説明

画素補間装置、画像読取装置、及び画素補間プログラム

【課題】隣接する光電変換素子アレイの間の位置に対応する補間画素の画素値を光電変換素子アレイの端部に対応する画素の画素値の平均により求めた場合に比較して、擬似階調画像の画素の補間を適切に行うことが可能な画素補間装置、画像読取装置、及び画素補間プログラムを提供する。
【解決手段】画素補間装置43は、複数の光電変換素子を有する第1の光電変換素子アレイ151及び第2の光電変換素子アレイ152によって原稿9を読み取って得られた原稿画像における複数の画素の画素値の増減の周期を求める周期算出手段431bと、これら複数の画素のうち、第1の光電変換素子アレイ151及び第2の光電変換素子アレイ152の間の位置に対応する補間画素との間隔が周期算出手段431bで求めた周期に対応する画素を抽出し、抽出した画素の画素値に基づいて補間画素の画素値を補間する補間手段431cとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画素補間装置、画像読取装置、及び画素補間プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の撮像素子が配列された複数のチップを有する密着型イメージセンサにより原稿の画像を読み取る画像読取装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された画像読取装置は、直線状に配置された複数のチップに設けられた複数の撮像素子により原稿の画像を読み取るとともに、隣り合うチップ間の境界部付近の撮像素子の画像データに基づいてチップ間の境界部に対応する位置の画像データを算出するように構成されている。
【0004】
また、この画像読取装置では、境界部に対応する位置の画像データを、境界部に隣接する2つの撮像素子の画像データの単純平均により、又は境界部の周辺における複数の撮像素子の画像データの最小自乗法による回帰曲線もしくは境界部の周辺における4つの画像データを含む4次式の曲線に基づいて算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−101724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、隣接する光電変換素子アレイの間の位置に対応する補間画素の画素値を光電変換素子アレイの端部に対応する画素の画素値の平均により求めた場合に比較して、擬似階調画像の画素の補間を適切に行うことが可能な画素補間装置、画像読取装置、及び画素補間プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]複数の光電変換素子を有する第1及び第2の光電変換素子アレイによって原稿を読み取って得られた原稿画像における複数の画素の画素値の増減の周期を求める周期算出手段と、前記複数の画素のうち、前記第1及び第2の光電変換素子アレイの間の位置に対応する補間画素との間隔が前記周期算出手段で求めた周期に対応する画素を抽出し、前記抽出された画素の画素値に基づいて前記補間画素の画素値を補間する補間手段とを備えた画素補間装置。
【0008】
[2]前記補間手段は、前記第1の光電変換素子アレイによって読み取られた画素、及び前記第2の光電変換素子アレイによって読み取られた画素から前記周期に対応する画素をそれぞれ抽出し、前記補間画素の画素値を前記抽出された画素の画素値に基づいて設定する前記[1]に記載の画素補間装置。
【0009】
[3]前記周期算出手段は、前記第1及び第2の光電変換素子アレイの間の周辺部における複数の画素の画素値の極値の数に基づいて前記周期を求める請求項1又は2に記載の画素補間装置。前記[1]又は[2]に記載の画素補間装置。
【0010】
[4]入力された複数の色の画素の画素値の情報を前記複数の色ごとに異なる遅延時間で遅延させる遅延回路部を備え、前記周期算出手段は、前記複数の色のそれぞれについて、前記遅延時間の短いものから順に前記補間画素の画素値を補間する前記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の画素補間装置。
【0011】
[5]前記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の画素補間装置と、原稿を照射する光源と、前記原稿の反射光の強度に応じた信号を出力する複数の光電変換素子を有する第1及び第2の光電変換素子アレイと、前記第1及び第2の光電変換素子アレイの前記光電変換素子の出力信号に基づいて前記原稿画像の前記複数の画素の画素値を設定し、当該設定した画素値の情報を前記画素補間装置に供給する供給部とを備えた画像読取装置。
【0012】
[6]複数の光電変換素子を有する第1及び第2の光電変換素子アレイによって原稿を読み取って得られた原稿画像における複数の画素の画素値の増減の周期を求める周期算出ステップと、前記複数の画素のうち、前記第1及び第2の光電変換素子アレイの間の位置に対応する補間画素との間隔が前記周期算出周期算出で求めた周期に対応する画素を抽出し、前記抽出された画素の画素値に基づいて前記補間画素の画素値を補間する補間ステップとを有する処理をコンピュータに実行させる画素補間処理プログラム。
【発明の効果】
【0013】
請求項1,5,6に記載の発明によれば、隣接する光電変換素子アレイの間の位置に対応する補間画素の画素値を光電変換素子アレイの端部に対応する画素の画素値の平均により求めた場合に比較して、擬似階調画像の画素の補間を適切に行うことが可能となる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、第1の光電変換素子アレイ又は前記第2の光電変換素子アレイの何れか一方のみの画素の画素値に基づいて補間を行った場合に比較して、より適切に画素の補間を行うことが可能となる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、簡易に周期を求めることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、複数の色ごとに補間画素の画素値を設定するための構成を備えた場合に比較して、画素補間装置の構成を簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像読取装置の構成例を示す概略図である。
【図2】画像読取装置の全体構成の一例を示す構成図である。
【図3】ラインセンサの構成を示し、(a)はラインセンサ15の一部を、(b)は(a)に示す隣接する光電変換素子アレイの境界部を拡大して示す図である。
【図4】画素補間装置の構成例を示す図である。
【図5】画素補間装置の制御部が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】(a)は、画像読取装置が読み取る原稿の画像の例を示す。(b)は、読取ラインに沿った画素の画素値を読み取り箇所の濃淡とともに示すグラフである。(c)は、(b)のグラフの補間画素に対応する部分の周辺部を拡大して示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る画素補間装置の構成例を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る画素補間装置の構成例を示す図である。
