説明

画像形成装置

【課題】現像装置を装置本体に装着したままの状態で現像剤収容部に現像剤を行き渡らせるよう充填する画像形成装置において、無駄なトナー消費を抑えつつ潜像担持体やクリーニングブレードの破損を抑制する。
【解決手段】感光体1と現像装置4とを装置内に装着した状態で、現像剤ボトル180より現像装置の現像剤収容部である攪拌搬送路10と供給回収搬送路13とに現像剤を充填する現像剤充填モードを有する画像形成装置において、現像剤充填モード実施中は現像装置の駆動を連続的に行い、且つ、感光体の駆動を間欠的におこなう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トナーとキャリアとを混合してなる二成分現像剤を用いて現像をおこなう画像形成装置が広く用いられている。この画像形成装置では、現像装置の現像剤収容部に予め現像剤を充填して出荷すると、輸送時に振動を受けたり、装置全体が傾いたりして、現像ローラを部分的に露出させるための現像装置の開口部から現像剤が飛散する。このため、画像形成装置がユーザーのもとに搬送されてから、サービスマンによって空の現像剤収容部に現像剤の充填が行われている。
【0003】
また、二成分現像剤は、繰り返し使用を続けると次第にキャリアが劣化し、現像能力が低下してくる。このため、劣化したキャリアを含む現像装置内の現像剤の交換が行われている。この現像剤の交換方法としては、一定サイクルごとにサービスマンがユーザーを訪問し、古い現像剤を回収し、空にした現像収容部に新しい現像剤を充填している。
【0004】
現像剤の充填する際、簡易な作業で現像剤収容部に行き渡るように充填することが望まれる。特許文献1に、画像形成装置本体に現像装置を装着したままの状態で現像剤収容ボトルを現像剤収容部に連通する現像剤投入口にセットした後、現像装置の現像モータを駆動する現像剤充填モードを実施する画像形成装置が記載されている。現像剤充填モードでは、現像モータを駆動することにより、現像剤収容部内の現像剤搬送スクリュウを駆動させて、現像剤を空の現像剤収容部内に行き渡るように充填することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の画像形成装置では、現像剤充填モードを実施する際、潜像担持体としての感光体の駆動を止めていると、現像モータの駆動により現像ローラに付着した新しい現像剤が感光体の特定部分だけに長い時間接触するため、感光体に傷が付く虞がある。そこで、現像剤充填モードでは感光体も駆動させている。
【0006】
しかし、現像剤充填モードで感光体を駆動していると、感光体クリーニング手段としてのクリーニングブレードにトナーが供給されない状態で、感光体とクリーニングブレードとが長時間摺擦し続けることにより、ブレードめくれが発生してしまう場合がある。一般的に、画像形成装置の出荷時は、感光体表面またはクリーニングブレードに摩擦低減物質を付けておき、感光体駆動開始時のブレードめくれの発生を抑制している。また、現像剤の交換時は、それ以前の画像形成によるトナーがクリーニングブレード近傍にあるため、ある程度はブレードめくれの発生を抑制できる。しかし、現像剤充填モードで感光体を長時間駆動し続けていると、上記摩擦低減物質やトナーが感光体とクリーニングブレードとの摺擦部より回収されてしまい、介在するものがない状態で摺擦し続けるようになってブレードめくれが発生してしまう。
【0007】
このため、現像剤充填モードである程度現像剤が充填された後に、感光体上に帯状のトナー像を形成して、このトナーをクリーニングブレードへ入力することでブレードめくれを抑制している。しかし、感光体を長時間駆動し続けることに伴い、帯状のトナー像を形成してクリーニングブレードに入力していると、無駄なトナー消費が増えてしまうという問題がある。
【0008】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、現像装置を装置本体に装着したままの状態で現像剤収容部に現像剤が行き渡るように充填する画像形成装置において、無駄なトナー消費を抑えつつ潜像担持体やクリーニングブレードの破損を抑制できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、キャリアとトナーからなる現像剤を収容する現像剤収容部と、該現像剤収容部内で現像剤を搬送する現像剤搬送部材と、該現像剤を担持して潜像担持体との対向部まで搬送し、該潜像担持体上の潜像を現像する現像剤担持体とを有する現像装置と、該潜像担持体表面に当接して付着物を除去するクリーニングブレードとを備え、該潜像担持体と該現像装置とを装置内に装着した状態で該現像装置と該潜像担持体とを駆動して現像剤充填容器より該現像剤収容部に現像剤を充填する現像剤充填モードを有する画像形成装置において、上記現像剤充填モード実施中は上記現像装置の駆動を連続的に行い、且つ、上記潜像担持体の駆動を間欠的におこなうことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記現像剤充填モード実施中の上記潜像担持体の間欠停止時に、該潜像担持体の同一箇所が上記現像剤担持体と対向しないように該潜像担持体を駆動することを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の画像形成装置において、上記潜像担持体の間欠停止時間が間欠駆動時間より長いことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2または3の何れかの画像形成装置において、上記潜像担持体の間欠駆動時に該潜像担持体上に上記クリーニングブレードへ供給するためのトナー像を形成することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3または4の何れかの画像形成装置において、上記潜像担持体の1回の間欠駆動時に、該潜像担持体を1周以上駆動することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1、2、3または5の何れかの画像形成装置において、上記潜像担持体の間欠駆動時に、該潜像担持体の地肌部電位を作像時の地肌部電位より大きくすることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1、2、3、4、5または6の何れかの画像形成装置において、上記現像剤収容部は、現像剤撹拌搬送路、現像剤供給搬送路、現像剤回収搬送路からなり、それぞれの搬送路内に現像剤搬送部材を設けたことを特徴とするものである。
【0010】
本発明においては、現像剤充填モードで現像装置を連続的に駆動して現像剤収容部内の現像剤搬送部材を動作させ続けながら現像剤を充填するので、短時間で現像剤を現像剤収容部内に行き渡るように充填することができる。このため、現像剤充填モード自体を短時間とすることができる。さらに、現像剤充填モードで潜像担持体を駆動して、現像剤担持体に付着した現像剤が潜像担持体の特定部分だけに長い時間接触して潜像担持体を傷つけてしまうことを防止する。この際、潜像担持体を間欠的に駆動することより、潜像担持体とクリーニングブレードとが長時間摺擦し続けないようにして、ブレードめくれを発生し難い状況とすることができる。このため、従来、ブレードめくれの抑制のために行われていたクリーニングブレードへのトナー入力によらずともブレードめくれの抑制ができ、無駄なトナーの消費を抑えられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、現像装置を装置本体に装着したままの状態で現像剤収容部に現像剤が行き渡るように充填する画像形成装置において、無駄なトナー消費を抑えつつ潜像担持体やクリーニングブレードの破損を抑制できるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係る複写機の概略構成図。
【図2】プロセスカートリッジが備える現像装置及び感光体をしめす拡大構成図。
【図3】現像装置の一例をしめす断面図。
【図4】図3の現像装置の現像剤収容部内の現像剤の流れを説明する模式図。
