画像形成装置
【課題】トナーが満載状態から空になるまで逐次トナーの残量を検知でき、かつ高速で攪拌部材が動作しているときでも、トナーの残量を精度良く検知すること。
【解決手段】トナーを収納する着脱可能な現像ユニットと、被検知電極361を有し回転軸29を中心に周回動作する検知マイラ351と、被検知電極362を有し回転軸29に検知マイラ351と90度をなすように設けられた検知マイラ352と、現像ユニットの外装に配設された静電容量センサ電極321と、被検知電極361と静電容量センサ電極321との間又は被検知電極362と静電容量センサ電極321との間の静電容量を検知し、検知した静電容量に関する情報を出力する静電容量センサIC33と、静電容量センサIC33により検知マイラ351を検知した時間と静電容量センサIC33により検知マイラ352を検知した時間との差に基づきトナーの量を判断するCPU40とを備える。
【解決手段】トナーを収納する着脱可能な現像ユニットと、被検知電極361を有し回転軸29を中心に周回動作する検知マイラ351と、被検知電極362を有し回転軸29に検知マイラ351と90度をなすように設けられた検知マイラ352と、現像ユニットの外装に配設された静電容量センサ電極321と、被検知電極361と静電容量センサ電極321との間又は被検知電極362と静電容量センサ電極321との間の静電容量を検知し、検知した静電容量に関する情報を出力する静電容量センサIC33と、静電容量センサIC33により検知マイラ351を検知した時間と静電容量センサIC33により検知マイラ352を検知した時間との差に基づきトナーの量を判断するCPU40とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタ、複写機、ファクシミリなどの電子写真方式の画像形成装置における現像剤であるトナーの残量検知に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置において、現像ユニット内のトナーの量を検知する装置には、透磁率センサを用いたものがある。透磁率センサを用いたトナーの量を検知する装置の一例として、例えば特許文献1がある。特許文献1では、トナーの攪拌によって回転方向の後側に変形する可撓性のある第1の攪拌羽根と、第1の攪拌羽根の回転方向の後側に配置された剛性のある第2の攪拌羽根と、現像ユニットの底部外側に配置された透磁率センサを用いたトナー量検知装置が開示されている。この装置は、それぞれの攪拌羽根に配置されている金属材料の回転動作の状態を現像ユニットの底部外側に配置された透磁率センサで検知している。また、この装置は、現像ユニット内のトナーの量が多い場合は、第1の攪拌羽根と第2の攪拌羽根が一体的に回転動作を行い、現像ユニット内のトナーの量が少ない場合は、第1の攪拌羽根と第2の攪拌羽根が変形することなく分離して回転動作を行うように構成されている。このとき、透磁率センサを用いて検知すると、回転軸の1回転あたりの透磁率の変化は、現像ユニット内のトナーの量が多い場合は1回、現像ユニット内のトナーの量が少ない場合は2回検知する。トナー量検知装置は、この検知回数の変化に基づいて、現像ユニット内のトナーの量の検知を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−132036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1では以下のような課題を含んでいる。トナーの量が多い場合、第1と第2の攪拌羽根が一体的に回転動作を行うため、透磁率センサで検知される信号は、回転軸の1回転当たり1回の透磁率の変化となる。一方、トナーの量が少ない場合、第1の攪拌羽根はほとんど変形せず、第1と第2の攪拌羽根は一体的に回転動作を行うことがない。このとき、透磁率センサで検知される信号は、回転軸の1回転あたり2回の透磁率の変化となる。このように、透磁率センサが検知した磁界変化の回数(1回又は2回)によって、トナーの量の多少又は有無の択一的な検知を行っている。このため、トナーの量の変化を逐次検知することは困難である。
【0005】
本発明はこのような状況のもとでなされたもので、トナーが満載状態から空になるまで逐次トナーの残量を検知でき、かつ高速で攪拌部材が動作しているときでも、トナーの残量を精度良く検知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために以下の構成を有する。
【0007】
(1)現像剤を収納する着脱可能な現像ユニットと、第一電極を有し、前記現像ユニット内の回転軸を中心に周回動作する第一部材と、第二電極を有し、前記第一部材の回転軸に前記第一部材と所定の角度をなすように設けられた第二部材と、前記現像ユニットの外装に配設された第三電極と、前記第一電極と前記第三電極との間又は前記第二電極と前記第三電極との間の静電容量を検知し、検知した静電容量に関する情報を出力する出力手段と、前記出力手段により出力された前記情報に基づいて、前記現像ユニット内の現像剤の量を判断する判断手段と、を備え、前記判断手段は、前記出力手段が前記第一電極と前記第三電極との間の静電容量を検知した時間と、前記出力手段が前記第二電極と前記第三電極との間の静電容量を検知した時間との差に基づき現像剤の量を判断することを特徴とする画像形成装置。
【0008】
(2)現像剤を収納する着脱可能な現像ユニットと、第一電極を有し、前記現像ユニット内の回転軸を中心に周回動作する第一部材と、第二電極を有し、前記第一部材の回転軸に前記第一部材と所定の角度をなすように設けられた第二部材と、前記現像ユニットの外装に配設された第三電極と、前記第一電極と前記第三電極との間又は前記第二電極と前記第三電極との間の静電容量を検知し、検知した静電容量に関する情報を出力する出力手段と、前記出力手段により出力された前記情報に基づいて、前記現像ユニット内の現像剤の量を判断する判断手段と、を備え、前記判断手段は、前記出力手段が出力した前記第一電極と前記第三電極との間の静電容量に関する情報と、前記出力手段が出力した前記第二電極と前記第三電極との間の静電容量に関する情報と、の差に基づき現像剤の量を判断することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、トナーが満載状態から空になるまで逐次トナーの残量を検知でき、かつ高速で攪拌部材が動作しているときでも、トナーの残量を精度良く検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1〜4のカラーレーザプリンタの構成を示す概略図
【図2】実施例1、3の現像ユニット及び静電容量センサ基板の断面図
【図3】実施例1〜4のトナー残量検知の回路図
【図4】実施例1の現像ユニット及び静電容量センサ基板の断面図
【図5】実施例1、2のトナー残量検知の特性グラフ、波形及びテーブルT
【図6(a)】実施例1、2のトナー残量検知のフローチャート
【図6(b)】実施例1、2のトナー残量検知のフローチャート
【図7】実施例2、4の現像ユニット及び静電容量センサ基板の断面図
【図8】実施例3、4のトナー残量検知の特性グラフ、波形及びテーブルN
【図9(a)】実施例3、4のトナー残量検知のフローチャート
【図9(b)】実施例3、4のトナー残量検知のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。尚、以下の実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施例で説明されている特長の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【実施例1】
【0012】
[画像形成装置の構成]
図1は本実施例の構成であるカラーレーザプリンタの概略図である。図1に示すカラーレーザプリンタ(以下、本体と称す)は、本体101に対して着脱可能なプロセスカートリッジ5Y、5M、5C、5Kを備えている。これら4個のプロセスカートリッジ5Y、5M、5C、5Kは、同一構造であるものの、異なる色、すなわち、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー(現像剤)による画像を形成する点で相違している。以下、特定の色の説明をする場合を除きY、M、C、Kの符号を省略する。プロセスカートリッジ5は、現像ユニットと画像形成ユニットと廃トナーユニットの3つの構成で成り立つ。現像ユニットは、現像ローラ3、トナー補給ローラ12、トナー容器23、攪拌マイラ34を有している。尚、図1のトナー容器23内の詳細な説明は後述する。また、画像形成ユニットは、像担持体である感光ドラム1、帯電ローラ2を有している。廃トナーユニットは、クリーニングブレード4、廃トナー回収容器24を有している。
【0013】
プロセスカートリッジ5の下方にはレーザユニット7が配置され、画像信号に基づく露光を感光ドラム1に対して行う。感光ドラム1は、帯電ローラ2によって所定の負極性の電位に帯電された後、レーザユニット7によってそれぞれ静電潜像が形成される。この静電潜像は現像ローラ3によって負極性のトナーが付着されて反転現像され、それぞれY、M、C、Kのトナー像が形成される。中間転写ベルトユニットは、中間転写ベルト8、駆動ローラ9、二次転写対向ローラ10から構成されている。また、各感光ドラム1に対向して、中間転写ベルト8の内側に一次転写ローラ6が配設されており、バイアス印加手段(不図示)により転写バイアスが一次転写ローラ6に印加される。
【0014】
感光ドラム1上に形成されたトナー像は、各感光ドラム1の矢印方向に回転し、中間転写ベルト8は矢印A方向に回転する。更にバイアス印加装置(不図示)により一次転写ローラ6に正極性のバイアスを印加することにより、感光ドラム1Y上のトナー像から順次、中間転写ベルト8上に一次転写され、4色のトナー像が重なった状態で二次転写ローラ11まで搬送される。給搬送装置は、転写材Pを収納する給紙カセット13内から転写材Pを給紙する給紙ローラ14と、給紙された転写材Pを搬送する搬送ローラ対15とを有している。そして、給搬送装置から搬送された転写材Pはレジストローラ対16によって二次転写ローラ11に搬送される。
【0015】
中間転写ベルト8から転写材Pへのトナー像の転写は、二次転写ローラ11に正極性のバイアスを印加することにより、中間転写ベルト8上の4色のトナー像が搬送された転写材Pに二次転写される。トナー像転写後の転写材Pは、定着装置17に搬送され、定着フィルム18と加圧ローラ19とによって加熱、加圧されて表面にトナー像が定着される。定着された転写材Pは排紙ローラ対20によって排出される。
【0016】
一方、トナー像転写後に、感光ドラム1表面に残ったトナーは、クリーニングブレード4によって除去され、除去されたトナーは、廃トナー回収容器24に回収される。また、転写材Pへの二次転写後に中間転写ベルト8上に残ったトナーは、転写ベルトクリーニングブレード21によって除去され、除去されたトナーは廃トナー回収容器22へと回収される。
【0017】
また、制御基板80は本体101の制御を行うための電気回路が搭載されている。制御基板80には1チップマイクロコンピュータ(以後CPUと記す)40、及びテーブルのデータ等が記憶されるRAM、ROM等の記憶部が搭載されている。CPU40は転写材Pの搬送に関る駆動源(不図示)やプロセスカートリッジ5の駆動源(不図示)の制御、画像形成に関する制御、さらには故障検知に関する制御など、本体101の動作を一括して制御する。ビデオコントローラ42は、画像データからレーザユニット7内のレーザの発光を制御する。ビデオコントローラ42は、不図示のコントロールパネルを介してユーザとのインターフェイスも行う。このコントロールパネルには、各色のトナー残量が棒グラフ状に表示される。
【0018】
[現像ユニットの構成]
図2(a)は、プロセスカートリッジ5を構成する現像ユニットと静電容量センサ基板331の断面図である。図2(a)で示しているプロセスカートリッジ5の現像ユニット内には、トナー容器23に各色に対応したトナー28と、トナー容器23内のトナー28を攪拌する攪拌マイラ34とを備える。攪拌マイラ34(攪拌部材)は、トナー容器23内の回転軸29に備えられており、周回回転(周回動作)を行う。回転軸29には、トナー残量を検知するための、可撓性を有する検知マイラ351(第一部材)、検知マイラ352(第二部材)をそれぞれ備えている。検知マイラ352は、検知マイラ351の回転方向90度(所定の角度)後ろ側に配置されている。尚、この角度は90度に限定するものではない。すなわち、検知マイラ351と検知マイラ352を後述する静電容量センサIC33で検知した時間差と、検知マイラ352と検知マイラ351を静電容量センサIC33で検知した時間差とのそれぞれの時間差に、差ができるような角度であればよい。詳細は後述する図6のフローチャートの処理において説明する。また、検知マイラ351と検知マイラ352が接触しない角度であればよい。
【0019】
検知マイラ351、352は、汎用のマイラフィルムを使用している。本実施例では、検知マイラ351と352の厚さを、例えばそれぞれ150μm、75μmとしている。検知マイラ351、352の厚さを変えることで撓み量の差を実現しており、従って、検知マイラ352は、検知マイラ351より撓み量が大きい。尚、例えば検知マイラ352、351の材質を異ならせることにより検知マイラ352の撓み量の方が大きくなるように構成する等、検知マイラ352の撓み量が検知マイラ351の撓み量より大きくなる構成であればよい。また、検知マイラ351、352のそれぞれの周方向(回転軸の方向に直交する方向)の先端付近に、導電性の被検知電極361(第一電極)、被検知電極362(第二電極)をそれぞれ備えている。
