説明

画像形成装置

【課題】交換されたプロセスユニットが新品であることを的確に判定することができる。
【解決手段】トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を用いた現像器を有するプロセススユニットが装置本体に対して交換可能になっており、プロセスユニットが交換される直前に、現像器に設けられたトナー濃度センサの出力が本体メモリに書き込まれる。プロセスユニットが交換されると、その時点で、トナー濃度センサの出力と、本体メモリに書き込まれたトナー濃度センサの出力とを比較し、両者が所定の差を有する場合に、交換されたプロセスユニットを新品と判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成のためのプロセス手段を少なくとも1つ含むプロセスユニットが装置本体に対して交換可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機等の電子写真方式の画像形成装置では、通常、回転可能になった感光体ドラムの表面を帯電器によって一様に帯電した後に、露光器によって感光体ドラムの表面を露光することにより画像データに対応した静電潜像を形成する。感光体ドラム上の静電潜像は、現像器によって静電潜像にトナーが付着されることによって現像されて、トナー画像が形成される。感光体ドラム上のトナー画像は、記録紙、OHPシート等の記録シートに転写した後に、定着装置において記録シートに定着される。
【0003】
このような電子写真方式の画像形成装置では、電子写真プロセスを実行するためのプロセス手段である感光体ドラム、現像器等が、画像形成動作(プリント動作)の実行によって消耗あるいは劣化する。
例えば、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を使用する現像器では、長時間の使用によってキャリアが劣化する。劣化したキャリアは、トナーを帯電させる能力が低下するために、トナーを所望の帯電状態とすることができなくなるおそれがある。トナーが帯電不足になると、トナー飛散、トナー画像におけるかぶり等が生じる可能性がある。
【0004】
キャリアの劣化がさらに進むと、現像剤を撹拌するスクリュー、現像剤を搬送する現像スリーブ等の軸受けに帯電不足のトナーが固着する場合がある。この場合には、固着したトナーによって現像器を駆動させることができなくなるおそれがある。
また、感光体ドラムも、回転時間が長くなると、表面の感光層が削れて帯電性が劣化するおそれがある。劣化した感光層は、帯電器によって所望の帯電電位にはならず、形成されるトナー画像にかぶりが発生する可能性がある。感光体ドラムの劣化がさらに進むと、感光層の電荷がリークするおそれもある。
【0005】
このために、感光体ドラム、現像器等のプロセス手段を、例えばプロセスユニットとして、交換可能に構成することが行われている。このような構成とすることにより、他の画像形成のための構成部品については交換することなく、プロセスユニットのみを交換することによって、劣化したプロセス手段を取り換えることができる。これにより、コストを削減することができる。
【0006】
交換可能に構成されたプロセスユニットの交換時期は、プロセスユニットに含まれるプロセス手段の物性、性能等を直接測定することが容易でないことから、通常、プリント枚数等に基づいて交換時期が設定されている。装置本体に装着されたプロセスユニットが交換時期に達すると、プロセスユニットを使用禁止状態として、新品(未使用)のプロセスユニットとの交換が指示される。
【0007】
この指示に基づいてプロセスユニットが交換されると、装置本体に装着されたプロセスユニットに含まれるプロセス手段に対して、新品のプロセス手段を、所望の状態とするための初期調整が実行され、その調整の後に、通常のプリント動作が実行される。
プロセスユニットの交換時におけるプロセス手段の初期調整は、通常、プロセス手段が未使用であることから、未使用のプロセス手段の物性、性能等の状態に関する指標値を検出して、検出された指標値に基づいて行われる。
【0008】
しかしながら、交換されたプロセスユニットが、未使用の新品ではなく、すでに使用された状態(旧品)になっていると、プロセスユニットに設けられたプロセス手段は、物性、性能等の状態が変化しており、このような状態変化が生じているにもかかわらず、状態変化が生じていないものとして初期調整が実行されることになる。この場合には、適切な状態で使用することができない可能性がある。
【0009】
例えば、2成分現像剤を使用する現像器では、キャリアの劣化によって新品に交換されると、現像器に設けられたトナー濃度センサの出力の初期調整が行われる。この場合、新品(未使用)の現像器内には、予め設定された所定のトナー濃度(例えば8%)の現像剤が収容されていることから、交換された時点でのトナー濃度センサの出力値が、上記のトナー濃度(8%)に対応するように必要とされる補正データが取得され、以後、取得された補正データに基づいてトナー濃度センサの出力が補正されるように調整される。
【0010】
このような初期調整が行われると、その後のプリント動作の実行時には、現像器内のトナー濃度が、トナー濃度センサの補正された出力に基づいて検出され、現像器内のトナー濃度が、交換当初(例えば8%)よりも低いトナー濃度(例えば6%)になるようにトナー補給制御が実行される。
しかしながら、交換された現像器が、新品でなく使用状態になった旧品の場合には、通常、現像器内のトナー濃度は、トナー補給制御が実行されることによって、新品(未使用)時におけるトナー濃度(8%)よりも低い値(6%程度)になっている。このような旧品の現像器に交換された場合に、トナー濃度センサの初期調整が実行されると、トナー濃度センサの出力は、現像器内のトナー濃度が6%であるにもかかわらず、8%程度に対応した出力に補正されることになる。
【0011】
このように、正しく初期調整されなかったトナー濃度センサを用いてトナー補給制御を実行すると、現像器内のトナーは、実際に制御すべき6%の濃度よりも低い濃度に制御されることになる。これにより、形成されるトナー画像は、濃度低下、キャリア付着等が生じて画質が低下するおそれがある。
このような問題は、現像器のみならず、他のプロセス手段を交換する場合にも生じる。例えば、プロセス手段である感光体ドラムが交換されると、通常、画像形成装置において画像安定化処理が行われ、帯電器による帯電電圧、露光器による露光量、現像器における現像バイアス電圧のそれぞれが、所望の状態になるように初期調整される。
【0012】
しかし、新たに装置本体に装着された感光体ドラムが、新品でなくて使用状態になった旧品の場合には、感光体ドラムの感光層が劣化していることにより、帯電器による帯電電圧、露光器による露光量のそれぞれは、感光層が劣化していない状態の場合とは異なっている。また、感光体ドラムとともに現像器も一体となって交換される場合には、現像バイアス電圧も、新品時とは異なる。
【0013】
このために、感光体ドラム等の交換時における初期調整によっては、帯電器による帯電電圧、露光器による露光量、現像器における現像バイアス電圧のそれぞれが、所望の状態に初期調整されないおそれがある。この場合には、プリント動作が実行されることによって、形成されるトナー画像の画質が低下するおそれがある。
特許文献1には、現像器を含むプロセスユニット(プロセスカートリッジ)が交換可能になったカラー画像形成装置において、プロセスユニットに設けられたメモリの記憶データと、装置本体内の記憶データとを比較することにより、装着されたプロセスユニットが新品でない使用品であることを検出して、装置本体内の記憶データを、使用品のプロセスユニットに対応した初期データに再設定を行う構成が開示されている。これにより、使用品であるプロセスユニットの初期調整を適切に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2000−56554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
プロセスユニットにメモリが設けられている場合、プロセスユニットが装置本体に装着されることによって、プロセスユニットに設けられたメモリ(以下、ユニットメモリとする)は、通常、装置本体に設けられた通信ラインによって、装置本体の制御部と通信可能な状態になる。
この場合、ユニットメモリの記録データが通信ラインによって制御部へ送信される間に、ノイズの影響等によって、データが変化するおそれがある。例えば、ユニットメモリの記憶データが、新品でない旧品の現像器を示す情報であるにもかかわらず、ノイズの影響等によって新品の現像器を示す情報に変化するおそれがある。
【0016】
この場合には、装置本体の制御部は、前述したように、旧品の現像器に対して、新品の現像器に対する初期調整を実行することになる。これにより、トナー濃度センサの出力、帯電電圧、露光量、現像バイアス電圧等を所望の値に初期調整することができず、プリント動作によって形成されるトナー画像の画質が低下するおそれがある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、交換されたプロセスユニットが新品であることを的確に判定することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、画像形成のためのプロセス手段を少なくとも1つ含むプロセスユニットが、装置本体に対して交換可能な画像形成装置であって、当該装置本体に装着されたプロセスユニットの使用による状態変化に関する指標値を検出する検出手段と、前記装置本体に設けられた不揮発性の本体メモリと、前記検出手段から所定のタイミングで検出された指標値を比較情報として前記本体メモリに書き込む書き込み手段と、プロセスユニットが装置本体に装着された時に前記検出手段にて検出された指標値を基準情報として前記比較情報と比較し、その比較結果に基づいて装着されたプロセスユニットが新品であるか否かを判定する判定手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る画像形成装置では、装置本体に対して新品のプロセスユニットに交換されたことを、プロセスユニットの使用による状態変化に対応した指標値に基づいて的確に検出することができる。従って、交換されたプロセスユニットの状態変化に関する指標値を、新品のプロセスユニットと同じ指標値に初期調整する場合に、その初期調整を適切に実行することができる。その結果、画像形成動作時に形成される画像の画質が低下することを防止することができる。
【0019】
好ましくは、前記判定手段によってプロセスユニットが新品であると判定された場合に、前記基準情報に基づいて、前記検出手段の指標値を、当該プロセスユニットが新品であるときの指標値に対応するように調整する調整手段を有することを特徴とする。
好ましくは、前記比較情報は、プロセスユニットの交換前の直近のタイミングで検出された指標値であって、前記判定手段は、基準情報と比較情報との差が所定値以上になっている場合に、装置本体に装着されたプロセスユニットを新品であると判定することを特徴とする。
【0020】
好ましくは、前記書き込み手段は、プロセスユニットが新品であると判定されると、当該判定時における基準情報を比較情報として前記本体メモリに書き込み、前記判定手段は、前記本体メモリに書き込まれた前記比較情報と、交換されたプロセスユニットに対する指標値である基準情報との差が所定値よりも小さい場合に、当該交換されたプロセスユニットを新品であると判定することを特徴とする。
【0021】
好ましくは、前記プロセスユニットは、当該プロセスユニットが新品か旧品であるかを示す情報を記憶する不揮発性のユニットメモリを有しており、前記装置本体は、前記ユニットメモリに新品を示す情報が記憶されていても、前記判定手段によってプロセスユニットが新品でないと判定された場合に、前記ユニットメモリに記憶された情報を、新品でないことを示す情報に書き換える書き換え手段を有することを特徴とする。
【0022】
好ましくは、前記プロセスユニットは、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を用いた現像器を含み、当該現像器が、内部に収容された現像剤のトナー濃度を検出するトナー濃度検出手段を前記検出手段として有することを特徴とする。
好ましくは、前記プロセスユニットは感光体を含み、前記検出手段は、画像安定化処理により得られる、前記感光体の帯電電位に関する情報を指標値として検出することを特徴とする。
【0023】
好ましくは、前記プロセスユニットは感光体を含み、前記検出手段は、画像安定化処理により得られる、前記感光体に静電潜像を形成するための露光量に関する情報を指標値として検出することを特徴とする。
