説明

画素回路、及び電子機器

【課題】高耐圧化可能な画素回路を提供すること。
【解決手段】一態様として、第1電極が第1電位に、第2電極が画素電極に接続された第1のp型駆動トランジスタと、第1電極が前記画素電極に、第2電極が第2電位に接続された第1のn型駆動トランジスタと、第1電極が第1のデータ線に、第2電極が前記第1のp型駆動トランジスタのゲート電極に、ゲート電極が第1の走査線に接続された第1の制御トランジスタと、第1電極が第2のデータ線に、第2電極が前記第1のn型駆動トランジスタのゲート電極に、ゲート電極が第2の走査線に接続された第2の制御トランジスタと、を備え、前記第1のp型駆動トランジスタの第2電極と前記画素電極との間に、直列に、第1電極及び第2電極が接続された第2のp型駆動トランジスタをさらに備え、前記第2のp型駆動トランジスタのゲート電極が、前記第1電位及び前記第2電位の間の所定電位である第3電位に接続された画素回路を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば表示装置に用いられる画素回路などとして利用可能な半導体集積回路、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気泳動装置などの表示装置用の回路には、ポリシリコン薄膜トランジスタ(TFT)が用いられる。例えば、表示部(画素部、アクティブマトリクス部)やその周辺に配置される駆動回路部を薄膜トランジスタで構成する。この薄膜トランジスタは、比較的低温プロセスで形成でき、装置の低コスト化を図る上で重要なデバイスである。
【0003】
一方、表示装置を動作させるためには、高い電圧を必要とすることがあるため、表示装置に用いられる画素回路は高い耐圧を有する必要がある。高い耐圧を有する画素回路を提供する方法の一つとして、画素回路に含まれる個々のトランジスタに対する負荷を分散させ、個々のトランジスタに印加される電圧を低く抑える方法がある。
【0004】
例えば、下記特許文献1には、個々のトランジスタに印加される電圧を低く抑えるためにLDD構造のNMOS又はPMOSトランジスタをカスケード接続し、これらのゲート電極に入力信号を共通に接続した回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−223905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本願発明者が詳細に検討したところ、ゲート電極に入力信号を共通に接続したNMOS又はPMOSトランジスタをカスケード接続しても、各トランジスタにかかる電圧が均等にならず、電源電位または接地電位から最も離れて接続されるトランジスタ、即ち、直接出力端子VOUTに接続されるトランジスタには、依然として過大な電圧が加わる傾向にあることが判明した。
【0007】
一方、高耐圧化の手段として有効なLDD構造の採用によっても、低温ポリシリコンを半導体層に有する薄膜トランジスタにおいては効果が小さい。これは、LDD構造部の不純物濃度を低く設定できないことが要因である。
【0008】
そこで、本発明の一態様は、主に表示装置に用いられる、高耐圧化可能な画素回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するために、本発明の一形態における画素回路は、第1電極が第1電位に接続され、第2電極が電気的に画素電極に接続された第1のp型駆動トランジスタと、第1電極が電気的に前記画素電極に接続され、第2電極が第2電位に接続された第1のn型駆動トランジスタと、第1電極が第1のデータ線に接続され、第2電極が前記第1のp型駆動トランジスタのゲート電極に接続され、ゲート電極が第1の走査線に接続された第1の制御トランジスタと、第1電極が第2のデータ線に接続され、第2電極が前記第1のn型駆動トランジスタのゲート電極に接続され、ゲート電極が第2の走査線に接続された第2の制御トランジスタと、を備え、前記第1のp型駆動トランジスタの第2電極と前記画素電極との間、または、前記画素電極と前記第1のn型駆動トランジスタの第1電極との間、の少なくとも一方に、直列に、第1電極及び第2電極が接続された第2の駆動トランジスタをさらに備え、前記第2の駆動トランジスタのゲート電極が、前記第1電位及び前記第2電位の間の所定電位である第3電位に接続されていることを特徴とする。
【0010】
かかる構成の画素回路によれば、第1電位と画素電極との間、及び第2電位と画素電極との間の少なくとも一方に第2の駆動トランジスタを直列に接続することで、2つのトランジスタを直列に接続した構成となる。この構成によって、第1電位と画素電極との間、及び第2電位と画素電極との間のいずれか一方に直列接続された、2つのトランジスタの個々にかかる負荷電圧を小さくすることができる。これによって、同じ耐圧を有するトランジスタを用いたとしても、より高い耐圧を有する画素回路を構成することが可能となる。
【0011】
また、n型駆動トランジスタ及びp型駆動トランジスタのうち、負荷電圧を小さくする必要のあるタイプのトランジスタについてのみ、直列に2つ接続した構成にすることができる。この構成によれば、十分な耐圧を持つために負荷電圧を小さくする必要のないタイプのトランジスタについてまで複数のトランジスタを用いることによる不必要なコストの増加を防止することができ、比較的安価に画素回路を構成することが可能となる。
【0012】
また、前記第2の駆動トランジスタは、前記第1のp型駆動トランジスタの第2電極と前記画素電極との間に、直列に、第1電極及び第2電極が接続された第2のp型駆動トランジスタであることが好ましい。
【0013】
かかる構成によれば、第1電位と画素電極との間に、2つのp型駆動トランジスタを直列に接続することによって、かかるp型駆動トランジスタの個々にかかる負荷電圧を小さくすることができる。
【0014】
また、前記第2の駆動トランジスタは、前記画素電極と前記第1のn型駆動トランジスタの第1電極との間に、直列に、第1電極及び第2電極が接続された第2のn型駆動トランジスタであることが好ましい。
【0015】
かかる構成によれば、画素電極と第2電位との間に、2つのn型駆動トランジスタを直列に接続することによって、かかるn型駆動トランジスタの個々にかかる負荷電圧を小さくすることができる。
【0016】
また、前記第2の駆動トランジスタとして、前記第1のp型駆動トランジスタの第2電極と前記画素電極との間に、直列に、第1電極及び第2電極が接続された第2のp型駆動トランジスタと、前記画素電極と前記第1のn型駆動トランジスタの第1電極との間に、直列に、第1電極及び第2電極が接続された第2のn型駆動トランジスタと、を備えることが好ましい。
【0017】
かかる構成の画素回路によれば、第1電位と画素電極との間、及び画素電極と第2電位との間の双方について、それぞれ直列に2つずつのトランジスタを接続する。これによって、直列に接続されたp型駆動トランジスタの組、及びn型駆動トランジスタの組の双方における、個々のトランジスタにかかる負荷電圧を小さくすることができる。
【0018】
また、前記第1のp型駆動トランジスタの第2電極と前記第2のp型駆動トランジスタの第1電極との間に、直列に、第1電極及び第2電極が接続された第3のp型駆動トランジスタをさらに備え、前記第3のp型駆動トランジスタのゲート電極は、前記第1電位及び前記第3電位の間の所定電位である第4電位に接続されていることが好ましい。
【0019】
かかる構成によれば、第1電位と画素電極との間に3つのp型駆動トランジスタを直列に接続することによって、かかる3つのp型駆動トランジスタのそれぞれにかかる負荷電圧を小さくすることができる。
【0020】
また、前記画素電極と前記第2のn型駆動トランジスタの第1電極との間に、直列に、第1電極及び第2電極が接続された第3のn型駆動トランジスタをさらに備え、前記第3のn型駆動トランジスタのゲート電極は、前記第1電位及び前記第3電位の間の所定電位である第4電位に接続されていることが好ましい。
【0021】
かかる構成によれば、画素電極と第2電位との間に3つのn型駆動トランジスタを直列に接続することによって、かかる3つのn型駆動トランジスタのそれぞれにかかる負荷電圧を小さくすることができる。
【0022】
また、前記第1のp型駆動トランジスタの第2電極と前記第2のp型駆動トランジスタの第1電極との間に、直列に、第1電極及び第2電極が接続された第3のp型駆動トランジスタを備え、前記画素電極と前記第1のn型駆動トランジスタの第2電極との間に、直列に、第1電極及び第2電極が接続された第3のn型駆動トランジスタを備え、前記第3のp型駆動トランジスタのゲート電極、及び前記第3のn型駆動トランジスタのゲート電極は、前記第1電位及び前記第3電位の間の所定電位である第4電位に接続されていることが好ましい。
【0023】
かかる構成の画素回路によれば、第1電位と画素電極との間、及び画素電極と第2電位との間の双方について、それぞれ直列に3つのトランジスタを接続する。これによって、直列に接続されたp型駆動トランジスタ及びn型駆動トランジスタの双方における、個々のトランジスタにかかる負荷電圧をさらに小さくすることができる。
