説明

画像形成装置

【課題】トナー収容体を交換する時期を、正確な印刷可能枚数で報知する。
【解決手段】演算部501は、トナーコンテナー30内のトナー残量で印刷できる印刷可能ドット数を演算する。トナーコンテナー30内のトナー残量がニアエンドと検知された後に画像形成装置1により最初の印刷がされると、記憶部504に記憶されている印刷可能ドット数から、最初の印刷がされてカウントされたドット数を減算して印刷可能ドット数を演算し、画像形成装置1によるその後の印刷については、印刷がされる毎に、演算部501で演算された前回の印刷可能ドット数から、今回の印刷がされてカウントされたドット数を減算して印刷可能ドット数を演算する。換算部502は、演算部501で演算された印刷可能ドット数を、用紙サイズA4で印字率5%の条件で印刷した場合に印刷可能な枚数に換算し、報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー収容体の交換時期を表示する機能を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現像装置に補給するトナーを収容したトナー収容体(例えば、トナーカートリッジ)が、着脱可能に装着された画像形成装置において、トナー収容体内のトナーの残りが少なくなると、トナー収容体の交換時期が近いことを表示することが一般的である。また、トナー収容体の交換時期までに、その画像形成装置が印刷できる枚数を表示する機能を有するものがある。
【0003】
このような画像形成装置の従来例として、トナーカートリッジに残されたトナー量を測定し、その画像形成装置での先行消費履歴(そのトナーカートリッジを用いて画像形成装置で印刷されたページ数に関するトナーの消費履歴)に基づいて、印刷できる枚数を予測し、その枚数を表示させるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−319797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像形成装置に装着されたトナー収容体内のトナー残量で印刷できる枚数を、印刷可能枚数と称する。例えば、トナー収容体内のトナー量が満杯の状態から印刷可能枚数を表示し、その後に印刷された枚数に応じて、印刷可能枚数を減算して表示する場合を仮定する。この場合、予め定められた条件と異なる条件(例えば、用紙サイズA3、印字率10%)で印刷されれば、正確な印刷可能枚数を表示できなくなる。
【0006】
本発明は、印刷可能枚数を演算して表示する場合に、正確な印刷可能枚数を演算することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明の一の局面に係る画像形成装置は、トナー収容体からトナーが補給される現像装置を含み、静電潜像をトナーにより画像に現像して、当該画像を用紙に形成する印刷機能を有し、前記トナー収容体が着脱可能に装着される画像形成装置であって、前記画像形成装置に装着された前記トナー収容体内のトナー残量で印刷できるドット数である印刷可能ドット数を演算する演算部と、前記演算部で演算された印刷可能ドット数を、予め定められた用紙サイズ及び印字率で印刷した場合に印刷可能な枚数に換算する換算部と、表示部と、前記換算部で換算された印刷可能枚数を前記表示部に表示させる表示制御部と、前記トナー収容体内のトナー残量が所定量のときの印刷可能ドット数のデータを予め記憶している記憶部と、前記画像形成装置に装着された前記トナー収容体内のトナー残量が前記所定量に到達したことを検知する検知部と、前記検知部が前記所定量に到達したことを検知した後に前記画像形成装置により印刷がされると、当該印刷でのドット数をカウントするカウント部と、を備え、前記演算部は、前記検知部が前記所定量に到達したことを検知した後に前記画像形成装置により最初の印刷がされると、前記記憶部に記憶されている印刷可能ドット数から、前記最初の印刷がされて前記カウント部でカウントされたドット数を減算して印刷可能ドット数を演算し、前記画像形成装置によるその後の印刷については、印刷がされる毎に、前記演算部で演算された前回の印刷可能ドット数から、今回の印刷がされて前記カウント部でカウントされたドット数を減算して印刷可能ドット数を演算する。
【0008】
本発明の一の局面に係る画像形成装置によれば、トナー収容体内のトナー残量が所定量(例えば、ニアエンド)のときの印刷可能ドット数のデータを予め記憶している。トナー収容体内のトナー残量が所定量に到達したことが検知された後に最初の印刷がされると、所定量のときの印刷可能ドット数から、最初の印刷がされてカウントされたドット数を減算して印刷可能ドット数を演算する。その後の印刷については、印刷がされる毎に、前回の印刷可能ドット数から、今回の印刷がされてカウントされたドット数を減算して印刷可能ドット数を演算する。そして、演算された印刷可能ドット数を、予め定められた用紙サイズ及び印字率で印刷した場合に印刷可能な枚数に換算して表示する。従って、印刷可能枚数を演算して表示する場合に、異なる条件で印刷がされても、正確な印刷可能枚数を演算することができる。
【0009】
また、本発明の一の局面に係る画像形成装置によれば、印刷可能ドット数を用いて印刷可能枚数を演算している。印刷可能ドット数は、画像形成装置に装着された現像装置内のトナー残量にかかわらず、トナー収容体内のトナー残量(例えば、ニアエンドからのトナー残量)で印刷できるドット数である。従って、印刷可能ドット数が0に到達したことで、トナー収容体を交換させることができるので、トナー収容体内のトナーがなくなった状態でトナー収容体を交換することが可能となる。
【0010】
本発明の他の局面に係る画像形成装置によれば、トナー収容体からトナーが補給される現像装置を含み、静電潜像をトナーにより画像に現像して、当該画像を用紙に形成する印刷機能を有し、前記トナー収容体が着脱可能に装着される画像形成装置であって、前記画像形成装置に装着された前記トナー収容体内のトナー残量で、予め定められた用紙サイズ及び印字率で印刷した場合に印刷できる枚数である印刷可能枚数を演算する演算部と、前記トナー収容体内のトナー残量が所定量のときの、前記予め定められた用紙サイズ及び印字率で印刷した場合の印刷可能枚数のデータを予め記憶している記憶部と、前記画像形成装置に装着された前記トナー収容体内のトナー残量が前記所定量に到達したことを検知する検知部と、前記検知部が前記所定量に到達したことを検知した後に前記画像形成装置により印刷がされると、当該印刷での用紙サイズ及び印字率で印刷された枚数を、前記予め定められた用紙サイズ及び印字率で印刷した場合の印刷枚数に換算する換算部と、表示部と、前記演算部で演算された印刷可能枚数を前記表示部に表示させる表示制御部と、を備え、前記演算部は、前記検知部が前記所定量に到達したことを検知した後に前記画像形成装置により最初の印刷がされると、前記記憶部に記憶されている印刷可能枚数から、前記最初の印刷がされて前記換算部で換算された印刷枚数を減算して印刷可能枚数を演算し、前記画像形成装置によるその後の印刷については、印刷がされる毎に、前記演算部で演算された前回の印刷可能枚数から、今回の印刷がされて前記換算部で換算された印刷枚数を減算して印刷可能数を演算する。
