説明

発電装置

【課題】外部と接続することなく内燃機関内の所定の機器に給電する。
【解決手段】発電装置10aは、内燃機関12のコネクティングロッド22に設けられた回転発電機64と、該回転発電機64に回転力を与える偏心回転子66とを有する。偏心回転子66は、コネクティングロッド22の運動によって回転発電機64に作用して発電させる。コネクティングロッド22の中央Cよりも小端部42側には温度計測用のセンサ72及び送信機78を含む検出装置60が設けられ、発電装置10aは検出装置60に給電する。発電装置10aは、中央Cよりも大端部46側に設けられており、略円運動することから偏心回転子66が回転しやすい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関に設けられて、外部と接続することなく内燃機関内の所定の機器に給電することのできる発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の開発研究においては、実際の内燃機関を運転して各部の状態を実験的に確認することが重要である。特に、ピストンは燃料燃焼により高温になるとともに、高速で運動する過酷な条件下で使用されることから、温度や歪み等を正確に測定することが望まれている。
【0003】
例えば、特許文献1においては、ピストンの頂面の温度を計測するため、熱放射取込手段を備えるセンサをシリンダヘッドに開けた孔に装着している。
【0004】
特許文献2では、ピストンの温度計測点から導出したリード線をコネクティングロッドに相当するピストン棒の軸方向に沿って巻回し、掃気室を介して外部に引き出している。また、特許文献2にはセンサで計測した信号を無線で伝送することが開示されている。
【0005】
一方、特許文献3には、コイルと該コイル内に収納される磁石と、コイル内で磁石の両側に配されるスプリングとを有する発電装置が提案されており、振動形の構造物に取り付けることにより、磁石が振動して電磁誘導でコイルが発電する。
【0006】
【特許文献1】特開2004−325111号公報
【特許文献2】特開平10−288556号公報
【特許文献3】特開2000−69738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1記載の計測装置では、センサを取り付けるためにシリンダヘッドに孔を設けなければならず、しかも燃焼室内にセンサの一部が突出することになり、本来の燃焼とは異なってしまい、正確な計測を行うことができない。つまり、燃焼室内の燃焼に影響を与えずにピストンの温度等を計測するためには、センサをピストンよりも下側に設けることが望ましい。
【0008】
特許文献2記載の計測装置では、ピストン壁内部に温度センサが取り付けられており、燃焼室内に影響を与えずに計測が可能であるが、温度センサに給電するとともに、計測信号を取り出すためにはリード線が必要となっている。この計測装置ではリード線をコネクティングロッドに巻回しているが、内燃機関のコネクティングロッドは往復動作と揺動動作が複合された複雑で、しかも高速な動作をすることから、リード線に加わる負荷及び摩擦等の外力が大きく、リード線の耐久性が低い。また、リード線をピストンからコネクティングロッド及び掃気室を介して外部まで配設することは容易ではない。
【0009】
計測信号の取り出しについては、無線伝送を用いることにより信号線を省略することは可能であるが、温度センサに対して給電するためには電力線が必要であり、リード線を全く省略してしまうことは困難である。
【0010】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、外部と接続することなく内燃機関内の所定の機器に給電することのできる発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る発電装置は、内燃機関のコネクティングロッドに設けられた発電部と、該発電部に力を与える錘部とを有し、前記錘部は、前記コネクティングロッドの運動によって前記発電部に作用して発電させることを特徴とする。
【0012】
これにより、コネクティングロッドの運動を用いて効率よく発電でき、外部と接続することなく内燃機関内の所定の機器に給電することができる。
