説明

発熱デバイス

【課題】放熱性に優れる発熱デバイスを提供すること。
【解決手段】発熱デバイス1は、ベース基板2と、ベース基板2の一方の面側に設けられ、通電により発熱する発熱体4と、ベース基板2の一方の面側に発熱体4を封止するように設けられ、発熱体4から発生する熱を放熱する第1の放熱体5とを有している。また、第1の放熱体5の表面の少なくとも一部は、凹凸を有する凹凸面で構成されている。また、第1の放熱体5は、樹脂材料を主材料として構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体装置として、ベース基板に発光ダイオード素子(LEDチップ)を備える発光体を搭載したものが知られている。このような半導体装置は、ベース基板と、ベース基板上に形成された絶縁層と、絶縁層上に形成された導体パターンとを有しており、さらに、発光体を絶縁層上に設置するとともに、発光体と導体パターンを電気的に接続することにより構成されている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、このような半導体装置では、発光体の駆動により発生する熱を外部に十分に放出することができず、放熱性が低いという問題がある。具体的には、発光体が外部へ露出しているため、発光体からの熱は、直に空気中に放出されるが、このような放出は十分に行われない。特に、半導体装置が比較的小さい気密空間内に設置されている場合には、空気の対流も発生せず(発生しても僅かであり)、その放熱性がより悪化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−259839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、放熱性に優れる発熱デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記(1)〜(14)の本発明により達成される。
(1) ベース基板と、
前記ベース基板の一方の面側に設けられ、通電により発熱する発熱体と、
前記ベース基板の前記一方の面側に前記発熱体を封止するように設けられ、前記発熱体から発生する熱を放熱する第1の放熱体と、を有し、
前記第1の放熱体の表面の少なくとも一部は、凹凸を有する凹凸面で構成されていることを特徴とする発熱デバイス。
【0007】
(2) 前記第1の放熱体は、樹脂材料を主材料として構成されている上記(1)に記載の発熱デバイス。
【0008】
(3) 前記第1の放熱体は、前記樹脂材料に熱伝導性を有するフィラーを分散させた材料で構成されている上記(2)に記載の発熱デバイス。
【0009】
(4) 前記第1の放熱体の構成材料の熱伝導率は、空気の熱伝導率よりも高い上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の発熱デバイス。
【0010】
(5) 前記第1の放熱体の表面に開放する複数の凹部を有している上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の発熱デバイス。
【0011】
(6) 前記複数の凹部は、規則的に形成されている上記(5)に記載の発熱デバイス。
【0012】
(7) 前記発熱体は、光を発する発光体であり、
前記第1の放熱体は、光透過性を有している上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の発熱デバイス。
【0013】
(8) 前記凹凸面は、前記発光体からの光の光路と重ならないように設けられている上記(7)に記載の発熱デバイス。
【0014】
(9) 前記第1の放熱体の表面の前記発光体からの光の光路と重なる領域は、平坦面で構成されている上記(7)または(8)に記載の発熱デバイス。
【0015】
(10) 前記平坦面は、前記発光体からの光の軸に対して直交している上記(9)に記載の発熱デバイス。
【0016】
(11) 前記第1の放熱体の表面の前記発光体からの光の光路と重なる領域には、レンズ加工が施されている上記(7)または(8)に記載の発熱デバイス。
【0017】
(12) 前記第1の放熱体は、前記ベース基板の前記一方の面と対向する主面と、前記主面の縁に連結する側面とを有し、前記側面の少なくとも一部が前記凹凸面で構成されている上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の発熱デバイス。
【0018】
(13) 前記凹凸面は、エンボス加工により形成される上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の発熱デバイス。
【0019】
(14) 前記ベース基板の他方の面側に設けられ、前記発熱体から発生する熱を放熱する第2の放熱体を有する上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の発熱デバイス。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、発熱体が第1の放熱体によって封止されているため、第1の放熱体を介して発熱体からの熱を外部に効率的に放出することができる。そのため、優れた放熱性を有する発熱デバイスが得られる。特に、本発明では、第1の放熱体の表面の一部が凹凸面で構成されているため、第1の放熱体の表面積が増大し、放熱性がより向上する。特に、気密空間等の空気の対流が発生しない(発生しにくい)場所に収納される場合に、その効果がより顕著となる。
【0021】
また、発熱体が発光体である場合には、放熱体を光透過性のあるものとすることにより、放熱体を介して発光体から発せされた光を外部へ出射することができる。さらには、放熱体の光路上にレンズ加工を施すことにより、発熱体から発生された光の指向性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の発熱デバイスの第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す発熱デバイスの断面図である。
【図3】図1に示す発熱デバイスの製造方法を説明するための断面図である。