【0020】
また、図2(a)で示している静電容量センサ基板331は、以下のものを備える。本体101に備えている静電容量センサ基板331は、静電容量センサIC33(出力手段)と静電容量センサIC33の周辺回路部品(不図示)が搭載されている。本実施例での静電容量センサIC33は、例えば静電容量センサ電極による静電容量と基準電極による静電容量の差分を用いて、静電容量センサ電極による静電容量の変化の検知を行う。静電容量センサ基板331には、銅箔パターンで静電容量センサ電極321(第三電極)と基準電極320が形成されている。現像ユニットの外装の底面は、プロセスカートリッジ5を本体101へ装着した際に、静電容量センサ電極321に近接する。この状態において、検知マイラ351、352に配設された被検知電極361又は362が静電容量センサ電極321に近接することによって生じる静電容量の変化を静電容量センサIC33で検知する。尚、静電容量センサIC33や周辺回路は、静電容量が検知できるものであれば良く、アナログ集積回路でも代用可能である。また、本実施例では、静電容量センサ電極321を本体101に備えている静電容量センサ基板331に成形しているが、現像ユニットの壁面付近にあればよく、例えば現像ユニット壁面に静電容量センサ電極321を直接成形しても良い。その場合、静電容量センサ基板331と静電容量センサ電極321に電気的接点を設けて、プロセスカートリッジ5を本体101へ装着した際に接続すると良い。
【0021】
図2(b)は、検知マイラ351と被検知電極361の位置関係を表す斜視図である。検知マイラ352、被検知電極362についても同様の構成である。被検知電極361、362の周方向(回転軸29に直交する方向)の長さは、30mmである。検知マイラ351、352及び被検知電極361、362の回転軸29の軸方向(長手方向)の長さは、少なくとも静電容量センサIC33の検知面を覆う長さであれば良い。尚、周方向の長さについて、本実施例では、検知マイラ352は検知マイラ351よりも長い構成とする。検知マイラ351の周方向の長さは、トナー容器23の側壁面に接触する程度の長さに設定し、一方検知マイラ352の周方向の長さは、プロセスカートリッジ5の底面に接触する長さに設定する。ただし、検知マイラ351と検知マイラ352は、トナーの攪拌中に夫々のマイラ間で接触しない長さに設定する。攪拌マイラ34は、プロセスカートリッジ5内のトナーを十分に攪拌するような長さに設定する。また、攪拌マイラ34と検知マイラ352は、図2(a)では約180度の角度で配置されており、攪拌マイラ34によるトナーの攪拌後、トナーの状態がある程度安定してから検知マイラ352の検知を行うような構成である。すなわち、攪拌マイラ34によるトナーの攪拌後にトナーがある程度安定した状態で検知マイラ352の被検知電極362の検知が行える配置であればよく、角度を180度に限定するものではない。検知マイラ352は、検知マイラ351の回転方向90度後ろ側に配置され、検知マイラ351より柔らかい部材であるとしたものの、この配置又は材質や厚みに限定されるものではない。
【0022】
[トナー残量検知の回路図]
図3は、本実施例のトナー残量検知の回路図である。バイパスコンデンサ46は、静電容量センサIC33のアナログ電源端子AVDDのノイズを除去するためのものである。また、バイパスコンデンサ47は、静電容量センサIC33のデジタル電源端子DVDDのノイズを除去するためのものである。静電容量センサIC33のSREF端子には基準電極320が接続され、SIN端子には静電容量センサ電極321が接続されている。基準電極320と静電容量センサ電極321は、同じ面積の銅箔パターンである。静電容量センサIC33は、シリアル通信によりCPU40との間でデータの送受信を行う。CPU40は、静電容量センサIC33のSCL端子に通信同期用のクロック信号を出力する。一方、静電容量センサIC33は、SDA端子を介して、検知した静電容量の値に対応した8ビットの検知レベルのデータ(静電容量に関する情報)をCPU40へ出力する。尚、静電容量センサIC33の詳細な動作原理は、公知技術であるため省略する。
【0023】
[検知マイラの動作]
図4に、トナー残量が比較的多い場合と比較的少ない場合の検知マイラ351、352の動作について説明する。検知マイラ351、352が回転動作を行うと、図4(a)に示すように、トナー残量が比較的多い場合、検知マイラ351、352はそれぞれトナーの抵抗を受けて、図中矢印方向の回転方向後側に変形し、撓みながら回転動作を行う。このとき、検知マイラ351の撓み量に比べ検知マイラ352の撓み量は大きく、回転方向後側へ大きく変形する。この状態において、検知マイラ351が静電容量センサ電極321の検知面上に到達した時間と検知マイラ352が静電容量センサ電極321の検知面上に到達した時間との差(以降、時間差)は長い。一方で、図4(b)に示すように、トナー残量が比較的少なくなると、検知マイラ351の撓み量の減少に比べ、検知マイラ352の撓み量の減少が大きい。その結果として、検知マイラ351が静電容量センサ電極321の検知面上に到達してから検知マイラ352が静電容量センサ電極321の検知面上に到達するまでの時間差は短くなる。この原理を使って、トナー残量を検知する。
【0024】
[トナー残量検知の特性]
図5を用いて本実施例のトナー残量の検知特性を説明する。上述したように、静電容量センサIC33は、検知した静電容量の値に対応する8ビットのデータをCPU40へ出力している。本実施例では、静電容量センサIC33がCPU40へ出力した8ビットのデータを10進数の検知レベルとして表示して説明をする。図5(a)は、トナー残量(%)と静電容量センサIC33で検知した検知マイラ351と検知マイラ352の時間差(ミリ秒(msec))の特性グラフである。図4で説明したように、トナー残量が多いほど時間差が長く(大きく)、トナー残量が少ないほど時間差が短い(小さい)。これにより、時間差を計測することでトナー残量を検知することができる。図5(b)は、トナー残量が65%のときの波形データであり、横軸は時間(msec)、縦軸は静電容量センサIC33の検知レベルである。検知マイラ351を検知した時間と検知マイラ352を検知した時間の時間差(msec)が390ミリ秒(msec)であることがわかる。
【0025】
図5(c)は、時間差とトナー残量とを対応付けたテーブルTである。テーブル数値の間のトナー残量は、既知の線形補間を行い算出する。ここで、計測された時間は、本実施例における値であるため、条件が変われば計測される時間も変わる。トナー残量を判断するテーブルTの数値も同様である。テーブルTの情報は、予め記憶部のROMやプロセスカートリッジ5に設けられたROMに工場にて書き込まれて出荷される。そして、プロセスカートリッジ5に設けられたROMに書き込まれたテーブルTの情報は、プロセスカートリッジ5が本体101に装着されたときに、CPU40によって読み出され、制御基板80の記憶部のRAMに格納される。後述する実施例2、3においても、テーブル情報はこれらの方法によって記憶部のROMやRAMに記録されるものとする。尚、前述したテーブル情報を出荷時に記録しておく方法は一例であり、これに限定されるものではない。
【0026】
[トナー残量検知のフローチャート]
本実施例のトナー残量を検知する処理を図6のフローチャートを用いて説明する。以降の実施例におけるフローチャートも同様に、これらのフローチャートの処理は、CPU40により行われる。しかしながら、これに限定されず、例えば特性用途向けの集積回路(ASIC)が画像形成装置に実装されている場合には、それにいずれかのステップの機能を持たせても良い。ステップ(以下、Sとする)101でCPU40は、検知マイラ351及び検知マイラ352を回転動作させる。本実施例では、1回転の時間を約1秒(sec)としている。S102でCPU40は、図3で示した回路を用いて静電容量センサIC33とシリアル通信して静電容量センサIC33の検知レベルの読み取りを開始する。また、CPU40は、検知レベルの読み取りとともに、不図示のタイマαをリセットして、静電容量センサIC33の検知レベルの読み取りを開始してからの時間の計測も開始する。
【0027】
S103からS105でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルの初期値の算出を行う。まず、S103でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルの仮の初期値(以降、仮初期値という)の設定を行う。CPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルの読み取り(以下、モニタともいう)を開始してから検知レベルを複数点測定し、例えば不図示のRAM等のメモリに測定した複数のデータを格納する。CPU40は、メモリに格納した複数のデータより静電容量センサIC33の検知レベルの平均値を算出し、この平均値を仮初期値とする。本実施例では、例えば10点測定を行い、平均値を算出している。ただし、10点測定の平均値は1つの実施例であり、これに限定するものではない。また、CPU40は、仮初期値を算出するとともに、不図示のタイマβをリセットしてタイマβによる時間の計測を開始する。
【0028】
S104でCPU40は、S103で算出した仮初期値が確かな値であるか否か、すなわち仮初期値が安定した基準レベルであり初期値として適格か否かの判断を行う。CPU40は、S103に続き静電容量センサIC33の検知レベルをモニタする。例えばCPU40は、得られた静電容量センサIC33の検知レベルが一定の範囲内に収まっていることにより、算出した仮初期値が安定した基準レベルであると判断する。本実施例では、例えば、モニタしている静電容量センサIC33の検知レベルが、タイマβを参照して0.3秒(sec)間、仮初期値±10%の範囲にあることを判断基準としている。S104でCPU40は、モニタしている静電容量センサIC33の検知レベルが0.3秒間、仮初期値±10%以内であると判断した場合、S105で、S103で算出した仮初期値を初期値として設定する。S105で設定した初期値は、以降に説明する別のタイマの閾値を算出するために使用する。
【0029】
一方S104でCPU40は、モニタしている静電容量センサIC33の検知レベルが0.3秒間仮初期値±10%の範囲にないと判断した場合、S117でエラーの判断を行う。本実施例では、静電容量センサIC33の検知レベルのモニタを開始し始めてから、すなわちタイマαを参照して読み取りを開始してから2.0秒以上経過したか否かでエラーの判断を行う。S117でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルの読み取りを開始してから2.0秒未満であると判断した場合は、S103で算出した仮初期値をリセットし、S103〜S105の処理を行い、もう一度仮初期値の算出を行う。一方、S117でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルの読み取りを開始してから2.0秒以上経過したと判断した場合は、S118で、何らかの異常と判断し、ビデオコントローラ42へ報知する。
【0030】
次に、S106からS109では、2つの検知マイラのうち、検知マイラ351を検知したか否かを判断する。これはトナー残量を判断するテーブルTが、検知マイラ351を検知した時間から検知マイラ352を検知した時間に基づいているためである。検知マイラ351を必ず検知する方法として、検知マイラの1周期のうち、1つ目の立ち上がり閾値を検知した時間から2つ目の立ち上がり閾値を検知した時間と、2つ目の立ち上がり閾値を検知した時間から3つ目の立ち上がり閾値を検知した時間とを比較する。本実施例の構成では、時間の差が長い方が検知マイラ352を検知した時間から検知マイラ351を検知した時間にあたる。CPU40は不図示のタイマAを用いて、立ち上がり閾値間の時間を計測し、計測した時間が所望の時間であるかどうかを比較することで、検知マイラ351を検知することができる。
【0031】
S106でCPU40は、タイマAをリセットした後、スタートさせて、時間の計測を開始する。S107でCPU40は、検知マイラ(351、352のいずれか)に備えられている被検知電極(361、362のいずれか)と静電容量センサ電極321との間の静電容量が立ち上がり閾値以上に変化し始めるタイミングを検知する。ただし、この段階では、検知したタイミングが検知マイラ351であるか検知マイラ352であるかは判断できない。本実施例では、静電容量センサIC33の検知レベルの立ち上がり閾値を、S105で決定した初期値+30%としている。この立ち上がり閾値を上回ったタイミングをいずれかの検知マイラが静電容量センサ電極321の検知面上に到達したタイミングと判断している。S107でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルが立ち上がり閾値(初期値+30%)以上であると判断した場合は、タイマAをストップさせる。
【0032】
一方、S107で静電容量センサIC33の検知レベルが立ち上がり閾値未満であると判断した場合は、S119でエラーの判断を行う。本実施例では、タイマAがスタートし始めてから2.0秒以上経過したか否かでエラーの判断を行う。S119でCPU40は、タイマAが2.0秒以上経過していないと判断した場合は、S107の処理に戻り、静電容量センサIC33の検知レベルのモニタを続ける。一方、S107でCPU40は、タイマAがスタートし始めてから2.0秒以上経過したと判断した場合は、S120の処理に進む。S120でCPU40は、被検知電極361の未検知や静電容量センサIC33の故障、CPU40と静電容量センサIC33間の通信異常などの何らかの異常と判断して、ビデオコントローラ42へ報知する。
