説明

画像生成装置、画像生成方法およびプログラム

【課題】3次元データから診断に適した断層面画像を生成する技術を提供する。
【解決手段】X線CT撮影で得られた被写体の3次元データから断層面画像を生成する画像生成装置であって、前記被写体に対する視線方向を設定する視線方向設定部と、前記断層面画像を生成するために前記3次元データが表現する3次元領域から取得する画像生成用スライスの厚さ、および、前記画像生成用スライスを取得する間隔の少なくとも一方を個別に設定可能とするスライス条件設定部と、前記スライス条件設定部により設定された条件に基づいて、前記3次元領域から取得される複数の前記画像生成用スライスに含まれる前記3次元データを、それぞれ合成することによって、前記視線方向に沿う複数のスライス画像を前記断層面画像として生成する画像生成部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元データから断層面の画像を生成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばX線CT撮影では、X線の投影データを収集して得られる3次元データ(ボリュームデータ)を元に、被写体の断面を画像化した断層面画像が生成される。このような被写体の3次元データには、3次元に配列されたボクセルごとにボクセル値が記録されている。
【0003】
3次元データから、断層面画像を生成する技術としては、たとえば特許文献1に記載されている。具体的に、特許文献1では、超音波プローブによって収集されたボリュームデータから、所定の視線方向に沿って複数のスライスを生成し、該複数のスライスから画像(断層面画像)が生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−61956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記技術では、ボリュームデータから、隙間なくスライスを切り出している。常にスライスの厚さがスライス間の間隔と一致している。そのため、スライス間隔を小さくすれば、目的部位の画像を捕らえやすくなるものの、スライスの厚さが小さいために、画像中のノイズが大きくなってしまう。また、スライス間隔を大きくすれば、画像のノイズは低減されるものの、スライスの厚さが大きくなるため、目的部位の画像がぼやけるおそれがある。このように従来の技術では、画像生成の自由度が低いため、診断に適した画像を得ることが困難である。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、3次元データから診断に適した断層面画像を生成する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、第1の態様は、X線CT撮影で得られた被写体の3次元データから断層面画像を生成する画像生成装置であって、前記被写体に対する視線方向を設定する視線方向設定部と、前記断層面画像を生成するために前記3次元データが表現する3次元領域から取得する画像生成用スライスの厚さ、および、前記画像生成用スライスを取得する間隔の少なくとも一方を個別に設定可能とするスライス条件設定部と、前記スライス条件設定部により設定された条件に基づいて、前記3次元領域から取得される複数の前記画像生成用スライスに含まれる前記3次元データを、それぞれ合成することによって、前記視線方向に沿う複数のスライス画像を前記断層面画像として生成する画像生成部とを備える。
【0008】
また、第2の態様は、第1の態様に係る画像生成装置において、前記画像生成部が、前記視線方向に直交して規則的に並ぶ複数の単位的スライスを取得し、前記画像生成用スライスに含まれる複数の単位的スライスに対応する3次元データを合成することによって、前記画像生成用スライス毎に前記スライス画像を生成する。
【0009】
また、第3の態様は、第1または第2の態様に係る画像生成装置において、前記スライス条件設定部は、前記画像生成用スライスの厚さを、前記画像生成用スライスを取得する間隔よりも大きい値に設定する。
【0010】
また、第4の態様は、第1から第3までの態様のいずれか1態様に係る画像生成装置において、前記3次元領域における特定の位置を関心位置に設定する関心位置設定部と、前記画像生成部が生成した複数のスライス画像のうち、前記関心位置に対応するスライス画像を表示部に表示する表示制御部とをさらに備える。
【0011】
また、第5の態様は、第1から第4までの態様のいずれか1態様に係る画像生成装置において、前記画像生成部が、前記画像生成用スライスの領域内に含まれる3次元データを、前記視線方向に沿って加算平均または相乗平均することによって、前記断層面画像を生成する。
【0012】
また、第6の態様は、第2の態様に係る画像生成装置において、前記画像生成部が、前記画像生成用スライスに含まれる前記複数の単位的スライスのうち、中央に位置する単位的スライスに対応する3次元データを他の単位的スライスに対応する3次元データよりも大きく重み付けして合成することにより、前記画像生成用スライスから前記スライス画像を生成する。
【0013】
また、第7の態様は、第2の態様に係る画像生成装置において、前記画像生成部が、前記単位的スライスに対応する3次元データに対してエッジ強調を行った後の画像から、前記スライス画像を生成する。
【0014】
また、第8の態様は、第4の態様に係る画像生成装置において、前記表示制御部が、前記関心位置について、前記視線方向に直交する前記画像生成用スライスから前記画像生成部が生成した前記スライス画像を、第1断層面画像として表示部に表示するとともに、前記視線方向に直交し、かつ相互に直交する2方向のそれぞれに対して直交する画像生成用スライスのそれぞれから、前記画像生成部が生成したスライス画像のそれぞれを、第2断層面画像、第3断層面画像として表示部に表示する。
【0015】
また、第9の態様は、第8の態様に係る画像生成装置において、前記視線方向と前記2方向とが、それぞれx方向、y方向、z方向の3方向であり、前記画像生成部は、前記x方向、前記y方向、前記z方向のそれぞれの方向に沿って取得される前記画像生成用スライスから、前記第1断層面画像、前記第2断層面画像、前記第3断層面画像を生成する。
【0016】
また、第10の態様は、第9の態様に係る画像生成装置において、前記画像生成部が、前記x方向、y方向、z方向のそれぞれに直交し、かつ互いに直交する断層面を前記第1断層面画像、前記第2断層面画像、前記第3断層面画像とし、それぞれをX断層面画像、Y断層面画像、Z断層面画像として生成し、表示される前記X断層面画像、Y断層面画像、Z断層面画像が共通の原点で交差する。
【0017】
また、第11の態様は、第8から第10までの態様のいずれか1態様に係る画像生成装置において、前記関心位置設定部は、前記第1断層面画像、前記第2断層面画像、前記第3断層面画像のそれぞれを、他の断層面の位置を示す第1指標と共に前記表示部に表示させるとともに、前記第1断層面画像、第2断層面画像、第3断層面画像に対して前記第1指標を相対的に移動させる第1指標移動操作に基づいて、新たな前記関心位置を設定する。
【0018】
また、第12の態様は、第11の態様に係る画像生成装置において、前記視線方向設定部が、前記表示部に表示された前記第1断層面画像、第2断層面画像、第3断層面画像に対して前記第1指標を相対的に回転させる第1指標回転操作に基づいて、新たな前記視線方向を設定する。
【0019】
また、第13の態様は、第8から第12までの態様のいずれか1態様に係る画像生成装置において、前記表示制御部は、前記3次元領域を立体的に表現する3次元画像を前記表示部に表示させるとともに、前記視線方向設定部が、前記3次元画像に対して入力される、前記3次元領域に対する前記視線方向を変更する視線方向変更操作に基づいて、新たな前記視線方向を設定する。
【0020】
また、第14の態様は、第13の態様に係る画像生成装置において、前記視線方向設定部は、前記第1断層面画像、前記第2断層面画像、前記第3断層面画像のうちの少なくともいずれかについての断層面の位置を示す第2指標を、前記3次元画像とともに前記表示部に表示するとともに、前記3次元画像に対して前記第2指標を相対的に回転させる指標回転操作に基づいて、新たな視線方向を設定する。
【0021】
また、第15の態様は、第1から第14までの態様のいずれか1態様に係る画像生成装置において、前記視線方向設定部が、前記被写体に関する形状データから、特定の位置における前記被写体の形状に対する接線を抽出し、前記接線の延びる方向を前記視線方向に設定する。
【0022】
また、第16の態様は、第1から第14までの態様のいずれか1態様に係る画像生成装置において、前記被写体が歯列弓を含み、前記視線方向設定部が、前記歯列弓を頬側から舌側または舌側から頬側に向かって正視する正視方向を決定する歯列弓正視情報に従い、前記正視方向を前記視線方向として設定する。
【0023】
また、第17の態様は、第16の態様に係る画像生成装置において、前記視線方向設定部が、前記歯列弓の形状を認識するとともに、認識された前記歯列弓の形状に対して決定される前記正視方向を、前記視線方向に設定する。
【0024】
また、第18の態様は、第13または第14の態様に係る画像生成装置において、前記視線方向設定部が、前記視線方向を示す第3指標を前記3次元画像とともに前記表示部に表示させる。
【0025】
また、第19の態様は、X線CT撮影で得られた被写体の3次元データから断層面画像を生成する画像生成方法であって、(a)前記被写体に対する視線方向を設定する工程と、(b)前記断層面画像を生成するために前記3次元データが表現する3次元領域から取得する画像生成用スライスの厚さ、および、前記画像生成用スライスを取得する間隔の少なくとも一方を個別に設定する工程と、(c)前記(b)工程で設定された条件に基づいて、前記スライス条件設定部により設定された条件に基づいて、前記3次元領域から取得される複数の前記画像生成用スライスに含まれる前記3次元データをそれぞれ合成することによって、前記視線方向に沿う複数のスライス画像を前記断層面画像として生成する工程とを含む。
【0026】
また、第20の態様は、第19の態様に係る画像生成方法において、前記(c)工程が、前記視線方向に直交して規則的に並ぶ複数の単位的スライスを取得し、前記画像生成用スライスに含まれる複数の単位的スライスに対応する3次元データを合成することによって、前記画像生成用スライス毎に前記スライス画像を生成する工程である。
【0027】
また、第21の態様は、第19または第20の態様に係る画像生成方法において、前記(b)工程が、前記画像生成用スライスの厚さを、前記画像生成用スライスを取得する間隔よりも大きい値とする工程である。
【0028】
また、第22の態様は、第19から第21までの態様のいずれか1態様に係る画像生成方法において、(d)前記3次元領域における特定の位置を関心位置に設定する工程と、(e)前記(c)工程で生成した複数のスライス画像のうち、前記関心位置に対応するスライス画像を表示する工程とをさらに含む。
【0029】
また、第23の態様は、第19から第22までの態様のいずれか1態様に係る画像生成方法において、前記(c)工程が、前記画像生成用スライスの領域内に含まれる3次元データを、前記視線方向に沿って加算平均または相乗平均することによって、前記断層面画像を生成する工程である。
【0030】
また、第24の態様は、第20の態様に係る画像生成方法において、前記(c)工程が、前記画像生成用スライスに含まれる前記複数の単位的スライスのうち、中央に位置する単位的スライスに対応する3次元データを他の単位的スライスに対応する3次元データよりも大きく重み付けして合成することにより、前記画像生成用スライスから前記スライス画像を生成する工程である。
【0031】
また、第25の態様は、第19の態様に係る画像生成方法において、前記(c)工程が、前記単位的スライスに対応する3次元データに対してエッジ強調を行った後の画像から、前記スライス画像を生成する工程である。
【0032】
