説明

画像無効化装置、画像形成装置および画像形成方法

【課題】 未転写トナー画像を無効化処理する無効化処理効率が優れるとともに、ブラシローラに付着した紙粉、タルク、カオリンなどの未転写トナー画像よりも除去しにくい異物を、ブラシローラから効率よく除去することができ、未転写トナー画像から印字情報が漏洩することを防止し、高いセキュリティ性を安定して得ることができる画像無効化装置を提供する。
【解決手段】 画像無効化装置70は、ブラシローラ71が中間転写ベルト311の外周面に当接して未転写トナー画像90を無効化処理するとき、電源73が電極部材72に交流電圧を印加して、ブラシローラ71を介して中間転写ベルト311を振動させるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー像担持ベルトの外周面上に残留するトナー像を無効化処理して印字情報の漏洩を防止する画像無効化装置、該画像無効化装置を備える画像形成装置、および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、静電潜像保持体上の静電潜像をトナーで現像してトナー像を得て、このトナー像を記録媒体へ転写して記録媒体上にトナー像を形成する方法が採用されている。そして、トナー像が記録媒体に転写された後にトナー像担持体上に残留する残留トナーをクリーニング手段で除去することによって、次の記録媒体への画像形成時に残留トナーの影響が発現するのを防止している。
【0003】
ところで、静電潜像保持体上の静電潜像をトナーで現像して得られるトナー像を中間転写ベルトの外周面上に転写して、中間転写ベルトの外周面上に多色カラートナー画像を形成後、一括して記録媒体に多色カラートナー画像を転写して、多色カラー画像を形成する方式の画像形成装置がある。
【0004】
このような多色カラー画像を形成する画像形成装置では、中間転写ベルト上の多色カラートナー画像を記録媒体に転写した際、中間転写ベルト上の全てのトナー像を記録媒体に転写できず、未転写トナー画像となって中間転写ベルト上に残留する場合がある。この未転写トナー画像は、クリーニング手段で除去されるまでは中間転写ベルトの外周面上に残留したままであり、未転写トナー画像から印字情報が漏洩するおそれがある。
【0005】
このような問題を解決するために、特許文献1には、トナー像が記録媒体に転写された後に中間転写ベルトの外周面上に残留する未転写トナー画像を、ブラシローラによって摺擦して無効化処理するように構成された画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−208142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示される画像形成装置では、中間転写ベルト上に残留した未転写トナー画像をブラシローラで摺擦して掻き乱して無効化処理することにより、一時的に未転写トナー画像から印字情報が漏洩することを防止することができるが、その無効化処理の効率は充分であるとはいえない。また、特許文献1に開示される画像形成装置では、中間転写ベルト上に残留した未転写トナー画像を無効化処理したとしても、ブラシローラに付着した紙粉、タルク、カオリンなどの未転写トナー画像よりも除去しにくい異物を、ブラシローラから除去することができない。
【0008】
したがって本発明の目的は、トナー像を担持搬送するトナー像担持ベルトに対して、トナー像が記録媒体に転写された後にトナー像担持ベルトの外周面上に残留する未転写トナー画像をブラシローラによって無効化処理する画像無効化装置であって、未転写トナー画像を無効化処理する無効化処理効率が優れるとともに、ブラシローラに付着した紙粉、タルク、カオリンなどの未転写トナー画像よりも除去しにくい異物を、ブラシローラから効率よく除去することができ、未転写トナー画像から印字情報が漏洩することを防止し、高いセキュリティ性を安定して得ることができる画像無効化装置を提供することであり、該画像無効化装置を備える画像形成装置および画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、複数の支持ローラによって張架されて回転可能に設けられ、トナー像を担持搬送する無端状のトナー像担持ベルトに対して、トナー像が記録媒体に転写された後にトナー像担持ベルトの外周面上に残留する未転写トナー画像を無効化処理する画像無効化装置であって、
ローラ形状のブラシであり、前記トナー像担持ベルトの外周面に当接して設けられ、前記トナー像担持ベルトの外周面を摺擦することによって未転写トナー画像を無効化処理するブラシローラと、
前記ブラシローラに対して、所定の間隙を有して対向する電極部材と、
前記電極部材に、所定の周波数を有する交流電圧を印加する電源とを含み、
前記ブラシローラが前記トナー像担持ベルトの外周面に当接して未転写トナー画像を無効化処理するとき、前記電源が前記電極部材に交流電圧を印加して、前記ブラシローラを振動させることで、前記トナー像担持ベルトを振動させるように構成されることを特徴とする画像無効化装置である。
【0010】
また本発明は、前記電極部材は、前記ブラシローラと対向する表面に、絶縁材料からなるコート層が設けられることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記電極部材の前記ブラシローラに対する対向方向への曲げ剛性が、前記ブラシローラの半径方向の曲げ剛性よりも高いことを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記電源が前記電極部材に印加する交流電圧の周波数は、20kHz以上であることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、静電潜像が形成される感光体と、