【図9】第1の遅延回路の出力側における赤色,緑色,及び青色の画素の画素値の情報の流れの一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態に係る画素補間装置、それを備えた画像読取装置、及び画素補間プログラムについて説明する。これらの装置又はプログラムは、多数の小さな点や繰り返しのある模様によって色の濃淡を表現した擬似階調画像を複数の光電変換素子アレイを用いた密着型の読取部で読み取った場合に、隣接する光電変換素子アレイの境界部に対応する画素を、その周辺の画像との連続性を有して補間するように構成されている。
【0019】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像読取装置の構成例を示す概略図である。この画像読取装置100は、例えば複写機やファクシミリ,プリンタ等の画像形成装置に組み込まれ、本体部1と、本体部1に対して開閉可能な蓋部2とを有し、原稿9の表面9aの画像を読み取るように構成されている。
【0020】
本体部1は、ガラス等の透明体からなる原稿台11と、LED等の発光体からなる光源12と、光源12の光を主走査方向に導く一対の導光体13と、結像レンズ14と、ラインセンサ15とを有している。光源12,導光体13,結像レンズ14,及びラインセンサ15は、画像読取部10を構成する。原稿台11の蓋部2側の面には、シェーディング補正のための白基準部材111が配置されている。
【0021】
結像レンズ14は、例えば主走査方向に並列する複数のセルフォックレンズ(登録商標)によって形成されたロッドレンズアレイからなり、原稿9とラインセンサ15との間に配置されている。この結像レンズ14は、光源12から導光体13を介して原稿9を照射する照射光8aが原稿9の表面9aで反射した反射光8bを入射し、ラインセンサ15の複数の光電変換素子に結像するように構成されている。ラインセンサ15の構成については後述する。
【0022】
蓋部2は、給紙トレイ21、原稿分離ロール22、原稿搬送ロール23、読取ロール24、排出ロール25、及び排紙台26を有し、本体部1の上方に配置されている。
【0023】
原稿分離ロール22、原稿搬送ロール23、読取ロール24、及び排出ロール25は、原稿搬送機構20を構成し、原稿9を給紙トレイ21から、読取ロール24と原稿台11との間の原稿読取位置を経由して、排紙台26まで搬送する。
【0024】
図2は、画像読取装置100の全体構成の一例を示す構成図である。画像読取装置100は、画像読取部10と、原稿搬送機構20と、画像読取装置100の全体の制御を行うコントローラ30と、原稿9の画像の読み取りを制御する読取制御部31と、ユーザの操作によって動作指示や各種設定等の入力が可能な操作パネル32とを有する。
【0025】
読取制御部31は、原稿搬送機構20を構成する各ロールを駆動する駆動制御部311と、光源12の点灯を制御する点灯制御部312と、ラインセンサ15の原稿の読み取り結果を示す信号に基づく画像処理を行う画像処理部4とを有する。
【0026】
画像処理部4は、ラインセンサ15の出力信号を受け付けるA/D変換部41と、光電変換素子の感度ばらつきを補正するシェーディング補正を行うシェーディング補正部42と、補間画素(後述)の画素値を設定する画素補間装置43と、画素補間装置43で画素値が設定された補間画素を含む画素の画素値の情報に基づいて、コントローラ30に出力すべき原稿9の読み取り結果としての画像情報を生成する画像情報処理部44と、この画像情報をコントローラ30に送信する送信部45とを有する。画素補間装置43の構成については後述する。
【0027】
A/D変換部41は、ラインセンサ15に設けられた光電変換素子の出力信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換し、原稿9の各読み取り位置に対応した複数の画素の画素値を設定し、これら複数の画素からなる原稿画像を生成する。
【0028】
シェーディング補正部42は、白基準部材111(図1参照)の反射光を読み取った際の各光電変換素子の出力値と、光源12により原稿9を照射しないときの各光電変換素子の出力値とに基づいて、原稿9の画像を読み取った際の各画素の画素値を補正し、画素補間装置43に供給する。A/D変換部41及びシェーディング補正部42は、原稿画像の複数の画素の画素値の情報を画素補間装置43に供給する供給部の一例である。
【0029】
コントローラ30は、画像処理部4から受け取った画像情報を例えば複写機の画像形成部に出力して用紙に画像を印刷させ、あるいは通信回線で接続されたコンピュータや記憶媒体等に画像情報を出力する。
【0030】
(ラインセンサの構成)
図3(a)は、ラインセンサ15の一部の構成例を示す図である。ラインセンサ15は、プリント基板150と、プリント基板150に実装され、矢印Aで示す主走査方向に沿って配置された第1の光電変換素子アレイ151,第2の光電変換素子アレイ152,第3の光電変換素子アレイ153,第4の光電変換素子アレイ154,…とを有している。プリント基板150には、例えば18個の光電変換素子アレイが実装される。
【0031】
図3(b)は、図3(a)における第1の光電変換素子アレイ151と第2の光電変換素子アレイ152との間の部位を拡大して示す図である。第1の光電変換素子アレイ151と第2の光電変換素子アレイ152とは、隙間Sを介して隣接して配置されている。
【0032】
第1の光電変換素子アレイ151には、主走査方向に沿って、隙間Sに近い側から、第1の光電変換素子151a,第2の光電変換素子151b,第3の光電変換素子151c,…が設けられている。同様に、第2の光電変換素子アレイ152には、主走査方向に沿って、隙間Sに近い側から、第1の光電変換素子152a,第2の光電変換素子152b,第3の光電変換素子152c,…が設けられている。第1の光電変換素子アレイ151及び第2の光電変換素子アレイ152には、それぞれ500〜1000個の光電変換素子が設けられている。この光電変換素子の間隔は、例えば20〜100μmである。
【0033】
第1の光電変換素子アレイ151の第1の光電変換素子151a,第2の光電変換素子151b,第3の光電変換素子151c,…、及び第2の光電変換素子アレイ152の第1の光電変換素子152a,第2の光電変換素子152b,第3の光電変換素子152c,…は、それぞれ等間隔に配列されているが、第1の光電変換素子アレイ151の第1の光電変換素子151aと、第2の光電変換素子アレイ152の第1の光電変換素子152aとの間には、他の光電変換素子同士の間隔よりも広い間隔が空いている。
【0034】
図3(b)に示す例では、第1の光電変換素子アレイ151の第1の光電変換素子151aと、第2の光電変換素子アレイ152の第1の光電変換素子152aとの間に、1つ分の光電変換素子を配置可能な間隔が形成されている。
【0035】
