発光表示装置及びその製造方法
【課題】高温高湿の雰囲気であっても,外部から水分が発光表示装置内部に浸透してしまうのを防ぎ,発光素子の発光効率の低下や寿命が縮まるのを防止することのできる発光表示装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基板410上に形成された薄膜トランジスタと,薄膜トランジスタ上に形成される第1絶縁膜445と,第1絶縁膜445上に画像表示部411を形成する少なくとも一つの発光素子450と,を備え,画像表示部411の周囲であり,第1絶縁膜445の少なくとも一側端部に,発光素子450へ水分が流入するのを遮断する,少なくとも一つの遮断部470が形成されることを特徴とし,外部から流入する水分を遮断部470で遮断し,素子の内部への流入を防いで発光素子の発光効率の低下や寿命が縮まるのを防止することができる。
【解決手段】基板410上に形成された薄膜トランジスタと,薄膜トランジスタ上に形成される第1絶縁膜445と,第1絶縁膜445上に画像表示部411を形成する少なくとも一つの発光素子450と,を備え,画像表示部411の周囲であり,第1絶縁膜445の少なくとも一側端部に,発光素子450へ水分が流入するのを遮断する,少なくとも一つの遮断部470が形成されることを特徴とし,外部から流入する水分を遮断部470で遮断し,素子の内部への流入を防いで発光素子の発光効率の低下や寿命が縮まるのを防止することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,透過パネルと発光素子が形成される基板の絶縁膜とが接着されている発光表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光表示装置には,液晶表示装置と同様に別途の光源を要する受動型発光素子に比べ,陰極線管のように早い回答速度を持つ長所を有している。一般的な平板表示装置の中で発光表示装置は,他の平板表示装置より使用温度範囲が広く,衝撃や震動に強く,視野角が広く,さらに応答速度が早い特徴を有し,きれいな動画像を提供することができる。
【0003】
発光表示装置は,材料及び構造によって無機物の発光層を含む無機発光表示装置と有機物の発光層を含む有機発光表示装置に大別される。有機発光表示装置は電子と正孔が半導体の中で電子−正孔対を作り,キャリアがさらに高いエネルギー形態に励起された後,安定化状態に落下する過程を通じて光が発生する現象を利用する。
【0004】
以下では図面を参照して従来の発光表示装置を説明する。図1は従来の発光表示装置の概略的な平面図であり,図2は図1のII−II’線による側端面図である。図1を参照すれば,発光表示装置100は,基板110と,発光素子(図示せず)を有する画像表示部111と,基板110の一側に形成された複数のパッドを持つパッド部112と,パッド部112形成領域を除いた基板110の端に沿って形成された電源線115と,走査駆動部113と,データ駆動部114とを有している。
【0005】
より具体的には,図2を参照すれば,発光表示装置100は,基板110上に順次に形成されたバッファ層120,半導体層130,131,132,ゲート絶縁膜125,ゲート電極140,層間絶縁膜135,ソース電極141,ドレイン電極142,第1絶縁膜145,発光素子150,及び透過パネル155を有している。
【0006】
まず,酸化膜からなるバッファ層120が基板110上に形成されて,バッファ層120上にはポリシリコン膜を形成してパターニングし,半導体層130,131,132を形成する。半導体層130,131,132を有するバッファ層120上には,ゲート絶縁膜135が形成されて,ゲート絶縁膜135上にはゲート金属層を蒸着して,蒸着されたゲート金属層をパターニングすることでゲート電極140が形成される。
【0007】
ゲート電極140上には層間絶縁膜135が形成されて,その次に,ソース/ドレイン金属層を蒸着及びパターニングすることで生成されたソース及びドレイン電極141,142が形成される。通常,データ線(図示せず)及び電源線115は,ソース電極141及びドレイン電極142と同時に形成される。ソース電極141,ドレイン電極142及び電源線115が形成された層間絶縁膜135上には,ソース電極141,ドレイン電極142及び電源線115などのパターンによる表面の段差を平坦化するために,第1絶縁膜145が形成されて,第1絶縁膜145上には通常R(赤),G(緑),B(青)を発光する発光素子150が形成される。
【0008】
また,発光素子150が形成された第1絶縁膜145上部には,発光素子150の上部領域が外部に露出しないように発光素子150を覆う透過パネル155が用意される。透過パネル155の下部,すなわち,発光素子150の上部と対向する面には透過性のある吸湿層156が形成される。透過パネル155と第1絶縁膜145とは,少なくとも一方の面の周囲に沿って塗布された接着物質160によって接着される。従来の発光表示装置及びその製造方法に関しては,特許文献1に記載されている。
【0009】
【特許文献1】韓国公開特許2005−0052288号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし,このような従来の発光表示装置において,通常,各膜のパターンによる表面の段差を無くすために形成された第1絶縁膜は,一般的に,シリコンまたはベンゾサイクロブテン(Benzocyclo Butene:BCB),アクリル,ポリイミド(Polyimide)などを利用して形成されるが,これら自体の特性上,相対的に接着力が低いので,第1絶縁膜または透過パネルのどちらか一方に接着物質を塗布して接着させる場合,第1絶縁膜と透過パネルとの間の接着力が弱くなる短所があり,これにより,高温高湿の雰囲気で外部から水分や酸素が発光表示装置内部に浸透してしまう問題点があった。
【0011】
さらに,発光表示装置内部で水分が浸透する場合には,浸透した水分が第1絶縁膜に沿って発光素子に直接接触し,画素の縮小現象を起こして発光素子の発光効率を低下させ,さらに発光素子自らの寿命を縮める不具合があった。
【0012】
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,その目的とするところは,高温高湿の雰囲気であっても,外部から水分が発光表示装置内部に浸透してしまうのを防ぎ,発光素子の発光効率の低下や寿命が縮まるのを防止することのできる発光表示装置及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,基板上に形成された薄膜トランジスタと,薄膜トランジスタ上に形成される第1絶縁膜と,第1絶縁膜上に画像表示部を形成する少なくとも一つの発光素子と,を備え,画像表示部の周囲であり,第1絶縁膜の少なくとも一側端部に,発光素子へ水分が流入するのを遮断する,少なくとも一つの遮断部が形成される発光表示装置が提供される。
【0014】
第1絶縁膜の少なくとも一側端部に遮断部を形成することにより,外部から流入する水分や水分を遮断部で遮断することができるので,素子の内部への流入を防ぐことができ,発光素子の発光効率の低下や寿命が縮まるのを防止することができる。
【0015】
この時,遮断部は,第1絶縁膜の厚さと同じ厚さに形成されることができ,第1絶縁膜を貫く貫通溝であることができる。または,遮断部は,第1絶縁膜の厚さより薄く形成されることができ,第1絶縁膜に形成された凹状の溝であることができる。
【0016】
また,遮断部の形成幅は,2μm〜50μmの範囲の幅で形成されるが,かかる範囲に限定されず,遮断部の形成幅は,例えば,薄膜トランジスタ及び発光素子の配置を考慮した許容範囲内の幅で形成されればよい。かかる構成により,効果的に水分を遮断することができる。
【0017】
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,基板上に形成された薄膜トランジスタと,薄膜トランジスタ上部に形成される第1絶縁膜と,第1絶縁膜上に形成される無機絶縁膜と,無機絶縁膜上に画像表示部を形成する少なくとも一つの発光素子と,を備え,画像表示部の周囲であり,無機絶縁膜及び第1絶縁膜の少なくとも一側端部に,発光素子へ水分が流入するのを遮断する,少なくとも一つの遮断部が形成される発光表示装置が提供される。
【0018】
第1絶縁膜上に無機絶縁膜を形成することにより,透過パネルとの接着力を高めることができ,高温高湿の雰囲気で外部から水分や酸素が発光表示装置内部に浸透するのを低減させるとともに,さらに,無機絶縁膜及び第1絶縁膜の少なくとも一側端部に遮断部を形成することにより,外部から流入するする水分を遮断部で遮断し,素子の内部への流入を防ぐことができるので,発光素子の発光効率の低下や寿命が縮まるのを防止することができる。
【0019】
この時,遮断部は,無機絶縁膜及び第1絶縁膜を加えた厚さと同じ厚さに形成されるとよく,無機絶縁膜及び第1絶縁膜を貫く貫通溝であることができる。または,遮断部は,無機絶縁膜及び第1絶縁膜の厚さより薄く形成されてもよく,無機絶縁膜及び第1絶縁膜に形成された凹状の溝であることができる。
【0020】
また,無機絶縁膜は,SiNx,SiOxの中から選択することができ,透過パネルとの接着力を高めることができる。
【0021】
