説明

皮膚の老化機構に作用する剤、抗老化用皮膚外用剤、及び抗老化方法

【課題】抗老化作用を示す種々の剤、抗老化用皮膚外用剤及び皮膚の抗老化方法を提供する。
【解決手段】ヒトリシズカ抽出物を有効成分とする、MMP活性阻害剤、I型コラーゲン産生促進剤、IV型コラーゲン産生促進剤、及びエストロゲン様作用発現剤;ヒトリシズカ抽出物を有効成分として含有する抗老化用皮膚外用剤;ならびにヒトリシズカ抽出物を供給することによって、繊維芽細胞を賦活化、MMP活性を阻害、I型コラーゲン産生を促進、IV型コラーゲン産生を促進、又はエストロゲン様作用を発現して、皮膚の老化を防止する方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料等の皮膚外用剤の有効成分として有用な、老化機構に作用する種々の剤に関する。また、本発明は抗老化用皮膚外用剤及び皮膚の抗老化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乳液、クリーム、化粧水、パック、洗浄料、分散液、軟膏、液剤、エアゾール、貼付剤、パップ剤、リニメント剤等の皮膚外用剤には、これらに所定の薬効を付与することを目的として種々の薬効成分が加えられている。近年、皮膚のトラブルの原因が種々解明され、それに伴い、皮膚外用剤、特に化粧料に対する消費者のニーズも細分化されつつある。例えば、老化により、表皮と真皮との間に存在する基底膜が構造変化することや機能低下することが知られている。また、真皮を形成している細胞外マトリックスが、紫外線の照射等により活性化されたマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)によって分解されること等も知られている。従って、基底膜を構成するコラーゲンの産生を促進させるエストロゲン様の作用を発揮することにより、細胞外マトリックスを分解するMMPの活性化を阻害することにより、細胞外マトリックスを構成する蛋白質を分泌する繊維芽細胞を賦活化することにより、又は細胞外マトリックスや基底膜を構成するコラーゲンの産生を促進することにより、抗老化作用を示す剤の提供が望まれている。
【0003】
一方、皮膚外用剤に配合される有効成分としては、皮膚に対する安全性も重要であることから、従来、天然物由来の剤である種々の植物抽出物が皮膚外用剤の有効成分として提案されている。例えば、ヒトリシズカ抽出物からなる保湿剤が提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特許第3696862号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、皮膚に対する安全性が高く、皮膚外用剤の有効成分等として有用な、新規な、繊維芽細胞賦活剤、MMP活性阻害剤、I型コラーゲン産生促進剤、IV型コラーゲン産生促進剤、及びエストロゲン様作用発現剤を提供することを課題とする。
また、本発明は、抗老化効果に優れた、抗老化用皮膚外用剤を提供することを課題とする。
また、本発明は、新規な皮膚の抗老化方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明は、ヒトリシズカ抽出物を有効成分とする繊維芽細胞賦活剤;ヒトリシズカ抽出物を有効成分とするマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)活性阻害剤;ヒトリシズカ抽出物を有効成分とするI型コラーゲン産生促進剤;ヒトリシズカ抽出物を有効成分とするIV型コラーゲン産生促進剤;及びヒトリシズカ抽出物を有効成分とするエストロゲン様作用発現剤;を提供する。
また、別の観点から、本発明によって、ヒトリシズカ抽出物を有効成分として含有する抗老化用皮膚外用剤;及びヒトリシズカ抽出物を供給することによって、繊維芽細胞を賦活化、MMP活性を阻害、I型コラーゲン産生を促進、IV型コラーゲン産生を促進、又はエストロゲン様作用を発現して、皮膚の老化を防止する方法;が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、老化機構に関与して、抗老化作用を奏する、新規な剤及び新規な方法を提供することができる。また、本発明によれば、抗老化効果に優れた、抗老化用皮膚外用剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、「〜」はその前後の数値を含む範囲を意味するものとする。