前記感光体表面の静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
複数の支持ローラによって張架されて回転可能に設けられ、トナー像を担持搬送する無端状のトナー像担持ベルトと、
前記トナー像担持ベルトの外周面上に担持されるトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
トナー像が記録媒体に転写された後に前記トナー像担持ベルトの外周面上に残留する未転写トナー画像を無効化処理する無効化手段とを含む画像形成装置であって、
前記無効化手段は、前記画像無効化装置であることを特徴とする画像形成装置である。
【0014】
また本発明は、前記画像形成装置を用いて、記録媒体上に画像を形成させることを特徴とする画像形成方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、画像無効化装置は、トナー像を担持搬送する無端状のトナー像担持ベルトに対して、トナー像が記録媒体に転写された後にトナー像担持ベルトの外周面上に残留する未転写トナー画像を無効化処理する装置であり、トナー像担持ベルトの外周面に当接して設けられ、トナー像担持ベルトの外周面を摺擦することによって未転写トナー画像を無効化処理するブラシローラと、ブラシローラに対して所定の間隙を有して対向する電極部材と、電極部材に交流電圧を印加する電源とを含む。そして、画像無効化装置では、ブラシローラがトナー像担持ベルトの外周面に当接して未転写トナー画像を無効化処理するとき、電源が電極部材に交流電圧を印加する。このように、電極部材に交流電圧が印加されると、電極部材とブラシローラとの間隙には振動電界が形成され、この振動電界によってブラシローラが振動して、ブラシローラが当接するトナー像担持ベルトが振動する。トナー像担持ベルトが振動することによって、トナー像担持ベルト上に残留する未転写トナー画像と、トナー像担持ベルトとの付着力は、トナー自身の質量に起因する慣性力によって低下する。これによって、記録媒体に対する転写処理後に、トナー像担持ベルトの外周面をブラシローラが摺擦してトナー像担持ベルト上に残留する未転写トナー画像を無効化処理する無効化処理効率に優れ、未転写トナー画像から印字情報が漏洩することを防止し、高いセキュリティ性を安定して得ることができる。
【0016】
さらに、画像無効化装置では、ブラシローラがトナー像担持ベルトに当接して未転写トナー画像を無効化処理するとき、電極部材とブラシローラとの間隙に発生する振動電界によってブラシローラが振動するので、ブラシローラに付着した紙粉、タルク、カオリンなどの未転写トナー画像よりも除去しにくい異物を、ブラシローラから効率よく除去することができる。
【0017】
また本発明によれば、電極部材は、ブラシローラと対向する表面に、絶縁材料からなるコート層が設けられる。このように、絶縁材料からなるコート層が電極部材の表面に設けられることによって、ブラシローラに対向する部分が導電体で構成されている場合に比べて、電極部材に高い電圧を印加しても、気中放電の発生を防止することができる。そのため、高い電圧を電極部材に印加して、ブラシローラと電極部材との間隙に大きな振動電界を発生させることができる。
【0018】
また本発明によれば、電極部材のブラシローラに対する対向方向への曲げ剛性が、ブラシローラの半径方向の曲げ剛性よりも高くなるように構成されている。これによって、電極部材とブラシローラとの間隙に生じる振動電界による引力が作用したときに、電極部材の撓みを抑制しながらブラシローラを振動させることができる。また、電極部材が撓む場合には、この撓みによって電極部材とブラシローラとの間隙幅が小さくなり、気中放電が発生しやすくなる。電極部材の曲げ剛性を高めて電極部材の撓みを抑制することによって、高い電圧を電極部材に印加しても、電極部材とブラシローラとの間隙幅が小さくなり過ぎるのを防止して、ブラシローラを大きく振動させて、トナー像担持ベルトに大きな振動を付与することができる。そのため、トナー像担持ベルト上に残留する未転写トナー画像と、トナー像担持ベルトとの付着力を低下させることができ、ブラシローラによる未転写トナー画像の無効化処理の効率を向上させることができる。
【0019】
また本発明によれば、電源が電極部材に印加する交流電圧の周波数は、20kHz以上である。電極部材とブラシローラとの間隙に発生する振動電界によってブラシローラが振動するときに、ブラシローラが振動することにより生じる空気振動が、人間の可聴周波数以上となり、動作時の不快感を防止することができる。
【0020】
また本発明によれば、画像形成装置は、本発明に係る画像無効化装置を備える。これによって、画像形成装置は、トナー像担持ベルトの外周面上に残留する未転写トナー画像から印字情報が漏洩するのを防止し、高いセキュリティ性を有して画像を形成することができる。
【0021】
また本発明によれば、画像形成方法は、本発明に係る画像形成装置を用いて記録媒体上に画像を形成させる。これによって、トナー像担持ベルトの外周面上に残留する未転写トナー画像から印字情報が漏洩するのを防止し、高いセキュリティ性を有して画像を形成させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の一形態である画像形成装置1の構成を示す図である。