ラインセンサ15を含む画像読取部10は、原稿9を主走査方向及び副走査方向に並んだ複数の画素からなる画像として読み取る。そのため、例えば写真や絵を小さな点(網点)の集まりとして表し、その大きさ又は密度を変化させることで濃淡を表現した網点画像を読み取った場合に、光電変換素子アレイの間における光電変換素子の欠落によって光電変換素子に読み取られない画素の列が副走査方向に沿って発生する。
【0036】
この結果、副走査方向に沿って光電変換素子アレイの間の隙間Sの数に対応した数の線状の不連続部分が生じ、読み取り画像の品質が低下してしまう。そこで、画素補間装置43は、光電変換素子に読み取られない画素の画素値を周辺の画素との連続性を有するように補間して設定する。以下、原稿9の画像のうち、画素補間装置43によって画素値が設定される画素を補間画素、光電変換素子の出力信号に応じて画素値が設定される画素を読取画素と称して説明する。
【0037】
(画素補間装置の構成)
図4は、画素補間装置43の構成例を示す図である。画素補間装置43は、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)等により構成される制御部431と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等により構成される記憶部432とを有している。
【0038】
制御部431は、記憶部432に記憶された画像補間処理プログラム432aに基づいて動作することにより、判定手段431a、周期算出手段431b、及び補間手段431cとして機能する。
【0039】
記憶部432は、画像補間処理プログラム432aの他、読取画素情報432b、及び補間画素情報432cを記憶する。
【0040】
判定手段431aは、補間画素に対応する原稿9の読み取り位置の周辺部における主走査方向に沿った複数の読取画素の画素値を取得して読取画素情報432bとして記憶し、これら複数の読取画素の画素値が主走査方向に沿って増減を繰り返すか否かを判定する。
【0041】
周期算出手段431bは、判定手段431aにより複数の読取画素の画素値が主走査方向に沿って増減を繰り返すと判定されたとき、読取画素の画素値に基づいて、その増減の周期を算出する。
【0042】
補間手段431cは、複数の読取画素のうち、補間画素との間隔が周期算出手段431bで求められた周期に対応する読取画素を抽出し、この抽出された画素の画素値に基づいて補間画素の画素値を求め、補間画素情報432cとして記憶する。
【0043】
また、補間手段431cは、判定手段431aにより複数の読取画素の画素値が主走査方向に沿って増減を繰り返すと判定されなかったとき、補間画素の主走査方向に沿った両側の画素の画素値の間の値に補間画素の画素値を設定し、補間画素情報432cとして記憶する。
【0044】
(画素補間装置の動作)
次に、図1〜図5を参照して画素補間装置43の動作をより詳細に説明する。
図5は、画素補間装置43の制御部431が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0045】
判定手段431aは、まずシェーディング補正部42からシェーディング補正後の主走査方向の一列分の読取画素の画素値の情報を取得する(ステップS1)。
【0046】
次に、判定手段431aは、取得した読取画素の画素値の情報のうち、補間画素に対応する読み取り位置を挟んで主走査方向に沿った両側の周辺部における読取画素の画素値を読取画素情報432bとして配列変数Dに格納する(ステップS2)。
【0047】
このステップS2では、補間画素の画素値をD[0]とし、その主走査方向に沿った第1の方向のn個の読取画素の画素値を補間画素に近い画素から順にD[1],D[2],…,D[n]に格納する。また、第1の方向とは逆方向の第2の方向のn個の読取画素の画素値を補間画素に近い画素から順にD[−1],D[−2],…,D[−n]に格納する。ここで、nは3以上の自然数の定数である。
【0048】
定数nは、光電変換素子の主走査方向に沿って0.5〜1.0mmの幅の範囲内における画素の数に設定することが好ましい。この幅を広げ過ぎると、補間画素の周辺部の網点のパターンとは異なるパターンの画像を参照し、補間の精度が下がる場合があるからである。本実施の形態では、n=34とした場合について説明する。また、D[−n+1]からD[−2]、及びD[2]からD[n−1]は、画素値の極値(後述)を探索する探索範囲である。
【0049】
例えば、図3(b)に示す第1の光電変換素子アレイ151と第2の光電変換素子アレイ152の間の補間画素150aの補間処理を行う場合には、第2の光電変換素子アレイ152の第1の光電変換素子152aの出力信号に基づく画素値をD[1]、第2の光電変換素子152bの出力信号に基づく画素値をD[2]、…とする。また、第1の光電変換素子アレイ151の第1の光電変換素子151aの出力信号に基づく画素値をD[−1]、第2の光電変換素子151bの出力信号に基づく画素値をD[−2]、…とする。
【0050】
次に、判定手段431aは、変数xに(−n+1)を代入し、変数Pf及びPrをゼロに初期化する(ステップS3)。ここで、変数PfはD[−n+1]からD[−2]までのn−2個の変数の中に含まれる極値の数のカウンタ値であり、変数PrはD[2]からD[n−1]までのn−2個の変数の中に含まれる極値の数のカウンタ値である。
【0051】
なお、以下の説明では、主走査方向に沿って連続する3つの読取画素の画素値のうち、中央の読取画素の画素値が最も大きいときにその画素値を極値(極大値)としてカウントする場合について説明するが、中央の読取画素の画素値が最も小さいときにその画素値を極値(極小値)としてカウントしてもよい。つまり、極値とは、走査方向に沿って画素の画素値をみた場合に、増大から減少に、又は減少から増大に切り替わる箇所の画素値である。
【0052】
次に、判定手段431aは、D[x]がD[x−1]よりも大きいか否かを判断する(ステップS4)。この判断の結果が是(Yes)である場合には、さらにD[x]がD[x+1]以上か否かを判断する(ステップS5)。ステップS5の判断の結果が是(Yes)である場合、D[x]は極値であるので、変数Pfをインクリメントする(ステップS6)。一方、ステップS4又はステップS5の判断の結果が否(No)である場合には、変数Pfのインクリメントは行わない。
【0053】
次に、判定手段431aは、xをインクリメントし(ステップS7)、インクリメントした結果が−1であるか否かを判断する(ステップS8)。ステップS8の判断の結果が否(No)であれば、ステップS4以降の処理を再度実行する。
【0054】
一方、ステップS8の判断の結果が是(Yes)であれば、判定手段431aは、xに2を代入し(ステップS9)、D[x]がD[x−1]よりも大きいか否かを判断する(ステップS10)。この判断の結果が是(Yes)である場合には、さらにD[x]がD[x+1]以上か否かを判断する(ステップS11)。
【0055】
ステップS11の判断の結果が是(Yes)である場合、D[x]は極値であるので、変数Prをインクリメント(ステップS12)する。一方、ステップS10又はステップS11の判断の結果が否(No)である場合には、変数Prのインクリメントは行わない。
