説明

画像形成装置

【課題】複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置であって、現像剤担持体と像担持体とが対向した現像領域におけるトナーのストレスの軽減を図った現像装置を具備した画像形成装置の提供。
【解決手段】担持した現像剤中のトナーを像担持体20に対向した現像領域DAにおいて像担持体20に供給するための磁界を形成する磁界形成手段51aを備えた現像剤担持体51と、現像剤担持体51によって像担持体20の現像を行うことが不要の非現像時における、磁界形成手段51aによって現像領域DAに形成される磁界の強さを、現像剤担持体51によって像担持体20の現像を行うことを要する現像時における同磁界の強さよりも弱まるように制御する磁界制御手段とを有する現像装置50を具備した画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置であって、担持した現像剤中のトナーを像担持体に供給して像担持体の現像を行う現像剤担持体を有する現像装置を具備した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トナーを含む現像剤を用いて像担持体を現像する現像装置を備えた、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置が知られている(たとえば、〔特許文献1〕〜〔特許文献6〕参照)。
【0003】
かかる現像装置は、一般に、像担持体をトナーで現像するために、トナーを帯電させる等の目的で、現像剤を攪拌するように構成されている。しかし、現像剤を攪拌すると、トナーが劣化する。トナーが劣化すると、非画像部にトナーが付着する地汚れ、トナー飛散などの不具合が発生することが知られている。このような不具合が発生するのは、トナーは、劣化すると、本来の帯電極性と逆の極性に帯電するためと考えられている。
【0004】
そこで、従来においては、トナーの劣化が生じたときにトナーを吐き出して新規トナーを供給することでトナーによる現像性能を維持する技術(たとえば、〔特許文献1〕参照)、現像剤の攪拌によるトナーに対するストレスを軽減することでトナーの劣化を抑制し現像性能を維持する技術(たとえば、〔特許文献2〕参照)が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前者の技術では、トナーを吐き出すことによって、画像形成に実際に使用されるトナーの割合いわゆるトナーイールドを下げてしまうこととなり、ランニングコストや環境に影響を与えることとなる。そうすると、後者の技術のように、トナーに対するストレスを軽減することでトナーの劣化を抑制し現像性能を維持することが好ましい。
【0006】
一方、発明者の鋭意研究の成果により、トナーに対するストレスは、現像剤を担持する現像剤担持体が像担持体に対向し、像担持体にトナーが供給され現像が行われる現像領域において、最も大きいことが分った。そうすると、かかる後者の技術では、トナーに対するストレスの軽減が十分とはいえない。
【0007】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置であって、現像剤担持体と像担持体とが対向した現像領域におけるトナーのストレスの軽減を図った現像装置を具備した画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、担持した現像剤中のトナーを像担持体に対向した現像領域において像担持体に供給するための磁界を形成する磁界形成手段を備えた現像剤担持体と、前記現像剤担持体によって像担持体の現像を行うことが不要の非現像時における、前記磁界形成手段によって前記現像領域に形成される磁界の強さを、前記現像剤担持体によって像担持体の現像を行うことを要する現像時における同磁界の強さよりも弱まるように制御する磁界制御手段とを有する現像装置を具備した画像形成装置にある。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、担持した現像剤中のトナーを像担持体に対向した現像領域において像担持体に供給するための磁界を形成する磁界形成手段を備えた現像剤担持体と、前記現像剤担持体によって像担持体の現像を行うことが不要の非現像時における、前記磁界形成手段によって前記現像領域に形成される磁界の強さを、前記現像剤担持体によって像担持体の現像を行うことを要する現像時における同磁界の強さよりも弱まるように制御する磁界制御手段とを有する現像装置を具備した画像形成装置にあるので、現像領域におけるトナーのストレスの軽減およびかかるストレスによるトナーの劣化さらにはこの劣化に起因するたとえば地汚れやトナー飛散等の不具合の防止を図った画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を適用した画像形成装置の一実施例の概略正面図である。
【図2】図1に示した画像形成装置に備えられた複数の像担持体のうち1つの像担持体の周りに配設された現像装置等の構成を示す概略正面図である。
【図3】図2に示した現像装置に備えられた磁界形成手段及びこれを駆動する磁界駆動手段の概略斜視図である。
【図4】図2に示した磁界形成手段によって形成される磁界の、現像領域における強さが、現像時と非現像時とで変化することを示した概念図である。
【図5】図2に示した現像装置に採用されている構成によりトナーの劣化が抑制されることを説明するための概念図である。
【図6】図2に示した現像装置により現像剤を撹拌することでトナーの状態が良好になることを説明するための概念図斜視図である。
【図7】図6によってトナーの状態が良好になることが説明される根拠を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に本発明を適用した画像形成装置の概略を示す。画像形成装置100は、カラー画像を形成可能であるカラーレーザプリンタであるが、他のタイプのプリンタ、ファクシミリ、複写機、複写機とプリンタとの複合機等、他の画像形成装置であっても良い。画像形成装置100は、外部から受信した画像情報に対応する画像信号に基づき画像形成処理を行なう。画像形成装置100は、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等の何れをも記録材であるシート状の記録媒体として画像形成を行なうことが可能である。
【0012】
画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に色分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な像担持体としての感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKを並設したタンデム構造を採用している。感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKは、画像形成装置100の本体99の内部のほぼ中央部に配設された無端のベルトである中間転写体としての記録材搬送部材である転写ベルト11の外周面側すなわち作像面側に位置している。感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKがそうであるように、以下、符号の末尾にY、C、M、BKが付されたものはそれぞれ、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの単色トナー画像の画像形成を行うための構成であることを示すこととする。
【0013】
中間転写ベルトとしての転写ベルト11は、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに対峙しながら反時計方向である矢印A1方向に移動可能となっており、表面移動部材として機能する。各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに形成された可視像である単色トナー画像すなわちトナー像は、矢印A1方向に移動する転写ベルト11に対しそれぞれ重畳転写されて合成カラー画像とされ、その後、記録媒体としての転写紙Sに一括転写されるようになっている。転写ベルト11は、その下側の部分が各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに対向しており、この対向した部分が、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BK上のトナー像を転写ベルト11に一旦転写する1次転写部98を形成している。
【0014】
転写ベルト11に対する重畳転写は、転写ベルト11がA1方向に移動する過程において、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに形成されたトナー像が、転写ベルト11の同じ位置に重ねて転写されるよう、転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに対向する位置に配設された中間転写ベルト転写手段としての1次転写ローラ12Y、12C、12M、12BKによる電圧印加によって、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。
