説明

異物検出装置および異物検出方法

【課題】導電性を有する異物の検出に要するコストの低減を図りつつ、極く小さな異物であっても確実に検出する。
【解決手段】非導電性材料で形成された樹脂フィルム20にマイクロ波Wmを照射して樹脂フィルム20に含まれている導電性を有する異物Xを選択的に発熱させる発熱処理を実行するマイクロ波照射部3と、樹脂フィルム20を撮像して樹脂フィルム20における各部の温度を検出するサーモカメラ4と、マイクロ波照射部3による発熱処理およびサーモカメラによる樹脂フィルム20の撮像(樹脂フィルム20における各部の温度の検出)を制御すると共に、サーモカメラ4の撮像結果を温度検出結果として分析して、発熱処理によって発熱した発熱部位に異物Xが存在すると検出する処理部6とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出対象体内の異物を検出する異物検出装置および異物検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の異物検出装置として、「Cu、Auなどの導電性粒子(球状粒子)を高密度に含んだフィルム(フィルム樹脂層)」内に存在する「Al、Niなどの金属種の異物や、樹脂種の塊異物」等を光学的に検出可能に構成された異物検査装置が特開2003−65966号公報に開示されている。この異物検査装置は、フィルム樹脂層をフィルム基材層に貼り付けた被検査対象を連続的に移動させる送り機構と、被検査対象におけるフィルム樹脂層内に存在する異物(黒異物)を光学的に検出する第1の光学検出部と、被検査対象におけるフィルム樹脂層内に存在する異物(白異物)を光学的に検出する第2の光学検出部と、両光学検出部からの画像信号を基に画像処理して異物を検査・解析する検査・解析部とを備えている。また、両光学検出部は、光源および撮像装置(ラインセンサ、またはTDI(Time Delay and Integration)センサ)を備えて構成されている。
【0003】
この異物検査装置によるフィルム樹脂層の検査に際しては、搬送用ピンチローラを回転駆動させることによって被検査対象を長手方向に沿って走行させて搬送しつつ、両光学検出部において光源から被検査対象に光を照射した状態で撮像装置によってフィルム樹脂層を撮像する。この際には、両光学検出部の撮像装置から検査・解析部に画像信号が出力される。これに応じて、検査・解析部は、両撮像装置からの画像信号を画像処理して異物を検査・解析する。この際には、第1の光学検出部における撮像装置からの画像信号を検査・解析することで黒色の異物(黒異物)の有無が検査され、第2の光学検出部における撮像装置からの画像信号を検査・解析することで白色の異物(白異物)の有無が検査される。これにより、被検査対象のフィルム樹脂層を破壊することなく、異物の有無が検査される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−65966号公報(第4−9頁、第1−21図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来の異物検査装置には、以下の問題点が存在する。すなわち、従来の異物検査装置では、フィルム樹脂層をフィルム基材層に貼りつけた被検査対象を走行させながら撮像し、その画像信号を検査・解析することによって、光透過性を有するフィルム基材層内に黒色または白色の異物が存在するかを検査する構成が採用されている。この場合、この種の異物検査装置の被検査対象としては、上記公開公報に開示されている「液晶表示装置などの電子回路基板上の電極に半導体素子の電極を接続するのに用いられるフィルム(フィルム樹脂層)」だけでなく、「電池やコンデンサなどの電子部品に用いられて、隣接する導体間を絶縁するための絶縁フィルム」などの各種フィルムが存在する。
【0006】
上記のような絶縁フィルムを被検査対象とする場合には、絶縁能力を低下させる原因となる「導電性を有する異物」がフィルム内に存在するか否かが非常に重要な検査項目となる。しかしながら、従来の異物検査装置では、黒色の異物、または、白色の異物が存在するか否かを検査することができるものの、その異物が導電性を有する異物であるか否かを特定するのが困難となっている。したがって、従来の異物検査装置では、絶縁能力の低下を招くおそれのない非導電性の異物であっても、その異物が黒色または白色の場合には、画像信号の解析によって異物が存在する不良のフィルムであると検査される。このため、従来の異物検査装置には、フィルム製造の歩留まりが悪化しているという問題点がある。
【0007】
また、従来の異物検査装置では、撮像装置によって撮像した画像信号を解析することで、フィルム基材層内に黒色または白色の異物が存在するかを検査する構成が採用されている。この場合、絶縁フィルムを被検査対象とする場合には、極く小さな異物であっても、その異物が導電性を有している場合には、絶縁能力の低下を招くおそれがあるため、これを確実に検出する必要がある。しかしながら、極く小さな異物を光学的に検出する(画像信号の解析によって検出する)には、解像度の高い撮像装置が必要となる。したがって、従来の異物検査装置には、極く小さな異物を確実に検出するために、高価な撮像装置が必要となるだけでなく、解像度の高い撮像装置から大量の情報を短時間で解析するために、解析能力が高い(演算速度が速い)高価な解析装置が必要となるため、その検査コストの低減が困難になっているという問題点がある。
【0008】
さらに、従来の異物検査装置では、光透過性を有するフィルム樹脂層内に黒色または白色の異物が存在するかを検査する構成が採用されている。したがって、従来の異物検査装置では、例えば、黒色のフィルム樹脂層内に黒色の異物が存在する場合や、白色のフィルム樹脂層内に白色の異物が存在するときに、これら異物を検出することが困難になっているという問題点も存在する。
【0009】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、導電性を有する異物の検出に要するコストの低減を図りつつ、極く小さな異物であっても確実に検出し得る異物検出装置および異物検出方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成すべく請求項1記載の異物検出装置は、非導電性材料で形成された検出対象体に含まれている導電性を有する異物を選択的に発熱させる発熱処理を実行する発熱処理部と、前記検出対象体における各部の温度を検出する温度検出部と、前記発熱処理部による前記発熱処理および前記温度検出部による前記検出対象体における各部の温度の検出を制御する制御部と、前記温度検出部の温度検出結果を分析して、前記発熱処理によって発熱した発熱部位に前記異物が存在すると検出する分析検出部とを備えている。
【0011】
また、請求項2記載の異物検出装置は、請求項1記載の異物検出装置において、前記熱検出部として、前記検出対象体を撮像するサーモカメラを備え、前記分析検出部は、前記サーモカメラの撮像結果を前記温度検出結果として分析して、前記発熱部位に前記異物が存在すると検出する。
【0012】
さらに、請求項3記載の異物検出装置は、請求項1または2記載の異物検出装置において、前記非導電性材料で帯状に形成された前記検出対象体を前記制御部の制御に従って長手方向に沿って走行させて搬送する搬送機構を備えている。
【0013】