【0024】
なお、第1電位と画素電極との間、及び画素電極と第2電位との間の少なくとも一方に3つ以上のトランジスタを直列接続することは、出力電位を安定させることが可能になるため好ましい。さらに、第1電位と画素電極との間、または画素電極と第2電位に発生したサージなどによってトランジスタが破壊されることも、さらに少なくなるため好ましい。
【0025】
また、前記第1の走査線と前記第2の走査線とが同じ走査線であることが好ましい。
【0026】
かかる構成によれば、1本の走査線で第1及び第2の制御トランジスタを制御することが可能となり、画素回路に含まれる画素回路の制御を簡素にすることができる。また、走査線の本数を減少させることができ、これにより周辺回路の配線を減少させることができる。
【0027】
また、前記第1のp型駆動トランジスタのゲート電極と第1電位との間に接続された第1のコンデンサーと、前記第1のn型駆動トランジスタのゲート電極と第2電位との間に接続された第2のコンデンサーと、をさらに備えることが好ましい。
【0028】
かかる構成によれば、第1のp型駆動トランジスタ、及び第1のn型駆動トランジスタのゲート電極に電位が供給されていない間において、これらの電極に供給される電圧を安定的に保持することが可能となる。これによって、画素回路の誤動作を防ぐことが可能となる。
【0029】
また、本発明の一態様における電子機器は、上記いずれかの画素回路を備える。
【0030】
かかる構成の電子機器によれば、上記いずれかの画素回路の特徴を備えることによって、例えば、高い電圧を用いた画素回路を備えた電子機器を構成することなどが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第1の画素回路の構成例を示す図。
【図2】第1の画素回路の動作時における各部の波形図。
【図3】T2からT3の間における第1の画素回路の状態を示す図。
【図4】T4からT5及びT6からT7の間の第1の画素回路の状態を示す図。
【図5】T5からT6の間における第1の画素回路の状態を示す図。
【図6】第1の画素回路の変形例1の構成例を示す図。
【図7】第1の画素回路の変形例2の構成例を示す図。
【図8】第2の画素回路の構成例を示す図。
【図9】第2の画素回路の動作時における各部の波形図。
【図10】T2からT3の間における第2の画素回路の状態を示す図。
【図11】T4からT5及びT6からT7の間の第2の画素回路の状態を示す図。
【図12】T5からT6の間における第2の画素回路の状態を示す図。
【図13】第3の画素回路の構成例を示す図。
【図14】第3の画素回路の動作時における各部の波形図。
【図15】第4の画素回路の構成例を示す図。
【図16】第4の画素回路の動作時における各部の波形図。
【図17】第5の画素回路の構成例を示す図。
【図18】電気光学装置の構成を示すブロック図。
【図19】電気光学装置を備えたテレビジョンの斜視図。
【図20】電気光学装置を備えたロールアップ式テレビジョンの斜視図。
【図21】電気光学装置を備えた携帯電話の斜視図。
【図22】電気光学装置を備えたビデオカメラの斜視図。
【図23】電気光学装置を備えたパーソナルコンピューターの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明に係る実施形態について、以下の構成に従って、図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下で説明する実施形態はあくまで本発明の一例に過ぎない。すなわち、本発明は以下の実施形態において例示した構成、動作に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で任意に変形可能である。なお、各図面において、同一の部品には同一の符号を付している。
1.定義
2.実施形態1
(1)第1の画素回路の構成例
(2)第1の画素回路の動作説明
(3)第1の画素回路の変形例
3.実施形態2
(1)第2の画素回路の構成例
(2)第2の画素回路の動作説明
4.実施形態3
(1)第3の画素回路の構成例
(2)第3の画素回路の動作概要
5.実施形態4
(1)第4の画素回路の構成例
(2)第4の画素回路の動作概要
6.実施形態5
7.本発明の画素回路を含む電気光学装置の構成例
8.本発明の画素回路を含む電子機器の構成例
【0033】
<1.定義>
本明細書における用語を以下のように定義する。
「ノード」:回路における所定の箇所を指す。また、当該ノードにおける電位も同じ符号を用いて示すことがある。例えば、電位Xとは、ノードXの電位を指す。
「電位ノード」:回路における所定の箇所を指し、電位を供給可能に構成された箇所を指す。当該電位ノードにおける電位も同じ符号を用いて示す。例えば、電位ノードYとは、電位Yを供給可能なノードを指し、電位Yとは、電位ノードYから供給される電位を指す。
「Vth_n」:n型トランジスタの閾値電圧(スレッシュホールド電圧)を指す。
「ゲート電圧」:トランジスタのソース電極の電位を基準としたときのゲート電極の電位を指す。すなわち、トランジスタにおけるゲート−ソース間の電圧(電位差)を指す。
「タイプ」:n型トランジスタとp型トランジスタとの、型を指す。例えば、「いずれか一方のタイプのトランジスタ」という場合は、n型トランジスタとp型トランジスタとのいずれか一方、を意味する。
「第1電極、第2電極」:トランジスタはドレイン電極、ソース電極、及びゲート電極を有するが、ドレイン電極とソース電極とは必ずしも明確に区別する必要がない場合がある。本明細書においては、トランジスタにおけるドレイン電極及びソース電極のいずれか一方を指して「第1電極」、他方を「第2電極」と呼ぶことがある。
「第1電位」:所定の電位を指し、回路に供給される電源電圧を指すことがある。
「第2電位」:所定の電位を指し、回路における電位の基準となる接地電位を指すことがある。
「第3電位」:所定の電位を指し、第1電位と第2電位との間の所定電位(中間電位)を指すことがある。
「第4電位」:所定の電位を指し、第1電位と第3電位との間の所定電位(中間電位)を指すことがある。
【0034】
<2.実施形態1>
<(1)第1の画素回路の構成例>
図1は、本発明の一態様である、第1の画素回路の構成例を示す図である。図1に示すように、本実施形態1における画素回路は複数の薄膜トランジスタ(TFT)を含む半導体集積回路である。以下、薄膜トランジスタを単に「トランジスタ」と称するものとする。
【0035】
図1に示すように、本実施形態1の画素回路は、n型駆動トランジスタNT1及びNT2、p型駆動トランジスタPT1及びPT2、n型制御トランジスタTr1及びTr2、並びにコンデンサーCp1及びCp2を含んで構成される。また、当該画素回路は、画素電極に接続された出力電位ノードVOUTを有する。すなわち、本実施形態の画素回路は、従来の画素回路と異なり、出力電位ノードVOUTと接地電位ノードVSSとの間にn型駆動トランジスタが、電位ノードVDD2と出力電位ノードVOUTとの間にp型駆動トランジスタが、それぞれ2つずつ直列に、カスケード接続されている。
【0036】
本実施形態1では、VSS、VDD1、及びVDD2の3つの電位ノード(電位)を有する。これらの電位は、VSS<VDD1<VDD2という関係になっており、VSSは接地電位である。また、具体的説明に際しては、簡略化のためにVDD1を10V、VDD2を20Vとして説明する。
【0037】
(n型駆動トランジスタNT1)
n型駆動トランジスタNT1は、ドレイン電極がノードVN1に、ソース電極が接地電位ノードVSSに接続されている。また、n型駆動トランジスタNT1のゲート電極は、コンデンサーCp1とn型制御トランジスタTr1とが接続されたノードND1に接続されている。
【0038】
(n型駆動トランジスタNT2)
n型駆動トランジスタNT2は、ドレイン電極が出力電位ノードVOUTに、ソース電極がノードVN1に接続されている。また、n型駆動トランジスタNT2のゲート電極は、電位ノードVDD1に接続されている。
【0039】
(p型駆動トランジスタPT1)
p型駆動トランジスタPT1は、ソース電極が電位ノードVDD2に、ドレイン電極がノードVP1に接続されている。また、p型駆動トランジスタPT1のゲート電極は、コンデンサーCp2とn型制御トランジスタTr2とが接続されたノードND2に接続されている。
【0040】
(p型駆動トランジスタPT2)
p型駆動トランジスタPT2は、ソース電極がノードVP1に、ドレイン電極が出力電位ノードVOUTに接続されている。また、p型駆動トランジスタPT2のゲート電極は、電位ノードVDD1に接続されている。
【0041】
(コンデンサーCp1、Cp2)
