説明

画像形成装置

【課題】駆動ロ−ラー及びテンションローラー等により張架されて搬送されるベルトを有する画像形成装置において、複雑な機構を設けることなくベルトの蛇行を抑制することによって、安定したベルトの駆動を実現した画像形成装置を提供する。
【解決手段】中間転写ベルト17の蛇行方向Dに対して反対方向である補正方向側の中間転写ベルト17の外周面上に、蛇行補正物質としてのトナーにより構成される画像パターンGPを担持させ、画像パターンGPがクリーニングブレード181の当接部1811で掻き取られることで、蛇行方向Dと逆方向である補正方向に中間転写ベルト17がシフトし、中間転写ベルト17の蛇行が補正される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
駆動ロ−ラー及びテンションローラー等により張架されて搬送されるベルトを有する画像形成装置において、各ローラーの平行度及び寸法精度、ベルトの張力の不均衡等によって、ベルトが搬送される際にベルト幅方向に移動する現象(以下「蛇行現象」とする)が問題となっている。
【0003】
そこで、従来の画像形成装置においては、ベルトの蛇行を防止するための蛇行規制部をベルトの内周面側のベルトフレームに設けると共に、蛇行規制部と接触して蛇行を規制するためのガイドゴムをベルトの内周面に設けることが行われている。ガイドゴムが蛇行規制部に接触し摺動することで、ベルトがベルト搬送方向と直行する方向へ移動しないようにしていた。
【0004】
しかし、ベルトに大きな蛇行が発生した場合や、ベルトに小さな蛇行が発生した場合であっても画像形成装置の使用に伴うガイドゴムの磨耗や塑性変形等が進行していた場合には、ガイドゴムが蛇行規制部に乗り上げてしまい、ベルトが破損してしまうという問題があった。また、特に、電子写真方式の画像形成装置において使用される転写ベルトに蛇行現象が発生した場合、転写位置等がずれることによって、画像の歪み等の画像乱れが発生してしまうという問題があった。
【0005】
このような問題を解決するものとして、特許文献1及び2には、転写ベルトを張架する駆動ローラー、従動ローラー及びテンションローラーと、転写ベルトの蛇行を検出する蛇行検出手段と、テンションローラーの転写ベルトに対する圧接力を調節する圧力調節機構と、蛇行検出手段の検出結果に基づいて圧力調節機構を作動させる制御手段とを有する画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−351302
【特許文献2】特開2009−98240
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び2記載の画像形成装置は、転写ベルトを張架し駆動する駆動ローラーとは別に蛇行補正用のテンションローラーが必要となるため、ベルトユニットが大型化するという問題があった。また、テンションローラーの圧接力を調節する圧力調節機構をベルトユニット内部に必要とするため、機械的構造が複雑化するという問題もあった。
【0008】
本願発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、駆動ロ−ラー及びテンションローラー等により張架されて搬送されるベルトを有する画像形成装置において、複雑な機構に依らず、ベルトの蛇行を抑制し、長期に渡る使用に際しても安定したベルトの駆動を実現できる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本願発明の画像形成装置は、ベルトと、前記ベルトを張架する複数のベルト張架手段と、前記ベルトを駆動する駆動手段と、前記ベルトの蛇行の有無を検知する蛇行検知手段と、前記蛇行検知手段により蛇行していることが検知された場合に前記ベルトの外周面上に蛇行補正物質を担持させる蛇行補正物質担持手段と、前記駆動手段により駆動された前記ベルトの外周面の少なくとも前記蛇行補正物質が担持された領域に当接することで前記ベルトの蛇行を補正する蛇行補正部材とを有する。
【0010】
さらに、本願発明の一態様である画像形成装置において、前記蛇行補正部材は、前記ベルトの外周面の少なくとも前記蛇行補正物質が担持された領域に当接し前記ベルトを前記ベルトの蛇行を解消する方向である補正方向にシフトさせることで蛇行を補正し、前記蛇行補正物質担持手段は、前記ベルトの幅方向中心よりも前記補正方向側に担持される前記蛇行補正物質の量の方が、前記ベルトの幅方向中心よりも前記補正方向と逆方向側に担持される前記蛇行補正物質の量よりも多くなるように、前記ベルトの外周面上に蛇行補正物質を担持させてもよい。
【0011】
さらに、上記の画像形成装置において、前記蛇行検知手段は、さらに、前記ベルトの幅方向の蛇行度を検出し、前記蛇行補正物質担持手段は、前記蛇行検知手段により検出された前記蛇行度に応じた前記ベルトの外周面上の領域に前記蛇行補正物質を担持させてもよい。
【0012】
さらに、上記の画像形成装置において、前記蛇行検知手段は、さらに、前記ベルトの幅方向の蛇行度を検出し、前記蛇行補正物質担持手段は、前記蛇行度に応じた量の蛇行補正物質を前記ベルトの外周面の上の領域に担持させてもよい。
【0013】
さらに、上記の画像形成装置において、前記蛇行補正部材は、前記ベルトの幅方向に伸びたブレード形状であってもよい。
【0014】
さらに、上記の画像形成装置は、電子写真方式の画像形成装置であって、前記蛇行補正物質は、トナーであり、前記蛇行補正物質担持手段は、前記ベルトの外周面上にトナー画像を形成可能なトナー画像形成手段であってもよい。
【0015】
さらに、上記の画像形成装置は、前記ベルト上のトナーを回収するトナー回収部を備えた電子写真方式の画像形成装置であって、前記蛇行補正物質担持手段は、前記トナー回収部に回収されたトナーを前記蛇行補正物質として前記ベルトに担持させてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本願発明の画像形成装置によれば、蛇行補正のための複雑な機構に依らず、ベルトの蛇行を抑制することができる。したがって、長期に渡って安定したベルトの駆動を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本願発明の実施の形態1に係る画像形成装置1の一例を示す概略構成図である。