【図4】図1に示す発熱デバイスの製造方法を説明するための断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る発熱デバイスの断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る発熱デバイスの断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る発熱デバイスの断面図である。
【図8】本発明の第5実施形態に係る発熱デバイスの断面図である。
【図9】図8に示す発熱デバイスの変形例を示す断面図である。
【図10】本発明の第6実施形態に係る発熱デバイスの断面図である。
【図11】本発明の第7実施形態に係る発熱デバイスの断面図である。
【図12】本発明の第8実施形態に係る発熱デバイスの断面図である。
【図13】本発明の発熱デバイスを組み込んだ照明器具を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の発熱デバイスを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0024】
1.発熱デバイス
<第1実施形態>
図1は、本発明の発熱デバイスの第1実施形態を示す斜視図、図2は、図1に示す発熱デバイスの断面図、図3および図4は、図1に示す発熱デバイスの製造方法を説明するための断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図1および図2中の上側を「上」と言い、下側を「下」と言う。
【0025】
図1および図2に示す発熱デバイス1は、ベース基板2と、ベース基板2の上面に設けられた絶縁層3と、絶縁層3の上面に形成された導体パターン7と、絶縁層3の上面に設けられた発熱体4と、発熱体4から発生する熱を放熱する第1の放熱体5と、ベース基板2の下面に放熱シート6を介して接着された第2の放熱体8とで構成されている。
【0026】
発熱体4としては、通電により発熱するものであれば、いかなるものを用いてもよいが、本実施形態では、発熱体4として発光体(以下では、「発光体4」と言う)を用いている。これにより、発熱デバイス1は、例えば、照明器具(後述する照明器具100)等の光源として好適に用いることができる。
【0027】
以下、発熱デバイス1の構成する各部の構成について、順次詳細に説明する。
(ベース基板)
ベース基板2は、板状をなしており、その上面(一方の面)に発光体4を搭載することができる。ベース基板2の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.5〜2mm程度とするのが好ましい。これにより、機械的強度を保ちつつ、ベース基板2の薄型化を図ることができる。なお、ベース基板2の形状は、板状に限定されず、例えば、比較的厚みのあるブロック状であってもよい。
【0028】
このようなベース基板2の構成材料としては、特に限定されないが、鉄、ニッケル、ステンレス鋼、銅、真鍮、アルミニウム、チタン、マグネシウム等の各種金属、またはこれらを含む合金を用いることができ、これらの中でも特にアルミニウムが好ましい。アルミニウムは、比較的熱伝導率が高い材料である。そのため、アルミニウムでベース基板2を構成した場合、放熱性に優れたベース基板2となる。さらに、ベース基板2の外側表面にアルマイト処理等の化学的あるいは物理的処理を行うと熱輻射効率が高くなり、放熱性の観点から好ましい。
【0029】
このような構成のベース基板2は、熱伝導性に優れている。これにより、発光体4から生じた熱の一部は、ベース基板2を介して第2の放熱体8に効率的に伝達される。
【0030】
(絶縁層)
絶縁層3は、ベース基板2の上面に形成されている。絶縁層3は、導体パターン7とベース基板2とを絶縁する機能を有する。絶縁層3の厚さは、特に限定されず、例えば、5〜80μm程度とすることができる。
【0031】
このような絶縁層3の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル(不飽和ポリエステル)樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合したものを用いることができる。
【0032】
さらに、前記樹脂材料で絶縁層3を成形する際、当該樹脂材料中に、例えば、アルミナ等の金属酸化物、窒化ホウ素等の窒化物、黒鉛に代表される絶縁性を有する高熱伝導性フィラーを充填することもできる。これにより、発光体4から発生する熱を効果的に第2の放熱体8に伝えることができ、発熱デバイス1の放熱性が向上する。
【0033】
(導体パターン)
導体パターン7は、絶縁層3の上面に形成されており、例えば半田やボンディングワイヤーを介して発光体4と電気的に接続されている。このような導体パターン7は、例えば、絶縁層3の上面全域に積層された金属箔(金属層)をエッチング等により所定のパターンに形成したものである。
【0034】
導体パターン7の構成材料としては、導電性を有していれば、特に限定されず、例えば、銅、銀、アルミニウム等の各種金属材料を用いることができ、これらの中でも、特に銅が好ましい。銅で構成した導体パターン7は、比較的抵抗値が小さく、優れた電気特性を発揮することができる。
【0035】
(発光体)
図1に示すように、発光体4は、絶縁層3の上面に設けられている。このような発光体4は、板状の基板41と、基板41の上面に設けられた発光ダイオード素子42と、基板41の底部に設けられた1対の外部端子43とを有している。
【0036】
基板41は、樹脂材料やセラミックス材料等の絶縁性材料で構成された小片である。また、基板41には、発光ダイオード素子42と1対の外部端子43とを電気的に接続する図示しない配線が設けられている。
【0037】
発光ダイオード素子42は、基板41に、GaAlN、ZnS、ZnSe、SiCGaP、GaAlAs、AlN、InN、AlInGaP、InGaN、GaN、AlInGaN等の半導体を発光層として形成させたものである。
【0038】
1対の外部端子43は、導電性材料を主材料として構成されており、その一方の外部端子43は、アノード電極(陽極)であり、他方の外部端子43は、カソード電極(陰極)である。各外部端子43は、Al、Ti、Fe、Cu、Ni、Ag、Au、Pt等の金属材料を主材料として構成される。また、各外部端子43は、前述した半田等を介して、導体パターン7に電気的に接続されている。
【0039】
