説明

発熱生体適合性セラミック材料

本発明は、水硬性アルミン酸カルシウムをベースとした注入可能な発熱生体適合性セラミック組成物に関するものであり、これは、in vivoで、腫瘍治療、疼痛緩和、血管治療、薬物活性化などの治療処置に使用することができ、in situで硬化して、健康を損なう影響をもたらすことなく長期間体内に放置することができる生体適合性固体材料を形成する。本発明を使用して、癌疾患後の骨格の機械特性を回復させることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化前には高度の成形性ならびに注入適性を示し、高温を発生してin situで硬化し、この温度を制御できる、生体適合性セラミック組成物に関する。本発明の組成物、およびそれが発生する高温は、腫瘍治療、疼痛制御、血管治療などのin vivoでの治療のために使用することができる。
【背景技術】
【0002】
悪性腫瘍は従来、手術、放射線療法または化学療法の3つの手法のいずれかで治療されている。しばしばこれら手法の組合せが必要になる。手術によって、適切な部位のより大きな腫瘍を除去することができる。しかし、癌組織や双子腫瘍(twin tumours)の残留物のために、手術だけでは十分でないことが多い。より小さな腫瘍、特に到達するのが困難な部位にあるものに対しては放射線療法が用いられる。放射線療法を用いれば、手術は必要でないかもしれない。化学療法は、非癌細胞への壊死作用を含むその他の副作用の問題がある。
【0003】
いくつかの外科学分野で研究されている治療方法は、身体の特定部位においてin vivoで熱を発生させ、癌細胞の治療などの治療目的にこの熱を利用することである。局部的な熱は、いくつかの方法、例えば電気抵抗によって熱を発生させる素子を備えたカテーテルで得ることができ、血管系を介して所望の部位に制御することができる。
【0004】
in vivoで熱を得る代替手法は、少量の熱発生材料のスラリーまたはペーストを所望の部位に、例えば針を用いた注入によって適用することである。身体に注入されて硬化する材料は、発熱化学反応によって硬化し、これにより所望の温度を発生させる。温度が上昇するにつれて、局部的な治療効果が得られる。理想的には、反応が完了すると、硬化した物質は生体適合性固体材料を形成すべきであり、健康を損なう影響をもたらすことなくこれを長期間体内に放置することができる。現在は熱発生材料を利用したいくつかの方式の治療が行われているに過ぎず、生体適合性がないにもかかわらず、熱発生材料はPMMA(ポリメタクリル酸メチル)骨セメントである。
【0005】
in vivoで熱発生材料の局部投与を用いた悪性癌性腫瘍ならびに転移、ミエローマ、様々なシストなどの治療は、まだあまり頻繁に使用される治療手法ではないが、ある程度は用いられている。この手法は、腫瘍または細胞に対する、局部的な熱壊死または栄養もしくは血液供給の制限、または酸素化を伴う。
【0006】
癌治療のために、注入可能な熱発生材料を使用することは、骨格における腫瘍に特に適切である。この方法では、細胞破壊セメントを直接注入することができる。あるいは、手術で腫瘍を除去した後、残った空洞にin situで硬化する材料を充填することができる。前者の方法は、少なくとも2つの利点を提供する。即ち、1つは、硬化中の温度上昇が残った癌組織の活性を低下させるか、またはこれを死滅させるということである。もう1つの効果は、セメントが骨格の機械特性を回復させ、したがって骨の弱化による骨折の危険性を低下させることである。
【0007】
注入可能なペーストはまた、放射線治療と組み合わせて用いることもできる。例えば、まず茎を通って小柱内に注入して脊椎にPMMA骨セメントを充填して機械的安定性をもたらし、引き続き同じ脊椎の放射線治療を行う。
【0008】
同様に、注入可能なペーストは、崩壊した骨粗鬆症の脊椎の治療に用いられる。骨セメントを崩壊した脊椎に充填すると、痛みが緩和され、脊椎の寸法が回復する。ここでは、発熱は、脊椎の機械的安定化に加えて脊椎の痛みの緩和にも寄与している。
【0009】
局部的に発生した熱は、局部的に神経を破壊することに用いられ、痛みを緩和し、血管の機能を破壊し、および薬物の効果を局部的に引き起こすことができる。
【0010】
現在まで、熱発生による治療を目的として特に開発された、商品化された生体適合性セメントはない。ポリメタクリル酸メチル(PMMA)をベースとした標準的な骨セメントが使用されているだけである。この材料は十分な温度を発生させることができるが、十分な生体適合性を示すものではない。しかし、より良い代替物がないために、外科治療ではPMMA骨セメントが定着している。
【0011】
現行材料の欠点
現在のPMMA系骨セメントは、整形外科での必要性、主として骨格における股関節インプラントおよび膝関節インプラントの固定のために開発されたものである。多くの欠点にもかかわらず、これらの材料は、数十年の使用を経て今日、整形外科において確立されている。しかしながら、より良い、より生体適合性の骨セメントの研究が進められている。
【0012】
PMMA系骨セメントは生体適合性材料ではない。この材料は、溶媒および未重合モノマーなどの成分の漏出に起因する明らかな毒性を有する。この漏出は、溶媒およびモノマーの量が多い(注入可能な)低粘度配合物の場合に特に著しくなる。
