説明

画像形成装置

【課題】 使用環境の変動に伴う、高密度画像の後端濃度薄を防止する。
【解決手段】 現像ローラと供給ローラとの間の静電容量と、トナー残量とに基づいて、供給ローラ近傍の水分量を推測し、供給ローラから現像ローラへのトナー供給量を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置に使用される現像装置において、現像剤として1成分非磁性現像剤(以下トナーと称す)を用いる場合に、感光ドラム上の静電潜像にトナーを供給して現像するための現像ローラと、発泡層内にトナーを含むことが可能でトナーを現像ローラに供給するための供給ローラとが用いられる。
【0003】
このような現像装置において、特に印字密度(印字可能な領域に対する、印字する領域の割合)の高い画像を印字する場合に、現像装置の使用環境(温度、湿度等)によっては、供給ローラから現像ローラへのトナー供給量が不足して画像後端の濃度が薄くなる場合があった。これは、使用環境により、トナーの流動性や帯電性が変化したりすることが原因であると考えられている。
【0004】
このような使用環境の変化による画像濃度変動を防止する目的で、トナー容器の内部に温湿度センサを設け、その検知結果に応じて最適な現像条件(感光ドラムの帯電電位や現像バイアス等)を選択する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−281619
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、印字密度の高い画像を印字すると、トナー容器内の温湿度センサの検知結果に応じて現像条件を変更したとしても、画像後端の濃度薄が発生してしまう場合があることがわかった。
【0007】
原因を検討した結果、トナー容器内に設置された温湿度センサの検知結果が、現像性に直接影響する供給ローラ近傍の温湿度と一致していないことに起因していると考えられる。トナー容器内に設置された温湿度センサは、一般的にはトナー層もしくは特許文献1のようにトナーの非充填域に設けられているので、現像性に直接影響する供給ローラ近傍を測定しているわけではない。また、特に供給ローラとして一般的な発泡性スポンジローラを用いている場合、発泡性スポンジがトナーよりも吸湿性が高いため、温湿度センサの検知結果と、供給ローラ近傍の温湿度とが、乖離しやすい。
【0008】
したがって、特許文献1に記載のトナー容器内の温湿度センサによって検知される温湿度と、供給ローラ近傍の温湿度とが異なるために、適切な現像条件が選択されず、画像後端の濃度薄が発生する場合があると考えられる。
【0009】
従って本発明の目的は、使用環境の変化に伴う画像後端の濃度薄発生を抑制することが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、静電潜像を担持する像担持体と、開口部を備えトナーを収容するトナー容器と、前記開口部に配置されていて第1の電極部材を備え前記トナーを担持し前記静電潜像を前記トナーにより現像するトナー担持体と、前記トナー容器の内部に設けられ、第2の電極部材のまわりに発泡層を備え前記トナー担持体にトナーを供給するトナー供給部材と、を有する現像装置と、前記第1の電極部材と前記第2の電極部材との間の静電容量に関する情報を検知する検知手段と、前記トナー容器内のトナー残量に関する情報を測定する測定手段と、前記検知手段によって検知された前記静電容量に関する情報と、前記測定手段によって測定された前記トナー残量に関する情報とに応じて、前記トナー供給部材から前記トナー担持体へのトナー供給量を調整する調整手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明の画像形成装置によれば、使用環境の変化に伴う画像後端の濃度薄の発生を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(A)実施例1の画像形成装置の概略断面図である。 (B)実施例1の現像装置、検知手段、駆動装置を表す模式図である。
【図2】(A)実施例1で説明に用いる放置時間と静電容量の関係を示したグラフである。 (B)放置時間と水分量の関係を示したグラフである。
【図3】(A)実施例1で説明に用いる温湿度センサの検知結果と静電容量との検知結果を示したグラフである。 (B)静電容量と画像後端濃度との関係を示したグラフである。
【図4】実施例1で説明に用いる現像装置内トナー量と静電容量出力値との関係を示したグラフである。