このような発光体4においては、1対の外部端子43を介して発光ダイオード素子42に電圧を印加すると、発光ダイオード素子42でエレクトロルミネッセンス効果に基づく発光が起こる。
【0040】
(第1の放熱体)
図1に示すように、第1の放熱体5は、絶縁層3の上面(ベース基板2の上面側)に設けられ、発光体4を封止している。言い換えれば、第1の放熱体5は、絶縁層3の上面に、発光体4を覆うように設けられている。このような第1の放熱体5は、発光体4から発生する熱を外部に放出する機能を有している。そのため、第1の放熱体5を有する発熱デバイス1は、優れた放熱性を発揮することができる。
【0041】
また、第1の放熱体5は、発光ダイオード素子42を外力や埃、水分等から保護する機能を有している。特に、本実施形態の第1の放熱体5は、絶縁層3上に形成された導体パターン7をも封止しているため、さらに、導体パターン7を外力や埃、水分等から保護する機能を有している。
【0042】
また、第1の放熱体5は、絶縁性を有している。これにより、例えば、導体パターン7の短絡等を防止することができる。
【0043】
また、第1の放熱体5は、光透過性を有しており、実質的に無色透明であるのが好ましい。これにより、発光体4からの光Lを効率的に、かつ、その色を保ったまま発熱デバイス1の外部へ出射することができる。
【0044】
なお、第1の放熱体5は、光透過性を有していれば、例えば、赤色、青色、黄色、緑等に着色されていてもよい。第1の放熱体5が着色されている場合には、光Lの色を変換することができる点で利便性に優れる。
【0045】
このような第1の放熱体5は、略立方体形状をなし、上面(ベース基板2の上面と対向する主面)51と、側面(主面の縁に連結する面)53を有している。なお、第1の放熱体5の厚さは、特に限定されず、例えば、1〜2cm程度である。これにより、発熱デバイス1の大型化を抑制することができるとともに、第1の放熱体5の表面積を十分に大きく確保することができ、優れた放熱性を発揮することができる。
【0046】
上面51は、発光体4からの光Lを発熱デバイス1の外部へ出射する光出射面(以下「光出射面51」と言う。)を構成している。すなわち、発光体Lからの光は、光出射面51を通過して外部へ出射する。
【0047】
また、光出射面51は、平坦面で構成されている。これにより、光出射面51を通過する際の光Lの散乱を抑制することができる。
【0048】
また、光出射面51は、光Lの光軸L’と直交している。これにより、光Lが光出射面51を透過する前後で光軸L’が変化しないため、光Lをまっすぐに出射することができ、光Lの指向性を高めることができる。
【0049】
一方、第1の放熱体5の側面(上面の縁に連結する面)53は、凹凸面で構成されている。具体的には、側面53には、複数の凹部531が形成されており、これにより、側面53が凹凸面となっている。このように、側面53を凹凸面とすることにより、第1の放熱体5の表面積を大きくすることができるため、優れた放熱特性を発揮することができる。
【0050】
また、本実施形態のように、側面53に凹部531を形成し、上面51を平坦面とすることにより、言い換えれば、第1の放熱体5の表面の光Lの光路と重なる領域(光出射面51)に凹部531を形成しないことにより、光Lの不本意な散乱、屈折等を防止することができる。そのため、発熱デバイス1によれば、所望の光Lを光出射面51から出射することができるとともに、優れた放熱特性を発揮することができる。
【0051】
また、凹部531は、エンボス加工等によって比較的に簡単に形成することができるため、凹部531を形成して側面53を凹凸面とすることにより、第1の放熱体5の形成が容易となる。
【0052】
また、本実施形態では、図2に示すように、複数の凹部531のうちの少なくとも1つの凹部531から、導体パターン7の一部(部分71)が露出している。そのため、発熱デバイス1は、この露出した部分71を介して図示しない外部装置との電気接続を簡単に行うことができる。
【0053】
本実施形態では、複数の凹部531は、互いに同じ形状であり、具体的には、図1中の上下方向(ベース基板2の厚さ方向)に延在し、両端が上下面に開放する凹条である。このような形状とすることにより、凹部531の形成がより容易となるとともに、第1の放熱体5の表面積をより大きくすることができる。
【0054】
凹部531の横断面形状としては、特に限定されず、例えば、三角形、四角形、半円形等とすることができる。
【0055】
また、凹部531の深さとしては、特に限定されないが、0.5〜6μm程度であるのが好ましく、幅としては、0.5〜6μm程度であるのが好ましい。凹部531をこのようなサイズとすることにより、第1の放熱体5の体積の低下を抑えつつ、第1の放熱体5の表面積を十分に大きくすることができる。そのため、優れた放熱特性を発揮することができる。
【0056】
また、複数の凹部531は、側面53の周方向に沿って、互いに等間隔に離間して形成されている。これにより、凹部531を側面53の全周にわたって、規則的かつ均一に形成することができるため、発光体4からの熱を側面53からムラなく放出することができる。
【0057】
このような第1の放熱体5の構成材料としては、特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂材料を用いることができる。これにより、絶縁性および光透過性を有する第1の放熱体5を簡単かつ安価に形成することができる。また、凹部531の形成も容易となる。
【0058】
さらに、前記樹脂材料で第1の放熱体5を成形する際、当該樹脂材料中に、例えば、アルミナ等の金属酸化物、窒化ホウ素等の窒化物に代表される絶縁性の高熱伝導性フィラーを充填することもできる。これにより、第1の放熱体5の熱伝導性が向上し、より効率的に発光体4から発生する熱を第1の放熱体5から外部へ放出することができる。
【0059】
樹脂材料中の高熱伝導性フィラーの含有量としては、特に限定されないが、40〜60質量%程度であるのが好ましい。このような数値範囲とすることにより、材料の熱伝導率を十分に高めることができ、優れた放熱特性を発揮することができる。また、本実施形態のように、発熱体として発光体4を用いている場合には、高熱伝導性フィラーによる光Lの散乱・拡散を抑制することができる。
【0060】
光熱伝導性フィラーの粒径としては、特に限定されないが、前述したような光Lの散乱・拡散を抑制する観点から、例えば、0.01〜1.0μm程度であるのが好ましい。