【0013】
熱発生ペーストを用いた細胞治療において、治療後に残る硬化した材料の量は、望ましくない組織反応をできるだけ誘発しないものであることが理想的である。このためには、高度の化学安定性と生体適合性が必要とされる。
【0014】
癌性の骨の治療については、骨格内に残る硬化材料は、骨本来のものと同等の機械特性を持つことが理想的である。特に、強度または剛性が不十分であることは、骨格の耐力部分にとって不利である。整形用セメントは、弾性率が約10〜20GPaであることが好ましい。現在のPMMA骨セメントの弾性率は約3GPaである。
【0015】
現在のPMMA骨セメントは、通常の整形外科用には過剰と思われる量の熱を発生して硬化する。椎体形成術での使用については、痛みを緩和する効果があるので、温度の上昇は有利であるとも言われている。しかしながら、現在の骨セメントは、外科医が発生する温度を制御できる可能性はまったくないか、きわめて限られている。
【0016】
また、硬化中に温度上昇の少ないセメントも興味深い。水硬性セラミックをベースとした低温度骨セメントは、2001年12月27日に出願された係属中のスウェーデン特許出願「セラミック材料及び製造方法(Ceramic material and process for manufacturing)」(SE−0104441−1)に記載されている。前記特許出願では、水和反応による温度上昇を、適切な不活性の、非水硬性相の添加によって抑えており、この相は機械特性および生体適合性にとっても好都合である。しかしながら、これらのセラミック材料は、水和性セラミックの相組成を十分に制御することによって発熱を制御する手段、または促進剤や遅延剤によって温度を制御する手段を提供していない。
【0017】
発明の概要
細胞治療、疼痛制御、血管の治療などに使用する際の、先行技術の注入可能なペースト組成物に関連する欠点に鑑みて、人体の部位に細い針で注入することができ、制御された量の熱を発生して制御された時間内に硬化して、対象とする組織および臓器に様々な治療効果をもたらし、安定で、無毒かつ生体適合性の固体容積を形成する、in situ硬化性のペースト状材料が必要とされている。骨格で使用するためには、硬化した材料は、骨と同様の機械特性を有することが好ましい。
【0018】
これらのニーズを満たすために、本発明では、水硬性セメント、特にアルミン酸カルシウムを使用するものであり、これは、水と化学反応すると発熱して硬化し、生体適合性の高い、適切な機械特性を有する固体セラミック材料を形成する。
【0019】
本発明の目的は、臨床での必要性に合わせてその硬化時間と温度上昇を制御することができる、水硬性酸化物セラミックス、主としてアルミン酸カルシウムをベースとした、注入可能な発熱セラミックバイオセメント組成物を提供することである。硬化後には、生体適合性の材料が形成され、これが長期間体内に残っても健康に悪い影響をもたらさない。
【0020】
本発明の別の目的は、耐力骨移植材料としての機能を果たすことができ、放射線で腫瘍が除去または治療された後に骨格の機械特性を回復させ、これにより骨の弱化による骨折の危険性を低下させる組成物を提供することである。
【0021】
本発明の別の目的は、生体適合性のセラミック組成物を、前記組成物からの発熱による治療処置に使用することである。
【0022】
より具体的には、本発明による注入可能な生体適合性セメント組成物は、それが体内でin situで硬化する際に発生する熱によって、in vivoでの治療目的、例えば癌治療、疼痛緩和、血管治療、骨再生および薬物の活性化に好適に使用することができる。
【0023】
本発明による生体適合性セメント組成物は、さらに、医療用インプラント、整形外科用インプラント、歯科用インプラントの製造に使用することができ、または歯科用充填材料として使用することができる。
【0024】
本発明はまた、患者の体内で薬物を送達するための薬物坦体の製造にも使用することができる。
【0025】
この生体適合性セラミック組成物は、基本形では、主として、アルミン酸カルシウム相の全容積に対して50容量%未満、好ましくは10容量%未満のCAと、アルミン酸カルシウム相の全容積に対して50容量%超、好ましくは90容量%超のCAおよびC12と、アルミン酸カルシウム相の全容積に対して10容量%未満、好ましくは3容量%未満のCAとを含むアルミン酸カルシウム相を含む、水硬性粉末原料から構成される。本発明による組成物は、任意に適切な添加剤を含むことができる。すべての成分の合計は100%であり、CA相は少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも90%である。
【0026】
本発明による水硬性粉末原料は、水硬性成分全容積の50容量%未満の、水硬性粉末であるケイ酸カルシウムおよび/または硫酸カルシウムをさらに含むことができる。
【0027】
