説明

発電機

【課題】発電機の構造の簡素化を実現し、製造コストを低減させると共に、間歇的且つ低トルクでの回転の持続を可能な構造にする。
【解決手段】固定子1としてコイル11を非磁性材料で形成したボビン12に巻きつけたコアレスコイルを採用し、そのコアレスコイルの空芯部13で、永久磁石で構成された棒状の回転子2を回転させて、起電力を発生させるようにした。その結果、発電機の構成の簡素化、製造の容易化、コストの低減を実現することができ、且つフライホイールの搭載により、外部からの回転トルクを間歇的に与えることでも発電を安定的に持続可能な発電機を実現することができた。また、風力に応じて回転子2の駆動源(風力か電動機8の回転力)を切り替えるようにした。その結果、電力を安定的に発生させることができた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は発電機に関し、特にコアレス型の発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の発電機として、回転軸と、回転ケースと、基盤と、複数(24個)のコア無しコイルと、複数(32個)の第1永久磁石と、複数(32個)の第2永久磁石とを備えている永久磁石発電機がある(下記特許文献参照)。
【0003】
回転軸は回転ケースを回転可能に支持する。回転ケースには流体の力を受ける羽根が連結されている。
【0004】
回転ケースには、基盤、複数のコア無しコイル、複数の第1永久磁石及び複数の第2永久磁石が収容される。基盤は回転軸に固定されている。基盤には、その外周に沿って複数のコイル収容孔が設けられている。複数のコイル収容孔にはコア無しコイルがそれぞれ収容されている。コア無しコイルの周囲は合成樹脂で固められている。
【0005】
回転ケースの対向する2つの内面の一方の内面には、その外周に沿って複数の第1永久磁石が固定され、他方の内面には、その外周に沿って複数の第2永久磁石が固定されている。複数の第1永久磁石と複数の第2永久磁石とは、複数のコア無しコイルを介して、軸方向で対向する。第1永久磁石から第2永久磁石への磁力線はコア無しコイルの空芯部を通る。
【0006】
隣接する2つの第1永久磁石の間には、一方の第1永久磁石のコア無しコイル側の面の極性と他方の第1永久磁石のコア無しコイル側の面の極性とが常に反対になる関係がある。この関係は隣接する2つの第2永久磁石の間にもあてはまる。また、第1、第2永久磁石の幅はコア無しコイルの幅より小さい。
【0007】
羽根が流体の力を受けると、羽根と一体に回転軸が回転し、コア無しコイルに誘電電流が流れ、起電力が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−320364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように従来の永久磁石発電機の部品点数は多く、構造も複雑である。したがって、製造コストが高くなるという問題があった。
【0010】
この発明は上述の事情に鑑みなされたもので、その課題は発電機の構造の簡素化を実現し、製造コストを低減させることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題を解決するため、請求項1の発明は、コアレスコイルで構成された固定子と、永久磁石で構成され、前記コアレスコイルの空芯部で回転する回転子と、前記回転子が取り付けられる回転軸と、前記回転軸の一端部に取り付けられ、流体の力を前記回転子の回転力に変換する変換部材とを備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1項記載の発電機において、前記回転子が棒状であり、前記回転子が回転したとき、前記回転子の一部が前記コアレスコイルの空芯部に入ったり、その空間から出たりすることを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の発電機において、前記コアレスコイルが前記回転軸を挟んで両側に配置され、それらのコアレスコイルの空芯部が対向していることを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項記載の発電機において、前記回転子と前記変換部材との間に配置されるフライホイールを備えていることを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、請求項4記載の発電機において、前記フライホイールと前記変換部材との間に配置され、前記変換部材の回転数が所定値を超えたとき前記変換部材から前記回転子へ回転力を伝え、前記変換部材の回転数が所定値に達しないとき前記変換部材から前記回転子へ回転力を伝えない遠心クラッチを備えていることを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明は、請求項5記載の発電機において、前記遠心クラッチと前記フライホイールとの間に配置され、前記遠心クラッチの働きにより前記変換部材から前記回転子への回転力の伝達が断たれたとき前記回転子に回転力を与える電動機を備えていることを特徴とする。