【0011】
本発明の他の局面に係る画像形成装置によれば、トナー収容体内のトナー残量が所定量(例えば、ニアエンド)のときの印刷可能枚数のデータを予め記憶している。トナー収容体内のトナー残量が所定量に到達したことが検知された後に画像形成装置により印刷がされると、その印刷での用紙サイズ及び印字率で印刷された枚数を、印刷可能枚数の条件(予め定められた用紙サイズ及び印字率)で印刷した場合の印刷枚数に換算する。トナー収容体内のトナー残量が所定量に到達したことが検知された後に最初の印刷がされると、所定量のときの印刷可能枚数から、最初の印刷がされて換算された印刷枚数を減算して印刷可能枚数を演算する。その後の印刷については、印刷がされる毎に、前回の印刷可能枚数から、今回の印刷がされて換算された印刷枚数を減算して印刷可能枚数を演算する。そして、演算された印刷可能枚数を表示する。従って、印刷可能枚数を演算して表示する場合に、異なる条件で印刷がされても、正確な印刷可能枚数を演算することができる。
【0012】
また、印刷可能枚数とは、画像形成装置に装着されたトナー収容体内のトナー残量で、予め定められた用紙サイズ及び印字率で印刷した場合に印刷できる枚数である。従って、本発明の他の局面に係る画像形成装置によれば、印刷可能枚数が0に到達したことで、トナー収容体を交換させることができるので、トナー収容体内のトナーがなくなった状態でトナー収容体を交換することが可能となる。
【0013】
本発明の一の局面及び他の局面に係る画像形成装置によれば、トナー収容体内のトナー残量が所定量に到達したことが検知されてから印刷可能枚数を演算するので、トナー収容体内のトナー残量が満杯のときから印刷可能枚数を演算する場合と違い、印刷可能枚数の演算の累積誤差が発生せず、正確な印刷可能枚数を演算することができる。
【0014】
本発明の一の局面及び他の局面に係る画像形成装置において、前記現像装置は、前記トナーを含む一成分現像剤を用いて現像をしており、前記トナー収容体は、前記画像形成装置での印刷時に、前記現像装置内のトナー残量にかかわらず動作をして、前記トナー収容体内のトナーを前記現像装置へ送るトナー送出機構を含む。
【0015】
この構成において、トナー送出機構は、画像形成装置での印刷時に、現像装置内のトナー残量にかかわらず常に動作をして、トナー収容体内のトナーを現像装置へ送る。この構成によれば、現像装置内のトナー残量を検知するトナー残量センサーを設けて、現像装置内のトナー残量が少なくなると、トナー収容体からトナーを現像装置に補給する構成と比べて、正確な印刷可能枚数を演算・表示することができる。この理由は、第1実施形態で詳しく説明する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、印刷可能枚数を演算して表示する場合に、正確な印刷可能枚数を演算することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の内部構造の概略を示す図である。
【図2】現像部が装置本体に取り付けられたフレームに嵌められた状態を示す斜視図である。
【図3】現像部とフレームとを分離した状態を示す斜視図である。
【図4】フレームの斜視図である。
【図5】図2に示す現像装置及びトナーコンテナーを、II−II線に沿って切断した断面の模式図である。
【図6】現像装置の斜視図である。
【図7】図6に示す現像装置の上カバーを取り外した状態の斜視図である。
【図8】トナーコンテナーを背面方向から見た斜視図である。
【図9】現像装置とトナーコンテナーをフレームに嵌めた状態で、トナーコンテナーをその長手方向に沿って切断した断面図である。
【図10】第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図11】第1実施形態に係る画像形成装置での印刷可能枚数の演算について説明するフローチャートである。
【図12】表示部に印刷可能枚数を表示する態様の一例を示す図である。
【図13】表示部に印刷可能枚数を表示する態様の他の例を示す図である。
【図14】第2実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図15】第2実施形態に係る画像形成装置での印刷可能枚数の演算について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る画像形成装置1の内部構造の概略を示す図である。画像形成装置1は例えば、コピー、プリンター、スキャナー及びファクシミリの機能を有するデジタル複合機に適用することができる。画像形成装置1は装置本体100、装置本体100の上に配置された原稿読取部200、原稿読取部200の上に配置された原稿給送部300及び装置本体100の上部前面に配置された操作部400を備える。
【0019】
原稿給送部300は自動原稿送り装置として機能し、原稿載置部301に置かれた複数枚の原稿を連続的に原稿読取部200に送ることができる。
【0020】
原稿読取部200は露光ランプ等を搭載したキャリッジ201、ガラス等の透明部材により構成された原稿台203、不図示のCCD(Charge Coupled Device)センサー及び原稿読取スリット205を備える。原稿台203に載置された原稿を読み取る場合、キャリッジ201を原稿台203の長手方向に移動させながらCCDセンサーにより原稿を読み取る。これに対して、原稿給送部300から給送された原稿を読み取る場合、キャリッジ201を原稿読取スリット205と対向する位置に移動させて、原稿給送部300から送られてきた原稿を、原稿読取スリット205を通してCCDセンサーにより読み取る。CCDセンサーは読み取った原稿を画像データとして出力する。
【0021】
装置本体100は用紙貯留部101、画像形成部103及び定着部105を備える。用紙貯留部101は装置本体100の最下部に配置されており、用紙の束を貯留することができる用紙トレイ107を備える。用紙トレイ107に貯留された用紙の束において、最上位の用紙がピックアップローラー109の駆動により、用紙搬送路111へ向けて送出される。用紙は用紙搬送路111を通って、画像形成部103へ搬送される。
【0022】