また、請求項4記載の異物検出装置は、非導電性材料で形成された検出対象体に含まれている導電性を有する異物を選択的に発熱させる発熱処理を実行する発熱処理部と、温度に応じて変色する感熱記録材料が少なくとも表面部位に配設された感熱部を有すると共に前記発熱処理が実行された前記検出対象体に当該感熱部の当該表面部位を接触させて当該感熱記録材料における当該検出対象体の発熱部位に接した部位を変色させる感熱処理を実行する感熱処理部と、当該感熱部の前記表面部位を撮像する光学カメラと、前記発熱処理部による前記発熱処理、前記感熱処理部による前記感熱処理、および前記光学カメラによる前記感熱部の撮像を制御する制御部と、前記光学カメラの撮像結果を分析して、前記感熱記録材料における変色部位に対応する当該検出対象体の部位に前記異物が存在すると検出する分析検出部とを備えている。
【0014】
また、請求項5記載の異物検出装置は、請求項4記載の異物検出装置において、前記非導電性材料で帯状に形成された前記検出対象体を前記制御部の制御に従って長手方向に沿って走行させて搬送する搬送機構を備え、前記感熱処理部は、温度に応じて可逆的に変色する前記感熱記録材料が少なくとも周面に配設されてロール状に形成されると共に前記発熱処理が実行された前記検出対象体に当該周面が接触し、かつ、前記搬送機構による当該検出対象体の搬送に合わせて回転可能に配置された感熱ロールを前記感熱部として備えている。
【0015】
さらに、請求項6記載の異物検出装置は、請求項5記載の異物検出装置において、前記光学カメラによる撮像が完了した前記周面を冷却する冷却部を備えている。
【0016】
また、請求項7記載の異物検出装置は、請求項1から6のいずれかに記載の異物検出装置において、前記発熱処理部は、前記検出対象体にマイクロ波を照射するマイクロ波照射部、当該検出対象体に電子線を照射する電子線照射部、および当該検出対象体の周囲に高周波磁界を生じさせる高周波磁界生成部のいずれかで構成されている。
【0017】
さらに、請求項8記載の異物検出装置は、請求項7記載の異物検出装置において、前記発熱処理部は、前記マイクロ波照射部を備えて構成されて、前記マイクロ波照射部は、周波数が相違する複数種類の前記マイクロ波を前記検出対象体に照射する。
【0018】
また、請求項9記載の異物検出装置は、請求項7記載の異物検出装置において、前記発熱処理部は、前記高周波磁界生成部を備えて構成されて、前記高周波磁界生成部は、周波数が相違する複数種類の前記高周波磁界を前記検出対象体の周囲に生じさせる。
【0019】
さらに、請求項10記載の異物検出装置は、請求項1から9のいずれかに記載の異物検出装置において、前記検出対象体において前記異物が存在すると特定した部位を特定可能にマーキングするマーキング部を備えている。
【0020】
また、請求項11記載の異物検出方法は、非導電性材料で形成された検出対象体に含まれている導電性を有する異物を選択的に発熱させる発熱処理を実行し、かつ、当該発熱処理を実行した前記検出対象体における各部の温度を検出すると共に、その温度検出結果を分析して、前記発熱処理によって発熱した発熱部位に前記異物が存在すると検出する。
【0021】
さらに、請求項12記載の異物検出方法は、請求項11記載の異物検出方法において、前記発熱処理を実行した前記検出対象体をサーモカメラによって撮像すると共に、当該サーモカメラの撮像結果を前記温度検出結果として分析して、前記発熱部位に前記異物が存在すると検出する。
【0022】
また、請求項13記載の異物検出方法は、非導電性材料で形成された検出対象体に含まれている導電性を有する異物を選択的に発熱させる発熱処理を実行すると共に、温度に応じて変色する感熱記録材料が少なくとも表面部位に配設された感熱部における当該表面部位を前記発熱処理を実行した前記検出対象体に接触させて当該感熱記録材料における当該検出対象体の発熱部位に接した部位を変色させる感熱処理を実行し、かつ、前記感熱部の前記表面部位を光学カメラによって撮像すると共に、当該光学カメラの撮像結果を分析して、前記感熱記録材料における変色部位に対応する当該検出対象体の部位に前記異物が存在すると検出する。
【0023】
さらに、請求項14記載の異物検出方法は、請求項11から13のいずれかに記載の異物検出方法において、前記検出対象体にマイクロ波を照射するマイクロ波照射処理、当該検出対象体に電子線を照射する電子線照射処理、および当該検出対象体の周囲に高周波磁界を生じさせる高周波磁界生成処理のいずれかを前記発熱処理として実行する。
【発明の効果】
【0024】
請求項1記載の異物検出装置では、発熱処理部が非導電性材料で形成された検出対象体に含まれている導電性を有する異物を選択的に発熱させる発熱処理を実行し、温度検出部が検出対象体における各部の温度を検出し、分析検出部が温度検出部の温度検出結果を分析して、発熱処理によって発熱した発熱部位に異物が存在すると検出する。また、請求項11記載の異物検出方法では、非導電性材料で形成された検出対象体に含まれている導電性を有する異物を選択的に発熱させる発熱処理を実行し、かつ、発熱処理を実行した検出対象体における各部の温度を検出すると共に、その温度検出結果を分析して、発熱処理によって発熱した発熱部位に異物が存在すると検出する。
【0025】
したがって、請求項1記載の異物検出装置、および請求項11記載の異物検出方法によれば、光学的撮像装置によって検出処理対象のフィルム樹脂層を撮像した画像信号を解析することでフィルム樹脂層内の異物を検出する従来の異物検査装置とは異なり、発熱処理によって発熱する「導電性を有する異物」だけを容易に検出することができるだけでなく、発熱処理によって発熱した異物、および異物の周囲の領域を含む十分に広い領域(発熱部位)の有無に基づいて異物の有無を特定することで、検出対象体における各部の温度をある程度広ピッチで検出したとしても、極く小さな異物についても確実に検出することができると共に、検出対象体における各部の温度を狭ピッチで検出する温度検出部や、大量のデータを短時間で処理し得る高い処理能力の分析検出部が不要となる結果、異物の検出に要するコストを十分に低減することができる。
【0026】
請求項2記載の異物検出装置、および請求項12記載の異物検出方法によれば、サーモカメラの撮像結果を温度検出結果として分析して、発熱部位に異物が存在すると検出することにより、検出対象体に対して非接触で各部の温度を検出することができるため、検出対象体を傷付けることなく、異物を検出することができると共に、発熱処理によって発熱した異物、および異物の周囲の領域を含む十分に広い領域(発熱部位)の有無に基づいて異物の有無を特定することで、比較的低解像度のサーモカメラによって極く小さな異物についても確実に検出することができるため、高解像度の撮像装置や、大量のデータを短時間で処理し得る高い処理能力の分析検出部が不要となる結果、異物の検出に要するコストを一層低減することができる。
【0027】
請求項3記載の異物検出装置によれば、非導電性材料で帯状に形成された検出対象体を長手方向に沿って走行させて搬送する搬送機構を備えたことにより、検出対象体を静止させた状態で発熱処理および温度検出部による温度の検出を実行する構成と比較して、搬送機構によって検出対象体を走行させつつ、発熱処理や温度の検出を実行することで、帯状で長い検出対象体の全体を対象とする異物の検出を短時間で完了させることができる。
【0028】
請求項4記載の異物検出装置では、発熱処理部が非導電性材料で形成された検出対象体に含まれている導電性を有する異物を選択的に発熱させる発熱処理を実行し、感熱処理部が温度に応じて変色する感熱記録材料が少なくとも表面部位に配設された感熱部の表面部位を発熱処理が実行された検出対象体に接触させて感熱記録材料における検出対象体の発熱部位に接した部位を変色させる感熱処理を実行し、光学カメラが感熱部の表面部位を撮像し、分析検出部が光学カメラの撮像結果を分析して、感熱記録材料における変色部位に対応する検出対象体の部位に異物が存在すると検出する。