【0033】
S108でCPU40は、S107で検知したタイミングが、検知マイラ351が静電容量センサ電極321の検知面上に到達したタイミングであるか否かを判断する。CPU40は、ストップしたタイマAの値を読み込み、タイマAの値が予め決められた特定の範囲に入っているか否かを判断する。本実施例では、特定の範囲を例えば450ミリ秒(msec)以上650ミリ秒以下とした。例えば450ミリ秒未満となった場合、静電容量センサIC33で検知したものが、検知マイラ351なのか検知マイラ352なのかが判断できない。予め決められた特定の範囲(時間)とは、検知マイラ351から検知マイラ352までの配置距離を1回転の回転速度で割った値以上にし、また、1回転の時間より小さい値以下にする必要がある。S108でCPU40は、タイマAの値が特定の範囲内であると判断した場合、検知マイラ351が静電容量センサ電極321の検知面上に到達した、すなわち検知マイラ351を検知したと判断する。
【0034】
一方、S108でCPU40は、タイマAの値が特定の範囲内ではないと判断すると、検知マイラ351を検知できなかったと判断する。この場合CPU40は、S106の処理に戻り、タイマAをリセットしてもう一度検知マイラ351を検知するために、静電容量センサIC33の検知レベルをモニタし始める。S109でCPU40は、検知マイラ351の被検知電極361と静電容量センサ電極321との間の静電容量が立ち上がり閾値以上に変化したタイミングからタイマBをスタートさせて、時間の計測を開始する。タイマBは、検知マイラ351を検知したタイミングと検知マイラ352を検知したタイミングの時間差を計測するためのタイマである。
【0035】
次に、S110からS111では、検知マイラ351が通過したことを検知する。S110でCPU40は、検知マイラ351の被検知電極361と静電容量センサ電極321との間の静電容量が立ち下がり閾値以下に変化したタイミングを検知する。本実施例では、例えば検知レベルの立ち下がり閾値をS105で決定した初期値+20%としている。また、この立ち下がり閾値を下回ったタイミングが、検知マイラ351が静電容量センサ電極321の検知面上を通過したタイミングであると判断している。S110でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルが立ち下がり閾値(初期値±20%)以下ではないと判断した場合は、S121でエラーの判断を行う。本実施例では、S121でCPU40は、タイマBがスタートし始めてから2.0秒未満であると判断した場合は、S110の処理に戻り、静電容量センサIC33のモニタを続ける。一方S121でCPU40は、タイマBがスタートし始めてから2.0秒以上経過したと判断した場合は、S122の処理に進む。S122でCPU40は、被検知電極361の故障や静電容量センサIC33の故障、CPU40と静電容量センサIC33間の通信異常などの何らかの異常と判断して、ビデオコントローラ42へ報知する。ここで立ち上がりの閾値を初期値+30%として、立ち下がりの閾値を初期値+20%とした理由は、ヒステリシスを持たせ、ノイズによる誤動作を防止するためである。S111でCPU40は、検知マイラ351が静電容量センサ電極321の検知面上を通過したことを検知する。
【0036】
次に、S112からS113では、検知マイラ352が静電容量センサ電極321の検知面上に到達したタイミングを検知する。S112でCPU40は、検知マイラ352の被検知電極362と静電容量センサ電極321との間の静電容量が立ち上がり閾値以上に変化したタイミングを検知する。本実施例では、検知レベルの立ち上がり閾値を初期値+30%としている。この立ち上がり閾値以上となったタイミングを検知マイラ352が静電容量センサ電極321の検知面上に到達したタイミングと判断している。S112でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルが立ち上がり閾値以上であると判断した場合は、S113の処理に進む。S112でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルが立ち上がり閾値未満であると判断した場合は、S123で、エラーの判断を行う。S123、S124の処理は、S121、S122の処理と同様であるため説明を省略する。S113でCPU40は、検知マイラ352の被検知電極361と静電容量センサ電極321との間の静電容量が立ち上がり閾値以上に変化したタイミングでタイマBをストップさせる。
【0037】
S114でCPU40は、タイマBの値を読み込む。S115でCPU40は、タイマBとテーブルTとを比較して値を照合する。テーブルTとは、図5(c)示すように時間差(msec)に対応したトナー残量(%)が一対になっている表である。例えば、図5(b)の場合、時間差は390ミリ秒であり、テーブルTからトナー残量が60%であることが検知できる。CPU40は、上述したようにテーブル間の値についてはテーブルTに基づいて線形補間により算出した値と照合してトナー残量を判断する。S116でCPU40は、S115で判断したトナー残量(%)を本体のビデオコントローラ42へ通知する。
【0038】
ここでは、トナー残量の検知シーケンス内に検知マイラを回転動作させることを記載したが、画像形成動作中などで検知マイラが回転していれば、トナー残量を検知することができる。また、トナー残量を検知する前に、数回回転させて、検知マイラの回転状態が安定した状態からトナー残量の検知を開始しても良い。さらに本実施例では、1回の測定結果(S114でのタイマBの値)を基にトナー残量を算出したが、複数回測定し、その平均値からトナー残量を判断することで、より精度を向上させることができる。ここで定義した立ち下がり閾値や立ち上がり閾値、タイマAの値、エラー判断時間は、本構成における1つの実施例である。これらの構成は、検知マイラ351、352の配置や検知マイラの回転速度、回路定数、静電容量センサの検知レベルなどを総合的に考慮して決められるため、これに限定されるものではない。
【0039】
本実施例において、S106からS109の処理で、検知マイラ351を検知し、その後検知マイラ352を検知するシーケンスを示した。しかしながら、以下の方法でも代用することが可能である。静電容量センサIC33で検知した検知レベルが、立ち上がり閾値以上に変化したタイミングを3つ検知する。1つ目のタイミングから2つ目のタイミングの時間差と2つ目のタイミングから3つ目のタイミングの時間差を算出する。本実施例では、2つの時間差のうち、値が小さい方が検知マイラ351から検知マイラ352の時間差と判断することができる。この時間差によって、テーブルTと照合し、トナー残量を判断する。これにより、シーケンスを簡単にすることができる。
【0040】
また、本実施例において、それぞれの検知マイラ351、352に備えられている被検知電極361、362と静電容量センサ電極321との間の静電容量が立ち上がり閾値以上に変化し始めるそれぞれの時間の差分に基づいてトナー残量を判断した。しかしながら、それぞれの検知マイラ351、352に備えられている被検知電極361、362と静電容量センサ電極321との間の静電容量が立ち下がり閾値以下に変化し始めるそれぞれの時間の差分に基づいてトナー残量を判断してもよい。また、被検知電極361と静電容量センサ電極321との間の静電容量が立ち上がり閾値以上に変化し始める時間から被検知電極362と静電容量センサ電極321との間の静電容量が立ち下がり閾値以下に変化し始める時間に基づいてトナー残量を判断してもよい。この結果として、検知マイラ352が静電容量センサ電極321の検知面上を通過し終わる時間も考慮することができるため、より高精度にトナー残量を検知することができる。
【0041】
さらに、本実施例において、検知マイラ351に備えられた被検知電極361を検知マイラ351の周方向の先端付近に配置した。しかしながら、被検知電極361を回転軸29付近(回転軸側)に配置することで、検知マイラ351が可撓性を有しながらも、トナー残量によらず一定の間隔で検知マイラ351を検知することができる。検知マイラ352によって検知される時間との差分を算出することで、検知マイラ352の撓み量をより正確に検知することができるため、より高精度にトナー残量を検知することができる。
【0042】
このように、検知マイラ351が静電容量センサ電極321の検知面上に到達したタイミングから検知マイラ352が静電容量センサ電極321の検知面上に到達したタイミングまでの時間差に基づいて、トナー残量を判断する。これにより、トナーが満載から空になるまで逐次トナーの残量検知ができる。また、静電容量センサは、検知マイラの接近に応じて静電容量が変化するため、検知時間の高速化と画像形成動作と同時に行うことが可能である。さらに、検知マイラの撓みは、高速で回転していてもトナー残量に応じて安定しているため、トナー残量を逐次検知することができる。
【0043】
以上本実施例によれば、トナーが満載状態から空になるまで逐次トナーの残量を検知でき、かつ高速で攪拌部材が動作しているときでも、トナーの残量を精度良く検知することができる。
【実施例2】
【0044】
実施例1では、検知マイラ351は可撓性を有しており、トナー28の抵抗によって撓む。本実施例では、攪拌棒261を備え、攪拌棒261は、高い剛性を有し、トナー28を攪拌する機能も有する。尚、本実施例の画像形成装置の構成は、プロセスカートリッジ5を除き実施例1の図1で説明した構成と同様であるため説明を省略する。
【0045】
[プロセスカートリッジの構成]
図7を用いて本実施例におけるプロセスカートリッジについて説明する。図7は、本実施例におけるプロセスカートリッジと静電容量センサ基板の断面図である。本実施例のプロセスカートリッジ5のトナー容器23には、各色に対応したトナー28(不図示)と、トナー28をトナー補給ローラ12へ供給する攪拌棒261とを備えている。攪拌棒261は、回転軸29を中心として回転運動し、トナー28を攪拌する。別の回転軸29には、トナー残量を検知するための攪拌棒261及び検知マイラ352を備えている。攪拌棒261は、高い剛性を有し、トナー28の抵抗によらず、一定に回転動作を行うものである。検知マイラ352は、攪拌棒261の回転方向90度後ろ側に配置され、可撓性を有している。また、攪拌棒261は導電性を持った部材を用いている。検知マイラ352の周方向の先端付近に、導電性の被検知電極362を備えている。
【0046】
トナー容器23内のトナー残量を検知する静電容量センサIC33等を備えた静電容量センサ基板331を、攪拌棒261及び検知マイラ352の周方向の現像ユニットの外壁付近に備える。静電容量センサ電極321は、プロセスカートリッジ5を本体101へ装着した際にトナー容器23の外装に近接する。この状態において、現像ユニット内に備えられた攪拌棒261又は被検知電極362によって生じる静電容量を静電容量センサIC33で検知する。本実施例における回路図は、実施例1で説明した図3と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0047】
フローチャート及び検知特性は、実施例1の図5及び図6と同様である。尚、本実施例の攪拌棒261は、実施例1の検知マイラ351及び被検知電極361に相当する。このため、例えば図6のフローチャートのS109における検知マイラ351は本実施例では攪拌棒261に読み替えるものとする。攪拌棒261は、高い剛性を有しているため、トナー28の抵抗によらず、一定に回転する。そのため、トナー残量にかかわらず一定回転するため、静電容量センサIC33で検知される時間は、常に一定間隔となる。よって、攪拌棒261及び検知マイラ352によって検知されるそれぞれの時間の差分すなわち時間差を算出することで、検知マイラ352の撓み量をより正確に検知することができるため、より高精度にトナー残量を検知することができる。
【0048】
以上本実施例によれば、トナーが満載状態から空になるまで逐次トナーの残量を検知でき、かつ高速で攪拌部材が動作しているときでも、トナーの残量を精度良く検知することができる。
【実施例3】
【0049】
実施例1では、静電容量センサIC33が2つの検知マイラを検知したタイミングの時間差でトナー残量を検知している。これに対して、本実施例では、静電容量センサIC33が検知する静電容量の変化を検知して、トナー残量を検知する。まず、本実施例のカラーレーザプリンタについて説明する。本実施例の画像形成装置及びプロセスカートリッジ、回路図は、実施例1で説明した図1、図2、図3と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0050】
[トナー残量検知の特性]
図8を用いて本実施例におけるトナー残量の検知特性を説明する。図8(a)は、トナー残量(%)と静電容量センサIC33で検知した検知マイラ351と検知マイラ352のそれぞれの検知レベルの差(検知レベル差)の特性グラフである。トナー残量が多いほど検知レベル差が小さく、トナー残量が少ないほど検知レベル差が大きい。これにより、検知レベル差を算出することでトナー残量を検知することができる。図8(b)は、トナー残量が10%のときの波形データである。本実施例では、静電容量センサIC33が検知マイラ351に備えられた被検知電極361と検知マイラ352に備えられた被検知電極362を検知した検知レベルの平均値をそれぞれ算出する。そして、それぞれ算出した検知レベルの平均値の差(すなわち、検知レベル差)を用いて、トナー残量を判断する。図8(b)では、検知マイラ351の検知レベルの平均値Aは195であり、検知マイラ352の検知レベルの平均値Bは210であり、検知レベルの平均値の差すなわち検知レベル差が15であることがわかる。図8(c)は、検知レベル差とトナー残量とを対応付けたテーブルNである。テーブル数値の間のトナー残量は、既知の線形補間を行い算出する。ここで、算出された検知レベル値は、本実施例における値であるため、条件が変われば算出される検知レベル差の値も変わる。トナー残量を判断するテーブルの数値も同様である。