【0056】
次に、判定手段431aは、xをインクリメントし(ステップS13)、インクリメントした結果がnであるか否かを判断する(ステップS14)。ステップS14の判断の結果が否(No)であれば、ステップS10以降の処理を再度実行する。
【0057】
一方、ステップS14の判断の結果が是(Yes)であれば、判定手段431aは、変数Pfが第1の閾値Pt1よりも大きくかつ第2の閾値Pt2(Pt2>Pt1)よりも小さいか否かを判断する(ステップ15)。ここで、第1の閾値Pt1,第2の閾値Pt2は、例えば2,11にそれぞれ設定することができる。
【0058】
ステップS15の判断の結果が是(Yes)である場合には、さらに変数Prが第1の閾値Pt1よりも大きくかつ第2の閾値Pt2よりも小さいか否かを判断する(ステップ16)。ステップS16の判断の結果は、判定手段431aの判定の結果を示す。すなわち、ステップS16の判断の結果が是(Yes)である場合には、判定手段431aが読取画素の画素値が主走査方向に沿って周期的な増減を繰り返すと判定したことを示す。また、ステップS15又はステップS16の判断の結果が否(No)である場合には、判定手段431aが読取画素の画素値が主走査方向に沿って周期的な増減を有しないと判定したことを示す。
【0059】
(周期的な変動を有すると判定した場合の補間処理)
ステップS16の判断の結果が是(Yes)である場合、周期算出手段431b及び補間手段431cは、以下の処理により補間画素D[0]の画素値を設定する。
【0060】
周期算出手段431bは、ステップS4からS8の処理により極値であるか否かを判断した読取画素の数(n−2)を変数Pfで除した商を変数Tfに代入する(ステップS17)。変数Tfは正の整数であり、n−2を変数Pfで割り切れない場合には、例えば小数点以下を切り捨てて値を整数化するが、四捨五入または切り上げして整数化してもよい。変数Tfは、D[−n+1]からD[−2]における画素値の増減の平均の周期に相当する。
【0061】
また、周期算出手段431bは、ステップS10からS14の処理により極値であるか否かを判断した読取画素の数(n−2)を変数Prで除した商を変数Trに代入する(ステップS18)。変数Trは正の整数であり、n−2を変数Prで割り切れない場合には、例えば小数点以下を切り捨てて値を整数化するが、四捨五入または切り上げして整数化してもよい。変数Trは、D[2]からD[n−1]における画素値の増減の平均の周期に相当する。
【0062】
次に、補間手段431cは、D[−Tf]とD[Tr]の平均値を演算し、その平均値を補間画素の画素値を示す補間画素情報432cとしてD[0]に記憶する(ステップS18)。
【0063】
(周期的な変動を有しないと判定した場合の補間処理)
一方、ステップS15又はステップS16の判断の結果が否(No)である場合、補間手段431cは、D[−1]とD[1]の平均値を演算し、その平均値を補間画素の画素値としてD[0]に記憶する(ステップS20)。
【0064】
以上の処理により補間画素の画素値がD[0]に格納される。この補間画素の画素値の情報は、読取画素の画素値の情報とともに、画像処理部4(図2参照)における画素補間装置43の後段部の画像情報処理部44に引き渡される。
【0065】
(画素補間装置の動作例)
次に、図6を参照して画素補間装置43の1つの動作例をより具体的に説明する。
【0066】
図6(a)は、画像読取装置100が読み取る原稿9の画像の例である。この画像は、多数の大きさが異なる網点91を二次元的に密度を変えて配置することにより色の濃淡を表現した擬似階調画像の一種としての網点画像である。ここでは、この網点画像を破線90で示す主走査方向に沿った読取ラインで読み取り、補間処理を行う場合について説明する。
【0067】
図6(b)は、読取ライン90に沿った画素の画素値を読み取り箇所の濃淡とともに示すグラフである。この画素値は、白色に近いほど値が高くなるように設定されている。
【0068】
図6(b)において、補間画素150aよりも左側の領域は、第1の光電変換素子アレイ151によって読み取られる第1領域であり、右側の領域は、第2の光電変換素子アレイ152によって読み取られる第2領域である。
【0069】
図5に示すフローチャートにおいて、ステップS4及びS5では図6(b)に符号91aから91gに示す7つの極値が検出される。また、ステップS10及びS11では図6(b)に符号91hから91nに示す7つの極値が検出される。従って、変数Pf及びPrは、ともにその値が7となる。前述の例のように第1の閾値Pt1が2、第2の閾値Pt2が11である場合には、ステップS15の判断結果が是(Yes)となり、読取画素の画素値が主走査方向に沿って周期的な増減を有すると判定される。
【0070】
補間手段431cは、ステップS17の処理で、n−2の演算結果(32)を変数Pfで除した商(32/7≒4.57)を整数化した値(4)を第1領域における繰り返しの周期として変数Tfに代入する。また、ステップS18の処理で、n−2の演算結果(32)を変数Prで除した商(32/7≒4.57)を整数化した値(4)を第2領域における繰り返しの周期として変数Trに代入する。
【0071】
そしてステップS19の処理で、D[−Tf](=D[−4])とD[Tr](=D[4])の平均値を演算し、その平均値を補間画素の画素値としてD[0]に代入する。
【0072】
図6(c)は、図6(b)のグラフの補間画素に対応する部分の周辺部を拡大して示す図である。この図において、補間画素の位置から変数Tfに示される周期(4)×画素間隔だけ第1領域の方向にシフトした位置の読み取り画素の画素値92bと、補間画素の位置から変数Trに示される周期(4)×画素間隔だけ第2領域の方向にシフトした位置の読み取り画素の画素値92cとの平均値を演算することにより、補間画素の画素値92aが求められる。
【0073】
一方、補間画素の主走査方向の両側における読取画素の画素値(D[−1]及びD[1])の平均により補間画素の画素値を演算した場合は、その画素値が画素値92dに示す値となる。
【0074】
仮に補間画素を光電変換素子で読み取った場合の画素値92sと比較すると、画素値92aの誤差e1は、画素値92dの誤差e2よりも小さくなる。つまり、画素値に基づいて原稿9の画像を再現した場合、本実施の形態の補間処理を行った場合には、網点が再現できるのに対し、補間誤差の主走査方向の前後の画素を平均することで補間を行った場合には、網点が消えてしまう場合がある。
【0075】
以上、本実施の形態を図1から図6を参照して説明したが、以下のように本実施の形態を変形することも可能である。
【0076】
(変形例1)
図5に示すフローチャートでは、主走査方向に沿って補間画素の両側において補間画素からそれぞれ1周期分離れた2つの画素の画素値を平均して補間画素の画素値としたが、これに限らず、補間画素の画素値は上記2つの画素の画素値の間の値に設定すればよい。例えば、上記2つの画素の画素値のうち、画素値が高い方(又は低い方)に重み付けをした加重平均した値を補間画素の画素値としてもよい。
