画像形成装置
【課題】安価な構成で、開閉部材に支持された対向部材を位置決めすること。
【解決手段】画像形成装置本体(U1)の内部を開放する開放位置と、前記画像形成装置本体(U1)の内部を閉塞する閉塞位置との間で移動可能に支持された開閉部材(U1b)と、前記画像形成装置本体(U1)に固定支持された位置決め部(52)と、前記開閉部材(U1b)に支持され、且つ、前記開閉部材(U1b)が閉塞位置に移動した状態において、前記位置決め部(52)に接触して位置決めされる被位置決め部(37)と、画像形成装置本体(U1)に支持された回転部材(PR)と、前記開閉部材(U1b)に支持され、且つ、前記開閉部材(U1b)が閉塞位置に移動した状態において、前記回転部材(PR)に対向接触して回転可能な対向部材(Tr)と、を備えた画像形成装置(U)。
【解決手段】画像形成装置本体(U1)の内部を開放する開放位置と、前記画像形成装置本体(U1)の内部を閉塞する閉塞位置との間で移動可能に支持された開閉部材(U1b)と、前記画像形成装置本体(U1)に固定支持された位置決め部(52)と、前記開閉部材(U1b)に支持され、且つ、前記開閉部材(U1b)が閉塞位置に移動した状態において、前記位置決め部(52)に接触して位置決めされる被位置決め部(37)と、画像形成装置本体(U1)に支持された回転部材(PR)と、前記開閉部材(U1b)に支持され、且つ、前記開閉部材(U1b)が閉塞位置に移動した状態において、前記回転部材(PR)に対向接触して回転可能な対向部材(Tr)と、を備えた画像形成装置(U)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンタ等の画像形成装置では、画像形成時に搬送される媒体の紙詰まりを解消したり、損耗した部品を交換可能とするために、画像形成装置の内部を開放可能な開閉部材、いわゆる開閉カバーが設けられている。このような開閉カバーに関する技術として、以下の特許文献1〜3に記載の技術が従来公知である。
【0003】
特許文献1としての特開平6−110264号公報には、感光ドラム(40)を有するプロセスユニット(2)に、転写ローラ(42)も支持して、一体的に画像形成装置に対して着脱可能な構成とすることで、感光ドラム(40)と転写ローラ(42)との位置精度を安価にとる技術が記載されている。
特許文献1記載の画像形成装置では、転写ローラ(42)を感光ドラム(40)に押しつけるための加圧機構がフロントカバー(10)に設けられており、プロセスユニット(2)が装着された状態でフロントカバー(10)が閉じられると、転写ローラ(42)の軸受け(47)に加圧機構の押圧ブロック(97a)が接触して、加圧機構のモータ(90)が回転すると、半月状ギア(92)が回転して押圧ブロック(97a)により軸受け(47)を押して、転写ローラ(42)を感光ドラム(40)に圧接している。
【0004】
特許文献2としての特開平11−190966号公報には、プリンタ(200)に対して着脱可能なプロセスカートリッジ(100)に、感光体(1)が設けられ、開閉カバー(201)に転写ローラ(10)が支持された構成において、開閉カバー(201)が開放された状態では、転写ローラ(10)を覆った状態で保護し、開閉カバー(201)が閉じられた状態では、転写ローラ(10)から待避した位置に移動する保護カバー(30)を設ける技術が記載されている。
【0005】
特許文献3としての特開2005−172856号公報には、転写ロール(101)が位置決め機構(110)により相対移動可能な状態で弾性スプリング(112)を介して支持されると共に、位置決め機構(110)を有する転写ユニット(100)が支持される保持ユニット(120)が扉カバー(80)に弾性スプリング(121)を介して支持される構成が記載されており、転写ロール(101)は、感光体ドラム(31)に当接することで、感光体ドラム(31)を基準として位置決めされる構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−110264号公報(「0071」〜「0074」、「0079」〜「0082」、図4、図10)
【特許文献2】特開平11−190966号公報(「0028」〜「0030」、図1、図2、図7)
【特許文献3】特開2005−172856号公報(「0021」〜「0022」、「0043」、図4〜図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、安価な構成で、開閉部材に支持された対向部材を位置決めすることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の画像形成装置は、
画像形成装置本体の内部を開放する開放位置と、前記画像形成装置本体の内部を閉塞する閉塞位置との間で、回転中心を中心として移動可能に支持された開閉部材と、
前記画像形成装置本体に設けられた位置決め部と、
前記開閉部材に支持され、且つ、前記開閉部材が閉塞位置に移動した状態において、前記位置決め部に接触して位置決めされる被位置決め部と、
表面に像を保持する像保持体により構成され、画像形成装置本体に支持された回転部材と、
前記像保持体に接触して回転し、前記像保持体表面の像を媒体に転写する転写部材により構成された対向部材であって、前記開閉部材に支持され、且つ、前記開閉部材が閉塞位置に移動する際に、前記開閉部材の開閉方向とは交わる方向である前記開閉部材の回転中心に接近または離間する方向に移動し、前記開閉部材が閉塞位置に移動した状態において、前記回転部材に対向して回転可能な前記対向部材と、
前記開閉部材が前記閉塞位置に移動する際に、前記対向部材を前記回転中心に接近または離間する方向に案内する案内部と、
を備え、
前記開閉部材が閉塞位置に移動した場合において、前記像保持体から像が転写可能な位置に、前記転写部材が位置決めされることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、
前記対向部材の回転軸に支持された前記被位置決め部、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像形成装置において、
前記開閉部材に、前記対向部材を前記回転中心に接近または離間する方向に案内する開閉部材側の案内部と、前記開閉部材側の案内部に沿って前記対向部材を前記回転中心から離間する方向に付勢する付勢部材と、を備え、
前記画像形成装置本体に、前記対向部材を前記回転中心に接近または離間する方向に案内する本体側の案内部を備え、
前記開閉部材が前記閉塞位置に移動する際に、前記対向部材に設けられた被案内部が前記本体側の案内部に接触して案内されることで、前記付勢部材の付勢力に抗して前記対向部材が前記開閉部材側の案内部に沿って移動し、前記開閉部材が閉塞位置に移動した場合において、前記被位置決め部が前記位置決め部に接触して位置決めされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、安価な構成で、開閉部材に支持された対向部材を位置決めすることができる。また、請求項1に記載の発明によれば、像保持体と転写部材とを精度良く位置決めでき、画質の低下を抑制できる。さらに、請求項1に記載の発明によれば、転写位置を精度よく位置決めすることができる。
請求項2に記載の発明によれば、対向部材の回転軸を位置決めできる。
請求項3に記載の発明によれば、開閉部材側の案内部と本体側の案内部の両側の案内部で対向部材を案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
【図2】図2は実施例1の開閉部材の一例としての後カバーの斜視図である。
【図3】図3は図2の後カバーの分解説明図である。
【図4】図4は操作部とスライダとの接触部分の要部説明図である。
【図5】図5は転写ロールの位置決めがされた状態の後カバーの斜視説明図である。
【図6】図6は転写ロールの位置決めが解除された状態の後カバーの斜視説明図である。
【図7】図7は転写ロールの位置決めがされた状態の側方から見た要部説明図である。
【図8】図8は転写ロールの位置決めが解除された状態の側方から見た要部説明図である。
【図9】図9は実施例2の画像形成装置の説明図であり、実施例1の図7に対応する図である。
【図10】図10は実施例3の画像形成装置の説明図であり、実施例1の図1に対応する図である。
【図11】図11は実施例3の後カバーの内側カバーの斜視図であり、実施例1の図2に対応する図である。
【図12】図12は実施例3の内側カバーの後方から見た斜視図である。
【図13】図13は実施例3の外側カバーの斜視図である。
【図14】図14は実施例3の外側カバーの分解説明図である。
【図15】図15は実施例1の図7に対応する実施例3の後カバーの開閉の説明図であり、後カバーが閉塞位置に移動した状態の説明図である。
【図16】図16は実施例1の図8に対応する実施例3の後カバーの開閉の説明図であり、ハンドルが押された状態の説明図である。
【図17】図17は図16に示す状態から後カバーを開放位置に向けて回転させた状態の説明図である。
【図18】図18は図17に示す状態からハンドルが接触可能位置側に移動した状態の説明図である。
【図19】図19は図18に示す状態からハンドルがさらに接触可能位置側に移動した状態の説明図である。
【図20】図20は後カバーが開放位置に移動した状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例としての実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0014】
図1は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1において、本発明の実施例1の画像形成装置の一例としてのプリンタUは、画像形成装置本体の一例としてのプリンタ本体U1の前面に、媒体の一例としてのシートSを挿入、収容する場合に、下端を中心として開閉可能な開閉部材の一例としての前カバーU1aが支持されている。また、プリンタUの上面には、画像が記録されたシートSが排出される排出部の一例としての排出トレイTRhが形成されている。さらに、画像形成装置本体U1の後面には、紙詰まりや内部の点検等をする場合に、画像形成装置本体U1内部を開放する開閉部材の一例としての後カバーU1bが、実線で示す閉塞位置と、破線で示す開放位置との間で回転可能に支持されている。
【0015】
実施例1のプリンタUは、制御部の一例としてのコントローラCと、前記コントローラCにより作動を制御される画像処理部IPS、潜像形成回路の一例としてのレーザ駆動回路DL、および電源装置E等を有する。電源装置Eは、後述の帯電器の一例としての帯電ロールCR、現像部材の一例としての現像ローラGaおよび転写部材の一例としての転写ローラTr等に電圧を印加する。
前記画像処理部IPSは、外部の情報送信装置の一例としてのホストコンピュータ等から入力された印刷情報を潜像形成用の画像情報に変換して予め設定された時期、すなわち、タイミングで、像書込回路の一例としてのレーザ駆動回路DLに出力する。レーザ駆動回路DLは、入力された画像情報に応じて駆動信号を潜像形成装置LHに出力する。実施例1の潜像形成装置LHは、左右方向に沿って、予め設定された間隔で潜像書込素子の一例としてのLED:Light Emitting Diodeが線状に配置された装置、いわゆるLEDヘッドにより構成されている。
【0016】
プリンタUの後部には、回転駆動する像保持体の一例としての感光体PRが支持されている。回転部材の一例としての感光体PRの周囲には、感光体PRの回転方向に沿って、帯電ロールCR、潜像形成装置LH、現像装置G、転写部材の一例としての転写ロールTr、像保持体用の清掃器の一例としての感光体クリーナCLが配置されている。
図1において、前記帯電ロールCRには、帯電ロールCR表面を清掃する帯電器用の清掃器の一例としての帯電ロールクリーナCRCが対向、接触して配置されている。
【0017】
また、前記現像装置Gは、内部に現像剤が収容される現像容器Vを有する。前記現像容器V内には、感光体PRに対向して配置された現像剤保持体の一例としての現像ロールGaと、現像剤を撹拌しながら循環搬送する一対の循環搬送部材Gb,Gcと、循環搬送部材で撹拌された現像剤を現像ロールGaに搬送する供給部材Gdと、現像ロールGa表面の現像剤の層厚を規制する層厚規制部材Geと、が配置されている。
前記現像容器Vの前側上面には、補給部の一例としての現像剤補給口V1が形成されており、現像剤補給口V1には、現像剤搬送路の一例として、前方に延びる現像剤補給路V3が連結されている。前記現像剤補給路V3内部には、現像剤搬送部材の一例としての補給オーガV4が回転可能に支持されている。前記現像剤補給路V3の前端には、トナーカートリッジTCが着脱される着脱部の一例としてのカートリッジホルダKHが連結されており、トナーカートリッジTCからの現像剤が流入する。したがって、現像装置Gでの現像剤の消費量に応じて、補給オーガV4が駆動すると、トナーカートリッジTCから現像剤が現像装置Gに補給される。
【0018】
回転する感光体PRの表面は、帯電領域Q1において帯電ロールCRにより帯電され、潜像形成位置Q2において潜像形成装置LHから出射する潜像形成光により静電潜像が形成される。前記静電潜像は現像領域Q3において現像ロールGaにより可視像の一例としてのトナー像に現像される。感光体PR表面のトナー像は、回転部材の一例としての感光体PR及び対向部材の一例としての転写ロールTrとの対向領域により形成される転写領域Q4において、転写ロールTrにより媒体の一例としてのシートSに転写される。なお、実施例1の転写ロールTrは、弾性材料により構成されており、感光体PRに接触して弾性変形可能に構成されている。
