説明

画像読取装置

【課題】 複数の原稿用紙が収容可能な収容部から原稿読取部に搬送中の原稿用紙が重送であるか否かと原稿用紙の紙厚とを検知することができる画像読取装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 複数の原稿用紙が収容可能な収容部と、収容部から搬送された原稿用紙を光学的に読み取って原稿データを生成する原稿読取部と、収容部から原稿読取部に搬送中の原稿用紙に向けて超音波を送信する送信部及び当該搬送中の原稿用紙を通過した超音波を受信する受信部からなる超音波センサーと、受信部からの受信信号に基づいて、原稿用紙の紙厚を検知する紙厚検知手段と、受信部からの受信信号に基づいて、搬送中の原稿用紙が重送であるか否かを判別する重送検知手段により構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に係り、さらに詳しくは、収容部から搬送された原稿用紙を光学的に読み取って原稿データを生成する画像読取装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、両面印刷された原稿用紙を光学的に読み取る際に、裏面の印刷情報も読み取ってしまう現象、いわゆる裏写り現象を抑制する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。この特許文献1に記載の複写装置では、裏写り抑制のために、原稿用紙を押さえるための圧板として低反射率の黒板を設け、さらに、原稿用紙から読み取ったデータを画像処理する際に原稿用紙の紙厚に応じて補正する動作が行われる。最近では、搬送中の原稿用紙に向けて超音波を送信する超音波センサーを用いて、搬送中の原稿用紙が重送であるか否かを検知する技術も提案されている(例えば、特許文献2)。この特許文献2に記載の画像形成装置では、原稿用紙を通過した超音波の受信レベルから搬送中の原稿用紙が1枚であるか、複数枚、すなわち、重送であるかが検知される。
【特許文献1】特開2004−120200号公報
【特許文献2】特開2007−169044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した様な従来の装置では、原稿用紙の紙厚を検知するためのセンサーと、重送を検知するためのセンサーとがそれぞれ独立した別個のセンサーとして構成される。従って、原稿用紙の紙厚と搬送中の原稿用紙が重送であるか否かとを検知するには、紙厚検知のためのセンサーと重送検知のためのセンサーとを設けなければならなかった。このため、装置の構成が複雑化し、製造コストが増大してしまうという問題があった。
【0004】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、複数の原稿用紙が収容可能な収容部から原稿読取部に搬送中の原稿用紙が重送であるか否かと原稿用紙の紙厚とを検知することができる画像読取装置を提供することを目的とする。特に、製造コストを増大させることなく、紙厚及び重送を検知することができる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の本発明による画像読取装置は、2以上の原稿用紙が収容可能な収容部と、上記収容部から搬送された原稿用紙を光学的に読み取って原稿データを生成する原稿読取部と、上記収容部から上記原稿読取部に搬送中の原稿用紙に向けて超音波を送信する送信部及び当該搬送中の原稿用紙を通過した超音波を受信する受信部からなる超音波センサーと、上記受信部からの受信信号に基づいて、上記原稿用紙の紙厚を検知する紙厚検知手段と、上記受信部からの受信信号に基づいて、上記搬送中の原稿用紙が重送であるか否かを判別する重送検知手段とを備えて構成される。
【0006】
この画像読取装置では、収容部から原稿読取部に搬送中の原稿用紙に向けて超音波を送信する超音波センサーからの受信信号に基づいて、原稿用紙の紙厚と、搬送中の原稿用紙が重送であるか否かとが検知される。この様な構成によれば、紙厚の検知と重送検知とに共通の超音波センサーからの受信信号が用いられるので、それぞれに独立した別個のセンサーを用いる場合に比べて、装置の構成を簡素化することができる。従って、製造コストを増大させることなく、複数の原稿用紙が収容可能な収容部から原稿読取部に搬送中の原稿用紙が重送であるか否かと原稿用紙の紙厚とを検知することができる。
