説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置に対する一連の作業を容易に行うことができ、記録媒体の補給の際に場所を移動しなくとも給紙トレイの引き出しおよび収納ができること。
【解決手段】複合機100の上面側に位置し、原稿を読み取るスキャナ部22と、複合機100の正面側に位置し、情報を表示するとともに、利用者からの入力操作を受付ける表示操作部7と、複合機100の正面側から引き出し可能に設けられ、用紙を収容する給紙トレイ12と、給紙トレイ12から給紙された用紙に、読み取った原稿の画像を形成する画像形成部104と、複合機100の側面側に設けられ、画像が形成された用紙を排紙する排紙トレイ13と、を備え、表示操作部7は、正面側近傍かつ側面側近傍である操作位置に移動可能であり、スキャナ部22は、当該操作位置に移動可能であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置に関するものであり、特に、所定の構成部を移動する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置において、足などに障害を有するために杖や松葉杖、車椅子等を利用する利用者(以下、「身障者」という。)が装置の正面から操作を行う場合、車椅子等に着座していることにより、表示操作部が見え辛かったり、手が届かなかったりして、表示操作部から操作を行うことが困難であった。
【0003】
このため、操作部(表示操作部)が可動アームに支持されていることで、操作部の移動が可能である画像形成装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1の技術では、装置の正面から車椅子を利用する操作者が着座した状態で操作部を操作する場合でも、当該操作者の目線に合わせて操作部を移動させることができるため、当該操作者が操作部からの操作を容易に行えるものである。また、操作者が装置の正面に立った状態で操作する場合でも、当該操作者に合わせて操作部を移動させることが可能となっている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−198475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、操作部(表示操作部)からの操作を行うことができても、車椅子等に着座している操作者(身障者)等にとっては他の作業も困難な場合がある。例えば、装置の正面にいる身障者が原稿のスキャンを行う場合、スキャナ部が見え辛かったり、スキャナ部まで手が届かず、所定位置に原稿を正確に載置することが困難な場合があった。
【0006】
また、印刷された用紙が排紙される排紙トレイが画像形成装置の側面側に設けられている場合、装置の正面にいる身障者が排紙された用紙を取る場合、排紙トレイの場所まで移動することが必要となり、用紙を取ることが困難な場合があった。
【0007】
さらに、給紙トレイに用紙を補給する際に装置の正面側から大きく引き出す給紙トレイが設けられている場合、装置の正面にいる身障者が用紙を補給するには、装置を操作する位置から給紙トレイを引き出しても接触しない位置まで移動することが必要となり、用紙を補給することが困難な場合があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、利用者が画像形成装置の正面側近傍かつ側面側近傍にいる状態において、スキャナ部の所定位置に原稿を載置し、表示操作部からの操作を行い、排紙トレイから排紙された記録媒体を取るなど、画像形成装置に対する一連の作業を容易に行うことができ、記録媒体の補給の際に場所を移動しなくとも給紙トレイの引き出しおよび収納が可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、前記画像形成装置の上面側に位置し、原稿を読み取るスキャナ部と、前記画像形成装置の正面側に位置し、情報を表示するとともに、利用者からの入力操作を受付ける表示操作部と、前記画像形成装置の正面側から引き出し可能に設けられ、記録媒体を収容する給紙トレイと、前記給紙トレイから給紙された記録媒体に、読み取った原稿の画像を形成する画像形成部と、前記画像形成装置の側面側に設けられ、画像が形成された記録媒体を排紙する排紙トレイと、を備え、前記表示操作部は、前記正面側近傍かつ前記側面側近傍である操作位置に移動可能であり、前記スキャナ部は、前記操作位置に移動可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、表示操作部およびスキャナ部を移動可能とすることで、利用者が画像形成装置の正面側近傍かつ側面側近傍にいる状態において、スキャナ部の所定位置に原稿を載置し、表示操作部からの操作を行い、排紙トレイから排紙された記録媒体を取るなど、画像形成装置に対する一連の作業を容易に行うことができ、記録媒体の補給の際に場所を移動しなくとも給紙トレイの引き出しおよび収納ができるという効果を奏する。
【0011】
また、本発明によれば、特定の利用者の認証、または切換スイッチの押下により、表示操作部およびスキャナ部を画像形成装置の正面側近傍かつ側面側近傍の操作位置に移動可能な構成としたため、利用者は移動することなく、原稿の載置や表示操作部の操作等、画像形成装置に対する一連の作業を容易に行うことができる。
【0012】
また、本発明によれば、移動が完了した際に表示操作部に表示される給紙トレイ引き出しシンボルまたは給紙トレイ収納シンボルから、給紙トレイの引き出し指示または収納指示の入力ができるため、給紙トレイへの記録媒体の補給の際に移動することなく、給紙トレイの引き出しおよび収納を行うことができる。
【0013】
また、本発明によれば、印刷(画像形成)中において給紙トレイの記録媒体が不足して印刷が続行不可能となった場合、給紙トレイを引き出し、さらにその旨を表示操作部に表示するため、利用者が記録媒体の不足を容易に把握できるとともに、給紙トレイを引き出す手間を省くことができる。
【0014】
また、本発明によれば、表示操作部が移動していない場合には、表示操作部に給紙トレイ引き出しシンボルおよび給紙トレイ収納シンボルを表示せず、当該シンボルによる給紙トレイの引き出しおよび収納を行わず、また、記録媒体の不足時における給紙トレイの引き出しも行わないため、表示操作部を移動させずに画像形成装置の正面から操作等を行う利用者に対しては、従来と同様の操作性を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。以下の実施の形態においては、本発明における画像形成装置をコピー、ファックス、プリンタなどの複数の機能を一つの筐体に収納した複合機(MFP:Multi Function Peripherals)に適用した例を示すが、これに限定されることなく、複写機、ファクシミリ装置など、原稿を読み取って画像形成行う機能を備えたものであれば本発明を適用することができる。
【0016】
(実施の形態1)
本実施の形態にかかる複合機は、用紙に画像を形成するものであり、身障者(利用者)が複合機の左側面側に設けられた排紙トレイの近傍にいる状態で複合機を利用する場合、身障者が容易に操作等を行うことができるように、複合機における所定の構成部を移動可能とするものである。
【0017】
図1は、実施の形態1にかかる複合機100の概略図である。図1では、複合機100を正面側から見た図であり、複合機100の上面側には、所定位置に載置された原稿を読み取るスキャナ部22が配置されている。また、複合機100の正面側の上部には、種々の情報を表示したり、利用者からの入力操作を受付ける表示操作部7が配置されている。また、複合機100の下部には、正面側から引き出し可能な状態で、用紙を収容する給紙トレイ12が配置されている。また、複合機100の左側面側には、画像が形成された用紙を排紙する排紙トレイ13が配置されている。そして、同じく左側面側の排紙トレイ13の上方には、利用者認証のために識別情報を受付ける認証装置20が配置されている。
【0018】
本実施の形態にかかる複合機100は、表示操作部7から利用者による入力操作を受付けると、受付けた内容に従って処理を行う。例えば、複写機能を実行する場合は、載置された原稿をスキャナ部22で読み取り、給紙トレイ12から給紙された用紙に読み取った原稿の画像を形成し、画像が形成された用紙を排紙トレイ13に排紙する。以下の実施の形態では、排紙トレイ13の近傍であり複合機100の左側の利用位置(図4−1の利用位置P参照)にいる身障者が複合機を利用する場合に、表示操作部7およびスキャナ部22が移動可能となっている。
【0019】
図2は、実施の形態1にかかる複合機100のブロック図である。図2に示すように、複合機100は、CPU(Central Processing Unit)1と、RAM(Random Access Memory)2と、ROM(Read Only Memory)3と、用紙搬送装置9と、転写装置8と、認証装置20と、表示操作部7と、表示操作部駆動モータ17と、表示操作部角度検知センサ6と、スキャナ部22と、スキャナ部駆動モータ19と、スキャナ部角度検知センサ18と、給紙トレイ駆動モータ4と、給紙トレイ開閉検知センサ5と、給紙トレイ引き出し終了位置検知センサ10と、用紙検知センサ23と、を主に備えている。
【0020】