【図5】実施例1におけるトナー残量情報と静電容量検知結果とから供給バイアスを決定するテーブル図を示したグラフである。
【図6】実施例1における、供給バイアスを決定する際の、静電容量検出値とトナー残量測定値とバイアス決定テーブルの関係を示した模式図である。
【図7】実施例1における濃度薄防止制御フローを示したチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施例1)
以下に図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。
【0014】
ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0015】
(全体構成)
図1(A)は本発明の実施例1における画像形成装置本体10の概略断面図である。なお、本実施例においては、画像形成装置本体に現像装置4と、感光ドラム11と、帯電ローラ12、クリーニングブレード17、廃トナー容器18とが、共に一体に構成されたカートリッジ20として着脱可能に配置されている。
【0016】
図1(A)において、像担持体としての感光ドラム11は、矢印R0方向に回転する。まず、感光ドラム11は、帯電装置である帯電ローラ12によって一様に負に帯電され、次に露光手段であるレーザー光学装置13からのレーザー光により露光され、その表面に静電潜像が形成される。
【0017】
この静電潜像は、現像装置4によって現像され、トナー像として可視化される。本実施例では、トナーは感光ドラムの露光された部分に付着して反転現像される。
【0018】
感光ドラム11上のトナー像は、転写ローラ14によって転写材15に転写される。転写されずに感光ドラム11上に残存した転写残トナーは、クリーニング部材であるクリーニングブレード17により掻き取られ、廃トナー容器18に収納される。クリーニングされた感光ドラム11は再び帯電ローラ12によって帯電される。一方、トナー像を転写された転写材15は、定着装置16によって永久定着された後、機外に排紙される。
【0019】
(現像装置)
次に、図1(A)、図1(B)に基づき、現像装置4について説明する。
【0020】
現像装置4は、トナー容器3、トナー担持体1、トナー供給部材2、トナー規制部材5を備える。図1(A)において、トナー容器3は開口部を有し、内部に負帯電極性の非磁性1成分現像剤であるトナーTが収容されている。
【0021】
トナー担持体としての現像ローラ1は、トナー容器3の開口部に配置され、回転可能にトナー容器3に支持されている。現像ローラ1は、第1の電極部材としての外径6mmの導電性芯金1aの周囲に、シリコンゴムが基層として形成され、シリコンゴムの表面にアクリル・ウレタン系ゴムがコートされている。現像ローラ1は、外径12mmであり、10〜1012Ω・cmの体積抵抗率を有する。現像ローラ1は、現像時に駆動装置28により図1(B)のR1方向に回転され、感光ドラム上の潜像を現像する。
【0022】
トナー供給部材としての供給ローラ2は、トナー容器の内部に配置され、現像ローラ1に接触し、回転可能に支持されている。供給ローラ2は、第2の電極部材としての外径5mmの導電性芯金2aの周囲に、発泡層としてのウレタンスポンジ層が形成されている。供給ローラ2は、外径12mmであり、現像ローラ1に対して侵入量1.5mmで配置され、駆動装置28により図1(B)のR2方向に回転駆動し、現像ローラ1へのトナー供給および未現像トナーの剥ぎ取りを行う。
【0023】
トナー規制部材5は、一端部が現像ローラ1に当接して、供給ローラ2から現像ローラ1に供給されたトナーTを薄層に規制する。
【0024】
(検知手段)
次に、図1(B)に基づき、芯金1aと芯金2aとの間の静電容量に関する情報を検知する検知手段について説明する。
【0025】
検知手段は、交流バイアス印加装置22と静電容量検出器23とから構成される。図示のように画像形成装置10が備える交流バイアス印加装置22により、供給ローラ2の芯金2aに交流バイアスを印加する。それによって、現像ローラ1の導電性の芯金1aに誘起した電圧を、現像ローラの芯金1aに電気的に接続された静電容量検出器23によって検知する。本実施例の形態では、静電容量の検知は、感光ドラム11と現像ローラ1とが離間し、且つ現像ローラ1と供給ローラ2の駆動が停止した非現像動作時に行なう。
【0026】
