画像形成装置
【課題】 低カバレッジ連続プリント状態が長時間続く場合にも現像剤の過度な劣化が抑制され、長期間にわたって良好な画像を形成できる画像形成装置の提供。
【解決手段】 一定の時間間隔ごとに一定量のキャリアが補給されると共に、一定の設定時間間隔ごとに、トナー濃度が規定値未満であるトナー不足領域Ａにある場合においては、トナー濃度の規定値に対する不足量に応じた量のトナーが補給され、トナー濃度が規定値以上でかつ前記規定値よりも大きい値の許容限界値未満である適正濃度領域Ｂにある場合においては、当該適正濃度領域Ｂがトナー不足領域Ａから移行されたときには一定量のトナーが補給され、当該適正濃度領域Ｂが許容限界値以上であるトナー過剰領域Ｃから移行されたときにはキャリアのみが補給され、トナー濃度がトナー過剰領域Ｃにあるときには、キャリアのみが補給される現像装置を備える。
【解決手段】 一定の時間間隔ごとに一定量のキャリアが補給されると共に、一定の設定時間間隔ごとに、トナー濃度が規定値未満であるトナー不足領域Ａにある場合においては、トナー濃度の規定値に対する不足量に応じた量のトナーが補給され、トナー濃度が規定値以上でかつ前記規定値よりも大きい値の許容限界値未満である適正濃度領域Ｂにある場合においては、当該適正濃度領域Ｂがトナー不足領域Ａから移行されたときには一定量のトナーが補給され、当該適正濃度領域Ｂが許容限界値以上であるトナー過剰領域Ｃから移行されたときにはキャリアのみが補給され、トナー濃度がトナー過剰領域Ｃにあるときには、キャリアのみが補給される現像装置を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、二成分現像剤を用いて現像を行う電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
電子写真方式の画像形成装置として、従来から、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤（以下、単に「現像剤」ともいう。）を用い、キャリアとの撹拌により摩擦帯電されたトナーを現像領域に搬送し、トナーを像担持体上に形成された静電潜像に付着させることによりトナー像を形成する現像装置であって、さらに新たなトナーおよびキャリアを継続的または断続的に補給すると共に使用済みの現像剤を徐々に廃棄する、いわゆるトリクル現像方式の現像装置が搭載された画像形成装置が知られている。
一般に、二成分現像剤は撹拌動作によってストレスを受け、トナーを構成するトナー粒子の表面に添加されている潤滑剤などの外添剤がトナー粒子から離脱したり、逆にトナー粒子に埋没したりしていき、その結果、現像剤の帯電性が低下してトナーの帯電量が低いものとなったり、現像剤の流動性が低下してキャリアとトナーとの間の摩擦係数が高いものとなってトナーがキャリアに付着するキャリア汚染の現象が起こったりするところ、このようなトリクル現像方式を採用することにより、新たなトナーが継続的または断続的に補給され、これによって外添剤も共に補給されるので、現像剤の過度な劣化が抑制される。なお、外添剤をそれ単独で現像装置内に補給してもトナーおよびキャリアに均質に接触させることは難しい。
一般的なトリクル現像方式の現像装置においては、補給用のトナーが収容されたトナーボトルもしくはトナーカートリッジ内に、予め一定量のキャリアを投入しておくことにより、トナーが補給されるときにキャリアも補給される構成が採用されている。
【０００３】
然るに、このようなトリクル現像方式の現像装置においては、文字原稿などの低い印字率（カバレッジ）の原稿を連続してプリントする状態（以下、「低カバレッジ連続プリント状態」ともいう。）が長時間続くと、画像形成に供されるトナーが極めて少量であるために現像装置内のトナー濃度がほとんど低下せず、その結果、新たなトナーの補給が行われずに、現像剤が過度に劣化し、結局、形成される可視画像において現像剤の帯電性や流動性の低下に起因する画像カブリやトナー飛散などが発生してしまう、という問題がある。
【０００４】
このような問題を解決するために、例えば特許文献１には、現像装置内のトナー濃度が規定値に達しているときにも一定量のトナーを補給し続けることによって低カバレッジ連続プリント状態が長時間にわたる場合の現像剤の過度な劣化を抑制する方法が開示されている。
【０００５】
しかしながら、このような方法によっても、現像装置内のトナー濃度が画像形成に支障を生じる程に高くなるとトナーの補給を止めざるを得なくなるため、やがては現像剤の過度な劣化を抑制することができなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】特許第４１２２８１６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
本発明は、以上の事情に基づいてなされたものであって、その目的は、低カバレッジ連続プリント状態が長時間続く場合にも現像剤の過度な劣化が抑制され、長期間にわたって画像カブリやトナー飛散などのない良好な画像を形成することのできる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明の画像形成装置は、像担持体上に担持された静電潜像を現像するためのトナーおよびキャリアからなる二成分現像剤が収容される現像剤収容部と、
前記現像剤収容部にトナーを補給するトナー補給手段、および、前記現像剤収容部にキャリアを補給するキャリア補給手段を有する現像剤補給機構と、
前記現像剤収容部から余剰の二成分現像剤を排出する余剰現像剤排出手段と、
前記現像剤収容部における二成分現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段と
を有する現像装置を備える画像形成装置において、
前記現像剤補給機構においては、
一定の時間間隔ごとに一定量のキャリアが補給されると共に、
前記トナー濃度検知手段によって一定の設定時間間隔で検知されるトナー濃度が、規定値未満である濃度領域をトナー不足領域Ａ、規定値以上でかつ前記規定値よりも大きい値の許容限界値未満である濃度領域を適正濃度領域Ｂ、許容限界値以上である濃度領域をトナー過剰領域Ｃとした場合に、
前記一定の設定時間間隔ごとに、
前記トナー濃度検知手段によって検知されたトナー濃度がトナー不足領域Ａにある場合においては、トナー濃度の規定値に対する不足量に応じた量のトナーが補給され、
前記トナー濃度検知手段によって検知されたトナー濃度が適正濃度領域Ｂにある場合においては、当該適正濃度領域Ｂがトナー不足領域Ａから移行されたときには一定量のトナーが補給され、当該適正濃度領域Ｂがトナー過剰領域Ｃから移行されたときにはキャリアのみが補給され、
前記トナー濃度検知手段によって検知されたトナー濃度がトナー過剰領域Ｃにある場合においては、キャリアのみが補給されることを特徴とする。
【０００９】
本発明の画像形成装置においては、前記現像剤補給機構においては、前記トナー濃度検知手段によって検知されたトナー濃度がトナー不足領域Ａから移行された適正濃度領域Ｂにあるときに、一定量のトナーと共にキャリアが補給され、
補給されるキャリアの量が、前記トナー濃度が規定値に近いほど少量となるように制御されることが好ましい。
【００１０】
また、本発明の画像形成装置においては、前記現像剤補給機構においては、前記トナー濃度検知手段によって検知されたトナー濃度がトナー過剰領域Ｃにある場合において補給されるキャリアの量は、前記トナー濃度が許容限界値に近いほど少量となるように制御されることが好ましい。
【発明の効果】
【００１１】
本発明の画像形成装置によれば、トリクル現像方式の現像装置において、トナー濃度が規定値以上に至ったときにもトナーの補給が継続され、しかも、トナー濃度が規定値よりも大きい許容限界値以上に至った場合には、トナー濃度が規定値に降下するまでキャリアの補給が行われるために、現像によって消費されるトナーの量の多少にかかわらずに長期間にわたって現像剤の劣化が抑制され、従って、低カバレッジ連続プリント状態が長時間続く場合にも現像剤の過度な劣化が抑制され、その結果、長期間にわたって良好な帯電性が得られて画像カブリやトナー飛散などのない良好な画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】本発明の画像形成装置の構成の一例を示す説明図である。
【図２】図１の画像形成装置における現像装置の構成の一例を示す説明図である。
【図３】図２の現像装置における現像ローラおよび現像剤収容部の一部を模式的に示す平面図である。
【図４】本発明の画像形成装置における調整用の現像剤補給動作の一例を示す制御フロー図である。
【図５】本発明の画像形成装置における調整用の現像剤補給動作の別の一例を示す制御フロー図である。
【図６】実施例１，２および比較例１，２に係る現像剤収容部内のトナー濃度の推移を示すグラフである。
【図７】実施例１，２および比較例１，２に係る現像剤収容部内のトナーの帯電量の推移を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【００１３】
以下、本発明について具体的に説明する。
【００１４】
＜第１の実施の形態＞
本発明の画像形成装置は、下記に詳述する現像剤補給機構を有する現像装置を備えるものである。
【００１５】
具体的には、本発明の画像形成装置は、例えば、４組の画像形成ユニット１００Ｙ、１００Ｍ、１００Ｃ、１００Ｋが中間転写体である中間転写ベルト１７に沿って垂直方向に並ぶよう設けられた構成のタンデム方式のカラー画像形成装置とすることができる。
【００１６】
各画像形成ユニット１００Ｙ、１００Ｍ、１００Ｃ、１００Ｋは、ローラ１７ａ〜１７ｉに外接して張架され、駆動源（図示せず）によって矢印で示す方向に循環移動する中間転写ベルト１７に従動し、接地された状態で反時計方向に回転される、像担持体である感光体ドラム１０Ｙ、１０Ｍ、１０Ｃ、１０Ｋと、スコロトロン帯電器よりなる、感光体ドラム１０Ｙ、１０Ｍ、１０Ｃ、１０Ｋの回転軸に平行に配設されてトナーと同極性のコロナ放電によって、当該感光体ドラム１０Ｙ、１０Ｍ、１０Ｃ、１０Ｋの表面に一様な電位を与える帯電手段１１Ｙ、１１Ｍ、１１Ｃ、１１Ｋと、例えばポリゴンミラーなどによって感光体ドラム１０Ｙ、１０Ｍ、１０Ｃ、１０Ｋの回転軸と平行に走査を行い、一様に帯電された感光体ドラム１０Ｙ、１０Ｍ、１０Ｃ、１０Ｋの表面上に画像データに基づいて像露光を行うことにより静電潜像を形成させる露光手段１２Ｙ、１２Ｍ、１２Ｃ、１２Ｋと、トナーを感光体ドラム１０Ｙ、１０Ｍ、１０Ｃ、１０Ｋの表面に搬送して前記静電潜像を顕像化する、本発明に係る現像剤補給機構を有する現像装置２０Ｙ、２０Ｍ、２０Ｃ、２０Ｋとを有する。
【００１７】
感光体ドラム１０Ｙ、１０Ｍ、１０Ｃ、１０Ｋは、アルミ材よりなる円筒状の金属基体の外周面上に、オーバーコート層（保護層）を設けた有機感光体層（ＯＰＣ）が形成されたものであり、例えばその外径は１００ｍｍとされる。
【００１８】