【0029】
また、請求項13記載の異物検出方法では、非導電性材料で形成された検出対象体に含まれている導電性を有する異物を選択的に発熱させる発熱処理を実行すると共に、温度に応じて変色する感熱記録材料が少なくとも表面部位に配設された感熱部における表面部位を発熱処理を実行した検出対象体に接触させて感熱記録材料における検出対象体の発熱部位に接した部位を変色させる感熱処理を実行し、かつ、感熱部の表面部位を光学カメラによって撮像すると共に、光学カメラの撮像結果を分析して、感熱記録材料における変色部位に対応する検出対象体の部位に異物が存在すると検出する。
【0030】
したがって、請求項4記載の異物検出装置、および請求項13記載の異物検出方法によれば、光学的撮像装置によって検出処理対象のフィルム樹脂層を撮像した画像信号を解析することでフィルム樹脂層内の異物を検出する従来の異物検査装置とは異なり、発熱処理によって発熱する「導電性を有する異物」だけを容易に検出することができるだけでなく、発熱処理によって発熱した異物、および異物の周囲の領域(発熱部位)に接した十分に広い領域(変色部位)の有無に基づいて異物の有無を特定することで、比較的低解像度の光学カメラによって極く小さな異物についても確実に検出することができると共に、高解像度の撮像装置や、大量のデータを短時間で処理し得る高い処理能力の分析検出部が不要となる結果、異物の検出に要するコストを十分に低減することができる。また、例えばサーモカメラによって発熱部位の有無を特定する構成と比較して光学カメラが安価であるため、異物の検出に要するコストを一層低減することができる。
【0031】
請求項5記載の異物検出装置によれば、非導電性材料で帯状に形成された検出対象体を長手方向に沿って走行させて搬送する搬送機構を備えると共に、感熱処理部が、温度に応じて可逆的に変色する感熱記録材料が少なくとも周面に配設されてロール状に形成されると共に発熱処理が実行された検出対象体に周面が接触し、かつ、搬送機構による検出対象体の搬送に合わせて回転可能に配置された感熱ロールを感熱部として備えたことにより、検出対象体を静止させた状態で発熱処理、感熱処理、および光学カメラによる感熱部の撮像を実行する構成と比較して、搬送機構によって検出対象体を走行させつつ、発熱処理、感熱処理、および光学カメラによる感熱ロールの撮像を実行することで、帯状で長い検出対象体の全体を対象とする異物の検出を短時間で完了させることができる。
【0032】
請求項6記載の異物検出装置によれば、光学カメラによる撮像が完了した周面を冷却する冷却部を備えたことにより、検出対象体における発熱部位に接触して変色した変色部位を感熱ロールの1回転につき1回の周期でリセットして変色前の色に戻すことができるため、変色部位の有無に基づく異物の検出精度を十分に高めることができる。
【0033】
請求項7記載の異物検出装置では、発熱処理部が、検出対象体にマイクロ波を照射するマイクロ波照射部、検出対象体に電子線を照射する電子線照射部、および検出対象体の周囲に高周波磁界を生じさせる高周波磁界生成部のいずれかで構成されている。また、請求項14記載の異物検出方法では、検出対象体にマイクロ波を照射するマイクロ波照射処理、検出対象体に電子線を照射する電子線照射処理、および検出対象体の周囲に高周波磁界を生じさせる高周波磁界生成処理のいずれかを発熱処理として実行する。
【0034】
したがって、請求項7記載の異物検出装置、および請求項14記載の異物検出方法によれば、発熱処理に際して検出対象体に対して非接触で異物を発熱させることができるため、検出対象体を傷付けることなく、異物を検出することができる。
【0035】
請求項8記載の異物検出装置によれば、発熱処理部が、マイクロ波照射部を備えて構成されて、マイクロ波照射部は、周波数が相違する複数種類のマイクロ波を検出対象体に照射することにより、大きさや組成が相違する各種の異物を確実に検出することができる。
【0036】
請求項9記載の異物検出装置によれば、発熱処理部が、高周波磁界生成部を備えて構成されて、高周波磁界生成部は、周波数が相違する複数種類の高周波磁界を検出対象体の周囲に生じさせることにより、大きさや組成が相違する各種の異物を確実に検出することができる。
【0037】
また、請求項10記載の異物検出装置によれば、検出対象体において異物が存在すると特定した部位を特定可能にマーキングするマーキング部を備えたことにより、検出処理の完了後に、異物が存在する検出対象体のすべてを不良品として破棄することなく、異物が存在する部位を不良箇所特定用のマーキングに基づいて特定して、異物が存在する部位だけを破棄することができる。このため、検出対象体の製造の歩留まりを十分に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】異物検出装置1の構成を示す構成図である。
【図2】「発熱部位」について説明するための説明するための説明図である。
【図3】不良箇所特定用マークMを付した状態の樹脂フィルム20の平面図である。
【図4】異物検出装置1Aの構成を示す構成図である。
【図5】他の「発熱部位」について説明するための説明図である。
【図6】「変色部位」について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、異物検出装置および異物検出方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0040】
図1に示す異物検出装置1は、樹脂フィルム20(「検出対象体(検査対象体)」の一例)を対象として導電性を有する異物X(図2,3参照)を検出可能に構成された非破壊型の検出装置であって、搬送機構2、マイクロ波照射部3、サーモカメラ4、マーキング部5および処理部6を備えて構成されている。この場合、樹脂フィルム20は、一例として、電池やコンデンサ等の各種電子部品に用いられて隣接する導体間を絶縁するための絶縁フィルムであって、ポリプロピレンやポリエチレン等の樹脂材料(「非導電性材料」の一例)で長尺帯状に形成されて反物状に巻回されている。一方、図1に示すように、搬送機構2は、樹脂フィルム20が巻回された繰出し側ロール20a(検出処理前の樹脂フィルム20が巻回されているロール)を巻取り側ロール20b(検出処理後の樹脂フィルム20が巻回されるロール)に巻き取ることで樹脂フィルム20を長手方向に沿って矢印Bの向きに走行させて搬送可能に構成されている。
【0041】
具体的には、搬送機構2は、一例として、処理部6からの制御信号S2に従って、上記の巻取り側ロール20bを回転させるモータ2aを備えて構成されている。なお、「搬送機構」については、巻取り側ロール20bを回転させるためのモータ2aだけでなく、繰出し側ロール20aを回転させるためのモータ(図示せず)を備えて構成することもできる。また、図1では、異物検出装置1の構成についての理解を容易とするために、繰出し側ロール20aから巻取り側ロール20bに向けて樹脂フィルム20を直線的に走行させる構成の搬送機構2を図示しているが、実際の「搬送機構」には、樹脂フィルム20の走行方向を変化させたり、走行時に生じる振動を軽減したりするためのガイドローラや、樹脂フィルム20に対して所望の張力を付与するためのテンション機構などを備えている。
【0042】