【0015】
各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKは、A1方向の上流側からこの順で並んでいる。各感光体ドラム感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKはそれぞれ、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの画像を形成するための、トナー像形成部たる画像形成ユニットである画像ステーション60Y、60C、60M、60BKに備えられている。このように、画像形成装置100は、タンデム型のカラー画像形成装置となっている。
【0016】
画像形成装置100は、4つの画像ステーション60Y、60C、60M、60BKと、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKの上方に対向して配設され、転写ベルト11を備えたユニットとしての転写ベルトユニット10と、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11に従動し、連れ回りする転写部材としての紙転写手段である2次転写ローラ5と、画像ステーション60Y、60C、60M、60BKの下方に対向して配設された画像書込手段としての書込ユニットである露光装置たる光走査装置8とを有している。
【0017】
画像形成装置100はまた、感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKと転写ベルト11との間に向けて搬送される転写紙Sを積載した給紙ユニットとしての給紙部であるシート給送装置61と、シート給送装置61から搬送されてきた記録紙Sを、画像ステーション60Y、60C、60M、60BKによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、転写ベルト11と2次転写ローラ5との間の2次転写ニップに向けて繰り出すレジストローラ対4と、転写紙Sの先端がレジストローラ対4に到達したことを検知する図示しないセンサとを有している。
【0018】
画像形成装置100はまた、トナー像を転写された転写紙Sに同トナー像を定着させるためのベルト定着方式の定着ユニットとしての定着手段である定着装置6と、定着済みの転写紙Sを本体99の外部に排出する排紙ローラ7と、転写ベルトユニット10の上方に配設され、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のNEWトナーすなわち新規トナーを充填された、本体99に着脱される着脱部材としてのトナーボトル9Y、9C、9M、9BKと、本体99の上側に配設され排出ローラ7により本体99の外部に排出された転写紙Sを積載する排紙収納部としての排紙トレイ17と、廃トナー等の不要物を収容する廃トナー収容容器としての廃トナータンク38とを有している。
【0019】
画像形成装置100はまた、シート給送装置61から送り出された転写紙Sがレジストローラ対4、2次転写ニップ、定着装置6、排紙ローラ7を経て排紙トレイ17に至る、図中実線の矢印で示した紙搬送経路と、トナーボトル9Y、9C、9M、9BK内のトナーを画像ステーション60Y、60C、60M、60BKのそれぞれに備えられた、現像装置50Y、50C、50M、50BKに供給する図示しないトナー補給装置としてのトナー供給機構と、形成すべき画像を元に画像処理を行って、光走査装置8を駆動するための画像信号を生成する図示しない画像処理部と、画像形成装置100全体の動作を制御する制御手段97とを有している。
【0020】
転写ベルトユニット10は、転写ベルト11の他に、1次転写ローラ12Y、12C、12M、12BKと、転写ベルト11を巻き掛けられた、駆動部材である駆動ローラ72と、転写入口ローラ73と、クリーニング対向ローラ74と、クリーニング対向ローラ74を転写ベルト11の張力を増加する方向に付勢する付勢手段としてのばね75とを有している。
【0021】
転写ベルトユニット10はまた、本体99に着脱自在に支持され、駆動ローラ72、転写入口ローラ73、クリーニング対向ローラ74、ばね75等を保持し、転写ベルトユニット10の筐体をなす中間転写ベルトケース14と、中間転写ベルトケース14と一体をなし、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11上をクリーニングする中間転写ベルトクリーニング装置としてのクリーニング装置13とを有している。
【0022】
クリーニング対向ローラ74は、ばね75の作用により、転写ベルト11に、転写に適した所定の張力を与える加圧部材としてのテンションローラたる機能を有している。
クリーニング装置13は、詳細な図示を省略するが、転写ベルト11に対向し当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードとを有しており、転写ベルト11上の未転写トナーとしての転写残トナーである残留トナー等の異物をクリーニングブラシとクリーニングブレードとにより掻き取り、除去して、転写ベルト11をクリーニングするようになっている。このクリーニングにより生じた廃トナー等の不要物は、図示しない廃トナー搬送経路を経て廃トナータンク38に収納されるようになっている。かかる異物には、プロセスコントロール用のパターン像を構成するトナーを含む。
【0023】
クリーニング装置13は、同図に示した位置に限らず、A1方向において駆動ローラ72より下流側且つ画像ステーション60Yより上流側の位置であればどの位置に配設しても良い。クリーニング装置13は後述するクリーニング装置40Yと同様の構成としても良い。
【0024】
転写ベルトユニット10は本体99に対して着脱自在に構成され、画像形成装置100の図示しない筐体を構成している、同図紙面手前側に位置するカバーを開き、転写ベルトユニット10を同図における紙面奥側から紙面手前側にスライドさせることで、本体99から取り外すことが可能となっている。転写ベルトユニット10を本体99に装着するときはかかる取り外しの作業と逆の作業を行う。
【0025】
シート給送装置61は、本体99の下部に配設されており、多数枚の転写紙Sを積載可能な2段の給紙カセット61aと、各給紙カセット61aに積載された転写紙Sのうち最上位の転写紙Sの上面に当接する給紙ローラとしての給送ローラ3とを有しており、何れかの給送ローラ3が反時計回り方向に回転駆動されることにより、給紙カセット61aに積載されている転写紙Sのうち最上位の転写紙Sをレジストローラ対4に向けて給送するようになっている。シート給送装置61を除く画像形成装置100の各構成は画像形成部を構成している。
【0026】
各給紙カセット61aは、最大でA4縦サイズの転写紙Sを積載可能となっている。また、感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKは、線速200mm/sで回転駆動される。また、レジストローラ対4は、これを経た転写紙Sの後端と先端との間である紙間が200mmとなるように回転駆動される。このため、画像形成装置100は、A4−30枚機となっている。
【0027】
定着装置6は、ベルトユニット62と、ベルトユニット62に圧接された加圧ローラ63とを有している。ベルトユニット62は、無端状の定着ベルト64と、定着ベルト64を張架しながら無端移動させる定着ローラ65と、定着ローラ65とともに定着ベルト64を巻き掛け内部に図示しない熱源を有する加熱ローラ66とを有している
【0028】
定着装置6は、トナー像を担持した転写紙をベルトユニット62と加圧ローラ63との圧接部である定着部に挟み込む態様で通すことで、熱と圧力との作用により、担持したトナー像を転写紙の表面に定着するようになっている。
【0029】
トナーボトル9Y、9C、9M、9BK内のイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色の新トナーは、トナー供給機構により、所定の補給量だけ、画像ステーション60Y、60C、60M、60BKにそれぞれ備えられた現像装置50Y、50C、50M、50BKに補給される。トナーボトル9Y、9C、9M、9BKは、内部のトナーがなくなると交換される消耗品であり、トナーがなくなったとき等に本体99に脱着され、交換される。
【0030】
以下、画像ステーション60Y、60C、60M、60BKについて説明するが、画像形成装置100において、画像ステーション60Y、60C、60M、60BKは互いに略同様の構成となっているため、適宜、符号の末尾のY、C、M、BKは省略する。また、以下の説明において、画像ステーション60Y、60C、60M、60BKに限らず、Y、C、M、BKの区別をとくに行う必要がない場合も同様に、符号の末尾のY、C、M、BKを省略する。