【0019】
感光体PR表面の残留トナーは、転写領域Q4の下流側の清掃領域の一例としてのクリーニング領域Q5において清掃部材の一例としてのクリーニングブレードCBにより除去され、感光体クリーナCL内部に回収される。
なお、前記クリーニングブレードCBの対向する側には飛散防止部材の一例としてのフィルムシールFSが設けられており、フィルムシールFSは感光体クリーナCL内に回収されたトナーが外にこぼれ出るのを防止する。
【0020】
図1において、プリンタUの下部の給紙トレイTR1には、媒体取り出し部材の一例としてのピックアップロールRpが配置されている。前記ピックアップロールRpにより取出された記録シートSは、媒体さばき部材の一例としてのリタードロールおよび給紙ロールを有するさばきロールRsにより1枚づつ分離されて、転写領域Q4のシート搬送方向の上流側に配置された時期調節部材の一例としてのレジロールRrにより予め設定されたタイミングで、転写領域Q4に搬送される。
【0021】
前記コントローラCにより動作が制御される電源装置E等から転写電圧が印加される転写ロールTrは、転写領域Q4を通過する記録シートSに感光体PR上のトナー像を転写する。
前記転写領域Q4においてトナー像が転写された記録シートSは、トナー像が未定着の状態で定着装置Fに搬送される。前記定着装置Fは定着部材の一例としての一対の定着ロールFh,Fpを有し、前記一対の定着ロールFh,Fpの圧接領域によって定着領域Q6が形成される。前記定着装置Fに搬送された記録シートSは、定着領域Q6において一対の定着ロールFh,Fpによりトナー像が定着される。定着トナー像が形成された記録シートSは、媒体案内部材の一例としてのシートガイドSG1,SG2によってガイドされ、排出部材の一例としての排出ロールR1からプリンタ本体U1上面の前記排出トレイTRhに排出される。
【0022】
(後カバーの説明)
図2は実施例1の開閉部材の一例としての後カバーの斜視図である。
図3は図2の後カバーの分解説明図である。
図2、図3において、実施例1の後カバーU1bは、板状の開閉部材本体の一例としての後カバー本体1を有する。後カバー本体1の下端には、画像形成本体U1に回転可能に支持される左右一対の突起状の軸部2が形成されている。
前記軸部2の上方には、下側保持部の一例として、前方に延びる板状に形成された下ホルダ3,4が左右一対形成されている。下ホルダ3,4には、上下方向に延びる下側案内部の一例としての下ガイド溝3a,4aが形成されている。なお、実施例1の下ガイド溝3a,4aは、上下逆向きのU字状に形成されており、上方への抜け止めが可能、すなわち、ストッパとしての機能も有する。
【0023】
前記下ホルダ3,4の上方の左右方向外側には、上側保持部の一例として、前方に延びる板状に形成された上ホルダ6,7が左右一対形成されている。各上ホルダ6,7には、上下方向に延びる上側案内部の一例としての上ガイド溝6a,7aが形成されている。なお、実施例1の上ガイド溝6a,7aは、下ガイド溝3a,4aとは逆向きのU字状に形成されており、下方への抜け止めが可能になっている。また、上ホルダ6,7の前端上部には、付勢支持部の一例としてのバネ引っ掛け部6b,7bが形成されている。
前記上ホルダ6,7の上方には、被固定保持部の一例として、前方に突出するロック爪ホルダ8,9が左右一対形成されている。各ロック爪ホルダ8,9には、爪受け部の一例としての左右方向外側に突出する突起状の爪受け軸8a,9aが形成されている。
【0024】
図3において、後カバー本体1の左右方向中央部の上端には、下方に凹んだ形状の操作開口11が形成されている。前記操作開口11の下方には、操作案内部の一例として、上下一対のハンドルガイド12が形成されている。前記ハンドルガイド12の左右方向両側には、操作保持部の一例として、前方に突出するハンドル保持リブ13,14が形成されている。ハンドル保持リブ13,14には、操作案内部の一例として、上下方向に延びる長孔状のハンドル横ガイド13a,14aが形成されている。
【0025】
図4は操作部とスライダとの接触部分の要部説明図である。
図3、図4において、ハンドルガイド12の前方且つハンドル保持リブ13,14の間には、操作部の一例としてのハンドル16が配置されている。前記ハンドル16は、上下方向に延びるハンドル本体16aを有する。
図4において、ハンドル本体16aの上端には、操作開口11に対応して配置され、且つ、作業者が指で下方に押すことが可能な操作凹部16bが形成されている。
また、操作凹部16bの下方には、被案内部の一例として、ハンドルガイド12が嵌って上下方向に案内されるガイド凹部16cが形成されている。
【0026】
図3、図4おいて、ハンドル本体16aの下面には、連動部の一例として、下方に突出するスライド連動突起16dが形成されている。
図2、図3において、ハンドル本体16aの左右両端には、被案内部の一例として、ハンドル横ガイド13a,14aに対応して形成され且つ左右方向外側に突出し、ハンドル横ガイド13a,14aに嵌った状態で上下方向に案内されるガイド突起16eが形成されている。
図2〜図4において、ハンドル16の下方には、移動体の一例としての転写スライダ21が配置されている。前記転写スライダ21は、左右方向に延びる転写スライダ本体22を有する。図4において、前記転写スライダ本体22の上端部の後面には、ハンドル16に対応する凹部23が形成されている。前記凹部23の下面23aには、ハンドル16のスライド連動突起16dが接触可能に構成されている。
【0027】
図5は転写ロールの位置決めがされた状態の後カバーの斜視説明図である。
図6は転写ロールの位置決めが解除された状態の後カバーの斜視説明図である。
図7は転写ロールの位置決めがされた状態の側方から見た要部説明図である。
図8は転写ロールの位置決めが解除された状態の側方から見た要部説明図である。
図2、図3、図5〜図8において、転写スライダ本体22の左右両側面には、連動保持部の一例として、前方に延びる板状の連動保持フランジ26,27が左右一対形成されている。前記連動保持フランジ26,27には、連動部材の一例として、左右方向外方に延びるロック連動突起28,29が形成されている。
【0028】
図3、図5〜図8において、ロック連動突起28,29の斜め後ろ側下方には、被案内部の一例として、上ガイド溝6a,7aに対応して左右方向外側に突出して形成された上ガイド突起31が形成されている。なお、図示の関係上、右側の上ガイド突起31のみ図示し、左側の上ガイド突起の図示は省略されているが、左側の上ガイド突起は右側の上ガイド突起と左右対称なだけで同様に構成されているため、詳細な説明は省略する。以下、同様に、右側の部材について説明し、左側の部材については図示および詳細な説明は適宜省略する。
実施例1の上ガイド突起31は、円柱状に形成されており、円柱の外径は、上ガイド溝6a,7aの幅に対応して、ほぼ同等に形成されており、上ガイド突起31はガタつきが少ない状態で上ガイド溝6a,7aに嵌った状態で上下方向に移動可能に支持される。
【0029】
図5〜図8において、上ガイド突起31の下方には、被案内部の一例として、下ガイド溝3a,4aに対応して左右方向外側に突出して形成された下ガイド突起32が形成されている。実施例1の下ガイド突起32は、円柱状に形成されており、円柱の外径は、下ガイド溝3a,4aの幅よりもガタつき、いわゆる遊びが形成される程度に小さく形成されている。したがって、下ガイド突起32は、遊びを有する状態で下ガイド溝3a,4aに嵌った状態で上下方向に移動可能に支持される。
また、下ガイド突起32の左右方向外端部には、前記バネ引っ掛け部6b,7bに対応して、付勢支持部の一例としてのバネ引っ掛け部32aが形成されている。
【0030】
前記上ホルダ6,7のバネ引っ掛け部6b,7bと、下ガイド突起32のバネ引っ掛け部32aとの間には、付勢部材の一例としてのコイルバネ34が左右一対装着されている。実施例1のコイルバネ34は、下ガイド突起32を、バネ引っ掛け部6b,7b側、すなわち、斜め前側上方に向けて引っ張る力を作用させている。よって、下ガイド溝3a、4aとの間にガタつきがある下ガイド突起32は、下ガイド溝3a,4aの前面に押しつけられた状態で保持される。
したがって、実施例1の転写スライダ21は、各ガイド突起31,32が、各ガイド溝3a,4a,6a,7aにガイドされて、上下方向に移動可能に後カバーU1bに支持されている。
【0031】
転写スライダ本体22の下部には、転写保持部の一例として、左右方向に延びる半円筒状の転写ホルダ36が支持されている。転写ホルダ36には、転写ロールTrが収容されており、転写ロールTrの回転軸37は、両端部が軸受け部材38を介して転写ホルダ36に回転可能に支持されている。なお、実施例1では、被位置決め部の一例としての転写ロールTrの回転軸37の外端は、軸受け部材38よりも左右方向外方に突出した状態で支持されている。
転写スライダ本体22の前面には、前記転写ホルダ36の下方に、転写領域Q4にシートSを案内する媒体案内部材の一例としての転写前ガイド41が形成されており、転写ホルダ36の上方に、転写領域Q4を通過したシートSを定着装置Fに案内する媒体案内部材の一例としての転写後ガイド42が形成されている。
【0032】
図2、図3、図5〜図8において、各ロック爪ホルダ8,9には、被固定部の一例として、左右一対のロック部材46,47が支持されている。ロック部材46,47は、爪受け軸8a,9aに嵌って回転可能に支持される回転中心部46a,47aを有する。回転中心部46a,47aには、前方に延びるアーム部46b,47bが一体的に形成されており、アーム部46b,47bの前端には上方に膨らんだ爪部46c,47cが一体的に形成されている。爪部46c,47cの後面には、被固定面46d,47dが形成され、爪部46c,47cの上面には、前方にいくに連れて下方に傾斜する挿入時案内面46e,47eが形成されている。
【0033】
前記アーム部46b,47bの前端部には、被連動部の一例として、ロック連動突起28,29に対応して形成された前後方向に延びる長孔状の連動長孔46f,47fが形成されている。前記連動長孔46f,47fには、ロック連動突起28,29が嵌っており、ロック部材46,47は転写スライダ21の上下方向の移動に連動して、回転中心部46a,47aを中心として回転可能に支持されている。
図5〜図8において、プリンタ本体U1には、開閉固定部の一例として、ロック部材46,47に対応する位置に左右一対のロック突起48,49が配置されており、図示しない枠体、いわゆるフレームに固定支持されている。したがって、ロック部材46,47は、回転中心部46a,47aを中心とした回転によって、ロック突起48,49に接触、離間可能となっており、接触時に、爪部46d,47dが掛かって後カバーU1bがプリンタ本体U1の後面を閉塞した状態で保持、いわゆるロックされる。
【0034】
図7、図8において、プリンタ本体U1には、感光体PRや帯電ロールCR、感光体クリーナCL等を支持する枠体の一例としてのプロセスフレーム51が支持されている。前記プロセスフレーム51には、位置決め部の一例として、感光体PRの回転軸PR1の後方に延びる転写位置決め部52が一体的に形成されている。前記転写位置決め部52は、第1の位置決め部の一例として、転写ロールTrの回転軸37の上方で後方に延びる上位置決め部52aを有する。上位置決め部52aの後端には、第2の位置決め部の一例として、下方に延びる爪状の後位置決め部52bが一体的に形成されている。
【0035】
前記上位置決め部52aの下面には、移動方向位置決め部の一例として、転写ロールTrの回転軸37の上側の外周面に接触して上下方向、すなわち、転写スライダ21の移動方向の位置決めをする上位置決め面52cが形成されている。また、後位置決め部52bの左面には、対向方向位置決め部の一例として、転写ロールTrの回転軸37の後側の外周面に接触して左右方向、すなわち、転写ロールTrと感光体PRとが対向する対向方向の感光体PRとは反対側の位置決めをする後位置決め面52dが形成されている。
前記後位置決め部52bの後側下面には、挿入時案内部の一例として、後方にいくに連れて上方に傾斜する転写ガイド面52eが形成されている。
【0036】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1のプリンタUでは、シート搬送路SHで詰まったシートSを除去等するために、作業者が後カバーU1bを開放する場合、操作開口11を通過した指で操作凹部16bが下方に押されると、ハンドル16は、各ガイド12,13a,14aにガイドされて下降し、図5、図7に示す接触可能位置から図6、図8に示す解除位置に移動する。
【0037】
ハンドル16の下降に伴って、ハンドル16のスライド連動突起16dに転写スライダ21が押される。したがって、転写スライダ21は、コイルバネ34の弾性力に抗して、各ガイド溝3a,4a,6a,7aに各ガイド突起31,32がガイドされて、下方向に移動する。よって、転写スライダ21は、図5、図7に示す位置決め位置から図6、図8に示す離脱位置に移動する。これに伴って、転写スライダ21に支持された転写ロールTrも一体的に下方に移動して、図6、図8に示すように、転写ロールTrの回転軸37と転写位置決め部52との接触が解除される。
【0038】