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,基板を準備する段階と,基板上にソース及びドレイン電極を具備した薄膜トランジスタを形成する段階と,薄膜トランジスタ上に第1絶縁膜を形成する段階と,第1絶縁膜にコンタクトホールを形成する段階と,薄膜トランジスタによって駆動される少なくとも一つの発光素子を具備する画像表示部の周囲であり,第1絶縁膜の少なくとも一側端部に,発光素子へ水分が流入するのを遮断する少なくとも一つの遮断部を形成する段階と,第1絶縁膜上に,コンタクトホールを通じてソースまたはドレイン電極と電気的に接続される画素電極を形成する段階と,を含むことを特徴とする,発光表示装置の製造方法が提供される。
【0022】
第1絶縁膜の少なくとも一側端部に遮断部を形成することにより,外部から流入する水分を遮断部で遮断することができるので,素子の内部への流入を防ぐことができ,発光素子の発光効率の低下や寿命が縮まるのを防止することができる。
【0023】
第1絶縁膜を形成する段階の後に,第1絶縁膜上に無機絶縁膜を形成する段階をさらに含むことができる。第1絶縁膜上に無機絶縁膜を形成することにより,透過パネルとの接着力を高めることができ,高温高湿の雰囲気で外部から水分や酸素が発光表示装置内部に浸透するのを低減させることができる。
【0024】
遮断部は,第1絶縁膜及び無機絶縁膜に形成されるとよく,遮断部は,第1絶縁膜及び無機絶縁膜をエッチングして形成することができる。この場合,遮断部は,コンタクトホールの形成と同時に形成されてもよいし,コンタクトホールの形成とは別の工程で形成されてもよい。
【0025】
また,遮断部は,第1絶縁膜の厚さと同じ厚さに形成することもできるし,第1絶縁膜の厚さより薄く形成してもよい。
【発明の効果】
【0026】
以上詳述したように本発明によれば,第1絶縁膜に水分が内部へ流入するのを遮断する遮断部を形成することにより,外部から水分が浸入した場合にも,第1絶縁膜を介して内部の発光素子に水分が直接接触することを防ぎ,発光素子の発光効率の低下や寿命を縮めるのを防止することができ,発光表示装置の信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0028】
(第1の実施の形態)
以下では本実施形態による図面を参照して見た発光表示装置及びその製造方法を具体的に説明する。図3は第1の実施の形態による発光表示装置の平面図であり,図4は図3のIV−IV’線による側断面図である。
【0029】
図3を参照すれば,発光表示装置400は,基板410と,基板410上に形成された走査線S及びデータ線Dの交差領域に形成される少なくとも一つの薄膜トランジスタ(図示せず)によって駆動される少なくとも一つ以上の副画素を具備する画像表示部411と,基板410の一側に形成されたパッド部412と,パッド部412を除いた基板412に形成された電源線415と,電源線415及び画像表示部411の間に形成された走査駆動部413と,画像表示部411及びパッド部412の間に形成されたデータ駆動部414と,を備えている。
【0030】
図4及び図5を参照すれば,発光表示装置400は,さらに,基板410上に形成されたバッファ層420,半導体層430,431,ゲート絶縁膜425,ゲート電極440,層間絶縁膜435,ソース及びドレイン電極441,及び発光素子450を備えている。具体的にバッファ層420は,基板410上に形成されて,バッファ層420上には半導体層430,431が形成される。この半導体層431は,ソース及びドレイン領域を有している。半導体層430,431が形成された基板410上にはゲート絶縁膜425が形成され,ゲート絶縁膜425上にはゲート電極440が形成される。
【0031】
層間絶縁膜435は,ゲート絶縁膜425上に形成されて,ソース/ドレイン領域である半導体層431を露出させる第1コンタクトホールを具備する。層間絶縁膜435上にはソース及びドレイン領域である半導体層431を露出させる第1コンタクトホールを通じてソース/ドレイン電極441が形成される。また,通常,電源線415は,ソース/ドレイン電極441と同時に形成される。
【0032】
第1絶縁膜445は,ソース/ドレイン電極441及び電源線415が形成された層間絶縁膜435上に形成されて,ソース/ドレイン電極441及び電源線415の形成パターンによる表面段差を減らすことができるものである。第1絶縁膜445上には,ソース/ドレイン電極441のどちらか1つを露出させる第2コンタクトホール447が形成される。発光素子450は第1絶縁膜445上に形成されて,通常R(赤),G(緑),B(青)を発光する。この時,発光素子450を構成する画素電極は,第1絶縁膜445上に形成された第2コンタクトホール447を通じてソース/ドレイン電極441と電気的に接続される。
【0033】
一方,第1絶縁膜445には,第1絶縁膜445を通じて発光素子450に水分が流入することを防止するため,発光素子450の外側,すなわち,発光素子450及び薄膜トランジスタによって形成された画像表示部411の少なくとも一側に遮断部470(図4参照)または遮断部471(図5参照)が形成される。遮断部470,471は,画像表示部411,走査駆動部413,及びデータ駆動部414の周囲に沿って,電源線415及びパッド部412の内側に形成されている。
【0034】
こうして,第1絶縁膜445を通じて外部から水分などが混入しても遮断部470に水分が誘導され,発光素子450に水分が直接接触するのを防止することができる。遮断部470に誘導された水分は,透過パネル455下部に形成された吸湿層456に吸収され,除去することができる。
【0035】
図4に示された遮断部470は,第1絶縁膜445をエッチングして形成される貫通溝であり,第2コンタクトホール447が形成される時に,同時に形成することができる。遮断部470の形成幅は,発光表示装置を構成する他の構成要素の配置等を考慮した許容範囲で設計することができる。本実施の形態では,遮断部470の形成幅は,例えば,2μm〜50μmの範囲から選択して形成するのが好ましいが,かかる例に限定されない。
【0036】
図6a〜図6fは第1の実施の形態による発光表示装置の製造方法を示す工程断面図である。発光表示装置500を製造するため,まず基板510を用意して,基板510上にバッファ層520及び半導体層530,531を形成する(図6a)。基板510は通常硝子基板または合成樹脂のような絶縁性基板とし,半導体層530,531は非晶質シリコンをパターニングすることで形成される。
【0037】
図6bに示すように,ゲート絶縁膜525は半導体層530,531を有するバッファ層520上に形成されて,ゲート絶縁膜525が形成された後,ゲート絶縁膜525上にはゲート金属物質を蒸着してパターニングすることでゲート電極540が形成される。その後,n型またはp型不純物を半導体層にイオン注入し,半導体層にソース/ドレイン領域531が形成される。
【0038】
その後,図6cに示すように,半導体層531(ソース/ドレイン領域)が形成された基板510上にはPECVD法により層間絶縁膜535が形成されて,後工程ではソース及びドレイン電極541を連結するための第1コンタクトホール536が形成される。第1コンタクトホール536は,層間絶縁膜535をエッチングすることで形成される。
【0039】
図6d示すように,層間絶縁膜535上に蒸着されたソース/ドレイン金属物質をパターニングすることで,層間絶縁膜535上にソース/ドレイン電極541及び電源線515が形成される。ソース/ドレイン電極541は第1コンタクトホール536を通じてソース/ドレイン領域531に各々接続される。
【0040】
次に,図6eに示すように,層間絶縁膜535上にはソース/ドレイン電極541のパターン段差を緩和するために第1絶縁膜545が形成される。第1絶縁膜545には後工程を通じて形成される発光素子550を構成する一つの電極とソース/ドレイン電極541を電気的に接続するための第2コンタクトホール547が形成される。
【0041】
第1絶縁膜545には発光素子550に水分が流入することを防止するため,第1絶縁膜545の発光素子550の外周に沿った所定位置に遮断部570が形成される。この時,第2コンタクトホール547と遮断部570とは,同時形成してもよいし,別工程で形成してもよい。遮断部570は,第1絶縁膜545を一度のエッチング工程を通じて貫通して形成したスロット形態の貫通溝である。遮断部570の貫通溝の幅は,上記のように,他の構成要素の配置等を考慮した許容範囲で設計し,例えば,2μm〜50μmの範囲から選択して形成する。
【0042】
図6eでは,第1絶縁膜545を貫通する貫通溝の遮断部を製造する工程が示されているが,遮断部570を凹状の溝形態で製造してもよい。凹状の溝形態で遮断部570を形成する場合には,別途のマスクを利用してもよいし,ハーフトーンマスクを利用して一度のマスキングで凹凸を形成してもよい。
【0043】
(第2の実施の形態)
図5は,第1の実施の形態の図3のIV−IV’線と同様の位置における,第2の実施の形態による発光表示装置400’の側断面図である。第2の実施の形態においては,図5に示されたように,遮断部471は,第1絶縁膜445を貫通するものではなく,第1絶縁膜445を貫通しない凹状の溝として形成することができる。この時,凹状の溝の遮断部471は,第2コンタクトホール447と同時に形成せずに,別途のマスクを利用してもよいし,ハーフトーンマスクを利用して一度のマスキングで凹凸を形成してもよい。
【0044】
本実施の形態の場合,遮断部471は,第2コンタクトホール447とは別の工程で形成することができ,溝のエッチング幅は,第1の実施の形態と同様に,発光表示装置を構成する他の構成要素の配置等を考慮した許容範囲で設計することができ,例えば2μm以上に形成することができる。