【0007】
第2の本発明による画像読取装置は、上記構成に加え、上記紙厚検知手段によって検知された紙厚に基づいて画像処理を行い、上記原稿データから出力用の画像データを生成する画像処理手段を備えて構成される。
【0008】
第3の本発明による画像読取装置は、上記構成に加え、上記画像処理手段が、上記超音波の受信レベルが第1閾値以上である場合に、裏写り抑制のための画像処理を行い、上記重送検知手段が、上記受信レベルが上記第1閾値よりも小さな第2閾値以下である場合に、重送であると判断するように構成される。
【0009】
第4の本発明による画像読取装置は、上記構成に加え、上記原稿読取部が、上記原稿用紙の異なる面をそれぞれ読み取る第1読取部及び第2読取部からなり、上記第1読取部及び上記第2読取部が搬送中の原稿用紙を挟むように配置され、上記第1閾値が、上記第1読取部及び上記第2読取部を用いて原稿用紙の両方の面を読み取らせる場合と、原稿用紙の一方の面だけを読み取らせる場合とで異なるように構成される。
【0010】
第5の本発明による画像読取装置は、上記構成に加え、上記重送検知手段による判別結果に基づいて、上記原稿用紙の搬送を停止させる搬送停止手段を備えて構成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明による画像読取装置によれば、紙厚の検知及び重送検知に共通の超音波センサーからの受信信号が用いられるので、装置の構成を簡素化することができる。従って、製造コストを増大させることなく、複数の原稿用紙が収容可能な収容部から原稿読取部に搬送中の原稿用紙が重送であるか否かと原稿用紙の紙厚とを検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の実施の形態による画像読取装置1の概略構成の一例を示した図である。この画像読取装置1は、両面印刷された原稿用紙101を光学的に読み取って画像データを出力するスキャナであり、第1読取部11、第2読取部12、収容部13、原稿分離部14、超音波センサー15、搬送ローラー16、光源装置17及び18からなる。
【0013】
収容部13は、複数の原稿用紙101が収容可能なトレー又はカセットであり、原稿用紙101を収容した状態で昇降させることができる。原稿分離部14は、収容部13に収容された原稿用紙101のうち、最上段の原稿用紙101を取り出して搬送経路102内に送出する給紙装置である。搬送ローラー16は、原稿用紙101の搬送装置であり、原稿用紙101を挟み込むローラー対として、搬送経路102に沿って複数個配置されている。収容部13、原稿分離部14及び搬送ローラー16によって、ADF(Auto Document Feeder:自動原稿送り装置)を構成している。
【0014】
第1読取部11及び第2読取部12は、いずれも収容部13から搬送された原稿用紙101を光学的に読み取って原稿データを生成する原稿読取装置であり、それぞれミラー21〜23、レンズ24、CCD25及びADC26からなる。第1読取部11及び第2読取部12は、搬送中の原稿用紙101を挟むように配置され、互いに原稿用紙101の異なる面を読み取る動作を行っている。
【0015】
ミラー21〜23は、光源装置17,18から出射され、原稿用紙101で反射されて読取部内に入射した光を反射して、レンズ24に入射させるための光学系である。CCD(Charge Coupled Devices:電荷結合素子)25は、レンズ24からの光を受光して、受光量に応じた検出信号を生成する撮像素子である。ADC(Analog Digital Converter:A/Dコンバータ)26は、CCD25からのアナログ信号をデジタル信号に変換する変換手段であり、画素ごとの輝度データがデジタル信号として出力される。
【0016】
この例では、第1読取部11及び光源装置17が搬送経路102よりも上側に配置され、光源装置17から出射されて、原稿用紙101の上側の面で反射された光が第1読取部11に入射している。また、第2読取部12及び光源装置18が搬送経路102よりも下側に配置され、光源装置18から出射されて、原稿用紙101の下側の面で反射された光が第2読取部12に入射している。第2読取部12は、第1読取部11よりも搬送経路102の下流側に配置されている。
