説明

画像情報転送制御システムおよび作業の進捗状況管理方法

【課題】無線LAN装置を有効利用して、カメラ付き携帯電話による画像の撮影・送信を管理し、また、外部業者などで行われる工場内での作業の進捗状況を遠隔地でリアルタイムで一括管理できるようにすること。
【解決手段】カメラ撮影が許可されたエリアとカメラ撮影が禁止されたエリアを有する工場や公共施設などに入場する際、カメラ付きの携帯電話1を貸与する。構内には無線LAN2が設置され、このアクセスポイント毎に、カメラ撮影許可あるいは撮影禁止エリアが設定され、携帯電話1にはアクセスポイントを判別し、カメラ撮影許可エリアでのみ、カメラ撮影を許可する手段が設けられている。カメラ撮影が許可されたエリアで撮影された画像は無線LAN装置2を介してサーバ3に送信される。携帯電話1から作業の進捗状況を送信することにより、サーバ3で作業の進捗状況を一括して管理することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば工場内等において撮影された画像の転送を制御する画像情報転送制御システムおよび工場内に撮影された画像情報を用いて、作業などの進捗状況を管理する進捗状況管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カメラ撮影が許可された区域、カメラ撮影が不許可の区域が設けられている場所におけるカメラの利用を管理するシステムが種々提案されている。
例えば特許文献1には、書店内などに設置された撮影禁止エリアの基地局から撮影禁止情報信号を送信し、この識別コード受信時、カメラ撮影を停止するようにしたカメラ撮影制限システムが記載されている。
また、特許文献2には、撮影禁止区域内に侵入するとフラグを携帯端末に送信し、フラグ受信後一定時間はカメラ撮影機能を制限するようにしたシステムが記載されている。
特許文献3には、撮影禁止近傍のブルートゥースモジュールから信号を受信し、撮影を不可とするカメラ付携帯端末が記載されている。
さらに、特許文献4には、撮影モードに応じてフラグを設定し、外部転送禁止の場合は携帯電話機への画像転送を禁止するようにしたデータ転送装置が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−142845号公報
【特許文献2】特開2005−33799号公報
【特許文献3】特開2004−328475号公報
【特許文献4】特開2003−141005号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の携帯電話にはカメラ機能が付加されており、どこでもいつでも撮影が可能となっている。一方、工場内、展示会場等においては、カメラ撮影が許可された区域、カメラ撮影が不許可の区域が設けられており、このような場所では、カメラ機能を持つ携帯電話の持込を禁止している場合も多々ある。
しかし、このような場所でも、外部との連絡のため、携帯電話を使用したい場合も多く、携帯電話の持ち込みが禁止されると、不便である。
例えば、工場内などで、外部の業者が設備の設置、補修などの作業を行なう場合、各場所で行なわれる作業の進捗状況を管理したり、作業者と適宜連絡を取り、必要に応じて部材の供給などを行なうことが必要となる場合も多い。特に、携帯電話を利用して進捗状況等を示す画像などを、作業を管理するセンターなどに送信できれば、作業を一括して管理することも可能である。
【0005】
前述したように従来から、携帯電話などのカメラの利用を管理するシステムが種々提案されているが、これらの多くは、基地局等から撮影を禁止するための信号を送信し、カメラ使用不可とするものが多く、携帯電話のカメラの使用を禁止するための基地局などを別途設けるのが普通であり、このような基地局が設けられた場所でなければ、カメラの利用を管理することができない。
一方、最近では公共施設や工場などにおいて、構内に無線LAN装置のアクセスポイントを複数箇所設け、データの送受信を可能としており、このような無線LANを有効活用して、携帯電話を利用可能したり、カメラ画像を転送したいという要望がある。
