説明

画像読取装置、画像データ出力処理装置、および画像読取方法

【課題】用紙の種類によらず、人間の目に感じられる原稿の色味により近い原稿画像データを取得する。
【解決手段】光源から原稿に向けて照射され、原稿で反射されて受光素子に受光されるまでの光源からの照射光の光路に可視光カットフィルタを挿入した状態で原稿を照射し、受光素子によって原稿からの反射光を受光して画像データS1を生成する赤外光スキャン処理(S1)と、上記光路から可視光カットフィルタ65を除去した状態で原稿を照射し、受光素子によって原稿からの反射光を受光して画像データS2を生成する可視光スキャン処理(S6)と、画像データS2における赤外波長成分の光の影響を除去または低減するように画像データS1に基づいて画像データS2における画像の色を補正する色補正処理(S11)とを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を読み取って原稿の画像データを生成する画像読取装置および画像読取方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、原稿を読み取って原稿の画像データを生成する画像読取装置において、原稿の画像データを生成するための本スキャンを行う前に原稿のプレスキャンを行い、このプレスキャンの結果に基づいて本スキャンの処理内容や読み取った画像データに対する画像処理の内容を制御する技術が提案されている。
【0003】
また、特許文献1には、平版印刷と凹版印刷とが行なわれている印刷物の印刷品質を検査する検査装置において、凹版印刷パターンの位置が多少ずれて印刷されても凹版印刷パターンに欠けや余分なインクのしみなどがなければ正常な印刷物として判定できるようにするために、光源の照明による印刷物からの反射光のうち近赤外線域の光のみを抽出して近赤外線域情報を取得し、予め作成しておいた正常な印刷物についての基準パターンと照合することによって平版印刷パターンを無視して印刷品質を検査することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−162294号公報(平成5年6月29日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の画像読取装置では、見た目には同じ色味に見える原稿であっても、用紙の種類によって読み取られた画像データの色味が異なってしまう場合がある。図5は、人間の目にはほぼ同じに見える画像が形成された、用紙の種類が異なる2つの原稿を同じ画像読取装置で読み取った場合のR,G,Bの各信号値の例を示すグラフである。
【0006】
このような問題が生じる理由について本願発明者らが検討した結果、画像読取装置に備えられる受光素子が近赤外波長域(赤外波長域および赤外波長域と可視波長域との境界領域を含む波長域であり、人間の目には視認されないか、あるいはほとんど視認されない波長域)に受光感度を有しているためであることがわかった。
【0007】
この点について、図6(a)および図6(b)を参照しながら説明する。図6(a)は、画像読取装置に受光素子として備えられるR(赤),G(緑),B(青)の各色に対応するCCD素子の分光感度特性を示すグラフである。なお、縦軸は原稿への照射光における各波長成分の強度を1とした場合のCCD素子の当該波長成分についての受光強度を示しており、横軸は波長を示している。図6(b)は、上述した用紙の種類が異なる2つの原稿からの反射光を、可視光カットフィルタを介して受光素子に入射させた場合の受光素子に入射する光(近赤外光)の光量を示すグラフである(なお、このグラフは本願発明者らの検討結果に基づいて作成されたものであって公知のものではない)。図6(a)に示すように、R,G,Bの各色に対応するCCD素子の受光感度のピークはこれら各色に対応する波長域に存在するが、当該波長域だけでなく近赤外波長域にも受光感度を有している。特に、RのCCD素子は近赤外波長域の受光感度が他の色のCCD素子に比べて高い。
【0008】
また、近赤外波長域の光に対する反射/吸収特性は用紙の種類毎(例えば光沢度等の特性毎)に異なるので、近赤外波長域の波長成分を含む光を用紙に照射した場合に用紙によって反射される近赤外波長域の光(近赤外光)の強度は用紙の種類毎に異なる。
【0009】
このため、人間の目には同じ色味に見える原稿であっても、用紙の種類に応じて読み取られた画像データの色味が異なってしまう。
【0010】
この問題を解決するために、光源から原稿に照射され、原稿で反射されて受光素子で受光されるまでの光路中に近赤外波長域の光を遮断する赤外フィルタを挿入することが考えられる(この構成は本願発明者らが想定した構成であり公知の構成ではない)。しかしながら、この構成では、赤外フィルタによって可視波長域の光を遮断することなく近赤外波長域の光のみを完全に遮断することが困難なため、画質の低下を伴うことなく近赤外波長域の光の影響のみを除去することができない。
【0011】
また、R,G,Bの受光素子とは別に近赤外波長域の光を受光する受光素子(Irの受光素子)を設け、このIrの受光素子の受光結果に応じてR,G,Bの受光素子の受光結果を補正することが考えられる(この構成は本願発明者らが想定した構成であり公知の構成ではない)。しかしながら、この構成では、Irの受光素子による近赤外波長域の光の受光感度とR,G,Bの受光素子による近赤外波長域の光の受光感度とが異なることから、R,G,Bの受光素子による受光結果を正確に補正することができない。また、R,G,Bの受光素子とは別にIrの受光素子を設ける必要があるので、読取解像度の低下、および装置コストの増大を招いてしまう。
【0012】
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであり、その目的は、用紙の種類によらず、人間の目に感じられる原稿の色味により近い原稿画像データを取得することのできる画像読取装置および画像読取方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の画像読取装置は、上記の課題を解決するために、可視光波長成分と赤外波長成分とを含む照射光を原稿に照射する光源部と、上記原稿によって反射された上記照射光の反射光を受光して電気信号に変換することで上記原稿の画像データである原稿画像データを生成する受光部とを備えた画像読取装置であって、可視光波長成分の光を遮断する可視光カットフィルタと、上記可視光カットフィルタを上記光源部から照射されて上記原稿によって反射し、上記受光部に受光されるまでの上記照射光の光路に挿入した状態と上記光路から除去した状態とに移動させるフィルタ移動部と、上記原稿画像データにおける画像の色を補正する色補正部と、上記各部の動作を制御する制御部とを備え、上記制御部は、上記光路に上記可視光カットフィルタを挿入した状態で上記光源部から原稿の少なくとも一部に対して上記照射光を照射させ、上記受光部に上記原稿からの反射光を受光させて赤外波長成分の光の受光結果に対応する原稿画像データである第1画像データを生成させる赤外光スキャン処理と、上記光路から上記可視光カットフィルタを除去した状態で上記光源部から原稿に対して上記照射光を照射させ、上記受光部に上記原稿からの反射光を受光させて可視光波長成分および赤外波長成分の光の受光結果に対応する原稿画像データである第2画像データを生成させる可視光スキャン処理と、上記第2画像データにおける赤外波長成分の光の影響を除去または低減するように上記第1画像データに基づいて上記色補正部に上記第2画像データにおける画像の色を補正させる色補正処理とを行わせるように上記各部の動作を制御することを特徴としている。
【0014】