なお、図１において、１６Ｙ、１６Ｍ、１６Ｃ、１６Ｋは、一次転写後に感光体ドラム１０Ｙ、１０Ｍ、１０Ｃ、１０Ｋ上に残留した残留トナーを回収するクリーニング手段である。
【００１９】
ここで、画像形成ユニット１００Ｙによればイエローのトナー像が形成され、画像形成ユニット１００Ｍによればマゼンタのトナー像が形成され、画像形成ユニット１００Ｃによればシアンのトナー像が形成され、画像形成ユニット１００Ｋによれば黒色のトナー像が形成される。
【００２０】
このような画像形成装置においては、各画像形成ユニット１００Ｙ、１００Ｍ、１００Ｃ、１００Ｋの感光体ドラム１０Ｙ、１０Ｍ、１０Ｃ、１０Ｋ上に形成された各色のトナー像が、循環移動する中間転写ベルト１７上に、例えば転写ローラよりなる一次転写手段１４Ｙ、１４Ｍ、１４Ｃ、１４Ｋにより順次転写されて重ね合わせられることにより、カラートナー像が形成され、例えば転写ローラよりなる二次転写手段１８において、給紙トレイ（図示せず）から搬送された記録材Ｐ上に一括して転写され、図示しない定着装置において定着され、その後、機外に排出される。
【００２１】
記録材Ｐとしては、具体的には、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙あるいはコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、ＯＨＰ用のプラスチックフィルム、布などの各種を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【００２２】
〔現像装置〕
そして、本発明の画像形成装置に備えられる現像剤補給機構を有する現像装置２０Ｙ、２０Ｍ、２０Ｃ、２０Ｋは、充填されるトナーの色が互いに異なること以外は同じ構成を有する。以下においては、代表して現像装置２０Ｙについて説明する。
図２は、本発明の画像形成装置における現像装置の構成の一例を示す説明図である。
この現像装置２０Ｙは、トナーおよびキャリアがそれぞれ継続的または断続的に補給され、かつ、現像装置２０Ｙ内の現像剤の一部が継続的または断続的に少しずつ排出されて廃棄されながら現像が行われるトリクル現像方式のものである。
【００２３】
現像装置２０Ｙは、図２および図３に示されるように、像担持体である感光体ドラム１０Ｙ上に担持された静電潜像を現像するためのトナーおよびキャリアからなる二成分現像剤が収容される現像剤収容部２１と、当該現像剤収容部２１にトナーを補給するトナー補給手段（図示せず）、および、現像剤収容部２１にキャリアを補給するキャリア補給手段（図示せず）を有する現像剤補給機構と、当該現像剤収容部２１から余剰の現像剤を排出する余剰現像剤排出手段（図示せず）と、現像剤収容部２１における現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段２５とを有するものである。
【００２４】
この現像装置２０Ｙは、具体的には、感光体ドラム１０Ｙと現像領域Ｒを介して対向し、当該現像領域Ｒにおいて感光体ドラム１０Ｙと逆方向に移動されるよう、矢印で示すように反時計方向に回転される現像ローラ２２と、反時計方向に回転されてその上側で現像剤を現像ローラ２２に供給すると共にその下側で現像ローラ２２から戻される現像剤を回収する供給回収部材２４と、当該供給回収部材２４と逆方向に回転されて現像剤を循環搬送しながら混合・撹拌する撹拌部材２３とが、それぞれが軸方向（図２における紙面に垂直な方向）に延び、互いに平行に前後方向（図２における左右方向）にこの順に並んで、それぞれ隔壁２９によって区画された供給回収区域２１ｙおよび撹拌区域２１ｘに配置された状態で、現像剤収容部２１内に設けられている。
なお、２８は、現像ローラ２２の外周面上に形成されるべき現像剤層の厚みを所定の大きさに規制するための、現像ローラ２２と所定の間隙を介して配置される例えば棒状あるいは板状の磁性材からなる現像剤層厚規制部材である。
【００２５】
トナー濃度検知手段２５としては、特に限定されずに公知の種々のものを使用することができ、例えば、コイルに電圧を印加し、透磁率に応じて変化する電流値を検知する、いわゆる磁気式センサーよりなるものを使用することができる。このような磁気式センサーを用いる場合、この磁気式センサーは、例えば現像剤収容部２１の撹拌部材２３の底部に対向する位置に配置される。
また、トナー濃度検知手段２５としては、例えば、感光体ドラム１０Ｙ上に形成したパッチ画像の反射濃度によるトナー付着量を検出することによって間接的にトナー濃度を検出する方式のものを使用することもできる。
【００２６】
現像ローラ２２は、例えば、回転可能に設けられた例えばアルミニウムなどの非磁性材料からなる筒状の現像スリーブと、この現像スリーブの内部に周方向に離間するよう固定して設けられた、例えば複数の磁極を有する円柱状の磁石体とにより構成されている。この現像ローラ２２の外径は例えばφ３０ｍｍとされる。
撹拌部材２３および供給回収部材２４は、例えば円柱状の軸部材の外周面の全周にわたって軸方向に均一な大きさのピッチで螺旋状に延びるよう形成された螺旋状の羽根を有するスクリュー形状のものとすることができる。
これらの撹拌部材２３および供給回収部材２４の外径は、例えばそれぞれφ２７ｍｍとされる。
【００２７】
この現像装置２０Ｙにおいては、現像剤収容部２１の撹拌区域２１ｘおよび供給回収区域２１ｙによって現像剤の撹拌循環路が形成されており、現像剤収容部２１の屋根板２１ａにおける撹拌部材２３が設置された撹拌区域２１ｘ上であって搬送方向の上流側（図３における左側）に、当該搬送方向に沿って、トナー補給手段においてトナー収容部（図示せず）から例えばスクリューよりなるトナー搬送部材（図示せず）によって新たなトナー（以下、「新トナー」ともいう。）を現像剤収容部２１内に補給するためのトナー補給口２７ａ、およびキャリア補給手段においてキャリア収容部（図示せず）から例えばスクリューよりなるキャリア搬送部材（図示せず）によって新たな未使用のキャリア（以下、「新キャリア」ともいう。）を現像剤収容部２１内に補給するためのキャリア補給口２７ｂが、この順に並んで形成されている。
トナー補給口２７ａおよびキャリア補給口２７ｂが撹拌区域２１ｘ上の搬送方向の上流側に設けられていることによって、補給された新トナーおよび新キャリアが既収容の現像剤と十分に撹拌されないまま現像ローラ２２に供給されることが抑止される。
【００２８】
また、現像剤の撹拌循環路におけるトナー補給口２７ａおよびキャリア補給口２７ｂが形成された位置の直上流側の位置、すなわち現像剤収容部２１における供給回収部材２４が設置された供給回収区域２１ｙの最下流位置には、余剰の現像剤を排出する現像剤排出口２６が形成されている。
現像剤排出口２６がトナー補給口２７ａおよびキャリア補給口２７ｂが形成された位置の直上流側の位置に設けられていることによって、新トナーおよび新キャリアが既収容の現像剤と混合される前にすぐに排出されてしまうことが抑止される。
現像剤の排出方式としては、特に限定されず種々の方式を採用することができるが、具体的には、例えば、現像剤収容部２１の壁面の高さを現像剤排出口２６その部分だけ所定量低くしておくことで、撹拌循環路における余剰の現像剤を自動的にあふれさせる方式や、また例えば、供給回収部材２４または撹拌部材２３として螺旋状の羽根を部分的に逆巻きにさせたものを用いて現像剤の搬送を妨げ、現像剤収容部２１の壁面から、撹拌循環路における余剰の現像剤を自動的にあふれさせる方式などが挙げられる。
【００２９】
この現像装置２０Ｙの現像剤収容部２１に収容されるイエロー色に係る現像剤の量は、例えば６００ｇとされる。
【００３０】
以上のような現像装置２０Ｙにおいては、以下のように現像動作が行われる。
すなわち、現像剤収容部２１内に充填された二成分現像剤が、下記に詳述するように混合・撹拌・供給動作が行われて供給回収部材２４によって現像ローラ２２の外周面に運ばれた後、磁力により現像ローラ２２の外周面に付着され、さらに現像剤層厚規制部材２８によってその厚みが規制されて磁気ブラシによる現像剤層が形成され、これが現像領域Ｒに搬送され、当該現像領域Ｒにおいて、現像ローラ２２と感光体ドラム１０Ｙとの間に直流（ＤＣ）電圧に必要に応じて交流（ＡＣ）電圧が重畳された現像バイアス電圧が印加されることによって、反転現像が行われて感光体ドラム１０Ｙ上の静電潜像が顕像化される。
一方、静電潜像を顕像化しなかった二成分現像剤は、磁石体の反発磁界の作用により現像ローラ２２から剥ぎ取られ、供給回収部材２４により回収され、再度、混合・撹拌・供給動作に供される。
【００３１】
混合・撹拌・供給動作は、以下のように行われる。
すなわち、現像剤が、撹拌区域２１ｘにおいて撹拌部材２３によって軸方向に沿った一方向に搬送されながら混合・撹拌されて摩擦帯電され、供給回収区域２１ｙにおいて供給回収部材２４によって撹拌部材２３による搬送方向と逆方向に同等の大きさで搬送されながら混合・撹拌されることにより摩擦帯電されて現像ローラ２２へ供給される。これらの撹拌区域２１ｘおよび供給回収区域２１ｙにおいて現像剤が循環搬送されている。
【００３２】
そして、本発明の画像形成装置においては、現像剤補給機構において以下のような現像剤補給動作が行われる。
すなわち、現像剤収容部２１に対して、トナー補給口２７ａおよび／またはキャリア補給口２７ｂから、（１）一定の時間間隔ごとに一定量のキャリアが補給され、（２）これに加えて、トナー濃度検知手段２５によって一定の設定時間間隔で検知されるトナー濃度が、規定値未満である濃度領域をトナー不足領域Ａ、規定値以上でかつ前記規定値よりも大きい値の許容限界値未満である濃度領域を適正濃度領域Ｂ、許容限界値以上である濃度領域をトナー過剰領域Ｃとした場合に、この一定の設定時間間隔ごとに、（２−ａ）トナー濃度検知手段２５によって検知されたトナー濃度がトナー不足領域Ａにある場合においては、トナー濃度の規定値に対する不足量に応じた量の新トナーが補給され、（２−ｂ）トナー濃度検知手段２５によって検知されたトナー濃度が適正濃度領域Ｂにある場合においては、（２−ｂ−ｉ）当該適正濃度領域Ｂがトナー不足領域Ａから移行されたときには一定量の新トナーが補給され、（２−ｂ−ii）当該適正濃度領域Ｂがトナー過剰領域Ｃから移行されたときには新キャリアのみが補給され、（２−ｃ）トナー濃度検知手段２５によって検知されたトナー濃度がトナー過剰領域Ｃにある場合には、新キャリアのみが補給される。
【００３３】
上記（１）は、定常キャリア補給であって、例えば３０秒間が経過するごとに１０〜５０ｍｇ、好ましくは２０ｍｇの新キャリアが補給される。このような定常キャリア補給がなされることによって、基本的にトリクル現像が行われてキャリアの過度な劣化を抑制することができる。一方、定常キャリア補給として補給される新キャリアが過多である場合は、不必要に大量の新キャリアを使用することとなるため、使用コストが高いものとなり、定常キャリア補給として補給される新キャリアが過少である場合は、二成分現像剤中のキャリアの入れ替えが不十分となり、トリクル現像方式による効果を十分に得ることができない。