【図5】現像装置の他の例をしめす断面図。
【図6】図5の現像装置の現像剤収容部内の現像剤の流れを説明する模式図。
【図7】現像装置のトナー補給口を示す外観斜視図。
【図8】現像剤交換時に側板から露出したトナー補給口をしめす正面図。
【図9】現像剤交換時に現像剤ボトルをセットした状態をしめす正面図。
【図10】現像剤交換時に現像剤ボトルをセットしたプロセスカートリッジの概略構成図。
【図11】静電潜像が形成された感光体の表面電位をしめすグラフ。
【図12】現像ポテンシャル|VB−VL|とトナー付着量M/Aの関係をしめすグラフ。
【図13】実施例1の現像剤充填モードでのモータ駆動タイミングチャート。
【図14】比較例1の現像剤充填モードでのモータ駆動タイミングチャート。
【図15】現像剤充填実施モードで現像ローラと対向する感光体位置および現像剤接触範囲をしめした図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、複数の感光体が並行配設されたタンデム型のカラーレーザー複写機(以下、単に「複写機100」という)の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る複写機100の概略構成図である。複写機100はプリンタ部150、これを載せる給紙装置200、プリンタ部150の上に固定されたスキャナ300などを備えている。また、このスキャナ300の上に固定された原稿自動搬送装置400なども備えている。
【0014】
プリンタ部150は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像を形成するための4組のプロセスカートリッジ18Y,M,C,Kからなる画像形成ユニット20を備えている。各符号の数字の後に付されたY,M,C,Kは、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラック用の部材であることを示している(以下同様)。プロセスカートリッジ18Y,M,C,Kの他には、光書込ユニット21、中間転写ユニット17、二次転写装置22、レジストローラ対49、ベルト定着方式の定着装置25などが配設されている。
【0015】
光書込ユニット21は、図示しない光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラーなどを有し、画像データに基づいて後述の感光体の表面にレーザ光を照射する。
【0016】
4つプロセスカートリッジ18Y,M,C,Kは、それぞれ扱うトナーの色が異なる点の他がほぼ同様の構成になっているので、以下、イエロー用のプロセスカートリッジ18Yについて説明する。
プロセスカートリッジ18Yは、像担持体としてのドラム状の感光体1Y、帯電器、現像装置4Y、クリーニング手段、除電器などを有している。帯電手段たる帯電器によって、潜像担持体たる感光体1Yの表面は一様帯電される。帯電処理が施された感光体1Yの表面には、光書込ユニット21によって変調及び偏向されたレーザ光が照射される。すると、照射部(露光部)の電位が減衰する。この減衰により、感光体1Y表面にY用の静電潜像が形成される。形成されたY用の静電潜像は現像手段たる現像装置4Yによって現像されてYトナー像となる。Y用の感光体1Y上に形成されたYトナー像は、後述の中間転写ベルト110に一次転写される。一次転写後の感光体1Yの表面は、ドラムクリーニング手段によって転写残トナーがクリーニングされる。また、ドラムクリーニング手段によってクリーニングされた感光体1Yは、除電器によって除電される。そして、帯電器によって一様帯電せしめられて、初期状態に戻る。以上のような一連のプロセスは、他のプロセスカートリッジ18M,C,Kについても同様である。
【0017】
次に、中間転写ユニットについて説明する。
中間転写ユニット17は、中間転写体たる中間転写ベルト110やベルトクリーニング装置90などを有している。また、駆動ローラ14、張架ローラ15、二次転写バックアップローラ16、4つの一次転写バイアスローラ62Y,M,C,Kなども有している。
中間転写ベルト110は、張架ローラ14を含む複数のローラによってテンション張架されている。そして、図示しないベルト駆動モータによって駆動される駆動ローラ15の回転によって図中時計回りに無端移動せしめられる。
4つの一次転写バイアスローラ62Y,M,C,Kは、それぞれ中間転写ベルト110の内周面側に接触するように配設され、図示しない電源から一次転写バイアスの印加を受ける。また、中間転写ベルト110をその内周面側から感光体1Y,M,C,Kに向けて押圧してそれぞれ一次転写ニップを形成する。各一次転写ニップには、一次転写バイアスの影響により、感光体1と一次転写バイアスローラ62との間に一次転写電界が形成される。
Y用の感光体1Y上に形成された上述のYトナー像は、この一次転写電界やニップ圧の影響によって中間転写ベルト110上に一次転写される。このYトナー像の上には、M,C,K用の感光体1M,C,K上に形成されたM,C,Kトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト110上には多重トナー像たる4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
中間転写ベルト110上に重ね合わせ転写された4色トナー像は、後述の二次転写ニップで図示しない記録体たる転写紙に二次転写される。二次転写ニップ通過後の中間転写ベルト110の表面に残留する転写残トナーは、図中左側の駆動ローラ15との間にベルトを挟み込むベルトクリーニング装置90によってクリーニングされる。
【0018】
次に、二次転写装置22について説明する。
中間転写ユニット17の図中下方には、2本の張架ローラ23によって紙搬送ベルト24を張架している二次転写装置22が配設されている。紙搬送ベルト24は、少なくとも何れか一方の張架ローラ23の回転駆動に伴って、図中反時計回りに無端移動せしめられる。2本の張架ローラ23のうち、図中右側に配設された一方の張架ローラ23は、中間転写ユニット17の二次転写バックアップローラ16との間に、中間転写ベルト110及び紙搬送ベルト24を挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ユニット17の中間転写ベルト110と、二次転写装置22の紙搬送ベルト24とが接触する二次転写ニップが形成されている。そして、この一方の張架ローラ23には、トナーと逆極性の二次転写バイアスが図示しない電源によって印加される。この二次転写バイアスの印加により、二次転写ニップには中間転写ユニット17の中間転写ベルト110上の4色トナー像をベルト側からこの一方の張架ローラ23側に向けて静電移動させる二次転写電界が形成される。後述のレジストローラ対49によって中間転写ベルト110上の4色トナー像に同期するように二次転写ニップに送り込まれた転写紙には、この二次転写電界やニップ圧の影響を受けた4色トナー像が二次転写せしめられる。なお、このように一方の張架ローラ23に二次転写バイアスを印加する二次転写方式に代えて、転写紙を非接触でチャージさせるチャージャを設けてもよい。
【0019】
複写機100本体の下部に設けられた給紙装置200には、内部に複数の転写紙を紙束の状態で複数枚重ねて収容可能な給紙カセット44が、鉛直方向に複数重なるように配設されている。それぞれの給紙カセット44は、紙束の一番上の転写紙に給紙ローラ42を押し当てている。そして、給紙ローラ42を回転させることにより、一番上の転写紙を給紙路46に向けて送り出される。
【0020】
給紙カセット44から送り出された転写紙を受け入れる給紙路46は、複数の搬送ローラ対47と、その路内の末端付近に設けられたレジストローラ対49とを有している。そして、転写紙をレジストローラ対49に向けて搬送する。レジストローラ対49に向けて搬送された転写紙は、レジストローラ対49のローラ間に挟まれる。一方、中間転写ユニット17において、中間転写ベルト110上に形成された4色トナー像は、ベルトの無端移動に伴って二次転写ニップに進入する。レジストローラ対49は、ローラ間に挟み込んだ転写紙を二次転写ニップにて4色トナー像に密着させ得るタイミングで送り出す。これ により、二次転写ニップでは、中間転写ベルト110上の4色トナー像が転写紙に密着する。そして、転写紙上に二次転写されて、白色の転写紙上でフルカラー画像となる。このようにしてフルカラー画像が形成された転写紙は、紙搬送ベルト24の無端移動に伴って二次転写ニップを出た後、紙搬送ベルト24上から定着装置25に送られる。