【0051】
[トナー残量検知のフローチャート]
本実施例のトナー残量を検知するシーケンスを図9のフローチャートを用いて説明する。S201〜S205、S215、S216は実施例1の図6のS101〜S105、S117、S118と同様の処理であるため説明を省略する。S206でCPU40は、検知マイラ351又は検知マイラ352を検知する。S206でCPU40は、検知マイラ351の被検知電極361又は検知マイラ352の被検知電極362と静電容量センサ電極321との間の静電容量の検知レベルが立ち上がり閾値以上に変化し始めるタイミングを検知する。本実施例では、検知レベルの立ち上がり閾値をS205で決定した初期値+30%としている。この立ち上がり閾値以上となったタイミングを検知マイラ351又は検知マイラ352が静電容量センサ電極321の検知面上に到達したタイミングであると判断している。S206でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルが立ち上がり閾値以上であると判断した場合、S207の処理に進む。一方、S206でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルが立ち上がり閾値未満であると判断した場合は、S217でエラーの判断を行う。S217、S218の処理はS215、S216の処理と同様であるため説明を省略する。
【0052】
次に、S207からS208でCPU40は、検知マイラ351又は検知マイラ352の検知レベルの平均値の算出及び検知マイラ351又は検知マイラ352が通過したことを検知する。S207でCPU40は、モニタしている静電容量センサIC33の検知レベルを複数点測定し、例えば不図示のメモリに格納する。このとき、CPU40は得られた測定データ数もメモリに記憶しておき、複数の測定データと測定データ数とから平均値Aを算出する。S208でCPU40は、検知マイラ351の被検知電極361又は検知マイラ352の被検知電極362と静電容量センサ電極321との間の静電容量の検知レベルが立ち下がり閾値以下に変化したタイミングを検知する。本実施例では、静電容量センサIC33の検知レベルの立ち下がり閾値を、S205で決定した初期値+20%としている。CPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルが立ち下がり閾値以下となったタイミングを検知マイラ351又は検知マイラ352が静電容量センサ電極321の検知面上を通過したタイミングであると判断している。S208でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルが立ち下がり閾値以下であると判断すると、モニタは終了となり、平均値Aが確定し、S209の処理に進む。S208でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルが立ち下がり閾値以下ではないと判断した場合は、S219でエラーの判断を行う。S219、S220の処理は、S215、S216の処理と同様であるため説明を省略する。尚、立ち上がりの閾値及び立ち下がりの閾値の設定については実施例1と同様であり説明を省略する。
【0053】
次に、S209では、検知マイラ352又は検知マイラ351を検知する。S206で検知マイラ351を検知していたとすればS209では検知マイラ352を、S206で検知マイラ352を検知していたとすればS209では検知マイラ351を、それぞれ検知することとなる。S209でCPU40は、検知マイラ352の被検知電極362又は検知マイラ351の被検知電極361と静電容量センサ電極321との間の静電容量の検知レベルが立ち上がり閾値以上か否かを判断する。本実施例では、検知レベルの立ち上がり閾値をS205で決定した初期値+30%としている。CPU40は、この立ち上がり閾値を上回ったタイミングを検知マイラ352又は検知マイラ351が静電容量センサ電極321の検知面上に到達したタイミングであると判断している。S209でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルが立ち上がり閾値以上であると判断した場合、S210の処理に進む。一方、S209でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルが立ち上がり閾値以上ではないと判断した場合、S221の処理に進む。S221、S222の処理は、S215、S216の処理と同様であるため説明を省略する。
【0054】
次に、S210からS211でCPU40は、検知マイラ352又は検知マイラ351の検知レベルの平均値の算出及び検知マイラ352又は検知マイラ352が通過したことを検知する。S210でCPU40は、モニタしている静電容量センサIC33の検知レベルを複数点測定し、例えば不図示のメモリに格納する。このとき、CPU40は得られた測定データ数もメモリに記憶しておき、複数の測定データと測定データ数とから平均値Bを算出する。S211でCPU40は、検知マイラ352の被検知電極362又は検知マイラ351の被検知電極361と静電容量センサ電極321との間の静電容量の検知レベルが立ち下がり閾値以下か否かを判断する。本実施例では、静電容量センサIC33の検知レベルの立ち下がり閾値を初期値+20%としている。この立ち下がり閾値を下回ったタイミングを検知マイラ352又は検知マイラ351が静電容量センサ電極321の検知面上を通過したタイミングであるとしている。S211でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルが立ち下がり閾値以下であると判断した場合に、静電容量センサIC33の検知レベルのモニタは終了となり、平均値Bが確定し、S212の処理に進む。S211でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルが立ち下がり閾値以下ではないと判断した場合、S223でエラーの判断を行う。S223、S224の処理はS215、S216の処理と同様であるため説明を省略する。また、立ち上がり閾値及び立ち下がり閾値の設定については実施例1と同様であり説明を省略する。
【0055】
S212でCPU40は、S207で算出した平均値AとS210で算出した平均値Bから、検知マイラ間の検知レベル差を算出する。本実施例では、平均値Aと平均値Bの差の絶対値を算出する。例えば、図8(b)の場合、平均値A−平均値B=195−210であり、その絶対値は15となる。S213でCPU40は、S212で算出した検知レベル差とテーブルNとを照合する。テーブルNとは、検知レベル差に対応したトナー残量が一対になっている表で例えば図8(c)に示すような表である。CPU40は、テーブルNと値を照合して、トナー残量を判断する。例えば図8(b)の場合、検知レベル差の絶対値は15であり、図8(c)のテーブルNから、トナー残量が10%であることがわかる。尚、上述したようにテーブルNの数値間は既知の線形補間を行い算出する。S214でCPU40は、判断されたトナー残量をビデオコントローラ42へ通知する。
【0056】
このように本実施例では、それぞれの検知マイラ351、352に備えられている被検知電極361、362と静電容量センサ電極321との間のそれぞれの静電容量の検知レベルの差に基づいて、トナー残量を判断する。これにより、トナーが満載状態から空になるまで逐次トナーの残量検知ができる。また、静電容量センサICは、検知マイラの接近に応じて静電容量の検知レベルが変化するため、検知時間の高速化と画像形成動作と同時に行うことが可能である。さらに、検知マイラの撓みは、高速で回転していてもトナー残量に応じて安定しているため、トナー残量を逐次検知することができる。
【0057】
以上本実施例によれば、トナーが満載状態から空になるまで逐次トナーの残量を検知でき、かつ高速で攪拌部材が動作しているときでも、トナーの残量を精度良く検知することができる。
【実施例4】
【0058】
実施例3では、検知マイラ351は可撓性を有しており、トナー28の抵抗によって撓む。本実施例では、攪拌棒261を備え、攪拌棒261が検知マイラ351に相当し、攪拌棒261は、高い剛性を有し、トナー28を攪拌する機能も有する。尚、本実施例の画像形成装置の構成は、プロセスカートリッジ5を除き実施例1の図1で説明した構成と同様であるため説明を省略する。本実施例の構成は、実施例2で示した図7のプロセスカートリッジを使用し、トナー残量を検知するシーケンスは、図9で示したフローチャートを使用する。尚、図9のフローチャートの説明においては、検知マイラ351を攪拌棒261に読み替えるものとする。また、検知特性も、実施例3で説明した図8と同様である。攪拌棒261は、高い剛性を有しているため、トナー28の抵抗によらず、一定に回転する。そのため、トナー残量にかかわらず一定回転するため、静電容量センサIC33で検知される検知レベルは、一定となる。よって、攪拌棒261及び検知マイラ352によって検知されるそれぞれの検知レベルの差分を算出することで、検知マイラ352の撓みによる検知レベル差をより正確に検知することができるため、より高精度にトナー残量を検知することができる。
【0059】
以上本実施例によれば、トナーが満載状態から空になるまで逐次トナーの残量を検知でき、かつ高速で攪拌部材が動作しているときでも、トナーの残量を精度良く検知することができる。
【0060】
[その他の実施例]
実施例1〜4では、理解し易いように1回の検知でテーブルを参照するような説明をしている。しかし、複数回のデータを平均化した後に、それぞれのテーブルを参照するような制御にすることで、さらに検知精度をあげることが期待できる。
【0061】
また、実施例1〜4にでは、現像ユニット内に2つの検知マイラを配置する構成を示した。しかし、3つ以上の検知マイラを配置することで、より高精度にトナー残量を検知することができる。
【0062】
また、実施例1〜4では、現像ユニットが一体構成の例を挙げた。しかし、現像ローラとトナー容器が別体となった補給系のトナー容器においても、トナー容器の内部に被検知電極と検知マイラを設けることにより、本発明が適用可能である。
【0063】
以上その他の実施例においても、トナーが満載状態から空になるまで逐次トナーの残量を検知でき、かつ高速で攪拌部材が動作しているときでも、トナーの残量を精度良く検知することができる。
【符号の説明】
【0064】
321 静電容量センサ電極
33 静電容量センサIC
351 検知マイラ
352 検知マイラ
361 被検知電極
362 被検知電極
40 1チップマイクロコンピュータ(CPU)
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタ、複写機、ファクシミリなどの電子写真方式の画像形成装置における現像剤であるトナーの残量検知に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置において、現像ユニット内のトナーの量を検知する装置には、透磁率センサを用いたものがある。透磁率センサを用いたトナーの量を検知する装置の一例として、例えば特許文献1がある。特許文献1では、トナーの攪拌によって回転方向の後側に変形する可撓性のある第1の攪拌羽根と、第1の攪拌羽根の回転方向の後側に配置された剛性のある第2の攪拌羽根と、現像ユニットの底部外側に配置された透磁率センサを用いたトナー量検知装置が開示されている。この装置は、それぞれの攪拌羽根に配置されている金属材料の回転動作の状態を現像ユニットの底部外側に配置された透磁率センサで検知している。また、この装置は、現像ユニット内のトナーの量が多い場合は、第1の攪拌羽根と第2の攪拌羽根が一体的に回転動作を行い、現像ユニット内のトナーの量が少ない場合は、第1の攪拌羽根と第2の攪拌羽根が変形することなく分離して回転動作を行うように構成されている。このとき、透磁率センサを用いて検知すると、回転軸の1回転あたりの透磁率の変化は、現像ユニット内のトナーの量が多い場合は1回、現像ユニット内のトナーの量が少ない場合は2回検知する。トナー量検知装置は、この検知回数の変化に基づいて、現像ユニット内のトナーの量の検知を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−132036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1では以下のような課題を含んでいる。トナーの量が多い場合、第1と第2の攪拌羽根が一体的に回転動作を行うため、透磁率センサで検知される信号は、回転軸の1回転当たり1回の透磁率の変化となる。一方、トナーの量が少ない場合、第1の攪拌羽根はほとんど変形せず、第1と第2の攪拌羽根は一体的に回転動作を行うことがない。このとき、透磁率センサで検知される信号は、回転軸の1回転あたり2回の透磁率の変化となる。このように、透磁率センサが検知した磁界変化の回数(1回又は2回)によって、トナーの量の多少又は有無の択一的な検知を行っている。このため、トナーの量の変化を逐次検知することは困難である。
【0005】