本発明による組成物は、チタン酸カルシウム、または式ABO(ただし、Oは酸素、AおよびBは金属である)によるペロフスカイト構造の任意の他の三元酸化物、あるいはこうした三元酸化物の任意の混合物を含む非水硬性フィラーをさらに含むことができる。前記ペロフスカイト構造のAは、Mg、Ca、SrおよびBaからなる群から選択され、前記ペロフスカイト構造のBは、Ti、Zr、およびHfからなる群から選択される。非水硬性フィラーは、前記セラミック成分の全容積の30容量%未満、好ましくは10容量%未満の量で存在する。
【0028】
本発明による組成物の生物活性を高めるために、組成物は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、アパタイト、フルオロアパタイト、炭酸アパタイト、およびハイドロキシアパタイトからなる群から選択される1または複数の生体適合性材料の粒子または粉末をさらに含むことができ、その総量は、前記セラミック成分の全容積の30容量%未満とする。
【0029】
使用される粉末/粒子原料の粒径は、大部分が20ミクロン未満、好ましくは10ミクロン未満、最も好ましくは3ミクロン未満である。
【0030】
本発明による組成物の硬化は、生体適合性セラミック組成物を水系硬化液もしくは蒸気などの硬化剤で処理する方法、または前記硬化液と生体適合性セラミック組成物とからスラリーを調製する方法など、様々な方法で行うことができる。
【0031】
硬化剤は、硬化時間を制御することによって発熱を高める添加剤を含むことができる。これらの添加剤は、ポリカルボン酸、ポリアクリル酸、およびConpac 30(登録商標)などの超可塑剤などの減水剤(過剰量の水を添加することなしに、高流動性を保持し、セラミック粉末スラリーの粘度または作業性を制御するのに必要な水の量を低減する薬剤)から選択することができる。本発明による添加剤は、硬化プロセスを促進させる促進剤からさらに選択することができ、塩化リチウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、硫酸リチウム、硝酸リチウム、クエン酸リチウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、および硫酸からなる群から選択される。本発明の好ましい実施形態では、促進剤はLiClであり、本発明のより好ましい実施形態では、硬化液100g中に10〜500mgの量のLiClが存在する。本発明によるさらなる添加剤は、硬化プロセスを遅延させる遅延剤であり、ポリサッカライド、グリセリン、糖類、デンプン、およびセルロース系増粘剤からなる群から選択される。
【0032】
本発明による組成物を、特に歯科材料またはインプラントとして使用する場合には、組成物は、乾式シリカおよび/またはケイ酸カルシウムなどの膨張制御添加剤をさらに含むことができる。前記材料の硬化中の膨張は≦0.8%である。
【0033】
注射または他の方法で患者の体内に導入された場合には、本発明による組成物は、硬化時に30〜150℃の温度を発生させることができる。
【0034】
硬化すると、本発明による組成物は、少なくとも100MPaの圧縮強度を有する。
【0035】
本発明は、さらに、上記に従って硬化した生体適合性セラミック組成物に関し、前記硬化生体適合性セラミック組成物を含む医療装具にも関する。
【0036】
本発明は、さらに、上記の化学結合した生体適合性セラミック組成物の製造方法に関し、この方法は、選択された相組成および粒径のアルミン酸カルシウム/粉末混合物を調製するステップと、生体適合性セラミック組成物を水系硬化液もしくは蒸気などの硬化剤で処理することによって、または前記硬化液と生体適合性セラミック組成物とからスラリーを調製することによって前記混合物を硬化させるステップとを含む。この方法は、硬化前に前記粉末混合物からあらゆる残存水または有機汚染物を除去するステップも含むことができる。
【0037】
本発明はまた、生体適合性セラミック組成物を患者の体内に導入するステップと、前記組成物を硬化させることによって熱を発生させるステップとを含む治療方法にも関する。
【0038】
好ましい実施形態では、治療(例えば癌治療、血管治療、疼痛緩和、および薬物の活性化)を目的として、患者の体内においてin vivoで熱を発生させる方法は、下記のステップを含む:
アルミン酸カルシウム相の全容積に対して50容量%未満、好ましくは10容量%未満のCAと、前記アルミン酸カルシウム相の全容積に対して50容量%超、好ましくは90容量%超のCAおよびC12と、前記アルミン酸カルシウム相の全容積に対して10容量%未満、好ましくは3容量%未満のCAとを含むアルミン酸カルシウム粉末混合物を調製するステップであって、CA相が少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも90%であるステップ、および、任意に水硬性成分全容積の50容量%未満のケイ酸カルシウムおよび/または硫酸カルシウムを添加するステップ。
【0039】
本発明による方法の好ましい実施形態は、任意に、前記セラミック成分の全容積の30容量%未満、好ましくは10容量%未満の量の非水硬性フィラーを添加するステップを含み、任意に、1または複数の生体適合性材料の粒子または粉末を添加するステップであって、その総量を前記セラミック成分の全容積の30容量%未満とするステップを含み、任意に、前記粉末/粒子材料の粒径を、20ミクロン未満、好ましくは10ミクロン未満、最も好ましくは3ミクロン未満に低下させるステップを含み、任意に、前記粉末混合物からあらゆる残存水または有機汚染物を除去するステップを含み、任意に、減水剤、膨張制御添加剤、硬化促進剤および遅延添加剤などの粘度および作業性制御添加剤を添加するステップを含む。