【0021】
定着装置25は、定着ベルト26を2本のローラによって張架しながら無端移動せしめるベルトユニットと、このベルトユニットの一方のローラに向けて押圧される加圧ローラ27とを備えている。これら定着ベルト26と加圧ローラ27とは互いに当接して定着ニップを形成しており、紙搬送ベルト24から受け取った転写紙をここに挟み込む。ベルトユニットにおいける2本のローラのうち、加圧ローラ27から押圧される方のローラは、内部に図示しない熱源を有しており、これの発熱によって定着ベルト26を加圧する。加圧された定着ベルト26は、定着ニップに挟み込まれた転写紙を加熱する。この加熱やニップ圧の影響により、フルカラー画像が転写紙に定着せしめられる。
【0022】
定着装置25内で定着処理が施された転写紙は、プリンタ筐体の図中左側板の外側に設けたスタック部57上にスタックされるか、もう一方の面にもトナー像を形成するために上述の二次転写ニップに戻されるかする。
【0023】
図示しない原稿のコピーがとられる際には、例えばシート原稿の束が原稿自動搬送装置400の原稿台30上セットされる。但し、その原稿が本状に閉じられている片綴じ原稿である場合には、コンタクトガラス32上にセットされる。このセットに先立ち、複写機100本体に対して原稿自動搬送装置400が開かれ、スキャナ300のコンタクトガラス32が露出される。この後、閉じられた原稿自動搬送装置400によって片綴じ原稿が押さえられる。
【0024】
このようにして原稿がセットされた後、図示しないコピースタートスイッチが押下されると、スキャナ300による原稿読取動作がスタートする。但し、原稿自動搬送装置400にシート原稿がセットされた場合には、この原稿読取動作に先立って、原稿自動搬送装置400がシート原稿をコンタクトガラス32まで自動移動させる。原稿読取動作では、まず、第1走行体33と第2走行体34とがともに走行を開始し、第1走行体33に設けられた光源から光が発射される。そして、原稿面からの反射光が第2走行体34内に設けられたミラーによって反射せしめられ、結像レンズ35を通過した後、読取センサ36に入射される。読取センサ36は、入射光に基づいて画像情報を構築する。
【0025】
このような原稿読取動作と並行して、各プロセスカートリッジ18Y,M,C,K内の各機器や、転写手段たる中間転写ユニット17、二次転写装置22、定着装置25がそれぞれ駆動を開始する。そして、読取センサ36によって構築された画像情報に基づいて、光書込ユニット2が駆動制御されて、各感光体1Y,M,C,K上に、Y,M,C,Kトナー像が形成される。これらトナー像は、中間転写ベルト110上に重ね合わせ転写された4色トナー像となる。
【0026】
また、原稿読取動作の開始とほぼ同時に、給紙装置200内では給紙動作が開始される。この給紙動作では、給紙ローラ42の1つが選択回転せしめられ、ペーパーバンク43内に多段に収容される給紙カセット44の1つから転写紙が送り出される。送り出された転写紙は、分離ローラ45で1枚ずつ分離されて反転給紙路46に進入した後、搬送ローラ対47によって二次転写ニップに向けて搬送される。このような給紙カセット44からの給紙に代えて、手差しトレイ51からの給紙が行われる場合もある。この場合、手差し給紙ローラ50が選択回転せしめられて手差しトレイ51上の転写紙を送り出した後、分離ローラ52が転写紙を1枚ずつ分離してプリンタ部150の手差し給紙路53に給紙する。
【0027】
複写機100は、2色以上のトナーからなる他色画像を形成する場合には、中間転写ベルト110をその上部張架面がほぼ水平になる姿勢で張架して、上部張架面に全ての感光体1Y,M,C,Kを接触させる。これに対し、Kトナーのみからなるモノクロ画像を形成する場合には、図示しない機構により、中間転写ベルト110を図中左下に傾けるような姿勢にして、その上部張架面をY,M,C用の感光体1Y,M,Cから離間させる。そして、4つの感光体1Y,M,C,Kのうち、K用の感光体1Kだけを図中反時計回りに回転させて、Kトナー像だけを作像する。この際、Y,M,Cについては、感光体1Y,M,Cだけでなく、現像装置4Y,M,Cも駆動を停止させて、感光体や現像剤の不要な消耗を防止する。
【0028】
複写機100は、複写機100内の下記機器の制御を司るCPU等から構成される図示しない制御部と、液晶ディスプレイや各種キーボタン等などから構成される図示しない操作表示部とを備えている。操作者は、この操作表示部に対するキー入力操作により、制御部に対して命令を送ることで、転写紙の片面だけに画像を形成するモードである片面プリントモードについて、3つのモードの中から1つを選択することができる。この3つの片面プリントモードとは、ダイレクト排出モードと、反転排出モードと、反転デカール排出モードとからなる。
【0029】
次に、プロセスカートリッジ18Y,M,C,Kについて詳しく説明する。
図2は、4つプロセスカートリッジ18Y,M,C,Kのうちの1つが備える現像装置4及び感光体1を示す拡大構成図である。4つのプロセスカートリッジ18Y,M,C,Kは、それぞれ扱うトナーの色が異なる点の他がほぼ同様の構成になっているので、同図ではY,M,C,Kという添字を省略している。
【0030】
図2に示すように、プロセスカートリッジ18では、感光体1と、帯電器61と、クリーニング手段63とがケース64に一体的に収納されている。クリーニング手段63としては、感光体1に当接するクリーニングブレード63aとクリーニングローラ63bとを備えている。また、プロセスカートリッジ18では、感光体1に対向するように現像装置4が設置されている。この現像装置4に、装置本体に設けられたトナー補給装置34を動作させてトナーボトル33からトナー補給がおこなわれるように構成されている。
【0031】
現像装置4は、後述するように現像ローラ5上に現像剤を担持し、薄層化された状態で感光体1との対向部である現像領域まで搬送する。現像領域において、現像剤中のトナーTが、感光体1表面に形成された静電潜像に付着する。詳しくは、レーザ光Lが照射された画像部の潜像電位(露光電位)と、現像ローラ5に印加された現像バイアスとの、電位差(現像ポテンシャル)によって形成される電界によって、トナーTが潜像に付着する。その後、現像工程にて感光体1に付着したトナーTは、そのほとんどが中間転写ベルト110上に転写される。そして、感光体1上に残存した未転写のトナーTが、クリーニングブレード63a及びクリーニングローラ63bによってクリーニング手段63内部に回収される。
【0032】
つぎに、プロセスカートリッジに採用される現像装置4について説明する。
図3は、現像装置の一例をしめす断面図である。この現像装置4は、図3中矢印I方向に表面移動しながら感光体1の表面の潜像にトナーを供給し、現像する現像剤担持体としての現像ローラ5を備えている。また、現像ローラ5に供給された現像剤を現像に適した厚さに規制する現像剤規制部材としての現像ドクタ3を備えている。また、現像剤を収容する現像剤収容部として、供給回収搬送路13、攪拌搬送路10との二つの現像剤搬送路を有し、各搬送路に現像剤を搬送する現像剤搬送部材を備えている。
【0033】
供給回収搬送路13は、現像ローラ5に現像剤を供給するとともに、現像済みの現像剤を回収しながら図3の奥方向に現像剤を搬送する供給回収搬送部材としての供給回収スクリュ12を有している。すなわち、図3の現像装置4は、現像ローラ5への現像剤の供給と回収を1つの現像剤搬送路でおこなうものである。供給回収スクリュ12は、回転軸とこの回転軸に設けられた羽部とを備え、回転することにより軸方向に現像剤を搬送する現像剤搬送部材である。
【0034】