CPU1は、複合機100の全体を制御するものである。RAM2は、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。ROM3は、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、本実施の形態では、表示操作部7およびスキャナ部22の移動を許容する身障者を一意に識別するための身障者IDを格納している。
【0021】
用紙搬送装置9は、給紙トレイ12に収容されている用紙を、画像形成を行う転写装置8へ搬送し、画像が形成された後の用紙を排紙トレイ13まで搬送するものである。転写装置8は、用紙搬送装置9により搬送されてきた用紙に画像を形成するものである。
【0022】
認証装置20は、排紙トレイ13の近傍の利用位置にいる身障者から身障者IDを受付けるものである。
【0023】
表示操作部7は、不図示のLCD(Liquid Crystal Display)表示部を有しており、該LCD表示部に、利用者に種々の入力画面および操作ボタンを表示するとともに、表示された入力画面及び操作ボタンから利用者の入力操作を受付けるものである。また、表示操作部7は、身障者が複合機100を利用する場合は移動可能となっており、移動した後のLCD表示部には、スキャナ部22の移動指示を行うためのスキャナ部移動ボタン、給紙トレイの引き出し指示を行うための給紙トレイ引き出しボタン、および給紙トレイの収納指示を行うための給紙トレイ収納ボタン、表示操作部7の移動指示を行うための表示操作部移動ボタンが表示される。また、表示操作部7が移動しなかった場合には、上述した各種ボタンは表示されない。
【0024】
表示操作部駆動モータ17は、駆動することで表示操作部7を移動させるモータである。表示操作部角度検知センサ6は、表示操作部7の位置を検知するセンサであり、例えば、表示操作部7の回転の機械的変位量を検知するロータリエンコーダなどである。
【0025】
スキャナ部22は、利用者によって載置された原稿を、CCD(Charge Coupled Device)によりスキャンして読み取るものである。
【0026】
スキャナ部駆動モータ19は、駆動することでスキャナ部22を移動させるモータである。スキャナ部角度検知センサ18は、スキャナ部22の位置を検知するセンサであり、上記同様、例えばロータリエンコーダなどである。
【0027】
給紙トレイ駆動モータ4は、駆動することで給紙トレイ12を移動させることにより、給紙トレイ12を複合機100から引き出し、収納するモータである。給紙トレイ開閉検知センサ5および給紙トレイ引き出し終了位置検知センサ10は、給紙トレイ12の位置を検知するセンサであり、詳細は後述する(図6−2参照)。
【0028】
用紙検知センサ23は、給紙トレイ12内の内部に設置されており、給紙トレイ内12に用紙が収容されているか否かを検知するものである。
【0029】
次に、本実施の形態にかかる複合機100による制御について説明する。図3は、実施の形態1にかかる複合機100の機能的構成を示すブロック図である。
【0030】
複合機100は、認証部101と、第1移動制御部105と、表示制御部102と、入力受付部103と、第2移動制御部106と、第3移動制御部107と、画像形成部104と、を主に備えており、ROM3と、給紙トレイ12と、給紙トレイ開閉検知センサ5と、給紙トレイ引き出し終了位置検知センサ10と、排紙トレイ13と、表示操作部7と、表示操作部角度検知センサ6と、スキャナ部22と、スキャナ部角度検知センサ18と、用紙検知センサ23と、認証装置20とが主に接続されている。ここで、表示操作部7と、表示操作部角度検知センサ6と、スキャナ部22と、スキャナ部角度検知センサ18と、用紙検知センサ23と、認証装置20については、図2において説明したため省略する。
【0031】
ROM3は、上述したように、表示操作部7およびスキャナ部22の移動を許容する身障者の身障者IDを格納するものである。
【0032】
認証部101は、認証装置20から身障者IDを受付けると、受付けた身障者IDが、ROM3に記憶されている身障者IDと一致するか否かを判断することにより、身障者の認証を行う。そして、認証部101は、受付けた身障者IDと記憶されている身障者IDが一致する場合は、身障者の認証は成功となり、これにより複合機100を利用する者が表示操作部7およびスキャナ部22の移動を許容する身障者であると判断される。
【0033】
第1移動制御部105は、認証部101によって身障者IDを入力した身障者が表示操作部7およびスキャナ部22の移動を許容する身障者であると認証された場合、表示操作部角度検知センサ6からの検知信号により位置を特定しながら表示操作部7の移動を制御することで、表示操作部7を複合機100の正面側上部の位置(以下、「基本位置」という。)から、複合機100の正面側近傍かつ排紙トレイ13が設けられた側面側近傍である身障者による操作位置に回転移動させるものである。表示操作部7が移動される位置は、受信する検知信号に応じて予めメモリ等に記憶されている。また、第1移動制御部105は、表示操作部7に表示された表示操作部移動ボタンが押下されることにより、入力受付部103により表示操作部7の移動指示を受付けた場合、表示操作部7の移動を制御することで、表示操作部7を基本位置まで回転移動させるものである。具体的には、第1移動制御部105は、表示制御部7を移動させる表示操作部駆動モータ17(図2参照)に位置に応じた駆動指令を送出し、表示操作部駆動モータ17が受け取った駆動指令に従って表示制御部7を移動させる。
【0034】
ここで、表示操作部7を基本位置から身障者による操作位置に回転移動した場合について、図を参照して説明する。図4−1は、表示操作部7を基本位置から回転移動した状態における複合機100の正面図である。また、図4−2は、表示操作部7を基本位置から回転移動した状態における複合機100の上面図である。
【0035】
回転移動がなされる前の表示操作部7は、図2に示すように、複合機100の正面側に位置している。そして、第1移動制御部105により移動された表示操作部7は、図4−1、4−2に示すように、矢印R1方向に略90℃回転移動する。これにより、排紙トレイ13の近傍であり複合機100の左側の利用位置Pにいる身障者にとって、LCD表示部が見やすく操作し易い位置に、表示操作部7が移動したことになる。
【0036】
また、図4−1に示すように、表示操作部7は、矢印Lのように上下に移動することで高さ方向の調整が可能となっている。さらに、表示操作部7の上部に軸を設け、その軸を中心に矢印Aのように移動することで、表示操作部7の角度の調整が可能となっている。これにより、例えば、利用位置Pにおいて車椅子に着座している身障者などにとっても見やすい高さや角度に表示操作部7を移動することができる。
【0037】
図3に戻り、表示制御部102は、第1移動制御部105による表示操作部7の移動が完了した際に、スキャナ部22の移動指示を行うためのスキャナ部移動ボタンと、給紙トレイ12の引き出し指示を行うための給紙トレイ引き出しボタンと、給紙トレイ12の収納指示を行うための給紙トレイ収納ボタンと、表示操作部7の移動指示を行うための表示操作部移動ボタンとを表示操作部7のLCD表示部に表示するものである。また、表示制御部102は、用紙検知センサ23により給紙トレイ12内に用紙が収容されていない旨が検知されて、給紙トレイ12が引き出された場合に、給紙トレイ12が複合機100の正面側から引き出されている状態である旨を表示操作部7のLCD表示部に表示するものである。
【0038】
入力受付部103は、利用者により認証装置20から入力された身障者IDを受付けるものである。また、入力受付部103は、利用者により表示制御部102に表示されたスキャナ部移動ボタンが押下された場合、スキャナ部22の移動指示を受付ける。また、入力受付部103は、利用者により表示制御部102に表示された給紙トレイ引き出しボタンが押下された場合、給紙トレイ12の引き出し指示を受付ける。また、入力受付部103は、利用者により表示制御部102に表示された給紙トレイ収納ボタンが押下された場合、給紙トレイ12の収納指示を受付ける。さらに、入力受付部103は、利用者により表示制御部102に表示された表示操作部移動ボタンが押下された場合、表示操作部7の移動指示を受付ける。
【0039】
第2移動制御部106は、認証部101によって身障者の認証が行われた後に、第1移動制御部105による表示操作部7の移動が完了し、入力受付部103によりスキャナ部22の移動指示を受付けた場合、スキャナ部角度検知センサ18からの検知信号により位置を特定しながらスキャナ部22の移動を制御することで、スキャナ部22を基本位置から身障者による操作位置に回転移動させたり、スキャナ部22を身障者による操作位置から基本位置に回転移動させるものである。具体的には、第2移動制御部106は、スキャナ部22を移動させるスキャナ部駆動モータ19(図2参照)に位置に応じた駆動指令を送出し、スキャナ部駆動モータ19が受け取った駆動指令に従ってスキャナ部22を移動させる。また、スキャナ部22が移動される位置は、受信する検知信号に応じて予めメモリ等に記憶されている。
【0040】
ここで、スキャナ部22を基本位置から身障者による操作位置に回転移動した場合について、図を参照して説明する。図5−1は、スキャナ部22を基本位置から回転移動した状態における複合機100の正面図である。また、図5−2は、スキャナ部22を基本位置から回転移動した状態における複合機100の上面図である。