【0045】
一方,発光素子450が形成された第1絶縁膜445上部には,発光素子450の上部領域が外部に露出しないように発光素子445を覆う透過パネル455が備えられる。透過パネル455の下部,すなわち発光素子445の上部と対向する面には透過性のある吸湿層456が形成される。透過パネル455と第1絶縁膜445とは,少なくとも一方の周囲に沿って塗布された接着物質(sealant)460によって接着される。
【0046】
図3〜図5に示された構成による発光表示装置では,第1絶縁膜445を通じて外部から水分などが混入しても遮断部470に水分が誘導され,第1絶縁膜445を通じて発光素子450に水分が直接接触するのを防止することができる。第1絶縁膜445に流入して遮断部470に誘導された水分は,透過パネル455下部に形成された吸湿層456に吸収され,除去することができる。
【0047】
本実施の形態においては,第1絶縁膜445を形成して発光素子450を形成する前に遮断部470形成するが,第1絶縁膜445上に発光素子450を形成した後に遮断部470を形成することもできる。また,本実施の形態では説明の便宜上,発光素子450と透過パネル455の間の間隔を相対的に広く図示してある。
【0048】
(第3の実施の形態)
図7a〜図7cは第3の実施の形態による発光表示装置の製造方法を示す工程断面図である。図7a〜図7cの工程断面図では説明の便宜上,図6a〜図6dと等しい製造工程を現わす図面は略し,対応する説明も略する。また,図6a〜図6eに示された構成要素と等しい構成要素には同じ参照番号を用いることとする。
【0049】
本実施の形態の発光表示装置500’を構成する薄膜トランジスタの形成工程は,図6a〜図6dと同様であり,薄膜トランジスタは基板上に形成された半導体層530,531,ゲート絶縁膜525,ゲート電極540,層間絶縁膜535及びソース/ドレイン電極541を有している(図7a)。
【0050】
図7bを参照すると,薄膜トランジスタが形成された基板510上に第1絶縁膜545を形成した後,第1絶縁膜545上には無機絶縁膜580が形成される。第1絶縁膜545及び無機絶縁膜580には,第1絶縁膜545等を通じて発光素子550に流入される水分を遮断する遮断部570が形成される。遮断部570は,第1絶縁膜545及び無機絶縁膜580に形成された貫通溝である。貫通溝形態の遮断部570は,エッチング工程を通じて第2コンタクトホールと同時に形成することもできるし,別に形成することもできる。
【0051】
また,本実施の形態においては,第1絶縁膜545と無機絶縁膜580とを順次積層した後,遮断部570,581を形成するように示されているが,第1絶縁膜545に遮断部570を形成した後,無機絶縁膜580を積層し,積層された無機絶縁膜580に遮断部570と繋がる遮断部581を形成してもよい。この遮断部581もエッチング工程を通じて形成された貫通溝である。遮断部570,581は,第2コンタクトホール547と同時に形成されてもよいし,別工程で形成されてもよい。
【0052】
この時,第1絶縁膜545の表面はアクリル樹脂,BCBなどの熱硬化樹脂からなり,平坦であり,絶縁膜の機能と同時に保護膜としての機能を同時に有している。ここで,無機絶縁膜580はSiNx,SiOxの中から選択されて,無機絶縁膜580の厚さは,200Å〜500Åに形成される。無機絶縁膜580が形成された後には,第1絶縁膜545及び無機絶縁膜580に形成された第2コンタクトホール547を通じ,ソース/ドレイン電極541と電気的に接続される発光素子550が形成される。遮断部570,581の形成幅は,第1の実施の形態と同様に発光表示装置を構成する他の構成要素の配置等を考慮した許容範囲で設計することができ,例えば2μm〜50μmの範囲から選択して形成する。
【0053】
その後,図7cに示すように,発光素子550が形成された無機絶縁膜580上に,発光素子550の上部を覆う透過パネル555が形成される。透過パネル555の下部,すなわち,発光素子550の上部と対向する面には発光素子550で発光する光を透過して湿気を吸収することができる透明の吸湿層556が形成される。透過パネル555と無機絶縁膜580とは,少なくとも一方の周囲に沿って塗布された接着物質560によって接着される。
【0054】
本実施の形態においては,第1絶縁膜545上に無機絶縁膜580を形成することにより,透過パネル555との接着力を高めることができ,高温高湿の雰囲気で外部から水分や酸素が発光表示装置500’内部に浸透するのを低減させることができ,さらに,無機絶縁膜580及び第1絶縁膜545に第1の実施の形態と同様な遮断部570,581を形成することにより,外部から流入するする水分を遮断部570,581で遮断し,発光素子550の内部への流入を防ぐことができる。
【0055】
(第4の実施の形態)
図8は第4の実施の形態による発光表示装置の平面図であり,図9は図8のIX−IX’線による側断面図である。説明の重複を避けるため,図3〜図5に示された構成要素と等しい構成要素に対する具体的な説明は省略する。
【0056】
図8を参照すれば,発光表示装置800は,基板810,発光素子によって形成される画像表示部811,パッド部812,電源線815,走査駆動部813及びデータ駆動部814を備えている。さらに,図9に示すように,発光表示装置800は,基板810上に形成されたバッファ層820,半導体層830,831,ゲート絶縁膜825,ゲート電極840,層間絶縁膜835,ソース/ドレイン電極841,第1絶縁膜845及び発光素子850を備えている。
【0057】
本実施の形態による第1絶縁膜845は,ソース/ドレイン電極841及び電源線815が形成された層間絶縁膜835上に形成される。そして,ソース/ドレイン電極841及び電源線815によって形成されるパターン段差を低減することができる。
【0058】
第1絶縁膜845には,ソース/ドレイン電極841のどちらかの電極を露出させる第2コンタクトホール847が形成される。発光素子850は第1絶縁膜845上に形成され,通常,R,G,Bの発光素子を持つ。この時,発光素子850の一つの構成要素である画素電極(図示せず)は,第1絶縁膜845上に形成された第2コンタクトホール847を通じてソース/ドレイン電極841と電気的に接続する。
【0059】
第1絶縁膜845には,第1絶縁膜845を通じて発光素子850に水分が流入することを防止するため,画像表示部811の周囲に沿って遮断部870,871が形成される。遮断部870,871は,画像表示部811,走査駆動部813,データ駆動部814の周囲に沿って,また電源線815及びパッド部812の内側に沿って所定距離離れた2列の溝となって形成されている。
【0060】
図9に示された遮断部870,871それぞれは,第1絶縁膜845厚さ全体に,エッチング工程によって形成されるスロット形態の貫通溝であり,第2コンタクトホール847が形成される時に同時に形成することができる。遮断部870,871の形成幅は,発光表示装置を構成する他の構成要素の配置等を考慮した許容範囲で設計することができる。本実施の形態では,遮断部870,871の形成幅は,2μm〜50μmの範囲から選択して形成する。
【0061】
一方,図8及び図9に示された遮断部870,871は,第1絶縁膜845を貫く貫通溝の形態に形成されているが,遮断部870,871のどちらかが貫通溝の形態でもう一方が凹状の溝であることもできるし,2つとも凹状の溝であることもできるし,2つとも貫通溝の形態であってもよい。勿論,遮断部870,871のうち少なくとも一つを凹状の溝で形成する場合には,別途のマスクを利用したり,ハーフトーンマスクを利用して一度のマスキングで凹凸を形成したりして形成することができる。
【0062】
また,遮断部を凹状の溝で形成する場合,第2コンタクトホール847と同時に形成することができるし,別途の工程で形成することもできる。凹状の溝で形成した場合も,そのエッチング幅は,発光表示装置を構成する他の構成要素の配置等を考慮した許容範囲で設計することができ,2μm〜50μmの範囲から選択して形成する。勿論,発光素子850が形成された第1絶縁膜845上部には発光素子850が外部に露出しないようにその下部に吸湿層856が形成された透過パネル855が形成される。
【0063】
図8,9に示された実施の形態によれば,発光表示装置800は各発光表示装置800を構成する第1絶縁膜845を通じて外部から水分が浸透した場合にも,水分が遮断部870,871に誘導されるので,第1絶縁膜845を通じて浸透した水分が発光素子850に直接接触するのを防止することができる。素子の外側寄りに形成された遮断部870を極微量の水分が通過してしまった場合にも,内側の遮断部871にて,水分が内部に流入するのを遮断するので,一列のみの遮断部より高い遮断効果を得ることができる。
【0064】
(第5の実施の形態)
図10は第5の実施の形態による発光表示装置の側断面図である。説明の便宜上,図7fに示された構成要素と等しい構成要素に対する具体的な説明は省略して,本実施の形態の特徴的な構成を中心に説明する。
【0065】
図10を参照すれば,発光表示装置900は,基板910上に形成されたバッファ層920,半導体層930,931,ゲート絶縁膜925,ゲート電極940,層間絶縁膜935,ソース/ドレイン電極941,第1絶縁膜945,無機絶縁膜980,発光素子950及び吸湿層956が形成された透過パネル955を備える。