【0017】
超音波センサー15は、収容部13から第1読取部11に搬送中の原稿用紙101に向けて超音波を送信する送信部151と、当該搬送中の原稿用紙101を通過した超音波を受信する受信部152とからなる原稿用紙101の検出装置である。送信部151及び受信部152は、搬送経路102を挟むように配置されている。受信部152は、送信部151よりも搬送経路102の下流側に配置されている。
【0018】
送信部151は、電気パルス信号を超音波振動に変換して送出する発信器であり、受信部152は、送信部151からの超音波を受信して超音波振動を電気信号に変換し、受信信号として出力する受信器である。送信部151及び受信部152は、反射波が送信部151に干渉しないようにするために、送信部151から送出された超音波が搬送中の原稿用紙101に対して斜め方向から入射するように配置されている。
【0019】
送信部151では、原稿用紙101の搬送に合わせて、所定の時間間隔で超音波が送出される。例えば、周波数が200kHzの超音波が送信される。
【0020】
図2は、図1の画像読取装置1の構成例を示した回路図であり、超音波センサー15からの受信信号に基づいて超音波の受信レベルを検出する受信レベル検出部30の構成が示されている。この受信レベル検出部30は、増幅器31、コンデンサー32,35、ADC33、スイッチ34、ツェナーダイオード36及び37により構成される。
【0021】
超音波センサー15からの受信信号は、増幅器31によって電力増幅され、コンデンサー35に入力される。コンデンサー35は、受信信号における直流成分を除去するための容量素子となっている。直流成分除去後の受信信号は、ツェナーダイオード36,37を介してコンデンサー32に入力される。ツェナーダイオード36,37は、過電圧が後段の回路、すなわち、ADC33に対して印加されるのを防止するための半導体素子となっている。
【0022】
コンデンサー32によって受信信号は、スイッチ34が開放されている間、コンデンサー32からなる積分回路において平滑化される。そして、スイッチ34を閉じることによってコンデンサー32を短絡した後、指定のタイミングにてスイッチ34を開放することにより、平滑化された受信信号がコンデンサー32によってホールドされる。ADC33は、このホールドされた受信レベルを所定の時間間隔でサンプリングしてデジタル化し、検知データを生成する変換回路である。
【0023】
図3は、図1の画像読取装置1の構成例を示したブロック図であり、画像読取装置1内の機能構成の一例が示されている。この画像読取装置1は、CCD駆動部2、画像処理部3、バッファメモリ4、出力部5、紙厚検知部6、重送検知部7、搬送制御部8、搬送用モーター9、第1読取部11、第2読取部12、超音波センサー15及び受信レベル検出部30により構成される。
【0024】
CCD駆動部2は、第1読取部11及び第2読取部12内のCCD25の駆動制御を行っている。画像処理部3は、第1読取部11及び第2読取部12からの原稿データについて画像処理を行い、出力用の画像データを生成する動作を行っている。この画像処理部3は、読取部ごとに設けられたシェーディング補正部41及びγ補正部42と、裏写り制御部43とからなる。
【0025】
シェーディング補正部41は、第1読取部11又は第2読取部12内における光学系の歪みを補正する画像処理部であり、入力値を出力値に変換するための所定のシェーディング補正データが変換テーブルとして保持されている。シェーディング補正部41では、このシェーディング補正データに基づいてADC26からの原稿データが処理される。γ(ガンマ)補正部42は、シェーディング補正後の画像データをガンマ補正用の変換テーブルに基づいて変換し、出力用の画像データとして出力する動作を行っている。
【0026】
バッファメモリ4は、γ補正部42からの出力用画像データを保持するための記憶装置である。出力部5は、バッファメモリ4から出力用画像データを読み出し、動作モードに応じた出力処理を行っている。例えば、ファクシミリ機能などを利用して出力用データを他の端末装置に転送する動作が出力処理として行われる。
【0027】
紙厚検知部6は、超音波センサー15の受信部152からの受信信号に基づいて、原稿用紙101の紙厚を検知する検知手段である。この紙厚検知部6では、受信レベル検出部30からの検知データに基づいて、搬送中の原稿用紙101の紙厚が検知される。