【0041】
回転移動がなされる前のスキャナ部22は、図2に示すように、複合機100の上面側に位置、すなわち、複合機100の本体部分の上方に設置されている。そして、第2移動制御部106により移動されたスキャナ部22は、図5−1、5−2に示すように、矢印R1方向に略90℃回転移動する。これにより、排紙トレイ13の近傍であり複合機100の左側の利用位置Pにいる身障者にとって、スキャナ部22の上部の所定位置に原稿が載置し易い位置に、スキャナ部22が移動したことになる。
【0042】
図3に戻り、給紙トレイ12は、複合機100の正面側から引き出し可能に設けられており、画像が形成される用紙を収容するものである。
【0043】
第3移動制御部107は、認証部101によって身障者の認証が行われた後に、第1移動制御部105による表示操作部7の移動が完了し、入力受付部103により給紙トレイ12の引き出し指示を受付けた場合、給紙トレイ開閉検知センサ5および給紙トレイ引き出し終了位置検知センサ10からの検知信号により引き出し位置を特定しながら給紙トレイ12の移動を制御することで、給紙トレイ12を複合機100の内部から引き出しするものである。また、第3移動制御部107は、入力受付部103により給紙トレイ12の収納指示を受付けた場合、給紙トレイ開閉検知センサ5および給紙トレイ引き出し終了位置検知センサからの検知信号により引き出し位置を特定しながら給紙トレイ12の移動を制御することで、給紙トレイ12を複合機100に収納するものである。
【0044】
また、第3移動制御部107は、表示操作部7の移動が完了した後に、用紙検知センサ23により給紙トレイ12内に用紙が収容されていない旨が検知された場合、上記同様、給紙トレイ12を複合機100から引き出すものである。具体的には、第3移動制御部107は、給紙トレイ12を移動させる給紙トレイ駆動モータ4(図2参照)に位置に応じた駆動指令を送出し、給紙トレイ駆動モータ4が受け取った駆動指令に従って給紙トレイ12を移動させる。
【0045】
ここで、給紙トレイ12の引き出しについて図を参照して説明する。図6−1は、給紙トレイ12を引き出した状態における複合機100の側面図である。また、図6−2は、給紙トレイ12を引き出した状態における複合機100の断面図である。
【0046】
引き出される前の給紙トレイ12は、図2に示すように、複合機100の内部に収納されている。そして、第3移動制御部107により矢印α方向に移動された給紙トレイ12は、図6−1、6−2に示すように、複合機100の正面側から引き出した状態となる。このとき複合機100を利用する身障者は、排紙トレイ13の近傍であり複合機100の左側の利用位置Pにいるため、給紙トレイ12が引き出されても接触することがない。また、第3移動制御部107により矢印β方向に押込まれることで、給紙トレイ12は複合機100の内部に収納される。
【0047】
給紙トレイ開閉検知センサ5は、図6−2に示すように、複合機100の正面側に設けられ、給紙トレイ12の取手部15と接触状態でONになり、取手部15と非接触状態でOFFになるセンサであり、ONまたはOFFの検知信号を第3移動制御部107に送出するものである。つまり、給紙トレイ開閉検知センサ5は、給紙トレイ12が複合機100に収納されている場合は、給紙トレイ12の取手部15と接触状態となるためONになる。また、給紙トレイ開閉検知センサ5は、給紙トレイ12が複合機100から引き出されている場合は、給紙トレイ12の取手部15と非接触状態となるため(図6−2参照)OFFになる。また、給紙トレイ開閉検知センサ5は、給紙トレイ12が複合機100に収納されている途中、および引き出されている途中では、取手部15と非接触状態となるためOFFになる。
【0048】
給紙トレイ引き出し終了位置検知センサ10は、図6−2に示すように、複合機100の正面側の内部に設けられ、給紙トレイ12の用紙収容部14の端部に設けられた突起部16と接触状態でONになり、突起部16と非接触状態出OFFとなるセンサであり、ONまたはOFFの検知信号を第3移動制御部107に送出するものである。つまり、給紙トレイ引き出し終了位置検知センサ10は、給紙トレイ12が複合機100に収納されている場合は、給紙トレイ12の突起部16と非接触状態となるためOFFになる。また、給紙トレイ引き出し終了位置検知センサ10は、給紙トレイ12が複合機100から引き出されている場合は、給紙トレイ12の突起部16と接触状態となるためONになる。また、給紙トレイ引き出し終了位置検知センサ10は、給紙トレイ12が複合機100に収納されている途中、および引き出されている途中では、突起部16と非接触状態となるためOFFになる。
【0049】
ここで、図6−2を参照して、給紙トレイ12の引き出しについて詳細に説明する。入力受付部103により給紙トレイ12の引き出し指示を受付けた場合、または用紙検知センサ23により給紙トレイ12内に用紙が収容されていない旨が検知された場合、第3移動制御部107は、収納されている給紙トレイ12を引き出す。まず、収納位置からの給紙トレイ12の引き出しが開始されると、給紙トレイ開閉検知センサ5と取手部15は接触状態から非接触状態となり、給紙トレイ開閉検知センサ5がONからOFFになる。このとき、給紙トレイ引き出し終了位置検知センサ10は突起部16と非接触状態であるためOFFのままである。そして、給紙トレイ12が完全に引き出されるまで移動されると、給紙トレイ引き出し終了位置検知センサ10と突起部16が非接触状態から接触状態となり、給紙トレイ引き出し終了位置検知センサ10がOFFからONになる。この信号変化により、第3移動制御部107は、給紙トレイ12が完全に引き出し位置に到達したことを認識する。このとき、給紙トレイ開閉検知センサ5は取手部15と非接触状態であるためOFFのままである。
【0050】
次に、図6−2を参照して、給紙トレイ12の収納について詳細に説明する。入力受付部103により給紙トレイ12の収納指示を受付けた場合、第3移動制御部107は、引き出されている給紙トレイ12を収納する。まず、引き出し位置からの給紙トレイ12の収納が開始されると、給紙トレイ引き出し終了位置検知センサ10と突起部16は接触状態から非接触状態となり、給紙トレイ引き出し終了位置検知センサ10がONからOFFになる。このとき、給紙トレイ開閉検知センサ5は取手部15と非接触状態であるためOFFのままである。そして、給紙トレイ12が完全に収納されるまで押込まれると、給紙トレイ開閉検知センサ5と取手部15が非接触状態から接触状態となり、給紙トレイ開閉検知センサ5がOFFからONになる。この信号変化により、第3移動制御部107は、給紙トレイ12が完全に収納位置に到達したことを認識する。このとき、給紙トレイ引き出し終了位置検知センサ10は突起部16と非接触状態であるためOFFのままである。
【0051】
画像形成部104は、給紙トレイ12から給紙され、用紙搬送装置9(図2参照)により搬送されてきた用紙に、スキャナ部22で読み取った原稿の画像を形成するものである。
【0052】
排紙トレイ13は、複合機100を正面からみて左側の側面側に設けられ、画像が形成された用紙を排紙するものである。
【0053】
次に、以上のように構成された本実施の形態にかかる複合機100による表示操作部7およびスキャナ部22の基本位置からの移動処理について説明する。図7は、実施の形態1にかかる複合機100による表示操作部7およびスキャナ部22の移動処理の流れを示すフローチャートである。
【0054】
まず、排紙トレイ13の近傍であり複合機100の左側の利用位置Pにいる身障者が、認証装置20に身障者IDを入力すると、認証部101は、受付けた身障者IDとROM3に記憶されている身障者IDとが一致するか否かを判断することで、身障者の認証を行う(ステップS10)。受付けた身障者IDと記憶されている身障者IDとが一致しなかった場合(ステップS10:No)、身障者の認証は失敗となり、そのまま処理を終了する。
【0055】
一方、受付けた身障者IDと記憶されている身障者IDとが一致した場合(ステップS10:Yes)、身障者の認証は成功となり、第1移動制御部105は、表示操作部7を基本位置から身障者による操作位置に回転移動させる(ステップS11)。次に、第1移動制御部105による表示操作部7の回転移動が完了した際に、表示制御部102は、各種ボタン、すなわちスキャナ部移動ボタンと、給紙トレイ引き出しボタンと、給紙トレイ収納ボタンと、表示操作部移動ボタンとを表示操作部7のLCD表示部に表示する(ステップS12)。
【0056】
次に、入力受付部103は、スキャナ部移動ボタンが押下されたことによるスキャナ部22の移動指示を受付けたか否かを判断する(ステップS13)。スキャナ部22の移動指示を受付けていない場合(ステップS13:No)、スキャナ部22の移動指示を受付けるまで処理を繰り返す。
【0057】
一方、スキャナ部の移動指示を受付けた場合(ステップS13:Yes)、第2移動制御部106は、スキャナ部22を基本位置から身障者による操作位置に回転移動させる(ステップS14)。
【0058】
次に、本実施の形態にかかる複合機100による表示操作部7およびスキャナ部22の基本位置への移動処理について説明する。この処理は、身障者が複合機100を利用し終えた後などに、表示操作部7およびスキャナ部22を元の位置に戻す場合などに行う。図8は、実施の形態1にかかる複合機100による表示操作部7およびスキャナ部22の移動処理の流れを示すフローチャートである。
