説明

画像表示システム

【課題】 携帯端末の蓄電容量の低下を抑制しつつ、電子ペーパーへの画像送信時の情報漏洩を抑制する画像表示システムを提供する。
【解決手段】 画像表示領域を有し書き込まれた画像を保持するメモリ性を有する電子ペーパーに対して画像を表示させ、相異なる一対の秘密鍵情報及び公開鍵情報がそれぞれに割り当てられた複数の駆動回路、電子ペーパー識別情報が記憶された記憶回路及び各駆動回路とそれぞれ対を構成し、公開鍵情報により暗号化された画像情報を秘密鍵情報により復号する複数の復号回路を備える電子ペーパー表示制御部40、電子ペーパー識別情報及び複数の公開鍵情報を集約して共通鍵情報により暗号化する通信装置10、一の画像情報から複数に分割された画像情報を、共通鍵情報により復号された公開鍵情報によりそれぞれ暗号化し、分割元を再現可能な情報と併せて識別情報を有する電子ペーパー表示制御部40に送信するサーバー装置30、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペーパーを利用した画像表示システムに関し、特に、電子ペーパーへ画像を送信する際の情報漏洩防止技術に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の携帯情報端末において、表示画面のサイズ制限を補完する種々の技術が知られている。例えば、特許文献1では、携帯電話に表示されるいわゆるコンテンツ等の画像を赤外線通信等により電子ペーパーへ送信して表示させることが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−157725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1では、サーバー装置や携帯電話等の画像送信元と電子ペーパー等の画像送信先との間における通信の情報漏洩防止に関する技術は開示されておらず、例えば、サーバー装置と携帯電話との間で、画像情報の傍受や盗聴が発生する可能性がある。
【0005】
一方、情報漏洩を防止すべく、画像情報に対し暗号化等に関する種々の情報を付加すると通信効率が低下する。さらに、携帯情報端末等では、暗号化された画像情報を復号化するために消費電力が増加する。これにより、携帯情報端末の充電を頻繁に行わなければならなくなる可能性がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、携帯情報端末の蓄電容量の低下を抑制しつつ、電子ペーパーに画像を送信するの際の情報漏洩を抑制する画像表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、画像表示領域を有し書き込まれた画像を保持するメモリ性を有する電子ペーパーに対して画像を表示させ、相異なる一対の秘密鍵情報及び公開鍵情報がそれぞれに割り当てられた複数の駆動回路、電子ペーパー用識別情報が記憶された記憶回路、及び、各駆動回路とそれぞれ対を構成し、公開鍵情報により暗号化された画像情報を秘密鍵情報により復号する複数の復号回路を具備する電子ペーパー表示制御部と、電子ペーパー用識別情報及び複数の公開鍵情報を集約して第1の共通鍵情報により暗号化する通信装置と、一の画像情報から複数に分割された画像情報を、第1の共通鍵情報により復号された公開鍵情報によりそれぞれ暗号化し、分割元を再現可能な再現用情報と併せて、識別情報を有する電子ペーパー表示制御部に送信するサーバー装置と、を有することを特徴とする画像表示システムである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、再現用情報は、正規の順序に並び替える配列情報を含み、サーバー装置は、複数の暗号化された画像情報を無作為の順序に並べ替えて送信することを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、サーバー装置は、再現用情報を先頭にして画像情報を送信することを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の発明において、サーバー装置及び電子ペーパー表示制御部はそれぞれ第2の共通鍵情報を記憶し、サーバー装置は、自身の第2の共通鍵情報により再現用情報を暗号化し、電子ペーパーは、自身の第2の共通鍵情報により再現用情報を復号することを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の発明において、識別情報は、複数の公開鍵情報を繋ぎ合わせた情報であることを特徴としている。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の発明において、復号回路は、ストリーム暗号による暗号化を復号するための回路であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、携帯情報端末の蓄電容量の低下を抑制しつつ、電子ペーパー表示制御部に画像を送信するの際の情報漏洩を抑制できる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、情報漏洩の抑制が強化される。