画像表示装置
【課題】振動が加わった際に適切に画像の描画位置を補正することができる画像表示装置を提供する。
【解決手段】画像表示装置1において、レーザ光源ユニット9に赤外レーザLD4を設け、スクリーン11の画像描画領域Vの外側に赤外レーザLD4のレーザ光を受光する受光素子12を設けて、受光素子12の出力信号を基準として画像の描画タイミングを補正する。
【解決手段】画像表示装置1において、レーザ光源ユニット9に赤外レーザLD4を設け、スクリーン11の画像描画領域Vの外側に赤外レーザLD4のレーザ光を受光する受光素子12を設けて、受光素子12の出力信号を基準として画像の描画タイミングを補正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、プロジェクタやヘッドアップディスプレイなどの光源から出射された光をスクリーン等に投影して画像を表示する画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタやヘッドアップディスプレイなどの画像表示装置は、画像を表示するスクリーンなどの画像表示部と、光源として赤、青、緑等の2種類以上のレーザ光源やレーザ光源から出射されたレーザ光を画像表示部へ走査して画像を描画するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーなどの描画手段を備えている本体部と、から構成されている。
【0003】
この種の画像表示装置が自動車などの車両に搭載されると、車両の走行中などに発生する振動によってスクリーンへ描画される画像が上下に振動してしまい、見難くなったり乗り物酔いなどの不快感を持つという問題があった。
【0004】
このような問題に対して、例えば、特許文献1に記載された映像情報表示システムが提案されている。特許文献1に記載の映像情報表示システムは、振動センサを設けて、その振動センサからの信号に基づいてスクリーンに照射される照射映像情報のぶれを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−161216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の映像表示システムのように振動センサでぶれを抑制すると、例えば、振動が加わったが本体部とスクリーンの相対位置がずれない場合でも、検出した振動によってぶれを抑制しようとするためにスクリーンに表示される画像がずれてしまうことがあった。
【0007】
また、本体部に振動が加わった場合でも上下方向に平行移動する場合とスクリーンへの照射角度が移動する場合では、後者の方がスクリーンにおける画像の移動量が大きいが、1つの振動センサでは、どちらかの区別がつかず区別するためには複数の振動センサを設ける必要がある。そのため、部品点数の増加や制御の複雑化などでコストがかかるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、例えば、振動が加わった際に適切に画像の描画位置を補正することができる画像表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の画像表示装置は、画像が表示される画像表示部と、前記画像を形成する複数の第一のレーザ光源と、前記第一のレーザ光源から出射されたレーザ光を前記画像表示部へ走査させて前記画像を描画する描画手段と、を備えた画像表示装置において、可視光以外の波長のレーザ光を出射する第二のレーザ光源と、
前記第二のレーザ光源から出射されたレーザ光を前記画像表示部へ向かって反射する反射手段と、前記画像表示部の画像表示領域外に設けられ、前記第二のレーザ光源から出射されたレーザ光を受光する受光素子と、前記受光素子が受光した信号に基づいて、前記画像表示部に描画される前記画像の位置を補正する補正手段と、を備えていることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施例にかかる画像表示装置のブロック図である。
【図2】図1に示された画像表示装置のレーザ光源ユニットとスクリーンを示した構成図である。
【図3】通常のスクリーンにおける画像描画領域および受光素子と走査軌跡との関係を示した説明図である。
【図4】図3の場合の波形図である。
【図5】振動により下方向へ画像描画領域が移動した場合を示した説明図である。
【図6】図5の場合の波形図である。
【図7】図5の補正後を示した説明図である。
【図8】振動により右方向へ画像描画領域が移動した場合を示した説明図である。
【図9】図8の場合の波形図である。
【図10】図8の補正後を示した説明図である。
【図11】右方向へ大きく移動した場合における補正動作の説明図である。
【図12】図11の場合のMEMSミラー駆動電流と受光素子の出力波形との波形図である。
【図13】2波長のレーザ光源を用いた場合のレーザ光源ユニットとスクリーンを示した構成図である。
【図14】図13に示した画像形成装置における画像描画領域および受光素子と走査軌跡との関係を示した説明図である。
【図15】本発明の第2の実施例にかかる画像表示装置のブロック図である。
【図16】図15に示された画像表示装置のレーザ光源ユニットとスクリーンを示した構成図である。
【図17】本発明の第3の実施例にかかる画像表示装置のブロック図である。
【図18】図17に示された画像表示装置のレーザ光源ユニットとスクリーンを示した構成図である。
【図19】4分割受光素子の構成を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置を説明する。本発明の一実施形態にかかる画像表示装置は、第二のレーザ光源から出射された可視光以外の波長のレーザ光を反射手段で画像表示部へ向かって反射して、画像表示部の画像表示領域外に設けられた受光素子で第二のレーザ光源から出射されたレーザ光を受光して、受光素子が受光した信号に基づいて、補正手段で画像表示部に描画される画像の位置を補正しているので、受光素子が検出する画像表示部に対するレーザ光源側の位置関係に基づいて補正するために、相対位置がずれない場合は補正せずに、振動が加わった際に、相対位置が上下方向に平行移動したことにより画像が小さく移動した場合や照射角度が移動したことにより画像が大きく移動した場合であっても、適切に画像の描画位置を補正することができる。
【0012】
また、描画手段が、反射手段を兼ねてもよい。このようにすることにより、反射手段を別に設ける必要がないので、画像表示装置を小型化することができる。
【0013】
また、補正手段が、受光素子が受光した信号を基準として、画像の描画タイミングを補正してもよい。このようにすることにより、電気的に振動に対する補正を行っているので、第二のレーザ光源と受光素子を追加するのみで、機械的な部材の追加を行う必要が無く安価に振動補正を行うことができる。
【0014】
また、受光素子が受光した信号が、受光素子がレーザ光を受光したときに立ち上がり、レーザ光を受光しなくなったときに立下がるパルス信号であって、パルス信号の立下りと、描画手段の駆動信号に基づいて画像の描画タイミングを補正してもよい。このようにすることにより、特に左右方向に画像が大きくずれた場合でも確実に補正することができ、画像表示部の表示領域外の領域を小さくして画像表示領域を大きくすることができる。また、受光素子を小型化することができる。
【0015】
また、描画手段の描画方向を変更する描画方向変更手段を備え、補正手段が、受光素子が受光した信号に基づいて、描画方向変更手段の描画方向を変更して画像の描画位置を補正してもよい。このようにすることにより、機械的に補正することができるので、描画のタイミング制御などを変更する必要が無く回路やソフトウェアの変更を少なくすることができる。
【0016】
また、反射手段の反射方向を変更する反射方向変更手段を備え、反射方向変更手段が、受光素子が受光した信号に基づいて受光素子の中心に第二のレーザ光源のレーザ光が受光するように反射手段の反射方向を変更し、補正手段が、受光素子が受光した信号に基づいて、画像表示部に描画される前記画像の位置を補正してもよい。このようにすることにより、常に受光素子の中心に第二のレーザ光源のレーザ光が受光されるように制御して、その制御に基づいて補正するために、周波数の高い振動にも対応することができ、強い衝撃が加わることによって短時間に受光素子に対するレーザ光源側の相対位置が大きくずれた場合にも対応することができる。
【0017】
また、反射方向変更手段が、描画手段の描画方向も変更してもよい。このようにすることにより、反射方向変更手段の制御に合わせて描画手段も制御することができ、1つの機構で双方の制御を行うことができる。
【0018】
また、第一のレーザ光源の一つが、第二のレーザ光源を含んだ、2波長のレーザ光を出射するレーザ光源で構成されてもよい。このようにすることにより、レーザ光源の数を減らすことができるので、画像表示装置を小型化することができる。