特に、前述したように、工場内などで作業の進捗状況を管理する場合などには、このような無線LAN装置を利用できれば、格別の設備を新たに設置することなく、携帯電話での連絡、画像データの送信等が可能なり、作業の進捗状況の管理を効率的に行うことができるものと期待される。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、本発明の第1の目的は、無線LAN装置を有効利用して、カメラ付き携帯電話による画像の撮影・送信を管理できるようにすることである。
本発明の第2の目的は、無線LAN装置と、携帯電話を有効利用して、工場内等で、外部の業者などで行われる作業の進捗状況を工場外の遠隔地でリアルタイムで一括管理できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明においては、上記課題を次のように解決する。
(1)カメラ撮影が許可されたエリアとカメラ撮影が禁止されたエリアを有する工場や公共施設などに入場する際、入場者が所有する携帯電話などはあずかり、カメラ付きの携帯電話を貸与する。貸与した携帯電話へ入場者が所有する携帯電話への通信を転送設定しておいてもよい。
上記工場や公共施設などの構内には、無線LANが設置され、このアクセスポイント毎に、カメラ撮影許可エリアか、カメラ撮影禁止エリアかが設定されており、上記入場者に貸与する携帯電話には、上記アクセスポイントを判別し、カメラ撮影許可エリアでのみ、カメラ撮影を許可する手段が設けられている。
カメラ撮影が許可されたエリアで撮影された画像は、上記アクセスポイントを経由して、無線LAN装置に送信され、例えば該無線LAN装置に接続された携帯電話網などを介して、サーバに送信され保存される。
工場外部で進捗状況を一括管理している者はただちに、また、入場者は、工場などから退場したのち、上記サーバにアクセスすることにより、撮影可能場所で撮影した画像を取得することができる。
(2)上記(1)において、上記画像を含む情報を送信後、カメラ内に保存された該画像を消去する。
(3)上記(1)(2)において、無線LAN装置に、上記携帯電話から画像を含む情報が送信されたとき、送信された画像を含む情報が、カメラ撮影可能に設定されたアクセスポイントから送信された画像を含む情報の場合にのみ、上記画像の送信を許可する。
(4)上記(1)のシステムを進捗状況管理システムに適用する。すなわち、上記無線LAN制御装置を、作業の進捗状況を管理するサーバに接続し、上記撮影許可するアクセスポイントは、作業の進捗状況を管理すべきエリアに設置する。
上記携帯電話は、上記作業の各工程の進捗状況を管理するための画面を表示する手段を備え、該画面の表示に基づき作業者が、作業の進捗状況データまたは画像情報を含む進捗状況データの送信操作をしたとき、該データを上記アクセスポイント経由で、無線LAN装置に送出する。
上記サーバは、無線LAN装置から上記進捗状況データを受信し、受信した進捗状況データに基づき進捗状況管理画面を生成して表示する。
【発明の効果】
【0007】
本発明においては、以下の効果を得ることができる。
(1)工場などの構内に設置されている無線LANを有効活用し、このアクセスポイント毎にカメラ撮影許可、カメラ撮影禁止を設定し、携帯電話に設けられたカメラでの撮影の許可/禁止をするようにしたので、カメラ撮影許可、カメラ撮影禁止を設定するための基地局などを別途設けることなく、カメラの撮影許可エリア、禁止エリアを設定することができ、コストダウンを図ることができる。
(2)撮影許可エリアで撮影したカメラ画像を、無線LANを介してサーバなどに送信することにより、撮影した画像を、遠隔地でオンラインで取得することができる。
また、カメラで撮影した画像を送信してサーバなどに保存することにより、撮影したカメラ付き携帯電話が、工場内等で使用するために貸与されたものであっても、該カメラを返却後、撮影した画像を取得することができる。
