説明

画像表示装置

【課題】主走査方向に共振振動を伴った光線のラスター走査において安定した画像表示を簡易に行える画像表示装置を提供する。
【解決手段】水平走査方向(主走査方向)に共振振動を伴った光線のラスター走査により投影面への画像表示が可能な画像表示装置は、水平走査方向の機械共振周波数を検出する共振点検出部を備えている。そして、画像表示に係る垂直同期周波数fvの倍数となる周波数群fp1〜fp4、fm1〜fm3から、例えば共振点検出部で検出された機械共振周波数foに最も近い周波数をラスター走査の水平走査周波数として設定する。これにより、画像表示装置において安定した画像表示を簡易に行えることとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光線のラスター走査により所定の投影面への画像表示が可能な画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ光等の光線を偏向・走査する光スキャナは、例えばバーコードリーダーやレーザープリンタ、ディスプレイ等の光学機器に利用されている。この光スキャナについては、多角柱ミラーをモータで回転させて反射光を走査するポリゴンミラーや、平面ミラーを電磁アクチュエータによって回転振動させるガルバノミラー等を有するものがある。しかし、このような光スキャナにおいては、ミラーをモータや電磁アクチュエータで駆動する機械的な駆動機構が必要となるが、その駆動機構はサイズが比較的大きく、また高価であることから、光スキャナの小型化を阻害するとともに高価格化を招くといった問題がある。
【0003】
そこで、光スキャナの小型化、低価格化および生産性の向上を図るために、半導体製造技術を応用したシリコンやガラスを微細加工するマイクロマシニング技術を用いてミラーや弾性梁等の構成部品が一体成形されたマイクロ光スキャナの開発が進んでいる。
【0004】
そして、上述の光スキャナを2組配置し、各々のミラーで反射される光線をラスター走査することにより投影面に2次元画像を表示させる画像表示装置がある。
【0005】
このような画像表示装置では、表示画像に係る画像信号とラスター走査(水平走査および垂直走査)との間で同期をとることにより安定した画像表示が可能である。しかし、大きな幅の水平走査出力を得るために一般にミラー部の共振振動が行われる水平走査において、この共振振動に係る共振周波数(水平走査周波数)と画像信号の水平同期周波数とを合致させて同期をとるのは容易でない。この同期をとるための技術としては、例えば次の(i)〜(iii)に示すものが知られている。
【0006】
(i)光スキャナの設計段階や製造段階において、画像信号の水平同期周波数に略一致するような共振周波数に作り込んでおく。
【0007】
(ii)画像フレーム(画像信号)を一時的にバッファメモリに記憶しておくとともに、共振振動を行う水平走査の駆動信号からPLL回路を用いて読出しクロックを生成し、このクロックに基づき上記のバッファメモリから各水平ラインの画像信号を読出すようにする(例えば特許文献1参照)。
【0008】
(iii)共振周波数を調整可能な構造を有する光スキャナを用いる。例えば特許文献2に開示される技術のように、振動体(ミラー部)から伸びる可撓性腕部に電界を作用させて曲げることにより振動体の慣性モーメント等を変化させて共振周波数を調整する。
【0009】
【特許文献1】特開平11−146222号公報
【特許文献2】特表2004−518992号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記(i)の技術では、温度等の環境変化や経時変化によって共振周波数が変動すると水平走査出力(水平走査幅)が大幅に変化する可能性があり、水平走査方向(主走査方向)に共振振動を伴った光線のラスター走査において安定した画像表示が困難となる。
【0011】
一方、上記(ii)の技術においては、上述したPLL回路等が必要となるため、装置構成が複雑化してしまう。
【0012】
また、上記(iii)の技術では、共振周波数を調整できるものの、その調整のための構造が複雑となる。
【0013】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、主走査方向に共振振動を伴った光線のラスター走査において安定した画像表示を簡易に行える画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、光線のラスター走査により所定の投影面への画像表示が可能な画像表示装置であって、(a)所定の光源から発せられた光線を反射する反射面を有する可動部を、第1軸の回りに揺動させる第1のアクチュエータと、(b)前記可動部を、前記第1軸と略直角に交差する第2軸の回りに揺動させる第2のアクチュエータと、(c)第1周波数で繰り返される第1駆動信号に基づき前記第1のアクチュエータを駆動して前記第1軸回りに前記可動部を揺動振動させることにより、前記反射面で反射される光線を前記ラスター走査に係る主走査方向に走査する主走査手段と、(d)第2周波数で繰り返される第2駆動信号に基づき前記第2のアクチュエータを駆動して前記第2軸回りに前記可動部を揺動させることにより、前記反射面で反射される光線を前記ラスター走査に係る副走査方向に走査する副走査手段とを備え、前記主走査手段は、(c-1)前記可動部の揺動振動に関する共振周波数に相当する周波数を検出する検出手段と、(c-2)前記第2周波数に基づき算出される特定の周波数のうち、前記共振周波数付近の周波数を、前記第1周波数として設定する設定手段とを有する。
【0015】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る画像表示装置において、前記特定の周波数は、前記第2周波数のn倍(ただしnは自然数)である。
【0016】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る画像表示装置において、前記特定の周波数は、前記第2周波数の(n+0.5)倍(ただしnは自然数)である。
【0017】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明に係る画像表示装置において、前記設定手段は、前記特定の周波数のうち、前記共振周波数に最も近い周波数を、前記第1周波数として設定する手段を有する。
【0018】
また、請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかの発明に係る画像表示装置において、前記主走査手段は、前記第1駆動信号として、前記第2周波数に基づき算出される複数の周波数それぞれで繰り返される各駆動信号を生成する信号生成手段を有するとともに、前記検出手段は、前記信号生成手段で生成される各駆動信号に基づき前記第1のアクチュエータを駆動して前記第1軸回りに前記可動部を揺動振動させ、前記各駆動信号における前記可動部の揺動角の振幅を比較することにより、前記共振周波数に相当する周波数を検出する手段を有する。
【0019】
また、請求項6の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかの発明に係る画像表示装置において、前記主走査手段は、前記第1駆動信号として、前記第2周波数に基づき算出される複数の周波数それぞれで繰り返される各駆動信号を生成する信号生成手段を有するとともに、前記検出手段は、前記信号生成手段で生成される各駆動信号に基づき前記第1のアクチュエータを駆動して前記第1軸回りに前記可動部を揺動振動させ、前記各駆動信号における前記可動部の揺動角の位相を比較することにより、前記共振周波数に相当する周波数を検出する手段を有する。
【0020】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかの発明に係る画像表示装置において、前記検出手段で検出される周波数は、前記第2周波数に基づき算出される周波数である。
【0021】
また、請求項8の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれかの発明に係る画像表示装置において、前記設定手段は、前記検出手段で検出される共振周波数の変化に伴って前記第1周波数を変更する変更手段を有し、前記変更手段による変更前後の第1周波数それぞれで繰り返される各駆動信号における前記可動部の揺動角の位相は略等しい。
【0022】
また、請求項9の発明は、光線のラスター走査により所定の投影面への画像表示が可能な画像表示装置であって、(a)所定の光源から発せられた光線を反射する反射面を有する可動部を、第1軸の回りに揺動させる第1のアクチュエータと、(b)前記可動部を、前記第1軸と略直角に交差する第2軸の回りに揺動させる第2のアクチュエータと、(c)第1周波数で繰り返される第1駆動信号に基づき前記第1のアクチュエータを駆動して前記第1軸回りに前記可動部を揺動振動させることにより、前記反射面で反射される光線を前記ラスター走査に係る主走査方向に走査する主走査手段と、(d)第2周波数で繰り返される第2駆動信号に基づき前記第2のアクチュエータを駆動して前記第2軸回りに前記可動部を揺動させることにより、前記反射面で反射される光線を前記ラスター走査に係る副走査方向に走査する副走査手段とを備え、前記主走査手段は、(c-1)前記第2周波数に基づき算出される特定の周波数のうち、前記可動部の揺動振動に関する共振周波数付近の周波数を、前記第1周波数として設定する設定手段を有する。
【0023】
また、請求項10の発明は、光線のラスター走査により所定の投影面への画像表示が可能な画像表示装置であって、(a)所定の光源から発せられた光線を反射する第1の反射面を有する第1可動部を、第1軸の回りに揺動させる第1のアクチュエータと、(b)前記第1の反射面で反射された光線を反射する第2の反射面を有する第2可動部を、第2軸の回りに揺動させる第2のアクチュエータと、(c)第1周波数で繰り返される第1駆動信号に基づき前記第1のアクチュエータを駆動して前記第1軸回りに前記第1可動部を揺動振動させることにより、前記第1の反射面で反射される光線を前記ラスター走査に係る主走査方向に走査する主走査手段と、(d)第2周波数で繰り返される第2駆動信号に基づき前記第2のアクチュエータを駆動して前記第2軸回りに前記第2可動部を揺動させることにより、前記第2の反射面で反射される光線を前記ラスター走査に係る副走査方向に走査する副走査手段とを備え、前記主走査手段は、(c-1)前記第2周波数に基づき算出される特定の周波数のうち、前記第1可動部の揺動振動に関する共振周波数付近の周波数を、前記第1周波数として設定する設定手段を有する。
【0024】
