説明

発光素子及びその製造方法

【課題】発光素子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】n型クラッド層と活性層とp型クラッド層とを含み、n型クラッド層は複数の窒化物半導体層と、該複数の窒化物半導体層の間に配された少なくとも一つの中間層と、その内部にビアホールとを含み、該ビアホールに電極が備えられた発光素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直列抵抗及び動作電圧を低減させる電極構造を持つ発光素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体発光素子は、半導体のp−n接合構造を利用して注入された少数キャリアを設け、これらの再結合により発光される。半導体発光素子は、発光ダイオードとレーザーダイオードとに大別され、発光ダイオードは、電力消耗が相対的に少ないながらも輝度が高くて、高効率、環境にやさしい光源としてディスプレイ、光通信、自動車、一般照明などの多様な分野に使われる。
【0003】
発光素子は発光性能に優れねばならず、発光素子の発光性能を判定する基準要素のうちの一つとして、発光効率がある。発光効率は、内部量子効率、抽出効率、動作電圧の3要素によって主に決定される。内部量子効率は、発光素子を通過する電子に対してどれほど多くの光子が作られるかについての特性値であって、これは、半導体物質の品質と活性領域についての設計により決定されうる。抽出効率は、このように生成された光子が半導体チップの外に抜け出る量に対する比率を表す。半導体と周辺物質との間の高い屈折率差によって、生成された光子が、内部的に数回反射しつつ再びチップの内部に吸収されることもある。したがって、抽出効率は、半導体チップ内部での多重反射や吸収過程で失う光子により制限される。動作電圧は、活性領域のエネルギーバンドギャップと発光素子の電気的な抵抗とにより決定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、直列抵抗及び動作電圧を低減させて発光効率を高めた発光素子を提供する。
【0005】
本発明の実施形態は、発光効率が向上した発光素子の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面による発光素子は、複数の窒化物半導体層と、前記複数の窒化物半導体層の間に配された少なくとも一つの中間層と、ビアホールとを有したn型クラッド層と、p型クラッド層と、前記n型クラッド層とp型クラッド層との間に備えられた活性層と、前記n型クラッド層のビアホールに備えられた第1電極と、前記p型クラッド層の一面に備えられた第2電極と、を備えている。
【0007】
本発明の他の側面によれば、前記第1電極は、前記複数の窒化物半導体層のうち少なくとも一つに接触している。
【0008】
本発明の他の側面によれば、前記第1電極の一端は、前記活性層に最も近い窒化物半導体層に接触している。
【0009】
本発明の他の側面によれば、前記活性層に最も近い窒化物半導体層はn型にドーピングされ、残りの窒化物半導体層はドーピングされていない。
【0010】
本発明の他の側面によれば、前記n型クラッド層の下部面にバッファ層がさらに備えられている。
【0011】
本発明の他の側面によれば、前記第1電極の内側端部に誘電体層がさらに備えられている。
【0012】
本発明の他の側面によれば、前記n型クラッド層はシリコン基板に成長し、前記シリコン基板は除去される。
【0013】
本発明の一側面による発光素子の製造方法は、シリコン基板上に第1窒化物半導体層を成長させる段階と、前記第1窒化物半導体層上に、第1中間層と第2窒化物半導体層とを交互に少なくとも1回以上成長させる段階と、前記第2窒化物半導体層上に活性層を成長させる段階と、前記活性層上にp型クラッド層を成長させる段階と、前記シリコン基板を除去する段階と、前記第1窒化物半導体層の下部面をエッチングしてビアホールを形成する段階と、前記ビアホールに電極物質を注入して第1電極を形成する段階と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態による発光素子の斜視図である。
【図2】本発明の他の実施形態による発光素子の断面図である。
【図3A】本発明の一実施形態による発光素子の製造方法を示した図面である。
【図3B】本発明の一実施形態による発光素子の製造方法を示した図面である。
【図3C】本発明の一実施形態による発光素子の製造方法を示した図面である。
