説明

画面表示装置、画面表示方法およびプログラム

【課題】 表示中の画面から遠く離れた位置を容易にディスプレイの中心にスクロールさせることができる画面表示装置を実現する。
【解決手段】 画面表示装置は、タッチパネル付きディスプレイと、タッチパネルディスプレイからの指示位置検知データを受けてタッチパネル付きディスプレイの画面制御を行う画面制御部とを備える。画面制御部は、タッチが検知されると(S10)、タッチによる指示位置がタッチパネル付きディスプレイの中心にくるように画面をスクロールを開始し(S16)、次のタッチの検知を待つ(S10)。タッチの時間間隔が閾値以下の場合には(S14でYES)、画面制御部は、スクロールと共に、表示中の画面の表示倍率から画面をズームアウトし、続いて予め定められた表示倍率になるように画面をズームインする制御を開始し(S20)、次のタッチの検知を待つ(S10)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報をコンピュータ等の画面に表示する画面表示装置に関し、特に、地図等のように大容量の画像を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、一画面に入りきらない大容量の情報を表示するための技術として、スクロールが知られている。パーソナルコンピュータ等においては、画面の端に表示されたスクロールバーを上下あるいは左右に移動することによって画面をスクロールさせるインターフェースがよく知られている。
【0003】
ナビゲーション装置においては、目的の地点が画面の中心にくるようにスクロールできることが望ましい。特許文献1および特許文献2はいずれも、ディスプレイにタッチセンサを設け、画面上でタッチされた位置が、ディスプレイの中心にくるようにスクロールする、いわゆる「ワンタッチスクロール」に関する発明を開示している。
【0004】
特許文献1に記載された発明は、タッチされた位置がディスプレイの中心にくるように地図の画面をスクロールすると共に、その地点を中心として地図を拡大して表示する。特許文献2に記載された発明は、タッチされた位置がディスプレイの中心にくるように地図の画面をスクロールする。
【特許文献1】特開平9−33278号公報
【特許文献2】特開平7−210137号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したワンタッチスクロールは、画面内にある所望の点の周辺の情報を見たい場合には非常に力を発揮するが、表示中の画面から遠く離れた位置にある情報を閲覧する用途には向いていない。すなわち、ワンタッチスクロールは、表示中の画面内にある点がディスプレイの中心にくるようにスクロールする手法であるため、1回の操作によるスクロール量は最大でも表示中の画面の半分であり、ワンタッチスクロールによって遠く離れた情報を閲覧しようとした場合には、操作回数が非常に多くなってしまう。なお、ここで「遠く離れた」とは情報空間において「遠い」ことを意味している。
【0006】
特許文献1には、一定時間以上続けてタッチすることにより、タッチした方向にスクロールを行うことが記載されている。特許文献2には、画面を任意の方向になぞることにより、その方向にスクロールすることが記載されている。しかしながら、これらのスクロールは、ワンタッチスクロールとは別の機能として実現されており、画面内の任意の点を画面の中心にもってくるためには、ユーザがスクロール中の画面を見ながら調整する必要がある。
【0007】
本発明は、上記背景に鑑み、表示中の画面から遠く離れた位置を容易にディスプレイの中心にスクロールさせることができる画面表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画面表示装置は、画面を表示するディスプレイと、前記ディスプレイに表示された画面上で指し示された指示位置を検知し、前記指示位置を示す指示位置検知データを出力する指示位置検知部と、前記指示位置検知データを受けて、前記ディスプレイの画面制御を行う画面制御部とを備え、前記画面制御部は、前記指示位置検知データにて示される指示位置が前記ディスプレイの中心にくるように画面をスクロールすると共に、前記指示位置検知データの取得タイミングまたは前記指示位置に基づいて表示倍率変更のトリガを検知したときに、表示中の画面の表示倍率から画面をズームアウトし、続いて予め定められた表示倍率になるように画面をズームインする制御を行い、前記画面制御部は、画面表示の変更中に新たな指示位置検知データを受けたときには、当該指示位置検知データを受けたときに表示中の画面を基準として前記画面制御を行う。