【0040】
本発明による方法の好ましい実施形態はまた、上記組成物を体内の特定の治療処置部位に導入するステップと、組成物を患者の体内においてin situで硬化させるステップとを含む。
【0041】
上記の方法における硬化のステップは、患者の体内に導入する前に、前記生体適合性セラミック組成物を硬化剤と混合することによってスラリーを得るステップと、次いでこのスラリーを前記患者の所望の部位に導入するステップとを含む。硬化のステップはまた、前記生体適合性セラミック組成物を患者の体内に導入した後、所望の部位においてin situで、水系溶液または水蒸気などの硬化剤で組成物を処理することによっても行うことができる。
【0042】
本発明は、以下に示す詳細な説明および添付する図面からより完全に理解できるであろう。これらは例証のみを目的として示すものであり、したがって本発明を限定するものではない。
【0043】
発明の詳細な説明
本発明は、制御しうる量の熱を発生しつつ発熱硬化し、高い温度になる材料に関する。この発熱材料は、細胞、細胞系および臓器の局部加熱を伴う治療目的に使用することができる。この材料は、スラリー、ペーストまたはパテの形態で所望の部位に、例えば注入によって投与され、そこで固体に硬化して、例えば腫瘍治療、疼痛緩和または血管治療の所望の効果を達成するのに十分な温度を発生させる。本発明による材料は、確立されているPMMA系骨セメントの代替となる。
【0044】
本発明の材料は、セラミック酸化物粉末と水との水和反応の結果として硬化する。水和によって、水和物からなる新しい、強い結合相が形成される。水和によって硬化するセラミック材料は、水硬性セメントと呼ばれる。水硬性材料には、ポルトランドセメントをベースとしたコンクリート、ならびに歯科および整形外科で使用される特別なセラミックスが含まれる。水和中に発生する熱の量は、以下にさらに説明するように、いくつかの要因に左右される。
【0045】
本発明の最も適切な水硬性セメントはアルミン酸カルシウムである。この材料は、CaO−Al系からの相からなる。いくつかの相、主としてCA、C12、CAおよびCA(C=CaO、A=Al)が文献に記載されているが、これらすべてが本発明に関連する。代替実施形態として、本発明に従ってケイ酸カルシウムを使用することができる。
【0046】
アルミン酸カルシウムを、注入可能なバイオセメント用の基礎物質として使用するには、いくつかの理由がある。他の水結合系、例えばカルシウムのリン酸塩、炭酸塩および硫酸塩と比べて、アルミン酸塩は、高い耐薬品性、高い強度および制御された硬化速度を特徴とする。しかしながら、ケイ酸塩は、アルミン酸塩の特性と同様の特性を有し、本発明に従って使用することもできる。また、水をベースとした硬化化学は、プロセスに水系体液による影響を比較的及ぼさない。硬化する前は、この材料は作業性がよく、スラリーまたはペーストの両方で使用することができる。また、アルミン酸カルシウムの温度発生は、相組成の細部で制御することができる。
【0047】
本発明に適切なアルミン酸カルシウムをベースとしたバイオセメントは、2001年12月27日に出願された係属中のスウェーデン特許出願「セラミック材料及び製造方法(Ceramic material and process for manufacturing)」(SE−0104441−1)、および1999年10月8日に出願されたPCT/SE99/01803、「寸法安定性結合剤システム(Dimension stable binding agent systems)」に記載されている。これらの特許出願に開示されているすべての添加剤は、本発明に関連するものである。
【0048】
アルミン酸カルシウムの粉末を水または水系溶液と混ぜると、アルミン酸カルシウムが水に溶解して、カルシウムとアルミニウムのイオンを含む溶液を形成するステップを伴うプロセスが開始される。十分なイオン濃度で、アルミン酸カルシウム水和物の結晶子が液中に析出し始める。この水和物が、硬化した固体材料中において新しい強い結合相を構築する。
【0049】
水硬性セメントが硬化する際に到達する温度はいくつかの要因に左右される。最も重要なものは、出発アルミン酸カルシウム粉末の相組成、出発材料粉末の粒径、溶解速度、促進剤または遅延剤の添加によって制御される水和速度、組成物中の不活性の、非水硬性相の量、水和材料の総量、および周囲環境への熱伝達である。
【0050】
アルミン酸カルシウムおよびケイ酸カルシウムの水和は段階プロセスである。初めに形成される水和物は、いくつかの段階で、より安定な水和相に変換される。室温では、初めの水和相はCaO・Al・10HOであり、CAH10(C=CaO、A=Al、H=HO)と略記する。最も安定な水和相はCAHである。以下の反応がCAの水和について確認されている:
(1)CA+10H→CAH10
(2)2CA+11H→CAH+AH
(3)3CA+12H→CAH+2AH