【0013】
ピストン又は前記コネクティングロッドの中央よりも小端部側にセンサ及び送信機を含む検出装置が設けられ、前記検出装置に給電してもよい。これにより、検出装置と発電装置との相対距離を大きく変更することなく、配線を容易に行うことができる。
【0014】
前記発電部は回転発電機であり、前記錘部は前記回転発電機の回転軸に設けられた偏心回転子であり、前記コネクティングロッドの中央よりも大端部側に設けられていてもよい。
【0015】
回転発電機及び偏心回転子を用いることにより発電部がコンパクトになる。また、偏心回転子はコネクティングロッドの運動を効率的に発電部に伝えることができる。また、発電装置をコネクティングロッドの中央よりも大端部側に設けることによりピストンから離れて、温度上昇が抑制して安定した発電が可能になる。
【0016】
前記発電部は、前記コネクティングロッドの大端部と小端部との間で長手方向に沿って複数の圧電素子が積層されていてもよい。このような積層構造により発電部をコンパクトにすることができ、長手方向に沿って設けることが好適である。また、複数の圧電素子を用いることにより大きな電力が得られる。
【0017】
前記錘部は前記発電部よりも小端部側に設けられ、前記錘部を前記発電部の方向に付勢する付勢手段を有してもよい。
【0018】
このような構成では、錘部がコネクティングロッドの運動に応じて発電部を押圧して効率よい発電ができる。また、錘部は小端部側に設けることにより、略往復運動をすることになり、発電部を効率よく押圧することができる。さらに、付勢手段によって錘部を発電部に付勢することにより、錘部が発電部から離間する時間をなくし、又は抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る発電装置によれば、コネクティングロッドの運動を用いて効率よく発電でき、外部と接続することなく内燃機関内の所定の機器に給電することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る発電装置について第1〜第4の実施形態を挙げ、添付の図1〜図10を参照しながら説明する。第1〜第4の実施形態に係る発電装置10a〜10dは、内燃機関12に設けられている。内燃機関12は、主に開発研究における実験用であるが、一般製品用であってもよい。
【0021】
図1に示すように、内燃機関12は一般的なレシプロエンジンであり、シリンダヘッド14a、シリンダブロック14b及びオイルパン14cをベースに構成され、シリンダ16内で往復動作をするピストン18と、出力回転軸であるクランクシャフト20と、ピストン18及びクランクシャフト20を接続するコネクティングロッド(以下、単にコンロッドと呼ぶ。)22とを有する。内燃機関12は、さらに、シリンダ16における上部の燃焼室に吸気バルブ24を介して混合気を供給する吸気管路26と、燃焼室に燃料を噴射するインジェクタ28と、燃焼後の排気ガスを排気バルブ30を介して排気する排気管路32と、燃焼室の混合気に点火する点火プラグ34とを有する。オイルパン14cは、オイルゲージ孔36が設けられている。
【0022】
図1、図2及び図3に示すように、コンロッド22は、ピストンピン40によりピストン18に軸支された小端部42と、クランクシャフト20のクランクピン44に軸支された大端部46と、小端部42及び大端部46を接続するロッド部48とを有する。ロッド部48は、大端部46の側から小端部42の側に向かって細くなっており、両側面に肉抜部50が設けられている。大端部46は、本体部に対してキャップ部52がコンロッドボルト54で取り付けられて構成されている。クランクシャフト20には、クランクピン44の反対側にカウンターウエイト56が設けられている。
【0023】
このように、コンロッド22は内燃機関12に用いられる一般的なものである。コンロッド22の中央Cよりも大端部46側には、第1の実施形態に係る発電装置10aが設けられ、中央Cよりも小端部42側には検出装置60が設けられている。中央Cは、大端部46のクランクピン44の軸心と小端部42のピストンピン40の軸心との中点である。発電装置10a及び検出装置60は、コンロッド22に対して、ビス、ピン、接着又は溶着等の手段により簡便に固定することができ、特殊な加工は不要である。
