説明

発光装置

【課題】実施形態は、導電性ペーストを用いて発光素子をリードフレームに固着する発光装置であって、発光効率および信頼度を向上させることが可能な発光装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係る発光装置は、凹部が設けられた第1のリードと、前記凹部の底面に固着された発光素子と、前記第1のリードから離間して配置され、金属ワイヤを介して前記発光素子に電気的に接続された第2のリードと、を備える。前記発光素子は、前記金属ワイヤがボンディングされた発光面側とは反対の裏面において、導電性のペーストを介して前記底面に固着される。そして、前記底面の面積は、前記発光面の面積よりも広く、前記ペーストは、前記凹部の内部において、前記発光素子の前記発光面と前記裏面とに交差する側面の少なくとも一部と、前記凹部の壁面の少なくとも一部と、を覆う厚さに充填される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光装置には、高い光出力と、高い信頼性と、が求められる。例えば、半導体発光素子であるLED(Light Emitting Diode)をリードフレームに固着し、樹脂封止した発光装置がある。このタイプの発光装置では、発光効率を向上させるために、リードフレームを介してLEDの熱を効率よく放散させることが重要である。また、信頼度を向上させるために、リードフレームに対するLEDの固着強度を高くする必要がある。一方、発光装置の製造工程を簡略化しコストダウンを図るために、例えば、導電性ペーストを用いて、発光素子をリードフレームに固着する方法が広く採用されている。
【0003】
しかしながら、導電性ペーストの熱伝導率は、金属ハンダに比べて熱伝導率が小さく、接着強度も弱い。このため、導電性ペーストを用いて発光素子を固着した装置では、発光効率および信頼度の低下を生じることがある。そこで、導電性ペーストを用いて発光素子をリードフレームに固着する発光装置であって、発光効率および信頼度を向上させることが可能な発光装置が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−12929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実施形態は、導電性ペーストを用いて発光素子をリードフレームに固着する発光装置であって、発光効率および信頼度を向上させることが可能な発光装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る発光装置は、凹部が設けられた第1のリードと、前記凹部の底面に固着された発光素子と、前記第1のリードから離間して配置され、金属ワイヤを介して前記発光素子に電気的に接続された第2のリードと、を備える。前記発光素子は、その発光面とは反対側の裏面において、導電性のペーストを介して前記底面に固着される。そして、前記底面の面積は、前記発光面の面積よりも広く、前記ペーストは、前記凹部の内部において、前記発光素子の前記発光面と前記裏面とに交差する側面の少なくとも一部と、前記凹部の壁面の少なくとも一部と、を覆う厚さに充填される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態に係る発光装置を示す模式図である。
【図2】第1の実施形態に係る発光素子のマウント領域を示す模式図である。
【図3】第1の実施形態の変形例に係る発光素子のマウント構造を示す模式図である。
【図4】第1の実施形態の別の変形例に係る発光素子のマウント構造を示す模式図である。
【図5】第1の実施形態に係る発光装置の光出力特性を示すグラフである。
【図6】第1の実施形態に係る発光装置の光出力と導電性ペースト厚との関係を示すグラフである。
【図7】第2の実施形態に係る発光素子のマウント構造を示す模式図である。
【図8】第3の実施形態に係る発光装置を示す模式図である。
【図9】第3の実施形態に係る発光装置の配光特性を示すグラフおよび写真である。
【図10】第3の実施形態に係る発光装置の光束利用率を示すグラフである。
【図11】比較例に係る発光素子のマウント構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面中の同一部分には同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について説明する。
【0009】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る発光装置100を示す模式図である。図1(a)は、正面図、図1(b)は、平面図である。発光装置100は、リードフレームの表面に、例えば、LEDを固着し、樹脂成形体により一体に封じた構成を有する。