上記の構成によれば、可視光波長成分の光を遮断する可視光カットフィルタと、上記可視光カットフィルタを上記光源部から照射されて上記原稿によって反射し、上記受光部に受光されるまでの上記照射光の光路に挿入した状態と上記光路から除去した状態とに移動させるフィルタ移動部と、上記原稿画像データにおける画像の色を補正する色補正部と、上記各部の動作を制御する制御部とを備えている。そして、上記制御部は、上記光路に上記可視光カットフィルタを挿入した状態で上記光源部から原稿の少なくとも一部に対して上記照射光を照射させ、上記受光部に上記原稿からの反射光を受光させて赤外波長成分の光の受光結果に対応する原稿画像データである第1画像データを生成させる赤外光スキャン処理と、上記光路から上記可視光カットフィルタを除去した状態で上記光源部から原稿に対して上記照射光を照射させ、上記受光部に上記原稿からの反射光を受光させて可視光波長成分および赤外波長成分の光の受光結果に対応する原稿画像データである第2画像データを生成させる可視光スキャン処理と、上記第2画像データにおける赤外波長成分の光の影響を除去または低減するように上記第1画像データに基づいて上記色補正部に上記第2画像データにおける画像の色を補正させる色補正処理とを行わせるように上記各部の動作を制御する。これにより、可視光スキャン処理で取得した可視光画像データから人間の目には視認されない(あるいは視認されにくい)赤外波長の光の影響を除去することができる。したがって、原稿の用紙の種類によらず、人間の目に感じられる原稿の色味により近い原稿画像データを取得することができる。
【0015】
なお、上記可視光カットフィルタは、700nm以上800nm以下の範囲内の所定値に設定される透過下限値以下の波長の光を遮断し、上記透過下限値を超える光を透過する構成であってもよい。
【0016】
人間の目で視認することのできる波長の上限値には個人差があるが、概ね700nm以上800nm以下の範囲内である。したがって、上記の構成によれば、可視光スキャン処理で取得した可視光画像データから人間の目には視認されない(あるいは視認されにくい)赤外波長の光の影響を適切に除去できる。
【0017】
また、上記制御部は、上記赤外光スキャン処理において、上記光源部からの照射光によって上記原稿の一部のみを照射させて上記原稿の一部に対応する原稿画像データを上記第1画像データとして生成させる構成としてもよい。
【0018】
原稿による赤外光の反射特性は、一般に、原稿の用紙の種別に依存し、原稿の画像を形成する色材にはほとんど依存しない。したがって、上記構成のように、原稿の一部のみを照射した結果に基づいて第1画像データを生成する構成にしても、可視光スキャン処理で取得した可視光画像データから人間の目には視認されない(あるいは視認されにくい)赤外波長の光の影響を適切に除去できる。また、原稿の全体を照射した結果に基づいて第1画像データを生成する構成に比べて、赤外光スキャン処理および色補正処理に要する時間を短縮するとともに、色補正処理における演算負荷を軽減できる。
【0019】
また、上記受光部は、受光感度のピーク波長が互いに異なる複数種類の受光素子を有し、これら複数種類の受光素子が上記反射光を受光して電気信号に変換した結果に基づいて上記受光素子の種類に対応する複数の色成分からなる原稿画像データを生成するようになっており、上記色補正部は、上記色補正処理において、上記第1画像データにおける各画素の画素値の平均値を上記色成分毎に算出し、上記第2画像データの各画素における各色成分の画素値から当該色成分に対応する上記平均値を減算する構成としてもよい。
【0020】
受光感度のピーク波長が互いに異なる複数種類の受光素子を備える構成では、一般に、各受光素子における赤外波長域の光の感度特性が種類毎に異なる。これに対して、上記の構成によれば、各受光素子における赤外波長域の光の感度特性に応じて第2画像データを適切に補正することができる。
【0021】
また、上記受光部は、受光感度のピーク波長が赤色に対応する波長域に存在する赤色受光素子、受光感度のピーク波長が緑色に対応する波長域に存在する緑色受光素子、および受光感度のピーク波長が青色に対応する波長域に存在する青色受光素子を備え、上記各色の受光素子によって変換された上記電気信号に基づいて上記各色の色成分からなる原稿画像データを生成し、上記色補正部は、上記色補正処理において、上記第1画像データにおける各画素の画素値のうち赤色の色成分についての平均値を算出し、上記第2画像データの各画素における赤色の色成分の画素値から赤色の色成分に対応する上記平均値を減算する構成としてもよい。
【0022】
赤色、緑色、および青色に対応する受光素子をそれぞれ備える構成では、一般に、赤色の受光素子における赤外波長域の光の感度特性が緑色および青色の受光素子における赤外波長域の光の感度特性よりも高い。このため、上記の構成によれば、第2画像データにおいて赤外波長域の光の影響が最も強く現れる赤色の色成分を補正することにより、可視光スキャン処理で取得した可視光画像データから人間の目には視認されない(あるいは視認されにくい)赤外波長の光の影響を適切に除去できる。また、各色成分を補正する場合に比べて演算負荷を軽減できる。
【0023】
なお、上記出力処理は、例えば、画像データに応じた画像を記録材上に印刷する印刷処理であってもよく、画像データに応じた画像を表示装置に表示させる表示処理であってもよく、画像データを他の装置に送信する送信処理であってもよく、画像データを所定の記憶先に記憶させるファイリング処理であってもよい。
【0024】
上記の構成によれば、原稿の用紙の種類によらず、人間の目に感じられる原稿の色味により近い原稿画像データの取得することができる。また、元の原稿により近い色味の画像を出力することができる。
【0025】
本発明の画像読取方法は、可視光波長成分と赤外波長成分とを含む照射光を原稿に照射する光源部と、上記原稿によって反射された上記照射光の反射光を受光して電気信号に変換することで上記原稿の画像データである原稿画像データを生成する受光部とを備えた画像読取装置における画像読取方法であって、上記光源部から照射されて上記原稿によって反射し、上記受光部に受光されるまでの上記照射光の光路に可視光波長成分の光を遮断する可視光カットフィルタを挿入した状態で上記光源部から原稿の少なくとも一部に対して上記照射光を照射し、上記受光部によって上記原稿からの反射光を受光して赤外波長成分の光の受光結果に対応する原稿画像データである第1画像データを生成する赤外光スキャン工程と、上記光路から上記可視光カットフィルタを除去した状態で上記光源部から原稿に対して上記照射光を照射し、上記受光部によって上記原稿からの反射光を受光して可視光波長成分および赤外波長成分の光の受光結果に対応する原稿画像データである第2画像データを生成する可視光スキャン工程と、上記第2画像データにおける赤外波長成分の光の影響を除去または低減するように上記第1画像データに基づいて上記第2画像データにおける画像の色を補正する色補正工程とを行うことを特徴としている。
【0026】
上記の方法によれば、可視光スキャン工程で取得した可視光画像データから人間の目には視認されない(あるいは視認されにくい)赤外波長の光の影響を除去することができる。したがって、原稿の用紙の種類によらず、人間の目に感じられる原稿の色味により近い原稿画像データを取得することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、本発明の画像読取装置は、上記光路に上記可視光カットフィルタを挿入した状態で上記光源部から原稿の少なくとも一部に対して上記照射光を照射させ、上記受光部に上記原稿からの反射光を受光させて赤外波長成分の光の受光結果に対応する原稿画像データである第1画像データを生成させる赤外光スキャン処理と、上記光路から上記可視光カットフィルタを除去した状態で上記光源部から原稿に対して上記照射光を照射させ、上記受光部に上記原稿からの反射光を受光させて可視光波長成分および赤外波長成分の光の受光結果に対応する原稿画像データである第2画像データを生成させる可視光スキャン処理と、上記第2画像データにおける赤外波長成分の光の影響を除去または低減するように上記第1画像データに基づいて上記色補正部に上記第2画像データにおける画像の色を補正させる色補正処理とを行う。
