説明

疲労低減シート装置

【課題】乗員の疲労低減を効果的に行う。
【解決手段】初期設定処理部30は、運転開始時においてシート2の座面に配設された座圧計4、血流計6からの測定値を用いて基準となる閾値を補正して当該ドライバのための閾値を設定する。走行時、制御部26は、座圧計4、血流計6からの測定値に基づき得られるドライバの身体状態情報が閾値を上回ったことを検出すると、シート駆動機構10を駆動して、疲労が感じられる身体の該当部位に対応するシート2の移動部位を動かす。学習機能処理部28は、ドライバにより入力された疲労具合を参照にしてドライバの疲労具合をより正確に判断できるように閾値を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疲労低減シート装置、特に乗員の疲労具合の認識の精度向上に関する。
【背景技術】
【0002】
ドライバは、シートに着座しじっとしていると、血液の流れが滞って筋肉が疲れやすくなる。このとき、ドライバの身体を定期的に動かしたりすると、ドライバの疲労を低減できることがわかっている。
【0003】
例えば、特許文献1,2には、運転開始から一定時間経過した後に座面を駆動することによって、大腿部、座骨周辺部等に刺激を与えて疲労を低減する指令を出す技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平5−112166号公報
【特許文献2】特開平11−342775号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来においては、運転時間が長くなるにつれドライバの疲労具合も増加するという実状に従い、運転開始から一定時間経過する度に座面を定期的に駆動することによって疲労の低減を図るという制御に留まり、ドライバの実際の疲労具合と座面の駆動タイミングとが必ずしも合致するとは限らなかった。
【0006】
例えば、運転の熟練者と初心者とでは、運転開始から1時間後における疲労度の遷移が全く同じであるとは考えられない。熟練者は、1時間経過してもそれほど疲労感がないために座面の駆動がまだ不要であるかもしれない。その一方、初心者にとっては、1時間が経過する前から疲労を感じているかもしれない。しかしながら、従来においては、乗員の実際に疲労度とは関係なしに予め設定した1時間毎に画一的に座面を駆動させることしかできなかった。
【0007】
また、運転開始から1時間経過した時点での疲労具合と、数時間経過した後から更に1時間経過した時点での疲労具合とは、疲労の蓄積度からして同じにはならないはずである。しかしながら、従来においては、疲労の蓄積度とは無関係に常に1時間間隔で座面を駆動させることしかできなかった。
【0008】
このように、従来においては、乗員の実際の疲労具合の認識に関して難があったため、乗員への疲労低減を効果的に行えるとは限らなかった。
【0009】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、乗員の疲労低減を効果的に行うことのできる改良された疲労低減シート装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上のような目的を達成するために、本発明に係る疲労低減シート装置は、移動手段に搭乗した乗員の疲労を低減させる疲労低減シート装置において、疲労具合により測定値が変化する乗員の身体状態を表すデータを収集する収集手段と、乗員が着座しているシートの状態を変化させるシート駆動手段と、前記収集手段により収集されたデータを分析することによって乗員の疲労具合を検出し、検出した疲労具合に応じて予め設定された乗員の疲労具合を低減させる動作パターンに従い前記シート駆動手段を駆動する制御手段とを有することを特徴とする。
【0011】
また、前記制御手段は、前記移動手段の走行を開始するために着座した乗員により前記移動手段のスイッチがオン操作されたとき、前記収集手段により収集されたデータから得られる身体状態情報をその乗員の身体の初期状態として保存し、その初期状態を用いて予め設定された身体状態基準値を補正することによって当該乗員の疲労具合に応じて前記シート駆動手段の駆動タイミングを決定するための閾値を設定する初期設定処理部を有することを特徴とする。
【0012】
また、前記移動手段のスイッチがオフ操作されるときに、そのオフ操作が目的地の到達時若しくは休憩時における操作の別を乗員に入力させ、その入力により休憩時におけるオフ操作と認識したときには、前記移動手段の状態を、乗員が休憩する旨を示す休憩モードとして設定、保存する休憩モード処理手段を有し、前記制御手段は、前記移動手段のスイッチがオン操作されたときの前記移動手段の状態が休憩モードであるときには、前記初期設定処理部の動作を抑止することを特徴とする。
【0013】
また、前記収集手段は、乗員着座時の荷重分布を収集する荷重センサであり、前記制御手段は、前記荷重センサにより収集された荷重分布から荷重中心点が同じ場所にある状態が乗員の疲労と判定する基準時間以上継続した場合に前記動作パターンに従い前記シート駆動手段を駆動することを特徴とする。
【0014】
また、前記収集手段は、血流計であり、前記制御手段は、前記血流計により収集された乗員の血流量と、前記閾値との比較結果に応じて前記シート駆動手段を駆動することを特徴とする。
【0015】