【図2】本願発明に係る画像形成装置1に設けられる中間転写ベルトユニットの一例を示す概略図である。
【図3】本願発明に係る画像形成装置1に設けられる中間転写ベルトユニットのベルトフレームの一例を示す概略断面図である。
【図4】本願発明に係る画像形成装置1に設けられる中間転写ベルトユニットの一例を示す概略側方図である。
【図5】本願発明に係る画像形成装置1に設けられる中間転写ベルトユニットの幅方向の断面の一例を示す概略図である。
【図6】本願発明に係る画像形成装置1に設けられる中間転写ベルトユニットの幅方向の断面の一例を示す概略図である。
【図7】本願発明に係る画像形成装置1に設けられる中間転写ベルトユニットの幅方向の断面の一例を示す概略図である。
【図8】本願発明に係る画像形成装置1に設けられる中間転写ベルトユニット及び中間転写ベルトクリーニング手段の一例を示す概略図である。
【図9】蛇行発生時の本願発明に係る画像形成装置1に設けられる中間転写ベルト及び中間転写ベルトクリーニング手段の一例を示す概略図である。
【図10】本願発明の実施の形態1に係る画像形成装置1の蛇行補正動作における蛇行補正物質の担持パターンの一例を示す概略図である。
【図11】本願発明の実施の形態1に係る画像形成装置1の蛇行補正動作における蛇行補正物質の担持パターンの一例を示す概略図である。
【図12】本願発明の実施の形態1に係る画像形成装置1における蛇行補正動作の一例を示すフローチャートである。
【図13】本願発明の実施の形態1に係る画像形成装置1における蛇行補正動作の一例を示すフローチャートである。
【図14】本願発明の実施の形態1に係る画像形成装置1の蛇行補正動作における蛇行補正物質の担持パターンの一例を示す概略図である。
【図15】本願発明の実施の形態1に係る画像形成装置1の蛇行補正動作における蛇行補正物質の担持パターンの一例を示す概略図である。
【図16】本願発明に係る画像形成装置1に設けられる中間転写ベルトユニットの幅方向の断面の一例を示す概略図である。
【図17】本願発明の実施の形態2に係る画像形成装置2の一例を示す概略構成図である。
【図18】本願発明の実施の形態2に係る画像形成装置2に設けられる中間転写ベルトユニット及び中間転写ベルトクリーニング手段の一例を示す概略図である。
【図19】本願発明の実施の形態2に係る画像形成装置2に設けられる中間転写ベルトユニット及び中間転写ベルトクリーニング手段の概略図である。
【図20】本願発明の実施の形態2に係る画像形成装置2における蛇行補正動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、発明を実施するための形態により本願発明を説明する。
(1)実施の形態1
<画像形成装置>
図1は、本願発明の実施の形態1に係る画像形成装置の一例を示す図であるタンデム形カラーデジタル画像形成装置(以下、「画像形成装置1」という)を示す概略構成図である。まず、図1〜図7を参照して、本願発明の実施をするための形態の一例である画像形成装置1について説明する。
【0019】
画像形成装置1は、カラー画像を形成する画像形成装置であって、いわゆる中間転写方式のものである。すなわち複数の像担持体に形成される互いに異なる色のトナー像を、共通の中間転写ベルトに順次に1次転写することにより当該中間転写ベルト上で単色のトナー像を重ね合わせ、この中間転写ベルト上に形成されたカラートナー像を記録媒体に一括して2次転写することにより記録媒体上においてカラートナー像を形成する。
【0020】
画像形成装置1は、図1に示されるように、中間転写ベルト17を備えており、この中間転写ベルト17の外周面に対して設けられた画像形成ユニット配置領域には、中間転写ベルト17の移動方向に沿って、各々、イエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像およびブラックトナー像を形成する4つの画像形成ユニット30Y、30M、30C、30Kが並ぶよう設けられている。さらに、中間転写ベルト17の移動方向における最下流位置の画像形成ユニット30Kより下流側の位置には、2次転写手段14が設けられており、さらに下流側の位置には、中間転写ベルト17上の未転写トナーを除去する中間転写ベルトクリーニング手段18Tが設けられている。また、2次転写手段14における記録媒体Pの搬送方向下流側(図1中上方側)の位置には、定着装置21が設けられている。また、画像形成装置1は、各画像形成工程を制御する制御部50と、各画像形成工程において必要なデータを記憶するメモリ501とを有する。
【0021】
画像形成ユニットは、例えば、イエロートナー像に係る画像形成ユニット30Yにおいては、回転されるドラム状の感光体よりなる像担持体10Yと、像担持体10Yを帯電させる帯電装置11Yと、画像形成ユニット外部の露光装置12Yによって露光された像担持体10Y上にイエロートナーを含む現像剤により現像を行う画像形成部13Yとを備えている。像担持体10Yの外周面に対して、各々、像担持体10Yの回転方向に沿って、帯電装置11Yおよび画像形成部13Yがこの順に並ぶよう配設されている。さらに、像担持体10Yの回転方向において画像形成部13Yより下流の位置に備えられた1次転写手段15Yの下流の位置には、クリーニングブレードを備えた像担持体クリーニング手段18Yが設けられている。
【0022】
像担持体10Yは、ドラム状金属基体の外周面に有機光導電体を含有させた樹脂よりなる感光層を有するものであり、図1においては紙面に垂直な方向に伸びる状態で配設されている。
【0023】
帯電装置11Yと露光装置12Yとは、像担持体10上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段を構成する。
【0024】
帯電装置11Yは、例えばグリッド電極と放電電極とを有するスコロトロン帯電器であって、像担持体10Yの表面を帯電させる。
【0025】
露光装置12Yは、例えば、レーザ照射装置よりなり、レーザ光を照射することで像担持体10Yを露光する。レーザ光は、例えば、スキャナ(図示せず)によって読み取られ、また、CCDセンサ(図示せず)により電気信号に変換された画像信号に基づいて、照射される。
【0026】