【0017】
請求項7の発明は、請求項6記載の発電機において、前記電動機と前記フライホイールとの間に配置され、前記電動機から前記回転子へ回転力を断続して伝える電磁クラッチを備えていることを特徴とする。
【0018】
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれか1項記載の発電機において、少なくとも前記前記回転子と前記固定子とが真空状態のケース内に収容されていることを特徴とする。
【0019】
請求項9の発明は、請求項9記載の発電機において、前記電磁クラッチが非接触型電磁クラッチであることを特徴とする。
【0020】
請求項10の発明は、請求項1〜9のいずれか1項記載の発電機において、前記変換部材が羽根であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、発電機の構造の簡素化を実現し、製造コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1はこの発明の一実施形態の発電機の概念図である。
【図2】図2はこの発明の一実施形態の発電機の主要部の斜視図である。
【図3】図3はこの発明の一実施形態の発電機の主要部の平面図である。
【図4】図4はこの発明の一実施形態の発電機の主要部の左側面図である。
【図5】図5はこの発明の一実施形態の発電機の主要部の正面図である。
【図6】図6はこの発明の一実施形態の発電機の主要部の右側面図である。
【図7】図7はこの発明の一実施形態の発電機の背面図である。
【図8】図8はこの発明の第1の変形例の発電機の概念図である。
【図9】図9はこの発明の第2の変形例の発電機の概念図である。
【図10】図10はこの発明の第3の変形例の発電機の概念図である。
【図11】図11はこの発明の第4の変形例の発電機の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1〜7はこの発明の一実施形態の発電機を示す図であり、図1は発電機の構成を示す概念図、図2は図1の発電機の主要部の外観を示す斜視図、図3はその平面図、図4の左側面図、図5はその正面図、図6その右側面図、図7はその背面図である。
【0025】
図1に示すように、この発電機は、コアレスコイルで構成された固定子1と、永久磁石で構成され回転子2と、回転子2が取り付けられる回転軸3と、回転軸3を回転可能に支持する回転軸支持部材41,42と、空気の力(流体の力)を回転子2の回転力に変換する変換部材5と、回転子2に変換部材5又は電動機8の回転力を断続して伝える電磁クラッチ6と、回転子2に変換部材5の回転力を断続して伝える遠心クラッチ7と、回転子2に回転力を与える電動機8と、回転軸3に取り付けられたフライホイール9と、回転子2や固定子1やフライホイール9等を収容するケース10と、ケース10が載置される台座20とを備えている。
【0026】
固定子1はコアレスコイルであり、非磁性材料(例えばプラスチック等)で形成されたボビン12とボビン12に巻きつけられたコイル11とを有する。
【0027】
ボビン12は台座20にねじ止めされている。
【0028】
回転子2は棒状の永久磁石であり、回転軸3に取り付けられている。ボビン12が非磁性材料製であり、ボビン12と永久磁石との間に吸引力が生じないので、コア(鉄芯)を用いる発電機に較べ、回転子2の回転を阻害する要因が極めて少ない。
【0029】
回転軸3は軸部31,32,33で構成され、軸線方向へ3分割されている。軸部31,32,33は後述する電磁クラッチ6や遠心クラッチ7のオン・オフに応じて、一体的に接続されて一本の回転軸として回転可能となったり、軸部32,33の接続が断たれて軸部33が独立して回転可能となり、軸部32,31だけが一体に回転可能となったり、軸部32,31の接続も断たれて軸部31,32,33がそれぞれ独立に回転可能となったりする。
【0030】
回転軸3の軸部31は回転軸支持部材41,42で回転可能に支持され、回転軸3の軸部32,33もそれぞれ図示しない回転軸支持部材で回転可能に支持されている。回転軸3の軸部31はボビン12のすぐ上に位置する。したがって、回転子2が回転したとき、回転子2の端部が固定子1のコイル11の空芯部13に入ったり、空芯部13から出たりする動作を繰り返す。
【0031】
変換部材5は例えば風(流体)を受ける羽根である。変換部材5は回転軸3の軸部33に取り付けられ、風力を回転子2の回転力に変換する。
【0032】
電磁クラッチ6は非接触型電磁クラッチである。電磁クラッチ6は、コイル6aと、コイル6aの空芯部を通る軸部32と、軸部32に固定された電磁鋼板6bと、軸部31に固定された電磁鋼板6cとで構成されている。コイル6aにはバッテリ61と電源スイッチ62とが接続されている。電磁鋼板6bと電磁鋼板6cとはケース10の側面部10aを介して軸方向(回転軸3の軸方向)で対向している(図1参照)。