また、請求項11の発明は、光線のラスター走査により所定の投影面への画像表示が可能な画像表示装置であって、(a)所定の光源から発せられた光線を反射する第1の反射面を有する第1可動部を、第1軸の回りに揺動させる第1のアクチュエータと、(b)前記第1の反射面で反射された光線を反射する第2の反射面を有する第2可動部を、第2軸の回りに揺動させる第2のアクチュエータと、(c)第1周波数で繰り返される第1駆動信号に基づき前記第2のアクチュエータを駆動して前記第2軸回りに前記第2可動部を揺動振動させることにより、前記第2の反射面で反射される光線を前記ラスター走査に係る主走査方向に走査する主走査手段と、(d)第2周波数で繰り返される第2駆動信号に基づき前記第1のアクチュエータを駆動して前記第1軸回りに前記第1可動部を揺動させることにより、前記第1の反射面で反射される光線を前記ラスター走査に係る副走査方向に走査する副走査手段とを備え、前記主走査手段は、(c-1)前記第2周波数に基づき算出される特定の周波数のうち、前記第2可動部の揺動振動に関する共振周波数付近の周波数を、前記第1周波数として設定する設定手段を有する。
【0025】
また、請求項12の発明は、光線のラスター走査により所定の投影面への画像表示が可能な画像表示装置であって、(a)所定の光源から発せられた光線を反射する反射面を有する可動部を第1軸の回りに揺動させる第1揺動手段と、前記可動部を前記第1軸と略直角に交差する第2軸の回りに揺動させる第2揺動手段とを有するアクチュエータ部と、(b)第1周波数で繰り返される第1駆動信号に基づき前記第1揺動手段を用いて前記第1軸回りに前記可動部を揺動振動させることにより、前記反射面で反射される光線を前記ラスター走査に係る主走査方向に走査する主走査手段と、(d)第2周波数で繰り返される第2駆動信号に基づき前記第2揺動手段を用いて前記第2軸回りに前記可動部を揺動させることにより、前記反射面で反射される光線を前記ラスター走査に係る副走査方向に走査する副走査手段とを備え、前記主走査手段は、(c-1)前記第2周波数に基づき算出される特定の周波数のうち、前記可動部の揺動振動に関する共振周波数付近の周波数を、前記第1周波数として設定する設定手段を有する。
【発明の効果】
【0026】
請求項1から請求項8の発明によれば、第1周波数で繰り返される第1駆動信号に基づき第1のアクチュエータを駆動して第1軸回りに可動部を揺動振動させることにより、可動部の反射面で反射される光線をラスター走査に係る主走査方向に走査するとともに、第2周波数で繰り返される第2駆動信号に基づき第2のアクチュエータを駆動して第2軸回りに可動部を揺動させることにより、可動部の反射面で反射される光線をラスター走査に係る副走査方向に走査する。そして、可動部の揺動振動に関する共振周波数に相当する周波数を検出し、第2周波数に基づき算出される特定の周波数のうち共振周波数付近の周波数を第1周波数として設定する。その結果、主走査方向に共振振動を伴った光線のラスター走査において安定した画像表示を簡易に行える。
【0027】
特に、請求項2の発明においては、特定の周波数は、第2周波数のn倍(ただしnは自然数)であるため、適切な第1周波数を容易に決定できる。
【0028】
また、請求項3の発明においては、特定の周波数は、第2周波数の(n+0.5)倍(ただしnは自然数)であるため、適切な第1周波数を容易に決定できる。
【0029】
また、請求項4の発明においては、特定の周波数のうち共振周波数に最も近い周波数を第1周波数として設定するため、可動部において大きな揺動振動が得られる。
【0030】
また、請求項5の発明においては、第2周波数に基づき算出される複数の周波数それぞれで繰り返される各駆動信号に基づき第1のアクチュエータを駆動して第1軸回りに可動部を揺動振動させ、各駆動信号における可動部の揺動角の振幅を比較することにより、共振周波数に相当する周波数を検出する。その結果、共振周波数を効率良く検出できる。
【0031】
また、請求項6の発明においては、第2周波数に基づき算出される複数の周波数それぞれで繰り返される各駆動信号に基づき第1のアクチュエータを駆動して第1軸回りに可動部を揺動振動させ、各駆動信号における可動部の揺動角の位相を比較することにより、共振周波数に相当する周波数を検出する。その結果、共振周波数を効率良く検出できる。
【0032】
また、請求項7の発明においては、検出手段で検出される周波数は、第2周波数に基づき算出される周波数であるため、共振周波数を効率良く検出できる。
【0033】
また、請求項8の発明においては、検出手段で検出される共振周波数の変化に伴って第1周波数を変更する際には、変更前後の第1周波数それぞれで繰り返される各駆動信号における可動部の揺動角の位相は略等しいため、より安定した画像表示を行える。
【0034】
また、請求項9の発明によれば、第1周波数で繰り返される第1駆動信号に基づき第1のアクチュエータを駆動して第1軸回りに可動部を揺動振動させることにより、可動部の反射面で反射される光線をラスター走査に係る主走査方向に走査するとともに、第2周波数で繰り返される第2駆動信号に基づき第2のアクチュエータを駆動して第2軸回りに可動部を揺動させることにより、可動部の反射面で反射される光線をラスター走査に係る副走査方向に走査する。そして、第2周波数に基づき算出される特定の周波数のうち、可動部の揺動振動に関する共振周波数付近の周波数を第1周波数として設定する。その結果、主走査方向に共振振動を伴った光線のラスター走査において安定した画像表示を簡易に行える。
【0035】
また、請求項10の発明によれば、第1周波数で繰り返される第1駆動信号に基づき第1のアクチュエータを駆動して第1軸回りに第1可動部を揺動振動させることにより、第1可動部の第1の反射面で反射される光線をラスター走査に係る主走査方向に走査するとともに、第2周波数で繰り返される第2駆動信号に基づき第2のアクチュエータを駆動して第2軸回りに第2可動部を揺動させることにより、第2可動部の第2の反射面で反射される光線をラスター走査に係る副走査方向に走査する。そして、第2周波数に基づき算出される特定の周波数のうち、第1可動部の揺動振動に関する共振周波数付近の周波数を第1周波数として設定する。その結果、主走査方向に共振振動を伴った光線のラスター走査において安定した画像表示を簡易に行える。
【0036】
また、請求項11の発明によれば、第1周波数で繰り返される第1駆動信号に基づき第2のアクチュエータを駆動して第2軸回りに第2可動部を揺動振動させることにより、第2可動部の第2の反射面で反射される光線をラスター走査に係る主走査方向に走査するとともに、第2周波数で繰り返される第2駆動信号に基づき第1のアクチュエータを駆動して第1軸回りに第1可動部を揺動させることにより、第1可動部の第1の反射面で反射される光線をラスター走査に係る副走査方向に走査する。そして、第2周波数に基づき算出される特定の周波数のうち、第2可動部の揺動振動に関する共振周波数付近の周波数を第1周波数として設定する。その結果、主走査方向に共振振動を伴った光線のラスター走査において安定した画像表示を簡易に行える。
【0037】
また、請求項12の発明によれば、第1周波数で繰り返される第1駆動信号に基づき第1軸回りに可動部を揺動振動させることにより、可動部の反射面で反射される光線をラスター走査に係る主走査方向に走査するとともに、第2周波数で繰り返される第2駆動信号に基づき第2軸回りに可動部を揺動させることにより、可動部の反射面で反射される光線をラスター走査に係る副走査方向に走査する。そして、第2周波数に基づき算出される特定の周波数のうち、可動部の揺動振動に関する共振周波数付近の周波数を第1周波数として設定する。その結果、主走査方向に共振振動を伴った光線のラスター走査において安定した画像表示を簡易に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
<第1実施形態>
<画像表示装置の構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像表示装置100Aの外観を示す図である。
【0039】
画像表示装置100Aは、箱型の形状を有しており、スクリーン9に映像(画像)を投影するプロジェクタ装置として構成されている。この画像表示装置100Aでは、投影面であるスクリーン9に向けて照射される光線のラスター走査RSを行うことにより、スクリーン9への2次元画像の表示が可能となっている。このラスター走査RSでは、例えば表示画像の上端における開始位置Qaから、表示画像の下端における終了位置Qbまで光線が連続的に走査されることで、1回の画像表示が完了することとなる。なお、位置Qbまで光線が走査されると、次の画像表示のために位置Qaに復帰する垂直走査(および水平走査)が画像表示を伴わない垂直ブランキング期間中に行われる。
【0040】
画像表示装置100Aの内部には、図2に示す光スキャナ1と、光スキャナ1に向けて光線(例えばレーザ光)LTを発する光源50とが設けられている。
【0041】
光スキャナ1は、Y軸(図6参照)に平行な第1軸Ayと、X軸(図6参照)に平行で第1軸Ayと略直角に交差する第2軸Axとを中心とした回動が可能なミラー部11を備えている。このミラー部11が第1軸Ayおよび第2軸Axにおいて2次元的に回動することにより、ミラー部11で反射された光源50からの光線LTをラスター走査RSすることができる。光スキャナ1の具体的な構成については、後で詳述する。
【0042】
図3は、画像表示装置100Aの機能構成を示すブロック図である。
【0043】
画像表示装置100Aは、上述した光スキャナ1および光源50を備えるとともに、光スキャナ1の駆動制御を行う光スキャナ制御部6と、光源50を駆動し光線LTの変調が可能な光源駆動回路51と、光源駆動回路51を制御する画像信号制御部52とを有している。
【0044】
光スキャナ制御部6は、ミラー部11に関する第1軸Ay(図2)回りの回動、つまり水平方向の駆動を制御する水平駆動制御部6aと、ミラー部11に関する第2軸Ax(図2)回りの回動、つまり垂直方向の駆動を制御する垂直駆動制御部6bとを有している。なお、水平駆動制御部6aについては、後で詳述する。
【0045】
画像信号制御部52は、例えば画像表示装置100Aの外部から入力された画像信号に基づき光源50を制御するための制御信号を生成する。そして、この制御信号に基づき光源駆動回路51を介して光源50の制御(例えば点灯・消灯の制御や発光強度の制御)を行うことにより、入力された画像信号に基づく適切な画像表示がスクリーン9で行える。この画像信号制御部52については、後で詳述する。
【0046】
また、画像表示装置100Aは、第1軸Ay(図2)を中心に揺動するミラー部11の角度(変位角)を検出する角度検出部55と、ミラー部11の揺動振動に関する共振点(共振周波数)を検出する共振点検出部56とを備えている。
【0047】
角度検出部55は、位置検出センサとして図4に示すフォトリフレクタ(PR)550を有している。そして、ミラー部11の裏面Sb(後述)で反射された光線LPが入射する位置をフォトリフレクタ550で検知することにより、ミラー部11の角度が検出される。
【0048】
また、角度検出部55は、フォトリフレクタ550で得られたミラー部11の角度情報を用いて、揺動するミラー部11の振幅を検知することが可能である。このミラー部11の振幅検知について以下で説明する。
【0049】