【００３４】
上記（２）は、調整用の現像剤補給であって、具体的には、図４に示されるように、まず、現像剤収容部２１内のトナー濃度を測定し、検知されるトナー濃度が規定値未満である場合はトナー濃度が規定値以上になるまで上記（２−ａ）が行われて不足量に応じた量のトナーの補給が行われ、検知されるトナー濃度が規定値以上になった場合はトナー濃度が許容限界値に至るまで上記（２−ｂ−ｉ）が行われて一定量のトナーの補給が行われ、検知されるトナー濃度が許容限界値以上となった場合は、トナーの補給が停止されると共に、トナー濃度が規定値未満になるまで上記（２−ｂ−ii）または（２−ｃ）が行われてキャリアのみの補給が行われる。
【００３５】
トナー濃度検知手段２５によってトナー濃度を検知する一定の設定時間間隔は、例えば０．５〜１０秒間ごと、好ましくは１秒間ごととされる。
【００３６】
トナーおよびキャリアの補給の指標となる規定値は、所期の画像濃度を得ることのできるトナー濃度範囲の下限値であり、例えば４〜８％とされ、特に６％とされることが好ましい。
また、許容限界値は、規定値よりも大きい値であって、可視画像において画像カブリやトナー飛散などの不具合が生じないトナー濃度範囲の上限値であり、画像形成装置および現像装置の具体的な構成や現像剤の使用状態によっても異なるが、例えば６〜１２％とされ、特に規定値が６％である場合に８％とされることが好ましい。
【００３７】
トナー濃度が、トナー過剰領域Ｃであって許容限界値に極めて近い場合、および、トナー過剰領域Ｃから移行した適正濃度領域Ｂである場合におけるキャリアの補給量は、１秒当たりに１．０×１０-5Ｍｃ以上１．０×１０-4Ｍｃ以下（ただし、Ｍｃは現像剤収容部２１中に収容されるべきキャリアの量である。）の量となるように制御されることが好ましい。
トナー濃度が許容限界値に極めて近い場合とは、例えば規定値がトナー濃度６％、許容限界値がトナー濃度８％である場合に、例えばトナー濃度８．０９％未満である場合とすることができる。
例えば、現像剤収容部２１における現像剤量が６００ｇ、トナー濃度の規定値が６％である場合は、キャリア量Ｍｃは５６４ｇとなることから、トナー過剰領域Ｃであって許容限界値に極めて近い場合、および、トナー過剰領域Ｃから移行した適正濃度領域Ｂである場合におけるキャリアの補給量は、例えば１０ｍｇに設定することができる。
キャリアの補給量が過少である場合は、トナー濃度が規定値に至るまでのスピードが低くなる。一方、キャリアの補給量が過多である場合は、一度に多量のキャリアが補給されることとなり、補給されたキャリアが既収容の現像剤と混合されにくいために不具合を生じるおそれがある。
【００３８】
以下に、規定値をトナー濃度６％、許容限界値をトナー濃度８％とした現像剤補給動作における調整用の現像剤補給の制御の一例について下記表１を参照して詳細に説明する。なお、補給する新トナーおよび新キャリアの具体的な量は、画像形成装置および現像装置の具体的な構成や現像剤の使用状態によっても異なる。
まず、トナー不足領域Ａ、適正濃度領域Ｂ、トナー過剰領域Ｃの順序でトナー濃度が移行している場合においては、トナー不足領域Ａにおいて補給される規定値までの不足量に応じたトナーの量が下記表１の領域Ａのように制御され、適正濃度領域Ｂにおいて補給される一定量のトナーの量は、３．３ｍｇとされ、さらに、トナー過剰領域Ｃにおいて補給されるキャリアの量は、１０ｍｇとされる。
次に、トナー過剰領域Ｃ、適正濃度領域Ｂ、トナー不足領域Ａの順序でトナー濃度が移行している場合においては、トナー過剰領域Ｃおよび適正濃度領域Ｂにおいて補給されるキャリアの量は、共に１０ｍｇとされる。
この例においては、トナー濃度検知手段の出力値２．０２Ｖより大きい場合がトナー濃度に換算して６％未満となり、トナー濃度検知手段の出力値１．８Ｖ以下である場合がトナー濃度に換算して８％以上となる。
【００３９】
【表１】
【００４０】
以上説明した現像装置２０Ｙにおける制御は、画像形成ユニット１００Ｙ、１００Ｍ、１００Ｃ、１００Ｋの現像装置２０Ｙ、２０Ｍ、２０Ｃ、２０Ｋの各々においても同様にして行われる。これらの現像装置２０Ｙ、２０Ｍ、２０Ｃ、２０Ｋの各々における制御は、それぞれ独立に行われる。
【００４１】
〔二成分現像剤〕
本発明の画像形成装置において用いられる二成分現像剤を構成するトナーとしては、特に限定されずに公知の種々のものを使用することができるが、例えば体積基準のメジアン径が３〜９μｍであり、重合法によって得られたいわゆる重合トナーを用いることが好ましい。重合トナーを用いることにより、形成される可視画像において高い解像力および安定した画像濃度が得られると共に画像カブリの発生が極めて抑制される。
【００４２】
また、本発明の画像形成装置において用いられる二成分現像剤を構成するキャリアとしては、特に限定されずに公知の種々のものを使用することができるが、例えば体積基準のメジアン径が３０〜６５μｍであり、磁化量が２０〜７０ｅｍｕ／ｇの磁性粒子からなるフェライトキャリアが好ましい。体積基準のメジアン径が３０μｍ未満のキャリアを用いた場合は、キャリア付着が発生して白抜け画像が生じるおそれがあり、また、体積基準のメジアン径が６５μｍよりも大きなキャリアを用いた場合は、均一な画像濃度の画像が形成されない場合が生じうる。
【００４３】
以上のような画像形成装置によれば、トリクル現像方式の現像装置２０Ｙにおいて、トナー濃度が規定値以上に至ったときにも新トナーの補給が継続され、しかも、トナー濃度が規定値よりも大きい許容限界値以上に至ったときには、トナー濃度が規定値に降下するまで新キャリアの補給が行われるために、現像によって消費されるトナーの量の多少にかかわらずに長期間にわたって現像剤の劣化が抑制され、従って、低カバレッジ連続プリント状態が長時間続く場合にも現像剤の過度な劣化が抑制され、長期間にわたって画像カブリやトナー飛散などのない良好な画像を形成することができる。
【００４４】
＜第２の実施の形態＞
本発明の画像形成装置の第２の例は、図５に示されるように、現像剤補給機構による現像剤補給動作における調整用の現像剤補給が、トナー濃度検知手段２５によって検知されたトナー濃度がトナー不足領域Ａから移行された適正濃度領域Ｂにあるときに、一定量のトナーと共に、前記トナー濃度が規定値に近いほど少量となるように制御された量のキャリアが補給されるよう制御されることの他は第１の実施の形態における画像形成装置と同様の構成を有するものである。
このトナー不足領域Ａから移行された適正濃度領域Ｂにおけるキャリアの補給に係る制御においては、トナー濃度が規定値に極めて近い場合に、キャリアの補給量が０とされることが好ましい。トナー濃度が規定値に極めて近い場合とは、例えば規定値がトナー濃度６％、許容限界値がトナー濃度８％である場合に、例えばトナー濃度６．０９％未満である場合とすることができる。
【００４５】
以下に、規定値をトナー濃度６％、許容限界値をトナー濃度８％とした現像剤補給動作における調整用の現像剤補給の制御の一例について下記表２を参照して詳細に説明する。なお、補給する新トナーおよび新キャリアの具体的な量は、画像形成装置および現像装置の具体的な構成や現像剤の使用状態によっても異なる。
まず、トナー不足領域Ａ、適正濃度領域Ｂ、トナー過剰領域Ｃの順序でトナー濃度が移行している場合においては、トナー不足領域Ａにおいて補給される規定値までの不足量に応じたトナーの量が下記表２の領域Ａのように制御され、適正濃度領域Ｂにおいて補給される一定量のトナーの量が３．３ｍｇとされ、さらに当該適正濃度領域Ｂにおいて補給されるキャリアの量が下記表２の領域Ｂのように制御され、さらに、トナー過剰領域Ｃにおいて補給されるキャリアの量は、１０ｍｇとされる。
次に、トナー過剰領域Ｃ、適正濃度領域Ｂ、トナー不足領域Ａの順序でトナー濃度が移行している場合においては、トナー過剰領域Ｃおよび適正濃度領域Ｂにおいて補給されるキャリアの量は、共に１０ｍｇとされる。
この例においては、トナー濃度検知手段の出力値２．０２Ｖより大きい場合がトナー濃度に換算して６％未満となり、トナー濃度検知手段の出力値１．８Ｖ以下である場合がトナー濃度に換算して８％以上となる。
【００４６】
【表２】
【００４７】
以上のような画像形成装置によれば、第１の実施の形態の画像形成装置と同様の効果に加えて、トナー濃度の規定値からの上昇が抑制されると共に、不必要に大量のキャリアを補給することが防止される。
【００４８】
＜第３の実施の形態＞
本発明の画像形成装置の第３の例は、現像剤補給機構による現像剤補給動作における調整用の現像剤補給が、トナー濃度検知手段２５によって検知されたトナー濃度がトナー過剰領域Ｃにある場合において補給されるキャリアの量が、トナー濃度が許容限界値に近いほど少量となるように制御されたものとされることの他は第１の実施の形態における画像形成装置と同様の構成を有するものである。
このトナー過剰領域Ｃにおけるキャリアの補給に係る制御においては、トナー濃度が許容限界値に極めて近い場合に、キャリアの補給量が０とされることが好ましい。トナー濃度が許容限界値に極めて近い場合とは、例えば規定値がトナー濃度６％、許容限界値がトナー濃度８％である場合に、例えばトナー濃度８．０９％未満である場合とすることができる。
【００４９】
以下に、規定値をトナー濃度６％、許容限界値をトナー濃度８％とした現像剤補給動作における調整用の現像剤補給の制御の一例について下記表３を参照して詳細に説明する。なお、補給する新トナーおよび新キャリアの具体的な量は、画像形成装置および現像装置の具体的な構成や現像剤の使用状態によっても異なる。
まず、トナー不足領域Ａ、適正濃度領域Ｂ、トナー過剰領域Ｃの順序でトナー濃度が移行している場合においては、トナー不足領域Ａにおいて補給される規定値までの不足量に応じたトナーの量が下記表３の領域Ａのように制御され、適正濃度領域Ｂにおいて補給される一定量のトナーの量が３．３ｍｇとされ、さらに、トナー過剰領域Ｃにおいて補給されるキャリアの量が下記表３の領域Ｃのように制御される。
次に、トナー過剰領域Ｃ、適正濃度領域Ｂ、トナー不足領域Ａの順序でトナー濃度が移行している場合においては、トナー過剰領域Ｃおいて補給されるキャリアの量が下記表３の領域Ｃのように制御され、適正濃度領域Ｂにおいて補給されるキャリアの量は１０ｍｇとされる。
この例においては、トナー濃度検知手段の出力値２．０２Ｖより大きい場合がトナー濃度に換算して６％未満となり、トナー濃度検知手段の出力値１．８Ｖ以下である場合がトナー濃度に換算して８％以上となる。
【００５０】
【表３】
【００５１】
以上のような画像形成装置によれば、第１の実施の形態の画像形成装置と同様の効果に加えて、トナー濃度が迅速に規定値まで降下されるために一層確実に長期間にわたる現像剤の劣化が抑制されると共に、不必要に大量のキャリアを補給することが防止される。
【００５２】
＜第４の実施の形態＞
