説明

発光ダイオード、発光装置、照明装置、ディスプレイ及び信号灯

【課題】大発光量、高発光効率、均一面発光を実現し得るコストの安価な発光ダイオード、それを用いた発光装置、照明装置、ディスプレイ及び信号灯を提供する。
【解決手段】半導体発光層2は基板1の一面上に積層されている。半導体発光層2に電気エネルギーを供給する電極411〜414は、基板を貫通し半導体発光層2に到達する微細孔511〜514内に充填された導体によって構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード、それを用いた発光装置、照明装置、ディスプレイ及び信号灯に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオードは、省エネルギー、長寿命という利点があり、照明装置、カラー画像表示装置、液晶パネルのバックライト、又は、交通信号灯などの光源として、注目されている。
【0003】
発光ダイオードは、例えば、青色発光ダイオードを例に採ると、例えば特許文献1に開示されているように、サファイアでなる基板の表面に、バッファ層、N型GaN層、活性層、P型GaN層、及び、透明電極層を順次に積層した構造となっている。
【0004】
透明電極層の一部表面にはP側電極が形成されており、また、透明電極層、P型GaN層及び活性層の一部をドライエッチングし、N型GaN層の一部を露出させ、この露出したN型GaN層にN側電極を形成した構造となっている。特許文献2、3にも、同様の積層構造及び電極構造が開示されている。
【0005】
上述したように、従来の発光ダイオードでは、P側電極を、発光面となる透明電極層の表面に形成する一方、透明電極層、P型GaN層及び活性層の一部をドライエッチングし、N型GaN層の一部を露出させ、この露出したN型GaN層にN側電極を形成した構造となっているため、発光面積がP側電極及びN側電極の占有面積分だけ、縮小されてしまう。このため、当然の結果として、発光量が低下してしまうし、発光効率も低下する。
【0006】
また、N側電極を、N型GaN層の露出部分に限定的、集中的に設ける構造であるため、この部分に電流が集中する傾向にあり、均一な面発光の妨げとなる。
【0007】
更に、N側電極を形成するためのドライエッチングに当たっては、ICP型RIE装置を用いなければならない。ICP型RIE装置は、各種Siマイクロマシンニング(MEMS)用途をはじめ、化合物半導体エッチングによる高周波デバイス加工や、アルチックエッチングによる薄膜磁気ヘッド加工などに使用されるものであるが、極めて高価なものである。その高額な設備コストが発光ダイオードのコストアップに反映されてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−210867号公報
【特許文献2】特開2009−71337号公報
【特許文献3】特開2008−153634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、発光量が大きく、発光効率の高い発光ダイオード、それを用いた発光装置、照明装置、ディスプレイ及び信号灯を提供することである。
【0010】
本発明のもう一つの課題は、電流の面拡散を促進し、均一な面発光を実現し得る発光ダイオード、それを用いた発光装置、照明装置、ディスプレイ及び信号灯を提供することである。
【0011】
本発明の更にもう一つの課題は、コストの安価な発光ダイオード、それを用いた発光装置、照明装置、ディスプレイ及び信号灯を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題の少なくとも一つを解決するため、本発明に係る発光ダイオードは、基板と、半導体発光層と、電極とを含む。前記半導体発光層は、前記基板の一面上に積層されている。前記電極は、前記半導体発光層に電気エネルギーを供給するものであって、前記基板を貫通し前記半導体発光層に到達する微細孔内に充填された導体によって構成されている。
【0013】
半導体発光層に電気エネルギーを供給する電極に関しては、従来は、透明電極層の一部表面にP側電極を形成し、ドライエッチングによって露出させたN型GaN層に、N側電極を形成した構造となっていた。このため、上述した問題点を生じていた。
【0014】
本発明では、この問題点を解決する手段として、電極を、基板を貫通し半導体発光層に到達する微細孔内に充填した導体によって構成した。この構成によれば、次の作用効果を得ることができる。
【0015】
