤滑性はあるものの、帯電バイアスを印加した場合に放電アタックによる表面層の削れと放電生成物により摩擦抵抗が大きくなってしまう。そのため、その潤滑性の高い層が削れ取られて無くなる前に、トナーをクリーニングブレードに供給する工程が必要になる。
【0012】
特許文献2のような手段においては、例えばプロセスカートリッジが縦方向に長時間放置された場合には、プロセスカートリッジ内の現像手段のトナーが現像剤担持体の長手一方に寄っている。そのようなプロセスカートリッジを画像形成装置の装置本体に装着すると、現像剤担持体の駆動開始直後にはトナーが現像剤担持体の長手全域にいない状態となる。こういった状態では、現像剤担持体上にトナーが均一にコートされない為、現像剤担持体上のトナーを感光ドラムへ付着させても、クリーニングブレードの長手全域へトナーを均一に供給することができず、クリーニングブレード捲れが発生する恐れがあった。
【0013】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものである。その目的とするところは、新品のプロセスカートリッジを使用した際にも、現像手段の状態に関わらず、クリーニングブレード捲れが発生しない画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(1)上記の目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、
静電潜像を形成する回転可能な像担持体と、前記像担持体の表面を帯電する帯電手段と、前記像担持体の帯電処理面に静電潜像を形成する情報書き込み手段と、前記静電潜像を現像剤で現像する現像手段と、前記像担持体の回転方向に対してカウンター方向に配設されて前記像担持体と所定領域で当接してニップ部を形成し前記像担持体の表面から現像剤を掻き取るクリーニングブレードと、制御手段と、を有し、少なくとも前記担持体と前記現像手段と前記クリーニングブレードとが一体的にカートリッジ化されて画像形成装置の装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジとされている、記録媒体に画像を形成するための画像形成装置において、
前記現像装置は、回転駆動され現像剤を担持して前記像担持体に供給する現像剤担持体と、回転駆動され現像剤容器に収容されている現像剤を攪拌すると共に前記現像剤担持体に供給する攪拌部材と、を有し、
前記制御手段は、画像形成装置に電源が投入されたとき、前記像担持体の駆動、前記現像剤担持体の駆動、前記攪拌部材の駆動、前記帯電手段に対する帯電バイアスの印加を含む第1又は第2の印刷準備動作を行う制御モードを有し、
前記第1の印刷準備動作は前記装置本体に装着されている前記プロセスカートリッジが新品検知手段により新品であると検知されたときに実行され、前記第2の印刷準備動作は新品ではないと検知されたときに実行され、
前記第1の印刷準備動作には前記現像剤担持体と前記攪拌部材が少なくとも1周以上回転してから前記現像手段により現像剤を前記像担持体の表面に付着させて前記ニップ部に現像剤を堆積させる初期化動作を含み、前記第2の印刷準備動作には前記初期化動作を含まないことを特徴とする。
【0015】
(2)また、上記の目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の他の代表的な構成は、
静電潜像を形成する回転可能な像担持体と、前記像担持体の表面を帯電する帯電手段と、前記像担持体の帯電処理面に静電潜像を形成する情報書き込み手段と、前記静電潜像を現像剤で現像する現像手段と、前記像担持体の回転方向に対してカウンター方向に配設されて前記像担持体と所定領域で当接してニップ部を形成し前記像担持体の表面から現像剤を掻き取るクリーニングブレードと、制御手段と、を有し、少なくとも前記担持体と前記現像手段と前記クリーニングブレードとが一体的にカートリッジ化されて画像形成装置の装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジとされている、記録媒体に画像を形成するための画像形成装置において、
前記現像装置は、回転駆動され現像剤を担持して前記像担持体に供給する現像剤担持体と、回転駆動され現像剤容器に収容されている現像剤を攪拌すると共に前記現像剤担持体に供給する攪拌部材と、を有し、
前記制御手段は、画像形成装置に電源が投入されたとき、前記像担持体の駆動、前記現像剤担持体の駆動、前記攪拌部材の駆動、前記帯電手段に対する帯電バイアスの印加を含む第1又は第2の印刷準備動作を行う制御モードを有し、
前記第1の印刷準備動作は前記装置本体に装着されている前記プロセスカートリッジが新品検知手段により新品であると検知されたときに実行され、前記第2の印刷準備動作は新品ではないと検知されたときに実行され、
前記第1の印刷準備動作には、前記像担持体の駆動、前記現像剤担持体の駆動、前記攪拌部材の駆動が開始されてから、前記現像剤容器に収容の現像剤が前記現像剤担持体の長手全域に供給されたことを検知する現像剤供給検知手段により現像剤が前記長手全域に供給されたことが検知された後に、前記現像手段により現像剤を前記像担持体の表面に付着させて前記ニップ部に現像剤を堆積させる初期化動作を含み、前記第2の印刷準備動作には前記初期化動作を含まないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
上記(1)のように構成された画像形成装置では、新品検知手段が装着されているプロセスカートリッジが新品であるか否かを検知する。新品の場合には、現像剤担持体と攪拌部材を少なくとも1周以上回転させることで現像剤担持体の長手全域に現像剤を供給する。その後、初期化動作を行い、像担持体とクリーニングブレードとの接触部へ現像剤を堆積させる。これにより、現像剤担持体の長手幅まで確実に現像剤を供給することができるため、新品のプロセスカートリッジのクリーニングブレードめくれ等を防止することができる。
【0017】
また、(2)のように構成された発明では、新品検知手段が装着されているプロセスカートリッジが新品であるか否かを検知する。新品の場合には、現像剤担持体と攪拌部材の回転により現像剤が現像剤担持体の長手全域に供給されたことが現像剤供給検知手段により検知されたら初期化動作を開始する。この制御により、現像剤担持体の長手幅まで現像剤が供給されている状態において初期化動作が実行されるため、新品のプロセスカートリッジを使用した際のクリーニングブレードめくれを防止することができる。
【0018】
このように本発明によれば、プロセスカートリッジが新品の場合には、まず、現像剤担持体の長手全域にまで十分現像剤が供給した状態にする。それから、像担持体とクリーニングブレードの接触部に現像剤を堆積させる初期化動作を実行する。これにより、新品のプロセスカートリッジを使用した際のクリーニングブレード捲れを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
[実施例1]
<画像形成装置例の全体的な概略構成>
図2は本実施例における画像形成装置1の概略構成を示す模式図である。この画像形成装置1は、電子写真プロセスを用いた、プロセスカートリッジ方式のレーザービームプリンタである。即ち、パソコン・イメージリーダ等のホスト装置2とラン接続されていて、ホスト装置2から制御回路部(制御手段:CPU)3に入力する電気的な画像情報に基づいてシート状の記録材(記録媒体)Pに対する画像形成動作を実行する。制御回路部3は、ホスト装置2や操作部4との間で各種の電気的情報の授受をすると共に、画像形成装置1の画像形成動作を所定の制御プログラムや参照テーブルに従って統括的に制御する。
【0020】