【図3D】本発明の一実施形態による発光素子の製造方法を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態による発光素子及びその製造方法について、添付図面を参照して詳細に説明する。以下の図面で、同じ参照符号は同じ構成要素を称し、図面上で各構成要素の大きさは、説明の明瞭性及び便宜性のために誇張している。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態による発光素子の斜視図を示したものである。図1は、チップ単位の発光素子を示したものである。図1を参照すれば、本発明の一実施形態による発光素子は、n型クラッド層40、p型クラッド層55、及び前記n型クラッド層40とp型クラッド層55との間に備えられた活性層50を備える。前記n型クラッド層40は、複数の窒化物半導体層と、前記複数の窒化物半導体層の間に備えられた少なくとも一つの中間層とを含むことができる。例えば、前記n型クラッド層40は、第1窒化物半導体層15、第1中間層17、第2窒化物半導体層20、第2中間層22、第3窒化物半導体層25、第3中間層27及び第4窒化物半導体層30を含むことができる。n型クラッド層40を構成する窒化物半導体層と中間層との数は、必要なn型クラッド層40の全体厚さによって変更され、図1に図示された構造に限定されるものではない。窒化物半導体層はIII−V族窒化物半導体物質を含むことができ、例えば、窒化ガリウム(GaN)を含むことができる。
【0017】
前記中間層は、基板にn型クラッド層を成長させた後で冷却時に窒化物半導体層に形成される引っ張り応力(tensile stress)を低減させて、クラックのないクラッド層の厚さを高めるか、または格子不整合により発生する転移密度を低減させるために、窒化物半導体層の間に備えられうる。例えば、Si基板上に窒化物半導体層を成長させる時に、熱膨張係数差によって、冷却時に窒化物半導体層に引っ張り応力が生成され、この引っ張り応力が臨界点を超えれば、クラックが発生する。例えば、Si基板上に成長した窒化ガリウム(GaN)層のクラックのない(crack−free)臨界厚さは概略1μmほどでありうる。ところが、高品質のn型クラッド層の製作のために、n型クラッド層が概略5μm以上の厚さで形成される必要がありうる。したがって、クラックのないn型クラッド層の厚さを高めるために、窒化物半導体層の成長中に数〜数百nm厚さの中間層を蒸着して応力を緩和させる。
【0018】
前記中間層としては、低温または高温で蒸着したAlN、AlGa1−xN、SiNからなるグループから選択された少なくとも一つを含む物質からなりうる。また、前記中間層は超格子構造を含むことができる。AlGa1−xN中間層の場合、抵抗を低減させるためにSiでドーピングしてn型に蒸着してもよい。中間層は1nm〜100nm範囲の厚さを有することができ、窒化物半導体層は300nm〜2μm範囲の厚さを有することができる。各中間層の物質、厚さ及び窒化物半導体層の厚さは規則的である必要はない。活性層に近い最終窒化物半導体層の厚さを相対的にさらに厚くすることができる。
【0019】
前記活性層50は、電子−正孔再結合により光を発光する層であって、例えば、InGaNベースの窒化物半導体層からなり、バンドギャップエネルギーを制御することによってその発光波長帯域が調節される。活性層50は、量子ウェル層と障壁層とを含み、例えば、InGaN/GaN、InGaN/InGaN、InGaN/AlGaNまたはInGaN/InAlGaNからなる量子ウェル層と障壁層とを含むことができる。量子ウェル層は、単一量子ウェル層または多重量子ウェル層からなりうる。
【0020】
p型クラッド層55は、III−V族窒化物半導体物質からなり、例えば、p型GaNで形成されうる。ドーパントとしては、Mg、Ca、Zn、Cd、Hgなどのp型ドーパントが使われうる。
【0021】
本発明の実施形態による発光素子は基板を備えない。例えば、基板はSi基板であり、基板上にn型クラッド層、活性層、p型クラッド層を成長させた後、基板を除去する。基板を除去することについては後述する。
【0022】
前記n型クラッド層40は少なくとも一つのビアホール65を備え、前記ビアホール65に第1電極70が備えられる。前記ビアホール65はn型クラッド層40の下部面でパターニングされて、n型クラッド層40の内部にエッチングされて形成されうる。前記ビアホール65に電極物質が注入されて第1電極70が備えられる。前記第1電極70は、n型クラッド層40の窒化物半導体層の少なくとも一つに接触できる。前記第1電極70は、n型クラッド層40の窒化物半導体層のうち、前記活性層50に最も近い窒化物半導体層にまで至るように備えられうる。言い換えれば、前記第1電極70の内側端部が前記活性層50に最も近く位置する窒化物半導体層に接触できる。第1電極70が活性層50に最も近い窒化物半導体層にまで位置する時、第1電極を通じて注入される電子が電気伝導度の低い中間層のバリア(barrier)を通過しつつ生じる損失を低減させ、抵抗の低い電極を通じて活性層まで容易に移動することによって発光効率を高めることができる。