【0066】
本実施の形態で,第1絶縁膜945は,半導体層930,931,ゲート電極940,及びソース/ドレイン電極941を有する薄膜トランジスタが形成された基板510上に形成されて,第1絶縁膜945上には無機絶縁膜980が形成される。第1絶縁膜945及び無機絶縁膜980には,第1絶縁膜945を通じて流入する水分を遮断する複数列の遮断部970,971が形成される。
【0067】
遮断部970,971はエッチング工程を通じて形成された貫通溝であり,第1絶縁膜945と無機絶縁膜980とに貫通形成される。貫通溝形態の遮断部970,971は,コンタクトホール947と同時に形成することもできるし,別工程で形成することもできる。各遮断部970,971の形成幅は,発光表示装置を構成する他の構成要素の配置等を考慮した許容範囲で設計することができる。本実施の形態では,遮断部970,971の形成幅は,2μm〜50μmの範囲から選択して形成する。
【0068】
勿論,図10に示された遮断部970,971も,図8及び図9に示された遮断部870,871と同じく,一方が貫通溝の形態で他方が凹状の溝であることもできるし,2つとも凹状の溝であることもできるし,2つとも貫通溝の形態であることもできる。
【0069】
図10に示された実施の形態によれば,第1絶縁膜945上に無機絶縁膜980を形成することにより,透過パネル955との接着力を高めることができ,高温高湿の雰囲気で外部から水分や酸素が発光表示装置900内部に浸透するのを低減させることができ,さらに,第1絶縁膜945を通じて外部から水分などが浸透した場合にも,第4の実施の形態と同様な二列の遮断部970,971に誘導されるから,第1絶縁膜945を通じて浸透した外部の水分が発光素子950に直接接触するのを効果的に防止することができる。
【0070】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0071】
本実施の形態の発光表示装置では,第1絶縁膜に遮断部が形成されるか,または第1絶縁膜及び無機絶縁膜にかけて遮断部が形成されることが示されているが,第1絶縁膜と無機絶縁膜との各々に別に遮断部を形成することもできるのは勿論である。
【0072】
本実施の形態では,遮断部が直線形状に形成することが示されているが,所定間隔に離隔した多様な点線形状で形成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は,透過パネルと発光素子が形成される基板の絶縁膜とが接着されている発光表示装置及びその製造方法に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】従来の発光表示装置の概略平面を示す説明図である。
【図2】図1のII−II’線による側断面図である。
【図3】第1の実施の形態による発光表示装置の概略平面を示す説明図である。
【図4】図3のIV−IV’線による側断面図である。
【図5】図4と同じ位置での,第2の実施の形態による発光表示装置の側断面図である。
【図6a】第1の実施の形態による発光表示装置の製造方法を示す工程断面図であり,基板上にバッファ層及び半導体層を形成した後の図である。
【図6b】第1の実施の形態による発光表示装置の製造方法を示す工程断面図であり,バッファ層上にゲート絶縁膜及びゲート電極を形成した後の図である。
【図6c】第1の実施の形態による発光表示装置の製造方法を示す工程断面図であり,ゲート絶縁膜上に絶縁膜を形成し,コンタクトホールを形成した後の図である。
【図6d】第1の実施の形態による発光表示装置の製造方法を示す工程断面図であり,ソース/ドレイン電極を形成した後の図である。
【図6e】第1の実施の形態による発光表示装置の製造方法を示す工程断面図であり,ソース/ドレイン電極上に第1絶縁膜,発光素子を形成し,発光素子の外周所定位置に遮断部を形成した後の図である。
【図7a】第3の実施の形態による発光表示装置の製造方法を示す工程断面図であり,ソース/ドレイン電極を形成した後の図である。
【図7b】第3の実施の形態による発光表示装置の製造方法を示す工程断面図であり,ソース/ドレイン電極上に第1絶縁膜,無機絶縁膜,発光素子を形成し,発光素子の外周所定位置に遮断部を形成した後の図である。
【図7c】第3の実施の形態による発光表示装置の製造方法を示す工程断面図であり,無機絶縁膜上に,透過パネルが形成された後の図である。
【図8】第4の実施の形態による発光表示装置の概略平面を示す説明図である。
【図9】図8のIX−IX’線による側断面図である。
【図10】図9と同じ位置での,第5の実施の形態による発光表示装置の側断面図である。
【符号の説明】
【0075】
400 発光表示装置
410 基板
411 画像表示部
412 パッド部
413 走査駆動部
414 データ駆動部
415 電源線
420 バッファ層
425 ゲート絶縁膜
430 半導体層
431 半導体層
435 層間絶縁膜
440 ゲート電極
441 ソース/ドレイン電極
445 第1絶縁膜
450 発光素子
455 透過パネル
456 吸湿層
460 接着物質
470 遮断部
【技術分野】
【0001】
本発明は,透過パネルと発光素子が形成される基板の絶縁膜とが接着されている発光表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光表示装置には,液晶表示装置と同様に別途の光源を要する受動型発光素子に比べ,陰極線管のように早い回答速度を持つ長所を有している。一般的な平板表示装置の中で発光表示装置は,他の平板表示装置より使用温度範囲が広く,衝撃や震動に強く,視野角が広く,さらに応答速度が早い特徴を有し,きれいな動画像を提供することができる。
【0003】
発光表示装置は,材料及び構造によって無機物の発光層を含む無機発光表示装置と有機物の発光層を含む有機発光表示装置に大別される。有機発光表示装置は電子と正孔が半導体の中で電子−正孔対を作り,キャリアがさらに高いエネルギー形態に励起された後,安定化状態に落下する過程を通じて光が発生する現象を利用する。
【0004】
以下では図面を参照して従来の発光表示装置を説明する。図1は従来の発光表示装置の概略的な平面図であり,図2は図1のII−II’線による側端面図である。図1を参照すれば,発光表示装置100は,基板110と,発光素子(図示せず)を有する画像表示部111と,基板110の一側に形成された複数のパッドを持つパッド部112と,パッド部112形成領域を除いた基板110の端に沿って形成された電源線115と,走査駆動部113と,データ駆動部114とを有している。
【0005】
より具体的には,図2を参照すれば,発光表示装置100は,基板110上に順次に形成されたバッファ層120,半導体層130,131,132,ゲート絶縁膜125,ゲート電極140,層間絶縁膜135,ソース電極141,ドレイン電極142,第1絶縁膜145,発光素子150,及び透過パネル155を有している。
【0006】
まず,酸化膜からなるバッファ層120が基板110上に形成されて,バッファ層120上にはポリシリコン膜を形成してパターニングし,半導体層130,131,132を形成する。半導体層130,131,132を有するバッファ層120上には,ゲート絶縁膜135が形成されて,ゲート絶縁膜135上にはゲート金属層を蒸着して,蒸着されたゲート金属層をパターニングすることでゲート電極140が形成される。
【0007】
ゲート電極140上には層間絶縁膜135が形成されて,その次に,ソース/ドレイン金属層を蒸着及びパターニングすることで生成されたソース及びドレイン電極141,142が形成される。通常,データ線(図示せず)及び電源線115は,ソース電極141及びドレイン電極142と同時に形成される。ソース電極141,ドレイン電極142及び電源線115が形成された層間絶縁膜135上には,ソース電極141,ドレイン電極142及び電源線115などのパターンによる表面の段差を平坦化するために,第1絶縁膜145が形成されて,第1絶縁膜145上には通常R(赤),G(緑),B(青)を発光する発光素子150が形成される。
【0008】
また,発光素子150が形成された第1絶縁膜145上部には,発光素子150の上部領域が外部に露出しないように発光素子150を覆う透過パネル155が用意される。透過パネル155の下部,すなわち,発光素子150の上部と対向する面には透過性のある吸湿層156が形成される。透過パネル155と第1絶縁膜145とは,少なくとも一方の面の周囲に沿って塗布された接着物質160によって接着される。従来の発光表示装置及びその製造方法に関しては,特許文献1に記載されている。
【0009】
【特許文献1】韓国公開特許2005−0052288号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし,このような従来の発光表示装置において,通常,各膜のパターンによる表面の段差を無くすために形成された第1絶縁膜は,一般的に,シリコンまたはベンゾサイクロブテン(Benzocyclo Butene:BCB),アクリル,ポリイミド(Polyimide)などを利用して形成されるが,これら自体の特性上,相対的に接着力が低いので,第1絶縁膜または透過パネルのどちらか一方に接着物質を塗布して接着させる場合,第1絶縁膜と透過パネルとの間の接着力が弱くなる短所があり,これにより,高温高湿の雰囲気で外部から水分や酸素が発光表示装置内部に浸透してしまう問題点があった。
【0011】