揺動振動を行うミラー部11の変位角は図5に示すように単振動の波形として表わされることから、その波形のエンベロープEN(破線部)はミラー部11の変位角の振幅を示している。よって、このエンベロープENに対して例えばピーク検出回路を用いた最大振幅の検出や検波回路を用いたエンベロープENの復調によって、ミラー部11の変位角の振幅検知が可能となる。
【0050】
また、角度検出部55は、フォトリフレクタ550で得られたミラー部11の角度情報を用いて、揺動するミラー部11の位相を検知できる。具体的には、水平走査周波数信号発生部63(後述)で生成される駆動信号の位相を基準として、フォトリフレクタ550から出力される検出信号との位相差を検出することで、ミラー部11の変位角の位相検知が可能である。
【0051】
共振点検出部56は、角度検出部55で検出されたミラー部11の変位角の振幅や位相に基づき、ミラー部11の揺動振動に関する機械共振周波数を検出する。例えば、後述する周波数群fp1〜fp3、fm1〜fm3(図14)の各駆動信号で順番にミラー部11を揺動振動させた場合に、ミラー部11の変位角の振幅が最大となる周波数を機械共振周波数に相当する周波数と判断する。
【0052】
以下では、光スキャナ1の要部構成を説明する。
【0053】
<光スキャナ1の要部構成>
図6は、光スキャナ1の要部構成を示す平面図である。また、図7は、図6のVII−VII位置から見た断面図である。
【0054】
光スキャナ1は、「ロ」字状の板状部材として構成され不図示の筐体等に固定されているフレーム部10と、フレーム部10に内包されミラー部11を弾性的に保持する「ロ」字状の保持部材12とを備えている。また、光スキャナ1では、弾性変形を行うトーションバー部13、14により、保持部材12が加振部2を介してフレーム10に連結するとともに、ミラー部11が保持部材12に連結する。
【0055】
ミラー部11は、円板状の形状を有しており、その表面Saおよび裏面Sbは、光源50から発せられた光線LTを反射する反射面として機能する。すなわち、ミラー部11の表面Saおよび裏面Sbには、例えば金やAl(アルミニウム)等の金属薄膜による反射膜が形成されており、入射光線の反射率を向上させる構成となっている。
【0056】
トーションバー部13は、Y軸と平行なミラー部11の第1軸Ayに沿って保持部材12から加振部2まで伸びている2つのトーションバー13a、13bからなっている。このようなトーションバー部13により、ミラー部11を保持する保持部材12は、加振部2に対して弾性的に支持されることとなる。
【0057】
同様にトーションバー部14についても、X軸と平行なミラー部11の第2軸Axに沿ってミラー部11の両端部から保持部材12まで伸びている2つのトーションバー14a、14bからなっている。
【0058】
加振部2は、トーションバー13aに接続する板状部材としての曲がり梁21、22と、トーションバー13bに接続する板状部材としての曲がり梁23、24とを有している。これらの曲がり梁21〜24、フレーム部10、ミラー部11、保持部材12、および各トーションバー13a、13b、14a、14bについては、例えばシリコン基板の異方性エッチングにより一体的に形成されている。
【0059】
また、加振部2は、曲がり梁21〜24の各上面に例えば接着剤によって貼付されている電気−機械変換素子としての圧電素子31〜34を備えている。この圧電素子31〜34は、ミラー部11を第1軸Ayの回りに揺動させる圧電振動子(圧電アクチュエータ)として構成されており、各圧電素子31〜34と各曲がり梁21〜24とによって4つのユニモルフ部Ua〜Udが形成される。
【0060】
また、圧電素子31〜34それぞれは、表面および裏面に上部電極Euおよび下部電極Edが設けられている(図7)。そして、圧電素子31〜34の上部電極Euには、それぞれフレーム部10に設けられた電極パッド31u〜34uが例えばワイヤを介して電気的に接続されているとともに、圧電素子31〜34の下部電極Edには、それぞれフレーム部10に設けられた電極パッド31d〜34dが例えばワイヤを介して電気的に接続されている。このような電極パッドを介して光スキャナ1の外部から圧電素子31〜34それぞれに駆動電圧を印加できることとなる。
【0061】
以上のような光スキャナ1の構成により、電極パッド31u〜34u、31d〜34dを介して圧電素子31〜34に駆動電圧を印加することで曲がり梁21〜24において曲げ変形が生じることとなる。このように曲がり梁21〜24で曲がりが生じることにより、トーションバー13a、13bおよび保持部材12を介しミラー部11に対して第1軸Ay回りに回転トルクが与えられ、可動部として働くミラー部11を第1軸Ayを中心に揺動振動を行わせることが可能となる。このミラー部11の揺動振動動作について、詳しく説明する。
【0062】
図8は、ミラー部11の揺動振動動作を説明するための図である。ここで、図8(a)および図8(b)は、図6のVI−VI位置から見た断面を示す図7に対応している。なお、図8(a)および図8(b)においては、説明の便宜上、保持部材12の図示を省略している。
【0063】
光スキャナ1においては、圧電素子31〜34に対して上部電極Euと下部電極Edとの間に分極反転が生じない範囲の交流電圧を印加することにより、圧電素子31〜34は伸縮し、ユニモルフ的に厚み方向に変位することとなる。
【0064】
そこで、圧電素子31に対して長手方向(X軸方向)に伸長させる駆動電圧を印加するとともに、この駆動電圧と逆位相の駆動電圧を圧電素子32に印加して圧電素子32を収縮させることにより、一端がフレーム部10に連結するユニモルフ部Ua、Ubにおいて、図8(a)に示すように曲がり梁21を下方に湾曲させる一方、曲がり梁22を上方に湾曲させる。同様に、圧電素子33および圧電素子34に対しても、圧電素子31および圧電素子32それぞれと同位相の駆動電圧を印加することにより、曲がり梁23を下方に湾曲させる一方、曲がり梁24を上方に湾曲させる。これにより、トーションバー13a、13bを介しミラー部11において第1軸Ay回りの回転トルクが生じるため、図8(a)に示すようにミラー部11は第1軸Ayを中心として方向Daに傾くこととなる。
【0065】
また、圧電素子32に対して長手方向(X軸方向)に伸長させる駆動電圧を印加するとともに、この駆動電圧と逆位相の駆動電圧を圧電素子31に印加して圧電素子31を収縮させることにより、一端がフレーム部10に連結するユニモルフ部Ua、Ubにおいて、図8(b)に示すように曲がり梁21を上方に湾曲させる一方、曲がり梁22を下方に湾曲させる。同様に、圧電素子33および圧電素子34に対しても、圧電素子31および圧電素子32それぞれと同位相の駆動電圧を印加することにより、曲がり梁23を上方に湾曲させる一方、曲がり梁24を下方に湾曲させる。これにより、トーションバー13a、13bを介しミラー部11において第1軸Ay回りの回転トルクが生じるため、図8(b)に示すようにミラー部11は第1軸Ayを中心として回動方向Dbに傾斜することとなる。
【0066】
このようにミラー部11を方向Da(図8(a))および方向Db(図8(b))に回動させる交流の駆動電圧を圧電素子31〜34に印加するようにすれば、この印加電圧に追従した上下方向の振動がユニモルフ部Ua〜Udで繰り返されるため、トーションバー13a、13bにシーソー的な回転トルクが生じ、保持部材12を介してミラー部11は所定の角度範囲で揺動振動することとなる。すなわち、水平走査周波数(第1周波数)で繰り返される駆動信号(図10参照)に基づき圧電素子31〜34を駆動して第1軸Ay回りにミラー部11を揺動振動させることにより、ミラー部11の反射面で反射される光線LTをラスター走査RS(図2)に係る水平方向(主走査方向)に走査できる。
【0067】
ここで、ミラー部11の揺動角度が小さい場合には、圧電素子31〜34に印可する交流電圧の周波数を、光スキャナ1に関する機械振動系の共振周波数に設定することにより、ミラー部11が共振振動されるため、光スキャナ1として大きな偏向角度(光走査角度)が得られるようになる。
【0068】
また、図6に示すように、光スキャナ1には圧電素子31〜34に対応する4つの圧電素子(圧電アクチュエータ)35〜38が保持部材12上に設けられており、これにより上述した第1軸Ayと同様に第2軸Axの回りにミラー部11を揺動させることが可能である。すなわち、保持部材12上の圧電素子35〜38を駆動して第2軸Ax回りにミラー部11を揺動させることにより、ミラー部11の反射面で反射される光線をラスター走査RS(図1)に係る垂直方向(副走査方向)に走査できる。このようにミラー部11を第2軸Axの回りに揺動させる手段(第2揺動手段)として機能する圧電素子35〜38と、上述のようにミラー部11を第1軸Ayの回りに揺動させる手段(第1揺動手段)として機能する圧電素子31〜34とにより、光線のラスター走査RSに必要なアクチュエータ部が構成されることとなる。
【0069】
以下では、光スキャナ1のミラー部11を、その機械共振に関する共振周波数で水平方向(第1軸Ayの回り)に駆動するための水平駆動制御部6aについて説明する。
【0070】
<水平駆動制御部6aについて>
図9は、水平駆動制御部6aの要部構成を説明するためのブロック図である。
【0071】
水平駆動制御部6aは、圧電素子31〜34に電圧印加を行って光スキャナ1を水平方向(第1軸Ayの回り)に駆動する水平駆動回路61を備えるとともに、水平読出し周波数信号発生部62と水平走査周波数信号発生部63とを有している。
【0072】
水平読出し周波数設定部62は、角度検出部55で検出されるミラー部11の変位角から共振点検出部56で得られた機械共振周波数に基づき、水平読出し周波数frh(後述)を設定する。この水平読出し周波数設定部62で設定された水平読出し周波数frhの情報は、水平走査周波数設定部63に入力される。
【0073】
水平走査周波数信号発生部63は、光スキャナ1の水平方向の駆動に関して、例えば図10に示すような単振動の駆動信号を出力する。この駆動信号は、例えば読出し周波数設定部62で設定された水平読出し周波数frhの半分の周波数で繰り返される信号であって、ミラー部11の揺動振動に関する機械共振周波数近傍の周波数成分を有する信号として構成されている。
【0074】
ここで、光スキャナ1による光線LTのラスター走査RSが毎回の画像表示において固定化されるためには、水平読出し周波数設定部62で設定される画像信号の水平同期周波数fhと垂直同期周波数fvとの関係は、水平走査線数(ライン数)をn(nは整数)とすると次の式(1)を満足させる必要がある。
【0075】
fh=fv・n ・・・・・・・・(1):
例えばXGA(表示画素数1024×768、水平全画素1344)の画像表示規格での画像表示を行う場合には、垂直同期周波数fv=60Hz、水平走査線数n=806本(このうち画像表示ライン数q=768本)とすると、上式(1)により水平同期周波数fhは48.36kHzとなる。
【0076】
<画像信号制御部52について>
画像表示装置100Aでは、光源50の出力を必要最小限に抑えつつ表示画面の明るさを確保するために、ラスター走査RSの水平走査において画像の往復表示が行われる。この画像の往復表示を行うための画像信号制御部52の構成を、以下で説明する。