【0010】
図1(a)および図1(b)に示すように、発光装置100は、第1のリードであるリード10と、第2のリードであるリード20と、を備える。リード10の表面には、発光素子30が固着される。リード20は、その端がリード10の端に対向し、リード10から離間した位置に配置される。
【0011】
リード20は、金属ワイヤを介して発光素子30に電気的に接続される。これにより、リード10と、リード20と、の間に電流を供給し、発光素子30を発光させることができる。
【0012】
リード10とリード20とが向き合う、それぞれの端部を覆って成型体3が設けられる。成型体3は、例えば、透明樹脂を射出成型(injection molding)することにより形成される。成型体3は、リード10に固着された発光素子30と、金属ワイヤと、を樹脂封止し、外界から遮蔽する。そして、透明樹脂は、発光素子30が放射する光を透過し、外界への光の放出を可能とする。透明樹脂は、発光素子30が放射する光の全てを透過し外界に放出することが好ましいが、その一部を吸収しても良い。
【0013】
成型体3には、発光素子30から放射される光を集光するためのレンズ5が設けられる。レンズ5は、リード10の発光素子30が固着された表面10aの側に設けられ、例えば、成型体3と一体に成型することができる。
【0014】
図1(a)に示すように、リード10およびリード20の成型体3から延出する部分は、折り曲げ加工される。これにより、リード10の裏面10bおよびリード20の裏面20bを、例えば、回路配線に接触させて実装することができる。
【0015】
図2は、発光装置100における発光素子30のマウント部15を模式的に示す模式図である。図2(a)は、成型体3を除いたマウント部15を示す模式図であり、図2(b)は、その断面図である。
【0016】
図2(a)に示すように、発光素子30のマウント部15は、リード10の端に設けられる。そして、発光素子30と、リード20の端と、を電気的に接続する金属ワイヤ19がボンディングされる。
【0017】
成型体3に覆われるリード10および20の端の部分には、それぞれアンカーホール12および13が設けられる。アンカーホール12および13は、各リードの表面側と裏面側に成型される樹脂をつなぎ、成型体3とそれぞれのリードとを勘合させる。これにより、リード10および20が、成型体3に固定される。
【0018】
さらに、図2(b)に示すように、リード10における発光素子30のマウント部15には、凹部21が設けられる。凹部21は、発光素子30のチップ面(発光面)30aよりも一回り大きなサイズに形成され、その底面21aに発光素子30が固着される。このような凹部21は、例えば、リード10の材料である銅合金をプレス加工することにより形成することができる。
【0019】
また、発光素子30は、その発光面30aとは反対側の裏面30bにおいて、導電性ペースト23を介して凹部21の底面21aに固着される。
【0020】
導電性ペースト23は、例えば、接着性を有する樹脂に銀(Ag)の微粒子を拡散した、所謂Agペーストである。そして、導電性ペースト23は、発光素子30を底面21aに固着させると共に、リード10と発光素子30との間を電気的に接続する。また、ここで言う導電性ペースト23は、Agペーストに限らず、乾燥後に導電性を有する接着剤であれば良い。
【0021】
凹部21の面積は、発光素子30の発光面30aの面積よりも広く設けられる。そして、導電性ペースト23は、凹部21の底面21aに固着された発光素子30の側面30cの少なくとも一部と、凹部21の壁面21bの少なくとも一部と、を覆う厚さに充填される。さらに好ましくは、導電性ペースト23は、発光素子30と壁面21bとの間において、底面21aに平行な表面を有する。
【0022】
ここで、平行とは、厳密な意味での平行状態にある場合に限らず、平行に近い状態、もしくは、部分的に平行な状態も含む。また、発光素子30の側面30cとは、発光面30aと裏面30bとに交差する面を言う。
【0023】
導電性ペースト23は、樹脂を含むため、例えば、成型体3を形成する透明樹脂との間の密着性がリード10の表面10aよりも高い。このため、発光素子30と壁面21bとの間において、成型体3と導電性ペースト23とを接着させることにより、発光素子30のシールを強化し、その信頼性を向上させることができる。
【0024】