画像形成部13Yは、例えば、現像剤収容部と、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブとを有しており、画像形成時には、現像スリーブに、不図示の電圧印加手段から直流および/または交流バイアス電圧が印加される。
【0027】
1次転写手段15Yは、中間転写ベルト17を介して像担持体10Yの表面に押圧された状態で1次転写ニップ部を形成するよう配設された1次転写部材と、この1次転写部材に接続された、例えば、定電流電源よりなる転写電流供給装置(図示せず)とにより構成されている。1次転写部材は、例えば、1次転写ローラー151Yとすることができる。
【0028】
1次転写手段15Yは、例えば、転写電流供給装置によって1次転写ローラー151Yに1次転写電流が供給されることにより、像担持体10Y上に形成されたイエロートナー像を、中間転写ベルト17に転写する、いわゆる接触転写方式とすることができる。なお、記録媒体Pに画像を転写する際には、例えば、転写ニップ部に搬送された記録媒体Pの種別に応じた適切な転写電流となるように、制御部50によって転写ローラーに印加される電圧が調節される。
【0029】
像担持体クリーニング手段18Yは、クリーニングブレードを有する。クリーニングブレードは、例えば、ウレタンゴムなどの弾性体よりなり、その基端部分が支持部材によって支持されると共に、先端部分が像担持体10Yの表面に当接されるよう設けられている。クリーニングブレードの基端側から伸びる方向は、当接箇所における像担持体10Yの回転による移動方向と反対方向である、いわゆるカウンター方向とすることができる。
【0030】
また、画像形成ユニット30Yは、例えば、像担持体10Yと、帯電装置11Yと、画像形成部13Yと、像担持体クリーニング手段18Yとを一体として不図示のフレームに支持され、着脱可能な構成とすることができる。
【0031】
他の画像形成ユニット30M、30C、30Kの各々についても、イエロートナーを含む現像剤の代わりにそれぞれマゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーを含む現像剤が用いられることの他は、イエロートナー像に係る画像形成ユニット30Yと同様の構成とされている。
【0032】
1次転写手段15M、15C、15Kの各々においても、イエロートナー像に係る画像形成ユニット30Yと同様に、1次転写電流が供給されており、像担持体10Y、10M、10C及び10K上に形成された各トナー像を所定のタイミングで矢印T方向に循環移動する中間転写ベルト17上に1次転写させることにより、中間転写ベルト17上に前記の単色トナー像が重なった多色トナー像が形成される。なお、中間転写ベルト17の詳細については、後述する。
【0033】
2次転写手段14は、中間転写ベルト17と、中間転写ベルト17の内周面側に配置される駆動ローラー142と、中間転写ベルト17を介して駆動ローラー142を押圧して2次転写ニップ部を形成する2次転写ローラー141と、この2次転写ローラー141に接続された、転写電圧印加装置(図示せず)とにより構成されている。
【0034】
駆動ローラー142は、2次転写ローラー141に対向する位置で中間転写ベルト17に押し付けられている。また、2次転写ローラー141は、例えば、半導電性のゴムローラーとすることができる。
【0035】
2次転写手段14は、いわゆる接触転写方式であって、2次転写ローラー141と駆動ローラー142の間に転写電圧印加装置(図示せず)から転写電圧が印加されることにより、中間転写ベルト17上に形成されたカラートナー像を、搬送されてきた記録媒体Pに2次転写する。
【0036】
2次転写ローラー141と、駆動ローラー142とによって形成された2次転写ニップ部で記録媒体P上にトナー画像が2次転写され、トナー画像が2次転写された記録媒体Pは、定着装置21に搬送される。
【0037】
定着装置21は、加熱ローラー211、加圧ローラー212、定着ローラー213及び定着ベルト214を備えており、記録媒体P上に転写されたトナー画像を加圧、加熱して定着させる。定着装置21を通過した記録媒体Pは、画像形成装置外部に搬出される。定着装置21において記録媒体P上の画像を定着する際には、例えば、定着装置21に搬送された記録媒体Pの種別に応じた適切な定着温度、定着速度となるように、制御部50によって定着速度及び/又は加熱ローラー211の温度が調節される。
【0038】
また、中間転写ベルト17の移動方向における2次転写手段14より下流側の位置には、中間転写ベルト17上における未転写トナー等を除去するクリーニングブレード181と、クリーニングブレード181によって掻き取られた未転写トナー等を回収する回収部182とを備えた中間転写ベルトクリーニング手段18Tが設けられている。回収部182内に収容された未転写トナー等の廃トナーは、例えば、廃トナーボックス(図示せず)に搬送され画像形成装置外部に排出することができる。
【0039】
クリーニングブレード181は、中間転写ベルト17の幅方向に伸びたブレード形状をしており、例えば、ウレタンゴムなどの弾性体より構成することができる。クリーニングブレード181の基端部分は、支持部材によって支持されている。また、クリーニングブレード181の基端側から伸びる方向は、当接箇所における中間転写ベルト17の回転による移動方向と反対方向である、いわゆるカウンター方向とすることができる。
【0040】
クリーニングブレード181は、その先端部分に、中間転写ベルト17の外周面に当接し、未転写トナー等を掻き取るための当接部1811を有している。クリーニングブレード181は、当接部1811が中間転写ベルト17の外周面の幅方向に対して、平行に当接するように、設置されている。詳細は後述するが、クリーニングブレード181は、中間転写ベルト17に発生した蛇行を補正する蛇行補正部材である。
【0041】
中間転写ベルト17は、図2に示されるように、ベルトフレーム16に支持されたベルト張架手段であるテンションローラー19及び駆動ローラー142によって、ベルト幅方向及びベルト搬送方向において平行に張架されている。これは、テンションローラー19の軸1aと駆動ローラー142の軸2aが平行な状態であることによる。
【0042】