【0077】
図11は、画像信号制御部52の要部構成を説明するための図である。なお、図11中の太線は、画像信号の流れを示している。
【0078】
画像信号制御部52は、FIFO(First In Fast Out(先入れ先出し))ラインメモリ521と、FILO(First In Last Out(先入れ後出し))ラインメモリ522と、切替えスイッチ523と、FIFOフレームメモリ524とを備えている。
【0079】
FIFOラインメモリ521は、例えば外部から入力される画像信号(以下では「入力画像データ」ともいう)について1水平ライン分の画像データを1水平時間(=水平読出し周波数frhの逆数)だけ遅延させて出力する。
【0080】
一方、FILOラインメモリ522は、入力画像データについて1水平ライン分の画像データに関するデータ並びの反転を行い、1水平時間だけ遅延させて出力する。
【0081】
切替えスイッチ523は、FIFOラインメモリ521またはFILOラインメモリ522から出力された1水平ライン分の画像データを、1水平時間毎に切替えてFILOフレームメモリ524に出力する。
【0082】
FIFOフレームメモリ524は、入力画像データに関する1フレーム分の画像データの記憶が可能である。そして、切替えスイッチ523から出力された1水平ライン分の画像データが1フレーム分蓄積されると、その1フレーム分の画像データが光源駆動回路51に出力される。
【0083】
以上の構成を有する画像信号制御部52の動作を、以下で説明する。
【0084】
図12は、画像信号制御部52の動作を説明するための図である。ここで、図12(a)および図12(b)は、時間経過に対するデータの変化(データの流れ)を表している。そして、図12(a)では、図11の各ポイントPa〜Pdにおける1水平ライン毎の画像データの流れを示し、図12(b)では、図11の各ポイントPd、Peにおける1フレーム毎の画像データの流れを示している。また、図12(a)における「A」および「B」は奇数行および偶数行の水平ラインを示し、「A」または「B」に添えられた数字「1」〜「403」は奇数行または偶数行におけるライン番号を示すとともに、「−」はFILOラインメモリ522によってデータ並びが反転された1水平ライン分の画像データを示している。また、図12(b)における「F」は1フレーム分の画像データ(画像フレーム)を示し、「F」に添えられた数字「1」〜「3」・・は、フレーム番号を示している。
【0085】
ポイントPaにおいては、画像信号制御部52に入力された入力画像データに基づき、1水平ライン毎に順番に並んだデータ列が形成されている。
【0086】
ポイントPbにおいては、入力画像データの1水平ライン分が書込みクロックwc(図11)、例えば周波数65MHz(=水平同期周波数fh(48.36kHz)×水平全画素1344)でFIFOラインメモリ521に書き込まれた後、次の1水平時間に同じ周波数の読出しクロックrc1(図11)で読出されることにより、ポイントPaに対して1水平時間だけ遅延した奇数行のデータ列が形成される。
【0087】
ポイントPcにおいては、入力画像データの1水平ライン分が書込みクロックwc(図11)でFILOラインメモリ522に書き込まれた後、次の1水平時間に同じ周波数の読出しクロックrc1(図11)で読出されることにより、ポイントPaに対して1水平時間だけ遅延し、かつ左右のデータ並びが反転した偶数行のデータ列が形成される。
【0088】
ポイントPdにおいては、ポイントPbおよびポイントPcにおける上述のデータ列を1水平ライン毎、つまり1水平時間毎に切替えスイッチ523で切替えて得られたデータ列が形成される。このデータ列は、ポイントPaのデータ列に対して1水平時間遅延するとともに偶数行のみデータ並びが反転されたデータ列となっており、書込みクロックwc(図11)でFIFOフレームメモリ524に書込まれる。
【0089】
ポイントPeにおいては、FIFOフレームメモリ524に記憶された画像フレームが次の1垂直時間に読出しクロックrc2(図11)で読出されることにより、図12(b)のようにポイントPdに対して1垂直時間だけ遅延した画像フレームのデータ列が形成される。ここでは、読出しクロックrc2を上記の書込みクロックwc以上の周波数とすることにより、FIFOフレームメモリ524から画像フレームを読出す動作と並行して次の画像フレームをFIFOフレームメモリ524に記憶する動作が可能となるため、1垂直時間の遅延を伴った画像フレームのデータ列をFIFOフレームメモリ524から連続的に出力できることとなる。そして、このような読出しクロックrc2によるFIFOフレームメモリ524からの画像フレームの読出しでは、図13に示すように1水平期間Thの間に設定された1水平ライン表示期間Thrにおいて1水平ライン分の画像データが高速で読み出されて表示されることにより、安定した画像表示が可能となる。
【0090】
なお、上述した読出しクロックrc2については、FIFOフレームメモリ524を有する画像信号制御部52内で生成すれば良く、従来のように読出しクロックとしてPLL回路等を用いて機械共振周波数に同期させたクロック信号を生成する必要はない。
【0091】
以上のような画像信号制御部52の動作により、1水平ライン毎に左右のデータ並びが反転された画像フレームが出力されるため、この画像フレームに基づき光源駆動回路51が光源50の光線LTの変調を行えば、ラスター走査RSの水平走査において適切な画像の往復表示が可能となる。
【0092】
<水平読出し周波数設定部62の動作について>
水平駆動制御部6aの水平読出し周波数設定部62においては、共振点検出部56で検出された機械共振周波数に基づき選択された水平走査周波数から求められる水平読出し周波数frhを設定する動作を行うが、これに関して以下で詳しく説明する。
【0093】
光スキャナ1による光線LTのラスター走査RSが固定化、つまり順次に表示される画像間で各走査線の位置が重なるためには、水平読出し周波数frhは、水平走査で画像の片道表示を行う一般的な場合には上記の式(1)と同様に垂直同期周波数をfv、水平走査線数(ライン数)をm(mは画像表示ライン数q以上の整数)とすると、次の式(2)を満足させる必要がある。
【0094】
frh=fv・m ・・・・・・・(2):
ただし、本実施形態の画像表示装置100Aは、画像の往復表示を伴った水平走査(以下では「往復表示走査」ともいう)を行うため、水平走査方向に関する光スキャナ1の揺動振動の周波数である水平走査周波数fmhdは、次の式(3)のように水平読出し周波数frhの(1/2)となる。
【0095】
fmhd=frh/2 ・・・・・(3):
よって、上式(3)に式(2)を代入すると、次の式(4)が得られる。
【0096】
fmhd=fv・m/2 ・・・・(4):
ここで、往復表示走査による表示画像間で走査線の位置と走査方向とが一致するためには、水平走査線数mは偶数となる必要があるので、次の式(5)が成立する。
【0097】
m=2p ・・・・・・・・・・・(5):
ただし、pは整数である。
【0098】
したがって、上式(5)を上記の式(4)に代入すると、次の式(6)が得られる。
【0099】
fmhd=fv・p ・・・・・・(6):
以上のことから、往復表示走査を実施する画像表示装置100Aでは、上記の式(6)を満たす条件、つまり垂直同期周波数fvのn倍(ただしnは自然数)となる水平走査周波数fmhdの候補から、例えば光スキャナ1に関する機械共振周波数付近の水平走査周波数を選択すれば、ラスター走査RSによる画像表示を安定して行えることとなる。これに関して、以下で詳しく説明する。
【0100】
図14は、水平走査周波数の候補について説明するための図である。この図14においては、横軸が周波数を示し、図14(a)および図14(b)の縦軸が光スキャナ1による光走査出力の振幅および位相を示している。なお、図14中の「fo」は光スキャナ1における機械共振周波数を表している。
【0101】
上記の式(6)を満たす水平走査周波数fmhdを、図14(a)に示すように例えば機械共振周波数foから周波数が大きくなる方向に第1番目の周波数fp1、第2番目の周波数fp2、第3番目の周波数fp3、・・・とし、機械共振周波数foから周波数が小さくなる方向に第1番目の周波数fm1、第2番目の周波数fm2、第3番目の周波数fm3、・・・とすると、これらの周波数が、水平走査周波数信号発生部63で生成する駆動信号の周波数(水平走査周波数)の候補となる。換言すれば、機械共振周波数fo周辺における候補の周波数群fp1〜fp4、fm1〜fm3から1つの水平走査周波数fmhdを選択することで、安定した画像表示が可能となる。
【0102】
以下では、共振点検出部56で得られた機械共振周波数foの情報を用いて、図14に示す周波数群fp1〜fp4、fm1〜fm3から、水平読出し周波数設定部62における水平読出し周波数frhの設定で用いられる水平走査周波数fmhdを選択する3つの手法(1)〜(3)を説明する。
【0103】
(1)機械共振周波数に最も近い周波数を選択
共振点検出部56で検出された機械共振周波数foに最も近い水平走査周波数を選択する。例えば図14(a)に示す場合には、機械共振周波数foに近接する周波数fp1が水平走査周波数fmhdとして選択される。このように垂直同期周波数(垂直走査周波数)fvに基づき上式(6)で算出される特定の周波数fp1〜fp4、fm1〜fm3のうち機械共振周波数fo付近、具体的には機械共振周波数foに最も近い周波数を水平走査周波数として設定すれば、ミラー部11において略共振振動を行え、水平走査において大きな光走査出力の振幅を実現できる。
【0104】
(2)品質係数Qで規定される周波数帯域内の周波数を選択
機械共振周波数foを持つ共振特性Gfに関する品質係数Qで規定される(−3dB)通過周波数帯域fbw内の周波数群から水平走査周波数fmhdを選択する。例えば図14(a)に示す場合には、5つの周波数fm2、fm1、fp1、fp2、fp3の中から水平走査周波数fmhdが選択される。
【0105】
このように周波数帯域fbw内の周波数群から水平走査周波数fmhdを選択すれば、機械共振周波数foでの光走査出力に対して約30%以内の低下幅に収まる光走査出力の振幅となり、比較的十分な光走査出力が得られる。なお、上記30%以内の低下に対しては、水平駆動回路61でのゲインアップ等によって補償可能である。
【0106】
例えば共振点検出部56で検出された機械共振周波数foが31kHzで、上記の品質係数Qが100とすると、上記の(−3dB)通過周波数帯域fbw(Hz)は、次のように算出される。
【0107】
fbw=fo/Q=31000/100=310(Hz):
よって、垂直同期周波数fv=60Hzとすると、図14(a)に示す周波数fm2=515fv(30.9kHz)〜周波数fp3=519fv(31.14kHz)の5つの周波数が、水平走査周波数fmhdの候補となる。ここで、例えば周波数fp1=517fvを選択すると、水平読出し周波数設定部62で設定される水平読出し周波数frhは62.04kHz(=517×60×2Hz)となる。