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、電子ペーパーにおける画像表示の待ち時間が短縮される。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、サーバー装置と電子ペーパー表示制御部との通信における画像情報の情報漏洩が抑制される。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、識別情報の情報漏洩が抑制される。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、ソフトウェアによる復元化に比較して、復号回路の規模が小さくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1は第1実施形態に係る画像表示システムの構成図である。
【0020】
画像表示システムは、図1に示すように、通信装置10、携帯電話20、サーバー装置30、電子ペーパー表示制御部40、電子ペーパー41等から構成される。同図に示すように、電子ペーパー表示制御部40が有する識別情報及び複数の公開鍵情報(図において公開鍵群と記載)が通信装置10と携帯電話20とを経由してサーバー装置30に送信され、サーバー装置30は、携帯電話20からの送信要求に基づいて送信する画像情報を公開鍵情報により暗号化し、携帯電話20を経由して電子ペーパー表示制御部40に送信する。
なお、電子ペーパー41が電子ペーパー表示制御部40から取り外し可能であり、電子ペーパー41自体にそれぞれ識別情報が付与されている場合には、電子ペーパー41が電子ペーパー表示制御部40と接続された時に、電子ペーパー表示制御部40が有線もしくはRFID等の近距離無線接続によって、電子ペーパー41から識別情報を読み取り、これを電子ペーパー表示制御部40の記憶部12に記憶し、サーバー装置30に送信される。
【0021】
続いて、上述した携帯電話20を除く各機器について図面を参照して説明する。尚、携帯情報端末としての携帯電話20は必須の構成要件でなく、通信装置10とサーバー装置30とが直接通信を行うようにしてもよいが、携帯電話20を画像表示システムに含むことで、通信装置10とサーバー装置30との長距離通信が可能となる。
【0022】
まず、通信装置10について図2を参照して説明する。
通信装置10は、図2に示すように、通信部11、記憶部12、暗号化部13、制御部14、図示しないバッテリー等から構成される。
【0023】
通信部11は、例えばアンテナで構成され、電波により無線通信で電子ペーパー表示制御部や携帯電話等に対し各種情報の送受信を行う。尚、アンテナに代えて、発光素子や受光素子で構成されていてもよく、Bluetooth(登録商標)やIrDA(Infrared Data Association:赤外線による光無線データ通信)等の無線通信によって通信されるようにしてもよい。尚、通信形態は無線通信だけでなく、ケーブルやコード等の有線に通信であってもよく、この場合は、USB(Universal Serial Bus)接続等を利用するようにしてもよい。
【0024】
記憶部12は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等で構成され、通信部11を介して受信した識別情報や公開鍵情報を記憶したり、後述する暗号化に必要な各種プログラムを記憶したりする。RAMとしては、例えば、SRAM(Static RAM)、DRAM(Dynamic RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)、NVRAM(Non Volatile RAM)等があり、ROMとしては例えばフラッシュメモリ等がある。また、サーバー装置30との通信を行う際に識別情報等を暗号化するための第1の共通鍵情報をも記憶する。尚、当該第1の共通鍵情報は、通信装置10を管理する管理者等により予め記憶させておけばよい。
【0025】
暗号化部13は、識別情報と複数の公開鍵情報とを集約して暗号化する。暗号化は、例えば、DES(Data Encryption Standard)、トリプルDES、AES(Advanced Encryption Standard)等で行われる。暗号化部13は、識別情報等の暗号化が完了すると、これを通信部12に送信する。
【0026】
制御部14は、CPUで構成され、通信部11、記憶部12及び暗号化部13等を総括的に制御する。制御部14は、バッテリーからの電力供給を受けて、ROMに格納された所要のプログラムを抽出し、識別情報等の暗号化や送受信等、種々の処理を実行する。尚、バッテリーには、例えば太陽光電池等を利用してもよい。また、所要のプログラムとしては後述するフローチャートに応じたプログラムとすることができる。
【0027】