ベルトフレーム16は、図3及び図4に示されるように、テンションローラー19を支持するための支持部163と、支持部163によって支持されたテンションローラー19をベルトフレーム外側に向かって押圧する押圧部162と、中間転写ベルト17が搬送方向と直行する方向に移動した場合、すなわち、蛇行が中間転写ベルト17に発生した場合に、ベルトの蛇行を規制する蛇行規制部161とを有している。
【0043】
テンションローラー19は、長手方向の両端部側において2箇所の支持部163に支持されている。支持部163がそれぞれ押圧部162によって所定の力で押圧されることで、テンションローラー19を介して中間転写ベルト17に張力が与えられている。押圧部162としては、圧縮コイルばねを用いることができる。
【0044】
中間転写ベルト17は、例えば、熱硬化ポリイミド、変性ポリイミドなどのポリイミドに、カーボンブラックや金属粉末などを含む導電性付与剤を添加することにより形成され、例えば、表面抵抗率が1×10〜1×1012Ω/□である半導電性を有する無端状のベルトである。中間転写ベルト17の表面抵抗率は、抵抗測定器「ハイレスターIP」(油化電子製)を用い、常温常湿(温度20±1℃、湿度50±2%)環境下において、電圧100Vを10秒間印加した後の計測値である。
【0045】
また、中間転写ベルト17は、実際に画像が形成される外周面上の領域である画像形成領域を有する。なお、画像形成領域は、中間転写ベルト17の幅方向全面に渡っていてもよく、また、幅方向について一部分であってもよい。
【0046】
中間転写ベルト17は、駆動手段(図示せず)により駆動ローラー142が回転することで図1中の矢印T方向に搬送される。中間転写ベルト17は、図5、図6及び図7に示されるように、中間転写ベルト17の搬送に際して、蛇行が発生した場合に、ベルトの蛇行を規制するためのガイドゴム171を有している。また、中間転写ベルト17は、ガイドゴム171のベルト幅方向に関してベルト内側に向いた面と、テンションローラー19若しくは蛇行規制部161のベルト幅方向に関してベルト外側に向いた面との間の距離である所定の隙間Gを有している。さらに、中間転写ベルト17の幅方向端部側の外周面及び/又は内周面領域には、中間転写ベルト17に蛇行が発生した場合に、蛇行を検知する蛇行検知手段40が設けられている。なお、蛇行検知手段40が設けられる位置については、特に限定されない。
【0047】
中間転写ベルト17の搬送に際して、中間転写ベルト17に蛇行が発生した場合には、詳細は後述するが、蛇行検知手段40の検知結果に基づいて、蛇行補正動作が開始され、蛇行が補正される。
【0048】
ガイドゴム171は、例えば、図5に示されるように、断面形状が長方形であり、ウレタンゴム等から形成される。ガイドゴム171は、中間転写ベルト17の内周面の幅方向両端部付近に、それぞれベルトの幅方向中心に対して対称に、かつ、ベルトの搬送方向に対して無端状に設けられている。なお、ここでの対称とは、略対称を含む概念である。
【0049】
隙間Gは、中間転写ベルト17の蛇行を検知するための隙間であって、所定の隙間Gの幅の範囲で発生した蛇行を蛇行検知手段40が検知する。詳細は後述するが、隙間Gを有することによって、ガイドゴム171と蛇行規制部161とが接触する前に蛇行を検知することが可能となる。これにより、ガイドゴム171と蛇行規制部161の過剰な接触に伴い中間転写ベルト17に発生する皺による画像乱れを防止することができる。なお、隙間Gは、5〜10mm程度が望ましい。隙間Gを上記の範囲とすることで、ガイドゴムの磨耗や塑性変形等を防止すると共に、検知精度を確保しつつ大きな蛇行の発生を防止できるので安定したベルトの駆動を実現することができる。。
【0050】
蛇行検知手段40として、図6に示すように、平行なレーザ光を出射する投光部401aと、投光部401aから出射されたレーザ光を受光する受光部402aを有する透過型フォトインタラプタ(蛇行検知手段40a)を用いることができる。透過型フォトインタラプタとしては、例えば、コーデンシ社製SG248を用いることができる。中間転写ベルト17に蛇行が発生した場合には、投光部401aから出射されたレーザ光が、蛇行した中間転写ベルト17にさえぎられる。蛇行検知手段40aは、受光部402aによるレーザ光の受光の有無に関する検知結果を電気信号に変換し、制御部50に出力する。
【0051】
また、蛇行検知手段40として、図7に示すように、平行なレーザ光を出射する投光部401bと、投光部401bから出射されたレーザ光を受光する受光部402bを有するCCD方式の測長センサ(蛇行検知手段40b)を用いることができる。
【0052】
CCD方式の測長センサは、受光部402bにリニアCCDイメージセンサを有しているため、中間転写ベルト17の幅方向のエッジの位置を高精度で検知することができる。投光部401bから投光された平行な光は、受光部402bのリニアCCDイメージセンサで受光される。この際、平行な光の中に遮光物体として中間転写ベルト17があると光が遮られ、CCD上に中間転写ベルト17の外周面のベルト幅方向の長さに比例した影が生じる。この影により、例えば、単位時間当たりの中間転写ベルト17のエッジの特定の位置の蛇行方向に対する変化量、すなわち、蛇行度を検出することができる。
【0053】
蛇行度は、中間転写ベルト17の蛇行の度合いであって、蛇行量あるいは蛇行速度とすることができる。具体的には、蛇行量は、蛇行未発生時の中間転写ベルト17のエッジの特定の位置を基準位置として、基準位置に対する中間転写ベルト17のベルト幅方向の移動量とすることができる。また、蛇行速度は、単位時間当たりの中間転写ベルト17のエッジの特定の位置の蛇行方向に対する変化量とすることもできる。
【0054】
また、蛇行検知手段40bとして、圧力センサを用いることもできる。圧力センサとして、例えば、オムロン社製静電容量形圧力センサE8AAを用いることができる。蛇行が発生した際に、中間転写ベルト17のエッジが圧力センサを押圧する。圧力センサは、蛇行度として、中間転写ベルト17のエッジからの押圧力を測定することができる。また、蛇行検知手段40bとして、光量変化方式の測長センサ、又はリニアイメージセンサを有するレーザ変位センサを用いることもできる。
【0055】
<蛇行補正動作>