コンデンサーCp1は、n型駆動トランジスタNT1のゲート電極及びn型制御トランジスタTr1のソース電極が接続されたノードND1と、接地電位ノードVSSとの間に接続される。コンデンサーCp2は、p型駆動トランジスタPT1のゲート電極及びn型制御トランジスタTr2のソース電極が接続されたノードND2と、電位ノードVDD2との間に接続される。これらのコンデンサーCp1及びCp2は、画素回路にデータドライバーから電位が供給されない間に電位が変動し、出力電位VOUTが変化することを防止するものである。すなわち、コンデンサーCp1は、ノードND1の電位を保持するため、コンデンサーCp2は、ノードND2の電位を保持するために設けられる。
【0042】
(制御トランジスタTr1、Tr2)
n型制御トランジスタTr1は、ソース電極がノードND1に、ドレイン電極がデータ線DL1に接続される。また、n型制御トランジスタTr1のゲート電極は走査線SL1に接続される。n型制御トランジスタTr2は、ソース電極がノードND2に、ドレイン電極がデータ線DL2に接続される。また、n型制御トランジスタTr2のゲート電極は、走査線SL1に接続される。
【0043】
<(2)第1の画素回路の動作説明>
次に、本実施形態1における第1の画素回路の動作について説明する。
【0044】
図2は、第1の画素回路の動作時における各部の波形図である。図2において、T1〜T7は所定のタイミング(時間)を示し、横方向の点線の右側には、それぞれ点線に対応した電位を示している。また、図2に示すように、当該波形図は上から順に、走査線SL1、データ線DL1、データ線DL2、ノードND1、ノードND2、及び出力電位ノードVOUTにおける、それぞれの信号波形の時間変化を示す。
【0045】
また、図3乃至図5は、それぞれT2からT3の間、T4からT5及びT6からT7の間、並びにT5からT6の間における第1の画素回路の状態を示す図である。図3乃至図5においては、それぞれのノードや信号線の電位、及びそれぞれのトランジスタのオン、オフの状態を、括弧書きで示している。
【0046】
以下、図2乃至図5を参照しながら、第1の画素回路の動作について具体的に説明する。
【0047】
(T1〜T3)
図2において、T1〜T3では出力電位ノードVOUTに接地電位VSSを出力する際の動作を示す。
【0048】
まず、T1において、走査ドライバー(後述)は走査線SL1に供給する電位を、接地電位VSSから20V+Vth_nへと変化させる。この電位の変化により、n型制御トランジスタTr1及びTr2のゲート電圧(Vgs)が閾値電圧より高くなり、n型制御トランジスタTr1及びTr2がオンする。
【0049】
次に、T2において、データドライバー(後述)はデータ線DL1の電位を接地電位VSSから10Vへ、データ線DL2の電位を10Vから20Vへとそれぞれ変化させる。すると、n型駆動トランジスタNT1のゲート電極に接続されたノードND1の電位が10Vとなることにより、n型駆動トランジスタNT1のゲート電圧が閾値電圧より高くなり、n型駆動トランジスタNT1がオンする。n型駆動トランジスタNT1がオンすると、ノードVN1の電位は接地電位VSSとなり、n型駆動トランジスタNT2のゲート電圧も閾値電圧より高い状態になる。よって、n型駆動トランジスタNT2もオンする。一方で、p型駆動トランジスタPT1のゲート電極に接続されたノードND2の電位が20Vになると、ゲート電圧はp型駆動トランジスタPT1の閾値電圧より高いため、p型駆動トランジスタNT2はオフのままである。このとき、ノードVP1は10Vになり、p型駆動トランジスタPT2のゲート電圧は、閾値電圧よりも高い。よって、p型駆動トランジスタPT2もオフのままである。このようにしてn型駆動トランジスタNT1及びNT2がオン状態に、p型駆動トランジスタPT1及びPT2がオフ状態となった結果、出力電位ノードVOUTの電位は、接地電位VSSになる。
【0050】
図3は、T2からT3の間における第1の画素回路の状態を示す図である。上記でも説明したとおり、走査線SL1には電位VDD2(20V)+Vth_nが、データ線DL1には電位VDD1(10V)が、データ線DL2には電位VDD2(20V)がそれぞれ供給されている。また、n型駆動トランジスタNT1及びNT2はオン状態であり、p型駆動トランジスタPT1及びPT2はオフ状態である。そして、ノードVN1は接地電位VSS、ノードVP1は電位VDD1(10V)であり、出力電位ノードVOUTは接地電位VSSとなっている。
【0051】
ここで、図3にも示すように、p型駆動トランジスタPT1のドレイン電極とソース電極との間には、電位VDD2(20V)と電位VDD1(10V)との電位差である10Vが印加されている。また、p型駆動トランジスタPT2のドレイン電極とソース電極との間には、電位VDD1(10V)と出力電位ノードVOUTにおける電位である接地電位VSSとの電位差である10Vが印加されている。すなわち、電位ノードVDD2と出力電位ノードVOUTとの間に1つのp型駆動トランジスタが配置された場合と比較して、それぞれのp型駆動トランジスタにかかる負荷電圧が半分になることが分かる。
【0052】
(T3〜T5)
図2において、T3〜T5では、出力電位ノードVOUTに接地電位VSSを出力した状態を保持したまま、n型制御トランジスタTr1及びTr2をオフする際の動作を示す。
【0053】
まず、T3において、走査ドライバーは走査線SL1に供給する電位を、20V+Vth_nから接地電位VSSへと変化させる。この走査線SL1の電位の変動によって、それまでオンしていたn型制御トランジスタTr1及びTr2がオフする。このとき、ノードND1及びND2の電位は、それぞれコンデンサーCp1及びCp2によって直前の状態のまま保持され、それぞれ10Vと20Vで保持される。これによって、n型駆動トランジスタNT1及びNT2はオンのまま保持され、p型駆動トランジスタPT1及びPT2はオフのまま保持される。
【0054】
次に、T4において、データドライバーはデータ線DL1及びDL2の電位を、それぞれ10Vから接地電位VSSへ、20Vから10Vへと変化させる。しかし、n型制御トランジスタTr1及びTr2はオフされた状態であるため、この電位の変化はノードND1及びND2のどちらにも伝搬されない。つまり、n型駆動トランジスタNT1及びNT2はオンのまま、p型駆動トランジスタPT1及びPT2はオフのまま保持される。よって、出力電位ノードVOUTの電位は、接地電位VSSのまま保持される。
【0055】
図4は、T4からT5の間における第1の画素回路の状態を示す図である。上記のとおり、走査線SL1には接地電位VSSが供給されており、n型制御トランジスタTr1及びTr2はオフ状態になっている。このため、データ線DL1及びDL2の電位の変動にかかわらず、n型駆動トランジスタNT1及びNT2と、p型駆動トランジスタPT1及びPT2とはいずれも直前の状態を保持している。したがって、出力電位ノードVOUTの電位も直前の電位のまま、すなわち接地電位VSSのまま、保持される。
【0056】
(T5〜T6)
図2において、T5〜T6では出力電位ノードVOUTに電位VDD2を出力する際の動作を示す。
【0057】
まず、T5において、走査ドライバーは、走査線SL1に供給する電位を、接地電位VSSから20V+Vth_nへと変化させる。この走査線SL1の電位の変動によって、n型制御トランジスタTr1及びTr2がオンする。ここで、データドライバーはデータ線DL1対して接地電位VSSを供給している。これによりノードND1の電位は10Vから接地電位VSSへと変化する。このノードND1の電位の変化により、n型駆動トランジスタNT1のゲート電圧は、閾値電圧より高い10Vから、閾値電圧より低い接地電位VSSへと変化し、これによりn型駆動トランジスタNT1はオフする。n型駆動トランジスタNT1がオフしたことにより、ノードVN1の電位は、接地電位VSSから10Vへと変化し、n型駆動トランジスタNT2もオフする。一方で、データドライバーはデータ線DL2に対して10Vを供給している。これにより、ノードND2の電位は20Vから10Vへと変化する。このノードND2の電位の変化により、p型駆動トランジスタPT1のゲート電圧が閾値電圧より低くなり、p型駆動トランジスタPT1はオンする。p型駆動トランジスタPT1がオンすると、ノードVP1の電位は電位VDD2(20V)となる。ノードVP1の電位が20Vになると、p型駆動トランジスタPT2のゲート電圧は閾値電圧より低くなるため、p型駆動トランジスタPT2もオンする。このようにしてp型駆動トランジスタPT1及びPT2がオン状態に、n型駆動トランジスタNT1及びNT2がオフ状態となった結果、出力電位ノードVOUTの電位は電位VDD2(20V)になる。
【0058】
図5は、T5からT6の間における第1の画素回路の状態を示す図である。上記でも説明したとおり、走査線SL1には電位VDD2(20V)+Vth_nが、データ線DL1には接地電位VSSが、データ線DL2には電位VDD1(10V)がそれぞれ供給されている。また、n型駆動トランジスタNT1及びNT2はオフ状態であり、p型駆動トランジスタPT1及びPT2はオン状態である。そして、ノードVN1は電位VDD1(10V)、ノードVP2は電位VDD2(20V)となり、出力電位ノードVOUTは電位VDD2(20V)となる。
【0059】