発光素子30は、例えば、その発光面30aにボンディングパッド30fを有する。そして、図2(b)に示すように、ボンディングパッド30fと、リード20の表面20aと、に金属ワイヤ19をボンディングし、リード20と発光素子30との間を電気的に接続する。この際、発光素子30が凹部21の内部に沈み込んで固着されているため、ボンディングパッド30fの高さが低下し、リード10の表面10aに近くなる。これにより、金属ワイヤ19のルーピングLを低くすることが可能となり、例えば、樹脂モールドによる変形を抑制することができる。
【0025】
図2に示す例において、例えば、発光面30aのサイズを350μm×350μmとし、チップ厚Dを260μmとする。発光素子30の外周に対して50μmのクリアランスを採るとして、凹部21の底面のサイズは、例えば、450μm×450μmとすることができる。また、凹部21の深さDを、例えば、200μmとする(図3(b)参照)。
【0026】
図2(b)に示すように、発光素子30が固着された凹部21における内部の空間のほぼ全体に導電性ペーストが充填される。発光素子30と、底面21aと、の間に介在する導電性ペーストの厚さを10μm以下とすれば、発光素子30は、約20%の部分を凹部21から突出させて、導電性ペースト23に沈み込む。これにより、リード10に対する発光素子30の固着強度を向上させることができる。また、発光素子30の発熱を、導電性ペースト23を介してリード10に効率良く放散させることができる。
【0027】
さらに、例えば、凹部21の深さを230μm〜250μmとして、側面30cの上部10%程度を残すレベルまで、発光素子30を導電性ペースト23に沈み込ませることが望ましい。これにより、発光素子30の発光部を凹部21から突出させ、それを支持する基板の大部分を導電性ペースト23で覆う状態にすることができる。これにより、発光素子30の固着強度と、放熱性と、をさらに向上させることができる。
【0028】
また、導電性ペースト23が、発光素子30の放射光を反射する金属を含んでいれば、例えば、発光素子30から横方向(導電性ペースト23の表面に略平行な方向)に放射される光が、導電性ペースト23の表面23aにおいて反射され光出力に寄与する。すなわち、発光装置100の光出力を向上させる。
【0029】
図3は、本実施形態の変形例に係る発光装置200および300における発光素子30のマウント構造を示す模式図である。本変形例に示すリード10では、凹部21は、例えば、エッチング法を用いて形成される。したがって、リード10の裏面10bは、平坦な状態に保たれる。
【0030】
図3(a)に示すように、発光素子30の基板30dの大部分を導電性ペースト23で覆い、発光部30eを凹部21から突出させる構成が好ましい。一方、図3(b)に示すように、凹部21の深さDを浅くして、基板30dの一部を導電性ペーストで覆う構成としても良い。ただし、発光素子30の固着強度および放熱性を向上させるため、側面30cの1/2以上を導電性ペースト23で覆うことが望ましい。例えば、発光素子30の裏面30bと、凹部21の底面21aと、の間に介在する導電性ペーストの厚さが無視できる程度に薄いとすれば(10μm以下)、凹部21の深さDを、発光素子30のチップ厚Dの1/2以上にする。
【0031】
次に、本実施形態の別の側面について、図11に示す比較例に係る発光装置900を参照して説明する。図11に示すように、発光装置900では、発光素子40の裏面側の側面40cの一部を導電性ペースト23が覆う構造となっている。すなわち、発光素子40の裏面40bの側において、チップの外周に沿ったフィレット23cが形成され、側面40cの一部を導電性ペーストが覆う。
【0032】
発光素子40は、例えば、GaP基板40dの上に発光部40eが設けられたLEDである。GaP基板40dが発光部40eから放射される光を透過するため、発光素子40では、発光面40aに加えてチップ側面40cからも光が放出される。したがって、チップ側面40cにおいてフィレット23cが覆う面積を広くすると、光が遮蔽され出力が低下する場合がある。このため、フィレット23cは、それにより覆われる側面40cの部分が、例えば、側面全体の20%以下となるように設けられる。
【0033】
これに対し、発光部を支持基板の上に移載した構造の、所謂、Thin-Film typeLEDが広く用いられている。Thin-Film typeLEDでは、支持基板として用いられるシリコン基板が発光部の放射する光を吸収する。このため、光が支持基板側へ伝播しないように、発光部と支持基板との間に反射電極を介在させる。すなわち、Thin-Film typeLEDでは、支持基板の側面から光が放射されることがない。
【0034】