また、転写スライダ21の下降に伴って、転写スライダ21のロック連動突起28,29が下方に移動し、嵌り合う連動長孔46f,47fを介して、ロック部材46,47が下方に回転する。したがって、ロック部材46,47が、ロック突起48,49に掛かった図5、図7に示す開閉固定位置から、ロック突起48,49から離れた図6、図8に示す固定解除位置に移動する。よって、実施例1では、ロック部材46,47は、転写スライダ21を介して、ハンドル16の操作に連動して移動する。
前記ロック部材46,47によるロックが解除されると、後カバーU1bは開閉可能な状態となり、図1の実線で示す閉塞位置から、図1の破線で示す開放位置に向けて移動可能となる。そして、後カバーU1bが開放位置に移動すると、プリンタ本体U1内部が開放されシート搬送路SHに詰まったシートSを除去したり、損耗した部品を交換したり、清掃、点検したり等することが可能となる。
【0039】
前記ハンドル16が解除位置に移動した後、作業者がハンドル16から指を離すと、コイルバネ34の弾性復元力が作用して、転写スライダ21が離脱位置から位置決め位置に戻る。これに伴って、転写スライダ21にスライド連動突起16dが押されてハンドル16も解除位置から接触可能位置に戻ると共に、ロック部材46,47も固定解除位置から開閉固定位置に戻る。
すなわち、実施例1の後カバーU1bでは、後カバーU1bが開放位置に向けて移動する際に、転写ロールTrは、後カバーU1bの開閉方向とは交わる移動方向である下方に移動した後に、上方に戻るような移動をする。
【0040】
開放位置に移動した後カバーU1bを閉塞位置に戻す場合、作業者がハンドル16を下方に押した状態のまま、後カバーU1bを閉塞位置に戻すと、図6、図8に示す状態となり、作業者が指を離すと、図5、図7に示す状態に戻る。このとき、転写ロールTrの回転軸37が転写位置決め部52に位置決めされる。実施例1では、転写位置決め部材52がプリンタ本体U1に固定された構成となっており、回転する位置決め部材を有する構成に比べて、位置精度が高い構成となっている。よって、感光体PRと転写ロールTrとが精度良く位置決めされ、転写不良や画質低下等の発生が低減されている。
また、実施例1では、転写位置決め部材52が感光体PRを保持するプロセスフレーム51に一体的に支持されており、別体に構成する場合に比べて、部品の累積誤差等が少なく、開閉される後カバーU1bに支持された転写ロールTrと感光体PRとの位置の精度が高まる。
【0041】
さらに、実施例1では、転写ロールTrの回転軸37は、上位置決め面52cと後位置決め面52dとに接触して位置決めされており、2つの方向から位置決めされている。したがって、一方向のみで位置決めされる場合に比べて、位置精度が向上している。特に、転写ロールTrの感光体PRの反対側、すなわち、弾性変形する転写ロールTrの弾性復元で感光体PRから離れる方向である後側が、後位置決め面52dで位置決めされており、後位置決め面52dで位置決めされない場合に比べて、より高精度に位置決めされる。
また、実施例1では、下ガイド溝3a、4aと下ガイド突起32との間に遊びが設けられており、転写スライダ21が昇降する際に、引っ掛かり等が発生しても、上ガイド突起31側を中心に微動、回転することが可能となっており、遊びが設けられていない場合に比べて、操作を安定して、容易に行うことが可能となっており、転写ロールTrが転写位置決め部52に掛かりやすくなっている。
【0042】
そして、下ガイド突起32は、コイルバネ34で斜め上方に引っ張られており、後カバーU1bが閉塞位置に移動した状態では、ガタつきが抑制され、安定した位置に保持される。このとき、コイルバネ34の弾性力で、転写スライダ21は、上ガイド突起31を中心として回転する方向の力の成分が作用し、転写ロールTrが感光体PRに押しつける方向の力を作用させる。したがって、感光体PRと転写ロールTrとが確実に接触され、位置精度が向上している。
【0043】
また、実施例1では、転写ロールTrを感光体PRに押しつけるバネ等の付勢部材が設けられていない。転写ロールTrを感光体PRに押しつける場合、バネの受けを後カバーU1b側に配置する従来の構成では、転写ロールTrと感光体PRが接触した状態で、バネの反力が後カバーU1bに作用し、後カバーU1bの剛性を高める必要があり、カバーが高費用化、大型化していた。これに対して、実施例1では、転写ロールTrを感光体PRに押しつけるバネのように、転写ロールTrと感光体PRとが接触した状態で、後カバーU1bがプリンタ本体U1側から反力を受ける部材が設けられておらず、また、感光体PRに押しつけられて弾性変形して反力を発生させる転写ロールTrは回転軸37がプリンタ本体U1側の転写位置決め部52で受けられており、反力は後カバーU1bではなく、プリンタ本体U1側で受けている。したがって、閉塞位置において、後カバーU1bに力を作用する力が、従来の構成に比べて少なくなっており、後カバーU1bの剛性を、従来の構成に比べて抑えることが可能となり、小型化、低費用化が図られている。
【0044】
なお、開放位置に移動した後カバーU1bを閉塞位置に戻す場合、作業者がハンドル16から指を離した状態で、後カバーU1bを閉塞位置に戻すと、コイルバネ34の弾性力で転写スライダ21、ハンドル16、ロック部材46,47が図5、図7に示す状態となったまま、後カバーU1bが後カバーU1bを開放位置から閉塞位置に向けて回転する。このとき、後カバーU1bの回転に伴って、ロック部材46、47の挿入時案内面46e,47eがロック突起48,49に接触し、挿入時案内面46e,47eがロック突起48,49に接触した状態でさらに後カバーU1bが閉塞位置に向けて押し込まれると、ロック部材46,47が一度固定解除位置側に回転する。そして、挿入時案内面46e,47eがロック突起48,49を通過すると、コイルバネ34の弾性力でロック部材46,47が開閉固定位置に戻り、図5、図7に示す状態となる。
【0045】
このとき、同様に、転写ロールTrの回転軸37も、転写位置決め部材52の転写ガイド面52eに接触して、下方にガイドされ、転写スライダ21が一度離脱位置側に下降した後、転写ロールTrが転写ガイド面52eを通過すると、転写スライダ21がコイルバネ34の弾性力で位置決め位置に戻り、図5、図7に示す状態となる。
すなわち、実施例1の後カバーU1bでは、後カバーU1bが閉塞位置に向けて移動する際にも、転写ロールTrは、後カバーU1bの開閉方向とは交わる移動方向である下方に移動した後に、上方に戻る移動をする。
【実施例2】
【0046】
図9は実施例2の画像形成装置の説明図であり、実施例1の図7に対応する図である。
次に本発明の実施例2の説明をするが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
図9において、実施例2のプリンタUでは、転写ホルダ36に固定支持された実施例1の軸受け部材38に替えて、軸受け部材38が、転写付勢部材の一例として、転写ロールTrを感光体PR側に付勢する転写押圧バネ61を介して左右方向に移動可能な状態で、付勢支持体の一例としての転写ホルダ36に支持されている。また、実施例2の転写位置決め部52′は、転写ロールTrの回転軸37ではなく、転写押圧バネ61の後方の転写ホルダ36の後面に接触して位置決めをしている。
【0047】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2のプリンタUでは、転写スライダ21が図9に示す位置決め位置に移動した状態では、転写位置決め部52′が転写押圧バネ61に対応する位置に接触して位置決めしている。したがって、転写押圧バネ61が転写ホルダ36を後方に押す力を作用させても、プリンタ本体U1の転写位置決め部52′が受けており、カバー本体1に直接作用しない。よって、転写ロールTrが感光体PRに接触した状態において、後カバーU1bの剛性を必要以上に高めることが不要となり、小型化、低費用化を図ることが可能となっている。
なお、実施例2の後カバーU1bも実施例1の後カバーU1bと同様に動作するため、詳細な説明は省略する。
【実施例3】
【0048】
図10は実施例3の画像形成装置の説明図であり、実施例1の図1に対応する図である。
次に本発明の実施例3の説明をするが、この実施例3の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
図10において、実施例3のプリンタUでは、排出ロールR1から後方に延び、転写ロールTrの後側を下方に延び、レジロールRrに接続される反転路SH2が設けられている。したがって、両面印刷が実行される場合、一面目に画像が記録されたシートSの搬送方向後端が排出ロールR1に差し掛かると、排出ロールR1が逆回転して、シートSは、切替部材の一例としてのゲートGT1に案内されて反転路SH2に搬送される。反転路SH2を搬送されたシートSは、レジロールRrに搬送され、表裏が反転した状態で、転写領域Q4に搬送されて、二面目に画像が記録される。
【0049】
図11は実施例3の後カバーの内側カバーの斜視図であり、実施例1の図2に対応する図である。
図12は実施例3の内側カバーの後方から見た斜視図である。
図10において、実施例3の後カバーU1b′は、内側カバーU2と、外側カバーU3とを有する。
図11、図12において、前記内側カバーU2は、上下方向に延びる板状の内側本体の一例としての内側カバー本体101を有し、内側カバー本体101の下端には、プリンタ本体U1に回転可能に支持される左右一対の内側軸部102が形成されている。内側カバー本体101の前面には、実施例1と同様の下ホルダ3,4、上ホルダ6,7が形成されている。また、内側カバー本体101の前面には、実施例1と同様の転写スライダ21が上下方向に移動可能に支持されている。
【0050】
実施例3の転写スライダ21には、実施例1のロック連動突起28,29に替えて、ロック連動突起28,29と同様に形成された連動支持部材の一例として、連動支持突起28′,29′が設けられている。そして、実施例3では、実施例1のロック部材46,47に替えて、内側連動部材の一例としての内側連動フック103,104が、連動支持突起28′,29′に固定支持されている。前記内側連動フック103,104は、連動支持突起28′,29′から上方に延びた後、後方に延びる内側フック本体103a,104aと、内側フック本体103a,104aの後端から上方に突出する内側爪部103b,104bとを有する。前記内側爪部103b,104bの上面には、後方にいくに連れて下方に傾斜する内側案内面103c,104cが形成されている。
【0051】
図12において、内側カバーU2の後面には、反転路SH2の前側の案内面を構成する前側の反転ガイド面106が形成されている。前記反転ガイド面106の上下方向中央部には、左右一対の開口106aが形成されており、開口106a内には、反転従動部材の一例としての反転従動ローラ107が回転可能に支持されている。
内側カバーU2の後面の左右両端部には、軸支持部の一例として、後方に突出する軸支持フランジ108,109が支持されている。前記軸支持フランジ108,109の間には、左右方向に延びる反転駆動軸111が回転可能に支持されており、反転駆動軸111には、反転従動ローラ107に対向、接触して、反転駆動部材の一例としての反転駆動ローラ112が支持されている。左側の軸支持フランジ109の左面には、駆動伝達部材の一例として、反転駆動軸111に駆動を伝達するための反転駆動ギア113が支持されている。なお、反転駆動ギア113には、プリンタ本体U1の図示しない駆動源から駆動が伝達される。
したがって、反転従動ローラ107および反転駆動ローラ112により、実施例3の反転路用の搬送ローラ107+112が構成されており、反転路SH2に搬送されたシートSは、搬送ローラ107+112によりレジロールRrに向けて搬送される。
【0052】
軸支持フランジ108,109の下方には、起立接触部材の一例として、後方に突出する起立突起116,117が形成されている。
図10〜図12において、前記起立突起116,117の下方には、下端案内部材の一例として、左右方向に延び且つ、内側カバー本体101の下端を後面から前面側に回り込むように湾曲して、反転路SH2を搬送されるシートSをガイドする下端ガイド118が内側カバー本体101に形成されている。
また、内側カバー本体101の前面下部には、前記下端ガイド118の上方に対向して、反転路SH2の下流端の案内部材の一例として、最下流ガイド119が形成されている。
【0053】
図13は実施例3の外側カバーの斜視図である。
図14は実施例3の外側カバーの分解説明図である。
図10、図13、図14において、実施例3の外側カバーU3は、上下方向に延びる板状の外側本体の一例としての外側カバー本体121を有する。外側カバー本体121の下端には、プリンタ本体U1に回転可能に支持される左右一対の外側軸部122が形成されている。
図13、図14において、実施例3の外側カバーU3には、実施例1の後カバーU1bの操作開口11と同様の操作開口11が形成されている。
【0054】
図13、図14において、外側カバー本体121の前面には、前側の反転ガイド面106に対向して配置され、反転路SH2の後側の案内面を構成する後側の反転ガイド面123が形成されている。したがって、反転ガイド面106,123により挟まれた空間により、実施例3の反転路SH2が構成されている。
反転ガイド面123の下方の左右両側には、起立被接触部の一例として、起立突起116,117が接触可能に形成された前方に突出する起立ガイド126,127が形成されている。前記起立ガイド126,127は、上下方向中央部が前方に凸状に膨らんだ形状に形成されている。
【0055】
外側カバー本体121の上端部には、操作収容部の一例として、反転ガイド面123の後方に凹部状のハンドル収容部128が形成されている。図14に示すように、実施例3のハンドル収容部128の左右両端は、上下左右方向が開放された開放部128aが形成されている。