【0031】
図2に示すように、画像ステーション60は、感光体ドラム20の周囲に、図中時計方向であるその回転方向B1に沿って、1次転写ローラ12と、クリーニング手段としてのクリーニング装置40と、潤滑性物質供給手段としての潤滑剤塗布装置である潤滑性物質供給装置80と、感光体ドラム20上の残留電荷を除去して除電する図示しない除電手段としての除電装置と、帯電手段である帯電ユニットとしての帯電装置30と、現像手段としての現像ユニットである現像装置50とを有している。
【0032】
感光体ドラム20と、クリーニング装置40と、潤滑性物質供給装置80と、除電装置と、帯電装置30と、現像装置50とは一体化されており、プロセスカートリッジ95を構成している。プロセスカートリッジ95は本体99に固定された図示しないガイドレールに沿って本体99に対して、単独で、引き出し自在であるとともに、本体99に押し込むことが可能であり、本体99に対して着脱自在に設置されている。
【0033】
プロセスカートリッジ95は、本体99に押し込むと、画像形成に適した所定の位置に装填され、位置決めされるようになっている。このようにプロセスカートリッジ化することは、サービスマンやユーザが着脱・交換部品として取り扱うことができるため、メンテナンス性が著しく向上し、大変好ましい。
【0034】
プロセスカートリッジ95は、感光体ドラム20と、クリーニング装置40と、潤滑性物質供給装置80と、除電装置と、帯電装置30と、現像装置50とのうち、少なくとも感光体ドラム20と現像装置50とが、一体化されることによって構成され、本体99に着脱自在に設置されるユニットである。プロセスカートリッジ95は、本体99から取り出した状態で、これを構成する感光体ドラム20、クリーニング装置40、その他潤滑性物質供給装置80、除電装置、帯電装置30、現像装置50等が、それぞれ単独で新品と交換可能となっている。このことも、上述と同様にメンテナンス性を向上している。排トナータンク38も、各プロセスカートリッジ95のそれぞれに設けることが可能であり、この場合はこれも単独でプロセスカートリッジ95に対して着脱・交換が可能であるとさらにメンテナンス性が向上する。
【0035】
帯電装置30は、感光体ドラム20の表面に当接して従動回転する帯電ローラ31と、帯電ローラ31に当接し従動回転する帯電ローラクリーナとしてのクリーニングローラ32とを有している。帯電ローラ31には、直流に交流成分のバイアスを重畳印加する図示しない電圧印加手段が接続されており、感光体ドラム20と対向する帯電領域において、感光体ドラム20の表面を所定の極性に帯電するようになっている。
【0036】
クリーニングローラ32は帯電ローラ31に従動回転することで帯電ローラ31をクリーニングするようになっている。
このように、本形態では、接触ローラを用いた帯電システムを採用しているが、帯電システムは、近接ローラを用いたものであっても良いし、コロトロン方式を採用したものであっても良い。
【0037】
1次転写ローラ12には、図示しない電源を備えたバイアス印加手段とバイアス制御手段とによって1次転写に適した所定の電圧が印加されるようになっている。1次転写ローラ12は、転写ベルト11の外周面を感光体ドラム20に弱圧接させている。
【0038】
1次転写ローラ12Y、12C、12Mは図示しない揺動機構によって感光体ドラム20Y、20C、20Mに接離する向きに一体で揺動されるようになっている。揺動機構は、カラー画像を形成するカラー画像形成時には1次転写ローラ12BKとともに1次転写ローラ12Y、12C、12Mを転写ベルト11に当接させた状態とする。揺動機構はまた、非カラー画像形成時すなわちモノクロ画像を形成するモノクロ画像形成時には1次転写ローラ12Y、12C、12Mを感光体ドラム20Y、20C、20Mから離間する向きに揺動させ転写ベルト11から離間させた状態とし1次転写ローラ12BKのみが転写ベルト11に当接した状態を形成するとともに、転写ベルト11が感光体ドラム20Y、20C、20Mから離間した状態を形成するようになっている。
【0039】
図1に示した光走査装置8は、画像処理部によって各色の画像を形成するための画像形成用の画像信号に変換され、送信された各色信号に基づいて駆動される。図2に示すように、光走査装置8は、感光体ドラム20における帯電領域と図4に示して後述する現像領域DAとの間の領域に、かかる各色信号に対応した、画像情報に応じて光変調されたレーザー光Lを照射して帯電ローラ31により帯電された後の感光体ドラム20の表面を露光し、現像装置50によって各色のトナー像として可視像化される静電潜像を光学的に形成するようになっている。
【0040】
クリーニング装置40は、感光体ドラム20に対向する部分に開口部を有するクリーニングケース43と、感光体ドラム20に当接し感光体ドラム20上の未転写トナーとしての転写残トナーである残留トナー、キャリア、紙粉等の不要な付着物すなわち不要物を掻き落としてクリーニングするためのブレードとしてのクリーニング部材であるクリーニングブレード41とを有している。
【0041】
クリーニング装置40はまた、クリーニングケース43に回転自在に支持され、クリーニングブレード41によって掻き取られ、また除去されることによって生じた廃トナー等の不要物を廃トナータンク38に向けて搬送するための図示しない廃トナー搬送経路の一部を構成する排出スクリュ42と、クリーニングブレード41を支持した支持部材としてのブレードホルダ44とを有している。
クリーニング装置40は上述したクリーニング装置13と同様の構成としても良い。
【0042】
潤滑性物質供給装置80は、感光体ドラム20の表面に対向する側のみ開口したケース81と、ケース81内に収容されバー状に成形された固形潤滑剤である潤滑剤としての潤滑性物質82と、潤滑性物質82及び感光体ドラム20の両方に接触して潤滑性物質82を感光体ドラム20に塗布して供給するための塗布部材としてのファーブラシであるブラシローラ83と、潤滑性物質82をブラシローラ83に押圧する弾性部材としての加圧バネであるバネ84とを有している。
【0043】
潤滑性物質供給装置80はまた、B1方向においてブラシローラ83の当接位置より下流側且つ帯電領域より上流側で感光体ドラム20にその先端部が当接した塗布ブレード86と、塗布ブレード86をケース81に対して支持した塗布ブレードホルダ87とを有している。
【0044】
このような構成の潤滑性物質供給装置80は、ブラシローラ83をその軸を中心に回転させて潤滑性物質82を掻き削って一旦汲み上げ、掻き削った粉末状の潤滑性物質82を感光体ドラム20表面との当接位置まで担持搬送して感光体ドラム20に塗布して供給し、感光体ドラム20に供給された潤滑性物質82は塗布ブレード86によって感光体ドラム20表面上で均され均一な厚さとされるようになっている。
【0045】
経時で潤滑性物質82がブラシローラ83に掻き削られて減少しても、バネ84が所定の圧力で潤滑性物質82をブラシローラ83に押圧しているので、潤滑性物質82は微量となっても常に均一にブラシローラ83に汲み上げられ、潤滑性物質82は完全に消費されるまでブラシローラ83に接触する。
【0046】
潤滑性物質82によって感光体ドラム20表面に形成される皮膜は、近接放電による感光体ドラム20表面の劣化を防止する機能を有しており、潤滑性物質供給装置80は放電劣化防止手段として機能するものである。ここでいう劣化とは、放電による感光体ドラム20の磨耗及びこの磨耗の加速、ならびに感光体ドラム20表面の活性化の両方を指している。
【0047】
また、かかる皮膜は、感光体ドラム20とクリーニングブレード41とが互いに摩擦しあうことによって生じる磨耗等の劣化も防止し、潤滑性物質供給装置80は摩擦劣化防止手段として機能するものである。
このように、潤滑性物質供給装置80は、潤滑性物質82を感光体ドラム20表面に塗布することにより、これら劣化のすべてを解消している。
【0048】
かかる機能を良好に果たすために、潤滑性物質82としては、例えば、オレイン酸鉛、オレイン酸亜鉛、オレイン酸銅、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸鉄、ステアリン酸銅、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸銅、リノレン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩類や、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロクロルエチレン、ジクロロジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−オキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素系樹脂が挙げられるが、特に感光体ドラム20の摩擦係数を低減する効果の大きいステアリン酸金属塩、さらにはステアリン酸亜鉛が一層好ましい。