マイクロ波照射部3は、繰出し側ロール20aと巻取り側ロール20bとの間に配置されている。このマイクロ波照射部3は、「発熱処理部」の一例であって、処理部6からの制御信号S3に従って、樹脂フィルム20にマイクロ波Wm(波長100μm〜1mの範囲内の電磁波:一例として、波長1000μmの電磁波)を照射することにより、上記の異物Xを選択的に発熱させる(「発熱処理」としての「マイクロ波照射処理」の一例)。なお、「異物Xを選択的に発熱させる」との処理には、「異物Xだけを発熱させる(樹脂フィルム20の樹脂材料を発熱させない)」との処理だけでなく、「異物Xを発熱させる際に樹脂フィルム20についても僅かに発熱する」との処理がこれに含まれる。
【0043】
サーモカメラ4は、温度検出部の一例であって、マイクロ波照射部3と巻取り側ロール20bとの間に配置されると共に、処理部6からの制御信号S4に従って、マイクロ波照射部3によってマイクロ波Wmが照射された樹脂フィルム20を撮像することで樹脂フィルム20における各部の温度を検出し、その撮像データDa(一例として、赤外線画像のデータ)を「温度検出結果」として処理部6に出力する。マーキング部5は、一例として、図示しないインクジェットノズルを備えて、サーモカメラ4と巻取り側ロール20bとの間に配置されると共に、処理部6からの制御信号S5に従い、樹脂フィルム20に不良箇所特定用マークM(図3参照)を印刷する(「異物が存在すると特定した部位を特定可能にマーキングする」との処理の一例)。
【0044】
処理部6は、異物検出装置1を総括的に制御する。具体的には、処理部6は、「制御部」に相当し、搬送機構2(モータ2a)を制御して樹脂フィルム20を搬送させると共に、マイクロ波照射部3を制御して樹脂フィルム20にマイクロ波Wmを照射させ(上記の「発熱処理」としての「マイクロ波照射処理」を実行させ)、サーモカメラ4を制御して樹脂フィルム20を撮像させる(樹脂フィルム20における各部の温度を検出させる)。また、処理部6は、「分析検出部」に相当し、サーモカメラ4からの撮像データDa(「温度検出結果」としての「サーモカメラの撮像結果」の一例)を分析することにより、樹脂フィルム20においてマイクロ波Wmの照射によって発熱した発熱部位を特定し、特定した発熱部位に導電性を有する異物Xが存在すると特定する。さらに、処理部6は、樹脂フィルム20に異物Xが存在すると特定したときに、マーキング部5を制御して樹脂フィルム20に不良箇所特定用マークMを印刷させる。
【0045】
この異物検出装置1による異物Xの検出処理に際しては、樹脂フィルム20が巻回された繰出し側ロール20aから樹脂フィルム20の端部を引き出して、モータ2aに固定されている巻取り側ロール20bにセットする。次いで、図示しない操作部の処理開始スイッチを操作する。この際に、処理部6は、まず、搬送機構2(モータ2a)に制御信号S2を出力して樹脂フィルム20の搬送を開始させる。この際には、モータ2aが巻取り側ロール20bを回転させることにより、樹脂フィルム20が繰出し側ロール20aから繰り出されて巻取り側ロール20bに巻き取られ、これにより、樹脂フィルム20が、その長手方向に沿って矢印Bの向きに走行させられて繰出し側ロール20aから巻取り側ロール20bに向けて搬送される。
【0046】
次いで、処理部6は、マイクロ波照射部3に制御信号S3を出力することにより、樹脂フィルム20に対するマイクロ波Wmの照射を開始させる。また、処理部6は、サーモカメラ4に制御信号S4を出力することにより、マイクロ波照射部3によってマイクロ波Wmが照射された樹脂フィルム20を撮像させる。これにより、マイクロ波Wmが照射されてから所定時間が経過した時点(「発熱処理」が実行されてから所定時間が経過した時点:マイクロ波Wmの照射位置からサーモカメラ4による撮像位置まで樹脂フィルム20が搬送されるのに要する時間が経過した時点)の樹脂フィルム20を撮像した撮像データDaがサーモカメラ4から順次出力される。
【0047】
この場合、樹脂フィルム20内に導電性を有する異物Xが存在するときには、この異物Xがマイクロ波照射部3からのマイクロ波Wmを受けて発熱する。また、樹脂フィルム20内の異物Xが発熱したときには、異物Xに生じた熱が、上記の「所定時間」内において、その異物Xの周囲の樹脂材料(樹脂フィルム20の母材)に伝熱する。このため、樹脂フィルム20内に異物Xが存在し、この異物Xの存在部位にマイクロ波Wmが照射されたときには、図2に示すように、異物Xだけでなく、異物X、および異物Xの周囲の領域Aaの温度が、その周囲(領域Aaの周囲)の温度よりも高温となる。
【0048】
したがって、処理部6は、サーモカメラ4から出力された撮像データDaを、樹脂フィルム20における各部の温度の検出結果(温度検出結果)として解析することにより、サーモカメラ4による撮像範囲内(樹脂フィルム20の長手方向の一部)に、周囲よりも高温の部位(すなわち、マイクロ波Wmの照射によって発熱した部位:「発熱部位」)が存在するか否かを判別する。また、処理部6は、発熱部位が存在すると判別したときに、マイクロ波Wmを受けて発熱する異物X、すなわち、導電性を有する異物Xが発熱部位に存在すると特定する。この場合、上記したように、樹脂フィルム20内に異物Xが存在し、この異物Xにマイクロ波Wmが照射されたときには、異物Xだけでなく、異物Xの周囲の領域Aaの温度が、その周囲よりも高温となる。したがって、樹脂フィルム20内に存在する異物Xが極く小さな場合であっても、比較的低解像度のサーモカメラ4(樹脂フィルム20における各部の温度をある程度広ピッチで検出する「温度検出部」の一例)によって、発熱部位を十分に特定することが可能となっている。
【0049】
一方、異物Xが存在すると特定したときには、処理部6は、マーキング部5に制御信号S5を出力することにより、図3に示すように、異物Xが存在すると特定した部位に不良箇所特定用マークMを印刷させる(「異物が存在すると特定した部位を特定可能にマーキングする」との処理の一例)。この後、処理部6は、繰出し側ロール20aに巻回されているすべての樹脂フィルム20が巻取り側ロール20bに巻き取られるまで、樹脂フィルム20に対するマイクロ波Wmの照射、およびサーモカメラ4による撮像を継続して実行させる。また、処理部6は、サーモカメラ4から出力された撮像データDaを解析して、異物Xの有無を判別すると共に、異物Xが存在すると特定したときには、マーキング部5を制御して不良箇所特定用マークMを印刷させる。これにより、樹脂フィルム20を対象とする「導電性を有する異物X」の検出処理が完了する。
【0050】
このように、この異物検出装置1では、マイクロ波照射部3が樹脂フィルム20にマイクロ波Wmを照射することで樹脂フィルム20に含まれている導電性を有する異物Xを選択的に発熱させる「発熱処理」を実行し、サーモカメラ4によって樹脂フィルム20を撮像することで樹脂フィルム20における各部の温度を検出し、処理部6がサーモカメラ4の撮像結果(温度検出結果:この例では、撮像データDa)を分析して、上記の「発熱処理」によって発熱した発熱部位に異物Xが存在すると検出する。また、この異物検出装置1による異物検出方法では、樹脂フィルム20に含まれている導電性を有する異物Xを選択的に発熱させる「発熱処理」を実行し、かつ、「発熱処理」を実行した樹脂フィルム20をサーモカメラ4によって撮像することで樹脂フィルム20における各部の温度を検出すると共に、サーモカメラの撮像結果(温度検出結果:この例では、撮像データDa)を分析して、「発熱処理」によって発熱した発熱部位に異物Xが存在すると検出する。
【0051】