【0028】
また、本発明の画像読取方法は、上記照射光または上記反射光の光路に可視光波長成分の光を遮断する可視光カットフィルタを挿入した状態で上記光源部から原稿の少なくとも一部に対して上記照射光を照射し、上記受光部によって上記原稿からの反射光を受光して赤外波長成分の光の受光結果に対応する原稿画像データである第1画像データを生成する赤外光スキャン工程と、上記光路から上記可視光カットフィルタを除去した状態で上記光源部から原稿に対して上記照射光を照射し、上記受光部によって上記原稿からの反射光を受光して可視光波長成分および赤外波長成分の光の受光結果に対応する原稿画像データである第2画像データを生成する可視光スキャン工程と、上記第2画像データにおける赤外波長成分の光の影響を除去または低減するように上記第1画像データに基づいて上記第2画像データにおける画像の色を補正する色補正工程とを行う。
【0029】
それゆえ、原稿の用紙の種類によらず、人間の目に感じられる原稿の色味により近い原稿画像データを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態にかかる画像形成装置における画像読取時の処理の流れを示すフローチャートである。
【図2】本発明の一実施形態にかかる画像形成装置の概略構成を示す断面模式図である。
【図3】図2に示した画像形成装置の機能ブロック図である。
【図4】(a)〜(c)は、図2に示した画像形成装置に備えられる画像入力装置の概略構成を示す模式図である。
【図5】人間の目にはほぼ同じに見える画像が形成された、用紙の種類が異なる2つの原稿を従来の画像読取装置で読み取った場合のR,G,Bの各信号値の例を示すグラフである。
【図6】(a)は、従来の画像読取装置に備えられるR,G,Bの各色に対応する受光素子の分光感度特性の一例を示すグラフである。(b)は、人間の目にはほぼ同じに見える画像が形成された、用紙の種類が異なる2つの原稿を可視光カットフィルタを介して受光素子に入射させた場合の受光素子に入射する光の光量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(1−1.画像形成装置10の全体構成)
図2は本実施形態にかかる画像形成装置10の概略構成を示す模式図であり、図3は画像形成装置(画像読取装置、画像データ出力処理装置)10のブロック図である。
【0032】
図2および図3に示すように、画像形成装置10は、画像入力装置100、画像処理装置200、画像出力装置(画像出力部)300、制御部400、および操作パネル500を備えている。なお、図3に示したように、必要に応じて画像形成装置10に周辺装置600を装着してもよい。周辺装置600としては、例えば、画像出力装置300に供給する記録材を収容する給紙装置、画像出力装置300によって画像形成された記録材に対してステープル処理、仕分け処理、パンチ穴開け処理、製本処理等の後処理を施す後処理装置などが挙げられる。
【0033】
制御部400は、演算部401と記憶部402とを備えており、画像形成装置10に備えられる各装置、すなわち画像入力装置100、画像処理装置200、画像出力装置300、および操作パネル500に備えられる各部の動作を制御する。なお、画像形成装置10に周辺装置600が装着されている場合には、制御部400は周辺装置600に備えられる周辺装置制御部601に制御信号を送り、周辺装置600の動作を制御する。
【0034】
記憶部402は、操作パネル500を介してユーザーから入力される各種コマンドや設定値、画像形成装置10の内部に配置される各種センサの検知結果、画像形成装置10に設けられる各装置の動作を制御するための各種設定値およびデータテーブル、各種制御を実行するためのプログラムなどを記憶するものである。記憶部402としては、この分野で常用される各種記憶手段、例えば、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ(HDD)などを用いることができる。
【0035】
演算部401は、記憶部402に記憶されている各種情報および各種制御を実施するためのプログラムを取り出して演算処理や判定処理を行い、これらの処理結果に基づいて画像形成装置10が備える各装置に制御信号を送って各装置の動作を制御する。なお、演算部401は、例えば、中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)を備えるマイクロコンピュータ、マイクロプロセッサなどによって実現される処理回路である。
【0036】
画像入力装置100は、図2に示したように、画像出力装置300が収容される筐体の上面に備えられており、原稿を読み取ってこの原稿の画像データを取得するものである。画像入力装置100にて読み取られた原稿の画像データは、画像処理装置200へと送られて所定の画像処理が施される。
【0037】
なお、画像入力装置100は、光源から出射されて原稿で反射された光が受光素子に到達するまでの光路に可視光カットフィルタを挿入した状態で上記原稿からの反射光をR,G,Bの各受光素子(赤色受光素子、緑色受光素子、青色受光素子)で受光する赤外光スキャン処理と、可視光カットフィルタを挿入しない状態で上記原稿からの反射光をR,G,Bの各受光素子で受光する可視光スキャン処理とを行い、これら各スキャン処理で取得した画像データをそれぞれ画像処理装置200に出力するようになっている。画像入力装置100の詳細については後述する。
【0038】
画像処理装置200は、画像出力装置300が原稿を読み取って取得した画像データに対して、近赤外波長域の光の影響を除去するための画像処理、および画像出力装置300における印刷処理に適した画像データにするための画像処理を施すものである。また、図3に示したように、画像処理装置200は、A/D変換部201、シェーディング補正部202、領域分離処理部203、入力階調補正部(画像データ補正部)204、色補正部(画像データ補正部)205、空間フィルタ処理部206、拡大縮小処理部207、および中間調処理部208を備えている。
【0039】
A/D変換部201は、画像入力装置100から入力されたRGBのアナログ信号をデジタル信号に変換してシェーディング補正部202に出力する。
【0040】
シェーディング補正部202は、A/D変換部201から送られてきた原稿画像データに対して、画像入力装置100の照明系、結像系、撮像系で生じる各種の歪みを取り除く処理を施し、領域分離処理部203に出力する。
【0041】
領域分離処理部203は、シェーディング補正部202から入力される原稿画像データ中の各画素を黒文字領域、色文字領域、網点領域、印画紙写真(連続階調領域)領域の何れかに分離する。なお、領域分離処理の方法は特に限定されるものではなく、従来から公知の方法を用いることができる。また、領域分離処理部203は、分離結果に基づき、画素がどの領域に属しているかを示す領域識別信号を、空間フィルタ処理部206および中間調処理部208に出力するとともに、シェーディング補正部202から入力された原稿画像データをそのまま入力階調補正部204に出力する。空間フィルタ処理部206および中間調処理部208では、領域分離処理部203から入力される領域識別信号に基づいて各領域に適した処理が行われる。なお、領域分離処理の方法は特に限定されるものではなく、従来から公知の種々の方法を用いることができる。