(3)工場内等で作業をする際、作業現場を撮影許可エリアに設定し、上記無線LANに進捗状況管理用システムを接続し、作業者が作業の進捗状況等を携帯電話のカメラで撮影し、上記進捗状況管理用システムに送信することにより、遠隔地で、工場内などにおける作業の進捗状況などを一括して管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は本発明の実施例の概要を説明する図、図2は本発明の実施例のシステムの構成図であり、同図は本発明を撮影許可/禁止エリアを有する工場に適用した場合を示している。なお、以下の説明では工場に適用した場合について説明するが、本発明は工場以外に、撮影許可/禁止エリアがある例えば美術館、博物館などの公共施設、展示会場などにも同様に適用することができる。
まず、図1、図2により、本発明の概要について説明する。
図1に示すように、工場の入口で例えば持ち物の検査などを行い、入場するものが携帯電話(携帯端末等を含む)を持っている場合、受付などで携帯電話を預かる。そして、工場用携帯電話1を入場者に貸与する。
また、工場内には無線LAN装置2が設置され、構内の複数箇所に無線LANへのアクセスポイントAP(以下APと略記する場合もある)が設けられ、上記無線LAN装置2は、携帯電話網4などを介して、サーバ3に接続されている。
【0009】
上記アクセスポイント毎にカメラ撮影許可/カメラ撮影禁止が設定されており、カメラ撮影許可アクセスポイント群のID(グループID、例えばdd)と、カメラ撮影禁止アクセスポイント群のID(グループID、例えばee)は異なる値に設定されている。このグループIDは例えばIEEE802.11bのSSIDである。
また、入場者に貸与する携帯電話1は図2(a)(b)に示すように表示部1aと操作ボタン1bとカメラ1c、メモリ1d、通信部1e等が設けられた通常の携帯電話であるが、制御部1fにカメラ許可手段1gが設けられている。カメラ許可手段1gは、例えば、通常はカメラ撮影禁止状態に設定され、上記アクセスポイント群のIDがカメラ撮影許可である場合、当該カメラを撮影許可に設定する。
また、無線構内LANは、図2(a)に示すようにカメラ撮影許可エリアに設けられた複数の通信部2aと、カメラ撮影禁止エリアに設けられた複数の通信部2bと、制御部2cとメモリ2dなど構成される。そして、制御部2cには、送受信抑止手段2eが設けられ、送受信抑止手段2eは、画像を送信しようとしている携帯電話がカメラ撮影禁止エリアにあるのか否かを各アクセスポイントのIDから判別し、カメラ撮影禁止エリアの通信部2bを介した画像情報の送信を抑止する。
【0010】
すなわち、受付で貸与された携帯電話1をもった入場者が、カメラ撮影許可エリアにいる場合(例えばアクセスポイントのID=dd)、貸与された携帯電話1のカメラ1cで撮影が可能であり、また、上記アクセスポイントおよび構内無線LAN2を介して、撮影した画像を例えばメールの添付ファイルとして、サーバ3に送信することができる。
上記のように撮影した画像をサーバ3に転送しておけば、入場者が退場の際、貸与された携帯電話1を返却しても、上記サーバ3に格納された画像を自分の携帯電話で受信することも可能である。
また、後述するように、本発明を進捗状況の管理等に適用する場合には、上記サーバ3に送られた画像により、作業の進捗状況などを把握し、作業の進捗状況を管理することも可能である。
なお、携帯電話1で撮影した画像をサーバに転送後、直ちに削除するようにすれば、携帯電話中に画像が蓄積されることがなく、また、画像を消去するのを忘れ、次に貸与したとき前回の画像が見えてしまうことを防ぐこともできる。
【0011】
一方、入場者が、カメラ撮影禁止エリアにいる場合(例えばアクセスポイントのID=ee)、貸与された携帯電話1のカメラ1cで撮影はできず、また、上記アクセスポイントおよび構内無線LAN2を介して、画像をサーバ3に送信することもできない。
なお、カメラ撮影禁止エリアあるいはカメラ撮影許可エリアにいる場合、携帯電話1で、音声により外部と連絡をとることは可能であり、携帯電話から電話番号を入力することで相手先と通話することはできる。また、画像を含まないメールの送信も可能であるようにしてもよい。さらに、外部から送られていくる画像を含むメールを携帯電話1で受信できるようにしてもよい。
【0012】
図3は携帯電話と構内無線LANにおける処理を示すフローチャートである。