さらに,発光表示装置内部で水分が浸透する場合には,浸透した水分が第1絶縁膜に沿って発光素子に直接接触し,画素の縮小現象を起こして発光素子の発光効率を低下させ,さらに発光素子自らの寿命を縮める不具合があった。
【0012】
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,その目的とするところは,高温高湿の雰囲気であっても,外部から水分が発光表示装置内部に浸透してしまうのを防ぎ,発光素子の発光効率の低下や寿命が縮まるのを防止することのできる発光表示装置及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,基板上に形成された薄膜トランジスタと,薄膜トランジスタ上に形成される第1絶縁膜と,第1絶縁膜上に画像表示部を形成する少なくとも一つの発光素子と,を備え,画像表示部の周囲であり,第1絶縁膜の少なくとも一側端部に,発光素子へ水分が流入するのを遮断する,少なくとも一つの遮断部が形成される発光表示装置が提供される。
【0014】
第1絶縁膜の少なくとも一側端部に遮断部を形成することにより,外部から流入する水分や水分を遮断部で遮断することができるので,素子の内部への流入を防ぐことができ,発光素子の発光効率の低下や寿命が縮まるのを防止することができる。
【0015】
この時,遮断部は,第1絶縁膜の厚さと同じ厚さに形成されることができ,第1絶縁膜を貫く貫通溝であることができる。または,遮断部は,第1絶縁膜の厚さより薄く形成されることができ,第1絶縁膜に形成された凹状の溝であることができる。
【0016】
また,遮断部の形成幅は,2μm〜50μmの範囲の幅で形成されるが,かかる範囲に限定されず,遮断部の形成幅は,例えば,薄膜トランジスタ及び発光素子の配置を考慮した許容範囲内の幅で形成されればよい。かかる構成により,効果的に水分を遮断することができる。
【0017】
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,基板上に形成された薄膜トランジスタと,薄膜トランジスタ上部に形成される第1絶縁膜と,第1絶縁膜上に形成される無機絶縁膜と,無機絶縁膜上に画像表示部を形成する少なくとも一つの発光素子と,を備え,画像表示部の周囲であり,無機絶縁膜及び第1絶縁膜の少なくとも一側端部に,発光素子へ水分が流入するのを遮断する,少なくとも一つの遮断部が形成される発光表示装置が提供される。
【0018】
第1絶縁膜上に無機絶縁膜を形成することにより,透過パネルとの接着力を高めることができ,高温高湿の雰囲気で外部から水分や酸素が発光表示装置内部に浸透するのを低減させるとともに,さらに,無機絶縁膜及び第1絶縁膜の少なくとも一側端部に遮断部を形成することにより,外部から流入するする水分を遮断部で遮断し,素子の内部への流入を防ぐことができるので,発光素子の発光効率の低下や寿命が縮まるのを防止することができる。
【0019】
この時,遮断部は,無機絶縁膜及び第1絶縁膜を加えた厚さと同じ厚さに形成されるとよく,無機絶縁膜及び第1絶縁膜を貫く貫通溝であることができる。または,遮断部は,無機絶縁膜及び第1絶縁膜の厚さより薄く形成されてもよく,無機絶縁膜及び第1絶縁膜に形成された凹状の溝であることができる。
【0020】
また,無機絶縁膜は,SiNx,SiOxの中から選択することができ,透過パネルとの接着力を高めることができる。
【0021】
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,基板を準備する段階と,基板上にソース及びドレイン電極を具備した薄膜トランジスタを形成する段階と,薄膜トランジスタ上に第1絶縁膜を形成する段階と,第1絶縁膜にコンタクトホールを形成する段階と,薄膜トランジスタによって駆動される少なくとも一つの発光素子を具備する画像表示部の周囲であり,第1絶縁膜の少なくとも一側端部に,発光素子へ水分が流入するのを遮断する少なくとも一つの遮断部を形成する段階と,第1絶縁膜上に,コンタクトホールを通じてソースまたはドレイン電極と電気的に接続される画素電極を形成する段階と,を含むことを特徴とする,発光表示装置の製造方法が提供される。
【0022】
第1絶縁膜の少なくとも一側端部に遮断部を形成することにより,外部から流入する水分を遮断部で遮断することができるので,素子の内部への流入を防ぐことができ,発光素子の発光効率の低下や寿命が縮まるのを防止することができる。
【0023】
第1絶縁膜を形成する段階の後に,第1絶縁膜上に無機絶縁膜を形成する段階をさらに含むことができる。第1絶縁膜上に無機絶縁膜を形成することにより,透過パネルとの接着力を高めることができ,高温高湿の雰囲気で外部から水分や酸素が発光表示装置内部に浸透するのを低減させることができる。
【0024】
遮断部は,第1絶縁膜及び無機絶縁膜に形成されるとよく,遮断部は,第1絶縁膜及び無機絶縁膜をエッチングして形成することができる。この場合,遮断部は,コンタクトホールの形成と同時に形成されてもよいし,コンタクトホールの形成とは別の工程で形成されてもよい。
【0025】
また,遮断部は,第1絶縁膜の厚さと同じ厚さに形成することもできるし,第1絶縁膜の厚さより薄く形成してもよい。
【発明の効果】
【0026】
以上詳述したように本発明によれば,第1絶縁膜に水分が内部へ流入するのを遮断する遮断部を形成することにより,外部から水分が浸入した場合にも,第1絶縁膜を介して内部の発光素子に水分が直接接触することを防ぎ,発光素子の発光効率の低下や寿命を縮めるのを防止することができ,発光表示装置の信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0028】
(第1の実施の形態)
以下では本実施形態による図面を参照して見た発光表示装置及びその製造方法を具体的に説明する。図3は第1の実施の形態による発光表示装置の平面図であり,図4は図3のIV−IV’線による側断面図である。
【0029】
図3を参照すれば,発光表示装置400は,基板410と,基板410上に形成された走査線S及びデータ線Dの交差領域に形成される少なくとも一つの薄膜トランジスタ(図示せず)によって駆動される少なくとも一つ以上の副画素を具備する画像表示部411と,基板410の一側に形成されたパッド部412と,パッド部412を除いた基板412に形成された電源線415と,電源線415及び画像表示部411の間に形成された走査駆動部413と,画像表示部411及びパッド部412の間に形成されたデータ駆動部414と,を備えている。
【0030】
図4及び図5を参照すれば,発光表示装置400は,さらに,基板410上に形成されたバッファ層420,半導体層430,431,ゲート絶縁膜425,ゲート電極440,層間絶縁膜435,ソース及びドレイン電極441,及び発光素子450を備えている。具体的にバッファ層420は,基板410上に形成されて,バッファ層420上には半導体層430,431が形成される。この半導体層431は,ソース及びドレイン領域を有している。半導体層430,431が形成された基板410上にはゲート絶縁膜425が形成され,ゲート絶縁膜425上にはゲート電極440が形成される。
【0031】
層間絶縁膜435は,ゲート絶縁膜425上に形成されて,ソース/ドレイン領域である半導体層431を露出させる第1コンタクトホールを具備する。層間絶縁膜435上にはソース及びドレイン領域である半導体層431を露出させる第1コンタクトホールを通じてソース/ドレイン電極441が形成される。また,通常,電源線415は,ソース/ドレイン電極441と同時に形成される。
【0032】
第1絶縁膜445は,ソース/ドレイン電極441及び電源線415が形成された層間絶縁膜435上に形成されて,ソース/ドレイン電極441及び電源線415の形成パターンによる表面段差を減らすことができるものである。第1絶縁膜445上には,ソース/ドレイン電極441のどちらか1つを露出させる第2コンタクトホール447が形成される。発光素子450は第1絶縁膜445上に形成されて,通常R(赤),G(緑),B(青)を発光する。この時,発光素子450を構成する画素電極は,第1絶縁膜445上に形成された第2コンタクトホール447を通じてソース/ドレイン電極441と電気的に接続される。
【0033】
一方,第1絶縁膜445には,第1絶縁膜445を通じて発光素子450に水分が流入することを防止するため,発光素子450の外側,すなわち,発光素子450及び薄膜トランジスタによって形成された画像表示部411の少なくとも一側に遮断部470(図4参照)または遮断部471(図5参照)が形成される。遮断部470,471は,画像表示部411,走査駆動部413,及びデータ駆動部414の周囲に沿って,電源線415及びパッド部412の内側に形成されている。
【0034】
こうして,第1絶縁膜445を通じて外部から水分などが混入しても遮断部470に水分が誘導され,発光素子450に水分が直接接触するのを防止することができる。遮断部470に誘導された水分は,透過パネル455下部に形成された吸湿層456に吸収され,除去することができる。
【0035】
図4に示された遮断部470は,第1絶縁膜445をエッチングして形成される貫通溝であり,第2コンタクトホール447が形成される時に,同時に形成することができる。遮断部470の形成幅は,発光表示装置を構成する他の構成要素の配置等を考慮した許容範囲で設計することができる。本実施の形態では,遮断部470の形成幅は,例えば,2μm〜50μmの範囲から選択して形成するのが好ましいが,かかる例に限定されない。