また、前記制御手段は、前記収集手段により乗員脚部の鬱血状態を検出した場合、乗員脚部が接触するシート前端を下げさせるように前記シート駆動手段を駆動することを特徴とする。
【0016】
また、乗員に身体の疲労具合を入力させる操作入力部を有し、乗員による入力内容に従い前記初期設定処理部により設定保存された閾値を、乗員の疲労具合に応じた値に設定変更する学習機能処理手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、乗員の身体状態を表すデータを収集し、そのデータを分析するようにしたので、乗員の実際の疲労具合をより正確に把握することができる。また、把握した乗員の実際の疲労具合に応じてシート駆動手段を駆動するようにしたので、乗員の疲労低減のためのシート駆動制御を、その乗員の疲労低減のためにより効果的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る疲労低減シート装置のシート部分の一実施の形態を示した斜視図である。本実施の形態におけるシート2は、車両の運転席として使用され、フロントバーチカル、ランバーサポート上下、リフター、ヘッドレスト等の位置調節が可能な一般的な電動着座シートを基本構成とし、このシート2の座面等にドライバの身体状態を表すデータを収集する収集手段を配設した構造を有している。本実施の形態では、収集手段として座圧計4と血流計6を配設した。座圧計4は、座面全体に散在配置されており、ドライバが着座したときの座圧を検出する。座圧計4を用いることによって例えば200g以上などのように、ある閾値以上の圧力がかかっているシート表面における荷重分布を2次元で得ることができ、これにより、閾値以上の座圧部分の面積を計測することができる。また、血流計6は、ドライバの肩、太ももの裏側等血流測定箇所が着座により押し付けられるシート上の位置に配設される。また、シート上ではなくケーブル8にて接続された血流計6を足等の測定箇所に貼り付けるような構造としてもよい。血流計6は、皮膚の下数mmの毛細血管の流れを測定する。
【0020】
本実施の形態では、ドライバの疲労具合により測定値が変化すると考えられる身体の状態として座圧及び血流量を測定し情報収集するようにしたが、これ以外の身体の状態、例えば皮膚温度等を測定するようにしてもよい。
【0021】
また、シート2の横には、学習機能処理の実施および自動的に行われるシート駆動制御の強制的な禁止を行うための手動作動スイッチ9が設けられている。
【0022】
図2は、本実施の形態における疲労低減シート装置のブロック構成図である。本実施の形態における疲労低減シート装置は、ドライバが着座するシート2と、座圧計4等による測定値に基づきシート2の駆動制御を実行する車載コンピュータ20と、インパネ部分に配設されたユーザインタフェース40とで構成される。
【0023】
シート2には、前述した座圧計4、血流計6及び手動作動スイッチ9に加え、フロントバーチカル、ランバーサポート上下等シート2の移動部位を動かすことによってシート2の状態を変化させるシート駆動機構10が配設される。
【0024】
車載コンピュータ20は、CPU、メモリ、外部記憶装置等コンピュータとして一般的なハードウェア構成を有している。疲労情報マスタ22及び個人情報データベース(DB)24は、外部記憶装置により実現される。制御部26及び学習機能処理部28は、後述する処理機能を有するソフトウェアプログラムをCPUで実行することで実現される。制御部26は、ドライバの疲労低減を図るための全体的な動作制御を行う。具体的には、座圧計4等により収集された測定値を入力し、その入力された測定値を分析することによってドライバの疲労具合を推測、認識する。また、認識した疲労具合に応じて所定の動作パターンに従いシート駆動機構10を駆動する。この所定の動作パターンは、疲労情報マスタ22に予め設定されており、この動作パターンに従いシート駆動機構10を駆動することによってドライバの疲労具合を低減させることができる。また、制御部26は、初期設定処理部30及び休憩モード設定処理部32を有している。初期設定処理部30は、ドライバの身体状態データの保存等、ドライバが運転を開始した時点において実施すべき初期設定処理を実行する。休憩モード設定処理部32は、運転の休憩時における処理を実行する。各処理の詳細については、追って説明する。
【0025】
前述したように、熟練度や身体的特徴等から走行中におけるドライバの疲労の進み具合、蓄積具合、更に回復具合には個人差が生じてくる。また、血流量等について同じ値で測定されても、そのときに感じる疲労具合にも個人差が生じてくる。そこで、本実施の形態では学習機能処理部28を設けて、各機器4,6から収集される測定値という客観的なデータのみならず、ドライバにより入力された疲労具合(主観的な情報)によって、ドライバ個々の疲労具合というものをより正確に把握できるようにした。この学習機能についても後述する。
【0026】