【図2】画像形成装置1の構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態である画像無効化装置70の構成を示す図である。
【図4】ブラシローラ71の振動モードを説明する図である。
【図5】本発明の第2実施形態である画像無効化装置80の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の実施の一形態である画像形成装置1の構成を示す図である。また図2は、画像形成装置1の構成を示す斜視図である。画像形成装置1は、カラー画像を形成可能とするタンデム方式のカラー画像形成装置である。画像形成装置1は、ネットワークを介して接続されたPC(Personal Computer)等の各種端末装置から送信される画像データや、スキャナ等の原稿読み取り装置によって読み取られた画像データに基づいて、記録媒体となる記録紙に対して、カラー画像またはモノクロ画像を形成するプリンタ機能を有するものである。
【0024】
画像形成装置1は、トナー像形成部20と1次転写部31を有する画像形成ステーション部2と、2次転写ステーション部32と、定着手段4と、用紙供給手段5と、排紙手段6と、本発明に係る画像無効化装置70とを含んで構成される。画像形成ステーション部2は、カラー画像情報に含まれるイエロー(y)、マゼンタ(m)、シアン(c)およびブラック(k)の各色の画像情報に対応するために、イエロー画像用、マゼンタ画像用、シアン画像用およびブラック画像用の4つの画像形成ステーションにわかれている。そして、後述するトナー像担持ベルトである中間転写ベルト311の回転方向に、イエロー画像用、マゼンタ画像用、シアン画像用、ブラック画像用の画像形成ステーションがこの順に並設されている。
【0025】
イエロー画像用、マゼンタ画像用、シアン画像用およびブラック画像用の4つの画像形成ステーションは、それぞれ実質的に同一の構成を有しており、各色に対応する画像データに基づいて、イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックの画像を形成して、中間転写ベルト311上で重ね合わせて4色のトナーからなる画像を形成し、2次転写ステーション部32で記録紙上にトナー像を転写する。そして、記録紙上のトナー像を定着手段4で加熱加圧することにより、記録紙上にフルカラー画像を形成する。
【0026】
画像形成ステーション部2を構成する各部材は、カラー画像情報に含まれるブラック(k)、シアン(c)、マゼンタ(m)およびイエロー(y)の各色の画像情報に対応するために、それぞれ4つずつ設けられる。ここでは、各色に応じて4つずつ設けられる各部材は、各色を表すアルファベットを参照符号の末尾に付して区別し、総称する場合は参照符号のみで表す。
【0027】
画像形成ステーション部2は、トナー像形成部20と1次転写部31を有する。トナー像形成部20は、感光体21と、帯電手段22と、露光ユニット23と、現像手段24と、クリーナ25とを含む。帯電手段22、現像手段24およびクリーナ25は、感光体21の回転方向まわりに、この順序で配置される。
【0028】
感光体21は、OPC(Or ganic Photoconductor;有機光導電体)などの感光性材料を表面に有する略円筒のドラム形状を呈し、露光ユニット23の上方に配設され、駆動手段と制御手段によって、所定方向に回転駆動されるように制御されている。帯電手段22は、感光体21の表面を所定の電位に均一に帯電するためのスコロトロン方式の帯電器であって、感光体21の外周面に近接して配置されている。
【0029】
露光ユニット23は、画像処理部(不図示)から出力された画像データに基づいて、帯電手段22にて帯電される感光体21の表面にレーザ光を照射して露光することにより、感光体21表面における露光部の電位を低下させ、当該表面に画像データに応じた静電潜像を書込み形成する機能を有する。露光ユニット23は、各色に対応する画像形成ステーションに応じて、イエロー、マゼンタ、シアン、またはブラックに対応する画像データが入力されることにより、対応する色に応じた静電潜像を形成するようになっている。露光ユニット23としては、レーザ照射部および反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)の他、EL(Electro Luminescence)やLED(Light Emitting Diode)などの発光素子をアレイ状に並べた書込み装置(たとえば、書込みヘッド)を使用することができる。
【0030】
現像手段24は、現像剤を担持する現像剤潜像体となる現像ローラと、現像剤を収容する現像槽とを備える。ここで、本実施の形態では、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を用いて、露光ユニット23にて感光体21表面に形成された静電潜像を当該トナーにて反転現像してトナー像を形成する。なお、現像剤としては、二成分現像に限定されるものではなく、一成分現像剤も用いることができる。また、現像手段24は、各色に対応したそれぞれのトナーを収容し、トナーの消費量に応じて現像槽にトナーを補給するトナーボトル241を備える。現像ローラは、トナーが感光体21へ移動し得る現像領域へ現像剤を搬送するように構成されている。また、現像槽に収容される現像剤中のトナーは、感光体21に帯電される表面電位と同極性に帯電されている。なお、感光体21に帯電される表面電位の極性および使用するトナーの帯電極性は、ここでは、何れもマイナスとされている。