前記ハンドル収容部128には、操作部の一例として、左右方向に延びる角柱状のハンドル16′が、上下方向に移動可能な状態で収容されている。すなわち、ハンドル16′の上下方向の長さは、ハンドル収容部128の上下方向の深さよりも短く形成されている。図13、図14において、実施例3のハンドル16′には、実施例1のハンドル16と同様の操作凹部16bが形成されている。また、ハンドル16′の左右両端部には、被固定部の一例として、上方に突出するロック突起16fが左右一対形成されている。前記ロック突起16fは、プリンタ本体U1の上側の外装部材に形成されている図示しない凹みに嵌ることが可能に構成されており、ロック突起16fが嵌ることで、外側カバーU1cがプリンタ本体U1に対して閉塞位置に保持される。図14において、実施例3のハンドル16′の下面と、ハンドル収容部128との間には、操作付勢部材の一例として、ハンドル16′を上方に付勢するコイルバネ129が配置されている。
【0056】
外側カバー本体121の反転ガイド面123の左右両側には、連動保持部の一例として、開放部128aの下方に、実施例1のハンドル保持リブ13,14と同様に構成されたフック保持リブ13′,14′が形成されている。フック保持リブ13′,14′には、実施例1のハンドル横ガイド13a,14aと同様に構成された上下方向に延びる長孔状のフック横ガイド13a′,14a′が形成されている。
図13、図14において、ハンドル横ガイド13a,14aには、外側連動部材の一例としての外側連動フック131,132が支持されている。前記外側連動フック131,132の上端部には、連結部の一例として、開放部128aに進入してハンドル16′の左右両端部にネジ止めされるハンドル固定部131a,132aが形成されている。
【0057】
前記ハンドル固定部131a,132aの下部には、被案内部の一例として、フック横ガイド13a′,14a′に嵌った状態で上下方向に移動可能に支持される被ガイド突起131b,132bが形成されている。したがって、実施例3では、ハンドル16′は、固定、連結されている外側連動フック131,132の被ガイド突起131b,132bにより、フック横ガイド13a′,14a′に沿って上下方向に移動可能に支持されている。
外側連動フック131,132の前端部には、内側連動フック103,104に対応して、下方に突出する外側爪部131c,132cが形成されている。
前記内側カバーU2および外側カバーU3により、実施例3の開閉部材としての後カバーU1b′が構成されている。
【0058】
(実施例3の作用)
図15は実施例1の図7に対応する実施例3の後カバーの開閉の説明図であり、後カバーが閉塞位置に移動した状態の説明図である。
図16は実施例1の図8に対応する実施例3の後カバーの開閉の説明図であり、ハンドルが押された状態の説明図である。
図17は図16に示す状態から後カバーを開放位置に向けて回転させた状態の説明図である。
図18は図17に示す状態からハンドルが接触可能位置側に移動した状態の説明図である。
図19は図18に示す状態からハンドルがさらに接触可能位置側に移動した状態の説明図である。
図20は後カバーが開放位置に移動した状態の説明図である。
【0059】
前記構成を備えた実施例3のプリンタUでは、シート搬送路SHまたは反転路SH2で紙詰まり等が発生してプリンタU内部を開放するために、作業者がハンドル16′の操作凹部16bを、コイルバネ129に抗して下に押すと、ハンドル16′が、図15に示す接触可能位置から図16に示す解除位置に向けて下降する。ハンドル16′が下降すると、ロック突起16fと図示しない凹みとのロックが解除されて、外側カバーU3が回転可能になると共に、外側連動フック131,132が一体的に下降して、噛み合う内側連動フック103,104を下方に押す。したがって、転写スライダ21は、コイルバネ34の弾性力に抗して、図15に示す位置決め位置から図16に示す離脱位置に向けて移動する。したがって、実施例3の被固定部の一例としての回転軸37が下降して、実施例3の開閉固定部の一例としての転写位置決め部52から離脱する。よって、内側カバーU2を図15,図16に示す閉塞位置に保持するロックが解除される。
【0060】
図16、図17において、ロックが解除された状態から外側カバーU3を開放位置に向けて回転させると、連動フック103,104,131,132の噛み合いで、内側カバーU2も開放位置に向けて、一体的に回転を開始する。
図17に示すように、回転軸37が転写位置決め部52よりも外側に移動した状態において、ハンドル16′の押し下げが解除されると、コイルバネ34,129の弾性復元力で、ハンドル16′および転写スライダ21がそれぞれ接触可能位置および位置決め位置に向けて移動する。このとき、図17〜図19に示すように、内側カバーU2の内側軸部102と外側カバーU3の外側軸部122との位置のズレに応じて、内側連動フック103,104と外側連動フック131,132とが外れる。したがって、内側カバーU2と外側カバーU3とは、各軸部102,122を中心として、独立して回転可能な状態となる。
【0061】
したがって、実施例3でも、後カバーU1b′が開放位置に向けて移動する際に、転写ロールTrは、後カバーU1bの開閉方向とは交わる移動方向である下方に移動した後に、上方に戻る移動をする。
図19に示す状態から外側カバーU3を開放位置に向けて回転すると、内側カバーU2の自重と、内側カバーU2の起立突起116,117と外側カバーU3の起立ガイド126,127との接触により、内側カバーU2も外側カバーU3と共に、開放位置に向けて連動して回転する。
【0062】
図20において、各カバーU2,U3が図20に示す開放位置に移動すると、外側カバーU3の外面が水平面に沿った状態となり、内側カバーU2は、起立突起116,117と起立ガイド126,127との接触で、外側カバーU3から浮いた状態で保持される。よって、内側カバーU2と外側カバーU3との間に隙間が発生しており、隙間に作業者が手を入れやすく、カバーU2,U3間に隙間が発生しない構成に比べて、内側カバーU2のみを掴んで回転させることが容易になっている。
【0063】
したがって、図20に示す状態では、シート搬送路SHが開放され、シート搬送路SHに詰まったシートSを除去したり、プリンタ本体U1内部の部品の交換等が可能となっている。
反転路SH2に詰まったシートSを除去する場合、図20に示す状態から、内側カバーU2のみを掴んで、閉塞位置に向けて移動させることで、反転路SH2を開放することが可能となっている。このとき、内側カバーU2のみを閉塞位置に向けて移動させた場合、実施例1と同様に、転写位置決め部材52の転写ガイド面52eと転写ロールTrの回転軸37との接触で、転写スライダ21が一度離脱位置側に下降した後、コイルバネ34の弾性力で位置決め位置に保持することが可能となっている。すなわち、内側カバーU2が図15に示す閉塞位置に保持され、外側カバーU3が図20に示す開放位置に移動しており、反転路SH2が開放された状態で保持され、シートSの除去等が容易に実行可能となる。
【0064】
また、反転路SH2が開放された状態から、外側カバーU3を閉塞位置に戻す場合、外側カバーU3の外側連動フック131,132と、内側カバーU2の内側連動フック103,104の内側案内面103c,104cとが接触して、転写スライダ21が一度離脱位置側に下降した後、コイルバネ34の弾性力で位置決め位置に戻り、外側連動フック131,132と内側連動フック103,104とが噛み合って、外側カバーU3が内側カバーU2に保持され、結果として、後カバーU1b′が閉塞位置に移動する。
【0065】
なお、図20に示す状態から後カバーU1b′を閉塞位置に移動させる場合、外側カバーU3を操作して、閉塞位置に向けて回転させることで、内側カバーU2は、起立突起116,117と起立ガイド126,127との接触で、外側カバーU3と連動して閉塞位置に向けて回転し、連動フック103,104,131,132どうしの噛み合いと、転写位置決め部材52と転写ロールTrの回転軸37との掛かりで閉塞位置に保持される。
後カバーU1b′が閉塞位置に移動すると、実施例1と同様に、転写ロールTrの回転軸37が転写位置決め部52で位置決めされており、実施例1と同様の作用を有する。すなわち、実施例3でも、後カバーU1b′が閉塞位置に向けて移動する際に、転写ロールTrは、後カバーU1bの開閉方向とは交わる移動方向である下方に移動した後に、上方に戻る移動をする。
【0066】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H07)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置の一例としてのプリンタを例示したが、これに限定されず、例えば、複写機、FAX、あるいはこれらの複数または全ての機能を有する複合機等により構成することも可能である。
(H02)前記実施例において、前記プリンタUは、単色の現像剤が使用される構成を例示したが、これに限定されず、例えば、2色以上の多色の画像形成装置にも適用可能である。
【0067】
(H03)前記実施例において、転写位置決め部52の形状は、実施例に例示した形状に限定されず、任意の形状とすることが可能である。例えば、転写ロールTrの上方を通過する上位置決め部52aに替えて、転写ロールTrの下方を通過する構成等、設計に応じて適宜変更可能である。したがって、転写スライダ21の移動方向も、開閉される際に、転写位置決め部52に対して下方に移動した後に上方に移動する構成に限定されず、上方に移動した後に下方に移動する構成とすることも可能である。
(H04)前記実施例において、転写位置決め部52はプロセスフレーム51に一体的に形成することが望ましいが、これに限定されず、画像形成装置本体に固定支持された任意の構成とすることが可能である。
【0068】
(H05)前記実施例において、感光体PRと転写ロールTrの位置決めに使用する構成を例示したが、この構成に限定されず、例えば、画像形成装置本体に支持された駆動ローラと、カバーに支持された従動ローラとを位置決めする構成に適用可能である。また、像保持体の一例として、ドラム状の感光体PRと転写ロールTrとの位置決めに使用する構成を例示したが、この構成に限定されず、無端帯状、すなわちベルト状の像保持体と、ローラとの位置決めに使用することも可能である。例えば、多色の画像形成装置において、像保持体の一例としての中間転写ベルトと、転写部材の一例としての二次転写ロールとの位置決めに使用することも可能である。
【0069】
(H06)前記実施例において、上位置決め面52cと後位置決め面52dの2カ所で位置決めする構成を例示しており、2カ所以上で位置決めする構成が望ましいが、1カ所のみとすることが可能である。例えば、上位置決め面52cが接触せず、後位置決め面52dのみが転写ロールTrの回転軸37に接触する構成とすることも可能である。
(H07)前記実施例において、後位置決め面52dは、上下方向に沿って形成する構成を例示したが、この構成に限定されず、任意の方向にすることが可能であるが、感光体PRと転写ロールの中心を結ぶ線に垂直な方向とすることが望ましい。
【符号の説明】
【0070】
16,16′…操作部、
21…移動体、
36…付勢支持体、
37…回転軸、
37;36…被位置決め部、
46,47;37…被固定部、
48,49;52…開閉固定部、
51…枠体、
52…位置決め部、
61…付勢部材、
PR…回転部材、像保持体、
Tr…対向部材、転写部材、
U…画像形成装置、
U1…画像形成装置本体、
U1b,U1b′…開閉部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンタ等の画像形成装置では、画像形成時に搬送される媒体の紙詰まりを解消したり、損耗した部品を交換可能とするために、画像形成装置の内部を開放可能な開閉部材、いわゆる開閉カバーが設けられている。このような開閉カバーに関する技術として、以下の特許文献1〜3に記載の技術が従来公知である。
【0003】
特許文献1としての特開平6−110264号公報には、感光ドラム(40)を有するプロセスユニット(2)に、転写ローラ(42)も支持して、一体的に画像形成装置に対して着脱可能な構成とすることで、感光ドラム(40)と転写ローラ(42)との位置精度を安価にとる技術が記載されている。
特許文献1記載の画像形成装置では、転写ローラ(42)を感光ドラム(40)に押しつけるための加圧機構がフロントカバー(10)に設けられており、プロセスユニット(2)が装着された状態でフロントカバー(10)が閉じられると、転写ローラ(42)の軸受け(47)に加圧機構の押圧ブロック(97a)が接触して、加圧機構のモータ(90)が回転すると、半月状ギア(92)が回転して押圧ブロック(97a)により軸受け(47)を押して、転写ローラ(42)を感光ドラム(40)に圧接している。
【0004】
特許文献2としての特開平11−190966号公報には、プリンタ(200)に対して着脱可能なプロセスカートリッジ(100)に、感光体(1)が設けられ、開閉カバー(201)に転写ローラ(10)が支持された構成において、開閉カバー(201)が開放された状態では、転写ローラ(10)を覆った状態で保護し、開閉カバー(201)が閉じられた状態では、転写ローラ(10)から待避した位置に移動する保護カバー(30)を設ける技術が記載されている。
【0005】