【0077】
(変形例2)
図5に示すフローチャートでは、主走査方向に沿って補間画素の両側において補間画素から1周期分離れた2つの画素の画素値を平均して補間画素の画素値としたが、これに限らず、2周期分離れた2つの画素の画素値を平均して補間画素の画素値としてもよい。あるいは、補間画素から1周期分離れた2つの画素の画素値と、2周期分離れた2つの画素の画素値との4つの画素値の平均値を補間画素の画素値としてもよい。さらには、2周期以上離れた画素の画素値を参照して補間画素の画素値を求めてもよい。
【0078】
(変形例3)
また、上記の実施の形態では、補間画素から主走査方向に沿った両側の読取画素の画素値に基づいて補間画素の画素値を設定したが、主走査方向に沿った一方向側のみの読取画素の画素値に基づいて補間画素の画素値を設定してもよい。また、例えば図5に示すフローチャートの変数Pf及びPrのうち何れか一方が第1の閾値Pt1以上かr第2の閾値Pt2以下であるものの、他方がこの条件を満たさない場合に、条件を満たす側の主走査方向に沿った一方向側のみの読取画素の画素値に基づいて補間画素の画素値を設定するようにしてもよい。
【0079】
(変形例4)
また、上記の実施の形態では、極値の数によって周期的な画素値の増減があるかを判定したが、これに限らず、例えば予め定められた閾値を越えて画素値が変化した回数によってこの判定をしてもよい。
【0080】
(変形例5)
また、上記実施の形態では、画素値の増減の繰り返し周期を画素の数によって表現したが、これに限らない。例えば、読取画素の画素値に基づいて原稿9の主走査方向における画像の明度の変化の周期を例えばμm単位で演算し、画素値の増減の繰り返し周期を長さの単位で表してもよい。この場合、その周期の長さに対応した位置における読取画素の画素値に基づいて補間処理を行う。
【0081】
(変形例6)
また、上記の実施の形態では、極値の探索範囲における画素の数を極値の数で割り算を行うことにより周期を演算して求めたが、極値の数と周期との対応表を予め記憶部432に記憶し、この対応表を参照して周期を求めてもよい。
【0082】
[第2の実施の形態]
次に、図7を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、画像処理プログラムに従って動作するCPU等の処理によって画素補間装置の機能を実現する場合について説明したが、本実施の形態は、プログラムを有せず、回路要素の組み合わせによって同機能を実現する点で第1の実施の形態と異なり、その他は第1の実施の形態と同様に構成されている。
【0083】
図7は、本実施の形態に係る画素補間装置43Aの回路構成例を示す図である。この画素補間装置43Aは、補間画素の周辺部における読取画素の画素値が格納されるシフトレジスタ50,及びシフトレジスタ50に格納された値に基づいて動作する複数の回路素子から構成されている。
【0084】
シフトレジスタ50の各レジスタには、読取画素の画素値の情報が主走査方向に沿った順序で格納され、予め定められた時間間隔で各レジスタの内容が後段側にシフトするように構成されている。つまり、予め定められた時間が経過するたびに、シフトレジスタ50の第1のレジスタ501の記憶内容は第2のレジスタ502に移動し、第2のレジスタ502の記憶内容は第3のレジスタ503に移動する。
【0085】
シフトレジスタ50の各レジスタには、第1の実施の形態における配列変数D[x]の値が格納される。ここで、xは配列変数の引数であり、補間処理の際には−nからnまでの値を取り得る。
【0086】
第1のレジスタ501及び第2のレジスタ502に記憶された画素値の情報は、第1の比較器511に入力される。第1の比較器511は、第1のレジスタ501に格納された画素値が第2のレジスタ502に格納された画素値よりも大きい場合にオン信号を出力する。この出力は、インバータ511aで反転されて第1のアンドゲート513に出力される。
【0087】
また、第2のレジスタ502及び第3のレジスタ503に記憶された画素値の情報は、第2の比較器512に入力される。第2の比較器512は、第2のレジスタ502に格納された画素値が第3のレジスタ503に格納された画素値よりも大きい場合にオン信号を第1のアンドゲート513に出力する。
【0088】
第1のアンドゲート513は、両入力が共にオンの場合にオン信号を加算器52に出力する。加算器52のイネーブル入力には、第2のレジスタ502に格納された画素値の配列変数D[x]の引数(以下、この引数を「対象引数」という。)が−n+1から−2まで、又は2からn−1までの場合にオン信号を出力する論理回路521の出力信号が入力される。また、加算器52のリセット入力には、対象引数が−1の場合又はnの場合にオン信号を出力する論理回路522の出力が入力される。
【0089】
これにより、加算器52は、対象引数が−n+1から−2に変化する間、及び引数xが2からn−1に変化する間に第1のアンドゲート513から入力されたオン信号のカウント値を出力する。加算器52の出力は、Pfレジスタ531及びPrレジスタ532に入力される。
【0090】
Pfレジスタ531には、加算器52の出力の他に、加算器52の出力をラッチするためのクロック信号として、対象引数が−2の場合にオン信号を出力する論理回路533の出力信号が入力される。これにより、Pfレジスタ531は、対象引数が−2になった時の加算器52の出力を記憶し、記憶した信号(加算器52のカウント値)を第3の比較器541及び第4の比較器542に出力する。
【0091】
また、Prレジスタ532には、加算器52の出力の他に、加算器52の出力をラッチするためのクロック信号として、対象引数がnの場合にオン信号を出力する論理回路534の出力信号が入力される。これにより、Prレジスタ532は、対象引数がnになった時の加算器52の出力を記憶し、記憶した信号(加算器52のカウント値)を第5の比較器543及び第6の比較器544に出力する。
【0092】
第3の比較器541及び第5の比較器543には、第1の実施の形態における第1の閾値Pt1に対応する信号を出力する第1の閾値出力回路535の出力信号が入力される。また、第4の比較器542及び第6の比較器544には、第1の実施の形態における第2の閾値Pt2に対応する信号を出力する第2の閾値出力回路536の出力信号が入力される。
【0093】
第3の比較器541は、Pfレジスタ531の出力信号が第1の閾値出力回路535の出力信号よりも大きい場合にオン信号を出力する。第4の比較器542は、Pfレジスタ531の出力信号が第2の閾値出力回路536の出力信号よりも大きい場合にオン信号を出力する。
【0094】
また、第5の比較器543は、Prレジスタ532の出力信号が第1の閾値出力回路535の出力信号よりも大きい場合にオン信号を出力する。第6の比較器544は、Prレジスタ532の出力信号が第2の閾値出力回路536の出力信号よりも大きい場合にオン信号を出力する。
【0095】