【0059】
まず、入力受付部103は、スキャナ部移動ボタンが押下されたことによるスキャナ部22の移動指示を受付けたか否かを判断する(ステップS20)。スキャナ部22の移動指示を受付けていない場合(ステップS20:No)、スキャナ部22の移動指示を受付けるまで処理を繰り返す。
【0060】
一方、スキャナ部の移動指示を受付けた場合(ステップS20:Yes)、第2移動制御部106は、スキャナ部22を身障者による操作位置から基本位置に回転移動させる(ステップS21)。
【0061】
次に、入力受付部103は、表示操作部移動ボタンが押下されたことによる表示操作部7の移動指示を受付けたか否かを判断する(ステップS22)。表示操作部7の移動指示を受付けていない場合(ステップS22:No)、表示操作部7の移動指示を受付けるまで処理を繰り返す。
【0062】
一方、表示操作部の移動指示を受付けた場合(ステップS22:Yes)、第1移動制御部105は、表示操作部7を身障者による操作位置から基本位置に回転移動させる(ステップS22)。そして、第1移動制御部105による表示操作部7の回転移動が完了した際に、表示制御部102は、各種ボタン、すなわちスキャナ部移動ボタンと、給紙トレイ引き出しボタンと、給紙トレイ収納ボタンと、表示操作部移動ボタンを表示操作部7のLCD表示部から非表示にする(ステップS24)。
【0063】
次に、本実施の形態にかかる複合機100による給紙トレイ12の引き出し処理について説明する。この処理は、例えば、表示操作部7が移動した後に、身障者が給紙トレイ12に用紙を補給する場合などに行う。図9は、実施の形態1にかかる複合機100による給紙トレイ12の引き出し処理の流れを示すフローチャートである。
【0064】
まず、入力受付部103は、給紙トレイ引き出しボタンが押下されたことによる給紙トレイ12の引き出し指示を受付けたか否かを判断する(ステップS30)。給紙トレイ12の引き出し指示を受付けていない場合(ステップS30:No)、給紙トレイ12の引き出し指示を受付けるまで処理を繰り返す。
【0065】
一方、給紙トレイ12の引き出し指示を受付けた場合(ステップS30:Yes)、第3移動制御部107は、給紙トレイ12を複合機100の内部から引き出す(ステップS31)。
【0066】
次に、本実施の形態にかかる複合機100による給紙トレイ12の収納処理について説明する。この処理は、例えば、図8で説明したように、給紙トレイ12を引き出させて、身障者が給紙トレイ12に用紙を補給した後などに行う。図10は、実施の形態1にかかる複合機100による給紙トレイ12の収納処理の流れを示すフローチャートである。
【0067】
まず、入力受付部103は、給紙トレイ収納ボタンが押下されたことによる給紙トレイ12の収納指示を受付けたか否かを判断する(ステップS40)。給紙トレイ12の収納指示を受付けていない場合(ステップS40:No)、給紙トレイ12の収納指示を受付けるまで処理を繰り返す。
【0068】
一方、給紙トレイ12の収納指示を受付けた場合(ステップS40:Yes)、第3移動制御部107は、給紙トレイ12を複合機100の内部に収納する(ステップS41)。
【0069】
次に、本実施の形態にかかる複合機100において、給紙トレイ12の用紙が不足した場合の引き出し処理について説明する。この処理は、例えば、表示操作部7およびスキャナ部22が移動して、用紙に印刷を行なっている途中に用紙が不足した場合などに行われる。図11は、実施の形態1にかかる複合機100による給紙トレイ12の引き出し処理の流れを示すフローチャートである。
【0070】
まず、第3移動制御部107は、第1移動制御部105により表示操作部7が基本位置から移動しているか否かの判断をする(ステップS50)。表示操作部7が基本位置から移動していない場合(ステップS50:No)、そのまま処理を終了する。
【0071】
表示操作部7が基本位置から移動している場合(ステップS50:Yes)、第3移動制御部107は、用紙検知センサ23により給紙トレイ12内に用紙が収容されている旨が検知されたか否かを判断する(ステップS51)。収容されている旨が検知された場合(ステップS51:No)、すなわち給紙トレイ12内に用紙がある場合、用紙がなくなるまで処理を繰り返す。
【0072】
一方、収容されていない旨が検知された場合(ステップS52:Yes)、すなわち給紙トレイ12内に用紙がない場合、第3移動制御部107は、搬送中の用紙があるか否かを判断する(ステップS52)。搬送中の用紙があると判断された場合(ステップS52:No)、搬送中の用紙がなくなるまで処理を繰り返す。
【0073】
一方、搬送中の用紙がないと判断された場合(ステップS52:Yes)、第3移動制御部107は、給紙トレイ12を複合機100の内部から引き出す(ステップS53)。そして、表示制御部102は、給紙トレイ12が複合機100の正面から引き出されている状態である旨を表示操作部7のLCD表示部に表示するものである。
【0074】
このように、実施の形態1にかかる複合機100は、利用位置Pにいる身障者の認証が成功した場合、表示操作部7を身障者による操作位置に回転移動し、移動が完了した表示操作部7にスキャナ部移動ボタンを表示する。また、複合機100は、スキャナ部移動ボタンの押下によりスキャナ部22の移動指示を受付けると、スキャナ部22も身障者による操作位置に回転移動する。従って、表示操作部7およびスキャナ部22を移動可能とすることで、認証された身障者が排紙トレイ13の近傍の利用位置Pにいる状態において、スキャナ部22の所定位置に原稿を載置し、表示操作部7からの操作を行い、排紙トレイ13から排紙された用紙を取るなど、複合機100に対する一連の作業を容易に行うことができる。
【0075】
また、複合機100は、表示操作部7に表示された給紙トレイ引き出しボタンおよび給紙トレイ収納ボタンにより、給紙トレイ12の引き出しおよび収納を可能としている。従って、身障者は、給紙トレイ12への用紙の補給の際に移動することなく、排紙トレイ13の近傍の利用位置Pにいる状態のまま給紙トレイ12の引き出しおよび収納を行うことができる。
【0076】
さらに、複合機100は、給紙トレイ12の用紙が不足した場合に、給紙トレイ12を引き出した上で、表示操作部7にその旨を表示して身障者に給紙トレイ12が引き出されていることを把握させる。従って、印刷中において給紙トレイ12の用紙が不足して印刷が続行不可能となった場合、身障者が用紙の不足を容易に把握できるとともに、給紙トレイ12を引き出す手間を省くことができる。
【0077】
また、複合機100は、表示操作部7が移動していない場合には、表示操作部7に給紙トレイ引き出しボタン等を表示せず、当該ボタンによる給紙トレイの引き出し等を行わない。また、複合機100は、表示操作部7が移動していない場合には、用紙の不足時における給紙トレイ12の引き出しも行わない。従って、表示操作部7を移動させずに複合機100の正面から操作等を行う利用者に対しては、従来と同様の操作性を提供することができる。
【0078】
(実施の形態2)
実施の形態1にかかる複合機は、身障者の認証が成功した場合に表示操作部を移動させ、該移動が完了した後にスキャナ部の移動指示を受付けた場合にスキャナ部を移動させていた。これに対し、本実施の形態にかかる複合機は、身障者の認証が成功した場合に表示操作部およびスキャナ部を略同時に移動させるものである。
【0079】
ここで、複合機の概略図およびブロック図は、実施の形態1と同様であるため説明を省略する(図1、2参照)。
【0080】
次に、本実施の形態にかかる複合機200による制御について説明する。図12は、実施の形態2にかかる複合機200の機能的構成を示すブロック図である。
【0081】
複合機200は、認証部101と、第1移動制御部105と、表示制御部202と、入力受付部203と、第2移動制御部206と、第3移動制御部107と、画像形成部104と、を主に備えており、ROM3と、給紙トレイ12と、給紙トレイ開閉検知センサ5と、給紙トレイ引き出し終了位置検知センサ10と、排紙トレイ13と、表示操作部7と、表示操作部角度検知センサ6と、スキャナ部22と、スキャナ部角度検知センサ18と、用紙検知センサ23と、認証装置20とが主に接続されている。
【0082】
ここで、認証部101と、第1移動制御部105と、第3移動制御部107と、画像形成部104と、ROM3と、給紙トレイ12と、給紙トレイ開閉検知センサ5と、給紙トレイ引き出し終了位置検知センサ10と、排紙トレイ13と、表示操作部7と、表示操作部角度検知センサ6と、スキャナ部22と、スキャナ部角度検知センサ18と、用紙検知センサ23と、認証装置20の構成および機能は、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0083】
第2移動制御部206は、認証部101によって身障者の認証が行われた後に、第1移動制御部105による表示操作部7の移動が開始した場合、表示操作部7の移動と略同時に、スキャナ部角度検知センサ18からの検知信号により位置を特定しながらスキャナ部22の移動を制御することで、スキャナ部22を基本位置から身障者による操作位置に回転移動させたり、スキャナ部22を身障者による操作位置から基本位置に回転移動させるものである。具体的には、第2移動制御部206は、スキャナ部22を移動させるスキャナ部駆動モータ19(図2参照)に位置に応じた駆動指令を送出し、スキャナ部駆動モータ19が受け取った駆動指令に従ってスキャナ部22を移動させる。また、スキャナ部22が移動される位置は、受信する検知信号に応じて予めメモリ等に記憶されている。