特許文献3としての特開2005−172856号公報には、転写ロール(101)が位置決め機構(110)により相対移動可能な状態で弾性スプリング(112)を介して支持されると共に、位置決め機構(110)を有する転写ユニット(100)が支持される保持ユニット(120)が扉カバー(80)に弾性スプリング(121)を介して支持される構成が記載されており、転写ロール(101)は、感光体ドラム(31)に当接することで、感光体ドラム(31)を基準として位置決めされる構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−110264号公報(「0071」〜「0074」、「0079」〜「0082」、図4、図10)
【特許文献2】特開平11−190966号公報(「0028」〜「0030」、図1、図2、図7)
【特許文献3】特開2005−172856号公報(「0021」〜「0022」、「0043」、図4〜図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、安価な構成で、開閉部材に支持された対向部材を位置決めすることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の画像形成装置は、
画像形成装置本体の内部を開放する開放位置と、前記画像形成装置本体の内部を閉塞する閉塞位置との間で、回転中心を中心として移動可能に支持された開閉部材と、
前記画像形成装置本体に設けられた位置決め部と、
前記開閉部材に支持され、且つ、前記開閉部材が閉塞位置に移動した状態において、前記位置決め部に接触して位置決めされる被位置決め部と、
表面に像を保持する像保持体により構成され、画像形成装置本体に支持された回転部材と、
前記像保持体に接触して回転し、前記像保持体表面の像を媒体に転写する転写部材により構成された対向部材であって、前記開閉部材に支持され、且つ、前記開閉部材が閉塞位置に移動する際に、前記開閉部材の開閉方向とは交わる方向である前記開閉部材の回転中心に接近または離間する方向に移動し、前記開閉部材が閉塞位置に移動した状態において、前記回転部材に対向して回転可能な前記対向部材と、
前記開閉部材が前記閉塞位置に移動する際に、前記対向部材を前記回転中心に接近または離間する方向に案内する案内部と、
を備え、
前記開閉部材が閉塞位置に移動した場合において、前記像保持体から像が転写可能な位置に、前記転写部材が位置決めされることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、
前記対向部材の回転軸に支持された前記被位置決め部、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像形成装置において、
前記開閉部材に、前記対向部材を前記回転中心に接近または離間する方向に案内する開閉部材側の案内部と、前記開閉部材側の案内部に沿って前記対向部材を前記回転中心から離間する方向に付勢する付勢部材と、を備え、
前記画像形成装置本体に、前記対向部材を前記回転中心に接近または離間する方向に案内する本体側の案内部を備え、
前記開閉部材が前記閉塞位置に移動する際に、前記対向部材に設けられた被案内部が前記本体側の案内部に接触して案内されることで、前記付勢部材の付勢力に抗して前記対向部材が前記開閉部材側の案内部に沿って移動し、前記開閉部材が閉塞位置に移動した場合において、前記被位置決め部が前記位置決め部に接触して位置決めされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、安価な構成で、開閉部材に支持された対向部材を位置決めすることができる。また、請求項1に記載の発明によれば、像保持体と転写部材とを精度良く位置決めでき、画質の低下を抑制できる。さらに、請求項1に記載の発明によれば、転写位置を精度よく位置決めすることができる。
請求項2に記載の発明によれば、対向部材の回転軸を位置決めできる。
請求項3に記載の発明によれば、開閉部材側の案内部と本体側の案内部の両側の案内部で対向部材を案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
【図2】図2は実施例1の開閉部材の一例としての後カバーの斜視図である。
【図3】図3は図2の後カバーの分解説明図である。
【図4】図4は操作部とスライダとの接触部分の要部説明図である。
【図5】図5は転写ロールの位置決めがされた状態の後カバーの斜視説明図である。
【図6】図6は転写ロールの位置決めが解除された状態の後カバーの斜視説明図である。
【図7】図7は転写ロールの位置決めがされた状態の側方から見た要部説明図である。
【図8】図8は転写ロールの位置決めが解除された状態の側方から見た要部説明図である。
【図9】図9は実施例2の画像形成装置の説明図であり、実施例1の図7に対応する図である。
【図10】図10は実施例3の画像形成装置の説明図であり、実施例1の図1に対応する図である。
【図11】図11は実施例3の後カバーの内側カバーの斜視図であり、実施例1の図2に対応する図である。
【図12】図12は実施例3の内側カバーの後方から見た斜視図である。
【図13】図13は実施例3の外側カバーの斜視図である。
【図14】図14は実施例3の外側カバーの分解説明図である。
【図15】図15は実施例1の図7に対応する実施例3の後カバーの開閉の説明図であり、後カバーが閉塞位置に移動した状態の説明図である。
【図16】図16は実施例1の図8に対応する実施例3の後カバーの開閉の説明図であり、ハンドルが押された状態の説明図である。
【図17】図17は図16に示す状態から後カバーを開放位置に向けて回転させた状態の説明図である。
【図18】図18は図17に示す状態からハンドルが接触可能位置側に移動した状態の説明図である。
【図19】図19は図18に示す状態からハンドルがさらに接触可能位置側に移動した状態の説明図である。
【図20】図20は後カバーが開放位置に移動した状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例としての実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0014】
図1は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1において、本発明の実施例1の画像形成装置の一例としてのプリンタUは、画像形成装置本体の一例としてのプリンタ本体U1の前面に、媒体の一例としてのシートSを挿入、収容する場合に、下端を中心として開閉可能な開閉部材の一例としての前カバーU1aが支持されている。また、プリンタUの上面には、画像が記録されたシートSが排出される排出部の一例としての排出トレイTRhが形成されている。さらに、画像形成装置本体U1の後面には、紙詰まりや内部の点検等をする場合に、画像形成装置本体U1内部を開放する開閉部材の一例としての後カバーU1bが、実線で示す閉塞位置と、破線で示す開放位置との間で回転可能に支持されている。
【0015】
実施例1のプリンタUは、制御部の一例としてのコントローラCと、前記コントローラCにより作動を制御される画像処理部IPS、潜像形成回路の一例としてのレーザ駆動回路DL、および電源装置E等を有する。電源装置Eは、後述の帯電器の一例としての帯電ロールCR、現像部材の一例としての現像ローラGaおよび転写部材の一例としての転写ローラTr等に電圧を印加する。
前記画像処理部IPSは、外部の情報送信装置の一例としてのホストコンピュータ等から入力された印刷情報を潜像形成用の画像情報に変換して予め設定された時期、すなわち、タイミングで、像書込回路の一例としてのレーザ駆動回路DLに出力する。レーザ駆動回路DLは、入力された画像情報に応じて駆動信号を潜像形成装置LHに出力する。実施例1の潜像形成装置LHは、左右方向に沿って、予め設定された間隔で潜像書込素子の一例としてのLED:Light Emitting Diodeが線状に配置された装置、いわゆるLEDヘッドにより構成されている。
【0016】
プリンタUの後部には、回転駆動する像保持体の一例としての感光体PRが支持されている。回転部材の一例としての感光体PRの周囲には、感光体PRの回転方向に沿って、帯電ロールCR、潜像形成装置LH、現像装置G、転写部材の一例としての転写ロールTr、像保持体用の清掃器の一例としての感光体クリーナCLが配置されている。
図1において、前記帯電ロールCRには、帯電ロールCR表面を清掃する帯電器用の清掃器の一例としての帯電ロールクリーナCRCが対向、接触して配置されている。
【0017】
また、前記現像装置Gは、内部に現像剤が収容される現像容器Vを有する。前記現像容器V内には、感光体PRに対向して配置された現像剤保持体の一例としての現像ロールGaと、現像剤を撹拌しながら循環搬送する一対の循環搬送部材Gb,Gcと、循環搬送部材で撹拌された現像剤を現像ロールGaに搬送する供給部材Gdと、現像ロールGa表面の現像剤の層厚を規制する層厚規制部材Geと、が配置されている。
前記現像容器Vの前側上面には、補給部の一例としての現像剤補給口V1が形成されており、現像剤補給口V1には、現像剤搬送路の一例として、前方に延びる現像剤補給路V3が連結されている。前記現像剤補給路V3内部には、現像剤搬送部材の一例としての補給オーガV4が回転可能に支持されている。前記現像剤補給路V3の前端には、トナーカートリッジTCが着脱される着脱部の一例としてのカートリッジホルダKHが連結されており、トナーカートリッジTCからの現像剤が流入する。したがって、現像装置Gでの現像剤の消費量に応じて、補給オーガV4が駆動すると、トナーカートリッジTCから現像剤が現像装置Gに補給される。
【0018】
回転する感光体PRの表面は、帯電領域Q1において帯電ロールCRにより帯電され、潜像形成位置Q2において潜像形成装置LHから出射する潜像形成光により静電潜像が形成される。前記静電潜像は現像領域Q3において現像ロールGaにより可視像の一例としてのトナー像に現像される。感光体PR表面のトナー像は、回転部材の一例としての感光体PR及び対向部材の一例としての転写ロールTrとの対向領域により形成される転写領域Q4において、転写ロールTrにより媒体の一例としてのシートSに転写される。なお、実施例1の転写ロールTrは、弾性材料により構成されており、感光体PRに接触して弾性変形可能に構成されている。
【0019】
感光体PR表面の残留トナーは、転写領域Q4の下流側の清掃領域の一例としてのクリーニング領域Q5において清掃部材の一例としてのクリーニングブレードCBにより除去され、感光体クリーナCL内部に回収される。
なお、前記クリーニングブレードCBの対向する側には飛散防止部材の一例としてのフィルムシールFSが設けられており、フィルムシールFSは感光体クリーナCL内に回収されたトナーが外にこぼれ出るのを防止する。
【0020】
図1において、プリンタUの下部の給紙トレイTR1には、媒体取り出し部材の一例としてのピックアップロールRpが配置されている。前記ピックアップロールRpにより取出された記録シートSは、媒体さばき部材の一例としてのリタードロールおよび給紙ロールを有するさばきロールRsにより1枚づつ分離されて、転写領域Q4のシート搬送方向の上流側に配置された時期調節部材の一例としてのレジロールRrにより予め設定されたタイミングで、転写領域Q4に搬送される。
【0021】
前記コントローラCにより動作が制御される電源装置E等から転写電圧が印加される転写ロールTrは、転写領域Q4を通過する記録シートSに感光体PR上のトナー像を転写する。
前記転写領域Q4においてトナー像が転写された記録シートSは、トナー像が未定着の状態で定着装置Fに搬送される。前記定着装置Fは定着部材の一例としての一対の定着ロールFh,Fpを有し、前記一対の定着ロールFh,Fpの圧接領域によって定着領域Q6が形成される。前記定着装置Fに搬送された記録シートSは、定着領域Q6において一対の定着ロールFh,Fpによりトナー像が定着される。定着トナー像が形成された記録シートSは、媒体案内部材の一例としてのシートガイドSG1,SG2によってガイドされ、排出部材の一例としての排出ロールR1からプリンタ本体U1上面の前記排出トレイTRhに排出される。
【0022】
(後カバーの説明)
図2は実施例1の開閉部材の一例としての後カバーの斜視図である。
図3は図2の後カバーの分解説明図である。
図2、図3において、実施例1の後カバーU1bは、板状の開閉部材本体の一例としての後カバー本体1を有する。後カバー本体1の下端には、画像形成本体U1に回転可能に支持される左右一対の突起状の軸部2が形成されている。
前記軸部2の上方には、下側保持部の一例として、前方に延びる板状に形成された下ホルダ3,4が左右一対形成されている。下ホルダ3,4には、上下方向に延びる下側案内部の一例としての下ガイド溝3a,4aが形成されている。なお、実施例1の下ガイド溝3a,4aは、上下逆向きのU字状に形成されており、上方への抜け止めが可能、すなわち、ストッパとしての機能も有する。
【0023】
前記下ホルダ3,4の上方の左右方向外側には、上側保持部の一例として、前方に延びる板状に形成された上ホルダ6,7が左右一対形成されている。各上ホルダ6,7には、上下方向に延びる上側案内部の一例としての上ガイド溝6a,7aが形成されている。なお、実施例1の上ガイド溝6a,7aは、下ガイド溝3a,4aとは逆向きのU字状に形成されており、下方への抜け止めが可能になっている。また、上ホルダ6,7の前端上部には、付勢支持部の一例としてのバネ引っ掛け部6b,7bが形成されている。
前記上ホルダ6,7の上方には、被固定保持部の一例として、前方に突出するロック爪ホルダ8,9が左右一対形成されている。各ロック爪ホルダ8,9には、爪受け部の一例としての左右方向外側に突出する突起状の爪受け軸8a,9aが形成されている。