画像形成部103は搬送されてきた用紙にトナー画像を形成する。画像形成部103は感光体ドラム113、露光部115、現像部117及び転写部119を備える。露光部115は画像データ(原稿読取部200から出力された画像データ、パソコンから送信された画像データ、ファクシミリ受信の画像データ等)に対応して変調された光を生成し、一様に帯電された感光体ドラム113の周面に照射する。これにより、感光体ドラム113の周面には画像データに対応する静電潜像が形成される。この状態で感光体ドラム113の周面に現像部117からトナーを供給することにより、周面には画像データに対応するトナー画像が形成される。このトナー画像は転写部119によって先ほど説明した用紙貯留部101から搬送されてきた用紙に転写される。
【0023】
トナー画像が転写された用紙は定着部105に送られる。定着部105において、トナー画像と用紙に熱と圧力が加えられて、トナー画像は用紙に定着される。用紙はスタックトレイ121又は排紙トレイ123に排紙される。
【0024】
操作部400は操作キー部401と表示部403を備える。表示部403はタッチパネル機能を有しており、ソフトキーを含む画面が表示される。ユーザーは画面を見ながらソフトキーを操作することによって、コピー等の機能の実行に必要な設定等をする。
【0025】
操作キー部401にはハードキーからなる操作キーが設けられている。具体的にはスタートキー405、テンキー407、ストップキー409、リセットキー411、コピー、プリンター、スキャナー及びファクシミリを切り換えるための機能切換キー413等が設けられている。
【0026】
スタートキー405はコピー、ファクシミリ送信等の動作を開始させるキーである。テンキー407はコピー部数、ファクシミリ番号等の数字を入力するキーである。ストップキー409はコピー動作等を途中で中止させるキーである。リセットキー411は設定された内容を初期設定状態に戻すキーである。
【0027】
機能切換キー413はコピーキー及び送信キー等を備えており、コピー機能、送信機能等を相互に切り替えるキーである。コピーキーを操作すれば、コピーの初期画面が表示部403に表示される。送信キーを操作すれば、ファクシミリ送信及びメール送信の初期画面が表示部403に表示される。
【0028】
次に、現像部117について詳細に説明する。図2は現像部117が装置本体100(図1)に取り付けられたフレーム10に嵌められた状態を示す斜視図である。図3は現像部117とフレーム10とを分離した状態を示す斜視図である。図4はフレーム10の斜視図である。
【0029】
現像部117は現像装置20及びトナー収容体の一例であるトナーコンテナー30により構成される。現像装置20は感光体ドラム113(図1)にトナーを供給する現像ローラー21を備える。現像装置20で使用される現像剤(トナー)は一成分現像剤である。トナーコンテナー30には現像装置20に補給するトナーが収容されている。図1に示す画像形成装置1はカラー印刷機でなく、モノクロ印刷機である。よって、トナーコンテナー30にはブラックトナーが収容されている。
【0030】
フレーム10の底面には現像装置20をガイドするレール11が設けられている。レール11は画像形成装置1の正面Fから背面Bに向けて延びている。現像装置20をレール11にガイドさせて、背面Bに向けてスライドさせることにより、現像装置20が画像形成装置1に装着される。画像形成装置1に装着された現像装置20を、正面Fに向けてスライドさせることにより、画像形成装置1から取り出すことができる。
【0031】
トナーコンテナー30はフレーム10の底面において、現像装置20の隣に配置される。フレーム10にはトナーコンテナー30をガイドするレール12a,12bが互いに間隔を設けて配置されている。レール12a,12bは画像形成装置1の正面Fから背面Bに向けて延びている。トナーコンテナー30をレール12a,12bにガイドさせて、背面Bに向けてスライドさせることにより、トナーコンテナー30が画像形成装置1に装着される。画像形成装置1に装着されたトナーコンテナー30を、正面Fに向けてスライドさせることにより、画像形成装置1から取り出すことができる。
【0032】
図5は図2に示す現像装置20及びトナーコンテナー30を、II−II線に沿って切断した断面の模式図である。トナーコンテナー30内にはトナー送出機構31が配置されている。トナー送出機構31はスクリューコンベアー32及び二つの攪拌スクリュー33a,33bを備える。スクリューコンベアー32及び攪拌スクリュー33a,33bには、後で説明する駆動部50(図10)によってトルクが伝達される。これにより、スクリューコンベアー32及び攪拌スクリュー33a,33bは、トナーコンテナー30の長手方向(言い換えれば、画像形成装置1の正面Fから背面Bに向かう方向)に延びる軸を中心に回転する。
【0033】
トナーコンテナー30はトナー収容空間34と、この空間とつながるトナー送出空間35とを備える。トナー収容空間34には攪拌スクリュー33a,33bが配置されている。トナー送出空間35にはスクリューコンベアー32が配置されている。トナー送出空間35の底面にはトナー送出口35aが形成されている。トナー送出空間35のトナーは、トナー送出口35aから現像装置20に補給される。
【0034】
現像装置20について、図5に加えて、図6及び図7を用いて説明する。図6は現像装置20の斜視図であり、図7は図6に示す現像装置20の上カバー23を取り外した状態の斜視図である。
【0035】
現像装置20は仕切板24により、二つの攪拌空間25a,25bに分けられている。攪拌空間25a,25bは現像ローラー21が延びる方向に延びている。攪拌空間25aの天井にはトナー補給口22a,22bが形成されている(図示したトナー補給口22a,22bは実際、トナー汚れ防止のためのトナー溜め部であり、実際の補給口はその横のシャッタに隠れている。本明細書では説明の便宜上、トナー補給口22a,22bとした)。トナー補給口22a,22bはトナー送出口35aとつながっている。トナー送出空間35のトナーは、トナー送出口35aからトナー補給口22a,22bを通り、攪拌空間25aに送られる。攪拌空間25a,25bには、それぞれ、現像ローラー21が延びる方向に延びる攪拌スクリュー26a,26bが配置されている。
【0036】
攪拌スクリュー26aが回転することにより、攪拌空間25aのトナーは画像形成装置1の正面Fから背面B方向に搬送されて、攪拌空間25bに送られる。攪拌空間25bに送られたトナーは、攪拌スクリュー26bが回転することにより、画像形成装置1の背面Bから正面Fに搬送されながら、供給ローラー(不図示)を介して、現像ローラー21にトナーを供給する。
【0037】
図7に示すように、攪拌空間25aにおいて、トナー補給口22a,22b下の区間A1の付近であってトナーの搬送方向側に、攪拌スクリュー25aの径が細くされている区間A2がある。このため、区間A2ではトナーの搬送能力が他の区間と比べて低くなる。画像形成装置1での印刷時、トナーコンテナー30内のスクリューコンベアー32及び二つの攪拌スクリュー33a,33bは、常に回転している。これにより、トナー収容空間34のトナーがトナー送出空間35に送られ、トナー送出空間35のトナーはトナー送出口35aからトナー補給口22a,22bを通って、攪拌空間25aに送られる。空間A2ではトナーの搬送能力が低いので、区間A1から区間A2にわたる区間A3でトナーが満杯となる。従って、スクリューコンベアー32及び二つの攪拌スクリュー33a,33bが回転していても、トナー補給口22a,22bから攪拌空間25aへのトナーの補給が止まる。