供給回収搬送路13に並列して、攪拌搬送路10を設けている。攪拌搬送路10は、現像剤を攪拌しながら供給回収スクリュ12とは逆方向である図中手前側に搬送する攪拌搬送部材としての攪拌スクリュ11を備えている。この攪拌スクリュ11も回転軸とこの回転軸に設けられた羽部とを備え、回転することにより軸方向に現像剤を搬送する現像剤搬送部材である。
供給回収搬送路13と攪拌搬送路10とは仕切り部材としての仕切り壁136によって仕切られている。仕切り壁136の供給回収搬送路13と攪拌搬送路10とを仕切る箇所は図中手前側と奥側との両端は開口部となっており、供給回収搬送路13と攪拌搬送路10とが連通している。また、攪拌搬送路10の搬送方向上流端部の上方に、トナーボトル33からトナーを補給するトナー補給口95を設けている。
【0035】
次に、図3の現像装置の現像剤収容部内での現像剤の循環について説明する。
図4は、現像剤収容部内の現像剤の流れを説明する現像装置4の模式図である。図4中の各矢印は現像剤の移動方向を示している。
【0036】
攪拌搬送路10から現像剤の供給を受けた供給回収搬送路13では、現像ローラ5に現像剤を供給しながら、供給回収スクリュ12の搬送方向下流側に現像剤を搬送する。供給回収搬送路13から現像ローラ5上に供給された現像剤は、現像ドクタ3により薄層化された状態で、感光体1との対向部である現像領域まで搬送され、現像を行う。また、供給回収搬送路13では、現像後の現像剤を回収しながら、供給回収スクリュ12の搬送方向下流側に現像剤を搬送する。供給回収搬送路13の搬送方向下流端まで搬送された現像剤は仕切り壁136の循環開口部96より攪拌搬送路10に供給される(図4中矢印Q)。
そして、攪拌搬送路10は、供給された現像剤を攪拌しながら、攪拌スクリュ11の搬送方向下流側であり、供給回収スクリュ12の搬送方向上流側に搬送し、仕切り壁136の供給開口部91より供給回収搬送路13に供給される(図4中矢印D)。
【0037】
このように、二つの現像剤搬送路で現像剤を互いに逆方向に搬送し、供給回収搬送路13の搬送方向下流端に到達した現像剤が循環開口部96を介して攪拌搬送路10の搬送方向上流端に受け渡され、攪拌搬送路10の搬送方向下流端に到達した現像剤が供給開口部91を介して供給搬送路9の搬送方向上流端に受け渡されることにより、現像装置4内を現像剤が循環する。そして、供給回収搬送路13内の現像剤が現像ローラ5の表面に供給され、現像ローラ5と感光体1との対向部である現像領域で現像に用いられる。そして、現像領域を通過した現像ローラ5上の現像剤は、供給回収搬送路13に回収される。なお、攪拌搬送路10の下方には、不図示のトナー濃度検知手段たるトナー濃度センサが設けられ、センサ出力によりトナー補給装置34を作動しトナー補給口95から攪拌搬送路10にトナーが供給される。
【0038】
図5は、現像装置の他の例をしめす断面図である。図5の現像装置4は、現像剤を収容する現像剤収容部として、回収搬送路7、供給搬送路9、攪拌搬送路10との三つの現像剤搬送路とを有する現像装置である。この現像装置4は、図5中矢印I方向に表面移動しながら感光体1の表面の潜像にトナーを供給し、現像する現像ローラ5と、現像ローラ5に供給された現像剤を現像に適した厚さに規制する現像ドクタ3とを備えている。
【0039】
供給搬送路9には、現像ローラ5に現像剤を供給しながら図3の奥方向に現像剤を搬送する供給搬送部材としての供給スクリュ8を有している。供給スクリュ8は、回転軸とこの回転軸に設けられた羽部とを備え、回転することにより軸方向に現像剤を搬送する現像剤搬送部材である。
【0040】
現像ローラ5の感光体1との対向部である現像部から表面移動方向下流側には、現像部を通過した現像済みの現像剤を回収し、回収した回収現像剤を供給スクリュ8と同方向に搬送する回収搬送部材としての回収スクリュ6を備えている。供給スクリュ8を備えた供給搬送路9は現像ローラ5の横方向に、回収スクリュ6を備えた回収搬送路としての回収搬送路7は現像ローラ5の下方に並設されている。この回収スクリュ6も回転軸とこの回転軸に設けられた羽部とを備え、回転することにより軸方向に現像剤を搬送する現像剤搬送部材である。
【0041】
現像装置4は、供給搬送路9の下方で回収搬送路7に並列して、攪拌搬送路10を設けている。攪拌搬送路10は、現像剤を攪拌しながら供給スクリュ8とは逆方向である図中手前側に搬送する攪拌搬送部材としての攪拌スクリュ11を備えている。この攪拌スクリュ11も回転軸とこの回転軸に設けられた羽部とを備え、回転することにより軸方向に現像剤を搬送する現像剤搬送部材である。
【0042】
供給搬送路9と攪拌搬送路10とは仕切り部材としての第一仕切り壁133によって仕切られている。第一仕切り壁133の供給搬送路9と攪拌搬送路10とを仕切る箇所は図中手前側と奥側との両端は開口部となっており、供給搬送路9と攪拌搬送路10とが連通している。なお、供給搬送路9と回収搬送路7とも第一仕切り壁133によって仕切られているが、第一仕切り壁133の供給搬送路9と回収搬送路7とを仕切る箇所には開口部を設けていない。また、攪拌搬送路10と回収搬送路7との2つの搬送路は仕切り部材としての第二仕切り壁134によって仕切られている。第二仕切り壁134は、図中手前側が開口部となっており、攪拌搬送路10と回収搬送路7とが連通している。このように、現像装置4では、現像剤を収容する現像剤収容部を供給搬送路9、回収搬送路7及び攪拌搬送路10によって構成する。
【0043】
次に、図5の現像装置の現像剤収容部内での現像剤の循環について説明する。
図6は、現像剤収容部内の現像剤の流れを説明する現像装置4の模式図である。図6中の各矢印は現像剤の移動方向を示している。
【0044】
攪拌搬送路10から現像剤の供給を受けた供給搬送路9では、現像ローラ5に現像剤を供給しながら、供給スクリュ8の搬送方向下流側に現像剤を搬送する。そして、現像ローラ5に供給され現像に用いられず供給搬送路9の搬送方向下流端まで搬送された余剰現像剤は第一仕切り壁133の余剰開口部92より攪拌搬送路10に供給される(図6中矢印E)。
一方、供給搬送路9から現像ローラ5上に供給された現像剤は、現像ドクタ3により薄層化された状態で、感光体1との対向部である現像領域まで搬送され、現像を行う。現像後の現像ローラ5上の現像剤は回収搬送路7にて回収を行い、回収スクリュ6によって回収搬送路7の搬送方向下流端まで搬送された回収現像剤は第二仕切り壁134の回収開口部93より攪拌搬送路10に供給される(図6中矢印F)。
そして、攪拌搬送路10は、供給された余剰現像剤と回収現像剤とを攪拌し、攪拌スクリュ11の搬送方向下流側であり、供給スクリュ8の搬送方向上流側に搬送し、第一仕切り壁133の供給開口部91より供給搬送路9に供給される(図6中矢印D)。
なお、攪拌搬送路10の下方には、不図示のトナー濃度検知手段たるトナー濃度センサが設けられ、センサ出力によりトナー補給装置34を作動し、後述するトナー補給口から攪拌搬送路10にトナーが供給される。
【0045】
図5の現像装置4では、供給搬送路9と回収搬送路7とを備え、現像剤の供給と回収とを異なる現像剤搬送路で行うので、現像済みの現像剤が供給搬送路9に混入することがない。よって、供給搬送路9の搬送方向下流側ほど現像ローラ5に供給される現像剤のトナー濃度が低下することを防止することができる。また、回収搬送路7と攪拌搬送路10とを備え、現像剤の回収と攪拌とを異なる現像剤搬送路で行うので、現像済みの現像剤が攪拌の途中に落ちることがない。よって、十分に攪拌がなされた現像剤が供給搬送路9に供給されるため、供給搬送路9に供給される現像剤が攪拌不足となることを防止することができる。このように、供給搬送路9内の現像剤のトナー濃度が低下することを防止し、供給搬送路9内の現像剤が攪拌不足となることを防止することができるので現像時の画像濃度を一定にすることができる。
【0046】