(a)電極を、基板を貫通し半導体発光層に到達する微細孔内に充填した導体によって構成したから、電極を基板の裏面などに導出し、外部電源と接続することができる。P側電極であれ、N側電極であれ、それが、発光面に現れることはないから、電極によって、発光面積が縮小されることがない。このため、発光量が大きく、発光効率の高い発光ダイオードを実現することができる。
【0016】
(b)半導体発光層における電流の面密度が微細孔の面密度に依存する。したがって、半導体発光層の面に対する微細孔の面密度を高密度化、均一化するなどにより、透明電極層を有することなしに、半導体発光層に対する電流の面拡散を促進し、均一な面発光を実現し得る。このため、透明電極層を省略し、製造プロセスの簡素化、それに伴う生産効率の向上、及び、コストダウンを達成することができる。しかも、透明電極層による光エネルギーの損失がなくなるので、発光量及び発光効率が向上する。もっとも、透明電極層を排除するものではない。
【0017】
(c)微細孔は、レーザ穿孔法又は化学的穿孔法など、公知の穿孔技術を適用して容易に開けることができる。しかも、電極は、このようにして穿孔された微細孔内に充填された導体よって構成されているから、電極製造に当たって、導体ペーストまたは溶融金属を、微細孔内に充填し、かつ、加圧する方法を採用することができる。この方法によれば、微細孔内に空洞のない緻密な電極を形成することができる。加圧状態を維持したままで硬化させると、更に良好な結果が得られる。
【0018】
しかも、上述した製造方法は、プレス工法に属するものであり、従来のICP型RIE装置を用いたドライエッチング法に比較して、設備費が著しく安価で、処理時間も短くて済む。従って、コストの安価な発光ダイオードを実現することができる。
【0019】
微細孔は、好ましくは、所定の面密度で分布させる。これにより、半導体発光層に対する電流の面拡散を促進し、均一な面発光を実現し得る。隣接する微細孔において、一方の微細孔内の電極はP側電極とし、他方の微細孔内の電極はN側電極とする。微細孔は、その孔径がμmオーダである。
【0020】
半導体発光層の光出射側の面に透明電極層を有し、電極の一部、例えばP側電極の一端部が、透明電極層に接続されていてもよい。これにより、電極分布による電流の面拡散の促進とともに、透明電極層による電流の面拡散の促進作用を併せ得ることができる。
【0021】
発光ダイオードは、赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオードまたは青色発光ダイオードの何れであってもよいし、白色発光ダイオードであってもよい。
【0022】
本発明は、更に、上述した発光ダイオードを用いた発光装置、照明装置、ディスプレイ(表示装置)及び信号灯を開示する。
【発明の効果】
【0023】
以上述べたように、本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
(a)発光量が大きく、発光効率の高い発光ダイオード、それを用いた発光装置、照明装置及びディスプレイを提供することができる。
(b)電流の面拡散を促進し、均一な面発光を実現し得る発光ダイオード、それを用いた発光装置、照明装置及びディスプレイを提供することができる。
(c)コストの安価な発光ダイオード、それを用いた発光装置、照明装置、ディスプレイ及び信号灯を提供することができる。
【0024】
本発明の他の目的、構成及び利点については、添付図面を参照し、更に詳しく説明する。添付図面は、単に、例示に過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る発光ダイオードの実施形態を示す部分断面図である。
【図2】図1に図示した発光ダイオードの底面図である。
【図3】本発明に係る発光ダイオードの別の実施形態を示す部分断面図である。
【図4】本発明に係る発光ダイオードの更に別の実施形態を示す部分断面図である。
【図5】本発明に係る発光ダイオードの更に別の実施形態を示す部分断面図である。
【図6】図5に示した発光ダイオードの底面図である。
【図7】本発明に係る発光ダイオードを用いた発光装置の実施形態を示す部分断面図である。
【図8】本発明に係る発光ダイオードを用いた発光装置の別の実施形態を示す部分断面図である。
【図9】本発明に係る発光ダイオードを用いた発光装置の更に別の実施形態を示す部分断面図である。
【図10】図9に示した発光装置を平面視した図である。
【図11】本発明に係る発光ダイオードを用いた発光装置の更に別の実施形態を示す部分断面図である。
【図12】本発明に係る発光ダイオードを用いた液晶ディスプレイの構成を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
1.発光ダイオード