(4)2CAH10→CAH+AH+9H
(5)3CAH→2CAH+AH+9H
【0051】
すべての反応ステップは発熱反応であり、熱が発生する。CAH10の形成(ステップ1)では245±5J/gが発生し、次のステップ2におけるCAHの形成では280±5J/gが発生し、およびCAHの形成(ステップ3)では120±5J/gが発生する。主としてCAおよびCA相からなる標準アルミン酸カルシウムセメントが発生させる総熱量は、いくつかの水和ステップの合計として450〜500J/gの範囲である。水和の原理はケイ酸カルシウムセメントでも同様である。
【0052】
水和ステップの細部は温度に左右される。温度が高くなるほど、一定の時間内でより多くの反応ステップが起こる可能性がある。室温では、CAH10水和物は速く生成するが、CAHへの変換は非常にゆっくり、数カ月かけて行われる。体温(37℃)では、CAHは数時間以内に形成される。60℃では、安定な水和物が数分で形成される。初めの水和中にいくつかの反応ステップが速く行われると、発生する温度はより高くなる。水和が遅ければ発生する温度は低い。
【0053】
また、他のアルミン酸カルシウム相、主としてCA、C12およびCAもあり、これらも同様な反応の結果、水和する。水和速度は出発相の化学量論組成に左右されることが見出されている。出発粉末中のCa量が多ければ多いほど、水和は速く進む。したがって、CAおよびC12は、CAおよびCAより速く硬化する。この現象に対する最も確からしい説明は水和メカニズムに見出され、即ち、初めにアルミン酸カルシウムが水に溶解し、次いで溶液中のCaイオンおよびAlイオンが十分な濃度に到達すると水和物が析出する。水和物の析出が開始されるには、Al濃度よりCa濃度が高いことが必要である。
【0054】
あらゆるアルミン酸カルシウムセメントが複数の相の混合物である。一般に、市販のセメントはCAとCAとからなる。CA、C12相は市販のセメントでは使用されない。しかし、これらの速く水和するアルミン酸カルシウム相が多量であればあるほど、より速い水和が誘発されて、それによってより高い温度が得られる。これらの相の添加によって、アルミン酸カルシウム系水硬性セラミックで発生させる温度を変えることができる。
【0055】
本発明によるアルミン酸カルシウム系水硬性セラミックで発生させる温度は、ほぼ30〜150℃の範囲に制御することができる。この全範囲が治療用途に関連している。細胞の壊死は、暴露時間にもよるが、約45℃から起こる。骨粗鬆症の脊椎の治療に使用される量は3〜8mlである。脊椎の腫瘍の治療には、典型的には1〜5mlが必要である。血管治療では、約0.5〜2mlが典型的である。
【0056】
硬化中の温度上昇の制御
注入可能なバイオセメントの硬化中に高温を発生させるためには、少なくとも以下の要因を考慮する必要がある:
【0057】
−水硬性出発粉末の相組成、および初期の硬化中に形成される水和物の選択。Caに富むアルミン酸カルシウム相はより速く水和する。例えば、CAの量が増加すると、純粋のCAと比べて水和速度が上昇し、したがってより高い温度が得られる。CAをCAに添加すると水和速度が低下する。発熱材料としては、CAおよびCAに加えてCAおよびC12を含む組成物が本発明にとっては特に興味深い。
【0058】
本発明にとって特に興味深いのは、CAが含まれていないか、または非常に少量しか含まれていない粉末組成物である(硬化が非常に遅い)。CAの量は、アルミン酸カルシウム相の総量に対して50容量%未満、好ましくは10容量%未満とするべきであり、アルミン酸カルシウムの大部分は、(硬化速度が中程度の)CAおよびC12であって、合わせて50容量%超、好ましくは90容量%超とするべきである。さらに、硬化用の促進剤またはトリガーとしての役割を果たす少量のCAを加えることが望ましい。CAの量は、アルミン酸カルシウム相の総量の10容量%未満、好ましくは3容量%未満とする。前記範囲内で相組成を選択することによって、関連する材料容積の温度発生を制御するのは、本発明に特有のものである。
【0059】
−出発粉末の粒径。粒子が小さければ小さいほど速く溶解かつ水和して、それによってより高い温度を発生させる。粒径は、水硬性セメント粉末を、粉砕などの微粒化法で前処理することによって制御する。粉末の粒径は、好ましくは10ミクロン未満、より好ましくは3ミクロン未満である。
【0060】
−水和速度は、促進剤および/または遅延剤を添加することによって制御する。いくつかの促進剤、例えば塩化リチウムなどのリチウム塩、ならびに遅延剤、例えば糖および種々の炭化水素が当該分野で知られている。促進剤と遅延剤を併用することによって、硬化しないかまたは硬化が遅い期間とそれに続く速い水和の遅延段階、指数関数的特性を有する硬化サイクルを特徴とする特別の硬化作用を実現することができる。
【0061】
本発明では、促進剤と遅延剤は、当該分野で知られているように、主として、硬化時間を制御するためではなく、温度発生を制御するために使用される。
【0062】
特に興味深いのは、水100g中に約10〜500mgのLiClを含むLiCl溶液を用いて硬化する組成物、ならびに、促進剤と遅延剤(例えばそれぞれLiClと糖)の組合せを含む溶液を用いて硬化する組成物である。