本発明はこのような状況のもとでなされたもので、トナーが満載状態から空になるまで逐次トナーの残量を検知でき、かつ高速で攪拌部材が動作しているときでも、トナーの残量を精度良く検知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために以下の構成を有する。
【0007】
(1)現像剤を収納する着脱可能な現像ユニットと、第一電極を有し、前記現像ユニット内の回転軸を中心に周回動作する第一部材と、第二電極を有し、前記第一部材の回転軸に前記第一部材と所定の角度をなすように設けられた第二部材と、前記現像ユニットの外装に配設された第三電極と、前記第一電極と前記第三電極との間又は前記第二電極と前記第三電極との間の静電容量を検知し、検知した静電容量に関する情報を出力する出力手段と、前記出力手段により出力された前記情報に基づいて、前記現像ユニット内の現像剤の量を判断する判断手段と、を備え、前記判断手段は、前記出力手段が前記第一電極と前記第三電極との間の静電容量を検知した時間と、前記出力手段が前記第二電極と前記第三電極との間の静電容量を検知した時間との差に基づき現像剤の量を判断することを特徴とする画像形成装置。
【0008】
(2)現像剤を収納する着脱可能な現像ユニットと、第一電極を有し、前記現像ユニット内の回転軸を中心に周回動作する第一部材と、第二電極を有し、前記第一部材の回転軸に前記第一部材と所定の角度をなすように設けられた第二部材と、前記現像ユニットの外装に配設された第三電極と、前記第一電極と前記第三電極との間又は前記第二電極と前記第三電極との間の静電容量を検知し、検知した静電容量に関する情報を出力する出力手段と、前記出力手段により出力された前記情報に基づいて、前記現像ユニット内の現像剤の量を判断する判断手段と、を備え、前記判断手段は、前記出力手段が出力した前記第一電極と前記第三電極との間の静電容量に関する情報と、前記出力手段が出力した前記第二電極と前記第三電極との間の静電容量に関する情報と、の差に基づき現像剤の量を判断することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、トナーが満載状態から空になるまで逐次トナーの残量を検知でき、かつ高速で攪拌部材が動作しているときでも、トナーの残量を精度良く検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1〜4のカラーレーザプリンタの構成を示す概略図
【図2】実施例1、3の現像ユニット及び静電容量センサ基板の断面図
【図3】実施例1〜4のトナー残量検知の回路図
【図4】実施例1の現像ユニット及び静電容量センサ基板の断面図
【図5】実施例1、2のトナー残量検知の特性グラフ、波形及びテーブルT
【図6(a)】実施例1、2のトナー残量検知のフローチャート
【図6(b)】実施例1、2のトナー残量検知のフローチャート
【図7】実施例2、4の現像ユニット及び静電容量センサ基板の断面図
【図8】実施例3、4のトナー残量検知の特性グラフ、波形及びテーブルN
【図9(a)】実施例3、4のトナー残量検知のフローチャート
【図9(b)】実施例3、4のトナー残量検知のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。尚、以下の実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施例で説明されている特長の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【実施例1】
【0012】
[画像形成装置の構成]
図1は本実施例の構成であるカラーレーザプリンタの概略図である。図1に示すカラーレーザプリンタ(以下、本体と称す)は、本体101に対して着脱可能なプロセスカートリッジ5Y、5M、5C、5Kを備えている。これら4個のプロセスカートリッジ5Y、5M、5C、5Kは、同一構造であるものの、異なる色、すなわち、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー(現像剤)による画像を形成する点で相違している。以下、特定の色の説明をする場合を除きY、M、C、Kの符号を省略する。プロセスカートリッジ5は、現像ユニットと画像形成ユニットと廃トナーユニットの3つの構成で成り立つ。現像ユニットは、現像ローラ3、トナー補給ローラ12、トナー容器23、攪拌マイラ34を有している。尚、図1のトナー容器23内の詳細な説明は後述する。また、画像形成ユニットは、像担持体である感光ドラム1、帯電ローラ2を有している。廃トナーユニットは、クリーニングブレード4、廃トナー回収容器24を有している。
【0013】
プロセスカートリッジ5の下方にはレーザユニット7が配置され、画像信号に基づく露光を感光ドラム1に対して行う。感光ドラム1は、帯電ローラ2によって所定の負極性の電位に帯電された後、レーザユニット7によってそれぞれ静電潜像が形成される。この静電潜像は現像ローラ3によって負極性のトナーが付着されて反転現像され、それぞれY、M、C、Kのトナー像が形成される。中間転写ベルトユニットは、中間転写ベルト8、駆動ローラ9、二次転写対向ローラ10から構成されている。また、各感光ドラム1に対向して、中間転写ベルト8の内側に一次転写ローラ6が配設されており、バイアス印加手段(不図示)により転写バイアスが一次転写ローラ6に印加される。
【0014】
感光ドラム1上に形成されたトナー像は、各感光ドラム1の矢印方向に回転し、中間転写ベルト8は矢印A方向に回転する。更にバイアス印加装置(不図示)により一次転写ローラ6に正極性のバイアスを印加することにより、感光ドラム1Y上のトナー像から順次、中間転写ベルト8上に一次転写され、4色のトナー像が重なった状態で二次転写ローラ11まで搬送される。給搬送装置は、転写材Pを収納する給紙カセット13内から転写材Pを給紙する給紙ローラ14と、給紙された転写材Pを搬送する搬送ローラ対15とを有している。そして、給搬送装置から搬送された転写材Pはレジストローラ対16によって二次転写ローラ11に搬送される。
【0015】
中間転写ベルト8から転写材Pへのトナー像の転写は、二次転写ローラ11に正極性のバイアスを印加することにより、中間転写ベルト8上の4色のトナー像が搬送された転写材Pに二次転写される。トナー像転写後の転写材Pは、定着装置17に搬送され、定着フィルム18と加圧ローラ19とによって加熱、加圧されて表面にトナー像が定着される。定着された転写材Pは排紙ローラ対20によって排出される。
【0016】
一方、トナー像転写後に、感光ドラム1表面に残ったトナーは、クリーニングブレード4によって除去され、除去されたトナーは、廃トナー回収容器24に回収される。また、転写材Pへの二次転写後に中間転写ベルト8上に残ったトナーは、転写ベルトクリーニングブレード21によって除去され、除去されたトナーは廃トナー回収容器22へと回収される。
【0017】
また、制御基板80は本体101の制御を行うための電気回路が搭載されている。制御基板80には1チップマイクロコンピュータ(以後CPUと記す)40、及びテーブルのデータ等が記憶されるRAM、ROM等の記憶部が搭載されている。CPU40は転写材Pの搬送に関る駆動源(不図示)やプロセスカートリッジ5の駆動源(不図示)の制御、画像形成に関する制御、さらには故障検知に関する制御など、本体101の動作を一括して制御する。ビデオコントローラ42は、画像データからレーザユニット7内のレーザの発光を制御する。ビデオコントローラ42は、不図示のコントロールパネルを介してユーザとのインターフェイスも行う。このコントロールパネルには、各色のトナー残量が棒グラフ状に表示される。
【0018】
[現像ユニットの構成]
図2(a)は、プロセスカートリッジ5を構成する現像ユニットと静電容量センサ基板331の断面図である。図2(a)で示しているプロセスカートリッジ5の現像ユニット内には、トナー容器23に各色に対応したトナー28と、トナー容器23内のトナー28を攪拌する攪拌マイラ34とを備える。攪拌マイラ34(攪拌部材)は、トナー容器23内の回転軸29に備えられており、周回回転(周回動作)を行う。回転軸29には、トナー残量を検知するための、可撓性を有する検知マイラ351(第一部材)、検知マイラ352(第二部材)をそれぞれ備えている。検知マイラ352は、検知マイラ351の回転方向90度(所定の角度)後ろ側に配置されている。尚、この角度は90度に限定するものではない。すなわち、検知マイラ351と検知マイラ352を後述する静電容量センサIC33で検知した時間差と、検知マイラ352と検知マイラ351を静電容量センサIC33で検知した時間差とのそれぞれの時間差に、差ができるような角度であればよい。詳細は後述する図6のフローチャートの処理において説明する。また、検知マイラ351と検知マイラ352が接触しない角度であればよい。
【0019】
検知マイラ351、352は、汎用のマイラフィルムを使用している。本実施例では、検知マイラ351と352の厚さを、例えばそれぞれ150μm、75μmとしている。検知マイラ351、352の厚さを変えることで撓み量の差を実現しており、従って、検知マイラ352は、検知マイラ351より撓み量が大きい。尚、例えば検知マイラ352、351の材質を異ならせることにより検知マイラ352の撓み量の方が大きくなるように構成する等、検知マイラ352の撓み量が検知マイラ351の撓み量より大きくなる構成であればよい。また、検知マイラ351、352のそれぞれの周方向(回転軸の方向に直交する方向)の先端付近に、導電性の被検知電極361(第一電極)、被検知電極362(第二電極)をそれぞれ備えている。
【0020】
また、図2(a)で示している静電容量センサ基板331は、以下のものを備える。本体101に備えている静電容量センサ基板331は、静電容量センサIC33(出力手段)と静電容量センサIC33の周辺回路部品(不図示)が搭載されている。本実施例での静電容量センサIC33は、例えば静電容量センサ電極による静電容量と基準電極による静電容量の差分を用いて、静電容量センサ電極による静電容量の変化の検知を行う。静電容量センサ基板331には、銅箔パターンで静電容量センサ電極321(第三電極)と基準電極320が形成されている。現像ユニットの外装の底面は、プロセスカートリッジ5を本体101へ装着した際に、静電容量センサ電極321に近接する。この状態において、検知マイラ351、352に配設された被検知電極361又は362が静電容量センサ電極321に近接することによって生じる静電容量の変化を静電容量センサIC33で検知する。尚、静電容量センサIC33や周辺回路は、静電容量が検知できるものであれば良く、アナログ集積回路でも代用可能である。また、本実施例では、静電容量センサ電極321を本体101に備えている静電容量センサ基板331に成形しているが、現像ユニットの壁面付近にあればよく、例えば現像ユニット壁面に静電容量センサ電極321を直接成形しても良い。その場合、静電容量センサ基板331と静電容量センサ電極321に電気的接点を設けて、プロセスカートリッジ5を本体101へ装着した際に接続すると良い。
【0021】
図2(b)は、検知マイラ351と被検知電極361の位置関係を表す斜視図である。検知マイラ352、被検知電極362についても同様の構成である。被検知電極361、362の周方向(回転軸29に直交する方向)の長さは、30mmである。検知マイラ351、352及び被検知電極361、362の回転軸29の軸方向(長手方向)の長さは、少なくとも静電容量センサIC33の検知面を覆う長さであれば良い。尚、周方向の長さについて、本実施例では、検知マイラ352は検知マイラ351よりも長い構成とする。検知マイラ351の周方向の長さは、トナー容器23の側壁面に接触する程度の長さに設定し、一方検知マイラ352の周方向の長さは、プロセスカートリッジ5の底面に接触する長さに設定する。ただし、検知マイラ351と検知マイラ352は、トナーの攪拌中に夫々のマイラ間で接触しない長さに設定する。攪拌マイラ34は、プロセスカートリッジ5内のトナーを十分に攪拌するような長さに設定する。また、攪拌マイラ34と検知マイラ352は、図2(a)では約180度の角度で配置されており、攪拌マイラ34によるトナーの攪拌後、トナーの状態がある程度安定してから検知マイラ352の検知を行うような構成である。すなわち、攪拌マイラ34によるトナーの攪拌後にトナーがある程度安定した状態で検知マイラ352の被検知電極362の検知が行える配置であればよく、角度を180度に限定するものではない。検知マイラ352は、検知マイラ351の回転方向90度後ろ側に配置され、検知マイラ351より柔らかい部材であるとしたものの、この配置又は材質や厚みに限定されるものではない。
【0022】
[トナー残量検知の回路図]
図3は、本実施例のトナー残量検知の回路図である。バイパスコンデンサ46は、静電容量センサIC33のアナログ電源端子AVDDのノイズを除去するためのものである。また、バイパスコンデンサ47は、静電容量センサIC33のデジタル電源端子DVDDのノイズを除去するためのものである。静電容量センサIC33のSREF端子には基準電極320が接続され、SIN端子には静電容量センサ電極321が接続されている。基準電極320と静電容量センサ電極321は、同じ面積の銅箔パターンである。静電容量センサIC33は、シリアル通信によりCPU40との間でデータの送受信を行う。CPU40は、静電容量センサIC33のSCL端子に通信同期用のクロック信号を出力する。一方、静電容量センサIC33は、SDA端子を介して、検知した静電容量の値に対応した8ビットの検知レベルのデータ(静電容量に関する情報)をCPU40へ出力する。尚、静電容量センサIC33の詳細な動作原理は、公知技術であるため省略する。
【0023】
[検知マイラの動作]