【0009】
このように画面制御部は、表示倍率変更のトリガを検知すると、画面をズームアウトし、続いてズームインする。ズームアウトによって画面表示の倍率が小さくなった状態、すなわち元の倍率での表示より広い範囲がディスプレイに表示された状態で画面への指示を受け付けることにより、遠く離れた位置を素早くディスプレイの中心にスクロールさせることができる。また、画面表示の倍率が小さくなった状態で新たに表示倍率変更のトリガを検知すると、そのトリガを検知したときに表示画面を基準としてズームアウトするので、画面の表示倍率がさらに小さくなる。このように段階的なズームアウトを可能としたことにより、所望の情報までの情報空間内での距離に応じた表示倍率の画面によって所望の情報にアクセスできる。また、画面制御部は、画面のズームアウトに続いてズームインを行うので、画面の表示倍率を予め定められた表示倍率に戻すための操作は不要であり、画面の中心にもってきたい位置を指示するというインターフェースのみで上記の画面制御を実現できる。
【0010】
本発明の画面表示装置において、前記画面制御部は、前記指示位置検知データを取得したタイミングと前記指示位置検知データをその前に取得したタイミングとの時間間隔が所定の閾値以下であることを前記トリガとして検知してもよい。
【0011】
画面上の点を指し示す時間間隔は操作者の意図を反映していると考えられる。例えば、短い時間間隔で画面を指し示す場合には、遠くにある情報を見るために早くスクロールしたいという意図があると考えられる。本発明の構成により、操作者の意図に応じて表示倍率変更のトリガを検知することができる。
【0012】
本発明の画面表示装置において、前記画面制御部は、前記時間間隔に基づいて前記ズームアウトを行う際の変更倍率を決定してもよい。
【0013】
この構成により、操作者の意図に応じてズームアウトの変更倍率を決定できる。
【0014】
本発明の画面表示装置において、前記画面制御部は、前記指示位置が前記ディスプレイの中心から所定の閾値以上離れていることを前記トリガとして検知してもよい。
【0015】
画面上の指示位置は操作者の意図を反映していると考えられる。例えば、指示位置がディスプレイの周縁部付近である場合には、遠くにある情報を見るために大きくスクロールしたいという意図があると考えられる。本発明の構成により、操作者の意図に応じて表示倍率変更のトリガを検知することができる。
【0016】
本発明の画面表示装置において、前記画面制御部は、前記ディスプレイの中心からの距離に基づいて前記ズームアウトを行う際の変更倍率を決定してもよい。
【0017】
この構成により、操作者の意図に応じてズームアウトの変更倍率を決定できる。
【0018】
本発明の画面表示装置において、前記指示位置検知部は、前記ディスプレイに設けられたタッチパネルであってもよい。
【0019】
タッチパネルは、タッチされた位置を検知する精度は高いが、なぞる動作を精度良く検知することが困難な場合がある。上記した本発明の構成は、画面上の点を指し示すだけでスクロールを実現できるので、タッチパネルでの操作に適用することが有効である。
【0020】
本発明の別の態様の画面表示装置は、画面を表示するディスプレイと、前記ディスプレイに対するタッチに基づいて画面上で指し示された指示位置とタッチの際の押し圧力とを検知し、前記指示位置と押し圧力を示す指示位置検知データを出力するタッチパネルと、前記指示位置検知データを受けて、前記ディスプレイの画面制御を行う画面制御部とを備え、前記画面制御部は、前記指示位置検知データにて示される指示位置が前記ディスプレイの中心にくるように画面をスクロールすると共に、前記押し圧力が所定の閾値以上であるときに表示中の画面の表示倍率から前記画面をズームアウトし、続いて予め定められた表示倍率になるように前記画面をズームインする制御を行い、前記画面制御部は、画面表示の変更中に新たな指示位置検知データを受けたときには、当該指示位置検知データを受けたときに表示中の画面を基準として前記画面制御を行う。
【0021】
この構成により、上記した本発明の画面表示装置と同様に、遠く離れた位置を素早くディスプレイの中心にスクロールさせることができると共に、所望の情報までの情報空間内での距離に応じた表示倍率の画面によって所望の情報にアクセスできる。また、タッチパネルにタッチする際の押し圧力は操作者の意図を反映していると考えられるが、本発明の構成によれば、押し圧力によって表示倍率を変更するか否かを判断するので、操作者の意図に基づいて画面の表示倍率を変更できる。
【0022】
本発明の画面表示装置において、前記画面制御部は、前記押し圧力に基づいて前記ズームアウトを行う際の変更倍率を決定してもよい。