次に、図8〜図12を参照して、画像形成装置1における蛇行補正動作について、説明する。ここでは、蛇行検知手段40として、透過型フォトインタラプタ(蛇行検知手段40a)が設けられているものとする。
【0056】
まず、初めに、中間転写ベルト17の蛇行の発生過程を説明する。既述したように、上述の各1次転写手段によって形成されたトナー画像が、2次転写ニップ部において転写された後に、中間転写ベルト17上に残る残留トナーがクリーニングブレード181の当接部1811によって掻き取られる。この際に、中間転写ベルト17に蛇行が発生する場合がある。
【0057】
例えば、図8に示すように、2次転写ニップ部において転写されず中間転写ベルト17上に残留したトナー画像である未転写トナー画像MTが、クリーニングブレード181の当接部1811に到達した場合、クリーニングブレード181の当接部1811の長手方向において、トナーを実際に掻き取った部分と、掻き取らなかった部分とで、中間転写ベルト17と当接部1811との間の摩擦力が異なる。すなわち、当接部1811の未転写トナー画像MTを実際に掻き取った部分と中間転写ベルト17の外周面との摩擦力は、未転写トナー画像MTを掻き取らなかった部分と中間転写ベルト17の外周面との摩擦力に比べ、相対的に低下する。
【0058】
このように中間転写ベルト17上に形成されたトナー画像を掻き取る際に、当接部1811の長手方向、すなわち、中間転写ベルト17の幅方向において、摩擦力に差が生じた結果、図9に示されるように、テンションローラー19の軸1aの傾きが、軸1aから軸1a’に変化する。このため、中間転写ベルト17の幅方向において、当接部1811に関して実際にトナーが掻き取られた部分が位置する方向である蛇行方向Dに、中間転写ベルト17が蛇行する。
【0059】
画像形成装置1では、このような蛇行が発生した場合、中間転写ベルト17上に蛇行を解消するための画像パターンGP(蛇行補正物質)を形成することによって、中間転写ベルト17を、蛇行を解消する方向である補正方向にシフトさせる。これにより、当初発生していた中間転写ベルト17の蛇行を相殺し補正する。
【0060】
なお、中間転写ベルト17は、蛇行発生時に、中間転写ベルト17の搬送方向Tに直行する方向だけでなく、同時に中間転写ベルト搬送方向Tにも移動する。つまり、中間転写ベルト17は、中間転写ベルト搬送方向Tに対して、斜め方向に移動する。しかし、蛇行補正動作においては、中間転写ベルト搬送方向Tと直行する方向(蛇行方向D)に基づいて補正を行えばよい。
【0061】
以下に、より具体的に、実施の形態1における蛇行補正方法について説明する。
【0062】
中間転写ベルト17に蛇行が発生した場合、図10に示されるように、中間転写ベルト17の幅方向中心よりも補正方向側に担持されるトナー量の方が、蛇行方向側に担持されるトナー量よりも多くなるように、画像パターンGPを形成する。
【0063】
形成された画像パターンGPは、中間転写ベルト17の搬送に伴いクリーニングブレード181の当接部1811に到達し、掻き取られる。この際、クリーニングブレード181の当接部1811の長手方向において、トナーを実際に掻き取った部分と、掻き取らなかった部分とで、中間転写ベルト17と当接部1811との間の摩擦力が異なる。すなわち、当接部1811の未転写トナー画像MTを実際に掻き取った部分と中間転写ベルト17の外周面との摩擦力は、未転写トナー画像MTを掻き取らなかった部分と中間転写ベルト17の外周面との摩擦力に比べ、相対的に低下する。
【0064】
このようにして中間転写ベルト17上に形成された画像パターンGPを掻き取る際に、蛇行の発生と同様のメカニズムにより、蛇行補正部材であるクリーニングブレード181の当接部1811の長手方向、すなわち、中間転写ベルト17の幅方向であって、蛇行を解消する方向である補正方向に中間転写ベルト17をシフトさせる。これにより、当初発生していた中間転写ベルト17の蛇行を相殺し補正する。また、図10において補正方向は、蛇行方向Dに対して逆向きの方向である。
【0065】
また、図11に示されるように、画像パターンGPは、中間転写ベルト17の補正方向側のみに形成してもよい。
【0066】
次に、図12を用いて、中間転写ベルト17に蛇行が発生した際の蛇行補正動作の流れを説明する。
【0067】
画像形成時の中間転写ベルト17の回転に際して、制御部50は、蛇行補正動作を開始する。まず、蛇行検知手段40aによって中間転写ベルト17の蛇行の有無及び蛇行方向Dを判断するための情報が検知される。例えば、中間転写ベルト17が、中間転写ベルト搬送方向Tに対して左側に蛇行した場合、中間転写ベルト搬送方向Tに対して左側の蛇行検知手段40aの投光部401aから発せられたレーザ光が中間転写ベルト17のエッジ部に遮られ、受光部402aにおけるレーザ光の検出が喪失する。このようにして得られた受光部402aにおけるレーザ光の検出結果が、制御部50に送信される。
【0068】
制御部50は、蛇行検知手段40aから受信した情報を基に、ステップS10において蛇行の有無を判定する。ステップS10でYESの場合、ステップS11に移行する。一方、S10でNOの場合、蛇行補正動作を終了する。
【0069】
ステップS11において、制御部50は、受信した蛇行有の情報が中間転写ベルト搬送方向Tに関して左右何れの蛇行検知手段40aから送信されたものであるかを判定する。すなわち、中間転写ベルト17の蛇行方向Dを判定する。中間転写ベルト搬送方向Tに関して左側の蛇行検知手段40aから蛇行有に関する情報を受信した場合には、中間転写ベルト17は、中間転写ベルト搬送方向Tに対して左側に蛇行しているとみなし(ステップS11でNO)、ステップS13に移行する。一方、中間転写ベルト搬送方向Tに関して右側の蛇行検知手段40aから蛇行有に関する情報を受信した場合には、中間転写ベルト17は、中間転写ベルト搬送方向Tに対して右側に蛇行しているとみなし(ステップS11でYES)、ステップS13に移行する。
【0070】
ステップS12及びステップS13において、制御部50は、ステップS11で判定された中間転写ベルト17の蛇行方向Dに対して反対方向である補正方向側の中間転写ベルト17の外周面上に、蛇行補正物質としてのトナーにより構成される画像パターンGPが担持されるように、蛇行補正物質担持手段である画像形成部13Y、13M、13C及び13K、並びに1次転写手段15Y、15M、15C及び15Kを制御する。