さらに、図5の現像装置4において、現像装置4から現像剤を徐々に排出する排出搬送路2を設けると共に、トナーボトル33からキャリアとトナーとを混合したプレミックストナーを補給することもできる。これにより、キャリア劣化による現像剤交換回数を減らして、メンテナンスを容易にすることができる。具体的には、現像装置4に、供給搬送路9の搬送方向下流側に通過した現像剤が現像装置4の装置外に排出搬送路2を介して排出される排出開口部としての現像剤排出口94を設ける。現像剤排出口94を通過した現像剤は排出搬送路2に受け渡され、排出搬送部材である排出スクリュ2aが回転することによって現像装置4の装置外に搬送され、現像装置4からの排出がなされる。排出搬送路2は、供給搬送路9の搬送方向下流側で排出仕切り壁135を挟んで供給搬送路9と隣り合うように配置され、現像剤排出口94は供給搬送路9と排出搬送路2とを連通するように排出仕切り壁135に設けられた開口である。
【0047】
また、現像装置4は、供給搬送路9の搬送方向下流端近傍に到達し、循環開口部である余剰開口部92に入らなかった現像剤を余剰開口部92の近傍で滞留させる現像剤滞留手段80を備えている。さらに、排出開口部である現像剤排出口94は、余剰開口部92よりも上方で、且つ、現像剤滞留手段80によって滞留した滞留現像剤のうち、現像剤排出口94の位置に達した現像剤を通過させるように配置されている。言い換えると、供給搬送路9の搬送方向下流端近傍に到達した現像剤で、余剰開口部92に入ることができず、余剰開口部92から溢れ出た余剰現像剤が現像剤滞留手段80によって塞き止められ滞留現像剤となる。そして、この滞留現像剤の嵩が増加したときに、余剰開口部92よりも上方に設けられた現像剤排出口94に到達した現像剤が現像剤排出口94を通って現像装置4の装置外に排出される。
【0048】
このように、現像装置4から現像剤を徐々に排出する構成では、トナー補給装置34を作動し、トナーボトル33からトナー補給口95を介してキャリアとトナーとを混合したプレミックストナーを補給する。このようにして、劣化したキャリアを徐々に排出しつつ新しいキャリアを現像剤収容部に補給して、現像剤収容部内のキャリアを入れ替る。このため、現像装置の現像能力の低下を抑制することができるが、長期的に見ると、このようなキャリアの入れ替えで、キャリア劣化による現像剤交換回数を減らすことはできるが、現像剤交換の必要性は残っている。
【0049】
次に、現像装置4で現像剤搬送路へのトナーを補給する位置について説明する。図7は、現像装置4の外観斜視図である。図7に示すように、トナーを補給するトナー補給口95を攪拌スクリュ11を備える攪拌搬送路10の搬送方向上流端部の上方に設けている。このトナー補給口95は現像ローラ5の幅方向端部よりも外側に設けてあるので、現像領域幅よりも外側となっている。また、図5の現像装置では、トナー補給口95としては、攪拌搬送路10の搬送方向上流端部の上方に限らず、回収搬送路7の下流端部の上方に設けても良い。さらに、回収搬送路7から攪拌搬送路10へ現像剤の受渡しを行う箇所である回収開口部93の真上にトナー補給口95を設けるようにしても良い。攪拌搬送路10の下方に設けられたトナー濃度センサ(不図示)の出力に応じて、上述のトナー補給装置34を動作させ、トナーボトル33からトナー補給口95を介して、現像剤搬送路へトナーを補給する。
【0050】
次に、複写機がユーザーのもとに搬送されたときにおける初期作業やキャリア劣化による現像剤交換時における、現像装置4の現像剤搬送路への現像剤充填について説明する。
まず、現像剤充填時は、複写機100の前面ドアを開けるとともに、装置の主電源をOFFにする。装置本体の側板には、上述のトナー補給装置34がネジ固定されている。このネジ固定されているトナー補給装置34を装置本体から取り外すと、図8に示すように、各現像装置4のトナー補給口95が露出する。次に、中間ベルト接離機構144により、中間転写ベルト110を図中左下に傾けるような姿勢にして、その上部張架面をY,M,C,K用の感光体1Y,M,C,Kから離間させる。そして、図9に示すように、現像剤を収容した現像剤ボトル180の現像剤補給口が、トナー補給口95に合わさるように、現像剤ボトル180をセットする。
【0051】
複写機100がユーザーのもとに搬送されたときにおける初期作業においては、Y,M,C,Kの4つの現像剤ボトル180をそれぞれ対応する色のトナー補給口95にセットする。キャリア劣化時での現像剤の交換作業においては、古い現像剤を回収した現像装置4のトナー補給口95に現像剤ボトル180をセットする。この状態で、現像剤ボトル180の補給口をシールしている不図示のヒートシールを剥がして、複写機100の前面ドアを閉じて、装置の主電源をONにする。次に、図示しない操作表示パネルから隠しメニューを呼び出して、現像剤ボトル180をセットした色に対応する色を選択して、現像剤充填モードを実行する。複写機100がユーザーのもとに搬送されたときにおける初期作業においては、全色を選択して、現像剤充填モードを実行する。全色を選択して現像剤充填モードを実施する場合には、それぞれを順々に実施してもよいし、全色同時に実施しても良い。また、特定の色を選択して、特定色だけの剤充填を実施することもできる。
【0052】
図10は、図3の現像装置を採用したプロセスカートリッジ18に現像剤ボトル180をセットしたときの概略構成図である。現像剤充填モード実施中は、現像装置4の現像モータ(不図示)を駆動して、現像ローラ5と、攪拌スクリュ11と、供給回収スクリュ12とを駆動する。また、図5の現像装置を採用したプロセスカートリッジ18では、現像剤充填モード実施中は、現像装置4の現像モータ(不図示)を駆動して、現像ローラ5と、回収スクリュ6と、供給スクリュ8と、攪拌スクリュ11とを駆動する。これにより、トナー補給口95から供給される現像剤ボトル180内の現像剤を搬送して、現像装置4の現像剤搬送路内に現像剤を行き渡らせる。本実施形態では、現像剤充填モード実施中は、現像装置4を連続的に駆動して現像剤収容部内の現像剤搬送部材を作動させ続けながら現像剤を充填するので、短時間で現像剤を現像剤収容部内に行き渡るように充填することができる。
【0053】
また、現像剤充填モード実施中は、感光体1を間欠的に駆動する。現像剤充填モードでは、現像ローラ5も駆動されているので、現像ローラ5上にも新しい現像剤が供給される。そこで、感光体1を間欠的に駆動することにより、現像ローラ5に付着した新しい現像剤が感光体1の特定部分だけに長い時間接触することを回避して、感光体1に傷が付くことを防止できる。また、感光体1を連続的に駆動しないので、感光体1とクリーニングブレード63aとが長時間摺擦し続けることを抑制して、ブレードめくれの発生を抑制することができる。これにより、ブレードめくれの発生の防止にクリーニングブレード63aに入力する無駄なトナー消費を抑えることができる。
【0054】
また、ブレードのめくれの発生をさらに確実に防止するために、ある程度現像剤が充填された時点で、感光体1上に帯状のトナー像を形成し、クリーニングブレード63aにトナーが入力されるようにすることもできる。このクリーニングブレード63aへのトナーの入力量は、トナー像のトナー付着量やトナー像の大きさによって調整することができる。この場合も、感光体1を連続的に駆動した場合に比べて、ブレードめくれの発生の防止にクリーニングブレード63aに入力する無駄なトナー消費を抑えることができる。
【0055】
このようにして、現像剤ボトル180内の現像剤が全て現像装置4へ充填され、現像剤充填モードを終了する。そして、装置の主電源をOFFにし、前面ドアを開けて、現像剤ボトル180を外し、トナー補給装置34を元のように装置本体に取り付ける。次に、中間ベルト接離機構144aにより、中間転写ベルト110の上部張架面をY,M,C,K用の感光体1Y,M,C,Kから離間させた状態から、Y,M,C用の感光体1Y,M,Cを離間させてK用の感光体1Kを接触させた状態にして、前ドアを閉める。
【0056】
なお、この説明では、初期現像剤の投入は、補給用トナーの補給口95から行っているが、初期現像剤専用の投入口を設け、そこから投入しても良い。また、ここでは、現像剤ボトル180をトナー補給口95に固定して現像剤の投入から自動で行っているが、ガゼット袋などから手動で投入するようにしてもよい。
【0057】
このようにして、現像剤充填モードで感光体1とクリーニングブレード63aとが続けて摺擦する時間を短くしてブレードめくれが発生し難い状況としている。さらに、ブレードのめくれの発生を確実に防止するために、感光体1上に帯状のトナー像を形成してクリーニングブレード63aに入力する場合も、クリーニングブレード63aへのトナーの入力量は、感光体1を連続的に駆動した場合に比べて少なくなるよう調整される。