【0108】
以上のように垂直同期周波数(垂直走査周波数)fvに基づき上式(6)で算出される特定の周波数のうち機械共振周波数fo付近の周波数を水平走査周波数として設定すれば、ミラー部11において略共振振動を行え、水平走査において大きな光走査出力の振幅を実現できる。
【0109】
なお、水平走査周波数の候補を含む周波数帯域fbwを、品質係数Qに基づいて決定するのは必須でなく、水平駆動回路61で補償可能な光走査出力の低下限度内の周波数帯域を採用しても良い。
【0110】
(3)略同位相を維持できる周波数を選択
上述した手法(1)においては共振点検出部56で検出された機械共振周波数foに最も近い周波数が水平走査周波数fmhdとして選択されるが、機械共振周波数foが環境変化(温度等)や経時変化等で変動すると、機械共振周波数foに接近し過ぎた周波数では、図14(b)に示すように光走査出力の位相が大きく変化(最大180度)するため、表示画像に乱れが生じてしまう。
【0111】
そこで、このような不具合を解消するため、角度検出部55で検出されるミラー部11の変位角に基づく位相検出結果から、略同一の位相を維持できる水平走査周波数fmhdを選択するようにする。例えば機械共振周波数foより高い周波数帯UPに属する周波数から常に水平走査周波数fmhdを選択する、または機械共振周波数foより低い周波数帯DNに属する周波数から常に水平走査周波数fmhdを選択する。
【0112】
すなわち、共振点検出部56で検出される機械共振周波数foの変化に伴って水平走査周波数fmhdを変更する際には、変更前後の水平走査周波数fmhdそれぞれで繰り返される各駆動信号におけるミラー部11の揺動角の位相が略等しくなるようにすれば、機械共振周波数foが温度変化等で変動する場合にも、より安定した画像表示を行えることとなる。
【0113】
以上の水平走査周波数fmhdの選択では、共振点検出部56で検出される機械共振周波数foの情報が利用されるが、この機械共振周波数foの検出について以下で詳しく説明する。
【0114】
<機械共振周波数の検出について>
共振点検出部56における機械共振周波数foの検出については、上式(6)を満たす水平走査周波数fmhdを順にスイープ(例えば図14ではfm3→fm2→fm1→fp1→・・)させて、角度検出部55で検出されるミラー部11の変位角を観測することで行われる。例えば図14(a)のように機械共振周波数foを中心に光走査出力の振幅が山なりの共振特性Gfになることは予め分かっているため、垂直走査周波数fvずつ周波数をシフトする度に光走査出力の振幅を記憶し、上記の山なりの共振特性Gfが観測できれば、その山の頂上(最大の振幅値)に対応する水平走査周波数fmhdが機械共振周波数foに相当する周波数と判断できる。この機械共振周波数foの検出方法は、いわゆる「山登り検出法」と呼ばれるが、ミラー部11に関する共振特性Gfの品質係数Qは一般に高い数値(例えば100以上)となるため、比較的高精度な検出が可能となる。なお、このような共振周波数foの検出に時間がかかる場合には、画像表示装置100Aの電源投入時(準備段階)に行っても良い。
【0115】
以上のように水平走査周波数信号発生部63で垂直同期周波数fvに基づき算出される複数の周波数それぞれで繰り返される各駆動信号を生成するとともに、この各駆動信号に基づき圧電素子31〜34を駆動して第1軸Ay回りにミラー部11を揺動振動させ、各駆動信号におけるミラー部11の揺動角の振幅を比較することにより、機械共振周波数foに相当する周波数を検出する。これにより、機械共振周波数foを効率よく検出できることとなる。
【0116】
また、共振点検出部56における機械共振周波数foの検出については、上述した光走査出力の振幅の比較による方法以外に、光走査出力の位相の比較による方法を採用できる。すなわち、上述のようにミラー部11に関する共振特性Gfの品質係数Qは一般に高いことから、図14(b)のように機械共振周波数foの前後で光走査出力の位相が大きく変化(最大180度)することとなるが、この位相の急変に着目した機械共振周波数foの検出が可能である。
【0117】
具体的には、上式(6)を満たす水平走査周波数fmhdを垂直走査周波数fvずつシフトする度に光走査出力の位相を記憶して位相の急変(例えば予め定められた閾値より大きな位相の変化)が観測できれば、その急変した際の水平走査周波数fmhdを機械共振周波数foに相当する周波数と判断できる。
【0118】
このように水平走査周波数信号発生部63で垂直同期周波数fvに基づき算出される複数の周波数それぞれで繰り返される各駆動信号を生成するとともに、この各駆動信号に基づき圧電素子31〜34を駆動して第1軸Ay回りにミラー部11を揺動振動させ、各駆動信号におけるミラー部11の揺動角の位相を比較することにより、機械共振周波数foに相当する周波数を検出する。これにより、機械共振周波数foを効率よく検出できることとなる。
【0119】
以上のように垂直同期周波数fvに基づき算出される周波数としての機械共振周波数foを共振点検出部56で検出し、この検出された周波数に基づき、上述した手法(1)〜(3)のいずれかで水平走査周波数fmhdの選択を行えば、適切な駆動信号を水平走査周波数信号発生部63で生成できるため、安定した画像表示が可能となる。
【0120】
ここで、画像表示装置100Aにおける画像表示の動作中に機械共振周波数foを検出する際には、共振点検出部56で既に検出されて現在使用している機械共振周波数foからの大幅な変動がないと考えられるため、現在使用している機械共振周波数foの前後に垂直走査周波数fvだけ周波数をシフトさせる。そして、この前後の周波数における光走査出力の各振幅が、現在の機械共振周波数における光走査出力の振幅より大きい場合には、振幅が大きくなる周波数の方向に機械共振周波数foが変動したと判断する。
【0121】
次に、この大きい振幅の周波数方向に垂直走査周波数fvずつ周波数をスイープさせて、光走査出力の振幅変化を観測する。ここで、振幅変化が予め定められた閾値以下となれば、機械共振周波数に最も近づいたとして、周波数のスイープを中止し、その時点で設定されている周波数を機械共振周波数foとみなすようにする。
【0122】
また、機械共振周波数foの検出は、垂直ブランキング期間においても可能である。この場合にも、現在使用している機械共振周波数foの前後に垂直走査周波数fvだけ周波数をシフトさせるとともに、この前後の周波数における光走査出力の各振幅が、現在の機械共振周波数における光走査出力の振幅より大きい場合には、振幅が大きくなる周波数の方向に機械共振周波数foが変動したと判断する。次に、この大きい振幅の周波数方向に垂直走査周波数fvずつ周波数をスイープさせて、光走査出力の振幅変化を観測する。ここで、振幅変化が予め定められた閾値以下となれば、機械共振周波数に最も近づいたとして、周波数のスイープを中止し、その時点で設定されている周波数を機械共振周波数foとみなすようにする。なお、以上の機械共振周波数foの検出に時間がかかる場合には、1回の垂直ブランキング期間だけでなく、複数回の垂直ブランキング期間にわたって検出動作を行うと良い。
【0123】
一方、機械共振周波数foの変化に伴い水平走査周波数fmhdが変更されるとラスター走査RSにおける水平走査幅および垂直走査幅が若干変化する。
【0124】
このような場合、水平走査幅の変化に対しては、角度検出部55で検出されるミラー部11の変位角の変化に基づき、水平駆動回路61の出力(例えばゲイン)を調整してミラー部11の揺動振動の振幅が予め定められた値(目標値)となるように制御すれば良い。また、垂直走査幅の変化に対しては、次で説明するように水平走査周波数fmhdを変更した際に垂直駆動制御部6bの垂直駆動回路(不図示)において例えばゲインGを変更して出力を調整し、垂直走査幅が予め定められた値(目標値)となるように制御すれば良い。以上のような水平走査幅および垂直走査幅の変化に対する制御を行えば、表示画面の大きさとアスペクト比とが維持できることとなる。
【0125】
上記の式(6)における整数pに関して変更前の水平走査周波数fmhdに係る整数pをp1、変更後の水平走査周波数fmhdに係る整数pをp2とし、水平走査周波数fmhdの変更前後で垂直走査幅が等しいとすると、次の式(7)が成り立つ。
【0126】
q・G1/(2p1)=q・G2/(2p2) ・・・・・(7):
ただし、qは、画像表示有効ライン数(例えばXGAの場合768本)を示し、G1およびG2は、水平走査周波数fmhdの変更前および変更後における垂直駆動回路のゲインGである。
【0127】
上記の式(7)を変形すると、次の式(8)のようになる。
【0128】
G2/G1=p2/p1 ・・・・・・・・・・・・・・・(8):
よって、上式(8)に基づき垂直駆動制御部6bの垂直駆動回路におけるゲインGを制御すれば、水平走査周波数fmhdの変更前後で垂直走査幅が変化しないこととなる。
【0129】
なお、ラスター走査RSの際に環境変化(例えば温度変化等)により機械共振周波数foが変動して機械共振特性が変化する場合には、ラスター走査RSの水平走査幅が変化するため、表示画面のアスペクト比が変動してしまう。このような場合には、角度検出部55で検出されるミラー部11の角度変化に基づき、ゲイン変更等で水平駆動回路61の出力を調整しミラー部11の揺動振動の振幅が予め定められた値(目標値)となるように制御するようにすれば、表示画面の変動を防止することが可能となる。
【0130】
以上のような画像表示装置100Aの動作により、上記の式(6)の条件を満たす周波数であって機械共振周波数fo付近の周波数を水平走査周波数fmhdに設定するため、表示画像に係る画像信号とラスター走査との間で容易に同期をとることができる。その結果、安定した画像表示を簡易に行えることとなる。
【0131】
なお、画像表示装置100Aにおいては、画像の往復表示を伴ったラスター走査RSの水平走査(往復表示走査)を行うのは必須でなく、画像の片道表示を伴ったラスター走査RSの水平走査(以下では「片道表示走査」ともいう)を行うようにしても良い。
【0132】
この片道表示走査を行う場合には、往復表示走査において上記の式(6)で規定される水平走査周波数fmhdと異なり、次の式(9)のように水平読出し周波数frhと等しい水平走査周波数fmhsが設定される。
【0133】
fmhs=frh ・・・・・・・・・・(9):
よって、上式(9)に上記の式(2)を代入すると、次の式(10)が得られる。
【0134】
fmhs=fv・m ・・・・・・・・・(10):
ただし、fvは、垂直同期周波数を示し、mは、水平走査線数(ライン数)を示している。
【0135】
以上より、片道表示走査を行う場合には、上記の式(10)の条件を満足するような水平走査周波数fmhsの候補から、光スキャナ1に関する機械共振周波数付近の水平走査周波数を選択すれば、ラスター走査RSによる画像表示を安定して行えることとなる。これに関して、以下で説明する。
【0136】