本発明の画像形成装置の第４の例は、現像剤補給機構による現像剤補給動作における調整用の現像剤補給が、トナー濃度検知手段２５によって検知されたトナー濃度がトナー不足領域Ａから移行された適正濃度領域Ｂにあるときに、一定量のトナーと共に、前記トナー濃度が規定値に近いほど少量となるように制御された量のキャリアが補給されるよう制御されると共に、トナー過剰領域Ｃにある場合において補給されるキャリアの量が、トナー濃度が許容限界値に近いほど少量となるように制御されたものとされることの他は第１の実施の形態における画像形成装置と同様の構成を有するものである。
このトナー不足領域Ａから移行された適正濃度領域Ｂにおけるキャリアの補給に係る制御においては、トナー濃度が規定値に極めて近い場合に、キャリアの補給量が０とされることが好ましい。トナー濃度が規定値に極めて近い場合とは、例えば規定値がトナー濃度６％、許容限界値がトナー濃度８％である場合に、例えばトナー濃度６．０９％未満である場合とすることができる。
また、トナー過剰領域Ｃにおけるキャリアの補給に係る制御においては、トナー濃度が許容限界値に極めて近い場合に、キャリアの補給量が０とされることが好ましい。トナー濃度が許容限界値に極めて近い場合とは、例えば規定値がトナー濃度６％、許容限界値がトナー濃度８％である場合に、例えばトナー濃度８．０９％未満である場合とすることができる。
【００５３】
以下に、規定値をトナー濃度６％、許容限界値をトナー濃度８％とした現像剤補給動作における調整用の現像剤補給の制御の一例について下記表４を参照して詳細に説明する。なお、補給する新トナーおよび新キャリアの具体的な量は、画像形成装置および現像装置の具体的な構成や現像剤の使用状態によっても異なる。
まず、トナー不足領域Ａ、適正濃度領域Ｂ、トナー過剰領域Ｃの順序でトナー濃度が移行している場合においては、トナー不足領域Ａにおいて補給される規定値までの不足量に応じたトナーの量が下記表４の領域Ａのように制御され、適正濃度領域Ｂにおいて補給される一定量のトナーの量が３．３ｍｇとされ、さらに当該適正濃度領域Ｂにおいて補給されるキャリアの量が下記表４の領域Ｂのように制御され、さらに、トナー過剰領域Ｃにおいて補給されるキャリアの量が下記表４の領域Ｃのように制御される。
次に、トナー過剰領域Ｃ、適正濃度領域Ｂ、トナー不足領域Ａの順序でトナー濃度が移行している場合においては、トナー過剰領域Ｃおいて補給されるキャリアの量が下記表４の領域Ｃのように制御され、適正濃度領域Ｂにおいて補給されるキャリアの量は１０ｍｇとされる。
この例においては、トナー濃度検知手段の出力値２．０２Ｖより大きい場合がトナー濃度に換算して６％未満となり、トナー濃度検知手段の出力値１．８Ｖ以下である場合がトナー濃度に換算して８％以上となる。
【００５４】
【表４】
【００５５】
以上のような画像形成装置によれば、第１の実施の形態の画像形成装置と同様の効果に加えて、トナー不足領域Ａから移行した適正濃度領域Ｂにおいてはトナー濃度の規定値からの上昇が抑制されると共にトナー過剰領域Ｃにおいてはトナー濃度が迅速に規定値まで降下されるために一層確実に長期間にわたる現像剤の劣化が抑制され、さらに、不必要に大量のキャリアを補給することが防止される。
【００５６】
以上、本発明の画像形成装置について説明したが、上記の構成に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
【００５７】
例えば、現像装置において、新トナーおよび新キャリアは、それぞれ単独で補給されることに限定されず、例えば、現像剤補給機構において、トナー収容部およびキャリア収容部から新トナーおよび新キャリアが搬送されて一旦中間槽において混合・撹拌された後、新現像剤として現像剤収容部に補給されてもよい。
【００５８】
また例えば、本発明の画像形成装置は、カラー画像形成装置として構成されることに限定されず、モノクロ画像形成装置であってもよい。
【実施例】
【００５９】
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【００６０】
＜実施例１＞
図１に示される構成の画像形成装置を用い、現像剤補給機構において、定常キャリア補給として３０秒間ごとに２０ｍｇの新キャリアを補給すると共に、調整用の現像剤補給として１秒間ごとに上記表１に従って新トナーおよび新キャリアを補給しながら、カバレッジ０．１％の原稿で連続して３６万枚プリントし、トナー飛散および画像カブリの発生状況について観察したところ、特にトナー飛散も画像カブリも発生しなかった。現像剤収容部内のトナー濃度の推移を図６に、トナーの帯電量の推移を図７に示す。なお、図６，７中においては、線（１）で示す。
以下において、トナー不足領域Ａは、トナー濃度検知手段の出力値２．０２Ｖより大きい場合であり、これはトナー濃度に換算すると６％未満の場合となる。適正濃度領域Ｂは、トナー濃度検知手段の出力値が１．８Ｖより大きく２．０２Ｖ以下である場合である。トナー過剰領域Ｃは、トナー濃度検知手段の出力値が１．８Ｖ以下の場合であり、これはトナー濃度に換算すると８％以上である場合となる。また、トナー濃度検知手段によるトナー濃度の検知は１秒間ごとに行った。
【００６１】
＜実施例２＞
調整用の現像剤補給として１秒間ごとに上記表４に従って新トナーおよび新キャリアを補給したことの他は実施例１と同様にして、トナー飛散および画像カブリの発生状況について観察したところ、特にトナー飛散も画像カブリも発生しなかった。現像剤収容部内のトナー濃度の推移を図６に、トナーの帯電量の推移を図７に示す。なお、図６，７中においては、線（２）で示す。
【００６２】
＜比較例１＞
調整用の現像剤補給として、１秒間ごとに、トナー不足領域Ａにおいては上記表１に従った量の新トナーを補給し、適正濃度領域Ｂおよびトナー過剰領域Ｃにおいては定常キャリア補給以外、新トナーおよび新キャリアは補給しないことの他は実施例１と同様にして、トナー飛散および画像カブリの発生状況について観察したところ、５千枚をプリントした時点でトナー飛散が発生し、２万５千枚をプリントした時点で画像カブリが発生した。現像剤収容部内のトナー濃度の推移を図６に、トナーの帯電量の推移を図７に示す。なお、図６，７中においては、線（３）で示す。
【００６３】
＜比較例２＞
調整用の現像剤補給として、１秒間ごとに、トナー不足領域Ａにおいては上記表１に従った量の新トナーを補給し、適正濃度領域Ｂにおいては３．３ｍｇの新トナーを補給し、トナー過剰領域Ｃにおいては定常キャリア補給以外、新トナーおよび新キャリアは補給しないことの他は実施例１と同様にして、トナー飛散および画像カブリの発生状況について観察したところ、１万枚をプリントした時点でトナー飛散が発生したが、画像カブリは特に発生しなかった。現像剤収容部内のトナー濃度の推移を図６に、トナーの帯電量の推移を図７に示す。なお、図６，７中においては、線（４）で示す。
【００６４】
以上より、実施例１，２においては、トナー飛散および画像カブリが発生せず、図７より長期間にわたって高い帯電量が得られることから、本発明の画像形成装置によれば現像剤収容部中に収容された現像剤の劣化が抑制されることが判明した。
また、実施例２においては、図７より長期間にわたって新トナーの補給に伴うトナー濃度の上昇が抑制されて終始高い帯電量が得られることから、現像剤収容部中に収容された現像剤の劣化が一層確実に抑制されることが判明した。この実施例２においては、トナー濃度検知手段によって検知されるトナー濃度が許容限界値を上回ることがなかった。
一方、比較例１においては、低カバレッジ連続プリント状態が長時間続いてトナー濃度が６％近傍において推移するために、新トナーの補給がほとんどなされず、その結果、現像剤の劣化が進行して次第に高い帯電量を得ることができなくなることが確認された。
また、比較例２においては、トナー濃度が規定値以上となっても６千枚までは一定量のトナーの補給が行われたために、６千枚までは高い帯電量が得られるが、６千枚を超えた後は新トナーの補給がほとんどなされないために現像剤の劣化が進行して次第に高い帯電量を得ることができなくなることが確認された。
【符号の説明】
【００６５】
１０Ｙ、１０Ｍ、１０Ｃ、１０Ｋ 感光体ドラム
１１Ｙ、１１Ｍ、１１Ｃ、１１Ｋ 帯電手段
１２Ｙ、１２Ｍ、１２Ｃ、１２Ｋ 露光手段
１４Ｙ、１４Ｍ、１４Ｃ、１４Ｋ 一次転写手段
１６Ｙ、１６Ｍ、１６Ｃ、１６Ｋ クリーニング手段
１７ 中間転写ベルト
１７ａ〜１７ｉ ローラ
１８ 二次転写手段
２０Ｙ、２０Ｍ、２０Ｃ、２０Ｋ 現像装置
２１ 現像剤収容部
２１ａ 屋根板
２１ｘ 撹拌区域
２１ｙ 供給回収区域
２２ 現像ローラ
２３ 撹拌部材
２４ 供給回収部材
２５ トナー濃度検知手段
２６ 現像剤排出口
２７ａ トナー補給口
２７ｂ キャリア補給口
２８ 現像剤層厚規制部材
２９ 隔壁
１００Ｙ、１００Ｍ、１００Ｃ、１００Ｋ 画像形成ユニット
Ｐ 記録材
Ｒ 現像領域
【技術分野】
【０００１】
本発明は、二成分現像剤を用いて現像を行う電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
電子写真方式の画像形成装置として、従来から、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤（以下、単に「現像剤」ともいう。）を用い、キャリアとの撹拌により摩擦帯電されたトナーを現像領域に搬送し、トナーを像担持体上に形成された静電潜像に付着させることによりトナー像を形成する現像装置であって、さらに新たなトナーおよびキャリアを継続的または断続的に補給すると共に使用済みの現像剤を徐々に廃棄する、いわゆるトリクル現像方式の現像装置が搭載された画像形成装置が知られている。
一般に、二成分現像剤は撹拌動作によってストレスを受け、トナーを構成するトナー粒子の表面に添加されている潤滑剤などの外添剤がトナー粒子から離脱したり、逆にトナー粒子に埋没したりしていき、その結果、現像剤の帯電性が低下してトナーの帯電量が低いものとなったり、現像剤の流動性が低下してキャリアとトナーとの間の摩擦係数が高いものとなってトナーがキャリアに付着するキャリア汚染の現象が起こったりするところ、このようなトリクル現像方式を採用することにより、新たなトナーが継続的または断続的に補給され、これによって外添剤も共に補給されるので、現像剤の過度な劣化が抑制される。なお、外添剤をそれ単独で現像装置内に補給してもトナーおよびキャリアに均質に接触させることは難しい。
一般的なトリクル現像方式の現像装置においては、補給用のトナーが収容されたトナーボトルもしくはトナーカートリッジ内に、予め一定量のキャリアを投入しておくことにより、トナーが補給されるときにキャリアも補給される構成が採用されている。
【０００３】
然るに、このようなトリクル現像方式の現像装置においては、文字原稿などの低い印字率（カバレッジ）の原稿を連続してプリントする状態（以下、「低カバレッジ連続プリント状態」ともいう。）が長時間続くと、画像形成に供されるトナーが極めて少量であるために現像装置内のトナー濃度がほとんど低下せず、その結果、新たなトナーの補給が行われずに、現像剤が過度に劣化し、結局、形成される可視画像において現像剤の帯電性や流動性の低下に起因する画像カブリやトナー飛散などが発生してしまう、という問題がある。