以下の説明において、プロセスカートリッジ(以下、カートリッジと記す)5の短手方向は画像形成装置1の装置本体1Aに対して着脱する方向である。カートリッジ5の長手方向はカートリッジ5を装置本体1Aに対して着脱する方向に交差する方向である。また、カートリッジ5に関して、正面とは装置本体1Aに対する挿入先端側の面(図2において左側の面)とは反対側の面(図2において右側の面)である。背面とは正面から見てその反対側の面である。左右とは正面から見て左右である。また、上面とは、カートリッジ5を装置本体1Aに装着した状態で上方に位置する面であり、下面とは下方に位置する面である。また、画像形成装置1に関して、正面とは開閉ドア(開閉カバー)10を配設した側である。左右とは正面から見て左右である。
【0021】
本実施例のカートリッジ5は、表面層に滑性材料を含み回転可能な像担持体6と、像担持体に作用する電子写真プロセス手段としての帯電手段7・現像手段8・クリーニング手段9を一体的にカートリッジ化して装置本体1Aに対して着脱可能としたものである。本実施例において、像担持体6は回転ドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)である。帯電手段7は感光ドラム6の表面(周面)を所定の極性電位に一様に帯電する手段であり、本実施例では接触帯電ローラを用いている。現像手段8は感光ドラム6の表面に形成された静電潜像を現像剤(可視粉体:以下、トナーと記す)tによりトナー像として現像(可視像化)する手段である。クリーニング手段9は感光ドラム上の転写残トナーを除去する手段である。本実施例では、クリーニング部材としてクリーニングブレード(Cブレード)91を用いたブレードクリーニング手段である。51はカートリッジ5の外装カバー(カートリッジ枠体)であり、この外装カバー51内に上記の感光ドラム6・帯電手段7・現像手段8・クリーニング手段9が所定の相互配置関係をもって組み付けられている。
【0022】
本実施例において、カートリッジ5は、装置本体1Aの開閉ドア10を、ヒンジ部11を中心に2点鎖線示のように開いて装置本体1Aの内部を大きく開放することで着脱操作される。ドア10を開くと、装置本体1A内のカートリッジ装着部12が見える。この装着部12の左右の壁部には、ドア10が開いた開口から見ると、後下がりのガイドレール(不図示)が見える。カートリッジ5を、正面側を手で掴み、背面側を先にして、左右側をそれぞれ上記左右のガイドレールに係合させて、ガイドレールに沿って装着部12に差し入れる。カートリッジ5を十分に挿入すると、カートリッジ5は位置決め部材13に受け止められて所定の装着位置に保持されて、上面の露光開口部5aが、情報書き込み手段(露光装置)としてのレーザースキャナユニット14の折り返しミラー19に正対する。また、下面から露出した感光ドラム下面が転写ローラ(転写手段)15に正対して当接した状態になる。そして、装置本体1Aにドア10を閉じ込む。
【0023】
16は装置本体1Aに配設したドアスイッチ(安全スイッチ、キルスイッチ)である。このドアスイッチ16は、ドア10が閉じられているときはドア10側に設けられた押子17で押されることでONに保持されていて、画像形成装置1の電源回路(不図示)を閉成している。また、ドア10が開らかれているときは押子17が逃げることでOFFに保持されて、電源回路を開成している。即ち、ドアスイッチ16は、画像形成装置の開閉ドア10が開かれとOFFし閉じられるとONする。
【0024】
カートリッジ5が装置本体1Aに所定に装着され、またドア10が閉じられることで、カートリッジ5は装置本体1A側と機械的・電気的に結合した状態になる。即ち、カートリッジ5側の被駆動部材(ドラム・現像ローラ・トナー攪拌部材等)が装置本体1A側の駆動機構(不図示)により駆動可能状態になる。また、カートリッジ5側の各種センサ類(不図示)が装置本体1A側の制御回路部3と電気的に連絡状態になる。また、カートリッジ5側の帯電ローラ・現像ローラ等に対して装置本体1A側のバイアス印加電源部(不図示)から所定のバイアスを印加することが可能となる。
【0025】
カートリッジ5の装置本体1Aからの取り出しは、上記の装着の手順とは逆である。即ち、図2において、ドア10を開き、カートリッジ5を右上方へ引き出すと、カートリッジ5は前述の左右のガイドレールに案内されて装着部12から装置本体1Aの外に出る。
【0026】
なお、本実施例においては、カートリッジ5が装置本体1Aから取り出されているときは、ドラムシャッタ52が感光ドラム6の下面を覆う閉じ位置に移動していて、ドラム下面を防護している。ドラムシャッタ52は、カートリッジ5の装置本体1Aに対する装着移動過程において、その装着移動に連動して開き位置に移動される。また、カートリッジ5の装置本体1Aからの引き出し移動過程において、その引き出し移動に連動して閉じ位置に移動される。また、カートリッジ5が装置本体1Aから取り出されているときは、露光部シャッタ53が露光開口部5aを閉鎖する位置に移動している。露光部シャッタ53は、カートリッジ5の装置本体1Aに対する装着移動過程において、その装着移動に連動して開き位置に移動される。また、カートリッジ5の装置本体1Aからの引き出し移動過程において、その引き出し移動に連動して閉じ位置に移動される。
【0027】
画像形成装置1は、操作部4のメイン電源スイッチ18が投入(電源ON)されており、また、カートリッジ5が装置本体1Aに装着されており、且つドア10の閉じによりドアスイッチ16がONである状態において、画像形成動作可能な待機状態となっている。
【0028】
この待機状態において、ホスト装置2から制御回路部3にプリントすべき電気的な画像情報が入力すると、制御回路部3は、入力画像情報を画像処理部(不図示)で処理し、画像形成開始信号(プリントスタート信号)に基づいて、画像形成プロセスを実行する。
【0029】
即ち、駆動モータ(不図示)が起動されて、感光ドラム6が矢印の時計方向に所定の速度(プロセススピード)にて回転駆動される。本実施例の画像形成装置1のプロセススピードは150mm/sである。
【0030】
回転駆動された感光ドラム6は、その表面が帯電ローラ7により所定の極性・電位に一様に帯電される。帯電ローラ7は、芯金の表面に導電性弾性体を形成したものであり、芯金の両端部が回転自在に保持されて感光ドラム6に並行に配列されている。且つ所定の押圧力にて感光ドラム6の表面に接触配置されており、感光ドラム6の回転に従動して回転する。帯電ローラ7は感光ドラム6に対して並行に配列されている。本実施例では、帯電ローラ7には、帯電バイアス印加電源(不図示)によって、AC電圧とDC電圧とが重畳された帯電バイアスが摺動接点(不図示)を介して印加される。具体的には、AC電圧をpeak−peakで1600V、DC電圧を−600Vで印加している。これにより、感光ドラム6の表面が−600V前後の電位に均一に帯電される。帯電ローラ7に印加する帯電バイアスはDC電圧のみとしてもよい。また、帯電手段7は、非接触帯電方式であるコロナ帯電器であっても良い。
【0031】
その感光ドラム6の帯電処理面に対して、レーザースキャナユニット14よりレーザー走査露光がなされて、感光ドラム6の表面に画像情報に対応した静電潜像が形成される。ユニット14は、半導体レーザー、ポリゴンミラー、補正系レンズ(F-θレンズ)等を有していて、ホスト装置2から制御回路部3へ入力された画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザー光Lを出力する。そのレーザー光Lが折り返しミラー19で反射されて、露光開口部5aからカートリッジ5内に入光して、感光ドラム6の表面が走査露光される。レーザー光Lの照射を受けたドラム面部分(露光部)の電位が減衰し、レーザー光Lの照射を受けなかったドラム面部分(非露光部)との電位コントラストにより、走査露光パターンに対応した静電潜像が感光ドラム6の表面に形成される。
【0032】
その静電潜像が現像手段8によってトナー像として現像される。現像方法としては、ジャンピング現像法、2成分現像法等が用いられる。プリンタにおいては、イメージ露光と反転現像との組み合わせで用いられることが多い。