【0063】
本発明による促進剤として使用できるその他の塩の例としては、水酸化リチウム、炭酸リチウム、硫酸リチウム、硝酸リチウム、クエン酸リチウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、および硫酸が挙げられる。
【0064】
本発明による遅延剤として使用できる例としては、グリセリン、ポリサッカライド、糖類、デンプン、およびセルロース系増粘剤が挙げられる。
【0065】
本発明によるセラミック組成物は、ポリカルボン酸、ポリアクリル酸、およびConpac 30(登録商標)などの超可塑剤からなる群から選択される化合物をベースとした減水剤である成分をさらに含む。
【0066】
−セメント組成物中の不活性の、非水硬性相の量。機械的強度および水和中の寸法安定性を向上させるために、非水硬性相、例えば非水和酸化物、その他のセラミックスまたは金属を添加することができる。しかしながら、温度発生を増加させるために、非水硬性相の量は少なく保つべきである。非水硬性相の濃度は、セラミック成分総量の30容量%未満が本発明には適切であり、好ましくは10容量%未満とする。さらに、非水硬性添加物はまた、水和速度に影響する可能性がある。
【0067】
−また、水和材料の総量および周囲環境への熱伝達も、得られる温度に影響を与える。したがって、バイオセメントの量が少なくなると、同じ温度に到達させるには、容積比発熱を増大させる必要がある。あるいは逆に、高温を発生させるには、セメントの量を増加させることが有利である。
【実施例】
【0068】
実施例1
本実施例は、フィラーのない水和アルミン酸カルシウムからなるセラミックセメントの製造方法を説明し、水和速度が発生温度に及ぼす影響を例証する役割を果たす。得られる温度は、硬化材料の量や周囲環境への熱伝達などの他の要因にも左右されることを留意されたい。
【0069】
原料として、Lafarge Aluminates製の市販品Ternal White(登録商標)を使用する。これは、Al/CaO比が約70/30のアルミン酸カルシウムである。
【0070】
最初の調製工程は、粉末の粒径を小さくすることであった。これはボールミル粉砕で行った。粉砕は、回転式円筒プラスチック容器を用いて、その容積の1/3までTernal White粉末を充填し、1/3に直径10mmの不活性窒化ケイ素粉砕球を充填して行った。粉砕液はイソプロパノールであり、総粉砕時間は72時間であった。この粉砕により、粒子の90%のサイズは10μm未満にまで小さくなった。
【0071】
粉砕後、ふるいにかけて粉砕球を取り除き、アルコールを蒸発させた。その後粉砕された粉末を400℃で4時間焼成して、あらゆる残存水および有機不純物を除去した。
【0072】
第2工程では、水和溶液を調製した。この溶液は、脱イオン水に減水剤と促進剤を添加して調製した。減水剤は、当該分野で知られた市販のいわゆる超可塑剤、Perstorp AB製のConpac 30(登録商標)の群から選択したが、あらゆる他の同様の減水剤でもその機能を果たす。超可塑剤は、水中の濃度が1重量%となるように添加した。促進剤LiClは、0.05、0.08、0.2または0.4重量%の濃度で添加した。
【0073】
調製されたTernal White粉末とそれぞれの水溶液を、水の重量の粉砕Ternal White(登録商標)粉末の重量に対する比が0.35となるように混合した。この粉末−液体混合物を10mlプラスチック容器に入れて空気中で硬化させ、温度の発生をセメント容積の中央に挿入した熱電対で記録した。
【0074】
結果を図1および図2に示した。図1は、水和溶液中の濃度0.4重量%のLiClが室温環境での硬化中に90℃超を発生させることを示しており、一方、図2は、0.05重量%のLiCl濃度で、はるかに低い温度ならびに遅い水和速度が得られることを示している。
【0075】
この実施例は、硬化促進剤(この場合にはLiCl)の添加によって得られる、硬化速度の温度に及ぼす影響を示す役割を果たすに過ぎない。
【0076】
実施例2
この実施例は、異なるアルミン酸カルシウム相を有するアルミン酸カルシウムに典型的な様々な硬化速度を説明する。
【0077】
99%まで純粋な相CA、C12、CAからなる3種類のアルミン酸カルシウム粉末を出発材料として使用する。
【0078】
実施例1に記載のように、粉砕によって10μm未満の粉末粒径を実現した。この粉砕した粉末もまた、400℃で4時間焼成してあらゆる残渣を除去した。
【0079】
水和液として、どんな添加剤をも含まない脱イオン水を使用した。
【0080】
水対粉末の重量比を0.35と一定に保って、調製した粉末を水と混ぜた。この粉末−水混合物を、10mlプラスチック容器に入れ、室温にて空気中で硬化させた。
【0081】
固化までの時間として測定されたCA、C12、CA相の水和速度は、それぞれ4〜6時間、5〜10分、および2〜4秒と測定された。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】図1は、水和溶液中に濃度0.4重量%のLiClを有する、本発明による組成物により発生した温度の時間変化を示すグラフである。