好ましくは、前記プロセスユニットが現像器を含み、前記検出手段は、画像安定化処理により得られる、現像バイアス電圧に関する情報を指標値として検出することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるタンデム型カラープリンタの構成を説明するための模式図である。
【図2】そのプリンタに設けられたプロセスユニットの構成を説明するための横断面図である。
【図3】(a)は、プロセスユニットの外観を示す斜視図、(b)は、そのプロセスユニットを、(a)に示す方向とは逆方向から見た場合の斜視図である。
【図4】そのプロセスユニットの現像器におけるトナー濃度と、当該現像器に設けられたトナー濃度センサの出力周波数との関係を示すグラフである。
【図5】新品のプロセスユニットが画像形成部に装着されてから寿命に達するまでのプリント枚数に対する現像器内のトナー濃度の変化を示すグラフである。
【図6】プリンタの制御系の構成を示すブロック図である。
【図7】プロセスユニットに設けられたユニットメモリの構成を説明するための模式図である。
【図8】プリンタの画像形成部に設けられた本体メモリの構成を説明するための模式図である。
【図9】プリンタのエンジン制御部によって実行されるプリント動作に係る制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】エンジン制御部によって実行される新品判定制御のサブルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図11】エンジン制御部によって実行される新品判定制御のサブルーチンの他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施の形態について説明する。
[第1実施形態]
<画像形成装置の構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるタンデム型カラープリンタ(以下、単に「プリンタ」という)の構成を説明するための模式図である。このカラープリンタは、ネットワーク(例えばLAN)を介して外部の端末装置等から入力される画像データに基づいて、周知の電子写真方式により、フルカラーあるいはモノクロの画像を記録用紙、OHPシート等の記録シートに形成する。
【0026】
プリンタは、画像形成部Aと、画像形成部Aの下側に配置された給紙部Bとを備えている。給紙部Bは、記録シートSが内部に収容された給紙カセット22を備えており、給紙カセット22内の記録シートSが画像形成部Aに供給される。画像形成部Aは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーによって形成されたトナー画像を、給紙部Bから供給される記録シートS上に転写して定着する。
【0027】
画像形成部Aは、プリンタのほぼ中央部において水平方向に沿って配置された中間転写ベルト25を備えている。中間転写ベルト25は、一対のベルト周回ローラ23および24に巻き掛けられており、図示しないモータによって、矢印Xで示す方向に周回移動するようになっている。
中間転写ベルト25の下方には、それぞれが画像形成部A(装置本体)に対して着脱可能になったプロセスユニット10Y、10M、10C、10Kが設けられている。各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kは、中間転写ベルト25の周回移動方向に沿ってその順番で配置されており、それぞれが、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーによってトナー画像を形成する複数のプロセス手段を備えている。
【0028】
各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成部Aに対して、正面側(図1における紙面の手前側)に引き出されることにより、画像形成部Aから取り外される。また、各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成部Aに対して内奥側に向って挿入することにより、画像形成部Aに装着される。
中間転写ベルト25の上方には、中間転写ベルト25を挟んで、プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kのそれぞれの上方に位置するトナーカートリッジ17Y、17M、17C、17Kが設けられている。各トナーカートリッジ17Y、17M、17C、17Kには、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の各色のトナーが収容されており、各トナーカートリッジ17Y、17M、17C、17Kに収容されたそれぞれのトナーが、トナー補給機構19Y、19M、19C、19Kによって、各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kに供給される。
【0029】
各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kは、トナーカートリッジ17Y、17M、17C、17Kから供給されるトナーの色のみがそれぞれ異なっていること以外は、概略同様の構成になっている。
各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kは、中間転写ベルト25の下方において中間転写ベルト25に対向して回転可能に配置された感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kをそれぞれ有している。各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの表面には、全周にわたって感光層が設けられており、それぞれが、矢印Zで示す方向に回転されるようになっている。
【0030】
中間転写ベルト25に対向する感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの上部に対して、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kのそれぞれの回転方向下流側には、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの表面に残留するトナーを掻き落すクリーニング部材16Y、16M、16C、16Kと、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの感光層を所定の帯電電位に一様に帯電する帯電器12Y、12M、12C、12Kとが、回転方向に沿ってその順番でそれぞれ設けられている。
【0031】
帯電器12Y、12M、12C、12Kによって帯電された感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kには、帯電器12Y、12M、12C、12Kよりも感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの回転方向下流側において、画像形成部Aの下部に配置された露光器28からレーザ光LY、LM、LC、LKが照射されるようになっている。
露光器28には4つの半導体レーザ素子28Y、28M、28C、28K(図6参照)が設けられており、各半導体レーザ素子28Y、28M、28C、28Kからそれぞれ出射されるレーザ光LY、LM、LC、LKが、ポリゴンミラー、走査レンズ等を介して、各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの感光層に照射される。これにより、帯電器12Y、12M、12C、12Kによってそれぞれ一様に帯電された感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの感光層に静電潜像が形成される。
【0032】
各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kには、レーザ光LY、LM、LC、LKによる感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの露光位置よりも回転方向下流側に、現像器14Y、14M、14C、14Kがそれぞれ設けられている。各現像器14Y、14M、14C、14Kは、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの感光層に形成された静電潜像を、それぞれ、Y、M、C、Kの各色のトナーと、磁性を有するキャリアとを有する2成分現像剤を用いてトナー現像する。
【0033】
このように、各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kにおける感光体ドラム11Y、11M、11C、11K、帯電器12Y、12M、12C、12K、現像器14Y、14M、14C、14Kのそれぞれは、トナー画像を形成のためのプロセス手段を構成している。
各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kの上方には、中間転写ベルト25を挟んで感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kのそれぞれに対向する1次転写ローラ27Y、27M、27C、27Kが設けられている。各1次転写ローラ27Y、27M、27C、27Kは画像形成部Aに取り付けられている。各1次転写ローラ27Y、27M、27C、27Kは、転写バイアス電圧が印加されることによって、対向するそれぞれの感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kとの間に電界を形成する。
【0034】
各感光体ドラム11Y、11M、11C、11K上に形成されたそれぞれのトナー画像は、1次転写ローラ27Y、27M、27C、27Kと、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kとの間にそれぞれ形成される電界の作用によって、中間転写ベルト25上に1次転写される。
なお、フルカラー画像を形成する場合には、各感光体ドラム11Y、11M、11C、11K上に形成されたそれぞれのトナー画像が中間転写ベルト25上の同じ領域に多重転写されるように、各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kのそれぞれの画像形成動作タイミングがずらされる。
【0035】
これに対して、モノクロ画像を形成する場合には、選択された1つのプロセスユニット(例えばKトナー用のプロセスユニット10K)のみによって、当該プロセスユニットの感光体ドラム上にトナー画像が形成されて、形成されたトナー画像が、当該プロセスユニットに対向して配置された1次転写ローラによって、中間転写ベルト25における所定領域上に転写される。
【0036】
なお、トナー画像が転写された各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kは、前述したクリーニングブレード16Y、16M、16C、16Kによって、表面上に残留するトナーが掻き落とされる。
中間転写ベルト25は、周回移動によって、転写されたトナー画像を、一方のベルト周回ローラ23が巻き掛けられた端部(図1において右側の端部)へと搬送する。ベルト周回ローラ23には、中間転写ベルト25に対向して2次転写ローラ26が配置されている。2次転写ローラ26は、中間転写ベルト25に圧接されており、両者の間に転写ニップが形成されている。
【0037】
2次転写ローラ26には転写バイアス電圧が印加されるようになっており、転写バイアス電圧が印加されることにより、2次転写ローラ26と中間転写ベルト25との間に電界が形成される。
2次転写ローラ26と中間転写ベルト25とによって形成される転写ニップには、給紙部Bの給紙カセット22からシート搬送経路21に繰り出された記録シートSが搬送される。中間転写ベルト25上に転写されたトナー画像は、2次転写ローラ26と中間転写ベルト25との間に形成される電界の作用により、シート搬送経路21を搬送される記録シートSに2次転写される。
【0038】
転写ニップを通過した記録シートSは、2次転写ローラ26の上方に配置された定着装置30に搬送される。定着装置30は、相互に圧接された加熱ローラ31および加圧ローラ32を備えており、加熱ローラ31および加圧ローラ32が相互に圧接されていることによって両者の間に定着ニップが形成されている。加熱ローラ31の軸心部にはヒータランプ33が配置されており、ヒータランプ33によって加熱ローラ31が加熱されるようになっている。