したがって、この異物検出装置1、および異物検出装置1による異物検出方法によれば、光学的撮像装置によって検出処理対象のフィルム樹脂層を撮像した画像信号を解析することでフィルム樹脂層内の異物を検出する従来の異物検査装置とは異なり、「発熱処理(この例では、マイクロ波Wmの照射)」によって発熱する「導電性を有する異物X」だけを容易に検出することができるだけでなく、「発熱処理」によって発熱した異物X、および異物Xの周囲の領域Aaを含む十分に広い領域(発熱部位)の有無に基づいて異物Xの有無を特定することで、樹脂フィルム20における各部の温度をある程度広ピッチで検出したとしても、極く小さな異物Xについても確実に検出することができると共に、樹脂フィルム20における各部の温度を狭ピッチで検出する温度検出部や、大量のデータを短時間で処理し得る高い処理能力の「分析検出部」が不要となる結果、異物Xの検出に要するコストを十分に低減することができる。
【0052】
また、この異物検出装置1、および異物検出装置1による異物検出方法によれば、サーモカメラ4の撮像結果(この例では、撮像データDa)を「温度検出結果」として分析して、発熱部位に異物Xが存在すると検出することにより、樹脂フィルム20に対して非接触で各部の温度を検出することができるため、樹脂フィルム20を傷付けることなく、異物Xを検出することができると共に、発熱処理によって発熱した異物X、および異物Xの周囲の領域を含む十分に広い領域(発熱部位)の有無に基づいて異物Xの有無を特定することで、比較的低解像度のサーモカメラ4によって極く小さな異物Xについても確実に検出することができるため、高解像度の撮像装置や、大量のデータを短時間で処理し得る高い処理能力の「分析検出部」が不要となる結果、異物の検出に要するコストを一層低減することができる。
【0053】
さらに、この異物検出装置1によれば、非導電性材料で帯状に形成された樹脂フィルム20を長手方向に沿って走行させて搬送する搬送機構2を備えたことにより、樹脂フィルム20を静止させた状態で「発熱処理(例えば、マイクロ波Wmの照射)」および「温度検出部」による温度の検出(サーモカメラ4による撮像)を実行する構成と比較して、搬送機構2によって樹脂フィルム20を走行させつつ、「発熱処理」や「温度の検出(サーモカメラ4による撮像)」を実行することで、帯状で長い樹脂フィルム20の全体を対象とする異物Xの検出を短時間で完了させることができる。
【0054】
また、この異物検出装置1では、樹脂フィルム20にマイクロ波Wmを照射するマイクロ波照射部3によって「発熱処理部」が構成されている。さらに、この異物検出装置1による異物検出方法では、樹脂フィルム20にマイクロ波Wmを照射する「マイクロ波照射処理」を「発熱処理」として実行する。 したがって、この異物検出装置1、および異物検出装置1による異物検出方法によれば、「発熱処理」に際して樹脂フィルム20に対して非接触で異物Xを発熱させることができるため、樹脂フィルム20を傷付けることなく、異物Xを検出することができる。
【0055】
また、この異物検出装置1によれば、樹脂フィルム20において異物Xが存在すると特定した部位を特定可能にマーキングする(この例では、不良箇所特定用マークMを印刷する)マーキング部5を備えたことにより、検出処理の完了後に、異物Xが存在する樹脂フィルム20のすべてを不良品として破棄することなく、異物Xが存在する部位を不良箇所特定用マークMに基づいて特定して、異物Xが存在する部位だけを破棄することができる。このため、樹脂フィルム20の製造の歩留まりを十分に向上させることができる。
【0056】
次に、異物検出装置および異物検出方法の他の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、前述した異物検出装置1と同様の構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0057】
図4に示す異物検出装置1Aは、前述した異物検出装置1と同様にして樹脂フィルム20を破壊することなく異物Xを検出可能な非破壊型の検出装置であって、搬送機構2、マイクロ波照射部3、マーキング部5、処理部6、感熱ロール11、クリーナ12、冷却部13および光学カメラ14を備えて構成されている。
【0058】
感熱ロール11は、「感熱部」の一例であって、温度に応じて可逆的に変色する感熱記録材料が周面に配設されてロール状に形成されると共に、マイクロ波Wmが照射された樹脂フィルム20に周面が接触し、かつ、搬送機構2による樹脂フィルム20の搬送に合わせて回転可能に図示しない支持部材によって軸支されて、マイクロ波照射部3と巻取り側ロール20bとの間に配置されている。この場合、感熱ロール11の周面に配設された感熱記録材料は、一例として、常温(例えば25℃)において白色で、予め規定された規定温度(例えば、100℃)を超えて温度上昇させられたときに黒色に変色する発色型可逆感熱材料で構成されている。また、この感熱ロール11では、上記の感熱記録材料として、マイクロ波Wmの照射によって発熱しない材料が用いられると共に、感熱記録材料以外の部位についてもマイクロ波Wmの照射によって発熱しない材料(一例として、樹脂材料)で形成されている。
【0059】
クリーナ12は、一例としてブラシで構成されて感熱ロール11の周面に付着した塵埃を除去する。なお、この異物検出装置1Aでは、上記の感熱ロール11と、感熱ロール11を軸支する支持部材と、クリーナ12とが相まって「感熱処理部」を構成する。冷却部13は、感熱ロール11の周面に対向配置されると共に、処理部6からの制御信号S13に従い、後述するように光学カメラ14による撮像が完了した部位(感熱ロール11の周面)を冷却する。この場合、上記したように、感熱ロール11の周面には、温度に応じて可逆的に変色する感熱記録材料が配設されている。したがって、感熱ロール11の周面において温度上昇に伴って変色した(この例では、黒色に変色した)部位が、その周囲(変色した部位の周囲)と共に冷却部13によって冷却されることで、感熱ロール11の周面に配設された感熱記録材料が常温のときと同じ色(この例では、白色)に変色(元の白色に復帰)させられる。光学カメラ14は、感熱ロール11と巻取り側ロール20bとの間に配置されると共に、処理部6からの制御信号S14に従って、感熱ロール11の周面を撮像して撮像データDb(一例として、モノクロ画像のデータ)を処理部6に出力する。
【0060】
この異物検出装置1Aによる異物Xの検出処理に際しては、前述した異物検出装置1による異物Xの検出処理時と同様にして、搬送機構2のモータ2aが処理部6からの制御信号S2に従って巻取り側ロール20bを回転させることで樹脂フィルム20を繰り出して巻取り側ロール20bに巻き取る。これにより、樹脂フィルム20が、その長手方向に沿って走行させられて繰出し側ロール20aから巻取り側ロール20bに向けて矢印Bの向きに搬送される。次いで、処理部6は、マイクロ波照射部3に制御信号S3を出力することにより、樹脂フィルム20に対するマイクロ波Wmの照射を開始させる。また、処理部6は、光学カメラ14に制御信号S14を出力することにより、感熱ロール11の周面を撮像させる。これにより、樹脂フィルム20に対してマイクロ波Wmが照射されてから所定時間が経過した(「発熱処理」が実行されてから所定時間が経過した:マイクロ波Wmの照射位置から感熱ロール11の周面に接する位置まで樹脂フィルム20が搬送されるのに要する時間が経過した)の樹脂フィルム20に接した感熱ロール11を撮像した撮像データDbが光学カメラ14から順次出力される。
【0061】