【0023】
前記n型クラッド層40の全ての窒化物半導体層がn型にドーピングされうる。または、n型クラッド層の一部の窒化物半導体層のみn型にドーピングされうる。例えば、前記活性層50に最も近い窒化物半導体層のみn型にドーピングされ、残りの窒化物半導体層はドーピングされない。n型ドーパントが冷却時にクラックの発生に寄与しうるので、活性層に最も近い窒化物半導体層をn型ドーピングし、残りの窒化物半導体層をドーピングしないことで、クラックのないクラッド層の厚さをさらに高めることができる。
【0024】
前記第1電極70は、Au、Cu、Ni、Ag、Cr、W、Al、Pt、Sn、Pb、Fe、Ti、Moからなるグループから選択された少なくとも一つの物質を含むか、またはITO、ZrB、ZnO、InO、SnOのうちいずれか一つを含むことができる。
【0025】
前記p型クラッド層55の上部には、反射膜57と支持層60とが備えられうる。前記反射膜57と支持層60とは、第2電極として作用できる。したがって、反射膜と支持層とが第2電極として作用するように備えられる場合、第2電極が別途に備えられなくてもよい。前記反射膜57は、電気伝導度及び反射度の高い金属系列の材料で形成されうる。前記支持層60は、電気伝導度及び熱伝導度の高いシリコンまたは金属系列の材料で形成されうる。第1電極と第2電極は活性層50とに電子及び正孔が注入されるように、外部電源供給部とワイヤーボンディングにより連結される。
【0026】
前記n型クラッド層40の下部にはバッファ層13がさらに備えられうる。前記バッファ層13は、基板(図3Aの10参照)上にn型クラッド層を成長させた後、冷却中に発生する引っ張り応力を補償するために備えられるものであって、窒化物半導体層を成長させる時に圧縮応力が累積されるように、窒化物半導体層より格子定数の小さな物質で形成されうる。例えば、前記バッファ層13は、AlNまたはAlGa1−xN(0≦x<1)などの物質で形成されうる。前記バッファ層13は、格子欠陥の減少のために、AlGa1−xNの組成比を、順次的な格子定数の調節を通じて漸進的(graded)方式または階段的(step−wise)方式で調節しつつ形成されうる。また、前記バッファ層13は、AlGa1−xN/AlGa1−yN(0≦x,y≦1、x≠y)超格子構造で形成されうる。前記バッファ層13は、下部面にテクスチャー13aを備えることができる。
【0027】
一方、前記バッファ層13は、基板上にあらゆる膜を積層した後、基板と共に除去されうる。前記バッファ層13が完全に除去される場合、n型クラッド層40の下部面にテクスチャーを備えることができる。
【0028】
図2は、図1に図示された発光素子に誘電体層68をさらに備えた例を示したものである。図2を参照すれば、前記第1電極70の内側端部に誘電体層68が備えられる。前記誘電体層68は、例えば、SiO、レジンなどで形成されうる。前記誘電体層68は、前記第1電極70を通じる電流分散をさらに増大させるために備えられうる。第1電極70を通じて流れる電流が誘電体層68により妨害されて、電流が窒化物半導体層と第1電極とが接触する部分での水平方向に広がることによって、窒化物半導体層にさらに均一に広がりうる。
【0029】
次いで、本発明の一実施形態による発光素子の製造方法について説明する。
【0030】
図3Aないし図3Dは、ウェーハ単位の発光素子を図示する。図3Aを参照すれば、基板10上にバッファ層13を積層する。前記基板10としては、サファイア基板、炭化シリコン(SiC)基板、シリコン基板、窒化ガリウム(GaN)基板などが採用されうる。シリコン基板としては、例えば、Si(111)基板が使われうる。前記基板10をウェット洗浄及びHF処理した後、バッファ層13、n型クラッド層40、活性層50及びp型クラッド層55を成長させる。前記層の成長方法としては、公知の多様な方法を使用できる。例えば、金属有機化学蒸着法(metal organic chemical vapor deposition;MOCVD)、混成気相結晶成長法(hydride vapor phase epitaxy;HVPE)、分子線結晶成長法(molecular beam epitaxy;MBE)、HCVD法(halide chemical vapor deposition)などが使われうる。