【0061】
このような第1の放熱体5の構成材料の熱伝導率としては、特に限定されないが、空気(静止空気)の熱伝導率よりも高いことが好ましく、0.20W/m・k以上であるのがより好ましく、1.5W/m・k以上であるのがさらに好ましい。これにより、第1の放熱体5の放熱性がより優れたものとなる。特に、後述する照明器具100のように、発熱デバイス1が対流の生じ難い空間に収納されている場合に優れた放熱性を発揮することができる。
【0062】
また、第1の放熱体5の構成材料の膨張率(線膨張率)としては、特に限定されないが、ベース基板2の構成材料の膨張率とほぼ等しいのが好ましい。具体的には、第1の放熱体5の構成材料の膨張率をα1とし、ベース基板2の構成材料の膨張率をα2としたとき、0.8α2≦α1≦1.4α2の関係を満足するのが好ましい。これにより、熱膨張による歪みを抑制することができ、例えば、ベース基板2からの第1の放熱体5の剥離等を防止することができる。そのため、発熱デバイス1の信頼性が向上する。
【0063】
(第2の放熱体)
図1に示すように、ベース基板2の下面には、放熱シート6を介して第2の放熱体8が設けられている。第2の放熱体8は、前述した第1の放熱体5と同様に、発光体4から発生する熱を外部に放出する機能を有している。そのため、このような第2の放熱体8を有する発熱デバイス1は、優れた放熱性を発揮することができる。特に、発熱デバイス1は、発光体4の上側に第1の放熱体5が設けられており、下側に第2の放熱体8が設けられている。そのため、発光体4から発生する熱を、その上下両側から効率的に放熱することができる。
【0064】
本実施形態の第2の放熱体8は、基部811の下面から下方へ向けて延出する複数のフィン812とで構成されたヒートシンク81で構成されている。これにより、第2の放熱体8の構成が簡単となるとともに、第2の放熱体8の表面積を大きくすることができるため、第2の放熱体8の放熱性が向上する。
【0065】
ヒートシンク81の構成材料としては、特に限定されないが、鉄、ニッケル、ステンレス鋼、銅、真鍮、アルミニウム、チタン、マグネシウム等の各種金属、またはこれらを含む合金を用いることができ、これらの中でも特にアルミニウムが好ましい。アルミニウムは、比較的熱伝導率が高い材料である。そのため、アルミニウムでヒートシンク81を構成した場合、放熱性に優れた第2の放熱体8となる。さらに、ヒートシンク81の外側表面にアルマイト処理等の化学的あるいは物理的処理を行うと熱輻射効率が高くなり、放熱性の観点から好ましい。
【0066】
また、ヒートシンク81とベース基板2とを共にアルミニウムで構成した場合には、これらの熱膨張率が等しいため、昇温時の歪みの発生を効果的に抑制することができる。そのため、例えば、ヒートシンク81やベース基板2の破損、ヒートシンク81のベース基板2からの剥離等を防止することができる。これにより、発熱デバイス1の信頼性が向上する。
【0067】
このようなヒートシンク81をベース基板2の下面に接着する放熱シート6の構成としては、熱伝導性と接着性とを有していれば、特に限定されない。例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル(不飽和ポリエステル)樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂中に、アルミナ等の金属酸化物、窒化ホウ素等の窒化物などの高熱伝導性フィラーが分散した材料で構成されたシート材を用いることができる。
【0068】
以上、発熱デバイス1の構成について詳細に説明した。
このような発熱デバイス1は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0069】
まず、図3(a)に示すように、例えば、アルミニウムで構成された基板301を用意する。この基板301は、ベース基板2となるものである。
【0070】
次に、図3(b)に示すように、樹脂材料で構成された絶縁性の接着層302と銅箔等の金属層303を積層してなる金属箔付きフィルム304を、基板301の上面に接着する。接着層302は、絶縁層3となるものであり、金属層303は、導体パターン7となるものである。
【0071】
次に、図3(c)に示すように、金属層303をパターニングし、導体パターン7を形成する。パターニングの方法としては、特に限定されず、例えば、金属層303上にフォトレジストを塗布し、所定のパターンに露光・現像してマスクを形成し、当該マスクを介して金属層303をエッチングする方法が挙げられる。
【0072】
次に、図3(d)に示すように、基板301の下面に、接着シート305を介してヒートシンク306を接着する。接着シート305は、樹脂材料中に高熱伝導性フィラーを分散させた材料で構成されたものであり、放熱シート6となるものである。また、ヒートシンク306は、例えばアルミニウムで構成されており、第2の放熱体8となるものである。
【0073】
次に、図4(a)に示すように、絶縁層3上に発光体4を搭載する。
次に、図4(b)に示すように、発光体4を封止するように、樹脂材料を塗布し、必要に応じてスキージ等を用いて平坦化し、樹脂層307を形成する。樹脂層307は、第1の放熱体5となるものである。
【0074】
次に、例えば、樹脂層307が半硬化の状態で、凸部が形成されたエンボス板(図示せず)を樹脂層307の側面に押し当て、エンボス加工することにより、樹脂層307の側面に凹部307aを形成する。凹部307aは、凹部531となるものである。次に、樹脂層307を完全硬化させる。
これにより、図4(c)に示すように、発熱デバイス1が得られる。
【0075】
<第2実施形態>
図5は、本発明の第2実施形態に係る発熱デバイスの断面図である。
【0076】
以下、図5を参照して本発明の発熱デバイスの第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0077】
本実施形態は、第1の放熱体の側面に形成された凹部の形状が異なる以外は、前記第1実施形態と同様である。
【0078】
図5に示す発熱デバイス1Aでは、第1の放熱体5Aの側面53に複数の凹部531Aが形成されている。複数の凹部531Aは、互いに同じ形状であり、具体的には、略半球状をなしている。このような形状とすることにより、凹部531Aの形成がより容易となるとともに、第1の放熱体5Aの表面積をより大きくすることができる。