入場者が貸与された携帯電話を持って工場内に入ると、携帯電話は、無線LANのアクセスポイントをサーチし、携帯電話のSSIDを設定する(ステップS1,S2)。
ついで、カメラ撮影許可エリアのアクセスポイントであるかを判定し、カメラ撮影許可エリアでない場合には、ステップS1に戻る(ステップS3)。
また、カメラ撮影エリアの場合は、携帯電話をカメラ撮影許可モードに設定する(ステップS4)。
ここで、入場者が携帯電話のカメラを使用して撮影した画像データを保存し、画像データを送信するため電話番号を通知する(ステップS5,S6,S7)。
そして、データの通信を行い、カメラにより撮影した画像データを送信する(ステップS8,S9)。
一方、無線LAN装置では、携帯電話のSSIDが一致するかを判定し(ステップT1)、一致する場合、電話番号を受信すると電話番号先と接続処理を行い、携帯電話からのデータを電話網へ送信する(ステップT2,T3,T4)。
【0013】
ついで、添付ファイルがあるかを判定し(ステップT5)、添付ファイルが無ければ、ステップS9にいく。添付ファイルがある場合には、添付ファイルの識別子がカメラの画像データであるか判定する(ステップT6)。そして、カメラ撮影許可のアクセスポイントであれば上記画像データの通信を許可し通信を行う(ステップT7,T8,T9)。
携帯電話では、通信が終了するとカメラで撮影した画像データを削除する(ステップS10,S11)。ついで、次の通信があるかを判定し、あればステップS5に戻る。また、無ければ、カメラ撮影許可モードを解除しステップS1に戻る。
上述したフローでは、カメラ撮影許可エリアに居る場合の通話処理について示したが、カメラ撮影禁止エリアで、音声による通話のみを可能としてもよい。
【0014】
次に本発明を作業の進捗状況管理に適用した実施例について説明する。
例えば、工場内において建屋の工事、ラインの設置工事、機械の据付工事、ロボットの設置や改修などを外部の業者に依頼して行う場合、これらの工事を行う業者としては、その作業の進捗状況を管理したいという要望がある。例えば、各作業現場でカメラなどにより作業の進捗状況を示す映像を撮影して、この画像情報など逐次送信し、これを例えば管理用のサーバで受信して集中的に表示すれば、各作業の進捗状況をオンラインで把握することができる。また、各場所で同時進行することが必要な作業の場合、画像情報でリアルタイムに把握することができる。
一方、工場側としては、作業場所での撮影は許容するにしても、それ以外の場所でカメラの撮影が行われると、企業秘密が漏出するなどの問題もありカメラ撮影は禁止したい。しかし、作業者の行動を常にチェックすることも不可能である。
そこで、工場内で外部の業者が作業する場所は、前述したようにカメラ撮影許可エリアとし、それ以外の場所はカメラ撮影禁止エリアに設定する。
そして、作業の進捗状況管理を行う場合、作業者は予め定められた手順に基づき、作業状況を逐次カメラで撮影し、この画像を、前記したように構内の無線LANを介して管理用のサーバに送信する。
管理用サーバでは、各作業場所から送られてくる画像などの情報に基づき、各作業場所での作業の進捗状況を俯瞰し、必要に応じて作業者に連絡したり、不足している資材を作業現場に送る。このようにすることで、工場等の内部での作業の進捗状況を管理することができる。
【0015】
図4は本発明を上述した進捗状況管理に適用した場合の構成例を示す図であり、同図(a)はカメラ撮影許可エリアと、カメラ撮影禁止エリアと、アクセスポイントの配置例を示す図、同図(b)は構内無線LANの概略構成を示す図である。
同図(a)に示すように、前記図1と同様、工場内には無線LAN装置2が設置され、構内の複数箇所に無線LANへのアクセスポイントAPが設けられ、上記無線LAN装置2は、携帯電話網4などを介して、進捗状況管理システム5に接続されている。
なお、進捗状況管理システム5は、後述するように、例えば、各作業現場から送られてくる作業進捗状況を示す画像などのデータを受信し、このデータを時系列的に並べて表示するような既存のシステムを使用することができる。
【0016】