【0033】
本実施例では、トナーが付着すべき画像部を露光するイメージ露光により静電潜像を形成し、現像手段8として、その静電潜像を負帯電性磁性一成分トナー(ネガトナー)を用いたジャンピング現像方式の現像装置により反転現像している。この現像装置8については後述する。
【0034】
一方、制御回路部3は所定の制御タイミングにて給送ローラ20を回転駆動する。これにより、カセット21内に積載収容させてある記録媒体である記録材Pが1枚分離給送される。その記録材Pは搬送ローラ対22を含むシートパス23を通り、所定の制御タイミングで回転がオン/オフ制御されるレジストローラ対24に至る。レジストローラ対24は回転オフ状態で記録材Pの先端を一時受け止めて記録材Pの斜行修正をする。そして、レジストローラ対24は所定の制御タイミングにて回転がオンされることで、記録材Pを、感光ドラム6と転写ローラ15との当接部である転写ニップ部に導入する。すなわち、記録材Pはレジストローラ24によって感光ドラム6上のトナー像と同期がとられて転写ニップ部に送られる。記録材Pが転写ニップ部を挟持搬送されていく過程において、転写ローラ15には、転写バイアス電源(不図示)からトナーの帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の所定電位の転写バイアスが印加される。これにより、感光ドラム6面のトナー像が記録材Pの面に順次に静電転写されていく。
【0035】
転写ニップ部を出た記録材Pは感光ドラム6の面から分離されてシートパス25を通って定着装置(定着手段)26へ導入される。定着装置26へ導入された記録材Pは定着ローラ26aと加圧ローラ26bとの圧接部である定着ニップ部で挟持搬送される過程で加熱・加圧されて、未定着のトナー像が固着画像として記録材面に定着される。そして、排出ローラ対27に中継ぎされて排出口28を通って、装置外の排出トレイ29に排出される。
【0036】
一方、記録材分離後の感光ドラム6の表面は、クリーニング装置9のクリーニングブレード91により転写残トナー等の残留付着物が除去されて清掃され、繰り返して作像に供される。クリーニングブレード91によりドラム面から除去された転写残トナー等は廃トナー容器92に収容される。
【0037】
クリーニングブレード91は高いクリーニング性能を得るためにドラム回転方向に対してカウンター方向に配設されて感光ドラム6と所定領域で当接してニップ部を形成し、回転する感光ドラム6の表面を拭掃して転写残トナー等の付着物を掻き取って除去する。クリーニングブレード91は、支持板金とゴムブレードより構成されている。
【0038】
クリーニングブレード91のドラム当接領域においては、摩擦抵抗を下げる手段のコーティング等は行っていない。即ち、カートリッジ5は、新品状態において、クリーニングブレード91の感光ドラム6に接触する領域には、クリーニングブレード91と感光ドラム6間の潤滑作用を施す粒子(粉体)が塗布されていない。
【0039】
ここで、カートリッジ5について、新品又は新品状態とは、カートリッジ5が工場より出荷され、使用者が画像形成装置1の装置本体1Aに装着して画像形成のために使用を開始するまでの未使用状態のカートリッジを意味する。
【0040】
<感光ドラム6>
図3は像担持体である感光ドラム6の層構成の模式図である。この感光ドラム6は、導電性の支持体61の上に電子写真感光層(電荷発生層)62が形成されている。そして、その感光層62の上に更に表面層(電荷輸送層)63が形成されている。
【0041】
表面層63は主として電荷輸送材料とバインダー樹脂と滑性材料を溶剤中に溶解させた塗料を塗工乾燥して形成する。用いられる電荷輸送材料としては各種のトリアリールアミン系化合物、ヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、ピラゾリン系化合物、オキサゾール系化合物、トリアリルメタン系化合物、チアゾール系化合物などが挙げられる。
【0042】
また、バインダー樹脂としては例えばポリエステル樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、フェノキシ樹脂などが用いられる。また、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、塩化ビニリデン・アクリロニトリロコポリマー樹脂、ポリビニルベンザール樹脂などが用いられる。
ま た、滑性材料は櫛形ポリマーを用い、市販品としてUS270、US380、US450(東亞合成社製:商品名)等がある。本実施例ではUS270を用いた。
【0043】
本実施例の感光ドラム6の新品状態での動摩擦係数は0.40である。また、後述する第1の印刷準備動作の後の測定においては動摩擦係数は0.60〜1.0となった。これは、印刷準備動作において帯電バイアスを印加した際に、放電アタックによる表面層の削れと放電生成物により摩擦抵抗が大きくなってしまった為である。このような状態で感光ドラム6とクリーニングブレード91との当接部に潤滑剤が存在する事無く、感光ドラム6の駆動が行われるとクリーニングブレード91のめくれが発生する。特に、感光ドラム6の表面の動摩擦係数が0.5以上になるとクリーニングブレード91のめくれが発生しやすい。なお、印刷準備動作後の動摩擦係数の測定は、感光ドラム上にトナーが存在すると感光ドラム単体の動摩擦係数が正確に測定できない為、感光ドラム表面のトナーを取り除いた上で行った。
【0044】
ここで、動摩擦係数μの測定は、常温常湿(25℃/50%RH)において新東科学(株)製のHEIDON−14を用いて行った。詳しくは、クリーニングブレード91を一定の荷重をかけた状態で感光ドラム6に接触設置する。そして、感光ドラム6を50rpmで回転駆動させたときに、感光ドラム1とクリーニングブレード91との間に働く摩擦力を、クリーニングブレード91側に取り付けた歪みゲージの歪み量として計測し、引っ張り荷重に換算した。
【0045】
動摩擦係数はブレードが動いている時の〔感光ドラムに加わる力(g)〕/〔ブレードに加えた荷重(g)〕から求められる。使用ブレードは長手幅230mmのウレタンブレード(ゴム硬度67°)で、荷重100gでwith方向、角度27°にて測定した。
【0046】
<現像装置8>
本実施例における現像装置8は、現像剤tとして負帯電性磁性一成分トナーを用いた現像装置である。トナーtを収容した現像剤容器(トナー容器)81、トナーを担持搬送する現像剤担持体としての非磁性の現像スリーブ82、現像スリーブ82に担持されたトナーの層厚規制を行う現像剤層厚規制部材としての現像ブレード83を有する。現像スリーブ82の内空内には磁界発生部材としてマグネットロール84が挿入されて非回転に配設されている。また、トナー容器81内に収容されたトナーtをほぐし搬送して現像スリーブ82に供給するためのトナー攪拌部材(現像剤攪拌部材)85を有する。現像スリーブ82はトナー容器81のドラム対向部に設けた開口部に回転可能に配設されている。
【0047】
現像スリーブ82は、アルミニウムやステンレススチールのパイプによって形成された非磁性スリーブであり、トナー容器81によって回転自在に支持されている。現像スリーブ82は本実施例ではアルミ製の16.0mm径の中空円筒管を用いた。また、現像スリーブ82は駆動機構(不図示)によって回転速度300rpmで矢印の反時計方向に駆動される。現像スリーブ82の長手方向(軸線方向)の両端部にはそれぞれスペーサコロ(不図示)が配設されている。現像スリーブ81は、このコロの外周面を対向する感光ドラム6に突き当てることにより、感光ドラム表面との間に所定のギャップ(間隙)を確保するようにしている。現像スリーブ82の表面は、フェノール樹脂にカーボン、電荷制御剤、表面を荒らすための微粒子を分散させた溶剤で塗装して、所望量のトナーを担持した時に適正な電荷を与えられるようにした。また、塗料コートによって現像スリーブ82の表面上は粗さをもっており、本実施例では算術平均粗さRa=1.2μmのものを使用した。