【0039】
定着装置30では、記録シートS上の未定着のトナー画像が、加熱ローラ31および加圧ローラ32によって形成された定着ニップを通過する間に、加熱および加圧されることによって定着される。トナー画像が定着された記録シートSは、排紙ローラ24によって、全てのトナー収容部17Y、17M、17C、17Kの上方に配置された排紙トレイ23上に排出される。
【0040】
なお、画像形成部Aには、各プロセスユニット10Y、10M、10C、10K、定着装置30、給紙部B等を制御するエンジン制御部41、および、操作パネル43から入力される画像データ、外部の端末装置等からLAN等のネットワークを介して入力される画像データ等を処理するMFP(マルチファンクションプリンタ)コントローラ42が設けられている。
【0041】
<プロセスユニットの構成>
図2は、プロセスユニット10Yの長手方向のほぼ中央部における横断面図であり、隣接して配置されたプロセスユニット10Mの一部とともに示している。
図2に示すように、プロセスユニット10Yは、プロセス手段である感光体ドラム11Yと、クリーニング部材16Yおよび帯電装置12Yとが一体に構成されたドラムセット18Yを有しており、ドラムセット18Yが、プロセス手段である現像器14Yとは分離された状態で配置されている。感光体ドラム11Yの下部表面は、ドラムセット18Yと現像器14Yとの間に露出しており、露光器28から出射されたレーザ光LYが、露出した感光体ドラム11Yの表面に照射される。
【0042】
現像器14Yは、感光体ドラム11上の静電潜像を現像する2成分現像剤(キャリアおよびトナー)が収容された現像ハウジング14hを有しており、現像ハウジング14hの内部には、感光体ドラム11Yに対向する現像ローラ141Yが設けられている。現像ローラ141Yは、感光体ドラム11Yにおけるレーザ光LYの照射位置に対して回転方向下流側に、感光体ドラム11Yとは平行に配置されている。
【0043】
現像ローラ141Yは、2成分現像剤を使用する公知の現像器の現像ローラと同様の構成になっており、複数の磁極が周方向に沿って設けられた磁石ローラ142Yと、当該磁気ローラの外周側に嵌合された現像スリーブ143Yとを有している。磁石ローラ142Yは固定状態になっており、現像スリーブ143Yは磁石ローラ142Yの周囲を所定方向に回転する。現像スリーブ143Yには、所定の現像バイアス電圧が印加されるようになっている。
【0044】
現像ハウジング14hの内部には、現像ローラ141Yの下側において現像ローラ141Yに隣接して平行に配置された供給スクリュー14bが設けられている。また、現像ハウジング14hの内部には、供給スクリュー14bの下側であって感光体ドラム11Yから離れた位置において供給スクリュー14bに隣接して平行に配置された撹拌スクリュー14cが設けられている。
【0045】
現像ハウジング14hの内部の2成分現像剤は、撹拌スクリュー14cによって軸方向に沿って搬送されている間に撹拌される。これによりトナーが帯電状態になる。帯電状態になったトナーを含む2成分現像剤は、供給スクリュー14bへ供給される。供給スクリュー14bに供給された2成分現像剤は、供給スクリュー14bによって軸方向に沿って搬送されている間に、現像ローラ141Yに供給される。
【0046】
現像ローラ141Yでは、現像スリーブ143Yが回転していることにより、その周面上を現像剤が搬送される。現像スリーブ143Yには、所定の現像バイアス電圧が印加されていることによって、周面上を搬送される現像剤のトナーが、感光体ドラム11上の静電潜像に付着する。これにより、静電潜像がトナー現像される。
現像ハウジング14hには、下部の撹拌スクリュー14cの下方において、内部の2成分現像剤のトナー濃度を検出するためのY用トナー濃度センサSYが設けられている。トナー濃度センサSYは、現像剤の単位体積当たりに含まれるトナーのキャリアに対する重量比率(TCR)が透磁率によって変化することに基づいてトナー濃度を検出する。プリント動作時には、トナー濃度センサSYによって検出されるトナー濃度に基づいて、トナー補給機構19Yが駆動されて、現像器14Y内にトナーが補給される。
【0047】
他のプロセスユニット10M、10C、10Kにおける現像器14M、14C、14Kのそれぞれの構成は、現像器14Yと同様の構成になっており、従って、各現像器14M、14C、14Kのそれぞれにも、現像スリーブおよび磁石ローラを有する現像ローラ141M、141C、141K(図6参照)およびトナー濃度センサSM、SC、SK(図6参照)がそれぞれ設けられている。
【0048】
図3(a)は、プロセスユニット10Yの外観を示す斜視図であり、矢印Dで示す方向が、プロセスユニット10Yを装置本体に装着される際のスライド方向(背面側方向)になっている。図3(b)は、プロセスユニット10Yを、図3(a)に示す方向とは逆方向から見た場合の斜視図であり、矢印Dで示す方向が、プロセスユニット10Yを画像形成部Aに装着する際のスライド方向(背面側方向)になっている。
【0049】
図3(a)および(b)に示すように、プロセスユニット10Yには、画像形成部Aに対するスライド方向とは反対側の正面側部分に、前面カバー14dが設けられている。前面カバー14dの背面には、ドラムセット18Yおよび現像器14Yが一体的に取り付けられている。
また、前面カバー14dにおける背面(内奥部に対向する面)の下部には、プロセスユニット10Yに関する各種情報が記憶された不揮発性のユニットメモリMYが取り付けられている。
【0050】
画像形成部Aには、プロセスユニット10Yが画像形成部Aに装着されることによって不揮発性のユニットメモリMYと電気的に接続された状態になる接点(図示せず)が設けられている。この接点は、画像形成部Aに設けられたエンジン制御部41(図6参照)に通信ラインを介して接続されている。従って、プロセスユニット10Yが画像形成部Aに装着されることにより、Y用ユニットメモリMYとエンジン制御部41との間で、通信ラインを介して相互に情報の伝送が可能になる。
【0051】
他のプロセスユニット10M、10C、10Kのそれぞれにも、同様に、不揮発性のユニットメモリMM、MC、MK(図6参照)が設けられており、各ユニットメモリMM、MC、MKも、プロセスユニット10M、10C、10Kのそれぞれが画像形成部Aに装着されることによって、通信ラインを介して、画像形成部Aに設けられたエンジン制御部41との間で相互に情報の伝送が可能になる。エンジン制御部41は、各ユニットメモリMY、MM、MC、MKのデータを画像形成部Aに設けられた本体メモリ51(図6参照)に書き込む等の制御を実行する。
【0052】
画像形成部Aの正面側には、開閉可能になった正面ドア(図示せず)が設けられており、この正面ドアが開放されることによって、画像形成部Aに装着された各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kの前面カバー14dがそれぞれ露出した状態になる。このような状態で、各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kをそれぞれ正面側に引き出すことによって、画像形成部Aから取り外すことができる。
【0053】
また、各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kのそれぞれは、正面ドアが開放された状態で、画像形成部Aにおける所定の位置に装着される。従って、いずれかのプロセスユニット10Y、10M、10C、10Kが交換される場合には、正面ドアが開放された後に閉鎖される。
なお、画像形成部Aには、正面ドアが開放されたことを検知する正面ドアセンサ52(図6参照)が設けられている。
【0054】
<トナー濃度センサ>
トナー濃度センサSY、SM、SC、SKとしては、例えば、LC発振回路を有する磁気センサが用いられている。LC発振回路におけるコイルは、周囲の透磁率が変化することによってインダクタンスが変化し、LC発振回路の発振周波数が変化する。これにより、トナー濃度センサSY、SM、SC、SKのそれぞれは、現像剤におけるキャリアに対するトナー比であるトナー濃度に比例する周波数のパルスを出力する。
【0055】
各トナー濃度センサSY、SM、SC、SKは、LC発振回路におけるコイルが現像剤の透磁率の変化を捉えることができるように、現像器14Y、14M、14C、14Kのそれぞれの現像ハウジング14hに取り付けられる。
なお、トナー濃度センサSY、SM、SC、SKとしては、このようなLC発振回路を用いた磁気センサに限らず、透磁率の変化に応じて出力電圧が変化する構成の磁気センサを用いてもよい。
【0056】
図4は、現像器14Yに取り付けられたトナー濃度センサSYの出力周波数と、現像器14Yにおけるトナー濃度との関係を示すグラフである。トナー濃度センサSYは、現像器14Y内の現像剤におけるトナー濃度に比例した周波数を出力するようになっており、例えば、図4の実線(a)で示す標準状態になるように現像器に取り付けられる。
しかしながら、トナー濃度センサSYの出力周波数は、現像器14Yに取り付けられた状態では、個々のトナー濃度センサSY固有の出力周波数のばらつき、現像器14Yに対するトナー濃度センサSYの取り付け位置のばらつき等によって、図4の一点鎖線(b)〜二点鎖線(c)で示す範囲の程度のばらつきが生じる。
【0057】
このことから、プロセスユニット10Yの交換時に、トナー濃度センサSYの出力周波数のばらつきを補正するために必要とされるデータを取得して、トナー濃度センサSYの出力周波数が現像器14Yの内部のトナー濃度に対応した状態に補正されるように初期調整される。
プロセスユニット10Yの交換時に取得されるデータとしては、トナー濃度センサSYの出力周波数とトナー濃度との関係を示す係数と、交換されたプロセスユニット10Yが未使用状態での現像器14Yに取り付けられたトナー濃度センサSYの出力周波数とである。トナー濃度センサSYは、図4に示すように、現像器14Yのトナー濃度に対して比例した周波数を出力することから、プロセスユニット10YのユニットメモリMYには、そのトナー濃度センサSY固有の比例係数が予め記憶されている。
【0058】
また、交換可能になったプロセスユニット10Yの現像器14Yには、通常、未使用の新品状態では所定の濃度(例えば8%)のトナーが収容されていることから、交換されたプロセスユニット10Yが未使用の状態において、現像器14Yに取り付けられた状態のトナー濃度センサSYからは、所定のトナー濃度(8%)に対応した周波数が出力される。
【0059】
従って、プロセスユニット10Yの交換時に、トナー濃度センサSYに固有の比例係数と、トナー濃度センサSYの所定のトナー濃度(8%)における出力周波数とを取得しておけば、以降は、これらに基づいて、トナー濃度センサSYの出力周波数を、例えば、図4(a)に示す標準状態になるように補正することができる。
なお、後述するように、取得された各データは、本体メモリ51に記憶され、トナー濃度センサSYの出力に基づいてトナー補給制御を実行する際に、記憶されたデータに基づいて、出力される周波数を各データに基づいて補正する。従って、その補正された出力周波数に基づいて、現像器14Y内における現像剤のトナー濃度が所定値(6%)になるように、トナー補給制御が実行される。
【0060】
図5は、新品のプロセスユニット10Yが画像形成部Aに装着されてから、予め設定された耐用期間(寿命)に達するまでの現像器14Yでのトナー濃度の変化を示すグラフである。なお、前述したように、新品のプロセスユニット10Yにおける現像器14Yには、8%のトナー濃度で現像剤が収容されており、また、トナー濃度センサSYの出力周波数に基づいてトナー濃度が6%になるように、トナー補給制御が実行される。
【0061】
図5に示すように、プリント動作が実行されることによって現像器14Y内のトナー濃度は、順次、8%から低下し、6%よりも低下したことがトナー濃度センサSYの出力に基づいて検出されるとトナー補給制御が実行される。これにより、現像器14Y内のトナー濃度は6%以上に増加する。その後も、同様に、トナー濃度センサSYによってトナー濃度が6%よりも低下したことが検出される毎にトナー補給制御が実行されることによって、現像器14Y内のトナー濃度は6%程度に維持される。
【0062】
その後、現像器14Yの回転時間が、予め設定された所定のプリント枚数に対応した時間(寿命)に達した場合も、現像器14Yのトナー濃度は、トナー濃度センサSYの検出値で6%程度になっている。
他のプロセスユニット10M、10C、10Kにおける現像器14M、14C、14Kにおいても同様である。
【0063】