上記アクセスポイント毎にカメラ撮影許可/カメラ撮影禁止が設定されており、同図では、IDがhh,ddはカメラ撮影許可アクセスポイント群、IDがgg,eeはカメラ撮影禁止アクセスポイント群である。
なお、ここでは、工場内の特定の建屋A,B内で作業者が作業をすることを想定しており、カメラ撮影許可エリアは建物毎に設定され、建屋内には、作業者の作業エリアを無線LANの電波がカバーできるように、複数のアクセスポイントが設けられている。
無線構内LAN装置2は、同図(b)に示すように、工場構内に配置された複数のアクセスポイントAPと接続され、ゲートウェイ2fを介して携帯電話網4に接続される。
また、図1で説明したように、作業者は工場内に入るとき、工場用の携帯電話を貸与され、これを用いて、構内で画像データの送信などを行うが、携帯電話の構成、無線構内LANの機能構成は前記図2に示したものと同じである。
【0017】
図5は、上記携帯電話、LAN制御部に予め設定されるデータ例を示す図である。
同図(a)に示すように、各携帯電話は、携帯電話を特定するためのIDと、携帯電話のIPアドレスと、電話番号を有する。また、同図(b)に示すように各携帯電話のメモリには、アクセスポイントのIDに対応付けて、カメラ許可手段1gを動作させるか、不動作とするかのデータが記憶されている。
また、構内無線LAN2の制御部2cのメモリ2dには、同図(c)に示すように、アクセスポイントのIDに対応付けて、カメラ撮影を許可するか禁止するかを示す可/否のデータが格納され、さらに、同図(d)に示すように、メールに添付された画像がカメラで撮影した画像であるか否かを判定するための、識別子が記憶されている。
【0018】
図6は各作業者に貸与される携帯電話に表示される作業手順の指示画面の一例を示す図、図7は、進捗状況管理システムに表示される進捗状況管理画面の一例を示す図である。 なお、ここでは、図6に示すように、各作業者の行う作業はcsx工事,adf撤去,…,等の複数の作業からなり、また図7に示すように作業現場はab,bc,…,のように複数の作業場所があるものとする。
以下、図6、図7を参照しながら本実施例について説明する。
(1)作業者が工場内に入る場合には、前述したように各作業者に図2に示した工場用携帯電話1を貸与する。作業者は貸与された携帯電話1をもって作業現場に行く。
(2)作業者は各自の持つ携帯電話1により、各作業現場から、構内無線LAN装置2のアクセスポイントAPを介して、メール等により進捗状況管理システム5に作業現場を通知する。
これに応じて、進捗状況管理システム5は、各携帯電話に図6に示す作業名と、その実施時刻と、カメラで撮影した画像データ(以下カメラデータという)が必要であるか否かを示すデータからなる共通操作手順データを送る。または図6に示す共通操作手順データをあらかじめ各携帯電話のメモリに記憶させたものを貸与する。
このデータは各携帯電話に表示される。図6では、de現場での共通操作手順と、mn現場での共通操作手順が例示されている。
【0019】
(3)作業者は、図6に示した作業手順に基づき作業を行い、作業が終わると構内無線LAN装置2を介して、その旨を進捗状況管理システム5にメール送信する。
その際、カメラデータが必要となっている場合には、作業の状況を携帯電話1のカメラ1cで撮影し、カメラデータをメールに添付する。
カメラ1cで撮影する場所のアクセスポイントのIDが、携帯電話1のカメラ許可手段が動作可のIDの場合、携帯電話1で撮影は可能であり、撮影されたカメラデータは、携帯電話1に一旦保存された後、上記APを介して、構内無線LAN装置2の制御部2cに送られる。
上記制御部2cは、前述したように通信しようとしているアクセスポイントが、カメラ撮影が許可されているエリアのアクセスポイントであるかを判別し、カメラ撮影許可のエリアの場合には、このカメラデータの添付されたメールを携帯電話網4を介して進捗状況管理システム5にメール送信する。
図8は、携帯電話から送信されるメールデータの一例を示す図である。
同図(a)に示すように携帯電話から送信されるメールは、作業現場、作業内容などを示すIDと、作業実施時刻などのメール内容と、カメラで撮影したカメラデータの添付の有無を示すデータ(あり:1、なし:0)からなり、カメラデータありのときは添付メールとして、例えば識別子がXXX.JPEGのカメラデータが添付される。