【0049】
現像装置50は、感光体ドラム20に対向する部分に開口部を有する現像ケース55と、かかる開口部から感光体ドラム20に臨むよう感光体ドラム20に近接対向して配設された現像剤担持体としての現像ローラ51と、現像ローラ51上の現像剤を一定の高さに規制する規制部材としてのドクタである現像ブレード52とを有している。
【0050】
現像装置50はまた、現像ケース55の下部に互いに対向するように配設され、互いに逆方向に回転駆動されることで現像剤を攪拌するとともに現像ローラ51に現像剤を供給するための現像剤供給部材としての供給・撹拌スクリュである第1搬送スクリュ53及び第2攪拌スクリュ54と、第1搬送スクリュ53と第2搬送スクリュ54との間に設けられた仕切り壁57と、仕切り壁57によって仕切られ第1搬送スクリュ53、第2搬送スクリュ54をそれぞれ収容した第1収容室58、第2収容室59とを有している。
【0051】
現像装置50はまた、トナー供給機構によりトナーボトル9Y、9C、9M、9BK内の新規トナーを供給され一時的に蓄えるトナーホッパー39と、第1収容室58の底部に備えられ現像剤中のトナー濃度を測定するトナー濃度検知手段としてのTセンサであるトナー濃度検知センサ56と、直流成分の現像バイアスを印加する図示しないバイアス印加手段と、第1搬送スクリュ53と第2搬送スクリュ54とを互いに逆方向に回転駆動する搬送駆動手段としての現像剤供給駆動手段であるモータ89とを有している。
【0052】
現像装置50はまた、図4に示して次に述べる、現像ローラ51を構成したマグネットローラ51aを回転駆動する第1の駆動手段としてのステッピングモータである図3に示すモータ85と、図4に示して次に述べる、現像ローラ51を構成した現像スリーブ51bを回転駆動する第2の駆動手段としての現像駆動手段である現像剤担持体駆動手段たるモータ88とを有している。
【0053】
図4に示すように、現像ローラ51は、その内部に配設された磁界発生手段としてのマグネットローラ51aと、マグネットローラ51aを内包し、現像駆動手段により図中反時計方向であるC1方向に駆動される非磁性の現像スリーブ51bとを有している。
【0054】
マグネットローラ51aは、複数の磁極を着磁されている。これら複数の磁極は、現像ローラ51具体的には現像スリーブ51bに現像剤を担持させるための磁界を形成するとともに、現像スリーブ51bに担持した現像剤中のトナーを、現像ローラ51具体的には現像スリーブ51bが感光体ドラム20に対向した現像領域DAにおいて感光体ドラム20に供給するための磁界を形成するためのものである。
【0055】
図2、4において、一点鎖線は、かかる複数の磁極によって形成された磁力分布を示している。各磁極によって形成される磁界により、現像スリーブ51bの表面上の現像剤は、磁気穂状となる。なお、図2において、破線で示した各円は、次に述べる磁界の強さ、磁力分布の理解の容易のために、マグネットローラ51aの中心からの距離を示したものである。
【0056】
図4において一点鎖線で示されている磁力分布は、複数の磁極によって形成された、マグネットローラ51aの法線方向すなわちマグネットローラ51aまたは現像スリーブ51bの周面に垂直な方向における磁束密度を示している。よって、マグネットローラ51aまたは現像スリーブ51bの周面から一点鎖線までの高さが、複数の磁極によって形成された磁界の法線成分の大きさとなっている。
【0057】
かかる磁力分布において、かかる磁界の法線成分の大きさが最大となっている部分は、複数の磁極のうち最も強い磁力を持った主磁極によって形成されている。主磁極によって形成されている磁界は、現像領域DAにおいて、現像スリーブ51bに担持され穂立ちした現像剤に含まれているトナーを感光体ドラム20に供給するための現像磁界となっている。この点、主磁極は、現像磁極となっている。
【0058】
また、かかる法線方向に直交する接線方向すなわちマグネットローラ51aまたは現像スリーブ51bの周面に沿ったC1方向に平行な方向おけるかかる磁界の成分は、かかる磁界の接線成分となっている。
【0059】
マグネットローラ51aは、図3に示すように、モータ85に連結された軸51cを備えている。マグネットローラ51aは、モータ85によって回転駆動されることにより、図4(a)に示す第1の姿勢と、図4(b)に示す第2の姿勢とのいずれかに位置決めされる。このように、マグネットローラ51aの姿勢言い換えると位相あるいは角度が変更されることで、現像ローラ51具体的には現像スリーブ51b上の磁力分布の位相言い換えると角度が変更される。
【0060】
モータ85は、現像ケース55の背面側に設けられている。モータ85は正逆回転可能であり、制御手段97によって動作を制御されるようになっている。制御手段97は、現像ローラ51によって感光体ドラム20の現像を行うことを要する現像時にマグネットローラ51aを第1の姿勢に位置決めし、現像ローラ51によって感光体ドラム20の現像を行うことが不要の非現像時にマグネットローラ51aを第2の姿勢に位置決めするように、モータ85の駆動を制御する。この非現像時の詳細については後述する。
【0061】
マグネットローラ51aがこのようにして第1の姿勢と第2の姿勢とのいずれかに位置決めされることにより、マグネットローラ51aによって現像領域DAに形成される磁界の強さが、現像時と非現像時とで変化する。
【0062】
図4(a)に示されているように、現像時において、現像磁界の法線成分の大きさは、マグネットローラ51aの中心から感光体ドラム20の中心に向けた部分において極大となっている。
【0063】
具体的には、図4から明らかなように、モードAの現像時において現像領域DAに形成される磁界の強さは、モードBの非現像時において現像領域DAに形成される磁界の強さよりも強い。
また、現像時において現像領域DAに形成される磁界の法線成分は接線成分以上となり、非現像時において現像領域DAに形成される磁界の法線成分は接線成分より小さくなるようになっている。
【0064】
よって、現像時において、主磁極によって形成された磁気穂は、感光体ドラム20に向いて穂立ちしており、磁気穂を構成しているキャリア及びトナーを感光体ドラム20に接触させる。また、非現像時において、主磁極によって形成された磁気穂は、感光体ドラム20に対して寝た状態となり、磁気穂を構成しているキャリア及びトナーが感光体ドラム20に接触しにくくなる。
【0065】
そのため、非現像時に感光体ドラム20に接触するキャリアの個数は、現像時に感光体ドラム20に接触するキャリアの個数よりも少ない。非現像時にはなるべく感光体ドラム20に接触する現像剤量を減らしたいため、非現像時に感光体ドラム20に接触するキャリアの個数は、理想的には0個である。これにより、感光体ドラム20の劣化、たとえば感光体フィルミングが低減される。
【0066】
モータ85は、マグネットローラ51aを回転駆動することによって現像領域DAに形成される磁界の強さを変化させる磁界駆動手段として機能する。モータ85は、マグネットローラ51aの姿勢を、第1の姿勢、第2の姿勢の一方から他方へ瞬時に切り換え可能である。
制御手段97は、モータ85を駆動してマグネットローラ51aを回転させることにより、現像領域DAに形成される磁界の強さを制御する磁界制御手段として機能する。
【0067】
磁界制御手段として機能する制御手段97は、マグネットローラ51aによって現像領域DAに形成される非現像時における磁界の強さを、マグネットローラ51aによって現像領域DAに形成される現像時における磁界の強さよりも弱まるように制御する。
【0068】
また磁界制御手段として機能する制御手段97は、現像領域DAに形成される現像時における磁界の法線成分が接線成分以上となり、現像領域DAに形成される非現像時における磁界の法線成分が接線成分より小さくなるように、マグネットローラ51aによって形成される磁界の強さを制御する。
【0069】
現像スリーブ51bは、現像ケース55及びマグネットローラ51aに回転自在に支持されている。現像スリーブ51bは、バイアス印加手段により感光体ドラム20との間に適当な大きさの現像バイアスを印加される。現像スリーブ51bの周面には、その幅方向に沿って図示しない凹凸が形成されている。現像領域DAにおける現像スリーブ51bと感光体ドラム20とのギャップすなわち現像ギャップは、0.3±0.05mmとなるように設定されている。
【0070】
モータ88による現像スリーブ51bの回転駆動言い換えると現像スリーブ51bの表面である周面の移動は、現像時に行われ、非現像時に停止される。よって、現像剤は、現像ローラ51に担持されても、C1方向に搬送されることで現像領域DAに至ることはない。モータ88のこの駆動は、制御手段97によって制御される。この点、制御手段97は、現像剤担持搬送制御手段として機能する。
【0071】
現像剤は、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤である。