第3の比較器541及び第5の比較器543の出力信号は、第2のアンドゲート55に入力される。第4の比較器542の出力信号は、インバータ542aにより反転されて第2のアンドゲート55に入力される。また、第6の比較器544の出力信号は、インバータ544aにより反転されて第2のアンドゲート55に入力される。第2のアンドゲート55は、これらの入力信号が全てオンである場合に、後述の第3のセレクタ回路573及び第4のセレクタ回路574にオン信号を出力する。
【0096】
Pfレジスタ531の出力信号はまた、第1のアドレス変換回路561に入力される。第1のアドレス変換回路561は、(n−2)をPfレジスタ531の出力値で除した商の信号を出力する。この商は、複数の画素の画素値の増減の周期に相当する。なお、この商の小数点以下の値は切り下げられる。
【0097】
同様に、Prレジスタ532の出力信号は、第2のアドレス変換回路562に入力される。第2のアドレス変換回路562は、(n−2)をPrレジスタ532の出力値で除した商の信号を出力する。この商は、複数の画素の画素値の増減の周期に相当する。なお、この商の小数点以下の値は切り下げられる。
【0098】
第1のアドレス変換回路561の出力は、第1のセレクタ回路571に入力される。この第1のセレクタ回路571は、シフトレジスタ50の各レジスタからの信号を入力し、シフトレジスタ50の各レジスタのうち、第1のアドレス変換回路561の出力に対応したレジスタからの入力信号を抽出して出力するように構成されている。
【0099】
また、第2のアドレス変換回路562の出力は、第2のセレクタ回路572に入力される。この第2のセレクタ回路572は、シフトレジスタ50の各レジスタからの信号を入力し、シフトレジスタ50の各レジスタのうち、第2のアドレス変換回路562の出力に対応したレジスタからの入力信号を抽出して出力するように構成されている。
【0100】
第1のセレクタ回路571の出力信号は、第3のセレクタ回路573に入力される。第3のセレクタ回路573にはまた、シフトレジスタ50の対応するレジスタからD[−1]の信号が入力される。
【0101】
また、第2のセレクタ回路572の出力信号は、第4のセレクタ回路574に入力される。第4のセレクタ回路574にはまた、シフトレジスタ50の対応するレジスタからD[1]の信号が入力される。
【0102】
第3のセレクタ回路573及び第4のセレクタ回路574には、選択信号として第2のアンドゲート55の出力信号が入力される。第3のセレクタ回路573は、この選択信号がオンの場合には、第1のセレクタ回路571からの入力信号を選択し、その入力信号を出力する。一方、選択信号がオフの場合には、D[−1]に対応する信号を選択して出力する。
【0103】
また、第4のセレクタ回路574は、選択信号がオンの場合には、第2のセレクタ回路572からの入力信号を選択し、その入力信号を出力する。一方、選択信号がオフの場合には、D[1]に対応する信号を選択して出力する。第3のセレクタ回路573及び第4のセレクタ回路574の出力は、加算器58に出力される。
【0104】
加算器58は、第3のセレクタ回路573の出力信号により表される画素値と第4のセレクタ回路574の出力信号により表される画素値とを加算し、その加算結果を除算器59に出力する。除算器59は、入力された加算器58の加算結果としての和を2で除した商の情報を出力する。この出力値が補正画素の画素値であり、シフトレジスタ50の対応するレジスタに、D[0]として格納される。
【0105】
上記の回路の構成要素のうち、第1の比較器511,第2の比較器512,第1のアンドゲート513,加算器52,Pfレジスタ531,Prレジスタ532,第3〜第6の比較器541〜544,及び第2のアンドゲート55は、判定手段の一例である。
【0106】
また、第1のアドレス変換回路561,第2のアドレス変換回路562は、周期算出手段の一例である。また、第1のセレクタ回路571,第2のセレクタ回路572,第3のセレクタ回路573,第4のセレクタ回路574,加算器58,及び除算器59は、補間手段の一例である。
【0107】
上記のように構成された本実施の形態に係る画素補間装置43Aは、第1の実施の形態に係る画素補間装置43と同様の動作をより高速に実行する。また、画素補間装置43Aは、第1の実施の形態における各変形例と同様に変形することが可能である。
【0108】
[第3の実施の形態]
次に、図8を参照して本発明の第3の実施の形態について説明する。
図8は、本実施の形態に係る画素補間装置43Bの概略の構成例を示す図である。
【0109】
第1及び第2の実施の形態では、光電変換素子アレイが一列の光電変換素子を有する場合について説明したが、本実施の形態では、原稿との間に赤色フィルタ,緑色フィルタ,及び青色フィルタが配置された赤色読み取り用の第1の光電変換素子列,緑色読み取り用の第2の光電変換素子列,及び青色読み取り用の第3の光電変換素子列の3つの光電変換素子列を有する光電変換素子アレイを用いる場合について説明する。
【0110】
この光電変換素子アレイを用いた場合には、第1〜第3の光電変換素子列により原稿の画像を読み取った結果を示す画素値が同時に画素補間装置43Bに引き渡される。本実施の形態では、補間処理を行う1つの補間処理実行部640を有し、この補間処理実行部640により赤,緑,及び青の三色の補間画素の画素値の設定を処理時期をずらして順次実行するように構成されている。その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0111】
図8に示すように、画素補間装置43Bは、各色の画素値を取得する取得部61と、画素値の情報の伝達を遅延させる第1の遅延回路部62と、補間処理を行う補間処理部64と、各色の画素値の情報を選択して順次補間処理部64に供給する選択回路部63と、補間処理が行われた画素値の情報の伝達経路の切り替えを行う切換回路部65と、各色の画素値の情報の伝達の遅延時間を共通化するための第2の遅延回路部66と、各色の画素値の情報を出力する出力部67と、選択回路部63及び切換回路部65を制御する選択信号出力回路68とを備えている。
【0112】
取得部61は、赤色の画素の画素値を取得する第1の取得部61Rと、緑色の画素の画素値を取得する第2の取得部61Gと、青色の画素の画素値を取得する第3の取得部61Bとを備えて構成されている。
【0113】
第1の遅延回路部62は、取得部61が取得した各色の画素の画素値の伝達を遅延させる、この遅延時間は色ごとに異なる。なお、この遅延時間はゼロ以上の時間であり、1つの色については遅延が発生しないように(遅延時間=0)構成することができる。
【0114】
具体的には、第2の取得部61Gから出力される情報の伝達を遅延させる第1の遅延回路621と、第3の取得部61Bから出力される情報の伝達を遅延させる第2の遅延回路622及び第3の遅延回路623とを備えて構成されている。第1〜第3の遅延回路621,622,623による遅延時間はそれぞれ同じになるように設定されており、その遅延時間は、補間処理部64による補間処理に必要な時間以上の時間に設定されている。
【0115】