この際に、樹脂フィルム20内に異物Xが存在するときには、マイクロ波Wmの照射によって異物Xが発熱し、図5に示すように、異物X、および異物Xの周囲の領域Ab1が、上記の「所定時間」内において、その周囲(領域Ab1の周囲)よりも高温となる。また、この異物検出装置1Aでは、感熱記録材料が配設されている周面を樹脂フィルム20に接触させた状態で感熱ロール11を樹脂フィルム20の搬送に合わせて回転させる構成が採用されている。このため、図4に示す矢印Bの向きに樹脂フィルム20が搬送されて、マイクロ波Wmの照射によって温度上昇した部位(異物Xおよびその周囲の領域Ab)が感熱ロール11の周面に接したときには、図6に示すように、樹脂フィルム20における上記の発熱部位に接した領域Ab2の感熱記録材料が黒色に変色する(「感熱処理」の一例)。
【0062】
したがって、処理部6は、光学カメラ14から出力された撮像データDbを解析することにより、光学カメラ14による撮像範囲内(感熱ロール11の周面の一部)に、周囲よりも高温の部位(マイクロ波Wmの照射による樹脂フィルム20の発熱部位)に接触して変色した部位(領域Ab2:変色部位)が存在するか否かを判別する。また、処理部6は、変色部位が存在すると判別したときに、その変色部位に接触した樹脂フィルム20の対応する部位に、マイクロ波Wmを受けて発熱する異物X、すなわち、導電性を有する異物Xが存在すると特定する。この場合、上記したように、樹脂フィルム20内に異物Xが存在し、この異物Xにマイクロ波Wmが照射されたときには、異物Xだけでなく、異物Xの周囲の領域Ab1の温度が、その周囲よりも高温となる。このため、感熱ロール11の周面において、異物Xおよび領域Ab1に接した十分に広い領域Ab2が温度に応じて変色することとなる。したがって、樹脂フィルム20内に存在する異物Xが極く小さな場合であっても、比較的低解像度の光学カメラ14によって、変色部位(領域Ab2)を確実に特定することが可能となっている。
【0063】
一方、異物Xが存在すると特定したときには、処理部6は、マーキング部5に制御信号S5を出力することにより、図3に示すように、異物Xが存在すると特定した部位に不良箇所特定用マークMを印刷させる。また、感熱ロール11の回転に伴って、上記の発熱部位に接触して黒色に変色した変色部位が冷却部13の位置まで到達したときには、周面に配設されている感熱記録材料が冷却部13による冷却によって冷却されて白色に変色する。この後、処理部6は、繰出し側ロール20aに巻回されているすべての樹脂フィルム20が巻取り側ロール20bに巻き取られるまで、樹脂フィルム20に対するマイクロ波Wmの照射および光学カメラ14による感熱ロール11の撮像を継続して実行させる。また、処理部6は、光学カメラ14から出力された撮像データDbを解析して、異物Xの有無を判別すると共に、異物Xが存在すると特定したときには、マーキング部5を制御して不良箇所特定用マークMを印刷させる。これにより、樹脂フィルム20を対処とする「導電性を有する異物X」の検出処理が完了する。
【0064】
このように、この異物検出装置1Aでは、マイクロ波照射部3が樹脂フィルム20にマイクロ波Wmを照射することで樹脂フィルム20に含まれている導電性を有する異物Xを選択的に発熱させる「発熱処理」を実行し、「感熱処理部(本例では、感熱ロール11、感熱ロール11の支持部材、およびクリーナ12)」が感熱ロール11の表面部位を「発熱処理」が実行された樹脂フィルム20に接触させて感熱ロール11の感熱記録材料における樹脂フィルム20の発熱部位に接した部位を変色させる「感熱処理」を実行し、光学カメラ14が感熱ロール11の表面部位を撮像し、処理部6が光学カメラ14の撮像結果(この例では、撮像データDb)を分析して、感熱記録材料における変色部位に対応する樹脂フィルム20の部位に異物Xが存在すると検出する。
【0065】
また、この異物検査装置1Aによる異物検出方法では、樹脂フィルム20にマイクロ波Wmを照射することで樹脂フィルム20に含まれている導電性を有する異物Xを選択的に発熱させる「発熱処理」を実行すると共に、温度に応じて変色する感熱記録材料が少なくとも表面部位に配設された感熱ロール11の表面部位(周面)を、「発熱処理」を実行した樹脂フィルム20に接触させて感熱記録材料における樹脂フィルム20の発熱部位に接した部位を変色させる「感熱処理」を実行し、かつ、感熱ロール11の表面部位を光学カメラ14によって撮像すると共に、光学カメラ14の撮像結果(この例では、撮像データDb)を分析して、感熱記録材料における変色部位に対応する樹脂フィルム20の部位に異物Xが存在すると検出する。
【0066】
したがって、この異物検出装置1A、および異物検出装置1Aによる異物検出方法によれば、光学的撮像装置によって検出処理対象のフィルム樹脂層を撮像した画像信号を解析することでフィルム樹脂層内の異物を検出する従来の異物検査装置とは異なり、「発熱処理(この例では、マイクロ波Wmの照射)」によって発熱する「導電性を有する異物X」だけを容易に検出することができるだけでなく、「発熱処理」によって発熱した異物X、および異物Xの周囲の領域Ab1(発熱部位)に接した十分に広い領域Ab2(変色部位)の有無に基づいて異物Xの有無を特定することで、比較的低解像度の光学カメラ14によって極く小さな異物Xについても確実に検出することができると共に、高解像度の撮像装置や、大量のデータを短時間で処理し得る高い処理能力の「分析検出部」が不要となる結果、異物Xの検出に要するコストを十分に低減することができる。また、前述した異物検出装置1におけるサーモカメラ4と比較して光学カメラ14が安価であるため、異物Xの検出に要するコストを一層低減することができる。
【0067】
また、この異物検出装置1Aによれば、非導電性材料で帯状に形成された樹脂フィルム20を長手方向に沿って走行させて搬送する搬送機構2を備えると共に、「感熱処理部」が、温度に応じて可逆的に変色する感熱記録材料が少なくとも周面に配設されてロール状に形成されると共に「発熱処理」が実行された樹脂フィルム20に周面が接触し、かつ、搬送機構2による樹脂フィルム20の搬送に合わせて回転可能に配置された感熱ロール11を「感熱部」として備えたことにより、樹脂フィルム20を静止させた状態で「発熱処理(例えば、マイクロ波Wmの照射)」、「感熱処理(樹脂フィルム20に感熱部を接触させる処理)」、および光学カメラ14による「感熱部」の撮像を実行する構成と比較して、搬送機構2によって樹脂フィルム20を走行させつつ、「発熱処理」、「感熱処理(この例では、樹脂フィルム20に感熱ロール11を接触させる処理)、および光学カメラ14による感熱ロール11の撮像を実行することで、帯状で長い樹脂フィルム20の全体を対象とする異物Xの検出を短時間で完了させることができる。
【0068】
また、この異物検出装置1Aによれば、光学カメラ14による撮像が完了した周面を冷却する冷却部13を備えたことにより、樹脂フィルム20における発熱部位に接触して変色した変色部位を感熱ロール11の1回転につき1回の周期でリセットして変色前の色に戻すことができるため、変色部位の有無に基づく異物Xの検出精度を十分に高めることができる。
【0069】
また、この異物検出装置1Aでは、樹脂フィルム20にマイクロ波Wmを照射するマイクロ波照射部3によって「発熱処理部」が構成されている。さらに、この異物検出装置1Aによる異物検出方法では、樹脂フィルム20にマイクロ波Wmを照射する「マイクロ波照射処理」を「発熱処理」として実行する。 したがって、この異物検出装置1A、および異物検出装置1Aによる異物検出方法によれば、前述した異物検出装置1A、および異物検出装置1Aによる異物検出方法と同様にして、「発熱処理」に際して樹脂フィルム20に対して非接触で異物Xを発熱させることができるため、樹脂フィルム20を傷付けることなく、異物Xを検出することができる。
【0070】