【0048】
マグネットロール84は、円筒状に形成されていり、その周方向にN極とS極とが交互に複数個形成されている。マグネットロール84は、現像スリーブ82が回転するのとは異なり、現像スリーブ82の内側に非回転に固定的に配置されている。
【0049】
現像ブレード83は、支持部材と弾性ブレードとを有して構成され、弾性ブレードが現像スリーブ82の表面に弾性に抗して撓められて腹当て当接するように設けられている。弾性ブレードは例えばウレタンゴムを板状に形成したものであり、その基端部が支持板金に固定されるとともに、その先端部を現像スリーブ82の表面に所定の圧力で当接させて弾性変形している。弾性ブレードは、上述のマグネットロール84の磁力によって現像スリーブ82表面に引き付けられたトナーtの層厚を規制するものである。
【0050】
攪拌部材85は、駆動機構(不図示)によって回転速度30rpmで、回転駆動される。攪拌部材85はトナー容器81に回転自在に支持された取付軸に厚み50μm、材質ポリフェニルサルファイドの攪拌シートを設けたものである。また、攪拌部材85は現像スリーブ82と同一の駆動系により駆動される。本実施例では現像スリーブ82と攪拌部材85、感光ドラム6は同一の駆動装置で駆動されている。
【0051】
現像スリーブ82のトナー容器81側の面にマグネットロール84の磁力によりトナーtが磁気的に吸着されて担持され、現像スリーブ82の回転で感光ドラム6と対向する現像領域に搬送される。トナーは、搬送されることによるトナー相互の摩擦帯電、及び、現像ブレード83によって層厚が規制される際の現像スリーブ82と弾性ブレード間での摺擦による摩擦帯電により、適切な電荷が付与される。そして、引き続く現像スリーブ82の回転によって感光ドラム6との対向部である現像領域に搬送される。現像スリーブ82には装置本体1Aに設けられた、交流の現像バイアス印加電源と直流の現像バイアス印加電源とによって、交流と直流とが重畳された所定の現像バイアスが摺動接点(不図示)を介して印加される。本実施例においては、現像スリーブ82上のトナーが、現像領域において、感光ドラム6に飛翔して静電的に静電潜像に付着され、静電潜像がトナー像として現像される。
【0052】
<画像形成装置の動作シーケンス>
図4は画像形成装置の動作行程図である。
【0053】
1)停止状態
画像形成装置の電源がOFF時、即ち、メイン電源スイッチ18がOFFの状態時又はドア10が開けられてドアスイッチ16がOFFの状態時は電源回路が開成(電源OFF)されており、画像形成装置は停止状態に保持されている。
【0054】
2)印刷準備動作(イニシャル回転、前多回転動作)
画像形成装置に電源が投入されたときに実行させる始動時動作(起動時動作)である。即ち、電源が投入されたとき駆動モータ(メインモータ:不図示)を起動させて、感光ドラム6の駆動、現像スリーブ82の駆動、攪拌部材85の駆動、帯電ローラ7に対する帯電バイアスの印加を含む、所要のプロセス機器のウォーミングを行う動作である。
【0055】
画像形成装置に電源が投入されたときとは、ドアスイッチ16がON(ドア10−閉)の状態においてメイン電源スイッチ18がOFFからONにされたときである。又は、メイン電源スイッチ18がONの状態においてドアスイッチ16がOFF(ドア10−開)からON(ドア10−閉)にされたときである。何れの場合も、電源回路が閉成(電源ON)されて画像形成装置は動作可能状態に保持される。
【0056】
印刷準備動作は、画像形成装置に安定した画像形成を実行させるための準備動作である。例えば、カートリッジ5の状態を検知し、その状態に合わせて適正な帯電、現像、転写バイアス設定を決める制御を行う。または感光ドラム6の表面電位を均一にするために一定の帯電バイアス、もしくは露光を照射する等のプロセス制御が行われるものである。即ち、印刷準備動作は、印刷可能なスタンバイ状態に移行するための諸動作の準備及び調整シーケンスであり、メイン電源スイッチ18がOFFからONにされたとと、ドアスイッチ16がOFFからONにされたときに行われるものである。
【0057】
3)スタンバイ(待機)
所定の印刷準備動作が終了したら、駆動モータの駆動が停止され、画像形成装置は画像形成開始信号Sが入力するまでスタンバイ状態に保持される。
【0058】
4)前回転動作
画像形成開始信号Sの入力に基づいて、駆動モータが再駆動されて、感光ドラム6の回転駆動を伴う所定の画像形成前動作が実行される。
【0059】
より具体的には、a:制御回路部3が画像形成開始信号Sを受信、b:フォーマッタで画像を展開(画像のデータ量やフォーマッタの処理速度により展開時間は変わる)、c:前回転動作の開始、という順序になる。
【0060】
なお、前記2)の印刷準備動作中に画像形成開始信号Sが入力している場合には、印刷準備動作の終了後、前記3)のスタンバイ無しに、引き続いて4)の前回転動作が実行される。
【0061】
5)画像形成動作
前回転動作が終了すると、引き続いて、所定1枚の画像形成動作(モノプリント)或いは所定複数枚分の画像形成動作(連続画像形成ジョブ:マルチプリント)が実行されて、画像形成済みの記録材が出力される。紙間は、連続画像形成ジョブの場合において、一の記録材の後端と次ぎの記録材の先端との間隔部である。
【0062】
6)後回転動作
所定1枚或いは所定複数枚分の画像形成動作が終了した後も引き続き駆動モータが所定時間駆動されて、感光ドラム6の回転駆動を伴う所定の画像形成終了動作が実行される。
【0063】
7)スタンバイ
後回転動作が終了したら、駆動モータの駆動が停止され、画像形成装置は次の画像形成開始信号Sが入力するまでスタンバイ状態に保持される。次ぎの画像形成開始信号Sが入力したときは、4)の前回転動作に移行する。
【0064】
<カートリッジ5の交換>
カートリッジ5は、画像形成に使用されるにつれて、現像装置8のトナー容器81に収容されているトナー(現像剤)tが消費される。そして、カートリッジを購入した使用者にとって満足できる品質の画像を形成することが出来なくなる程度まで現像剤が消費された際に、カートリッジの新旧交換が必要となる。
【0065】
そこで、例えば、現像剤残量を検知する手段(不図示)を具備させて、制御回路部3において、検知残量値を、予め設定したカートリッジ寿命予告や寿命警告のための閾値と比較させる。そして、検知残量値が閾値よりも少ない残量値となったカートリッジについては、操作部4の表示部(不図示)にカートリッジ寿命予告或いは寿命警告を表示させる。これにより使用者に、交換用のカートリッジの準備を促す、或いはカートリッジの交換を促して、出力画像の品質を維持するようにしている。
【0066】
カートリッジ5の新旧交換は、前記のように、ドア10を開いて、装置本体1Aのカートリッジ装着部12から旧カートリッジ5を取り出し、新カートリッジ5を装着する。この場合、前記のように、ドア10が開かれることでドアスイッチ16がOFFになり、メイン電源スイッチ18がONでも電源回路が開成されることで、画像形成装置が停止状態に保持されて電気的な安全確保がなされる。ドア10が再び閉じられることでドアスイッチ16がONになり、画像形成装置の電源回路が閉成される。
【0067】
このとき、制御回路部3は、前記2)の印刷準備動作を実行してから3)のスタンバイに移行させる。或いは、画像形成ジョブが中断されていた状態であった場合には、2)の印刷準備動作から3)のスタンバイ無しに4)の前回転動作を実行して5)の画像形成動作に移行することで残り分の画像形成を実行する。即ち、中断している作像シーケンスのリカバリーを実行する。
【0068】