また、第26の態様は、第22の態様に係る画像生成方法において、前記(c)工程が、前記関心位置について、前記視線方向に直交する前記画像生成用スライスから前記(c)工程において生成された前記スライス画像を、第1断層面画像として表示するとともに、前記視線方向に直交し、かつ相互に直交する2方向のそれぞれに対して直交する画像生成用スライスのそれぞれから、前記(c)工程で生成したスライス画像のそれぞれを、第2断層面画像、第3断層面画像として表示する工程である。
【0033】
また、第27の態様は、第26の態様に係る画像生成方法において、前記視線方向と前記2方向とが、それぞれx方向、y方向、z方向の3方向であり、前記(c)工程は、前記x方向、前記y方向、前記z方向のそれぞれの方向に沿って取得される前記画像生成用スライスから、前記第1断層面画像、前記第2断層面画像、前記第3断層面画像を生成する工程である。
【0034】
また、第28の態様は、第27の態様に係る画像生成方法において、前記(c)工程が、前記第1断層面画像、前記第2断層面画像、前記第3断層面画像のそれぞれをX断層面画像、Y断層面画像、Z断層面画像として生成し、表示される前記X断層面画像、Y断層面画像、Z断層面画像を共通の原点で交差させる工程である。
【0035】
また、第29の態様は、第26から第28までの態様のいずれか1態様に係る画像生成方法において、前記(d)工程は、前記第1断層面画像、前記第2断層面画像、前記第3断層面画像のそれぞれを、他の断層面の位置を示す第1指標と共に表示させるとともに、前記第1断層面画像、第2断層面画像、第3断層面画像に対して前記第1指標を相対的に移動させる第1指標移動操作に基づいて、新たな前記関心位置を設定する工程である。
【0036】
また、第30の態様は、第29の態様に係る画像生成方法において、前記(a)工程が、表示された前記第1断層面画像、第2断層面画像、第3断層面画像に対して前記第1指標を相対的に回転させる第1指標回転操作に基づいて、新たな前記視線方向を設定する工程である。
【0037】
また、第31の態様は、第26から第30までの態様のいずれか1態様に係る画像生成方法において、前記(e)工程は、前記3次元領域を立体的に表現する3次元画像を表示させる工程であるとともに、前記(a)工程が、前記3次元画像に対して入力される、前記3次元領域に対する前記視線方向を変更する視線方向変更操作に基づいて、新たな前記視線方向を設定する工程である。
【0038】
また、第32の態様は、第31の態様に係る画像生成方法において、前記(a)工程が、前記第1断層面画像、前記第2断層面画像、前記第3断層面画像のうちの少なくともいずれかについての断層面の位置を示す第2指標を、前記3次元画像とともに表示する工程と、前記3次元画像に対して前記第2指標を相対的に回転させる指標回転操作に基づいて、新たな視線方向を設定する工程とを含む。
【0039】
また、第33の態様は、第19から第32までの態様のいずれか1態様に係る画像生成方法において、前記(a)工程が前記被写体に関する形状データから、特定の位置における前記被写体の形状に対する接線を抽出し、前記接線の延びる方向を前記視線方向に設定する工程である。
【0040】
また、第34の態様は、第19から第32までの態様のいずれか1態様に係る画像生成方法において、前記被写体が歯列弓を含み、前記(a)工程が、前記歯列弓を頬側から舌側または舌側から頬側に向かって正視する正視方向を決定する歯列弓正視情報に従い、前記正視方向を前記視線方向として設定する工程である。
【0041】
また、第35の態様は、第34の態様に係る画像生成方法において、前記(a)工程が、前記歯列弓の形状を認識する工程を含み、認識された前記歯列弓の形状に対して決定される前記正視方向を、前記視線方向として設定する工程である。
【0042】
また、第36の態様は、第31または第32の態様に係る画像生成方法において、前記(a)工程が、前記視線方向を示す第3指標を前記3次元画像とともに表示させる工程である。
【0043】
また、第37の態様は、コンピューターが読取可能なプログラムであって、前記コンピューターのCPUがメモリ上で前記プログラムを実行することによって、前記コンピューターを、第1から第18までのいずれか1の態様に係る画像生成装置として機能させる。
【発明の効果】
【0044】
第1の態様に係る画像生成装置によれば、断層面画像を生成するために取得する画像生成用スライスの厚さと、画像生成用スライスの間隔とを、それぞれ個別に設定することができるため、場合に応じて適宜設定を調整することができ、自由度を持って診断に適した断層面画像を生成することが可能になる。
【0045】
特に第2の態様に係る画像生成装置によれば、前記視線方向に直交ないし略直交する複数の単位的スライスを生成する。この単位的スライスは、例えば微細な間隔で複数生成されるので、前記スライスの厚さと間隔が、単位的スライスの選択によって簡易に設定できる。
【0046】
特に第3の態様に係る画像生成装置によれば、3次元領域の断層面の断層面画像が、その断層面周辺の領域を互いに共有する複数の単位的スライスから生成される。すなわち、目的部位に比較的近接した複数のスライス画像から生成されることになるため、断層面の構造的な特徴がより反映された高精度な断層面画像を生成することができる。さらに具体的に述べると、目的部位に比較的近接した複数の単位的スライスの3次元データから生成されることになるため、細かいピッチで目的部位の画像を脱落させることなく並んだ高精度な断層面画像を生成することができる。また、複数の単位的スライスから一つの画像を生成することで、ノイズが低減された鮮明な高画質の断層面画像を取得できる。
【0047】
特に第4の態様に係る画像生成装置によれば、関心位置に関する断層面画像を表示部に表示することにより、オペレータが関心位置の断層面画像を視覚的に把握することができる。
【0048】
特に第5の態様に係る画像生成装置によれば、断層面画像中のノイズを低減することができる。
【0049】
特に第6の態様に係る画像生成装置によれば、中央の単位的スライスの3次元データの重み付けを大きくして断層面画像を生成することにより、各位置の特徴をより反映させた断層面画像を生成することができる。
【0050】
特に第7の態様に係る画像生成装置によれば、エッジが強調された断層面画像を取得することができる。
【0051】
特に第8態様に係る画像生成装置によれば、関心位置に関して、オペレータが相互に直交する3方向から見た断層面画像を視覚的に把握できる。
【0052】
特に第9の態様に係る画像生成装置によれば、関心位置に関して、オペレータが相互に直交するx方向、y方向、z方向の3方向から見た断層面画像を視覚的に把握できる。
【0053】
特に第11の態様に係る画像生成装置によれば、オペレータが特定の断層面画像を見ながら、その他の方向についての断層面の位置を変更しつつ、断層面画像を表示できるため、目的の位置を探しやすくなり、また、関心部分の周辺の様子を把握しやすくなる。
【0054】
特に第12の態様に係る画像生成装置によれば、オペレータが特定の断層面画像に対して第1指標を相対的に回転させることで、新たな視線方向が設定され、そして新たな断層面画像が生成される。したがって、オペレータが特定の位置周辺の様子を把握しやすくなる。
【0055】
特に第13の態様に係る画像生成装置によれば、立体的な3次元画像に対して視線方向を設定できるため、視線方向を直感的に設定しやすくなる。
【0056】
特に第15の態様に係る画像生成装置によれば、接線の延びる方向を視線方向に設定するため、視線方向についての断層面画像を生成する際に、接線に沿って画像生成用スライスを取得することとなる。接線に沿って画像生成用スライスを取得するため、各スライスから生成されるスライス画像において、特に接線が設定される部分で、3次元領域の断面形状の位置関係が一致しやすくなる。そのため、断層面画像の画質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】第1実施形態に係る画像表示システムの全体構成を例示する図である。
【図2】画像表示システムの構成を示すブロック図である。
【図3】CPUがプログラムに従って動作することにより画像生成装置で実現される機能構成を他の構成とともに示す図である。
【図4】X線CT撮影装置の構成を概念的に示す図である。
【図5】3次元データが表現する被写体の3次元領域の一例を示す図である。
【図6】画像表示システムの画像表示の動作の流れ図である。
【図7】3次元領域に対して視線方向が設定される様子を示す図である。
【図8】図6に示すステップS2における、画像生成装置の断層面画像の生成動作の詳細な流れ図である。
【図9】3次元領域から取得される単位的スライスを概念的に示す図である。
【図10】単位的スライスからスライス画像を生成する様子を示す図である。
【図11】図10(a)に示す単位的スライスが設定されていた3次元データの領域の一部から、スライス画像を生成する様子を示す模式図である。
【図12】単位的スライスが、ボクセルデータの存在する所以外を通るように設定された場合の、ボクセルデータの取得方法を説明するための図である。
【図13】画像生成用スライスの厚さαおよび間隔βのその他の設定例を説明するための図である。
【図14】画像生成用スライスの厚さαおよび間隔βのその他の設定例を説明するための図である。
【図15】図8に示すステップS26における、画像生成装置のスライス画像の合成動作の詳細な流れ図である。
【図16】図6に示すステップS4において、表示装置3に表示される画面の一例を示す図である。
【図17】関心位置を変更する操作を説明するための図である。
【図18】視線方向の変更を説明するための図である。
【図19】視線方向の変更を説明するための図である。
【図20】視線方向の変更を説明するための図である。
【図21】視線方向が変更された後の3次元領域を示す図である。
【図22】視線方向の変更後において、新たに取得される複数の画像生成用スライスのそれぞれからスライス画像を生成する過程を概念的に示す図である。
【図23】新たな断層面画像およびボリュームレンダリング画像が表示された表示装置3の画面を示す図である。
【図24】視線方向変更後に、関心位置を変更する処理を行う様子を示す図である。
【図25】xyz直交座標系をXYZ直交座標系に対して設定する様子を示す図である。
【図26】xyz直交座標系のx軸、y軸、z軸のそれぞれについて図16で示したような断層面画像Ix,Iy,Izに対応するスライス画像を切り出した様子を示す。
【図27】第2実施形態に係る画像生成装置の動作を示す流れ図である。
【図28】円筒状の被写体について、視線方向を決定する様子を説明するための図である。
【図29】球面状の被写体について、視線方向を決定する様子を説明するための図である。
【図30】第3実施形態における画像生成装置の動作を示す流れ図である。
【図31】歯列弓に対して、視線方向を設定する様子を示す図である。
【図32】第4実施形態における画像生成装置の動作を示す流れ図である。
【図33】歯列弓に対して、視線方向を設定する様子を示す図である。
【図34】第5実施形態におけるボリュームレンダリング画像を示す図である。
【図35】変形例に係るボリュームレンダリング画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下、実施形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0059】
<1.第1実施形態>
<1.1.画像表示システム1の構成>
図1は、第1実施形態に係る画像表示システム1の全体構成を例示する図である。また図2は、画像表示システム1の構成を示すブロック図である。
【0060】
図1に示すように、画像表示システム1は、画像生成装置2、表示装置3、入力装置4、X線CT撮影装置5を備えている。画像表示システム1では、X線CT撮影装置5で被写体をX線で撮影して、再構成することにより取得される3次元データ(ボリュームデータ)を、画像生成装置2で処理し、表示装置3(表示部)において断層面の画像などを表示するように構成されている。
【0061】
図2に示すように、画像生成装置2は、CPU21、RAM22、ROM23、各種データを保存する固定ディスク24、CDなどの可搬性メディア9からデータを読み込む読取部25をバスライン100に接続した一般的なコンピューターの構成を有する。またバスライン100には、画像などを表示する表示装置3、オペレータからの入力を受け付けるキーボードやマウスなどを含む入力装置4が、不図示のインターフェースを介する等して接続されている。