ユーザインタフェース40は、表示部42とモード入力部44と疲労情報入力部46とを有している。表示部42は、シート2の駆動開始の告知等ドライバに対して何らかの情報を表示する。本実施の形態では、表示部42を設けてドライバへの情報伝達を文字情報で知らせるようにしたが、通知手段として表示部42の代わり若しくは表示部と共に情報を音で知らせるためにスピーカ等で実現可能な音出力部を設けるようにしてもよい。モード入力部44は、イグニッションキーをオフにするときに、この操作が目的地等に到達して一連の運転(トリップ)の終了によるものか、あるいはトリップの途中の休憩のためによるものかをドライバに入力させる操作入力手段である。休憩モード設定処理部32は、モード入力部44から入力された情報により休憩モード処理を開始する。疲労情報入力部46は、ドライバに身体の疲労具合を入力させる操作入力手段である。学習機能処理部28は、疲労情報入力部46から入力された情報により学習を行う。なお、図2には、モード入力部44と疲労情報入力部46とを入力手段として図示したが、入力手段から入力される情報は、これらに限定されない。後述する処理から明らかになるように他の情報もユーザインタフェース40を使ってドライバに入力させている。ユーザインタフェース40は、液晶タッチパネルで実現することが好適である。ナビゲーションシステムが車載されていれば、このシステムのユーザインタフェースを利用して、本実施の形態におけるユーザインタフェース40を実現することができる。
【0027】
疲労度(疲労具合)と座圧面積との関係を図3に、疲労度と足の鬱血量との関係を図4に、それぞれ示す。なお、本実施の形態では、疲労度と疲労具合とを同義に用いる。図3,4においてグラフ化されたデータは、標準的な一般ドライバ(以下、「標準ドライバ」という)における関係を示した基準データである。座圧計4及び血流計6は、シート2上の複数箇所に配設し、身体の異なる部位の状態を測定するので、同じ血流計6であっても測定値は異なってくる。従って、図3,4に例示した基準データは、各機器に対応させて予め用意しておく必要がある。ドライバの疲労度は、運転の継続により徐々に蓄積されていく。また、運転の継続により座圧面積や足の鬱血量も増加するので、本実施の形態では、この座圧面積や足の鬱血量等のドライバの身体状態がドライバの疲労度を表す指標とみなし、ドライバの身体状態を分析することによってドライバの疲労度を認識する。なお、血流量等各機器4,6からの測定値並びに血流量から得られる鬱血量等測定値から得られる情報を、ドライバの身体の状態を表す値であることから本実施の形態では「身体状態情報」と総称することにする。
【0028】
更に、図3,4に示したように各グラフには閾値が予め設定されている。この閾値は、標準ドライバが疲労したと制御部26により客観的に判定される座圧面積及び足の鬱血量の値である。制御部26は、現在の座圧面積や足の鬱血量と、対応する閾値とを比較することによってドライバの疲労を低減させるためにシート2を動かすか否かを判定する。なお、閾値についての詳細は追って説明するが、説明の簡略化のために以降の説明では、特に断らない限り、閾値は、ドライバが疲労したか否かを判定する基準値として設定された値として説明する。従って、図3において、疲労度が範囲a内であるときにはドライバは疲労していないと、範囲b内であるときにはドライバは疲労していると、制御部26は判断する。
【0029】
疲労情報マスタ22には、各機器4,6の識別情報とその機器の配設位置と基準データと閾値とを組にして疲労に関するマスタ情報として予め登録されている。また、閾値を求める際に用いる係数α、β、θ、γの各基準値が登録されている。なお、疲労情報マスタ22に登録されるマスタデータを更新する機能を車載コンピュータ20に設けるようにしてもよい。
【0030】
個人情報データベース24には、各ドライバに関する個人情報が登録されている。各個人情報には、ドライバの氏名等個人の識別情報、個人の疲労に関する情報が含まれている。図3,4に示した疲労情報は、標準ドライバを想定して定義された基準となりうるデータであるが、個人情報データベース24に登録される個人の疲労に関する情報には、この基準となりうるデータを後述する方法で補正することによりドライバ個々に対応させて生成した疲労度情報等が含まれる。
【0031】
次に、本実施の形態においてドライバの疲労低減を行う動作について図5乃至図9に示したフローチャートを用いて説明する。まず、最初に、ドライバの疲労低減を行う基本動作を説明し、その後に休憩取得時処理、学習機能処理について説明する。
【0032】
ドライバがシート2に座り、運転を開始するために車両のイグニッションキーをオンにする。制御部26は、車載ECUから情報を送ってもらうなどしてイグニッションキーのオン操作を検出すると(ステップ101)、ドライバを特定する(ステップ102)。これは、次のようにして実施する。
【0033】
本実施の形態では、個人情報データベース24にドライバの氏名等の識別情報が登録されているので、その識別情報を表示部42にリスト表示し、その中からドライバに自分の識別情報を選択させる。このようにしてドライバを判別する。なお、本実施の形態では、個人毎に異なる疲労具合に関するデータを学習機能により蓄積していくので、ここでの個人識別処理は、ドライバを特定するために必要になってくる。蓄積された個人情報等を厳格に管理するのであれば、パスワードを設定するなどしてユーザ認証を行うようにしてもよい。
【0034】
続いて、制御部26は、現在休憩モードであるか否かを判断するが(ステップ103)、休憩モードに関しては後述することにして、ここでは出発時点においてイグニッションキーがオンされ運転が開始される場合について説明することにする。この場合、初期設定処理部30により初期設定処理が実施されるが(ステップ104)、この初期設定処理については図6に示したフローチャートを用いて説明する。
【0035】