また、カートリッジ5の新旧交換のときだけでなく、ジャム処理や画像形成装置の保守・点検等の場合もドア10を開けてカートリッジ5を取り出すことが行われる。この場合も、ドア10が開かれることでドアスイッチ16がOFFになり、電源回路が開成されることで、画像形成装置が停止状態に保持されて電気的な安全確保がなされる。また、ジャム処理や画像形成装置の保守・点検等が終えたら、カートリッジ5が再び装着される。そして、ドア10が閉じられることでドアスイッチ16がONになり、電源回路が閉成される。このときも、制御回路部3は、前記2)の印刷準備動作を実行してから3)のスタンバイに移行させる。或いは、画像形成ジョブが中断されていた状態であった場合には、中断している作像シーケンスのリカバリーを実行する。
【0069】
上記をまとめると、制御回路部3は、画像形成装置に電源が投入されたときに、感光ドラム6の駆動、現像スリーブ82の駆動、攪拌部材85の駆動、帯電ローラ7に対する帯電バイアスの印加を含む印刷準備動作を行う制御モードを有する。
【0070】
本実施例においては、上記の印刷準備動作として、装置本体1Aに装着されているカートリッジ5が新品であるときに実行される第1の印刷準備動作と、新品ではないときに実行される第2の印刷準備動作と、を有する。第1の印刷準備動作には次のような初期化動作(初期化処理)を含む。即ち、現像スリーブ82と攪拌部材85が少なくとも1周以上回転してから現像装置8によりトナーtを感光ドラム6の表面に付着させてブレード91と感光ドラム6とのニップ部(接触部および接触部の近傍)にトナーを堆積させる動作である。第2の印刷準備動作には上記の第1の印刷準備動作におけるような初期化動作は含まない。即ち、第2の印刷準備動作は、通常のイニシャル回転動作である。
【0071】
図1は上記制御モードのフローチャートである。
【0072】
ステップS1:画像形成装置に対する電源の投入(電源スイッチ18−ON、又はドアスイッチ16−ON)により電源回路が閉成される。
【0073】
ステップS2:制御回路部3は、カートリッジ有無検知手段31(図2)からの信号により装置本体1Aにカートリッジ5が装着されているかどうかを判断する。装着されていると判断した場合にはステップS3に移行する。装着されていないと判断した場合(正しく装着されていない場合も含む)には、ステップS17に進み、駆動モータをOFFのままにして、操作部4の表示部(不図示)にカートリッジが未装着もしくは装着不良である旨の警告表示(エラーメッセ−ジ)を行う。
【0074】
ステップS3:制御回路部3は、カートリッジ5が装着されていれば、新品検知手段によりそのカートリッジ5が新品であるかどうかを検知する。
【0075】
本実施例では、装置本体1Aに装着されているカートリッジ5が新品であるかどうかの判別を、図2のように、カートリッジ5に具備させた不揮発性の記憶手段(情報を記憶するための記憶媒体:以下、メモリと記す)32を用いて行う。
【0076】
カートリッジ5の背面側(カートリッジ5の装置本体1Aに対する挿入先端側の面)には、メモリ32と、メモリ32への情報の読み書きを制御するためのカートリッジ側伝達部33とを有する。このメモリ32と伝達部33は基板上に一体化されてカートリッジ5に配設されている。そして、カートリッジ5が装置本体1Aに所定に装着された状態において、カートリッジ側伝達部33が装置本体側の伝達部34に所定に対面して接触した状態になる。
【0077】
これにより、装置本体1A側の制御回路部3とカートリッジ5側のメモリ32とが、伝達部34・33を介して電気的に連絡状態となる。即ち、制御回路部3によるメモリ32のメモリ内容の読み込みと、メモリ32に対する情報の書き込みが可能となる。上記のメモリ32と伝達部33・34が新品検知手段である。メモリ32としては、通常の半導体による電子的なメモリが特に制限なく使用することができる。
【0078】
本実施例においては、カートリッジ側伝達部33と装置本体側伝達部34が接触して、制御回路部3がメモリ32と読み出し/書き込みのデータ通信を行う場合であるが、非接触にしてデータ通信を電磁波によって行う場合もある。
【0079】
以上の構成で、制御回路部3によってメモリ32内の情報の読み出しおよび書き込みを行うための手段としての電気的回路が構成される。
【0080】
ここで、カートリッジ5の個々の特性に応じたカートリッジ特性値、プロセス条件を変更するためのパラメータ等が、工場出荷時にメモリ32に格納される。
【0081】
本実施例では、メモリ32内に格納するパラメータ(記憶情報、検出情報)の一つとして、カートリッジ5が新品であるどうかを判断する情報(新品履歴情報)を入れている。そして、この情報を基に制御回路部3が、装置本体1Aに装着されたカートリッジ5についてそれが新品であるかどうかを判断する。
【0082】
ステップS4:制御回路部3は、ステップS3で新品であると判断した場合には、第1の印刷準備動作を開始する。新品ではないと判断した場合には、ステップS13に進み第2の印刷準備動作を開始する。
【0083】
ステップS5〜S8:第1の印刷準備動作は、現像スリーブ82と攪拌部材85が少なくとも1周以上回転してからトナーtを感光ドラム6の表面に付着させてクリーニングブレード91と感光ドラム6とのニップ部にトナーを堆積させる初期化動作を含む。
【0084】
即ち、制御回路部3は、駆動モータをONにする(S5)。これにより、感光ドラム6の駆動、現像スリーブ82の駆動、攪拌部材85の駆動が開始される。そして、現像現像スリーブ82と攪拌部材85が少なくとも1周以上回転してから(S6)、帯電ローラ7に対する帯電バイアスの印加をOFFにした状態において、現像スリーブ82に対する現像バイアスの印加を所定時間行う(S7)。本実施例では、現像バイアスは、AC電圧がpeak−peakで1600V、DC電圧は−400Vとした。ドラム電位が0V前後にあるので、現像スリーブ82に担持されているネガ系トナーは感光ドラム6に飛翔して現像スリーブ82の有効全長域(長手全域)においてドラム面に付着する。本実施例では、現像バイアスの印加時間は67msで、感光ドラム6上にドラム回転方向において約10mm幅のトナー像(黒帯)ta(図5)が形成される。なお、本実施例では、現像安定性のために現像バイアスとしてDC電圧にAC電圧を重畳させているが、DC電圧だけでも良い。
【0085】
制御回路部3は、感光ドラム6に対する黒帯taの形成後、引き続く感光ドラム6の回転によりその黒帯taが感光ドラム6と転写ローラ15との当接ニップ部(転写部)に到達する直前に、転写ローラ15に対して逆転写バイアスを所定時間印加する(S8)。逆転写バイアスはトナーの帯電極性と同極性の反発バイアス(クリーニングバイアス)である。本実施例では−1000Vの逆転写バイアスを逆転写バイアス印加電源(不図示)から印加する。これは、感光ドラム6に形成された黒帯taが転写部を通過している間に転写ローラ15側に転移して転写ローラ15がトナー汚れするのを防ぐためである。逆転写バイアスの印加は黒帯taが転写部を通過した後にOFFされる。
【0086】
そして、転写部を通過した黒帯taが引き続く感光ドラム6の回転でクリーニングブレード91と感光ドラム6との当接ニップ部に到達する。その黒帯taのトナーがクリーニングブレード91と感光ドラム6との当接ニップ部に滞留して潤滑剤として機能する。これにより、カートリッジ5の使用初期でのブレード鳴き、めくれ、破損といった問題を解決することが可能となった。上記のステップS6〜S8が初期化動作である。
【0087】
ステップS9〜S12:制御回路部3は、次に、帯電ローラ7に対する帯電バイアスを所定時間ONにする(S9)。本実施例においては、帯電バイアスはAC電圧がpeak−peakで1600V、DC電圧は−600Vで、ドラム2周分印加した。これにより、ドラム表面の電位を−600V付近にして、逆転写バイアス印加等によってできた電位ムラを小さくし、画像形成動作に入ったときに適正な潜像形成ができる。
【0088】