図4に、トナー残量が比較的多い場合と比較的少ない場合の検知マイラ351、352の動作について説明する。検知マイラ351、352が回転動作を行うと、図4(a)に示すように、トナー残量が比較的多い場合、検知マイラ351、352はそれぞれトナーの抵抗を受けて、図中矢印方向の回転方向後側に変形し、撓みながら回転動作を行う。このとき、検知マイラ351の撓み量に比べ検知マイラ352の撓み量は大きく、回転方向後側へ大きく変形する。この状態において、検知マイラ351が静電容量センサ電極321の検知面上に到達した時間と検知マイラ352が静電容量センサ電極321の検知面上に到達した時間との差(以降、時間差)は長い。一方で、図4(b)に示すように、トナー残量が比較的少なくなると、検知マイラ351の撓み量の減少に比べ、検知マイラ352の撓み量の減少が大きい。その結果として、検知マイラ351が静電容量センサ電極321の検知面上に到達してから検知マイラ352が静電容量センサ電極321の検知面上に到達するまでの時間差は短くなる。この原理を使って、トナー残量を検知する。
【0024】
[トナー残量検知の特性]
図5を用いて本実施例のトナー残量の検知特性を説明する。上述したように、静電容量センサIC33は、検知した静電容量の値に対応する8ビットのデータをCPU40へ出力している。本実施例では、静電容量センサIC33がCPU40へ出力した8ビットのデータを10進数の検知レベルとして表示して説明をする。図5(a)は、トナー残量(%)と静電容量センサIC33で検知した検知マイラ351と検知マイラ352の時間差(ミリ秒(msec))の特性グラフである。図4で説明したように、トナー残量が多いほど時間差が長く(大きく)、トナー残量が少ないほど時間差が短い(小さい)。これにより、時間差を計測することでトナー残量を検知することができる。図5(b)は、トナー残量が65%のときの波形データであり、横軸は時間(msec)、縦軸は静電容量センサIC33の検知レベルである。検知マイラ351を検知した時間と検知マイラ352を検知した時間の時間差(msec)が390ミリ秒(msec)であることがわかる。
【0025】
図5(c)は、時間差とトナー残量とを対応付けたテーブルTである。テーブル数値の間のトナー残量は、既知の線形補間を行い算出する。ここで、計測された時間は、本実施例における値であるため、条件が変われば計測される時間も変わる。トナー残量を判断するテーブルTの数値も同様である。テーブルTの情報は、予め記憶部のROMやプロセスカートリッジ5に設けられたROMに工場にて書き込まれて出荷される。そして、プロセスカートリッジ5に設けられたROMに書き込まれたテーブルTの情報は、プロセスカートリッジ5が本体101に装着されたときに、CPU40によって読み出され、制御基板80の記憶部のRAMに格納される。後述する実施例2、3においても、テーブル情報はこれらの方法によって記憶部のROMやRAMに記録されるものとする。尚、前述したテーブル情報を出荷時に記録しておく方法は一例であり、これに限定されるものではない。
【0026】
[トナー残量検知のフローチャート]
本実施例のトナー残量を検知する処理を図6のフローチャートを用いて説明する。以降の実施例におけるフローチャートも同様に、これらのフローチャートの処理は、CPU40により行われる。しかしながら、これに限定されず、例えば特性用途向けの集積回路(ASIC)が画像形成装置に実装されている場合には、それにいずれかのステップの機能を持たせても良い。ステップ(以下、Sとする)101でCPU40は、検知マイラ351及び検知マイラ352を回転動作させる。本実施例では、1回転の時間を約1秒(sec)としている。S102でCPU40は、図3で示した回路を用いて静電容量センサIC33とシリアル通信して静電容量センサIC33の検知レベルの読み取りを開始する。また、CPU40は、検知レベルの読み取りとともに、不図示のタイマαをリセットして、静電容量センサIC33の検知レベルの読み取りを開始してからの時間の計測も開始する。
【0027】
S103からS105でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルの初期値の算出を行う。まず、S103でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルの仮の初期値(以降、仮初期値という)の設定を行う。CPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルの読み取り(以下、モニタともいう)を開始してから検知レベルを複数点測定し、例えば不図示のRAM等のメモリに測定した複数のデータを格納する。CPU40は、メモリに格納した複数のデータより静電容量センサIC33の検知レベルの平均値を算出し、この平均値を仮初期値とする。本実施例では、例えば10点測定を行い、平均値を算出している。ただし、10点測定の平均値は1つの実施例であり、これに限定するものではない。また、CPU40は、仮初期値を算出するとともに、不図示のタイマβをリセットしてタイマβによる時間の計測を開始する。
【0028】
S104でCPU40は、S103で算出した仮初期値が確かな値であるか否か、すなわち仮初期値が安定した基準レベルであり初期値として適格か否かの判断を行う。CPU40は、S103に続き静電容量センサIC33の検知レベルをモニタする。例えばCPU40は、得られた静電容量センサIC33の検知レベルが一定の範囲内に収まっていることにより、算出した仮初期値が安定した基準レベルであると判断する。本実施例では、例えば、モニタしている静電容量センサIC33の検知レベルが、タイマβを参照して0.3秒(sec)間、仮初期値±10%の範囲にあることを判断基準としている。S104でCPU40は、モニタしている静電容量センサIC33の検知レベルが0.3秒間、仮初期値±10%以内であると判断した場合、S105で、S103で算出した仮初期値を初期値として設定する。S105で設定した初期値は、以降に説明する別のタイマの閾値を算出するために使用する。
【0029】
一方S104でCPU40は、モニタしている静電容量センサIC33の検知レベルが0.3秒間仮初期値±10%の範囲にないと判断した場合、S117でエラーの判断を行う。本実施例では、静電容量センサIC33の検知レベルのモニタを開始し始めてから、すなわちタイマαを参照して読み取りを開始してから2.0秒以上経過したか否かでエラーの判断を行う。S117でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルの読み取りを開始してから2.0秒未満であると判断した場合は、S103で算出した仮初期値をリセットし、S103〜S105の処理を行い、もう一度仮初期値の算出を行う。一方、S117でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルの読み取りを開始してから2.0秒以上経過したと判断した場合は、S118で、何らかの異常と判断し、ビデオコントローラ42へ報知する。
【0030】
次に、S106からS109では、2つの検知マイラのうち、検知マイラ351を検知したか否かを判断する。これはトナー残量を判断するテーブルTが、検知マイラ351を検知した時間から検知マイラ352を検知した時間に基づいているためである。検知マイラ351を必ず検知する方法として、検知マイラの1周期のうち、1つ目の立ち上がり閾値を検知した時間から2つ目の立ち上がり閾値を検知した時間と、2つ目の立ち上がり閾値を検知した時間から3つ目の立ち上がり閾値を検知した時間とを比較する。本実施例の構成では、時間の差が長い方が検知マイラ352を検知した時間から検知マイラ351を検知した時間にあたる。CPU40は不図示のタイマAを用いて、立ち上がり閾値間の時間を計測し、計測した時間が所望の時間であるかどうかを比較することで、検知マイラ351を検知することができる。
【0031】
S106でCPU40は、タイマAをリセットした後、スタートさせて、時間の計測を開始する。S107でCPU40は、検知マイラ(351、352のいずれか)に備えられている被検知電極(361、362のいずれか)と静電容量センサ電極321との間の静電容量が立ち上がり閾値以上に変化し始めるタイミングを検知する。ただし、この段階では、検知したタイミングが検知マイラ351であるか検知マイラ352であるかは判断できない。本実施例では、静電容量センサIC33の検知レベルの立ち上がり閾値を、S105で決定した初期値+30%としている。この立ち上がり閾値を上回ったタイミングをいずれかの検知マイラが静電容量センサ電極321の検知面上に到達したタイミングと判断している。S107でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルが立ち上がり閾値(初期値+30%)以上であると判断した場合は、タイマAをストップさせる。
【0032】
一方、S107で静電容量センサIC33の検知レベルが立ち上がり閾値未満であると判断した場合は、S119でエラーの判断を行う。本実施例では、タイマAがスタートし始めてから2.0秒以上経過したか否かでエラーの判断を行う。S119でCPU40は、タイマAが2.0秒以上経過していないと判断した場合は、S107の処理に戻り、静電容量センサIC33の検知レベルのモニタを続ける。一方、S107でCPU40は、タイマAがスタートし始めてから2.0秒以上経過したと判断した場合は、S120の処理に進む。S120でCPU40は、被検知電極361の未検知や静電容量センサIC33の故障、CPU40と静電容量センサIC33間の通信異常などの何らかの異常と判断して、ビデオコントローラ42へ報知する。
【0033】
S108でCPU40は、S107で検知したタイミングが、検知マイラ351が静電容量センサ電極321の検知面上に到達したタイミングであるか否かを判断する。CPU40は、ストップしたタイマAの値を読み込み、タイマAの値が予め決められた特定の範囲に入っているか否かを判断する。本実施例では、特定の範囲を例えば450ミリ秒(msec)以上650ミリ秒以下とした。例えば450ミリ秒未満となった場合、静電容量センサIC33で検知したものが、検知マイラ351なのか検知マイラ352なのかが判断できない。予め決められた特定の範囲(時間)とは、検知マイラ351から検知マイラ352までの配置距離を1回転の回転速度で割った値以上にし、また、1回転の時間より小さい値以下にする必要がある。S108でCPU40は、タイマAの値が特定の範囲内であると判断した場合、検知マイラ351が静電容量センサ電極321の検知面上に到達した、すなわち検知マイラ351を検知したと判断する。
【0034】
一方、S108でCPU40は、タイマAの値が特定の範囲内ではないと判断すると、検知マイラ351を検知できなかったと判断する。この場合CPU40は、S106の処理に戻り、タイマAをリセットしてもう一度検知マイラ351を検知するために、静電容量センサIC33の検知レベルをモニタし始める。S109でCPU40は、検知マイラ351の被検知電極361と静電容量センサ電極321との間の静電容量が立ち上がり閾値以上に変化したタイミングからタイマBをスタートさせて、時間の計測を開始する。タイマBは、検知マイラ351を検知したタイミングと検知マイラ352を検知したタイミングの時間差を計測するためのタイマである。
【0035】
次に、S110からS111では、検知マイラ351が通過したことを検知する。S110でCPU40は、検知マイラ351の被検知電極361と静電容量センサ電極321との間の静電容量が立ち下がり閾値以下に変化したタイミングを検知する。本実施例では、例えば検知レベルの立ち下がり閾値をS105で決定した初期値+20%としている。また、この立ち下がり閾値を下回ったタイミングが、検知マイラ351が静電容量センサ電極321の検知面上を通過したタイミングであると判断している。S110でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルが立ち下がり閾値(初期値±20%)以下ではないと判断した場合は、S121でエラーの判断を行う。本実施例では、S121でCPU40は、タイマBがスタートし始めてから2.0秒未満であると判断した場合は、S110の処理に戻り、静電容量センサIC33のモニタを続ける。一方S121でCPU40は、タイマBがスタートし始めてから2.0秒以上経過したと判断した場合は、S122の処理に進む。S122でCPU40は、被検知電極361の故障や静電容量センサIC33の故障、CPU40と静電容量センサIC33間の通信異常などの何らかの異常と判断して、ビデオコントローラ42へ報知する。ここで立ち上がりの閾値を初期値+30%として、立ち下がりの閾値を初期値+20%とした理由は、ヒステリシスを持たせ、ノイズによる誤動作を防止するためである。S111でCPU40は、検知マイラ351が静電容量センサ電極321の検知面上を通過したことを検知する。
【0036】
次に、S112からS113では、検知マイラ352が静電容量センサ電極321の検知面上に到達したタイミングを検知する。S112でCPU40は、検知マイラ352の被検知電極362と静電容量センサ電極321との間の静電容量が立ち上がり閾値以上に変化したタイミングを検知する。本実施例では、検知レベルの立ち上がり閾値を初期値+30%としている。この立ち上がり閾値以上となったタイミングを検知マイラ352が静電容量センサ電極321の検知面上に到達したタイミングと判断している。S112でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルが立ち上がり閾値以上であると判断した場合は、S113の処理に進む。S112でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルが立ち上がり閾値未満であると判断した場合は、S123で、エラーの判断を行う。S123、S124の処理は、S121、S122の処理と同様であるため説明を省略する。S113でCPU40は、検知マイラ352の被検知電極361と静電容量センサ電極321との間の静電容量が立ち上がり閾値以上に変化したタイミングでタイマBをストップさせる。