【0033】
遠心クラッチ7はクラッチシュー7aとクラッチアウタ7bとで構成されている。変換部材5の回転数が所定値(例えば1000RPM)を超えたとき、遠心力によりクラッチシュー7aとクラッチアウタ7bとが接触してクラッチシュー7aとクラッチアウタ7bとの間に大きな接触力が生じ、軸部32,33が一体的に接続されて、変換部材5から電磁クラッチ6側への回転力の伝達路が形成される。変換部材5の回転数が所定値を下回ったとき、クラッチシュー7aとクラッチアウタ7bとの間の接触力が小さくなり、軸部32,33の接続が断たれ、変換部材5から電磁クラッチ6側への回転力の伝達路は断たれる。遠心クラッチ7の近傍には、クラッチアウタ7bの回転数を検知する回転センサ23が配置されている。回転センサ23は後述する制御部22に接続されている。回転センサ23はクラッチアウタ7bの回転数が所定値を下回ったことを検知すると、制御部22はクラッチシュー7aとクラッチアウタ7bとのつながりが断たれたと判断する。
【0034】
電動機8は遠心クラッチ7と電磁クラッチ6との間に配置されている。電動機8にはバッテリ81と電源スイッチ82とが接続されている。電動機8は、遠心クラッチ7のクラッチシュー7aとクラッチアウタ7bとが分離して変換部材5から電磁クラッチ6側への回転力の伝達路が断たれるとともに、フライホイール9の回転数が所定値を下回ったとき、起動する。電動機8の回転軸は回転軸3の軸部32である。回転軸3の軸部32に電磁クラッチ9のコイル6aが装着され、軸部32はコイル6aの鉄心としての役割を持つ。
【0035】
フライホイール9は回転軸3の軸部31に固定されている。フライホイール9は電磁クラッチ6と回転子2との間に位置する。フライホイール9は例えば亜鉛や鉛等の比重の大きい金属材料で製造される。フライホイール9の近傍には、フライホイール9の回転数を検出する回転センサ21が配置されている。回転センサ21は制御部22に接続されている。制御部22は図示しないCPU、メモリ等で構成され、回転センサ21,23からの検出信号に基づいて電源スイッチ62,82等のオン・オフを制御して電動機8や電磁クラッチ6等の駆動を制御する。
【0036】
固定子1のボビン12と、ボビン12の両側部に配置される支持板411,421とは、それぞれ台座20にねじ201,202で固定される(図2参照)。支持板411,421にはそれぞれ3つの孔(図示せず)が形成されている。3つの孔は前後方向FRに沿って並ぶ。中間に位置する孔には回転軸3の軸部31が通され、その孔の両側の孔にはそれぞれボルト413,423が通される(図3参照)。
【0037】
支持板411,421には図3に示すようにそれぞれ軸受部材412,422が固定されている。軸受部材412,422は、回転軸3の軸部31を回転可能に支持する軸受部412a,422aと、軸受部412a,422aに連結され、ボルト413,423が螺合するねじ穴(図示せず)を有する雌ねじ部412b,422bとで構成されている。雌ねじ部412b,422bのねじ穴に、支持板411,421の孔に通されたボルト413,423が螺合されることによって、軸受部材412,422が支持板411,421に固定される。
【0038】
回転子2、固定子1、回転軸支持部材41,42、フライホイール9、電磁鋼板6c、回転センサ21等は、ケース10内に収容されている。ケース10は例えばプラスチック、アルミニュウム等の非磁性材料で箱形に形成されている。ケース10内は真空状態に保たれている。
【0039】
次に、この発電機の動作を説明する。
【0040】
まず、電磁クラッチ6の電源スイッチ62をオンにする。電源スイッチ62がオンになると、バッテリ61からコイル6aに電力が供給され、鉄芯としての軸部32及び電磁鋼板6bが励磁され、電磁鋼板6cがケース10の側面部10aを介して電磁鋼板6bに吸引される。その結果、電磁鋼板6bと電磁鋼板6cとの間に隙間は存在するが、軸部32と軸部31とが一体回転可能に接続されることになる。
【0041】
変換部材5が風を受けて回転し、その回転数が所定値を超えると、遠心クラッチ7のクラッチシュー7aに働く遠心力によりクラッチシュー7aがクラッチアウタ7bに接触し、その接触力が所定値を超えたとき、軸部32,33が一体的に接続される。その結果、軸部31,32,33は一本の回転軸として回転し、変換部材5から回転子2への回転力の伝達路が形成されるので、フライホール9と回転子2とが回転する。
【0042】
回転子2が回転すると、回転子2の端部が固定子1のコイル11の空芯部11aに入ったり、空芯部11aから出たりする動作が繰り返される。このときコイル11が回転子2の磁束を相対的に切るため、コイル11に起電力が発生する。電力はコイル11に接続されたバッテリ13に蓄積される。蓄積された電力の一部は電動機8のバッテリ81に供給される。