【実施例1】
【0019】
本発明の第1の実施例にかかる画像表示装置1を図1ないし図14を参照して説明する。画像表示装置1は、図1に示すように画像信号入力部2と、ビデオASIC3と、フレームメモリ4と、ROM5と、RAM6と、レーザドライバASIC7と、MEMS制御部8と、レーザ光源ユニット9と、スクリーン11と、を備え、ビデオASIC3、フレームメモリ4、ROM5、RAM6、レーザドライバASIC7、MEMS制御部8、レーザ光源ユニット9を本体部として1つの筐体などに収容し、本体部とスクリーン11がそれぞれ車両の車室内に取り付けられている。
【0020】
画像信号入力部2は、外部から入力される画像信号を受信してビデオASIC3に出力する。
【0021】
補正手段としてのビデオASIC3は、画像信号入力部2から入力される画像信号およびレーザ光源ユニット9から入力される走査位置情報に基づいてレーザドライバASIC7やMEMS制御部8を制御するブロックであり、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)として構成されている。ビデオASIC3は、同期/画像分離部31と、ビットデータ変換部32と、発光パターン変換部33と、タイミングコントローラ34と、を備えている。また、本実施例においては、後述する受光素子12からの受光信号も入力される。
【0022】
同期/画像分離部31は、画像信号入力部2から入力された画像信号から画像表示部であるスクリーン11に表示される画像データと同期信号とを分離し、画像データをフレームメモリ4に書き込む。また、同期信号はタイミングコントローラ34へ出力される。
【0023】
ビットデータ変換部32は、フレームメモリ4に書き込まれた画像データを読み出してビットデータに変換する。
【0024】
発光パターン変換部33は、ビットデータ変換部32で変換されたビットデータを後述する赤色レーザLD1と緑色レーザLD2と青色レーザLD3の発光パターンを表わす信号に変換する。また、発光パターン変換部は、後述する走査位置情報(例えばMEMSミラー98の角度などの情報)に基づいて、赤外レーザLD4の発光パターンを表す信号を生成する。
【0025】
タイミングコントローラ34は、同期/画像分離部31から入力された同期信号と受光素子12からの受光信号に基づいて同期/画像分離部31、ビットデータ変換部32の動作タイミングを制御する。また、タイミングコントローラ34は、後述するMEMS制御部8の動作タイミングも制御する。即ち、タイミングコントローラ34が、本実施例における振動補正の制御を行っている。
【0026】
フレームメモリ4は、同期/画像分離部31で分離された画像データが書き込まれる。ROM5は、ビデオASIC3が動作するための制御プログラムやデータ等が記憶されている。RAM6は、ビデオAISC3が動作する際のワークメモリとして各種データ等が逐次読み書きされる。
【0027】
レーザドライバASIC7は、後述するレーザ光源ユニット9に設けられるレーザダイオードを駆動する信号を生成するブロックであり、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)として構成されている。レーザドライバASIC7は、赤色レーザ駆動回路71と、緑色レーザ駆動回路72と、青色レーザ駆動回路73と、赤外レーザ駆動回路74と、を備えている。
【0028】
赤色レーザ駆動回路71は、発光パターン変換部33が出力する信号に基づき、赤色レーザLD1を駆動する。緑色レーザ駆動回路72は、発光パターン変換部33が出力する信号に基づき、緑色レーザLD2を駆動する。青色レーザ駆動回路73は、発光パターン変換部33が出力する信号に基づき、青色レーザLD3を駆動する。
【0029】
赤外レーザ駆動回路74は、発光パターン変換部33が出力する信号に基づき、赤外レーザLD4を駆動する。
【0030】
MEMS制御部8は、タイミングコントローラ34が出力する信号に基づきレーザ光源ユニット9内の後述するMEMSミラー98を制御する。MEMS制御部8は、サーボ回路81と、ドライバ回路82と、を備えている。
【0031】
サーボ回路81は、タイミングコントローラ34からの信号に基づき、MEMSミラー98の動作を制御する。
【0032】
ドライバ回路82は、サーボ回路81が出力するMEMSミラー98の制御信号を所定レベルに増幅して出力する。
【0033】
レーザ光源ユニット9は、図2に示すように、赤色レーザLD1と、緑色レーザLD2と、青色レーザLD3と、赤外レーザLD4と、コリメータレンズ91、92、93、94と、波長選択性素子95と、偏光ビームスプリッター96と、1/4波長板97と、MEMSミラー98と、を備えている。
【0034】
第一のレーザ光源としての赤色レーザLD1は、赤色のレーザ光を出射する。第一のレーザ光源としての緑色レーザLD2は、緑色のレーザ光を出射する。第一のレーザ光源としての青色レーザLD3は、青色のレーザ光を出射する。
【0035】
第二のレーザ光源としての赤外レーザLD4は、可視光以外の波長である赤外レーザ光を出射する。
【0036】
コリメータレンズ91は、赤色レーザLD1から入射したレーザ光を平行光にして波長選択性素子95へ出射する。コリメータレンズ92は、緑色レーザLD2から入射したレーザ光を平行光にして波長選択性素子95へ出射する。コリメータレンズ93は、青色レーザLD3から入射したレーザ光を平行光にして波長選択性素子95へ出射する。コリメータレンズ94は、赤外レーザLD4から入射したレーザ光を平行光にして波長選択性素子95へ出射する。
【0037】
波長選択性素子95は、赤色レーザLD1から出射されたレーザ光を反射面95aで偏光ビームスプリッター96へ向かって反射させ、緑色レーザLD2から出射されたレーザ光を反射面95bで偏光ビームスプリッター96へ向かって反射させ、青色レーザLD3から出射されたレーザ光を反射面95cで偏光ビームスプリッター96へ向かって反射させ、赤外レーザLD4から出射されたレーザ光を透過させる。このようにすることで、各レーザからの出射光が重ね合わされる。
【0038】
偏光ビームスプリッター96は、波長選択性素子95から出射されたレーザ光1/4波長板97へ向かって反射する。
【0039】
1/4波長板97は、偏向ビームスプリッター96で反射されたレーザ光を透過する、透過したレーザ光はMEMSミラー98に向かう。
【0040】
描画手段としてのMEMSミラー98は、1/4波長板97を透過したレーザ光をスクリーン11に向かって反射する。また、画像信号入力部2に入力された画像を表示するためにMEMS制御部8からの制御によりスクリーン11上を走査するように可動し、その際の走査位置情報(例えばMEMSミラー98の角度などの情報)をビデオASIC3へ出力する。
【0041】
画像表示部としてのスクリーン11は、レーザ光源ユニット9から出射した画像が表示(描画)される。またスクリーン11は、略中央に画像描画領域Vがあり、その画像描画領域Vの外側、つまり、スクリーン11の外周部に受光素子12が設けられている。
【0042】
受光素子12は、赤外レーザLD4が出射したレーザ光を受光する素子であり、赤外光が受光可能な素子で構成される。また、受光素子12は、スクリーン11において、レーザ光源ユニット9が走査する範囲で画像描画領域Vより外側の領域(オーバースキャンする領域)であれば任意の位置に設けて良い。図2では一例としてスクリーンの右上に配置している。
【0043】
次に、上述した構成の画像表示装置1における振動補正動作について図3ないし図10を参照して説明する。
【0044】
まず、振動が加わっていない場合を図3および図4に示す。図3は、スクリーン11上の画像描画領域Vおよび受光素子12とレーザ光源ユニット9(MEMSミラー98)の走査軌跡Sとの関係を示している。図4は、図3の場合の左右方向のMEMSミラー98の駆動電流、上下方向のMEMSミラー98の駆動電流(実線)と角度情報(点線)、受光素子出力、描画エリアを示す信号、赤外レーザのON/OFFを示す信号、を表示した波形図である。
【0045】
走査軌跡Sは、図中A点が走査開始点とすると、そこから左から右への走査を所定本数の走査線分行って1フレーム分の描画を行い、最下方の最終ラインからA点にまた戻って次のフレームの走査を行う動作を繰り返すことを示している。
【0046】
図4において、図3の場合の左右方向のMEMSミラー98の駆動電流は一定の周波数の正弦波となっている。ここで、左右方向のMEMSミラー98の駆動電流がプラス電流は際は右側に走査され、マイナス電流の際は左側に走査される。また、上下方向のMEMSミラー98の駆動電流はA点より後はマイナス方向の電流となりA点より前はプラス方向の電流となることで、マイナス電流の際は画像を描画して徐々に角度情報が下向きになり、プラス電流の際は最下端からA点に戻るため角度情報が上向きになる。