また、制御回路部3は、初期化動作を終了したら、メモリ32に記憶されている新品履歴情報を消去する(S10:メモリ32に、新品である履歴を消すための書き込み)。そして、他の所要のプロセス機器のウォーミングが完了したら第1の印刷準備動作を終了し(S11)、駆動モータの駆動を停止し(S12)、画像形成装置をスタンバイ状態に保持する。或いは、制御回路部3は、画像形成ジョブが中断されていた状態であった場合には、中断している作像シーケンスのリカバリーを実行する。
【0089】
ステップS13〜S16:制御回路部3は、ステップS3において、新品ではないと判断した場合には、第2の印刷準備動作を開始する(S13)。この第2の印刷準備動作は第1の印刷準備動作における初期化動作(S6〜S8)を含まない通常のイニシャル回転動作である。即ち、制御回路部3は、駆動モータをONにする(S14)。これにより、感光ドラム6の駆動、現像スリーブ82の駆動、攪拌部材85の駆動が開始される。また、帯電ローラ7に対する帯電バイアスを所定時間ONにする(S15)。制御回路部3は、他の所要のプロセス機器のウォーミングが完了したら第2の印刷準備動作を終了し(S16)、駆動モータの駆動を停止し(S12)、画像形成装置をスタンバイ状態に保持する。或いは、制御回路部3は、画像形成ジョブが中断されていた状態であった場合には、中断している作像シーケンスのリカバリーを実行する。
【0090】
図6の(a)と(b)はそれぞれ上記した第1の印刷準備動作と第2の印刷準備動作のシーケンス図である。通常のイニシャル回転である第2の印刷準備動作では、現像スリーブ82は初期動作チェックのために数〜数十秒駆動する。カートリッジ5が新品である場合に行う第1の印刷準備動作では、現像スリーブ/攪拌部材の回転を行い、現像スリーブ/攪拌部材が少なくとも1周以上回転した後、現像スリーブ82から感光ドラム6へトナー供給する初期化動作(ステップS6〜S8)を行う。第1の印刷準備動作における帯電バイアスの印加は、(a)のように,初期化動作後に行われるのが望ましい。これは、帯電バイアス印加による放電等のアタックにより感光ドラム表面の潤滑性の高い層が削れてしまい、潤滑性が維持できなくなってしまう為である。
【0091】
次に、第1の印刷準備動作における初期化動作までの現像スリーブ/攪拌部材の回転数とクリーニングブレード捲れについて述べる。
【0092】
表1に、初期化動作までの現像スリーブ/攪拌部材回転数に対するクリーニングブレードのびびりと捲れの検討結果を示す。この結果において、「○」はびびりと捲れ共に発生無し、「△」はびびり発生、「×」は捲れ発生である。
【0093】
【表1】

【0094】
ここでの検討は、カートリッジ5にトナーtを300g充填し、トナーtをカートリッジの片側(トナー容器81内の長手方向片側)に寄せる為、カートリッジ5の非駆動側(長手方向一端側)を下にして3時間、ランダム振動を与えた。その後、そのカートリッジ5を装置本体1A内に装着して、画だしを行い評価した。
【0095】
これは、トナーがトナー容器81内の長手方向片側に寄った状態から駆動を開始するのが最も現像スリーブ全体にトナーが供給されるまでに時間が必要であるからである。
【0096】
表1に示すように、初期化動作までの攪拌部材85の回転数が0.75周以下の場合にクリーニングブレード91のびびりと捲れが発生した。
【0097】
これは、攪拌部材85の回転数が0.75周以下では現像スリーブ82の駆動側端までトナーが供給されていない状態で初期化動作が行われた為であり、攪拌部材85の回転を1周以上行った後に、初期化動作を行う必要があることを示している。
【0098】
ここで、トナー容器81内の片側に寄ったトナーは、攪拌部材85により攪拌、搬送される。攪拌部材85が1周する毎に、トナー容器81内のトナーは現像スリーブ長手方向へ広がりながら現像スリーブ近傍へ供給される。ある一定の回転数を超えると、現像スリーブ82の長手全域にトナーが供給され、この状態で初期化動作が行われればクリーニングブレードのびびりや捲れは発生しない。
【0099】
なお、現像スリーブ82へのトナーの搬送は攪拌部材85によって行われている為、初期化動作までの攪拌部材85の回転数が1周より少ない状態では、駆動前の攪拌位置によって現像スリーブ82へのトナー搬送が全く行われない可能性がある。よって、攪拌部材85は少なくとも1周以上回転している必要がある。
【0100】
また、現像スリーブ85の回転数が1周より少ない場合も、攪拌部材85の回転数が1周より少ない場合と同様に現像スリーブ上にトナーが均一にコートされない場合がある為、現像スリーブ82も初期化動作前までに1周以上回転している必要がある。
【0101】
以上をまとめると、制御回路部5は、画像形成装置に電源が投入されたとき、感光ドラム6の駆動、現像スリーブ82の駆動、攪拌部材85の駆動、帯電ローラ7に対する帯電バイアスの印加を含む第1又は第2の印刷準備動作を行う制御モードを有する。第1の印刷準備動作は装置本体1Aに装着されているカートリッジ5が新品検知手段32・33・34により新品であると検知されたときに実行され、第2の印刷準備動作は新品ではないと検知されたときに実行される。第1の印刷準備動作には現像スリーブ82と攪拌部材85が少なくとも1周以上回転してから現像装置8によりトナーを感光ドラム6の表面に付着させてクリーニングブレード91と感光ドラム6のニップ部にトナーを堆積させる初期化動作を含む。これにより、現像剤担持体の長手幅まで確実に現像剤を供給することができるため、新品のプロセスカートリッジのクリーニングブレードめくれ等を防止することができる。第2の印刷準備動作には前記初期化動作を含まない。
【0102】
[実施例2]
次に、第2の実施例について説明する。本実施例に示す画像形成装置の構成は図2と同様とされるので、実施例1の説明を援用し、ここでの説明は省略する。
【0103】
本実施例では、トナーの収容容量の異なるカートリッジが装着可能な画像形成装置の場合について、説明を行う。
【0104】
表2に、トナー量100gにおける初期化動作までの現像スリーブ/攪拌部材回転数に対するクリーニングブレードのびびりと捲れの検討結果を示す。この結果において、「○」はびびりと捲れ共に発生無し、「△」はびびり発生、「×」は捲れ発生である。
【0105】
【表2】

【0106】
表2に示すように、初期化動作までの攪拌部材回転数が2周以下ではクリーニングブレードのびびりとめくれが発生した。
【0107】
さらに、トナー量200g、300gにおいてそれぞれ同様の検討を行った。トナー量200gでは初期化動作までの現像スリーブ82の回転数1.5周以上で(表3)、トナー量300gでは1周以上でびびりとめくれの発生が見られなかった(表4)。
【0108】
【表3】

【0109】
このように同じ構成のカートリッジでも、トナー量によりクリーニングブレード91のびびりとめくれが発生しなくなるまでの初期化動作までの攪拌部材85の回転数が異なる。これは、トナー量が多いほどトナーが片側に寄った状態でも、現像スリーブの長手領域の大部分にトナーが存在する為、より少ない攪拌部材85の回転で長手全域にトナーが供給されるからである。
【0110】
よって、トナー容量の異なるカートリッジが装着可能な画像形成装置においては、容量ごとに初期化動作までの現像スリーブ/攪拌部材の回転時間を設定し、メモリ32に回転時間に関する情報(帯電開始前の現像剤担持体の駆動時間に関わる情報)を保持させる。制御回路部3は、カートリッジが新品である場合になされる第1の印刷準備動作において、その情報をもとに現像スリーブ/攪拌部材の回転を行うことで、トナー容量の異なるカートリッジ毎に回転時間を適正化する事ができる。
【0111】
また、トナーが現像スリーブ82の長手全域まで供給される攪拌部材85の回転数は、トナー量だけでなく、トナーの充填率や現像スリーブ82の回転数、攪拌部材85の構成等の影響を受ける。その為、異なるトナー容量や構成のカートリッジを装着可能な画像形成装置においては、現像構成毎に攪拌部材の回転時間を設定する方が望ましい。