また、現像装置4には、記憶手段として不揮発性のメモリ24が設けられている。メモリ24は、メモリ側の情報伝達手段であるアンテナ(不図示)を有し、無線で画像形成装置本体10が備えた制御手段CPU25と通信することで、情報の読み出し及び書き込みが可能である。
【0027】
本実施例では、CPU25は、制御部、演算部などを備え、更に、装置本体側の情報伝達手段であるアンテナ(不図示)を介して、メモリ24への情報の読み書き機能を備えている。
【0028】
(トナー残量測定装置)
次に、トナー容器内のトナー残量に関する情報を測定する測定手段として、トナー残量測定装置について説明する。本実施例では、CPU25の演算部が、露光手段の発光ピクセル数を画像信号に基づいてカウントして、トナー使用量を算出する。すなわち、ある画像を現像するのに要するトナー量は、露光手段の発光するピクセル数にほぼ比例するため、1ピクセルあたりのトナー使用量をメモリ24に記憶しておき、その値とカウントされた発光ピクセル数との積算値からトナー使用量を算出する。算出されたトナー使用量を、トナー容器に充填された初期トナー量から減算することで、トナー残量が算出される。算出されたトナー残量をメモリ24に書き込み、トナー残量として使用する。
【0029】
(調整手段)
画像形成装置10は、供給ローラ2から現像ローラ1へのトナー供給量を調整する調整手段として、直流電源26、27からなる直流バイアス印加装置を備えている。直流バイアス印加装置は、直流電源26から現像ローラの芯金1aに対して直流バイアス(現像バイアス)を、また、直流電源27から供給ローラの芯金2aに対して直流バイアス(供給バイアス)を現像動作中に印加する。直流バイアス印加装置は、現像バイアス、供給バイアスを互いに独立かつ可変に設定可能であり、両バイアスの電位差を調整することで、供給ローラ2から現像ローラ1へのトナー供給量を調整する。
【0030】
(実験)
次に、供給ローラ2の水分量と、静電容量検出器23によって検出された静電容量との関係を実験に基づいて説明する。
【0031】
実験1として、画像形成装置の使用環境が急激に変動した場合の、静電容量の変化を検証した。本実施例の画像形成装置において、温度20℃/湿度50%の環境で印字動作を行い、同環境下に1週間放置した。その後、画像形成装置を温度35℃/湿度80%の環境に移動した。移動直後からの放置時間と静電容量との関係を図2(A)に示す。
【0032】
本実験により、静電容量は放置時間に対して緩やかに増加していく傾向があることがわかった。静電容量の検知結果は、24時間程度の放置でその傾きが緩やかになり、3〜4日経過後に飽和する傾向を示した。
【0033】
実験2として、画像形成装置の使用環境が急激に変動した場合の、供給ローラに含まれる水分量(供給ローラ水分量)の変化を検証した。実験には、供給ローラ内にトナーが含まれていない、未使用のカートリッジ20を用いた。印字動作を行なわないこと以外は、実験1と同様の操作を行なった。35℃/80%の環境への移動直後からの放置時間と供給ローラ水分量の関係を図2(B)に示す。なお、水分量の測定はカールフィッシャー水分計により行なった。
【0034】
図2(B)によると、放置時間が長くなるにつれて供給ローラ水分量が緩やかに増加し、増加カーブが図2(A)の静電容量検知結果と非常に近い挙動を示していることがわかる。
【0035】
次に、実験3として、静電容量の検知結果と、温湿度センサの検知結果とを比較検証した。本実験では、現像装置4の内部に温湿度センサを設置し、実験1と同様の操作を行った。35℃/80%の環境に移動直後からの放置時間と温湿度センサの検知結果との関係を、前記実験1での静電容量の検知結果と合わせて、図3(A)に示す。
【0036】
図3(A)に示すように、温湿度センサの検知結果と静電容量の検知結果とは、異なる挙動をしめすことがわかった。環境変動直後から、温湿度センサの検知結果は速やかに上昇するが、静電容量の検知結果は上昇が緩やかである。その後も静電容量の検知結果は少しずつ上昇し飽和するのに対して、温湿度センサの検知結果は速やかに飽和した。したがって、実験1〜3から、静電容量の検知結果の方が、温湿度センサの検知結果よりも、ト供給ローラ水分量と相関関係が強いことがわかる。
【0037】