図15は、片道表示走査における水平走査周波数の候補について説明するための図である。この図15は、図14(a)に対応する図であり、横軸が周波数を示し、縦軸が光スキャナ1による光走査出力の振幅を示している。なお、図15中の「fo」は光スキャナ1における機械共振周波数を表している。
【0137】
上記の式(10)を満たす水平走査周波数fmhsは、図15に示すように例えば機械共振周波数foから周波数が大きくなる方向に第1番目の周波数hp1、第2番目の周波数hp2、第3番目の周波数hp3、・・・とし、機械共振周波数foから周波数が小さくなる方向に第1番目の周波数hm1、第2番目の周波数hm2、第3番目の周波数hm3、・・・とすると、これらの周波数が、水平走査周波数信号発生部63で生成する駆動信号の周波数(水平走査周波数)の候補となる。換言すれば、機械共振周波数fo周辺における候補の周波数群hp1〜hp4、hm1〜hm3から1つの水平走査周波数fmhsを選択することで、安定した画像表示が可能となる。
【0138】
そして、水平走査周波数fmhsの選択については、上述の往復表示走査における手法(1)〜(3)のいずれかを用いて行うことが可能である。
【0139】
また、片道表示走査においては、上述した往復表示走査における機械共振周波数の検出方法を共振点検出部56で利用し、上記の式(10)を満たす水平走査周波数fmhsを順にスイープ(例えば図15ではhm3→hm2→hm1→hp1→・・)させることで、機械共振周波数foの検出を効率良く行える。
【0140】
一方、機械共振周波数foの変化に伴い水平走査周波数fmhsが変更されるとラスター走査RSにおける水平走査幅および垂直走査幅が若干変化する。
【0141】
このような場合、水平走査幅の変化に対しては、上述した往復表示走査の場合と同様に、角度検出部55で検出されるミラー部11の変位角の変化に基づき、水平駆動回路61の出力を調整してミラー部11の揺動振動の振幅が予め定められた値(目標値)となるように制御すれば良い。また、垂直走査幅の変化に対しては、次で説明するように水平走査周波数fmhsを変更した際に垂直駆動制御部6bの垂直駆動回路(不図示)において例えばゲインGを変更して出力を調整し、垂直走査幅が予め定められた値(目標値)となるように制御すれば良い。以上のような水平走査幅および垂直走査幅の変化に対する制御を行えば、表示画面の大きさとアスペクト比とが維持できることとなる。
【0142】
上記の式(10)における整数mに関して変更前の水平走査周波数fmhsに係る整数mをm1、変更後の水平走査周波数fmhsに係る整数mをm2とし、水平走査周波数fmhsの変更前後で垂直走査幅が等しいとすると、次の式(11)が成り立つ。
【0143】
q・G1/m1=q・G2/m2 ・・・・・(11):
ただし、qは、画像表示有効ライン数(例えばXGAの場合768本)を示し、G1およびG2は、水平走査周波数fmhsの変更前および変更後における垂直駆動回路のゲインGである。
【0144】
上記の式(11)を変形すると、次の式(12)のようになる。
【0145】
G2/G1=m2/m1 ・・・・・・・・・・・・・・・(12):
よって、上式(12)に基づき垂直駆動制御部6bの垂直駆動回路におけるゲインGを制御すれば、水平走査周波数fmhsの変更前後で垂直走査幅が変化しないこととなる。
【0146】
なお、片道表示走査を行う場合での画像信号制御部52の動作については、図16に示すように1水平期間Thの半分の期間(Th/2)の間に設定された1水平ライン表示期間Thsにおいて1水平ライン分の画像データが高速で読み出されて表示されることにより、安定した画像表示が可能となる。この場合には、図12(a)に示す往復表示走査の場合のように隣接する各水平ラインにおいてデータ並びを反転する必要がなく、図12(a)のポイントPaにおけるデータ列、つまり画像信号制御部52に入力される入力画像データそのままを利用できる。
【0147】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る画像表示装置100Bは、図1〜3に示す第1実施形態の画像表示装置100Aと類似の構成を有しているが、画像信号制御部および水平駆動制御部の構成が異なっている。
【0148】
すなわち、画像表示装置1Bの画像信号制御部520および水平駆動制御部60aは、次で説明する動作を行うプログラム等が格納された構成を有してる。
【0149】
<画像信号制御部520の動作について>
画像信号制御部520は、図11に示す第1実施形態の画像信号制御部52と同様の構成を有しているが、この構成を利用して第1実施形態と異なる動作を行えるようになっている。具体的には、ラスター走査RS(図1)において、第1実施形態と同様の往復表示走査を行えるとともに、第1実施形態と逆方向の往復表示走査が可能である。これについて、以下で詳しく説明する。
【0150】
図17は、画像信号制御部520の動作を説明するための図である。ここで、図17(a)は、図12(a)に対応した図である。
【0151】
第2実施形態の画像信号制御部520では、図17(a)に示すように第1実施形態の画像信号制御部52と同様の動作を行うことができる。
【0152】
一方、本実施形態の画像信号制御部520では、図17(b)に示すように第1実施形態の画像信号制御部52と反対の動作を行えるようになっている。
【0153】
すなわち、図11に示すポイントPbにおいては、入力画像データの1水平ライン分が書込みクロックwc、例えば周波数65MHz(=水平同期周波数fh(48.36kHz)×水平全画素1344)でFILOラインメモリ522に書き込まれた後、次の1水平時間に同じ周波数の読出しクロックrc1で読出されることにより、ポイントPaに対して1水平時間だけ遅延し、かつ左右のデータ並びが反転した奇数行のデータ列が形成される。
【0154】
図11に示すポイントPcにおいては、入力画像データの1水平ライン分が書込みクロックwcでFIFOラインメモリ521に書き込まれた後、次の1水平時間に同じ周波数の読出しクロックrc1で読出されることにより、ポイントPaに対して1水平時間だけ遅延した偶数行のデータ列が形成される。
【0155】
図11に示すポイントPdにおいては、ポイントPbおよびポイントPcにおける上述のデータ列を1水平ライン毎、つまり1水平時間毎に切替えスイッチ523で切替えて得られたデータ列が形成される。このデータ列は、ポイントPaのデータ列に対して1水平時間遅延するとともに奇数行のみデータ並びが反転されたデータ列となっており、書込みクロックwcでFIFOフレームメモリ524に書込まれる。
【0156】
以上のような画像信号制御部520の動作により、図17(a)のように偶数行のデータ並びのみが反転された画像フレーム、または図17(b)のように奇数行のデータ並びのみが反転された画像フレームが出力できる。
【0157】
<水平駆動制御部60aの動作について>
水平駆動制御部60aの水平読出し周波数設定部62においては、共振点検出部56で検出された機械共振周波数に基づき選択された水平走査周波数から求められる水平読出し周波数frhを設定する動作を行うが、これに関して以下で詳しく説明する。
【0158】
図17(a)のような偶数行のデータ並びのみが反転された画像フレームが画像信号制御部520で生成される場合の往復表示走査では、第1実施形態と同様に上記の式(6)の条件を満足する水平走査周波数fmhdの候補から、光スキャナ1に関する機械共振周波数fo付近の水平走査周波数を選択すれば、ラスター走査RSによる画像表示を安定して行える。
【0159】
一方、図17(a)のような偶数行のデータ並びのみが反転された画像フレームと図17(b)のような奇数行のデータ並びのみが反転された画像フレームとがフレーム毎に交互に画像信号制御部520で生成される場合の往復表示走査では、次の式(13)を満足する水平走査周波数fmhdの候補から、光スキャナ1に関する機械共振周波数fo付近の水平走査周波数を選択すれば、ラスター走査RSによる画像表示を安定して行える。
【0160】
fmhd=fv・(p+0.5) ・・・・・・(13):
ただし、fvは垂直同期周波数で、pは整数である。
【0161】
すなわち、本実施形態の画像表示装置100Bでは、上記の式(13)を満たす条件、つまり垂直同期周波数fvの(n+0.5)倍(ただしnは自然数)となる水平走査周波数fmhdの候補から、水平走査周波数を選択できる。
【0162】
以上のことから、本実施形態の画像表示装置100Bでは、第1実施形態に対して約2倍の水平走査周波数fmhdの候補を有することとなる。具体的には、図14(a)に対応した図18に示すように上述の式(6)を満たす周波数群fp1〜fp3、fm1〜fm3に加えて、上記の式(13)を満たす周波数群ffp1〜ffp3、ffm1〜ffm3からも、水平周波数fmhdを選択できる。そして、上述の式(6)を満たす周波数群fp1〜fp3、fm1〜fm3から水平走査周波数fmhdを選択する場合には、画像信号制御部520において図17(a)に示す画像フレームの生成動作を行う一方、上記の式(13)を満たす周波数群ffp1〜ffp3、ffm1〜ffm3から水平走査周波数fmhdを選択する場合には、画像信号制御部520において図17(b)に示す画像フレームの生成動作を行うことにより、安定した画像表示が可能となる。
【0163】
なお、共振点検出部56における機械共振周波数foの検出については、上記の式(6)または式(13)を満たす水平走査周波数fmhdを順にスイープ(例えば図18ではfm3→ffm3→fm2→ffm2→fm1→ffm1→fp1→ffp1→・・)させて、角度検出部55で検出されるミラー部11の変位角を観測することで行われる。
【0164】
以上のような画像表示装置100Bの動作により、第1実施形態と同様の効果を奏する。さらに、画像表示装置100Bでは、図18に示すように垂直同期周波数fv/2の刻みで水平走査周波数を選択できるため、その選択の自由度が向上する。
【0165】
また、第1・第2実施形態の画像表示装置100A、100Bにおいては、図2に示す光スキャナ1を正面に対して90度回転させた姿勢、具体的には図19に示すような光スキャナ1の姿勢で光源50からの光線LTをラスター走査するようにしても良い。このような光スキャナ1(図19)により、ラスター走査RSにおいて垂直方向より高速駆動となる水平方向に関しての可動部の慣性モーメントを小さくできる。
【0166】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態に係る画像表示装置100Cは、図1に示す第1・第2実施形態の画像表示装置100A、100Bと類似の構成を有しているが、光スキャナの構成が異なっている。
【0167】
<光スキャナの要部構成>
図20は、本発明の第3実施形態に係る光スキャナ101の要部構成を示す平面図である。
【0168】
光スキャナ101は、シリコンのチップに対して微細加工が施された、所謂MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーによって構成されている。なお、以下では、光スキャナ101を適宜MEMSミラー101とも称する。
【0169】