【0023】
この構成により、操作者の意図に応じてズームアウトの変更倍率を決定できる。
【0024】
本発明の画像表示方法は、画面表示装置によってディスプレイに画面を表示する画面表示方法であって、前記画面表示装置が、前記ディスプレイに表示された画面上で指し示された指示位置を検知し、前記指示位置を示す指示位置検知データを出力する指示位置検知ステップと、前記画面表示装置が、前記指示位置検知データを受けて、前記指示位置検知データにて示される指示位置が前記ディスプレイの中心にくるように画面をスクロールする画面スクロールステップと、前記画面表示装置が、前記指示位置検知データの取得タイミングまたは前記指示位置に基づいて表示倍率変更のトリガを検知したときに、前記画面スクロールステップと並行して、表示中の画面の表示倍率から画面をズームアウトし、続いて予め定められた表示倍率になるように画面をズームインする画面ズームステップとを備え、前記画面スクロールステップおよび前記画面ズームステップの実行中に、画面表示の変更中に新たな指示位置検知データを受けたときには、前記画面表示装置は、当該指示位置検知データを受けたときに表示中の画面を基準として前記画面スクロールステップおよび前記画面ズームステップを実行する。
【0025】
この構成により、上記した本発明の画面表示装置と同様に、遠く離れた位置を素早くディスプレイの中心にスクロールさせることができると共に、所望の情報までの情報空間内での距離に応じた表示倍率の画面によって所望の情報にアクセスできる。なお、本発明の画面表示装置の各種の構成を本発明の画面表示方法に適用することも可能である。
【0026】
本発明のプログラムは、ディスプレイに表示される画面の制御するためのプログラムであって、コンピュータに、前記ディスプレイに表示された画面上で指し示された指示位置を検知し、前記指示位置を示す指示位置検知データを出力する指示位置検知ステップと、前記指示位置検知データを受けて、前記指示位置検知データにて示される指示位置が前記ディスプレイの中心にくるように画面をスクロールする画面スクロールステップと、前記指示位置検知データの取得タイミングまたは前記指示位置に基づいて表示倍率変更のトリガを検知したときに、前記画面スクロールステップと並行して、表示中の画面の表示倍率から画面をズームアウトし、続いて予め定められた表示倍率になるように画面をズームインする画面ズームステップとを実行させ、前記画面スクロールステップおよび前記画面ズームステップの実行中に、画面表示の変更中に新たな指示位置検知データを受けたときには、当該指示位置検知データを受けたときに表示中の画面を基準として前記画面スクロールステップおよび前記画面ズームステップを実行させる。
【0027】
この構成により、上記した本発明の画面表示装置と同様に、遠く離れた位置を素早くディスプレイの中心にスクロールさせることができると共に、所望の情報までの情報空間内での距離に応じた表示倍率の画面によって所望の情報にアクセスできる。なお、本発明の画面表示装置の各種の構成を本発明のプログラムに適用することも可能である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、画面制御部は、表示倍率変更のトリガを検知すると、画面をズームアウトし、画面表示の倍率が小さくなった状態で指示位置の入力を受け付けることができる構成により、遠く離れた位置であっても素早くディスプレイの中心にスクロールさせることができる効果を有する。
【0029】
また、本発明によれば、段階的なズームアウトを可能としたことにより、所望の情報までの情報空間内での距離に応じた表示倍率の画面によって所望の情報にアクセスできるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態の画面表示装置について図面を参照して説明する。以下の説明では、画面に地図を表示する画面表示装置を例とするが、本発明の画面表示装置によって表示する情報は地図に限定されない。本発明の画面表示装置は、例えば、サイズの大きい画像、大容量の科学技術データ等のように一画面には収まらない大きさのデータの画面表示に適用できる。
【0031】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の画面表示装置1の構成を示す図である。画面表示装置1は、タッチパネル付ディスプレイ(以下、単に「タッチパネル」という)10と、画面制御部12と、地図データ記憶部14とを有している。地図データ記憶部14は、タッチパネル10に表示する地図データを記憶している。地図データ記憶部14は、地図データ全体を画像データとして記憶してもよいし、例えば、施設名などの一部のデータをテキストデータとして記憶してもよい。これにより、地図の縮尺を変えたときにも、施設名を読み易いフォントで表示することが可能となる。