選択回路部63は、第1〜第3のセレクタ回路631,632,633を有している。第1〜第3のセレクタ回路631,632,633は、第1〜第3の3つの入力ポート及び選択信号入力ポートを備え、第1〜第3の入力ポートのうち、選択信号入力ポートに入力される選択信号に応じて選択された1つの入力ポートの信号を出力するように構成されている。
【0116】
第1の取得部61Rの出力は、第1のセレクタ回路631の第1の入力ポート,第2のセレクタ回路632の第3の入力ポート,及び第3のセレクタ回路633の第2の入力ポートに入力される。第1の遅延回路621の出力は、第1のセレクタ回路631の第2の入力ポート,第2のセレクタ回路632の第1の入力ポート,及び第3のセレクタ回路633の第3の入力ポートに入力される。第3の遅延回路623の出力は、第1のセレクタ回路631の第3の入力ポート,第2のセレクタ回路632の第2の入力ポート,及び第3のセレクタ回路633の第1の入力ポートに入力される。
【0117】
補間処理部64は、補間処理を実行する補間処理実行部640と、第1の補間処理等価遅延回路641及び第2の補間処理等価遅延回路642とを備えて構成されている。補間処理実行部640は、取得した読取画素の画素値に基づいて、補間画素の画素値の設定を実行する。この補間処理実行部640は、例えば図7に示す各回路構成要素を有して構成されている。
【0118】
第1の補間処理等価遅延回路641の遅延時間、及び第2の補間処理等価遅延回路642による遅延時間は、補間処理実行部640による補間処理に必要な時間と同等に設定されている。
【0119】
第1のセレクタ回路631の出力信号は補間処理実行部640に入力される。また、第2のセレクタ回路632の出力信号は第1の補間処理等価遅延回路641に入力され、第3のセレクタ回路633の出力信号は第2の補間処理等価遅延回路642に入力される。
【0120】
切換回路部65は、第4〜第6のセレクタ回路634,635,636を備えて構成されている。補間処理実行部640,第1の補間処理等価遅延回路641,及び第2の補間処理等価遅延回路642の出力は、これら第4〜第6のセレクタ回路634,635,636に入力される。第4〜第6のセレクタ回路634,635,636は、第1〜第3のセレクタ回路631,632,633と同様の構成及び機能を有している。
【0121】
補間処理実行部640の出力は、第4のセレクタ回路634の第1の入力ポート、第5のセレクタ回路635の第2の入力ポート、及び第6のセレクタ回路636の第3の入力ポートに入力される。第1の補間処理等価遅延回路641の出力は、第4のセレクタ回路634の第3の入力ポート、第5のセレクタ回路635の第1の入力ポート、及び第6のセレクタ回路636の第2の入力ポートに入力される。また、第2の補間処理等価遅延回路642の出力は、第4のセレクタ回路634の第2の入力ポートb、第5のセレクタ回路635の第3の入力ポート、及び第6のセレクタ回路636の第1の入力ポートに入力される。
【0122】
第2の遅延回路部66は、第4のセレクタ回路634から出力される情報の伝達を遅延させる第4の遅延回路624及び第5の遅延回路625と、第5のセレクタ回路635から出力される情報の伝達を遅延させる第6の遅延回路626とを備えて構成されている。第4〜第6の遅延回路624,625,626による遅延時間はそれぞれ同じになるように設定されており、その遅延時間は、補間処理部64による補間処理に必要な時間以上の時間に設定されている。
【0123】
出力部67は、赤色の画素の画素値を出力する第1の出力部67Rと、緑色の画素の画素値を出力する第2の出力部67Gと、青色の画素の画素値を出力する第3の出力部67Bとを備えて構成されている。
【0124】
第4のセレクタ回路634の出力は、第4の遅延回路624及び第5の遅延回路625を介して、第1の出力部67Rに入力される。第5のセレクタ回路635の出力は、第6の遅延回路626を介して、第2の出力部67Gに入力される。第6のセレクタ回路636の出力は、遅延回路を介さずに第3の出力部67Bに入力される。
【0125】
また、第1〜第6のセレクタ回路631〜636のそれぞれの選択信号入力ポートには、選択信号出力回路68の出力信号が入力される。選択信号出力回路68は、第1の入力ポートの信号を出力すべき第1の選択信号、第2の入力ポートの信号を出力すべき第2の選択信号、及び第3の入力ポートの信号を出力すべき第3の選択信号を予め定められた時間間隔で切り替えて出力する。この時間間隔は、補間処理実行部640による補間処理に必要な時間以上の時間に設定されている。
【0126】
(画素補間装置の動作)
次に、図9を参照して画素補間装置43Bの動作を説明する。
図9は、第1の遅延回路62の出力側における赤色,緑色,及び青色の画素の画素値の情報の流れの例を模式的に示す図である。
【0127】
画素補間装置43Bには、赤色,緑色,及び青色の画素の画素値の情報が同時に供給されるが、第1の遅延回路621の遅延動作により、緑色の画素の画素値の情報の伝達が1段階(各遅延回路の遅延時間)遅延する。また、第2の遅延回路622及び第3の遅延回路623の遅延動作により、青色の画素の画素値の情報の伝達が2段階遅延する。
【0128】
図9における斜線部D,D,Dは、隣接する光電変換素子アレイの境界を中心とする周辺部の画素の画素値の情報を示す。また、破線は選択信号出力回路68の出力信号の変化に応じて補間処理実行部640に入力される情報の切り替えのタイミングを示す。
【0129】
隣接する一対の光電変換素子アレイの間に対応する補間画素の画素値は、補間処理実行部640の補間処理により設定されるが、補間画素の周辺部の読取画素の画素値の情報が補間処理実行部640に入力される時期は、第1の遅延回路部62によって時間差が生じる。
【0130】
図9に示すように、第1期間Tでは、赤色の画素について、光電変換素子アレイの境界周辺部の画素情報Dが補間処理実行部640に入力される。選択信号出力回路68の出力信号が変化して第2期間Tに移行すると、光電変換素子アレイの境界周辺部の緑色の画素情報Dが補間処理実行部640に入力される。さらに選択信号出力回路68の出力信号が変化して第3期間Tに移行すると、光電変換素子アレイの境界周辺部の青色の画素情報Dが補間処理実行部640に入力される。以下同様に、第4期間T及び第7期間Tでは境界周辺部の赤色の画素情報Dが、第5期間T及び第8期間Tでは境界周辺部の緑色の画素情報Dが、第6期間T及び第9期間Tでは境界周辺部の青色の画素情報Dが、それぞれ補間処理実行部640に入力される。
【0131】
補間処理が行われた各色の画素の画素値の情報は、選択信号出力回路68が切換回路部65を制御することにより、それぞれの色に対応した第1〜第3の出力部67R,67G,67Bから出力される。第1の遅延回路部62により発生した各色の画素の画素値情報の遅延時間のばらつきは、第2の遅延回路部66によって修正される。
【0132】
このように、本実施の形態では、補間処理を実行する1つの補間処理実行部640で各色の補間画素の画素値の設定を行うので、それぞれの色ごとに補間処理実行部を設けた場合に比較して、全体の回路規模が小さくなる。
【0133】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々な変形が可能である。
【0134】