本発明に係る発光ダイオードは、基板1と、半導体発光層2と、電極(411〜444)とを含む。半導体発光層2は、基板1の一面上に積層されている。電極(411〜444)は、半導体発光層2に電気エネルギーを供給するものであって、基板1を貫通し半導体発光層2に到達する微細孔(511〜544)内に充填された導体によって構成されている。
【0027】
基板1は、代表的には、サファイア基板1である。基板1の一面上には、バッファ層5があり、半導体発光層2は、バッファ層5を介して、基板1の上に搭載されている。
【0028】
半導体発光層2は、発光ダイオードにおいて周知である。pn接合を持ち、代表的にはIII−V族化合物半導体が用いられる。もっとも、公知技術に限らず、これから提案されることのある化合物半導体を含むことができる。
【0029】
本発明において、発光ダイオードは、赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、青色発光ダイオード、橙色発光ダイオードの何れであってもよいし、白色発光ダイオードであってもよい。それらの発光ダイオードにおいて、半導体発光層2を構成する半導体材料の一例を以下に示す。
【0030】
(a)赤色発光ダイオード
(ア) ヒ素(As)系の化合物半導体を用いたもの
例:AlGaAs系赤色発光ダイオード
(イ) ヒ素(As)、リン(P)系の化合物半導体を用いたもの
例:GaAsP系赤色発光ダイオード
【0031】
(b)緑色発光ダイオード
(ア) リン(P)系の化合物半導体を用いたもの
例:GaP系緑色発光ダイオード
(イ) 窒素(N)系の化合物半導体を用いたもの
例:GaN系緑色発光ダイオード
【0032】
(c)青色発光ダイオード
窒素(N)系の化合物半導体を用いたもの
例:GaN系青色発光ダイオード
【0033】
(d)白色発光ダイオード
窒素(N)系の化合物半導体を用いたもの
例:GaN系白色発光ダイオード
【0034】
(e)橙色発光ダイオード
リン(P)系の四元混晶化合物半導体を用いたもの
例:AlGaInP系橙色発光ダイオード
【0035】
図1及び図2は、窒素(N)系の化合物半導体を用いたGaN系青色発光ダイオードの一例を示している。図を参照すると、半導体発光層2は、サファイアでなる基板1の一面上に付着されたバッファ層3の上に、n型半導体層21、活性層22、p型半導体層23及びトップ層24を、この順序で積層した構造を持つ。一例であるが、n型半導体層21は、SiドープGaN層で構成され、p型半導体層23はMgドープGaN層で構成される。
【0036】
活性層22は、GaN−InGaN等でなる多重量子井戸MQW(Multiple Quantum Well)構造を有し、p型半導体層23と接する側に、Al−GaN超格子キャップ層を備えることがある。トップ層24は、光学的に透明な光学層であればよく、透明電極層である必要はない。即ち、半導体発光層21の光出射面に透明電極を持たない場合がある。
【0037】
電極に関しては、従来は、透明電極層の一部表面にP側電極を形成し、ドライエッチングによって露出させたn型GaN層に、n側電極を形成した構造となっていた。このため、既に指摘した問題点を生じていた。
【0038】
本発明では、この問題点を解決する手段として、電極(411〜444)を、基板1を貫通し半導体発光層2に到達する微細孔(511〜544)内に充填した導体によって構成した。
【0039】
微細孔(511〜544)は、好ましくは、所定の面密度で分布させる。これにより、微細孔(511〜544)の内部に充填された電極(411〜444)を、従来の透明電極層に代わる電極として機能させ、半導体発光層2に対する電流面拡散を促進し、均一な面発光を実現し得る。従って、発光量及び発光効率を改善しながら、従来必須であった透明電極層を省略して、製造プロセスを簡素化し、コストダウンを図ることができる。しかも、透明電極層による光エネルギーの損失がなくなるので、発光量及び発光効率が向上する。
【0040】
実施の形態において、微細孔(511〜544)は、基板1の面において、所定のピッチ間隔で、4行4列のマトリクス状に配置されている。行数及び列数は任意である。微細孔(511〜544)は、その孔径がμmオーダである。ピッチ間隔もそのようなオーダでよい。
【0041】
上述した発光ダイオードによれば、次の作用効果を得ることができる。
(a)電極(411〜444)を、基板1を貫通し半導体発光層2に到達する微細孔(511〜544)内に充填した導体によって構成したから、電極(411〜444)を基板1の裏面などに導出し、外部電源と接続することができる。p側電極であれ、n側電極であれ、それが、発光面に現れることはないから、電極構造により、発光面の面積が縮小することがない。このため、発光量が大きく、発光効率の高い発光ダイオードを実現することができる。
【0042】