【0020】
上記IDは、同図(b)に示すように、例えば携帯電話のIDと、作業現場を示す現場IDと、作業内容を示す作業IDとその他のデータからなる。
また、メール内容は例えば同図(c)に示すように、送信年、月、日、時刻である。
図9は、adf撤去工事を終了したときに携帯電話1の表示部に表示される画面の1例を示す図である。
例えば携帯電話1に作業終了したことを入力すると、図9の画面が表示される。この画面に基づき作業者は、adfを撤去したことを示す画像を携帯電話1のカメラ1cで撮影し、「Y」キーを押す。これにより、カメラデータが添付されたメールが作業現場に設置されたアクセスポイントAPから構内無線LAN2の制御部2cを介して、進捗状況管理サーバ5に送られる。また、カメラデータが送信されると、前述したように携帯電話1内に保存されたカメラデータは削除される。
【0021】
(4)進捗状況管理システム5は、各作業現場から進捗状況を示すメールが送られてくると、図7に示すように、各作業現場から送られている各作業の進捗状況を横軸を時間軸として、時間順に表示する。また、カメラ画像データがある場合には、例えば二重丸などのマークをつける。
管理者は、上記画面により、作業の進捗状況を全体的に把握することができる。また、例えばカメラデータが添付されている場合、二重丸の部分をクリックすることで、カメラデータを表示できるようにしてもよい。
以上のように、本実施例によれば、通常の携帯電話等を利用しにくい環境において、各作業場所で行われている作業の進捗状況をオンラインで監視し、管理することができる。 このため、作業に遅れなどを把握し、そのための対策などを迅速に図ることができ、効率的な作業が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例の概要を説明する図である。
【図2】本発明の実施例のシステムの構成図である。
【図3】携帯電話と構内無線LANにおける処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明を進捗状況管理に適用した場合の構成例を示す図である。
【図5】携帯電話、LAN制御部に予め設定されるデータ例を示す図である。
【図6】携帯電話に表示される作業手順の指示画面の一例を示す図である。
【図7】進捗状況管理システムに表示される画面の一例を示す図である。
【図8】携帯電話から送信されるメールデータの一例を示す図である。
【図9】工事を終了したときに携帯電話の表示部に表示される画面の1例を示す図である。
【符号の説明】
【0023】
1 携帯電話
1a 表示部
1b 操作ボタン
1c カメラ
1d メモリ
1e 通信部
1f カメラ許可手段
2 構内無線LAN装置
2a 通信部(撮影許可エリア)
2b 通信部(撮影禁止エリア)
2c 制御部
2d メモリ
2e 送信抑止手段
3 サーバ
4 携帯電話網
5 進捗状況管理システム



【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラを有する携帯電話から無線でアクセスが可能なアクセスポイントを複数有し、各アクセスポイント毎に上記カメラによる撮影が可能であるか否かが設定された無線LAN制御装置と、
上記アクセスポイントとの通信機能と、上記アクセスポイントを識別する機能を有する携帯電話とから構成され、
上記携帯電話は、該携帯電話が、カメラ撮影が許可されたアクセスポイントとの送受信可能な領域に入ったとき、搭載したカメラによる撮影を可能とする手段と、
上記撮影可能な領域内で撮影された画像を含む情報を、上記アクセスポイント経由で、無線LAN装置に送出する送信手段を有する
ことを特徴とする画像情報転送制御システム。
【請求項2】
上記携帯電話の送信手段は、上記画像を含む情報を送信後、カメラ内に保存された該画像を消去する
ことを特徴とする請求項1記載の携帯電話に搭載されたカメラ機能制御システム。
【請求項3】
無線LAN装置は、上記携帯電話から画像を含む情報が送信されたとき、送信された画像を含む情報が、カメラ撮影可能に設定されたアクセスポイントから送信された画像を含む情報の場合、上記画像の送信を許可する