【0084】
表示制御部202は、第1移動制御部105による表示操作部7の移動、および第2移動制御部206によるスキャナ部22の移動が完了した際に、給紙トレイ12の引き出し指示を行うための給紙トレイ引き出しボタンと、給紙トレイ12の収納指示を行うための給紙トレイ収納ボタンと、表示操作部7およびスキャナ部の移動指示を行うための表示操作部・スキャナ移動ボタンとを表示操作部7のLCD表示部に表示するものである。また、表示制御部202は、用紙検知センサ23により給紙トレイ12内に用紙が収容されていない旨が検知されて、給紙トレイ12が引き出された場合に、給紙トレイ12が複合機200の正面から引き出されている状態である旨を表示操作部7のLCD表示部に表示するものである。
【0085】
入力受付部203は、利用者により認証装置20から入力された身障者IDを受付けるものである。また、入力受付部203は、利用者により表示制御部202に表示された給紙トレイ引き出しボタンが押下された場合、給紙トレイ12の引き出し指示を受付ける。また、入力受付部203は、利用者により表示制御部202に表示された給紙トレイ収納ボタンが押下された場合、給紙トレイ12の収納指示を受付ける。さらに、入力受付部203は、利用者により表示制御部202に表示された表示操作部・スキャナ部移動ボタンが押下された場合、表示操作部7およびスキャナ部22の移動指示を受付ける。
【0086】
次に、以上のように構成された本実施の形態にかかる複合機200による表示操作部7およびスキャナ部22の基本位置からの移動処理について説明する。図13は、実施の形態2にかかる複合機200による表示操作部7およびスキャナ部22の移動処理の流れを示すフローチャートである。
【0087】
まず、排紙トレイ13の近傍であり複合機200の左側の利用位置Pにいる身障者が、認証装置20に身障者IDを入力すると、認証部101は、受付けた身障者IDとROM3に記憶されている身障者IDとが一致するか否かを判断することで、身障者の認証を行う(ステップS60)。受付けた身障者IDと記憶されている身障者IDとが一致しなかった場合(ステップS60:No)、身障者の認証は失敗となり、そのまま処理を終了する。
【0088】
一方、受付けた身障者IDと記憶されている身障者IDとが一致した場合(ステップS60:Yes)、身障者の認証は成功となり、第1移動制御部105は、表示操作部7を基本位置から身障者による操作位置に回転移動させ、該移動と略同時に、第2移動制御部206は、スキャナ部22を基本位置から身障者による操作位置に回転移動させる(ステップS61)。
【0089】
次に、第1移動制御部105による表示操作部7の回転移動、および第2移動制御部206によるスキャナ部22の回転移動が完了した際に、表示制御部202は、各種ボタン、すなわち給紙トレイ引き出しボタンと、給紙トレイ収納ボタンと、表示操作部・スキャナ部移動ボタンとを表示操作部7のLCD表示部に表示する(ステップS62)。
【0090】
次に、本実施の形態にかかる複合機200による表示操作部7およびスキャナ部22の基本位置への移動処理について説明する。この処理は、身障者が複合機200を利用し終えた後などに、表示操作部7およびスキャナ部22を元の位置に戻す場合などに行う。図14は、実施の形態2にかかる複合機200による表示操作部7およびスキャナ部22の移動処理の流れを示すフローチャートである。
【0091】
まず、入力受付部203は、表示操作部・スキャナ部移動ボタンが押下されたことによる表示操作部7・スキャナ部22の移動指示を受付けたか否かを判断する(ステップS70)。表示操作部7・スキャナ部22の移動指示を受付けていない場合(ステップS70:No)、表示操作部7・スキャナ部22の移動指示を受付けるまで処理を繰り返す。
【0092】
一方、表示操作部7・スキャナ部22の移動指示を受付けた場合(ステップS70:Yes)、第1移動制御部105は、表示操作部7を身障者による操作位置から基本位置に回転移動させ、該移動と略同時に、第2移動制御部206は、スキャナ部22を身障者による操作位置から基本位置に回転移動させる(ステップS71)。
【0093】
そして、第1移動制御部105による表示操作部7の回転移動、および第2移動制御部206によるスキャナ部22の回転移動が完了した際に、表示制御部202は、各種ボタン、すなわち給紙トレイ引き出しボタンと、給紙トレイ収納ボタンと、表示操作部・スキャナ部移動ボタンを表示操作部7のLCD表示部から非表示にする(ステップS72)。
【0094】
ここで、給紙トレイ12の引き出し処理および収納処理については、実施の形態1と同様であるため説明を省略する(図9〜11参照)。
【0095】
このように、実施の形態2にかかる複合機200は、利用位置Pにいる身障者の認証が成功した場合、表示操作部7およびスキャナ部22を身障者による操作位置に回転移動する。従って、表示操作部7およびスキャナ部22を移動可能とすることで、認証された身障者が排紙トレイ13の近傍の利用位置Pにいる状態において、スキャナ部22の所定位置に原稿を載置し、表示操作部7からの操作を行い、排紙トレイ13から排紙された用紙を取るなど、複合機200に対する一連の作業を容易に行うことができる。
【0096】
また、複合機200は、表示操作部7に表示された給紙トレイ引き出しボタンおよび給紙トレイ収納ボタンにより、給紙トレイ12の引き出しおよび収納を可能としている。従って、身障者は、給紙トレイ12への用紙の補給の際に移動することなく、排紙トレイ13の近傍の利用位置Pにいる状態のまま給紙トレイ12の引き出しおよび収納を行うことができる。
【0097】
さらに、複合機200は、給紙トレイ12の用紙が不足した場合に、給紙トレイ12を引き出した上で、表示操作部7にその旨を表示して身障者に給紙トレイ12が引き出されていることを把握させる。従って、印刷中において給紙トレイ12の用紙が不足して印刷が続行不可能となった場合、身障者が用紙の不足を容易に把握できるとともに、給紙トレイ12を引き出す手間を省くことができる。
【0098】
また、複合機200は、表示操作部7が移動していない場合には、表示操作部7に給紙トレイ引き出しボタン等を表示せず、当該ボタンによる給紙トレイの引き出し等を行わない。また、複合機100は、表示操作部7が移動していない場合には、用紙の不足時における給紙トレイ12の引き出しも行わない。従って、表示操作部7を移動させずに複合機200の正面から操作等を行う利用者に対しては、従来と同様の操作性を提供することができる。
【0099】
本実施の形態では、表示操作部7の移動と略同時にスキャナ部22を回転移動させているが、表示操作部7の回転移動に連動してスキャナ部22を回転移動させる構成としてもよい。すなわち、第2移動制御部206が、認証部101によって身障者の認証が行われた後に、第1移動制御部105による表示操作部7の移動が開始した場合、表示操作部7の移動に連動して、スキャナ部角度検知センサ18からの検知信号により位置を特定しながらスキャナ部22の移動を制御することで、スキャナ部22を基本位置から身障者による操作位置に回転移動するように構成する。
【0100】
また、本実施の形態では、第1移動制御部105による表示操作部7の回転移動と略同時に第2移動制御部206によるスキャナ部22の回転移動を行っているが、スキャナ部22は、表示操作部7に固定されることで、表示操作部7の回転移動と同時に物理的に回転移動するように構成してもよい。また、表示操作部7の回転移動に連動してスキャナ部22を回転移動させる場合も同様に、スキャナ部22を物理的に回転移動するように構成してもよい。
【0101】
(実施の形態3)
実施の形態2にかかる複合機は、身障者の認証が成功した場合に表示操作部およびスキャナ部を略同時に回転移動させるものである。これに対し、本実施の形態にかかる複合機は、身障者の認証が成功した場合に表示操作部およびスキャナ部を略同時にスライドして移動させるものである。
【0102】
ここで、複合機の概略図およびブロック図は、実施の形態1と同様であるため説明を省略する(図1、2参照)。
【0103】
次に、本実施の形態にかかる複合機300による制御について説明する。図15は、実施の形態3にかかる複合機300の機能的構成を示すブロック図である。
【0104】
複合機300は、認証部101と、第1移動制御部305と、表示制御部202と、入力受付部203と、第2移動制御部306と、第3移動制御部107と、画像形成部104と、を主に備えており、ROM3と、給紙トレイ12と、給紙トレイ開閉検知センサ5と、給紙トレイ引き出し終了位置検知センサ10と、排紙トレイ13と、表示操作部7と、表示操作部角度検知センサ6と、スキャナ部22と、スキャナ部角度検知センサ18と、用紙検知センサ23と、認証装置20とが主に接続されている。
【0105】