初期設定処理部30は、現在のフロントバーチカル、ランバーサポート、ヘッドレスト等シート2の各移動部位の現在の設定状態(シートポジション)を初期位置として個人情報データベース24に保存する(ステップ201)。更に、座圧計4及び血流計6による測定値を初期値として保存する(ステップ202)。次に、初期設定処理部30は、座圧及び血流の閾値を設定し保存するが(ステップ203)、この処理について図7に示したフローチャートを用いて説明する。
【0036】
初期設定処理部30は、初期値として保存した座圧から座圧分布の偏り方を計算により求める(ステップ211)。そして、保存した各移動部位の座圧初期値に予め設定されている係数α(α>1)を乗算することで求めた座圧絶対値をこのドライバの座圧に関する閾値として設定すると共に、保存した各移動部位の座圧初期値の2次元(偏)微分値に予め設定されている係数β(β>1)を乗算することで求めた座圧分布をこのドライバの座圧分布に関する閾値として設定し、個人情報データベース24に保存する(ステップ212)。更に、初期設定処理部30は、初期値として保存した血流量に予め設定されている係数θ(θ<1)を乗算することで求めた血流量をこのドライバの血流量に関する閾値として設定すると共に、保存した初期値から求めた鬱血量の初期値に予め設定されている係数γ(γ>1)を乗算することで求めた鬱血量をこのドライバの鬱血量に関する閾値として設定し、個人情報データベース24に保存する(ステップ213)。このようにして、図3,4に例示した標準ドライバ用の閾値は、各ドライバの身体状態に即した閾値に補正される。
【0037】
なお、標準ドライバの各身体状態情報の初期値に該当する係数を乗算することで、図3,4に示した基準となる閾値が得られるので、係数α、β、θ、γには、この関係が成り立つ値が初期値として設定される。各係数の初期値は、疲労情報マスタ22に登録されているが、各係数の値は、後述する説明から明らかになるように変更されるので、当該ドライバの個人情報が作成された時点で、当該ドライバ用の係数値として個人情報データベース24に保存する。
【0038】
本実施の形態によれば、標準ドライバを想定して設定した閾値を、運転を開始する時点における身体状態情報を初期状態に基づき補正することによって、当該ドライバのための閾値を得るようにしたので、ドライバの疲労低減のためのシート駆動制御をそのドライバの疲労低減のためにより効果的に行うことができるようになる。
【0039】
更に、同じドライバであっても運転を開始するときのコンディションが常に同じであるとは限らない。本実施の形態では、上記のように着座し、イグニッションキーをオンにし、運転を開始するときにその都度身体状態情報の初期値を得るようにしたので、日々のコンディションに即した疲労低減のためのシート駆動制御が可能になる。
【0040】
図5に戻ると、ここでは、イグニッションキーがオンされたときであり(ステップ105)、ドライバは、その後車両の走行を開始する。走行中、各機器4,6は、ドライバの身体の状態を測定する(ステップ106)。制御部26は、各機器4,6により収集された測定値を、初期設定処理により求めた当該ドライバ用の対応する閾値と比較する(ステップ107)。走行を開始して間もないときの疲労具合は、それほど大きくないはずである。つまり、図3を用いて説明すると、疲労度は範囲aの中にある。従って、この場合、閾値を超えていないので、ステップ109に移行する。なお、ステップ124は、学習機能に関連した処理なので、ここでは説明しない。基本動作時には、ステップ110に移行することになる。
【0041】
ステップ110においては、直前の測定時における身体状態が閾値を超えていたか否かを判断する。つまり、図3を用いて説明すると、疲労度の遷移としては、(1)直前の測定時における疲労度が範囲aで今回の測定時における疲労度も範囲a、(2)直前の測定時における疲労度が範囲aで今回の測定時における疲労度は範囲b、(3)直前の測定時における疲労度が範囲bで今回の測定時における疲労度は範囲a、(4)直前の測定時における疲労度が範囲bで今回の測定時における疲労度も範囲b、という4つのパターンが考えられる。
【0042】
ステップ108において閾値を超えていないと判断されているので今回の測定時における疲労度は範囲aである。このステップ110では、直前の測定時における疲労度が範囲aか範囲bを判断することになるが、走行を開始して間もないときの疲労具合は、増加傾向にあることから直前の測定時における疲労度も範囲aのはずである。よって、処理はステップ106に戻る。走行を開始してからしばらくの間は、上記ステップ105〜110を繰り返すことになる。ここでいうしばらくの間という期間には、個人差がある。
【0043】
ステップ108において、疲労度が徐々に蓄積され、測定値が閾値を超えたとする。制御部26は、続いて測定値が閾値をすでに超えていたかどうかを判断する(ステップ112)。今回の測定時における疲労度は範囲bなので、ステップ112では、直前の測定時における疲労度が範囲aか範囲bを判断することになる。ここでは、走行を開始して徐々に疲労度が増加し、今回はじめて閾値を超えたばかりである。よって、直前の測定時における疲労度は範囲aである。
【0044】