【0028】
裏写り制御部43は、紙厚検知部6によって検知された紙厚に基づいて、裏写り抑制のための画像処理を行うか、通常の画像処理を行うかを決定する動作を行っている。具体的には、超音波の受信レベルが所定の閾値(第1閾値)以上である場合に、裏写り抑制のための画像処理が行われる。受信レベルが第1閾値未満である場合には、裏写り抑制のための画像処理は行わず、通常の画像処理が行われる。
【0029】
裏写り抑制のための画像処理とは、紙厚が薄いために読み取られてしまった裏面の印刷情報を画像処理によって除去するための処理のことであり、シェーディング補正及びγ補正用の変換テーブルを変更することによって実現している。具体的には、原稿用紙101が白地に黒で印刷されている場合、白のシェーディング補正データを通常の画像処理に比べて黒側にシフトさせる処理が行われる。また、γ補正に関し、ハイライト側の入力値に対して、出力値を通常の画像処理に比べて白側へシフトさせる処理が行われる。つまり、原稿用紙101から読み取った画像データについて、黒側の輝度レベルを下げることによって黒で印刷されている情報を強調し、或いは、白側の輝度レベルを上げることによって裏面の印刷情報を白化し、これによって裏面の印刷情報が除去される。
【0030】
ここで、第1読取部11及び第2読取部12を用いて原稿用紙101の両方の面を読み取らせる場合、一方の読取部が原稿用紙101を読み取る際に、他方の読取部側に配置された光源装置からの光によって裏写りの程度が変化することが考えられる。そこで、上記第1閾値は、第1読取部11及び第2読取部12を用いて原稿用紙101の両方の面を読み取らせる場合と、一方の面だけを読み取らせる場合とで異ならせるものとする。例えば、両面読み取り時には、片面読み取り時に比べて裏写りし易くなると考えられるので、片面読み取り時よりも第1閾値を大きくする。
【0031】
重送検知部7は、超音波センサー15の受信部152からの受信信号に基づいて、搬送中の原稿用紙101が重送であるか否かを判別する検知手段である。この重送検知部7では、受信レベル検出部30からの検知データに基づいて、搬送中の原稿用紙101が1枚であるのか、複数枚、すなわち、重送であるのかが判別される。
【0032】
具体的には、超音波の受信レベルを上記第1閾値よりも小さな第2閾値と比較し、この比較結果に基づいて重送であるか否かが判別される。すなわち、受信レベルが第2閾値以下である場合に、重送であると判断される。受信レベルが第2閾値を越える場合には、重送でないと判断される。
【0033】
搬送制御部8は、搬送用モーター9を制御するとともに、重送検知部7による判別結果に基づいて、原稿用紙101の搬送を停止させる搬送停止手段となっている。具体的には、搬送中の原稿用紙101が重送であると判断された場合に、当該原稿用紙101について搬送を停止させる動作が行われる。
【0034】
図4は、図1の画像読取装置1における動作の一例を示した図であり、受信レベル検出部30によって検知される超音波の受信レベルを表す曲線110〜113が示されている。この図には、縦軸を受信レベルとし、横軸を時刻tとして受信レベルの変化が示されている。
【0035】
曲線110は、原稿用紙101が存在しない場合(この場合を「紙無」と呼ぶことにする)の受信レベルを表す曲線である。曲線111〜113は、原稿用紙101が存在する場合の受信レベルを表す曲線であり、曲線111と112とでは、紙厚が互いに異なっている。曲線111は、紙厚が薄い場合であり、曲線112は、紙厚が厚い場合となっている。曲線113は、重送である場合の受信レベルを表す曲線となっている。
【0036】
これらの曲線110〜113は、受信レベル検出部30のスイッチ34を閉じた際に、最小(最小値=リセットレベルa)となっている。その後、スイッチ34が開放されたタイミングにて、受信信号はホールドされている。そして、次にスイッチ34が閉じられるまで、曲線110及び111については、コンデンサーの放電によって緩やかに減少し、曲線112及び113については、ほぼ横ばい状態で推移している。
【0037】
受信レベル検出部30では、この様な曲線110〜113で表される受信レベルを所定の時間間隔でサンプリングし、検知データとして出力される。この例では、受信レベルが時刻tでサンプリングされており、原稿用紙101の状態に応じて異なる受信レベルa〜aが検知されている。