【0042】
入力階調補正部204は、領域分離処理部203から入力された画像データに対して、カラーバランスを整えると同時に、濃度信号など画像処理装置200において採用されている画像処理システムの扱い易い信号に変換する処理を施す。また、下地濃度の除去やコントラストなどの画質調整処理を行う。また、入力階調補正部204は、上記の各処理を施した原稿画像データを色補正部205に出力する。
【0043】
なお、A/D変換部201、シェーディング補正部202、領域分離処理部203、および入力階調補正部204は、画像入力装置100が赤外光スキャン処理で取得した画像データ(画像データS1、第1画像データ)および可視光スキャン処理で取得した画像データ(画像データS2、第2画像データ)のそれぞれに対して上述の各処理を施す。
【0044】
色補正部205は、画像データS2から画像データS1の影響を差し引く処理(色補正処理)、および上記減算後の画像データに対してCMYK(C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロー、K:ブラック)信号からなる原稿画像データに変換するとともに色再現性を高める処理(色補正処理)を行う。また、色補正部205は、色補正後の原稿画像データを空間フィルタ処理部206に出力する。
【0045】
なお、色補正部205は、画像データS2から画像データS1の影響を差し引く処理を行う際、画像データS1における1画素当たりの画素値(近赤外光の受光量に応じた値)の平均値をR,G,Bの色成分毎に算出し、画像データS2の各画素におけるR,G,Bの各色成分の画素値から当該色成分に対応する上記平均値を減算する。
【0046】
空間フィルタ処理部206は、色補正部205から入力されるCMYK信号からなる原稿画像データに対して、領域識別信号を基にデジタルフィルタによる空間フィルタ処理(強調処理および/または平滑化処理)を行い、空間周波数特性を補正する。これにより、出力画像のぼやけや粒状性劣化を軽減することができる。また、空間フィルタ処理部206は、空間フィルタ処理を施したCMYK信号からなる原稿画像データを拡大縮小処理部207に出力する。
【0047】
拡大縮小処理部207は、空間フィルタ処理部206から入力されるCMYK信号からなる原稿画像データの画像サイズを制御部400からの指示に応じたサイズに拡大あるいは縮小し、中間調処理部208に出力する。
【0048】
中間調処理部208は、拡大縮小処理部207から入力される原稿画像データに対して、この画像データに応じた画像を画像出力装置300において用紙等の記録材に出力するための出力γ補正処理、および画像データを画素に分離してそれぞれの階調を再現できるように処理する階調再現処理(中間調生成処理)を施す。
【0049】
画像処理装置200において上述した各処理が施された画像データは、一旦、図示しないメモリに記憶されたのち、所定のタイミングで読み出されて画像出力装置300に出力される。
【0050】
なお、上記の説明では、A/D変換部201、シェーディング補正部202、領域分離処理部203、入力階調補正部204、色補正部205、空間フィルタ処理部206、拡大縮小処理部207、および中間調処理部208が原稿画像データを次段の処理部に順次転送していくものとしている。しかしながら、これに限らず、必要に応じて、原稿画像データを図示しないメモリに一旦格納し、所定のタイミングで読み出して次段の処理部に入力するようにしてもよい。領域識別信号および正反射比率を示す信号についても同様に、メモリに一旦格納し、所定のタイミングで読み出されて所定の処理部に入力されるようにしてもよい。上記メモリとしては、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)やハードディスクドライブ(HDD)などを用いることができる。
【0051】
画像出力装置300は、画像処理装置200から入力される画像データに応じた画像を記録材上に形成(印刷)する。
【0052】
なお、画像出力装置300の構成は特に限定されるものではないが、本実施形態では、電子写真方式のものを採用している。具体的には、画像出力装置300は、図2に示したように、給紙トレイ81、手差し給紙トレイ82、ピックアップローラ11a,11b、搬送ローラ12a,12b,12c,12d、画像形成ユニット20c,20m,20y,20k、中間転写装置6、2次転写ローラ14、および定着装置7を備えている。
【0053】
記録材搬送処理部301は、ピックアップローラ11a,11b、搬送ローラ12a,12b,12c,12d等の動作を制御し、給紙トレイ81または手差し給紙トレイ82に載置された記録材、あるいは定着装置7による定着処理が行われた後、表裏を反転させた記録材を2次転写ローラ14と中間転写装置6との対向部に搬送し、この対向部でトナー像が転写された記録材を定着装置7に搬送し、定着処理後の記録材を排紙トレイ83に排出させる。
【0054】
画像形成処理部302は、画像形成ユニット20c,20m,20y,20k、中間転写装置6、および2次転写ローラ14の動作を制御し、画像データに応じたトナー像を形成して記録材に転写させる。
【0055】
画像形成ユニット20c,20m,20y,20kは、画像データに応じて、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのトナー像を生成するものであり、これら各画像形成ユニットは使用するトナーの色が異なる以外は略同様の構成を有している。すなわち、各画像形成ユニットは、感光体ドラム3と、感光体ドラム3の表面を均一に帯電する帯電器5と、帯電された感光体ドラム3の表面に当該画像形成ユニットに対応する色の画像データに応じた光を照射して感光体ドラム3の表面に静電潜像を形成する光走査ユニット1と、感光体ドラム3の表面に形成された静電潜像を当該画像形成ユニットに対応する色のトナーを用いて現像する現像装置2と、感光体ドラム3から後述する中間転写ベルト91に転写されずに感光体ドラム3の表面に残留したトナーを除去するクリーニング装置4とを備えている。
【0056】
中間転写装置6は、支持ローラ92,93と、これら各支持ローラに懸架されて回転駆動される中間転写ベルト91と、中間転写ベルト91を介して各感光体ドラム3にそれぞれ対向するように配置された転写ローラ94とを備えている。各転写ローラ94には、感光体ドラム3の表面に形成されたトナー像の帯電極性とは逆極性の電圧が印加され、それによって感光体ドラム3の表面に形成された各色のトナー像が中間転写ベルト91上に重ね合わせて転写されるようになっている。また、中間転写ベルト91上に転写されたトナー像は、この中間転写ベルト91の回転によって2次転写ローラ14との対向部に搬送される。
【0057】
2次転写ローラ14と中間転写ベルト91との間には、中間転写ベルト91上のトナー像が2次転写ローラ14との対向部に搬送されるのに同期して、トナー像の転写対象となる記録材が搬送される。つまり、2次転写ローラ14と中間転写ベルト91との間には、(1)給紙トレイ81からピックアップローラ11aによって抽出されて搬送ローラ12a、レジストローラ13等を介して搬送された記録材、(2)手差し給紙トレイ82からピックアップローラ11bによって抽出されて搬送ローラ12a、レジストローラ13等を介して搬送された記録材、あるいは(3)後述する定着装置7による定着処理が行われた後、搬送ローラ12dによるスイッチバックによって表裏を反転され、搬送ローラ12c,12d、レジストローラ13等を介して再搬送された記録材が搬送される。また、2次転写ローラ14にはトナーの帯電極性とは逆極性の高電圧が印加され、それによって中間転写ベルト91上のトナー像が記録材に2次転写される。