【0024】
図3において、後カバー本体1の左右方向中央部の上端には、下方に凹んだ形状の操作開口11が形成されている。前記操作開口11の下方には、操作案内部の一例として、上下一対のハンドルガイド12が形成されている。前記ハンドルガイド12の左右方向両側には、操作保持部の一例として、前方に突出するハンドル保持リブ13,14が形成されている。ハンドル保持リブ13,14には、操作案内部の一例として、上下方向に延びる長孔状のハンドル横ガイド13a,14aが形成されている。
【0025】
図4は操作部とスライダとの接触部分の要部説明図である。
図3、図4において、ハンドルガイド12の前方且つハンドル保持リブ13,14の間には、操作部の一例としてのハンドル16が配置されている。前記ハンドル16は、上下方向に延びるハンドル本体16aを有する。
図4において、ハンドル本体16aの上端には、操作開口11に対応して配置され、且つ、作業者が指で下方に押すことが可能な操作凹部16bが形成されている。
また、操作凹部16bの下方には、被案内部の一例として、ハンドルガイド12が嵌って上下方向に案内されるガイド凹部16cが形成されている。
【0026】
図3、図4おいて、ハンドル本体16aの下面には、連動部の一例として、下方に突出するスライド連動突起16dが形成されている。
図2、図3において、ハンドル本体16aの左右両端には、被案内部の一例として、ハンドル横ガイド13a,14aに対応して形成され且つ左右方向外側に突出し、ハンドル横ガイド13a,14aに嵌った状態で上下方向に案内されるガイド突起16eが形成されている。
図2〜図4において、ハンドル16の下方には、移動体の一例としての転写スライダ21が配置されている。前記転写スライダ21は、左右方向に延びる転写スライダ本体22を有する。図4において、前記転写スライダ本体22の上端部の後面には、ハンドル16に対応する凹部23が形成されている。前記凹部23の下面23aには、ハンドル16のスライド連動突起16dが接触可能に構成されている。
【0027】
図5は転写ロールの位置決めがされた状態の後カバーの斜視説明図である。
図6は転写ロールの位置決めが解除された状態の後カバーの斜視説明図である。
図7は転写ロールの位置決めがされた状態の側方から見た要部説明図である。
図8は転写ロールの位置決めが解除された状態の側方から見た要部説明図である。
図2、図3、図5〜図8において、転写スライダ本体22の左右両側面には、連動保持部の一例として、前方に延びる板状の連動保持フランジ26,27が左右一対形成されている。前記連動保持フランジ26,27には、連動部材の一例として、左右方向外方に延びるロック連動突起28,29が形成されている。
【0028】
図3、図5〜図8において、ロック連動突起28,29の斜め後ろ側下方には、被案内部の一例として、上ガイド溝6a,7aに対応して左右方向外側に突出して形成された上ガイド突起31が形成されている。なお、図示の関係上、右側の上ガイド突起31のみ図示し、左側の上ガイド突起の図示は省略されているが、左側の上ガイド突起は右側の上ガイド突起と左右対称なだけで同様に構成されているため、詳細な説明は省略する。以下、同様に、右側の部材について説明し、左側の部材については図示および詳細な説明は適宜省略する。
実施例1の上ガイド突起31は、円柱状に形成されており、円柱の外径は、上ガイド溝6a,7aの幅に対応して、ほぼ同等に形成されており、上ガイド突起31はガタつきが少ない状態で上ガイド溝6a,7aに嵌った状態で上下方向に移動可能に支持される。
【0029】
図5〜図8において、上ガイド突起31の下方には、被案内部の一例として、下ガイド溝3a,4aに対応して左右方向外側に突出して形成された下ガイド突起32が形成されている。実施例1の下ガイド突起32は、円柱状に形成されており、円柱の外径は、下ガイド溝3a,4aの幅よりもガタつき、いわゆる遊びが形成される程度に小さく形成されている。したがって、下ガイド突起32は、遊びを有する状態で下ガイド溝3a,4aに嵌った状態で上下方向に移動可能に支持される。
また、下ガイド突起32の左右方向外端部には、前記バネ引っ掛け部6b,7bに対応して、付勢支持部の一例としてのバネ引っ掛け部32aが形成されている。
【0030】
前記上ホルダ6,7のバネ引っ掛け部6b,7bと、下ガイド突起32のバネ引っ掛け部32aとの間には、付勢部材の一例としてのコイルバネ34が左右一対装着されている。実施例1のコイルバネ34は、下ガイド突起32を、バネ引っ掛け部6b,7b側、すなわち、斜め前側上方に向けて引っ張る力を作用させている。よって、下ガイド溝3a、4aとの間にガタつきがある下ガイド突起32は、下ガイド溝3a,4aの前面に押しつけられた状態で保持される。
したがって、実施例1の転写スライダ21は、各ガイド突起31,32が、各ガイド溝3a,4a,6a,7aにガイドされて、上下方向に移動可能に後カバーU1bに支持されている。
【0031】
転写スライダ本体22の下部には、転写保持部の一例として、左右方向に延びる半円筒状の転写ホルダ36が支持されている。転写ホルダ36には、転写ロールTrが収容されており、転写ロールTrの回転軸37は、両端部が軸受け部材38を介して転写ホルダ36に回転可能に支持されている。なお、実施例1では、被位置決め部の一例としての転写ロールTrの回転軸37の外端は、軸受け部材38よりも左右方向外方に突出した状態で支持されている。
転写スライダ本体22の前面には、前記転写ホルダ36の下方に、転写領域Q4にシートSを案内する媒体案内部材の一例としての転写前ガイド41が形成されており、転写ホルダ36の上方に、転写領域Q4を通過したシートSを定着装置Fに案内する媒体案内部材の一例としての転写後ガイド42が形成されている。
【0032】
図2、図3、図5〜図8において、各ロック爪ホルダ8,9には、被固定部の一例として、左右一対のロック部材46,47が支持されている。ロック部材46,47は、爪受け軸8a,9aに嵌って回転可能に支持される回転中心部46a,47aを有する。回転中心部46a,47aには、前方に延びるアーム部46b,47bが一体的に形成されており、アーム部46b,47bの前端には上方に膨らんだ爪部46c,47cが一体的に形成されている。爪部46c,47cの後面には、被固定面46d,47dが形成され、爪部46c,47cの上面には、前方にいくに連れて下方に傾斜する挿入時案内面46e,47eが形成されている。
【0033】
前記アーム部46b,47bの前端部には、被連動部の一例として、ロック連動突起28,29に対応して形成された前後方向に延びる長孔状の連動長孔46f,47fが形成されている。前記連動長孔46f,47fには、ロック連動突起28,29が嵌っており、ロック部材46,47は転写スライダ21の上下方向の移動に連動して、回転中心部46a,47aを中心として回転可能に支持されている。
図5〜図8において、プリンタ本体U1には、開閉固定部の一例として、ロック部材46,47に対応する位置に左右一対のロック突起48,49が配置されており、図示しない枠体、いわゆるフレームに固定支持されている。したがって、ロック部材46,47は、回転中心部46a,47aを中心とした回転によって、ロック突起48,49に接触、離間可能となっており、接触時に、爪部46d,47dが掛かって後カバーU1bがプリンタ本体U1の後面を閉塞した状態で保持、いわゆるロックされる。
【0034】
図7、図8において、プリンタ本体U1には、感光体PRや帯電ロールCR、感光体クリーナCL等を支持する枠体の一例としてのプロセスフレーム51が支持されている。前記プロセスフレーム51には、位置決め部の一例として、感光体PRの回転軸PR1の後方に延びる転写位置決め部52が一体的に形成されている。前記転写位置決め部52は、第1の位置決め部の一例として、転写ロールTrの回転軸37の上方で後方に延びる上位置決め部52aを有する。上位置決め部52aの後端には、第2の位置決め部の一例として、下方に延びる爪状の後位置決め部52bが一体的に形成されている。
【0035】
前記上位置決め部52aの下面には、移動方向位置決め部の一例として、転写ロールTrの回転軸37の上側の外周面に接触して上下方向、すなわち、転写スライダ21の移動方向の位置決めをする上位置決め面52cが形成されている。また、後位置決め部52bの左面には、対向方向位置決め部の一例として、転写ロールTrの回転軸37の後側の外周面に接触して左右方向、すなわち、転写ロールTrと感光体PRとが対向する対向方向の感光体PRとは反対側の位置決めをする後位置決め面52dが形成されている。
前記後位置決め部52bの後側下面には、挿入時案内部の一例として、後方にいくに連れて上方に傾斜する転写ガイド面52eが形成されている。
【0036】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1のプリンタUでは、シート搬送路SHで詰まったシートSを除去等するために、作業者が後カバーU1bを開放する場合、操作開口11を通過した指で操作凹部16bが下方に押されると、ハンドル16は、各ガイド12,13a,14aにガイドされて下降し、図5、図7に示す接触可能位置から図6、図8に示す解除位置に移動する。
【0037】
ハンドル16の下降に伴って、ハンドル16のスライド連動突起16dに転写スライダ21が押される。したがって、転写スライダ21は、コイルバネ34の弾性力に抗して、各ガイド溝3a,4a,6a,7aに各ガイド突起31,32がガイドされて、下方向に移動する。よって、転写スライダ21は、図5、図7に示す位置決め位置から図6、図8に示す離脱位置に移動する。これに伴って、転写スライダ21に支持された転写ロールTrも一体的に下方に移動して、図6、図8に示すように、転写ロールTrの回転軸37と転写位置決め部52との接触が解除される。
【0038】
また、転写スライダ21の下降に伴って、転写スライダ21のロック連動突起28,29が下方に移動し、嵌り合う連動長孔46f,47fを介して、ロック部材46,47が下方に回転する。したがって、ロック部材46,47が、ロック突起48,49に掛かった図5、図7に示す開閉固定位置から、ロック突起48,49から離れた図6、図8に示す固定解除位置に移動する。よって、実施例1では、ロック部材46,47は、転写スライダ21を介して、ハンドル16の操作に連動して移動する。
前記ロック部材46,47によるロックが解除されると、後カバーU1bは開閉可能な状態となり、図1の実線で示す閉塞位置から、図1の破線で示す開放位置に向けて移動可能となる。そして、後カバーU1bが開放位置に移動すると、プリンタ本体U1内部が開放されシート搬送路SHに詰まったシートSを除去したり、損耗した部品を交換したり、清掃、点検したり等することが可能となる。
【0039】
前記ハンドル16が解除位置に移動した後、作業者がハンドル16から指を離すと、コイルバネ34の弾性復元力が作用して、転写スライダ21が離脱位置から位置決め位置に戻る。これに伴って、転写スライダ21にスライド連動突起16dが押されてハンドル16も解除位置から接触可能位置に戻ると共に、ロック部材46,47も固定解除位置から開閉固定位置に戻る。
すなわち、実施例1の後カバーU1bでは、後カバーU1bが開放位置に向けて移動する際に、転写ロールTrは、後カバーU1bの開閉方向とは交わる移動方向である下方に移動した後に、上方に戻るような移動をする。
【0040】
開放位置に移動した後カバーU1bを閉塞位置に戻す場合、作業者がハンドル16を下方に押した状態のまま、後カバーU1bを閉塞位置に戻すと、図6、図8に示す状態となり、作業者が指を離すと、図5、図7に示す状態に戻る。このとき、転写ロールTrの回転軸37が転写位置決め部52に位置決めされる。実施例1では、転写位置決め部材52がプリンタ本体U1に固定された構成となっており、回転する位置決め部材を有する構成に比べて、位置精度が高い構成となっている。よって、感光体PRと転写ロールTrとが精度良く位置決めされ、転写不良や画質低下等の発生が低減されている。
また、実施例1では、転写位置決め部材52が感光体PRを保持するプロセスフレーム51に一体的に支持されており、別体に構成する場合に比べて、部品の累積誤差等が少なく、開閉される後カバーU1bに支持された転写ロールTrと感光体PRとの位置の精度が高まる。
【0041】
さらに、実施例1では、転写ロールTrの回転軸37は、上位置決め面52cと後位置決め面52dとに接触して位置決めされており、2つの方向から位置決めされている。したがって、一方向のみで位置決めされる場合に比べて、位置精度が向上している。特に、転写ロールTrの感光体PRの反対側、すなわち、弾性変形する転写ロールTrの弾性復元で感光体PRから離れる方向である後側が、後位置決め面52dで位置決めされており、後位置決め面52dで位置決めされない場合に比べて、より高精度に位置決めされる。
また、実施例1では、下ガイド溝3a、4aと下ガイド突起32との間に遊びが設けられており、転写スライダ21が昇降する際に、引っ掛かり等が発生しても、上ガイド突起31側を中心に微動、回転することが可能となっており、遊びが設けられていない場合に比べて、操作を安定して、容易に行うことが可能となっており、転写ロールTrが転写位置決め部52に掛かりやすくなっている。
【0042】
そして、下ガイド突起32は、コイルバネ34で斜め上方に引っ張られており、後カバーU1bが閉塞位置に移動した状態では、ガタつきが抑制され、安定した位置に保持される。このとき、コイルバネ34の弾性力で、転写スライダ21は、上ガイド突起31を中心として回転する方向の力の成分が作用し、転写ロールTrが感光体PRに押しつける方向の力を作用させる。したがって、感光体PRと転写ロールTrとが確実に接触され、位置精度が向上している。