【0071】
以上のようにステップS12あるいはステップS13が実行された後、ステップS10が再度実行される。ステップS10がNOの場合、蛇行補正動作を終了する。
【0072】
次に、図13を用いて、蛇行検知手段としてCCD方式の測長センサ(蛇行検知手段b)を用いた場合の蛇行補正動作の流れを説明する。ここでは、中間転写ベルト17の蛇行の有無に加えて、蛇行度として蛇行量を検知することができる。なお、蛇行度として蛇行速度を検知してもよい。なお、蛇行検知手段bは、図7に示すように配置される。
【0073】
画像形成時の中間転写ベルト17の回転に際して、制御部50は、蛇行補正動作を開始する。次いで、蛇行検知手段40bによって中間転写ベルト17の蛇行の有無及び蛇行方向D、並びに蛇行量が検知される。例えば、中間転写ベルト17が、中間転写ベルト搬送方向Tに対して特定の蛇行量で左側に蛇行した場合、中間転写ベルト搬送方向Tに対して左側の蛇行検知手段40bの投光部401bから発せられたレーザ光の一部が中間転写ベルト17のエッジ部に遮られ、受光部402bにおけるレーザ光の検出量が変化する。このようにして得られた受光部402bにおけるレーザ光の検出結果が制御部50に送信される。制御部50は、受信した情報に基づいて、蛇行の有無及び蛇行方向D、並びに蛇行量を検知する。
【0074】
まず、制御部50は、蛇行検知手段40bから受信した情報を基に、ステップS101において蛇行の有無を判定する。ステップS101でYESの場合、ステップS111に移行する。一方、S101でNOの場合、蛇行補正動作を終了する。
【0075】
S111において、制御部50は、受信した情報に基づいて蛇行量を求め、メモリ501に記憶された情報を参照することで、蛇行補正物質としてのトナーを画像パターンGPとして担持させるべき中間転写ベルト17の外周面の所定の領域を判定する。
【0076】
所定の領域とは、各蛇行量の蛇行に応じて、当該蛇行量の蛇行を補正するために必要な蛇行補正物質が形成される中間転写ベルト17の特定の外周面領域、言い換えると、当接部1811に掻き取られることで中間転写ベルト17の当該蛇行量の蛇行を補正する蛇行補正物質が形成されるべき特定の表面積を有する中間転写ベルト17の外周面領域である。
【0077】
メモリ501には、蛇行量と、当該蛇行量の蛇行を補正するために必要な蛇行補正物質を担持すべき所定の領域に関する情報とが記憶されている。メモリ501に記憶される所定の領域は、中間転写ベルト17の蛇行量に応じて設定されており、例えば、図14において点線で示されるように、蛇行量が大きいほど、中間転写ベルト搬送方向T及び中間転写ベルト幅方向に拡大したものとすることができる。この際、拡大された所定の領域の中間転写ベルト搬送方向Tにおける長さは、記録媒体Pの搬送間隔より短いものとする。
【0078】
また、メモリ501に記憶される所定の領域は、中間転写ベルト17の蛇行量に応じて、中間転写ベルト17のベルト幅方向において、蛇行方向Dと逆方向である補正方向側のベルトエッジ部からベルト中心位置まで、拡大したものとすることもできる。さらに、所定の領域においてベルトの幅方向中心よりも補正方向側の領域の表面積の方が、蛇行方向側の領域の表面積よりも広くなるように、所定の領域を特定してもよい。このように、所定の領域を蛇行量に応じて、搬送方向T及び/又はベルト幅方向において、変更することができる。
【0079】
なお、ここでは、補正の際に所定の領域に担持されるべきトナーの濃度、すなわち、単位面積当たりの蛇行補正物質の担持量は、所定の領域全体にわたって一定である。また、ここでの一定とは、略一定を含む概念である。所定の領域には、所定の担持量のトナーが担持される。
【0080】
所定の担持量とは、所定の領域に担持されるべき蛇行補正物質の総量であって、各蛇行量の蛇行に応じて、当接部1811に掻き取られることで当該蛇行量の蛇行を補正するために必要な蛇行補正物質の特定の値である。蛇行量が大きくなると共に、所定の担持量は増大する。
【0081】
ステップS121においては、制御部50は、受信した蛇行有に関する情報が、中間転写ベルト搬送方向Tに関して左右何れの蛇行検知手段40bから送信されたものであるかを判定する。すなわち、中間転写ベルト17の蛇行方向Dを判定する。中間転写ベルト搬送方向Tに関して左側の蛇行検知手段40bから蛇行有に関する情報を受信した場合には、中間転写ベルト17は、中間転写ベルト搬送方向Tに対して左側に蛇行しているとみなし(ステップS121でNO)、ステップS141に移行する。一方、中間転写ベルト搬送方向Tに関して右側の蛇行検知手段40bから蛇行有に関する情報を受信した場合には、中間転写ベルト17は、中間転写ベルト搬送方向Tに対して右側に蛇行しているとみなし(ステップS121でYES)、ステップS131に移行する。
【0082】
ステップS131及びステップS141において、制御部50は、ステップS111で判定された中間転写ベルト17の蛇行方向Dに対して反対方向である補正方向側の中間転写ベルト17の外周面上の所定の領域に、蛇行補正物質としてのトナーにより構成される画像パターンGPが担持されるように、蛇行補正物質担持手段である画像形成部13Y、13M、13C及び13K、並びに1次転写手段15Y、15M、15C及び15Kを制御する。言い換えると、制御部50は、ステップS131及びステップS141において、蛇行量に応じた量のトナーにより構成される画像パターンGPを所定の領域に担持させる。
【0083】
所定の領域に形成された画像パターンGPは、中間転写ベルト17の搬送に伴いクリーニングブレード181の当接部1811に到達し、掻き取られる。この際、クリーニングブレード181の当接部1811の長手方向において、トナーを実際に掻き取った部分と、掻き取らなかった部分とで、中間転写ベルト17と当接部1811との間の摩擦力が異なる。すなわち、当接部1811の未転写トナー画像MTを実際に掻き取った部分と中間転写ベルト17の外周面との摩擦力は、未転写トナー画像MTを掻き取らなかった部分と中間転写ベルト17の外周面との摩擦力に比べ、相対的に低下する。
【0084】