【0062】
さらにバスライン100には、伝送ケーブルのインターフェースを介してX線CT撮影装置5が接続されている。なおX線CT撮影装置5から送られてきた各種データは、CPU21の制御の下、固定ディスク24に記憶することが可能である。
【0063】
図2に示すプログラムPGは、固定ディスク24に記憶されている。画像生成装置2の各種機能は、CPU21がプログラムPGに従って動作することにより実現される。
【0064】
図3は、CPU21がプログラムPGに従って動作することにより画像生成装置2で実現される機能構成を他の構成とともに示す図である。図3で示す構成のうち、撮影制御部211、3次元データ取得部212、視線方向設定部213、スライス条件設定部214、関心位置設定部215、画像生成部216、表示制御部217が、CPU21等により実現される機能を示している。
【0065】
{撮影制御部211}
撮影制御部211は、X線CT撮影装置5に対して制御信号を送信することによって、撮影の開始や停止などを制御する。ここで、X線CT撮影装置5の構成について図4を参照しつつ説明する。
【0066】
図4は、X線CT撮影装置5の構成を概念的に示す図である。X線CT撮影装置5は、X線の束で構成される、例えば四角錐状のコーンビームB1を被写体Q1に向けて照射するX線発生部51と、被写体Q1を透過して到達するX線を検出するX線検出部52と、被写体Q1を挟んでX線発生部51とX線検出部52とを対向するように吊下げ保持するアーム53を備えている。
【0067】
アーム53の中央部には、旋回軸54の一端が取り付けられている。この旋回軸54の一端部分には、アーム53に設けられた旋回駆動機構55が接続されている。旋回駆動機構55は、旋回軸54とモータ(不図示)に巻回されたベルト(不図示)を備えており、旋回駆動機構55のモータの駆動により、旋回軸54を中心にしてアーム53が旋回する。旋回軸54は、図示しない軸受けを介して、アーム53に接続されており、アーム53が旋回する際には、旋回軸54は回転せずにアーム53のみが回転する。
【0068】
また、旋回軸54の他端は、旋回軸54を水平移動可能に保持する移動機構56に接続されている。移動機構56は、例えばボルトやモータ、ガイド機構などで構成される。移動機構56を駆動することによって、旋回軸54が水平面内で移動し、アーム53を所定範囲内の任意の位置へ移動させることができる。
【0069】
図示しないが、旋回駆動機構55を移動機構56に設けて、旋回駆動機構55が旋回軸54を旋回駆動し、旋回軸54に固定された旋回アーム53が旋回するように構成してもよい。この場合、移動機構56が旋回駆動機構55を旋回軸54と一緒に水平面内で2次元に移動する構成にすることができる。
【0070】
このような構成を備えるX線CT撮影装置5は、コーンビームB1を被写体Q1の撮影領域M1に照射しながら、旋回軸54まわりにアーム53を旋回させて、撮影領域M1に対するX線の投影データを収集する。そして収集されたデータは、画像生成装置2へ送信される。
【0071】
{3次元データ取得部212}
図3に戻って、3次元データ取得部212は、X線CT撮影装置5から送信される投影データを収集し、この投影データに対して逆投影などの演算処理を行って、撮影領域M1の3次元領域を表現する3次元データ(ボリュームデータ)を取得する。この演算処理は、公知の手法を適用することが可能である。3次元データ取得部212で取得される3次元データは、固定ディスク24に記憶され、後述の画像生成処理に用いられる。
【0072】
図5は、3次元データが表現する撮影領域M1である3次元領域S1の一例を示す図である。3次元データでは、撮影領域M1の3次元領域について、その3次元領域を構成する各点(ボクセル)のデータが記録されている。3次元領域S1に対して、図5に示すように相互に直交するXYZ直交座標系を定義し、3次元領域S1のある点P(X1,Y1,Z1)についてのボクセル値V(X1,Y1,Z1)が決定されるようにする。画像生成装置2は、このように3次元領域S1を表現する3次元データに基づいて、被写体の断面の画像(断層面画像)や、ボリュームレンダリング画像を生成する。
【0073】
なお、3次元領域S1には、被写体Q1の部位が存在しない空間が含まれることもある。例えば、関心領域Oが被写体Q1の表面近くにある場合、X線CT撮影は関心領域Oを中心になされるために、被写体Q1の表面より外部にある、被写体Q1の部位が存在しない空間も撮影対象範囲に含まれ、3次元領域S1に、この被写体Q1の部位が存在しない空間が含まれる場合が生じる。
【0074】
{視線方向設定部213}
図3に戻って、視線方向設定部213は、表示装置3に各種画像を表示する際に、被写体Q1の3次元領域に対する視線方向を設定する。この視線方向は、オペレータからの入力装置4を介した操作入力に基づいて設定される。
【0075】
{スライス条件設定部214}
スライス条件設定部214は、断層面画像を生成するために3次元データが表現する3次元領域からスライスを切り出す際の条件を設定する。スライス条件設定部214は、オペレータからの入力装置4を介した操作入力に基づいて、切り出すスライスの厚さと、切り出すスライスの間隔と個別に設定することが可能となっている。画像生成装置2では、各スライスに対応する3次元データのボクセル値を演算処理して2次元平面状の画像にしたスライス画像を生成する。このスライス画像が、断層面画像として表示装置3に表示される。
【0076】
{関心位置設定部215}
関心位置設定部215は、オペレータからの入力装置4を介した操作入力に基づき、3次元領域において、オペレータが断層面を観察したい位置(関心位置)を設定する。画像生成装置2は、3次元領域S1について、関心位置を通るx軸に垂直な断面(x軸断層面Dx)の画像、関心位置を通るy軸に垂直な断面(y軸断層面Dy)の画像、および関心位置を通るz軸に垂直な断面(z軸断層面Dz)の画像を表示装置3に表示する。
【0077】
{画像生成部216}
画像生成部216は、視線方向設定部213、スライス条件設定部214、関心位置設定部215が設定した条件下において、固定ディスク24に保存されている3次元データから、3次元領域の断層面画像、およびボリュームレンダリング画像を生成する。各画像の生成方法については、後述する。
【0078】
{表示制御部217}
表示制御部217は、画像生成部216が生成した断層面画像やボリュームレンダリング画像を表示装置3の画面に表示する。また、表示制御部217は、視線方向設定部213、スライス条件設定部214、関心位置設定部215が設定する値を、オペレータが入力装置4を介して画像生成装置2に入力するために、表示装置3に指標としてカーソル(例えば、後述するxカーソルCx)などのパーツを画面に表示させる機能も有している。
【0079】
<1.2.画像表示システム1の動作>
図6は、画像表示システム1の画像表示の動作の流れ図である。なお、以下に説明する画像表示システム1の各動作は、特に断らない限り、プログラムPGを実行する画像生成装置2のCPU21によって制御されるものとする。また、画像表示システム1は、オペレータからの終了指示の有無を常時監視し、終了指示があった場合には、画像表示の動作を適宜終了するものとする。
【0080】
画像表示システム1が画像表示動作を開始すると、視線方向設定部213は、視線方向を初期設定の方向に設定するとともに、関心位置設定部215は、3次元領域内の所定の初期設定の位置に設定する(ステップS1)。
【0081】
図7は、3次元領域S1に対して視線方向が設定される様子を示す図である。図7に示す例では、視線方向設定部213は、初期値として、3次元領域S1に対して定義されたXYZ直交座標系(図5参照)のうちのX軸上の任意の点を視点P0とし、かつ、X軸方向を視線方向に設定する。また、関心位置設定部215は、初期値として、3次元領域S1の中心を関心位置P1に設定する。もちろん、視線方向や関心位置の初期値は、このような物に限られるものではなく、任意に設定し得る。
【0082】
視線方向が設定されると、画像生成装置2は、図7に示すように、関心位置P1を通る視線方向に平行な直線をx軸とするとともに、Y軸およびZ軸をy軸およびz軸として、新たなxyz直交座標系を3次元領域S1に対して設定する。このxyz直交座標系は、表示用の座標系として用いられる。
【0083】
図6に戻って、視線方向および関心位置が設定され、xyz直交座標系が設定されると、画像生成部216は、断層面画像の生成を実行する(ステップS2)。詳細は後述するが、画像生成装置2では、断層面画像を生成するために、3次元領域S1から、xyz直交座標系のx軸、y軸、z軸のそれぞれに垂直な平面によって、所定の厚さを持つスライスが所定間隔ごとに切り出される。そしてこの3方向に対して垂直に切り出されたスライスから、関心位置P1における3次元領域の断層面の画像(断層面画像Ix,Iy,Iz)が生成される。
【0084】
断層面画像の生成が終了すると、画像生成部216は、3次元データを立体的に可視化し、3次元領域S1を立体的に表現した3次元画像であるボリュームレンダリング画像を生成する(ステップS3)。ボリュームレンダリング画像の取得方法としては、従来より提案されているため、詳細は省略するが、例えば3次元領域S1について、視点P0から見て各視線上のボクセル値を加算することによって(レイキャスティング)、ボリュームレンダリング画像IVが生成される。なお、ステップS2とステップS3の動作順序は、適宜入れ替えることが可能である。
【0085】
ボリュームレンダリング画像の生成が完了すると、画像生成装置2は、表示制御部217によって、表示装置3に断層面画像およびボリュームレンダリング画像を表示する(ステップS4)。
【0086】
ステップS4が終了した時点において、画像生成装置2は、表示処理の終了指示があったかどうかを判断する(ステップS5)。表示装置3に表示している画像を変更することがなく、表示を終了する操作入力があった場合には(ステップS5においてYES)、表示処理を終了する。表示処理の終了指示がない場合には(ステップS5においてNO)、ステップS6に進む。
【0087】
断層面画像およびボリュームレンダリング画像を表示すると、画像生成装置2は、関心位置の変更もしくは視線方向の変更があったかどうかを判定する(ステップS6)。このステップS6は、具体的には、視線方向設定部213、関心位置設定部215が、オペレータからの入力装置4を介した変更操作入力を受け付けたかどうかで判断される。変更操作入力がない場合には(ステップS6においてNO)、表示終了の指示が無い限り表示制御部217はステップS4の画面の表示を継続して行う。
【0088】
変更の操作入力があった場合(ステップS6においてYES)、視線方向設定部213または関心位置設定部215は、変更操作入力に基づいて、新たな視線方向もしくは新たな関心位置の設定を行う(ステップS7)。例えば視線方向について変更があった場合、視線方向設定部213は、新たな視線方向にxyz直交座標系のx軸を一致させるように、xyz直交座標系を移動させる。また、関心位置の変更があった場合は、変更後の関心位置にxyz直交座標系の原点を一致させるように、xyz直交座標系を移動させる。
【0089】
新たな視線方向もしくは新たな関心位置の設定が完了すると、画像生成装置2は、画像生成部216により、新たな断層面画像の生成(ステップS8)および新たなボリュームレンダリング画像の生成(ステップS9)を実行する。このステップS8とステップS9を実行する順序は、適宜入れ替えることが可能である。
【0090】
新たな断層面画像およびボリュームレンダリング画像の生成が完了すると、画像生成装置2は、表示制御部217により、表示装置3の画面にこれらの画像を表示させる(ステップS10)。そして画像生成装置2は、再び視線方向もしくは関心位置の変更があったかどうかを判定する(ステップS11)。変更の操作入力がなかった場合、画像生成装置2は、オペレータより表示の終了指示があったかどうかを判定する(ステップS12)。画像生成装置2は、終了指示があった場合には画像表示の動作を終了し、終了指示がなかった場合にはステップS10の画像表示を継続して行う。