【0043】
また、実施例1では、転写ロールTrを感光体PRに押しつけるバネ等の付勢部材が設けられていない。転写ロールTrを感光体PRに押しつける場合、バネの受けを後カバーU1b側に配置する従来の構成では、転写ロールTrと感光体PRが接触した状態で、バネの反力が後カバーU1bに作用し、後カバーU1bの剛性を高める必要があり、カバーが高費用化、大型化していた。これに対して、実施例1では、転写ロールTrを感光体PRに押しつけるバネのように、転写ロールTrと感光体PRとが接触した状態で、後カバーU1bがプリンタ本体U1側から反力を受ける部材が設けられておらず、また、感光体PRに押しつけられて弾性変形して反力を発生させる転写ロールTrは回転軸37がプリンタ本体U1側の転写位置決め部52で受けられており、反力は後カバーU1bではなく、プリンタ本体U1側で受けている。したがって、閉塞位置において、後カバーU1bに力を作用する力が、従来の構成に比べて少なくなっており、後カバーU1bの剛性を、従来の構成に比べて抑えることが可能となり、小型化、低費用化が図られている。
【0044】
なお、開放位置に移動した後カバーU1bを閉塞位置に戻す場合、作業者がハンドル16から指を離した状態で、後カバーU1bを閉塞位置に戻すと、コイルバネ34の弾性力で転写スライダ21、ハンドル16、ロック部材46,47が図5、図7に示す状態となったまま、後カバーU1bが後カバーU1bを開放位置から閉塞位置に向けて回転する。このとき、後カバーU1bの回転に伴って、ロック部材46、47の挿入時案内面46e,47eがロック突起48,49に接触し、挿入時案内面46e,47eがロック突起48,49に接触した状態でさらに後カバーU1bが閉塞位置に向けて押し込まれると、ロック部材46,47が一度固定解除位置側に回転する。そして、挿入時案内面46e,47eがロック突起48,49を通過すると、コイルバネ34の弾性力でロック部材46,47が開閉固定位置に戻り、図5、図7に示す状態となる。
【0045】
このとき、同様に、転写ロールTrの回転軸37も、転写位置決め部材52の転写ガイド面52eに接触して、下方にガイドされ、転写スライダ21が一度離脱位置側に下降した後、転写ロールTrが転写ガイド面52eを通過すると、転写スライダ21がコイルバネ34の弾性力で位置決め位置に戻り、図5、図7に示す状態となる。
すなわち、実施例1の後カバーU1bでは、後カバーU1bが閉塞位置に向けて移動する際にも、転写ロールTrは、後カバーU1bの開閉方向とは交わる移動方向である下方に移動した後に、上方に戻る移動をする。
【実施例2】
【0046】
図9は実施例2の画像形成装置の説明図であり、実施例1の図7に対応する図である。
次に本発明の実施例2の説明をするが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
図9において、実施例2のプリンタUでは、転写ホルダ36に固定支持された実施例1の軸受け部材38に替えて、軸受け部材38が、転写付勢部材の一例として、転写ロールTrを感光体PR側に付勢する転写押圧バネ61を介して左右方向に移動可能な状態で、付勢支持体の一例としての転写ホルダ36に支持されている。また、実施例2の転写位置決め部52′は、転写ロールTrの回転軸37ではなく、転写押圧バネ61の後方の転写ホルダ36の後面に接触して位置決めをしている。
【0047】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2のプリンタUでは、転写スライダ21が図9に示す位置決め位置に移動した状態では、転写位置決め部52′が転写押圧バネ61に対応する位置に接触して位置決めしている。したがって、転写押圧バネ61が転写ホルダ36を後方に押す力を作用させても、プリンタ本体U1の転写位置決め部52′が受けており、カバー本体1に直接作用しない。よって、転写ロールTrが感光体PRに接触した状態において、後カバーU1bの剛性を必要以上に高めることが不要となり、小型化、低費用化を図ることが可能となっている。
なお、実施例2の後カバーU1bも実施例1の後カバーU1bと同様に動作するため、詳細な説明は省略する。
【実施例3】
【0048】
図10は実施例3の画像形成装置の説明図であり、実施例1の図1に対応する図である。
次に本発明の実施例3の説明をするが、この実施例3の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
図10において、実施例3のプリンタUでは、排出ロールR1から後方に延び、転写ロールTrの後側を下方に延び、レジロールRrに接続される反転路SH2が設けられている。したがって、両面印刷が実行される場合、一面目に画像が記録されたシートSの搬送方向後端が排出ロールR1に差し掛かると、排出ロールR1が逆回転して、シートSは、切替部材の一例としてのゲートGT1に案内されて反転路SH2に搬送される。反転路SH2を搬送されたシートSは、レジロールRrに搬送され、表裏が反転した状態で、転写領域Q4に搬送されて、二面目に画像が記録される。
【0049】
図11は実施例3の後カバーの内側カバーの斜視図であり、実施例1の図2に対応する図である。
図12は実施例3の内側カバーの後方から見た斜視図である。
図10において、実施例3の後カバーU1b′は、内側カバーU2と、外側カバーU3とを有する。
図11、図12において、前記内側カバーU2は、上下方向に延びる板状の内側本体の一例としての内側カバー本体101を有し、内側カバー本体101の下端には、プリンタ本体U1に回転可能に支持される左右一対の内側軸部102が形成されている。内側カバー本体101の前面には、実施例1と同様の下ホルダ3,4、上ホルダ6,7が形成されている。また、内側カバー本体101の前面には、実施例1と同様の転写スライダ21が上下方向に移動可能に支持されている。
【0050】
実施例3の転写スライダ21には、実施例1のロック連動突起28,29に替えて、ロック連動突起28,29と同様に形成された連動支持部材の一例として、連動支持突起28′,29′が設けられている。そして、実施例3では、実施例1のロック部材46,47に替えて、内側連動部材の一例としての内側連動フック103,104が、連動支持突起28′,29′に固定支持されている。前記内側連動フック103,104は、連動支持突起28′,29′から上方に延びた後、後方に延びる内側フック本体103a,104aと、内側フック本体103a,104aの後端から上方に突出する内側爪部103b,104bとを有する。前記内側爪部103b,104bの上面には、後方にいくに連れて下方に傾斜する内側案内面103c,104cが形成されている。
【0051】
図12において、内側カバーU2の後面には、反転路SH2の前側の案内面を構成する前側の反転ガイド面106が形成されている。前記反転ガイド面106の上下方向中央部には、左右一対の開口106aが形成されており、開口106a内には、反転従動部材の一例としての反転従動ローラ107が回転可能に支持されている。
内側カバーU2の後面の左右両端部には、軸支持部の一例として、後方に突出する軸支持フランジ108,109が支持されている。前記軸支持フランジ108,109の間には、左右方向に延びる反転駆動軸111が回転可能に支持されており、反転駆動軸111には、反転従動ローラ107に対向、接触して、反転駆動部材の一例としての反転駆動ローラ112が支持されている。左側の軸支持フランジ109の左面には、駆動伝達部材の一例として、反転駆動軸111に駆動を伝達するための反転駆動ギア113が支持されている。なお、反転駆動ギア113には、プリンタ本体U1の図示しない駆動源から駆動が伝達される。
したがって、反転従動ローラ107および反転駆動ローラ112により、実施例3の反転路用の搬送ローラ107+112が構成されており、反転路SH2に搬送されたシートSは、搬送ローラ107+112によりレジロールRrに向けて搬送される。
【0052】
軸支持フランジ108,109の下方には、起立接触部材の一例として、後方に突出する起立突起116,117が形成されている。
図10〜図12において、前記起立突起116,117の下方には、下端案内部材の一例として、左右方向に延び且つ、内側カバー本体101の下端を後面から前面側に回り込むように湾曲して、反転路SH2を搬送されるシートSをガイドする下端ガイド118が内側カバー本体101に形成されている。
また、内側カバー本体101の前面下部には、前記下端ガイド118の上方に対向して、反転路SH2の下流端の案内部材の一例として、最下流ガイド119が形成されている。
【0053】
図13は実施例3の外側カバーの斜視図である。
図14は実施例3の外側カバーの分解説明図である。
図10、図13、図14において、実施例3の外側カバーU3は、上下方向に延びる板状の外側本体の一例としての外側カバー本体121を有する。外側カバー本体121の下端には、プリンタ本体U1に回転可能に支持される左右一対の外側軸部122が形成されている。
図13、図14において、実施例3の外側カバーU3には、実施例1の後カバーU1bの操作開口11と同様の操作開口11が形成されている。
【0054】
図13、図14において、外側カバー本体121の前面には、前側の反転ガイド面106に対向して配置され、反転路SH2の後側の案内面を構成する後側の反転ガイド面123が形成されている。したがって、反転ガイド面106,123により挟まれた空間により、実施例3の反転路SH2が構成されている。
反転ガイド面123の下方の左右両側には、起立被接触部の一例として、起立突起116,117が接触可能に形成された前方に突出する起立ガイド126,127が形成されている。前記起立ガイド126,127は、上下方向中央部が前方に凸状に膨らんだ形状に形成されている。
【0055】
外側カバー本体121の上端部には、操作収容部の一例として、反転ガイド面123の後方に凹部状のハンドル収容部128が形成されている。図14に示すように、実施例3のハンドル収容部128の左右両端は、上下左右方向が開放された開放部128aが形成されている。
前記ハンドル収容部128には、操作部の一例として、左右方向に延びる角柱状のハンドル16′が、上下方向に移動可能な状態で収容されている。すなわち、ハンドル16′の上下方向の長さは、ハンドル収容部128の上下方向の深さよりも短く形成されている。図13、図14において、実施例3のハンドル16′には、実施例1のハンドル16と同様の操作凹部16bが形成されている。また、ハンドル16′の左右両端部には、被固定部の一例として、上方に突出するロック突起16fが左右一対形成されている。前記ロック突起16fは、プリンタ本体U1の上側の外装部材に形成されている図示しない凹みに嵌ることが可能に構成されており、ロック突起16fが嵌ることで、外側カバーU1cがプリンタ本体U1に対して閉塞位置に保持される。図14において、実施例3のハンドル16′の下面と、ハンドル収容部128との間には、操作付勢部材の一例として、ハンドル16′を上方に付勢するコイルバネ129が配置されている。
【0056】
外側カバー本体121の反転ガイド面123の左右両側には、連動保持部の一例として、開放部128aの下方に、実施例1のハンドル保持リブ13,14と同様に構成されたフック保持リブ13′,14′が形成されている。フック保持リブ13′,14′には、実施例1のハンドル横ガイド13a,14aと同様に構成された上下方向に延びる長孔状のフック横ガイド13a′,14a′が形成されている。
図13、図14において、ハンドル横ガイド13a,14aには、外側連動部材の一例としての外側連動フック131,132が支持されている。前記外側連動フック131,132の上端部には、連結部の一例として、開放部128aに進入してハンドル16′の左右両端部にネジ止めされるハンドル固定部131a,132aが形成されている。
【0057】
前記ハンドル固定部131a,132aの下部には、被案内部の一例として、フック横ガイド13a′,14a′に嵌った状態で上下方向に移動可能に支持される被ガイド突起131b,132bが形成されている。したがって、実施例3では、ハンドル16′は、固定、連結されている外側連動フック131,132の被ガイド突起131b,132bにより、フック横ガイド13a′,14a′に沿って上下方向に移動可能に支持されている。
外側連動フック131,132の前端部には、内側連動フック103,104に対応して、下方に突出する外側爪部131c,132cが形成されている。
前記内側カバーU2および外側カバーU3により、実施例3の開閉部材としての後カバーU1b′が構成されている。
【0058】
(実施例3の作用)
図15は実施例1の図7に対応する実施例3の後カバーの開閉の説明図であり、後カバーが閉塞位置に移動した状態の説明図である。
図16は実施例1の図8に対応する実施例3の後カバーの開閉の説明図であり、ハンドルが押された状態の説明図である。
図17は図16に示す状態から後カバーを開放位置に向けて回転させた状態の説明図である。
図18は図17に示す状態からハンドルが接触可能位置側に移動した状態の説明図である。
図19は図18に示す状態からハンドルがさらに接触可能位置側に移動した状態の説明図である。
図20は後カバーが開放位置に移動した状態の説明図である。
【0059】