【0032】
タッチパネル10は画面制御部12の制御に従って地図を表示する機能と、タッチパネル10に対するタッチを検知し、そのタッチ位置を示すデータを画面制御部12に対して出力する機能を有する。タッチパネル10は、ある位置がタッチされたことを検知した後、その位置から指が離れたときに、その位置が指し示されたことを検知する。ある位置がタッチされた後、タッチパネル10上で指が動いたことを検知した場合には、別の検知データを出力する。なお、本実施の形態では、タッチパネル10に対するタッチによって画面上の位置を指し示すので、タッチ位置を示すデータは「指示位置検知データ」に該当する。
【0033】
画面制御部12は、タッチパネル10から入力されたタッチ位置を示すデータに基づいて画面制御を行う機能を有する。画面制御部12は、スクロールと表示倍率変更の画面制御を行う。まず、スクロールについて説明する。画面制御部12は、タッチパネル10からタッチ位置を示すデータが入力されると、タッチ位置を示すデータを、表示中の画面における位置座標に変換する。次に、画面制御部12は、求められた位置座標がタッチパネル10の中心にくるように画面をスクロールする。
【0034】
次に、表示倍率変更について説明する。表示倍率変更の処理は、画面制御部12がタッチパネル10に対するタッチの態様から、表示倍率変更のトリガを検知したときのみ行う。ここで表示倍率変更のトリガの検知について説明する。本実施の形態では、タッチパネル10に対して連続して2回以上のタッチがなされたときのタッチの間隔が所定の閾値(例えば0.5秒)以下である場合に、表示倍率変更のトリガを検知する。
【0035】
画面制御部12は、表示倍率変更のトリガを検知すると、画面をズームアウトし、続いて画面をズームインする表示倍率変更処理を開始する。この表示倍率変更処理は、上記したスクロール処理と並行して行う。画面をズームアウトする際の変更倍率は、タッチの間隔に応じて決定する。具体的には、タッチ間隔が短くなるに従って、変更倍率が小さくなるように決定する。ここで「変更倍率」とは、ズームアウト前の画像に対して、どの大きさまでズームアウトするかを示す倍率である。例えば、変更倍率が1/2ならば、ズームアウト前の画像に対して1/2の倍率までズームアウトすることを意味する。画面をズームインする際には、画面制御部12は、ズームアウトされた画面の表示倍率によらず、予め初期値として設定された表示倍率(例えば、縮尺1/500)までズームイン処理を行う。
【0036】
画面制御部12は、画面制御の処理中に、新たにタッチ位置を示すデータが入力されたときには、それまでに行っていた処理をキャンセルして、表示中の画面を基準として新たに画面制御を行う。
【0037】
図2(a)〜図2(d)は、表示倍率変更中に新たなトリガが検知された場合の表示倍率変更の画面制御を示す図である。図2(a)に示すように表示倍率変更の第1回目のトリガTG1が検知されると、画面制御部12は、画面をズームアウトして画面の表示倍率を初期値より小さくし、続いて表示倍率が初期値になるように画面をズームインする表示倍率変更処理を開始する。この変更処理の間に次のトリガが検知されなければ、図2(a)に示すように画面の表示倍率は変化して初期値の縮尺に戻る。
【0038】
図2(b)に示すように、第1回のトリガTG1に基づく表示倍率変更中に第2回目のトリガTG2が検知されると、画面制御部12はトリガTG2が検知された時点で表示されている画像を基準として、その画面からズームアウトを行い、続いて表示倍率が初期値になるように画面をズームインする表示倍率変更処理を開始する。
【0039】
同様に、図2(c)に示すように、第2回目のトリガTG2に基づく表示倍率変更中に第3回目のトリガTG3が検知されると、画面制御部12はトリガT3が検知された時点で表示されている画像を基準として、その画面からズームアウトを行い、続いて表示倍率が初期値になるように画面をズームインする表示倍率変更処理を開始する。
【0040】
同様に、図2(d)に示すように、3回目のトリガTG3に基づく表示倍率変更中に第4回目のトリガTG4が検知されると、画面制御部12はトリガT4が検知された時点で表示されている画像を基準として、その画面からズームアウトを行い、続いて表示倍率が初期値になるように画面をズームインする表示倍率変更処理を開始する。図2(d)に示すようにトリガTG4に基づく表示倍率変更中に新たなトリガが検知されなければ、画面制御部12は、画面を初期値の表示倍率までズームインする。