【0047】
受光素子12の出力は、走査軌跡Sが受光素子12を通過した場合に発生する、つまり、レーザ光を受光したときに立ち上がり、レーザ光を受光しなくなったときに立下がるパルス信号であり、図3の場合はA点を基準とすると第2波目と第3波目の左右方向のMEMSミラー98の駆動電流の正弦波における最大値(山の頂上)で発生する。つまり、このときに走査軌跡Sが受光素子12を通過している。描画エリアを示す信号は、画像が描画される範囲(画像描画領域Vである赤色レーザLD1、緑色レーザLD2、青色レーザLD3の点灯領域)を示している。また、この描画エリアを示す信号は、受光素子12の出力パルスの立下りからt2時間後に発生する。このt2は受光素子12の位置や大きさおよび走査軌跡Sの速度(リフレッシュレート)などから予め定まる値である。
【0048】
赤外レーザLD4のON/OFFを示す信号は、左右方向のMEMSミラー98の駆動電流の正弦波におけるプラス側(山側)でONにする。つまり、スクリーン11の受光素子12が設けられている右側のオーバースキャン領域でONされる。この操作はビデオASIC3が行う。なお、赤外レーザLD4は、可視光線ではないため、走査軌跡Sに沿って画像表示領域Vの範囲も点灯したまま走査しても画像への影響が殆どないため構わない。
【0049】
ここで、振動などにより画像描画領域Vが下方向にずれた場合を図5ないし図7に示す。図5は図3に対して1ライン下方向にずれた場合である。この場合、受光素子12の出力が、Aを基準とすると第1波目の左右方向のMEMSミラー98の駆動電流の正弦波における最大値から発生する。この状態の波形が図6である。描画エリア補正前は補正前の図4と同じタイミングで描画を始める場合であり、描画エリア補正後は補正後のタイミングで描画を始める場合である。なお、赤外レーザLD4のON/OFFを示す信号は省略している。
【0050】
描画エリアを示す信号は、通常は図3に示したように最初の受光素子12の出力パルスの直後に発生する。つまり、最初の受光素子12の出力パルスの直後から画像の描画が行われている。したがって、図5の場合も最初の受光素子12の出力パルスが発生した直後から画像の描画を行う(赤色レーザLD1、緑色レーザLD2、青色レーザLD3を駆動する)ように補正することで、図7に示すように、スクリーン11における画像描画領域Vの位置が通常の場合とずれることを無くすことができる。つまり、スクリーン11の同じ位置に常に描画することができる。即ち、受光素子12が受光した信号を基準として、画像の描画タイミングを補正している。
【0051】
次に、振動などにより画像描画領域Vが右方向にずれた場合を図8ないし図10に示す。この場合、走査軌跡Sが受光素子12の領域を通る時間が長くなるため受光素子12の出力パルスの幅が広くなる。この状態の波形が図9である。描画エリア補正前は補正前の図4と同じタイミングで描画を始める場合であり、描画エリア補正後は補正後のタイミングで描画を始める場合である。なお、赤外レーザLD4のON/OFFを示す信号は省略している。
【0052】
描画エリアを示す信号は、図3に示したように受光素子12の出力パルスの立下りからt2時間後に発生する。受光素子12の出力信号の幅が広くなると受光素子12の出力パルスの立下りからt2未満となってしまうため、t2となるように描画エリアを示す信号をずらす、つまり、画像の描画タイミングをずらすように補正することで、図10に示すように、スクリーン11における画像描画領域Vの位置が通常の場合とずれることを無くすことができる。
【0053】
これは、左方向にずれた場合も同様であり、左方向にずれた場合は、受光素子12の出力パルスの幅が狭くなるが、描画エリアを示す信号を受光素子12の出力パルスの立下りからt2となるようにすることでスクリーン11における画像描画領域Vの位置が通常の場合とずれることを無くすことができる。
【0054】
また、振動などにより画像描画領域Vが右方向にずれる量が多いと図11に示したように走査軌跡Sが受光素子12を超えてしまうため、図12に示すように受光素子12の出力パルスの中心が一旦凹んでしまう。受光素子12の出力パルスの正規の立下りfは、左右方向のMEMSミラー98の駆動電流の正弦波における最大値よりも後に必ず発生するため、右方向のMEMSミラー98の駆動電流の正弦波における最大値mの検出後に発生する受光素子12の出力パルスの立下りfを検出することで、正しく補正することができる。これは、受光素子をスクリーン11の左側に設け、左方向にずれる量が多い場合でも同様である。即ち、パルス信号の立下りfと、描画手段の駆動信号に基づいて画像の描画タイミングを補正している。
【0055】
本実施形態によれば、画像表示装置1において、レーザ光源ユニット9に赤外レーザLD4を設け、スクリーン11の画像描画領域Vの外側に赤外レーザLD4のレーザ光を受光する受光素子12を設けて、受光素子12の出力信号を基準として画像の描画タイミングを補正しているので、スクリーン11の同じ位置に常に描画することができるために、相対位置がずれない場合は補正せず、振動が加わった際に、相対位置が上下方向に平行移動したことにより画像が小さく移動した場合や照射角度が移動したことにより画像が大きく移動した場合であっても、適切に画像の描画位置を補正することができる。
【0056】
また、電気的に振動に対する補正を行っているので、赤外レーザLD4と受光素子12を追加するのみで、機械的な部材の追加を行う必要が無く安価に振動補正を行うことができる。
【0057】
また、左右方向のMEMSミラー駆動電流の最大値m検出以降の受光素子の出力信号の立下りfの検出で、画像の描画タイミングを補正しているので、右方向に画像が大きくずれた場合でも確実に補正することができ、画像表示部の表示エリア外の領域を小さくして画像表示エリアを大きくすることができる。また、受光素子を小型化することができる。
【0058】
なお、上述した実施例では、受光素子12が1箇所設けられていたが、複数設けてもよい。例えば、図2の場合はスクリーン11の右上に設けたが、加えてスクリーン11の中心に対して点対称となる左下にも設ければ、1フレーム内で2回振動補正を行うことができるので、より検出精度を高めることができる。また、受光素子12の位置は、スクリーンの画像描画領域V外のオーバースキャンされる外周領域であれば任意の位置でよく、その位置における描画タイミングのずれを検出して、そのずれ分を次のフレームの先頭から補正すればよい。
【0059】
また、上述した実施例では、赤外レーザLD4を独立して設けていたが、赤色レーザLD1、緑色レーザLD2、青色レーザLD3のいずれかを赤外レーザ光も出射可能な2波長レーザとしてもよい。この場合、図13や図14に示すように、2波長レーザLD5の赤外レーザ光(図13の二点鎖線)は、他の3色のレーザ光(図13の一点鎖線)に対して、出射位置がわずかにずれてしまう。そのため走査軌跡SもS´へずれてしまう。しかしながら、このずれ分が予め判明していれば、その分を考慮して補正を行えばよく、上述した方法を適用することができる。即ち、予め判明している振動がない場合のタイミングを基準として、その基準からずれた場合はその基準に合わせるように補正すればよい。
【実施例2】
【0060】
次に、本発明の第2の実施例にかかる画像表示装置1を図15および図16を参照して説明する。なお、前述した第1の実施例と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0061】
本実施例では、図15に示したようにMEMS制御部8にガルバノ制御回路83が追加され、図16に示したようにガルバノ機構99が追加されている点が第1の実施例と異なる。
【0062】
描画方向変更手段としてのガルバノ機構99は、MEMSミラー98の角度(描画方向)を機械的に変更して画像描画領域Vの補正を行う機構であり、ガルバノ制御回路83によって制御される。ガルバノ制御回路83は、受光素子12の出力信号に基づいたタイミングコントローラ34からの制御信号によって制御される。したがって、ガルバノ機構99ガルバノ機構99は、受光素子12の出力信号によって補正を行っている。なお、MEMSミラー98の画像描画動作(走査動作)は第1の実施例と同様にドライバ回路82から制御されている。つまり、ガルバノ機構99は、画像描画動作と独立して振動検出時の補正動作のみを行っている。
【0063】
第1の実施例では、受光素子12の出力信号に基づいて画像の描画タイミングを変更していたが、本実施例では、受光素子12の出力信号に基づいて画像描画領域Vのずれ量だけ描画方向を補正する。例えば、図5のように1ライン下にずれた場合はガルバノ機構99が1ライン上にずらすようにMEMSミラー98の角度を変更することでスクリーン11の同じ位置に常に描画することができる。即ち、受光素子12が受光した信号に基づいて、ガルバノ機構99の描画方向を変更して画像の描画位置を補正している。