【0058】
定着処理部303は、定着装置7の動作を制御して記録材上に転写されたトナー像をこの記録材に定着させる。つまり、2次転写ローラ14と中間転写ベルト91との対向部においてトナー像が転写された記録材は定着装置7に搬送され、定着装置7によってトナー像を記録材に定着させる定着処理が行われる。
【0059】
なお、画像出力装置300の構成は電子写真方式の画像形成装置に限るものではなく、例えばインクジェット方式の画像形成装置などを用いてもよい。
【0060】
操作パネル500は、ユーザーからの指示入力を受け付けて制御部400に伝達する入力部502と、ユーザーに呈示する各種情報を表示するための表示部501とを備えている。表示部501は、例えば液晶ディスプレイなどによって構成され、入力部502は例えば各種設定ボタンなどよって構成される。なお、表示部501の機能と入力部502の機能とを一体化させたタッチパネルを操作パネル500に備えてもよい。
【0061】
(1−2.画像入力装置100の構成)
次に、画像入力装置100の構成について、図3および図4(a)〜図4(c)を参照しながら説明する。
【0062】
図4(a)は画像入力装置100の断面図である。この図に示すように、画像入力装置100は、透明ガラスからなる原稿台としての原稿載置台51と、この原稿載置台51上へ自動的に原稿を供給搬送するための原稿カバーとしてのDSPF(Duplex Single Pass Feeder;両面対応自動原稿送り装置)52と、原稿載置台51上に載置された原稿の画像を走査して読み取るためのスキャナユニット(原稿画像読み取りユニット)50とを備えている。また、図3に示したように、画像入力装置100は、DSPF52の動作を制御する原稿搬送制御部101と、スキャナユニット50の動作を制御するスキャナ制御部102とを備えている。また、スキャナ制御部102は、光源制御部103、走査制御部104、受光制御部105、およびフィルタ制御部106を備えている。
【0063】
DSPF52は、原稿トレイ(図示せず)を備えており、この原稿トレイ上にセットされた複数枚の原稿を1枚ずつ自動的に原稿載置台51上へ給送する装置である。DSPF52は、ユーザーの選択に応じて原稿の片面又は両面をスキャナユニット50に読み取らせるように、片面原稿のための搬送経路、両面原稿のための搬送経路、搬送経路切り替え手段、および各部を通過する原稿の状態を把握し管理するセンサ群を備えている。そして、制御部400が、記憶部402に記憶している各種プログラムや制御情報、操作パネル500を介して入力されるユーザーからの指示、および上記センサ群の検知結果等に基づいて原稿搬送制御部101に制御命令を送り、原稿搬送制御部101がこの制御命令に基づいてDSPF52の各部の動作を制御するようになっている。DSPF52については、従来から多くの出願、商品化がなされているので、これ以上の説明は省略する。
【0064】
スキャナユニット(受光部)50は、原稿面上を露光する光源(ランプリフレクターアセンブリ、光源部)62と、原稿からの反射光像をCCD素子(受光素子、光電変換素子)64に導くための原稿からの反射光を反射する第1反射ミラー(光学素子)63aおよび第4反射ミラー63eを搭載してなる第1走査ユニット60aと、第1反射ミラー63aからの反射光像を上記CCD素子64に導くための第2反射ミラー63bおよび第3反射ミラー63cを搭載してなる第2走査ユニット60bと、第3反射ミラー53cによって反射されて光学レンズ63dに入射する光の光路に挿入される可視光カットフィルタ65と、可視光カットフィルタ65を上記光路に挿入した状態と上記光路から除去した状態とに移動させるフィルタ移動部(図示せず)と、原稿からの反射光像を上述した各反射ミラーを介して電気的画像信号に変換するCCD素子64上に結像させるための光学レンズ63dと、原稿からの反射光像を電気的画像信号に変換する上述したCCD素子(受光素子)64とを備えている。なお、光源62は、可視光波長成分と赤外波長成分(近赤外波長成分を含む)とを含む照射光を原稿に向けて照射するようになっている。
【0065】
なお、本実施形態では、CCD素子64として、受光感度のピーク波長が互いに異なる複数種類のCCD素子を備えており、これら複数種類のCCD素子が原稿からの反射光を受光して電気信号に変換した結果に基づいてこれら各CCD素子の種類に対応する複数の色成分からなる原稿画像データを生成するようになっている。具体的には、本実施形態では、CCD素子64として、受光波長のピーク波長がR(赤色)に対応する波長域に存在し、Rに対応する波長域の光を受光して電気信号に変換するRのCCD素子(赤色受光素子)、受光波長のピーク波長がG(緑色)に対応する波長域に存在し、Gに対応する波長域の光を受光して電気信号に変換するGのCCD素子(緑色受光素子)、および受光波長のピーク波長がB(青色)に対応する波長域に存在し、Bに対応する波長域の光を受光して電気信号に変換するBのCCD素子(青色受光素子)を備えており、これら各CCD素子によって変換された電気信号に基づいてR,G,Bの色成分からなる原稿画像データを生成するようになっている。
【0066】
また、上記のフィルタ移動部は、例えばモータ、ギア、カム等からなり、制御部400がこれら各部材の動作を制御することにより、可視光カットフィルタ65を原稿からの反射光の光路に挿入した状態と上記光路から除去した状態とに切り替えるようになっている。なお、フィルタ移動部の構成は特に限定されるものではなく、可視光カットフィルタ65を光源62から原稿で反射されてCCD素子64に受光されるまでの光路に挿入した状態と上記光路から除去した状態とに切り替えることができる構成であればよい。また、本実施形態では、可視光カットフィルタ65を第3反射ミラー53cと光学レンズ63dとの間に挿入するものとしているが、これに限るものではなく、光源62から原稿を介してCCD素子64に入射するまでの光路中に挿入する構成であればよい。
【0067】
可視光カットフィルタ65は、可視光を遮断し、赤外光(近赤外光)を透過するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、富士フィルム社の光吸収・赤外透過フィルター(IRフィルター)(製品名)などを用いることができる。
【0068】
本実施形態では、700nm以下の波長の光を遮断し、700nmを超える波長の光を透過するフィルタを可視光カットフィルタ65として用いた。ただし、可視光カットフィルタ65によって遮断される光の波長域はこれに限るものではない。人間の目に認識される波長の上限値(可視上限値)には個人差があり、例えば、JIS Z8120では可視光の上限は760nm〜800nmと規定されている一方、CIEXYZにおいて光の分光分布をCIEXYZ(CIE(国際照明委員会)の標準表色系であるXYZ表色系)に変換する換算式では700nm以上の波長の光に対する目の感度はほぼゼロに近似されている。このため、可視光カットフィルタ65を透過する光の波長域の下限値(透過下限値)は、画像形成装置10を利用することが想定されるユーザの視覚特性等を考慮して例えば700nm以上800nm以下の範囲内の所定値に設定すればよい。
【0069】
なお、スキャナ制御部102に備えられる光源制御部103が光源62のオン/オフを制御し、走査制御部104が第1走査ユニット60aおよび第2走査ユニット60bの原稿載置台51に沿った方向への移動(走行)を制御し、受光制御部105がCCD素子64の動作を制御し、フィルタ制御部106がフィルタ移動部の動作を制御するようになっている。