【0079】
なお、凹部531Aの形状は、特に限定されず、例えば、三角柱、四角柱、三角錐、四角錐等であってもよい。
【0080】
また、凹部531Aの深さとしては、特に限定されないが、0.5〜6μm程度であるのが好ましい。凹部531Aをこのようなサイズとすることにより、第1の放熱体5Aの体積の低下を抑えつつ、第1の放熱体5Aの表面積を十分に大きくすることができる。そのため、優れた放熱特性を発揮することができる。
【0081】
また、凹部531Aは、側面53の全域にわたって均一に形成されている。そのため、発光体4からの熱を側面53からムラなく放出することができる。
【0082】
以上のような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0083】
<第3実施形態>
図6は、本発明の第3実施形態に係る発熱デバイスの断面図である。
【0084】
以下、図6を参照して本発明の発熱デバイスの第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0085】
本実施形態は、第1の放熱体の側面に光反射層を備えること以外は、前記第1実施形態と同様である。
【0086】
図6に示す発熱デバイス1Bでは、第1の放熱体5の側面53に、光反射膜10が設けられている。これにより、発光体4からの光Lが光出射面51以外から外部へ出射されるのを防止することができる。すなわち、光出射面51以外から出射される漏れ光を防止または低減することができ、発熱デバイス1Bは、光源デバイスとして優れた特性を発揮することができる。
【0087】
なお、光反射膜10の構成材料の熱伝導率としては、特に限定されないが、第1の放熱体5の構成材料の熱伝導率以上であることが好ましい。これにより、第1の放熱体5の側面53を光反射膜10で覆われてしまうことによる放熱性の低下を防止することができる。
【0088】
また、光反射膜10は、側面53の凹凸に倣って厚さが均一になるように形成されているのが好ましい。これにより、光反射膜10の表面積が大きくなり、より優れた放熱特性を発揮することができる。
【0089】
このような光反射膜10としては、光反射性を有していれば特に限定されないが、例えば、鉄、ニッケル、ステンレス鋼、銅、真鍮、アルミニウム、チタン、マグネシウム等の各種金属、またはこれらを含む合金を用いることができ、これらの中でも特にアルミニウムが好ましい。
【0090】
以上のような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0091】
<第4実施形態>
図7は、本発明の第4実施形態に係る発熱デバイスの断面図である。
【0092】
以下、図7を参照して本発明の発熱デバイスの第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0093】
本実施形態は、第1の放熱体の側面に光吸収層を備えること以外は、前記第1実施形態と同様である。
【0094】
図7に示す発熱デバイス1Cでは、第1の放熱体5の側面53に、光Lの少なくとも一部を吸収する光吸収膜11が設けられている。これにより、発光体4からの光Lが光出射面51以外から外部へ出射されるのを防止することができる。すなわち、光出射面51以外から出射される漏れ光を防止または低減することができ、発熱デバイス1Cは、光源デバイスとして優れた特性を発揮することができる。
【0095】
なお、光吸収膜11の構成材料の熱伝導率としては、特に限定されないが、第1の放熱体5の構成材料の熱伝導率以上であることが好ましい。これにより、第1の放熱体5の側面53を光吸収膜11で覆われてしまうことによる放熱性の低下を防止することができる。また、光Lを吸収することにより光吸収膜11に発生する熱を光吸収膜11から発熱デバイス1Cの外部へ効率的に放出することができる。
【0096】
また、光吸収膜11は、側面53の凹凸に倣って厚さが均一になるように形成されているのが好ましい。これにより、光吸収膜11の表面積が大きくなり、より優れた放熱特性を発揮することができる。
【0097】
このような光吸収膜11としては、光Lを吸収することができれば特に限定されないが、例えば、黒色に着色された樹脂層、具体的には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル(不飽和ポリエステル)樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂中に、黒鉛等の高熱伝導性フィラーを混合した材料で構成された樹脂層を用いることができる。
【0098】
以上のような第4実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0099】
<第5実施形態>
図8は、本発明の第5実施形態に係る発熱デバイスの断面図、図9は、図8に示す発熱デバイスの変形例を示す断面図である。
【0100】
以下、図8を参照して本発明の発熱デバイスの第5実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0101】
本実施形態は、第1の放熱体にレンズ加工が施されている以外は、前記第1実施形態と同様である。
【0102】
図8に示す発熱デバイス1Dでは、第1の放熱体5Dの光出射面51にレンズ加工が施されており、レンズ54Dが形成されている。レンズ54Dは、光Lの光路上に設けられており、発光体4からの光Lを屈折させて集束させることができる。このようなレンズ54Dを有することにより、例えば、光Lの指向性を高めることができ、発熱デバイス1Dは、光源デバイスとして優れた特性を発揮することができる。この場合、第1の放熱体5を構成する樹脂材料としては、屈折率の高いもの(例えば、屈折率が1.5以上のもの)を好適に用いることができる。
【0103】
また、レンズ54Dを第1の放熱体5Dと一体的に形成することにより、発熱デバイス1Dの構成の簡易化を図ることができる。
【0104】
なお、本実施形態では、レンズ54Dが光出射面51から下側へ窪んで形成されているが、これに限定されず、例えば、図9に示すように、レンズ54Dが光出射面51から突出して形成されていてもよい。
【0105】
以上のような第5実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0106】