【0031】
クリーナ25は、中間転写ベルト311へのトナー像転写後に、感光体21の外周面上に残存しているトナーを除去・回収するものであり、ウレタンゴムからなるクリーニングブレードを感光体21表面に当接している。
【0032】
1次転写部31は、トナー像担持ベルトである中間転写ベルト311と、対向ローラ312と、1次転写ローラ313と、本発明に係るベルトクリーニング手段314とを含む。中間転写ベルト311は、2次転写ステーション部32の構成部材の一部材である転写ローラ321と、対向ローラ312とによって張架されてループ状の移動経路を形成する無端状のベルト部材であり、転写ローラ321の回転に伴って回転搬送される。中間転写ベルト311は、各色の画像形成ステーションの感光体21上に形成されたトナー像を、位置を合わせて重ね合わせることにより、4色のトナーからなるトナー像を、表面のトナー像担持領域内に担持する。中間転写ベルト311は、厚さ80μmで半導電性のポリイミドからなり、体積抵抗率が1010Ω・cm、表面抵抗率が1010Ω/□である。
【0033】
また中間転写ベルト311は、ポリイミドなどから成る基体の表面に、ウレタンゴムなどから成る弾性層が形成された2層構造としてもよい。弾性層を有する中間転写ベルト311では、弾性層の表面がトナー像担持領域となり、弾性層が記録紙の凹凸に対応して弾性変形し、トナー像を覆い包むようにして中間転写ベルト311とトナー像とが接触するので、転写性を良好にすることができる。
【0034】
対向ローラ312は、ベルトクリーニング手段314が備えるクリーニングブレードと中間転写ベルト311を介して対向する支持ローラであり、中空円筒状に形成される。対向ローラ312は、外径が30mmで、軸線方向の長さが310mmで、アルミニウム(A5052)からなる厚さ0.8mmの円筒端部に、導電性の樹脂フランジを設け、ボールベアリングを介して回転軸まわりに回転可能に支持されている。対向ローラ312は、中間転写ベルト311の回転に伴って従動回転する。そして、対向ローラ312は、回転軸を介して電気的に接地されている。
【0035】
中間転写ベルト311が、感光体21に接しながら感光体21を通過する際、中間転写ベルト311を介して感光体21に対向配置される1次転写ローラ313から、感光体21表面のトナーの帯電極性とは逆極性(ここでは、正極性)の転写バイアスが印加され、感光体21の表面に形成されたトナー像が中間転写ベルト311上へ転写されて担持される。そして、中間転写ベルト311が回転することにより4色のトナーからなるトナー像は、2次転写ステーション部32へ搬送される。
【0036】
2次転写ステーション部32では、中間転写ベルト311を懸架する転写ローラ321に対して、2次転写ローラ322が中間転写ベルト311を介して対向して配置されている。中間転写ベルト311は、転写ローラ321の回転により回転搬送される。転写ローラ321は、中間転写ベルト311との摩擦力を高めるために、円筒部表面にゴム層を備え、装置本体に設けられる駆動モータ(不図示)に連結され、回転駆動される。そして、2次転写ローラ322は、中間転写ベルト311上に担持されるトナー像の搬送とタイミングを合わせて用紙供給手段5によって供給搬送される記録紙を介して、中間転写ベルト311に圧接する。この2次転写ローラ322と中間転写ベルト311との圧接部分が転写ニップ部となる。中間転写ベルト311上に担持されるトナー像と記録紙とが、タイミングを合わせて転写ニップ部を通過するとき、2次転写ローラ322にはトナーを引きつける正電位(転写電界)が印加され、中間転写ベルト311上のトナー像を記録紙へ転写させる。
【0037】
画像無効化装置70は、詳細は後述するが、2次転写ステーション部32における記録紙へのトナー像転写後に、中間転写ベルト311の外周面上に残留する未転写トナー画像90を無効化処理する。
【0038】
ベルトクリーニング手段314は、2次転写ステーション部32における記録紙へのトナー像転写後に、画像無効化装置70により無効化処理された未転写トナー画像90を除去・回収するものであり、前述したクリーナ25と同様にウレタンゴムからなるクリーニングブレードを中間転写ベルト311に当接している。
【0039】
定着手段4は、2次転写ステーション部32よりも記録紙の搬送方向下流側に設けられ、加熱ローラ41と加圧ローラ42とを含む。加熱ローラ41は図示しない駆動手段によって回転駆動可能に設けられ、記録紙に転写されて担持される未定着トナー像を構成するトナーを加熱して溶融させ、記録紙に定着させる。加熱ローラ41の内部には図示しない加熱手段が設けられる。加熱手段は、加熱ローラ41表面が所定の温度(定着温度)になるように加熱ローラ41を加熱する。加熱手段には、たとえば、ヒータ、ハロゲンランプなどを使用できる。
【0040】
加圧ローラ42は加熱ローラ41に圧接するように設けられ、加圧ローラ42の回転駆動に従動回転可能に支持される。加圧ローラ42は、加熱ローラ41によってトナーが溶融して記録紙に定着する際に、トナーと記録紙とを押圧することによって、トナー像の記録紙への定着を補助する。加熱ローラ41と加圧ローラ42との圧接部が定着ニップ部である。定着手段4によれば、2次転写ステーション部32においてトナー像が転写された記録紙が、加熱ローラ41と加圧ローラ42とによって挟持され、定着ニップ部を通過する際に、トナー像が加熱下に記録紙に押圧されることによって、トナー像が記録紙に定着され、画像が形成される。