【0038】
現像ローラー21にトナーが送られて、攪拌空間25a,25bのトナーが減少すると、区間A1から区間A2に向かって、トナーが満杯の区間が短くなる。トナー補給口22a,22bの下の区間A1でトナー量が少なくなると、トナー送出口35aからトナー補給口22a,22bを介して攪拌空間25aにトナーが落下し(補給され)、再び、区間A3でトナーが満杯となる。
【0039】
以上のような方式によれば、攪拌空間25a,25b内のトナー量が適量の状態を保つことにより、トナー送出口35aから攪拌空間25aへのトナーの落下量(補給量)を制御することができる(過剰になったり、不足したりすることを防止できる)。従って、攪拌空間25a,25bのトナー量を検知するセンサーを設けなくても、トナーコンテナー30から現像装置20に適量なトナーを補給することができる。
【0040】
トナーコンテナー30内のトナーのニアエンドを検知する検知部40について、図5を用いて説明する。検知部40は、画像形成装置1に装着されたトナーコンテナー30内のトナー残量がニアエンド(所定量の一例)に到達したことを検知する。トナー収容空間34の底面の一部は、透明部30aである。透明部30aの下方に検知部40が配置されている。検知部40はフレーム10の底面に形成された取付穴13(図3、図4)に配置される。
【0041】
検知部40は例えば、投光部と受光部を備える光センサーである。投光部から発した光が透明部30aを通過し、トナー収容空間34内のトナーで反射され、その反射光が透明部30aを通過して受光部で受光される。トナー収容空間34内にトナーがあるか否かで受光量が異なることを利用して、トナー収容空間34にトナーがなくなったことを検知する。なお、検知部40として透磁率センサーを用いることもできる。
【0042】
上述したように、画像形成装置1の印刷時、スクリューコンベアー32及び二つの攪拌スクリュー33a,33bが常に回転することにより、現像装置20にトナーを供給する動作を継続している。トナーコンテナー30において、最初にトナーがなくなるのがトナー収容空間34であり、次にトナーがなくなるのがトナー送出空間35である。このため、トナー送出空間35のトナーがなくなった時点で、トナーコンテナー30内のトナーがなくなることになる。従って、検知部40がトナー収容空間34内のトナーがないことを検知すると、トナーコンテナー30内のトナー量がニアエンドの状態を検知することになる。なお、トナーコンテナー30内のトナーがなくなった時点では、現像装置20にはまだトナーが残っているので、印刷をすることが可能である。
【0043】
次に、トナー送出機構31を動作させる駆動部50について、図3、図8及び図9を主に用いて説明する。図8はトナーコンテナー30を背面方向から見た斜視図である。図9は現像装置20とトナーコンテナー30をフレーム10に嵌めた状態で、トナーコンテナー30をその長手方向に沿って切断した断面図である。
【0044】
駆動部50は第1の駆動部50aと第2の駆動部50bにより構成される。第1の駆動部50aはフレーム10の後端に取り付けられており、第2の駆動部50bは現像装置20の後端に取り付けられている。第1の駆動部50aはシャフト51を有する。シャフト51は第1の駆動部50aから伝達されたトルクにより回転する。第2の駆動部50bはシャフト52を有する。シャフト52は第2の駆動部50bから伝達されたトルクにより回転する。シャフト51,52は、現像装置20が駆動されているときは常に駆動伝達されている。
【0045】
図8に示すように、トナーコンテナー30の背面のうち、トナー収容空間34の箇所には、三つのギア36,37a,37bが並べて取り付けられている。中央のギア36は、トナーコンテナー30を画像形成装置1に装着すると、第1の駆動部50aのシャフト51と連結する。両側のギア37a,37bは、中央のギア36とかみ合わされている。ギア37aはトナーコンテナー30内の攪拌スクリュー33a(図5)のシャフト(不図示)に固定され、ギア37bはトナーコンテナー30内の攪拌スクリュー33b(図5)のシャフト(不図示)に固定されている。従って、シャフト51が回転することにより、攪拌スクリュー33a,33bが回転する。
【0046】
トナーコンテナー30の背面のうち、トナー送出空間35の箇所には、スクリューコンベアー32(図5)のシャフト(不図示)に固定された連結具38が突き出ている。連結具38は、トナーコンテナー30を画像形成装置1に装着すると、第2の駆動部50bのシャフト52と連結する。従って、シャフト52が回転することにより、スクリューコンベアー32が回転する。
【0047】
図10は第1実施形態に係る画像形成装置1の構成を示すブロック図である。画像形成装置1は装置本体100、原稿読取部200、原稿給送部300、操作部400、制御部500及び通信部600がバスによって相互に接続された構成を有する。原稿読取部200、原稿給送部300及び操作部400に関しては既に説明したので、説明を省略する。
【0048】
画像形成装置1は第1の駆動部50aと第2の駆動部50bからなる駆動部50を備える。駆動部50はモーター53、ギア(不図示)及びクラッチ(不図示)等を含む。駆動部50は、モーター53の回転力をトナー送出機構31に伝達する。トナー送出機構31は図5を用いて既に説明したように、トナーコンテナー30内に配置されているスクリューコンベアー32及び攪拌スクリュー33a,33bである。
【0049】
制御部500はCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び画像メモリ等を備える。CPUは画像形成装置1を動作させるために必要な制御を、装置本体100等の画像形成装置1の上記構成要素に対して実行する。ROMは画像形成装置1の動作の制御に必要なソフトウェアを記憶している。RAMはソフトウェアの実行時に発生するデータの一時的な記憶及びアプリケーションソフトの記憶等に利用される。画像メモリは画像データ(原稿読取部200から出力された画像データ、パソコンから送信された画像データ、ファクシミリ受信の画像データ等)を一時的に記憶する。
【0050】
制御部500は演算部501、換算部502、表示制御部503、記憶部504、及びカウント部505の機能を有する。
【0051】
演算部501は、画像形成装置1に装着されたトナーコンテナー30内のトナー残量で印刷できるドット数である印刷可能ドット数(言い換えれば、トナーコンテナー30を交換しなければならない場合までに印刷できるドット数)を演算する。
【0052】