【0091】
ステップS11において、変更の操作入力があった場合には、画像生成装置2は、ステップS7に戻って、以降の動作を繰り返し実行する。これにより、視線方向または関心位置の変更の操作入力があるごとに、断層面画像およびボリュームレンダリング画像が更新されて表示装置3に表示されることとなる。
【0092】
以上が、画像表示システム1による画像の表示動作の流れについての説明である。次に、上述した画像表示システム1の動作のうち、画像生成装置2の動作の詳細について説明する。
【0093】
<1.2.1.断層面画像の生成動作>
図8は、図6に示すステップS2における、画像生成装置2の断層面画像の生成動作の詳細な流れ図である。画像生成装置2は、ステップS2の断層面画像の生成を開始すると、まず、単位的スライスを準備する(ステップS20)。ここで、単位的スライスとは、3次元領域S1から抽出される、極めて薄い領域であり、その領域の厚さは、例えば3次元データに含まれるボクセル1つ分の厚さに相当するように設定される。なお、単位的スライスが、ボクセル2つ以上の厚さで構成されていてもよい。詳細は後述するが、本実施形態では、複数の単位的スライスを所定の画素演算により合成することで、1枚の断層面画像が生成される。
【0094】
単位的スライスの準備が完了すると、画像生成装置2は、スライス条件設定部214によって、画像生成用スライスの厚さαを設定する(ステップS21)。この画像生成用スライスは、上述の1枚の断層面画像を生成するために用いる単位的スライスの集合である。すなわち、ここで設定された厚さαの範囲内に含まれる単位的スライスに基づいて、断層面画像の生成が行われる。
【0095】
また、スライス条件設定部214は、3次元領域S1から1つの画像生成用スライスを生成する間隔βを設定する(ステップS22)。このステップS21とステップS22は、具体的には、オペレータが入力装置4を介して数値入力などの所定の操作入力を実行し、スライス条件設定部214がこの操作入力を受け付けることによって厚さαと間隔βとがそれぞれ設定される。なお、厚さαと間隔βのうち、どちらか一方が、あらかじめ定められた値として固定されていてもよい。
【0096】
さらにスライス条件設定部214は、上記スライスの厚さαと間隔βとに基づいて画像生成用スライスを切り出し、画像生成用に取得する画像生成用スライスの取得範囲Hを設定する(ステップS23)。なお、枚数に余裕を持たせて多めに切り出して準備した画像生成用スライスの中から必要枚数を取得してもよいし、一定の範囲で取得できる枚数のみの画像生成用スライスを取得してもよい。また、3次元領域S1の全域のうちの限定的な領域を取得範囲Hとして設定してもよいが、3次元領域S1の全域が自動的に取得範囲Hとなるように設定しておいてもよい。
【0097】
そして、画像生成部216によって、視線方向に連続する複数の画像生成用スライス毎にスライス画像が生成される(ステップS24)。このようにして生成されたスライス画像は、記憶部(固定ディスク24やRAM22等)に保存され、断層面画像として表示装置3に表示されることとなる。
【0098】
図9は、3次元領域S1から取得される単位的スライスOSxを概念的に示す図である。図9に示すように、3次元領域S1から、ステップS1にて設定された視線方向(x軸)に沿って、微小な間隔ごとに並ぶ複数の単位的スライスOSx(OSx1〜OSx9)が取得される。
【0099】
なお、このような単位的スライスOSxの準備(ステップS20)は、ステップS21(画像生成用スライスの厚さαの設定)よりも後に実行されてもよく、少なくともステップS24(スライス画像の生成)よりも前の段階で行われればよい。
【0100】
本実施形態では、このように厚さα、間隔βを設定する場合に最小単位となるよう、撮影領域Mを軸方向に細分し、視線方向(軸方向)に規則的に並ぶスライスを単位的スライスとしている。なお、隣り合う単位的スライス同士の間隔は等間隔であることが座標計算をする上で好適である。
【0101】
ここで、単位的スライスOSxを準備するとは、内部的には、単位的スライスOSx1〜OSx9のそれぞれに含まれる3次元データとを、単位的スライス毎に位置情報と関連付け、画像データとして管理することを云う。このようにして準備された単位的スライスOSxは、後述の設定された厚さα、間隔βに基づいて、画像生成用スライスを取得する際の対象となり、演算が容易となる。図9に示す例では、単位的スライスデータOSxが画像データとして符号(OSx)に付した番号の順に並んでいる。
【0102】
X線CT撮影で得た3次元データは、X線検出器の画素の粒子の細かさに対応する、可能な限りの細かさの、前述のボクセルからなるボクセルデータとして3次元に配列することができる。したがって、単位的スライスOSx1、OSx2…OSx9間の微小な間隔を、このボクセルデータの1つ1つの間隔に応じた可能な限りの微小な間隔に設定することによって、スライスの厚さα、間隔β設定の精度が増すこととなる。単位的スライスOSx同士間の微小な間隔は、3次元データの1ボクセル当たりのx軸またはy軸方向の大きさに一致させてもよい。
【0103】
図10は、単位的スライスOSxからスライス画像ISxを生成する様子を示す図である。なお、図10(a)は、図9に示す単位的スライスOSxを側方(y軸方向)から見た図である。また図10(b)は、スライス画像ISxを示す図である。
【0104】
図10(a)に示すように、多数の単位的スライスOSxうちから、ステップS21,S22において設定された厚さαおよび間隔βに基づき、視線方向に沿って、間隔β毎に所望の範囲(厚さα)内に含まれる単位的スライスOSxが取得される。なお、図10(a)において、二点鎖線で囲まれた複数(ここでは3つ)の単位的スライスOSxの集合体のそれぞれが、画像生成用スライスSLx0,SLx1,SLx2を構成する。図10(a)では、画像生成用スライスSLx0,SLx1,SLx2の厚さαは単位的スライスとこれに隣接する単位的スライスとの中間地点間の距離で示されている。また、画像生成用スライスSLx0,SLx1,SLx2の間隔βはスライスの厚さの中央地点間の距離で示されている。
【0105】
次に、ステップS24において、所望の範囲(厚さα)内の単位的スライスOSxに対応する3次元データが視線方向(ここではx軸)の方向に合成されて、スライス画像ISxが生成される。図10(a)に図示の例では、例えば画像生成用スライスSLx0に含まれる単位的スライスOSx1、OSx2、OSx3に対応するボクセルデータを、視線方向に沿って合成することにより、スライス画像ISx1が生成される(図10(b)参照)。同様に、単位的スライスOSx4、OSx5、OSx6に対応するボクセルデータを、合成することでスライス画像ISx0が生成され、単位的スライスOSx7、OSx8、OSx9に対応するボクセルデータからスライス画像ISx2が生成される。
【0106】
なお、単位的スライスOSxを取得することなく、上記の視線方向に沿う厚さαの範囲内のボクセル値を、視線方向に沿って直接合成するように構成されていてもよい。この場合は、単位的スライスOSxを準備せずに、3次元領域S1から、間隔β毎に、厚さα分の平板状の領域が画像生成用スライスとして取得される。具体的に、図11を参照しつつ説明する。
【0107】
図11は、図10(a)に示す単位的スライスOSx1、OSx2、OSx3が設定されていた3次元データの領域の一部から、スライス画像ISx1を生成する様子を示す模式図である。図11に示す格子状に並んだ複数の点のそれぞれが、3次元データのボクセル1つ分に相当する。これらのボクセル毎に、ボクセル値(ボクセルデータDxa1等)が存在する。
【0108】
図11に示すように、視線方向(x軸)に平行な直線(線Lxa,Lxb,Lxc,Lxd)が想定され、視線方向に平行な直線と直交する直線(線Lx1、Lx2、Lx3)が想定される。単位的スライスを設定する場合は、例えばこの直線(線Lx1、Lx2、Lx3)上に単位的スライスが設定されるのであるが、ここで説明する合成処理では、単位的スライスを設定せず、直接3次元データを合成する。その場合、その直線(線Lxa,Lxb,Lxc,Lxd)の上またはその直線に最も近い3次元データ(ボクセルデータDxa1、Dxa2、Dxa3等)をそれぞれ合成することによって、画像データ(画像データDxa,Dxb,Dxc等)が取得される。
【0109】
このように、単位的スライスを準備せずに、直接3次元データを合成することによって、画像データDxa,Dxb,Dxc,Dxd…が取得される。この画像データDxa、Dxb、Dxc、Dxd…から、1つのスライス画像ISx1が構成されることとなる。
【0110】
画像データDxaを得るには、ボクセルデータDxa1、Dxa2、Dxa3の加算値を取るように構成してもよいが、ボクセルデータDxa1、Dxa2、Dxa3の間で加算平均値や相乗平均値をとるなど、後述する単位的スライスに対応するボクセルデータの合成の場合と同様の処理が様々に考え得る。以上が、単位的スライスを取得せずに、スライス画像を生成する場合についての説明である。
【0111】
図12は、単位的スライスOSxが、ボクセルデータの存在する位置以外を通るように設定された場合の、ボクセルデータの取得方法を説明するための図である。図12に示すように、単位的スライスOSxが、ボクセルデータの並ぶ方向に対して斜めに設定された場合、単位的スライスOSxの位置毎に、最も近くのボクセルデータを取得する手法が適用される。
【0112】
例えば、図12に示す単位的スライスOSxに対応するボクセルデータDxaa、Dxbb、Dxcc、Dxddは、それぞれの位置に最も近いボクセルのボクセルデータDxa2,Dxb2,Dxc1,Dxd1に相当するものである。このように、単位的スライスOSxの各位置のボクセルデータを、各位置に最も近いボクセルのボクセルデータとすることによって、3次元領域S1の断面状態を良好に示すスライス画像(断層面画像)を取得することができる。
【0113】
また、図10に示す例では、厚さαと間隔βとを、共に単位的スライス3つ分に一致させていた。しかし、画像生成用スライスの厚さαおよび間隔βの設定の仕方は、このようなものに限られるものではない。
【0114】
図13,図14は、画像生成用スライスの厚さαおよび間隔βのその他の設定例を説明するための図である。図13に示す例では、厚さαの値が、間隔βよりも小さく設定されている。具体的には、厚さαが単位的スライス2つ分に設定されているのに対し、間隔βが単位的スライス3つ分に設定されている。このような場合、単位的スライスOSx1,OSx2、単位的スライスOSx4,OSx5及び単位的スライスOSx7,OSx8のそれぞれに対応するボクセルデータを合成することによって、図13(b)に示すスライス画像ISx1,ISx0,ISx2が生成される。
【0115】
また、図14に示す例では、厚さαが、間隔βよりも大きく設定されている。具体的には、厚さαが単位的スライス5つ分に設定されているのに対し、間隔βが単位的スライス2つ分に設定されている。このような場合、視線方向に連続する単位的スライスOSx1〜OSx5、単位的スライスOSx3〜OSx7及び単位的スライスOSx5〜OSx9のそれぞれに対応するボクセルデータから、図14(b)に示すスライス画像ISx1,ISx0,ISx2が生成される。
【0116】
このように、画像生成用スライスの厚さαがスライス間の間隔βよりも大きい場合、ノイズの少ない、より鮮明なスライス画像(断層面画像)を生成し得る点で、利点が特に大きい。
【0117】
なお、図10,図13,図14に図示した例では、理解を容易にするため、比較的少数の単位的スライスOSxを例に挙げて説明しているが、実際の演算処理では多数の単位的スライスOSxを用いた演算が行われてもよいことはいうまでもない。
【0118】
スライスの取得とは、3次元空間においてスライスの占める位置座標の設定である。スライスを枠と考えると、スライスの取得は3次元空間における枠、いわばスライスの枠の位置の設定である。なお、スライスの形状は四角形、直方体に限定されず、円、円柱の形状など、様々に考え得る。
【0119】
また、「スライスを切り出す」や「スライスを取得する」などの表現は、厳密には3次元データが表現する、ないし3次元データに対応する3次元領域S1に対する空間的なスライスの位置的設定が3次元データに反映される処理を行うことを云う。