【0064】
本実施例によれば、受光素子12の出力信号に基づいてガルバノ機構99で画像描画領域Vの位置を補正しているので、機械的に補正することができるので、描画の制御などを変更する必要が無く回路やソフトウェアの変更を少なくすることができる。
【実施例3】
【0065】
次に、本発明の第3の実施例にかかる画像表示装置1を図17ないし図19を参照して説明する。なお、前述した第1、第2の実施例と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0066】
本実施例では、図17に示したように、誤差信号生成回路101が追加され、受光素子12が受光素子12´に変更され、また、図18に示したように、レーザ光源ユニット9に赤外線用ミラー100が追加され、偏光ビームスプリッター96が赤外レーザLD4からのレーザ光のみを赤外線用ミラー100へ透過する偏光ビームスプリッター96´に変更され、反射方向変更手段としてのガルバノ機構99は、MEMSミラー98と、赤外線用ミラー100の双方の角度(描画方向)を変更している点が第2の実施例と異なる。
【0067】
受光素子12´は、図19に示したようにA,B,C,Dに4分割されており、それぞれの部分で受光した光量に応じた信号を出力する。誤差信号生成回路101は、受光素子12´の4つの出力信号から上下方向と左右方向の誤差信号を生成しガルバノ制御回路83に出力する。
【0068】
赤外線用ミラー100は、赤外レーザLD4から出射されたレーザ光をスクリーン11の受光素子12´に向けて反射している。
【0069】
本実施例では、通常、赤外レーザLD4から出射されたレーザ光は赤外線用ミラー100によって受光素子12´の中心に向けて反射されている。そのため、振動が加わらない状態ではA,B,C,Dの各受光領域に等しく光が当たり誤差信号生成回路101では上下方向と左右方向の誤差信号が発生しない。しかし、振動が加わった状態となると、A,B,C,Dの各受光領域のいずれかに偏ってレーザ光が当たるため誤差信号生成回路101では上下方向や左右方向の誤差信号が発生し、ガルバノ制御回路83ではその誤差信号を打ち消す方向にガルバノ機構99を動作させて赤外線用ミラー100の角度を変更する。つまり、受光素子12´、誤差信号生成回路101、ガルバノ制御回路83でフィードバックループを形成しサーボ制御を行っている。したがって、本実施例ではMEMS制御部8が補正手段として機能している。そして、このガルバノ機構99はMEMSミラー98の角度も赤外線用ミラー100と同様に動作させることで、画像描画領域Vの補正を行っている。即ち、ガルバノ機構99が、受光素子12が受光した信号に基づいて受光素子12の中心に赤外レーザLD4のレーザ光が受光するように赤外線用ミラー100とMEMSミラー98の反射方向を変更し、MEMS制御部8が、受光素子12が受光した信号に基づいて、スクリーン11に描画される画像の位置を補正している。
【0070】
本実施例によれば、受光素子12を4分割型の受光素子12´にし、赤外線用ミラー100を設け、受光素子12´の出力信号に基づいてガルバノ機構99が受光素子12´中心にレーザ光が当たるようにサーボ制御し、そのサーボ制御の際に、赤外線用ミラー100と同様にMEMSミラー98も動作させるので、フレーム単位ではなく常に補正を行うことができるために、周波数の高い振動にも対応することができ、強い衝撃が加わることによって短時間に受光素子12´に対するレーザ光源側の相対位置が大きくずれた場合にも対応することができる。
【0071】
なお、特にガルバノ機構99を使用した場合は、補正範囲が大きく取れるので、車両走行による振動に限らず、例えば、乗員がスクリーン11に触れて画面がずれた、または、角度が変わってしまった場合も追従して表示させることができる。
【0072】
前述した実施例によれば、以下の画像表示装置1が得られる。
【0073】
(付記)画像が表示されるスクリーン11と、画像を形成する複数の赤色レーザLD1、緑色レーザLD2、青色レーザLD3と、赤色レーザLD1、緑色レーザLD2、青色レーザLD3から出射されたレーザ光をスクリーン11へ走査させて画像を描画するMEMSミラー98と、を備えた画像表示装置1において、
可視光以外の波長のレーザ光を出射する赤外レーザLD4と、
赤外レーザLD4から出射されたレーザ光をスクリーン11へ向かって反射するMEMSミラー98と、
スクリーン11の画像表示領域V外に設けられ、赤外レーザLD4から出射されたレーザ光を受光する受光素子12と、
受光素子12が受光した信号に基づいて、スクリーン11に描画される画像の位置を補正するビデオASIC3と、
を備えていることを特徴とする画像表示装置1。
【0074】
この画像表示装置1によれば、受光素子12が検出するスクリーン11に対する赤色レーザLD1、緑色レーザLD2、青色レーザLD3側の位置関係に基づいて補正するために、相対位置がずれない場合は補正せず、振動が加わった際に、相対位置が上下方向に平行移動したことにより画像が小さく移動した場合や照射角度が移動したことにより画像が大きく移動した場合であっても、適切に画像の描画位置を補正することができる。
【0075】
なお、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施例に限定されるものではない。すなわち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 画像表示装置
3 ビデオASIC(補正手段)
8 MEMS制御部(補正手段)
11 スクリーン(画像表示部)
12 受光素子
12´ 受光素子
98 MEMSミラー(描画手段、反射手段)
99 ガルバノ機構(描画方向変更手段、反射方向変更手段)
100 赤外線用ミラー(反射手段)
LD1 赤色レーザ(第一のレーザ光源)
LD2 緑色レーザ(第一のレーザ光源)
LD3 青色レーザ(第一のレーザ光源)
LD4 赤外レーザ(第二のレーザ光源)
LD5 2波長レーザ(2波長のレーザ光を出射するレーザ光源)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、プロジェクタやヘッドアップディスプレイなどの光源から出射された光をスクリーン等に投影して画像を表示する画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタやヘッドアップディスプレイなどの画像表示装置は、画像を表示するスクリーンなどの画像表示部と、光源として赤、青、緑等の2種類以上のレーザ光源やレーザ光源から出射されたレーザ光を画像表示部へ走査して画像を描画するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーなどの描画手段を備えている本体部と、から構成されている。
【0003】
この種の画像表示装置が自動車などの車両に搭載されると、車両の走行中などに発生する振動によってスクリーンへ描画される画像が上下に振動してしまい、見難くなったり乗り物酔いなどの不快感を持つという問題があった。
【0004】
このような問題に対して、例えば、特許文献1に記載された映像情報表示システムが提案されている。特許文献1に記載の映像情報表示システムは、振動センサを設けて、その振動センサからの信号に基づいてスクリーンに照射される照射映像情報のぶれを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−161216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の映像表示システムのように振動センサでぶれを抑制すると、例えば、振動が加わったが本体部とスクリーンの相対位置がずれない場合でも、検出した振動によってぶれを抑制しようとするためにスクリーンに表示される画像がずれてしまうことがあった。
【0007】
また、本体部に振動が加わった場合でも上下方向に平行移動する場合とスクリーンへの照射角度が移動する場合では、後者の方がスクリーンにおける画像の移動量が大きいが、1つの振動センサでは、どちらかの区別がつかず区別するためには複数の振動センサを設ける必要がある。そのため、部品点数の増加や制御の複雑化などでコストがかかるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、例えば、振動が加わった際に適切に画像の描画位置を補正することができる画像表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の画像表示装置は、画像が表示される画像表示部と、前記画像を形成する複数の第一のレーザ光源と、前記第一のレーザ光源から出射されたレーザ光を前記画像表示部へ走査させて前記画像を描画する描画手段と、を備えた画像表示装置において、可視光以外の波長のレーザ光を出射する第二のレーザ光源と、