【0031】
前記バッファ層13は、窒化物半導体より格子定数の小さな物質、例えば、AlNまたはAlGa1−xN(0≦x<1)などの物質で形成されうる。前記バッファ層13の上部にn型クラッド層40を成長させる。n型クラッド層40は、窒化物半導体層と中間層とが交互に成長して形成されうる。図3Aでは、第1窒化物半導体層15、第1中間層17、第2窒化物半導体層20、第2中間層22、第3窒化物半導体層25、第3中間層27及び第4窒化物半導体層30が順に積層された例を示す。n型クラッド層40の窒化物半導体層と中間層との数は、n型クラッド層の厚さによって多様に選択されうる。前記中間層は、低温または高温で蒸着したAlN、AlGa1−xN、SiNなどの物質で形成されうる。例えば、前記中間層をAlGa1−xNで形成する時、抵抗を低減させるためにSiでn型ドーピングをして蒸着できる。前記中間層はいろいろな物質の組み合わせで製作でき、超格子の形態にも適用できる。各中間層は1nm〜100nmの厚さを有し、中間層の間の窒化物半導体層の厚さは300nm〜2μmの範囲を有することができる。各中間層の物質はいずれも同一なものでなくてもよい。また、中間層の厚さと中間層間の窒化物半導体層の厚さとがそれぞれ同一である必要はない。例えば、活性層55に最も近い窒化物半導体層の厚さを最も厚くすることができる。
【0032】
前記n型クラッド層の全ての窒化物半導体層がn型にドーピングされうる。または、n型クラッド層の一部の窒化物半導体層のみn型にドーピングされうる。例えば、前記活性層55に最も近い窒化物半導体層のみn型にドーピングされ、残りの窒化物半導体層はドーピングされない。シリコンドーパントにより窒化物半導体層をドーピングする時、引っ張り応力が発生して冷却時にクラックが発生しうるので、窒化物半導体層をドーピングしないことによってクラックのない成長厚さを高めることができる。一般的な垂直型発光素子では、あらゆる窒化物半導体層がn型にドーピングされねばならないが、本発明の実施形態による発光素子では、あらゆる窒化物半導体層がn型にドーピングされる必要はない。これは、本発明の実施形態による発光素子の第1電極がn型クラッド層の内部に備えられて、内部側の窒化物半導体層と直接接触するためである。
【0033】
図3Bを参照すれば、前記p型クラッド層55に反射膜57を接着し、前記反射膜57上に支持層60をウェーハボンディング法によりボンディングする。前記反射膜57を、接着時に接着力及び電気伝導度の高い物質を利用して接着させることができる。前記反射膜57は電気伝導度及び反射度の高い金属で形成され、支持層60は、電気伝導度及び熱伝導度の高いシリコンまたは金属で形成されうる。前記反射膜57と支持層60とは第2電極として使われうる。
【0034】
次いで、前記基板10を除去する。基板を備えた発光素子の活性層で生成された光がシリコン基板で吸収されて損失されることを防止するために、基板を除去する。シリコンは、バンドギャップが概略1.12eVであるので、可視光及び赤外線領域の光を大部分吸収して光抽出効率を低下させる。前記基板10は、研削、ラッピング、研磨またはウェット/ドライエッチングを通じて除去されうる。垂直型発光素子の製造時、レーザーリフトオフ(LLO)を通じてサファイア基板を除去することに比べて、シリコン基板の除去が経済的であり、収率が高くて加工が容易である。基板の除去時、バッファ層13の一部または全体を共に除去できる。
【0035】
しかし、電気伝導度の低いバッファ層が使われた場合であっても、バッファ層が活性層からの光を吸収しなければ、バッファ層を除去しなくてもよい。電極がバッファ層下に位置するならば、電気伝導度の低いバッファ層により電流が損失されるため、バッファ層を除去せねばならないが、本発明の実施形態のように、電極がn型クラッド層の内部に備えられる場合には、電流がバッファ層を通じて流れないため、バッファ層を除去しなくてもよい。したがって、バッファ層を除去する工程を低減させて工程を単純化できる。
【0036】
図3Bでは、バッファ層13の一部が除去された状態を示す。基板10とバッファ層13との一部を除去した後、バッファ層13の表面にテクスチャー13aを形成する。前記テクスチャー13aは、活性層50で生成された光が下方に出る時、バッファ層13から全反射されて放出されないことを回避して、光抽出効率及び外部量子効率を高めることができる。バッファ層を全部除去した場合には、n型クラッド層の第1窒化物半導体層にテクスチャーを形成できる。
【0037】