通信装置10の大きさは、携帯性の観点から、例えばパスポートや名刺、社員証程度の大きさが望ましく、また、プラスチック等の樹脂材で構成されることが軽量化の観点から好ましい。このように、通信装置10を携帯電話20から分離して別体とすることで、携帯電話20で暗号化等の処理をさせる必要がなくなり、携帯電話20の蓄電容量の低下が抑制される。さらに、通信装置10に充電容量を示すランプ等を形成することで、残りのおおよその稼動可能時間を利用者に視認させるようにしてもよい。
【0028】
続いて、サーバー装置30について図3を参照して説明する。
サーバー装置30は、図3に示すように、通信部31、記憶部32、画像情報分割部33、暗号化部34、配列情報生成部35、制御部36等から構成される。
【0029】
通信部31は、例えばアンテナで構成され、電波により無線通信で携帯電話20等と各種情報の送受信を行う。通信部11と同様に、USB接続を用いたケーブル接続であってもよい。
【0030】
記憶部32は、RAMやROM等で構成され、通信部31を介して受信した識別情報や公開鍵情報を記憶したり、送信予定の画像情報を記憶したり、後述する画像情報の分割、暗号化、配列情報の生成等に必要な各種プログラムを記憶したりする。RAMやROMは上述したものを利用できる。また、通信装置10との通信を行う際に識別情報等を復号化するための第1の共通鍵情報や電子ペーパー40との通信を行う際に要する後述する配列情報を暗号化するための第2の共通鍵情報をも記憶する。尚、第1の共通鍵情報、第2の共通鍵情報は、サーバー装置30を管理する管理者等により予め記憶させておけばよい。
【0031】
画像情報分割部33は、携帯電話20からの送信要求に基づいて送信する画像情報を分割する。分割形態は、電子ペーパー41のマトリックス表示形式に合わせることが望ましい。
【0032】
暗号化部34は、公開鍵情報に基づいて、分割された画像情報を暗号化する。また、第2の共通鍵情報に基づいて、後述する配列情報を暗号化する。暗号化のアルゴリズムは、例えば、DES、AES、RSA、MD5、SHA−1、HMAC−MD5、UMAC2/8、楕円曲線暗号方式等を利用できる。ストリーム暗号等の技術を使用してもよい。
【0033】
配列情報生成部35は、暗号化された複数の画像情報を無作為に並び替え、また、並び替えられた画像情報を元の順序に並び返すための再現用情報としての配列情報を生成する。配列情報生成部35は、配列情報を画像情報に付与する。
【0034】
制御部36は、CPUで構成され、通信部31、記憶部32、画像情報分割部33、暗号化部34及び配列情報生成部35等を総括的に制御する。制御部34は、バッテリーからの電力供給を受けて、ROMに格納された所要のプログラムを抽出し、画像情報等の暗号化や送受信等、種々の処理を実行する。また、所要のプログラムとしては後述するフローチャートに応じたプログラムとすることができる。
【0035】
図4は電子ペーパー表示制御部40の要部構成を示す機能ブロック図である。
電子ペーパー表示制御部40は、図4に示すように、表示部(電子ペーパー)41、第1駆動回路〜第9駆動回路42a〜42i、通信部43、記憶部44、蓄電部45、制御部46、第1復号回路〜第9復号回路47a〜47i等から構成される。
【0036】
表示部41は、書き込み後の画像が無電力状態でも保持されるメモリ性を有する表示媒体である電子ペーパーから構成され、例えばコレステリック液晶、透明フィルム、透明電極、ソース線、ゲート線等で構成される。表示部41は各駆動回路42a〜42iに基づき画像を表示する。尚、コレステリック結晶は、カラー化の観点から、例えば、青、緑及び赤の3色で構成されることが望ましい。
【0037】
第1駆動回路〜第6駆動回路42a〜42fは、例えばソースドライバで構成され、第7駆動回路〜第9駆動回路42g〜42iは、例えばゲートドライバで構成される。これらの駆動回路には、相異なる一対の秘密鍵情報及び公開鍵情報がそれぞれに割り当てられている。したがって、例えば、第1の駆動回路42aに割り当てられた公開鍵情報で暗号化された画像情報は、第6の駆動回路42fに割り当てられた秘密鍵情報で復号化されなくなる。尚、割り当てられる鍵のビット数は、暗号化、復号化の高速化の観点から8ビット、16ビット、32ビット等の低ビット数であることが望ましい。また、駆動回路の数は限定されず、例えば、3個や6個であってもよい。
【0038】
通信部43は、アンテナで構成される。通信部43は通信装置10や携帯電話20等と各種情報の送受を行う。RFID等の非接触型無線通信に関する技術を使用してもよい。
【0039】
記憶部44は、本発明の記憶回路の一例であって、RAMやROMで構成される。通信部43から送信される画像情報や電子ペーパー41を識別するための(電子ペーパー用の)識別情報を記憶する。電子ペーパ−41が電子ペーパー表示制御部40に対して交換可能な構成の場合には、電子ペーパー41から読み出された識別情報がこの記憶部44に記憶される。