【0024】
発電装置10a及び検出装置60はリード線62で接続されており、それぞれ側面視(図2参照)で肉抜部50に収められていてコンパクトであり、しかも組み付けが容易である。リード線62は十分に短く、コンロッド22と一体的に設けられていることから該コンロッド22が動作をしても、屈曲や摩擦を受けることがなく高寿命である。リード線62は電源線であり、基本的にはプラス及びマイナスの2本で足りる。マイナス線についてはコンロッド22を用いたシャーシアースとしてもよい。
【0025】
発電装置10aは、回転発電機(発電部)64と、該回転発電機64の回転軸64aに設けられた偏心回転子(錘部)66とを有する。回転発電機64は、直流ブラシモータを発電機として用いている。偏心回転子66は、略180°の扇形であり、側面視(図2参照)でロッド部48の幅範囲内に略収まっており、軽量且つコンパクトである。発電装置10aは、携帯電話に用いられる着信時の振動発生用モータを用いてもよい。
【0026】
ところで、内燃機関12の運転において、コンロッド22はピストン18の往復運動をクランクシャフト20の回転運動に変換する機能を有している。したがって、コンロッド22においてピストン18に近い小端部42のピストンピン40は往復運動になり、クランクシャフト20に近い大端部46のクランクピン44は円運動になる。コンロッド22全体としては、往復運動と揺動運動が複合した運動をすることになる。
【0027】
発電装置10aは、中央Cよりも大端部46側に設けられていることから、縦方向の移動量R(図4B、図4C参照)に対して、横方向移動量は少なくとも0.5R以上が確保され、略円運動をすることになり、偏心回転子66はクランクシャフト20を中心とした遠心力を受けて、回転軸64aを中心として回転をすることになる。
【0028】
すなわち、図4Aに示すように、ピストン18が上死点にあるときには、上向きの遠心力が加わり、偏心回転子66も上向きとなる。図4Bに示すように、90°回転してクランクピン44が最も右側にきたときには、右向きの遠心力が加わり、偏心回転子66も右向きとなる。図4Cに示すように、180°回転してピストン18が下死点にあるときには、下向きの遠心力が加わり、偏心回転子66も下向きとなる。図4Dに示すように、270°回転してクランクピン44が最も左側にきたときには、左向きの遠心力が加わり、偏心回転子66も左向きとなる。
【0029】
このように、発電装置10aでは、偏心回転子66は、コンロッド22の運動によって回転発電機64に回転力を与えて効率よく発電させることができる。また、クランク室内は密閉されているが、外部と接続することなく内燃機関12内の検出装置60に給電することができる。
【0030】
発電装置10aは、中央Cよりも大端部46側に設けられており、ピストン18から適度に離れて、温度上昇が抑制されて安定した発電が可能になる。
【0031】
偏心回転子66の偏心量及び重量は、クランクシャフト20の回転数、発電装置10a、取付位置、発電負荷等を勘案・計算して設定するとよい。基本的には、クランクシャフト20が1回転するのに合わせて偏心回転子66も1回転するように設定するが、設計条件によっては、例えば複数回転(例えば2回転)するように設定してもよい。
【0032】
図5に示すように、検出装置60は、電源部70、センサ72、処理部74、記憶部76及び送信機78が一体的に構成されたユニットとなっている。
【0033】
電源部70は、発電装置10aから受けた電力を安定化させ、適量だけ蓄電し、電圧を調整してセンサ72、処理部74、記憶部76及び送信機78に供給する。電源部70は、簡便にはコンデンサ及びツェナーダイオード等で構成することができる。このような電源部70を設けることにより、内燃機関12の回転数の変動の影響を受けずに適正な電圧を出力することができる。電源部70は、発電装置10aに内蔵してもよい。発電装置10aが交流発電型である場合には、電源部70に整流回路を設けるとよい。
【0034】
センサ72は温度センサであり、コンロッド22の表面に当接して、その箇所の温度を計測することができる。センサ72及び検出装置60は、中央Cよりも小端部42側に設けられており、ピストン18に対して近い箇所であり、しかも相対的な位置及び向きがほとんど変わらないことから、該ピストン18の状態を精度良く間接的に検出することができる。センサ72及び検出装置60は、ピストン18に直接設けられていてもよい。センサ72を複数設けて、複数点の温度計測をしてもよい。