【0041】
図3は、上記した図2(a)〜図2(d)の処理によって表示倍率を変更した際の表示倍率の変化を示す図である。表示倍率の変更中にトリガTG1〜TG4が検知されることにより、図3に太線で示すように、段階的に表示倍率が変更される。
【0042】
図4は、第1の実施の形態の画面表示装置1の動作を示すフローチャートである。画面表示装置1は、タッチパネル10に対するタッチを検知したか否か判定する(S10)。タッチを検知しない場合には(S10でNO)、画面表示装置1は、タッチを検知するまで判定を繰り返す(S10)。
【0043】
タッチを検知した場合には(S10でYES)、画面表示装置1は、前回のタッチからの時間間隔Δtを算出する(S12)。次に、画面表示装置1は、前回タッチからの時間間隔Δtが所定の閾値T以下であるか否かを判定する(S14)。この判定の結果、時間間隔Δtが閾値T以下ではないと判定された場合(S14でNO)、タッチ位置がタッチパネル10の中心にくるようにスクロール処理を開始する(S16)。画面表示装置1は、スクロール処理が開始すると、スクロール処理の完了を待たずに、次のタッチがあるか否かの判定に移行する(S10)。
【0044】
前回タッチからの時間間隔Δtが閾値T以下であると判定された場合(S14でYES)、画面表示装置1は、ズームアウトの変更倍率を算出する(S18)。画面表示装置1は、時間間隔Δtが短いほど変更倍率が小さくなるような計算式によって変更倍率を算出する。画面表示装置1は、表示中の画面を基準として算出した変更倍率だけ画面をズームアウトし、その後、初期値まで画面をズームインする倍率変更処理と同時に、タッチ位置がタッチパネル10の中心にくるようにスクロールするスクロール処理を開始する(S20)。画面表示装置1は、倍率変更処理およびスクロール処理が開始すると、これらの処理の完了を待たずに、次のタッチがあるか否かの判定に移行する(S10)。
【0045】
本実施の形態の画面表示装置1は、倍率変更処理およびスクロール処理を行っている最中に、次のタッチを検知可能な構成を有し、ズームアウトによって表示倍率が小さくなり、続いてズームインにより表示倍率が大きくなる表示倍率変更の過程でタッチを検知する。そして、タッチを検知すると、画面表示装置1は、タッチを検知した時点での表示画面を基準として画面制御を行う。つまり、画面表示装置1は、元の表示倍率より小さい表示倍率の画面、すなわち、広範囲が表示された画面において、スクロール等の操作を行うことができる。
【0046】
画面表示装置1は、図4に示すフローチャートに従った動作を繰り返し行うことにより、タッチパネル10に表示する画面を制御する。以上、本発明の第1の実施の形態の画面表示装置1および画面表示方法について説明した。
【0047】
第1の実施の形態の画面表示装置1は、タッチの時間間隔Δtが閾値T以下であると判定すると、タッチ位置がタッチパネル10の中心にくるようにスクロール処理を行うと共に画面の表示倍率変更処理を行う。表示倍率変更処理中にもタッチを検知できる構成を採用しているので、ズームアウトによって元の倍率より広い範囲がタッチパネル10に表示されたときにタッチパネル10をタッチすると、画面表示装置1は、タッチにより指し示された位置がタッチパネル10の中心にくるようにスクロールする。このように、表示倍率(縮尺)の小さい画面上において所望の位置を指定することにより、遠く離れた位置へのワンタッチスクロールを迅速に行うことができる。
【0048】
また、本実施の形態の画面表示装置1のインターフェースは、タッチパネル10をタッチするだけであり、表示倍率を変更するために特別の操作は必要ない。操作者は、遠く離れた位置を見るためにタッチパネル10を繰り返しタッチしていると、操作者の遠くを見たいという意図に応じる形で画面がズームアウトし、ズームアウトした画面上でワンタッチスクロールを行える。これにより、遠くにある情報に対して容易にアクセスできるというユーザフレンドリーなインターフェースを実現できる。
【0049】
また、本実施の形態の画面表示装置1は、画面表示の倍率が小さくなった状態で表示倍率変更のトリガ(閾値T以下の時間間隔での連続タッチ)を検知すると、そのときに表示中の画面を基準としてズームアウトするので、画面の表示倍率がさらに小さくなる。このように段階的なズームアウトを可能としたことにより、所望の情報までの情報空間内での距離に応じた表示倍率の画面によって所望の情報にアクセスできる。