蓄電部45は、バッテリー等で構成される。蓄電部45は、制御部46等に電力を供給する。
制御部46は、CPUで構成される。制御部46は電子ペーパー表示制御部40内の各機能を総括的に制御する。
【0040】
第1復号回路〜第9復号回路47a〜47iは、ハードウェア回路で構成される復号回路であって、例えばSSLアクセレータ等で用いられる技術が利用される。復号回路47a〜47iをハードウェア化することにより、ソフトウェア処理により復号化する場合に比べて、処理の高速化が可能となる。各復号回路47a〜47iは、公開鍵情報で暗号化された画像情報を、対になる各駆動回路47a〜47iが有する秘密鍵情報を取得して復号化する。復号化された画像情報は、各駆動回路41a〜41iに送信される。
【0041】
また、暗号化をストリーム暗号とした場合には、復号回路47a〜47iは、ストリーム暗号を復号化するための技術(ストリーム復号技術)を使用してもよく、これにより、回路規模が小さく、処理速度の高速化が図れる。ストリーム暗号は、非同期式、同期式のいずれでもよく、非同期式であれば例えばNFSR(Nonliner Feedback Shift Register)暗号、同期式であればバーナム暗号等がある。
【0042】
以上の説明において、電子ペーパー41としては、上述したコレステリック液晶ディスプレイ型の電子ペーパーに限らず、有機ELフィルムディスプレイ、電気泳動ディスプレイ、電子粉流体(登録商標)ディスプレイ等の型の電子ペーパー等としてもよい。このように、軽量であって携帯性に優れる電子ペーパー41を利用することにより、例えば、電子の速報性という特徴と、時間・場所を選ばずに即座に見ることができ、かつ、使い易いという紙ドキュメントの特徴と、の両方の効果を発揮することができて好ましい。尚、無電源で表示内容を保持するものが用いられるのが好ましいが、例えば太陽電池等の電源を備えて当該電源の電力により表示内容を保持するものが用いられてもよい。
また、電子ペーパー表示制御部40は、使用する電子ペーパーの駆動方式に応じて、公知の表示制御装置を利用することができる。例えば光書き込み型の電子ペーパーである場合には、表示する画像を1次元あるいは2次元の光画像に変換し、電圧を印加した電子ペーパーの光電変換層に対して照射して記録を行う。またマトリクス電極を電子ペーパーに配置してドットマトリクス画像を構成する場合には、マトリクス回路の駆動回路と電子ペーパーのマトリクス電極とをコネクタ等を用いて接続し、画像を表示制御する。
なお、電子ペーパー41と電子ペーパー表示制御部40は一体でも、表示部(電子ペーパー)41部分を可換に構成してもよい。後者の方は、電子ペーパー表示制御部40が共用となるため安価にシステムを実現できるとともに、表示媒体も軽量化されるため、電子ペーパーとしての利便性が高まる。また、可換に構成する場合には、上述のように電子ペーパー41に記憶された識別情報を電子ペーパー表示制御部40に読み出す読み取り機構を設ける。
【0043】
次に、上述した通信装置10、サーバー装置30及び電子ペーパー40の各動作について説明する。
【0044】
まず、通信装置10の動作について図5を参照して説明する。
通信装置10は、図5に示すように、まず、電子ペーパー表示制御部40から記憶部44に記憶された識別情報及び複数の公開鍵情報を受信するまで待機状態を続け(ステップS1)、これらの情報を受信すると、識別情報及び複数の公開鍵情報を集約し、自身が保有する第1の共通鍵情報で暗号化する(ステップS2)。通信装置10は、次いで、識別情報等の暗号化が完了すると、これを携帯電話20に送信する(ステップS3)。
【0045】
次に、サーバー装置30の動作について図6を参照して説明する。
サーバー装置30は、図6に示すように、まず、携帯電話20から暗号化された識別情報等を受信するまで待機状態を続け(ステップS11)、識別情報等を受信すると、自身が保有する第1の共通鍵情報により、これを復号する(ステップS12)。尚、当該第1の共通鍵情報は、通信装置10が有する第1の共通鍵情報と対を構成するものであり、サーバー装置30を管理する管理者等により予め記憶させておけばよい。
【0046】
サーバー装置30は、次いで、携帯電話20からの画像送信要求に基づき、電子ペーパー表示制御部40に送信すべき画像情報を分割する(ステップS13)。より詳しくは、画像情報をフレーム単位又はパケット単位に分割する。この分割処理は、電子ペーパー41における駆動回路のマトリックス形式に合わせて行われる。例えば本実施形態では駆動回路がソースドライバ6個とゲートドライバ3個で構成されているため、画像情報はフレーム単位等で9分割される。
【0047】
尚、駆動回路の構成数は、サーバー装置30が受信した公開鍵情報の数により判別できる。また、後述する配列情報を生成するために、画像情報を分割する際に識別番号や分割時刻を分割順に画像情報ごとに付すようにしてもよい。
【0048】
サーバー装置30は、次いで、分割された画像情報のそれぞれに対し、公開鍵情報で暗号化を行う(ステップS14)。この公開鍵情報は、ステップS12の処理で復号された公開鍵情報が使用される。これにより、暗号化された複数の画像情報が生成される。