(b)半導体発光層2における電流分布が微細孔(511〜544)の分布に依存する。したがって、半導体発光層2の面に対する微細孔(511〜544)の面分布を高密度化、均一化するなどにより、半導体発光層2に対する電流の面拡散を促進し、電流分布を均一化し、均一な面発光を実現し得る。もっとも、透明電極層を排除するものではない。
【0043】
(c)微細孔(511〜544)は、レーザ穿孔法又は化学的穿孔法など、公知の穿孔技術を適用して容易に開けることができる。しかも、電極(411〜444)は、このようにして穿孔された微細孔(511〜544)内に充填された導体よって構成されているから、電極製造に当たって、導体ペーストまたは溶融金属を、微細孔(511〜544)内に充填し、かつ、加圧する方法を採用することができる。この方法によれば、微細孔(511〜544)内に空洞のない緻密な電極(411〜444)を形成することができる。加圧状態を維持したままで硬化させると、更に良好な結果が得られる。
【0044】
上述した加圧充填製造方法は、プレス工法に属するものであり、従来のICP型RIE装置を用いたドライエッチング法に比較して、設備費が著しく安価で、処理時間も短くて済む。従って、コストの安価な発光ダイオードを実現することができる。
【0045】
電極(411〜444)は、上述したように、導体ペーストを用いて形成することもできるが、電気的特性の向上及び電極自体の品質の向上等の観点から、溶融金属を用いて形成することが好ましい。この場合に用いられる金属材料の主なものとしては、ビスマス(Bi)、インジウム(In)、錫(Sn)及び銅(Cu)を例示することができる。特に、ビスマス(Bi)を含有させると、ビスマス(Bi)の持つ凝固時の体積膨張特性により、微細孔(511〜544)の内部で、空洞や空隙を生じることのない緻密な電極(411〜444)を形成することができる。溶融金属としては、上述した金属材料を用いて、粒径1μm以下、結晶径が200nm以下の多結晶体の集合体でなる粒子(ナノ粒子)の粉体を溶融したものを用いることができる。
【0046】
微細孔(511〜544)のうち、互いに隣接する微細孔、例えば、微細孔512と、微細孔511、513とにおいて、一方の微細孔511、513内の電極411、413はp側電極とし、他方の微細孔512内の電極412はn側電極とする。図2において、斜線を施した電極がp側電極であり、それ以外はn側電極となる。
【0047】
p側電極となる電極411、413は、基板1を貫通し、更に、バッファ層4、n型半導体層21及び活性層22を貫通し、先端がp型半導体層24に食い込んでいる。電極411、413は、電気絶縁の必要な領域が、絶縁膜6によって覆われている。n側電極となる電極412は、基板1及びバッファ層を貫通し、先端がn型半導体層に食い込んで止まっている。
【0048】
微細孔(511〜544)を穿孔した後、その内壁面には、金属イオンを注入して、金属イオン注入領域を形成し、その後に電極(411〜444)を形成することが好ましい。こうすることにより、電極(411〜444)を、n型半導体層21及びp型半導体23に対して、電気的に確実に接続し、接触抵抗を低下させ、発光量及び発光効率を向上させることができる。金属イオン注入領域は、微細孔(511〜544)の内壁面の全深さに渡って均質に存在する必要はない。電極(411〜444)が、n型半導体層21及びp型半導体23と接触する位置で、イオン濃度が最も高くなるように、勾配をつけてもよい。
【0049】
図3には、本発明に係る発光ダイオードの別の実施形態が図示されている。図において、図1及び図2に現れた構成部分と対応する部分については、同一の参照符号を付し、重複説明を省略する。
【0050】
図3に示す実施形態の特徴は、n型半導体層21が、非ドープGaN層211と、SiドープGaN層212とを積層した構造となっていることである。
【0051】
微細孔(511〜5qr)のうち、互いに隣接する微細孔、例えば、微細孔512と、微細孔511、513とについて説明すると、微細孔511、513の内部に充填された電極411、413は、基板1、バッファ層4、n型半導体層21及び活性層22を貫通し、先端がp型半導体層24に食い込んでいる。
【0052】
一方、n側電極となる電極412は、基板1、バッファ層3及び非ドープGaN層211を貫通し、先端がSiドープGaN層212に食い込んで止まっている。
【0053】
図4には、本発明に係る発光ダイオードの更に別の実施形態が図示されている。図において、図1及び図2に現れた構成部分と対応する部分については、同一の参照符号を付し、重複説明を省略する。
【0054】