ここで、認証部101と、第3移動制御部107と、画像形成部104と、ROM3と、給紙トレイ12と、給紙トレイ開閉検知センサ5と、給紙トレイ引き出し終了位置検知センサ10と、排紙トレイ13と、表示操作部7と、表示操作部角度検知センサ6と、スキャナ部22と、スキャナ部角度検知センサ18と、用紙検知センサ23と、認証装置20の構成および機能は、実施の形態1と同様であり、表示制御部202と、入力受付部203の構成および機能は、実施の形態2と同様であるため説明を省略する。
【0106】
第1移動制御部305は、認証部101によって身障者IDを入力した身障者が表示操作部7およびスキャナ部22の移動を許容する身障者であると認証された場合、表示操作部角度検知センサ6からの検知信号により位置を特定しながら表示操作部7の移動を制御することで、表示操作部7を基本位置から身障者による操作位置に水平方向にスライド移動させるものである。表示操作部7が移動される位置は、受信する検知信号に応じて予めメモリ等に記憶されている。また、第1移動制御部305は、表示操作部7に表示された表示操作部・スキャナ部移動ボタンが押下されることにより、入力受付部203により表示操作部7の移動指示を受付けた場合、表示操作部7の移動を制御することで、表示操作部7を基本位置まで水平方向にスライド移動させるものである。具体的には、第1移動制御部305は、表示制御部7を移動させる表示操作部駆動モータ17(図2参照)に位置に応じた駆動指令を送出し、表示操作部駆動モータ17が受け取った駆動指令に従って表示制御部7を移動させる。
【0107】
第2移動制御部306は、認証部101によって身障者の認証が行われた後に、第1移動制御部305による表示操作部7の移動が開始した場合、表示操作部7の移動と略同時に、スキャナ部角度検知センサ18からの検知信号により位置を特定しながらスキャナ部22の移動を制御することで、スキャナ部22を基本位置から身障者による操作位置に水平方向にスライド移動させたり、スキャナ部22を身障者による操作位置から基本位置に水平方向にスライド移動させるものである。具体的には、第2移動制御部306は、スキャナ部22を移動させるスキャナ部駆動モータ19(図2参照)に位置に応じた駆動指令を送出し、スキャナ部駆動モータ19が受け取った駆動指令に従ってスキャナ部22を移動させる。また、スキャナ部22が移動される位置は、受信する検知信号に応じて予めメモリ等に記憶されている。
【0108】
ここで、表示操作部7およびスキャナ部22を基本位置から身障者による操作位置に水平方向にスライド移動した場合について、図を参照して説明する。図16−1は、表示操作部7およびスキャナ部22を基本位置から水平方向にスライド移動した状態における複合機200の正面図である。また、図16−2は、表示操作部7およびスキャナ部22を基本位置から水平方向にスライド移動した状態における複合機300の上面図である。
【0109】
スライド移動がなされる前の表示操作部7は、複合機300の正面側に位置し、スキャナ部22は、複合機300の上面に位置している(図2参照)。そして、第1移動制御部305により移動された表示操作部7、および第2移動制御部306により移動されたスキャナ部22は、図16−1、16−2に示すように、排紙トレイ13の上方に位置するように、水平方向にスライドして移動する。これにより、排紙トレイ13の近傍であり複合機300の左側の利用位置Pにいる身障者にとって、LCD表示部が見やすく操作し易い位置に、表示操作部7およびスキャナ部22が移動したことになる。
【0110】
ここで、表示操作部7およびスキャナ部22の移動処理については、表示操作部7およびスキャナ部22がスライド移動すること以外は、実施の形態2と同様であるため説明を省略する(図13、14参照)。また、給紙トレイ12の引き出し処理および収納処理については、実施の形態1と同様であるため説明を省略する(図9〜11参照)。
【0111】
このように、実施の形態3にかかる複合機300は、利用位置Pにいる身障者の認証が成功した場合、表示操作部7およびスキャナ部22を身障者による操作位置にスライド移動する。従って、表示操作部7およびスキャナ部22を移動可能とすることで、認証された身障者が排紙トレイ13の近傍の利用位置Pにいる状態において、スキャナ部22の所定位置に原稿を載置し、表示操作部7からの操作を行い、排紙トレイ13から排紙された用紙を取るなど、複合機300に対する一連の作業を容易に行うことができる。
【0112】
また、複合機300は、表示操作部7に表示された給紙トレイ引き出しボタンおよび給紙トレイ収納ボタンにより、給紙トレイ12の引き出しおよび収納を可能としている。従って、身障者は、給紙トレイ12への用紙の補給の際に移動することなく、排紙トレイ13の近傍の利用位置Pにいる状態のまま給紙トレイ12の引き出しおよび収納を行うことができる。
【0113】
さらに、複合機300は、給紙トレイ12の用紙が不足した場合に、給紙トレイ12を引き出した上で、表示操作部7にその旨を表示して身障者に給紙トレイ12が引き出されていることを把握させる。従って、印刷中において給紙トレイ12の用紙が不足して印刷が続行不可能となった場合、身障者が用紙の不足を容易に把握できるとともに、給紙トレイ12を引き出す手間を省くことができる。
【0114】
また、複合機300は、表示操作部7が移動していない場合には、表示操作部7に給紙トレイ引き出しボタン等を表示せず、当該ボタンによる給紙トレイの引き出し等を行わない。また、複合機100は、表示操作部7が移動していない場合には、用紙の不足時における給紙トレイ12の引き出しも行わない。従って、表示操作部7を移動させずに複合機300の正面から操作等を行う利用者に対しては、従来と同様の操作性を提供することができる。
【0115】
本実施の形態では、表示操作部7の移動と略同時にスキャナ部22をスライド移動させているが、表示操作部7のスライド移動に連動してスキャナ部22をスライド移動させる構成としてもよい。すなわち、第2移動制御部206が、認証部101によって身障者の認証が行われた後に、第1移動制御部105による表示操作部7の移動が開始した場合、表示操作部7の移動に連動して、スキャナ部角度検知センサ18からの検知信号により位置を特定しながらスキャナ部22の移動を制御することで、スキャナ部22を基本位置から身障者による操作位置にスライド移動するように構成する。
【0116】
また、本実施の形態では、第1移動制御部105による表示操作部7のスライド移動と略同時に第2移動制御部206によるスキャナ部22のスライド移動を行っているが、スキャナ部22は、表示操作部7に固定されることで、表示操作部7のスライド移動と同時に物理的にスライド移動するように構成してもよい。また、表示操作部7のスライド移動に連動してスキャナ部22をスライド移動させる場合も同様に、スキャナ部22を物理的にスライド移動するように構成してもよい。
【0117】
(実施の形態4)
実施の形態2にかかる複合機は、身障者の認証が成功した場合に表示操作部およびスキャナ部を略同時に移動させるものである。これに対し、本実施の形態にかかる複合機は、切換スイッチの押下を受付けた場合に表示操作部およびスキャナ部を略同時に移動させるものである。
【0118】
図17は、実施の形態4にかかる複合機400の概略図である。図4では、図1における複合機100と同様に、スキャナ部22、表示操作部7、給紙トレイ12、排紙トレイ13、認証装置20が配置されている。さらに、複合機400の正面側における排紙トレイ13側には、切換スイッチ26が配置されている。
【0119】
ここで、複合機の概略図およびブロック図は、実施の形態1と同様であるため説明を省略する(図2参照)。
【0120】
次に、本実施の形態にかかる複合機400による制御について説明する。図18は、実施の形態4にかかる複合機400の機能的構成を示すブロック図である。
【0121】
複合機400は、第1移動制御部405と、表示制御部402と、入力受付部403と、第2移動制御部406と、第3移動制御部107と、画像形成部104と、を主に備えており、給紙トレイ12と、給紙トレイ開閉検知センサ5と、給紙トレイ引き出し終了位置検知センサ10と、排紙トレイ13と、表示操作部7と、表示操作部角度検知センサ6と、スキャナ部22と、スキャナ部角度検知センサ18と、用紙検知センサ23と、切換スイッチ26とが主に接続されている。
【0122】
ここで、第3移動制御部107と、画像形成部104と、給紙トレイ12と、給紙トレイ開閉検知センサ5と、給紙トレイ引き出し終了位置検知センサ10と、排紙トレイ13と、表示操作部7と、表示操作部角度検知センサ6と、スキャナ部22と、スキャナ部角度検知センサ18と、用紙検知センサ23との構成および機能は、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0123】
切換スイッチ26は、複合機400の正面側における排紙トレイ13側に設けられ、利用者である身障者が表示操作部7とスキャナ部22の移動指示の入力を所望する場合に押下するものである。
【0124】
表示制御部402は、第1移動制御部405による表示操作部7の移動、および第2移動制御部406によるスキャナ部22の移動が完了した際に、給紙トレイ12の引き出し指示を行うための給紙トレイ引き出しボタンと、給紙トレイ12の収納指示を行うための給紙トレイ収納ボタンと、表示操作部7およびスキャナ部の移動指示を行うための表示操作部・スキャナ移動ボタンとを表示操作部7のLCD表示部に表示するものである。また、表示制御部402は、用紙検知センサ23により給紙トレイ12内に用紙が収容されていない旨が検知されて、給紙トレイ12が引き出された場合に、給紙トレイ12が複合機400の正面から引き出されている状態である旨を表示操作部7のLCD表示部に表示するものである。