【0070】
画像入力装置100におけるDSPF52は、一端側に備えられるヒンジ部材(図示せず)により原稿載置台51に対して開閉できる構造になっている。そして、原稿載置台51に載置された原稿を読み取る場合、ユーザーが、DSPF52を開いて原稿載置台51上に読取対象とする原稿を載置してDSPF52を閉じ、スキャナユニット50によってこの原稿を読み取るようになっている。なお、画像入力装置100はDSPF52の開閉を検知する開閉検知センサ(図示せず)を備えている。
【0071】
また、画像入力装置100は、原稿載置台51に載置された原稿を読み取る場合、原稿載置台51の下面に沿ってスキャナユニット50を移動させて原稿画像を読み取るように構成されている。具体的には、走査制御部104が制御部400からの指示に応じて、第1走査ユニット60aを原稿載置台51に沿って水平方向に一定速度Vで走行させ、第2走査ユニット60bをその速度Vに対してV/2の速度で同一方向に走行させる。これにより、原稿載置台51上に載置された原稿の画像を1ライン毎に順次CCD素子64へと結像させて画像を読み取ることができる。
【0072】
図4(b)は画像入力装置100の断面図である。この図に示すように、画像入力装置100は、原稿載置台51に対して上下の両方に光学系を備えている。すなわち、画像入力装置100は、原稿載置台51の下方に備えられる上述したスキャナユニット(第1読取光学部)50と、原稿載置台51の上方に備えられる第2読取光学部53とを備えている。第2読取光学部53はDSPF52に固定されており、原稿載置台51に対する相対位置は一定である。なお、図4(b)では、説明の便宜上、スキャナユニット50のうち第1走査ユニット60aのみを記載している。
【0073】
画像入力装置100において両面自動原稿読み取りを行う場合には、スキャナユニット50を図4(b)に示した位置(第1原稿読取位置)に移動させ、DSPF52によって搬送される原稿の両面をスキャナユニット50および第2読取光学部53によって同時に読み取るようになっている。
【0074】
より詳細に説明すると、原稿を両面自動読み取りするときには、まず、DSPF52の原稿載置トレイ54に載置された原稿を原稿載置検知センサ55が検知し、それに応じて画像入力装置100の原稿搬送制御部101が原稿ストッパー56を開放させ、給紙ローラ57、用紙ピックアップ爪58、およびレジストローラ59を駆動させて原稿を第1原稿読取位置まで搬送させる。これにより、原稿はスキャナユニット50の第1走査ユニット60aと第2読取光学部53との間を通過し、スキャナ制御部102がDSPF52による原稿搬送に応じたタイミングでスキャナユニット50および第2読取光学部53の動作を制御することにより、原稿のおもて面および裏面が読み取られる。その後、読み取られた原稿は排紙トレイ74に排出される。原稿を片面自動読み取りする場合の動作は第2読取光学部53による原稿の裏面の読み取りを行わない以外は両面自動読取り時の動作と同様である。
【0075】
また、DSPF52では、原稿の搬送方向に沿って、レジストローラ59の手前に備えられたレジストローラ前センサ71、第2読取光学部53の手前に備えられた原稿先端検知センサ72、およびスキャナユニット50の後に備えられた出紙センサ73を設けている。
【0076】
また、DSPF52には、図4(c)に示すように、シェーディング補正のための基準となる白板75,76が設けられている。図4(c)はシェーディング補正時の画像入力装置100の動作を示す説明図である。
【0077】
白板75は、原稿載置台51の第1原稿読取位置におけるガラス下面に設けられている。また、白板76は、原稿載置台51の第2原稿読取位置におけるガラス面の上方に設けられている。なお、スキャナユニット50は、シェーディング補正するときには第2原稿読取位置に移動して白板76を読み取るようになっている。スキャナユニット50によって白板76を読み取った結果、および第2読取光学部53によって白板75を読み取った結果は画像処理装置200に送られ、後述するシェーディング補正部202におけるシェーディング補正処理に用いられる。
【0078】
(1−3.画像読取時の処理)
次に、画像入力装置100および画像処理装置200における画像読取方法について、図1に示すフロー図を参照しながら説明する。図1は画像入力装置100および画像処理装置200における画像読取時の処理の流れを示すフロー図である。なお、ここでは、原稿載置台51上に載置された原稿を読み取る場合の処理について説明する。
【0079】
まず、制御部400は、スキャナ制御部102を制御し、原稿からの反射光を、可視光カットフィルタ65を介して受光する赤外光スキャン処理(赤外光スキャン工程)を行わせ、近赤外光の画像データ(第1画像データ)S1を取得させる(S1)。具体的には、フィルタ制御部106が制御部400からの指示に応じてフィルタ移動部の駆動手段を制御し、原稿からの反射光の光路に可視光カットフィルタ65を挿入させる。また、走査制御部104が第1走査ユニット60aおよび第2走査ユニット60bを制御して原稿載置台51に対して平行な方向に走行させ、光源制御部103が光源62を制御して原稿を照射させ、受光制御部105がCCD素子64を制御して原稿載置台51上に載置された原稿からの反射光を1ライン毎に順次受光させて電気信号(R,G,Bのアナログ信号(画像データS1))に変換させ、画像処理装置200に出力させる。なお、赤外光スキャン処理においては、原稿全体を読み取るようにしてもよく、原稿上の一部の領域のみを読み取るようにしてもよい。
【0080】
次に、制御部400は、A/D変換部201に画像データS1をR,G,Bのデジタル信号に変換させ(S2)、シェーディング補正部202にシェーディング補正を行わせ(S3)、領域分離処理部203に領域分離処理を行わせ(S4)、入力階調補正部204に入力階調補正処理を行わせる(S5)。
【0081】
次に、制御部400は、スキャナ制御部102を制御し、原稿からの反射光を、可視光カットフィルタ65を介さずに受光する可視光スキャン処理(可視光スキャン工程)を行わせ、可視光および近赤外光の画像データ(第2画像データ)S2を取得させる(S6)。具体的には、フィルタ制御部106が制御部400からの指示に応じてフィルタ移動部の駆動手段を制御し、原稿からの反射光の光路から可視光カットフィルタ65を除去させる。また、走査制御部104が第1走査ユニット60aおよび第2走査ユニット60bを制御して原稿載置台51に対して平行な方向に走行させ、光源制御部103が光源62を制御して原稿を照射させ、受光制御部105がCCD素子64を制御して原稿載置台51上に載置された原稿からの反射光を1ライン毎に順次受光させて電気信号(R,G,Bのアナログ信号(画像データS2))に変換させ、画像処理装置200に出力させる。なお、可視光スキャン処理では、原稿全体の画像データを取得する。
【0082】
次に、制御部400は、A/D変換部201に画像データS2をR,G,Bのデジタル信号に変換させ(S7)、シェーディング補正部202にシェーディング補正を行わせ(S8)、領域分離処理部203に領域分離処理を行わせ(S9)、入力階調補正部204に入力階調補正処理を行わせる(S10)。
【0083】
次に、制御部400は、色補正部205に、画像データS2の各画素における各色成分の値から画像データS1における当該各成分についての1画素あたりの平均値を差し引く処理(色補正処理、色補正工程)、および当該処理後の画像データをRGB色空間の画像データからCMYK色空間の画像データに変換する処理を行わせる(S11)。