前記第二のレーザ光源から出射されたレーザ光を前記画像表示部へ向かって反射する反射手段と、前記画像表示部の画像表示領域外に設けられ、前記第二のレーザ光源から出射されたレーザ光を受光する受光素子と、前記受光素子が受光した信号に基づいて、前記画像表示部に描画される前記画像の位置を補正する補正手段と、を備えていることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施例にかかる画像表示装置のブロック図である。
【図2】図1に示された画像表示装置のレーザ光源ユニットとスクリーンを示した構成図である。
【図3】通常のスクリーンにおける画像描画領域および受光素子と走査軌跡との関係を示した説明図である。
【図4】図3の場合の波形図である。
【図5】振動により下方向へ画像描画領域が移動した場合を示した説明図である。
【図6】図5の場合の波形図である。
【図7】図5の補正後を示した説明図である。
【図8】振動により右方向へ画像描画領域が移動した場合を示した説明図である。
【図9】図8の場合の波形図である。
【図10】図8の補正後を示した説明図である。
【図11】右方向へ大きく移動した場合における補正動作の説明図である。
【図12】図11の場合のMEMSミラー駆動電流と受光素子の出力波形との波形図である。
【図13】2波長のレーザ光源を用いた場合のレーザ光源ユニットとスクリーンを示した構成図である。
【図14】図13に示した画像形成装置における画像描画領域および受光素子と走査軌跡との関係を示した説明図である。
【図15】本発明の第2の実施例にかかる画像表示装置のブロック図である。
【図16】図15に示された画像表示装置のレーザ光源ユニットとスクリーンを示した構成図である。
【図17】本発明の第3の実施例にかかる画像表示装置のブロック図である。
【図18】図17に示された画像表示装置のレーザ光源ユニットとスクリーンを示した構成図である。
【図19】4分割受光素子の構成を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置を説明する。本発明の一実施形態にかかる画像表示装置は、第二のレーザ光源から出射された可視光以外の波長のレーザ光を反射手段で画像表示部へ向かって反射して、画像表示部の画像表示領域外に設けられた受光素子で第二のレーザ光源から出射されたレーザ光を受光して、受光素子が受光した信号に基づいて、補正手段で画像表示部に描画される画像の位置を補正しているので、受光素子が検出する画像表示部に対するレーザ光源側の位置関係に基づいて補正するために、相対位置がずれない場合は補正せずに、振動が加わった際に、相対位置が上下方向に平行移動したことにより画像が小さく移動した場合や照射角度が移動したことにより画像が大きく移動した場合であっても、適切に画像の描画位置を補正することができる。
【0012】
また、描画手段が、反射手段を兼ねてもよい。このようにすることにより、反射手段を別に設ける必要がないので、画像表示装置を小型化することができる。
【0013】
また、補正手段が、受光素子が受光した信号を基準として、画像の描画タイミングを補正してもよい。このようにすることにより、電気的に振動に対する補正を行っているので、第二のレーザ光源と受光素子を追加するのみで、機械的な部材の追加を行う必要が無く安価に振動補正を行うことができる。
【0014】
また、受光素子が受光した信号が、受光素子がレーザ光を受光したときに立ち上がり、レーザ光を受光しなくなったときに立下がるパルス信号であって、パルス信号の立下りと、描画手段の駆動信号に基づいて画像の描画タイミングを補正してもよい。このようにすることにより、特に左右方向に画像が大きくずれた場合でも確実に補正することができ、画像表示部の表示領域外の領域を小さくして画像表示領域を大きくすることができる。また、受光素子を小型化することができる。
【0015】
また、描画手段の描画方向を変更する描画方向変更手段を備え、補正手段が、受光素子が受光した信号に基づいて、描画方向変更手段の描画方向を変更して画像の描画位置を補正してもよい。このようにすることにより、機械的に補正することができるので、描画のタイミング制御などを変更する必要が無く回路やソフトウェアの変更を少なくすることができる。
【0016】
また、反射手段の反射方向を変更する反射方向変更手段を備え、反射方向変更手段が、受光素子が受光した信号に基づいて受光素子の中心に第二のレーザ光源のレーザ光が受光するように反射手段の反射方向を変更し、補正手段が、受光素子が受光した信号に基づいて、画像表示部に描画される前記画像の位置を補正してもよい。このようにすることにより、常に受光素子の中心に第二のレーザ光源のレーザ光が受光されるように制御して、その制御に基づいて補正するために、周波数の高い振動にも対応することができ、強い衝撃が加わることによって短時間に受光素子に対するレーザ光源側の相対位置が大きくずれた場合にも対応することができる。
【0017】
また、反射方向変更手段が、描画手段の描画方向も変更してもよい。このようにすることにより、反射方向変更手段の制御に合わせて描画手段も制御することができ、1つの機構で双方の制御を行うことができる。
【0018】
また、第一のレーザ光源の一つが、第二のレーザ光源を含んだ、2波長のレーザ光を出射するレーザ光源で構成されてもよい。このようにすることにより、レーザ光源の数を減らすことができるので、画像表示装置を小型化することができる。
【実施例1】
【0019】
本発明の第1の実施例にかかる画像表示装置1を図1ないし図14を参照して説明する。画像表示装置1は、図1に示すように画像信号入力部2と、ビデオASIC3と、フレームメモリ4と、ROM5と、RAM6と、レーザドライバASIC7と、MEMS制御部8と、レーザ光源ユニット9と、スクリーン11と、を備え、ビデオASIC3、フレームメモリ4、ROM5、RAM6、レーザドライバASIC7、MEMS制御部8、レーザ光源ユニット9を本体部として1つの筐体などに収容し、本体部とスクリーン11がそれぞれ車両の車室内に取り付けられている。
【0020】
画像信号入力部2は、外部から入力される画像信号を受信してビデオASIC3に出力する。
【0021】
補正手段としてのビデオASIC3は、画像信号入力部2から入力される画像信号およびレーザ光源ユニット9から入力される走査位置情報に基づいてレーザドライバASIC7やMEMS制御部8を制御するブロックであり、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)として構成されている。ビデオASIC3は、同期/画像分離部31と、ビットデータ変換部32と、発光パターン変換部33と、タイミングコントローラ34と、を備えている。また、本実施例においては、後述する受光素子12からの受光信号も入力される。
【0022】
同期/画像分離部31は、画像信号入力部2から入力された画像信号から画像表示部であるスクリーン11に表示される画像データと同期信号とを分離し、画像データをフレームメモリ4に書き込む。また、同期信号はタイミングコントローラ34へ出力される。
【0023】
ビットデータ変換部32は、フレームメモリ4に書き込まれた画像データを読み出してビットデータに変換する。
【0024】
発光パターン変換部33は、ビットデータ変換部32で変換されたビットデータを後述する赤色レーザLD1と緑色レーザLD2と青色レーザLD3の発光パターンを表わす信号に変換する。また、発光パターン変換部は、後述する走査位置情報(例えばMEMSミラー98の角度などの情報)に基づいて、赤外レーザLD4の発光パターンを表す信号を生成する。
【0025】
タイミングコントローラ34は、同期/画像分離部31から入力された同期信号と受光素子12からの受光信号に基づいて同期/画像分離部31、ビットデータ変換部32の動作タイミングを制御する。また、タイミングコントローラ34は、後述するMEMS制御部8の動作タイミングも制御する。即ち、タイミングコントローラ34が、本実施例における振動補正の制御を行っている。
【0026】
フレームメモリ4は、同期/画像分離部31で分離された画像データが書き込まれる。ROM5は、ビデオASIC3が動作するための制御プログラムやデータ等が記憶されている。RAM6は、ビデオAISC3が動作する際のワークメモリとして各種データ等が逐次読み書きされる。
【0027】
レーザドライバASIC7は、後述するレーザ光源ユニット9に設けられるレーザダイオードを駆動する信号を生成するブロックであり、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)として構成されている。レーザドライバASIC7は、赤色レーザ駆動回路71と、緑色レーザ駆動回路72と、青色レーザ駆動回路73と、赤外レーザ駆動回路74と、を備えている。
【0028】