【0050】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態の画面表示装置について説明する。第2の実施の形態の画面表示装置の基本的な構成は、第1の実施の形態の画面表示装置1と同じであるが(図1参照)、第2の実施の形態の画面表示装置は、表示倍率変更のトリガの検知の仕方が第1の実施の形態の画面表示装置1とは異なる。
【0051】
図5は、第2の実施の形態の画面表示装置の動作を示すフローチャートである。第2の実施の形態の画面表示装置は、タッチを検知すると(S10でYES)、タッチパネル10の中心からタッチ位置までの距離dを算出する(S22)。画面表示装置は、この距離dが閾値D以上であるか否かを判定することによって表示倍率を変更するか否かを判定する(S24)。以下の動作は、第1の実施の形態の画面表示装置1と同じである。距離dが閾値D以上でない場合(S24でNO)、タッチ位置がタッチパネル10の中心にくるようにスクロール処理を開始する(S26)。距離dが閾値D以上である場合(S24でYES)、ズームアウトの変更倍率を算出し(S28)、倍率変更処理と同時にスクロール処理を開始する(S30)。
【0052】
第2の実施の形態の画面表示装置は、第1の実施の形態の画面表示装置1と同様に、遠く離れた位置へのワンタッチスクロールを迅速に行うことができるという効果を有する。
【0053】
また、第2の実施の形態の画面表示装置のインターフェースは、操作者は、遠く離れた位置を見るためにタッチパネル10の周縁部付近をタッチすると、操作者の遠くを見たいという意図に応じる形で画面がズームアウトし、ズームアウトした画面上でワンタッチスクロールを行える。これにより、遠くにある情報に対して容易にアクセスできるというユーザフレンドリーなインターフェースを実現できる。
【0054】
(第3の実施の形態)
図6は、第3の実施の形態の画面表示装置3の構成を示す図である。第3の実施の形態の画面表示装置3の基本的な構成は、第1の実施の形態の画面表示装置1と同じであるが、タッチパネル10が圧力センサ16を備えている点が異なる。タッチパネル10の圧力センサ16は、タッチされた際の押し圧力を検知する。タッチパネル10は、押し圧力を示すデータをタッチ位置を示すデータと共に画面制御部12に対して出力する。画面制御部12は、押し圧力を示すデータを用いて、表示倍率変更のトリガを検知する。
【0055】
図7は、第3の実施の形態の画面表示装置3の動作を示すフローチャートである。第3の実施の形態の画面表示装置3は、タッチを検知すると(S10でYES)、タッチ時の押し圧力fを取得する(S32)。画面表示装置3は、この押し圧力fが閾値F以上であるか否かを判定することによって表示倍率を変更するか否かを判定する(S34)。以下の動作は、第1の実施の形態の画面表示装置1と同じである。押し圧力fが閾値F以上でない場合(S34でNO)、タッチ位置がタッチパネル10の中心にくるようにスクロール処理を開始する(S36)。押し圧力fが閾値F以上である場合(S34でYES)、ズームアウトの変更倍率を算出し(S38)、倍率変更処理と同時にスクロール処理を開始する(S40)。
【0056】
第3の実施の形態の画面表示装置3は、第1の実施の形態の画面表示装置1と同様に、遠く離れた位置へのワンタッチスクロールを迅速に行うことができるという効果を有する。
【0057】
また、第3の実施の形態の画面表示装置3のインターフェースは、操作者は、タッチパネル10を強くタッチすると、画面がズームアウトする。操作者は遠くを見たいときには、タッチに力が入りがちであるので、操作者の意図に応じる形で画面がズームアウトし、ズームアウトした画面上でワンタッチスクロールを行える。これにより、遠くにある情報に対して容易にアクセスできるというユーザフレンドリーなインターフェースを実現できる。
【0058】
以上、本発明の画面表示装置および画面表示方法について、実施の形態を挙げて詳細に説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではない。
【0059】
上記した実施の形態で説明した画面表示装置は、画面表示用のプログラムをコンピュータによって実行することによって実現することが可能である。画面表示用のプログラムは、タッチパネルの指示位置から画面上の指示位置を検知する指示位置検知モジュールと、指示位置を示すデータに基づいてスクロールおよび表示倍率変更の画面制御を行う画面制御モジュールとを有する。このようなプログラムも本発明の範囲に含まれる。
【0060】