【図2】図2は、水和溶液中に濃度0.05重量%のLiClを有する、本発明による組成物により発生した温度の時間変化を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミン酸カルシウム相からなる生体適合性セラミック組成物であって、アルミン酸カルシウム相が、
前記アルミン酸カルシウム相の全容積に対して50容量%未満、好ましくは10容量%未満のCAと、
前記アルミン酸カルシウム相の全容積に対して50容量%超、好ましくは90容量%超のCAおよびC12と、
前記アルミン酸カルシウム相の全容積に対して10容量%未満、好ましくは3容量%未満のCAと、
任意に適切な添加剤とを含み、
すべての成分の合計が100%であり、前記CA相が少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも90%である組成を有する、
生体適合性セラミック組成物。
【請求項2】
水硬性成分全容積の50容量%未満の、水硬性粉末であるケイ酸カルシウムおよび/または硫酸カルシウムをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の生体適合性セラミック組成物。
【請求項3】
チタン酸カルシウム、または式ABO(ただし、Oは酸素、AおよびBは金属である)によるペロフスカイト構造の任意の他の三元酸化物、またはこのような三元酸化物の任意の混合物を含む非水硬性フィラーをさらに含み、前記フィラーが、前記セラミック成分の全容積の30容量%未満、好ましくは10容量%未満の量で存在することを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の生体適合性セラミック組成物。
【請求項4】
前記ペロフスカイト構造のAが、Mg、Ca、SrおよびBaからなる群から選択され、前記ペロフスカイト構造のBが、Ti、Zr、およびHfからなる群から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の生体適合性セラミック組成物。
【請求項5】
前記組成物が、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、アパタイト、フルオロアパタイト、炭酸アパタイト、およびハイドロキシアパタイトからなる群から選択される1または複数の生体適合性材料の粒子または粉末をさらに含み、その総量を、前記セラミック成分の全容積の30容量%未満とすることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の生体適合性セラミック組成物。
【請求項6】
前記組成物が、ポリカルボン酸、ポリアクリル酸、およびConpac 30(登録商標)などの超可塑剤からなる群から選択される化合物をベースとした減水剤である成分をさらに含むことを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の生体適合性セラミック組成物。
【請求項7】
前記組成物が、乾式シリカおよび/またはケイ酸カルシウムなどの膨張制御添加剤をさらに含むことを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の生体適合性セラミック組成物。
【請求項8】
前記組成物が、水系硬化液をさらに含むことを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の生体適合性セラミック組成物。
【請求項9】
前記硬化液が硬化プロセスを促進させる促進剤をさらに含み、前記促進剤が、塩化リチウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、硫酸リチウム、硝酸リチウム、クエン酸リチウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウムおよび硫酸からなる群から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の生体適合性セラミック組成物。
【請求項10】
硬化液100g中に10〜500mgの量のLiClが存在することを特徴とする、請求項9に記載の生体適合性セラミック材料。
【請求項11】
前記硬化液が硬化プロセスを遅延させる遅延剤をさらに含み、前記遅延剤がポリサッカライド、グリセリン、糖類、デンプン、およびセルロース系増粘剤からなる群から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の生体適合性セラミック組成物。
【請求項12】
前記使用される粉末/粒子原料の粒径は、大部分が20ミクロン未満、好ましくは10ミクロン未満、最も好ましくは3ミクロン未満であることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の生体適合性セラミック組成物。
【請求項13】
ヒトの生体内で硬化した場合に、前記生体適合性セラミック組成物が30〜150℃の温度を発生させることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の生体適合性セラミック組成物。
【請求項14】