【0043】
風力が小さくなり、変換部材5の回転数が所定値を下回ると、クラッチシュー7aに働く遠心力が小さくなり、クラッチシュー7aがクラッチアウタ7bから離れ、クラッチシュー7aとクラッチアウタ7bとの間の接触力が所定値を下回ったとき、軸部32,33の接続は断たれる。その結果、変換部材5から電磁クラッチ6側への回転力の伝達路が断たれる。
【0044】
また、回転センサ23がクラッチアウタ7bの回転数が所定値を下回ったことを検出したとき、制御部22は、変換部材5の回転数が小さくなってクラッチシュー7aとクラッチアウタ7bとのつながりが断たれたと判断し、電磁クラッチ6の電源スイッチ62をオフにする。その結果、電磁クラッチ6はオフになり、軸部32,31の接続は断たれ、軸部32から軸部31への回転力の伝達路が断たれる。このとき、フライホール9はしばらく回転し続けるので、フライホール9の回転が止まるまでの間、回転子2も回転し続け、コイル11に起電力が生じる。
【0045】
フライホール9の回転数が所定値を下回ったことを回転センサ21が検出したとき、制御部22は電源スイッチ62,82をオンにする。電源スイッチ62がオンになると、電磁クラッチ6がオンになり、再び軸部32と軸部31とが一体回転可能に接続される。また、電源スイッチ82がオンになると、バッテリ81から電動機8に電力が供給され、電動機8が起動し、軸部32と軸部31とが一体に回転し、電動機8の回転力によって回転子2が回転し、発電状態が維持される。
【0046】
電動機8の回転力によって回転子2が回転しているとき、風力が上昇し、変換部材5が再び回転し、クラッチシュー7aがクラッチアウタ7bに接触したことを回転センサ23が検出したとき、制御部22は電源スイッチ82をオフにする。その結果、軸部31,32,33は一本の回転軸として回転し、再び風力によって回転子2が回転し、発電状態が維持される。固定子1のコイル11からの出力は直流電流に変換され、電気エネルギーがバッテリ13に蓄えられる。使用に際しては、商用周波数の50又は60Hzに変換される。
【0047】
この実施形態によれば、固定子1としてコイル11を非磁性材料で形成したボビン12に巻きつけるだけのコアレスコイルを採用し、そのコアレスコイルの空芯部13で永久磁石で構成された棒状の回転子2を回転させて起電力を発生させるようにしたので、発電機の構成を簡素することができ、製造の容易化、コストの低減を実現することができる。
【0048】
また、風力が小さくなったとき回転子2の駆動源が風力から電動機8の回転力に切り替わるので、電力を安定的に発生させることができる。
【0049】
更に、回転軸3の軸部31にフライホイール9が装着されているので、電磁クラッチ6がオフになり、軸部32と軸部31との接続状態が解除された後しばらくの間、回転子2は回転し続け、発電状態が維持される。すなわち、外部からの間歇的なトルク供給でも安定的な発電を持続させることができるのである。
【0050】
また、回転子2、固定子1、回転軸支持部材41,42、フライホイール9及び電磁鋼板6cを収容するケース10内は真空状態に保たれ、空気抵抗という回転子2やフライホイール9の回転を阻む要因がないので、その分回転子2やフライホイール9は回転しやすい。
【0051】
なお、回転子2の駆動する流体の力として風力を用いたが、水力を用いてもよい。
【0052】
また、変換部材5として羽根を用いたが、流体の力を受けて回転する部材であれば、羽根以外のどのような形状・構造の変換部材でもよい。
【0053】
図8はこの発明の第1の変形例の発電機の概念図である。上述の実施形態と共通する部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0054】
上述の実施形態では、発電機の主要な構成要素として、固定子1、回転子2の他に電磁クラッチ6、遠心クラッチ7、電動機8、フライホイール9、回転センサ21,23等を採用するとともに、軸方向へ3分割(軸部31,32,33)可能な回転軸3を採用したが、第1の変形例では、発電機の主要な構成要素として、電磁クラッチ6、遠心クラッチ7、電動機8、フライホイール9、回転センサ21,23等を採用せず、軸方向へ3分割できない回転軸103を採用した。
【0055】
図9はこの発明の第2の変形例の発電機を示す概念図である。上述の実施形態と共通する部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0056】
第2の変形例では、発電機の主要な構成要素として、固定子1、回転子2、回転変換部材5の他にフライホイール9だけを採用するとともに、軸方向へ3分割できない回転軸103を採用した。
【0057】
図10はこの発明の第3の変形例の発電機を示す概念図である。上述の実施形態と共通する部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0058】