【0036】
図6a〜図6fは第1の実施の形態による発光表示装置の製造方法を示す工程断面図である。発光表示装置500を製造するため,まず基板510を用意して,基板510上にバッファ層520及び半導体層530,531を形成する(図6a)。基板510は通常硝子基板または合成樹脂のような絶縁性基板とし,半導体層530,531は非晶質シリコンをパターニングすることで形成される。
【0037】
図6bに示すように,ゲート絶縁膜525は半導体層530,531を有するバッファ層520上に形成されて,ゲート絶縁膜525が形成された後,ゲート絶縁膜525上にはゲート金属物質を蒸着してパターニングすることでゲート電極540が形成される。その後,n型またはp型不純物を半導体層にイオン注入し,半導体層にソース/ドレイン領域531が形成される。
【0038】
その後,図6cに示すように,半導体層531(ソース/ドレイン領域)が形成された基板510上にはPECVD法により層間絶縁膜535が形成されて,後工程ではソース及びドレイン電極541を連結するための第1コンタクトホール536が形成される。第1コンタクトホール536は,層間絶縁膜535をエッチングすることで形成される。
【0039】
図6d示すように,層間絶縁膜535上に蒸着されたソース/ドレイン金属物質をパターニングすることで,層間絶縁膜535上にソース/ドレイン電極541及び電源線515が形成される。ソース/ドレイン電極541は第1コンタクトホール536を通じてソース/ドレイン領域531に各々接続される。
【0040】
次に,図6eに示すように,層間絶縁膜535上にはソース/ドレイン電極541のパターン段差を緩和するために第1絶縁膜545が形成される。第1絶縁膜545には後工程を通じて形成される発光素子550を構成する一つの電極とソース/ドレイン電極541を電気的に接続するための第2コンタクトホール547が形成される。
【0041】
第1絶縁膜545には発光素子550に水分が流入することを防止するため,第1絶縁膜545の発光素子550の外周に沿った所定位置に遮断部570が形成される。この時,第2コンタクトホール547と遮断部570とは,同時形成してもよいし,別工程で形成してもよい。遮断部570は,第1絶縁膜545を一度のエッチング工程を通じて貫通して形成したスロット形態の貫通溝である。遮断部570の貫通溝の幅は,上記のように,他の構成要素の配置等を考慮した許容範囲で設計し,例えば,2μm〜50μmの範囲から選択して形成する。
【0042】
図6eでは,第1絶縁膜545を貫通する貫通溝の遮断部を製造する工程が示されているが,遮断部570を凹状の溝形態で製造してもよい。凹状の溝形態で遮断部570を形成する場合には,別途のマスクを利用してもよいし,ハーフトーンマスクを利用して一度のマスキングで凹凸を形成してもよい。
【0043】
(第2の実施の形態)
図5は,第1の実施の形態の図3のIV−IV’線と同様の位置における,第2の実施の形態による発光表示装置400’の側断面図である。第2の実施の形態においては,図5に示されたように,遮断部471は,第1絶縁膜445を貫通するものではなく,第1絶縁膜445を貫通しない凹状の溝として形成することができる。この時,凹状の溝の遮断部471は,第2コンタクトホール447と同時に形成せずに,別途のマスクを利用してもよいし,ハーフトーンマスクを利用して一度のマスキングで凹凸を形成してもよい。
【0044】
本実施の形態の場合,遮断部471は,第2コンタクトホール447とは別の工程で形成することができ,溝のエッチング幅は,第1の実施の形態と同様に,発光表示装置を構成する他の構成要素の配置等を考慮した許容範囲で設計することができ,例えば2μm以上に形成することができる。
【0045】
一方,発光素子450が形成された第1絶縁膜445上部には,発光素子450の上部領域が外部に露出しないように発光素子445を覆う透過パネル455が備えられる。透過パネル455の下部,すなわち発光素子445の上部と対向する面には透過性のある吸湿層456が形成される。透過パネル455と第1絶縁膜445とは,少なくとも一方の周囲に沿って塗布された接着物質(sealant)460によって接着される。
【0046】
図3〜図5に示された構成による発光表示装置では,第1絶縁膜445を通じて外部から水分などが混入しても遮断部470に水分が誘導され,第1絶縁膜445を通じて発光素子450に水分が直接接触するのを防止することができる。第1絶縁膜445に流入して遮断部470に誘導された水分は,透過パネル455下部に形成された吸湿層456に吸収され,除去することができる。
【0047】
本実施の形態においては,第1絶縁膜445を形成して発光素子450を形成する前に遮断部470形成するが,第1絶縁膜445上に発光素子450を形成した後に遮断部470を形成することもできる。また,本実施の形態では説明の便宜上,発光素子450と透過パネル455の間の間隔を相対的に広く図示してある。
【0048】
(第3の実施の形態)
図7a〜図7cは第3の実施の形態による発光表示装置の製造方法を示す工程断面図である。図7a〜図7cの工程断面図では説明の便宜上,図6a〜図6dと等しい製造工程を現わす図面は略し,対応する説明も略する。また,図6a〜図6eに示された構成要素と等しい構成要素には同じ参照番号を用いることとする。
【0049】
本実施の形態の発光表示装置500’を構成する薄膜トランジスタの形成工程は,図6a〜図6dと同様であり,薄膜トランジスタは基板上に形成された半導体層530,531,ゲート絶縁膜525,ゲート電極540,層間絶縁膜535及びソース/ドレイン電極541を有している(図7a)。
【0050】
図7bを参照すると,薄膜トランジスタが形成された基板510上に第1絶縁膜545を形成した後,第1絶縁膜545上には無機絶縁膜580が形成される。第1絶縁膜545及び無機絶縁膜580には,第1絶縁膜545等を通じて発光素子550に流入される水分を遮断する遮断部570が形成される。遮断部570は,第1絶縁膜545及び無機絶縁膜580に形成された貫通溝である。貫通溝形態の遮断部570は,エッチング工程を通じて第2コンタクトホールと同時に形成することもできるし,別に形成することもできる。
【0051】
また,本実施の形態においては,第1絶縁膜545と無機絶縁膜580とを順次積層した後,遮断部570,581を形成するように示されているが,第1絶縁膜545に遮断部570を形成した後,無機絶縁膜580を積層し,積層された無機絶縁膜580に遮断部570と繋がる遮断部581を形成してもよい。この遮断部581もエッチング工程を通じて形成された貫通溝である。遮断部570,581は,第2コンタクトホール547と同時に形成されてもよいし,別工程で形成されてもよい。
【0052】
この時,第1絶縁膜545の表面はアクリル樹脂,BCBなどの熱硬化樹脂からなり,平坦であり,絶縁膜の機能と同時に保護膜としての機能を同時に有している。ここで,無機絶縁膜580はSiNx,SiOxの中から選択されて,無機絶縁膜580の厚さは,200Å〜500Åに形成される。無機絶縁膜580が形成された後には,第1絶縁膜545及び無機絶縁膜580に形成された第2コンタクトホール547を通じ,ソース/ドレイン電極541と電気的に接続される発光素子550が形成される。遮断部570,581の形成幅は,第1の実施の形態と同様に発光表示装置を構成する他の構成要素の配置等を考慮した許容範囲で設計することができ,例えば2μm〜50μmの範囲から選択して形成する。
【0053】
その後,図7cに示すように,発光素子550が形成された無機絶縁膜580上に,発光素子550の上部を覆う透過パネル555が形成される。透過パネル555の下部,すなわち,発光素子550の上部と対向する面には発光素子550で発光する光を透過して湿気を吸収することができる透明の吸湿層556が形成される。透過パネル555と無機絶縁膜580とは,少なくとも一方の周囲に沿って塗布された接着物質560によって接着される。
【0054】
本実施の形態においては,第1絶縁膜545上に無機絶縁膜580を形成することにより,透過パネル555との接着力を高めることができ,高温高湿の雰囲気で外部から水分や酸素が発光表示装置500’内部に浸透するのを低減させることができ,さらに,無機絶縁膜580及び第1絶縁膜545に第1の実施の形態と同様な遮断部570,581を形成することにより,外部から流入するする水分を遮断部570,581で遮断し,発光素子550の内部への流入を防ぐことができる。
【0055】
(第4の実施の形態)
図8は第4の実施の形態による発光表示装置の平面図であり,図9は図8のIX−IX’線による側断面図である。説明の重複を避けるため,図3〜図5に示された構成要素と等しい構成要素に対する具体的な説明は省略する。
【0056】
図8を参照すれば,発光表示装置800は,基板810,発光素子によって形成される画像表示部811,パッド部812,電源線815,走査駆動部813及びデータ駆動部814を備えている。さらに,図9に示すように,発光表示装置800は,基板810上に形成されたバッファ層820,半導体層830,831,ゲート絶縁膜825,ゲート電極840,層間絶縁膜835,ソース/ドレイン電極841,第1絶縁膜845及び発光素子850を備えている。
【0057】
本実施の形態による第1絶縁膜845は,ソース/ドレイン電極841及び電源線815が形成された層間絶縁膜835上に形成される。そして,ソース/ドレイン電極841及び電源線815によって形成されるパターン段差を低減することができる。