キャリアは、芯材と、芯材表面に形成された樹脂被覆層とを有している。樹脂被覆層の層中には、基体粒子表面に二酸化スズ層と二酸化スズ層上に設けた二酸化スズを含む酸化インジウム層とからなる導電性被覆層を設けてなる導電性粒子が含有されている。
【0072】
導電性粒子は、その吸油量が10〜300ml/100gになるように形成されている。
なお、導電性粒子の吸油量は、JIS−K5101「顔料試験方法」における「21吸油量」に準じて測定したものである。
【0073】
導電性粒子の基体粒子としては、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、硫化バリウム、酸化ジルコニウムのうち少なくとも1種類を用いることが可能である。導電性粒子の粉体比抵抗は、200Ω・cm以下になるように形成されている。
樹脂被覆層の層中には、導電性粒子の他に、非導電性粒子が含有されている。
【0074】
キャリアの体積固有抵抗は、10〜16Log(Ω・cm)の範囲になるように形成されている。
キャリアは、基体粒子の表面に、二酸化スズ層、二酸化スズを含む酸化インジウム層を順次形成しているために、導電層が粒子表面に均一かつ強固に固定される。
【0075】
樹脂被覆層中に含有された導電性粒子の吸油量が、10ml/100g未満の場合には、被覆樹脂に対する相溶性が不充分になって密着性が低下して、分散性も低下するために、長期にわたりキャリアの抵抗調整をおこなうことができなくなるおそれがあり、300ml/100gを超える場合には、結着樹脂との密着性が強くなり過ぎて、導電性粒子表面を覆ってしまうために、抵抗調整を充分におこなうことができなくなってしまうおそれがあるが、本形態において、樹脂被覆層中に含有された導電性粒子は、その吸油量が10〜300ml/100gになるように形成されているため、このようなことが防止される。
【0076】
このように構成されたキャリアは、抵抗調整剤としてカーボンブラック等を含有させることなく経時においても安定的に抵抗調整がされて、キャリア付着等を防止するとともに経時においてトナー帯電量を安定させる。
【0077】
キャリアの重量平均粒径は、20〜65μmの範囲にすることが好ましく、本形態では35μmになるように形成されている。キャリアの重量平均粒径が20〜65μmの範囲にすることが好ましいのは、20μmよりも小さいときには、キャリアの1個当たりに作用する磁力が小さくなるためにキャリア付着が生じてしまい、また、65μmよりも大きいときには、トナーが付着すべき潜像に対してトナーが忠実に付着しにくくなるために、出力画像の粒状性が低下してしまうからである。
【0078】
トナーは、正規の帯電極性がマイナスである。よって、トナーは、キャリアとともに撹拌されると、本来的には、マイナスに帯電するようになっている。ただし、後述するように、劣化した場合などには、逆の極性であるプラスに帯電することがある。
【0079】
現像剤中のトナー濃度は、トナー濃度検知センサ56による検知に基づき、4〜12重量%の範囲内で制御される。現像によるトナーの消費に伴ってトナー濃度が低下し、トナー濃度検知センサ56が、トナー濃度が4%を下回ったことを検知したときに、トナーホッパー39から第2収容室59に所定量のトナーが補給されるものである。
【0080】
第1搬送スクリュ53、第2搬送スクリュ54は、現像ローラ51の幅方向言い換えると現像ローラ51の長手方向である図2における紙面に垂直な方向に延在するように配設されている。
【0081】
第1搬送スクリュ53は、搬送駆動手段によって回転駆動されることで、第1収容室58内の現像剤を図2における紙面奥側から手前側へと搬送しながら現像ローラ51に供給する。この点、第1搬送スクリュ53は現像剤供給部材としての現像剤供給スクリュとして機能する。第1搬送スクリュ53によって第1収容室58内の端部付近まで搬送された現像剤は、仕切り壁57に形成された図示しない開口部を通って第2収容室59内に進入する。
【0082】
第2収容室59内において、第2搬送スクリュ54は、搬送駆動手段によって回転駆動されることで第1収容室58から送られてくる現像剤を第1搬送スクリュ53とは逆方向に搬送する。このとき、トナーホッパー39からトナーが補給された場合には、補給されたトナーを現像剤中に攪拌混合しながら搬送を行う。第2搬送スクリュ54によって第2収容室59の端部付近まで搬送された現像剤は、仕切り壁57に設けられたもう一方の図示しない開口部を通って第1収容室58内に戻る。
【0083】
よって、現像剤は、第1搬送スクリュ53及び第2搬送スクリュ54によって、第1収容室58及び第2収容室59内を循環し、トナーホッパー39から供給されたトナーは、第1搬送スクリュ53及び第2搬送スクリュ54によって、現像剤と攪拌搬送されながら攪拌混合され、摩擦帯電され、現像ローラ51に供給され担持される。
【0084】
現像ブレード52は、SUS材料で形成されている。現像スリーブ51bと現像ブレード52とのギャップすなわちドクターギャップは、0.5±0.04mmとなるように設定されている。現像ブレード52は、第1搬送スクリュ53によって現像スリーブ51bに供給されて担持され、周面に凹凸を有する現像スリーブ51bの回転により搬送されている現像剤の量を一定量に規制する。具体的には、現像ブレード52は、現像時において、現像領域DAにおける現像スリーブ51b周面の単位面積当たりの現像剤量を45mg/cmとなるように規制する。
【0085】
現像ブレード52は、非現像時において、マグネットローラ51aの、磁界が極小となっている部分にその先端が対向するようになっている。よって、非現像時に、現像剤は、現像スリーブ51bの回転が停止すること及びマグネットローラ51aが第2の姿勢とされていることと相俟って、ドクターギャップを通過することがない。後述のようにかりに現像スリーブ51bが回転するとしても、現像スリーブ51bに担持された現像剤の大部分はドクターギャップにおいて現像ブレード52によって現像スリーブ51bから掻き落とされ、かりに現像領域DAに至っても、マグネットローラ51aが第2の姿勢とされていることにより、現像スリーブ51b周面の単位面積当たりの現像剤量は45mg/cmよりも大きく低下するようになっている。
【0086】
なお、その他、マグネットローラ51aの、磁界が極小となっている部分としては、図4に示すように、剤離れ位置SAがある。剤離れ位置SAは、C1方向において、現像領域DAより下流側で、ドクターギャップよりも上流側の位置に、C1方向において比較的広い幅で形成されている。
【0087】
現像時において、現像ブレード52によって現像剤の担持量を規制され層厚を規制された現像ローラ51は、現像スリーブ51bの回転により、現像ブレード52によって量を上述のように適量とされた現像剤を現像領域DAに運ぶとともに、バイアス印加手段による現像バイアスにより、現像剤中の当該色のトナーを感光体ドラム20の表面に形成された静電潜像に静電的に供給して、静電潜像を現像し、当該色のトナー像として可視像化するようになっている。
【0088】
現像によりトナーを消費した現像剤、すなわち、キャリア及び現像に使用されなかったトナーは、現像ローラ51の回転に伴って剤離れ位置SAに至るとその自重及び現像スリーブ51bの回転により、現像スリーブ51bから離れて落下し、再度、第1搬送スクリュ53及び第2搬送スクリュ54による循環搬送を受ける。
本形態では、バイアス印加手段により直流成分の現像バイアスを印加しているが、現像バイアスは、交流成分であっても良いし、直流成分に交流成分を重畳したものであっても良い。
【0089】
このように、現像装置50においては、第1搬送スクリュ53及び第2搬送スクリュ54によって攪拌搬送された現像剤は、マグネットローラ51aの磁力により汲み上げられて現像スリーブ51bに担持され、現像時においては感光体ドラム20と対向する現像領域DAまで搬送され、感光体ドラム20上の潜像にトナーが供給されて現像すなわち可視像化が行われ、トナーによる可視化像が形成される。現像後のトナーを消費した現像剤は、現像スリーブ51b表面から第1収容室58内に解放され、第1搬送スクリュ53及び第2搬送スクリュ54に戻されて第1収容室58、第2収容室59内の現像剤と攪拌され、再び現像スリーブ51b表面に汲み上げられるというサイクルを繰り返す。
【0090】
現像装置50は、非カラー画像形成時であるモノクロ画像形成時及びカラー画像形成時に動作してモノクロ現像を行うモノクロ現像装置である現像装置50BKと、カラー画像形成時に動作してイエロー、シアン、マゼンタの各色によるカラー現像を行うカラー現像装置である現像装置50Y、50C、50Mとを含んでいる。モノクロ画像形成時には複数の現像装置50Y、50C、50M、50BKのうちモノクロ現像装置である現像装置50BKのみが現像時となって現像装置50BKによって感光体ドラム20BKの現像が行われ、他の現像装置50Y、50C、50Mは非現像時となって感光体ドラム20Y、20C、20Mの現像を停止した状態とされる。
【0091】