【0041】
用紙供給手段5は、用紙給紙トレイ51と、ピックアップローラ52と、レジストローラ53と、搬送ローラ54と、用紙ガイド55とを含む。用紙給紙トレイ51は画像形成装置1の鉛直方向下部に設けられ、記録紙を貯留する容器状部材である。記録紙としては、普通紙、カラーコピー用紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート、葉書などを挙げることができる。また近年、環境、省エネ対策に関し、記録紙としてリサイクル紙が多用されている。このリサイクル紙は、紙繊維が短く、白色性を高める指標となる紙の抵抗値をノンリサイクル紙に近づけるなどの理由により、ノンリサイクル紙よりもタルク、カオリンなどの充填剤を多く含有したものである。このようなリサイクル紙を用いた場合には、後述する本発明における優れた効果である、ブラシローラに付着した異物の除去効率の向上が顕著に認められる。
【0042】
ピックアップローラ52は、用紙給紙トレイ51に貯留される記録紙を1枚ずつ取り出し、レジストローラ53に向けて送給する。レジストローラ53は、互いに圧接するように設けられる一対のローラ部材であり、ピックアップローラ52から送給される記録紙を、中間転写ベルト311に担持されるトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、転写ニップ部に送給されるように、記録紙の搬送経路を規定する用紙ガイド55に送給する。用紙ガイド55に送給された記録紙は、互いに圧接するように設けられる一対のローラ部材である搬送ローラ54に搬送され、転写ニップ部に搬送される。
【0043】
排紙手段6は、排出ローラ61を含む。排出ローラ61は、用紙搬送方向において定着手段4における定着ニップ部よりも下流側に設けられ、定着手段4によって画像が定着された記録紙を、画像形成装置1の鉛直方向上面に設けられる排出トレイに排出する。排出トレイは、画像が定着された記録紙を貯留する。
【0044】
図3は、本発明の第1実施形態である画像無効化装置70の構成を示す図である。画像無効化装置70は、中間転写ベルト311の回転方向に関して、2次転写ステーション部32の転写ローラ321よりも下流側で、かつベルトクリーニング手段314よりも上流側に配置され、中間転写ベルト311の外周面上に担持されるトナー像が記録紙10に転写された後に、中間転写ベルト311の外周面上に残留する未転写トナー画像90を無効化処理する装置である。画像無効化装置70は、ブラシローラ71と、電極部材72と、電源73とを含む。
【0045】
ブラシローラ71は、ローラ形状のブラシであり、中空円筒状に形成されてアルミニウム(A5052)から成るブラシ支持円筒部71bの外周面を覆うように、導電性の樹脂材料から成るブラシ71aが密集して設けられている。ブラシローラ71は、外径が30mm(ブラシ支持円筒部71bの外径:20mm)で、軸線方向の長さが310mmで、ブラシ支持円筒部71bに導電性の樹脂フランジを設け、ボールベアリングを介して回転軸まわりに回転可能に支持されている。ブラシローラ71は、中間転写ベルト311の回転に伴って従動回転し、その回転方向は、転写ローラ321の回転方向と逆である。
【0046】
このように構成されたブラシローラ71は、ブラシ71aが中間転写ベルト311の外周面に当接して設けられる。そして、ブラシローラ71が回転されることによって、記録紙10へのトナー像転写後に中間転写ベルト311の外周面上に残留する未転写トナー画像90を、ブラシ71aが摺擦して掻き乱して無効化処理し、未転写トナー画像90を読取れなくする。
【0047】
電極部材72は、ブラシローラ71に対して所定の間隙を有して対向するように配置されている。電極部材72を構成する材料は、ステンレス(SUS)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、真ちゅう、カーボンなどの導電性材料であれば特に限定されないが、本実施の形態ではSUSからなる。また、本実施の形態では、電極部材72は、直方体形状に形成され、ブラシローラ71に対する対向方向Aに対応する寸法Lが20mmで、対向方向Aに直交する方向に対応する寸法Hが10mmである。ここで、対向方向Aとは、電極部材72からブラシローラ71に向かう方向である。そして、電極部材72におけるブラシローラ71の軸線方向に延びる長さは300mmである。また、本実施の形態では、電極部材72とブラシローラ71との間隙の間隙幅Gは、200μmに設定されている。
【0048】
電源73は、電極部材72に所定の周波数および振幅を有する交流電圧を印加する。本実施の形態では、電源73は、周波数が2.2kHzで、振幅が4kVppの正弦波の波形を有する交流電圧を電極部材72に印加し、オフセット電圧は0Vである。電源73は、中間転写ベルト311上に担持されるトナー像が、2次転写ステーション部32において記録紙10に転写された後、中間転写ベルト311に残留した未転写トナー画像90の画像先端が画像無効化装置70から上流側の所定位置に達するタイミングに合わせて電極部材72に対する電圧供給を開始し、未転写トナー画像90の画像後端が画像無効化装置70から下流側の所定位置となったときに電極部材72に対する電圧供給を停止する。
【0049】