【0125】
入力受付部403は、利用者である身障者により切換スイッチ26を押下されることで、表示操作部7とスキャナ部22の移動指示を受付けるものである。また、入力受付部403は、利用者により表示制御部402に表示された給紙トレイ引き出しボタンが押下された場合、給紙トレイ12の引き出し指示を受付ける。また、入力受付部403は、利用者により表示制御部402に表示された給紙トレイ収納ボタンが押下された場合、給紙トレイ12の収納指示を受付ける。さらに、入力受付部403は、利用者により表示制御部402に表示された表示操作部・スキャナ部移動ボタンが押下された場合、表示操作部7・スキャナ部22の移動指示を受付ける。
【0126】
第1移動制御部405は、切換スイッチ26を押下されることで、表示操作部7とスキャナ部22の移動指示を受付けた場合、表示操作部角度検知センサ6からの検知信号により位置を特定しながら表示操作部7の移動を制御することで、表示操作部7を基本位置から身障者による操作位置に回転移動させるものである。表示操作部7が移動される位置は、受信する検知信号に応じて予めメモリ等に記憶されている。また、第1移動制御部405は、表示操作部7に表示された表示操作部・スキャナ部移動ボタンが押下されることにより、入力受付部403により表示操作部7・スキャナ部22の移動指示を受付けた場合、表示操作部7の移動を制御することで、表示操作部7を基本位置まで回転移動させるものである。具体的には、第1移動制御部405は、表示制御部7を移動させる表示操作部駆動モータ17(図2参照)に位置に応じた駆動指令を送出し、表示操作部駆動モータ17が受け取った駆動指令に従って表示制御部7を移動させる。
【0127】
第2移動制御部406は、切換スイッチ26を押下されることで、表示操作部7とスキャナ部22の移動指示を受付けた後に、第1移動制御部405による表示操作部7の移動が開始した場合、表示操作部7の移動と略同時に、スキャナ部角度検知センサ18からの検知信号により位置を特定しながらスキャナ部22の移動を制御することで、スキャナ部22を基本位置から身障者による操作位置に回転移動させたり、スキャナ部22を身障者による操作位置から基本位置に回転移動させるものである。具体的には、第2移動制御部406は、スキャナ部22を移動させるスキャナ部駆動モータ19(図2参照)に位置に応じた駆動指令を送出し、スキャナ部駆動モータ19が受け取った駆動指令に従ってスキャナ部22を移動させる。また、スキャナ部22が移動される位置は、受信する検知信号に応じて予めメモリ等に記憶されている。
【0128】
次に、以上のように構成された本実施の形態にかかる複合機400による表示操作部7およびスキャナ部22の基本位置からの移動処理について説明する。図19は、実施の形態4にかかる複合機400による表示操作部7およびスキャナ部22の移動処理の流れを示すフローチャートである。
【0129】
まず、入力受付部403は、切換スイッチ26を押下されることによる表示操作部7・スキャナ部22の移動指示を受付けたか否かを判断する(ステップS80)。表示操作部7・スキャナ部22の移動指示を受付けていない場合(ステップS80:No)、表示操作部7・スキャナ部22の移動指示を受付けるまで処理を繰り返す。
【0130】
一方、表示操作部7・スキャナ部22の移動指示を受付けた場合(ステップS80:Yes)、第1移動制御部405は、表示操作部7を基本位置から身障者による操作位置に回転移動させ、該移動と略同時に、第2移動制御部406は、スキャナ部22を基本位置から身障者による操作位置に回転移動させる(ステップS81)。
【0131】
次に、第1移動制御部405による表示操作部7の回転移動、および第2移動制御部406によるスキャナ部22の回転移動が完了した際に、表示制御部202は、各種ボタン、すなわち給紙トレイ引き出しボタンと、給紙トレイ収納ボタンと、表示操作部・スキャナ部移動ボタンとを表示操作部7のLCD表示部に表示する(ステップS62)。
【0132】
ここで、複合機400による表示操作部7およびスキャナ部22の基本位置への移動処理については、実施の形態2と同様であるため説明を省略する(図14参照)。また、給紙トレイ12の引き出し処理および収納処理については、実施の形態1と同様であるため説明を省略する(図9〜11参照)。
【0133】
このように、実施の形態4にかかる複合機400は、利用位置Pにいる身障者により切換スイッチ26が押下された場合、表示操作部7およびスキャナ部22を身障者による操作位置に回転移動する。従って、表示操作部7およびスキャナ部22を移動可能とすることで、認証された身障者が排紙トレイ13の近傍の利用位置Pにいる状態において、スキャナ部22の所定位置に原稿を載置し、表示操作部7からの操作を行い、排紙トレイ13から排紙された用紙を取るなど、複合機400に対する一連の作業を容易に行うことができる。
【0134】
また、複合機400は、表示操作部7に表示された給紙トレイ引き出しボタンおよび給紙トレイ収納ボタンにより、給紙トレイ12の引き出しおよび収納を可能としている。従って、身障者は、給紙トレイ12への用紙の補給の際に移動することなく、排紙トレイ13の近傍の利用位置Pにいる状態のまま給紙トレイ12の引き出しおよび収納を行うことができる。
【0135】
さらに、複合機400は、給紙トレイ12の用紙が不足した場合に、給紙トレイ12を引き出した上で、表示操作部7にその旨を表示して身障者に給紙トレイ12が引き出されていることを把握させる。従って、印刷中において給紙トレイ12の用紙が不足して印刷が続行不可能となった場合、身障者が用紙の不足を容易に把握できるとともに、給紙トレイ12を引き出す手間を省くことができる。
【0136】
また、複合機400は、表示操作部7が移動していない場合には、表示操作部7に給紙トレイ引き出しボタン等を表示せず、当該ボタンによる給紙トレイの引き出し等を行わない。また、複合機100は、表示操作部7が移動していない場合には、用紙の不足時における給紙トレイ12の引き出しも行わない。従って、表示操作部7を移動させずに複合機200の正面から操作等を行う利用者に対しては、従来と同様の操作性を提供することができる。
【0137】
本実施の形態では、表示操作部7の移動と略同時にスキャナ部22を回転移動させているが、表示操作部7の回転移動に連動してスキャナ部22を回転移動させる構成としてもよい。すなわち、第2移動制御部406が、切換スイッチ26を押下されることで、表示操作部7とスキャナ部22の移動指示を受付けた後に、第1移動制御部405による表示操作部7の移動が開始した場合、表示操作部7の移動に連動して、スキャナ部角度検知センサ18からの検知信号により位置を特定しながらスキャナ部22の移動を制御することで、スキャナ部22を基本位置から身障者による操作位置に回転移動するように構成する。
【0138】
また、本実施の形態では、表示操作部7とスキャナ部22を回転移動させる構成としているが、表示操作部7とスキャナ部22を実施の形態3のように水平方向にスライド移動させる構成にしてもよい。
【0139】
また、本実施の形態では、第1移動制御部405による表示操作部7の回転移動と略同時に第2移動制御部406によるスキャナ部22の回転移動を行っているが、スキャナ部22は、表示操作部7に固定されることで、表示操作部7の回転移動と略同時に物理的に回転移動するように構成してもよい。また、表示操作部7の回転移動に連動してスキャナ部22を回転移動させる場合も同様に、スキャナ部22を物理的に回転移動するように構成してもよい。また、表示操作部7とスキャナ部22を実施の形態3のように水平方向にスライド移動させる場合も同様に、スキャナ部22を物理的にスライド移動するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】実施の形態1にかかる複合機100の概略図である。
【図2】実施の形態1にかかる複合機100のブロック図である。
【図3】実施の形態1にかかる複合機100の機能的構成を示すブロック図である。
【図4−1】表示操作部7を基本位置から回転移動した状態における複合機100の正面図である。
【図4−2】表示操作部7を基本位置から回転移動した状態における複合機100の上面図である。
【図5−1】スキャナ部22を基本位置から回転移動した状態における複合機100の正面図である。
【図5−2】スキャナ部22を基本位置から回転移動した状態における複合機100の上面図である。
【図6−1】給紙トレイ12を引き出した状態における複合機100の側面図である。
【図6−2】給紙トレイ12を引き出した状態における複合機100の断面図である。
【図7】実施の形態1にかかる複合機100による表示操作部7およびスキャナ部22の移動処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】実施の形態1にかかる複合機100による表示操作部7およびスキャナ部22の移動処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施の形態1にかかる複合機100による給紙トレイ12の引き出し処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】実施の形態1にかかる複合機100による給紙トレイ12の収納処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】実施の形態1にかかる複合機100による給紙トレイ12の引き出し処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】実施の形態2にかかる複合機200の機能的構成を示すブロック図である。