【0038】
は、紙無時の受信レベルであり、aは、紙厚が薄い場合の受信レベルとなっている(a<a)。aは、紙厚が厚い場合の受信レベルであり、aは、重送時の受信レベルとなっている(a<a<a<a)。
【0039】
図5は、図1の画像読取装置1における動作の一例を示した図であり、受信レベルと紙厚との対応関係を表す特性曲線121及び重送時の特性曲線122が示されている。この図には、縦軸を受信レベルとし、横軸を紙厚として受信レベルと紙厚との関係が示されている。
【0040】
特性曲線121は、原稿用紙101が1枚である場合に、受信レベルを紙厚に変換するための変換テーブルを示す曲線であり、単調に減少している。具体的には、紙厚の下限cにおいて、受信レベルがbであり、上限cにおいて、受信レベルがbとなって飽和している(b<b)。
【0041】
受信レベルがbを越える範囲は、紙無状態となっている。また、紙厚がc以上c以下である範囲では、受信レベルがb以上b以下となっており、裏写り抑制のための画像処理が行われる範囲となっている。つまり、この紙厚cに対応する受信レベルbが、裏写り抑制のための画像処理を行うか、通常の画像処理を行うかを判断する際に用いられる閾値(第1閾値)となっている。
【0042】
特性曲線122は、原稿用紙101が複数枚である場合における受信レベル及び紙厚の対応関係を表す曲線であり、単調に減少している。具体的には、紙厚の上限cにおいて、受信レベルがbよりも小さな値であり、紙厚が増加するほど受信レベルが小さくなっている。つまり、受信レベルbは、重送であるか否かを判断する際に用いられる閾値(第2閾値)であり、受信レベルbよりも小さな値となっている。
【0043】
重送検知部7では、超音波の受信レベルがb以下である場合に、重送であると判断される。一般に、紙厚が薄い原稿用紙が2枚である場合と、その様な紙に比べて2倍の紙厚の原稿用紙が1枚である場合とでは、原稿用紙が2枚である場合の方が、用紙間の空気層の影響によって、受信レベルは小さい。重送検知は、超音波の受信レベルにおけるこの様な特徴を利用することによって行われる。
【0044】
図6のステップS101〜S112は、図1の画像読取装置1における原稿読み取り時の動作の一例を示したフローチャートである。まず、受信レベル検出部30は、原稿用紙101が収容部13から給紙されると、超音波センサー15からの受信信号に基づいて受信レベルを検出する(ステップS101,S102)。次に、紙厚検知部6は、変換テーブルを参照して受信レベルから紙厚を検知する(ステップS103,S104)。
【0045】
このとき、裏写り制御部43は、検知された紙厚を参照し、紙厚がc以下、すなわち受信レベルが第1閾値b以上であれば、裏写り抑制のための画像処理をシェーディング補正部41及びγ補正部42に対して指示する(ステップS105,S106)。次に、重送検知部7は、検出された受信レベルを参照し(ステップS107)、受信レベルが第2閾値b以下であれば、重送であると判断して、重送を報知するためのエラー信号を出力する(ステップS111)。搬送制御部8は、このエラー出力に基づいて、原稿用紙101の搬送を停止させる(ステップS112)。また、超音波センサー15では、エラー出力に基づいて超音波の送出を停止する。
【0046】
一方、受信レベルがbを越えている場合には、搬送された原稿用紙101の読み取りが行われ、画像データが生成される(ステップS108)。ステップS107及びS108の処理手順は、原稿用紙101の後端が検知されるまで繰り返され(ステップS109)、後端が検知されると、ステップS110に遷移する。ステップS110では、オペレータによって指定された一連の読取ジョブが終了したか否かが判別され、終了していれば、この処理を終了する。一方、終了していなければ、読取ジョブが終了するまで、ステップS101からS109までの処理手順を繰り返す。
【0047】
本実施の形態によれば、紙厚の検知と重送検知とに共通の超音波センサー15からの受信信号が用いられるので、それぞれに独立した別個のセンサーを用いる場合に比べて、装置の構成を簡素化することができる。従って、製造コストを増大させることなく、搬送中の原稿用紙101が重送であるか否かと原稿用紙101の紙厚とを検知することができる。