実験4として、静電容量の検知結果と画像後端濃度の関係を検証した。実験4では、実験1の静電容量検知タイミングで、ベタ画像(印字可能領域に全面印字した画像)を一枚印字し、画像後端(紙先端から230mmの位置)濃度を測定した。ベタ画像印字は、比較のために2つの現像条件に分けて実施した。すなわち、供給ローラ2から現像ローラ1へのトナー供給量を調整する調整手段としての、直流電圧印加手段によって、現像バイアスと供給バイアスを2つの条件に分けて実施した。一つは現像バイアスを−300V、供給バイアスを−300Vの現像条件とした。もう一つは、現像バイアスを−300V、供給バイアスを−500Vの現像条件とした。なお、それぞれの現像条件について同じ実験を2度繰り返しており、実験条件は同じである。この時の、静電容量の検知結果と画像濃度との関係を図3(B)に示す。なお、画像濃度の測定は、反射濃度計(Macbeth RD918)により行なった。
【0038】
図3(B)で示すように、静電容量の検知結果が大きくなる、即ち供給ローラ水分量が多くなるに従い、画像後端の濃度が薄くなっていく傾向があることがわかった。これは、供給ローラの水分量が多くなると、供給ローラ2近傍のトナー同士や、トナーと供給ローラ2の間の非静電的付着力が上昇して、供給ローラから現像ローラへ供給されるトナー量が減少してしまい、画像後端が濃度薄となったのだと考えられる。また、供給バイアスが−500Vの時の方が−300Vの時よりも、画像濃度が薄くなるのを抑制していることがわかる。これは、供給ローラ2から現像ローラ1に正規帯電極性のトナー(本実施例ではマイナスに帯電したトナー)がより強く付勢されるようなバイアスに調整することで、供給ローラ2の水分量増加に伴うトナー供給量の減少を補うことができたからであると考えられる。
【0039】
以上より、供給ローラ2と現像ローラ1の間の静電容量を検知することによって、温湿度センサの検知結果よりも、供給ローラ水分量を正確に検知可能であること、静電容量に応じて供給ローラと現像ローラの間のバイアスを調整することで、供給ローラ水分量に起因する画像濃度薄を防止できることがわかった。
【0040】
一方で、供給ローラ2と現像ローラ1との間の静電容量は、図4のようにトナー残量に応じて変化する傾向をもつ。これは、供給ローラ内のトナー量がトナー残量に応じて変化するからである。したがって、供給ローラ水分量の変化に起因する静電容量の変化のみを捉えるには、静電容量のトナー残量依存性を考慮にいれなくてはならない。
【0041】
(制御)
そこで、本発明者は以下に示す濃度薄防止制御を考案した。詳細に説明する。
まず、予め実験によりトナー残量と静電容量とに対応する、後端濃度薄が発生しない最適な供給バイアスを求め、図5のようなバイアス決定テーブルをCPU25の記憶領域内に保存しておく。図5では、前記静電容量の所定の範囲を0〜255(8bit)の数値データに変換しており、値が大きい方が供給ローラ内トナー量が多く、供給ローラ水分量が多いことに対応する。また、図中のΔとはΔ=(現像バイアス−供給バイアス)であり、例えばΔ=0Vとは現像バイアスと供給バイアスが同電位であることを意味する。
【0042】
印字直前に静電容量検出器により前記静電容量の検出を行い、CPU25は検出結果とメモリ24に格納されたトナー残量測定結果と、バイアス決定テーブルから、後端濃度薄が発生しない供給バイアスを決定する(図6)。本実施例では、現像バイアスは固定し、供給バイアスを変化させた。図5のように、静電容量が大きいほど、またトナー残量が少ないほど供給バイアスをマイナス方向(正規帯電極性と同極性方向)に大きくすることで、トナー供給量を増やすように調整することができる。
【0043】
図7に、本実施例で使用した濃度薄防止制御フローチャートを示す。なお、トナー残量については、前記ピクセルカウントによるトナー残量測定結果をメモリ24に随時書き込み更新している。
【0044】
<濃度薄防止制御>
S1:印字データ受信。
S2:静電容量検出器による静電容量検知。
S3:記憶手段24のトナー残量測定結果を参照。
S4:バイアス決定テーブルを参照。
S5:バイアスを決定。
S6:印字動作開始。
【0045】
上記制御により、現像装置の現像性に直接影響する供給ローラ近傍の水分量を検知可能となり、供給ローラ水分量に起因する画像後端濃度薄の発生を抑制することが可能となる。
【0046】
(補足)
なお、本実施例では、図5のバイアス決定テーブルを参照し、静電容量が大きいほど、現像動作時に供給バイアスをマイナス方向に強めるよう制御し、その際現像バイアスは固定した。しかし、供給ローラから現像ローラへのトナー供給量を多くするためには、供給バイアスから現像バイアスを引いた値Δがトナーの正規帯電極性と同極性であり、かつΔの絶対値が大きくなるように現像バイアスと供給バイアスを制御すればよい。