図3Cを参照すれば、前記バッファ層13を、マスクを利用してエッチングしてビアホール65を形成する。前記ビアホール65は、バッファ層13の表面からn型クラッド層40の一部層まで貫通して形成されうる。例えば、前記ビアホール65は、n型クラッド層40の窒化物半導体層のうち、活性層に最も近い層にまで形成されうる。前記ビアホールの形成時、SiOまたはフォトレジストをバッファ層に蒸着してマスクとして使用し、ドライエッチングを通じてビアホールを形成できる。前記ビアホール65のパターンは、円形、方形、X型、メッシュ型、フィンガー型など多様な形状を持つことができる。
【0038】
図3Dに図示されたように、前記ビアホール65に電極物質を注入して第1電極70を形成する。第1電極70は、メッキまたはPVD(Physical vapor deposition)方法を利用して形成されうる。前記第1電極70は、Au、Cu、Ni、Ag、Cr、W、Al、Pt、Sn、Pb、Fe、Ti、Moからなるグループから選択された少なくとも一つの物質またはこれらの組み合わせで形成されうる。または、前記第1電極70は、電気伝導性及び透過性の良いTCO(transparent conducting oxide)物質であって、ITO(indium tin oxide)、ZnO、ZrB、ZnO、InO、SnOのうちいずれか一つで形成されうる。
【0039】
前記第1電極70は、ビアホール65の形態と同様に、円形、方形、X型、メッシュ型、フィンガー型など多様な形状を持つことができる。例えば、第1電極70がX型に形成される場合、電極とn型クラッド層との接触面積が広くて分散拡散(current spreading)がよくなされうる。前記第1電極70がn型クラッド層40の内部に備えられることによって、第1電極を通じて注入された電子が中間層のバリアを通過する間に生じる損失を低減させることができる。そして、抵抗の低い第1電極を通じて容易に移動して、第2電極を通じて注入される正孔と結合して活性層50で発光できるようになる。
【0040】
一方、前記第1電極70を形成する前にビアホール65の内側端部に誘電体層68をさらに形成できる。前記誘電体層68は、SiOまたはレジンで形成されて、第1電極を通じる電流分散をさらに増大させることができる。第1電極70を通じて垂直方向の電流フローが前記誘電体層68により妨害されて、水平方向への電流フローに転換されることによって、電流がn型クラッド層にさらに均一に広がりうる。
【0041】
本発明の実施形態による発光素子は、直列抵抗と動作電圧とを低減させる電極構造を備えて発光効率を高める。そして、発光素子がシリコン基板上で製作されて低コストとなる。
【0042】
本発明の実施形態による発光素子の製造方法は、シリコン基板を利用して低コストで大面積の基板を製造でき、n型クラッド層に中間層を備えてクラッド層の成長厚さを高めることができる。そして、第1電極をn型クラッド層の少なくとも一つの窒化物半導体層に直接接触させることによって、抵抗による電流損失を低減させて動作電圧を低減させ、発光効率を高めることができる。
【0043】
本発明の実施形態による発光素子とその製造方法は、理解を助けるために図面に図示された実施形態を参考までに説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲により定められねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、半導体発光素子関連の技術分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0045】
13 バッファ層
13a テクスチャー
15 第1窒化物半導体層
17 第1中間層
20 第2窒化物半導体層
22 第2中間層
25 第3窒化物半導体層
27 第3中間層
30 第4窒化物半導体層
40 n型クラッド層
50 活性層
55 p型クラッド層
65 ビアホール
70 第1電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の窒化物半導体層と、前記複数の窒化物半導体層の間に配された少なくとも一つの中間層と、ビアホールとを有したn型クラッド層と、
p型クラッド層と、
前記n型クラッド層とp型クラッド層との間に備えられた活性層と、
前記n型クラッド層のビアホールに備えられた第1電極と、
前記p型クラッド層の一面に備えられた第2電極と、を備えている発光素子。
【請求項2】
前記第1電極は、前記複数の窒化物半導体層のうち少なくとも一つに接触していることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記第1電極の一端は、前記活性層に最も近い窒化物半導体層に接触していることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項4】