第1搬送スクリュ53及び第2搬送スクリュ54による現像剤の撹拌動作及びこれに付随して行われる第1搬送スクリュ53による現像剤の現像ローラ51への供給動作は、非現像時にも行われる。言い換えると、モータ89は、非現像時にも駆動される。ただし、現像剤は、第1搬送スクリュ53によって現像ローラ51に供給されても、現像領域DAに至ることはない。モータ89のこの駆動は、制御手段97によって制御される。この点、制御手段97は、現像剤撹拌制御手段、現像剤供給制御手段として機能する。
【0092】
以上のような構成の各画像ステーション60において、感光体ドラム20は、プリント命令をトリガーに開始するB1方向への回転に伴い、帯電ローラ31により表面を一様に帯電され、入力されたカラー画像データに対応して光変調された光走査装置8からのレーザー光Lの露光走査により各色に対応した静電潜像を形成され、この静電潜像を現像装置50により当該色のトナーにより現像され、当該色のトナー像が得られる。このトナー像と逆極性の転写電圧が1次転写ローラ12により印加され転写電界が形成されるとともに、同1次転写ローラ12により転写ベルト11を弱圧接することで1次転写ニップが形成され、これら転写電界と圧接力の作用によって、当該色のトナー像がA1方向に移動する転写ベルト11に1次転写される。転写ベルト11は、転写後に残留したトナーを含む不要物を後述するようにクリーニング装置40により良好に除去され、除電装置による除電、帯電ローラ31による帯電に供される。
【0093】
各感光体ドラム20において同様に当該色のトナー像が形成等され、形成された各色のトナー像は、1次転写ローラ12により、A1方向に移動する転写ベルト11上の同じ位置に順次1次転写される。カラー画像形成時には、各色のトナー像が転写ベルト11上に重ね合わされる。転写ベルト11上のトナー像は、転写ベルト11のA1方向の回転に伴い、2次転写ローラ5との対向位置である2次転写ニップまで移動し、トナー像と逆極性の転写電圧が2次転写ローラ5に印加されて形成された転写電界により転写紙Sに2次転写される。
【0094】
転写ベルト11と2次転写ローラ5との間に搬送されてきた転写紙Sは、シート給送装置61から給送ローラ3によって繰り出されてフィードされ、レジストローラ対4によって、センサによる検出信号に基づいて、転写ベルト11上のトナー像の先端部が2次転写ローラ5に対向するタイミングで送り出されたものである。
【0095】
転写紙Sは、この2次転写によってトナー像を担持すると、定着装置6に進入し、加圧ローラ63とベルトユニット62との間の定着部を通過する際、熱と圧力との作用によりトナー像を定着され、転写紙S上にカラー画像あるいはモノクロ画像が形成される。定着装置6を通過した定着済みの転写紙Sは、排紙ローラ7を経て、本体99の上部の排紙トレイ17上にスタックされる。一方、2次転写を終えた転写ベルト11は、クリーニング装置13に備えられたクリーニングブラシ及びクリーニングブレードによって掻き取られて除去されることでクリーニングされ、次の画像形成に備える。
【0096】
このような画像形成工程において、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーは、現像装置50Y、50C、50M、50BKにおいてそれぞれ消費されるため、消費に応じて、上述のように、トナー供給機構が、トナーボトル9Y、9C、9M、9BK内のイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーを、所定の補給量だけ、それぞれ現像装置50Y、50C、50M、50BKに供給し、第1搬送スクリュ53及び第2搬送スクリュ54によって撹拌混合されるようになっている。
【0097】
なお、画像形成装置100においては、いわゆる吐き出しモードを行わないようになっている。吐き出しモードとは、一般に、低画像面積率の画像形成が連続したときに、紙間で像担持体上に画像を形成し、記録媒体に転写することなくクリーニングすることでトナーを消費し、また現像装置に消費分の新規トナーを補給することで、現像装置内のトナーの入れ換えを促し、現像装置内のトナーの経時劣化を抑制するために行われるものである。ここで、紙間とは、像担持体上のトナーが他の媒体に転写される転写タイミングと異なるタイミングに対応しており、たとえば、像担持体の移動方向において紙間位置に対応する、あるいはトナー像の形成位置相互間の間隔に対応する像担持体上の位置を意味している。なお、他の媒体には、転写紙Sのような記録媒体に限らず、転写ベルト11のような中間転写体等の像担持体も含む。
【0098】
トナーは消費されることなく現像装置50Y、50C、50M、50BK内を移動するとキャリアとの摩擦等によって次第に劣化するが、トナー消費量が多い場合にはトナーは劣化が進む前に消費されるため、トナー劣化に起因する地汚れ、トナー飛散等の不具合は生じないか問題とならない程度に抑制される。しかし、低画像面積の画像形成が継続した場合や、画像形成が行われることなく撹拌が継続された場合には、かかる不具合が生じ得る。これは、劣化により、トナーが本来の帯電極性とは逆のプラスに帯電すること、すなわち逆帯電トナーが発生すること等に起因する。
【0099】
従来から、トナーの劣化は、画像形成装置100の構成を借りて説明すれば、第1搬送スクリュ53及び第2搬送スクリュ54によって撹拌混合されるとき、あるいは、ドクターギャップに至ったときに主に生じると考えられてきた。
ところが、発明者の鋭意研究の成果として、トナーの劣化は、画像形成装置100の構成を借りて説明すれば、現像領域DAにおいて、最も進行するという知見が得られた。
【0100】
この知見は画像形成装置100と同様の構成の画像形成を用いた次の実験によって裏付けられる。この実験を、画像形成装置100の構成を借りて説明する。
【0101】
・実験1:現像剤劣化加速条件について
図5は、本実験の実験結果を示すものであって、現像装置50BK内のトナーの帯電量分布の経時変化を示したものである。具体的に、同図(a)、(b−1)、(b−2)、(b−3)はそれぞれ、次に述べる互いに異なる各条件によりモノクロ画像形成を行い、新規トナーを、画像形成によって消費した分補給した後、現像装置50BKを駆動した際のトナーの帯電量分布の経時変化を示している。
【0102】
同図(a)は、従来の現像装置を想定したものであり、マグネットローラ51aの姿勢を、第1の姿勢に維持し、現像領域DAにおいて現像剤が感光体ドラム20BKに接触した状態で画像形成を行った場合を示している。
同図(b−1)、(b−2)、(b−3)は、本発明の一実施例に係る現像装置を想定したものであり、マグネットローラ51aの姿勢を、現像時に第1の姿勢とし現像領域DAにおいて現像剤が感光体ドラム20BKに接触した状態で画像形成を行い、非現像時に第2の姿勢とし現像領域DAにおいて現像剤が感光体ドラム20BKに接触しないようにした状態言い換えると非接触の状態で画像形成を行った場合を示している。
【0103】
また、同図(a)、(b−1)に示す場合では、画像面積率0%の画像を5000枚分連続して形成する態様で、画像形成すなわち印刷を、現像装置50BKを非現像状態として行った後、画像面積率100%の画像を20枚出力する態様で、現像装置50BKにおいて現像を行い、画像形成を行った。
同図(b−2)、(b−3)に示す場合では、画像面積率0%の画像を20000枚分連続して形成する態様で、画像形成すなわち印刷を、現像装置50BKを非現像状態として行った後、画像面積率100%の画像を20枚出力する態様で、現像装置50BKにおいて現像を行い、画像形成を行った。
よって、同図(a)、(b−1)に示す場合と、同図(b−2)、(b−3)に示す場合とでは、後者の場合の方が、トナーの対するストレスが大きくなるため、トナーの劣化が進行しやすく、この点において厳しい条件による画像形成を行った場合となっている。
【0104】
同図(a)、(b−1)、(b−2)、(b−3)に示すすべての場合で、マグネットローラ51aが第1の姿勢であるときは、本形態の現像装置50と同様に、現像磁界の法線成分は接線成分以上である。
しかし、マグネットローラ51aが第2の姿勢であるときは、同図(b−1)、(b−2)に示す場合は、本形態の現像装置50と同様に、現像磁界の法線成分は接線成分を下回っているものの、同図(b−3)に示す場合は、本形態の現像装置50と異なり、現像磁界の法線成分と接線成分とが互いに等しくなっている。
【0105】
帯電分布の測定は、細川ミクロン社製E−spartアナライザーを用いて行った。
同図(a)、(b−1)、(b−2)、(b−3)のそれぞれにおいて、0s、30s、300s、360s、660s、960sはそれぞれ、新規トナーを補給してからの現像装置50BKの駆動時間すなわち撹拌時間を示している。なお、現像スリーブ51bは、同図(a)、(b−1)、(b−2)、(b−3)のすべての場合において、回転させ続けている。
【0106】
同図(a)、(b−1)、(b−2)、(b−3)の比較から次のことが分かる。
同図(a)と同図(b−1)、(b−2)、(b−3)とを比較すると、前者のほうが、新規トナー補給後しばらく撹拌したときに発生する、プラスに帯電した逆帯電トナーの量がかなり多くなっている。また、同図(b−1)、(b−2)の場合は、逆帯電トナーがほとんど発生せず帯電量分布の広がりも抑えられている。