【0120】
図15は、図8に示すステップS24における、画像生成装置2のスライス画像の合成動作の詳細な流れ図である。まず、単位的スライスに対応するボクセルデータを合成するに当たって、画像生成部216は、図10(a)に示す単位的スライスOSx1…OSx9のような複数の単位的スライスOSxのうち、スライス画像に用いる単位的スライスOSxに対応するボクセルデータに対して、エッジを強調する処理を行う(ステップS241)。単位的スライスOSxのそれぞれは、3次元領域S1の断面の画像と捉えることもできるため、このようにあらかじめエッジ処理を施しておくことにより、各部位の輪郭が強調された断層面画像を取得することが可能となる。なお、エッジ強調処理については、フィルタ処理などや、公知の技術を適用することが可能である。
【0121】
このエッジ強調処理が完了すると、画像生成部216は、単位的スライスの互いに対応する画素同士の画素値(詳細には、ボクセルデータ)を加算平均または相乗平均することによって、合成された複数のスライス画像(例えばスライス画像ISx0,ISx1,ISx2)を生成する(ステップS242)。複数の単位的スライスから1つの断層面画像を生成することにより、ノイズが低減された画像を取得することができる。
【0122】
なお、ステップS241のエッジ強調処理は、必ずしも必須の処理ではなく、単位的スライスデータの互いに対応する画素同士の画素値の加算平均または相乗平均の処理のみを行ってもよい。
【0123】
また、例えば図10(a)の単位的スライスデータOSx4、OSx5、OSx6からスライス画像ISx0を生成する場合に、中央の単位的スライスOSx5(関心位置P1に最も近い位置の単位的スライス)について、最も大きく重み付けをし、その他の画像を比較的小さく重み付けして、加算処理する重み付け加算処理が行われてもよい。このような場合、関心位置P1に近いスライス画像を最も強く反映した断層面画像を生成することができる。
【0124】
なお、重み付けは、正の数による重み付けのみには限らない。例えば、中央の単位的スライスOSx5(関心位置P1に最も近い位置の単位的スライス)には正の数による重み付けをするが、隣接する両隣りの単位的スライスには負の数による重み付けをするような場合である。
【0125】
生成された複数のスライス画像ISx0,ISx1,ISx2は、表示装置3に断層面画像として表示される。画像表示システム1では、オペレータが設定した関心位置P1の断層面画像を表示装置3に表示するわけであるが、オペレータの指定した位置に対応したスライス画像が、断層面画像として表示されることとなる。
【0126】
無論、一つの断層面画像を生成するために取得される単位的スライスの数は、上述したような3つとする態様に限られるものではない。
【0127】
なお、詳細は省略するが、画像生成部216は、ステップS21〜ステップS24までの動作と同様にして、y軸方向を視線方向として、y軸に対して垂直に切り出される複数の単位的スライスのボクセルデータから断層面画像を生成する。また画像生成部216は、z軸方向を視線方向として、z軸に対して垂直に切り出される複数の単位的スライスのボクセルデータから断層面画像を生成する。これにより、画像生成部216は、関心位置P1における3方向から見た断層面画像をそれぞれ生成する。
【0128】
以上のように、本実施形態では、スライスの厚さとスライスの間隔とをそれぞれ独立して設定することが可能である。例えば、厚さを小さくすると、スライス画像の精細度は改善されるがノイズが増大し、厚さを大きくすると、スライス画像のノイズは低減されるが、精細度が低下する。一方、スライスの間隔を大きくすると、全スライスの数を減らせるため、扱うデータ量を小さくなるが、目的部位の画像を入手できる可能性が低下する。また、スライス間隔を小さくすると、目的部位の画像を入手しやすくなるが、扱うデータ量が増大する。したがって、このような特性を踏まえて、スライスの厚さおよびスライスの間隔の少なくとも一方を決定することによって、診断に適した断層面画像の生成を実現することができる。
【0129】
特に、スライスの厚さをスライスの間隔よりも大きく設定した場合には(図13)、目的部位の断層面画像が、その断層面周辺の領域を互いに共有する複数の単位的スライスから生成される。すなわち、目的部位に比較的近接した複数の単位的スライスから断層面画像が生成されることになり、細かいピッチで目的部位の画像を脱落させることなく並べられた高精度な断層面画像を生成し得る。また、複数の単位的スライスから一つの断層面画像を生成することで、ノイズが低減された鮮明な高画質の断層面画像を取得できる。
【0130】
<1.2.2.断層面画像およびボリュームレンダリング画像の表示>
図16は、図6に示すステップS4において、表示装置3に表示される画面の一例を示す図である。表示制御部217は、図16に示すように、ステップS2,S3で生成されたx軸上から見た断層面画像Ix、y軸上から見た断層面画像Iy、z軸上から見た断層面画像Iz、およびボリュームレンダリング画像IVの計4つの画像を表示装置3に同時表示する。
【0131】
ここで、断層面画像Ix、断層面画像Iy、断層面画像Izとして表示される断層面画像は、それぞれ第1断層面画像、第2断層面画像、第3断層面画像の一例と考えられる。無論、断層面画像Iyまたは断層面画像Izを第1断層面画像と考えて、他の断層面画像を第2断層面画像、第3断層面画像と考えてもよく、要はそれぞれ異なる軸に関する断層面画像と認識すればよい。
【0132】
また、断層面画像Ixとして表示される断層面画像をX断層面画像と称してもよく、断層面画像Iyとして表示される断層面画像をY断層面画像と称してもよく、断層面画像Izとして表示される断層面画像をZ断層面画像と称してもよい。
【0133】
このように関心位置P1について、3面の断層面画像Ix,Iy,Izを対比して表示することにより、オペレータが、これらの断層面画像Ix,Iy,Izの相対的な関係を直感的に把握しやすくなる。またボリュームレンダリング画像IVを断層面画像Ix,Iy,Izとともに表示することによって、被写体Q1のどの位置の断層面画像を観察しているかを、オペレータが3次元的に把握することができる。
【0134】
また図16に示すように、表示制御部217は、画面において、断層面画像IxにはyカーソルCyおよびzカーソルCzを、断層面画像IyにはxカーソルCxおよびzカーソルCzを、断層面画像IzにはxカーソルCxおよびyカーソルCyを、それぞれ表示させている。
【0135】
断層面画像Ixに表示されているyカーソルCyは、関心位置P1を通るy軸断層面Dyの位置を示しており、zカーソルCzは、関心位置P1を通るz軸断層面Dzの位置を示している。また、断層面画像Iyに表示されているxカーソルCxおよびzカーソルCzは、それぞれ関心位置P1を通るx軸断層面Dxの位置、z軸断層面Dzの位置をそれぞれ示している。さらに断層面画像Izに表示されているxカーソルCxおよびzカーソルCzは、それぞれ関心位置P1を通るx軸断層面Dxの位置、y軸断層面Dyの位置をそれぞれ示している。
【0136】
このように断層面画像Ix,Iy,Izに、その他の断層面の位置を表示することによって、オペレータが断層面画像Ix,Iy,Iz同士の相対的な位置関係を容易に把握しやすくなる。
【0137】
また、表示制御部217は、ボリュームレンダリング画像IVには、関心位置P1を通るx軸断層面Dx、y軸断層面Dyおよびz軸断層面Dzを半透明の状態で表示している。このように断層面を表示することによって、断層面画像Ix,Iy,Izの3次元的な位置関係を、オペレータが容易に把握することができる。
【0138】
<1.2.3.関心位置および視線方向の変更>
次に、図6に示すステップS6における、関心位置および視線方向の変更について説明する。なお、はじめに関心位置の変更について説明し、その次に視線方向の変更について説明する。
【0139】
{関心位置の変更}
図17は、関心位置P1を変更する操作を説明するための図である。図17に示すように、断層面画像Ix,Iy,Izに表示されているxカーソルCx、yカーソルCy、およびzカーソルCzの位置は、オペレータの所定操作によって、変更することが可能となっている。
【0140】
例えば図17に示すように、オペレータが、断層面画像IyのxカーソルCxを選択し、これを同図中の左方向(−x方向)へ移動させる入力を行うと、その他の断層面画像IzのxカーソルCxも連動して、−x方向へ移動する。すると、関心位置設定部215は、xカーソルCxが移動させられた位置に新たな関心位置P1を設定する。同図の場合では、X軸とx軸とが一致しているため、元の関心位置P1よりも−X側の位置に、新たな関心位置が設定されることとなる。
【0141】
これと同様に、yカーソルCyやzカーソルCzが移動させられた場合においても、yカーソルCyまたはzカーソルCzの移動方向および移動量に応じて、関心位置設定部215により、新たな関心位置P1が設定される。
【0142】
また、新たな関心位置P1が設定されると、その関心位置P1を原点となるように、xyz直交座標系が平行移動される。これにより、xyz直交座標系が再定義される。
【0143】
画像生成装置2は、新たに設定された関心位置P1に基づいて、対応する位置の断層面画像を表示する。例えば、図10に示したスライス画像ISx0が断層面画像Ixとして表示されているとして、xカーソルCxのx軸に沿った方向への移動により、スライス画像ISx1を断層面画像Ixとして表示させたり、スライス画像ISx2を断層面画像Ixとして表示させたりすることができる。
【0144】
なお、スライス条件設定部214による条件設定さえ行われていれば、予め複数の断層面画像、例えば図10に示したスライス画像ISx0、ISx1、ISx2を生成しておいて、xカーソルCxの移動操作にしたがって対応するスライス画像を順次表示するようにしてもよいし、xカーソルCxの移動操作があってから、対応する位置のスライス画像をその都度リアルタイムで生成するようにしてもよい。
【0145】
また、新たに取得範囲Hを設定して、図8で説明した、およびスライス画像の生成(ステップS24)と同様の動作を画像生成部216が実行することにより、新たな断層面画像Ix,Iy,Izを生成してもよい。
【0146】
なお、視線方向については、ここでは変更がないため、新たなボリュームレンダリング画像を生成する必要は無い。そのため、関心位置を変更する操作入力があった場合は、ステップS9をスキップしてもよい。ただし、xカーソルCxが移動されることによって、図17に示すように、x軸断層面Dxの位置は、新たな関心位置P1を通るように−X方向に平行移動される。
【0147】
このようにして生成された新たな断層面画像Ix,Iy,Izおよびボリュームレンダリング画像IVが、図17に示すように、表示装置3に表示されることとなる。
【0148】
{視線方向の変更}
次に、視線方向の変更について説明する。本実施形態では、オペレータは、以下に説明するように、3次元領域S1に対する視線方向を変更することによって、特定の関心位置について、あらゆる方向から、3次元領域S1の断面層を観察することができる。
【0149】
図18〜図20は、視線方向の変更を説明するための図である。なお、図18は、指標(xカーソルCx、yカーソルCy、zカーソルCz)を断層面画像Ix,Iy,Izに対して回転させることで、視線方向を変更している。また、図19は、その指標に対して断層面画像Ix,Iy,Izを回転させることで、視線方向を変更している。また、図20は、ボリュームレンダリング画像IVをx軸断層面Dx、y軸断層面Dy、z軸断層面Dzに対して回転させることで、視線方向を変更している。
【0150】
まず、図18に示すように、オペレータが断層面画像Iyに対してxカーソルCxおよびzカーソルCzを時計回りに回転させると、断層面画像IxのzカーソルCzおよび断層面画像IzのxカーソルCxも、断層面画像Iyにおける回転に連動して回転する。
【0151】