例えば、上記各実施の形態では、原稿9の表面9aのみの画像を読み取る場合について説明したが、表面9aは複数のミラーを用いた縮小光学系を有する画像読取部で読み取り、原稿9の裏面を上記実施の形態に係る画像読取10及び画像処理部4によって読み取る、両面同時読み取りが可能な画像読取装置に上記各実施の形態に係る画像補間装置を適用してもよい。
【0135】
また、上記各実施の形態では、シェーディング補正部42によるシェーディング補正の後に補間画素の補間処理を実行する場合について説明したが、この順序を逆にしてもよい。
【0136】
また、上記各実施の形態では、画像補間処理プログラム432aが画像読取装置100に組み込まれたものとして説明したが、これに限らず、画像補間処理プログラム432aをコンピュータの記憶装置に記憶させ、画像読取部10等をこのコンピュータとは別体に設けてもよい。この場合、画像補間処理プログラム432aは、CD−ROM等の記憶媒体に格納して提供することも可能であり、インターネット等のネットワークに接続されているサーバ装置等からコンピュータにダウンロードしてもよい。
【0137】
また、上記実施の形態の各手段の全て又は一部をASIC等のハードウエアによって実現してもよい。またさらに、上記実施の形態で説明した上記ステップの入替え、削除、追加等は可能である。
【符号の説明】
【0138】
2…蓋部、4…画像処理部、8a…照射光、8b…反射光、9…原稿、9a…表面、10…画像読取部、11…原稿台、12…光源、13…導光体、14…結像レンズ、15…ラインセンサ、20…原稿搬送機構、21…給紙トレイ、22…原稿分離ロール、23…原稿搬送ロール、24…読取ロール、25…排出ロール、26…排紙台、30…コントローラ、31…読取制御部、32…操作パネル、41…A/D変換部、42…シェーディング補正部、43,43A,43B…画素補間装置、44…画像情報処理部、45…送信部、50…シフトレジスタ、52…加算器、55…第1のアンドゲート、58…加算器、59…除算器、61…取得部、61B…第1の取得部、61G…第2の取得部、61R…第3の取得部、62…遅延回路部、63…選択回路部、64…補間処理部、65…切換回路部、66…遅延回路部、67…出力部、67B…第1の出力部、67G…第2の出力部、67R…第3の出力部、68…選択信号出力回路、90…読取ライン、91…網点、91a〜91n…極値、92a〜92d,92s…画素値、100…画像読取装置、111…白基準部材、150…プリント基板、150a…補間画素、151…第1の光電変換素子アレイ、151a〜151c…光電変換素子、152…第2の光電変換素子アレイ、152a〜152c…光電変換素子、153…第3の光電変換素子アレイ、154…第4の光電変換素子アレイ、311…駆動制御部、312…点灯制御部、431…制御部、431a…判定手段、431b…周期算出手段、431c…補間手段、432…記憶部、432a…画像補間処理プログラム、432b…読取画素情報、432c…補間画素情報、452…記憶部、501…第1のレジスタ、502…第2のレジスタ、503…第3のレジスタ、511…第1の比較器、511a…インバータ、512…第2の比較器、513…アンドゲート、521,522…論理回路、531…Pfレジスタ、532…Prレジスタ、533,534…論理回路、535…第1の閾値出力回路、536…第2の閾値出力回路、541…第3の比較器、541a…インバータ、542…第2の比較器、543a…インバータ、544…第4の比較器、561…第1のアドレス変換回路、562…第2のアドレス変換回路、571…第1のセレクタ回路、572…第2のセレクタ回路、573…第3のセレクタ回路、574…第4のセレクタ回路、621…第1の遅延回路、622…第2の遅延回路、623…第3の遅延回路、624…第4の遅延回路、625…第5の遅延回路、626…第6の遅延回路、631…第1のセレクタ回路、632…第2のセレクタ回路、633…第3のセレクタ回路、634…第4のセレクタ回路、635…第5のセレクタ回路、636…第6のセレクタ回路、640…補間処理実行部、641…第1の補間処理等価遅延回路、642…第2の補間処理等価遅延回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光電変換素子を有する第1及び第2の光電変換素子アレイによって原稿を読み取って得られた原稿画像における複数の画素の画素値の増減の周期を求める周期算出手段と、
前記複数の画素のうち、前記第1及び第2の光電変換素子アレイの間の位置に対応する補間画素との間隔が前記周期算出手段で求めた周期に対応する画素を抽出し、前記抽出された画素の画素値に基づいて前記補間画素の画素値を補間する補間手段とを備えた画素補間装置。
【請求項2】
前記補間手段は、前記第1の光電変換素子アレイによって読み取られた画素、及び前記第2の光電変換素子アレイによって読み取られた画素から前記周期に対応する画素をそれぞれ抽出し、前記補間画素の画素値を前記抽出された画素の画素値に基づいて設定する請求項1に記載の画素補間装置。
【請求項3】
前記周期算出手段は、前記第1及び第2の光電変換素子アレイの間の周辺部における複数の画素の画素値の極値の数に基づいて前記周期を求める請求項1又は2に記載の画素補間装置。
【請求項4】
入力された複数の色の画素の画素値の情報を前記複数の色ごとに異なる遅延時間で遅延させる遅延回路部を備え、
前記周期算出手段は、前記複数の色のそれぞれについて、前記遅延時間の短いものから順に前記補間画素の画素値を補間する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画素補間装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画素補間装置と、
原稿を照射する光源と、
前記原稿の反射光の強度に応じた信号を出力する複数の光電変換素子を有する第1及び第2の光電変換素子アレイと、
前記第1及び第2の光電変換素子アレイの前記光電変換素子の出力信号に基づいて前記原稿画像の前記複数の画素の画素値を設定し、当該設定した画素値の情報を前記画素補間装置に供給する供給部とを備えた画像読取装置。
【請求項6】
複数の光電変換素子を有する第1及び第2の光電変換素子アレイによって原稿を読み取って得られた原稿画像における複数の画素の画素値の増減の周期を求める周期算出ステップと、
前記複数の画素のうち、前記第1及び第2の光電変換素子アレイの間の位置に対応する補間画素との間隔が前記周期算出周期算出で求めた周期に対応する画素を抽出し、前記抽出された画素の画素値に基づいて前記補間画素の画素値を補間する補間ステップとを有する処理をコンピュータに実行させる画素補間処理プログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−60434(P2012−60434A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201904(P2010−201904)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】