ここで、図5にも示すように、n型駆動トランジスタNT1の電極間には、電位VDD1(10V)と接地電位VSSとの電位差である10Vが印加されている。また、n型駆動トランジスタNT2の電極間には、出力電位ノードVOUTにおける電位である電位VDD2(20V)と電位VDD1(10V)との電位差である10Vが印加されている。すなわち、出力電位ノードVOUTと接地電位VSSとの間に1つのn型駆動トランジスタが配置された場合と比較して、それぞれのn型駆動トランジスタにかかる負荷電圧が半分になることが分かる。
【0060】
(T6〜T7)
図2において、T6〜T7では、出力電位ノードVOUTに電位VDD2(20V)を出力した状態を保持したまま、n型制御トランジスタTr1及びTr2をオフする際の動作を示す。
【0061】
まず、T6において、走査ドライバーは走査線SL1に供給する電位を、20V+Vth_nから接地電位VSSへと変化させる。すると、走査線SL1の電位の変動によって、それまでオンしていたn型制御トランジスタTr1及びTr2がオフする。このとき、ノードND1及びND2の電位は、それぞれコンデンサーCp1及びCp2によって直前の状態のまま保持され、それぞれ接地電位VSSと10Vとで保持される。ノードND1及びND2の電位が直前の電位のまま保持されることで、n型駆動トランジスタNT1及びNT2はオフのまま保持され、p型駆動トランジスタPT1及びPT2はオンのまま保持される。これにより、出力電位ノードVOUTの電位は、電位VDD2(20V)のまま保持される。
【0062】
図4は、T6からT7の間における第1の画素回路の状態を示す図である。この図4はT4からT5の間における第1の画素回路の状態を示す図と共通である。これらの状態は、いずれも出力電位ノードVOUTの電位を直前の電位のまま保持する点と、n型制御トランジスタTr1及びTr2をオフするために走査線SL1に接地電位VSSを供給する点で共通する。
【0063】
上記のとおり、走査線SL1には接地電位VSSが供給されており、n型制御トランジスタTr1及びTr2はオフ状態になる。このため、データ線DL1及びDL2の電位の変動にかかわらず、n型駆動トランジスタNT1及びNT2と、p型駆動トランジスタPT1及びPT2とはいずれも直前の状態を保持している。したがって、出力電位ノードVOUTの電位も直前の電位のまま、すなわち電位VDD2(20V)のまま、保持される。
【0064】
本実施形態1の構成によれば、接地電位ノードVSSと出力電位ノードVOUTとの間、及び電位ノードVDD2と出力電位ノードVOUTとの間に、それぞれ複数のトランジスタを直列接続した。この構成によって、接地電位ノードVSSと出力電位ノードVOUTとの間、及び電位ノードVDD2と出力電位ノードVOUTとの間に接続したn型駆動トランジスタNT1及びNT2、並びにp型駆動トランジスタPT1及びPT2の個々にかかる負荷電圧を小さくすることができる。これによって、高い電圧を用いることが可能な、すなわち、高い耐圧を有する画素回路を構成することなどが可能となる。
【0065】
また、1本の走査線で制御トランジスタTr1及びTr2を制御することとしたため、制御トランジスタTr1及びTr2をそれぞれ独立した走査線で制御する場合と比較して、画素回路に含まれる画素回路の制御を簡素にすることができる。また、周辺回路の配線を減少させることができる。
【0066】
また、本実施形態1の画素回路は、コンデンサーCp1及びCp2を備える構成とした。かかる構成により、p型駆動トランジスタPT1、及びn型駆動トランジスタNT1のゲート電極に電圧が印加されていない間において、これらの電極に印加される電圧を安定的に保持することが可能となる。これによって、画素回路の誤動作を防ぐことが可能となる。
【0067】
なお、本実施形態1では電位VDD1が接地電位VSSと電位VDD2とのちょうど中間の電位である例を挙げたが、必ずしもこれに限られない。すなわち、電位VDD1は接地電位VSSと電位VDD2との間の電圧であれば任意に決定可能である。ただし、電位VDD1を接地電位VSSと電位VDD2とのちょうど中間の電位とすることは、直列に接続した2つの駆動トランジスタに均等に電圧がかかることになるため、より好ましい。
【0068】
また、n型駆動トランジスタNT2、及びp型駆動トランジスタPT2の双方のゲート電極に供給される電位は必ずしも同電位である必要はない。ただし、n型駆動トランジスタNT2、及びp型駆動トランジスタPT2の双方のゲート電極に供給される電位を同電位にすることは、画素回路に供給すべき電位の種類を減少させることが可能であるため好ましい。この場合、電源回路を簡素化することが可能である。
【0069】
<(3)第1の画素回路の変形例>
実施形態1に係る第1の画素回路の構成では、n型駆動トランジスタ及びp型駆動トランジスタの双方を直列に接続し、双方の駆動トランジスタの負荷電圧を小さくすることができた。しかし、n型駆動トランジスタ、またはp型駆動トランジスタの一方の耐圧が低く、他方の耐圧が高い場合がある。この場合、耐圧が高い方の駆動トランジスタについては負荷電圧を小さくする必要がなく、耐圧が低い方の駆動トランジスタについては、個々の駆動トランジスタに対する負荷電圧を小さくする必要がある場合が考えられる。
【0070】
図6は、実施形態1に係る第1の画素回路の変形例1の構成例を示す図であり、n型駆動トランジスタの耐圧は十分に高いが、p型駆動トランジスタの耐圧がやや低い場合の画素回路の構成例である。実施形態1と比較すると、接地電位VSSと出力電位ノードVOUTとの間に接続するn型駆動トランジスタを、n型駆動トランジスタNT1のみにした点が異なり、その他の構成は同様であるため、同じ構成には同じ符号を付することとし、その説明を省略する。n型駆動トランジスタが接地電位VSSと電位VDD2との電位差に耐えうる場合は、当該変形例1の画素回路のような構成にすることができる。
【0071】
図7は、実施形態1に係る第1の画素回路の変形例2の構成例を示す図であり、図6に示す変形例1とは逆に、p型駆動トランジスタの耐圧は十分に高いが、n型駆動トランジスタの耐圧が低い場合の画素回路の構成例である。実施形態1と比較すると、電位VDD2と出力電位ノードVOUTとの間に接続するp型駆動トランジスタを、p型駆動トランジスタNT1のみにした点で異なり、その他の構成は同様であるため、同じ構成には同じ符号を付することとし、その説明を省略する。p型駆動トランジスタが接地電位VSSと電位VDD2との電位差に耐えうる場合は、当該変形例2の画素回路のような構成にすることができる。
【0072】
すなわち、本変形例1または変形例2の画素回路によれば、n型駆動トランジスタ及びp型駆動トランジスタのうち、負荷電圧を小さくする必要のあるタイプの駆動トランジスタのみについて、直列に複数接続する。これによって、負荷電圧を小さくする必要のないタイプの駆動トランジスタについてまで複数接続することによる不必要なコストの増加を防止することができ、安価に画素回路を構成することが可能となる。
【0073】
なお、直列に接続すべき駆動トランジスタのタイプ及び数は、n型駆動トランジスタ及びp型駆動トランジスタのそれぞれの特性によって決定される。より具体的には、例えばn型駆動トランジスタの負荷電圧を1/3にしたいのであれば、n型駆動トランジスタを3つ直列に接続すればよい。
【0074】
このように、本発明の一態様は、少なくともいずれか一方のタイプの駆動トランジスタについて、複数素子の駆動トランジスタを直列に接続するものを含む。また、以下で説明する実施形態においても、発明の趣旨と矛盾しない範囲において、少なくともいずれか一方のタイプの駆動トランジスタについて、複数素子の駆動トランジスタを直列に接続するものを含む。
【0075】
<3.実施形態2>
<(1)第2の画素回路の構成例>
図8は、本発明の一態様である、第2の画素回路の構成例を示す図である。図8に示すように、第2の画素回路の構成例は、実施形態1で説明した、図1に示す第1の画素回路の構成例の一部を変更したものである。すなわち、本実施形態2は、n型制御トランジスタTr1、p型制御トランジスタTr2、走査線SL1、及び走査線SL2以外は実施形態1と同様の構成及び機能を有するため、同じ構成には同じ符号を付することとし、その説明を省略する。以下の本実施形態2の説明においては、実施形態1との相違点を中心に説明する。
【0076】
本実施形態2の画素回路は、実施形態1の画素回路と同様、n型駆動トランジスタNT1及びNT2、p型駆動トランジスタPT1及びPT2、並びにコンデンサーCp1及びCp2を含んで構成される。ここで、本実施形態2の画素回路は、実施形態1の画素回路と異なり、n型制御トランジスタTr1と、p型制御トランジスタTr2とを備える。実施形態1の画素回路においては、制御トランジスタTr1及びTr2はいずれもn型トランジスタであって、走査線SL1のみによって制御トランジスタTr1及びTr2に電位が供給されていた。しかし、本実施形態2では、Tr1はn型制御トランジスタ、Tr2はp型制御トランジスタであり、n型制御トランジスタTr1には走査線SL1が、p型制御トランジスタTr2には走査線SL2が、それぞれ電位を供給するよう接続されて構成される。