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像情報転送制御システム。
【請求項4】
上記無線LAN制御装置は、作業の進捗状況を管理するサーバに接続され、上記アクセスポイントは、作業の進捗状況を管理すべきエリアに設置され、
上記携帯電話は、上記作業の各工程の進捗状況を管理するための画面を表示する手段を備え、
前記画像送信手段は、該画面の表示に基づき作業者が、作業の進捗状況データまたは画像情報を含む進捗状況データの送信操作をしたとき、該データを上記アクセスポイント経由で、無線LAN装置に送出し、
上記サーバは、無線LAN装置から上記進捗状況データを受信し、受信した進捗状況データに基づき進捗状況管理画面を生成して表示する手段を有する
ことを特徴とする請求項1,2または請求項3記載の画像情報転送制御システム。
【請求項5】
携帯電話から無線でアクセスが可能なアクセスポイントを複数有し、各アクセスポイント毎に上記カメラによる撮影が可能であるか否かが設定された無線LAN制御装置と、
カメラと上記アクセスポイントとの通信機能と上記アクセスポイントを識別する機能を有する携帯電話とから構成され、上記携帯電話から送信された画像情報を上記アクセスポイントを介して転送する画像情報の転送制御方法であって、
上記携帯電話が、カメラ撮影が許可されたアクセスポイントとの送受信可能な領域に入ったとき、搭載したカメラによる撮影を許可し、
上記撮影可能な領域内で画像が撮影されたとき、該画像を含む情報を、上記アクセスポイント経由で、無線LAN装置に送信する
ことを特徴とする撮影された画像情報の転送制御方法。
【請求項6】
作業の進捗状況を管理するサーバに接続され、携帯電話から無線でアクセスが可能なアクセスポイントを複数有し、各アクセスポイント毎に上記カメラによる撮影が可能であるか否かが設定された無線LAN制御装置を備え、
上記携帯電話からサーバに送信される情報に基づき、上記アクセスポイントが設置された各エリアにおける作業の進捗状況を管理する方法であって、
上記各エリアで作業する作業者に携帯電話を配布し、該携帯電話に、カメラと、上記アクセスポイントとの通信機能と、上記アクセスポイントを識別する機能を有し、上記作業の各工程の進捗状況を管理するための画面を表示する手段と、
該携帯電話が、カメラ撮影が許可されたアクセスポイントとの送受信可能な領域に入ったとき、搭載したカメラによる撮影を可能とする手段と、上記撮影可能な領域内で撮影された画像を含む情報を上記アクセスポイント経由で無線LAN装置に送出する送信手段を設け、
上記携帯電話から各アクセスポイントを介して進捗状況を示す情報を上記サーバに送信し、上記サーバで、受信した進捗状況データに基づき作業の進捗状況を示す進捗状況管理画面を生成し、表示することにより、作業の進捗状況を管理する
ことを特徴とする作業の進捗状況の管理方法。
【請求項7】
無線でアクセスが可能なアクセスポイントを複数有し、各アクセスポイント毎に上記カメラによる撮影が可能であるか否かが設定された無線LAN制御装置と通信可能であり、カメラと、上記アクセスポイントを識別する機能を有する携帯電話であって、
上記携帯電話は、該携帯電話が、カメラ撮影が許可されたアクセスポイントとの送受信可能な領域に入ったとき、搭載したカメラによる撮影を可能とする手段と、
上記撮影可能な領域内で撮影された画像を含む情報を、上記アクセスポイント経由で、無線LAN装置に送出する送信手段を有する
ことを特徴とする携帯電話。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−259185(P2007−259185A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−82190(P2006−82190)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(598057291)富士通サポートアンドサービス株式会社 (147)
【Fターム(参考)】