<第6実施形態>
図10は、本発明の第6実施形態に係る発熱デバイスの断面図である。
【0107】
以下、図10を参照して本発明の発熱デバイスの第6実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0108】
本実施形態は、第1の放熱体にレンズ加工が施されている以外は、前記第1実施形態と同様である。
【0109】
図10に示す発熱デバイス1Eでは、第1の放熱体5Eの光出射面51にレンズ加工が施されており、レンズ54Eが形成されている。レンズ54Eは、光Lの光路上に設けられており、発光体4からの光Lを屈折させて発散させることができる。このようなレンズ54Eを有することにより、例えば、光Lの照射エリアを広げることができ、発熱デバイス1Eは、光源デバイスとして優れた特性を発揮することができる。
【0110】
この場合、第1の放熱体5Eを構成する樹脂材料としては、屈折率の高いもの(例えば、屈折率が1.5以上のもの)を好適に用いることができる。
【0111】
また、レンズ54Eを第1の放熱体5Eと一体的に形成することにより、発熱デバイス1Eの構成の簡易化を図ることができる。
【0112】
以上のような第6実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0113】
<第7実施形態>
図11は、本発明の第7実施形態に係る発熱デバイスの断面図である。
【0114】
以下、図11を参照して本発明の発熱デバイスの第7実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0115】
本実施形態は、第2の放熱体がベース基板と一体的に形成されている以外は、前記第1実施形態と同様である。
【0116】
図11に示す発熱デバイス1Fは、第2の放熱体8F(ヒートシンク81F)が一体的に形成されたベース基板2Fを有している。これにより、発熱デバイス1Fの構成の簡易化および製造の容易化を図ることができる。
【0117】
また、例えば、第1実施形態のようなベース基板2と第2の放熱体8との間に放熱シート6が介在する構成に比べて、発光体4から発生した熱をより効率的に第2の放熱体8Fに伝達することができるため、放熱特性をより高めることができる。
【0118】
このようなベース基板2Fは、例えば、アルミニウム等の金属材料で構成されたブロック体を用意し、このブロック体の下面側をエッチング等によりフィンの形状に加工することにより形成することができる。また、アルミニウム等の金属材料で構成された板状の基板を用意し、この基板の下側側をエッチング等によりフィンの形状に加工したのち、個片化(ダイシング)することにより形成することができる。
【0119】
以上のような第7実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0120】
<第8実施形態>
図12は、本発明の第8実施形態に係る発熱デバイスの断面図である。
【0121】
以下、図12を参照して本発明の発熱デバイスの第7実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、第2の放熱体の構成が異なる以外は、前記第1実施形態と同様である。
【0122】
図12に示す発熱デバイス1Gでは、第2の放熱体8Gは、ヒートシンク81Gと、樹脂部82Gとで構成されている。
【0123】
ヒートシンク81Gは、前述した第1実施形態のヒートシンク81と同様の構成であり、板状(またはブロック状)の基部811Gと、基部811Gから下方に延出する複数のフィン(突起)812Gとを有している。各フィン812Gの長さとしては、特に限定されないが、例えば、0.5〜2cm程度であるのが好ましい。
【0124】
また、複数のフィン812Gの形状、配置等は、特に限定されず、例えば、図12中の紙面奥行き方向に延在し、図12中の横方向に互いに間隔を隔てて並設されていてもよいし、図12中の紙面奥行き方向および横方向に互いに間隔を隔てて行列状に設けられていてもよい。
【0125】
樹脂部82Gは、ヒートシンク81Gのフィン812Gで形成された凹凸83Gを埋めるように設けられている。具体的には、樹脂部82Gは、ヒートシンク81Gの下側に位置する板状(またはブロック状)の基部821Gと、基部821Gの上面から突出するとともに凹凸83G内に充填された突出部822Gとで構成されている。
【0126】
第2の放熱体8Gが樹脂部82Gを有することにより、例えば、前述した第1実施形態のように、第2の放熱体8がヒートシンク81のみで構成されている構成と比較して、発光体4で発生する熱をより効率的に放熱することができる。
【0127】
具体的には、樹脂部82Gは、ヒートシンク81Gおよび樹脂部82Gで構成されているため、ヒートシンク81Gが主に発熱体4からの熱を樹脂部82Gに伝達する伝熱部として機能し、樹脂部82Gから熱を放出する。そのため、従来のように、ヒートシンク81Gが熱を放出する放熱体として機能する構成と比較して、より効率的な放熱を行うことができる。
【0128】
特に、本実施形態では、樹脂部82Gが基部821Gを有しているため、樹脂部82Gの表面積を大きくすることができる。そのため、第2の放熱体8Gは、より優れた放熱特性を発揮することができる。
【0129】
なお、基部821Gの厚さとしては、特に限定されないが、0.1〜1cm程度であるのが好ましい。これにより、発熱デバイス1Gの大型化を抑えつつ、優れた放熱特性を発揮することができる。
【0130】
また、樹脂部82Gの突出部822Gの体積(突出部822Gが複数ある場合には、各突出部822Gの体積の和)をS1とし、ヒートシンク81Gのフィン812Gの体積(各フィン812Gの体積の和)をS2としたとき、S1≧S2なる関係を満足するのが好ましく、S1≧3.5S2なる関係を満足するのがより好ましい。
【0131】
このような関係を満足することにより、ヒートシンク81Gの伝熱効果と、樹脂部82Gの放熱効果とをバランスよく発揮することができるため、第2の放熱体8Gは、より優れた放熱特性を発揮することができる。
【0132】
このような樹脂部82Gの構成材料としては、特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂材料を用いることができる。これにより、絶縁性を有する樹脂部82Gを簡単かつ安価に形成することができる。