例えば、図3(a)に示すマウント構造をThin-Film typeLEDに適用すれば、シリコン基板である基板30dの側面の大部分が導電性ペーストで覆われる。これにより、リード10への固着強度および放熱性を向上させることができる。さらに、基板30dから光が放出されることがないので、光出力が低下することはない。むしろ、光の吸収体となるシリコン基板(基板30d)を、光を反射する導電性ペースト23で覆うことになり、基板30dにおける光吸収を抑制し出力を向上させることが可能となる。
【0035】
このように、本実施形態に係る発光素子30のマウント構造をThin-Film typeLEDに適用することにより、リード10への固着強度を高くして信頼性を向上させることができる。そして、発光素子30からの放熱性を高くして発光効率を向上させることができる。さらに、支持基板を導電性ペーストで覆うことにより、光の吸収を抑制し直接的に光出力を向上させることが可能となる。
【0036】
発光素子30をチップ化する際に、例えば、レーザーダイシングを用いると、側面30cに凹凸を設けることができる。これにより、導電性ペースト23と発光素子30と、の間の密着を強化し、さらに、固着強度および放熱性を向上させることもできる。
【0037】
次に、図4を参照して、実施形態の別の変形例に係る発光装置を説明する。図4(a)および図4(b)は、変形例に係る発光装置400および500模式的に示す断面図である。
【0038】
図4(a)に示すように、発光装置400では、凹部21の深さDを発光素子30のチップ厚よりも深く設ける。発光素子30は、導電性ペースト23を介して凹部21の底面21aに固着される。発光素子30の発光面30aは、凹部21の内部にあり、リード10の表面10aよりも低い位置に置かれる。
【0039】
好ましくは、リード10の表面10aに、発光素子30の放射光を反射する金属をコートする。例えば、銀(Ag)または金(Au)をメッキする。これにより、図4(a)中に矢印で示すように、凹部21の壁面21cにおいて、発光部30eから導電性ペースト23の表面に沿った方向に放射された光が上方(発光素子30の裏面30bから発光面30aに向かう方向)に反射される。その結果、上方における光束が増加し、光出力を向上させることが可能となる。
【0040】
この観点から、凹部21は、上方に開拡している方が好ましい。すなわち、凹部21の開口面積を底部21bの面積よりも広くする。これにより、発光素子30から放射される光が凹部21の壁面21cで遮られることがない。また、傾斜した壁面21で反射された光が上方に効率良く出射される。ここで、凹部21の開口面積とは、壁面21の底面とは反対側の端に沿った開口の面積を言う。
【0041】
導電性ペースト23は、発光素子30の基板部分を覆うように充填され、発光素子30と、凹部21の壁面と、の間にその表面23aを露出させる。
【0042】
一方、図4(b)に示す発光装置500のように、導電性ペースト23が発光素子30の側面30cの一部を覆う状態に設けても良い。すなわち、発光素子30の基板30dの一部が露出する状態であっても、ある程度の効果を得ることができる。
【0043】
例えば、図5は、発光装置500の光出力特性を示すグラフである。縦軸には、発光装置500から出力される全光束を示し、横軸には、発光素子30に供給する駆動電流Iを示している。
【0044】
図5に示すグラフは、発光素子30のチップ厚260μmに対して、導電性ペースト23の厚さDを50μm〜250μmの間で変化させたサンプルの光出力を示している。サンプルAでは、D=250μmであり、図4(a)に示す発光装置400の特性を示す。
【0045】
図5に示すように、導電性ペーストの厚くするに従って全光束が増加し、駆動電流Iに対する全光束の直線性が改善される。すなわち、発光素子30の基板30dの側面において、導電性ペースト23に覆われる割合を高くすることにより、光出力を向上することができる。
【0046】
さらに、図6では、駆動電流Iを150mAとした時の全光束の変化を、導電性ペースト23の厚さDに対して示している。同図に示すように、全光束のDに依存する変化量は130μm付近を境に変化し、Dを130μm以上とした場合に、光出力をより向上させることがわかる。すなわち、導電性ペースト23の厚さDを、発光素子30のチップ厚の1/2以上とすることが望ましいことを示している。
【0047】
上記の通り、実施形態では、凹部21に充填された導電性ペースト23に発光素子30を沈み込ませ、リード10に固着させる。これにより、発光素子30の側面30cを導電性ペースト23で覆い、その固着強度および放熱性を向上させることができる。
【0048】
さらに、発光素子30の側面30cにおいて、基板30dの大部分を導電性ペースト23で覆うことが好ましい。また、少なくとも、発光素子30のチップ厚の1/2を越える部分を覆うことにより、光出力を効果的に向上させることができる。