光スキャナ101は、主にミラー部110、2本のトーションバー121,122、可動枠130、4つの圧電素子(圧電アクチュエータ)151〜154からなるアクチュエータ部150、4本の架設部141〜144、4本の細連結部130a〜130d、および固定枠170を備えている。
【0170】
固定枠170は、画像表示装置100Cの筐体に対して固定され、4本の板状の部分が略矩形状に配置された4辺からなる枠であり、外縁および内縁が、対角線が略直交するa軸およびb軸である略正方形状の形状を有し、内縁が略正方形状の空間を形成している。
【0171】
そして、固定枠170の角部の内側のうち、b軸上の+b方向(図20では上方)の部分に、2本の架設部141,143が連結されて、架設部141は、固定枠170の−aおよび+b方向(図20では左上方)に位置する1辺に沿って配置され、架設部143は、固定枠170の+aおよび+b方向(図20では右上方)に位置する1辺に沿って配置されている。また、固定枠170の角部の内側のうち、b軸上の−b方向(図20では下方)の部分に、2本の架設部142,144が連結されて、架設部142は、固定枠170の−aおよび−b方向(図20では左下方)に位置する1辺に沿って配置され、架設部144は、固定枠170の+aおよび−b方向(図20では右下方)に位置する1辺に沿って配置されている。
【0172】
また、架設部141〜144には、各架設部141〜144の延設方向に沿って圧電素子151〜154がそれぞれ貼り付けられている。したがって、架設部141と圧電素子151とが固定枠170の+b方向(図20では上方)に位置する角部の内側から−aおよび−b方向(図20では左下方)に向けて延設された伸縮架設部161を構成し、架設部142と圧電素子152とが固定枠170の−b方向(図20では下方)に位置する角部の内側から−aおよび+b方向(図20では左上方)に向けて延設された伸縮架設部162を構成し、架設部143と圧電素子153とが固定枠170の+b方向(図20では上方)に位置する角部の内側から+aおよび−b方向(図20では右下方)に向けて延設された伸縮架設部163を構成し、架設部144と圧電素子154とが固定枠170の−b方向(図20では下方)に位置する角部の内側から+aおよび+b方向(図20では右上方)に向けて延設された伸縮架設部164を構成している。
【0173】
そして、伸縮架設部161と伸縮架設部162とがa軸を挟んで所定距離だけ離隔配置され、伸縮架設部163と伸縮架設部164とがa軸を挟んで所定距離だけ離隔配置されている。
【0174】
また、伸縮架設部161のa軸側の端部が細連結部130aによって可動枠130に対して連結され、伸縮架設部162のa軸側の端部が細連結部130bによって可動枠130に対して連結され、伸縮架設部163のa軸側の端部が細連結部130cによって可動枠130に対して連結され、伸縮架設部164のa軸側の端部が細連結部130dによって可動枠130に対して連結されている。
【0175】
また、可動枠130は、固定枠170と同様に、4本の板状の部分が略矩形状に配置された4辺からなる枠であり、外縁が、対角線が直交するa軸およびb軸である略正方形状の形状を有し、内縁が、六角形状の空間を形成している。
【0176】
そして、可動枠130の角部の内側のうち、b軸上の+b方向(図20では上方)の部分に、トーションバー121が−b方向(図20では下方)に向けて延設され、可動枠130の角部の内側のうち、b軸上の−b方向(図20では下方)の部分に、トーションバー122が+b方向(図20では上方)に向けて延設されている。
【0177】
トーションバー121の可動枠130に連結されていない側の端部にミラー部110が連結され、トーションバー122の可動枠130に連結されていない側の端部にミラー部110が連結されている。つまり、トーションバー121,122が、ミラー部110を+Y方向および−Y方向から挟み込むように支持する。つまり、可動枠130は、トーションバー121,122をミラー部110ごと支持している。
【0178】
ミラー部110は、a軸に対して略平行な2辺とb軸に対して略平行な2辺とを外縁として有する略正方形状の反射鏡であり、光スキャナ101の略中央に配置されて、投影するための光線を反射させるものである。
【0179】
なお、2本のトーションバー121,122は、厚みが薄く且つ細長い形状を有するため、比較的容易に弾性変形を行う。また、細連結部130a〜130dも、厚みが薄く細いため、比較的容易に弾性変形を行う。
【0180】
ミラー部110の具体的な回動動作としては、圧電素子151〜154に適宜電圧を印加すると、圧電素子151〜154の長さが印加された電圧に応じて変化するため、該圧電素子151〜154が貼り付けられている架設部141〜144が、延設方向に沿って伸縮する。つまり、伸縮架設部161〜164がそれぞれ延設方向に沿って伸縮する。したがって、例えば、圧電素子151,153に印加する電圧と、圧電素子152,154に印加する電圧とを正負を交互に入れ換えること、すなわち圧電素子151,153と圧電素子152,154とに逆位相の電圧を印加することで、ミラー部110はa軸を中心として回動する。一方、例えば、圧電素子151,152に印加する電圧と、圧電素子153,154に印加する電圧とを正負を交互に入れ換えること、すなわち圧電素子151,152と圧電素子153,154とに逆位相の電圧を印加することで、ミラー部110はb軸を中心として回動する。
【0181】
そして、4つの圧電素子151〜154に対し、a軸を中心としたミラー部110の回動を実現するための駆動信号と、b軸を中心としたミラー部110の回動を実現するための駆動信号とを重畳させて印加させることで、ミラー部110は、トーションバー121,122を支点にしたb軸を中心とする共振駆動と、可動枠130をミラー部110およびトーションバー121,122ごとa軸を中心として回動させる駆動とを行う。したがって、1つのミラー部110を有する1つの素子でありながら、a軸を中心とした低速の回動と、共振駆動を利用したb軸を中心とした高速の回動とを同時に行うことができる。つまり、光源50からの光線LT(図2)を異なる2方向に沿って偏向させることで、スクリーン9(図1)上における光線LT(図2)の水平走査と垂直走査とを同時に行うことができる。換言すれば、4つの圧電素子151〜154を備えたアクチュエータ部150は、光源50から発せられた光線LTを反射するミラー部(可動部)110をb軸の回りに揺動させて光線LTの水平方向の走査を行う第1揺動手段と、前記可動部を前記第1軸と略直角に交差するa軸の回りに揺動させて光線LTの垂直方向の走査を行う第2揺動手段とを有することとなる。なお、水平走査と垂直走査とを同時に行う2次元的な走査を1つの素子で行うことは、光スキャナ101の部品点数を低減させる上で好ましく、製造コストの低減や素子の調整に要する作業を低減することができるといった面からも好ましい。
【0182】
以上のような構成の光スキャナ101においても、上述した第1実施形態や第2実施形態と同じ画像信号制御部52、520および水平駆動制御部60aの動作を行うことで、第1実施形態や第2実施形態と同様の効果を奏することとなる。
【0183】
なお、第3実施形態では、光スキャナ101において、1つのミラー部110を略直交する2つの軸(a軸およびb軸)を中心にそれぞれ回動させることで、光源50(図1)からの光線LT(図2)を2次元的に走査したが、これに限られず、水平方向の光線の走査と、垂直方向の光線の走査とを、別々に設けた2つのミラー部の回動によって実現することで、光源50からの光線LTを2次元的に走査するようにしても良い。このような構成の具体例としては、光源50から発せられた光線LTを反射する第1のミラー部(第1可動部)をa’軸の回りに揺動させる第1のアクチュエータと、第1のミラー部で反射された光線LTを反射する第2のミラー部(第2可動部)をb’軸の回りに揺動させる第2のアクチュエータとを、光源50からスクリーン9(図1)に至る光路中に、空間順次に配置したような態様が挙げられる。但し、水平および垂直走査を実現するためには、a’軸およびb’軸をそれぞれ、光源50からスクリーン9に至る光路に沿った当該光路中の線(好ましくは光路の中心の線、すなわち中心線)に対して略直交するように設定し、更に、a’軸とb’軸との位置および角度関係については、例えば、上記光路の中心線に沿って所定距離だけ離隔させ、かつ上記光路の中心線を中心として、約90°回転させた関係とすることが好ましい。換言すれば、b’軸は、a’軸を基準にして、a’軸と略直交する所定の直線に沿って所定距離だけ離隔し、且つその所定の直線を中心として略90°回転させたものであることが好ましい。
【0184】
<変形例>
・上記の各実施形態においては、図10に示すような単振動の駆動信号を用いるのは必須でなく、図21に示すような矩形状の駆動信号を用いるようにしても良い。このような矩形状の駆動信号においても機械共振周波数近傍の周波数成分を有していれば、ミラー部11を共振振動できる。
【0185】
・上記の各実施形態における角度検出部については、フォトリフレクタ550(図4)を利用してミラー部11、110の変位角の検出を行うのは必須でなく、例えばトーションバー(後述)に貼付された圧電素子などの変位角検出センサからの出力信号に基づきミラー部11の変位角の検出を行っても良い。
【0186】
・上記の各実施形態における光スキャナでは、ミラー部11、110を揺動変位させるアクチュエータとして圧電素子を使用するのは必須でなく、VCM等の電磁アクチュエータや、静電型振動子等の静電アクチュエータ、高分子樹脂(ポリマー)を用いたアクチュエータを使用しても良い。
【0187】
・上記の各実施形態においては、揺動可能な2本の軸を持つ光スキャナを用いて光線のラスター走査を行うのは必須でなく、揺動可能な1本の軸を持つ2組の光スキャナを用いて光線のラスター走査を行っても良い。この場合にも、2組の光スキャナそれぞれに可動部として設けられた各ミラー部を略直角に交差する光スキャナの軸の回りに揺動させることで光線のラスター走査が可能となる。
【0188】
・上記の各実施形態においては、角度検出部55での検出結果に基づき共振点検出部56でミラー部11の揺動振動に関する機械共振周波数を検出するのは必須でなく、これらの部位を備えなくても良い。この場合には、例えば画像表示装置に係る製品毎に工場検査時に共振周波数を測定し、これを光スキャナ制御部6等のメモリに記憶させるようにすれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0189】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像表示装置100Aの外観を示す図である。
【図2】光スキャナ1と光源50との位置関係を説明するための図である。
【図3】画像表示装置100Aの機能構成を示すブロック図である。
【図4】フォトリフレクタ550によるミラー部11の角度検出を説明するための図である。
【図5】ミラー部11の変位角の振幅検知を説明するための図である。
【図6】光スキャナ1の要部構成を示す平面図である。