このようにして所定の領域に形成された画像パターンGPを掻き取る際に、当初発生していた蛇行の蛇行量に応じた必要量だけ、蛇行補正部材であるクリーニングブレード181の当接部1811の長手方向、すなわち、中間転写ベルト17の幅方向であって蛇行方向Dと逆方向である補正方向に、中間転写ベルト17をシフトさせる。これにより、当初発生していた中間転写ベルト17の蛇行を適切に相殺し、より正確に蛇行を補正することができる。
【0085】
以上のようにステップS121あるいはステップS131が実行された後、ステップS101が再度実行される。ステップS101がNOの場合、蛇行補正動作を終了する。
【0086】
また、これまで、補正の際に所定の領域に担持される蛇行補正物質の単位面積当たりの担持量が領域全体にわたって一定である場合を例に説明したが、担持される蛇行補正物質の単位面積当たりの担持量は、領域全体にわたって一定でなくてもよい。
【0087】
例えば、図15に示されるように、判定された所定の領域が図14において点線で示される領域GP‘と同じであった場合に、領域GP’に担持されるトナーの担持量の総量は図14における所定の担持量と同じであるが、所定の領域において補正方向側から蛇行方向側に担持量が多くなるように単位面積当たりの担持量を変化させることができる。
【0088】
上述のような蛇行補正動作を行うことの出来る実施の形態1に係る画像形成装置1によれば、複雑な機構を設けることなく、ベルトの蛇行を補正することができる。したがって、中間転写ベルト17のガイドゴムの磨耗や塑性変形等を防止し、安定したベルトの駆動を実現することができる。
【0089】
なお、図16に示すように、中間転写ベルト搬送方向Tに対して左右何れか片側に、蛇行検知手段40として、例えば、前記CCD方式の測長センサ(蛇行検知手段b)を設け、中間転写ベルト17のエッジの移動方向及び蛇行速度又は蛇行量を検知してもよい。
【0090】
このような構成において、例えば、蛇行度として、蛇行量を検知する場合には、投光部401bから発せられたレーザ光の一部が最初から中間転写ベルト17のエッジ部に遮られるように、蛇行未発生時の中間転写ベルト17のエッジの基準位置を定めることができる。このように、基準位置を定めることで、受光部402bにおけるレーザ光の検出量の増減を検知し、基準位置に対する中間転写ベルト17のベルト幅方向の移動量及び移動方向(蛇行方向)を検知とすることができる。このような構成によれば、蛇行検知手段40の配置位置のズレによる検出誤差の発生を抑制することができるので、より適切に蛇行補正動作を行うことができる。
【0091】
(2)実施の形態2
図17は、本願発明の実施するための形態2に係る画像形成装置の一例を示す図である。実施の形態2において説明される画像形成装置2は、実施の形態1に係る画像形成装置1の構成と基本的に同じであり、以下に異なる点を説明する。
<画像形成装置2>
画像形成装置2の構成について、図18〜図20を参照して、画像形成装置1と異なる点を説明する。画像形成装置2は、主に、中間転写ベルトクリーニング手段18Tの構成及び蛇行補正動作が、画像形成装置1と異なっている。
【0092】
中間転写ベルトクリーニング手段18Tは、図18及び19に示されるように、中間転写ベルトクリーニングブレード181によって掻き取られた廃トナーを、中間転写ベルト17の外周面上に塗布するための塗布部183を有している。
【0093】
塗布部183は、図19に示されるように、中間転写ベルト搬送方向Tに対して、ベルト幅方向左側に設けられた複数の塗布部材1832a及び右側に設けられた複数の塗布部材1832bと、塗布部材1832aを回転駆動するための塗布部材駆動部1831a及び、塗布部材1832bを回転駆動するための塗布部材駆動部1831bとを有している。
【0094】
塗布部材1832a及び塗布部材1832bは、略板状をしており、回転方向側の面に、廃トナーを保持するための凹部1833を有している。
【0095】
塗布部材1832a及び塗布部材1832bは、それぞれ回転軸に沿って複数設けられている。塗布部材1832a及び塗布部材1832bの回転軸は、テンションローラー19の回転軸に対して、平行となるように設けられている。なお、ここでの平行とは、略平行を含む概念である。
【0096】
回収部182は、クリーニングブレード181によって掻き取られた未転写トナーが、塗布部材1832a及び塗布部材1832bによって掬い上げられる程度まで堆積する構成となっている。塗布部材1832a及び塗布部材1832bが回転することにより、回収部182の未転写トナーが掬い上げられ、中間転写ベルト17の外周面上に塗布される。
【0097】
<蛇行補正動作>
次に、図20を参照して、中間転写ベルト17に蛇行が発生した際の蛇行補正動作の流れを説明する。なお、画像形成装置2には、蛇行検知手段40として透過型フォトインタラプタ(蛇行検知手段a)が設けられており、画像形成装置2におけるステップS122及びステップS132以外の蛇行補正動作は、蛇行検知手段40として透過型フォトインタラプタが設けられた画像形成装置1における蛇行補正動作と同様である。
【0098】
S122及びステップS132において、制御部50は、ステップS112で判定された中間転写ベルト17の蛇行方向Dに対して反対方向である補正方向側の中間転写ベルト17の外周面上に、蛇行補正物質としての廃トナーが担持されるように、蛇行補正物質担持手段である塗布部183を制御する。すなわち、中間転写ベルト17が中間転写ベルト搬送方向Tに対して左側に蛇行していると判定された場合は、塗布部材1832aが廃トナーを中間転写ベルト17の外周面上に塗布するように、塗布部材駆動部1831aを制御する。一方、中間転写ベルト17が中間転写ベルト搬送方向Tに対して右側に蛇行していると判定された場合は、塗布部材1832bが廃トナーを中間転写ベルト17の外周面上に塗布するように、塗布部材駆動部1831bを制御する。
【0099】
このようにして中間転写ベルト17上に担持された廃トナーを掻き取る際に、蛇行補正部材であるクリーニングブレード181の当接部1811の長手方向、すなわち、中間転写ベルト17の幅方向において、蛇行方向Dと逆方向である補正方向に新たに蛇行を発生させることで、補正方向に中間転写ベルト17をシフトさせる。これにより、当初発生していた中間転写ベルト17の蛇行を相殺し補正する。
【0100】