【0049】
[第2の実施形態]
図7は、第2の実施形態に係る発光素子のマウント構造を模式的に示す断面図である。
【0050】
図7(a)に示す発光装置600では、平坦なリード10の表面10aに、導電性ペースト23を介して発光素子30を固着する。そして、発光素子30の裏面30bの側の外周に沿ったフィレット23bを設け、側面30cを覆う。フィレット23bは、導電性ペースト23の一部であり、発光素子30の基板30dの大部分を覆うことが望ましい。また、発光素子30の側面30cにおいて、裏面30bから発光面30aの方向に、少なくとも、チップ厚の1/2よりも広い部分を覆うように設ける。これにより、発光素子30のリード10に対する固着強度と、リード10への放熱性と、を向上させることができる。
【0051】
また、図7(b)に示す発光装置700のように、リード10に設けられた凹部21の底面21aの上に、導電性ペースト23を介して発光素子30を固着しても良い。この場合、発光素子30の外周を囲むフィレット23bが設けられる点で、図2(b)に示す発光装置100のマウント構造と相違する。
【0052】
フィレット23bは、発光素子30の基板30dの大部分を覆うことが望ましい。そして、発光素子30の側面30cにおいて、裏面30bから発光面30aの方向に、少なくとも、チップ厚の1/2よりも広い部分を覆うように設ける。
【0053】
これにより、発光素子30の固着強度と放熱性とを向上させることができる。さらに、リード10の表面10aに、発光素子30の放射光を反射する金属コートを施すことにより、光出力を向上させることができる。すなわち、凹部21の壁面21bにおいて、発光部30eから横方向に放射される光を反射し、発光素子30の裏面30bから発光面30aの方向に向かう光束を増やすことが可能となる。
【0054】
[第3の実施形態]
図8は、第3の実施形態に係る発光装置800を示す模式図である。図8(a)は正面図、図8(b)は閉園図である。
【0055】
発光装置800においても、リード10の表面10aに発光素子30が固着され、金属ワイヤ19を介して、発光素子30とリード20とが電気的に接続される。そして、成型体3により、発光素子30と金属ワイヤ19とが樹脂封止される。
【0056】
発光素子30は、第1の実施形態および第2の実施形態に示したマウント構造を持ってリード10に固着される。
【0057】
本実施形態では、レンズ5を除く成型体3の表面に遮光部材3aがコートされる。遮光部材3aは、少なくとも、発光素子30が固着された側の成型体3の表面を覆うように形成する。これにより、発光素子30からレンズ5を介して放射される光だけが、外部に放出される。すなわち、有効照射領域外へ放射されるノイズ光は、成型体3の外へ漏れないように遮光される。
【0058】
遮光部材3aには、ノイズ光を全反射または吸収する材料を用いる。例えば、発光素子30が放射する光を吸収もしくは反射する微粒子を含んだ樹脂を、成型体3の表面に塗布または印刷する。また、成型体3の表面に金属膜を蒸着しても良い。
【0059】
例えば、成型体3の表面に金属膜を形成した場合、ノイズ光は、成型体3の内部で多重反射され、レンズ5を介してレンズ5を介して外部に放出される。したがって、遮光部材3aには、光を吸収する部材を用いるよりも、全反射する部材を用いる方が好ましい場合がある。
【0060】
図9は、発光装置800の配光特性を示すグラフおよび写真である。図9(a)は、発光装置800の光強度を出射角に対して示している。図9(b)は、遮光部材3aを設けていない発光装置の発光状態を示す写真である、図9(c)は、発光装置800の発光状態を示す写真である。
【0061】
図9では、リード10の表面に平行な方向を基準とした出射角に対して、放射される光の強度を示している。すなわち、出射角90°における光強度は、レンズ5の頂点方向に出射される光の強度に対応する。
【0062】
図9には、グラフFに対応する発光装置800の配光特性と、グラフEに対応する遮光部材3aが設けられていない発光装置(例えば、発光装置100)の配光特性が示されている。出射角が90°±40°の範囲では、レンズ5を介して光が放出されるため、グラフEとグラフFとの間に差はない。一方、出射角が50°以下、および、130°以上の範囲では、グラフFで示される発光装置800の光強度は、低く抑制されている。これに対し、グラフEで示される発光装置では、光が抑制されておらずノイズ光を含むことが分かる。
【0063】