さらに、この異物検出装置1Aによれば、樹脂フィルム20において異物Xが存在すると特定した部位を特定可能にマーキングする(この例では、不良箇所特定用マークMを印刷する)マーキング部5を備えたことにより、上記の異物検出装置1と同様にして、検出処理の完了後に、異物Xが存在する樹脂フィルム20のすべてを不良品として破棄することなく、異物Xが存在する部位を不良箇所特定用マークMに基づいて特定して、異物Xが存在する部位だけを破棄することができるため、樹脂フィルム20の製造の歩留まりを十分に向上させることができる。
【0071】
なお、異物検出装置の構成および異物検出方法は、上記の異物検出装置1,1Aの構成およびその検出方法に限定されない。例えば、樹脂フィルム20においてマイクロ波Wmを照射した面をサーモカメラ4によって撮像する構成の異物検出装置1を例に挙げて説明したが、マイクロ波Wmを照射する面、およびサーモカメラ4によって撮像する面は同一面に限定されず、マイクロ波Wmを照射した面の裏面をサーモカメラ4によって撮像する構成および方法を採用することもできる。また、樹脂フィルム20においてマイクロ波Wmを照射した面の裏面側に感熱ロール11の周面を接触させる構成の異物検出装置1Aを例に挙げて説明したが、感熱ロール11の周面を接触させる面は、マイクロ波Wmを照射した面の裏面側に限定されず、マイクロ波Wmを照射した面と同一面に感熱ロール11の周面を接触させる構成および方法を採用することもできる。
【0072】
また、「温度検出部」としてのサーモカメラ4を備えた構成、およびサーモカメラ4によって撮像することで各部の温度を検出する例について説明したが、サーモカメラ4に代えて、例えば、複数の温度センサ(一例として、熱電対)を用いて構成することもできる。具体的には、複数の温度センサをライン状、またはマトリクス状に配置した温度センサアレイを「温度検出部」として配設すると共に、「発熱処理部」による「発熱処理」が完了した「検出対象体」に対して、温度センサアレイを接触させるか、または、極く近傍に近接させることで「検出対象体」における各部の温度を検出し、温度センサアレイから出力されたセンサ信号を「温度検出結果」として分析して、「発熱処理によって発熱した発熱部位」に「異物」が存在すると検出する構成および方法を採用することができる。このような構成および方法を採用した場合においても、上記の異物検出装置1、および異物検出装置1による異物検出方法と同様の効果を奏することができる。
【0073】
さらに、「検出対象体」としての樹脂フィルム20にマイクロ波Wmを照射することにより、マイクロ波Wmの照射によって発熱する「導電性を有する異物X」だけを検出する異物検出装置1,1A、およびその異物検出方法について説明したが、「異物検出装置」の構成、および「異物検出方法」はこれに限定されない。例えば、前述した異物検出装置1,1Aにおけるマイクロ波照射部3に代えて樹脂フィルム20に電子線を照射する電子線照射部(図示せず)を「発熱処理部」として配設すると共に、この電子線照射部によって樹脂フィルム20に電子線を照射することで「導電性を有する異物X」を選択的に発熱させる処理(「発熱処理」の他の一例である「電子線照射処理」の一例)を実行する構成および方法を採用することができる(図示せず)。このような構成を採用した異物検出装置、およびその異物検出方法によれば、前述した異物検出装置1A、および異物検出装置1Aによる異物検出方法と同様にして、「発熱処理」に際して樹脂フィルム20に対して非接触で異物Xを発熱させることができるため、樹脂フィルム20を傷付けることなく、異物Xを検出することができる。
【0074】
また、前述した異物検出装置1,1Aにおけるマイクロ波照射部3に代えて搬送機構2による樹脂フィルム20の搬送路に100kHz〜3GHzの範囲内の高周波磁界を生じさせる高周波磁界生成部を「発熱処理部」として配設すると共に、非導電性材料で帯状に形成された樹脂フィルム20を長手方向に沿って走行させて搬送しつつ、樹脂フィルム20の搬送路に高周波磁界を生じさせて樹脂フィルム20を高周波磁界に晒すことによって「導電性を有する異物X」を選択的に発熱させる処理(「発熱処理」のさらに他の一例である「高周波磁界生成処理」の一例)を実行する構成および方法を採用することができる(図示せず)。このような構成を採用した異物検出装置、およびその異物検出方法によれば、前述した異物検出装置1A、および異物検出装置1Aによる異物検出方法と同様にして、「発熱処理」に際して樹脂フィルム20に対して非接触で異物Xを発熱させることができるため、樹脂フィルム20を傷付けることなく、異物Xを検出することができる。
【0075】
一方、「検出対象体」に含まれている「異物」は、その大きさや組成によって、好適に発熱するマイクロ波の周波数や、好適に発熱する高周波磁界の周波数が相違する。したがって、「発熱処理部」として「マイクロ波照射部」を備えた異物検出装置、および「発熱処理」として「マイクロ波照射処理」を実行する異物検出方法においては、周波数が相違する複数種類のマイクロ波を「検出対象体」に照射するするのが好ましい。また、「発熱処理部」として「高周波磁界生成部」を備えた異物検出装置、および「発熱処理」として「高周波磁界生成処理」を実行する異物検出方法においては、周波数が相違する複数種類の高周波磁界を「検出対象体」の周囲に生じさせるのが好ましい。このような構成を採用することにより、大きさや組成が相違する各種の「異物」を確実に検出することができる。
【0076】
なお、上記の「周波数が相違する複数種類のマイクロ波」については、複数の照射源から周波数が互いに相違する複数種類のマイクロ波を出射して、複数種類のマイクロ波を「検出対象体」に対して同時(または、順に)照射する構成・方法と、1つの照射源から周波数が相違する複数のマイクロ波を順次出射して(例えば、周波数をスイープさせて出射して)、複数種類のマイクロ波を「検出対象体」に対して順に照射する構成・方法とのいずれかを採用することができる。同様にして、「周波数が相違する複数種類の高周波磁界」については、複数の磁界発生源によって周波数が互いに相違する複数種類の高周波磁界を「検出対象体」の周囲に同時(または、順に)生じさせる構成・方法と、1つの磁界発生源によって周波数が互いに相違する複数種類の高周波磁界を「検出対象体」の周囲に順に生じさせる構成・方法とのいずれかを採用することができる。
【0077】
また、帯状の樹脂フィルム20を「検出対象体」とし、この樹脂フィルム20を搬送機構2によって走行させつつ、異物Xを検出する構成・方法について説明したが、例えば、樹脂フィルム20を所定の長さに切断した絶縁シート(短尺の「検査対象体」の一例:図示せず)についても異物Xが含まれているか否かを検出することもできる。具体的には、絶縁シートを静止させた状態において、前述した各種の「発熱処理」のいずれかを実行し、その後に、絶縁シートをサーモカメラ4によって撮像し、サーモカメラ4の撮像結果(前述した撮像データDaと同様のデータ)を分析して、「発熱処理」によって発熱した発熱部位に異物Xが存在すると検出する構成・方法を採用することができる。
【0078】
このような構成・方法を採用した場合においても、従来の異物検査装置とは異なり、「発熱処理」によって発熱する「導電性を有する異物X」だけを容易に検出することができるだけでなく、「発熱処理」によって発熱した異物X、および異物Xの周囲の領域を含む十分に広い領域(発熱部位)の有無に基づいて異物Xの有無を特定することで、比較的低解像度のサーモカメラ4によって極く小さな異物Xについても確実に検出することができると共に、高解像度の撮像装置や、大量のデータを短時間で処理し得る高い処理能力の「分析検出部」が不要となる結果、異物Xの検出に要するコストを十分に低減することができる。
【0079】