赤色レーザ駆動回路71は、発光パターン変換部33が出力する信号に基づき、赤色レーザLD1を駆動する。緑色レーザ駆動回路72は、発光パターン変換部33が出力する信号に基づき、緑色レーザLD2を駆動する。青色レーザ駆動回路73は、発光パターン変換部33が出力する信号に基づき、青色レーザLD3を駆動する。
【0029】
赤外レーザ駆動回路74は、発光パターン変換部33が出力する信号に基づき、赤外レーザLD4を駆動する。
【0030】
MEMS制御部8は、タイミングコントローラ34が出力する信号に基づきレーザ光源ユニット9内の後述するMEMSミラー98を制御する。MEMS制御部8は、サーボ回路81と、ドライバ回路82と、を備えている。
【0031】
サーボ回路81は、タイミングコントローラ34からの信号に基づき、MEMSミラー98の動作を制御する。
【0032】
ドライバ回路82は、サーボ回路81が出力するMEMSミラー98の制御信号を所定レベルに増幅して出力する。
【0033】
レーザ光源ユニット9は、図2に示すように、赤色レーザLD1と、緑色レーザLD2と、青色レーザLD3と、赤外レーザLD4と、コリメータレンズ91、92、93、94と、波長選択性素子95と、偏光ビームスプリッター96と、1/4波長板97と、MEMSミラー98と、を備えている。
【0034】
第一のレーザ光源としての赤色レーザLD1は、赤色のレーザ光を出射する。第一のレーザ光源としての緑色レーザLD2は、緑色のレーザ光を出射する。第一のレーザ光源としての青色レーザLD3は、青色のレーザ光を出射する。
【0035】
第二のレーザ光源としての赤外レーザLD4は、可視光以外の波長である赤外レーザ光を出射する。
【0036】
コリメータレンズ91は、赤色レーザLD1から入射したレーザ光を平行光にして波長選択性素子95へ出射する。コリメータレンズ92は、緑色レーザLD2から入射したレーザ光を平行光にして波長選択性素子95へ出射する。コリメータレンズ93は、青色レーザLD3から入射したレーザ光を平行光にして波長選択性素子95へ出射する。コリメータレンズ94は、赤外レーザLD4から入射したレーザ光を平行光にして波長選択性素子95へ出射する。
【0037】
波長選択性素子95は、赤色レーザLD1から出射されたレーザ光を反射面95aで偏光ビームスプリッター96へ向かって反射させ、緑色レーザLD2から出射されたレーザ光を反射面95bで偏光ビームスプリッター96へ向かって反射させ、青色レーザLD3から出射されたレーザ光を反射面95cで偏光ビームスプリッター96へ向かって反射させ、赤外レーザLD4から出射されたレーザ光を透過させる。このようにすることで、各レーザからの出射光が重ね合わされる。
【0038】
偏光ビームスプリッター96は、波長選択性素子95から出射されたレーザ光1/4波長板97へ向かって反射する。
【0039】
1/4波長板97は、偏向ビームスプリッター96で反射されたレーザ光を透過する、透過したレーザ光はMEMSミラー98に向かう。
【0040】
描画手段としてのMEMSミラー98は、1/4波長板97を透過したレーザ光をスクリーン11に向かって反射する。また、画像信号入力部2に入力された画像を表示するためにMEMS制御部8からの制御によりスクリーン11上を走査するように可動し、その際の走査位置情報(例えばMEMSミラー98の角度などの情報)をビデオASIC3へ出力する。
【0041】
画像表示部としてのスクリーン11は、レーザ光源ユニット9から出射した画像が表示(描画)される。またスクリーン11は、略中央に画像描画領域Vがあり、その画像描画領域Vの外側、つまり、スクリーン11の外周部に受光素子12が設けられている。
【0042】
受光素子12は、赤外レーザLD4が出射したレーザ光を受光する素子であり、赤外光が受光可能な素子で構成される。また、受光素子12は、スクリーン11において、レーザ光源ユニット9が走査する範囲で画像描画領域Vより外側の領域(オーバースキャンする領域)であれば任意の位置に設けて良い。図2では一例としてスクリーンの右上に配置している。
【0043】
次に、上述した構成の画像表示装置1における振動補正動作について図3ないし図10を参照して説明する。
【0044】
まず、振動が加わっていない場合を図3および図4に示す。図3は、スクリーン11上の画像描画領域Vおよび受光素子12とレーザ光源ユニット9(MEMSミラー98)の走査軌跡Sとの関係を示している。図4は、図3の場合の左右方向のMEMSミラー98の駆動電流、上下方向のMEMSミラー98の駆動電流(実線)と角度情報(点線)、受光素子出力、描画エリアを示す信号、赤外レーザのON/OFFを示す信号、を表示した波形図である。
【0045】
走査軌跡Sは、図中A点が走査開始点とすると、そこから左から右への走査を所定本数の走査線分行って1フレーム分の描画を行い、最下方の最終ラインからA点にまた戻って次のフレームの走査を行う動作を繰り返すことを示している。
【0046】
図4において、図3の場合の左右方向のMEMSミラー98の駆動電流は一定の周波数の正弦波となっている。ここで、左右方向のMEMSミラー98の駆動電流がプラス電流は際は右側に走査され、マイナス電流の際は左側に走査される。また、上下方向のMEMSミラー98の駆動電流はA点より後はマイナス方向の電流となりA点より前はプラス方向の電流となることで、マイナス電流の際は画像を描画して徐々に角度情報が下向きになり、プラス電流の際は最下端からA点に戻るため角度情報が上向きになる。
【0047】
受光素子12の出力は、走査軌跡Sが受光素子12を通過した場合に発生する、つまり、レーザ光を受光したときに立ち上がり、レーザ光を受光しなくなったときに立下がるパルス信号であり、図3の場合はA点を基準とすると第2波目と第3波目の左右方向のMEMSミラー98の駆動電流の正弦波における最大値(山の頂上)で発生する。つまり、このときに走査軌跡Sが受光素子12を通過している。描画エリアを示す信号は、画像が描画される範囲(画像描画領域Vである赤色レーザLD1、緑色レーザLD2、青色レーザLD3の点灯領域)を示している。また、この描画エリアを示す信号は、受光素子12の出力パルスの立下りからt2時間後に発生する。このt2は受光素子12の位置や大きさおよび走査軌跡Sの速度(リフレッシュレート)などから予め定まる値である。
【0048】
赤外レーザLD4のON/OFFを示す信号は、左右方向のMEMSミラー98の駆動電流の正弦波におけるプラス側(山側)でONにする。つまり、スクリーン11の受光素子12が設けられている右側のオーバースキャン領域でONされる。この操作はビデオASIC3が行う。なお、赤外レーザLD4は、可視光線ではないため、走査軌跡Sに沿って画像表示領域Vの範囲も点灯したまま走査しても画像への影響が殆どないため構わない。
【0049】
ここで、振動などにより画像描画領域Vが下方向にずれた場合を図5ないし図7に示す。図5は図3に対して1ライン下方向にずれた場合である。この場合、受光素子12の出力が、Aを基準とすると第1波目の左右方向のMEMSミラー98の駆動電流の正弦波における最大値から発生する。この状態の波形が図6である。描画エリア補正前は補正前の図4と同じタイミングで描画を始める場合であり、描画エリア補正後は補正後のタイミングで描画を始める場合である。なお、赤外レーザLD4のON/OFFを示す信号は省略している。
【0050】
描画エリアを示す信号は、通常は図3に示したように最初の受光素子12の出力パルスの直後に発生する。つまり、最初の受光素子12の出力パルスの直後から画像の描画が行われている。したがって、図5の場合も最初の受光素子12の出力パルスが発生した直後から画像の描画を行う(赤色レーザLD1、緑色レーザLD2、青色レーザLD3を駆動する)ように補正することで、図7に示すように、スクリーン11における画像描画領域Vの位置が通常の場合とずれることを無くすことができる。つまり、スクリーン11の同じ位置に常に描画することができる。即ち、受光素子12が受光した信号を基準として、画像の描画タイミングを補正している。
【0051】
次に、振動などにより画像描画領域Vが右方向にずれた場合を図8ないし図10に示す。この場合、走査軌跡Sが受光素子12の領域を通る時間が長くなるため受光素子12の出力パルスの幅が広くなる。この状態の波形が図9である。描画エリア補正前は補正前の図4と同じタイミングで描画を始める場合であり、描画エリア補正後は補正後のタイミングで描画を始める場合である。なお、赤外レーザLD4のON/OFFを示す信号は省略している。
【0052】
描画エリアを示す信号は、図3に示したように受光素子12の出力パルスの立下りからt2時間後に発生する。受光素子12の出力信号の幅が広くなると受光素子12の出力パルスの立下りからt2未満となってしまうため、t2となるように描画エリアを示す信号をずらす、つまり、画像の描画タイミングをずらすように補正することで、図10に示すように、スクリーン11における画像描画領域Vの位置が通常の場合とずれることを無くすことができる。