【０００４】
このような問題を解決するために、例えば特許文献１には、現像装置内のトナー濃度が規定値に達しているときにも一定量のトナーを補給し続けることによって低カバレッジ連続プリント状態が長時間にわたる場合の現像剤の過度な劣化を抑制する方法が開示されている。
【０００５】
しかしながら、このような方法によっても、現像装置内のトナー濃度が画像形成に支障を生じる程に高くなるとトナーの補給を止めざるを得なくなるため、やがては現像剤の過度な劣化を抑制することができなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】特許第４１２２８１６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
本発明は、以上の事情に基づいてなされたものであって、その目的は、低カバレッジ連続プリント状態が長時間続く場合にも現像剤の過度な劣化が抑制され、長期間にわたって画像カブリやトナー飛散などのない良好な画像を形成することのできる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明の画像形成装置は、像担持体上に担持された静電潜像を現像するためのトナーおよびキャリアからなる二成分現像剤が収容される現像剤収容部と、
前記現像剤収容部にトナーを補給するトナー補給手段、および、前記現像剤収容部にキャリアを補給するキャリア補給手段を有する現像剤補給機構と、
前記現像剤収容部から余剰の二成分現像剤を排出する余剰現像剤排出手段と、
前記現像剤収容部における二成分現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段と
を有する現像装置を備える画像形成装置において、
前記現像剤補給機構においては、
一定の時間間隔ごとに一定量のキャリアが補給されると共に、
前記トナー濃度検知手段によって一定の設定時間間隔で検知されるトナー濃度が、規定値未満である濃度領域をトナー不足領域Ａ、規定値以上でかつ前記規定値よりも大きい値の許容限界値未満である濃度領域を適正濃度領域Ｂ、許容限界値以上である濃度領域をトナー過剰領域Ｃとした場合に、
前記一定の設定時間間隔ごとに、
前記トナー濃度検知手段によって検知されたトナー濃度がトナー不足領域Ａにある場合においては、トナー濃度の規定値に対する不足量に応じた量のトナーが補給され、
前記トナー濃度検知手段によって検知されたトナー濃度が適正濃度領域Ｂにある場合においては、当該適正濃度領域Ｂがトナー不足領域Ａから移行されたときには一定量のトナーが補給され、当該適正濃度領域Ｂがトナー過剰領域Ｃから移行されたときにはキャリアのみが補給され、
前記トナー濃度検知手段によって検知されたトナー濃度がトナー過剰領域Ｃにある場合においては、キャリアのみが補給されることを特徴とする。
【０００９】
本発明の画像形成装置においては、前記現像剤補給機構においては、前記トナー濃度検知手段によって検知されたトナー濃度がトナー不足領域Ａから移行された適正濃度領域Ｂにあるときに、一定量のトナーと共にキャリアが補給され、
補給されるキャリアの量が、前記トナー濃度が規定値に近いほど少量となるように制御されることが好ましい。
【００１０】
また、本発明の画像形成装置においては、前記現像剤補給機構においては、前記トナー濃度検知手段によって検知されたトナー濃度がトナー過剰領域Ｃにある場合において補給されるキャリアの量は、前記トナー濃度が許容限界値に近いほど少量となるように制御されることが好ましい。
【発明の効果】
【００１１】
本発明の画像形成装置によれば、トリクル現像方式の現像装置において、トナー濃度が規定値以上に至ったときにもトナーの補給が継続され、しかも、トナー濃度が規定値よりも大きい許容限界値以上に至った場合には、トナー濃度が規定値に降下するまでキャリアの補給が行われるために、現像によって消費されるトナーの量の多少にかかわらずに長期間にわたって現像剤の劣化が抑制され、従って、低カバレッジ連続プリント状態が長時間続く場合にも現像剤の過度な劣化が抑制され、その結果、長期間にわたって良好な帯電性が得られて画像カブリやトナー飛散などのない良好な画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】本発明の画像形成装置の構成の一例を示す説明図である。
【図２】図１の画像形成装置における現像装置の構成の一例を示す説明図である。
【図３】図２の現像装置における現像ローラおよび現像剤収容部の一部を模式的に示す平面図である。
【図４】本発明の画像形成装置における調整用の現像剤補給動作の一例を示す制御フロー図である。
【図５】本発明の画像形成装置における調整用の現像剤補給動作の別の一例を示す制御フロー図である。
【図６】実施例１，２および比較例１，２に係る現像剤収容部内のトナー濃度の推移を示すグラフである。
【図７】実施例１，２および比較例１，２に係る現像剤収容部内のトナーの帯電量の推移を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【００１３】
以下、本発明について具体的に説明する。
【００１４】
＜第１の実施の形態＞
本発明の画像形成装置は、下記に詳述する現像剤補給機構を有する現像装置を備えるものである。
【００１５】
具体的には、本発明の画像形成装置は、例えば、４組の画像形成ユニット１００Ｙ、１００Ｍ、１００Ｃ、１００Ｋが中間転写体である中間転写ベルト１７に沿って垂直方向に並ぶよう設けられた構成のタンデム方式のカラー画像形成装置とすることができる。
【００１６】
各画像形成ユニット１００Ｙ、１００Ｍ、１００Ｃ、１００Ｋは、ローラ１７ａ〜１７ｉに外接して張架され、駆動源（図示せず）によって矢印で示す方向に循環移動する中間転写ベルト１７に従動し、接地された状態で反時計方向に回転される、像担持体である感光体ドラム１０Ｙ、１０Ｍ、１０Ｃ、１０Ｋと、スコロトロン帯電器よりなる、感光体ドラム１０Ｙ、１０Ｍ、１０Ｃ、１０Ｋの回転軸に平行に配設されてトナーと同極性のコロナ放電によって、当該感光体ドラム１０Ｙ、１０Ｍ、１０Ｃ、１０Ｋの表面に一様な電位を与える帯電手段１１Ｙ、１１Ｍ、１１Ｃ、１１Ｋと、例えばポリゴンミラーなどによって感光体ドラム１０Ｙ、１０Ｍ、１０Ｃ、１０Ｋの回転軸と平行に走査を行い、一様に帯電された感光体ドラム１０Ｙ、１０Ｍ、１０Ｃ、１０Ｋの表面上に画像データに基づいて像露光を行うことにより静電潜像を形成させる露光手段１２Ｙ、１２Ｍ、１２Ｃ、１２Ｋと、トナーを感光体ドラム１０Ｙ、１０Ｍ、１０Ｃ、１０Ｋの表面に搬送して前記静電潜像を顕像化する、本発明に係る現像剤補給機構を有する現像装置２０Ｙ、２０Ｍ、２０Ｃ、２０Ｋとを有する。
【００１７】
感光体ドラム１０Ｙ、１０Ｍ、１０Ｃ、１０Ｋは、アルミ材よりなる円筒状の金属基体の外周面上に、オーバーコート層（保護層）を設けた有機感光体層（ＯＰＣ）が形成されたものであり、例えばその外径は１００ｍｍとされる。
【００１８】
なお、図１において、１６Ｙ、１６Ｍ、１６Ｃ、１６Ｋは、一次転写後に感光体ドラム１０Ｙ、１０Ｍ、１０Ｃ、１０Ｋ上に残留した残留トナーを回収するクリーニング手段である。
【００１９】
ここで、画像形成ユニット１００Ｙによればイエローのトナー像が形成され、画像形成ユニット１００Ｍによればマゼンタのトナー像が形成され、画像形成ユニット１００Ｃによればシアンのトナー像が形成され、画像形成ユニット１００Ｋによれば黒色のトナー像が形成される。
【００２０】
このような画像形成装置においては、各画像形成ユニット１００Ｙ、１００Ｍ、１００Ｃ、１００Ｋの感光体ドラム１０Ｙ、１０Ｍ、１０Ｃ、１０Ｋ上に形成された各色のトナー像が、循環移動する中間転写ベルト１７上に、例えば転写ローラよりなる一次転写手段１４Ｙ、１４Ｍ、１４Ｃ、１４Ｋにより順次転写されて重ね合わせられることにより、カラートナー像が形成され、例えば転写ローラよりなる二次転写手段１８において、給紙トレイ（図示せず）から搬送された記録材Ｐ上に一括して転写され、図示しない定着装置において定着され、その後、機外に排出される。
【００２１】
記録材Ｐとしては、具体的には、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙あるいはコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、ＯＨＰ用のプラスチックフィルム、布などの各種を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【００２２】
〔現像装置〕
そして、本発明の画像形成装置に備えられる現像剤補給機構を有する現像装置２０Ｙ、２０Ｍ、２０Ｃ、２０Ｋは、充填されるトナーの色が互いに異なること以外は同じ構成を有する。以下においては、代表して現像装置２０Ｙについて説明する。
図２は、本発明の画像形成装置における現像装置の構成の一例を示す説明図である。
この現像装置２０Ｙは、トナーおよびキャリアがそれぞれ継続的または断続的に補給され、かつ、現像装置２０Ｙ内の現像剤の一部が継続的または断続的に少しずつ排出されて廃棄されながら現像が行われるトリクル現像方式のものである。
【００２３】
現像装置２０Ｙは、図２および図３に示されるように、像担持体である感光体ドラム１０Ｙ上に担持された静電潜像を現像するためのトナーおよびキャリアからなる二成分現像剤が収容される現像剤収容部２１と、当該現像剤収容部２１にトナーを補給するトナー補給手段（図示せず）、および、現像剤収容部２１にキャリアを補給するキャリア補給手段（図示せず）を有する現像剤補給機構と、当該現像剤収容部２１から余剰の現像剤を排出する余剰現像剤排出手段（図示せず）と、現像剤収容部２１における現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段２５とを有するものである。
【００２４】
この現像装置２０Ｙは、具体的には、感光体ドラム１０Ｙと現像領域Ｒを介して対向し、当該現像領域Ｒにおいて感光体ドラム１０Ｙと逆方向に移動されるよう、矢印で示すように反時計方向に回転される現像ローラ２２と、反時計方向に回転されてその上側で現像剤を現像ローラ２２に供給すると共にその下側で現像ローラ２２から戻される現像剤を回収する供給回収部材２４と、当該供給回収部材２４と逆方向に回転されて現像剤を循環搬送しながら混合・撹拌する撹拌部材２３とが、それぞれが軸方向（図２における紙面に垂直な方向）に延び、互いに平行に前後方向（図２における左右方向）にこの順に並んで、それぞれ隔壁２９によって区画された供給回収区域２１ｙおよび撹拌区域２１ｘに配置された状態で、現像剤収容部２１内に設けられている。
なお、２８は、現像ローラ２２の外周面上に形成されるべき現像剤層の厚みを所定の大きさに規制するための、現像ローラ２２と所定の間隙を介して配置される例えば棒状あるいは板状の磁性材からなる現像剤層厚規制部材である。