画像無効化装置70によれば、ブラシローラ71に対向して配置される電極部材72に所定の周波数および振幅を有する交流電圧が印加されると、電極部材72とブラシローラ71との間隙Gには振動電界が形成され、この振動電界によってブラシローラ71が対向方向Aに振動し、中間転写ベルト311がブラシローラ71と当接する領域において対向方向Aに振動する。中間転写ベルト311が対向方向Aに振動すると、中間転写ベルト311の外周面に残留する未転写トナー画像90は対向方向Aに振動することになり、この振動によって生じる慣性力により、未転写トナー画像90の中間転写ベルト311に対する付着力が低下する。これによって、記録紙10に対する転写処理後に中間転写ベルト311上に残留する未転写トナー画像90を、ブラシローラ71によって摺擦して無効化処理する無効化処理効率に優れ、未転写トナー画像90から印字情報が漏洩することを防止し、高いセキュリティ性を安定して得ることができる。
【0050】
また、紙粉、タルク、カオリンなどの異物は、未転写トナー画像90よりもブラシローラ71に付着しやすい。特に、弾性層を有する中間転写ベルト311では、ブラシローラ71のブラシ71aの先端部が弾性層に食い込みやすく、紙粉、タルク、カオリンなどの異物を中間転写ベルト311の弾性層に押し当て、またはその押圧力によってブラシローラ71に付着する。紙粉、タルク、カオリンなどの異物は、未転写トナー画像90のトナー粒子よりも粒子径が小さいものであり、かつ粘性を有するものであるので、ブラシローラ71のブラシ71a先端部に強固に付着してブラシローラ71の目詰まりの原因となるばかりではなく、中間転写ベルト311の外周面上にフィルミングしてしまうおそれがある。
【0051】
これに対して、本実施形態の画像無効化装置70では、ブラシローラ71が中間転写ベルト311に当接して未転写トナー画像90を無効化処理するとき、電極部材72とブラシローラ71との間隙Gに発生する振動電界によってブラシローラ71が振動するので、ブラシローラ71に付着した紙粉、タルク、カオリンなどの未転写トナー画像90よりも除去しにくい異物を、ブラシローラ71から効率よく除去することができる。
【0052】
また、本実施形態の画像無効化装置70では、電極部材72とブラシローラ71との間隙Gに発生する振動電界によって中間転写ベルト311を非接触で振動させるように構成されているので、電極部材72、ブラシローラ71および中間転写ベルト311のそれぞれにおいて、長期間にわたって振動に起因する摩耗が発生することはない。そのため、長期間にわたって、記録紙10に対する転写処理後に、中間転写ベルト311の外周面上に残留する未転写トナー画像90をブラシローラ71によって無効化処理する無効化処理効率が高い状態で維持され、未転写トナー画像90から印字情報が漏洩することを防止し、高いセキュリティ性を安定して得ることができる。
【0053】
また、球形度の高いトナーから成る未転写トナー画像90が中間転写ベルト311上に残留した場合には、ブラシローラ71の機械的な掻き乱し作用によって効率よく無効化処理するのが困難であるが、本発明の画像無効化装置70においては、中間転写ベルト311が対向方向Aに振動するので、中間転写ベルト311に対する未転写トナー画像90の付着力が低下し、ブラシローラ71によって無効化処理する無効化処理効率が高い状態で維持される。
【0054】
次に、中間転写ベルト311上に残留する未転写トナー画像90を対向方向Aに振動させて中間転写ベルト311に対する付着力を低下させ、ブラシローラ71によって無効化処理する無効化処理効率を向上させるために考慮すべき事項について説明する。
【0055】
電極部材72とブラシローラ71とを電極板とするコンデンサを考えると、電極板間に働く引力Fは下式(1)で表される。
F=(1/2)×Q×E …(1)
[式中、Fは電極板間に働く引力を示し、Qは電荷量を示し、Eは電界の強さを示す。]
【0056】
また電荷量Qは、下式(2)で表される。
Q=(εS/d)V …(2)
[式中、εは真空の比誘電率を示し、Sは対向面積を示し、dは電極間隔を示し、Vは電位差を示す。]
【0057】
式(1)および式(2)に、たとえば、S=300mm×5mm、d=200μm、ε=8.85×10−12(s・A・kg−1・m−3)、V=2kVを代入して電極板間に働く引力Fを算出すると、F=0.66Nとなる。
【0058】
つまり、電極部材72に電源73から交流電圧が印加されると、電極部材72とブラシローラ71との間には前述のような引力が働き、この引力は印加電圧の周波数で繰り返し生じる。これによって、ブラシローラ71が対向方向Aに、引力に対応する振動振幅で、かつ印加電圧の周波数に対応する振動周波数で振動する。そして、ブラシローラ71の振動に伴って、中間転写ベルト311は、ブラシローラ71に当接する領域において対向方向Aに、前記振動振幅および振動周波数で振動する。
【0059】
以上のことより、中間転写ベルト311の振動周波数は、電極部材72に印加される印加電圧の周波数によって調整することができるが、未転写トナー画像90の中間転写ベルト311に対する付着力を低下させて未転写トナー画像90の無効化処理効率を向上させるためには、印加電圧の周波数を所定値以上に調整する必要がある。つまり、前述したように、未転写トナー画像90残留が振動することによって生じる慣性力により、未転写トナー画像90の中間転写ベルト311に対する付着力が低下するが、印加電圧の周波数が低すぎると、未転写トナー画像90に付与される慣性力が小さくなり過ぎて付着力の低下幅が小さく、未転写トナー画像90の無効化処理効率の向上が認められなくなる。そのため、本実施の形態では、電極部材72に印加する印加電圧の周波数は、2.2kHzに設定している。
【0060】