【0053】
これは、左方向にずれた場合も同様であり、左方向にずれた場合は、受光素子12の出力パルスの幅が狭くなるが、描画エリアを示す信号を受光素子12の出力パルスの立下りからt2となるようにすることでスクリーン11における画像描画領域Vの位置が通常の場合とずれることを無くすことができる。
【0054】
また、振動などにより画像描画領域Vが右方向にずれる量が多いと図11に示したように走査軌跡Sが受光素子12を超えてしまうため、図12に示すように受光素子12の出力パルスの中心が一旦凹んでしまう。受光素子12の出力パルスの正規の立下りfは、左右方向のMEMSミラー98の駆動電流の正弦波における最大値よりも後に必ず発生するため、右方向のMEMSミラー98の駆動電流の正弦波における最大値mの検出後に発生する受光素子12の出力パルスの立下りfを検出することで、正しく補正することができる。これは、受光素子をスクリーン11の左側に設け、左方向にずれる量が多い場合でも同様である。即ち、パルス信号の立下りfと、描画手段の駆動信号に基づいて画像の描画タイミングを補正している。
【0055】
本実施形態によれば、画像表示装置1において、レーザ光源ユニット9に赤外レーザLD4を設け、スクリーン11の画像描画領域Vの外側に赤外レーザLD4のレーザ光を受光する受光素子12を設けて、受光素子12の出力信号を基準として画像の描画タイミングを補正しているので、スクリーン11の同じ位置に常に描画することができるために、相対位置がずれない場合は補正せず、振動が加わった際に、相対位置が上下方向に平行移動したことにより画像が小さく移動した場合や照射角度が移動したことにより画像が大きく移動した場合であっても、適切に画像の描画位置を補正することができる。
【0056】
また、電気的に振動に対する補正を行っているので、赤外レーザLD4と受光素子12を追加するのみで、機械的な部材の追加を行う必要が無く安価に振動補正を行うことができる。
【0057】
また、左右方向のMEMSミラー駆動電流の最大値m検出以降の受光素子の出力信号の立下りfの検出で、画像の描画タイミングを補正しているので、右方向に画像が大きくずれた場合でも確実に補正することができ、画像表示部の表示エリア外の領域を小さくして画像表示エリアを大きくすることができる。また、受光素子を小型化することができる。
【0058】
なお、上述した実施例では、受光素子12が1箇所設けられていたが、複数設けてもよい。例えば、図2の場合はスクリーン11の右上に設けたが、加えてスクリーン11の中心に対して点対称となる左下にも設ければ、1フレーム内で2回振動補正を行うことができるので、より検出精度を高めることができる。また、受光素子12の位置は、スクリーンの画像描画領域V外のオーバースキャンされる外周領域であれば任意の位置でよく、その位置における描画タイミングのずれを検出して、そのずれ分を次のフレームの先頭から補正すればよい。
【0059】
また、上述した実施例では、赤外レーザLD4を独立して設けていたが、赤色レーザLD1、緑色レーザLD2、青色レーザLD3のいずれかを赤外レーザ光も出射可能な2波長レーザとしてもよい。この場合、図13や図14に示すように、2波長レーザLD5の赤外レーザ光(図13の二点鎖線)は、他の3色のレーザ光(図13の一点鎖線)に対して、出射位置がわずかにずれてしまう。そのため走査軌跡SもS´へずれてしまう。しかしながら、このずれ分が予め判明していれば、その分を考慮して補正を行えばよく、上述した方法を適用することができる。即ち、予め判明している振動がない場合のタイミングを基準として、その基準からずれた場合はその基準に合わせるように補正すればよい。
【実施例2】
【0060】
次に、本発明の第2の実施例にかかる画像表示装置1を図15および図16を参照して説明する。なお、前述した第1の実施例と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0061】
本実施例では、図15に示したようにMEMS制御部8にガルバノ制御回路83が追加され、図16に示したようにガルバノ機構99が追加されている点が第1の実施例と異なる。
【0062】
描画方向変更手段としてのガルバノ機構99は、MEMSミラー98の角度(描画方向)を機械的に変更して画像描画領域Vの補正を行う機構であり、ガルバノ制御回路83によって制御される。ガルバノ制御回路83は、受光素子12の出力信号に基づいたタイミングコントローラ34からの制御信号によって制御される。したがって、ガルバノ機構99ガルバノ機構99は、受光素子12の出力信号によって補正を行っている。なお、MEMSミラー98の画像描画動作(走査動作)は第1の実施例と同様にドライバ回路82から制御されている。つまり、ガルバノ機構99は、画像描画動作と独立して振動検出時の補正動作のみを行っている。
【0063】
第1の実施例では、受光素子12の出力信号に基づいて画像の描画タイミングを変更していたが、本実施例では、受光素子12の出力信号に基づいて画像描画領域Vのずれ量だけ描画方向を補正する。例えば、図5のように1ライン下にずれた場合はガルバノ機構99が1ライン上にずらすようにMEMSミラー98の角度を変更することでスクリーン11の同じ位置に常に描画することができる。即ち、受光素子12が受光した信号に基づいて、ガルバノ機構99の描画方向を変更して画像の描画位置を補正している。
【0064】
本実施例によれば、受光素子12の出力信号に基づいてガルバノ機構99で画像描画領域Vの位置を補正しているので、機械的に補正することができるので、描画の制御などを変更する必要が無く回路やソフトウェアの変更を少なくすることができる。
【実施例3】
【0065】
次に、本発明の第3の実施例にかかる画像表示装置1を図17ないし図19を参照して説明する。なお、前述した第1、第2の実施例と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0066】
本実施例では、図17に示したように、誤差信号生成回路101が追加され、受光素子12が受光素子12´に変更され、また、図18に示したように、レーザ光源ユニット9に赤外線用ミラー100が追加され、偏光ビームスプリッター96が赤外レーザLD4からのレーザ光のみを赤外線用ミラー100へ透過する偏光ビームスプリッター96´に変更され、反射方向変更手段としてのガルバノ機構99は、MEMSミラー98と、赤外線用ミラー100の双方の角度(描画方向)を変更している点が第2の実施例と異なる。
【0067】
受光素子12´は、図19に示したようにA,B,C,Dに4分割されており、それぞれの部分で受光した光量に応じた信号を出力する。誤差信号生成回路101は、受光素子12´の4つの出力信号から上下方向と左右方向の誤差信号を生成しガルバノ制御回路83に出力する。
【0068】
赤外線用ミラー100は、赤外レーザLD4から出射されたレーザ光をスクリーン11の受光素子12´に向けて反射している。
【0069】
本実施例では、通常、赤外レーザLD4から出射されたレーザ光は赤外線用ミラー100によって受光素子12´の中心に向けて反射されている。そのため、振動が加わらない状態ではA,B,C,Dの各受光領域に等しく光が当たり誤差信号生成回路101では上下方向と左右方向の誤差信号が発生しない。しかし、振動が加わった状態となると、A,B,C,Dの各受光領域のいずれかに偏ってレーザ光が当たるため誤差信号生成回路101では上下方向や左右方向の誤差信号が発生し、ガルバノ制御回路83ではその誤差信号を打ち消す方向にガルバノ機構99を動作させて赤外線用ミラー100の角度を変更する。つまり、受光素子12´、誤差信号生成回路101、ガルバノ制御回路83でフィードバックループを形成しサーボ制御を行っている。したがって、本実施例ではMEMS制御部8が補正手段として機能している。そして、このガルバノ機構99はMEMSミラー98の角度も赤外線用ミラー100と同様に動作させることで、画像描画領域Vの補正を行っている。即ち、ガルバノ機構99が、受光素子12が受光した信号に基づいて受光素子12の中心に赤外レーザLD4のレーザ光が受光するように赤外線用ミラー100とMEMSミラー98の反射方向を変更し、MEMS制御部8が、受光素子12が受光した信号に基づいて、スクリーン11に描画される画像の位置を補正している。
【0070】
本実施例によれば、受光素子12を4分割型の受光素子12´にし、赤外線用ミラー100を設け、受光素子12´の出力信号に基づいてガルバノ機構99が受光素子12´中心にレーザ光が当たるようにサーボ制御し、そのサーボ制御の際に、赤外線用ミラー100と同様にMEMSミラー98も動作させるので、フレーム単位ではなく常に補正を行うことができるために、周波数の高い振動にも対応することができ、強い衝撃が加わることによって短時間に受光素子12´に対するレーザ光源側の相対位置が大きくずれた場合にも対応することができる。
【0071】