上記した実施の形態では、画面表示装置がタッチパネル10を備える例を挙げたが、本発明はタッチパネル10以外の指示位置の入力手段を有する装置にも適用できる。例えば、マウス、トラックパッド、トラックボール等のポインティングデバイスを用いて、画面上の点を指し示す場合にも、本発明を適用することが可能である。
【0061】
上記した第1の実施の形態ではタッチの時間間隔Δt、第2の実施の形態ではタッチ位置のタッチパネル10の中心からの距離d、第3の実施の形態ではタッチ時の押し圧力fを用いて、表示倍率変更のトリガを検知する例について説明したが、これらの検出データを組み合わせて、表示倍率変更のトリガを検知してもよい。例えば、タッチ時間間隔Δt/距離dが所定の閾値以下の場合に、表示倍率変更のトリガを検知することとしてもよい。
【0062】
上記した第1の実施の形態では、タッチの時間間隔Δtを用いて表示倍率変更のトリガを検知しているが、この検知方法においてタッチ位置のデータをさらに考慮して表示倍率変更のトリガを検知してもよい。具体的には、タッチパネル10におけるタッチ位置が、前にタッチされた位置の所定の範囲内にあることを条件として、前のタッチのタイミングとの時間間隔Δtを求め、前にタッチされた位置の所定範囲内にない場合には、連続したタッチとはみなさないこととする(つまり、時間間隔Δtを求めない)。遠くにある情報にアクセスしたい場合には、操作者は、その方向を連続してタッチすると考えられるので、前のタッチ位置との位置関係を用いることにより、意図しない表示倍率の変更を防止できる。
【0063】
上記した第2の実施の形態では、タッチパネル10の中心からタッチ位置までの距離dを用いて表示倍率変更のトリガを検知しているが、この検知方法においてさらにタッチ位置における地図情報を考慮して表示倍率変更のトリガを検知してもよい。タッチパネル10の中心からタッチ位置までの距離dが閾値D以上の場合であって、かつ、タッチした位置、あるいはその近傍に施設がない場合に、表示倍率変更のトリガを検知してもよい。これにより、操作者が画面の周縁部付近にある施設をタッチした場合には、表示倍率の変更なしのワンタッチスクロールが行われる。これにより、意図しない表示倍率の変更を防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上説明したように、本発明は、遠く離れた位置を素早くディスプレイの中心にスクロールさせることができる効果を有し、地図等のように大容量の画像を表示する画面表示装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】第1の実施の形態の画面表示装置の構成を示す図である。
【図2】(a)表示倍率変更中に新たなトリガが検知された場合の表示倍率変更の画面制御を示す図である。(b)表示倍率変更中に新たなトリガが検知された場合の表示倍率変更の画面制御を示す図である。(c)表示倍率変更中に新たなトリガが検知された場合の表示倍率変更の画面制御を示す図である。(d)表示倍率変更中に新たなトリガが検知された場合の表示倍率変更の画面制御を示す図である。
【図3】画面の表示倍率の変化を示す図である。
【図4】第1の実施の形態の画面表示装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施の形態の画面表示装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】第3の実施の形態の画面表示装置の構成を示す図である。
【図7】第3の実施の形態の画面表示装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
1,3 画面表示装置
10 タッチパネル付ディスプレイ
12 画面制御部
14 地図データ記憶部
16 圧力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面を表示するディスプレイと、
前記ディスプレイに表示された画面上で指し示された指示位置を検知し、前記指示位置を示す指示位置検知データを出力する指示位置検知部と、
前記指示位置検知データを受けて、前記ディスプレイの画面制御を行う画面制御部と、
を備え、
前記画面制御部は、前記指示位置検知データにて示される指示位置が前記ディスプレイの中心にくるように画面をスクロールすると共に、前記指示位置検知データの取得タイミングまたは前記指示位置に基づいて表示倍率変更のトリガを検知したときに、表示中の画面の表示倍率から画面をズームアウトし、続いて予め定められた表示倍率になるように画面をズームインする画面制御を行い、
前記画面制御部は、画面表示の変更中に新たな指示位置検知データを受けたときには、当該指示位置検知データを受けたときに表示中の画面を基準として前記画面制御を行う画面表示装置。