これに対応して、図9(b)に示す発光状態では、横方向の光の放射が見られる。一方、図9(c)に示す発光装置800の発光状態では、横方向への発光が抑制され、レンズ5の頂点方向への発光が相対的に強くなっている。
【0064】
図10は、発光装置800および比較例に係る発光装置の光束利用率を示すグラフである。縦軸に、放射角90°における光強度を基準とした利用率を示し、横軸に放射角を示している。ここで、光束利用率とは、全光束のうちの受光面に到達する光束の割合である。
【0065】
図10に示すグラフFは、発光装置800の光束利用率を示し、グラフEは、遮光部材3aが設けられない発光装置の光束利用率を示している。グラフEに示すように、遮光部材3aが設けられていない発光装置では、ノイズ光が含まれるために、発光装置800に比べて光束利用率が低下する。一方、発光装置800では、グラフFに示すように、出射角40°以上の有効照射領域において、光束利用率が90%を越える特性が得られる。
【0066】
上記の通り、本実施形態では、ノイズ光を抑制することが可能となり、有効照射領域内と、それ以外の領域と、の間において、明暗部の境界が明確な発光装置を実現することができる。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
3・・・成型体、 3a・・・遮光部材、 5・・・レンズ、 10、20・・・リード、 10a、20a・・・表面、 10b、20b・・・裏面、 12、13・・・アンカーホール、 15・・・マウント部、 19・・・金属ワイヤ、 21・・・凹部、 21a・・・底面、 21b・・・壁面、 23・・・導電性ペースト、 23a・・・表面、 23b、23c・・・フィレット、 30、40・・・発光素子、 30a、40a・・・発光面、 30b、40b・・・裏面、 30c、40c・・・側面、 30d、40d・・・基板、 30e、40e・・・発光部、 30f・・・ボンディングパッド、 100〜900・・・発光装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部が設けられた第1のリードと、
前記凹部の底面に固着された発光素子と、
前記第1のリードから離間して配置され、金属ワイヤを介して前記発光素子に電気的に接続された第2のリードと、
を備え、
前記発光素子は、その発光面とは反対側の裏面において、導電性のペーストを介して前記底面に固着され、
前記底面の面積は、前記発光面の面積よりも広く、
前記ペーストは、前記凹部の内部において、前記発光素子の前記発光面と前記裏面とに交差する側面の少なくとも一部と、前記凹部の壁面の少なくとも一部と、を覆う厚さに充填されたことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記凹部の開口面積が、前記底面の面積よりも広いことを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記ペーストは、前記発光素子の厚さの1/2よりも厚く充填されたことを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記凹部の深さは、前記発光素子の厚さの1/2よりも深いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項5】
前記ペーストは、前記発光素子から放射される光を反射する金属を含むこと特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項6】
前記ペーストは、前記発光素子と前記凹部の壁面との間に、前記底面に対して平行な表面を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項7】
第1のリードと、
前記第1のリードに固着された発光素子と、
前記第1のリードから離間して配置され、金属ワイヤを介して前記発光素子に電気的に接続された第2のリードと、
を備え、
前記発光素子は、前記金属ワイヤがボンディングされた発光面とは反対側の裏面において、導電性のペーストを介して前記第1のリードに固着され、
前記ペーストは、前記発光素子の前記発光面と前記裏面とに交差する側面のうちの、前記裏面から前記発光素子の厚さの1/2よりも広い部分を覆うことを特徴とする発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−62337(P2013−62337A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199047(P2011−199047)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】