【0084】
具体的には、色補正部205は、まず、画像データS1における各画素の画素値の平均値を算出する処理をR,G,Bの色成分毎に行う。次に、色補正部205は、画像データS2の各画素におけるR,G,Bの画素値から当該色成分についての上記平均値を減算する。そして、減算処理を行った後の画像データS2をRGB色空間の画像データからCMYK色空間の画像データに変換する。この変換処理の方法は特に限定されるものではなく、従来から公知の方法を用いるこができる。例えば、予め設定されている色変換テーブルを用いて変換処理を行ってもよい。
【0085】
その後、制御部400は、空間フィルタ処理部206を制御してCMYK色空間に変換された画像データに対して領域識別信号に応じた空間フィルタ処理を行わせ(S12)、拡大縮小処理部207を制御してユーザーからの指示入力に応じたサイズになるように拡大処理または縮小処理を施させ(S13)、中間調処理部208を制御して領域識別信号に応じた中間調処理を施させ(S14)、中間調処理が施されたCMYK色空間の画像データを画像出力装置300に出力させて処理を終了する。
【0086】
以上のように、本実施形態では、光源から照射して原稿で反射した光を可視光カットフィルタを介してR,G,Bの各受光素子で受光する赤外光スキャン処理と、光源から照射して原稿で反射した光を可視光カットフィルタを介さずにR,G,Bの各受光素子で受光する可視光スキャン処理とを行い、赤外光スキャン処理で取得した赤外波長成分の光の受光結果に対応する画像データS1における1画素あたりの画素値の平均値をR,G,Bの色成分毎に算出し、第2スキャンで取得した可視光波長成分および赤外波長成分の光の受光結果に対応する画像データS2の各画素におけるR,G,Bの各画素値から当該色成分についての上記平均値を減算する。
【0087】
これにより、第2スキャンで取得した画像データS2から人間の目には視認されない(あるいは視認されにくい)近赤外波長の光の影響を除去することができる。したがって、原稿の用紙の種類によらず、人間の目に感じられる原稿の色味により近い原稿画像データを取得することができる。
【0088】
なお、原稿による近赤外光の反射特性は、一般に、原稿の用紙の種別に依存し、原稿上の画像を形成する色材(インク、トナー等)にはほとんど依存しない。このため、赤外光スキャン処理では、必ずしも原稿全体の画像データを取得する必要はなく、原稿の一部のみの画像データを取得し、それに基づいて1画素あたりの近赤外光の受光量の平均値を算出するようにしてもよい。また、赤外光スキャン処理にて原稿の一部のみの画像データを取得する場合、上述したように色材の影響はほとんどないので、原稿上の任意の領域(画像が形成されている領域であってもよい)の画像データを取得すればよい。赤外光スキャン処理における原稿の読み取り範囲を原稿の一部のみとすることにより、赤外光スキャン処理および画素値の平均値を算出する処理に要する時間を短縮するとともに、平均値の算出にかかる演算負荷を軽減できる。
【0089】
また、本実施形態では、まず赤外光スキャン処理を行い、その後に可視光スキャン処理行っているが、これに限るものではない。すなわち、可視光スキャン処理を先に行って画像データS2を取得し、その後に赤外光スキャン処理を行って画像データS1を取得するようにしてもよい。
【0090】
また、本実施形態では、赤外光スキャン処理によって取得した画像データS1に基づいて1画素あたりの画素値の平均値を原稿全体について一律に算出しているが、これに限るものではない。例えば、赤外光スキャン処理による原稿の読み取り範囲を原稿全体とし、領域分離処理によって分類された各領域について、領域毎に1画素あたりの画素値の平均値を算出し、画像データS2の各領域に含まれる各画素から当該領域に対応する上記平均値を減算するようにしてもよい。なお、この場合に参照する領域分離処理結果は、画像データS1に対する領域分離処理結果であってもよく、画像データS2に対する領域分離処理結果であってもよい。
【0091】
また、可視光スキャン処理を先に行う場合、この画像データS2に対する領域分離処理の結果に応じて第2スキャン処理において読み取る原稿上の領域を設定するようにしてもよい。
【0092】
例えば、制御部400が、可視光スキャン処理によって取得した画像データS2に対する領域分離処理によって分類された各領域について、当該各領域内の一部または全部をそれぞれ赤外光スキャン処理における読み取り範囲に設定するようにしてもよい。また、この場合、赤外光スキャン処理によって取得した画像データS1に基づいて上記領域毎に1画素あたりの画素値の平均値を算出し、画像データS2の各領域における各画素から当該領域に対応する上記平均値を減算するようにしてもよい。これにより、用紙の一部に種別の異なる用紙が貼り付けられた原稿(例えば、文書が記載された用紙の一部に写真等の種別の異なる用紙が貼り付けられた原稿)を読み取る場合であっても、原稿上の領域毎に近赤外光の影響を除去する処理を施すことができるので、人間の目に感じられる原稿の色味により近い原稿画像データを取得することができる。
【0093】
また、制御部400が、可視光スキャン処理によって取得した画像データS2に対する領域分離結果に応じて原稿上に所定の種別の領域である特定種別領域(例えば印画紙写真領域)が存在するか否かを判断し、特定種別領域の少なくとも一部と、特領種別領域以外の領域の少なくとも一部とを赤外光スキャン処理の読み取り範囲として設定するようにしてもよい。この場合、制御部400が、上記特定種別領域および特定種別領域以外の領域のそれぞれについて1画素あたりの画素値の平均値を算出し、画像データS2の各領域における各画素から当該領域に対応する上記平均値を減算するようにすればよい。これにより、用紙の一部に所定の種別の用紙が貼り付けられた原稿(例えば、文書が記載された用紙の一部に写真等の種別の異なる用紙が貼り付けられた原稿)を読み取る場合であっても、原稿上の領域毎に近赤外光の影響を除去する処理を施すことができる。
【0094】
また、本実施形態では、画像データS2におけるR,G,Bの各色成分を画像データS1に基づいて色補正する構成について説明したが、これに限るものではない。例えば、画像データS2の各画素における少なくともRの色成分を画像データS1におけるRの色成分についての1画素当たりの平均値に基づいて色補正するようにしてもよい。
【0095】
R、G、Bの受光素子をそれぞれ備える構成では、一般に、Rの受光素子における赤外波長域の光の感度特性がG,Bの受光素子における赤外波長域の光の感度特性よりも高い。このため、少なくとも画像データS2におけるRの色成分を画像データS1に基づいて補正することにより、画像データS2から人間の目には視認されない(あるいは視認されにくい)赤外波長の光の影響を除去または低減できる。
【0096】
また、本実施形態では、本発明を原稿画像データに応じた画像を記録材上に形成する画像形成装置(画像データ出力処理装置)10に適用する場合の実施例について説明したが、本発明の適用対象はこれに限るものではない。例えば、画像入力装置100と画像処理装置200とを備えた画像読取装置に適用してもよい。また、画像入力装置100が原稿から読み取って画像処理装置200が画像処理を施した原稿画像データを各種ネットワークを介して他の装置に送信(例えばファクシミリ送信、scan-to-email送信など)する画像送信処理や、上記原稿画像データを所定の保存先に保存するファイリング処理、上記原稿画像データに応じた画像を表示装置に表示させる表示処理などの画像データ出力処理を行う画像データ出力処理装置に適用してもよい。
【0097】