制御部26は、疲労度がはじめて閾値を超えたので、表示部42に表示することでドライバに疲労低減のためのシート駆動を開始する旨を告知する(ステップ113)。ここで、ドライバによりユーザインタフェース40を形成する液晶タッチパネルが操作されて、シート駆動を作動してもよい旨の入力がされると(ステップ114)、制御部26は、シート駆動機構10の駆動制御を開始する。なお、ステップ114において作動させない旨の入力がされるときの処理(ステップ123)は、学習機能に関連した処理なので、ここでは説明しない。
【0045】
前述したように、本実施の形態では、ドライバの身体状態を知るために複数の座圧計4及び血流計6をシート2に配設している。従って、上記では説明しなかったが、ステップ106では、複数種類の複数個の機器4,6により身体の状態が測定されているので、ステップ107では、複数の比較処理が実施されることになる。従って、ステップ108において閾値を超えた測定箇所は、少なくとも1箇所存在したということになる。疲労情報マスタ22には、各機器4,6の識別情報とその機器の配設位置とが登録されているので、制御部26は、シート駆動機構10を駆動させて、身体の疲労部位に対応するシート2の移動部位を駆動させる(ステップ115)。これにより、疲労箇所における疲労の低減を図ることができる。
【0046】
また、ドライバが疲労していることには変わりがなく、その疲労具合が身体の一部分に先に現れたと考えることもできる。従って、制御部26は、疲労部位だけでなくシート全体の移動部位を駆動させることでドライバの疲労を低減させるようにしてもよい。なお、制御部26は、シート2の駆動を開始した時点でタイマをセットする。
【0047】
ステップ105に戻ると、上記と同様にドライバの身体状態を測定し閾値との比較を行うことになるが(ステップ106,107)、ここで疲労度がまだ閾値を超えているとすると(ステップ108)、この場合の疲労度は今回も直前も範囲bである(ステップ112)。制御部26は、このときシート2を駆動してから所定時間経過したか否かをチェックする(ステップ116)。所定時間経過していなければステップ105に戻り、上記処理(ステップ105〜108,112,116)を繰り返す。
【0048】
そして、上記と同様にドライバの身体状態を測定し閾値との比較を行うことになるが(ステップ106,107)、ここで疲労度が閾値以下になったとする(ステップ108)。このとき、今回の測定時における疲労度は範囲aであるが、直前の測定時における疲労度は範囲bである。制御部26は、このときシート駆動機構10に指示することによって移動させていたシート2の該当部位を初期位置に戻させる(ステップ111)。初期位置は、初期設定処理において個人情報データベース24に保存されている。この処理は、車両の走行によりドライバに疲労が蓄積されたために疲労度が閾値を超えたが、疲労低減のためにシート2を駆動させたことでドライバの疲労が回復したため、シート2を初期位置に戻したということである。
【0049】
ところで、制御部26は、予め設定された動作パターンに従いシート駆動機構10を駆動することでドライバの疲労を低減させる。例えば、制御部26は、ドライバの太もも裏側に配設された血流計6による測定値からドライバ脚部の鬱血状態を検出した場合、ドライバの脚部が接触するシート前端を下げさせるようにシート駆動機構10を駆動する。このように、脚部の鬱血状態のときにはシート前端を下げるという所定の動作パターンにて鬱血状態を軽減させ脚部の疲労の低減を図ることができる。本実施の形態では、シート2の該当部位の設定状態(ポジション)を初期位置から所定位置まで移動させるという動作パターンによってシート駆動機構10を駆動した。ただ、シート駆動機構10を駆動する動作パターンというのは、シートの該当部位をある位置からある位置に動かすという移動に限らず、例えば、疲労度に合わせてシート前端を徐々に上下させたり、あるいは振動させるなど種々の動作パターンで構成してよい。なお、シート駆動機構10の動作パターンが移動部位の移動のみであれば、電動着座シートが有する既存の移動機構をそのまま利用することができる。
【0050】
疲労度が閾値以上であって、シート2を駆動してから所定時間が経過した場合、すなわち、直前も今回の疲労度が範囲bにあり、この状態が所定時間続いたとき(ステップ116)、制御部26は、ドライバに休憩を促す旨を表示部42に表示する(ステップ117)。このステップ106,107では、次のことを行っている。すなわち、前述したステップ110,111では、ステップ115においてシート2を駆動したことでドライバの疲労を低減できたが、ステップ116,117では、所定時間経過しても疲労度は範囲bの中にあり、ドライバの疲労度は閾値以下に戻らない、つまり、シート2の駆動だけではドライバの疲労は回復できないと判断できる。このため、表示によりドライバに休憩を促すようにした。
【0051】
なお、疲労度の遷移としては、4つのパターンが考えられると前述したが、以上で全てのパターンについて説明した。
【0052】
ここで、車両が目的地に着いたとする。目的地に到着したことで車両が停止されイグニッションキーがドライバによりオフされると、制御部26は、このオフ操作を検出する(ステップ105)。このとき、制御部26の休憩モード設定処理部32は、このオフ操作が休憩のためか否かを表示部42に表示することでドライバに問い合わせる(ステップ118)。ここでは、休憩のためのオフ操作ではないので、これにより本装置の動作を終了させる(ステップ120)。
【0053】