前記材料の硬化中の膨張が≦0.8%であることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の生体適合性セラミック組成物。
【請求項15】
前記組成物が、少なくとも100MPaの圧縮強度を有することを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の生体適合性セラミック組成物。
【請求項16】
前記組成物が硬化することを特徴とする、請求項1から15のいずれかに記載の生体適合性セラミック組成物。
【請求項17】
請求項16に記載の硬化した生体適合性セラミック組成物を含む医療装具。
【請求項18】
請求項1から15のいずれかに記載の生体適合性セラミック組成物の製造方法であって、
選択された相組成および粒径のアルミン酸カルシウム/粉末混合物を調製するステップと、
生体適合性セラミック組成物を、水系硬化液もしくは蒸気などの硬化剤で処理することによって、または前記水系硬化液と生体適合性セラミック組成物とからスラリーを調製することによって、前記混合物を硬化させるステップとを含む、
生体適合性セラミック組成物の製造方法。
【請求項19】
硬化前に、前記粉末混合物からあらゆる残存水または有機汚染物を除去するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
請求項1から15のいずれかに記載の生体適合性セラミック組成物を含む、医療用インプラント。
【請求項21】
請求項1から15のいずれかに記載の生体適合性セラミック組成物を含む、整形外科用インプラント。
【請求項22】
請求項1から15のいずれかに記載の生体適合性セラミック組成物を含む、歯科用充填材料または歯科用インプラント。
【請求項23】
請求項1から15のいずれかに記載の生体適合性セラミック組成物を含む、患者の体内で薬物を送達するための薬物坦体。
【請求項24】
前記組成物から発生する熱による治療処置のための、請求項1から15のいずれかに記載の生体適合性セラミック組成物の使用。
【請求項25】
治療(例えば癌治療、血管治療、疼痛緩和、および薬物の活性化)を目的として、患者の体内においてin vivoで熱を発生させる方法であって、
アルミン酸カルシウム相の全容積に対して50容量%未満、好ましくは10容量%未満のCAと、前記アルミン酸カルシウム相の全容積に対して50容量%超、好ましくは90容量%超のCAおよびC12と、前記アルミン酸カルシウム相の全容積に対して10容量%未満、好ましくは3容量%未満のCAとを含むアルミン酸カルシウム粉末混合物を調製するステップであって、CA相が少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも90%であるステップと、
任意に、水硬性成分全容積の50容量%未満のケイ酸カルシウムおよび/または硫酸カルシウムを添加するステップと、
任意に、前記セラミック成分の全容積の30容量%未満、好ましくは10容量%未満の量の非水硬性フィラーを添加するステップと、
任意に、1または複数の生体適合性材料の粒子または粉末を添加するステップであって、その総量を前記セラミック成分の全容積の30容量%未満とするステップと、
任意に、前記粉末/粒子材料の粒径を、20ミクロン未満、好ましくは10ミクロン未満、最も好ましくは3ミクロン未満に低下させるステップと、
任意に、前記粉末混合物からあらゆる残存水または有機汚染物も除去するステップと、
任意に、減水剤、膨張制御添加剤、硬化促進剤および遅延添加剤などの粘度および作業性制御添加剤を添加するステップと、
前記組成物を体内の特定の治療処置部位に導入するステップと、
前記組成物を患者の体内においてin situで硬化させるステップとを含む、
方法。
【請求項26】
患者の体内に導入する前に、前記生体適合性セラミック組成物を硬化剤と混合することによってスラリーを得ることを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
患者の体内に導入された前記生体適合性セラミック組成物を硬化剤で処理することを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記硬化剤が水系溶液または水蒸気であることを特徴とする、請求項26または27に記載の方法。
【請求項29】
生体適合性セラミック組成物を患者の体内に導入するステップと、前記組成物を硬化させることによって熱を発生させるステップとを含む治療方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−504702(P2006−504702A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−539711(P2004−539711)
【出願日】平成15年9月25日(2003.9.25)
【国際出願番号】PCT/SE2003/001489
【国際公開番号】WO2004/028577
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(504245538)セルビオ テック アーベー (1)
【Fターム(参考)】