【0077】
<(2)第2の画素回路の動作説明>
次に、本実施形態2における第2の画素回路の動作について説明する。
【0078】
図9は、第2の画素回路の動作時における各部の波形図である。図9において、T1〜T7は所定のタイミング(時間)を示し、横方向の点線の右側には、それぞれ点線に対応した電位を示している。また、図9に示すように、当該波形図は上から順に、走査線SL1、走査線SL2、データ線DL1、データ線DL2、ノードND1、ノードND2、及び出力電位ノードVOUTにおける、それぞれの信号波形の時間変化を示す。
【0079】
また、図10乃至図12はそれぞれT2からT3の間、T4からT5及びT6からT7の間、並びにT5からT6の間における第2の画素回路の状態を示す図である。図10乃至図12においては、それぞれのノードや信号線の電位、及びそれぞれのトランジスタのオン、オフの状態を、括弧書きで示している。
【0080】
以下、図9乃至図12を参照しながら、第2の画素回路の動作について具体的に説明する。
【0081】
(T1〜T3)
図9において、T1〜T3では出力電位ノードVOUTに接地電位VSSを出力する際の動作を示す。
【0082】
まず、T1において、走査ドライバーは、走査線SL1に供給する電位を、接地電位VSSから20Vへ、走査線SL2に供給する電位を20Vから接地電位VSSへとそれぞれ変化させる。この電位の変化により、n型制御トランジスタTr1のゲート電圧が閾値電圧より高くなり、p型制御トランジスタTr2のゲート電圧が閾値電圧より低くなる。これにより、n型制御トランジスタTr1及びp型制御トランジスタTr2がオンする。
【0083】
次に、T2において、データドライバーはデータ線DL1の電位を接地電位VSSから10Vへ、データ線DL2の電位を10Vから20Vへとそれぞれ変化させる。すると、n型駆動トランジスタNT1のゲート電極に接続されたノードND1の電位が10Vとなり、n型駆動トランジスタNT1のゲート電圧が閾値電圧より高くなり、n型駆動トランジスタNT1がオンする。n型駆動トランジスタNT1がオンすると、ノードVN1の電位は接地電位VSSとなり、n型駆動トランジスタNT2のゲート電圧が閾値電圧より高い状態になる。よって、n型駆動トランジスタNT2もオンする。一方で、p型駆動トランジスタPT1のゲート電極に接続されたノードND2の電位は20Vとなり、p型駆動トランジスタPT1のゲート電圧が閾値電圧より高いため、p型駆動トランジスタNT2はオフのままである。このとき、ノードVP1は10Vになり、p型駆動トランジスタPT2のゲート電圧は閾値電圧よりも高い。よって、p型駆動トランジスタPT2もオフのままである。このようにしてn型駆動トランジスタNT1及びNT2がオン状態に、p型駆動トランジスタPT1及びPT2がオフ状態となった結果、出力電位ノードVOUTの電位は、接地電位VSSになる。
【0084】
図10は、T2からT3の間における第2の画素回路の状態を示す図である。上記でも説明したとおり、走査線SL1には電位VDD2(20V)が、走査線SL2には接地電位VSSが、データ線DL1には電位VDD1(10V)が、データ線DL2には電位VDD2(20V)がそれぞれ供給されている。また、n型駆動トランジスタNT1及びNT2はオン状態であり、p型駆動トランジスタPT1及びPT2はオフ状態である。そして、ノードVN1は接地電位VSS、ノードVP1は電位VDD1(10V)となり、出力電位ノードVOUTは接地電位VSSとなる。
【0085】
(T3〜T5)
図9において、T3〜T5では、出力電位ノードVOUTに接地電位VSSを出力した状態を保持したまま、n型制御トランジスタTr1及びp型制御トランジスタTr2をオフする際の動作を示す。
【0086】
まず、T3において、走査ドライバーは、走査線SL1に供給する電位を20Vから接地電位VSSへ、走査線SL2に供給する電位を接地電位VSSから20Vへと変化させる。この走査線SL1及びSL2の電位の変動によって、それまでオンしていたn型制御トランジスタTr1及びp型制御トランジスタTr2がオフする。このとき、ノードND1及びND2の電位は、それぞれコンデンサーCp1及びCp2によって直前の状態のまま保持され、それぞれ10Vと20Vで保持される。これによって、n型駆動トランジスタNT1及びNT2はオンのまま保持され、p型駆動トランジスタPT1及びPT2はオフのまま保持される。
【0087】
次に、T4において、データドライバーはデータ線DL1を、10Vから接地電位VSSへ、データ線DL2の電位を20Vから10Vへと変化させる。しかし、n型制御トランジスタTr1及びp型制御トランジスタTr2はオフされた状態であるため、この電位の変化はノードND1及びND2のどちらにも伝搬されない。つまり、n型駆動トランジスタNT1及びNT2はオンのまま、p型駆動トランジスタPT1及びPT2はオフのまま保持される。よって、出力電位ノードVOUTの電位は、接地電位VSSのまま保持される。
【0088】
図11は、T4からT5の間における第2の画素回路の状態を示す図である。上記のとおり、走査線SL1には接地電位VSSが、走査線SL2には電位VDD2(20V)が供給されており、n型制御トランジスタTr1及びp型制御トランジスタTr2はオフ状態になっている。このため、データ線DL1及びDL2の電位の変動にかかわらず、n型駆動トランジスタNT1及びNT2と、p型駆動トランジスタPT1及びPT2とはいずれも直前の状態を保持している。したがって、出力電位ノードVOUTの電位も直前の電位のまま、すなわち接地電位VSSのまま、保持される。
【0089】
(T5〜T6)
図9において、T5〜T6では出力電位ノードVOUTに電位VDD2を出力する際の動作を示す。
【0090】
まず、T5において、走査ドライバーは、走査線SL1に供給する電位を接地電位VSSから20Vへ、走査線SL2に供給する電位を20Vから接地電位VSSへとそれぞれ変化させる。この走査線SL1及びSL2の電位の変動によって、n型制御トランジスタTr1及びp型制御トランジスタTr2がオンする。ここで、データドライバーは、データ線DL1対して接地電位VSSを供給している。これによりノードND1の電位は10Vから接地電位VSSへと変化する。このノードND1の電位の変化により、n型駆動トランジスタNT1のゲート電圧は、閾値電圧より高い10Vから、閾値電圧より低い接地電位VSSへと変化し、これによりn型駆動トランジスタNT1はオフする。n型駆動トランジスタNT1がオフしたことにより、ノードVN1の電位は、接地電位VSSから10Vへと変化し、n型駆動トランジスタNT2もオフする。一方で、データドライバーは、データ線DL2に対して10Vを供給している。よって、ノードND2の電位は20Vから10Vへと変化する。このノードND2の電位の変化により、p型駆動トランジスタPT1のゲート電圧は閾値電圧より低くなり、これによりp型駆動トランジスタPT1はオンする。p型駆動トランジスタPT1がオンすると、ノードVP1の電位は電位VDD2(20V)となる。ノードVP1の電位が20Vになると、p型駆動トランジスタPT2のゲート電圧は閾値電圧より低くなるため、p型駆動トランジスタPT2もオンする。このようにしてp型駆動トランジスタPT1及びPT2がオン状態に、n型駆動トランジスタNT1及びNT2がオフ状態となった結果、出力電位ノードVOUTの電位は電位VDD2(20V)になる。
【0091】
図12は、T5からT6の間における第2の画素回路の状態を示す図である。上記でも説明したとおり、走査線SL1には電位VDD2(20V)が、走査線SL2には接地電位VSSが、データ線DL1には接地電位VSSが、データ線DL2には電位VDD1(10V)がそれぞれ供給されている。また、n型駆動トランジスタNT1及びNT2はオフ状態であり、p型駆動トランジスタPT1及びPT2はオン状態である。そして、ノードVN1は電位VDD1(10V)、ノードVP2は電位VDD2(20V)となり、出力電位ノードVOUTは電位VDD2(20V)となる。
【0092】
(T6〜T7)
図9において、T6〜T7では、出力電位ノードVOUTに電位VDD2(20V)を出力しながら、n型制御トランジスタTr1及びp型制御トランジスタTr2をオフする際の動作を示す。
【0093】
まず、T6において、走査ドライバーは、走査線SL1に供給する電位を20Vから接地電位VSSへ、走査線SL2に供給する電位を接地電位VSSから20Vへと変化させる。この走査線SL1及びSL2の電位の変動によって、それまでオンしていたn型制御トランジスタTr1及びp型制御トランジスタTr2がオフする。このとき、ノードND1及びND2の電位は、それぞれコンデンサーCp1及びCp2によって直前の状態のまま保持され、それぞれ接地電位VSSと10Vとで保持される。ノードND1及びND2の電位が直前の電位のまま保持されることで、n型駆動トランジスタNT1及びNT2はオフのまま保持され、p型駆動トランジスタPT1及びPT2はオンのまま保持される。これにより、出力電位ノードVOUTの電位は、電位VDD2(20V)のまま保持される。