本実施の形態における基本動作は以上の通りであるが、本実施の形態によれば、ドライバの身体状態情報を収集し、その収集した身体状態情報を分析することによってドライバの疲労具合を検出するようにしたので、ドライバの実際の疲労具合をより正確に把握することができる。このため、ドライバに対して疲労の低減処置をより的確に施すことができる。また、疲労したときにシート全体を駆動することもできるが、本実施の形態では、疲労した部位に該当するシート2の移動部位のみを駆動することができるので、疲労していない部位に疲労低減処置を施すことによる不快感をドライバに与えることがない。
【0054】
ここで、閾値について詳述する。上記説明では、説明の簡略化のために、閾値をドライバが疲労したか否かを判定する基準値とした。つまり、疲労度が徐々に蓄積され閾値に達したときに、ドライバは疲労を感じると仮定した。ただ、本実施の形態は、前述したように疲労度が閾値に達したときにシート2の駆動を開始し(ステップ108,115)、閾値以上であった疲労度が閾値を下回ったときにシート2の駆動を停止するようにシート駆動機構10を駆動制御した(ステップ108,111)。
【0055】
すなわち、閾値というのは、ドライバが疲労を感じるレベル値と定義するよりも、制御部2がシート駆動機構10の駆動を開始又は終了する駆動制御のタイミングを決定する設定値と定義する方が適切である。極端に言えば、閾値を非常に小さい値に設定すれば、ドライバにそれほど疲労が蓄積されていなくてもシート2の駆動を開始できる。逆に、閾値を非常に大きい値に設定すれば、ドライバがどんなに疲労が蓄積されてもシート2は駆動されない。このように、閾値をドライバの疲労度とは無関係に設定することも可能である。換言すると、シート駆動機構10の駆動タイミングに柔軟性を持たせたということができる。実際には、ドライバの身体状態に応じて適切なシート2の駆動制御を行い、ドライバの疲労を効果的に低減させる必要があるので、本実施の形態では、前述したように標準ドライバ用の閾値(基準値)を、運転開始時に収集したドライバの身体状態情報によって補正することでドライバの身体状態に適合した閾値、すなわちシート駆動機構10の駆動タイミングを決定するようにした。
【0056】
続いて、休憩等出発地から目的地の間で車両を駐車させた後、走行を再開させる休憩取得時処理について説明する。
【0057】
例えば、高速道路を2時間走行して10分休憩し、その後、更に高速道路を2時間走行した場合、前半の2時間と後半の2時間とではドライバの疲労具合は異なってくる。この処理では、このような疲労具合の相違にも対応し、ドライバの疲労具合をより正確に認識できるようにした。
【0058】
走行中、制御部26は、図5に示したステップ105〜117の処理を繰り返し実行することになる。ここで、ドライバが休憩をとるために車両を止めイグニッションキーをオフにすると、制御部26は、このオフ操作を検出する(ステップ105)。このとき、制御部26の休憩モード設定処理部32は、このオフ操作が休憩のためか否かを表示部42に表示することでドライバに問い合わせる(ステップ118)。ドライバは、休憩をとるために車両を止めてオフ操作をしたので、装置からの問合せに対してユーザインタフェース40を操作して休憩をとる旨を入力する。具体的には、ユーザインタフェース40を形成する液晶タッチパネルにYES/NOボタンを表示して、いずれかのボタンをドライバに押下操作させる。
【0059】
休憩をとる旨が入力されたことを検知すると(ステップ119)、休憩モード設定処理部32は、ドライバが休憩中である旨を示す休憩モードフラグをセットして、今回の運転開始時に設定した初期値及び閾値と共に外部記憶装置の一時保存用ファイル(図示せず)に保存する(ステップ121)。続いて、制御部26は、シート駆動機構10に指示することによって、シート2の移動部位を移動させていたならば、その移動部位を初期位置に戻させる(ステップ122)。その後、本装置の動作を終了させる(ステップ120)。
【0060】
休憩を取ったドライバは、シート2に座り、運転を再開するために車両のイグニッションキーをオンにする。制御部26は、イグニッションキーのオン操作を検出すると(ステップ101)、ドライバを特定する(ステップ102)。そして、一時保存用ファイルに保存されている休憩モードフラグがセットされているかどうかをチェックする。なお、上記基本動作の説明の際には、ステップ103における具体的な判定方法の説明を省略したが、実際には、ここで説明するように休憩モードフラグの状態を参照して判定している。
【0061】
ここでは、休憩モードフラグはセットされているのでステップ105に移行する。疲労が多少蓄積された身体状態の測定値を初期値として収集し閾値を再設定してしまうと、疲労低減のために適切なシート駆動ができなくなるので、このような不具合を生じさせないようにするために休憩モードを設けて、休憩後の走行再開時には、初期設定処理を実行しないようにした。
【0062】
最後に、学習機能処理について説明する。上記説明では、ドライバの座圧及び血流量を測定することによってドライバの身体状態を客観的なデータに基づき認識するようにした。ただ、疲労というのは、ドライバの自覚症状として現れてくるものであるから、客観的データだけではなくドライバの自覚に基づく主観的なデータをも加味できれば、制御部26において認識する疲労具合の精度を向上させ、制御部26が認識する疲労具合をドライバの自覚症状に近づけることができると考えられる。そこで、本実施の形態では、次のような学習機能処理を設けた。
【0063】