以上のようにS122あるいはステップS132が実行された後、ステップS102が再度実行される。ステップS102がNOの場合、蛇行補正動作を終了する。
【0101】
上述のような蛇行補正動作を行うことの出来る実施の形態2に係る画像形成装置2によれば、中間転写ベルトユニットに複雑な機構を設けることなく、ベルトの蛇行を補正することができる。したがって、中間転写ベルト17のガイドゴム171の磨耗や塑性変形等を防止し、安定したベルトの駆動を実現することができる。
【0102】
なお、本願発明の実施するための形態に係る画像形成装置1及び2は、単なる例示にすぎず、本願発明を何ら限定するものではない。したがって本願発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。本願発明は、タンデム方式のカラー画像形成装置に限らず、モノクロ/カラーの複写機、プリンタ、FAX、及びこれらの複合機にも適用可能である。例えば、本願発明の詳細な説明において、蛇行検知手段40として、透過型フォトインタラプタ(蛇行検知手段40a)及びCCD方式の測長センサ(蛇行検知手段40b)を用いた場合を例に説明したが、蛇行検知手段40として、回帰反射型の光電センサ及び/又は光量判定方式の測長センサを用いることもできる。また、例えば、隙間Gを有さず常にガイドゴム171が蛇行規制部161に接触し摺動する場合の蛇行検知に際して、蛇行検知手段は、基準位置に対する中間転写ベルト17のベルト幅方向の移動量及び移動方向、並びに/又はベルト厚さ方向の移動量及び移動方向を検知してもよい。また、例えば、蛇行規制部161は、ベルト張架手段の端面を覆うように設けてもよい。
【符号の説明】
【0103】
10Y、10M、10C、10K 像担持体
11Y、11M、11C、11K 帯電装置
12Y、12M、12C、12K 露光装置
13Y、13M、13C、13K 画像形成部
14 2次転写手段
141 2次転写ローラー
142 駆動ローラー
15Y、15M、15C、15K 1次転写手段
151Y、151M、151C、151K 1次転写ローラー
16 ベルトフレーム
161 蛇行規制部
162 押圧部
163 支持部
17 中間転写ベルト
171 ガイドゴム
18Y、18M、18C、18K 像担持体クリーニング手段
18T 中間転写ベルトクリーニング手段
181 クリーニングブレード
1811 当接部
182 回収部
183 塗布部
1831a 塗布部材駆動部
1831b 塗布部材駆動部
1832a 塗布部材
1832b 塗布部材
1833 凹部
19 テンションローラー
21 定着装置
211 加熱ローラー
212 加圧ローラー
213 定着ローラー
214 定着ベルト
30Y、30M、30C、30K 画像形成ユニット
40a 蛇行検知手段
401a 投光部
402a 受光部
40b 蛇行検知手段
401b 投光部
402b 受光部
50 制御部
501 メモリ
D 蛇行方向
G 隙間
GP 画像パターン
MT 未転写トナー画像
P 記録媒体
T 中間転写ベルト搬送方向
1a テンションローラーの軸
2a 駆動ローラーの軸
1a’ テンションローラーの軸(蛇行発生時)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトと、前記ベルトを張架する複数のベルト張架手段と、前記ベルトを駆動する駆動手段と、前記ベルトの蛇行の有無を検知する蛇行検知手段と、前記蛇行検知手段により蛇行していることが検知された場合に前記ベルトの外周面上に蛇行補正物質を担持させる蛇行補正物質担持手段と、前記駆動手段により駆動された前記ベルトの外周面の少なくとも前記蛇行補正物質が担持された領域に当接することで前記ベルトの蛇行を補正する蛇行補正部材とを有する画像形成装置。
【請求項2】
前記蛇行補正部材は、前記ベルトの外周面の少なくとも前記蛇行補正物質が担持された領域に当接し前記ベルトを前記ベルトの蛇行を解消する方向である補正方向にシフトさせることで蛇行を補正し、
前記蛇行補正物質担持手段は、前記ベルトの幅方向中心よりも前記補正方向側に担持される前記蛇行補正物質の量の方が、前記ベルトの幅方向中心よりも前記補正方向と逆方向側に担持される前記蛇行補正物質の量よりも多くなるように、前記ベルトの外周面上に蛇行補正物質を担持させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記蛇行検知手段は、さらに、前記ベルトの幅方向の蛇行度を検出し、
前記蛇行補正物質担持手段は、前記蛇行検知手段により検出された前記蛇行度に応じた前記ベルトの外周面上の領域に前記蛇行補正物質を担持させることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記蛇行検知手段は、さらに、前記ベルトの幅方向の蛇行度を検出し、
前記蛇行補正物質担持手段は、前記蛇行度に応じた量の前記蛇行補正物質を前記ベルトの外周面上の領域に担持させることを特徴とする請求項2又は3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記蛇行補正部材は、前記ベルトの幅方向に伸びたブレード形状であることを特徴とする請求項1乃至4何れか記載の画像形成装置。
【請求項6】
電子写真方式の画像形成装置であって、前記蛇行補正物質は、トナーであり、前記蛇行補正物質担持手段は、前記ベルトの外周面上にトナー画像を形成可能なトナー画像形成手段であることを特徴とする請求項1乃至5何れか記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ベルト上のトナーを回収するトナー回収部を備えた電子写真方式の画像形成装置であって、前記蛇行補正物質担持手段は、前記トナー回収部に回収されたトナーを前記蛇行補正物質として前記ベルトに担持させることを特徴とする請求項1乃至5何れか記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−197414(P2011−197414A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64249(P2010−64249)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】