換算部502は、演算部501で演算された印刷可能ドット数を、予め定められた用紙サイズ及び印字率で印刷した場合に印刷可能な枚数に換算する。
【0053】
表示制御部503は、換算部502で換算された印刷可能枚数を表示部403に表示させる。
【0054】
記憶部504は、トナーコンテナー30内のトナー残量が所定量(例えば、ニアエンド)のときの印刷可能ドット数のデータを予め記憶している。
【0055】
カウント部505は、検知部40が所定量に到達したことを検知した後に画像形成装置1により印刷がされると、その印刷でのドット数をカウントする。
【0056】
演算部501は、検知部40が所定量に到達したことを検知した後に画像形成装置1により最初の印刷がされると、記憶部504に記憶されている印刷可能ドット数から、最初の印刷がされてカウント部505でカウントされたドット数を減算して印刷可能ドット数を演算し、画像形成装置1によるその後の印刷については、印刷がされる毎に、演算部501で演算された前回の印刷可能ドット数から、今回の印刷がされてカウント部505でカウントされたドット数を減算して印刷可能ドット数を演算する。
【0057】
通信部600はファクシミリ通信部601及びネットワークI/F部603を備える。ファクシミリ通信部601は相手先ファクシミリとの電話回線の接続を制御するNCU(Network Control Unit)及びファクシミリ通信用の信号を変復調する変復調回路を備える。ファクシミリ通信部601は電話回線605に接続される。
【0058】
ネットワークI/F部603はLAN(Local Area Network)607に接続される。ネットワークI/F部603はLAN607に接続されたパソコン等の端末装置との間で通信を実行するための通信インターフェイス回路である。
【0059】
次に、第1実施形態に係る画像形成装置1での印刷可能枚数の演算について説明する。図11はこの演算を説明するフローチャートである。制御部500は印刷ジョブが発生したか否かを判断する(ステップS1)。印刷ジョブは、ユーザーが画像形成装置1の原稿台203や原稿載置部301にコピーする原稿を置いて、スタートキー405を操作した場合、ユーザーが画像形成装置1に接続されているパソコンから画像の印刷命令の操作をした場合、画像形成装置1がファクミリ受信をした場合等に発生する。
【0060】
制御部500は印刷ジョブが発生したと判断しない場合(ステップS1でNo)、ステップS1の処理を繰り返す。制御部500は印刷ジョブが発生したと判断した場合(ステップS1でYes)、画像形成装置1に印刷を実行させる。検知部40はこの印刷により、トナーコンテナー30内のトナー残量がニアエンドに到達したかを検知する(ステップS2)。検知部40がニアエンドを検知しなければ(ステップS2でNo)、ステップS1へ戻る。
【0061】
検知部40がニアエンドを検知した場合(ステップS2でYes)、その後は印刷ジョブが発生して印刷が実行されると、印刷可能枚数を演算して表示部403に印刷可能枚数を表示する。以下、詳細に説明する。制御部500は印刷ジョブが発生したか否かを判断する(ステップS3)。制御部500は印刷ジョブが発生したと判断しない場合(ステップS3でNo)、ステップS3の処理を繰り返す。
【0062】
制御部500は印刷ジョブが発生したと判断した場合(ステップS3でYes)、画像形成装置1に印刷を実行させる。カウント部505はこの印刷でのドット数をカウントする(ステップS4)。ここでは、検知部40がニアエンドを検知した後、最初の印刷ジョブが発生して画像形成装置1が最初に実行する印刷であり、カウント部505はこの最初の印刷でのドット数をカウントする。
【0063】
演算部501は記憶部504に予め記憶されている印刷可能ドット数から、最初の印刷がされてステップS4でカウントされたカウント数を減算して印刷可能ドット数を演算する(ステップS5)。演算部501は演算された印刷可能ドット数のデータを記憶する。
【0064】
換算部502はステップS5で演算された印刷可能ドット数を、用紙サイズがA4で印字率が5%の条件で印刷した場合の印刷可能枚数に換算する(ステップS6)。表示制御部503はステップS6で換算された印刷可能枚数を表示部403に表示させる(ステップS7)。図12は表示部403に印刷可能枚数を表示する態様の一例であり、図13は表示部403に印刷可能枚数を表示する態様の他の例を示す図である。図12では、印刷可能枚数とトナーが少なくなった旨だけが表示部403に表示されている。図13では、表示部403にステータスモニターと一緒に、印刷可能枚数とトナーが少なくなった旨が表示されている。
【0065】
制御部500はステップS5において、演算部501が演算して記憶している印刷可能ドット数が0より大きいか否かを判定する(ステップS8)。印刷可能ドット数が0より大きければ、次の印刷ジョブが実行可能であることを意味する。制御部500は印刷可能ドット数が0より大きいと判断した場合(ステップS8でYes)、ステップS3へ戻る。
【0066】
そして、制御部500は印刷ジョブが発生したと判断した場合(ステップS3でYes)、画像形成装置1に印刷を実行させる。カウント部505はこの印刷でのドット数をカウントする(ステップS4)。ここでは、検知部40がニアエンドを検知した後、最初の印刷ジョブが発生して画像形成装置1が最初に実行する印刷ではなく、次の印刷ジョブが発生して画像形成装置が実行する印刷(その後の印刷)である。カウント部505はこの印刷でのドット数をカウントする(ステップS4)。
【0067】
演算部501は、演算部501に記憶されている前回の印刷可能ドット数から、今回の印刷がされてステップS4でカウントされたカウント数を減算して印刷可能ドット数を演算する(ステップS5)。演算部501はこの演算された印刷可能ドット数のデータを記憶する。
【0068】
換算部502はステップS5で演算された印刷可能ドット数を、用紙サイズがA4で印字率が5%の条件で印刷した場合の印刷可能枚数に換算する(ステップS6)。表示制御部503はステップS6で換算された印刷可能枚数を表示部403に表示させる(ステップS7)。
【0069】
制御部500が演算部501に記憶されている印刷可能ドット数が0より大きいと判断しない場合(ステップS8でNo)、これはトナーコンテナー30のトナーが無くなったことを意味する。制御部500は画像形成装置1での印刷を禁止する処理をし、かつ表示制御部503は表示部403にトナーコンテナー30内のトナーが無くなった旨を表示させる(ステップS9)。
【0070】