【００２５】
トナー濃度検知手段２５としては、特に限定されずに公知の種々のものを使用することができ、例えば、コイルに電圧を印加し、透磁率に応じて変化する電流値を検知する、いわゆる磁気式センサーよりなるものを使用することができる。このような磁気式センサーを用いる場合、この磁気式センサーは、例えば現像剤収容部２１の撹拌部材２３の底部に対向する位置に配置される。
また、トナー濃度検知手段２５としては、例えば、感光体ドラム１０Ｙ上に形成したパッチ画像の反射濃度によるトナー付着量を検出することによって間接的にトナー濃度を検出する方式のものを使用することもできる。
【００２６】
現像ローラ２２は、例えば、回転可能に設けられた例えばアルミニウムなどの非磁性材料からなる筒状の現像スリーブと、この現像スリーブの内部に周方向に離間するよう固定して設けられた、例えば複数の磁極を有する円柱状の磁石体とにより構成されている。この現像ローラ２２の外径は例えばφ３０ｍｍとされる。
撹拌部材２３および供給回収部材２４は、例えば円柱状の軸部材の外周面の全周にわたって軸方向に均一な大きさのピッチで螺旋状に延びるよう形成された螺旋状の羽根を有するスクリュー形状のものとすることができる。
これらの撹拌部材２３および供給回収部材２４の外径は、例えばそれぞれφ２７ｍｍとされる。
【００２７】
この現像装置２０Ｙにおいては、現像剤収容部２１の撹拌区域２１ｘおよび供給回収区域２１ｙによって現像剤の撹拌循環路が形成されており、現像剤収容部２１の屋根板２１ａにおける撹拌部材２３が設置された撹拌区域２１ｘ上であって搬送方向の上流側（図３における左側）に、当該搬送方向に沿って、トナー補給手段においてトナー収容部（図示せず）から例えばスクリューよりなるトナー搬送部材（図示せず）によって新たなトナー（以下、「新トナー」ともいう。）を現像剤収容部２１内に補給するためのトナー補給口２７ａ、およびキャリア補給手段においてキャリア収容部（図示せず）から例えばスクリューよりなるキャリア搬送部材（図示せず）によって新たな未使用のキャリア（以下、「新キャリア」ともいう。）を現像剤収容部２１内に補給するためのキャリア補給口２７ｂが、この順に並んで形成されている。
トナー補給口２７ａおよびキャリア補給口２７ｂが撹拌区域２１ｘ上の搬送方向の上流側に設けられていることによって、補給された新トナーおよび新キャリアが既収容の現像剤と十分に撹拌されないまま現像ローラ２２に供給されることが抑止される。
【００２８】
また、現像剤の撹拌循環路におけるトナー補給口２７ａおよびキャリア補給口２７ｂが形成された位置の直上流側の位置、すなわち現像剤収容部２１における供給回収部材２４が設置された供給回収区域２１ｙの最下流位置には、余剰の現像剤を排出する現像剤排出口２６が形成されている。
現像剤排出口２６がトナー補給口２７ａおよびキャリア補給口２７ｂが形成された位置の直上流側の位置に設けられていることによって、新トナーおよび新キャリアが既収容の現像剤と混合される前にすぐに排出されてしまうことが抑止される。
現像剤の排出方式としては、特に限定されず種々の方式を採用することができるが、具体的には、例えば、現像剤収容部２１の壁面の高さを現像剤排出口２６その部分だけ所定量低くしておくことで、撹拌循環路における余剰の現像剤を自動的にあふれさせる方式や、また例えば、供給回収部材２４または撹拌部材２３として螺旋状の羽根を部分的に逆巻きにさせたものを用いて現像剤の搬送を妨げ、現像剤収容部２１の壁面から、撹拌循環路における余剰の現像剤を自動的にあふれさせる方式などが挙げられる。
【００２９】
この現像装置２０Ｙの現像剤収容部２１に収容されるイエロー色に係る現像剤の量は、例えば６００ｇとされる。
【００３０】
以上のような現像装置２０Ｙにおいては、以下のように現像動作が行われる。
すなわち、現像剤収容部２１内に充填された二成分現像剤が、下記に詳述するように混合・撹拌・供給動作が行われて供給回収部材２４によって現像ローラ２２の外周面に運ばれた後、磁力により現像ローラ２２の外周面に付着され、さらに現像剤層厚規制部材２８によってその厚みが規制されて磁気ブラシによる現像剤層が形成され、これが現像領域Ｒに搬送され、当該現像領域Ｒにおいて、現像ローラ２２と感光体ドラム１０Ｙとの間に直流（ＤＣ）電圧に必要に応じて交流（ＡＣ）電圧が重畳された現像バイアス電圧が印加されることによって、反転現像が行われて感光体ドラム１０Ｙ上の静電潜像が顕像化される。
一方、静電潜像を顕像化しなかった二成分現像剤は、磁石体の反発磁界の作用により現像ローラ２２から剥ぎ取られ、供給回収部材２４により回収され、再度、混合・撹拌・供給動作に供される。
【００３１】
混合・撹拌・供給動作は、以下のように行われる。
すなわち、現像剤が、撹拌区域２１ｘにおいて撹拌部材２３によって軸方向に沿った一方向に搬送されながら混合・撹拌されて摩擦帯電され、供給回収区域２１ｙにおいて供給回収部材２４によって撹拌部材２３による搬送方向と逆方向に同等の大きさで搬送されながら混合・撹拌されることにより摩擦帯電されて現像ローラ２２へ供給される。これらの撹拌区域２１ｘおよび供給回収区域２１ｙにおいて現像剤が循環搬送されている。
【００３２】
そして、本発明の画像形成装置においては、現像剤補給機構において以下のような現像剤補給動作が行われる。
すなわち、現像剤収容部２１に対して、トナー補給口２７ａおよび／またはキャリア補給口２７ｂから、（１）一定の時間間隔ごとに一定量のキャリアが補給され、（２）これに加えて、トナー濃度検知手段２５によって一定の設定時間間隔で検知されるトナー濃度が、規定値未満である濃度領域をトナー不足領域Ａ、規定値以上でかつ前記規定値よりも大きい値の許容限界値未満である濃度領域を適正濃度領域Ｂ、許容限界値以上である濃度領域をトナー過剰領域Ｃとした場合に、この一定の設定時間間隔ごとに、（２−ａ）トナー濃度検知手段２５によって検知されたトナー濃度がトナー不足領域Ａにある場合においては、トナー濃度の規定値に対する不足量に応じた量の新トナーが補給され、（２−ｂ）トナー濃度検知手段２５によって検知されたトナー濃度が適正濃度領域Ｂにある場合においては、（２−ｂ−ｉ）当該適正濃度領域Ｂがトナー不足領域Ａから移行されたときには一定量の新トナーが補給され、（２−ｂ−ii）当該適正濃度領域Ｂがトナー過剰領域Ｃから移行されたときには新キャリアのみが補給され、（２−ｃ）トナー濃度検知手段２５によって検知されたトナー濃度がトナー過剰領域Ｃにある場合には、新キャリアのみが補給される。
【００３３】
上記（１）は、定常キャリア補給であって、例えば３０秒間が経過するごとに１０〜５０ｍｇ、好ましくは２０ｍｇの新キャリアが補給される。このような定常キャリア補給がなされることによって、基本的にトリクル現像が行われてキャリアの過度な劣化を抑制することができる。一方、定常キャリア補給として補給される新キャリアが過多である場合は、不必要に大量の新キャリアを使用することとなるため、使用コストが高いものとなり、定常キャリア補給として補給される新キャリアが過少である場合は、二成分現像剤中のキャリアの入れ替えが不十分となり、トリクル現像方式による効果を十分に得ることができない。
【００３４】
上記（２）は、調整用の現像剤補給であって、具体的には、図４に示されるように、まず、現像剤収容部２１内のトナー濃度を測定し、検知されるトナー濃度が規定値未満である場合はトナー濃度が規定値以上になるまで上記（２−ａ）が行われて不足量に応じた量のトナーの補給が行われ、検知されるトナー濃度が規定値以上になった場合はトナー濃度が許容限界値に至るまで上記（２−ｂ−ｉ）が行われて一定量のトナーの補給が行われ、検知されるトナー濃度が許容限界値以上となった場合は、トナーの補給が停止されると共に、トナー濃度が規定値未満になるまで上記（２−ｂ−ii）または（２−ｃ）が行われてキャリアのみの補給が行われる。
【００３５】
トナー濃度検知手段２５によってトナー濃度を検知する一定の設定時間間隔は、例えば０．５〜１０秒間ごと、好ましくは１秒間ごととされる。
【００３６】
トナーおよびキャリアの補給の指標となる規定値は、所期の画像濃度を得ることのできるトナー濃度範囲の下限値であり、例えば４〜８％とされ、特に６％とされることが好ましい。
また、許容限界値は、規定値よりも大きい値であって、可視画像において画像カブリやトナー飛散などの不具合が生じないトナー濃度範囲の上限値であり、画像形成装置および現像装置の具体的な構成や現像剤の使用状態によっても異なるが、例えば６〜１２％とされ、特に規定値が６％である場合に８％とされることが好ましい。
【００３７】
トナー濃度が、トナー過剰領域Ｃであって許容限界値に極めて近い場合、および、トナー過剰領域Ｃから移行した適正濃度領域Ｂである場合におけるキャリアの補給量は、１秒当たりに１．０×１０-5Ｍｃ以上１．０×１０-4Ｍｃ以下（ただし、Ｍｃは現像剤収容部２１中に収容されるべきキャリアの量である。）の量となるように制御されることが好ましい。
トナー濃度が許容限界値に極めて近い場合とは、例えば規定値がトナー濃度６％、許容限界値がトナー濃度８％である場合に、例えばトナー濃度８．０９％未満である場合とすることができる。
例えば、現像剤収容部２１における現像剤量が６００ｇ、トナー濃度の規定値が６％である場合は、キャリア量Ｍｃは５６４ｇとなることから、トナー過剰領域Ｃであって許容限界値に極めて近い場合、および、トナー過剰領域Ｃから移行した適正濃度領域Ｂである場合におけるキャリアの補給量は、例えば１０ｍｇに設定することができる。
キャリアの補給量が過少である場合は、トナー濃度が規定値に至るまでのスピードが低くなる。一方、キャリアの補給量が過多である場合は、一度に多量のキャリアが補給されることとなり、補給されたキャリアが既収容の現像剤と混合されにくいために不具合を生じるおそれがある。
【００３８】
以下に、規定値をトナー濃度６％、許容限界値をトナー濃度８％とした現像剤補給動作における調整用の現像剤補給の制御の一例について下記表１を参照して詳細に説明する。なお、補給する新トナーおよび新キャリアの具体的な量は、画像形成装置および現像装置の具体的な構成や現像剤の使用状態によっても異なる。
まず、トナー不足領域Ａ、適正濃度領域Ｂ、トナー過剰領域Ｃの順序でトナー濃度が移行している場合においては、トナー不足領域Ａにおいて補給される規定値までの不足量に応じたトナーの量が下記表１の領域Ａのように制御され、適正濃度領域Ｂにおいて補給される一定量のトナーの量は、３．３ｍｇとされ、さらに、トナー過剰領域Ｃにおいて補給されるキャリアの量は、１０ｍｇとされる。
次に、トナー過剰領域Ｃ、適正濃度領域Ｂ、トナー不足領域Ａの順序でトナー濃度が移行している場合においては、トナー過剰領域Ｃおよび適正濃度領域Ｂにおいて補給されるキャリアの量は、共に１０ｍｇとされる。
この例においては、トナー濃度検知手段の出力値２．０２Ｖより大きい場合がトナー濃度に換算して６％未満となり、トナー濃度検知手段の出力値１．８Ｖ以下である場合がトナー濃度に換算して８％以上となる。