【0037】
S114でCPU40は、タイマBの値を読み込む。S115でCPU40は、タイマBとテーブルTとを比較して値を照合する。テーブルTとは、図5(c)示すように時間差(msec)に対応したトナー残量(%)が一対になっている表である。例えば、図5(b)の場合、時間差は390ミリ秒であり、テーブルTからトナー残量が60%であることが検知できる。CPU40は、上述したようにテーブル間の値についてはテーブルTに基づいて線形補間により算出した値と照合してトナー残量を判断する。S116でCPU40は、S115で判断したトナー残量(%)を本体のビデオコントローラ42へ通知する。
【0038】
ここでは、トナー残量の検知シーケンス内に検知マイラを回転動作させることを記載したが、画像形成動作中などで検知マイラが回転していれば、トナー残量を検知することができる。また、トナー残量を検知する前に、数回回転させて、検知マイラの回転状態が安定した状態からトナー残量の検知を開始しても良い。さらに本実施例では、1回の測定結果(S114でのタイマBの値)を基にトナー残量を算出したが、複数回測定し、その平均値からトナー残量を判断することで、より精度を向上させることができる。ここで定義した立ち下がり閾値や立ち上がり閾値、タイマAの値、エラー判断時間は、本構成における1つの実施例である。これらの構成は、検知マイラ351、352の配置や検知マイラの回転速度、回路定数、静電容量センサの検知レベルなどを総合的に考慮して決められるため、これに限定されるものではない。
【0039】
本実施例において、S106からS109の処理で、検知マイラ351を検知し、その後検知マイラ352を検知するシーケンスを示した。しかしながら、以下の方法でも代用することが可能である。静電容量センサIC33で検知した検知レベルが、立ち上がり閾値以上に変化したタイミングを3つ検知する。1つ目のタイミングから2つ目のタイミングの時間差と2つ目のタイミングから3つ目のタイミングの時間差を算出する。本実施例では、2つの時間差のうち、値が小さい方が検知マイラ351から検知マイラ352の時間差と判断することができる。この時間差によって、テーブルTと照合し、トナー残量を判断する。これにより、シーケンスを簡単にすることができる。
【0040】
また、本実施例において、それぞれの検知マイラ351、352に備えられている被検知電極361、362と静電容量センサ電極321との間の静電容量が立ち上がり閾値以上に変化し始めるそれぞれの時間の差分に基づいてトナー残量を判断した。しかしながら、それぞれの検知マイラ351、352に備えられている被検知電極361、362と静電容量センサ電極321との間の静電容量が立ち下がり閾値以下に変化し始めるそれぞれの時間の差分に基づいてトナー残量を判断してもよい。また、被検知電極361と静電容量センサ電極321との間の静電容量が立ち上がり閾値以上に変化し始める時間から被検知電極362と静電容量センサ電極321との間の静電容量が立ち下がり閾値以下に変化し始める時間に基づいてトナー残量を判断してもよい。この結果として、検知マイラ352が静電容量センサ電極321の検知面上を通過し終わる時間も考慮することができるため、より高精度にトナー残量を検知することができる。
【0041】
さらに、本実施例において、検知マイラ351に備えられた被検知電極361を検知マイラ351の周方向の先端付近に配置した。しかしながら、被検知電極361を回転軸29付近(回転軸側)に配置することで、検知マイラ351が可撓性を有しながらも、トナー残量によらず一定の間隔で検知マイラ351を検知することができる。検知マイラ352によって検知される時間との差分を算出することで、検知マイラ352の撓み量をより正確に検知することができるため、より高精度にトナー残量を検知することができる。
【0042】
このように、検知マイラ351が静電容量センサ電極321の検知面上に到達したタイミングから検知マイラ352が静電容量センサ電極321の検知面上に到達したタイミングまでの時間差に基づいて、トナー残量を判断する。これにより、トナーが満載から空になるまで逐次トナーの残量検知ができる。また、静電容量センサは、検知マイラの接近に応じて静電容量が変化するため、検知時間の高速化と画像形成動作と同時に行うことが可能である。さらに、検知マイラの撓みは、高速で回転していてもトナー残量に応じて安定しているため、トナー残量を逐次検知することができる。
【0043】
以上本実施例によれば、トナーが満載状態から空になるまで逐次トナーの残量を検知でき、かつ高速で攪拌部材が動作しているときでも、トナーの残量を精度良く検知することができる。
【実施例2】
【0044】
実施例1では、検知マイラ351は可撓性を有しており、トナー28の抵抗によって撓む。本実施例では、攪拌棒261を備え、攪拌棒261は、高い剛性を有し、トナー28を攪拌する機能も有する。尚、本実施例の画像形成装置の構成は、プロセスカートリッジ5を除き実施例1の図1で説明した構成と同様であるため説明を省略する。
【0045】
[プロセスカートリッジの構成]
図7を用いて本実施例におけるプロセスカートリッジについて説明する。図7は、本実施例におけるプロセスカートリッジと静電容量センサ基板の断面図である。本実施例のプロセスカートリッジ5のトナー容器23には、各色に対応したトナー28(不図示)と、トナー28をトナー補給ローラ12へ供給する攪拌棒261とを備えている。攪拌棒261は、回転軸29を中心として回転運動し、トナー28を攪拌する。別の回転軸29には、トナー残量を検知するための攪拌棒261及び検知マイラ352を備えている。攪拌棒261は、高い剛性を有し、トナー28の抵抗によらず、一定に回転動作を行うものである。検知マイラ352は、攪拌棒261の回転方向90度後ろ側に配置され、可撓性を有している。また、攪拌棒261は導電性を持った部材を用いている。検知マイラ352の周方向の先端付近に、導電性の被検知電極362を備えている。
【0046】
トナー容器23内のトナー残量を検知する静電容量センサIC33等を備えた静電容量センサ基板331を、攪拌棒261及び検知マイラ352の周方向の現像ユニットの外壁付近に備える。静電容量センサ電極321は、プロセスカートリッジ5を本体101へ装着した際にトナー容器23の外装に近接する。この状態において、現像ユニット内に備えられた攪拌棒261又は被検知電極362によって生じる静電容量を静電容量センサIC33で検知する。本実施例における回路図は、実施例1で説明した図3と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0047】
フローチャート及び検知特性は、実施例1の図5及び図6と同様である。尚、本実施例の攪拌棒261は、実施例1の検知マイラ351及び被検知電極361に相当する。このため、例えば図6のフローチャートのS109における検知マイラ351は本実施例では攪拌棒261に読み替えるものとする。攪拌棒261は、高い剛性を有しているため、トナー28の抵抗によらず、一定に回転する。そのため、トナー残量にかかわらず一定回転するため、静電容量センサIC33で検知される時間は、常に一定間隔となる。よって、攪拌棒261及び検知マイラ352によって検知されるそれぞれの時間の差分すなわち時間差を算出することで、検知マイラ352の撓み量をより正確に検知することができるため、より高精度にトナー残量を検知することができる。
【0048】
以上本実施例によれば、トナーが満載状態から空になるまで逐次トナーの残量を検知でき、かつ高速で攪拌部材が動作しているときでも、トナーの残量を精度良く検知することができる。
【実施例3】
【0049】
実施例1では、静電容量センサIC33が2つの検知マイラを検知したタイミングの時間差でトナー残量を検知している。これに対して、本実施例では、静電容量センサIC33が検知する静電容量の変化を検知して、トナー残量を検知する。まず、本実施例のカラーレーザプリンタについて説明する。本実施例の画像形成装置及びプロセスカートリッジ、回路図は、実施例1で説明した図1、図2、図3と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0050】
[トナー残量検知の特性]
図8を用いて本実施例におけるトナー残量の検知特性を説明する。図8(a)は、トナー残量(%)と静電容量センサIC33で検知した検知マイラ351と検知マイラ352のそれぞれの検知レベルの差(検知レベル差)の特性グラフである。トナー残量が多いほど検知レベル差が小さく、トナー残量が少ないほど検知レベル差が大きい。これにより、検知レベル差を算出することでトナー残量を検知することができる。図8(b)は、トナー残量が10%のときの波形データである。本実施例では、静電容量センサIC33が検知マイラ351に備えられた被検知電極361と検知マイラ352に備えられた被検知電極362を検知した検知レベルの平均値をそれぞれ算出する。そして、それぞれ算出した検知レベルの平均値の差(すなわち、検知レベル差)を用いて、トナー残量を判断する。図8(b)では、検知マイラ351の検知レベルの平均値Aは195であり、検知マイラ352の検知レベルの平均値Bは210であり、検知レベルの平均値の差すなわち検知レベル差が15であることがわかる。図8(c)は、検知レベル差とトナー残量とを対応付けたテーブルNである。テーブル数値の間のトナー残量は、既知の線形補間を行い算出する。ここで、算出された検知レベル値は、本実施例における値であるため、条件が変われば算出される検知レベル差の値も変わる。トナー残量を判断するテーブルの数値も同様である。
【0051】
[トナー残量検知のフローチャート]
本実施例のトナー残量を検知するシーケンスを図9のフローチャートを用いて説明する。S201〜S205、S215、S216は実施例1の図6のS101〜S105、S117、S118と同様の処理であるため説明を省略する。S206でCPU40は、検知マイラ351又は検知マイラ352を検知する。S206でCPU40は、検知マイラ351の被検知電極361又は検知マイラ352の被検知電極362と静電容量センサ電極321との間の静電容量の検知レベルが立ち上がり閾値以上に変化し始めるタイミングを検知する。本実施例では、検知レベルの立ち上がり閾値をS205で決定した初期値+30%としている。この立ち上がり閾値以上となったタイミングを検知マイラ351又は検知マイラ352が静電容量センサ電極321の検知面上に到達したタイミングであると判断している。S206でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルが立ち上がり閾値以上であると判断した場合、S207の処理に進む。一方、S206でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルが立ち上がり閾値未満であると判断した場合は、S217でエラーの判断を行う。S217、S218の処理はS215、S216の処理と同様であるため説明を省略する。
【0052】
次に、S207からS208でCPU40は、検知マイラ351又は検知マイラ352の検知レベルの平均値の算出及び検知マイラ351又は検知マイラ352が通過したことを検知する。S207でCPU40は、モニタしている静電容量センサIC33の検知レベルを複数点測定し、例えば不図示のメモリに格納する。このとき、CPU40は得られた測定データ数もメモリに記憶しておき、複数の測定データと測定データ数とから平均値Aを算出する。S208でCPU40は、検知マイラ351の被検知電極361又は検知マイラ352の被検知電極362と静電容量センサ電極321との間の静電容量の検知レベルが立ち下がり閾値以下に変化したタイミングを検知する。本実施例では、静電容量センサIC33の検知レベルの立ち下がり閾値を、S205で決定した初期値+20%としている。CPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルが立ち下がり閾値以下となったタイミングを検知マイラ351又は検知マイラ352が静電容量センサ電極321の検知面上を通過したタイミングであると判断している。S208でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルが立ち下がり閾値以下であると判断すると、モニタは終了となり、平均値Aが確定し、S209の処理に進む。S208でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルが立ち下がり閾値以下ではないと判断した場合は、S219でエラーの判断を行う。S219、S220の処理は、S215、S216の処理と同様であるため説明を省略する。尚、立ち上がりの閾値及び立ち下がりの閾値の設定については実施例1と同様であり説明を省略する。
【0053】