【図7】図6のVII−VII位置から見た断面図である。
【図8】ミラー部11の揺動振動動作を説明するための図である。
【図9】水平駆動制御部6aの要部構成を説明するためのブロック図である。
【図10】水平走査周波数信号発生部63から出力される駆動信号を説明するための図である。
【図11】画像信号制御部52の要部構成を説明するための図である。
【図12】画像信号制御部52の動作を説明するための図である。
【図13】1水平期間Thにおける1水平ライン分のデータ読出しを説明するための図である。
【図14】水平走査周波数の候補について説明するための図である。
【図15】片道表示走査における水平走査周波数の候補について説明するための図である。
【図16】片道表示走査での1水平期間Thにおける1水平ライン分のデータ読出しを説明するための図である。
【図17】本発明の第2実施形態に係る画像表示装置100Bの画像信号制御部520の動作を説明するための図である。
【図18】水平走査周波数の候補について説明するための図である。
【図19】他の姿勢の光スキャナ1を説明するための図である。
【図20】本発明の第3実施形態に係る光スキャナ101の要部構成を示す平面図である。
【図21】本発明の変形例に係る矩形状の駆動信号を説明するための図である。
【符号の説明】
【0190】
1、101 光スキャナ
6 光スキャナ制御部
6a、60a 水平駆動制御部
6b 垂直駆動制御部
9 スクリーン
11、110 ミラー部
13a、13b、14a、14b、121、122 トーションバー
31〜38 圧電素子
50 光源
52、520 画像信号制御部
55 角度検出部
56 共振点検出部
61 水平駆動回路
62 水平読出し周波数設定部
63 水平走査周波数信号発生部
100A〜100C 画像表示装置
150 アクチュエータ部
521 FIFOラインメモリ
522 FILOラインメモリ
523 切替えスイッチ
524 FIFOフレームメモリ
fo 機械共振周波数
RS ラスター走査
Th 1水平期間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光線のラスター走査により所定の投影面への画像表示が可能な画像表示装置であって、
(a)所定の光源から発せられた光線を反射する反射面を有する可動部を、第1軸の回りに揺動させる第1のアクチュエータと、
(b)前記可動部を、前記第1軸と略直角に交差する第2軸の回りに揺動させる第2のアクチュエータと、
(c)第1周波数で繰り返される第1駆動信号に基づき前記第1のアクチュエータを駆動して前記第1軸回りに前記可動部を揺動振動させることにより、前記反射面で反射される光線を前記ラスター走査に係る主走査方向に走査する主走査手段と、
(d)第2周波数で繰り返される第2駆動信号に基づき前記第2のアクチュエータを駆動して前記第2軸回りに前記可動部を揺動させることにより、前記反射面で反射される光線を前記ラスター走査に係る副走査方向に走査する副走査手段と、
を備え、
前記主走査手段は、
(c-1)前記可動部の揺動振動に関する共振周波数に相当する周波数を検出する検出手段と、
(c-2)前記第2周波数に基づき算出される特定の周波数のうち、前記共振周波数付近の周波数を、前記第1周波数として設定する設定手段と、
を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示装置において、
前記特定の周波数は、前記第2周波数のn倍(ただしnは自然数)であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像表示装置において、
前記特定の周波数は、前記第2周波数の(n+0.5)倍(ただしnは自然数)であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像表示装置において、
前記設定手段は、
前記特定の周波数のうち、前記共振周波数に最も近い周波数を、前記第1周波数として設定する手段、
を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像表示装置において、
前記主走査手段は、
前記第1駆動信号として、前記第2周波数に基づき算出される複数の周波数それぞれで繰り返される各駆動信号を生成する信号生成手段、
を有するとともに、
前記検出手段は、
前記信号生成手段で生成される各駆動信号に基づき前記第1のアクチュエータを駆動して前記第1軸回りに前記可動部を揺動振動させ、前記各駆動信号における前記可動部の揺動角の振幅を比較することにより、前記共振周波数に相当する周波数を検出する手段、
を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像表示装置において、
前記主走査手段は、
前記第1駆動信号として、前記第2周波数に基づき算出される複数の周波数それぞれで繰り返される各駆動信号を生成する信号生成手段、
を有するとともに、
前記検出手段は、
前記信号生成手段で生成される各駆動信号に基づき前記第1のアクチュエータを駆動して前記第1軸回りに前記可動部を揺動振動させ、前記各駆動信号における前記可動部の揺動角の位相を比較することにより、前記共振周波数に相当する周波数を検出する手段、
を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の画像表示装置において、
前記検出手段で検出される周波数は、前記第2周波数に基づき算出される周波数であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の画像表示装置において、
前記設定手段は、
前記検出手段で検出される共振周波数の変化に伴って前記第1周波数を変更する変更手段、
を有し、
前記変更手段による変更前後の第1周波数それぞれで繰り返される各駆動信号における前記可動部の揺動角の位相は略等しいことを特徴とする画像表示装置。
【請求項9】
光線のラスター走査により所定の投影面への画像表示が可能な画像表示装置であって、
(a)所定の光源から発せられた光線を反射する反射面を有する可動部を、第1軸の回りに揺動させる第1のアクチュエータと、
(b)前記可動部を、前記第1軸と略直角に交差する第2軸の回りに揺動させる第2のアクチュエータと、
(c)第1周波数で繰り返される第1駆動信号に基づき前記第1のアクチュエータを駆動して前記第1軸回りに前記可動部を揺動振動させることにより、前記反射面で反射される光線を前記ラスター走査に係る主走査方向に走査する主走査手段と、
(d)第2周波数で繰り返される第2駆動信号に基づき前記第2のアクチュエータを駆動して前記第2軸回りに前記可動部を揺動させることにより、前記反射面で反射される光線を前記ラスター走査に係る副走査方向に走査する副走査手段と、
を備え、
前記主走査手段は、
(c-1)前記第2周波数に基づき算出される特定の周波数のうち、前記可動部の揺動振動に関する共振周波数付近の周波数を、前記第1周波数として設定する設定手段、
を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項10】
光線のラスター走査により所定の投影面への画像表示が可能な画像表示装置であって、
(a)所定の光源から発せられた光線を反射する第1の反射面を有する第1可動部を、第1軸の回りに揺動させる第1のアクチュエータと、
(b)前記第1の反射面で反射された光線を反射する第2の反射面を有する第2可動部を、第2軸の回りに揺動させる第2のアクチュエータと、
(c)第1周波数で繰り返される第1駆動信号に基づき前記第1のアクチュエータを駆動して前記第1軸回りに前記第1可動部を揺動振動させることにより、前記第1の反射面で反射される光線を前記ラスター走査に係る主走査方向に走査する主走査手段と、
(d)第2周波数で繰り返される第2駆動信号に基づき前記第2のアクチュエータを駆動して前記第2軸回りに前記第2可動部を揺動させることにより、前記第2の反射面で反射される光線を前記ラスター走査に係る副走査方向に走査する副走査手段と、
を備え、
前記主走査手段は、
(c-1)前記第2周波数に基づき算出される特定の周波数のうち、前記第1可動部の揺動振動に関する共振周波数付近の周波数を、前記第1周波数として設定する設定手段、
を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項11】
光線のラスター走査により所定の投影面への画像表示が可能な画像表示装置であって、
(a)所定の光源から発せられた光線を反射する第1の反射面を有する第1可動部を、第1軸の回りに揺動させる第1のアクチュエータと、
(b)前記第1の反射面で反射された光線を反射する第2の反射面を有する第2可動部を、第2軸の回りに揺動させる第2のアクチュエータと、
(c)第1周波数で繰り返される第1駆動信号に基づき前記第2のアクチュエータを駆動して前記第2軸回りに前記第2可動部を揺動振動させることにより、前記第2の反射面で反射される光線を前記ラスター走査に係る主走査方向に走査する主走査手段と、
(d)第2周波数で繰り返される第2駆動信号に基づき前記第1のアクチュエータを駆動して前記第1軸回りに前記第1可動部を揺動させることにより、前記第1の反射面で反射される光線を前記ラスター走査に係る副走査方向に走査する副走査手段と、
を備え、
前記主走査手段は、
(c-1)前記第2周波数に基づき算出される特定の周波数のうち、前記第2可動部の揺動振動に関する共振周波数付近の周波数を、前記第1周波数として設定する設定手段、
を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項12】
光線のラスター走査により所定の投影面への画像表示が可能な画像表示装置であって、
(a)所定の光源から発せられた光線を反射する反射面を有する可動部を第1軸の回りに揺動させる第1揺動手段と、前記可動部を前記第1軸と略直角に交差する第2軸の回りに揺動させる第2揺動手段とを有するアクチュエータ部と、
(b)第1周波数で繰り返される第1駆動信号に基づき前記第1揺動手段を用いて前記第1軸回りに前記可動部を揺動振動させることにより、前記反射面で反射される光線を前記ラスター走査に係る主走査方向に走査する主走査手段と、
(d)第2周波数で繰り返される第2駆動信号に基づき前記第2揺動手段を用いて前記第2軸回りに前記可動部を揺動させることにより、前記反射面で反射される光線を前記ラスター走査に係る副走査方向に走査する副走査手段と、
を備え、
前記主走査手段は、
(c-1)前記第2周波数に基づき算出される特定の周波数のうち、前記可動部の揺動振動に関する共振周波数付近の周波数を、前記第1周波数として設定する設定手段、
を有することを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−9093(P2009−9093A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−80722(P2008−80722)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】