【0035】
処理部74は、センサ72の温度信号を検出して記憶部76及び送信機78に供給する。記憶部76は、必要に応じてセンサ72の温度信号を一時的に記憶する。送信機78は、処理部74から供給される温度信号を受信機に対して無線伝送する。受信機は、内燃機関12の内部に受信アンテナ80(図1参照)を有し、送信機78から伝送される温度信号を受信する。受信された温度信号は所定の記録装置に記録する。一連の温度計測及び伝送処理は、微小時間毎に連続して行ってもよく、適度な時間間隔で断続的に行ってもよく、又は、記憶部76にある程度のデータを蓄積して一括的な伝送を行ってもよい。
【0036】
このように、検出装置60では、少なくともセンサ72と送信機78が一体的に設けられており、電源の供給を一括的に行うことができるとともに、部品点数が抑制されて簡便構成となる。
【0037】
図1に示すように、受信アンテナ80はオイルゲージ孔36に設けられており、内燃機関12に対して特別な取付加工が不要である。受信アンテナ80は、内燃機関12における既存の孔に設けるとよく、例えばドレンプラグ82に設けてもよい。
【0038】
上述したように、第1の実施形態に係る発電装置10aは、コンロッド22に設けられており、偏心回転子66がコンロッド22の運動に連動して回転することから回転発電機64を発電させることができ、外部と接続することなく内燃機関12内の検出装置60に給電することができる。つまり、コンロッド22の運動エネルギーの一部が錘部としての偏心回転子66に伝達されて、該偏心回転子66が発電部としての回転発電機64に作用して発電している。
【0039】
発電装置10aは、中央Cよりも大端部46側に設けられていることから、略円運動をすることになり、効率よく発電することができる。発電装置10aは、小型軽量であり、コンロッド22の運動や、燃焼室内の燃焼に影響を与えない。
【0040】
発電装置10a及び検出装置60はそれぞれコンロッド22の肉抜部50に安定して配置され、しかも相対距離が短いことからリード線62は短くて足り、しかも他部材との間に渡る部分がないことから組み付けが容易である。発電装置10aと検出装置60との相対的位置は変わらないことからリード線62は、屈曲や摩擦を受けることがない。
【0041】
電池とは異なり、発電装置10aは内燃機関12が運転している間に電力を供給し続けることができ、長時間の試験に好適である。
【0042】
次に、第2の実施形態に係る発電装置10bについて説明する。以下、発電装置10b〜10dの説明において、取り付けられる内燃機関12及び検出装置60については発電装置10aの場合と共通なので、同符号を付してその詳細な説明を省略する。発電装置10b〜10dは、発電装置10aと同様に、リード線62を介して検出装置60に給電する。
【0043】
図6及び図7に示すように発電装置10bは、発電部100と、錘部102と、コイルスプリング(付勢手段)104と、ケーシング106と、蓋108とを有する。発電装置10bは長尺形状であり、大端部46と小端部42との間で長手方向に沿って、肉抜部50内に設けられている。発電装置10bでは、円筒状のケーシング106と蓋108で構成される内腔に、大端部46から小端部42に向かって発電部100、錘部102及びコイルスプリング104が収納されている。蓋108は、ケーシング106に螺合して、コイルスプリング104を適度に圧縮するストッパとなり、コイルスプリング104は錘部102を発電部100の方向に付勢している。
【0044】
錘部102は、小端部42側で発電部100とコイルスプリング104とに挟持されている。錘部102は過度に重くする必要はなく、発電装置10b全体としても軽量であり、コンロッド22の運動に影響を与えることがない。
【0045】
コイルスプリング104のばね定数を適度に小さく設定すると、錘部102と発電部100は一時的に多少離間し、その後再度当接することを繰り返す。これにより、発電部100の単体としての共振を励起して効率的な発電が可能となる。
【0046】