【0048】
なお、本実施の形態では、搬送中の原稿用紙101の紙厚を検知して裏写り抑制のための画像処理が行われる場合の例について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、検知した紙厚に基づいて、原稿用紙101の読取速度、光源装置17,18の明るさ、原稿読み取り時の利得を調整するようなものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態による画像読取装置1の概略構成の一例を示した図である。
【図2】図1の画像読取装置1の構成例を示した回路図であり、超音波の受信レベルを検出する受信レベル検出部30の構成が示されている。
【図3】図1の画像読取装置1の構成例を示したブロック図であり、画像読取装置1内の機能構成の一例が示されている。
【図4】図1の画像読取装置1における動作の一例を示した図であり、超音波の受信レベルを表す曲線110〜113が示されている。
【図5】図1の画像読取装置1における動作の一例を示した図であり、受信レベルと紙厚との対応関係を表す特性曲線121及び重送時の特性曲線122が示されている。
【図6】図1の画像読取装置1における原稿読み取り時の動作の一例を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
1 画像読取装置
2 CCD駆動部
3 画像処理部
4 バッファメモリ
5 出力部
6 紙厚検知部
7 重送検知部
8 搬送制御部
9 搬送用モーター
11 第1読取部
12 第2読取部
13 収容部
14 原稿分離部
15 超音波センサー
16 搬送ローラー
17,18 光源装置
21〜23 ミラー
24 レンズ
25 CCD
26 ADC
30 受信レベル検出部
101 原稿用紙
102 搬送経路
151 送信部
152 受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の原稿用紙が収容可能な収容部と、
上記収容部から搬送された原稿用紙を光学的に読み取って原稿データを生成する原稿読取部と、
上記収容部から上記原稿読取部に搬送中の原稿用紙に向けて超音波を送信する送信部及び当該搬送中の原稿用紙を通過した超音波を受信する受信部からなる超音波センサーと、
上記受信部からの受信信号に基づいて、上記原稿用紙の紙厚を検知する紙厚検知手段と、
上記受信部からの受信信号に基づいて、上記搬送中の原稿用紙が重送であるか否かを判別する重送検知手段とを備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
上記紙厚検知手段によって検知された紙厚に基づいて画像処理を行い、上記原稿データから出力用の画像データを生成する画像処理手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
上記画像処理手段は、上記超音波の受信レベルが第1閾値以上である場合に、裏写り抑制のための画像処理を行い、
上記重送検知手段は、上記受信レベルが上記第1閾値よりも小さな第2閾値以下である場合に、重送であると判断することを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
上記原稿読取部は、上記原稿用紙の異なる面をそれぞれ読み取る第1読取部及び第2読取部からなり、上記第1読取部及び上記第2読取部が搬送中の原稿用紙を挟むように配置され、
上記第1閾値が、上記第1読取部及び上記第2読取部を用いて原稿用紙の両方の面を読み取らせる場合と、原稿用紙の一方の面だけを読み取らせる場合とで異なることを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
上記重送検知手段による判別結果に基づいて、上記原稿用紙の搬送を停止させる搬送停止手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−161291(P2009−161291A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−340725(P2007−340725)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】