【0058】
第1絶縁膜845には,ソース/ドレイン電極841のどちらかの電極を露出させる第2コンタクトホール847が形成される。発光素子850は第1絶縁膜845上に形成され,通常,R,G,Bの発光素子を持つ。この時,発光素子850の一つの構成要素である画素電極(図示せず)は,第1絶縁膜845上に形成された第2コンタクトホール847を通じてソース/ドレイン電極841と電気的に接続する。
【0059】
第1絶縁膜845には,第1絶縁膜845を通じて発光素子850に水分が流入することを防止するため,画像表示部811の周囲に沿って遮断部870,871が形成される。遮断部870,871は,画像表示部811,走査駆動部813,データ駆動部814の周囲に沿って,また電源線815及びパッド部812の内側に沿って所定距離離れた2列の溝となって形成されている。
【0060】
図9に示された遮断部870,871それぞれは,第1絶縁膜845厚さ全体に,エッチング工程によって形成されるスロット形態の貫通溝であり,第2コンタクトホール847が形成される時に同時に形成することができる。遮断部870,871の形成幅は,発光表示装置を構成する他の構成要素の配置等を考慮した許容範囲で設計することができる。本実施の形態では,遮断部870,871の形成幅は,2μm〜50μmの範囲から選択して形成する。
【0061】
一方,図8及び図9に示された遮断部870,871は,第1絶縁膜845を貫く貫通溝の形態に形成されているが,遮断部870,871のどちらかが貫通溝の形態でもう一方が凹状の溝であることもできるし,2つとも凹状の溝であることもできるし,2つとも貫通溝の形態であってもよい。勿論,遮断部870,871のうち少なくとも一つを凹状の溝で形成する場合には,別途のマスクを利用したり,ハーフトーンマスクを利用して一度のマスキングで凹凸を形成したりして形成することができる。
【0062】
また,遮断部を凹状の溝で形成する場合,第2コンタクトホール847と同時に形成することができるし,別途の工程で形成することもできる。凹状の溝で形成した場合も,そのエッチング幅は,発光表示装置を構成する他の構成要素の配置等を考慮した許容範囲で設計することができ,2μm〜50μmの範囲から選択して形成する。勿論,発光素子850が形成された第1絶縁膜845上部には発光素子850が外部に露出しないようにその下部に吸湿層856が形成された透過パネル855が形成される。
【0063】
図8,9に示された実施の形態によれば,発光表示装置800は各発光表示装置800を構成する第1絶縁膜845を通じて外部から水分が浸透した場合にも,水分が遮断部870,871に誘導されるので,第1絶縁膜845を通じて浸透した水分が発光素子850に直接接触するのを防止することができる。素子の外側寄りに形成された遮断部870を極微量の水分が通過してしまった場合にも,内側の遮断部871にて,水分が内部に流入するのを遮断するので,一列のみの遮断部より高い遮断効果を得ることができる。
【0064】
(第5の実施の形態)
図10は第5の実施の形態による発光表示装置の側断面図である。説明の便宜上,図7fに示された構成要素と等しい構成要素に対する具体的な説明は省略して,本実施の形態の特徴的な構成を中心に説明する。
【0065】
図10を参照すれば,発光表示装置900は,基板910上に形成されたバッファ層920,半導体層930,931,ゲート絶縁膜925,ゲート電極940,層間絶縁膜935,ソース/ドレイン電極941,第1絶縁膜945,無機絶縁膜980,発光素子950及び吸湿層956が形成された透過パネル955を備える。
【0066】
本実施の形態で,第1絶縁膜945は,半導体層930,931,ゲート電極940,及びソース/ドレイン電極941を有する薄膜トランジスタが形成された基板510上に形成されて,第1絶縁膜945上には無機絶縁膜980が形成される。第1絶縁膜945及び無機絶縁膜980には,第1絶縁膜945を通じて流入する水分を遮断する複数列の遮断部970,971が形成される。
【0067】
遮断部970,971はエッチング工程を通じて形成された貫通溝であり,第1絶縁膜945と無機絶縁膜980とに貫通形成される。貫通溝形態の遮断部970,971は,コンタクトホール947と同時に形成することもできるし,別工程で形成することもできる。各遮断部970,971の形成幅は,発光表示装置を構成する他の構成要素の配置等を考慮した許容範囲で設計することができる。本実施の形態では,遮断部970,971の形成幅は,2μm〜50μmの範囲から選択して形成する。
【0068】
勿論,図10に示された遮断部970,971も,図8及び図9に示された遮断部870,871と同じく,一方が貫通溝の形態で他方が凹状の溝であることもできるし,2つとも凹状の溝であることもできるし,2つとも貫通溝の形態であることもできる。
【0069】
図10に示された実施の形態によれば,第1絶縁膜945上に無機絶縁膜980を形成することにより,透過パネル955との接着力を高めることができ,高温高湿の雰囲気で外部から水分や酸素が発光表示装置900内部に浸透するのを低減させることができ,さらに,第1絶縁膜945を通じて外部から水分などが浸透した場合にも,第4の実施の形態と同様な二列の遮断部970,971に誘導されるから,第1絶縁膜945を通じて浸透した外部の水分が発光素子950に直接接触するのを効果的に防止することができる。
【0070】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0071】
本実施の形態の発光表示装置では,第1絶縁膜に遮断部が形成されるか,または第1絶縁膜及び無機絶縁膜にかけて遮断部が形成されることが示されているが,第1絶縁膜と無機絶縁膜との各々に別に遮断部を形成することもできるのは勿論である。
【0072】
本実施の形態では,遮断部が直線形状に形成することが示されているが,所定間隔に離隔した多様な点線形状で形成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は,透過パネルと発光素子が形成される基板の絶縁膜とが接着されている発光表示装置及びその製造方法に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】従来の発光表示装置の概略平面を示す説明図である。
【図2】図1のII−II’線による側断面図である。
【図3】第1の実施の形態による発光表示装置の概略平面を示す説明図である。
【図4】図3のIV−IV’線による側断面図である。
【図5】図4と同じ位置での,第2の実施の形態による発光表示装置の側断面図である。
【図6a】第1の実施の形態による発光表示装置の製造方法を示す工程断面図であり,基板上にバッファ層及び半導体層を形成した後の図である。
【図6b】第1の実施の形態による発光表示装置の製造方法を示す工程断面図であり,バッファ層上にゲート絶縁膜及びゲート電極を形成した後の図である。
【図6c】第1の実施の形態による発光表示装置の製造方法を示す工程断面図であり,ゲート絶縁膜上に絶縁膜を形成し,コンタクトホールを形成した後の図である。
【図6d】第1の実施の形態による発光表示装置の製造方法を示す工程断面図であり,ソース/ドレイン電極を形成した後の図である。
【図6e】第1の実施の形態による発光表示装置の製造方法を示す工程断面図であり,ソース/ドレイン電極上に第1絶縁膜,発光素子を形成し,発光素子の外周所定位置に遮断部を形成した後の図である。
【図7a】第3の実施の形態による発光表示装置の製造方法を示す工程断面図であり,ソース/ドレイン電極を形成した後の図である。
【図7b】第3の実施の形態による発光表示装置の製造方法を示す工程断面図であり,ソース/ドレイン電極上に第1絶縁膜,無機絶縁膜,発光素子を形成し,発光素子の外周所定位置に遮断部を形成した後の図である。
【図7c】第3の実施の形態による発光表示装置の製造方法を示す工程断面図であり,無機絶縁膜上に,透過パネルが形成された後の図である。
【図8】第4の実施の形態による発光表示装置の概略平面を示す説明図である。
【図9】図8のIX−IX’線による側断面図である。
【図10】図9と同じ位置での,第5の実施の形態による発光表示装置の側断面図である。
【符号の説明】
【0075】
400 発光表示装置
410 基板
411 画像表示部
412 パッド部
413 走査駆動部
414 データ駆動部
415 電源線
420 バッファ層
425 ゲート絶縁膜
430 半導体層
431 半導体層
435 層間絶縁膜
440 ゲート電極
441 ソース/ドレイン電極
445 第1絶縁膜
450 発光素子
455 透過パネル
456 吸湿層
460 接着物質
470 遮断部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された薄膜トランジスタと;
前記薄膜トランジスタ上に形成される第1絶縁膜と;
前記第1絶縁膜上に画像表示部を形成する少なくとも一つの発光素子と;
を備え,
前記画像表示部の周囲であり,前記第1絶縁膜の少なくとも一側端部に,前記発光素子へ水分が流入するのを遮断する少なくとも一つの遮断部が形成されていることを特徴とする,発光表示装置。
【請求項2】
前記遮断部は,前記第1絶縁膜の厚さと同じ厚さに形成されることを特徴とする,請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項3】