発電部100と錘部102との間には弾性体(コイルスプリング等)を入れてもよい。この場合、弾性体、コイルスプリング104及び錘部102により発電装置10bの共振周波数を適切に設定して一層効率的な発電が可能になる。
【0047】
発電部100は、大端部46と小端部42との間で長手方向に沿って、複数の圧電素子110が積層して構成されており、発電装置10bの大部分を占めている。このような積層構造により発電部100をコンパクトにすることができ、コンロッド22の長手方向に沿って設けると好適である。
【0048】
図8に示すように、発電部100の圧電素子110は、1つおきに逆極性となるように配置されており、各プラス極がリード線62のプラス線62aに接続され、各マイナス極がリード線62のマイナス線62bに接続されている。つまり、複数の圧電素子110は並列に接続されており、十分な電力を確保することができる。設計条件により圧電素子110は直列接続や、直列と並列の複合的な接続にしてもよい。発電部100では、複数の圧電素子110を用いることにより大きな電力が得られる。
【0049】
このように構成される発電装置10bでは、内燃機関12の運転において、コンロッド22が動作すると錘部102が連動して昇降を繰り返し、その錘部102の慣性力によって圧電素子110にかかる荷重が変化して発電することができる。特に、運動している物体にかかる慣性力は変位の2回微分値に比例することから、変位がピーク値となるときに慣性力もピークになって発電量が大きくなる。コンロッド22全体としては、往復運動と揺動運動が複合した運動をするが、錘部102は、中央Cよりも小端部42側に設けられており、略往復運動をすることになり、発電部100を効率よく押圧することができる。さらに、コイルスプリング104によって錘部102を発電部100に付勢することにより、錘部102が発電部100から離間する時間をなくし、又は抑制することができる。
【0050】
図9に示すように、第3の実施形態に係る発電装置10cは、筒状のケーシング120と、該ケーシング120の両端を塞ぐ2つの蓋体122と、ケーシング120内に同心状に設けられた筒状のコイル(発電部)124と、コイル124内に設けられた2つのコイルスプリング126と、これらのコイルスプリング126に挟持されている円柱状の磁石(発電部、錘部)128とを有する。コイル124は、リード線62に接続されている。発電装置10cは、コンロッド22の肉抜部50で、中央Cよりも小端部42側に設けられている。発電装置10cは特許文献3に記載されているものを用いてもよい。
【0051】
このように構成される発電装置10cでは、内燃機関12の運転において、コンロッド22が動作すると錘部102が両端のコイルスプリング126を伸縮させながら連動して昇降を繰り返し、コイル124に電磁的に作用して発電させることができる。コンロッド22全体としては、往復運動と揺動運動が複合した運動をするが、発電装置10cは、中央Cよりも小端部42側に設けられ略往復運動をすることになり、コイル124を効率よく発電させることができる。
【0052】
磁石128は、コイル124と組み合わされて発電部として作用しているが、ある程度の自重を有していることからコンロッド22の動作に連動することができ、錘部としても作用している。
【0053】
図10に示すように、第4の実施形態に係る発電装置10dは、横方向に突出した金属板(錘部)130と、該金属板130の両面に貼られた2枚の圧電セラミックス(発電部)132と、これらの金属板130及び圧電セラミックス132を端部で挟持して保持する固定具134とを有する。発電装置10dは、いわゆる圧電バイモルフである。発電装置10dは、コンロッド22の肉抜部50で、中央Cよりも小端部42側に設けられている。
【0054】
発電装置10dでは、内燃機関12の運転において、コンロッド22が動作すると金属板130が自重により振動して圧電セラミックス132を繰り返し屈曲させ、発電させることができる。コンロッド22全体としては、往復運動と揺動運動が複合した運動をするが、発電装置10dは、中央Cよりも小端部42側に設けられ略往復運動をすることになり、金属板130が振動しやすく、圧電セラミックス132を効率よく発電させることができる。
【0055】