【0107】
同図(b−3)の条件が、マグネットローラ51aが第2の姿勢であるときの現像磁界の法線成分と接線成分とが互いに等しいというものであり、同図(b−1)、(b−2)の場合に比べて現像領域DAに供給される現像剤量が多くなる条件であることを考慮すれば、現像剤は、現像領域DAに供給されず、すなわち感光体ドラム20に接触しなければ、長時間撹拌されても帯電量の安定性が維持されることが分かる。
【0108】
一方、この実験では、逆帯電トナーが発生しているとトナー飛散や地汚れが発生するのに対し、逆帯電トナーが発生していないとトナー飛散や地汚れが発生しないことも確かめた。
【0109】
そうすると、逆帯電トナーの発生は、トナー飛散や地汚れの原因となるトナーの劣化が発生したことを意味する。
このように、トナーの劣化が現像領域DAにおいて主に生じることが確かめられた。
【0110】
よって、現像時と、非現像時すなわち画像面積率が0%の画像を現像するとき言い換えると非画像部とで、マグネットローラ51aの姿勢が第1の姿勢と第2の姿勢とで切り換えられる、言い換えると、現像ローラ51上具体的には現像スリーブ51a上の磁力分布が変化するように切り換えられる現像装置50では、このような切り換えが行われない従来の現像装置と比べて、トナーの劣化及びこれに起因するトナー飛散や地汚れが大きく抑制されている。
【0111】
とくに、本形態の現像装置50では、マグネットローラ51aが第2の姿勢であるときの現像磁界の法線成分が接線成分より小さく、磁気穂が感光体ドラム20に対して寝た状態となるため、トナーの劣化抑制が高度に行われ、トナー飛散や地汚れが高度に抑制される。
【0112】
さらに、本形態の現像装置50では、非現像時に現像スリーブ51bの回転が停止するため、現像剤が現像領域DAに至り、感光体ドラム20に当接することによって劣化することが確実に回避されるようになっている。非現像時には、上述のように、磁気穂が感光体ドラム20に対して寝た状態となるため、現像スリーブ51bを回転させたとしても、現像剤が現像領域DAで感光体ドラム20に接触して劣化することが防止されることから、現像スリーブ51bの回転の停止は必須ではないが、かかる接触による劣化を防止するために、かかる回転の停止は行ったほうが良い。
【0113】
・実験2:現像領域DAにおける現像剤滞在時間の削減度について
実験1よりも画像形成装置の実際の使用条件に近い使用条件を想定したランニング試験を次のようにして行った。
すなわち、0.5%、5%、100%の画像面積率のモノクロ画像、カラー画像をランダムに5000枚出力した。
【0114】
このとき、現像領域DAにおける現像剤滞在時間は、現像装置50BKで従来の現像装置の約1/2となり、現像装置50Y、50M、50Cで従来の現像装置の約1/4となった。
【0115】
よって、画像形成装置が実際に使用される状況において、現像装置50の現像領域DAにおける現像剤滞在時間は従来の現像装置のそれよりも大きく短縮されることが確認された。したがって、上述のように、画像形成装置が実際に使用される状況においても、吐き出しモードの実行なしに、トナーの劣化及びこれに起因するトナー飛散や地汚れが抑制される。
【0116】
また、モノクロ画像形成時には、現像装置50Y、50M、50Cが、画像面積率が0%の画像を現像するときに対応するため、非現像時とされることにより、現像装置50Y、50M、50Cの現像領域DAにおける現像剤滞在時間が、モノクロ画像形成時にも現像装置50Y、50M、50Cが現像時とされる場合よりも短くなることから、現像装置50Y、50M、50Cにおけるトナーの劣化及びこれに起因するトナー飛散や地汚れがより高度に抑制される利点がある。モノクロ画像形成すなわちモノクロ印刷の頻度は高いためこの利点は大きく得られる。
【0117】
また、カラー画像形成時であっても、現像装置50Y、50M、50Cのうち、色によっては作像の必要がない、すなわち、現像の必要がない、画像面積率が0%の画像を現像するときに対応する場合があり、この場合にも当該現像装置は非現像時とされる。これによっても、かかる利点が得られる。
【0118】
さらに、本実験により、現像装置50Y、50M、50Cにおいて、現像剤の流動性低下による汲み上げ不良が観察されなくなることも確認された。汲み上げ不良は現像ムラ等に起因する画質低下の原因となるものであるため、画像形成装置100においては、吐き出しモードの実行によるトナーイールドの低下なしに、このような画質低下も抑制されることとなる。
【0119】
またさらに、非現像時には、現像領域DAにおいて、磁気穂が感光体ドラム20に対して寝た状態となるため、すでに述べたように、現像剤の当接による感光体ドラム20の劣化たとえば感光体フィルミングも低減され、感光体ドラム20が長寿命化される。
【0120】
・実験3:現像剤劣化回復条件について
図5(a)の場合に得られた現像剤を、現像装置50において、非現像状態で撹拌し続けた。同図(a)の場合に得られた現像剤は、同図(a)から明らかなように、撹拌時間が長くなるに連れて、そのトナーの帯電量分布が、一旦、多くのピークを示すようになったが、その後も本実験において非現像状態で撹拌し続けると、図6に示すように、新規トナーの補給から6000秒後には、トナーの帯電量分布は、1つのピークを持つ分布言い換えると1山となった。また、トナーの帯電量分布が1山の状態となった現像剤を用いた画像形成では、トナー飛散や地汚れが発生しなかった。
【0121】
この理由を調べるため、図5(a)の場合で新規トナー補給直後におけるトナーと、帯電量分布が1山の状態となったトナーとをSEMで観察した。そうすると、図7(a)に示すように、新規トナー補給直後は、劣化トナーと新規トナーとでは、その性状に明確な差が生じている。この差は、トナーの外添剤の付着状況の差によって生じたものである。これに対し、帯電量分布が1山の状態となった場合には、劣化トナーと新規トナーとでは、その性状の差が分からなくなっていた。これは、現像剤の撹拌により、外添剤が新規トナーから劣化トナーに移動したためと予測される。
【0122】
よって、本実験から、感光体ドラム20に現像剤が非接触の状態で現像剤を撹拌すると、劣化トナーと新規トナーとの状態が均され、劣化度合いが平均化されて、画像形成に有利となるという利点が得られることが分かった。
【0123】
すなわち、現像装置50は、非現像時にも、第1搬送スクリュ53及び第2搬送スクリュ54による現像剤の撹拌動作及び第1搬送スクリュ53による現像剤の現像ローラ51への供給動作を行うため、かかる利点が得られやすいものとなっている。
【0124】
なお、現像剤の撹拌動作、供給動作を行うと現像剤量のバランスが内部で保たれなくなる構成の現像装置においては、非現像時にこれらの動作を停止することが望ましい。ただし非現像時にマグネットローラ51aが第2の姿勢とされていることにより、現像領域DAにおける現像剤の劣化防止ないし抑制が十分に行われる場合には、かかる動作を行っても良い。
【0125】
以上の説明においては、非現像時を、
1.現像装置50によって画像面積率が0%の画像を現像するときの、その現像装置50におけるタイミングに対応するものとして説明したが、非現像時としては、他にも、
2.紙間に対応したタイミング
3.現像装置50及び/又は画像形成装置100のプロセスコントロール時に対応したタイミング
が挙げられ、画像形成装置100は、これらすべてのタイミングを非現像時としている。
【0126】
これらのタイミングはすべて制御手段97によって検出される。この点、制御手段97は、非現像時検出手段として機能するようになっている。
なお、上記「1.」、「2.」、「3.」の少なくとも2つが、順を問わず、連続する場合には、画像形成装置100は、マグネットローラ51aは第2の姿勢に維持することで、姿勢の変更に要するエネルギーや時間を節約するようになっている。
【0127】
以下、「2.」、「3.」のそれぞれについて説明する。
・「2.」について
モータ85は、マグネットローラ51aの姿勢を、第1の姿勢、第2の姿勢の一方から他方へ瞬時に切り換え可能であるため、紙間を非現像時としてマグネットローラ51aの姿勢を変更することで、「1.」と同様に、現像剤が現像領域DAにおいて感光体ドラム20に当接する時間を短縮し、ストレスに起因するトナーの劣化を抑制するのに有効である。このように、こまめに現像剤を感光体ドラム20から離せば、積算するとトナーの劣化が大幅に遅らせられるという利点がある。
【0128】
ただし、マグネットローラ51aの姿勢を第1の姿勢から第2の姿勢に変更した後、再度、現像領域DAにおいて現像剤が感光体ドラム20に接触するように、マグネットローラ51aの姿勢を第1の姿勢に変更した際には、感光体ドラム20へのトナーの供給量を安定させる必要がある。試験したところ、この供給量が安定するまでに、現像スリーブ51bを1〜2周回転させる必要があることが分かった。
【0129】
したがって、プロセス線速a[mm/s]、紙間b[mm]、スリーブ線速c[mm/s]、スリーブ径d[mm]であるとすると、