前記遮断部は,前記第1絶縁膜を貫く貫通溝であることを特徴とする,請求項2に記載の発光表示装置。
【請求項4】
前記遮断部は,前記第1絶縁膜の厚さより薄く形成されることを特徴とする,請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項5】
前記遮断部は,前記第1絶縁膜に形成された凹状の溝であることを特徴とする,請求項4に記載の発光表示装置。
【請求項6】
前記遮断部の形成幅は,2μm〜50μmの範囲の幅で形成されることを特徴とする,請求項1〜5のいずれかに記載の発光表示装置。
【請求項7】
基板上に形成された薄膜トランジスタと;
前記薄膜トランジスタ上部に形成される第1絶縁膜と;
前記第1絶縁膜上に形成される無機絶縁膜と;
前記無機絶縁膜上に画像表示部を形成する少なくとも一つの発光素子と;
を備え,
前記画像表示部の周囲であり,前記無機絶縁膜及び前記第1絶縁膜の少なくとも一側端部に,前記発光素子へ水分が流入するのを遮断する少なくとも一つの遮断部が形成されていることを特徴とする,発光表示装置。
【請求項8】
前記遮断部は,前記無機絶縁膜及び前記第1絶縁膜を加えた厚さと同じ厚さに形成されることを特徴とする,請求項7に記載の発光表示装置。
【請求項9】
前記遮断部は,前記無機絶縁膜及び前記第1絶縁膜を貫く貫通溝であることを特徴とする,請求項8に記載の発光表示装置。
【請求項10】
前記遮断部は,前記無機絶縁膜及び前記第1絶縁膜を加えた厚さより薄く形成されることを特徴とする,請求項9に記載の発光表示装置。
【請求項11】
前記遮断部は,前記無機絶縁膜及び前記第1絶縁膜に形成された凹状の溝であることを特徴とする,請求項10に記載の発光表示装置。
【請求項12】
前記無機絶縁膜は,SiNx,SiOxの中から選択されることを特徴とする,請求項7〜10のいずれかに記載の発光表示装置。
【請求項13】
基板を準備する段階と;
前記基板上にソース及びドレイン電極を具備した薄膜トランジスタを形成する段階と;
前記薄膜トランジスタ上に第1絶縁膜を形成する段階と;
前記第1絶縁膜にコンタクトホールを形成する段階と;
前記薄膜トランジスタによって駆動される少なくとも一つの発光素子を具備する画像表示部の周囲であり,前記第1絶縁膜の少なくとも一側端部に,前記発光素子へ水分が流入するのを遮断する少なくとも一つの遮断部を形成する段階と;
前記第1絶縁膜上に,前記コンタクトホールを通じて前記ソースまたはドレイン電極と電気的に接続される画素電極を形成する段階と;
を含むことを特徴とする,発光表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1絶縁膜を形成する段階の後に,前記第1絶縁膜上に無機絶縁膜を形成する段階をさらに含むことを特徴とする,請求項13に記載の発光表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記遮断部は,前記第1絶縁膜及び前記無機絶縁膜に形成されることを特徴とする,請求項14に記載の発光表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記遮断部は,前記第1絶縁膜及び前記無機絶縁膜をエッチングして形成することを特徴とする,請求項15に記載の発光表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記遮断部は,前記コンタクトホールの形成と同時に形成されることを特徴とする,請求項13〜16のいずれかに記載の発光表示装置の製造方法。
【請求項18】
前記遮断部は,前記コンタクトホールの形成とは別に形成されることを特徴とする,請求項13〜16のいずれかに記載の発光表示装置の製造方法。
【請求項19】
前記遮断部は,前記第1絶縁膜の厚さと同じ厚さに形成することを特徴とする,請求項13に記載の発光表示装置の製造方法。
【請求項20】
前記遮断部は,前記第1絶縁膜の厚さより薄く形成することを特徴とする,請求項13に記載の発光表示装置の製造方法。
【請求項1】
基板上に形成された薄膜トランジスタと;
前記薄膜トランジスタ上に形成される第1絶縁膜と;
前記第1絶縁膜上に画像表示部を形成する少なくとも一つの発光素子と;
を備え,
前記画像表示部の周囲であり,前記第1絶縁膜の少なくとも一側端部に,前記発光素子へ水分が流入するのを遮断する少なくとも一つの遮断部が形成されていることを特徴とする,発光表示装置。
【請求項2】
前記遮断部は,前記第1絶縁膜の厚さと同じ厚さに形成されることを特徴とする,請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項3】
前記遮断部は,前記第1絶縁膜を貫く貫通溝であることを特徴とする,請求項2に記載の発光表示装置。
【請求項4】
前記遮断部は,前記第1絶縁膜の厚さより薄く形成されることを特徴とする,請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項5】
前記遮断部は,前記第1絶縁膜に形成された凹状の溝であることを特徴とする,請求項4に記載の発光表示装置。
【請求項6】
前記遮断部の形成幅は,2μm〜50μmの範囲の幅で形成されることを特徴とする,請求項1〜5のいずれかに記載の発光表示装置。
【請求項7】
基板上に形成された薄膜トランジスタと;
前記薄膜トランジスタ上部に形成される第1絶縁膜と;
前記第1絶縁膜上に形成される無機絶縁膜と;
前記無機絶縁膜上に画像表示部を形成する少なくとも一つの発光素子と;
を備え,
前記画像表示部の周囲であり,前記無機絶縁膜及び前記第1絶縁膜の少なくとも一側端部に,前記発光素子へ水分が流入するのを遮断する少なくとも一つの遮断部が形成されていることを特徴とする,発光表示装置。
【請求項8】
前記遮断部は,前記無機絶縁膜及び前記第1絶縁膜を加えた厚さと同じ厚さに形成されることを特徴とする,請求項7に記載の発光表示装置。
【請求項9】
前記遮断部は,前記無機絶縁膜及び前記第1絶縁膜を貫く貫通溝であることを特徴とする,請求項8に記載の発光表示装置。
【請求項10】
前記遮断部は,前記無機絶縁膜及び前記第1絶縁膜を加えた厚さより薄く形成されることを特徴とする,請求項9に記載の発光表示装置。
【請求項11】
前記遮断部は,前記無機絶縁膜及び前記第1絶縁膜に形成された凹状の溝であることを特徴とする,請求項10に記載の発光表示装置。
【請求項12】
前記無機絶縁膜は,SiNx,SiOxの中から選択されることを特徴とする,請求項7〜10のいずれかに記載の発光表示装置。
【請求項13】
基板を準備する段階と;
前記基板上にソース及びドレイン電極を具備した薄膜トランジスタを形成する段階と;
前記薄膜トランジスタ上に第1絶縁膜を形成する段階と;
前記第1絶縁膜にコンタクトホールを形成する段階と;
前記薄膜トランジスタによって駆動される少なくとも一つの発光素子を具備する画像表示部の周囲であり,前記第1絶縁膜の少なくとも一側端部に,前記発光素子へ水分が流入するのを遮断する少なくとも一つの遮断部を形成する段階と;
前記第1絶縁膜上に,前記コンタクトホールを通じて前記ソースまたはドレイン電極と電気的に接続される画素電極を形成する段階と;
を含むことを特徴とする,発光表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1絶縁膜を形成する段階の後に,前記第1絶縁膜上に無機絶縁膜を形成する段階をさらに含むことを特徴とする,請求項13に記載の発光表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記遮断部は,前記第1絶縁膜及び前記無機絶縁膜に形成されることを特徴とする,請求項14に記載の発光表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記遮断部は,前記第1絶縁膜及び前記無機絶縁膜をエッチングして形成することを特徴とする,請求項15に記載の発光表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記遮断部は,前記コンタクトホールの形成と同時に形成されることを特徴とする,請求項13〜16のいずれかに記載の発光表示装置の製造方法。
【請求項18】
前記遮断部は,前記コンタクトホールの形成とは別に形成されることを特徴とする,請求項13〜16のいずれかに記載の発光表示装置の製造方法。
【請求項19】
前記遮断部は,前記第1絶縁膜の厚さと同じ厚さに形成することを特徴とする,請求項13に記載の発光表示装置の製造方法。
【請求項20】
前記遮断部は,前記第1絶縁膜の厚さより薄く形成することを特徴とする,請求項13に記載の発光表示装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図6e】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図6e】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2006−269405(P2006−269405A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−329094(P2005−329094)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】
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