検知部40はトナーコンテナー30が交換されたか否かを判断する(ステップS10)。ユーザーによりトナーコンテナー30が交換されて、新しいトナーコンテナー30が画像形成装置1に装着されると、検知部40はトナーコンテナー30内のトナー残量がニアエンドでないことを検知する。一方、トナーコンテナー30が交換されなければ、検知部40はトナーコンテナー30内のトナー残量がニアエンドであることを検知したままである。従って、トナーコンテナー30が交換されると、検知部40がトナーコンテナー30のニアエンドを検知していないので(ステップS10でNo)、ステップS1に戻る。これに対して、トナーコンテナー30が交換されないと、検知部40はトナーコンテナー30内のトナー残量がニアエンドであることを検知したままである。従って、ステップS9に戻る。
【0071】
第1実施形態に係る画像形成装置1の主な効果を説明する。画像形成装置1によれば、トナーコンテナー30内のトナー残量がニアエンドのときの印刷可能ドット数のデータを予め記憶している。トナーコンテナー30内のトナー残量がニアエンドに到達したことが検知された後に最初の印刷がされると、ニアエンドのときの印刷可能ドット数から、最初の印刷がされてカウントされたドット数を減算して印刷可能ドット数を演算する。その後の印刷については、印刷がされる毎に、前回の印刷可能ドット数から、今回の印刷がされてカウントされたドット数を減算して印刷可能ドット数を演算する。そして、演算された印刷可能ドット数を、用紙サイズA4で印字率5%の条件で印刷した場合に印刷可能な枚数に換算して表示する。従って、印刷可能枚数を演算して表示する場合に、異なる条件で印刷がされても、正確な印刷可能枚数を演算することができる。
【0072】
以下、具体例を用いて説明する。例えば、ニアエンドでの印刷可能ドット数を1000万ドット、用紙サイズA4で印字率5%の条件で印刷した場合の1枚のドット数を10万ドットとすれば、ニアエンドでの印刷可能枚数は100枚となる。12万ドット/枚で2枚の印刷を4回繰り返す。四捨五入で演算する。第1回印刷は検知部40がニアエンドを検知した後に画像形成装置1による最初の印刷である。第2回から第4回印刷は、画像形成装置1によるその後の印刷である。
【0073】
第1回印刷:1000万ドット−24万ドット=976万ドット(印刷可能ドット数)
976万ドット÷10万ドット/枚≒98枚(印刷可能枚数)
第2回印刷:976万ドット−24万ドット=952万ドット(印刷可能ドット数)
952万ドット÷10万ドット/枚≒95枚(印刷可能枚数)
第3回印刷:952万ドット−24万ドット=928万ドット(印刷可能ドット数)
928万ドット÷10万ドット/枚≒93枚(印刷可能枚数)
第4回印刷:928万ドット−24万ドット=904万ドット(印刷可能ドット数)
904万ドット÷10万ドット/枚≒90枚(印刷可能枚数)
以上のように、第1実施形態に係る画像形成装置1では、印刷可能ドット数から印刷可能枚数を換算するので、正確な印刷可能枚数を演算することが可能となる。
【0074】
トナー残量とトナー消費量とを用いて、現像装置の印刷可能枚数を予測演算する場合、印刷可能枚数の演算に累積誤差が生じる。第1実施形態に係る画像形成装置1によれば、上記のようにして、印刷可能枚数を演算するので、印刷可能枚数の演算に累積誤差が生じることを防止できる。この効果は、次に説明する第2実施形態に係る画像形成装置2によっても生じる。
【0075】
また、第1実施形態に係る画像形成装置1によれば、印刷可能ドット数を用いて印刷可能枚数を換算している。印刷可能ドット数は、画像形成装置1に装着された現像装置20内のトナー残量にかかわらず、トナーコンテナー30内のトナー残量で印刷できるドット数である。従って、印刷可能ドット数が0に到達したことで、トナーコンテナー30を交換させることができるので、トナーコンテナー30内のトナーがなくなった状態でトナーコンテナー30を交換することが可能となる。
【0076】
さらに、第1実施形態に係る画像形成装置1によれば、以下の特徴(1)〜(3)を有する比較例と比べて、印刷可能枚数を正確に計算することができる。(1)現像装置20内のトナー残量を検知するトナー残量センサーを設けて、現像装置20内のトナー残量が少なくなると、トナーコンテナー30からトナーを現像装置20に補給する。(2)トナーコンテナー30内のトナーがニアエンドに到達したことを検知部40が検知した後、現像装置20内のトナーが所定量に到達したことをトナー残量センサーが検知することにより、その後の印刷を禁止し、トナーコンテナー30の交換をユーザーに報知する。(3)ニアエンドが検知されてからの印刷可能枚数を演算し、表示することは、本実施形態と同じであるが、但し、ニアエンド検知時のトナーコンテナー30内のトナー残量と現像装置20内のトナー残量とを足した値で、印刷可能ドット数が設定されている。
【0077】
検知部40がニアエンドを検知した時点で、現像装置20内のトナー残量は不定であり、多い場合もあれば、少ない場合もある。また、ニアエンド検知後、トナー残量センサーが現像装置20内のトナー残量が少ないことを検知して、トナーコンテナー30からトナーが現像装置20に補給されると、トナーコンテナー30内のトナーが急激に減る。このため、比較例の場合、ニアエンド検知後、現像装置20内のトナーが所定量に到達したことが検知されて、印刷禁止にされているにもかかわらず、印刷可能枚数が表示されることがある。
【0078】
これに対して、第1実施形態に係る画像形成装置1によれば、トナー送出機構31は、画像形成装置1での印刷時に、現像装置20内のトナー残量にかかわらず常に動作をして、トナーコンテナー30内のトナーを現像装置20へ送る。このため、ニアエンド検知後、トナーコンテナー30内のトナーが急激に減ることはない。また、第1実施形態に係る画像形成装置1によれば、ニアエンド検知時のトナーコンテナー30内のトナー残量で、印刷可能ドット数が設定し、現像装置20内のトナー残量を考慮しない。以上により、本実施形態によれば、比較例に比べて、印刷可能枚数を正確に計算することができる。
【0079】
なお、本実施形態によれば、印刷可能枚数が0となり、印刷禁止にされた段階で現像装置20内にトナーが多量に残ることがある。この場合でも、トナーコンテナー30の交換後、印刷が実行されることで、現像装置20内に残ったトナーは使用されるので、無駄にならない。この効果は、次に説明する第2実施形態に係る画像形成装置によっても生じる。
【0080】
第2実施形態に係る画像形成装置について説明する。第1実施形態では検知部40がニアエンドを検知した後に画像形成装置1により印刷がされると、前回の印刷可能ドット数から、その印刷でのドット数を減算して印刷可能ドット数を演算して、この印刷可能ドット数を印刷可能枚数に換算して表示させている。第2実施形態では検知部40がニアエンドを検知した後に画像形成装置1により印刷がされると、その印刷での用紙サイズ及び印字率で印刷された枚数を、予め定められた用紙サイズ及び印字率で印刷した場合の印刷枚数に換算し、前回の印刷可能枚数から、換算した印刷枚数を減算して印刷可能枚数を演算する。
【0081】