なお、このように、新品の現像器内のトナー濃度を8%とし、トナー補給制御が実行される際の6%のトナー濃度よりも高く設定しているのは、以下の理由による。すなわち、当初からトナー補給制御が実行される際の6%のトナー濃度にしておくと、連続プリント動作等によっては、トナー補給が実行される前にトナー濃度が6%以下に低下する可能性がある。この場合には、感光体ドラムに対して十分にトナーを供給することができずに、トナー画像の画質が低下するおそれがあるためである。
【0064】
<制御系の構成>
図6は、プリンタの制御系の構成を示すブロック図である。プリンタには、プリント動作を制御するエンジン制御部41に、画像データ等を処理するMFPコントローラ42が接続されている。MFPコントローラ42は、画像データに基づくプリント動作の実行を指示するプリントコマンドをエンジン制御部41に出力する。
【0065】
エンジン制御部41は、プリント枚数(プリント動作)に関する情報として、各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kにおける感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kのそれぞれの回転時間と、現像器14Y、14M、14C、14Kのそれぞれの回転時間(駆動時間)を計測するようになっている。
なお、エンジン制御部41は、所定のタイミングで、MFPコントローラ42に対して、各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kのそれぞれの回転時間、現像器14Y、14M、14C、14Kのそれぞれの回転時間に基づく情報を、寿命情報として出力する。
【0066】
MFPコントローラ42は、それぞれの寿命情報に基づいて操作パネル43を制御して、各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kの寿命情報、交換指示等を操作パネル43に表示する。
エンジン制御部41には、各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kに設けられた帯電器12Y、12M、12C、12Kをそれぞれ制御する各帯電電圧コントローラ44Y、44M、44C、44Kが接続されている。各帯電電圧コントローラ44Y、44M、44C、44Kは、帯電器12Y、12M、12C、12Kに対して所定値に制御された帯電電圧をそれぞれ印加することによって、各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの感光層を所定電位に帯電させる。
【0067】
また、エンジン制御部41には、各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kのそれぞれの現像器14Y、14M、14C、14Kにおける現像ローラ141Y、141M、141C、141Kに設けられた現像スリーブに印加される現像バイアス電圧をそれぞれ制御する現像バイアスコントローラ46Y、46M、46C、46Kが接続されている。各現像バイアスコントローラ46Y、46M、46C、46Kは、それぞれ、現像ローラ141Y、141M、141C、141Kの現像スリーブに対して、所定値に制御された現像バイアス電圧を印加する。
【0068】
さらに、エンジン制御部41には、露光器28におけるY用、M用、C用、K用の各現半導体レーザ素子28Y、28M、28C、28Kをそれぞれ制御するLD露光量コントローラ48Y、48M、48C、48Kが接続されている。各LD露光量コントローラ48Y、48M、48C、48Kは、半導体レーザ素子28Y、28M、28C、28Kによる感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの露光量がそれぞれ所定値になるように、半導体レーザ素子28Y、28M、28C、28Kに所定値に制御された駆動電圧を印加する。
【0069】
さらに、エンジン制御部41は、画像形成部Aに装着された各プロセスユニット10Y、10M、10C、10KのそれぞれのユニットメモリMY、MM、MC、MKに対するデータの書き込みおよび読み出しを制御するようになっている。また、エンジン制御部41は、画像形成部Aに設けられた本体メモリ51に対するデータの書き込みおよび読み出しを制御するようになっている。
【0070】
エンジン制御部41には、各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kを交換する際に正面ドアが開放状態とされたことを検知する正面ドアセンサ52の出力が与えられている。
また、エンジン制御部41には、各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kにおけるそれぞれの現像器14Y、14M、14C、14Kに設けられた各トナー濃度センサSY、SM、SC、SKの出力が与えられており、エンジン制御部41は、前述したように、各トナー濃度センサSY、SM、SC、SKの出力周波数に基づいて、トナー補給機構19Y、19M、19C、19Kを制御する。
【0071】
図7は、プロセスユニット10Yに設けられたユニットメモリMYの内部構成の一例を示す模式図である。なお、他のユニットメモリMY、MM、MC、MKもそれぞれ同様の構成になっている。
ユニットメモリMYは15バイトの記憶領域を有しており、アドレス0番地が、対応するプロセスユニット10Yの新旧情報が記憶される領域になっている。例えば、対応するプロセスユニット10Yが未使用状態の場合には、アドレス0番地には、プロセスユニット10Yの新旧品情報が記憶される領域になっている。プロセスユニット10Yが新品の場合には、この領域に、新品であることを示す新品情報「FFh」が記憶される。この新品情報は、後述するように、プロセスユニット10Yが画像形成部Aに装着されて、所定の初期調整が実行されることによって、エンジン制御部41により、新品でないことを示す旧品情報「00h」に書き換えられる。
【0072】
ユニットメモリMYのアドレス1番地および2番地は、対応するプロセスユニット10Yの現像器14Yに設けられたトナー濃度センサSYの出力を初期調整するための調整データを記憶する領域になっている。この調整データは、具体的には、前述したように、トナー濃度センサSYの出力周波数とトナー濃度との関係を示す比例係数であり、従って、この比例係数は、プロセスユニット10Yの現像器14Yに取り付けられたそれぞれのトナー濃度センサSYの固有の値になっている。なお、この調整データは、プロセスユニット10Yが画像形成部Aに装着された際に、本体メモリ51に書き込まれるようになっている。
【0073】
ユニットメモリMYのアドレス3〜6番地は、対応するプロセスユニット10Yの固有の情報である製造番号情報が記憶される領域になっている。
ユニットメモリMYのアドレス7〜10番地は、当該ユニットメモリMYが設けられたプロセスユニット10Yにおける感光体ドラム11Yの回転時間を記憶する領域になっており、また、アドレス11〜14番地は、当該プロセスユニットにおける現像器14Yの回転時間(駆動時間)の累計を記憶する領域になっている。
【0074】
感光体ドラム11Yおよび現像器14Yのそれぞれの回転時間の累計は、エンジン制御部41においてプロセスユニット毎に計測されており、それぞれの回転時間が更新される毎に、ユニットメモリMYに記憶された感光体ドラム11Yおよび現像器14Yのそれぞれの回転時間の累計も更新される。
図8は、画像形成部Aに設けられた本体メモリ51の構成を示す模式図である。本体メモリ51は、255バイトの領域を有しており、アドレス0〜3番地は、それぞれ、画像形成部Aに装着された各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kの新品情報が記憶される領域になっている。すなわち、プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kのいずれかが交換された場合に、対応するユニットメモリMY、MM、MC、MKのアドレス0番地に記憶された新旧品情報が読み込まれて、その新旧品情報が、本体メモリ51における対応するアドレスの番地(0〜3番地)のそれぞれに書き込まれる。
【0075】
また、本体メモリ51における対応するアドレスの番地(0〜3番地)のそれぞれに記憶された新旧品情報が書き換えられた場合には、対応するユニットメモリMY、MM、MC、MKのそれぞれのアドレス0番地の新旧品情報がそれぞれ書き換えられる。これにより、本体メモリ51およびユニットメモリのそれぞれに、プロセスユニットの新旧品に関する同じ情報が共有される。
【0076】
本体メモリ51におけるアドレスの4〜11番地、12〜19番地、20〜27番地のそれぞれは、各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kのそれぞれに対して実行される耐久補正の調整値が記憶される領域になっている。
具体的には、本体メモリ51の4番地および5番地には、プロセスユニット10Yにおける感光体ドラム11Yの回転時間の累計が、予め設定された所定の複数の帯電調整時間のそれぞれになった場合に、プロセスユニット10Yに設けられた帯電器12Yに印加される帯電電圧の調整値がそれぞれ記憶される。
【0077】
帯電調整時間のそれぞれは、感光体ドラム11Yの表面の感光層が劣化して、設定された所定の帯電電圧が印加された帯電器12Yによっては感光体ドラム11Yの感光層を所定の帯電電位とすることができないと見なされる感光体ドラム11Yの回転時間である。
また、それぞれの調整値としては、感光体ドラム11Yの回転時間がそれぞれの対応する帯電調整時間になったときに、劣化した感光層を所定の帯電電位とするために必要とされる帯電電圧が設定されている。
【0078】
それぞれの調整値は、帯電調整時間が長くなるほど感光層の劣化が進むことから、帯電調整時間の長さに基づいて重み付けされており、帯電調整時間が長くなるほど帯電電圧が大きくなっている。
エンジン制御部41は、感光体ドラム11Yがそれぞれの調整時間に達すると、プリント動作の実行時に帯電器12Yに印加される帯電電圧を、対応する調整値になるように調整する制御(耐久補正制御)を実行する。
【0079】
なお、本体メモリ51には、感光体ドラム11Yの回転時間に関して、最長の帯電調整時間よりも長い寿命回転時間が予め設定されており、エンジン制御部41は、感光体ドラム11Yの回転時間が当該寿命回転時間に達した場合には、感光体ドラム11Yが寿命に達したものとして、操作パネル43に、プロセスユニット10Yの交換指示を表示するようになっている。
【0080】
本体メモリ51におけるアドレスの6〜7番地、8〜9番地、10〜11番地のそれぞれにも、同様に、各プロセスユニット10M、10C、10Kの感光体ドラム11M、11C、11Kの回転時間が、それぞれ所定の調整時間に達する毎に実行される耐久補正制御において、帯電器12M、12C、12Kに印加される帯電電圧の調整値が記憶されている。
【0081】
本体メモリ51におけるアドレス12番地および13番地のそれぞれには、プロセスユニット10Yにおける現像器14Yの回転時間の累計が、予め設定された複数の所定の調整時間のそれぞれになった場合に、現像ローラ141Yの現像スリーブ143Yに印加される現像バイアス電圧の調整値が、それぞれの調整時間に対応して記憶されている。
この場合の調整時間のそれぞれは、現像器14Y内のキャリアが劣化することによってトナーを所定電位に帯電させることができなくなり、設定された所定の現像バイアス電圧では感光体ドラム11Yの静電潜像にトナーを適切に付着させることができないと見なされる現像器14Yの回転時間である。
【0082】
また、それぞれの調整値は、現像器14Yの回転時間がそれぞれ所定の調整時間になった時点で、劣化状態のキャリアによって帯電状態になったトナーを感光体ドラム11Yの静電潜像に適切に付着させるために必要とされる現像バイアス電圧が設定されている。
それぞれの調整値は、調整時間が長くなるほどキャリアの劣化が進むことから、調整時間の長さに基づいて重み付けされており、調整時間が長くなるほど現像バイアス電圧(但し、現像バイアス電圧の絶対値)が大きくなっている。
【0083】
エンジン制御部41は、現像器14Yの回転時間がそれぞれ所定の調整時間に達すると、プリント動作の実行時に現像スリーブ143Yに印加される現像バイアス電圧を、対応する調整値になるように調整する制御(耐久補正制御)を実行する。
なお、本体メモリ51には、現像器14Yの回転時間に関して、最長の調整時間よりも長い寿命回転時間が予め設定されており、エンジン制御部41は、現像器14Yの回転時間が寿命回転時間に達した場合には、現像器14Yが寿命に達したものとして、操作パネル43に、プロセスユニット10Yの交換指示を表示するようになっている。