【図13】実施の形態2にかかる複合機200による表示操作部7およびスキャナ部22の移動処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】実施の形態2にかかる複合機200による表示操作部7およびスキャナ部22の移動処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】実施の形態3にかかる複合機300の機能的構成を示すブロック図である。
【図16−1】表示操作部7およびスキャナ部22を基本位置から水平方向にスライド移動した状態における複合機200の正面図である。
【図16−2】表示操作部7およびスキャナ部22を基本位置から水平方向にスライド移動した状態における複合機300の上面図である。
【図17】実施の形態4にかかる複合機400の概略図である。
【図18】実施の形態4にかかる複合機400の機能的構成を示すブロック図である。
【図19】実施の形態4にかかる複合機400による表示操作部7およびスキャナ部22の移動処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0141】
100、200、300、400 複合機
1 CPU
2 RAM
3 ROM
4 給紙トレイ駆動モータ
5 給紙トレイ開閉検知センサ
6 表示操作部角度検知センサ
7 表示操作部
8 転写装置
9 用紙搬送装置
10 給紙トレイ引き出し終了位置検知センサ
12 給紙トレイ
13 排紙トレイ
14 用紙収容部
15 取手部
16 突起部
17 表示操作部駆動モータ
18 スキャナ部角度検知センサ
19 スキャナ部駆動モータ
20 認証装置
22 スキャナ部
23 用紙検知センサ
26 切換スイッチ
101 認証部
102、202、402 表示制御部
103、203、403 入力受付部
104 画像形成部
105、305、405 第1移動制御部
106、206、306、406 第2移動制御部
107 第3移動制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、
前記画像形成装置の上面側に位置し、原稿を読み取るスキャナ部と、
前記画像形成装置の正面側に位置し、情報を表示するとともに、利用者からの入力操作を受付ける表示操作部と、
前記画像形成装置の正面側から引き出し可能に設けられ、記録媒体を収容する給紙トレイと、
前記給紙トレイから給紙された記録媒体に、読み取った原稿の画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成装置の側面側に設けられ、画像が形成された記録媒体を排紙する排紙トレイと、を備え、
前記表示操作部は、前記正面側近傍かつ前記側面側近傍である操作位置に移動可能であり、
前記スキャナ部は、前記操作位置に移動可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記スキャナ部は、前記表示操作部の移動に連動して移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記表示操作部の移動を制御する第1移動制御部と、
前記スキャナ部の移動を制御する第2移動制御部と、を更に備え、
前記第2移動制御部は、前記第1移動制御部による前記表示操作部の移動に連動して、前記スキャナ部を移動させることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記表示操作部と前記スキャナ部は、略同時に移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記表示操作部の移動を制御する第1移動制御部と、
前記スキャナ部の移動を制御する第2移動制御部と、を更に備え、
前記第2移動制御部は、前記第1移動制御部による前記操作部の移動と略同時に、前記スキャナ部を移動させることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記表示操作部の移動を制御する第1移動制御部と、
前記スキャナ部の移動を制御する第2移動制御部と、を更に備え、
前記第2移動制御部は、前記第1移動制御部による前記表示操作部の移動が完了した後に、前記スキャナ部を移動させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1移動制御部による前記表示操作部の移動が完了した際に、前記スキャナ部の移動指示を行うためのスキャナ部移動シンボルを前記表示操作部に表示する第1表示制御部を更に備え、
前記第2移動制御部は、前記スキャナ部移動シンボルにより移動指示が入力された場合、前記スキャナ部を移動させることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記表示操作部の移動を制御する第1移動制御部と、
前記スキャナ部の移動を制御する第2移動制御部と、
前記表示操作部および前記スキャナ部の移動を許容する特定の利用者を一意に識別するための利用者識別情報を記憶する記憶手段と、
利用者により前記利用者識別情報の入力を受付ける入力受付手段と、
受け付けた前記利用者識別情報が前記記憶手段に記憶されている前記利用者識別情報と一致するか否かを判断することにより、前記特定の利用者の認証を行う認証手段と、を更に備え、
前記第1移動制御部は、前記利用者識別情報を入力した利用者が前記特定の利用者であると認証された場合、前記表示操作部の移動を許容し、
前記第2移動制御部は、前記利用者識別情報を入力した利用者が前記特定の利用者であると認証された場合、前記スキャナ部の移動を許容することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記表示操作部の移動を制御する第1移動制御部と、
前記スキャナ部の移動を制御する第2移動制御部と、
利用者により押下されることで、前記表示操作部と前記スキャナ部の移動指示を受付ける切換スイッチをさらに備え、
前記第1移動制御部は、前記切換スイッチの押下により移動指示が入力された場合、前記表示操作部の移動を許容し、
前記第2移動制御部は、前記切換スイッチの押下により移動指示が入力された場合、前記スキャナ部の移動を許容することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記表示操作部と前記スキャナ部は、回転移動可能であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記表示操作部と前記スキャナ部は、前記排紙トレイ側に水平方向にスライドして移動可能であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記表示操作部の移動が完了した際に、前記給紙トレイの引き出し指示を行うための給紙トレイ引き出しシンボルを前記表示操作部に表示する第2表示制御部と、
前記給紙トレイ引き出しシンボルにより引き出し指示が入力された場合、前記給紙トレイを引き出す第3移動制御部とを更にさらに備えることを特徴とする請求項8〜11のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記第2表示制御部は、前記給紙トレイが引き出された際に、前記給紙トレイの収納指示を行うための給紙トレイ収納シンボルを前記表示操作部に表示し、
前記第3移動制御部は、前記給紙トレイ収納シンボルにより収納指示が入力された場合、前記給紙トレイを収納することを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記給紙トレイ内に記録媒体が収容されているか否かを検知する記録媒体検知センサをさらに備え、
前記第3移動制御手段は、前記操作部の移動が完了した後に、前記給紙トレイ内に記録媒体が収容されていない旨が検知された場合、前記給紙トレイを引き出すことを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記第2表示制御部は、前記給紙トレイ内に記録媒体が収容されていない旨が検知され、前記給紙トレイが引き出された場合、前記給紙トレイが引き出された旨を前記表示操作部に表示することを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16−1】
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【図16−2】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−39065(P2010−39065A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−199828(P2008−199828)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】