図14は第2実施形態に係る画像形成装置2の構成を示すブロック図である。図10に示す第1実施形態に係る画像形成装置1と異なる点を説明し、共通する点については説明を省略する。画像形成装置2は、図10に示す演算部501、換算部502、表示制御部503、記憶部504及びカウント部505の換わりに、演算部511、記憶部512、換算部513及び表示制御部514を備える。
【0082】
演算部511は、画像形成装置1に装着されたトナーコンテナー30内のトナー残量で、予め定められた用紙サイズ及び印字率で印刷した場合に印刷できる枚数である印刷可能枚数を演算する。予め定められた用紙サイズ及び印字率とは、例えば、用紙サイズがA4で、印字率が5%である。
【0083】
記憶部512は、トナーコンテナー30内のトナー残量が所定量(例えばニアエンド)のときの、予め定められた用紙サイズ及び印字率で印刷した場合の印刷可能枚数のデータを予め記憶している。
【0084】
換算部513は、検知部40が所定量を検知した後に画像形成装置2により印刷がされると、その印刷での用紙サイズ及び印字率で印刷された枚数を、予め定められた用紙サイズ及び印字率で印刷した場合の印刷枚数に換算する。例えば、予め定められた用紙サイズがA4で印字率が5%とする。用紙サイズがA4で印字率が10%の条件で10枚印刷すると、印刷枚数が20枚と換算される。また、用紙サイズがA3で印字率が5%の条件で5枚印刷すると、印刷枚数が10枚と換算される。印字率は例えば、印刷する画像を表す画像データに含まれる画像領域のドット数と非画像領域(白領域)のドット数とから求めることができる。
【0085】
表示制御部514は、演算部511で演算された印刷可能枚数を表示部403に表示させる。
【0086】
演算部511は、検知部40が所定量に到達したことを検知した後に画像形成装置2により最初の印刷がされると、記憶部512に記憶されている印刷可能枚数から、最初の印刷がされて換算部513で換算された印刷枚数を減算して印刷可能枚数を演算し、画像形成装置2によるその後の印刷については、印刷がされる毎に、演算部511で演算された前回の印刷可能枚数から、今回の印刷がされて換算部513で換算された印刷枚数を減算して印刷可能数を演算する。
【0087】
第2実施形態に係る画像形成装置2での印刷可能枚数の演算について説明する。図15はこの演算を説明するフローチャートである。制御部500は印刷ジョブが発生したか否かを判断する(ステップS21)。制御部500は印刷ジョブが発生したと判断しない場合(ステップS21でNo)、ステップS21の処理を繰り返す。制御部500は印刷ジョブが発生したと判断した場合(ステップS21でYes)、画像形成装置1に印刷を実行させる。検知部40はこの印刷により、トナーコンテナー30内のトナー残量がニアエンドに到達したかを検知する(ステップS22)。検知部40がニアエンドを検知しなければ(ステップS22でNo)、ステップS21へ戻る。
【0088】
検知部40がニアエンドを検知した場合(ステップS22でYes)、その後は印刷ジョブが発生して印刷が実行されると、印刷可能枚数を演算して表示部403に印刷可能枚数を表示する。以下、詳細に説明する。制御部500は印刷ジョブが発生したか否かを判断する(ステップS23)。制御部500は印刷ジョブが発生したと判断しない場合(ステップS23でNo)、ステップS23の処理を繰り返す。
【0089】
制御部500は印刷ジョブが発生したと判断した場合(ステップS23でYes)、画像形成装置2に印刷を実行させる。換算部513はこの印刷での用紙サイズ及び印字率で印刷された枚数を、用紙サイズがA4で印字率が5%の条件で印刷した場合の印刷枚数に換算する(ステップS24)。ここでは、検知部40がニアエンドを検知した後、最初の印刷ジョブが発生して画像形成装置1が最初に実行する印刷であり、換算部513はこの最初の印刷での印刷枚数を換算する。
【0090】
演算部511は記憶部512に予め記憶されている印刷可能枚数から、最初の印刷がされてステップS24で換算された印刷枚数を減算して印刷可能枚数を演算する(ステップS25)。演算部511は演算された印刷可能枚数のデータを記憶する。
【0091】
表示制御部514はステップS25で演算された印刷可能枚数を表示部403に表示させる(ステップS26)。
【0092】
補給制御部506はステップS25において、演算部511が演算して記憶している印刷可能枚数が0より大きいか否かを判定する(ステップS27)。補給制御部506は印刷可能枚数が0より大きいと判断した場合(ステップS27でYes)、ステップS23へ戻る。
【0093】
そして、制御部500は印刷ジョブが発生したと判断した場合(ステップS23でYes)、画像形成装置2に印刷を実行させる。換算部513はこの印刷での用紙サイズ及び印字率で印刷された枚数を、用紙サイズがA4で印字率が5%で印刷した場合の印刷枚数に換算する(ステップS24)。ここでは、検知部40がニアエンドを検知した後、最初の印刷ジョブが発生して画像形成装置2が最初に実行する印刷ではなく、次の印刷ジョブが発生して画像形成装置2が実行する印刷(その後の印刷)である。
【0094】
演算部511は演算部511に記憶されている前回の印刷可能枚数から、今回の印刷がされてステップS24で換算された印刷枚数を減算して印刷可能枚数を演算する(ステップS25)。演算部511はこの演算された印刷可能枚数のデータを記憶する。表示制御部514はステップS25で演算された印刷可能枚数を表示部403に表示させる(ステップS26)。
【0095】
補給制御部506が演算部511に記憶されている印刷可能枚数が0より大きいと判断しない場合(ステップS27でNo)、これはトナーコンテナー30のトナーが無くなったことを意味する。制御部500は画像形成装置2での印刷を禁止する処理をし、かつ表示制御部は表示部403にトナーコンテナー30内のトナーが無くなった旨を表示させる(ステップS28)。
【0096】
検知部40はトナーコンテナー30が交換されたか否かを判断する(ステップS29)。ユーザーによりトナーコンテナー30が交換されて、新しいトナーコンテナー30が画像形成装置2に装着されると、検知部40はトナーコンテナー30内のトナー残量がニアエンドでないことを検知する。一方、トナーコンテナー30が交換されなければ、検知部40はトナーコンテナー30内のトナー残量がニアエンドであることを検知したままである。従って、トナーコンテナー30が交換されると、検知部40がトナーコンテナー30のニアエンドを検知していないので(ステップS29でNo)、ステップS21に戻る。これに対して、トナーコンテナー30が交換されないと、検知部40はトナーコンテナー30内のトナー残量がニアエンドであることを検知したままである。従って、ステップS28に戻る。
【0097】