【0094】
図11は、T6からT7の間における第2の画素回路の状態を示す図である。この図11はT4からT5の間における第2の画素回路の状態を示す図と共通である。これらの状態は、いずれも出力電位ノードVOUTの電位を直前の電位のまま保持する点と、n型制御トランジスタTr1及びp型制御トランジスタTr2をオフするために、走査線SL1に接地電位VSSを、走査線SL2に電位VDD2(20V)供給する点で共通する。
【0095】
上記のとおり、走査線SL1には接地電位VSSが供給されており、n型制御トランジスタTr1及びTr2はオフ状態になる。このため、データ線DL1及びDL2の電位の変動にかかわらず、n型駆動トランジスタNT1及びNT2と、p型駆動トランジスタPT1及びPT2とはいずれも直前の状態を保持している。したがって、出力電位ノードVOUTの電位も直前の電位のまま、すなわち電位VDD2(20V)のまま、保持される。
【0096】
本実施形態2の構成は、接地電位ノードVSSと出力電位ノードVOUTとの間、及び電位ノードVDD2と出力電位ノードVOUTとの間に、それぞれ複数のトランジスタを直列接続した点は、実施形態1と同様である。しかし、本実施形態2の構成によれば、n型駆動トランジスタNT1のゲート電極とp型駆動トランジスタPT1のゲート電極とが接続される制御トランジスタを別々にしている。そして、このn型駆動トランジスタNT1のゲート電極とp型駆動トランジスタPT1のゲート電極とに接続される制御トランジスタのタイプを変え、それぞれn型制御トランジスタTr1とp型制御トランジスタTr2とした。この構成によって、本実施形態2の画素回路では、実施形態1でn型制御トランジスタTr2のゲート電極に供給していた電位VDD2(20V)+Vth_nという電位を供給する必要がなくなり、p型制御トランジスタTr2のゲート電極には電位VDD2(20V)または接地電位VSSが供給される。つまり、画素回路に供給する最大電圧を電位VDD2(20V)+Vth_nから電位VDD2(20V)へと、Vth_n分だけ低くすることができる。よって、画素回路に電位を供給する電源回路で生成する最大電圧を小さくすることができる。また、供給すべき電圧の種類を減少させることができれば、当該電源回路を簡略化することなどが可能となる。この実施形態2の特徴は、実施形態1の特徴のうち、走査線に関するもの以外の特徴に対して追加的に得られるものである。
【0097】
<4.実施形態3>
<(1)第3の画素回路の構成例>
図13は、本発明の一態様である、第3の画素回路の構成例を示す図である。図13に示すように、第3の画素回路の構成例は、実施形態1で説明した、図1に示す第1の画素回路の構成例と類似しているが、直列に接続するn型及びp型駆動トランジスタの数が相違する他、供給される電位が相違する。よって、以下の実施形態3の説明においては、実施形態1と同じ構成には同じ符号を付することとしてその説明を省略し、実施形態1との相違点を中心に説明する。
【0098】
本実施形態3の画素回路は、実施形態1の画素回路と同様に、n型駆動トランジスタNT1及びNT2、p型駆動トランジスタPT1及びPT2、n型制御トランジスタTr1及びTr2、並びにコンデンサーCp1及びCp2を含んで構成される。しかし、本実施形態3の画素回路はさらに、n型駆動トランジスタNT3、及びp型駆動トランジスタPT3を備える。すなわち、本実施形態3の画素回路は、接地電位ノードVSSと出力電位ノードVOUTとの間にn型駆動トランジスタが、出力電位ノードVOUTと電位ノードとの間にp型駆動トランジスタが、それぞれ3つずつ直列に、カスケード接続されている。
【0099】
本実施形態3では、VSS、VDD1、VDD2、及びVDD3の4つの電位ノード(電位)を有し、実施形態1と比較するとVDD3が追加されている。これらの電位は、VSS<VDD1<VDD2<VDD3という関係になっており、VSSは接地電位である。また、具体的説明の際には、簡略化のためにVDD1を10V、VDD2を20V、VDD3を30Vとして説明する。
【0100】
(n型駆動トランジスタNT1)
n型駆動トランジスタNT1は、ドレイン電極がノードVN1に、ソース電極が接地電位ノードVSSに接続されている。また、n型駆動トランジスタNT1のゲート電極は、コンデンサーCp1とn型制御トランジスタTr1とが接続されたノードND1に接続されている。
【0101】
(n型駆動トランジスタNT2)
n型駆動トランジスタNT2は、ドレイン電極がノードVN2に、ソース電極がノードVN1に接続されている。また、n型駆動トランジスタNT2のゲート電極は、電位ノードVDD1に接続されている。
【0102】
(n型駆動トランジスタNT3)
n型駆動トランジスタNT3は、ドレイン電極が出力電位ノードVOUTに、ソース電極がノードVN2に接続されている。また、n型駆動トランジスタNT3のゲート電極は、電位ノードVDD2に接続されている。
【0103】
(p型駆動トランジスタPT1)
p型駆動トランジスタPT1は、ソース電極が電位ノードVDD3に、ドレイン電極がノードVP1に接続されている。また、p型駆動トランジスタPT1のゲート電極は、コンデンサーCp2とn型制御トランジスタTr2とが接続されたノードND2に接続されている。
【0104】
(p型駆動トランジスタPT2)
p型駆動トランジスタPT2は、ソース電極がノードVP1に、ドレイン電極がノードVP2に接続されている。また、p型駆動トランジスタPT2のゲート電極は、電位ノードVDD2に接続されている。
【0105】
(p型駆動トランジスタPT3)
p型駆動トランジスタPT3は、ソース電極がノードVP2に、ドレイン電極が出力電位ノードVOUTに接続されている。また、p型駆動トランジスタPT3のゲート電極は、電位ノードVDD1に接続されている。
【0106】
(コンデンサーCp1、Cp2)
コンデンサーCp1は、n型駆動トランジスタNT1のゲート電極及びn型制御トランジスタTr1のソース電極が接続されたノードND1と、接地電位ノードVSSとの間に接続される。コンデンサーCp2は、p型駆動トランジスタPT1のゲート電極及びn型制御トランジスタTr2のソース電極が接続されたノードND2と、電位ノードVDD3との間に接続される。これらのコンデンサーCp1及びCp2は、当該画素回路にデータドライバーから電位が供給されない間に電位が変動し、出力電位VOUTが変化することを防止するものである。すなわち、コンデンサーCp1はノードND1の電位を保持するため、コンデンサーCp2はノードND2の電位を保持するために設けられる。
【0107】
(制御トランジスタTr1、Tr2)
n型制御トランジスタTr1は、ソース電極がノードND1に、ドレイン電極がデータ線DL1に接続される。p型制御トランジスタTr2は、ソース電極がノードND2に、ドレイン電極がデータ線DL2に接続される。また、n型制御トランジスタTr1及びTr2のゲート電極は、いずれも走査線SL1に接続される。
【0108】
<(2)第3の画素回路の動作概要>
次に、本実施形態3における第3の画素回路の動作について、簡単に説明する。本実施形態3における第3の画素回路の動作は、電圧が異なるだけで、基本的には実施形態1における第1の画素回路の動作とほぼ同じである。
【0109】
図14は、第3の画素回路の動作時における各部の波形図である。図14において、T1〜T7は所定のタイミング(時間)を示し、横方向の点線の右側には、それぞれ点線に対応した電位を示している。また、図14に示すように、当該波形図は上から順に、走査線SL1、データ線DL1、データ線DL2、ノードND1、ノードND2、及び出力電位ノードVOUTにおける、それぞれの信号波形の時間変化を示す。
【0110】
図14と図2とを比較すれば分かるように、異なるのは走査線SL1、データ線DL2、ノードND2、及び出力電位ノードVOUTの電位である。すなわち、本実施形態3においては、出力電位ノードVOUTから接地電位VSSと電位VDD3(30V)を出力可能に構成しながら、n型駆動トランジスタ及びp型駆動トランジスタにかかる負荷電圧が10Vになるよう設計したものである。
【0111】
本実施形態3における画素回路の構成によれば、電位ノードVDD3と出力電位ノードVOUTとの間に3つのp型駆動トランジスタを、出力電位ノードVOUTと接地電位ノードVSSとの間に3つのn型駆動トランジスタを、いずれも直列に接続した。これによって、直列に接続された個々のp型駆動トランジスタ、及びn型駆動トランジスタのそれぞれにかかる負荷電圧を小さくすることができる。
【0112】
なお、第1の画素回路の変形例で説明したように、n型駆動トランジスタ及びp型駆動トランジスタのうち、負荷電圧を小さくする必要のあるタイプの駆動トランジスタについてのみ、直列に複数接続することもできる。これによって、負荷電圧を小さくする必要のないタイプの駆動トランジスタについてまで複数接続することによる不必要なコストの増加を防止することができ、安価に画素回路を構成することが可能となる。
【0113】