また、xカーソルCxおよびzカーソルCzを時計回りに回転させることは、x軸断層面Dx、z軸断層面Dzに対して、y軸断層面Dyを回転させることになる。そのため、xカーソルCxおよびzカーソルCzを図18に示すように回転させると、ボリュームレンダリング画像IVで描画される3次元領域S1の像が、視線方向に対してxz平面内で回転することとなる。したがって、x軸線上に設定された視点が、y軸周りに所定角度回転させた位置に移動することとなり、この新たな位置の視点から、関心位置P1を向く方向が、新たな視線方向となる。
【0152】
また、図19に示すように、オペレータがxカーソルCxおよびzカーソルCzに対して、断層面画像Iyを反時計回りに回転させることによっても、上記図18の例と同様の方向に視点を移動させて、視線方向を変更することができる。
【0153】
さらに、図20に示すように、オペレータがボリュームレンダリング画像IVをy軸周りに旋回させることで、図18,図19の例と同様の方向に、視点を移動させて、視線方向を変更することができる。なお、ボリュームレンダリング画像IVを回転させる操作については、例えば、入力装置4のマウスの左右方向へのドラッグをz軸周りの回転に、上下方向へのドラッグをy軸周りの回転に関連づけ、さらに、入力装置4のキーボードなどの特定ボタンを押下した状態でのマウスの上下方向(もしくは左右方向)へのドラッグをx軸周りの回転に関連づける。これにより、マウス操作によって、ボリュームレンダリング画像IVを3次元空間内で回転させることができる。
【0154】
なお、表示されるX線画像に対してカーソルなどの指標が回転、移動するように操作できるよう構成してもよいし、また、指標に対して表示されるX線画像が回転、移動するように操作できるよう構成してもよい。すなわち、指標の回転操作、移動操作は相対的である。
【0155】
{視線方向変更後の画像生成}
図21は、視線方向が変更された後の3次元領域S1を示す図である。また、図22は、視線方向の変更後において、新たに取得される複数の画像生成用スライスSLx1a,SLx2a,SLx3aのそれぞれからスライス画像ISx0a,ISx1a,ISx2aを生成する過程を概念的に示す図である。
【0156】
図18〜図20で説明したオペレータの操作によって、視点P0をy軸周りにある角度(θ1°)分回転させると、図21に示すように、元の視点P0がθ1°分y軸周りに回転して、新たな位置に移動する。視線方向設定部213は、この新たな位置の視点P0から関心位置P1へ延びる方向を、新たな視線方向に設定する。そして画像生成装置2は、この視線方向をx軸に設定し、これに直交するy軸およびz軸を設定することで、xyz直交座標系を新たに設定する。
【0157】
なお、新たなxyz直交座標系は、元のxyz直交座標系を、元のy軸周りに角度θ1°分回転させたものとなっている。画像生成部216は、この新たなxyz直交座標系を基準にして、関心位置P1における断層面画像Ixa,Iya,Izaを生成するとともに、新たな視点P0から見たボリュームレンダリング画像IVを生成する。
【0158】
例えば3次元領域S1について、新たなx軸方向に垂直なx軸断層面Dxの画像(断層面画像Ixa)を生成する場合、図22に示すように、視線方向に沿って、間隔β毎に、厚さαの画像生成用スライスSLx0a,SLx1a,SLx2aを取得し、この複数の画像生成用スライスSLx0a,SLx1a,SLx2aのそれぞれからスライス画像ISx0a,ISx1a,ISx2aを生成する。
【0159】
なお、この一連の画像生成動作は、図8に示すステップS21からステップS24までの動作と同様である。すなわち、3次元領域S1から切り出された画像生成用スライスSLx0a,SLx1a,SLx2aのそれぞれに対応するボクセルデータに基づいて、複数のスライス画像ISx0a,ISx1a,ISx2aが生成される。なお、このスライス画像ISx0a,ISx1a,ISx2aは、図15に示すステップS241と同様のエッジ強調処理がスライス画像ISx0a,ISx1a,ISx2aに対して実行され、さらにステップS242と同様の合成処理が実行されることによって、断層面画像Ixaが生成されてもよい。また、新たなy軸方向およびz軸方向を視線方向として、これと同様の画像生成が実行され、断層面画像Iya,Izaが生成される。
【0160】
また、ステップS7と同様に、3次元領域S1について、新たな視点P0から見て各視線上のボクセル値を加算することによって(レイキャスティング)、ボリュームレンダリング画像IVaが生成される。
【0161】
図23は、新たな断層面画像Ixa,Iya,Izaおよびボリュームレンダリング画像IVaが表示された表示装置3の画面を示す図である。視線方向変更後の新たな画面においても、変更前の画面(図16)と同様に、新たな断層面画像Ixaには、yカーソルCyおよびzカーソルCzが表示され、新たな断層面画像Iyaには、xカーソルCxおよびzカーソルCzが表示され、新たな断層面画像Izaには、xカーソルCxおよびyカーソルCyが表示される。また、ボリュームレンダリング画像IVaにおいても、x軸断層面Dx、y軸断層面Dyおよびz軸断層面Dzが半透明の状態で表示される。
【0162】
図24は、視線方向変更後に、関心位置P1を変更する処理を行う様子を示す図である。図24に示すように、断層面画像IyaのxカーソルCxを破線で示す位置から実線で示す位置にスライド移動させると、これに連動して、断層面画像IzaのxカーソルCxも移動する。そしてxカーソルCxの移動方向、および移動量に応じて、ボリュームレンダリング画像IVaに表示されたx軸断層面Dxの位置が変位する。
【0163】
そして、関心位置設定部215は、xカーソルCxの移動した位置を、新たな関心位置P1に設定し、画像生成部216が新たな関心位置P1の断層面画像Ixa,Iya,Izaを生成し、表示装置3の画面に表示することとなる。なお、ボリュームレンダリング画像IVaについては、視線方向の変更がないために、関心位置P1の変更前と同様の画像が表示される。ただし、x軸断層面Dxについては、xカーソルCxの移動に応じて移動する。
【0164】
図25は、xyz直交座標系をXYZ直交座標系に対して設定する様子を示す図である。画像生成装置2は、画像表示システム1が画像表示を開始した際は、XYZ直交座標系のX軸、Y軸、Z軸に、xyz直交座標系のx軸、y軸、z軸のそれぞれを一致させる。そして関心位置の変更や視線方向の変更の操作入力があった場合に、新たな視線方向にx軸が合わせられるとともに、y軸、z軸も移動される。x軸、y軸、z軸は、それぞれx方向、y方向、z方向を3次元の軸としたもので、x方向、y方向、z方向は相互に直交する。
【0165】
例えば図25(a)に示すように、視点P0がY軸周りにθ1°およびZ軸周りにθ2°回転された位置に移動させるような視線方向の変更があった場合、xyz直交座標系を初期の位置からY軸周りにθ1°、Z軸周りにθ2°回転させる演算処理が行われる。これによりxyz直交座標系が新たな位置に移動され、断層面画像の生成のために、新たなxyz直交座標系の各軸に沿ってスライスが取得される。
【0166】
また、図25(a)において設定されていた関心位置P1の位置(ここでは、XYZ直交座標系の原点)が、図25(b)に示すように、異なる位置に移動させられた場合、その変位は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の各方向への移動量で表現することができる。したがって、関心位置P1の移動前のxyz直交座標系に対し、その変位を加算することによって、変更後の関心位置P1を原点とする、新たなxyz直交座標系を設定することができる。
【0167】
なお、本実施形態では、図6に示すステップS1〜ステップS4の画像表示の段階においても、複数のスライスから一つの断層面画像を生成するようにしているが、この初期段階での画像表示については、単一のスライスから一つの断層面画像を生成するようにしてもよい。すなわち、視線方向や関心位置の変更があった場合にのみ、複数のスライスから単一の断層面画像を生成するようにしてもよい。
【0168】
また、関心位置P1および視線方向が設定された時点で、あらかじめ3次元領域S1から所定の間隔βで取得されるスライスから生成された全スライス画像を固定ディスク24に記憶しておき、要求に応じて全スライス画像から必要なスライス画像を取得して、断層面画像を生成するようにしてもよい。
【0169】
ここで、x軸、y軸、z軸のそれぞれについて、厚さαを適切に設定する一例を説明する。
【0170】
図26は、xyz直交座標系のx軸、y軸、z軸のそれぞれについて図16で示したような断層面画像Ix,Iy,Izに対応するスライス画像を切り出した様子を示す。なお、図16の断層面画像Ix,Iy,Izは、それぞれ、x軸に垂直なスライス画像ISx0、y軸に垂直なスライス画像ISy0、z軸に垂直なスライス画像ISz0に対応する画像である。
【0171】
図26に示すように、x軸、y軸、z軸の交点を原点OP1とすると、表示装置3に表示されるスライス画像ISx0,ISy0,ISz0は、共通の原点OP1で互いに交差するように位置設定されている。
【0172】
さらに詳細には、スライス画像ISx0,ISy0,ISz0のそれぞれについて、軸方向の中央の面が考えられる。例えば、図10(a)の例のスライス画像ISx1であれば単位的スライスOSx2に相当するような面である。このような中央の面がいずれのスライス画像についても共通の原点OP1で交差するように設定すると、画像のズレの発生を抑制できるため、好適である。
【0173】
<2.第2実施形態>
第1実施形態では、オペレータからの操作入力に基づいて、視線方向を設定するようにしているが、視線方向の設定は、このようなものに限られない。なお、以降の説明において、第1実施形態と同様の機能を有する要素については適宜同一符号を付して、その説明を省略する。
【0174】
図27は、第2実施形態に係る画像生成装置2の動作を示す流れ図である。図6に示すステップS6において、オペレータから関心位置の変更操作があった場合、本実施形態では、視線方向設定部213が被写体に関する形状データを抽出する(ステップS71)。そして視線方向設定部213は、抽出した形状データから、3次元領域S1aの外側部分の接線を算出する(ステップS72)。接線を算出すると、視線方向設定部213は、該接線を視線方向に設定する(ステップS73)。したがって本実施形態では、視線方向が、関心位置の変更入力操作に応じて自動的に決定される。
【0175】
図28は、円筒状の被写体について、視線方向を決定する様子を説明するための図である。なお図28(a)は、内部に空洞を有する円筒状の被写体(骨組織など)の投影データを再構成して得られる3次元領域S1aを示しており、図28(b)は、3次元領域S1aのz軸断層面Dzの画像(断層面画像Iz)をyカーソルCyとともに示しており、図28(c)は、設定された視線方向から、新たな断層面画像Ixを生成するために取得される単位的スライスを概念的に示している。
【0176】
本実施形態では、視線方向設定部213によって、図28(b)に示す画像から、3次元領域S1aの外側部分の形状データ(外縁の輪郭線L1)が抽出される。この抽出方法については、従来より提案されている画像認識の手法を適用することができる。この断層面画像Izに表示されたyカーソルCyが、図28(b)に示す位置に移動させられると、視線方向設定部213は、yカーソルCyと外縁の輪郭線L1との交点P2における接線L2が算出される。なお、輪郭線L1とyカーソルCyとの交点が、複数生じる場合があるが、各交点の位置に基づいて、一点だけを交点P2として採用するように構成される。
【0177】
視線方向設定部213は、この接線L2の延びる方向を、新たな視線方向に設定する。また、画像生成部216は、新たな視線方向をx軸方向とするとともに、x軸に直交するとともに相互に直交するy軸およびz軸を設定する。なお、図28に示す例では、断層面画像Izにおける3次元領域S1aの外縁部分の接線L2を算出しており、z軸に関しては、変更されない。したがって、x軸方向とz軸方向があらかじめ定められ、これに直交する方向にy軸方向が設定される。
【0178】