【0047】
なお、供給ローラから現像ローラへのトナー供給量を多くするために、常に強い供給バイアスを維持するのは、耐久性の観点から望ましくない。そのような場合には、画像形成装置の耐久末期において現像ローラ上にトナーが融着する弊害が発生する場合があるからである。したがって、本願発明のように、画像濃度薄が発生するリスクに応じて供給バイアスを調整することで、上記弊害を抑制しつつ画像濃度薄の発生を低減することができる。この意味で、供給バイアスは現像動作中つねに一定にする必要はなく、濃度薄が発生しやすい画像後端部分に対応するタイミングで強めてもよい。また、供給ローラの水分量は供給ローラと現像ローラの回転動作、及び印字による供給ローラ近傍のトナーの消費、により低下する。よって、画像形成装置を数十枚印字すれば、静電容量検知結果は小さくなる。そのため、画像形成枚数を重ねるにつれて、供給バイアスは弱められるように制御され、前述の弊害は発生し難い。
【0048】
また、本実施例では、供給ローラから現像ローラへのトナー供給量を調整する調整手段として、現像ローラと供給ローラとの間のバイアスを変更可能な直流バイアス印加手段を用いた。ここで、直流バイアス印加手段を用いる代わりに、駆動装置28によって現像ローラの回転速度に対する供給ローラの回転速度の比を大きくすることで、供給ローラから現像ローラに供給するトナー量が多くなるように調整することも可能である。しかし、このような手段では高コストな駆動列が必要となるので、供給バイアスを変更する方が望ましい。更には、供給ローラが多く水分を含んでいる状態では、供給ローラの1回転あたりに現像ローラに供給されるトナー量が少なくなり、前記回転速度を大幅に変更しなければ効果が薄い。一方、本実施例のように、供給バイアスを印加する場合は、供給ローラが多く水分を含んでいる状態でも、供給ローラ1回転あたりに現像ローラに供給されるトナー量を容易に大きくすることが可能となる。したがって、このような状態では、本実施例のように直流バイアス印加手段を用いて供給ローラから現像ローラに供給するトナー量を調整する方が、調整手段として、容易、且つ効果の高い手段であるといえる。
【0049】
なお、本実施例では、トナー残測定手段としてピクセルカウントを用いたが、これに限らず、ピエゾセンサ、透磁率センサ、光センサなどの他のトナー残量測定手段を用いても良い。
【符号の説明】
【0050】
1 現像ローラ
2 供給ローラ
3 トナー容器
4 現像装置
10 画像形成装置本体
11 感光ドラム
15 記録メディア
20 カートリッジ
22 交流バイアス印加装置
23 静電容量検出器
25 本体制御手段CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像を担持する像担持体と、
開口部を備えトナーを収容するトナー容器と、前記開口部に配置されていて第1の電極部材を備え前記トナーを担持し前記静電潜像を前記トナーにより現像するトナー担持体と、前記トナー容器の内部に設けられ、第2の電極部材のまわりに発泡層を備え前記トナー担持体にトナーを供給するトナー供給部材と、を有する現像装置と、
前記第1の電極部材と前記第2の電極部材との間の静電容量に関する情報を検知する検知手段と、
前記トナー容器内のトナー残量に関する情報を測定する測定手段と、
前記検知手段によって検知された前記静電容量に関する情報と、前記測定手段によって測定された前記トナー残量に関する情報とに応じて、前記トナー供給部材から前記トナー担持体へのトナー供給量を調整する調整手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記調整手段は、前記第1の電極部材と前記第2の電極部材との間の電位差を調整することで、前記トナー供給量を調整する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記調整手段は、前記トナー担持体の回転速度に対する前記トナー供給部材の回転速度の比を調整することで、前記トナー供給量を調整する請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−8270(P2012−8270A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142954(P2010−142954)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】