この実施形態の特徴は、半導体発光層2の光出射側の面に設けられているトップ層24が、光学的に透明な透明電極層でなる点である。電極(411〜444)のうち、P側電極(411〜444)の一端部は、透明電極層24に接続されている。これにより、電極(411〜444)分布による電流の面拡散の促進とともに、透明電極層24による電流の面拡散の促進作用を併せ得ることができる。
【0055】
次に、図5及び図6を参照すると、発光面積の大きな発光ダイオードが図示されている。図において、図1及び図2に現れた構成部分と対応する部分については、同一の参照符号を付し、重複説明を省略する。
【0056】
図5及び図6の実施形態では、微細孔(511〜5NM)は、基板1の面において、所定のピッチ間隔で、M行N列のマトリクス状に配置されている。従って、微細孔(511〜5NM)の内部に形成される電極(411〜4NM)も、M行N列のマトリクス状配置となり、行数M及び列数Nにほぼ比例する大きな発光面積及び発光量を確保することができる。
【0057】
2.発光装置
本発明は、2つ態様に係る発光装置を開示する。
(1)第1の態様に係る発光装置
図7を参照すると、第1の態様に係る発光装置は、発光ダイオードLEDと、蛍光体8とを含む。発光ダイオードLEDは、図1〜図4を参照して説明した本発明に係る発光ダイオードである。蛍光体8は、発光ダイオードLEDの光出射側に設けられ、発光ダイオードLEDの発光とは異なる色光を発光する。
【0058】
例えば、発光ダイオードLEDとして、青色発光ダイオードを用い、蛍光体8として、青色発光ダイオードの発する青色光に対して補色光を発光するものを用いた場合には、白色光(可視光)が得られる。青色発光ダイオードとして、GaN系化合物半導体が用いられ場合、対応する蛍光体8として、YAG系蛍光体8が用いられる。
【0059】
もっとも、発光装置としての発色光は、発光ダイオードLEDのタイプと、蛍光体8の光学的性質によって、広範囲に設定することができるので、白色光に限定されるものではない。
【0060】
発光ダイオードLEDは、マザーボード9の一面上に搭載されており、マザーボード9の他面側には、電極511〜514等に給電するための端子10、11が備えられている。蛍光体8は、マザーボード9の一面上で発光ダイオードLEDを、いわゆる「弾丸状」に覆っている。
【0061】
更に、図8を参照すると、図7に図示された発光装置と比較して、発光面積の極めて大きな発光装置が図示されている。この発光装置は、面発光デバイスとして好適なものである。発光ダイオードLEDは、図5及び図6などで説明したように、微細孔(511〜5MN)及び電極(411〜4MN)を、M行N列に配置したもので、大面積の発光面を確保することができる。この大面積の発光ダイオードLEDの光出射側(発光面側)に、発光ダイオードLEDの発光とは異なる色光を発光する蛍光体8が設けられている。
【0062】
発光ダイオードLEDとして、青色発光ダイオードを用い、蛍光体8として、青色発光ダイオードの発する青色光に対して補色光を発光するものを用いた場合には、照明装置または液晶バックライトなどに極めて有用な大面積の白色光(可視光)の発光装置が得られる。
【0063】
(2)第2の態様に係る発光装置
第2の態様に係る発光装置は、図9〜図11に図示されている。まず、図9、図10を参照すると、赤色発光ダイオードRと、緑色発光ダイオードGと、青色発光ダイオードBとの組み合わせ含む。この発光装置は、光の3原色である赤色、緑色及び青色の各発光ダイオードR,G,Bを組み合わせ(1セルとして)て、白色光を得るものである。
【0064】
赤色発光ダイオードR、緑色発光ダイオードG及び青色発光ダイオードBは、何れも、本発明に係る発光ダイオードである。
【0065】
次に、図11を参照すると、赤色、緑色及び青色の各発光ダイオードR,G,Bを組み合わせて1セルとし、この発光ダイオードセル(C11〜CMN)を、M行N列に配置したもので、大面積の発光面を有する白色光の発光装置となる。
【0066】
3.照明装置
本発明に係る照明装置は、図7〜図11に図示した発光装置を用いて構成することができる。図7に示した発光装置を用いた場合には、その複数個を配列し、中間色光、白色光を生じさせる。発光装置は、マトリクス状(縦横状)に狭ピッチで配列することが好ましい。
【0067】
次に、図8に示した発光装置を用いる場合は、発光装置自体が大面積化されているので、そのまま用い、中間色光、白色光を生じさせることができる。更に大面積化するには、図8に示された発光装置の複数個を、横または縦に並べてゆけばよい。
【0068】
図9及び図10に示した発光装置を用いる場合は、その複数個を配列し、中間色光、白色光を生じさせる。発光装置は、マトリクス状(縦横状)に狭ピッチで配列することが好ましい。
【0069】