前記活性層に最も近い窒化物半導体層はn型にドーピングされ、残りの窒化物半導体層はドーピングされていないことを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項5】
前記n型クラッド層の下部面にバッファ層がさらに備えられていることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項6】
前記バッファ層は、その下部面にテクスチャーを有することを特徴とする請求項5に記載の発光素子。
【請求項7】
前記中間層は、AlN、AlGa1−xN、SiNからなるグループから選択された少なくとも一つを含む物質からなるか、または超格子構造を含むことを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項8】
前記第1電極は、円形、方形、メッシュ型、フィンガー型またはX形状を有することを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項9】
前記第1電極の内側端部に誘電体層がさらに備えられていることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項10】
前記n型クラッド層はシリコン基板に成長し、前記シリコン基板は除去されたことを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項11】
前記第2電極は、反射層と支持層とを含むことを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項12】
シリコン基板上に第1窒化物半導体層を成長させる段階と、
前記第1窒化物半導体層上に、第1中間層と第2窒化物半導体層とを交互に少なくとも1回以上成長させる段階と、
前記第2窒化物半導体層上に活性層を成長させる段階と、
前記活性層上にp型クラッド層を成長させる段階と、
前記シリコン基板を除去する段階と、
前記第1窒化物半導体層の下部面をエッチングしてビアホールを形成する段階と、
前記ビアホールに電極物質を注入して第1電極を形成する段階と、を含む発光素子の製造方法。
【請求項13】
前記ビアホールを形成する段階は、ドライエッチングを通じて前記活性層に最も近い前記第2窒化物半導体層にまでエッチングすることを含むことを特徴とする請求項12に記載の発光素子の製造方法。
【請求項14】
前記ビアホールに電極物質を注入する前に誘電体物質を注入して、前記ビアホールの端部に誘電体層を形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の発光素子の製造方法。
【請求項15】
前記誘電体層は、SiOまたはレジンを含むことを特徴とする請求項14に記載の発光素子の製造方法。
【請求項16】
前記シリコン基板と第1窒化物半導体層との間にバッファ層を形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の発光素子の製造方法。
【請求項17】
前記シリコン基板とバッファ層の一部または全部を除去し、前記バッファ層表面またはn型クラッド層の下部面にテクスチャーを形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の発光素子の製造方法。
【請求項18】
前記第2窒化物半導体層を成長させる段階は、前記活性層に最も近い第2窒化物半導体層をn型にドーピングすることを含むことを特徴とする請求項12ないし17のうちいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
【請求項19】
前記第1電極は、Au、Cu、Ni、Ag、Cr、W、Al、Pt、Sn、Pb、Fe、Ti、Moからなるグループから選択された少なくとも一つの物質またはこれらの組み合わせを含むか、またはITO、ZrB、ZnO、InO、SnOのうちいずれか一つを含むことを特徴とする請求項12ないし17のうちいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【公開番号】特開2011−119730(P2011−119730A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264983(P2010−264983)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】