紙間の時間:b/a>現像スリーブ51bの1周にかかる時間:πd/c[s]×(1〜2[周])
の関係が成立しない場合には、マグネットローラ51aの姿勢を第1の姿勢に変更した後に正常な現像が行われなくなる可能性がある。したがって、紙間が短い、もしくは、プロセス線速が早い画像形成装置では、かかる時間的な制約により、紙間で切り換えを行うことが難しい場合があることに配慮する必要がある。
【0130】
・「3.」について
プロセスコントロールは、現像装置50Y、50C、50M、50BKのそれぞれにおける現像剤中のトナー濃度の調整、感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKのそれぞれにおける画像形成位置の調整等のために、画像形成装置100の立ち上がり時、所定回数の画像形成後等のタイミングで、一般にユーザ指定の画像形成動作が停止された状態で行われる。
【0131】
また、一般に、プロセスコントロールの実施状況に応じて、画像形成位置の調整用のパターン像を形成する等のために現像装置50による現像を行うべき場合と、現像装置50による現像を行うべきでない場合とがある。
【0132】
たとえば、一般に、現像剤の立ち上げ時すなわちトナーの帯電量を現像に適した帯電量とするための撹拌時など、上記の前者の調整の際には現像装置50による現像を行うべきでない。そのため、このようなとき、すなわち、現像装置50及び/又は画像形成装置100のプロセスコントロール時に対応したタイミングを、非現像時とすることで、「1.」や「2.」と同様に、現像剤が現像領域DAにおいて感光体ドラム20に当接する時間を短縮し、ストレスに起因するトナーの劣化を抑制するという利点がある。
【0133】
かかる現像剤の立ち上げを行うプロセスコントロールは、トナー濃度の調整時のみならず、画像形成装置100の電源投入時等の立ち上げ時にも行われ、この場合にはプロセスコントロールに比較的長時間を要する。とくに、画像形成装置100の朝一の電源投入時における現像剤の立ち上げに長時間を要する。そのため、この場合を非現像時とすることによる、かかる利点は大きい。
また、この朝一の電源投入は、毎日行われることが多い。よってこのタイミングで現像剤を感光体ドラム20から離せば、積算するとトナーの劣化が大幅に遅らせられるという利点がある。
【0134】
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0135】
たとえば、上述の形態のように、磁界形成手段を回転させることにより現像剤担持体上の磁力分布の位相を変化させ、現像領域に形成される磁界の強さを現像時と非現像時とで切り換える構成では、構成が比較的容易であり、装置の大型化が比較的抑制されるという利点があるが、現像領域に形成される磁界の強さを現像時と非現像時とで切り換える構成としては、他に磁界形成手段を像担持体に近接、離間させる構成を採用することが可能である。この構成では、非現像時における像担持体からの磁界形成手段の距離が、非現像時におけるそれよりも大きくなるように、磁界形成手段を変位させることで、非現像時における現像磁界の強さを、現像時における現像磁界の強さよりも弱める。
この場合、磁界駆動手段としては、たとえば、現像剤担持体をそのように変位するためのソレノイド、または、モータ及びこのモータによって回転される偏心カム等を採用する。また、磁界制御手段としては、かかるソレノイド、モータ等の駆動源の駆動を制御するために、たとえば制御手段97等の制御手段を採用する。
【0136】
本発明は、いわゆるタンデム方式の画像形成装置ではなく、1つの感光体ドラム上に順次各色のトナー像を形成して各色トナー像を順次重ね合わせてカラー画像を得るいわゆる1ドラム方式の画像形成装置にも同様に適用することができる。いずれのタイプの画像形成装置でも、中間転写体を用いず、各色のトナー像を転写紙等に直接転写しても良い。
また、カラー画像形成装置でなく、モノクロ画像形成装置にも適用することができる。この場合のように、現像装置は、複数具備されるに限らず、単数具備されていても良い。
【0137】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0138】
11 他の媒体
20、20Y、20C、20M、20BK 像担持体
50、50Y、50C、50M、50BK 現像装置
50、50Y、50C、50M カラー現像装置
50、50BK モノクロ現像装置
51 現像剤担持体
51a 磁界形成手段
53 現像剤供給部材
88 現像剤担持体駆動手段
89 現像剤供給駆動手段
97 磁界制御手段
100 画像形成装置
DA 現像領域
S 他の媒体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0139】
【特許文献1】特開2003−076079号公報
【特許文献2】特開2006−251440号公報
【特許文献3】特許第3127594号公報
【特許文献4】特開平11−167260号公報
【特許文献5】特開2005−164736号公報
【特許文献6】特許第4471341号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
担持した現像剤中のトナーを像担持体に対向した現像領域において像担持体に供給するための磁界を形成する磁界形成手段を備えた現像剤担持体と、
前記現像剤担持体によって像担持体の現像を行うことが不要の非現像時における、前記磁界形成手段によって前記現像領域に形成される磁界の強さを、前記現像剤担持体によって像担持体の現像を行うことを要する現像時における同磁界の強さよりも弱まるように制御する磁界制御手段とを有する現像装置を具備した画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記現像領域に形成される磁界の、前記現像剤担持体から前記像担持体に向かう法線成分と、
前記現像領域に形成される磁界の、前記法線成分に直交する接線成分とについて、
前記磁界制御手段は、前記現像時における前記法線成分が前記接線成分以上となり、前記非現像時における前記法線成分が前記接線成分より小さくなるように、前記磁界の強さを制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の画像形成装置において、
前記磁界制御手段は、前記磁界形成手段を回転させることにより、前記磁界の強さを制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記現像剤担持体の表面を移動させる現像剤担持体駆動手段を有し、
この現像剤担持体駆動手段は、前記非現像時における前記表面の移動を停止することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記現像装置を複数具備していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記非現像時は、像担持体上のトナーが他の媒体に転写される転写タイミングと異なるタイミングに対応していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項5記載の画像形成装置において、前記複数の現像装置は、モノクロ現像を行うモノクロ現像装置と、カラー現像を行うカラー現像装置とを含み、
前記複数の現像装置のうち前記モノクロ現像装置のみによって現像を行うときに同モノクロ現像装置が前記現像時とされ前記カラー現像装置が前記非現像時とされることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記非現像時は、当該現像装置によって画像面積率が0%の画像を現像するときに対応していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1ないし8の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記非現像時は、当該現像装置及び/又は画像形成装置のプロセスコントロール時に対応していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1ないし9の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記現像装置は、現像剤を前記現像剤担持体に供給する現像剤供給部材と、この現像剤供給部材を駆動する現像剤供給駆動手段とを有し、
この現像剤供給駆動手段は、前記非現像時に前記現像剤供給部材を駆動することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−255892(P2012−255892A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128509(P2011−128509)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】