走行を続けることにより疲労度が徐々に蓄積され、測定値がはじめて閾値を超えたとすると(ステップ108)、制御部26は、表示部42にメッセージを表示して疲労低減のためのシート駆動を作動の可否を問い合わせる(ステップ113,114)。ここで、ドライバにより作動させない旨の入力がされると、制御部26は、学習機能処理部28に学習機能処理を実施させる(ステップ123)。ここで実施される学習機能について図8に示したフローチャートを用いて説明する。
【0064】
初期設定処理にて説明したように、ドライバの身体状態情報に対応する各閾値は、初期値として保存した測定値に、対応する係数α、β、θ、γを乗算して求めた。この学習機能では、各係数の値として大きい値を設定して当該ドライバの個人情報の一部として個人情報データベース24に保存する(ステップ221)。そして、ステップ222,223においては、初期設定処理におけるステップ212,213(図7)と同様に各初期値に、対応する係数を乗算して閾値を算出する。この乗算に用いる係数は、ステップ221により大きい値に変更された係数である。そして、この算出した閾値を個人情報データベース24に保存する。この算出される閾値は、係数がより大きい値に変更されているので初期設定処理時に求めた閾値より大きい値となる。
【0065】
すなわち、ステップ113において疲労度が高くなり閾値を超えたことを告知したのにもかかわらず、ドライバがシート2の駆動(ステップ115)を回避したのは、ドライバ自体は疲労を感じていないと考えられる。従って、この学習機能処理では、そのドライバの疲労低減のためのシート駆動の開始を遅らせるために係数を大きい値に変更するようにした。この結果、現在の疲労度では、シート2の駆動を行わないようにシート駆動機構10の駆動制御を変更することができる。
【0066】
なお、上記説明では、各係数値の増加分量についての説明を省略した。これは、予め設定した増加分量だけ増やせばよいとしたからである。もし、所定の増加分量で不足したときには、ドライバは、ステップ114において作動させないことを選択し続けることで、ステップ123における学習を繰り返し実行させるようにすればよいからである。もちろん、増加分量を固定しなければならない必然性はなく、例えば、各係数の増加分量をドライバに設定させるようにしてもよい。また、本実施の形態では、シート2の駆動を強制的に禁止するモード(シート駆動禁止モード)を手動作動スイッチ9に設定したので、このモードをマニュアル操作にて選択してシートの駆動(ステップ115)、学習機能処理(ステップ123)を強制的に実行させないようにしてもよい。
【0067】
一方、走行を続けることにより疲労度が徐々に蓄積され、そしてドライバが疲労を自覚したことによりシート2の駆動を期待している状況であっても、測定値が閾値を超えなければ(ステップ106〜108)、シート2の駆動(ステップ115)は開始されない。そこで、ドライバは、シート2の横に配設した手動作動スイッチ9を所定の操作を行う。制御部26は、この手動作動スイッチ9への操作を検出し(ステップ109)、学習機能処理部28に学習機能処理を実施させる(ステップ124)。ここで実施される学習機能について図9に示したフローチャートを用いて説明する。
【0068】
ここでの学習は、図8を用いて行った内容とは逆に各係数の値を小さくする(ステップ231)。これ以外は、図8に示した学習機能処理と同じなので説明を省略する。この学習機能処理で設定される閾値は、係数がより小さい値に変更されているので初期設定処理時に求めた閾値より小さい値となる。
【0069】
すなわち、測定値が閾値を超えていないのにもかかわらず、ドライバがシート2の駆動(ステップ115)を期待したのは、ドライバ自体はすでに疲労を感じていると考えられる。従って、この学習機能処理では、そのドライバの疲労低減のためのシート駆動の開始を早めるために係数を小さい値に変更することにより閾値が小さくなるようにした。
【0070】
なお、上記説明では、各係数値の減少分量についての説明を省略した。これは、予め設定した減少分量だけ減らせばよいとしたからである。もし、所定の減少分量で不足したときには、ドライバは手動作動スイッチ9への所定操作を繰り返し実行してシート2の駆動の開始を早めればよいからである。もちろん、減少分量を固定しなければならない必然性はなく、例えば、閾値が現時点の測定値と一致若しくは現時点の測定値より下回るように各係数値を設定することによってシート2の駆動を即座に開始させるようにしてもよい。本実施の形態の場合、手動作動スイッチ9を設けているので、手動作動スイッチ9にシート駆動禁止モードのようにシート2の駆動を即座に開始させるモード(シート駆動開始モード)を設定すれば都合がよい。
【0071】
本実施の形態によれば、以上のようにドライバによるマニュアル操作に従いシート2の駆動タイミングを決定する閾値を変更できる学習機能を設けたので、ドライバの身体状態に対して更に適合した疲労低減処置を施すことができる。
【0072】
なお、本実施の形態では、測定値から得られた現時点での身体状態情報と閾値との比較結果に応じてシート2の駆動制御を行うため、周期的に求める身体状態情報を蓄積しておく必要はない。ただ、身体の各部位が同じ疲労度に達したときにシート2の駆動を開始させたいのであれば、換言すると、図3に示した範囲aを身体の各部位に一致させるような閾値を設定するのであれば、身体状態情報の各値を蓄積する必要がある。