【0084】
本体メモリ51におけるアドレスの14〜15番地、16〜17番地、18〜19番地のそれぞれにも、同様に、各プロセスユニット10M、10C、10Kの現像器14M、14C、14Kが、それぞれ所定の調整時間に達する毎に実行される耐久補正制御において、現像器14M、14C、14Kの現像スリーブに印加する現像バイアス電圧の調整値がそれぞれ記憶されている。
【0085】
本体メモリ51におけるアドレス20番地および21番地のそれぞれには、プロセスユニット10Yにおける感光体ドラム11Yの回転時間の累計が、予め設定された所定の露光量調整時間になった場合に、露光器28に設けられた半導体レーザ素子28Yによる露光量が所定値にするための調整値がそれぞれ記憶されている。
露光量調整時間のそれぞれは、感光体ドラム11Yの表面の感光層が劣化して、設定された所定の半導体レーザ素子28Yの露光量では感光体ドラム11Yの表面に静電潜像を適切に形成することができないと見なされる回転時間である。
【0086】
また、それぞれの調整値としては、感光体ドラム11Yが、露光量調整時間のそれぞれになった時点で、感光体ドラム11Yの表面に適切に静電潜像を形成するために必要とされる半導体レーザ素子28Yの露光量にそれぞれ設定されている。
それぞれの調整値は、調整時間が長くなるほど感光層の劣化が進むことから、露光量調整時間の長さに基づいて重み付けされて、露光量調整時間が長くなるほど露光量が大きくなっている。
【0087】
エンジン制御部41は、感光体ドラム11Yの回転時間が露光量調整時間のそれぞれに達すると、プリント動作の実行時における半導体レーザ素子28Yの露光量を、それぞれ設定された調整値に補正する制御(耐久補正制御)を実行する。
なお、本体メモリ51には、感光体ドラム11Yの回転時間に関して、最長の露光量調整時間よりも長い寿命回転時間が予め設定されており、エンジン制御部41は、感光体ドラム11Yの回転時間が当該寿命回転時間に達した場合には、感光体ドラム11Yが寿命に達したものとして、操作パネル43に、プロセスユニット10Yの交換指示を表示するようになっている。
【0088】
アドレスの22〜23番地、24〜25番地、26〜27番地のそれぞれにも、同様に、各プロセスユニット10M、10C、10Kにおける感光体ドラム11M、11C、11Kがそれぞれ所定の露光量調整時間に達する毎に実行される耐久補正制御において、各半導体レーザ素子28M、28C、28Kの露光量調整値がそれぞれ記憶されている。
本体メモリ51におけるアドレスの28番地および29番地は、プロセスユニット10Yが交換された場合に、交換されたプロセスユニット10YのユニットメモリMYにおける1〜2番地に記憶された調整データが書き込まれる領域になっている。この調整データは、前述したように、トナー濃度センサSYの出力周波数とトナー濃度との関係を示す比例係数である。この調整データは、プロセスユニット10Yが交換される毎に書き換えられる。
【0089】
30〜31番地、32〜33番地、34〜35番地のそれぞれも、同様に、プロセスユニット10M、10C、10Kのそれぞれの交換時において現像器14M、14C、14Kに設けられた各トナー濃度センサSM、SC、SKの初期調整のための調整データがそれぞれ記憶される領域になっており、プロセスユニット10M、10C、10Kのそれぞれの交換時に、ユニットメモリMM、MC、MKに記憶された調整データが書き込まれる。
【0090】
36〜39番地は、プロセスユニット10Yにおける感光体ドラム11Yの回転時間の累計がそれぞれ記憶される領域になっている。記憶された回転時間の累計は、プリント動作が実行される度に、そのプリント動作に要した回転時間を計測して、計測された回転時間を、対応する領域に記憶された回転時間の累計に対して加算することによって更新される。なお、36〜39番地における感光体ドラム11Yの回転時間の記憶値が更新されると、前述したように、プロセスユニット10Yに設けられたユニットメモリMYの7〜10番地における対応アドレスに記憶された感光体ドラム11Yの回転時間も更新される。従って、本体メモリ51およびユニットメモリMYの両方に、感光体ドラム11Yの回転時間の累計として等しい値が記憶される。
【0091】
40〜43番地は、プロセスユニット10Yにおける現像器14Yの回転時間の累計がそれぞれ記憶される領域になっている。現像器14Yの回転時間の累計も、プリント動作が実行される度に、そのプリント動作に要した回転時間を、対応する領域に記憶された回転時間の累計に加算することによって更新される。なお、40〜43番地における現像器14Yの回転時間の累計が更新されると、プロセスユニット10Yに設けられたユニットメモリMYの11〜14番地における対応アドレスに記憶された現像器14Yの回転時間の累計も更新される。
【0092】
同様に、アドレス44〜47番地および48〜51番地のそれぞれは、プロセスユニット10Mに設けられた感光体ドラム11Mの回転時間の累計および現像器14Mの回転時間の累計をそれぞれ記憶する領域、52〜55番地および56〜59番地のそれぞれは、プロセスユニット10Cに設けられた感光体ドラム11Cの回転時間の累計および現像器14Cの回転時間の累計をそれぞれ記憶する領域、60〜63番地および64〜67番地のそれぞれは、プロセスユニット10Kに設けられた感光体ドラム11Kの回転時間の累計および現像器14Kの回転時間の累計をそれぞれ記憶する領域になっている。
【0093】
本体メモリ51のアドレス68は、プロセスユニット10Yの交換が指示された場合に、交換前のプロセスユニット10Yの現像器14Yに設けられたトナー濃度センサSYの出力周波数を読み込んで、Yトナー濃度寿命時出力として記憶する領域になっている。このYトナー濃度寿命時出力(トナー濃度センサSYの出力周波数)は、交換されたそれぞれのプロセスユニット10Yが新品であることを判定するための比較情報になる。
【0094】
本体メモリ51のアドレス69〜71のそれぞれにも、プロセスユニット10M、10C、10Kの交換が指示された場合に、交換前のプロセスユニット10M、10C、10Kの現像器14M、14C、14Kに設けられたトナー濃度センサSM、SC、SKの出力周波数を読み込んで、M、C、Kのそれぞれのトナー濃度寿命時出力として記憶する領域になっている。それぞれのトナー濃度寿命時出力も、交換されたそれぞれのプロセスユニットが新品であることを判定するための比較情報である。
【0095】
本体メモリ51のアドレス72は、プロセスユニット10Yの交換が指示された場合に、交換された直後(プリント動作の実行前)に、プロセスユニット10Yの現像器14Yに設けられたトナー濃度センサSYの出力周波数を読み込んで、Yトナー濃度交換時出力として記憶する領域になっている。このYトナー濃度交換時出力(トナー濃度センサSYの出力周波数)は、交換されたプロセスユニット10Yの現像器に設けられたトナー濃度センサSYを初期調整するために使用される。
【0096】
本体メモリ51のアドレス73〜75のそれぞれにも、プロセスユニット10M、10C、10Kの交換が指示された場合に、交換された直後にプロセスユニット10M、10C、10Kの現像器14M、14C、14Kに設けられたトナー濃度センサSM、SC、SKの出力周波数を読み込んで、M、C、Kのそれぞれのトナー濃度交換時出力として記憶する領域になっている。それぞれのトナー濃度交換時出力も、交換されたそれぞれのプロセスユニットの現像器に設けられたトナー濃度センサの初期調整のために使用される。
【0097】
<エンジン制御部によるプリント動作時の制御>
図9は、エンジン制御部41によって実行されるプリント動作に係る制御の処理手順を示すフローチャートである。エンジン制御部41は、電源がオンされると、プロセスユニットが交換されているかを確認し、プロセスユニットが交換されたとみなされる場合には、そのプロセスユニットが新品であるかを判定して所定の制御(新品判定制御)を実行する(図9のステップS12参照、以下同様)。この新品判定制御の詳細については後述する。
【0098】
プロセスユニットの新品判定制御が終了すると、MFPコントローラ42からのプリントコマンドを受け付けるまで待機状態になる(ステップS13)。なお、ステップS13における待機状態で、画像形成装置の電源がオフされた場合(ステップS24において「YES」)、エンジン制御部41による制御は終了する。
エンジン制御部41は、プリントコマンドを受け付けると(ステップS13において「YES」)、従来と同様に、各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kを用いた画像形成動作(プリント動作)を実行して、記録シートS上にトナー画像を形成する(ステップS14)。プリント動作の実行時には、エンジン制御部41は、各プロセスユニット10Y、10M、10C、10K毎にプリント動作をそれぞれ実行させる。
【0099】
エンジン制御部41は、プリント動作が開始されると、各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kのそれぞれ毎に、各現像器14Y、14M、14C、14Kに設けられたトナー濃度センサSY、SM、SC、SKのそれぞれの出力に基づいて、トナー補給制御が必要であるかを判定する(ステップS15)。
この場合、前述したように、各トナー濃度センサSY、SM、SC、SKの出力周波数に基づいて、現像器14Y、14M、14C、14K内のトナー濃度が6%以下に低下していることが検出されると、トナー補給制御が必要であると判定し(ステップS15において「YES」)、対応するトナー補給機構を駆動するトナー補給制御を実行する(ステップS16)。その後、ステップS17に進む。
【0100】
トナー補給制御が必要でないと判定された場合(ステップS15において「NO」)には、ステップS16におけるトナー補給制御を実行することなく、ステップS17に進む。
ステップS17では、プリント動作が終了したかを判定し、プリント動作が終了していない場合(ステップS17において「NO))には、ステップS15およびS16の処理が繰り返される。
【0101】
プリント動作が終了すると(ステップS17において「YES」)、そのプリント動作に要した時間に基づいて、本体メモリ51に記憶されたそれぞれの感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kおよび現像器14Y、14M、14C、14Kのそれぞれの回転時間の累計を更新する(ステップS18)。
次いで、各ユニットメモリMY、MM、MC、MKのそれぞれに記憶された各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの回転時間および各現像器14Y、14M、14C、14Kの回転時間を読み込んで、それぞれのプロセスユニット10Y、10M、10C、10K毎に、帯電器、現像器、露光器のそれぞれの耐久補正制御が必要であるかを判定する(ステップS19)。
【0102】
各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kにおいて、帯電器、現像器、露光器のいずれかの耐久補正制御が必要である場合(ステップS19おいて「YES」)には、必要とされる耐久補正制御を実行する(ステップS20)。耐久補正制御では、帯電電圧、現像バイアス電圧、半導体レーザ素子の露光量が、本体メモリ51に記憶された所定の調整値になるように調整する。必要とされる耐久補正制御が終了すると、ステップ21に進む。
【0103】
帯電器、現像器、露光器の全ての耐久補正が必要でないと判定される場合(ステップS19において「NO」)には、ステップS20の耐久補正制御を実行することなく、ステップS21に進む。
なお、耐久補正制御が実行される場合には、エンジン制御部41は、各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kの寿命情報をMFPコントローラ42に出力して、MFPコントローラ42は、操作パネル43に、各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kの寿命情報等が表示されるように操作パネル43を制御する。
【0104】
ステップS21では、各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kにおける感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kおよび各現像器14Y、14M、14C、14Kの回転時間のいずれか一方の累計に基づいて、各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kがそれぞれ寿命であるかを判定する(ステップS21)。