【００３９】
【表１】
【００４０】
以上説明した現像装置２０Ｙにおける制御は、画像形成ユニット１００Ｙ、１００Ｍ、１００Ｃ、１００Ｋの現像装置２０Ｙ、２０Ｍ、２０Ｃ、２０Ｋの各々においても同様にして行われる。これらの現像装置２０Ｙ、２０Ｍ、２０Ｃ、２０Ｋの各々における制御は、それぞれ独立に行われる。
【００４１】
〔二成分現像剤〕
本発明の画像形成装置において用いられる二成分現像剤を構成するトナーとしては、特に限定されずに公知の種々のものを使用することができるが、例えば体積基準のメジアン径が３〜９μｍであり、重合法によって得られたいわゆる重合トナーを用いることが好ましい。重合トナーを用いることにより、形成される可視画像において高い解像力および安定した画像濃度が得られると共に画像カブリの発生が極めて抑制される。
【００４２】
また、本発明の画像形成装置において用いられる二成分現像剤を構成するキャリアとしては、特に限定されずに公知の種々のものを使用することができるが、例えば体積基準のメジアン径が３０〜６５μｍであり、磁化量が２０〜７０ｅｍｕ／ｇの磁性粒子からなるフェライトキャリアが好ましい。体積基準のメジアン径が３０μｍ未満のキャリアを用いた場合は、キャリア付着が発生して白抜け画像が生じるおそれがあり、また、体積基準のメジアン径が６５μｍよりも大きなキャリアを用いた場合は、均一な画像濃度の画像が形成されない場合が生じうる。
【００４３】
以上のような画像形成装置によれば、トリクル現像方式の現像装置２０Ｙにおいて、トナー濃度が規定値以上に至ったときにも新トナーの補給が継続され、しかも、トナー濃度が規定値よりも大きい許容限界値以上に至ったときには、トナー濃度が規定値に降下するまで新キャリアの補給が行われるために、現像によって消費されるトナーの量の多少にかかわらずに長期間にわたって現像剤の劣化が抑制され、従って、低カバレッジ連続プリント状態が長時間続く場合にも現像剤の過度な劣化が抑制され、長期間にわたって画像カブリやトナー飛散などのない良好な画像を形成することができる。
【００４４】
＜第２の実施の形態＞
本発明の画像形成装置の第２の例は、図５に示されるように、現像剤補給機構による現像剤補給動作における調整用の現像剤補給が、トナー濃度検知手段２５によって検知されたトナー濃度がトナー不足領域Ａから移行された適正濃度領域Ｂにあるときに、一定量のトナーと共に、前記トナー濃度が規定値に近いほど少量となるように制御された量のキャリアが補給されるよう制御されることの他は第１の実施の形態における画像形成装置と同様の構成を有するものである。
このトナー不足領域Ａから移行された適正濃度領域Ｂにおけるキャリアの補給に係る制御においては、トナー濃度が規定値に極めて近い場合に、キャリアの補給量が０とされることが好ましい。トナー濃度が規定値に極めて近い場合とは、例えば規定値がトナー濃度６％、許容限界値がトナー濃度８％である場合に、例えばトナー濃度６．０９％未満である場合とすることができる。
【００４５】
以下に、規定値をトナー濃度６％、許容限界値をトナー濃度８％とした現像剤補給動作における調整用の現像剤補給の制御の一例について下記表２を参照して詳細に説明する。なお、補給する新トナーおよび新キャリアの具体的な量は、画像形成装置および現像装置の具体的な構成や現像剤の使用状態によっても異なる。
まず、トナー不足領域Ａ、適正濃度領域Ｂ、トナー過剰領域Ｃの順序でトナー濃度が移行している場合においては、トナー不足領域Ａにおいて補給される規定値までの不足量に応じたトナーの量が下記表２の領域Ａのように制御され、適正濃度領域Ｂにおいて補給される一定量のトナーの量が３．３ｍｇとされ、さらに当該適正濃度領域Ｂにおいて補給されるキャリアの量が下記表２の領域Ｂのように制御され、さらに、トナー過剰領域Ｃにおいて補給されるキャリアの量は、１０ｍｇとされる。
次に、トナー過剰領域Ｃ、適正濃度領域Ｂ、トナー不足領域Ａの順序でトナー濃度が移行している場合においては、トナー過剰領域Ｃおよび適正濃度領域Ｂにおいて補給されるキャリアの量は、共に１０ｍｇとされる。
この例においては、トナー濃度検知手段の出力値２．０２Ｖより大きい場合がトナー濃度に換算して６％未満となり、トナー濃度検知手段の出力値１．８Ｖ以下である場合がトナー濃度に換算して８％以上となる。
【００４６】
【表２】
【００４７】
以上のような画像形成装置によれば、第１の実施の形態の画像形成装置と同様の効果に加えて、トナー濃度の規定値からの上昇が抑制されると共に、不必要に大量のキャリアを補給することが防止される。
【００４８】
＜第３の実施の形態＞
本発明の画像形成装置の第３の例は、現像剤補給機構による現像剤補給動作における調整用の現像剤補給が、トナー濃度検知手段２５によって検知されたトナー濃度がトナー過剰領域Ｃにある場合において補給されるキャリアの量が、トナー濃度が許容限界値に近いほど少量となるように制御されたものとされることの他は第１の実施の形態における画像形成装置と同様の構成を有するものである。
このトナー過剰領域Ｃにおけるキャリアの補給に係る制御においては、トナー濃度が許容限界値に極めて近い場合に、キャリアの補給量が０とされることが好ましい。トナー濃度が許容限界値に極めて近い場合とは、例えば規定値がトナー濃度６％、許容限界値がトナー濃度８％である場合に、例えばトナー濃度８．０９％未満である場合とすることができる。
【００４９】
以下に、規定値をトナー濃度６％、許容限界値をトナー濃度８％とした現像剤補給動作における調整用の現像剤補給の制御の一例について下記表３を参照して詳細に説明する。なお、補給する新トナーおよび新キャリアの具体的な量は、画像形成装置および現像装置の具体的な構成や現像剤の使用状態によっても異なる。
まず、トナー不足領域Ａ、適正濃度領域Ｂ、トナー過剰領域Ｃの順序でトナー濃度が移行している場合においては、トナー不足領域Ａにおいて補給される規定値までの不足量に応じたトナーの量が下記表３の領域Ａのように制御され、適正濃度領域Ｂにおいて補給される一定量のトナーの量が３．３ｍｇとされ、さらに、トナー過剰領域Ｃにおいて補給されるキャリアの量が下記表３の領域Ｃのように制御される。
次に、トナー過剰領域Ｃ、適正濃度領域Ｂ、トナー不足領域Ａの順序でトナー濃度が移行している場合においては、トナー過剰領域Ｃおいて補給されるキャリアの量が下記表３の領域Ｃのように制御され、適正濃度領域Ｂにおいて補給されるキャリアの量は１０ｍｇとされる。
この例においては、トナー濃度検知手段の出力値２．０２Ｖより大きい場合がトナー濃度に換算して６％未満となり、トナー濃度検知手段の出力値１．８Ｖ以下である場合がトナー濃度に換算して８％以上となる。
【００５０】
【表３】
【００５１】
以上のような画像形成装置によれば、第１の実施の形態の画像形成装置と同様の効果に加えて、トナー濃度が迅速に規定値まで降下されるために一層確実に長期間にわたる現像剤の劣化が抑制されると共に、不必要に大量のキャリアを補給することが防止される。
【００５２】
＜第４の実施の形態＞
本発明の画像形成装置の第４の例は、現像剤補給機構による現像剤補給動作における調整用の現像剤補給が、トナー濃度検知手段２５によって検知されたトナー濃度がトナー不足領域Ａから移行された適正濃度領域Ｂにあるときに、一定量のトナーと共に、前記トナー濃度が規定値に近いほど少量となるように制御された量のキャリアが補給されるよう制御されると共に、トナー過剰領域Ｃにある場合において補給されるキャリアの量が、トナー濃度が許容限界値に近いほど少量となるように制御されたものとされることの他は第１の実施の形態における画像形成装置と同様の構成を有するものである。
このトナー不足領域Ａから移行された適正濃度領域Ｂにおけるキャリアの補給に係る制御においては、トナー濃度が規定値に極めて近い場合に、キャリアの補給量が０とされることが好ましい。トナー濃度が規定値に極めて近い場合とは、例えば規定値がトナー濃度６％、許容限界値がトナー濃度８％である場合に、例えばトナー濃度６．０９％未満である場合とすることができる。
また、トナー過剰領域Ｃにおけるキャリアの補給に係る制御においては、トナー濃度が許容限界値に極めて近い場合に、キャリアの補給量が０とされることが好ましい。トナー濃度が許容限界値に極めて近い場合とは、例えば規定値がトナー濃度６％、許容限界値がトナー濃度８％である場合に、例えばトナー濃度８．０９％未満である場合とすることができる。
【００５３】
以下に、規定値をトナー濃度６％、許容限界値をトナー濃度８％とした現像剤補給動作における調整用の現像剤補給の制御の一例について下記表４を参照して詳細に説明する。なお、補給する新トナーおよび新キャリアの具体的な量は、画像形成装置および現像装置の具体的な構成や現像剤の使用状態によっても異なる。
まず、トナー不足領域Ａ、適正濃度領域Ｂ、トナー過剰領域Ｃの順序でトナー濃度が移行している場合においては、トナー不足領域Ａにおいて補給される規定値までの不足量に応じたトナーの量が下記表４の領域Ａのように制御され、適正濃度領域Ｂにおいて補給される一定量のトナーの量が３．３ｍｇとされ、さらに当該適正濃度領域Ｂにおいて補給されるキャリアの量が下記表４の領域Ｂのように制御され、さらに、トナー過剰領域Ｃにおいて補給されるキャリアの量が下記表４の領域Ｃのように制御される。
次に、トナー過剰領域Ｃ、適正濃度領域Ｂ、トナー不足領域Ａの順序でトナー濃度が移行している場合においては、トナー過剰領域Ｃおいて補給されるキャリアの量が下記表４の領域Ｃのように制御され、適正濃度領域Ｂにおいて補給されるキャリアの量は１０ｍｇとされる。
この例においては、トナー濃度検知手段の出力値２．０２Ｖより大きい場合がトナー濃度に換算して６％未満となり、トナー濃度検知手段の出力値１．８Ｖ以下である場合がトナー濃度に換算して８％以上となる。
【００５４】
【表４】
【００５５】
以上のような画像形成装置によれば、第１の実施の形態の画像形成装置と同様の効果に加えて、トナー不足領域Ａから移行した適正濃度領域Ｂにおいてはトナー濃度の規定値からの上昇が抑制されると共にトナー過剰領域Ｃにおいてはトナー濃度が迅速に規定値まで降下されるために一層確実に長期間にわたる現像剤の劣化が抑制され、さらに、不必要に大量のキャリアを補給することが防止される。
【００５６】
以上、本発明の画像形成装置について説明したが、上記の構成に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
【００５７】
例えば、現像装置において、新トナーおよび新キャリアは、それぞれ単独で補給されることに限定されず、例えば、現像剤補給機構において、トナー収容部およびキャリア収容部から新トナーおよび新キャリアが搬送されて一旦中間槽において混合・撹拌された後、新現像剤として現像剤収容部に補給されてもよい。
【００５８】
また例えば、本発明の画像形成装置は、カラー画像形成装置として構成されることに限定されず、モノクロ画像形成装置であってもよい。
【実施例】