【0049】
サーバー装置30は、次いで、複数の暗号化された画像情報を無作為に並べ替える(ステップS15)。当該並び替えは、混合合同法や平方採中法、メルセンヌ・ツイスタ、カオス乱数等、既知の擬似乱数生成法により生成された乱数に基づき行われる。
【0050】
サーバー装置30は、次いで、並び替えられた暗号化済みの画像情報を正規の順序に並び替えるための配列情報を生成する(ステップS16)。配列情報は、例えば、識別番号や時系列に並んだ画像情報の分割時刻で構成される。すなわち、分割時刻の時刻順に、分割された画像情報を並び返すことで、暗号化済みの画像情報を正規の順序に並び返すことができる。識別番号の場合であれば、例えば、昇順に並べたものを配列情報としてもよい。尚、サーバー装置30は、並び替えの処理を行わない場合には、当該処理を行わないようにしてもよい。
【0051】
サーバー装置30は、次いで、配列情報を第2の共通鍵情報により暗号化する(ステップS17)。当該第2の共通鍵情報は、サーバー装置30を管理する管理者等により予め記憶させておけばよい。
【0052】
サーバー装置30は、次いで、配列情報を複数の画像情報の先頭に付与する(ステップS18)。これにより、並べ替えられた画像情報の先頭に暗号化された配列情報が配置される。サーバー装置30は、分割された送信予定の画像情報のすべての先頭に配列情報を配置するようにしてもよい。
【0053】
サーバー装置30は、次いで、識別情報を有する電子ペーパー表示制御部40に向けて、画像送信要求を出力した携帯電話20に画像情報等を送信する(ステップS19)。
【0054】
次に、電子ペーパー表示制御部40の動作について図7及び図8を参照して説明する。
電子ペーパー表示制御部40は、図7に示すように、まず、携帯電話20から暗号化された画像情報等を受信するまで待機状態を続け(ステップS21)、画像情報等を受信すると、これを記憶する(ステップS22)。
【0055】
電子ペーパー表示制御部40は、次いで、画像情報から配列情報を抽出し(ステップS23)、当該配列情報を、自身が保有する第2の共通鍵情報により復号する(ステップS24)。尚、当該第2の共通鍵情報は、サーバー装置30が有する第2の共通鍵情報と対を構成するものであり、電子ペーパー41を管理する管理者等により予め記憶させておけばよい。
【0056】
電子ペーパー表示制御部40は、次いで、復号化された配列情報により画像情報を並び替え(ステップS25)、各画像情報をそれぞれの秘密鍵情報により復号化する(ステップS26)。これらの処理について、図8を参照して説明すると、まず、同図に示すように、無作為に並べられた暗号化済みの画像情報を復号化された配列情報により正規の順序に並び替える。そして、電子ペーパー表示制御部40内に配置された各復号化回路によりそれぞれの画像情報を復号化する。これにより、暗号化が外れた画像情報が各駆動回路41a〜41iに出力される。
【0057】
電子ペーパー表示制御部40は、次いで、各画像情報基づく画像を表示して(ステップS27)、処理を終了する。このように、電子ペーパー41が有する識別情報や公開鍵情報により、表示すべき画像の安全性が確保される。
【0058】
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態では、第1実施形態で説明した電子ペーパー表示制御部40内において、複数の公開鍵情報が繋げ合わされた情報を識別情報とし記憶するとともに、通信装置10及び電子ペーパー41にそれぞれ第3の共通鍵情報を共有させ、第3の共通鍵情報で暗号化された上記識別情報を通信装置10に送信するものである。尚、第3の共通鍵情報は、通信装置10及び電子ペーパー41を管理する管理者等により予め記憶させておけばよい。
【0059】
通信装置10は、暗号化された識別情報を受信すると、自身が保有する第3の共通鍵情報で復号化する。これにより、通信装置10と電子ペーパー41との識別情報の情報漏洩が抑制される。
【0060】
また、サーバー装置30において、各公開鍵情報により分割された画像情報を暗号化する際に、それぞれの画像情報に順次XOR(排他論理和)処理を施し、既に暗号化された画像情報により後続の画像情報が変化するように暗号化する。これにより、サーバー装置30と電子ペーパー41との画像情報の情報漏洩が抑制される。
【0061】
このように、上述した実施形態に係る画像表示システムを利用する利用者は、通信装置10、携帯電話20、電子ペーパー表示制御部40および電子ペーパー41を目的地まで携行し、その目的において、電子ペーパー41に画像を表示させる際、携帯電話20からの送信要求に基づいてサーバー装置30から送信される画像が暗号化されているため、通信中における画像から情報漏洩する可能性が減少し、画像を表示させる際には復号化された画像が表示される。また、携帯電話20に複雑な暗号化をさせる必要もないため、充電容量の減少が遅れる。