なお、特にガルバノ機構99を使用した場合は、補正範囲が大きく取れるので、車両走行による振動に限らず、例えば、乗員がスクリーン11に触れて画面がずれた、または、角度が変わってしまった場合も追従して表示させることができる。
【0072】
前述した実施例によれば、以下の画像表示装置1が得られる。
【0073】
(付記)画像が表示されるスクリーン11と、画像を形成する複数の赤色レーザLD1、緑色レーザLD2、青色レーザLD3と、赤色レーザLD1、緑色レーザLD2、青色レーザLD3から出射されたレーザ光をスクリーン11へ走査させて画像を描画するMEMSミラー98と、を備えた画像表示装置1において、
可視光以外の波長のレーザ光を出射する赤外レーザLD4と、
赤外レーザLD4から出射されたレーザ光をスクリーン11へ向かって反射するMEMSミラー98と、
スクリーン11の画像表示領域V外に設けられ、赤外レーザLD4から出射されたレーザ光を受光する受光素子12と、
受光素子12が受光した信号に基づいて、スクリーン11に描画される画像の位置を補正するビデオASIC3と、
を備えていることを特徴とする画像表示装置1。
【0074】
この画像表示装置1によれば、受光素子12が検出するスクリーン11に対する赤色レーザLD1、緑色レーザLD2、青色レーザLD3側の位置関係に基づいて補正するために、相対位置がずれない場合は補正せず、振動が加わった際に、相対位置が上下方向に平行移動したことにより画像が小さく移動した場合や照射角度が移動したことにより画像が大きく移動した場合であっても、適切に画像の描画位置を補正することができる。
【0075】
なお、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施例に限定されるものではない。すなわち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 画像表示装置
3 ビデオASIC(補正手段)
8 MEMS制御部(補正手段)
11 スクリーン(画像表示部)
12 受光素子
12´ 受光素子
98 MEMSミラー(描画手段、反射手段)
99 ガルバノ機構(描画方向変更手段、反射方向変更手段)
100 赤外線用ミラー(反射手段)
LD1 赤色レーザ(第一のレーザ光源)
LD2 緑色レーザ(第一のレーザ光源)
LD3 青色レーザ(第一のレーザ光源)
LD4 赤外レーザ(第二のレーザ光源)
LD5 2波長レーザ(2波長のレーザ光を出射するレーザ光源)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が表示される画像表示部と、前記画像を形成する複数の第一のレーザ光源と、前記第一のレーザ光源から出射されたレーザ光を前記画像表示部へ走査させて前記画像を描画する描画手段と、を備えた画像表示装置において、
可視光以外の波長のレーザ光を出射する第二のレーザ光源と、
前記第二のレーザ光源から出射されたレーザ光を前記画像表示部へ向かって反射する反射手段と、
前記画像表示部の画像表示領域外に設けられ、前記第二のレーザ光源から出射されたレーザ光を受光する受光素子と、
前記受光素子が受光した信号に基づいて、前記画像表示部に描画される前記画像の位置を補正する補正手段と、
を備えていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記描画手段が、前記反射手段を兼ねていることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記補正手段が、前記受光素子が受光した信号を基準として、前記画像の描画タイミングを補正することを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記受光素子が受光した信号が、前記受光素子がレーザ光を受光したときに立ち上がり、レーザ光を受光しなくなったときに立下がるパルス信号であって、
前記補正手段が、前記パルス信号の立下りと、前記描画手段の駆動信号に基づいて前記画像の描画タイミングを補正することを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記描画手段の描画方向を変更する描画方向変更手段を備え、
前記補正手段が、前記受光素子が受光した信号に基づいて、前記描画方向変更手段の描画方向を変更して前記画像の描画位置を補正することを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記反射手段の反射方向を変更する反射方向変更手段を備え、
前記反射方向変更手段が、前記受光素子が受光した信号に基づいて前記受光素子の中心に前記第二のレーザ光源のレーザ光が受光するように前記反射手段の反射方向を変更し、
前記補正手段が、前記受光素子が受光した信号に基づいて、前記画像表示部に描画される前記画像の位置を補正する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記反射方向変更手段が、前記描画手段の描画方向も変更することを特徴とする請求項6に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記第一のレーザ光源の一つが、前記第二のレーザ光源を含んだ、2波長のレーザ光を出射するレーザ光源で構成されていることを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項1】
画像が表示される画像表示部と、前記画像を形成する複数の第一のレーザ光源と、前記第一のレーザ光源から出射されたレーザ光を前記画像表示部へ走査させて前記画像を描画する描画手段と、を備えた画像表示装置において、
可視光以外の波長のレーザ光を出射する第二のレーザ光源と、
前記第二のレーザ光源から出射されたレーザ光を前記画像表示部へ向かって反射する反射手段と、
前記画像表示部の画像表示領域外に設けられ、前記第二のレーザ光源から出射されたレーザ光を受光する受光素子と、
前記受光素子が受光した信号に基づいて、前記画像表示部に描画される前記画像の位置を補正する補正手段と、
を備えていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記描画手段が、前記反射手段を兼ねていることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記補正手段が、前記受光素子が受光した信号を基準として、前記画像の描画タイミングを補正することを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記受光素子が受光した信号が、前記受光素子がレーザ光を受光したときに立ち上がり、レーザ光を受光しなくなったときに立下がるパルス信号であって、
前記補正手段が、前記パルス信号の立下りと、前記描画手段の駆動信号に基づいて前記画像の描画タイミングを補正することを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記描画手段の描画方向を変更する描画方向変更手段を備え、
前記補正手段が、前記受光素子が受光した信号に基づいて、前記描画方向変更手段の描画方向を変更して前記画像の描画位置を補正することを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記反射手段の反射方向を変更する反射方向変更手段を備え、
前記反射方向変更手段が、前記受光素子が受光した信号に基づいて前記受光素子の中心に前記第二のレーザ光源のレーザ光が受光するように前記反射手段の反射方向を変更し、
前記補正手段が、前記受光素子が受光した信号に基づいて、前記画像表示部に描画される前記画像の位置を補正する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記反射方向変更手段が、前記描画手段の描画方向も変更することを特徴とする請求項6に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記第一のレーザ光源の一つが、前記第二のレーザ光源を含んだ、2波長のレーザ光を出射するレーザ光源で構成されていることを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか一項に記載の画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−154324(P2011−154324A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17309(P2010−17309)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】
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