第2実施形態に係る画像形成装置2によれば、トナーコンテナー30内のトナー残量がニアエンドのときの印刷可能枚数のデータを予め記憶している。上記ニアエンドが検知された後に画像形成装置2により印刷がされると、その印刷での用紙サイズ及び印字率で印刷された枚数を、印刷可能枚数の条件(予め定められた用紙サイズ及び印字率)で印刷した場合の印刷枚数に換算する。ニアエンドが検知された後に最初の印刷がされると、ニアエンドのときの印刷可能枚数から、最初の印刷がされて換算された印刷枚数を減算して印刷可能枚数を演算する。その後の印刷については、印刷がされる毎に、前回の印刷可能枚数から、今回の印刷がされて換算された印刷枚数を減算して印刷可能枚数を演算する。そして、演算された印刷可能枚数を表示する。従って、印刷可能枚数を演算して表示する場合に、異なる条件で印刷がされても、正確な印刷可能枚数を演算することができる。
【0098】
以下、具体例を用いて説明する。トナーコンテナー30がニアエンドのときに、用紙サイズがA4で印字率が5%の条件で印刷した場合の印刷可能枚数を1000枚とする。用紙サイズがA4で印字率10%の条件で2枚の印刷を4回繰り返す。四捨五入で演算する。用紙サイズがA4で印字率10%での2枚の印刷を、用紙サイズがA4で印字率が5%での印刷に換算すると、4枚となる。第1回印刷は検知部40がニアエンドを検知した後に画像形成装置2により最初の印刷である。第2回から第4回印刷は、画像形成装置2によるその後の印刷である。
【0099】
第1回印刷:1000枚−4枚=996枚(印刷可能枚数)
第2回印刷:996枚−4枚=992枚(印刷可能枚数)
第3回印刷:992枚−4枚=988枚(印刷可能枚数)
第4回印刷:988枚−4枚=984枚(印刷可能枚数)
以上のように、第2実施形態に係る画像形成装置2では、正確な印刷可能枚数を演算することが可能となる。
【0100】
また、印刷可能枚数とは、画像形成装置2に装着されたトナーコンテナー30内のトナー残量で、予め定められた用紙サイズ及び印字率で印刷した場合に印刷できる枚数である。従って、第2実施形態に係る画像形成装置2によれば、印刷可能枚数が0に到達したことで、トナーコンテナー30を交換させることができるので、トナーコンテナー30内のトナーがなくなった状態でトナーコンテナー30を交換することが可能となる。
【0101】
第1実施形態及び第2実施形態では、トナーコンテナー30内のトナー残量の所定量として、ニアエンドの場合で説明した。所定量はこれに限らず、例えば、トナー収容空間34内のトナー残量が半分の場合を検知できる位置に検知部40を取り付けて、トナー収容空間34内のトナー残量が半分の場合を所定量としてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1 画像形成装置
2 画像形成装置
20 現像装置
30 トナーコンテナー
31 トナー送出機構
40 検知部
117 現像部
501 演算部
502 換算部
503 表示制御部
504 記憶部
505 カウント部
506 補給制御部
511 演算部
512 記憶部
513 換算部
514 表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー収容体からトナーが補給される現像装置を含み、静電潜像をトナーにより画像に現像して、当該画像を用紙に形成する印刷機能を有し、前記トナー収容体が着脱可能に装着される画像形成装置であって、
前記画像形成装置に装着された前記トナー収容体内のトナー残量で印刷できるドット数である印刷可能ドット数を演算する演算部と、
前記演算部で演算された印刷可能ドット数を、予め定められた用紙サイズ及び印字率で印刷した場合に印刷可能な枚数に換算する換算部と、
表示部と、
前記換算部で換算された印刷可能枚数を前記表示部に表示させる表示制御部と、
前記トナー収容体内のトナー残量が所定量のときの印刷可能ドット数のデータを予め記憶している記憶部と、
前記画像形成装置に装着された前記トナー収容体内のトナー残量が前記所定量に到達したことを検知する検知部と、
前記検知部が前記所定量に到達したことを検知した後に前記画像形成装置により印刷がされると、当該印刷でのドット数をカウントするカウント部と、を備え、
前記演算部は、前記検知部が前記所定量に到達したことを検知した後に前記画像形成装置により最初の印刷がされると、前記記憶部に記憶されている印刷可能ドット数から、前記最初の印刷がされて前記カウント部でカウントされたドット数を減算して印刷可能ドット数を演算し、前記画像形成装置によるその後の印刷については、印刷がされる毎に、前記演算部で演算された前回の印刷可能ドット数から、今回の印刷がされて前記カウント部でカウントされたドット数を減算して印刷可能ドット枚数を演算する画像形成装置。
【請求項2】
トナー収容体からトナーが補給される現像装置を含み、静電潜像をトナーにより画像に現像して、当該画像を用紙に形成する印刷機能を有し、前記トナー収容体が着脱可能に装着される画像形成装置であって、
前記画像形成装置に装着された前記トナー収容体内のトナー残量で、予め定められた用紙サイズ及び印字率で印刷した場合に印刷できる枚数である印刷可能枚数を演算する演算部と、
前記トナー収容体内のトナー残量が所定量のときの、前記予め定められた用紙サイズ及び印字率で印刷した場合の印刷可能枚数のデータを予め記憶している記憶部と、
前記画像形成装置に装着された前記トナー収容体内のトナー残量が前記所定量に到達したことを検知する検知部と、
前記検知部が前記所定量に到達したことを検知した後に前記画像形成装置により印刷がされると、当該印刷での用紙サイズ及び印字率で印刷された枚数を、前記予め定められた用紙サイズ及び印字率で印刷した場合の印刷枚数に換算する換算部と、
表示部と、
前記演算部で演算された印刷可能枚数を前記表示部に表示させる表示制御部と、を備え、
前記演算部は、前記検知部が前記所定量に到達したことを検知した後に前記画像形成装置により最初の印刷がされると、前記記憶部に記憶されている印刷可能枚数から、前記最初の印刷がされて前記換算部で換算された印刷枚数を減算して印刷可能枚数を演算し、前記画像形成装置によるその後の印刷については、印刷がされる毎に、前記演算部で演算された前回の印刷可能枚数から、今回の印刷がされて前記換算部で換算された印刷枚数を減算して印刷可能数を演算する画像形成装置。
【請求項3】
前記現像装置は、前記トナーを含む一成分現像剤を用いて現像をしており、
前記トナー収容体は、前記画像形成装置での印刷時に、前記現像装置内のトナー残量にかかわらず動作をして、前記トナー収容体内のトナーを前記現像装置へ送るトナー送出機構を含む請求項1又は2に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−252180(P2012−252180A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124988(P2011−124988)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】