このようにxyz直交座標系を設定すると、画像生成部216は、xyz直交座標系の各軸方向に直交する断層面の画像を生成する。例えば図28(c)に示すように、x軸方向に垂直なx軸断層面Dxの画像を生成する場合には、x軸方向に沿う複数のスライスSL0,SL1,SL2のそれぞれからスライス画像を生成し、これらのスライス画像が断層面画像Ixとして表示装置3に表示される。また、視線方向が設定されると、3次元領域S1aをこの視線方向で見た場合のボリュームレンダリング画像が新たに生成されて、表示装置3の画面に表示される。
【0179】
図29は、球面状の被写体について、視線方向を決定する様子を説明するための図である。なお、図29(a)は、内部が空洞の球面体の被写体に関する3次元領域S1bを示しており、図29(b)は、3次元領域S1bに対して、視線方向を設定する様子を示している。
【0180】
このような球面体の3次元領域S1bに対しても、図28に示した態様と同様に、3次元領域S1bの外縁部分の輪郭線L1が抽出され、移動したyカーソルCyと、輪郭線L1との交点P2における、輪郭線L1の接線L2が算出される。そして接線L2の延びる方向が視線方向に設定される。
【0181】
以上のように、接線の延びる方向を視線方向に設定するため、視線方向についての断層面画像を生成する際に、接線に沿って複数の画像生成用スライスを取得することとなる。したがって、接線に沿って複数の画像生成用スライスを取得するため、各画像生成用スライスにおいて、特に接線が設定される部分で、3次元領域の断面形状の位置が一致しやすくなる。そのため、得られる断層面画像の画質が向上する。
【0182】
<3.第3実施形態>
第2実施形態では、被写体の形状データとして、外縁の輪郭線を認識して、接線を算出するようにしているが、接線の決定方法はこのようなものに限られない。なお、本実施形態では、被写体に歯列弓が含まれ、この歯列弓の断層面画像を生成する場合を例にして説明する。
【0183】
図30は、第3実施形態における画像生成装置2の動作を示す流れ図である。本実施形態では、オペレータによって、断層面の位置を移動させて関心位置を変更する操作が実行されると、視線方向設定部213は、歯列弓の形状を自動認識することによって、歯列弓の曲線L3を抽出する(ステップS71a)。そして視線方向設定部213は、抽出された歯列弓の曲線と移動した断層面との交点における、歯列弓の曲線の接線を算出する(ステップS72a)。そして視線方向設定部213は、算出された接線の延びる方向を視線方向に設定する(ステップS73a)。
【0184】
図31は、歯列弓に対して、視線方向を設定する様子を示す図である。図31に示すように、歯列弓を示す3次元領域の断層面画像Izが表示装置3に表示されている場合において、ともに表示されているyカーソルCyの位置を破線で示す位置から実線で示す位置に移動されると、歯列弓の形状が自動認識され、歯列に沿った曲線L3が抽出される。そして、この曲線L3と移動後のyカーソルCyとの交点P3における曲線L3の接線L4が算出され、この接線L4の延びる方向が視線方向に設定される。
【0185】
視線方向が設定されると、第2実施形態と同様に、断層面画像の生成が実行される。また、ボリュームレンダリング画像についても、設定された視線方向で見た3次元領域の画像が生成される。
【0186】
このように、特定の部位を撮影された3次元領域については、その部位の構造的特徴を表す形状線を抽出し、この形状線の接線を視線方向に設定することで、特定部位に関する断層面画像の画質を向上させることができる。
【0187】
<4.第4実施形態>
図32は、第4実施形態における画像生成装置2の動作を示す流れ図である。本実施形態では、オペレータによって、断層面の位置を移動させて関心位置を変更する操作が実行されると、視線方向設定部213は、固定ディスク24に格納された歯列弓モデル曲線を、表示されている断層面画像に当てはめる(ステップS71b)。
【0188】
歯列弓モデルの当てはめが完了すると、視線方向設定部213は、断層面の位置と歯列弓モデルの交点を抽出するとともに、この交点における歯列弓モデル曲線の接線に直交する方向を、正視方向とする(ステップS72b)。そして視線方向設定部213は、この正視方向を視線方向に設定する(ステップS73b)。
【0189】
図33は、歯列弓に対して、視線方向を設定する様子を示す図である。図33に示すように、歯列弓に関する断層面画像Izが表示されており、y軸断層面Dyの位置を示すyカーソルCyが移動されると、歯列弓モデル曲線L3aが歯列弓の画像に当てはめられる。この当てはめの際には、断層面画像Iz上の歯列弓に対し、所定の条件下で最もマッチングするように、歯列弓モデル曲線L3aを移動させたり、拡大または縮小させたりする。
【0190】
この歯列弓モデル曲線L3aは、一般的な歯の配列をなぞったものであり、その形状データがあらかじめ固定ディスク24等に格納されている。また、この歯列弓モデル曲線L3aのデータには、この曲線の各位置における法線ベクトルの情報が各位置毎に記録されている。
【0191】
歯列弓モデル曲線L3aの当てはめが完了すると、視線方向設定部213は、yカーソルCyと当てはめられた歯列弓モデル曲線L3aとの交点P3aを抽出する。そしてこの交点P3aにおける法線ベクトルが取得され、このベクトルの向きが正視方向とされる。さらに視線方向設定部213によって、この正視方向が視線方向に設定され、xyz直交座標系の各方向についての断層面画像、および、この視線方向で見た3次元領域のボリュームレンダリング画像が生成される。
【0192】
この歯列弓モデル曲線などのように、正視方向を決定するための情報は歯列弓正視情報である。正視方向は、上記の法線ベクトルの例に示されるように、歯列弓を頬側から舌側に向けて、または舌側から頬側に向けて正視する正視方向である。
【0193】
<5.第5実施形態>
上記第1実施形態では、視線方向を変更させる所定の操作入力を行うことによって、ボリュームレンダリング画像IV中の3次元領域S1を適宜回転させて表示させると説明した(図18〜20参照)。しかしながら、視線方向の変更の操作方法は、このようなものに限られない。
【0194】
図34は、第5実施形態におけるボリュームレンダリング画像IVbを示す図である。本実施形態では、視線方向を示す指標61が、ボリュームレンダリング画像IVbとともに表示装置3に表示される。指標61は、矢印を3次元で表現したものであり、その先は、3次元領域S1の中央部分を指している。オペレータは、例えば入力装置4のマウスを用いて、この指標61を3次元領域S1の中央部を中心にして、上下左右に移動させることができる。
【0195】
具体的には、オペレータが指標61を上下に移動させることにより、YZ平面内で視線方向を変更することができる。また、オペレータが指標61を左右に移動させることによって、XY平面内で視線方向を変更することができる。なお、指標61を用いて視線方向が変更される場合、ボリュームレンダリング画像IVb中の3次元領域S1の像は変更前と変更後とで変化しない。
【0196】
このような指標61を用いて視線方向を設定できるように構成することで、オペレータは、直感的な操作で視線方向を変更することができる。したがって、効率的に診断に適した断層面画像を取得することができる。また、ボリュームレンダリング画像IVbを新たに生成しなくてすむため、画像表示を効率的に行うことができる。
【0197】
なお、指標61の方を固定表示して、ボリュームレンダリング画像IVbの方を回転操作することができるように構成されていてもよい。このような場合においても、ボリュームレンダリング画像IVbに対する指標61の相対的な位置関係に基づいて、視線方向を設定することが可能である。
【0198】
<6.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0199】
第1実施形態では、図16などに示すように、視点を斜め上方に設定して、ボリュームレンダリング画像IVを表示するようにしているが、ボリュームレンダリング画像の表示方法は、このようなものに限られない。例えば図35に示すように、視線方向が、常に正面視となる(すなわち、オペレータの3次元領域S1の像を見る方向が常に視線方向となる)ように、ボリュームレンダリング画像IVcを表示してもよい。
【0200】
また、第2〜第4実施形態では、断層面の位置が移動された場合において、視線方向設定部213が新たに視線方向を設定する際に、接線や法線を視線方向とするようにしているが、例えば図6に示すステップS1の初期に視線方向を設定する際にも、同手法を適用することが可能である。具体的には、例えば第2実施形態のように、初期設定の断層面と輪郭線との交点における、輪郭線の接線の延びる方向(接線方向)を視線方向とすればよい。また、第3および第4実施形態についても、ステップS1の初期に視線方向を設定する際に適用することができる。
【0201】
また、表示されるX線画像に対して指標が回転、移動するように操作可能にしてもよいし、指標に対して表示されるX線画像が回転、移動するように操作可能にしてもよく、指標の回転操作、移動操作は相対的である。
【符号の説明】
【0202】
1 画像表示システム
2 画像生成装置
21 CPU
22 RAM
23 ROM
211 撮影制御部
212 3次元データ取得部
213 視線方向設定部
214 スライス条件設定部
215 関心位置設定部
216 画像生成部
217 表示制御部
24 固定ディスク
25 読取部
3 表示装置
4 入力装置
5 撮影装置
51 X線発生部
52 X線検出部
53 アーム
54 旋回軸
55 旋回駆動機構
55 移動機構
61 指標
9 可搬性メディア
Cx xカーソル
Cy yカーソル
Cz zカーソル
Dx x軸断層面
Dy y軸断層面
Dz z軸断層面
H 取得範囲
ISx0,ISx1,ISx2 スライス画像
ISx0a,ISx1a,ISx2a スライス画像
IV,IVa,IVb,IVc ボリュームレンダリング画像
Ix、Iy,Iz 断層面画像
Ixa,Iya,Iza 断層面画像
L1 輪郭線
L2、L4 接線
L3 曲線
L3a 歯列弓モデル曲線
P0 視点
P1 関心位置
PG プログラム
PSL0 中央位置
S1,S1a,S1b 3次元領域
SLx0,SLx1,SLx2 画像生成用スライス
SLx0a,SLx1a,SLx2a 画像生成用スライス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線CT撮影で得られた被写体の3次元データから断層面画像を生成する画像生成装置であって、
前記被写体に対する視線方向を設定する視線方向設定部と、
前記断層面画像を生成するために前記3次元データが表現する3次元領域から取得する画像生成用スライスの厚さ、および、前記画像生成用スライスを取得する間隔の少なくとも一方を個別に設定可能とするスライス条件設定部と、
前記スライス条件設定部により設定された条件に基づいて、前記3次元領域から取得される複数の前記画像生成用スライスに含まれる前記3次元データを、それぞれ合成することによって、前記視線方向に沿う複数のスライス画像を前記断層面画像として生成する画像生成部と、
を備える画像生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像生成装置において、
前記画像生成部が、
前記視線方向に直交して規則的に並ぶ複数の単位的スライスを取得し、前記画像生成用スライスに含まれる複数の単位的スライスに対応する3次元データを合成することによって、前記画像生成用スライス毎に前記スライス画像を生成する画像生成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像生成装置において、
前記スライス条件設定部は、前記画像生成用スライスの厚さを、前記画像生成用スライスを取得する間隔よりも大きい値に設定する画像生成装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の画像生成装置において、
前記3次元領域における特定の位置を関心位置に設定する関心位置設定部と、
前記画像生成部が生成した複数のスライス画像のうち、前記関心位置に対応するスライス画像を表示部に表示する表示制御部と、
をさらに備える画像生成装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の画像生成装置において、