【0062】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明に係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0063】
また、上述した実施形態では、携帯電話20は、暗号化された識別情報等のサーバー装置30への送信や暗号化された画像情報等の電子ペーパー表示制御部40への送信は、これらの情報等の受信を検知した場合に、自身の機能に基づいて、転送するようにしてもよく、また、これらの情報等の受信を携帯電話20の表示画面に表示し、利用者等に送信を促せるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明によれば、携帯情報端末の蓄電容量の低下を抑制しつつ、電子ペーパー表示制御部に画像を送信するの際の情報漏洩を抑制でき、産業上の利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】画像表示システムの構成図である。
【図2】通信装置の要部構成を示す機能ブロック図である。
【図3】サーバー装置の要部構成を示す機能ブロック図である。
【図4】電子ペーパーの要部構成を示す機能ブロック図である。
【図5】通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】サーバー装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】電子ペーパーの動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】電子ペーパーにおける復号化処理を説明するための図である。
【符号の説明】
【0066】
10 通信装置
11 通信部
12 記憶部
13 暗号化部
14 制御部
20 携帯電話
30 サーバー装置
31 通信部
32 記憶部
33 画像情報分割部
34 暗号化部
35 配列情報生成部
36 制御部
40 電子ペーパー表示制御部
41 表示部(電子ペーパー)
42a〜42i 第1駆動回路〜第9駆動回路
43 通信部
44 記憶部
45 蓄電部
46 制御部
47a〜47i 第1復号回路〜第9復号回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示領域を有し書き込まれた画像を保持するメモリ性を有する電子ペーパーに対して画像を表示させ、相異なる一対の秘密鍵情報及び公開鍵情報がそれぞれに割り当てられた複数の駆動回路、電子ペーパー用識別情報が記憶された記憶回路、及び、前記各駆動回路とそれぞれ対を構成し、前記公開鍵情報により暗号化された画像情報を前記秘密鍵情報により復号する複数の復号回路を具備する電子ペーパー表示制御部と、
前記電子ペーパー用識別情報及び複数の前記公開鍵情報を集約して第1の共通鍵情報により暗号化する通信装置と、
一の画像情報から複数に分割された画像情報を、第1の共通鍵情報により復号された前記公開鍵情報によりそれぞれ暗号化し、分割元を再現可能な再現用情報と併せて、前記識別情報を有する前記電子ペーパー表示制御部に送信するサーバー装置と、
を有することを特徴とする画像表示システム。
【請求項2】
前記再現用情報は、正規の順序に並び替える配列情報を含み、
前記サーバー装置は、複数の暗号化された画像情報を無作為の順序に並べ替えて送信することを特徴とする請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項3】
前記サーバー装置は、前記再現用情報を先頭にして画像情報を送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像表示システム。
【請求項4】
前記サーバー装置及び前記電子ペーパー表示制御部はそれぞれ第2の共通鍵情報を記憶し、
前記サーバー装置は、自身の第2の共通鍵情報により前記再現用情報を暗号化し、
前記電子ペーパーは、自身の第2の共通鍵情報により前記再現用情報を復号することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項5】
前記識別情報は、前記複数の公開鍵情報を繋ぎ合わせた情報であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項6】
前記復号回路は、ストリーム暗号による暗号化を復号するための回路であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像表示システム。




【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−152774(P2009−152774A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−327685(P2007−327685)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】