各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kのそれぞれにおいて、感光体ドラムおよび現像器のいずれか一方が、帯電電圧、現像バイアス電圧、半導体レーザ素子の露光量に基づくいずれかの寿命回転時間に達している場合には、対応するプロセスユニットが寿命になったものと判定する(ステップS21において「YES」)。
【0105】
この場合には、寿命に達して交換が指示されたプロセスユニットの現像器に設けられたトナー濃度センサの出力周波数をトナー濃度寿命時出力として読み込んで、トナー濃度寿命時出力を比較情報として、本体メモリ51における所定領域(68〜71番地のいずれか)に書き込む(ステップS22)。これにより、本体メモリ51には、寿命に達したプロセスユニットにおけるトナー濃度センサの出力周波数(トナー濃度寿命時出力)が比較情報として記憶される。
【0106】
さらに、画像形成装置によるプリント動作の実行を禁止して、MFPコントローラ42に、寿命に達したプロセスユニットの交換が必要であることを指示する(ステップS23)。これにより、MFPコントローラ42は、操作パネル43を制御して、操作パネル43に、寿命と判定されたプロセスユニットの交換が必要であることを表示する。
その後、プロセスユニットの交換が実行されるまで待機状態になる(ステップS24)。プロセスユニットが交換されると(ステップS24において「YES」)、ステップS12に戻り、新品判定制御が実行される。
【0107】
ステップS21において、全てのプロセスユニットが寿命でないと判定された場合(ステップS21において「NO」)には、ステップS22におけるプロセスユニットの交換が必要であることを指示することなく、従って、ステップS23におけるトナー濃度センサ出力周波数(トナー濃度寿命時出力)を比較情報として書き込むことなく、ステップS13に戻る。
【0108】
<新品判定制御>
次に、交換されたプロセスユニットが、未使用の新品であるか使用された状態の旧品であるかを判定する新品判定制御(図9におけるステップS12)について説明する。なお、この場合の新品判定制御は、交換されたプロセスユニットの現像器に設けられたトナー濃度センサの出力に基づいて実行される。
【0109】
図10は、現像器に設けられたトナー濃度センサの出力に基づく新品判定制御のサブルーチンを示すフローチャートである。
新品判定制御は、前述したように電源がオンされた時点で開始され、まず、正面ドアが開放されたことを示す開閉フラグFがセット状態(F=1)になっているかを確認する(図10におけるステップS31参照、以下同様)。なお、開閉フラグFは、正面ドアが開放されることによってセット状態(F=1)になり、正面ドアの開放によって電源がオフ状態になっても、セット状態(F=1)を維持する。開閉フラグFがリセット状態(F=0)になっている場合(ステップS31において「NO」)には、新品判定制御は終了し、図9のフローチャートにおけるステップS13に進む。
【0110】
開閉フラグFがセット状態(F=1)になっている場合(ステップS31において「YES」)には、寿命に達したプロセスユニットが交換されたものとして、開閉フラグFをリセット状態(F=0)とし(ステップS32)、交換が指示されたプロセスユニット(画像形成部Aに装着された状態のプロセスユニット)のユニットメモリに記憶された新旧品情報を読み込む(ステップS33)。次いで、読み込まれた新旧品情報が、新品を示す情報(「FFh」)であるかを判定する(ステップS34)。
【0111】
ユニットメモリの0番地には、交換されたプロセスユニットが未使用の新品である場合には、新品であることを示す情報「FFh」が書き込まれているが、プロセスユニットがすでに使用状態になっている場合には、ユニットメモリのアドレス0番地の情報は、新品でない旧品情報「00h」に書き換えられる。このために、エンジン制御部41は、ユニットメモリのアドレス0番地の値を読み込んで、その値が「FFh」であるかを確かめる。
【0112】
ステップS34において、新たに装着されたプロセスユニットにおけるユニットメモリの0番地の新旧品情報が「FFh」である場合(ステップS34において「YES」)には、対応するプロセスユニットが交換されて未使用の新品のプロセスユニットが装着されたものとして、ステップS35に進む。
ステップS35では、本体メモリ51における所定のアドレスから、対応するプロセスユニットにおける現像器の回転時間の累計を読み出す。そして、読み出された現像器の回転時間の累計を、予め設定された所定の閾値と比較する(ステップS36)。この閾値としては、例えば、1000枚のプリント枚数(プリント回数)を実行するために必要とされる現像器の回転時間に設定されている。
【0113】
ステップS36において、読み出された現像器の回転時間が閾値未満(ステップS36において「NO」)の場合にはステップS40に進む。この理由については、後述する。
ステップS36において、読み出された現像器の回転時間が閾値以上(ステップS36において「YES」)の場合には、ステップS37に進み、ステップS31で本体メモリ51における対応番地(68〜71番地のいずれか)に書き込まれたトナー濃度寿命時出力(比較情報)を読み出す。次いで、新たに画像形成部Aに装着されたプロセスユニットの現像器に設けられたトナー濃度センサの出力周波数であるトナー濃度交換時出力を基準情報として読み込む(ステップS38)。
【0114】
その後、読み込まれたトナー濃度センサ交換時出力(基準情報)と、本体メモリ51から読み出されたトナー濃度寿命時出力(比較情報)とのそれぞれから得られるトナー濃度を比較する(ステップS39)。
基準情報および比較情報に基づくそれぞれのトナー濃度の比較の結果、両者の差が1%以上になっている場合(ステップS39において「YES」)には、新たに画像形成部Aに装着されたプロセスユニットが新品であると判定し(ステップS39a)、ステップS40に進む。なお、ステップS39においてトナー濃度の差が1%以上になっている場合に交換されたプロセスユニットが新品であると判定する理由については後述する。
【0115】
新たに画像形成部Aに装着されたプロセスユニットが新品であると判定されると(ステップS39a)、ステップS38において読み込まれたトナー濃度交換時出力を、トナー濃度センサを標準状態とするための調整データとして、本体メモリ51における所定アドレス(72〜75番地のいずれか)に書き込む(ステップS40)。本体メモリ51における所定アドレスにトナー濃度交換時出力が書き込まれている場合には、その出力を更新する(書き換える)。
【0116】
これとともに、メモリ本体51に記憶された感光体ドラムおよび現像器の回転時間をそれぞれクリア(=0)する(ステップS41)。その後、プロセスユニットのユニットメモリにおける新旧品情報を、新品でない旧品であることを示す「00h」に書き換えて(ステップS42)、新品判定制御を終了する。
これに対して、ステップS39においてトナー濃度の差が1%以上になっていない場合(1%未満、ステップS39において「NO」)には、画像形成部Aに新たに装着された交換後のプロセスユニットが新品でない旧品と判定し(ステップS39b)、ステップS40〜S41における処理を実行することなく、ステップS42に進んで、プロセスユニットのユニットメモリにおける新旧品情報を、新品でない旧品であることを示す旧品情報「00h」に書き換える。これにより、新品判定制御を終了する。
【0117】
なお、ステップS34において、ユニットメモリの0番地の情報が「FFh」でない場合(旧品を示す情報「00h」、その他の情報になっている場合、ステップS34において「NO」)には、対応するプロセスユニットが交換されたものの、すでに使用が開始された旧品のプロセスユニットが画像形成部Aに装着されたものとして、ステップS44に進む。ステップS44では、装着されたプロセスユニットにおけるユニットメモリの1〜2番地に記憶されているトナー濃度センサの初期調整データと、7〜10番地および11〜14番地に記憶されている感光体ドラムの回転時間および現像器の回転時間とのそれぞれを読み出し、読み出されたトナー濃度センサの調整値と、感光体ドラムの回転時間および現像器の回転時間とのそれぞれを、本体メモリ51に書き込む。これにより、新品判定制御は終了する。
【0118】
このように、交換されたプロセスユニットが、ユニットメモリに記憶された情報によって新品でないことが示されている場合には、プロセスユニットのユニットメモリに記憶されたトナー濃度センサの調整データを本体メモリ51に記憶させる。従って、その後のプリント制御において、トナー濃度センサの出力は、その調整データに基づいて調整され、その調整されたデータに基づいてトナー補給制御が実行される。
【0119】
また、本体メモリ51に記憶された感光体ドラムの回転時間の累計および現像器の回転時間の累計も、それぞれ、交換されたプロセスユニットのユニットメモリに記憶された感光体ドラムの回転時間の累計および現像器の回転時間の累計にそれぞれ書き換えられるために、耐久補正制御、寿命判定等については、書き換えられたそれぞれの回転時間の累計に基づいて適切に判断される。
【0120】
次に、ステップS39においてトナー濃度の差が1%以上ある場合に、そのプロセスユニットを新品と判定する理由について説明する。
新品のプロセスユニットの現像器には、前述したように、8%のトナー濃度の現像剤が収容されており、プリント動作が実行されることによって、図5に示すように、現像器内のトナー濃度が順次低下する。その後は、トナー補給制御が実行されることによって、現像器内のトナー濃度は6%程度に維持される。従って、プロセスユニットが寿命に達して交換が指示された場合には、現像器内のトナー濃度は6%前後になっている。
【0121】
このことから、プロセスユニットの交換が指示されることによりステップS31で読み込まれたトナー濃度センサの出力周波数であるトナー濃度寿命時出力(比較情報)は、6%程度のトナー濃度に対応したものになる。これに対して、交換によって新たに画像形成部Aに装着されたプロセスユニットが新品の場合には、ステップS38でのトナー濃度センサの出力周波数であるトナー濃度交換時出力(基準情報)は8%程度のトナー濃度に対応したものとなる。
【0122】
従って、プロセスユニットが交換された後にトナー濃度センサの出力であるトナー濃度交換時出力(基準情報)によって検出されるトナー濃度と、プロセスユニットが交換される直前にトナー濃度センサの出力であるトナー濃度寿命時出力(比較情報)によって検出されるトナー濃度との差が1%以上であれば、新品のプロセスユニットが画像形成部Aに装着されていると判定することができ、1%未満であれば、新品ではなくて使用状態になった旧品のプロセスユニットが画像形成部Aに装着されたものと判定することができる。
【0123】
なお、ステップS36において、本体メモリ51から読み出された現像器の回転時間が、所定の閾値(1000枚以上のプリント枚数)に対応した回転時間に達していない場合に、交換後のプロセスユニットの新品判定を実行しない理由は以下の通りである。
図5のグラフに示されるように、新品のプロセスユニットが交換されてからプリント枚数が1000枚程度に達する初期状態では、現像器内のトナー濃度は8%からあまり低下しないために、6%程度のトナー濃度になっていないおそれがある。
【0124】
このような状態は、例えば、ユーザが誤って、寿命になっていないプロセスユニットを画像形成部Aから取り外したものの、そのプロセスユニットが使用可能であることから、再度、画像形成部Aに装着した場合が考えられる。
このような場合に、トナー濃度センサの出力周波数であるトナー濃度寿命時出力を比較情報として用いて新品判定を実行すると、新品のプロセスユニットが画像形成部Aに装着されているにもかかわらず、新品でなく旧品と判定されるおそれがある。
【0125】
このために、プロセスユニットにおける現像器の回転時間が閾値以上になっていない場合には、ステップS36〜S39における交換後のプロセスユニットの新品判定を行うことなく、画像形成部Aに装着されたプロセスユニットを新品であるものとして、ステップS40〜S42の処理を行うようにしている。
以上のように、プロセスユニットが交換された場合に、新たに画像形成部Aに装着されたプロセスユニットが新品であることを、ユニットメモリに新品を示す情報が記憶されていても、現像器におけるトナー濃度に基づいて判定している。従って、ユニットメモリに記憶されたデータが、通信ラインを介して送信される場合に、新品情報から旧品情報に変化しても、交換後のプロセスユニットが新品であること、あるいは旧品であることを、的確に判定することができる。