図11に示した発光装置を用いる場合は、発光装置自体が大面積化されているので、そのまま用い、中間色光、白色光を生じさせることができる。更に大面積化するには、図11に示された発光装置の複数個を、横または縦に並べてゆけばよい。
【0070】
4.ディスプレイ
本発明に係るディスプレイ(表示装置)は、液晶ディスプレイと、発光ダイオードディスプレイを含んでいる。
(1)液晶ディスプレイ
図12を参照すると、液晶ディスプレイは、液晶パネル12と、バックライト13とを有する。バックライト12は、図7〜図11に示した発光装置を用いた本発明に係る照明装置でなり、液晶パネル12を、その背面から照明する。図12は、図8に図示した発光装置を用いた場合を例示している。
【0071】
(2)発光ダイオードディスプレイ
本発明に係る発光ダイオードディスプレイは、複数の発光装置を配列したものである。発光装置は、好ましくは、図11に図示した発光装置である。即ち、赤色発光ダイオードRと、緑色発光ダイオードGと、青色発光ダイオードBとの組み合わせ(1セルとして)を含んでいる。赤色発光ダイオードR、緑色発光ダイオードG及び青色発光ダイオードBは、何れも本発明に係る発光ダイオードである。1セル内に置いて、ドット状に配列された赤色、緑色及び青色の各発光ダイオードR,G,Bを、個別的に駆動して、所望のカラー画像を表示する。
【0072】
5.信号灯
本発明に係る信号灯は、発光ダイオードを配列したものである。発光ダイオードLEDは、本発明に係るものである。必要な信号灯色光は、発光ダイオードのタイプ、及び、それと蛍光体8との組み合わせによって実現することができる。
【0073】
以上、好ましい実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種種の変形態様を採り得ることは自明である。
【符号の説明】
【0074】
1 基板
2 半導体発光層
411〜4MN 電極
511〜5MN 微細孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、半導体発光層と、電極とを含む発光ダイオードであって、
前記半導体発光層は、前記基板の一面上に積層されており、
前記電極は、前記半導体発光層に電気エネルギーを供給するものであって、前記基板を貫通し前記半導体発光層に到達する微細孔内に充填された導体によって構成されている、
発光ダイオード。
【請求項2】
請求項1に記載された発光ダイオードであって、前記半導体発光層は、光出射側の面に電極層を持たない、発光ダイオード。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された発光ダイオードであって、前記微細孔は、その内壁面に金属イオン注入領域を有する、発光ダイオード。
【請求項4】
発光ダイオードと、蛍光体とを含む発光装置であって、
前記発光ダイオードは、請求項1乃至3の何れかに記載されたものでなり、
前記蛍光体は、前記発光ダイオードの光出射側に設けられ、前記発光ダイオードの発光とは異なる色光を発光する、
発光装置。
【請求項5】
赤色発光ダイオードと、緑色発光ダイオードと、青色発光ダイオードとの組み合わせ含む発光装置であって、
前記赤色発光ダイオード、前記緑色発光ダイオード及び青色発光ダイオードは、請求項1乃至3の何れかに記載されたものでなる、
発光装置。
【請求項6】
複数の発光装置を配列した照明装置であって、前記発光装置は、請求項4または5に記載されたものでなる、照明装置。
【請求項7】
液晶パネルと、バックライトとを有する液晶ディスプレイであって、
前記バックライトは、請求項6に記載された照明装置でなり、前記液晶パネルを、その背面から照明する、液晶ディスプレイ。
【請求項8】
複数の発光装置を配列した発光ダイオードディスプレイであって、前記発光装置は、請求項5に記載されたものでなる、発光ダイオードディスプレイ。
【請求項9】
発光ダイオードを配列した信号灯であって、
前記発光ダイオードは、請求項1乃至3の何れかに記載されたものである、
信号灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−60996(P2011−60996A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208992(P2009−208992)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【特許番号】特許第4454689号(P4454689)
【特許公報発行日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(504034585)有限会社ナプラ (55)
【Fターム(参考)】