【0073】
また、本実施の形態では、手動により操作可能に作動スイッチをシート2の横に配設したが、作動スイッチをソフトウェアによって液晶タッチパネル上に設けることで、手動作動スイッチ9の代わり若しくは併用するようにしてもよい。
【0074】
また、本実施の形態では、車両の乗員としてドライバを装置して説明したが、運転しない同乗者にも適用することは可能である。
【0075】
また、本実施の形態では、移動手段として車両を例にして説明したが、自動二輪車等他の移動手段の座席にも適用することは可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に係る疲労低減シート装置のシート部分の一実施の形態を示した斜視図である。
【図2】本実施の形態における疲労低減シート装置のブロック構成図である。
【図3】疲労度と座圧面積との関係を示した図である。
【図4】疲労度と足の鬱血量との関係を示した図である。
【図5】本実施の形態におけるシート駆動制御処理を示したフローチャートである。
【図6】本実施の形態における初期設定処理を示したフローチャートである。
【図7】本実施の形態において座圧・血流の閾値を設定保存するための処理を示したフローチャートである。
【図8】本実施の形態における閾値変更1学習値変更処理を示したフローチャートである。
【図9】本実施の形態における閾値変更2学習値変更処理を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0077】
2 シート、4 座圧計、6 血流計、8 ケーブル、9 手動作動スイッチ、10 シート駆動機構、20 車載コンピュータ、22 疲労情報マスタ、24 個人情報データベース、26 制御部、28 学習機能処理部、30 初期設定処理部、32 休憩モード設定処理部、40 ユーザインタフェース、42 表示部、44 モード入力部、46 疲労情報入力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動手段に搭乗した乗員の疲労を低減させる疲労低減シート装置において、
疲労具合により測定値が変化する乗員の身体状態を表すデータを収集する収集手段と、
乗員が着座しているシートの状態を変化させるシート駆動手段と、
前記収集手段により収集されたデータを分析することによって乗員の疲労具合を検出し、検出した疲労具合に応じて予め設定された乗員の疲労具合を低減させる動作パターンに従い前記シート駆動手段を駆動する制御手段と、
を有することを特徴とする疲労低減シート装置。
【請求項2】
請求項1記載の疲労低減シート装置において、
前記制御手段は、前記移動手段の走行を開始するために着座した乗員により前記移動手段のスイッチがオン操作されたとき、前記収集手段により収集されたデータから得られる身体状態情報をその乗員の身体の初期状態として保存し、その初期状態を用いて予め設定された身体状態基準値を補正することによって当該乗員の疲労具合に応じて前記シート駆動手段の駆動タイミングを決定するための閾値を設定する初期設定処理部を有することを特徴とする疲労低減シート装置。
【請求項3】
請求項2記載の疲労低減シート装置において、
前記移動手段のスイッチがオフ操作されるときに、そのオフ操作が目的地の到達時若しくは休憩時における操作の別を乗員に入力させ、その入力により休憩時におけるオフ操作と認識したときには、前記移動手段の状態を、乗員が休憩する旨を示す休憩モードとして設定、保存する休憩モード処理手段を有し、
前記制御手段は、前記移動手段のスイッチがオン操作されたときの前記移動手段の状態が休憩モードであるときには、前記初期設定処理部の動作を抑止することを特徴とする疲労低減シート装置。
【請求項4】
請求項1記載の疲労低減シート装置において、
前記収集手段は、乗員着座時の荷重分布を収集する荷重センサであり、
前記制御手段は、前記荷重センサにより収集された荷重分布から荷重中心点が同じ場所にある状態が乗員の疲労と判定する基準時間以上継続した場合に前記動作パターンに従い前記シート駆動手段を駆動することを特徴とする疲労低減シート装置。
【請求項5】
請求項1記載の疲労低減シート装置において、
前記収集手段は、血流計であり、
前記制御手段は、前記血流計により収集された乗員の血流量と、前記閾値との比較結果に応じて前記シート駆動手段を駆動することを特徴とする疲労低減シート装置。
【請求項6】
請求項5記載の疲労低減シート装置において、
前記制御手段は、前記収集手段により乗員脚部の鬱血状態を検出した場合、乗員脚部が接触するシート前端を下げさせるように前記シート駆動手段を駆動することを特徴とする疲労低減シート装置。
【請求項7】
請求項2記載の疲労低減シート装置において、
乗員に身体の疲労具合を入力させる操作入力部を有し、乗員による入力内容に従い前記初期設定処理部により設定保存された閾値を、乗員の疲労具合に応じた値に設定変更する学習機能処理手段を有することを特徴とする疲労低減シート装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−69449(P2006−69449A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−257566(P2004−257566)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】