【0058】
感光体1上に帯状のトナー像を形成しクリーニングブレード63aに入力するトナー量調整のために、プロセスカートリッジ18における現像パラメータと感光体1上のトナー付着量との関係について説明する。
図11は、静電潜像が形成された感光体1の表面電位を示すグラフであり、露光された画像部のみ電位が変化している。説明を簡単にするため、画像はベタ画像とし、そのときの画像部表面電位をVL、非画像部の電位をVdとする。このような表面電位を有する感光体1と、現像剤を担持しながら感光体1よりも速い速度で回転する現像ローラ5とが現像領域で対向する。現像ローラ5には現像バイアスとして直流または交流の電圧が印加されており、現像ローラ5上の現像剤から感光体1の画像部にトナーが供給されて付着し可視像となる。
【0059】
このとき、図11で示す現像バイアスVBと潜像電位VLの差の絶対値である現像ポテンシャル|VB−VL|の大きさにより感光体1上のトナー付着量を変化させることができる。図12は、現像ポテンシャル|VB−VL|とトナー付着量M/Aの関係である現像能力を示すグラフである。なお、図12では、現像バイアスとして直流電圧の場合を示した。
【0060】
感光体上のトナー付着量(M/A)を変化させる方法として、1)露光装置での露光時に露光エネルギーを増加させて、露光部電位VLを下げる(0方向に近づける)、2)現像バイアスVBを上げる(VLから遠ざける)、3)1)と2)の両方を実施する、が挙げられる。
【0061】
1)の実施方法としては、例えば露光装置(LDおよびLED)の点灯時間を長くしたり、発光強度を上げたりすることで実現でき、現像条件を変更する必要はないというメリットがある。また、2)の実施方法としては、非画像部電位と現像バイアス電位の差を適性に保ちながら行うことで、地肌汚れを起こすことなくトナー付着量を増加できる。このような方法で感光体1上にトナー付着量を調整したトナー像を感光体の長手方向全域に形成し、クリーニングブレード63aへ入力するトナー量を調整する。また、形成するトナー像の感光体1の周方向の長さを調整することによりトナー入力量を変化させることもできる。
【0062】
また、地肌部付着トナー(非画像部付着トナー)を多くすることにより、クリーニング入力用のトナー画像を形成せずに、ブレードめくれを防止のためのトナーをクリーニングブレード63aに入力することもできる。地肌部付着トナー量は、図11に示す非画像部バイアスVdと現像バイアスVBの差の絶対値である地肌ポテンシャル|VB−Vd|の大きさにより変化させることができる。この値が大きくなれば地肌部付着トナー量は多くなり、小さくなれば少なくなる。但し大きくしすぎると、キャリアが現像して感光体やブレードを損傷する場合があるため、大きくしすぎないことが好ましい。
【0063】
いずれの方法でも、ブレードめくれの発生を確実に防止するために、クリーニングブレード63aにトナーを入力するが、感光体1を間欠的に駆動することにより、連続的に駆動した場合に比べて、クリーニングブレード63aへのトナーの入力量を少なくすることができる。よって、無駄なトナー消費を抑えることができる。
【0064】
以下、実施例1〜6、および、比較例1、2を説明する。また、表1は実施例1〜6、および、比較例1、2における、クリーニングブレードのめくれ発生の有無と、感光体駆動モータのトルクと、異常画像の有無をまとめたものである。
【0065】
<実施例1>
図3の現像剤収容部が、供給回収搬送路12と攪拌搬送路10との二つの現像剤搬送路からなる現像装置をリコー製 imagio MP C7500に装着した。この現像装置4は、現像ローラ5は外径が25mmであり、線速562mm/secで回転する。現像ローラ5と現像ドクタ3とのギャップは0.3±0.04mmに設定され、現像ドクタ3を通過した現像剤が38±5mg/cmの薄層となっている。感光体1は直径60mmであり、線速352.8mm/secで回転する。現像領域における現像ローラ5と感光体1のとのギャップは0.3±0.05mmとなるように設定されている。
【0066】
上記条件の複写機100で、480gの現像剤を充填するために現像剤充填モードを実施した。現像剤充填モード実施中は、現像装置4の駆動を連続的に行い、感光体1は、2sec停止、2sec駆動を8回繰り返して行い、32secかけて現像剤の充填を終了した。図13に、現像駆動モータ(不図示)と感光体駆動モータ(不図示)の駆動タイミングチャートを示す。
【0067】
図15は、現像剤充填実施モードの感光体1の間欠駆動で現像ローラ5と対向する感光体位置および現像剤接触範囲をしめした図である。実施例1の感光体1の間欠駆動では、現像剤充填実施モードに、図15(a)に示すような位置で感光体表面は現像ローラ5と対向し、現像ローラ5上の現像剤と約2mm幅で接触する。この間欠駆動により、感光体駆動合計時間が短くなる。さらに、感光体1の表面が現像剤と接触する位置をずらすことができ、感光体1の特定表面が現像剤と接触する時間を短くすることができる。
【0068】
また、現像剤充填モード中の感光体駆動時は、地肌部ポテンシャルが100Vとなるように感光体1と現像ローラ5とにバイアスを印加しているが、クリーニングブレード63aにトナーを入力するための画像は作成していない。このような条件でも、現像剤充填モード実施中にクリーニングブレード63aがめくれることはなかった。
【0069】
また、現像剤充填モード実施中、感光体駆動モータ(不図示)のトルクを測定している。通常画像形成時は、感光体駆動モータのトルクは0.7Nm付近である。感光体表面とクリーニングブレード63aの摩擦力が大きくなると、トルクが大きくなる傾向があり、1.3Nm以上になるとブレードめくれが発生することがあることが解っている。従って、現像剤充填モード実施中に感光体駆動モータのトルクは、1.3Nmより小さいことが必要である。本実施例では、現像剤充填モード実施中の感光体駆動モータのトルクは、ブレードめくれが発生する可能性のある値1.3Nmより小さい値の1.1Nmであった。また、現像剤充填モード終了後にベタ画像およびハーフトーン画像を形成した。感光体1やクリーニングブレード63aに損傷があると、感光体周期での濃度むらや縦筋などの異常画像が発生する場合があるが、実施例1では異常画像の発生はなかった。
【0070】
<実施例2>
実施例1と同じ画像形成装置で、480gの現像剤を充填するために現像剤充填モードを実施した。現像剤充填モード実施中は、現像装置4の駆動を連続的に行い、感光体1は、2.95sec停止、0.05sec駆動を10回繰り返して行い、30secかけて現像剤の充填を終了した。実施例2の感光体1の間欠駆動では、図15(b)に示すように、現像剤充填モード実施中に、感光体表面は現像ローラ5と少しずつ、ずれながら対向していきってほぼ1周する。この間欠駆動による感光体駆動距離は短くなり、現像剤充填モード実施中にクリーニングブレード63aがめくれることはなかった。また、感光体停止合計時間が長くなり、感光体の特定表面が現像剤と接触する時間は実施例1よりも長くなるが、感光体駆動モータのトルクは、0.9Nmであり、現像剤充填モード終了後のベタ画像およびハーフトーン画像に異常画像の発生はなかった。
【0071】
<実施例3>
実施例1と同じ画像形成装置で、480gの現像剤を充填するために現像剤充填モードを実施した。現像剤充填モード実施中は、現像装置4の駆動を連続的に行い、感光体1は、2.5sec停止、0.534sec駆動を10回繰り返して行い、現像剤の充填を終了した。実施例3の感光体1の間欠駆動では、現像剤充填モード実施中に、感光体1は1回の駆動でほぼ1周して、図15(c)のように停止のたびにほぼ同じ感光体表面が現像ローラと対向して、この部分だけが他の部分よりも多く現像剤と接触する。しかし、停止時間の合計はずっと停止している場合に比べれば少なく、感光体表面に傷がついたり、フィルミングが発生したりすることはない。また、現像剤充填モード実施中にクリーニングブレード63aがめくれることはなく、感光体駆動モータのトルクは、0.9Nmであり、現像剤充填モード終了後のベタ画像およびハーフトーン画像に異常画像の発生はなかった。