前記構成を備えた実施例3のプリンタUでは、シート搬送路SHまたは反転路SH2で紙詰まり等が発生してプリンタU内部を開放するために、作業者がハンドル16′の操作凹部16bを、コイルバネ129に抗して下に押すと、ハンドル16′が、図15に示す接触可能位置から図16に示す解除位置に向けて下降する。ハンドル16′が下降すると、ロック突起16fと図示しない凹みとのロックが解除されて、外側カバーU3が回転可能になると共に、外側連動フック131,132が一体的に下降して、噛み合う内側連動フック103,104を下方に押す。したがって、転写スライダ21は、コイルバネ34の弾性力に抗して、図15に示す位置決め位置から図16に示す離脱位置に向けて移動する。したがって、実施例3の被固定部の一例としての回転軸37が下降して、実施例3の開閉固定部の一例としての転写位置決め部52から離脱する。よって、内側カバーU2を図15,図16に示す閉塞位置に保持するロックが解除される。
【0060】
図16、図17において、ロックが解除された状態から外側カバーU3を開放位置に向けて回転させると、連動フック103,104,131,132の噛み合いで、内側カバーU2も開放位置に向けて、一体的に回転を開始する。
図17に示すように、回転軸37が転写位置決め部52よりも外側に移動した状態において、ハンドル16′の押し下げが解除されると、コイルバネ34,129の弾性復元力で、ハンドル16′および転写スライダ21がそれぞれ接触可能位置および位置決め位置に向けて移動する。このとき、図17〜図19に示すように、内側カバーU2の内側軸部102と外側カバーU3の外側軸部122との位置のズレに応じて、内側連動フック103,104と外側連動フック131,132とが外れる。したがって、内側カバーU2と外側カバーU3とは、各軸部102,122を中心として、独立して回転可能な状態となる。
【0061】
したがって、実施例3でも、後カバーU1b′が開放位置に向けて移動する際に、転写ロールTrは、後カバーU1bの開閉方向とは交わる移動方向である下方に移動した後に、上方に戻る移動をする。
図19に示す状態から外側カバーU3を開放位置に向けて回転すると、内側カバーU2の自重と、内側カバーU2の起立突起116,117と外側カバーU3の起立ガイド126,127との接触により、内側カバーU2も外側カバーU3と共に、開放位置に向けて連動して回転する。
【0062】
図20において、各カバーU2,U3が図20に示す開放位置に移動すると、外側カバーU3の外面が水平面に沿った状態となり、内側カバーU2は、起立突起116,117と起立ガイド126,127との接触で、外側カバーU3から浮いた状態で保持される。よって、内側カバーU2と外側カバーU3との間に隙間が発生しており、隙間に作業者が手を入れやすく、カバーU2,U3間に隙間が発生しない構成に比べて、内側カバーU2のみを掴んで回転させることが容易になっている。
【0063】
したがって、図20に示す状態では、シート搬送路SHが開放され、シート搬送路SHに詰まったシートSを除去したり、プリンタ本体U1内部の部品の交換等が可能となっている。
反転路SH2に詰まったシートSを除去する場合、図20に示す状態から、内側カバーU2のみを掴んで、閉塞位置に向けて移動させることで、反転路SH2を開放することが可能となっている。このとき、内側カバーU2のみを閉塞位置に向けて移動させた場合、実施例1と同様に、転写位置決め部材52の転写ガイド面52eと転写ロールTrの回転軸37との接触で、転写スライダ21が一度離脱位置側に下降した後、コイルバネ34の弾性力で位置決め位置に保持することが可能となっている。すなわち、内側カバーU2が図15に示す閉塞位置に保持され、外側カバーU3が図20に示す開放位置に移動しており、反転路SH2が開放された状態で保持され、シートSの除去等が容易に実行可能となる。
【0064】
また、反転路SH2が開放された状態から、外側カバーU3を閉塞位置に戻す場合、外側カバーU3の外側連動フック131,132と、内側カバーU2の内側連動フック103,104の内側案内面103c,104cとが接触して、転写スライダ21が一度離脱位置側に下降した後、コイルバネ34の弾性力で位置決め位置に戻り、外側連動フック131,132と内側連動フック103,104とが噛み合って、外側カバーU3が内側カバーU2に保持され、結果として、後カバーU1b′が閉塞位置に移動する。
【0065】
なお、図20に示す状態から後カバーU1b′を閉塞位置に移動させる場合、外側カバーU3を操作して、閉塞位置に向けて回転させることで、内側カバーU2は、起立突起116,117と起立ガイド126,127との接触で、外側カバーU3と連動して閉塞位置に向けて回転し、連動フック103,104,131,132どうしの噛み合いと、転写位置決め部材52と転写ロールTrの回転軸37との掛かりで閉塞位置に保持される。
後カバーU1b′が閉塞位置に移動すると、実施例1と同様に、転写ロールTrの回転軸37が転写位置決め部52で位置決めされており、実施例1と同様の作用を有する。すなわち、実施例3でも、後カバーU1b′が閉塞位置に向けて移動する際に、転写ロールTrは、後カバーU1bの開閉方向とは交わる移動方向である下方に移動した後に、上方に戻る移動をする。
【0066】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H07)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置の一例としてのプリンタを例示したが、これに限定されず、例えば、複写機、FAX、あるいはこれらの複数または全ての機能を有する複合機等により構成することも可能である。
(H02)前記実施例において、前記プリンタUは、単色の現像剤が使用される構成を例示したが、これに限定されず、例えば、2色以上の多色の画像形成装置にも適用可能である。
【0067】
(H03)前記実施例において、転写位置決め部52の形状は、実施例に例示した形状に限定されず、任意の形状とすることが可能である。例えば、転写ロールTrの上方を通過する上位置決め部52aに替えて、転写ロールTrの下方を通過する構成等、設計に応じて適宜変更可能である。したがって、転写スライダ21の移動方向も、開閉される際に、転写位置決め部52に対して下方に移動した後に上方に移動する構成に限定されず、上方に移動した後に下方に移動する構成とすることも可能である。
(H04)前記実施例において、転写位置決め部52はプロセスフレーム51に一体的に形成することが望ましいが、これに限定されず、画像形成装置本体に固定支持された任意の構成とすることが可能である。
【0068】
(H05)前記実施例において、感光体PRと転写ロールTrの位置決めに使用する構成を例示したが、この構成に限定されず、例えば、画像形成装置本体に支持された駆動ローラと、カバーに支持された従動ローラとを位置決めする構成に適用可能である。また、像保持体の一例として、ドラム状の感光体PRと転写ロールTrとの位置決めに使用する構成を例示したが、この構成に限定されず、無端帯状、すなわちベルト状の像保持体と、ローラとの位置決めに使用することも可能である。例えば、多色の画像形成装置において、像保持体の一例としての中間転写ベルトと、転写部材の一例としての二次転写ロールとの位置決めに使用することも可能である。
【0069】
(H06)前記実施例において、上位置決め面52cと後位置決め面52dの2カ所で位置決めする構成を例示しており、2カ所以上で位置決めする構成が望ましいが、1カ所のみとすることが可能である。例えば、上位置決め面52cが接触せず、後位置決め面52dのみが転写ロールTrの回転軸37に接触する構成とすることも可能である。
(H07)前記実施例において、後位置決め面52dは、上下方向に沿って形成する構成を例示したが、この構成に限定されず、任意の方向にすることが可能であるが、感光体PRと転写ロールの中心を結ぶ線に垂直な方向とすることが望ましい。
【符号の説明】
【0070】
16,16′…操作部、
21…移動体、
36…付勢支持体、
37…回転軸、
37;36…被位置決め部、
46,47;37…被固定部、
48,49;52…開閉固定部、
51…枠体、
52…位置決め部、
61…付勢部材、
PR…回転部材、像保持体、
Tr…対向部材、転写部材、
U…画像形成装置、
U1…画像形成装置本体、
U1b,U1b′…開閉部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体の内部を開放する開放位置と、前記画像形成装置本体の内部を閉塞する閉塞位置との間で、回転中心を中心として移動可能に支持された開閉部材と、
前記画像形成装置本体に設けられた位置決め部と、
前記開閉部材に支持され、且つ、前記開閉部材が閉塞位置に移動した状態において、前記位置決め部に接触して位置決めされる被位置決め部と、
表面に像を保持する像保持体により構成され、画像形成装置本体に支持された回転部材と、
前記像保持体に接触して回転し、前記像保持体表面の像を媒体に転写する転写部材により構成された対向部材であって、前記開閉部材に支持され、且つ、前記開閉部材が閉塞位置に移動する際に、前記開閉部材の開閉方向とは交わる方向である前記開閉部材の回転中心に接近または離間する方向に移動し、前記開閉部材が閉塞位置に移動した状態において、前記回転部材に対向して回転可能な前記対向部材と、
前記開閉部材が前記閉塞位置に移動する際に、前記対向部材を前記回転中心に接近または離間する方向に案内する案内部と、
を備え、
前記開閉部材が閉塞位置に移動した場合において、前記像保持体から像が転写可能な位置に、前記転写部材が位置決めされることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記対向部材の回転軸に支持された前記被位置決め部、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記開閉部材に、前記対向部材を前記回転中心に接近または離間する方向に案内する開閉部材側の案内部と、前記開閉部材側の案内部に沿って前記対向部材を前記回転中心から離間する方向に付勢する付勢部材と、を備え、
前記画像形成装置本体に、前記対向部材を前記回転中心に接近または離間する方向に案内する本体側の案内部を備え、
前記開閉部材が前記閉塞位置に移動する際に、前記対向部材に設けられた被案内部が前記本体側の案内部に接触して案内されることで、前記付勢部材の付勢力に抗して前記対向部材が前記開閉部材側の案内部に沿って移動し、前記開閉部材が閉塞位置に移動した場合において、前記被位置決め部が前記位置決め部に接触して位置決めされることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項1】
画像形成装置本体の内部を開放する開放位置と、前記画像形成装置本体の内部を閉塞する閉塞位置との間で、回転中心を中心として移動可能に支持された開閉部材と、
前記画像形成装置本体に設けられた位置決め部と、
前記開閉部材に支持され、且つ、前記開閉部材が閉塞位置に移動した状態において、前記位置決め部に接触して位置決めされる被位置決め部と、
表面に像を保持する像保持体により構成され、画像形成装置本体に支持された回転部材と、
前記像保持体に接触して回転し、前記像保持体表面の像を媒体に転写する転写部材により構成された対向部材であって、前記開閉部材に支持され、且つ、前記開閉部材が閉塞位置に移動する際に、前記開閉部材の開閉方向とは交わる方向である前記開閉部材の回転中心に接近または離間する方向に移動し、前記開閉部材が閉塞位置に移動した状態において、前記回転部材に対向して回転可能な前記対向部材と、
前記開閉部材が前記閉塞位置に移動する際に、前記対向部材を前記回転中心に接近または離間する方向に案内する案内部と、
を備え、
前記開閉部材が閉塞位置に移動した場合において、前記像保持体から像が転写可能な位置に、前記転写部材が位置決めされることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記対向部材の回転軸に支持された前記被位置決め部、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記開閉部材に、前記対向部材を前記回転中心に接近または離間する方向に案内する開閉部材側の案内部と、前記開閉部材側の案内部に沿って前記対向部材を前記回転中心から離間する方向に付勢する付勢部材と、を備え、
前記画像形成装置本体に、前記対向部材を前記回転中心に接近または離間する方向に案内する本体側の案内部を備え、
前記開閉部材が前記閉塞位置に移動する際に、前記対向部材に設けられた被案内部が前記本体側の案内部に接触して案内されることで、前記付勢部材の付勢力に抗して前記対向部材が前記開閉部材側の案内部に沿って移動し、前記開閉部材が閉塞位置に移動した場合において、前記被位置決め部が前記位置決め部に接触して位置決めされることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−168570(P2012−168570A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−135476(P2012−135476)
【出願日】平成24年6月15日(2012.6.15)
【分割の表示】特願2009−111916(P2009−111916)の分割
【原出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月15日(2012.6.15)
【分割の表示】特願2009−111916(P2009−111916)の分割
【原出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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