【００５９】
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【００６０】
＜実施例１＞
図１に示される構成の画像形成装置を用い、現像剤補給機構において、定常キャリア補給として３０秒間ごとに２０ｍｇの新キャリアを補給すると共に、調整用の現像剤補給として１秒間ごとに上記表１に従って新トナーおよび新キャリアを補給しながら、カバレッジ０．１％の原稿で連続して３６万枚プリントし、トナー飛散および画像カブリの発生状況について観察したところ、特にトナー飛散も画像カブリも発生しなかった。現像剤収容部内のトナー濃度の推移を図６に、トナーの帯電量の推移を図７に示す。なお、図６，７中においては、線（１）で示す。
以下において、トナー不足領域Ａは、トナー濃度検知手段の出力値２．０２Ｖより大きい場合であり、これはトナー濃度に換算すると６％未満の場合となる。適正濃度領域Ｂは、トナー濃度検知手段の出力値が１．８Ｖより大きく２．０２Ｖ以下である場合である。トナー過剰領域Ｃは、トナー濃度検知手段の出力値が１．８Ｖ以下の場合であり、これはトナー濃度に換算すると８％以上である場合となる。また、トナー濃度検知手段によるトナー濃度の検知は１秒間ごとに行った。
【００６１】
＜実施例２＞
調整用の現像剤補給として１秒間ごとに上記表４に従って新トナーおよび新キャリアを補給したことの他は実施例１と同様にして、トナー飛散および画像カブリの発生状況について観察したところ、特にトナー飛散も画像カブリも発生しなかった。現像剤収容部内のトナー濃度の推移を図６に、トナーの帯電量の推移を図７に示す。なお、図６，７中においては、線（２）で示す。
【００６２】
＜比較例１＞
調整用の現像剤補給として、１秒間ごとに、トナー不足領域Ａにおいては上記表１に従った量の新トナーを補給し、適正濃度領域Ｂおよびトナー過剰領域Ｃにおいては定常キャリア補給以外、新トナーおよび新キャリアは補給しないことの他は実施例１と同様にして、トナー飛散および画像カブリの発生状況について観察したところ、５千枚をプリントした時点でトナー飛散が発生し、２万５千枚をプリントした時点で画像カブリが発生した。現像剤収容部内のトナー濃度の推移を図６に、トナーの帯電量の推移を図７に示す。なお、図６，７中においては、線（３）で示す。
【００６３】
＜比較例２＞
調整用の現像剤補給として、１秒間ごとに、トナー不足領域Ａにおいては上記表１に従った量の新トナーを補給し、適正濃度領域Ｂにおいては３．３ｍｇの新トナーを補給し、トナー過剰領域Ｃにおいては定常キャリア補給以外、新トナーおよび新キャリアは補給しないことの他は実施例１と同様にして、トナー飛散および画像カブリの発生状況について観察したところ、１万枚をプリントした時点でトナー飛散が発生したが、画像カブリは特に発生しなかった。現像剤収容部内のトナー濃度の推移を図６に、トナーの帯電量の推移を図７に示す。なお、図６，７中においては、線（４）で示す。
【００６４】
以上より、実施例１，２においては、トナー飛散および画像カブリが発生せず、図７より長期間にわたって高い帯電量が得られることから、本発明の画像形成装置によれば現像剤収容部中に収容された現像剤の劣化が抑制されることが判明した。
また、実施例２においては、図７より長期間にわたって新トナーの補給に伴うトナー濃度の上昇が抑制されて終始高い帯電量が得られることから、現像剤収容部中に収容された現像剤の劣化が一層確実に抑制されることが判明した。この実施例２においては、トナー濃度検知手段によって検知されるトナー濃度が許容限界値を上回ることがなかった。
一方、比較例１においては、低カバレッジ連続プリント状態が長時間続いてトナー濃度が６％近傍において推移するために、新トナーの補給がほとんどなされず、その結果、現像剤の劣化が進行して次第に高い帯電量を得ることができなくなることが確認された。
また、比較例２においては、トナー濃度が規定値以上となっても６千枚までは一定量のトナーの補給が行われたために、６千枚までは高い帯電量が得られるが、６千枚を超えた後は新トナーの補給がほとんどなされないために現像剤の劣化が進行して次第に高い帯電量を得ることができなくなることが確認された。
【符号の説明】
【００６５】
１０Ｙ、１０Ｍ、１０Ｃ、１０Ｋ 感光体ドラム
１１Ｙ、１１Ｍ、１１Ｃ、１１Ｋ 帯電手段
１２Ｙ、１２Ｍ、１２Ｃ、１２Ｋ 露光手段
１４Ｙ、１４Ｍ、１４Ｃ、１４Ｋ 一次転写手段
１６Ｙ、１６Ｍ、１６Ｃ、１６Ｋ クリーニング手段
１７ 中間転写ベルト
１７ａ〜１７ｉ ローラ
１８ 二次転写手段
２０Ｙ、２０Ｍ、２０Ｃ、２０Ｋ 現像装置
２１ 現像剤収容部
２１ａ 屋根板
２１ｘ 撹拌区域
２１ｙ 供給回収区域
２２ 現像ローラ
２３ 撹拌部材
２４ 供給回収部材
２５ トナー濃度検知手段
２６ 現像剤排出口
２７ａ トナー補給口
２７ｂ キャリア補給口
２８ 現像剤層厚規制部材
２９ 隔壁
１００Ｙ、１００Ｍ、１００Ｃ、１００Ｋ 画像形成ユニット
Ｐ 記録材
Ｒ 現像領域
【特許請求の範囲】
【請求項１】
像担持体上に担持された静電潜像を現像するためのトナーおよびキャリアからなる二成分現像剤が収容される現像剤収容部と、
前記現像剤収容部にトナーを補給するトナー補給手段、および、前記現像剤収容部にキャリアを補給するキャリア補給手段を有する現像剤補給機構と、
前記現像剤収容部から余剰の二成分現像剤を排出する余剰現像剤排出手段と、
前記現像剤収容部における二成分現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段と
を有する現像装置を備える画像形成装置において、
前記現像剤補給機構においては、
一定の時間間隔ごとに一定量のキャリアが補給されると共に、
前記トナー濃度検知手段によって一定の設定時間間隔で検知されるトナー濃度が、規定値未満である濃度領域をトナー不足領域Ａ、規定値以上でかつ前記規定値よりも大きい値の許容限界値未満である濃度領域を適正濃度領域Ｂ、許容限界値以上である濃度領域をトナー過剰領域Ｃとした場合に、
前記一定の設定時間間隔ごとに、
前記トナー濃度検知手段によって検知されたトナー濃度がトナー不足領域Ａにある場合においては、トナー濃度の規定値に対する不足量に応じた量のトナーが補給され、
前記トナー濃度検知手段によって検知されたトナー濃度が適正濃度領域Ｂにある場合においては、当該適正濃度領域Ｂがトナー不足領域Ａから移行されたときには一定量のトナーが補給され、当該適正濃度領域Ｂがトナー過剰領域Ｃから移行されたときにはキャリアのみが補給され、
前記トナー濃度検知手段によって検知されたトナー濃度がトナー過剰領域Ｃにある場合においては、キャリアのみが補給されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項２】
前記現像剤補給機構においては、前記トナー濃度検知手段によって検知されたトナー濃度がトナー不足領域Ａから移行された適正濃度領域Ｂにあるときに、一定量のトナーと共にキャリアが補給され、
補給されるキャリアの量が、前記トナー濃度が規定値に近いほど少量となるように制御されることを特徴とする請求項１に記載の画像形成装置。
【請求項３】
前記現像剤補給機構においては、前記トナー濃度検知手段によって検知されたトナー濃度がトナー過剰領域Ｃにある場合において補給されるキャリアの量は、前記トナー濃度が許容限界値に近いほど少量となるように制御されることを特徴とする請求項１または請求項２に記載の画像形成装置。
【請求項１】
像担持体上に担持された静電潜像を現像するためのトナーおよびキャリアからなる二成分現像剤が収容される現像剤収容部と、
前記現像剤収容部にトナーを補給するトナー補給手段、および、前記現像剤収容部にキャリアを補給するキャリア補給手段を有する現像剤補給機構と、
前記現像剤収容部から余剰の二成分現像剤を排出する余剰現像剤排出手段と、
前記現像剤収容部における二成分現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段と
を有する現像装置を備える画像形成装置において、
前記現像剤補給機構においては、
一定の時間間隔ごとに一定量のキャリアが補給されると共に、
前記トナー濃度検知手段によって一定の設定時間間隔で検知されるトナー濃度が、規定値未満である濃度領域をトナー不足領域Ａ、規定値以上でかつ前記規定値よりも大きい値の許容限界値未満である濃度領域を適正濃度領域Ｂ、許容限界値以上である濃度領域をトナー過剰領域Ｃとした場合に、
前記一定の設定時間間隔ごとに、
前記トナー濃度検知手段によって検知されたトナー濃度がトナー不足領域Ａにある場合においては、トナー濃度の規定値に対する不足量に応じた量のトナーが補給され、
前記トナー濃度検知手段によって検知されたトナー濃度が適正濃度領域Ｂにある場合においては、当該適正濃度領域Ｂがトナー不足領域Ａから移行されたときには一定量のトナーが補給され、当該適正濃度領域Ｂがトナー過剰領域Ｃから移行されたときにはキャリアのみが補給され、
前記トナー濃度検知手段によって検知されたトナー濃度がトナー過剰領域Ｃにある場合においては、キャリアのみが補給されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項２】
前記現像剤補給機構においては、前記トナー濃度検知手段によって検知されたトナー濃度がトナー不足領域Ａから移行された適正濃度領域Ｂにあるときに、一定量のトナーと共にキャリアが補給され、
補給されるキャリアの量が、前記トナー濃度が規定値に近いほど少量となるように制御されることを特徴とする請求項１に記載の画像形成装置。
【請求項３】
前記現像剤補給機構においては、前記トナー濃度検知手段によって検知されたトナー濃度がトナー過剰領域Ｃにある場合において補給されるキャリアの量は、前記トナー濃度が許容限界値に近いほど少量となるように制御されることを特徴とする請求項１または請求項２に記載の画像形成装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２０１１−５３３９４（Ｐ２０１１−５３３９４Ａ）
【公開日】平成２３年３月１７日（２０１１．３．１７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−２０１３６０（Ｐ２００９−２０１３６０）
【出願日】平成２１年９月１日（２００９．９．１）
【出願人】（３０３０００３７２）コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年３月１７日（２０１１．３．１７）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年９月１日（２００９．９．１）
【出願人】（３０３０００３７２）コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Ｆターム（参考）】
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