また、電極部材72に印加する印加電圧の周波数は、20kHz以上(たとえば、22kHz)であるのが好ましい。これによって、ブラシローラ71が振動することにより生じる空気振動が、人間の可聴周波数以上となり、動作時の不快感を防止することができる。
【0061】
また、電極部材72とブラシローラ71との間に生じる前記引力に対応する中間転写ベルト311の振動振幅は、式(1)および式(2)から明らかなように、電極部材72およびブラシローラ71を構成する材料の誘電率を高くし、電極部材72とブラシローラ71との対向面積を大きくし、電極部材72に印加する印加電圧を高くし、電極部材72とブラシローラ71との間隙幅を小さくすることによって、振動振幅を大きくすることができる。このように、中間転写ベルト311の振動振幅が大きくなると、中間転写ベルト311に残留する未転写トナー画像90に付与される慣性力が大きくなり、未転写トナー画像90の中間転写ベルト311に対する付着力が低下する。ただし、電極部材72に印加する印加電圧が高すぎる、または、電極部材72とブラシローラ71との間隙幅が小さ過ぎると、気中放電が発生してしまうので好ましくない。
【0062】
また、電源73によって電極部材72に印加する印加電圧を、ブラシローラ71の固有振動数の整数倍となる周波数を有する交流電圧である固有振動電圧とすることによって、ブラシローラ71が共振して大きな振動振幅を得ることができ、未転写トナー画像90の中間転写ベルト311に対する付着力を低下させて、ブラシローラ71によって無効化処理する無効化処理効率を向上させることができる。
【0063】
また、電極部材72のブラシローラ71の軸線方向に延びる梁を考える場合、その曲げ剛性Zは、Z=E×I(Eはヤング率、Iは断面2次モーメントを示す)で表される。
【0064】
ブラシローラ71に対する対向方向Aに対応する寸法Lが20mmで、対向方向Aに直交する方向に対応する寸法Hが10mmである電極部材72では、断面2次モーメントIは、下式(3)で表される。
I=(H×L)/12 …(3)
【0065】
電極部材72の構成材料がステンレスである場合、ステンレスのヤング率E=170GPaであるので、電極部材72の曲げ剛性Zは、Z=E×I=1.1×10N・mとなる。
【0066】
電極部材72のブラシローラ71に対する対向方向Aへの曲げ剛性Zが、ブラシローラ71の半径方向の曲げ剛性よりも高く設定されることによって、電極部材72とブラシローラ71との間隙Gに生じる振動電界による引力が作用したときに、電極部材72の撓みを抑制しながらブラシローラ71を振動させることができる。
【0067】
また、電極部材72が撓む場合には、この撓みによって電極部材72とブラシローラ71との間隙幅が小さくなり、気中放電が発生しやすくなる。電極部材72の曲げ剛性を高めて電極部材72の撓みを抑制することによって、高い電圧を電極部材72に印加しても、電極部材72とブラシローラ71との間隙幅が小さくなり過ぎるのを防止して、ブラシローラ71を大きく振動させて、中間転写ベルト311に大きな振動振幅の振動を付与することができる。
【0068】
また、電源73が前述した固有振動電圧を電極部材72に印加したときに、ブラシローラ71に生じる振動モードでの振動の腹部に対応する中間転写ベルト311の部分に、ブラシローラ71が当接して未転写トナー画像90を掻き乱して無効化処理するように構成されるのが好ましい。ブラシローラ71に生じる振動モードでの振動の腹部に対応する中間転写ベルト311の部分は、大きな振動振幅の振動が付与されることになる。そのため、中間転写ベルト311上の未転写トナー画像90を大きな振動振幅で振動させることができ、未転写トナー画像90に働く慣性力が大きくなって、中間転写ベルト311に対する未転写トナー画像90の付着力を低下させることができる。
【0069】
具体的には、図4を用いて以下に説明する。図4は、ブラシローラ71の振動モードを説明する図である。電極部材72に、ブラシローラ71の固有振動数の1倍である基本固有振動数を有する交流電圧が印加された場合、ブラシローラ71の振動モードは、図4(a)に示すように、一次振動モード(n=2)となる。このとき、振動の腹に当たる部分である腹部11における振幅が最大である。また、図4(b)に示す二次振動モード(n=3)、図4(c)に示す三次振動モード(n=4)においても、振動の腹部11における振幅が最大である。ブラシローラ71の振動の腹部11に対応する中間転写ベルト311の部分に、ブラシローラ71が当接するようにすればよい。
【0070】
図5は、本発明の第2実施形態である画像無効化装置80の構成を示す図である。画像無効化装置80は、画像無効化装置70に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。画像無効化装置80において特徴的な構成は、電極部材72のブラシローラ71に対向する部分に、絶縁材料からなるコート層81が設けられている点である。画像無効化装置80は、電極部材72にコート層81が設けられていること以外は、画像無効化装置70と同様に構成されている。
【0071】
コート層81を構成する材料としては、たとえば、チタン酸バリウム(比誘電率;1200)やチタン酸ストロンチウム(比誘電率;332)、酸化チタン(比誘電率;100)の様な誘電率が高く、絶縁性の材料が望ましい。このように、絶縁材料からなるコート層81が電極部材72の表面に設けられることによって、ブラシローラ71に対向する部分が導電体で構成されている場合に比べて、電極部材72に高い電圧を印加しても、気中放電の発生を防止することができる。そのため、画像無効化装置80の電極部材72に印加する交流電圧は、画像無効化装置70の電極部材72に印加する電圧よりも高い電圧である、空気中のパッシェンの放電電圧よりも高く設定している。このようにして、ブラシローラ71と電極部材72との間隙に大きな振動電界を発生させることができる。