【0112】
[実施例3]
次に、第3の実施例について説明する。図7は本実施例における画像形成装置1の概略構成を示す模式図である。この画像形成装置1は、実施例1の説明で用いた図2に示す画像形成装置と同様の構成とされ、電極間のトナー量を検知するトナー供給検知手段(現像剤供給検知手段)を追加した構成において異なるのみである。従って、図7に示す本実施例の画像形成装置にて、実施例1の画像形成装置と同じ構成及び機能をなす部材には、同じ参照番号を付して、実施例1の説明を援用し、ここでの説明は省略する。
【0113】
本実施例にて追加されたトナー供給検知手段について説明する。トナー供給検知手段はトナー容器81に収容のトナーtが現像スリーブ82の長手全域に供給されたことを検知する手段である。本実施例におけるトナー供給検知手段は、一方の電極としての現像スリーブ82に対向する他方の電極としての電極棒86と、トナー量検出回路87からなる。そして、現像スリーブ82と電極棒86間の静電容量を検知することで、現像スリーブ82と電極棒86間のトナー量が測定できる。
【0114】
現像スリーブ82と電極棒86間のトナー量と静電容量の関係について説明を行う。図8は現像スリーブ82と電極棒86間をトナーtで長手方向に満たしていった時の静電容量の変化を示したものであり、横軸は現像スリーブ82と電極棒86の間をトナーtで満たした量の現像スリーブ幅に対する割合、縦軸はその時の静電容量を表している。図9はトナー量50%の状態の模式図であり、現像スリーブ82と電極棒86間にトナーtが存在しない状態を0%とし、完全にトナーで満たされた状態を100%としている。現像スリーブ82の長手に占めるトナー量が大きくなるほど、静電容量は大きくなる。
【0115】
図9のように、トナーtがトナー容器81内の片側半分に寄っている状態では、現像スリーブ82と電極棒86の間には長手の半分にしか、トナーが存在しない為、その時の静電容量は図8におけるC50となる。現像スリーブ82と攪拌部材85の駆動が開始されると、トナーtが現像スリーブ82の長手方向に広がり始める。そのため、静電容量は大きくなり、やがて現像スリーブ82と電極棒86間が完全にトナーtで満たされると、静電容量は図8におけるC100となる。よって、C100よりやや低いCthを閾値とし、この閾値を超えた時点を初期化動作の開始のトリガにすることで、感光ドラム6の長手全域へ確実にトナーを供給することができる。
【0116】
上記をまとめると、制御回路部3は、画像形成装置に電源が投入されたとき、感光ドラム6の駆動、現像スリーブ82の駆動、攪拌部材85の駆動、帯電ローラ7に対する帯電バイアスの印加を含む第1又は第2の印刷準備動作を行う制御モードを有する。第1の印刷準備動作は装置本体1Aに装着されているカートリッジ5が新品検知手段32・33・34により新品であると検知されたときに実行され、第2の印刷準備動作は新品ではないと検知されたときに実行される。以上は実施例1や2の場合と同様である。
【0117】
本実施例においては、第1の印刷準備動作において、感光ドラム6、現像スリーブ82、攪拌部材85の各駆動が開始されてから、トナー容器81に収容のトナーtが現像スリーブ82の長手全域に供給されたことを現像剤供給検知手段86・87により検知する。そして第1の印刷準備動作にはその検知がなされた後に、現像装置8によりトナーtを感光ドラム6の表面に付着させてクリーニングブレード91と感光ドラム6とのニップ部にトナーtを堆積させる初期化動作を含む。この制御により、現像剤担持体の長手幅まで現像剤が供給されている状態において初期化動作が実行されるため、新品のプロセスカートリッジを使用した際のクリーニングブレードめくれを防止することができる。第2の印刷準備動作には前記初期化動作は含まない。
【0118】
[その他の事項]
(1)各実施例において、装置本体1Aに装着されているカートリッジ5が新品であるかどうかを検知する新品検知手段(判別手段)は、メモリ32を用いた手段に限られるものではない。例えば、新品識別部材はカートリッジ5に設けたヒューズであってもよい。制御回路部3は、装置本体1Aに装着されているカートリッジ5のヒューズが溶断されている否かを新品検知手段としての通電回路により検知する。そして、溶断されていないことを検知した時(通電可能時)はカートリッ5ジが新品であると判断する。そして、前記の初期化動作の後にカートリッジが新品であると識別をしないようにヒューズを溶断する(通電不可状態にする:新品履歴情報の消去)。
【0119】
(2)各実施例において、カートリッジ5の有無検知はメモリ32を用いて行い、手段31の配設を省略した構成にすることもできる。即ち、制御回路部3は、カートリッジ5側のメモリ32と通信ができる場合にはカートリッジ5が装着されていると判断する。通信ができない場合には、装着されていない(正しく装着されていない場合も含む)と判断する。
【0120】
(3)実施例3において、トナー供給検知手段86・87としては、上記した金属電極86・82間の静電容量によるものに限らず、レーザーの透過光によりトナー量を検出するものを現像スリーブ82の長手方向の両端に設置したもの等で代用しても良い。
【0121】
(4)各実施例の画像形成装置は、感光ドラム6上のトナー像を記録材P材に直接に転写される構成のものであるが、感光ドラム6上のトナーを一旦中間転写体上に転写し、その後、記録材Pに転写する構成の中間転写方式の画像形成装置とすることもできる。
【0122】
(5)各実施例において、カートリッジ5は、少なくとも、感光ドラム6と現像装置8とクリーニングブレード91とが一体的にカートリッジ化されて画像形成装置1の装置本体1Aに対して着脱可能にされていればよい。
【0123】
(6)画像形成装置は静電記録画像形成プロセスを用いたものであってもよい。この場合は、像担持体は静電記録誘電体となる。情報書き込み手段は除電針アレイや電子銃等の除電手段であり、静電記録誘電体の一様帯電面を選択的に除電して静電潜像を書き込み形成する。
【0124】
(7)画像形成装置は実施例の単色印刷の画像形成装置に限定されるものではない。上記構成のカートリッジを4つ並べ、それぞれの現像装置にイエロー色、マゼンダ色、シアン色、ブラック色の各トナーを内包して構成されるインライン(タンデム)型カラー画像形成装置であっても良い。このような画像形成装置においても、各実施例で述べたような制御を行うことにより、同様の作用効果を達成し得る。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】実施例1の画像形成装置におけるイニシャル回転での制御の流れを示すフローチャート図である。
【図2】実施例1の画像形成装置の概略構成図である。
【図3】感光ドラムの層構成を示す模型図である。
【図4】画像形成装置の動作行程図である。
【図5】第1の印刷準備動作における初期化動作にて現像剤が付与された状態の感光ドラムの展開状態の模型図である。
【図6】(a)と(b)はそれぞれ第1の印刷準備動作と第2の印刷準備動作のシーケンス図である。
【図7】実施例3の画像形成装置の概略構成図である。
【図8】現像スリーブと電極棒間をトナーで長手方向に満たしていった時の静電容量の変化を示す図である。
【図9】現像スリーブと電極棒間をトナーで50%満たした時の模式図である。
【符号の説明】
【0126】