ただし、電位ノードVDD3と出力電位ノードVOUTとの間、及び出力電位ノードVOUTと接地電位ノードVSSとの間の少なくとも一方に3つ以上のトランジスタを直列接続することは、出力電位を安定させることが可能になるため好ましい。さらに、電位ノードVDD3と出力電位ノードVOUTとの間、または出力電位ノードVOUTと接地電位ノードVSSとの間に発生した電圧のサージなどによって、トランジスタが破壊される危険も少なくなるため好ましい。
【0114】
また、1本の走査線で制御トランジスタTr1及びTr2を制御することとしたため、制御トランジスタTr1及びTr2をそれぞれ独立した走査線で制御する場合と比較して、画素回路に含まれる画素回路の制御を簡素にすることができる。また、周辺回路の配線を減少させることができる。
【0115】
<5.実施形態4>
<(1)第4の画素回路の構成例>
図15は、本発明の一態様である、第4の画素回路の構成例を示す図である。図15に示すように、第4の画素回路の構成例は、実施形態3で説明した、図13に示す第3の画素回路の構成例と類似しているが、制御トランジスタTr2のタイプが異なっている。すなわち、実施形態3に係る第3の画素回路においては、n型制御トランジスタTr2を用いていたが、本実施形態4に係る第4の画素回路においては、p型制御トランジスタTr2を用いている。また、本実施形態4における第4の画素回路は、実施形態2における第2の画素回路と、実施形態3における第3の画素回路の動作とを組み合わせた構成であるともいえる。よって、以下の実施形態4の構成については、実施形態3と同じ構成には同じ符号を付することとしてその説明を省略し、実施形態3との相違点を中心に説明する。
【0116】
本実施形態4の画素回路は、実施形態3の画素回路と同様に、n型駆動トランジスタNT1、NT2、及びNT3、p型駆動トランジスタPT1、PT2、及びPT3、並びにコンデンサーCp1及びCp2を含んで構成される。ここで、本実施形態4の画素回路における制御トランジスタは、実施形態3と異なり、n型制御トランジスタTr1とp型制御トランジスタTr2とからなる。そして、それぞれの制御トランジスタに接続される走査線が異なり、n型制御トランジスタTr1には走査線SL1が、p型制御トランジスタTr2には走査線SL2が接続されて構成される。
【0117】
<(2)第4の画素回路の動作概要>
次に、本実施形態4における第4の画素回路の動作について、簡単に説明する。本実施形態4における第4の画素回路の動作は、電圧が異なるだけで、基本的には図9で示した実施形態2における第2の画素回路の動作と同じである。
【0118】
図16は、第4の画素回路の動作時における各部の波形図である。図16において、T1〜T7は所定のタイミング(時間)を示し、横方向の点線の右側には、それぞれ点線に対応した電位を示している。また、図16に示すように、当該波形図は上から順に、走査線SL1、走査線SL2、データ線DL1、データ線DL2、ノードND1、ノードND2、及び出力電位ノードVOUTにおける、それぞれの信号波形の時間変化を示す。
【0119】
図16と図9とを比較すれば分かるように、異なるのは走査線SL2、データ線DL2、ノードND2、及び出力電位ノードVOUTの電位である。すなわち、本実施形態4においては、出力電位ノードVOUTから接地電位VSSと電位VDD3(30V)を出力可能に構成しながら、n型駆動トランジスタ及びp型駆動トランジスタにかかる負荷電圧が10Vになるよう設計したものである。
【0120】
本実施形態4の構成によれば、n型駆動トランジスタNT1のゲート電極とp型駆動トランジスタPT1のゲート電極とが接続される制御トランジスタを別々にしている。そして、このn型駆動トランジスタNT1のゲート電極とp型駆動トランジスタPT1のゲート電極とに接続される制御トランジスタのタイプを変え、それぞれn型制御トランジスタTr1とp型制御トランジスタTr2とした。この構成によって、本実施形態4の画素回路では、実施形態3でn型制御トランジスタTr2のゲート電極に供給していた電位VDD3(30V)+Vth_nという電位を供給する必要がなくなり、p型制御トランジスタTr2のゲート電極には電位VDD3(30V)または電位VDD1(10V)が供給される。これによれば、画素回路に供給する最大電圧を電位VDD3(30V)+Vth_nから電位VDD3(30V)へと、Vth_n分だけ低くすることができる。よって、画素回路に電位を供給する電源回路で生成する最大電圧を小さくすることができる。また、供給すべき電圧の種類を減少させることができれば、当該電源回路を簡略化することなどが可能となる。さらに、SL1及びSL2へ供給する電位の振幅を小さくできる。この実施形態4の特徴は、実施形態3の特徴のうち、走査線に関するもの以外の特徴に対して追加的に得られるものである。
【0121】
<6.実施形態5>
図17は、本発明の一態様である、第5の画素回路の構成例を示す図である。図17に示すように、第5の画素回路の構成例は、実施形態1で説明した、図1に示す第1の画素回路の構成例と類似しているが、直列に接続するn型及びp型トランジスタの数が相違する他、供給される電位が相違する。以下の実施形態5の説明においては、実施形態1と同じ構成には同じ符号を付することとしてその説明を省略し、実施形態1との相違点を中心に説明する。
【0122】
本実施形態5の画素回路は、実施形態1の画素回路と同様に、n型制御トランジスタTr1及びTr2、並びにコンデンサーCp1及びCp2を含んで構成される。しかし、本実施形態5の画素回路は、4つのn型駆動トランジスタNT1、NT2、NT3、及びNT4、並びに4つのp型駆動トランジスタPT1、PT2、PT3、及びPT4を備える。すなわち、本実施形態5の画素回路は、接地電位ノードVSSと出力電位ノードVOUTとの間にn型駆動トランジスタが、出力電位ノードVOUTと電位ノードとの間にp型駆動トランジスタが、それぞれ4つずつ直列に、カスケード接続されている。
【0123】
本実施形態5では、VSS、VDD1、VDD2、VDD3の4つの電位ノード(電位)を有し、実施形態1と比較するとVDD3が追加されている。これらの電位は、VSS<VDD1<VDD2<VDD3という関係になっており、VSSは接地電位である。
【0124】
(n型駆動トランジスタNT1)
n型駆動トランジスタNT1は、ドレイン電極がノードVN1に、ソース電極が接地電位ノードVSSに接続されている。また、n型駆動トランジスタNT1のゲート電極は、コンデンサーCp1とn型制御トランジスタTr1とが接続されたノードND1に接続されている。
【0125】
(n型駆動トランジスタNT2)
n型駆動トランジスタNT2は、ドレイン電極がノードVN2に、ソース電極がノードVN1に接続されている。また、n型駆動トランジスタNT2のゲート電極は、電位ノードVDD1に接続されている。
【0126】
(n型駆動トランジスタNT3)
n型駆動トランジスタNT3は、ドレイン電極がノードVN3に、ソース電極がノードVN2に接続されている。また、n型駆動トランジスタNT3のゲート電極は、電位ノードVDD2に接続されている。
【0127】
(n型駆動トランジスタNT4)
n型駆動トランジスタNT4は、ドレイン電極が出力電位ノードVOUTに、ソース電極がノードVN3に接続されている。また、n型駆動トランジスタNT4のゲート電極は、電位ノードVDD3に接続されている。
【0128】
(p型駆動トランジスタPT1)
p型駆動トランジスタPT1は、ソース電極が電位ノードVDD3に、ドレイン電極がノードVP1に接続されている。また、p型駆動トランジスタPT1のゲート電極は、コンデンサーCp2とn型制御トランジスタTr2とが接続されたノードND2に接続されている。
【0129】
(p型駆動トランジスタPT2)
p型駆動トランジスタPT2は、ソース電極がノードVP1に、ドレイン電極がノードVP2に接続されている。また、p型駆動トランジスタPT2のゲート電極は、電位ノードVDD2に接続されている。
【0130】
(p型駆動トランジスタPT3)
p型駆動トランジスタPT3は、ソース電極がノードVP2に、ドレイン電極がノードVP3に接続されている。また、p型駆動トランジスタPT3のゲート電極は、電位ノードVDD1に接続されている。
【0131】
(p型駆動トランジスタPT4)
p型駆動トランジスタPT4は、ソース電極がノードVP3に、ドレイン電極が出力電位ノードVOUTに接続されている。また、p型駆動トランジスタPT4のゲート電極は、接地電位ノードVSSに接続されている。
【0132】
(コンデンサーCp1、Cp2)
コンデンサーCp1は、n型駆動トランジスタNT1のゲート電極及びn型制御トランジスタTr1のソース電極が接続されたノードND1と、接地電位ノードVSSとの間に接続される。コンデンサーCp2は、p型駆動トランジスタPT1のゲート電極及びn型制御トランジスタTr2のソース電極が接続されたノードND2と、電位ノードVDD3との間に接続される。これらのコンデンサーCp1及びCp2は、画素回路にデータドライバーから電位が供給されない間に電位が変動し、出力電位VOUTが変化することを防止するものである。すなわち、コンデンサーCp1はノードND1の電位を保持するため、コンデンサーCp2はノードND2の電位を保持するために設けられる。