なお、上記実施形態において図3に示した画像形成装置10に備えられる各部(各ブロック)を、CPU等のプロセッサを用いてソフトウェアによって実現してもよい。この場合、画像形成装置10は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである画像形成装置10の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、画像形成装置10に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによって達成される。
【0098】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0099】
また、画像形成装置10を通信ネットワークと接続可能に構成し、通信ネットワークを介して上記プログラムコードを供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0100】
また、画像形成装置10の各ブロックは、ソフトウェアを用いて実現されるものに限らず、ハードウェアロジックによって構成されるものであってもよく、処理の一部を行うハードウェアと当該ハードウェアの制御や残余の処理を行うソフトウェアを実行する演算手段とを組み合わせたものであってもよい。
【0101】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、原稿を読み取って原稿の画像データを取得する画像読取装置に適用できる。
【符号の説明】
【0103】
10 画像形成装置(画像読取装置、画像データ出力処理装置)
50 スキャナユニット
51 原稿載置台
62 光源(光源部)
64 CCD素子(受光素子、受光部)
65 可視光カットフィルタ
100 画像入力装置
102 スキャナ制御部
103 光源制御部
104 走査制御部
105 受光制御部
106 フィルタ制御部
200 画像処理装置
203 領域分離処理部
205 色補正部
300 画像出力装置(画像出力部)
400 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光波長成分と赤外波長成分とを含む照射光を原稿に照射する光源部と、上記原稿によって反射された上記照射光の反射光を受光して電気信号に変換することで上記原稿の画像データである原稿画像データを生成する受光部とを備えた画像読取装置であって、
可視光波長成分の光を遮断する可視光カットフィルタと、
上記可視光カットフィルタを上記光源部から照射されて上記原稿によって反射し、上記受光部に受光されるまでの上記照射光の光路に挿入した状態と上記光路から除去した状態とに移動させるフィルタ移動部と、
上記原稿画像データにおける画像の色を補正する色補正部と、
上記各部の動作を制御する制御部とを備え、
上記制御部は、
上記光路に上記可視光カットフィルタを挿入した状態で上記光源部から原稿の少なくとも一部に対して上記照射光を照射させ、上記受光部に上記原稿からの反射光を受光させて赤外波長成分の光の受光結果に対応する原稿画像データである第1画像データを生成させる赤外光スキャン処理と、
上記光路から上記可視光カットフィルタを除去した状態で上記光源部から原稿に対して上記照射光を照射させ、上記受光部に上記原稿からの反射光を受光させて可視光波長成分および赤外波長成分の光の受光結果に対応する原稿画像データである第2画像データを生成させる可視光スキャン処理と、
上記第2画像データにおける赤外波長成分の光の影響を除去または低減するように上記第1画像データに基づいて上記色補正部に上記第2画像データにおける画像の色を補正させる色補正処理とを行わせるように上記各部の動作を制御することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
上記可視光カットフィルタは、700nm以上800nm以下の範囲内の所定値に設定される透過下限値以下の波長の光を遮断し、上記透過下限値を超える光を透過することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
上記制御部は、上記赤外光スキャン処理において、上記光源部からの照射光によって上記原稿の一部のみを照射させて上記原稿の一部に対応する原稿画像データを上記第1画像データとして生成させることを特徴とする請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
上記受光部は、受光感度のピーク波長が互いに異なる複数種類の受光素子を有し、これら複数種類の受光素子が上記反射光を受光して電気信号に変換した結果に基づいて上記受光素子の種類に対応する複数の色成分からなる原稿画像データを生成するようになっており、
上記色補正部は、
上記色補正処理において、上記第1画像データにおける各画素の画素値の平均値を上記色成分毎に算出し、上記第2画像データの各画素における各色成分の画素値から当該色成分に対応する上記平均値を減算することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
上記受光部は、受光感度のピーク波長が赤色に対応する波長域に存在する赤色受光素子、受光感度のピーク波長が緑色に対応する波長域に存在する緑色受光素子、および受光感度のピーク波長が青色に対応する波長域に存在する青色受光素子を備え、上記各色の受光素子によって変換された上記電気信号に基づいて上記各色の色成分からなる原稿画像データを生成し、
上記色補正部は、
上記色補正処理において、上記第1画像データにおける各画素の画素値のうち赤色の色成分についての平均値を算出し、上記第2画像データの各画素における赤色の色成分の画素値から赤色の色成分に対応する上記平均値を減算することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の画像読取装置を備え、上記画像読取装置によって補正された上記原稿画像データの出力処理を行うことを特徴とする画像データ出力処理装置。
【請求項7】
可視光波長成分と赤外波長成分とを含む照射光を原稿に照射する光源部と、上記原稿によって反射された上記照射光の反射光を受光して電気信号に変換することで上記原稿の画像データである原稿画像データを生成する受光部とを備えた画像読取装置における画像読取方法であって、
上記光源部から照射されて上記原稿によって反射し、上記受光部に受光されるまでの上記照射光の光路に可視光波長成分の光を遮断する可視光カットフィルタを挿入した状態で上記光源部から原稿の少なくとも一部に対して上記照射光を照射し、上記受光部によって上記原稿からの反射光を受光して赤外波長成分の光の受光結果に対応する原稿画像データである第1画像データを生成する赤外光スキャン工程と、
上記光路から上記可視光カットフィルタを除去した状態で上記光源部から原稿に対して上記照射光を照射し、上記受光部によって上記原稿からの反射光を受光して可視光波長成分および赤外波長成分の光の受光結果に対応する原稿画像データである第2画像データを生成する可視光スキャン工程と、
上記第2画像データにおける赤外波長成分の光の影響を除去または低減するように上記第1画像データに基づいて上記第2画像データにおける画像の色を補正する色補正工程とを行うことを特徴とする画像読取方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−234034(P2011−234034A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101229(P2010−101229)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】