第3の変形例では、発電機の主要な構成要素として、固定子1、回転子2、回転変換部材5の他に電磁クラッチ6、遠心クラッチ7、電動機8、回転軸3を採用したが、フライホイール9、回転センサ21等を採用していない。この変形例では、制御部22は回転センサ23からクラッチシュー7aがクラッチアウタ7bから離れたことをあらわす検出信号を入力したとき、電源スイッチ62,82をオンにし、電磁クラッチ6、電動機8をそれぞれ駆動させる。
【0059】
図11はこの発明の第4の変形例を示す概念図である。上述の実施形態と共通する部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0060】
第4の変形例では、固定子101のコアレスコイルとして2つのコイル11,11´を回転軸3を挟んで配置した。それらのコイル11,11´の空芯部13は上下方向で対向している。したがって、回転子2が回転したとき、回転子2の端部は回転軸3の上下でコイル11,11´の空芯部13に入る。各コイル,11´からの出力は直流電流に変換されて電気エネルギーがバッテリに蓄えられる。この変形例によれば、発電量を増やすことができる。
【0061】
なお、上述の実施形態及び変形例では固定子1、回転子2等を収容するケース10を用いたが、必ずしも用いる必要はない。
【0062】
また、電磁クラッチとして非接触型の電磁クラッチを採用したが、非接触型の電磁クラッチに代えて接触型の電磁クラッチを採用してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 固定子
2 回転子
11,11´ コイル
13 空芯部
3,103 回転軸
41,42 回転軸支持部材
5 変換部材
6 電磁クラッチ
7 遠心クラッチ
8 電動機
9 フライホイール
10 ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアレスコイルで構成された固定子と、
永久磁石で構成され、前記コアレスコイルの空芯部で回転する回転子と、
前記回転子が取り付けられる回転軸と、
前記回転軸の一端部に取り付けられ、流体の力を前記回転子の回転力に変換する変換部材と
を備えていることを特徴とする発電機。
【請求項2】
前記回転子が棒状であり、
前記回転子が回転したとき、前記回転子の一部が前記コアレスコイルの空芯部に入ったり、その空間から出たりすることを特徴とする請求項1項記載の発電機。
【請求項3】
前記コアレスコイルが前記回転軸を挟んで両側に配置され、それらのコアレスコイルの空芯部が対向していることを特徴とする請求項1又は2記載の発電機。
【請求項4】
前記回転子と前記変換部材との間に配置されるフライホイールを備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の発電機。
【請求項5】
前記フライホイールと前記変換部材との間に配置され、前記変換部材の回転数が所定値を超えたとき前記変換部材から前記回転子へ回転力を伝え、前記変換部材の回転数が所定値に達しないとき前記変換部材から前記回転子へ回転力を伝えない遠心クラッチを備えていることを特徴とする請求項4記載の発電機。
【請求項6】
前記遠心クラッチと前記フライホイールとの間に配置され、前記遠心クラッチの働きにより前記変換部材から前記回転子への回転力の伝達が断たれたとき前記回転子に回転力を与える電動機を備えていることを特徴とする請求項5項記載の発電機。
【請求項7】
前記電動機と前記フライホイールとの間に配置され、前記電動機から前記回転子へ回転力を断続して伝える電磁クラッチを備えていることを特徴とする請求項6記載の発電機。
【請求項8】
少なくとも前記前記回転子と前記固定子とが真空状態のケース内に収容されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の発電機。
【請求項9】
前記電磁クラッチが非接触型電磁クラッチであることを特徴とする請求項7記載の発電機。
【請求項10】
前記変換部材が羽根であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の発電機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−139081(P2012−139081A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291745(P2010−291745)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【特許番号】特許第4721377号(P4721377)
【特許公報発行日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(505037626)
【Fターム(参考)】