前記画像生成部が、前記画像生成用スライスの領域内に含まれる3次元データを、前記視線方向に沿って加算平均または相乗平均することによって、前記断層面画像を生成する画像生成装置。
【請求項6】
請求項2に記載の画像生成装置において、
前記画像生成部が、
前記画像生成用スライスに含まれる前記複数の単位的スライスのうち、中央に位置する単位的スライスに対応する3次元データを他の単位的スライスに対応する3次元データよりも大きく重み付けして合成することにより、前記画像生成用スライスから前記スライス画像を生成する画像生成装置。
【請求項7】
請求項2に記載の画像生成装置において、
前記画像生成部が、前記単位的スライスに対応する3次元データに対してエッジ強調を行った後の画像から、前記スライス画像を生成する画像生成装置。
【請求項8】
請求項4に記載の画像生成装置において、
前記表示制御部が、前記関心位置について、
前記視線方向に直交する前記画像生成用スライスから前記画像生成部が生成した前記スライス画像を、第1断層面画像として表示部に表示するとともに、
前記視線方向に直交し、かつ相互に直交する2方向のそれぞれに対して直交する画像生成用スライスのそれぞれから、前記画像生成部が生成したスライス画像のそれぞれを、第2断層面画像、第3断層面画像として表示部に表示する画像生成装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像生成装置において、
前記視線方向と前記2方向とが、それぞれx方向、y方向、z方向の3方向であり、
前記画像生成部は、
前記x方向、前記y方向、前記z方向のそれぞれの方向に沿って取得される前記画像生成用スライスから、前記第1断層面画像、前記第2断層面画像、前記第3断層面画像を生成する画像生成装置。
【請求項10】
請求項9に記載の画像生成装置において、
前記画像生成部が、前記x方向、y方向、z方向のそれぞれに直交し、かつ互いに直交する断層面を前記第1断層面画像、前記第2断層面画像、前記第3断層面画像とし、それぞれをX断層面画像、Y断層面画像、Z断層面画像として生成し、表示される前記X断層面画像、Y断層面画像、Z断層面画像が共通の原点で交差する画像生成装置。
【請求項11】
請求項8から10までのいずれか1項に記載の画像生成装置において、
前記関心位置設定部は、
前記第1断層面画像、前記第2断層面画像、前記第3断層面画像のそれぞれを、他の断層面の位置を示す第1指標と共に前記表示部に表示させるとともに、前記第1断層面画像、第2断層面画像、第3断層面画像に対して前記第1指標を相対的に移動させる第1指標移動操作に基づいて、新たな前記関心位置を設定する画像生成装置。
【請求項12】
請求項11に記載の画像生成装置において、
前記視線方向設定部が、
前記表示部に表示された前記第1断層面画像、第2断層面画像、第3断層面画像に対して前記第1指標を相対的に回転させる第1指標回転操作に基づいて、新たな前記視線方向を設定する画像生成装置。
【請求項13】
請求項8から12までのいずれか1項に記載の画像生成装置において、
前記表示制御部は、
前記3次元領域を立体的に表現する3次元画像を前記表示部に表示させるとともに、
前記視線方向設定部が、前記3次元画像に対して入力される、前記3次元領域に対する前記視線方向を変更する視線方向変更操作に基づいて、新たな前記視線方向を設定する画像生成装置。
【請求項14】
請求項13に記載の画像生成装置において、
前記視線方向設定部は、
前記第1断層面画像、前記第2断層面画像、前記第3断層面画像のうちの少なくともいずれかについての断層面の位置を示す第2指標を、前記3次元画像とともに前記表示部に表示するとともに、前記3次元画像に対して前記第2指標を相対的に回転させる指標回転操作に基づいて、新たな視線方向を設定する画像生成装置。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか1項に記載の画像生成装置において、
前記視線方向設定部が、
前記被写体に関する形状データから、特定の位置における前記被写体の形状に対する接線を抽出し、前記接線の延びる方向を前記視線方向に設定する画像生成装置。
【請求項16】
請求項1から14までのいずれか1項に記載の画像生成装置において、
前記被写体が歯列弓を含み、
前記視線方向設定部が、
前記歯列弓を頬側から舌側または舌側から頬側に向かって正視する正視方向を決定する歯列弓正視情報に従い、前記正視方向を前記視線方向として設定する画像生成装置。
【請求項17】
請求項16に記載の画像生成装置において、
前記視線方向設定部が、
前記歯列弓の形状を認識するとともに、認識された前記歯列弓の形状に対して決定される前記正視方向を、前記視線方向に設定する画像生成装置。
【請求項18】
請求項13または14に記載の画像生成装置において、
前記視線方向設定部が、
前記視線方向を示す第3指標を前記3次元画像とともに前記表示部に表示させる画像生成装置。
【請求項19】
X線CT撮影で得られた被写体の3次元データから断層面画像を生成する画像生成方法であって、
(a) 前記被写体に対する視線方向を設定する工程と、
(b) 前記断層面画像を生成するために前記3次元データが表現する3次元領域から取得する画像生成用スライスの厚さ、および、前記画像生成用スライスを取得する間隔の少なくとも一方を個別に設定する工程と、
(c) 前記(b)工程で設定された条件に基づいて、前記スライス条件設定部により設定された条件に基づいて、前記3次元領域から取得される複数の前記画像生成用スライスに含まれる前記3次元データをそれぞれ合成することによって、前記視線方向に沿う複数のスライス画像を前記断層面画像として生成する工程と、
を含む画像生成方法。
【請求項20】
請求項19に記載の画像生成方法において、
前記(c)工程が、
前記視線方向に直交して規則的に並ぶ複数の単位的スライスを取得し、前記画像生成用スライスに含まれる複数の単位的スライスに対応する3次元データを合成することによって、前記画像生成用スライス毎に前記スライス画像を生成する工程である画像生成方法。
【請求項21】
請求項19または20に記載の画像生成方法において、
前記(b)工程が、前記画像生成用スライスの厚さを、前記画像生成用スライスを取得する間隔よりも大きい値とする工程である画像生成方法。
【請求項22】
請求項19から21までのいずれか1項に記載の画像生成方法において、
(d) 前記3次元領域における特定の位置を関心位置に設定する工程と、
(e) 前記(c)工程で生成した複数のスライス画像のうち、前記関心位置に対応するスライス画像を表示する工程と、
をさらに含む画像生成方法。
【請求項23】
請求項19から22までのいずれか1項に記載の画像生成方法において、
前記(c)工程が、前記画像生成用スライスの領域内に含まれる3次元データを、前記視線方向に沿って加算平均または相乗平均することによって、前記断層面画像を生成する工程である画像生成方法。
【請求項24】
請求項20に記載の画像生成方法において、
前記(c)工程が、
前記画像生成用スライスに含まれる前記複数の単位的スライスのうち、中央に位置する単位的スライスに対応する3次元データを他の単位的スライスに対応する3次元データよりも大きく重み付けして合成することにより、前記画像生成用スライスから前記スライス画像を生成する工程である画像生成方法。
【請求項25】
請求項19に記載の画像生成方法において、
前記(c)工程が、
前記単位的スライスに対応する3次元データに対してエッジ強調を行った後の画像から、前記スライス画像を生成する工程である画像生成方法。
【請求項26】
請求項22に記載の画像生成方法において、
前記(c)工程が、前記関心位置について、
前記視線方向に直交する前記画像生成用スライスから前記(c)工程において生成された前記スライス画像を、第1断層面画像として表示するとともに、
前記視線方向に直交し、かつ相互に直交する2方向のそれぞれに対して直交する画像生成用スライスのそれぞれから、前記(c)工程で生成したスライス画像のそれぞれを、第2断層面画像、第3断層面画像として表示する工程である画像生成方法。
【請求項27】
請求項26に記載の画像生成方法において、
前記視線方向と前記2方向とが、それぞれx方向、y方向、z方向の3方向であり、
前記(c)工程は、
前記x方向、前記y方向、前記z方向のそれぞれの方向に沿って取得される前記画像生成用スライスから、前記第1断層面画像、前記第2断層面画像、前記第3断層面画像を生成する工程である画像生成方法。
【請求項28】
請求項27に記載の画像生成方法において、
前記(c)工程が、
前記第1断層面画像、前記第2断層面画像、前記第3断層面画像のそれぞれをX断層面画像、Y断層面画像、Z断層面画像として生成し、表示される前記X断層面画像、Y断層面画像、Z断層面画像を共通の原点で交差させる工程である画像生成方法。
【請求項29】
請求項26から28までのいずれか1項に記載の画像生成方法において、
前記(d)工程は、
前記第1断層面画像、前記第2断層面画像、前記第3断層面画像のそれぞれを、他の断層面の位置を示す第1指標と共に表示させるとともに、前記第1断層面画像、第2断層面画像、第3断層面画像に対して前記第1指標を相対的に移動させる第1指標移動操作に基づいて、新たな前記関心位置を設定する工程である画像生成方法。
【請求項30】
請求項29に記載の画像生成方法において、
前記(a)工程が、
表示された前記第1断層面画像、第2断層面画像、第3断層面画像に対して前記第1指標を相対的に回転させる第1指標回転操作に基づいて、新たな前記視線方向を設定する工程である画像生成方法。
【請求項31】
請求項26から30までのいずれか1項に記載の画像生成方法において、
前記(e)工程は、
前記3次元領域を立体的に表現する3次元画像を表示させる工程であるとともに、
前記(a)工程が、
前記3次元画像に対して入力される、前記3次元領域に対する前記視線方向を変更する視線方向変更操作に基づいて、新たな前記視線方向を設定する工程である画像生成方法。
【請求項32】
請求項31に記載の画像生成方法において、
前記(a)工程が、
前記第1断層面画像、前記第2断層面画像、前記第3断層面画像のうちの少なくともいずれかについての断層面の位置を示す第2指標を、前記3次元画像とともに表示する工程と、
前記3次元画像に対して前記第2指標を相対的に回転させる指標回転操作に基づいて、新たな視線方向を設定する工程と、
を含む画像生成方法。
【請求項33】
請求項19から32までのいずれか1項に記載の画像生成方法において、
前記(a)工程が
前記被写体に関する形状データから、特定の位置における前記被写体の形状に対する接線を抽出し、前記接線の延びる方向を前記視線方向に設定する工程である画像生成方法。
【請求項34】
請求項19から32までのいずれか1項に記載の画像生成方法において、
前記被写体が歯列弓を含み、
前記(a)工程が、
前記歯列弓を頬側から舌側または舌側から頬側に向かって正視する正視方向を決定する歯列弓正視情報に従い、前記正視方向を前記視線方向として設定する工程である画像生成方法。
【請求項35】
請求項34に記載の画像生成方法において、
前記(a)工程が、
前記歯列弓の形状を認識する工程を含み、認識された前記歯列弓の形状に対して決定される前記正視方向を、前記視線方向として設定する工程である画像生成方法。
【請求項36】
請求項31または32に記載の画像生成方法において、
前記(a)工程が、
前記視線方向を示す第3指標を前記3次元画像とともに表示させる工程である画像生成方法。
【請求項37】
コンピューターが読取可能なプログラムであって、前記コンピューターのCPUがメモリ上で前記プログラムを実行することによって、前記コンピューターを、請求項1から18までのいずれか1項に記載の画像生成装置として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2011−147728(P2011−147728A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13402(P2010−13402)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(899000057)学校法人日本大学 (650)
【出願人】(000138185)株式会社モリタ製作所 (173)
【Fターム(参考)】