【0072】
<比較例1>
実施例1と同じ画像形成装置で、480gの現像剤を充填するために現像剤充填モードを実施した。現像剤充填モード実施中は、現像装置4の駆動を連続的に行い、感光体1の駆動も連続的に行い、約30秒で現像剤の充填を終了した。図14に、現像駆動モータ(不図示)と感光体駆動モータ(不図示)の駆動タイミングチャートを示す。また、現像剤充填モード中の感光体駆動時は、地肌部ポテンシャルが100Vとなるように感光体1と現像ローラ5とにバイアスを印加しているが、クリーニングブレード63aにトナーを入力するための画像は作成していない。現像剤充填モード実施中にクリーニングブレード63aがめくれることはなかった。しかし、感光体駆動モータのトルクは1.4Nmと高く、めくれの発生はなかったが、めくれに対して余裕がない状態である。また、現像剤充填モード終了後のベタ画像およびハーフトーン画像に異常画像の発生はなかった。
【0073】
<実施例4>
図5の現像剤収容部が、回収搬送路7と、供給搬送路9と、攪拌搬送路10との三つの現像剤搬送路からなる現像装置をリコー製 imagio MP C7500に装着した。この現像装置4は、現像ローラ5は外径が25mmであり、線速562mm/secで回転する。現像ローラ5と現像ドクタ3とのギャップは0.27±0.03mmに設定され、現像ドクタ3を通過した現像剤が27±3mg/cmの薄層となっている。感光体1は直径60mmであり、線速352.8mm/secで回転する。現像領域における現像ローラ5と感光体1とのギャップは0.225±0.025mmとなるように設定されている。
【0074】
上記条件の複写機100で、650gの現像剤を充填するために現像剤充填モードを実施した。現像剤充填モード実施中は、現像装置4の駆動を連続的に行い、感光体1は、2sec停止、2sec駆動を10回繰り返して行い、40secかけて現像剤の充填を終了した。
【0075】
実施例4の感光体1の間欠駆動では、現像剤充填実施モードに、図15(d)に示すような位置で感光体表面は現像ローラ5と対向し、現像ローラ5上の現像剤と約3mm幅で接触する。この間欠駆動により、感光体駆動合計時間が短くなる。さらに、感光体1の表面が現像剤と接触する位置をずらすことができ、感光体1の特定表面が現像剤と接触する時間を短くすることができる。なお、感光体1の現像剤が接触する位置は近い場合があるが、現像剤充填モード実施中に同じ表面が2回以上現像剤と接触することはない。
【0076】
また、現像剤充填モード中の感光体駆動時は、地肌部ポテンシャルが100Vとなるように感光体1と現像ローラ5とにバイアスを印加した。さらに、3回目の感光体駆動時からは、駆動のたびに感光体1上にトナー像を形成した。形成するトナー像は長手方向の全域で周方向の長さが22mmの帯状のトナー画像であり、感光体上のトナー付着量が約0.5g/cmとなる現像ポテンシャルで形成した。このようなトナー像をクリーニングブレード63aに入力した。実施例4の現像装置4は、実施例1、2、3で使用された現像装置4より現像剤搬送路が長いため、現像剤収容部内に現像剤が充填され、そのバランスが安定するまでの時間が長くなる。しかし、実施例4の現像剤充填実施モード中にクリーニングブレード63aがめくれることはなかった。また、感光体駆動モータのトルクは、0.8Nmであり、現像剤充填モード終了後のベタ画像およびハーフトーン画像に異常画像の発生はなかった。
【0077】
<比較例2>
実施例4と同じ画像形成装置で、650gの現像剤を充填するために現像剤充填モードを実施した。現像剤充填モード実施中は、現像装置4の駆動を連続的に行い、感光体1の駆動も連続的に行い、約40秒で現像剤の充填を終了した。また、現像剤充填モード中の感光体駆動時は、地肌部ポテンシャルが100Vとなるように感光体1と現像ローラ5とにバイアスを印加した。さらに、現像剤充填モード開始から20sec後からは、駆動のたびに感光体1上にトナー像を形成した。形成するトナー像は長手方向の全域で周方向の長さが353mmの帯状のトナー画像であり、感光体上のトナー付着量が約0.5g/cmとなる現像ポテンシャルで形成した。このようなトナー像をクリーニングブレード63aに入力した。このため、現像剤充填モード中にクリーングブレード63aのめくれが発生することはなかったが、トナーの消費量は実施例4よりも多くなった。比較例2では、現像ローラ5駆動中に感光体1も連続して駆動しており、感光体1の特定表面だけに現像剤が接触することがないため、感光体1に傷が付くことはなく、現像剤充填モード終了後のベタ画像およびハーフトーン画像に異常画像の発生はなかった。
【0078】
<実施例5>
実施例4と同じ画像形成装置で、650gの現像剤を充填するために現像剤充填モードを実施した。現像剤充填モード実施中は、現像装置4の駆動を連続的に行い、感光体1は、3.35sec停止、0.65sec駆動を10回繰り返して行い現像剤の充填を終了した。実施例5の感光体1の間欠駆動では、図15(e)に示すような位置で感光体表面は現像ローラ5と対向し、現像ローラ5上の現像剤と約3mm幅で接触する。感光体1の表面が現像剤と接触する位置をずらすことができ、感光体1の特定表面が現像剤と接触する時間を短くすることができる。また、現像剤充填モード実施中に同じ表面が2回以上現像剤と接触することはない。
【0079】
また、現像剤充填モード中の感光体駆動時は、地肌部ポテンシャルが100Vとなるように感光体1と現像ローラ5とにバイアスを印加した。さらに、3回目の感光体駆動時からは、駆動のたびに感光体1上にトナー像を形成した。形成するトナー像は長手方向の全域で周方向の長さが5mmの帯状のトナー画像であり、感光体上のトナー付着量が約0.5g/cmとなる現像ポテンシャルで形成した。このようなトナー像をクリーニングブレード63aに入力した。実施例5の現像剤充填実施モード中にクリーニングブレード63aがめくれることはなかった。実施例5では、クリーニングブレード63aへ入力するトナー量は実施例4よりも少ないが、感光体駆動モータのトルクは0.8Nmと同じである。これは、感光体駆動時間が短いため、クリーニングブレード63aへのトナー入力量が少なくても感光体とクリーニングブレード63aとの摩擦力が大きくならず、ブレードめくれに対して余裕がある状態となった。一方、実施例4よりも感光体停止時間が長いが、感光体表面に傷ついたりフィルミングが発生したりするほどまでに長くないため、現像剤充填モード終了後のベタ画像およびハーフトーン画像に異常画像の発生はなかった。
【0080】
<実施例6>
実施例4と同じ画像形成装置で、650gの現像剤を充填するために現像剤充填モードを実施した。現像剤充填モード実施中は、実施例5と同様に、現像装置4の駆動を連続的に行い、感光体1は、0.65sec駆動、3.35sec停止を10回繰り返して行い現像剤の充填を終了した。このため、実施例6の感光体1の間欠駆動では、図15(e)に示すような位置で感光体表面は現像ローラ5と対向し、現像ローラ5上の現像剤と約3mm幅で接触する。感光体1の表面が現像剤と接触する位置をずらすことができ、感光体1の特定表面が現像剤と接触する時間を短くすることができる。また、現像剤充填モード実施中に同じ表面が2回以上現像剤と接触することはない。
【0081】
また、現像剤充填モード中の感光体駆動時は、地肌部ポテンシャルが150Vとなるように感光体1と現像ローラ5とにバイアスを印加しているが、クリーニングブレード63aにトナーを入力するための画像は作成していない。実施例6の条件でも、現像剤充填モード実施中にクリーニングブレード63aがめくれることはなかった。また、感光体駆動モータのトルクは0.8Nmと実施例5と同じであり、めくれに対して十分に余裕のある値であった。実施例6のように、感光体駆動が間欠的におこなうもので、駆動時間の合計が短い場合には、トナー像を形成せずに地肌部に付着するトナーをやや多くする程度でも、感光体1とクリーニングブレード63aとの摩擦力を増大させないためのトナー量として十分である。また、現像剤充填モード終了後のベタ画像およびハーフトーン画像に異常画像の発生はなかった。