【0072】
また、絶縁材料からなるコート層81は誘電率が高いので、ブラシローラ71と電極部材72との間隙に、さらに大きな振動電界を発生させることができる。そのため、ブラシローラ71を大きく振動させて、中間転写ベルト311に大きな振動を付与することができる。したがって、未転写トナー画像90と、中間転写ベルト311との付着力を低下させることができ、記録紙に対する転写処理後に、中間転写ベルト311上に残留する未転写トナー画像90を無効化処理する無効化処理効率に優れ、未転写トナー画像90から印字情報が漏洩することを防止し、高いセキュリティ性を安定して得ることができる。
【0073】
以上のような本実施の形態は、発明の例示に過ぎず、発明の範囲内において構成を変更することができる。たとえば、中間転写ベルトに残留する未転写トナー画像を無効化処理するときに中間転写ベルトを振動させる構成について、説明した。しかしながら本発明は、これに限定するものではなく、たとえば、感光体ベルトから中間転写ベルトにトナー像を転写させて、中間転写ベルト上に転写されるトナー像を記録紙に転写させて画像を形成するように構成される画像形成装置において、感光体ベルトおよび中間転写ベルトを振動させて未転写トナー画像を無効化処理する構成、感光体ベルトに担持されるトナー像を直接記録紙に転写させて画像を形成するように構成される画像形成装置において、感光体ベルトを振動させて未転写トナー画像を無効化処理する構成も、本発明の範囲内である。
【0074】
また、中間転写ベルトの外周面にブラシローラを当接させて、中間転写ベルト上に残留する未転写トナー画像を無効化処理する構成について説明したが、ブラシローラの代わりに、未転写トナー画像を引きつける電界を印加したバイアスローラなどを用いた構成にも、本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 画像形成装置
2 画像形成ステーション部
4 定着手段
5 用紙供給手段
6 排紙手段
20 トナー像形成部
31 1次転写部
32 2次転写ステーション部
70,80 画像無効化装置
71 ブラシローラ
72 電極部材
73 電源
81 コート層
311 中間転写ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の支持ローラによって張架されて回転可能に設けられ、トナー像を担持搬送する無端状のトナー像担持ベルトに対して、トナー像が記録媒体に転写された後にトナー像担持ベルトの外周面上に残留する未転写トナー画像を無効化処理する画像無効化装置であって、
ローラ形状のブラシであり、前記トナー像担持ベルトの外周面に当接して設けられ、前記トナー像担持ベルトの外周面を摺擦することによって未転写トナー画像を無効化処理するブラシローラと、
前記ブラシローラに対して、所定の間隙を有して対向する電極部材と、
前記電極部材に、所定の周波数を有する交流電圧を印加する電源とを含み、
前記ブラシローラが前記トナー像担持ベルトの外周面に当接して未転写トナー画像を無効化処理するとき、前記電源が前記電極部材に交流電圧を印加して、前記ブラシローラを振動させることで、前記トナー像担持ベルトを振動させるように構成されることを特徴とする画像無効化装置。
【請求項2】
前記電極部材は、前記ブラシローラと対向する表面に、絶縁材料からなるコート層が設けられることを特徴とする請求項1に記載の画像無効化装置。
【請求項3】
前記電極部材の前記ブラシローラに対する対向方向への曲げ剛性が、前記ブラシローラの半径方向の曲げ剛性よりも高いことを特徴とする請求項1または2に記載の画像無効化装置。
【請求項4】
前記電源が前記電極部材に印加する交流電圧の周波数は、20kHz以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の画像無効化装置。
【請求項5】
静電潜像が形成される感光体と、
前記感光体表面の静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
複数の支持ローラによって張架されて回転可能に設けられ、トナー像を担持搬送する無端状のトナー像担持ベルトと、
前記トナー像担持ベルトの外周面上に担持されるトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
トナー像が記録媒体に転写された後に前記トナー像担持ベルトの外周面上に残留する未転写トナー画像を無効化処理する無効化手段とを含む画像形成装置であって、
前記無効化手段は、請求項1〜4のいずれか1つに記載の画像無効化装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置を用いて、記録媒体上に画像を形成させることを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−59281(P2011−59281A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207527(P2009−207527)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】