1・・画像形成装置、1A・・装置本体、3・・制御手段(制御回路部)、5・・プロセスカートリッジ、6・・像担持体(感光ドラム)、63・・表面層、7・・帯電手段(帯電ローラ)、8・・現像手段(現像装置)、81・・現像剤容器(トナー容器)、t・・現像剤(トナー)、82・・現像剤担持体(現像スリーブ)、85・・攪拌部材、9・・クリーニング手段、91・・クリーニングブレード、32・・記憶媒体、2・33・34・・新品検知手段、14・・情報書き込み手段(レーザースキャナユニット)、P・・記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像を形成する回転可能な像担持体と、前記像担持体の表面を帯電する帯電手段と、前記像担持体の帯電処理面に静電潜像を形成する情報書き込み手段と、前記静電潜像を現像剤で現像する現像手段と、前記像担持体の回転方向に対してカウンター方向に配設されて前記像担持体と所定領域で当接してニップ部を形成し前記像担持体の表面から現像剤を掻き取るクリーニングブレードと、制御手段と、を有し、少なくとも前記担持体と前記現像手段と前記クリーニングブレードとが一体的にカートリッジ化されて画像形成装置の装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジとされている、記録媒体に画像を形成するための画像形成装置において、
前記現像装置は、回転駆動され現像剤を担持して前記像担持体に供給する現像剤担持体と、回転駆動され現像剤容器に収容されている現像剤を攪拌すると共に前記現像剤担持体に供給する攪拌部材と、を有し、
前記制御手段は、画像形成装置に電源が投入されたとき、前記像担持体の駆動、前記現像剤担持体の駆動、前記攪拌部材の駆動、前記帯電手段に対する帯電バイアスの印加を含む第1又は第2の印刷準備動作を行う制御モードを有し、
前記第1の印刷準備動作は前記装置本体に装着されている前記プロセスカートリッジが新品検知手段により新品であると検知されたときに実行され、前記第2の印刷準備動作は新品ではないと検知されたときに実行され、
前記第1の印刷準備動作には前記現像剤担持体と前記攪拌部材が少なくとも1周以上回転してから前記現像手段により現像剤を前記像担持体の表面に付着させて前記ニップ部に現像剤を堆積させる初期化動作を含み、前記第2の印刷準備動作には前記初期化動作を含まないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記像担持体は表面層に滑性材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記像担持体の表面の動摩擦係数が第1の印刷準備動作の後で0.5以上になることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記初期化動作は、前記帯電手段に対する帯電バイアスの印加の前に行われることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記攪拌部材は前記現像剤担持体に回転して現像剤を送り込む構成であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記プロセスカートリッジは、新品状態において、前記クリーニングブレードの前記像担持体に接触する領域にはクリーニングブレードと像担持体との間に潤滑作用を施す粉体が塗布されていないことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記プロセスカートリッジは情報を記憶するための記憶媒体を備えていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記情報は、プロセスカートリッジが新品であるかどうかに関わる情報であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記情報は、帯電開始前の現像剤担持体の駆動時間に関わる情報であるかどうかであることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
静電潜像を形成する回転可能な像担持体と、前記像担持体の表面を帯電する帯電手段と、前記像担持体の帯電処理面に静電潜像を形成する情報書き込み手段と、前記静電潜像を現像剤で現像する現像手段と、前記像担持体の回転方向に対してカウンター方向に配設されて前記像担持体と所定領域で当接してニップ部を形成し前記像担持体の表面から現像剤を掻き取るクリーニングブレードと、制御手段と、を有し、少なくとも前記担持体と前記現像手段と前記クリーニングブレードとが一体的にカートリッジ化されて画像形成装置の装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジとされている、記録媒体に画像を形成するための画像形成装置において、
前記現像装置は、回転駆動され現像剤を担持して前記像担持体に供給する現像剤担持体と、回転駆動され現像剤容器に収容されている現像剤を攪拌すると共に前記現像剤担持体に供給する攪拌部材と、を有し、
前記制御手段は、画像形成装置に電源が投入されたとき、前記像担持体の駆動、前記現像剤担持体の駆動、前記攪拌部材の駆動、前記帯電手段に対する帯電バイアスの印加を含む第1又は第2の印刷準備動作を行う制御モードを有し、
前記第1の印刷準備動作は前記装置本体に装着されている前記プロセスカートリッジが新品検知手段により新品であると検知されたときに実行され、前記第2の印刷準備動作は新品ではないと検知されたときに実行され、
前記第1の印刷準備動作には、前記像担持体の駆動、前記現像剤担持体の駆動、前記攪拌部材の駆動が開始されてから、前記現像剤容器に収容の現像剤が前記現像剤担持体の長手全域に供給されたことを検知する現像剤供給検知手段により現像剤が前記長手全域に供給されたことが検知された後に、前記現像手段により現像剤を前記像担持体の表面に付着させて前記ニップ部に現像剤を堆積させる初期化動作を含み、前記第2の印刷準備動作には前記初期化動作を含まないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記像担持体は表面層に滑性材料を含むことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記像担持体の表面の動摩擦係数が第1の印刷準備動作の後で0.5以上になることを特徴とする請求項10又は11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記初期化動作は、前記帯電手段に対する帯電バイアスの印加の前に行われることを特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記攪拌部材は前記現像剤担持体に回転して現像剤を送り込む構成であることを特徴とする請求項10乃至13のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記プロセスカートリッジは、新品状態において、前記クリーニングブレードの前記像担持体に接触する領域にはクリーニングブレードと像担持体との間に潤滑作用を施す粉体が塗布されていないことを特徴とする請求項10乃至14のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記プロセスカートリッジは情報を記憶するための記憶媒体を備えていることを特徴とする請求項10乃至15のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記情報は、プロセスカートリッジが新品であるかどうかに関わる情報であることを特徴とする請求項16に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記情報は、帯電開始前の現像剤担持体の駆動時間に関わる情報であるかどうかであることを特徴とする請求項16に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−38972(P2010−38972A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198572(P2008−198572)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】