【0126】
その結果、新品でない旧品のプロセスユニットが画像形成部Aに装着された場合に、そのプロセスユニットが新品として扱われないために、トナー濃度センサの出力周波数の初期調整において誤ったデータが使用されるおそれがない。従って、その後のプリント動作時に、現像器におけるトナー濃度が、プリント動作に必要とされる適切な範囲から低下した状態に制御されるおそれがなく、形成されるトナー画像の品質が低下すること、あるいは、トナー飛散により、周囲の機器の汚染、破損等が生じることを防止できる。
【0127】
また、プロセスユニットに設けられたユニットメモリに記憶されている新品情報が何らかの原因により書き換えられてしまう事態が発生しても、旧品のプロセスユニットが新品として扱われることを防止することができる。
なお、このような新品制御を実行する場合には、プロセス手段としての現像器がプロセスユニットに含まれていればよい。
【0128】
また、上記の説明では、各プロセスユニットとは別に露光器28を設ける構成であったが、各プロセスユニットの感光体ドラムに対して、それぞれ個別に露光器を設けて、それぞれの露光器を各プロセスユニットに含ませる構成としてもよい。
さらに、上記の説明では、交換前のプロセスユニットが寿命に達した時点のトナー濃度センサの出力値であるトナー濃度寿命時出力を比較情報として本体メモリ51に記憶する構成であったが、このような構成に限らない。
【0129】
例えば、画像形成部Aにプロセスユニットが装着された場合に、新品と判定された時点で、本体メモリにおける所定アドレス(72〜75番地のいずれか)に記憶されたトナー濃度交換時出力を比較情報としてもよい。この場合にも、プロセスユニットの交換時に、画像形成部Aに新たに装着されたプロセスユニットのトナー濃度センサの出力値であるトナー濃度交換時出力を基準情報として、この比較情報と比較される。そして、基準情報と比較情報との差が所定値未満であれば、装着されたプロセスユニットを新品と判定する。
【0130】
[第2の実施形態]
本実施形態では、画像形成装置の電源オン時に画像安定化処理が実行されるようになっており、プロセスユニットの交換前に実行された画像安定化処理によって得られる情報と、交換後に実行された画像安定化処理によって得られる情報との比較に基づいて、交換されたプロセスユニットが新品であることを判定するようになっている。
【0131】
なお、本実施形態では、図1に示すように、ベルト周回ローラ23の近傍には、ベルト周回ローラ23へ搬送される中間転写ベルト25の表面に対向してIDCセンサ(イメージ濃度コントロールセンサ)29が設けられる。IDCセンサ29は、画像安定化処理を実行する際に、中間転写ベルト21上に形成されたテストパターンのトナー濃度を光学的に検出するために設けられており、中間転写ベルト21に向けて光を照射して、中間転写ベルト21上に形成されたテストパターンからの反射光を受光するようになっている。
【0132】
感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kおよび現像器14Y、14M、14C、14Kのキャリアは、プリント動作が繰り返されると、長期にわたって徐々に性能が低下する。このような性能の低下を防止して、出力画像の品質を一定に維持するために、電源がオンされる度に画像安定化処理が実行される。
画像安定化処理では、プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kのそれぞれによって、所定のテストパターンのトナー画像を中間転写ベルト21上に形成して、形成された画像のトナー濃度をIDCセンサ29によって読み取る。IDCセンサ29によって読み取られたトナー濃度はエンジン制御部41に与えられる。エンジン制御部41は、プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kのそれぞれの帯電電圧、現像バイアス電圧、露光器28おける半導体レーザ素子28Y、28M、28C、28Kのそれぞれによる露光量を調整して、IDCセンサ29によって読み取られるトナー濃度が適正値になるように制御する。
【0133】
本実施形態では、本体メモリ51には、各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kのそれぞれにおいて画像安定化処理が実行された場合に、画像安定化処理によってトナー濃度が適正値になった場合における制御値を記憶する領域が設けられている。
具体的には、画像安定化処理によって制御された帯電器12Y、12M、12C、12Kのそれぞれに印加される帯電電圧を制御帯電電圧として記憶する領域、現像器14Y、14M、14C、14Kのそれぞれにおける現像バイアス電圧を制御現像バイアス電圧として記憶する領域、画像安定化処理によって調整された露光器13における各半導体素子13Y、13M、13C、13Kのそれぞれによる感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの露光量を制御露光量として記憶する領域がそれぞれ設けられている。従って、各領域に記憶される制御値は、画像安定化処理が実行される毎に更新される。
【0134】
エンジン制御部41は、画像形成装置の電源がオン状態になると、画像安定化処理を実行し、帯電電圧、現像バイアス電圧、半導体レーザの露光量をそれぞれ調整する。この場合に、その調整された帯電電圧、現像バイアス電圧、半導体レーザの露光量のそれぞれを本体メモリ51に制御値として書き込む。従って、画像安定化処理が実行される毎に、得られた制御値が、本体メモリ51に記憶される。これにより、本体メモリ51に記憶される帯電電圧、現像バイアス電圧、半導体レーザの露光量のそれぞれ制御値が更新されることになる。
【0135】
図11は、交換によって画像形成部Aに新たに装着されたプロセスユニットが新品であることを、画像安定化処理の結果に基づいて判定する新品判定制御のサブルーチンを示すフローチャートである。
この新品判定制御も、電源がオンされることによって開始するが、この場合も、エンジン制御部41は、まず、正面ドアが開放されたことを示す開閉フラグFがセット状態(F=1)になっているかを確認する(図11におけるステップS51参照、以下同様)。なお、開閉フラグFは、前述したように、正面ドアが開放されることによってセット状態(F=1)になり、正面ドアの開放によって電源がオフ状態になっても、セット状態(F=1)を維持する。開閉フラグFがリセット状態(F=0)になっている場合(ステップS51において「NO」)には、新品判定制御は終了する。
【0136】
開閉フラグFがセット状態(F=1)になっている場合(ステップS51において「YES」)には、いずれかのプロセスユニットが交換されたものとして、開閉フラグFはリセット状態(F=0)とし(ステップS51a)、交換が指示されたプロセスユニットのユニットメモリに記憶された新旧品情報を読み込む(ステップS52)。次いで、読み込まれた新旧品情報が、新品情報(「FFh」)であるかを判定する(ステップS53)。
【0137】
ユニットメモリの0番地の情報が「FFh」ではない場合(旧品情報「00h」、その他の情報になっている場合、ステップS53において「NO」)には、対応するプロセスユニットが交換されたものの、新品でない旧品のプロセスユニットが画像形成部Aに装着されたものとして、ステップS64に進む。ステップS64では、第1実施形態の新品判定制御と同様に、装着されたプロセスユニットのユニットメモリに記憶されているトナー濃度センサの初期調整データと、感光体ドラムの回転時間および現像器の回転時間のそれぞれを読み出し、読み出されたトナー濃度センサの初期調整データと、感光体ドラムの回転時間および現像器の回転時間のそれぞれとを、本体メモリ51に書き込む。その後、新品判定制御は終了する。
【0138】
対応するプロセスユニットに設けられユニットメモリの0番地の情報が「FFh」の新品情報の場合(ステップS53において「YES」)には、対応するプロセスユニットが交換されて未使用の新品のプロセスユニットが装着されたものとして、ステップS54に進む。
ステップS54では、交換されたプロセスユニットに対して画像安定化処理を実行する。この画像安定化処理では、交換されたプロセスユニットを用いて、中間転写ベルト25上に所定のテストパターンのトナー画像を形成して、そのトナー画像の濃度をIDCセンサ29によって検出する。そしてIDCセンサ29によって検出されたトナー画像の濃度が予め設定された所定値になるように、帯電電圧、現像バイアス電圧、半導体レーザ素子の露光量のそれぞれを調整する。
【0139】
このような画像安定化処理によって、帯電電圧、現像バイアス電圧、レーザ露光量のそれぞれが調整されると、帯電電圧、現像バイアス電圧、半導体レーザ素子の露光量のそれぞれの調整値を基準情報として取得し、エンジン制御部41に設けられたRAMに書き込む(ステップS54)。
次いで、本体メモリ51における所定のアドレス(36〜63番地における対応番地)から、対応するプロセスユニットにおける感光体ドラムおよび現像器のそれぞれの回転時間の累計を読み出す(ステップS55)。そして、読み出された感光体ドラムおよび現像器の回転時間の累計を、予め設定された所定の閾値と比較する(ステップS56)。この閾値としては、例えば、プリント枚数が1000枚の場合に対応した感光体ドラムおよび現像器のそれぞれの回転時間とされている。
【0140】
ステップS56において、読み出された感光体ドラムおよび現像器の回転時間の両方が閾値未満(ステップS56において「NO」)の場合には、ステップS59に進む。この理由については後述する。
ステップS56において、読み出された感光体ドラムの回転時間が閾値以上(ステップS56において「YES」)の場合には、ステップS57に進み、対応するプロセスユニットにおける制御帯電電圧、制御現像バイアス電圧、制御露光量のそれぞれを、本体メモリ51から読み出す。
【0141】
次いで、ステップS54において実行された画像安定化処理の結果である帯電電圧、現像バイアス電圧、露光量のそれぞれの基準情報と、ステップS57において読み出された制御帯電電圧、制御現像バイアス電圧、制御露光量のそれぞれの比較情報とを比較する(ステップS58)。
比較の結果、帯電電圧、現像バイアス電圧、露光量の全てについて、基準情報と比較情報との差が予め設定された所定値以上になっている場合(ステップS58において「YES」)には、新たに画像形成部Aに装着されたプロセスユニットが新品であると判定し(ステップS58a)、ステップS59に進む。なお、ステップS58において、それぞれの基準情報と比較情報との差の全てが所定値以上になっている場合に新たに画像形成部Aに装着されたプロセスユニットが新品であると判定する理由については後述する。
【0142】
画像形成部Aに装着されたプロセスユニットが新品であると判定されると、ステップS54の画像安定化処理によって得られた帯電電圧、現像バイアス電圧、露光量のそれぞれの基準情報を、本体メモリ51における所定のアドレスに帯電電圧、現像バイアス電圧、露光量の制御値としてそれぞれ書き込んで更新する(ステップS59)。
また、メモリ本体51に記憶された感光体ドラムおよび現像器の回転時間をそれぞれクリア(=0)する(ステップS60)。その後、プロセスユニットのユニットメモリにおける新旧品情報を、新品でない旧品であることを示す旧品情報「00h」に書き換えて(ステップS61)、新品判定制御を終了する。
【0143】
これに対して、ステップS58において、帯電電圧、現像バイアス電圧、露光量のそれぞれの基準情報と比較情報との差のいずれか一つが、予め設定された所定値以上になっていない場合(ステップS58において「NO」)には、画像形成部Aに装着されたプロセスユニットが新品でない旧品と判定し(ステップS58b)、ステップS59〜S60における処理を実行することなく、ステップS61に進み、プロセスユニットのユニットメモリにおける新旧品情報を、新品でない旧品であることを示す「00h」に書き換えて、新品判定制御を終了する。
【0144】
なお、ステップS58において、帯電電圧、現像バイアス電圧、露光量のそれぞれの基準情報と比較情報との差の全てが、予め設定された所定値以上になっている場合に、ステップS58aにおいて交換されたプロセスユニットを新品と判定する理由については以下の通りである。
新品のプロセスユニットでは、感光体ドラムの感光層および現像器内のキャリアは、それぞれ劣化していない状態になっているが、プリント動作が実行されてプリント枚数が増加することによって、感光層およびキャリアは順次劣化する。従って、画像形成装置の電源がオンされる毎に実行される画像安定化処理は、通常、その直前に実行された画像安定化処理時よりも、感光層およびキャリアのそれぞれが劣化した状態になっている。従って、画像安定化処理が順次実行されると、帯電電圧および現像バイアス電圧のそれぞれの絶対値が順次増加するように調整され、また、半導体レーザ素子の露光量も順次増加するように調整される。