【請求項2】
前記画面制御部は、前記指示位置検知データを取得したタイミングと前記指示位置検知データをその前に取得したタイミングとの時間間隔が所定の閾値以下であることを前記トリガとして検知する請求項1に記載の画面表示装置。
【請求項3】
前記画面制御部は、前記時間間隔に基づいて前記ズームアウトを行う際の変更倍率を決定する請求項2に記載の画面表示装置。
【請求項4】
前記画面制御部は、前記指示位置が前記ディスプレイの中心から所定の閾値以上離れていることを前記トリガとして検知する請求項1に記載の画面表示装置。
【請求項5】
前記画面制御部は、前記ディスプレイの中心からの距離に基づいて前記ズームアウトを行う際の変更倍率を決定する請求項4に記載の画面表示装置。
【請求項6】
前記指示位置検知部は、前記ディスプレイに設けられたタッチパネルである請求項1〜5のいずれかに記載の画面表示装置。
【請求項7】
画面を表示するディスプレイと、
前記ディスプレイに対するタッチに基づいて画面上で指し示された指示位置とタッチの際の押し圧力とを検知し、前記指示位置と押し圧力を示す指示位置検知データを出力するタッチパネルと、
前記指示位置検知データを受けて、前記ディスプレイの画面制御を行う画面制御部と、
を備え、
前記画面制御部は、前記指示位置検知データにて示される指示位置が前記ディスプレイの中心にくるように画面をスクロールすると共に、前記押し圧力が所定の閾値以上であるときに表示中の画面の表示倍率から前記画面をズームアウトし、続いて予め定められた表示倍率になるように前記画面をズームインする画面制御を行い、
前記画面制御部は、画面表示の変更中に新たな指示位置検知データを受けたときには、当該指示位置検知データを受けたときに表示中の画面を基準として前記画面制御を行う画面表示装置。
【請求項8】
前記画面制御部は、前記押し圧力に基づいて前記ズームアウトを行う際の変更倍率を決定する請求項7に記載の画面表示装置。
【請求項9】
画面表示装置によってディスプレイに画面を表示する画面表示方法であって、
前記画面表示装置が、前記ディスプレイに表示された画面上で指し示された指示位置を検知し、前記指示位置を示す指示位置検知データを出力する指示位置検知ステップと、
前記画面表示装置が、前記指示位置検知データを受けて、前記指示位置検知データにて示される指示位置が前記ディスプレイの中心にくるように画面をスクロールする画面スクロールステップと、
前記画面表示装置が、前記指示位置検知データの取得タイミングまたは前記指示位置に基づいて表示倍率変更のトリガを検知したときに、前記画面スクロールステップと並行して、表示中の画面の表示倍率から画面をズームアウトし、続いて予め定められた表示倍率になるように画面をズームインする画面ズームステップと、
を備え、
前記画面スクロールステップおよび前記画面ズームステップの実行中に、画面表示の変更中に新たな指示位置検知データを受けたときには、前記画面表示装置は、当該指示位置検知データを受けたときに表示中の画面を基準として前記画面スクロールステップおよび前記画面ズームステップを実行する画面表示方法。
【請求項10】
ディスプレイに表示される画面の制御するためのプログラムであって、コンピュータに、
前記ディスプレイに表示された画面上で指し示された指示位置を検知し、前記指示位置を示す指示位置検知データを出力する指示位置検知ステップと、
前記指示位置検知データを受けて、前記指示位置検知データにて示される指示位置が前記ディスプレイの中心にくるように画面をスクロールする画面スクロールステップと、
前記指示位置検知データの取得タイミングまたは前記指示位置に基づいて表示倍率変更のトリガを検知したときに、前記画面スクロールステップと並行して、表示中の画面の表示倍率から画面をズームアウトし、続いて予め定められた表示倍率になるように画面をズームインする画面ズームステップと、
を実行させ、
前記画面スクロールステップおよび前記画面ズームステップの実行中に、画面表示の変更中に新たな指示位置検知データを受けたときには、当該指示位置検知データを受けたときに表示中の画面を基準として前記画面スクロールステップおよび前記画面ズームステップを実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−265835(P2009−265835A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112850(P2008−112850)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【Fターム(参考)】