【0133】
さらに、前記樹脂材料で樹脂部82Gを成形する際、当該樹脂材料中に、例えば、アルミナ等の金属酸化物、窒化ホウ素等の窒化物に代表される絶縁性の高熱伝導性フィラーを充填することもできる。これにより、樹脂部82Gの熱伝導性が向上し、より効率的に発光体4から発生する熱を第2の放熱体8Gから外部へ放出することができる。
【0134】
このような樹脂部82Gの構成材料の熱伝導率としては、特に限定されないが、空気(静止空気)の熱伝導率よりも高いことが好ましい。具体的には、0.20W/m・k以上であるのが好ましく、1.5W/m・k以上であるのがより好ましい。これにより、第2の放熱体8の放熱性がより優れたものとなる。
【0135】
また、樹脂部82Gの構成材料の膨張率(線膨張率)としては、特に限定されないが、ヒートシンク81Gの構成材料の膨張率とほぼ等しいのが好ましい。具体的には、樹脂部82Gの構成材料の膨張率をα1とし、ヒートシンク81Gの構成材料の膨張率をα2としたとき、0.8α2≦α1≦1.4α2の関係を満足するのが好ましい。これにより、第2の放熱体8Gの熱による歪みを抑制することができ、樹脂部82Gの剥離やフィン812Gの破損等が防止される。そのため、発熱デバイス1Gの信頼性が向上する。
【0136】
以上のような第8実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0137】
2.照明器具
次に、本発明の発熱デバイスを組み込んだ照明器具(電球)について簡単に説明する。
図13は、本発明の発熱デバイスを組み込んだ照明器具を示す断面図である。
【0138】
図13に示す照明器具100は、本体110と、口金120と、カバー130とで構成されている。
【0139】
本体110は、筒状のハウジング(筐体)111と、ハウジング111内に収納された複数の発熱デバイス(本発明の発熱デバイス)1とを備えている。
【0140】
ハウジング111は、その両端が開口した筒体で構成されている。また、ハウジング111は、その中心軸方向の途中の部分にて内径および外径が急峻に変化しており、下側の大径部111aと、上側の小径部111bとに分けることができる。
【0141】
ハウジング111は、金属材料で構成され、具体的には、例えば、鉄、ニッケル、ステンレス鋼、銅、真鍮、アルミニウム、チタン、マグネシウム等の各種金属、またはこれらを含む合金を用いることができ、これらの中でも特にアルミニウムが好ましい。アルミニウムは、比較的熱伝導率が高い材料である。アルミニウムでハウジング111を構成した場合、当該ハウジング111は、放熱性に優れたものとなる。さらに、ハウジング111の外側表面にアルマイト処理等の化学的あるいは物理的処理を行うと熱輻射効率が高くなり、放熱性の観点から好ましい。
【0142】
このようなハウジング111の大径部111aには、複数の発熱デバイス1が収納されており、これら各発熱デバイス1は、カバー130側へ光Lを発するように固定部160を介してハウジング111に固定されている。発熱デバイス1の固定部160への固定方法は、特に限定されず、例えば、接着剤を用いてもよいし、ねじ止めであってもよい。なお、図示の構成では、発熱デバイス1のベース基板2と固定部160とが別体として形成されているが、ベース基板2と固定部160とを一体的に形成してもよい。
【0143】
また、ハウジング111には、発熱デバイス1の第2の放熱体8が位置している空間に連通する開口112が形成されている。これにより、第2の放熱体8の放熱作用を高めることができる。
【0144】
また、ハウジング111の小径部111bには、制御手段150が収納されている。制御手段150は、照明器具100の駆動を制御する手段である。このような制御手段150は、照明器具100のON/OFFや明るさを制御することができる。
【0145】
口金120は、ハウジング111の上端部に設置されている。この口金120は、JIS規格等で規定され、図示しない電球ソケットに装着されるものである。
【0146】
カバー130は、ハウジング111の下端部を覆うように設置されている。また、カバー130は、例えば嵌合によりハウジング111に対し固定されている。このようなカバー130は、透明の樹脂材料またはガラス材料等で構成されている。なお、カバー130には、発熱デバイス1からの光Lを拡散するために、凹凸が形成されていてもよい。また、カバー130には、発熱デバイス1からの光Lにより励起されて発光する蛍光体が設けられていてもよい。
【0147】
以上、本発明の発熱デバイスを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の発熱デバイスを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。また、本発明の発熱デバイスは、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成を組み合わせたものであってもよい。
【0148】
また、前述した実施形態では、発熱体として、発光体を用いた構成について説明したが、発熱体としては、これに限定されず、例えば、パワー素子等であってもよい。なお、発熱体が発光体でない場合には、放熱体は、光透過性を有していなくてもよい。
【0149】
また、前述した実施形態では、ベース基板に1つの発熱体が設けられた構成について説明したが、発熱体の数としては、これに限定されず、ベース基板に2つ以上の発熱体が設けられていてもよい。
【0150】
また、前述した実施形態では、ヒートシンクを有する構成について説明したが、これに限定されず、ヒートシンクを省略してもよい。
【実施例】
【0151】
1.発熱デバイスの製造
(実施例1)
まず、アルミニウムで構成された略正方形のベース基板を用意した。このベース基板のサイズは、縦×横×厚さが2cm×2cm×1mmであった。
【0152】
次に、ポリイミド樹脂で構成された絶縁層上に銅箔を積層してなる銅箔付き樹脂フィルムをベース基板の一方の面に貼り付け、その後、銅箔を所定のパターン形状にパターニングした。
【0153】
次に、絶縁層上に発熱体(発光体:星和電機製チップLED5450)を搭載した。次に、ポリイミド樹脂55質量%と窒化ホウ素45質量%を混合してなる樹脂材料Aを用いて発熱体を封止し、第1の放熱体を形成した。なお、第1の放熱体のサイズは、縦×横×厚さが2cm×2cm×1cmであった。また、樹脂材料Aの熱伝導率は、3.7W/m・kであった。