発電装置10a〜10dが給電する対象の検出装置60のセンサ72は、温度計測用に限らず、歪みセンサ、油温センサ又は小型カメラ等でもよい。これらの検出素子と送信機78は別体でもよい。
【0056】
発電装置10a〜10dを設ける内燃機関12は、ガソリンエンジンに限らず、ディーゼルエンジンや、LPG用のエンジン等でもよく、レシプロ型に限らず、V型や、水平対向型等でもよい。複数気筒の内燃機関12では、発電装置10a〜10dを代表的に1つのコンロッド22に設けてもよいし、複数のコンロッド22に設けてもよい。複数設ける場合には、受信アンテナ80は共用にするとよい。
【0057】
本発明に係る発電装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】内燃機関の断面側面図である。
【図2】第1の実施形態に係る発電装置が設けられたコンロッドの側面図である。
【図3】第1の実施形態に係る発電装置が設けられたコンロッドの斜視図である。
【図4】図4Aは、ピストンが上死点にあるときのコンロッド及び発電装置を示す側面図であり、図4Bは、90°回転したときのコンロッド及び発電装置を示す側面図であり、図4Cは、180°回転したときのコンロッド及び発電装置を示す側面図であり、図4Dは、270°回転したときのコンロッド及び発電装置を示す側面図である。
【図5】発電装置及び検出装置のブロック構成図である。
【図6】第2の実施形態に係る発電装置が設けられたコンロッドの一部断面側面図である。
【図7】第2の実施形態に係る発電装置が設けられたコンロッドの斜視図である。
【図8】第2の実施形態に係る発電装置における発電部の結線図である。
【図9】第3の実施形態に係る発電装置が設けられたコンロッドの一部断面側面図である。
【図10】第4の実施形態に係る発電装置が設けられたコンロッドの側面図である。
【符号の説明】
【0059】
10a〜10d…発電装置 12…内燃機関
18…ピストン 20…クランクシャフト
22…コネクティングロッド 42…小端部
46…大端部 48…ロッド部
50…肉抜部 60…検出装置
62…リード線 64…回転発電機(発電部)
64a…回転軸 66…偏心回転子(錘部)
70…電源部 72…センサ
74…処理部 76…記憶部
78…送信機 80…受信アンテナ
100…発電部 102…錘部
104…コイルスプリング(付勢手段) 110…圧電素子
124…コイル(発電部) 128…磁石(発電部、錘部)
130…金属板(錘部) 132…圧電セラミックス(発電部)
134…固定具 C…中央

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のコネクティングロッドに設けられた発電部と、
該発電部に力を与える錘部とを有し、
前記錘部は、前記コネクティングロッドの運動によって前記発電部に作用して発電させることを特徴とする発電装置。
【請求項2】
請求項1記載の発電装置において、
ピストン又は前記コネクティングロッドの中央よりも小端部側にセンサ及び送信機を含む検出装置が設けられ、
前記検出装置に給電することを特徴とする発電装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の発電装置において、
前記発電部は回転発電機であり、
前記錘部は前記回転発電機の回転軸に設けられた偏心回転子であり、
前記コネクティングロッドの中央よりも大端部側に設けられていることを特徴とする発電装置。
【請求項4】
請求項3記載の発電装置において、
前記発電部は、前記コネクティングロッドの大端部と小端部との間で長手方向に沿って複数の圧電素子が積層されていることを特徴とする発電装置。
【請求項5】
請求項4記載の発電装置において、
前記錘部は前記発電部よりも小端部側に設けられ、
前記錘部を前記発電部の方向に付勢する付勢手段を有することを特徴とする発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−254163(P2009−254163A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−100570(P2008−100570)
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】