また、絶縁シートを静止させた状態において、前述した各種の「発熱処理」のいずれかを実行した後に、絶縁シートに対して「感熱部(一例として、感熱紙)」を接触させ(「感熱処理」の他の一例)、その後に、「感熱部」を光学カメラ14によって撮像すると共に、光学カメラ14の撮像結果(前述した撮像データDbと同様のデータ)を分析して、「感熱部(感熱記録材料)」における変色部位に対応する絶縁シートの部位に異物Xが存在すると検出する構成・方法を採用することができる。
【0080】
このような構成・方法を採用した場合においても、従来の異物検査装置とは異なり、「発熱処理」によって発熱する「導電性を有する異物X」だけを容易に検出することができるだけでなく、「発熱処理」によって発熱した異物X、および異物Xの周囲の領域(発熱部位)に接した十分に広い領域(変色部位)の有無に基づいて異物Xの有無を特定することで、比較的低解像度の光学カメラ14によって極く小さな異物Xについても確実に検出することができると共に、高解像度の撮像装置や、大量のデータを短時間で処理し得る高い処理能力の「分析検出部」が不要となる結果、異物Xの検出に要するコストを十分に低減することができる。また、例えばサーモカメラ4と比較して光学カメラ14が安価であるため、異物Xの検出に要するコストを一層低減することができる。
【0081】
また、「制御部」に相当すると共に「分析検出部」に相当する処理部6を備えた異物検出装置1,1Aを例に挙げて説明したが、「制御部」および「分析検出部」を別個独立して備えた構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0082】
1,1A 異物検出装置
2 搬送機構
2a モータ
3 マイクロ波照射部
4 サーモカメラ
5 マーキング部
6 処理部
11 感熱ロール
12 クリーナ
13 冷却部
14 光学カメラ
20 樹脂フィルム
20a 繰出し側ロール
20b 巻取り側ロール
Aa,Ab1,Ab2 領域
Da,Db 撮像データ
M 不良箇所特定用マーク
S2〜S5,S13,S14 制御信号
Wm マイクロ波
X 異物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非導電性材料で形成された検出対象体に含まれている導電性を有する異物を選択的に発熱させる発熱処理を実行する発熱処理部と、前記検出対象体における各部の温度を検出する温度検出部と、前記発熱処理部による前記発熱処理および前記温度検出部による前記検出対象体における各部の温度の検出を制御する制御部と、前記温度検出部の温度検出結果を分析して、前記発熱処理によって発熱した発熱部位に前記異物が存在すると検出する分析検出部とを備えている異物検出装置。
【請求項2】
前記熱検出部として、前記検出対象体を撮像するサーモカメラを備え、
前記分析検出部は、前記サーモカメラの撮像結果を前記温度検出結果として分析して、前記発熱部位に前記異物が存在すると検出する請求項1記載の異物検出装置。
【請求項3】
前記非導電性材料で帯状に形成された前記検出対象体を前記制御部の制御に従って長手方向に沿って走行させて搬送する搬送機構を備えている請求項1または2記載の異物検出装置。
【請求項4】
非導電性材料で形成された検出対象体に含まれている導電性を有する異物を選択的に発熱させる発熱処理を実行する発熱処理部と、温度に応じて変色する感熱記録材料が少なくとも表面部位に配設された感熱部を有すると共に前記発熱処理が実行された前記検出対象体に当該感熱部の当該表面部位を接触させて当該感熱記録材料における当該検出対象体の発熱部位に接した部位を変色させる感熱処理を実行する感熱処理部と、当該感熱部の前記表面部位を撮像する光学カメラと、前記発熱処理部による前記発熱処理、前記感熱処理部による前記感熱処理、および前記光学カメラによる前記感熱部の撮像を制御する制御部と、前記光学カメラの撮像結果を分析して、前記感熱記録材料における変色部位に対応する当該検出対象体の部位に前記異物が存在すると検出する分析検出部とを備えている異物検出装置。
【請求項5】
前記非導電性材料で帯状に形成された前記検出対象体を前記制御部の制御に従って長手方向に沿って走行させて搬送する搬送機構を備え、
前記感熱処理部は、温度に応じて可逆的に変色する前記感熱記録材料が少なくとも周面に配設されてロール状に形成されると共に前記発熱処理が実行された前記検出対象体に当該周面が接触し、かつ、前記搬送機構による当該検出対象体の搬送に合わせて回転可能に配置された感熱ロールを前記感熱部として備えている請求項4記載の異物検出装置。
【請求項6】
前記光学カメラによる撮像が完了した前記周面を冷却する冷却部を備えている請求項5記載の異物検出装置。
【請求項7】
前記発熱処理部は、前記検出対象体にマイクロ波を照射するマイクロ波照射部、当該検出対象体に電子線を照射する電子線照射部、および当該検出対象体の周囲に高周波磁界を生じさせる高周波磁界生成部のいずれかで構成されている請求項1から6のいずれかに記載の異物検出装置。
【請求項8】
前記発熱処理部は、前記マイクロ波照射部を備えて構成されて、前記マイクロ波照射部は、周波数が相違する複数種類の前記マイクロ波を前記検出対象体に照射する請求項7記載の異物検出装置。
【請求項9】
前記発熱処理部は、前記高周波磁界生成部を備えて構成されて、前記高周波磁界生成部は、周波数が相違する複数種類の前記高周波磁界を前記検出対象体の周囲に生じさせる請求項7記載の異物検出装置。
【請求項10】
前記検出対象体において前記異物が存在すると特定した部位を特定可能にマーキングするマーキング部を備えている請求項1から9のいずれかに記載の異物検出装置。
【請求項11】
非導電性材料で形成された検出対象体に含まれている導電性を有する異物を選択的に発熱させる発熱処理を実行し、かつ、当該発熱処理を実行した前記検出対象体における各部の温度を検出すると共に、その温度検出結果を分析して、前記発熱処理によって発熱した発熱部位に前記異物が存在すると検出する異物検出方法。
【請求項12】
前記発熱処理を実行した前記検出対象体をサーモカメラによって撮像すると共に、当該サーモカメラの撮像結果を前記温度検出結果として分析して、前記発熱部位に前記異物が存在すると検出する請求項11記載の異物検出方法。
【請求項13】
非導電性材料で形成された検出対象体に含まれている導電性を有する異物を選択的に発熱させる発熱処理を実行すると共に、温度に応じて変色する感熱記録材料が少なくとも表面部位に配設された感熱部における当該表面部位を前記発熱処理を実行した前記検出対象体に接触させて当該感熱記録材料における当該検出対象体の発熱部位に接した部位を変色させる感熱処理を実行し、かつ、前記感熱部の前記表面部位を光学カメラによって撮像すると共に、当該光学カメラの撮像結果を分析して、前記感熱記録材料における変色部位に対応する当該検出対象体の部位に前記異物が存在すると検出する異物検出方法。
【請求項14】
前記検出対象体にマイクロ波を照射するマイクロ波照射処理、当該検出対象体に電子線を照射する電子線照射処理、および当該検出対象体の周囲に高周波磁界を生じさせる高周波磁界生成処理のいずれかを前記発熱処理として実行する請求項11から13のいずれかに記載の異物検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−73225(P2012−73225A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141467(P2011−141467)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】