次に、S209では、検知マイラ352又は検知マイラ351を検知する。S206で検知マイラ351を検知していたとすればS209では検知マイラ352を、S206で検知マイラ352を検知していたとすればS209では検知マイラ351を、それぞれ検知することとなる。S209でCPU40は、検知マイラ352の被検知電極362又は検知マイラ351の被検知電極361と静電容量センサ電極321との間の静電容量の検知レベルが立ち上がり閾値以上か否かを判断する。本実施例では、検知レベルの立ち上がり閾値をS205で決定した初期値+30%としている。CPU40は、この立ち上がり閾値を上回ったタイミングを検知マイラ352又は検知マイラ351が静電容量センサ電極321の検知面上に到達したタイミングであると判断している。S209でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルが立ち上がり閾値以上であると判断した場合、S210の処理に進む。一方、S209でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルが立ち上がり閾値以上ではないと判断した場合、S221の処理に進む。S221、S222の処理は、S215、S216の処理と同様であるため説明を省略する。
【0054】
次に、S210からS211でCPU40は、検知マイラ352又は検知マイラ351の検知レベルの平均値の算出及び検知マイラ352又は検知マイラ352が通過したことを検知する。S210でCPU40は、モニタしている静電容量センサIC33の検知レベルを複数点測定し、例えば不図示のメモリに格納する。このとき、CPU40は得られた測定データ数もメモリに記憶しておき、複数の測定データと測定データ数とから平均値Bを算出する。S211でCPU40は、検知マイラ352の被検知電極362又は検知マイラ351の被検知電極361と静電容量センサ電極321との間の静電容量の検知レベルが立ち下がり閾値以下か否かを判断する。本実施例では、静電容量センサIC33の検知レベルの立ち下がり閾値を初期値+20%としている。この立ち下がり閾値を下回ったタイミングを検知マイラ352又は検知マイラ351が静電容量センサ電極321の検知面上を通過したタイミングであるとしている。S211でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルが立ち下がり閾値以下であると判断した場合に、静電容量センサIC33の検知レベルのモニタは終了となり、平均値Bが確定し、S212の処理に進む。S211でCPU40は、静電容量センサIC33の検知レベルが立ち下がり閾値以下ではないと判断した場合、S223でエラーの判断を行う。S223、S224の処理はS215、S216の処理と同様であるため説明を省略する。また、立ち上がり閾値及び立ち下がり閾値の設定については実施例1と同様であり説明を省略する。
【0055】
S212でCPU40は、S207で算出した平均値AとS210で算出した平均値Bから、検知マイラ間の検知レベル差を算出する。本実施例では、平均値Aと平均値Bの差の絶対値を算出する。例えば、図8(b)の場合、平均値A−平均値B=195−210であり、その絶対値は15となる。S213でCPU40は、S212で算出した検知レベル差とテーブルNとを照合する。テーブルNとは、検知レベル差に対応したトナー残量が一対になっている表で例えば図8(c)に示すような表である。CPU40は、テーブルNと値を照合して、トナー残量を判断する。例えば図8(b)の場合、検知レベル差の絶対値は15であり、図8(c)のテーブルNから、トナー残量が10%であることがわかる。尚、上述したようにテーブルNの数値間は既知の線形補間を行い算出する。S214でCPU40は、判断されたトナー残量をビデオコントローラ42へ通知する。
【0056】
このように本実施例では、それぞれの検知マイラ351、352に備えられている被検知電極361、362と静電容量センサ電極321との間のそれぞれの静電容量の検知レベルの差に基づいて、トナー残量を判断する。これにより、トナーが満載状態から空になるまで逐次トナーの残量検知ができる。また、静電容量センサICは、検知マイラの接近に応じて静電容量の検知レベルが変化するため、検知時間の高速化と画像形成動作と同時に行うことが可能である。さらに、検知マイラの撓みは、高速で回転していてもトナー残量に応じて安定しているため、トナー残量を逐次検知することができる。
【0057】
以上本実施例によれば、トナーが満載状態から空になるまで逐次トナーの残量を検知でき、かつ高速で攪拌部材が動作しているときでも、トナーの残量を精度良く検知することができる。
【実施例4】
【0058】
実施例3では、検知マイラ351は可撓性を有しており、トナー28の抵抗によって撓む。本実施例では、攪拌棒261を備え、攪拌棒261が検知マイラ351に相当し、攪拌棒261は、高い剛性を有し、トナー28を攪拌する機能も有する。尚、本実施例の画像形成装置の構成は、プロセスカートリッジ5を除き実施例1の図1で説明した構成と同様であるため説明を省略する。本実施例の構成は、実施例2で示した図7のプロセスカートリッジを使用し、トナー残量を検知するシーケンスは、図9で示したフローチャートを使用する。尚、図9のフローチャートの説明においては、検知マイラ351を攪拌棒261に読み替えるものとする。また、検知特性も、実施例3で説明した図8と同様である。攪拌棒261は、高い剛性を有しているため、トナー28の抵抗によらず、一定に回転する。そのため、トナー残量にかかわらず一定回転するため、静電容量センサIC33で検知される検知レベルは、一定となる。よって、攪拌棒261及び検知マイラ352によって検知されるそれぞれの検知レベルの差分を算出することで、検知マイラ352の撓みによる検知レベル差をより正確に検知することができるため、より高精度にトナー残量を検知することができる。
【0059】
以上本実施例によれば、トナーが満載状態から空になるまで逐次トナーの残量を検知でき、かつ高速で攪拌部材が動作しているときでも、トナーの残量を精度良く検知することができる。
【0060】
[その他の実施例]
実施例1〜4では、理解し易いように1回の検知でテーブルを参照するような説明をしている。しかし、複数回のデータを平均化した後に、それぞれのテーブルを参照するような制御にすることで、さらに検知精度をあげることが期待できる。
【0061】
また、実施例1〜4にでは、現像ユニット内に2つの検知マイラを配置する構成を示した。しかし、3つ以上の検知マイラを配置することで、より高精度にトナー残量を検知することができる。
【0062】
また、実施例1〜4では、現像ユニットが一体構成の例を挙げた。しかし、現像ローラとトナー容器が別体となった補給系のトナー容器においても、トナー容器の内部に被検知電極と検知マイラを設けることにより、本発明が適用可能である。
【0063】
以上その他の実施例においても、トナーが満載状態から空になるまで逐次トナーの残量を検知でき、かつ高速で攪拌部材が動作しているときでも、トナーの残量を精度良く検知することができる。
【符号の説明】
【0064】
321 静電容量センサ電極
33 静電容量センサIC
351 検知マイラ
352 検知マイラ
361 被検知電極
362 被検知電極
40 1チップマイクロコンピュータ(CPU)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収納する着脱可能な現像ユニットと、
第一電極を有し、前記現像ユニット内の回転軸を中心に周回動作する第一部材と、
第二電極を有し、前記第一部材の回転軸に前記第一部材と所定の角度をなすように設けられた第二部材と、
前記現像ユニットの外装に配設された第三電極と、
前記第一電極と前記第三電極との間又は前記第二電極と前記第三電極との間の静電容量を検知し、検知した静電容量に関する情報を出力する出力手段と、
前記出力手段により出力された前記情報に基づいて、前記現像ユニット内の現像剤の量を判断する判断手段と、
を備え、
前記判断手段は、前記出力手段が前記第一電極と前記第三電極との間の静電容量を検知した時間と、前記出力手段が前記第二電極と前記第三電極との間の静電容量を検知した時間との差に基づき現像剤の量を判断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
現像剤を収納する着脱可能な現像ユニットと、
第一電極を有し、前記現像ユニット内の回転軸を中心に周回動作する第一部材と、
第二電極を有し、前記第一部材の回転軸に前記第一部材と所定の角度をなすように設けられた第二部材と、
前記現像ユニットの外装に配設された第三電極と、
前記第一電極と前記第三電極との間又は前記第二電極と前記第三電極との間の静電容量を検知し、検知した静電容量に関する情報を出力する出力手段と、
前記出力手段により出力された前記情報に基づいて、前記現像ユニット内の現像剤の量を判断する判断手段と、
を備え、
前記判断手段は、前記出力手段が出力した前記第一電極と前記第三電極との間の静電容量に関する情報と、前記出力手段が出力した前記第二電極と前記第三電極との間の静電容量に関する情報と、の差に基づき現像剤の量を判断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記第一部材及び前記第二部材は、可撓性を有し、
前記第二部材は、前記第一部材に比べて撓み量が大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第一電極は、前記回転軸に直交する周方向の前記第一部材の先端に設けられ、
前記第二電極は、前記周方向の前記第二部材の先端に設けられることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第一電極は、前記回転軸に直交する周方向の前記第一部材の前記回転軸側に設けられ、
前記第二電極は、前記周方向の前記第二部材の先端に設けられることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第二部材は、可撓性を有し、前記第二電極が前記回転軸に直交する周方向の前記第二部材の先端に設けられ、
前記第一部材は、前記第一電極であり、前記第二部材に比べて剛性が高く、前記現像剤を攪拌する機能を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項1】
現像剤を収納する着脱可能な現像ユニットと、
第一電極を有し、前記現像ユニット内の回転軸を中心に周回動作する第一部材と、
第二電極を有し、前記第一部材の回転軸に前記第一部材と所定の角度をなすように設けられた第二部材と、
前記現像ユニットの外装に配設された第三電極と、
前記第一電極と前記第三電極との間又は前記第二電極と前記第三電極との間の静電容量を検知し、検知した静電容量に関する情報を出力する出力手段と、
前記出力手段により出力された前記情報に基づいて、前記現像ユニット内の現像剤の量を判断する判断手段と、
を備え、
前記判断手段は、前記出力手段が前記第一電極と前記第三電極との間の静電容量を検知した時間と、前記出力手段が前記第二電極と前記第三電極との間の静電容量を検知した時間との差に基づき現像剤の量を判断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
現像剤を収納する着脱可能な現像ユニットと、
第一電極を有し、前記現像ユニット内の回転軸を中心に周回動作する第一部材と、
第二電極を有し、前記第一部材の回転軸に前記第一部材と所定の角度をなすように設けられた第二部材と、
前記現像ユニットの外装に配設された第三電極と、
前記第一電極と前記第三電極との間又は前記第二電極と前記第三電極との間の静電容量を検知し、検知した静電容量に関する情報を出力する出力手段と、
前記出力手段により出力された前記情報に基づいて、前記現像ユニット内の現像剤の量を判断する判断手段と、
を備え、
前記判断手段は、前記出力手段が出力した前記第一電極と前記第三電極との間の静電容量に関する情報と、前記出力手段が出力した前記第二電極と前記第三電極との間の静電容量に関する情報と、の差に基づき現像剤の量を判断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記第一部材及び前記第二部材は、可撓性を有し、
前記第二部材は、前記第一部材に比べて撓み量が大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第一電極は、前記回転軸に直交する周方向の前記第一部材の先端に設けられ、
前記第二電極は、前記周方向の前記第二部材の先端に設けられることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第一電極は、前記回転軸に直交する周方向の前記第一部材の前記回転軸側に設けられ、
前記第二電極は、前記周方向の前記第二部材の先端に設けられることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第二部材は、可撓性を有し、前記第二電極が前記回転軸に直交する周方向の前記第二部材の先端に設けられ、
前記第一部材は、前記第一電極であり、前記第二部材に比べて剛性が高く、前記現像剤を攪拌する機能を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図7】
【図8】
【図9(a)】
【図9(b)】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図7】
【図8】
【図9(a)】
【図9(b)】
【公開番号】特開2012−226087(P2012−226087A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93147(P2011−93147)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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