【表1】

【0082】
以上、本実施形態によれば、感光体1と現像装置4とを装置内に装着した状態で、現像剤ボトル180より現像剤収容部に現像剤を充填する現像剤充填モードを有する画像形成装置において、現像剤充填モード実施中は現像装置4の駆動を連続的に行い、且つ、感光体1の駆動を間欠的におこなう。現像装置4を連続的に駆動して現像剤収容部内の現像剤搬送部材を動作させ続けながら現像剤を充填するので、短時間で現像剤を現像剤収容部内に行き渡るように充填することができる。このため、現像剤充填モード自体を短時間とすることができる。さらに、現像剤充填モードで感光体1を駆動して、現像ローラ5に付着した現像剤が感光体1の特定部分だけに長い時間接触して感光体1を傷つけてしまうことを防止する。この際、感光体を間欠的に駆動することより、感光体1とクリーニングブレード63aとが長時間摺擦し続けないようにして、ブレードめくれを発生し難い状況とすることができる。このため、従来、ブレードめくれの抑制のために行われていたクリーニングブレード63aへのトナー入力によらずともブレードめくれの抑制ができ、無駄なトナーの消費を抑えられる。
【0083】
また、本実施形態によれば、現像剤充填モード実施中の感光体1の間欠停止時に、感光体1の同一箇所が現像ローラ5と対向しないように感光体1を駆動する。これにより、感光体停止時に現像ローラと対向する感光体表面が特定部分に集中しないようにする。感光体停止時に現像ローラ5と対向する部分が偏りなく変わることにより、感光体1表面のうち現像剤と接触する面積は増えるが、現像剤と接触する時間は分散されて減少する。このため、現像剤が感光体1に接触することによる傷を効果的に抑制できる。
【0084】
また、本実施形態によれば、現像剤充填モード実施中の感光体1の間欠停止時間が間欠駆動時間より長くする。上述のように、感光体1を間欠駆動とし、さらに、現像ローラ5と対向する感光体表面を特定部分に偏らないようにすると、感光体停止時に感光体表面が傷つきにくくなる。このため、停止時間を駆動時間より長くしても傷つきにくくなる。この結果、相対的に感光体1の駆動時間が短くなり、ブレードめくれが発生しにくい状態とすることができる。
【0085】
また、本実施形態によれば、感光体1の間欠駆動時に感光体1上にクリーニングブレード63aへ供給するためのトナー像を形成する。これにより、さらにブレードめくれが発生しにくい状態となる。この場合も、クリーニングブレード63aへのトナーの入力量は、感光体1を連続的に駆動した場合に比べ少なくて済むので、無駄なトナーの消費を抑えることができる。
【0086】
また、本実施形態によれば、感光体1の1回の間欠駆動時に、感光体を1周以上駆動する。感光体の駆動時間があまりにも短すぎると制御が難しく、また、駆動されても実際は感光体表面が移動できない場合もある。このため、感光体の同じ表面が長い時間、現像剤と接触してしまう虞がある。そこで、感光体1を1回転以上することにより、同じ表面が現像ローラ5と対向しないように調整しやすくできる。
【0087】
また、本実施形態によれば、感光体1の間欠駆動時に、感光体1の地肌部電位を作像時の地肌部電位より大きくする。地肌電位を大きくして地肌ポテンシャルを大きくすると、地肌部に付着するトナーが多くなるため、トナー像を形成しなくてもある程度のトナーがクリーニングブレードに入力できる。本実施形態では、現像剤充填モード実施中の駆動時間が短いために、この程度のトナー供給量でブレードめくれを防止することができる。
【0088】
また、本実施形態によれば、現像装置4の現像剤収容部は、回収搬送路7、供給搬送路9、攪拌搬送路10との三つの現像剤搬送路からなり、それぞれの搬送路内に現像剤搬送部材を設けたものである。このような形態の現像装置4は、現像剤搬送経路が長く一方向循環であるため、現像剤のバランスが平衡状態となるまでに時間がかかりやすい。このように現像剤充填終了までに時間が長くかかりやすい現像装置において、特に有効であり、無駄なトナー消費を抑えつつ潜像担持体やクリーニングブレードの破損を抑制できる。
【符号の説明】
【0089】
1 感光体
2 排出搬送路
2a 排出スクリュ
3 現像ドクタ
4 現像装置
5 現像ローラ
6 回収スクリュ
7 回収搬送路
8 供給スクリュ
9 供給搬送路
10 攪拌搬送路
11 攪拌スクリュ
12 供給回収スクリュ
13 供給回収搬送路
17 中間転写ユニット
18 プロセスカートリッジ
21 光書込ユニット
22 二次転写装置
25 定着装置
33 トナーボトル
34 トナー補給装置
49 レジストローラ対
61 帯電器
62 一次転写バイアスローラ
63 クリーニング手段
63a クリーニングブレード
63b クリーニングローラ
80 現像剤貯留手段
91 供給開口部
92 余剰開口部
94 排出開口部(現像剤排出口)
95 トナー補給口
96 循環開口部
100 複写機
110 中間転写ベルト
133 第一仕切り壁
134 第二仕切り壁
135 排出仕切り壁
136 仕切り壁
144 中間ベルト接離機構
150 プリンタ部
180 現像剤ボトル
200 給紙装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0090】
【特許文献1】特開2009−122619号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアとトナーからなる現像剤を収容する現像剤収容部と、該現像剤収容部内で現像剤を搬送する現像剤搬送部材と、該現像剤を担持して潜像担持体との対向部まで搬送し、該潜像担持体上の潜像を現像する現像剤担持体とを有する現像装置と、該潜像担持体表面に当接して付着物を除去するクリーニングブレードとを備え、該潜像担持体と該現像装置とを装置内に装着した状態で該現像装置と該潜像担持体とを駆動して現像剤充填容器より該現像剤収容部に現像剤を充填する現像剤充填モードを有する画像形成装置において、
上記現像剤充填モード実施中は上記現像装置の駆動を連続的に行い、且つ、上記潜像担持体の駆動を間欠的におこなうことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、上記現像剤充填モード実施中の上記潜像担持体の間欠停止時に、該潜像担持体の同一箇所が上記現像剤担持体と対向しないように該潜像担持体を駆動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2の画像形成装置において、上記潜像担持体の間欠停止時間が間欠駆動時間より長いことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1、2または3の何れかの画像形成装置において、上記潜像担持体の間欠駆動時に該潜像担持体上に上記クリーニングブレードへ供給するためのトナー像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4の何れかの画像形成装置において、上記潜像担持体の1回の間欠駆動時に、該潜像担持体を1周以上駆動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1、2、3または5の何れかの画像形成装置において、上記潜像担持体の間欠駆動時に、該潜像担持体の地肌部電位を作像時の地肌部電位より大きくすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5または6の何れかの画像形成装置において、上記現像剤収容部は、現像剤撹拌搬送路、現像剤供給搬送路、現像剤回収搬送路からなり、それぞれの搬送路内に現像剤搬送部材を設けたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−145600(P2011−145600A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8062(P2010−8062)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】