【0145】
プロセスユニットの交換が指示された場合に、本体メモリ51に記憶された帯電電圧、現像バイアス電圧、露光量のそれぞれの制御値(比較情報)は、寿命に達する直前に実行されたものであるために、プロセスユニットが交換されてから最初に実行される画像安定化処理における帯電電圧、現像バイアス電圧、露光量のそれぞれの調整値(基準情報)に対して大きく増加していることになる。
【0146】
このことから、プロセスユニットの交換時に実行された画像安定化処理の結果である帯電電圧、現像バイアス電圧、露光量のそれぞれの調整値(基準情報)に対して、プロセスユニットが寿命に達する直前において実行された画像安定化処理の帯電電圧、現像バイアス電圧、露光量の全ての制御値(比較情報)よりも、所定値以上に増加していれば、新品のプロセスユニットが画像形成部Aに装着されていると判定することができる。反対に、帯電電圧、現像バイアス電圧、露光量のそれぞれの基準情報と比較情報との差のいずれか一つが所定値未満であれば、交換されたプロセスユニットは、新品ではなくて旧品であると判定することができる。
【0147】
なお、ステップS56において、本体メモリ51に書き込まれた感光体ドラムおよび現像器の回転時間が、予め設定された閾値(1000枚のプリント枚数に対応)以上でない場合に、交換されたプロセスユニットの新品判定を実行しない理由は以下の通りである。
例えば、ユーザが誤って、寿命になっていないプロセスユニットを画像形成部Aから取り外したものの、そのプロセスユニットが使用可能であることから、再度、画像形成部Aに装着した場合には、感光体ドラムおよび現像器の両方が寿命に達していない。
【0148】
このような場合には、本体メモリ51に書き込まれた帯電電圧、現像バイアス電圧、露光量のそれぞれの制御値(比較情報)は、プロセスユニットの交換時において実行された画像安定化処理の結果に対して、等しいか、あるいは、それよりも若干異なっているにすぎない。
従って、このような場合に、画像安定化処理の結果による制御値を比較情報として新品判定を実行すると、新品のプロセスユニットが画像形成部Aに装着されているにもかかわらず、新品でない旧品と判定されるおそれがある。
【0149】
以上のことから、ステップS56において、画像形成部Aに装着されたプロセスユニットの感光体ドラムおよび現像器の回転時間の両方が、閾値(1000枚のプリント枚数に対応)以上の回転時間に達していない場合には、ステップS57〜S58における新品判定を行うことなく、装着されたプロセスユニットを新品であるものとして、ステップS59〜S60の処理を行うようにしている。
【0150】
以上のように、本実施形態の新品判定制御においても、プロセスユニットが交換された場合に、交換されたプロセスユニットが新品であることを、プロセスユニットに対して実行される画像安定化処理の結果に基づいて判定している。従って、ユニットメモリに記憶されたデータが、通信ラインを介して送信される場合に、新品情報から旧品情報に変化しても、交換後のプロセスユニットが新品であること、あるいは旧品であることを、的確に判定することができる。
【0151】
その結果、新品でない旧品のプロセスユニットが画像形成部Aに装着された場合に、そのプロセスユニットが新品として扱われないために、帯電器、露光器、現像器のそれぞれが、画像安定化処理の結果によって得られた制御値によって適切に調整される。従って、その後のプリント動作の実行時に、形成される画像の品質が低下するおそれがない。しかも、帯電器、露光器、現像器のそれぞれが適切に動作されることにより、帯電器、露光器、現像器のそれぞれに異常電圧が印加されること等によって、故障、破損等が生じることを抑制することができる。
【0152】
また、プロセスユニットに設けられたユニットメモリに記憶されている新品情報が何らかの原因により書き換えられてしまう事態が発生しても、旧品のプロセスユニットが新品として扱われることを防止することができる。
なお、この第2の実施形態では、新品制御を実行する場合に、画像安定化処理として、帯電電圧、半導体レーザ素子の露光量、現像バイアス電圧の全てについて、基準情報および比較情報として新品の判定を行う構成であったが、それらのうちのいずれか1つまたは2つを、基準情報および比較情報として新品の判定を行う構成であってもよい。
【0153】
また、プロセスユニットには、プロセス手段としての感光体ドラムのみ、あるいは現像器のみが含まれる構成であってもよい。プロセスユニットにプロセス手段として感光体ドラムのみが含まれる場合には、帯電電圧および半導体レーザ素子の露光量のいずれか一方または両方に基づいて新品の判定が行われる。また、プロセス手段として現像器のみが含まれる構成の場合には、現像バイアス電圧に基づいて新品の判定が行われる。
【0154】
さらには、各プロセスユニットのそれぞれに、プロセス手段としての露光器を個別に設ける構成であってもよい。
また、上記の説明では、プロセスユニットの交換時に、装着されたプロセスユニットの画像安定化処理の結果を、本体メモリ51に記憶された寿命時における画像安定化処理の結果と比較して、それらの差が所定値以上になっている場合に、装着されたプロセスユニットを新品と判定する構成であったが、このような構成に限定されない。
【0155】
例えば、プロセスユニットの交換時に実行された画像安定化処理の結果(帯電電圧、露光量、現像バイアス電圧の制御値)を比較情報として、本体メモリ51に記憶しておく構成としてもよい。この場合には、プロセスユニットが交換された時点で実行される画像安定化処理の結果を基準情報として、本体メモリ51に記憶された比較情報と比較し、その差が所定値未満であれば、装着されたプロセスユニットを新品と判定する。
【0156】
[変形例]
なお、上記の実施形態では、プロセスユニットに設けられたユニットメモリに、ユニットメモリの新品情報を記憶させる構成であったが、このようなユニットメモリが設けられていない場合にも、プロセスユニットが新品であることを的確に判定することができる。この場合には、図10のステップS34および図11のステップS53の新品情報に関する判定を実行することなく、新品であるか否かを判定すればよい。
【0157】
また、ユニットメモリの、プロセスユニットに設けられたユニットメモリに新品情報を記憶させて、新品のプロセスユニットに対する初期調整が実行された後に、旧品情報に書き換える構成であったが、このような構成に限らず、例えば、プロセスユニットにヒューズを設けて、新品のプロセスユニットに対する初期調整が実行された後に、ヒューズを溶断して旧品とする構成としてもよい。ヒューズは完全に溶断できず、ノイズ等で溶断状態が誤検出されることがあるが、その場合にも本発明は有効である。
【0158】
さらに、プロセスユニットがプロセス手段として中間転写ベルトを含む構成であってもよい。また、定着装置をプロセスユニットとして交換可能に構成してもよい。
さらに、本発明に係る画像形成装置は、タンデム型カラーデジタルプリンタに限るものではなく、モノクロ画像を形成するプリンタであってもよい。さらには、プリンタに限らず、複写機、MFP(Multiple Function Peripheral)、FAX等(いずれの場合にも、カラー画像用、モノクロ画像用のいずれであってもよい)にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明は、画像形成に使用されるプロセスユニットが装置本体に対して交換可能になった画像形成装置において、交換されたプロセスユニットが新品であることを的確に検出する技術として有用である。
【符号の説明】
【0160】
10Y、10M、10C、10K プロセスユニット
11Y、11M、11C、11K 感光体ドラム
12Y、12M、12C、12K 帯電器
14Y、14M、14C、14K 現像器
141Y、141M、141C、141K 現像ローラ
25 中間転写ベルト
28 露光器
28Y、28M、28C、28K 半導体レーザ素子
29 IDCセンサ
41 エンジン制御部
42 MFPコントローラ
44Y、44M、44C、44K 帯電電圧コントローラ
46Y、46M、46C、46K 現像バイアスコントローラ
48Y、48M、48C、48K LD露光量コントローラ
MY、MM、MC、MK ユニットメモリ
SY、SM、SC、SK トナー濃度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成のためのプロセス手段を少なくとも1つ含むプロセスユニットが、装置本体に対して交換可能な画像形成装置であって、
当該装置本体に装着されたプロセスユニットの使用による状態変化に関する指標値を検出する検出手段と、
前記装置本体に設けられた不揮発性の本体メモリと、
前記検出手段から所定のタイミングで検出された指標値を比較情報として前記本体メモリに書き込む書き込み手段と、
プロセスユニットが装置本体に装着された時に前記検出手段にて検出された指標値を基準情報として前記比較情報と比較し、その比較結果に基づいて装着されたプロセスユニットが新品であるか否かを判定する判定手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記判定手段によってプロセスユニットが新品であると判定された場合に、前記基準情報に基づいて、前記検出手段の指標値を、当該プロセスユニットが新品であるときの指標値に対応するように調整する調整手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記比較情報は、プロセスユニットの交換前の直近のタイミングで検出された指標値であって、
前記判定手段は、基準情報と比較情報との差が所定値以上になっている場合に、装置本体に装着されたプロセスユニットを新品であると判定することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記書き込み手段は、プロセスユニットが新品であると判定されると、当該判定時における基準情報を比較情報として前記本体メモリに書き込み、
前記判定手段は、前記本体メモリに書き込まれた前記比較情報と、交換されたプロセスユニットに対する指標値である基準情報との差が所定値よりも小さい場合に、当該交換されたプロセスユニットを新品であると判定することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記プロセスユニットは、当該プロセスユニットが新品か旧品であるかを示す情報を記憶する不揮発性のユニットメモリを有しており、
前記装置本体は、前記ユニットメモリに新品を示す情報が記憶されていても、前記判定手段によってプロセスユニットが新品でないと判定された場合に、前記ユニットメモリに記憶された情報を、新品でないことを示す情報に書き換える書き換え手段を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記プロセスユニットは、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を用いた現像器を含み、
当該現像器が、内部に収容された現像剤のトナー濃度を検出するトナー濃度検出手段を前記検出手段として有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記プロセスユニットは感光体を含み、
前記検出手段は、画像安定化処理により得られる、前記感光体の帯電電位に関する情報を指標値として検出することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記プロセスユニットは感光体を含み、
前記検出手段は、画像安定化処理により得られる、前記感光体に静電潜像を形成するための露光量に関する情報を指標値として検出することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記プロセスユニットが現像器を含み、
前記検出手段は、画像安定化処理により得られる、現像バイアス電圧に関する情報を指標値として検出することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−226169(P2012−226169A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94420(P2011−94420)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】