【0154】
次に、第1の放熱体の側面に、ベース基板の厚さ方向に延在する凹部(凹条)を形成した。なお、凹部の横断面形状は、三角形であり、凹部のサイズは、幅×長さ×深さが1mm×1cm×0.5mmであった。また、凹部は、4つの側面に、それぞれ、10本ずつ等間隔離間させて形成した。
以上のようにして、実施例1の発熱デバイスを得た。
【0155】
(実施例2)
ポリイミド樹脂60質量%とアルミナ40質量%を混合してなる樹脂材料Bを用いて発熱体を封止し、放熱体を形成した以外は、実施例1と同様にして実施例2の発熱デバイスを得た。なお、樹脂材料Bの熱伝導率は、1.8W/m・kであった。
【0156】
(実施例3)
ポリイミド樹脂からなる樹脂材料Cを用いて発熱体を封止し、放熱体を形成した以外は、実施例1と同様にして実施例3の発熱デバイスを得た。なお、樹脂材料Cの熱伝導率は、0.3W/m・kであった。
【0157】
(実施例4)
ポリスチレン樹脂からなる樹脂材料Dを用いて発熱体を封止し、放熱体を形成した以外は、実施例1と同様にして実施例4の発熱デバイスを得た。なお、樹脂材料Cの熱伝導率は、0.1W/m・kであった。
【0158】
(比較例1)
放熱体を形成しない以外は、実施例1と同様にして比較例1の発熱デバイスを得た。
【0159】
2.測定
各実施例1〜4および比較例1について、それぞれ、発熱体の駆動を介してから200秒後、400秒後、600秒後の発熱体の温度を測定した。また、当該測定は、熱伝導率の低いポリウレタン樹脂で構成された収納体(内側のサイズが5cm(縦)×5cm(横)×5cm(厚さ))内に発熱デバイスを気密的に収納した第2の状態と、前記収納体に収納しない第1の状態とについて行った。その結果を下記の表1に示す。
【0160】
【表1】

【0161】
表1から明らかなように、第1の状態、第2の状態ともに、実施例1〜4の方が比較例1よりも優れた放熱性を発揮している。また、第1の状態と第2の状態の差は、実施例1〜4の方が、比較例1よりも小さい。したがって、実施例1〜4は、特に、空気の対流等が起きにくい気密空間内での放熱性に優れていると言える。
【符号の説明】
【0162】
1 発熱デバイス
1A 発熱デバイス
1B 発熱デバイス
1C 発熱デバイス
1D 発熱デバイス
1E 発熱デバイス
1F 発熱デバイス
1G 発熱デバイス
10 光反射膜
11 光吸収膜
2 ベース基板
2F ベース基板
3 絶縁層
4 発光体(発熱体)
41 基板
42 発光ダイオード素子
43 外部端子
5 第1の放熱体
5A 第1の放熱体
5D 第1の放熱体
5E 第1の放熱体
51 光出射面(上面)
53 側面
531 凹部
531A 凹部
54D レンズ
54E レンズ
6 放熱シート
7 導体パターン
71 部分
8 第2の放熱体
8F 第2の放熱体
8G 第2の放熱体
81 ヒートシンク
81F ヒートシンク
81G ヒートシンク
811 基部
811G 基部
812 フィン
812G フィン
82G 樹脂部
821G 基部
822G 突出部
83G 凹凸
100 照明器具
110 本体
111 ハウジング
111a 大径部
111b 小径部
112 開口
120 口金
130 カバー
150 制御手段
160 固定部
301 基板
302 接着層
303 金属層
304 金属箔付きフィルム
305 接着シート
306 ヒートシンク
307 樹脂層
307a 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板と、
前記ベース基板の一方の面側に設けられ、通電により発熱する発熱体と、
前記ベース基板の前記一方の面側に前記発熱体を封止するように設けられ、前記発熱体から発生する熱を放熱する第1の放熱体と、を有し、
前記第1の放熱体の表面の少なくとも一部は、凹凸を有する凹凸面で構成されていることを特徴とする発熱デバイス。
【請求項2】
前記第1の放熱体は、樹脂材料を主材料として構成されている請求項1に記載の発熱デバイス。
【請求項3】
前記第1の放熱体は、前記樹脂材料に熱伝導性を有するフィラーを分散させた材料で構成されている請求項2に記載の発熱デバイス。
【請求項4】
前記第1の放熱体の構成材料の熱伝導率は、空気の熱伝導率よりも高い請求項1ないし3のいずれかに記載の発熱デバイス。
【請求項5】
前記第1の放熱体の表面に開放する複数の凹部を有している請求項1ないし4のいずれかに記載の発熱デバイス。
【請求項6】
前記複数の凹部は、規則的に形成されている請求項5に記載の発熱デバイス。
【請求項7】
前記発熱体は、光を発する発光体であり、
前記第1の放熱体は、光透過性を有している請求項1ないし6のいずれかに記載の発熱デバイス。
【請求項8】
前記凹凸面は、前記発光体からの光の光路と重ならないように設けられている請求項7に記載の発熱デバイス。
【請求項9】
前記第1の放熱体の表面の前記発光体からの光の光路と重なる領域は、平坦面で構成されている請求項7または8に記載の発熱デバイス。
【請求項10】
前記平坦面は、前記発光体からの光の軸に対して直交している請求項9に記載の発熱デバイス。
【請求項11】
前記第1の放熱体の表面の前記発光体からの光の光路と重なる領域には、レンズ加工が施されている請求項7または8に記載の発熱デバイス。
【請求項12】
前記第1の放熱体は、前記ベース基板の前記一方の面と対向する主面と、前記主面の縁に連結する側面とを有し、前記側面の少なくとも一部が前記凹凸面で構成されている請求項1ないし11のいずれかに記載の発熱デバイス。
【請求項13】
前記凹凸面は、エンボス加工により形成される請求項1ないし12のいずれかに記載の発熱デバイス。
【請求項14】
前記ベース基板の他方の面側に設けられ、前記発熱体から発生する熱を放熱する第2の放熱体を有する請求項1ないし13のいずれかに記載の発熱デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−30600(P2013−30600A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165250(P2011−165250)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】