【0133】
(制御トランジスタTr1、Tr2)
n型制御トランジスタTr1は、ソース電極がノードND1に、ドレイン電極がデータ線DL1に接続される。p型制御トランジスタTr2は、ソース電極がノードND2に、ドレイン電極がデータ線DL2に接続される。また、n型制御トランジスタTr1及びTr2のゲート電極は、いずれも走査線SL1に接続される。
【0134】
本実施形態5における第5の画素回路の構成によれば、特にp型駆動トランジスタPT4、及びn型駆動トランジスタNT4を備えることにより、出力電位ノードVOUTから出力される電位の安定を図ることが可能となる。
【0135】
<7.本発明の画素回路を含む電気光学装置の構成例>
図18は、上記の実施形態の画素回路の一適用例である、電気光学装置の構成を示すブロック図である。当該装置は、表示部10及び周辺回路部11を備える。この周辺回路部11には、例えば走査ドライバー13、データドライバー14、及びこれらを制御する制御回路12などが設けられる。
【0136】
走査ドライバー13は、表示部10に含まれる画素回路の走査線に対して走査線信号を供給し、走査線の電位を変化可能に構成される。データドライバー14は、表示部10に含まれる画素回路のデータ線に対してデータ線信号を供給し、データ線信号の電位を変化可能に構成される。制御回路12は、この走査ドライバー13、及びデータドライバー14から表示部10へ供給すべき信号を決定し、走査ドライバー13、及びデータドライバー14に対して指示するよう構成される。
【0137】
この表示部10に含まれる画素回路は、上記の実施形態で説明した画素回路が用いられる。これにより、画素回路全体としては耐圧が上がることになり、ひいては表示部10の耐圧を上げることが可能となる。
【0138】
なお、電気光学装置の例としては、電気泳動装置、有機EL装置、液晶装置などの表示装置などが挙げられる。
【0139】
<8.本発明の画素回路を含む電子機器の構成例>
次に、図19乃至図23を参照しながら、電気光学装置100を備える電子機器の具体例について説明する。図19はテレビジョンへの適用例を示す。テレビジョン550は、上記電気光学装置100を備えている。図20はロールアップ式テレビジョンへの適用例を示す。ロールアップ式テレビジョン560は、上記電気光学装置100を備えている。図21は携帯電話への適用例を示す。携帯電話530は、アンテナ部531、音声出力部532、音声入力部533、操作部534、及び上記電気光学装置100を備えている。図22はビデオカメラへの適用例である。ビデオカメラ540は、受像部541、操作部542、音声入力部543、及び上記電気光学装置100を備えている。図23は、パーソナルコンピューターを示す。パーソナルコンピューターは、キーボード101を備えた本体部102と、上記電気光学装置を用いた表示ユニット103とを備えている。
【0140】
なお、電子機器は上記例に限定されず、例えば表示機能を有する各種の電子機器に適用可能である。上記の他に、表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダー、携帯型TV、電子手帳、電光掲示板、宣伝広告用ディスプレイなども含まれる。
【0141】
かかる構成の電子機器によれば、上記いずれかの画素回路の特徴を備えることによって、例えば、高い電圧を用いた画素回路を備えた電子機器を構成することなどが可能となる。
【符号の説明】
【0142】
10…表示部、11…周辺回路部、12…制御回路、13…走査ドライバー、14…データドライバー、100…電気光学装置、101…キーボード、102…本体部、103…表示ユニット、530…携帯電話、531…アンテナ部、532…音声出力部、533…音声入力部、534…操作部、540…ビデオカメラ、541…受像部、542…操作部、543…音声入力部、550…テレビジョン、560…ロールアップ式テレビジョン、Cp1・Cp2…コンデンサー、DL1・DL2…データ線、ND1・ND2・VN1・VN2・VN3・VP1・VP2・VP3…ノード、NT1・NT2・NT3・NT4…n型駆動トランジスタ、PT1・PT2・PT3・PT4…p型駆動トランジスタ、SL1・SL2…走査線、Tr1・Tr2…制御トランジスタ、VDD1・VDD2・VDD3…電位・電位ノード、VOUT…出力電位・出力電位ノード、VSS…接地電位・接地電位ノード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極が第1電位に接続され、第2電極が電気的に画素電極に接続された第1のp型駆動トランジスタと、
第1電極が電気的に前記画素電極に接続され、第2電極が第2電位に接続された第1のn型駆動トランジスタと、
第1電極が第1のデータ線に接続され、第2電極が前記第1のp型駆動トランジスタのゲート電極に接続され、ゲート電極が第1の走査線に接続された第1の制御トランジスタと、
第1電極が第2のデータ線に接続され、第2電極が前記第1のn型駆動トランジスタのゲート電極に接続され、ゲート電極が第2の走査線に接続された第2の制御トランジスタと、を備え、
前記第1のp型駆動トランジスタの第2電極と前記画素電極との間、または、前記画素電極と前記第1のn型駆動トランジスタの第1電極との間、の少なくとも一方に、直列に、第1電極及び第2電極が接続された第2の駆動トランジスタをさらに備え、
前記第2の駆動トランジスタのゲート電極が、前記第1電位及び前記第2電位の間の所定電位である第3電位に接続されていること
を特徴とする画素回路。
【請求項2】
前記第2の駆動トランジスタは、前記第1のp型駆動トランジスタの第2電極と前記画素電極との間に、直列に、第1電極及び第2電極が接続された第2のp型駆動トランジスタである、
請求項1に記載の画素回路。
【請求項3】
前記第2の駆動トランジスタは、前記画素電極と前記第1のn型駆動トランジスタの第1電極との間に、直列に、第1電極及び第2電極が接続された第2のn型駆動トランジスタである、
請求項1に記載の画素回路。
【請求項4】
前記第2の駆動トランジスタとして、
前記第1のp型駆動トランジスタの第2電極と前記画素電極との間に、直列に、第1電極及び第2電極が接続された第2のp型駆動トランジスタと、
前記画素電極と前記第1のn型駆動トランジスタの第1電極との間に、直列に、第1電極及び第2電極が接続された第2のn型駆動トランジスタと、を備える、
請求項1に記載の画素回路。
【請求項5】
前記第1のp型駆動トランジスタの第2電極と前記第2のp型駆動トランジスタの第1電極との間に、直列に、第1電極及び第2電極が接続された第3のp型駆動トランジスタをさらに備え、
前記第3のp型駆動トランジスタのゲート電極は、前記第1電位及び前記第3電位の間の所定電位である第4電位に接続されていること
を特徴とする請求項2または4に記載の画素回路。
【請求項6】
前記画素電極と前記第2のn型駆動トランジスタの第1電極との間に、直列に、第1電極及び第2電極が接続された第3のn型駆動トランジスタをさらに備え、
前記第3のn型駆動トランジスタのゲート電極は、前記第1電位及び前記第3電位の間の所定電位である第4電位に接続されていること
を特徴とする請求項3または4に記載の画素回路。
【請求項7】
前記第1のp型駆動トランジスタの第2電極と前記第2のp型駆動トランジスタの第1電極との間に、直列に、第1電極及び第2電極が接続された第3のp型駆動トランジスタを備え、
前記画素電極と前記第1のn型駆動トランジスタの第2電極との間に、直列に、第1電極及び第2電極が接続された第3のn型駆動トランジスタを備え、
前記第3のp型駆動トランジスタのゲート電極、及び前記第3のn型駆動トランジスタのゲート電極は、前記第1電位及び前記第3電位の間の所定電位である第4電位に接続されていること
を特徴とする請求項4に記載の画素回路。
【請求項8】
前記第1の走査線と前記第2の走査線とが同じ走査線であること
を特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画素回路。
【請求項9】
前記第1のp型駆動トランジスタのゲート電極と第1電位との間に接続された第1のコンデンサーと、
前記第1のn型駆動トランジスタのゲート電極と第2電位との間に接続された第2のコンデンサーと、をさらに備えること
特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画素回路。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載された画素回路を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−286711(P2010−286711A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−141147(P2009−141147)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】