本発明の老化機構に関与する種々の剤、即ち、繊維芽細胞賦活剤、MMP活性阻害剤、I型コラーゲン産生促進剤、IV型コラーゲン産生促進剤及びエストロゲン様作用発現剤(以下、総称して「抗老化剤」という)は、センリョウ科チャラン属ヒトリシズカ(学名:Chloranthus japonicus)抽出物を有効成分とする。本発明に用いられるヒトリシズカ抽出物は、抽出部位についての制限はなく、ヒトリシズカの根、茎、葉、花序、果実、種子等いずれの部分の抽出物であってもよい。又、本発明の抗老化剤には、ヒトリシズカの2箇所以上から得られた抽出物を混合してもよく、あるいは2箇所以上の部分から異なる溶媒により抽出された抽出物を二種以上混合して用いてもよい。
【0008】
前記ヒトリシズカ抽出物は、ヒトリシズカの根、茎、葉、花序、果実、種子等の1箇所又は2箇所以上を、適当な溶媒によって抽出し、溶媒を留去することにより得られる。これらの部分に乾燥、細切、圧搾、又は発酵などの適宜の処理を施した後、抽出処理等を施してもよい。抽出は、ヒトリシズカを低温ないし加温下で溶媒中に所定の時間浸漬することによって実施できる。抽出溶媒は特に限定されないが、水、又はメチルアルコール、エチルアルコール等の低級1価アルコール;グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の液状多価アルコール;アセトン等のケトン類;エチルエーテル等のエーテル類;もしくは酢酸エチル等のエステル類;等の有機溶媒の一種又は二種以上を、及びこれらと水との混合溶媒を用いることができる。
【0009】
前記ヒトリシズカ抽出物は、そのまま皮膚外用剤に配合してもよいし、適宜の期間そのまま放置し、熟成させた後に用いることもできる。必要ならば、効果に影響のない範囲で、さらにろ過やイオン交換樹脂等による脱臭、脱色等の精製処理を施した後に用いることもできる。又、液体クロマトグラフィー等の分離手段を用いて、活性の高い画分のみを用いることもできる。
【0010】
前記ヒトリシズカ抽出物の好ましい調製方法の例としては、ヒトリシズカを、含水もしくは非含水のエチルアルコール等のアルコール系溶媒、含水もしくは非含水の1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール系溶媒、又は水を用い、室温又は加温して1〜5日間抽出を行った後、ろ過し、得られたろ液を、さらに1週間程度放置して熟成させ、再び、ろ液をろ過する方法が挙げられる。
【0011】
抽出物中の成分としては、フラボノイド配糖体、フェノール類、アミノ酸、トリテルペン等が挙げられる。抽出溶媒中のアルコール系溶媒又は多価アルコール系溶媒の含有量が高いほど、トリテルペンの含有量が高くなる。
本発明の繊維芽細胞賦活剤、MMP活性阻害剤、I型コラーゲン産生促進剤、又はIV型コラーゲン産生促進剤に用いるヒトリシズカ抽出物は、その抽出溶媒が、水と1価アルコールとの混合溶媒であるのが好ましく、水とエチルアルコールとの混合溶媒であるのがより好ましく、エチルアルコールの混合割合が50体積%(以下「vol%」という)以上である水とエチルアルコールとの混合溶媒であるのがさらに好ましい。
一方、本発明のエストロゲン様作用発現剤に用いるヒトリシズカ抽出物は、その抽出溶媒が、水のみ、又は水と1価アルコールとの混合溶媒であるのが好ましく、水のみであるのがより好ましい。
【0012】
前記ヒトリシズカ抽出物は、抽出液として、スプレードライ等により乾燥させて粉末状として、又は使用目的に合わせて乾燥固形分もしくは粉末を適切な溶媒と混合して用いることができる。即ち、液状、ペースト状、ゲル状等のいずれの形態で、本発明の抗老化剤の有効成分として用いてもよい。
【0013】
ここで、繊維芽細胞の賦活化、MMP活性の阻害、I型又はIV型コラーゲン産生の促進、及びエストロゲン様作用の発現と、抗老化効果との関連性について説明する。
皮膚は主に表皮及び真皮から構成されており、その2層間に基底膜という膜様構造体が存在する。真皮を形成している細胞外マトリックスは、主にI型コラーゲン、III型コラーゲン、エラスチン等であり、これらのタンパク質の構成成分は線維芽細胞から分泌される。細胞外マトリックスはMMPにより分解を受ける。MMPの分泌や活性上昇は、紫外線等により上昇することが知られている。また、IV型コラーゲンは基底膜の一構成成分であることが知られる。基底膜の老化による構造変化や機能低下が知られており、エストロゲンは女性ホルモンの一種であり、コラーゲン産生を促進させることが知られている。
すなわち、真皮を構成するタンパク質を分泌する線維芽細胞を賦活化させること、細胞外マトリックスの分解に関与するMMP(例えば、MMP−2)の活性を阻害すること、真皮や基底膜の構成成分であるI型コラーゲン又はIV型コラーゲンの産生を促進すること、及びコラーゲンの産生を促進するエストロゲン様作用を発現することにより、皮膚の老化防止効果が期待できる。
【0014】
本発明の抗老化剤は、種々の用途に用いることができる。皮膚に対する安全性が良好であるので、皮膚外用剤中に配合することが好ましい。その他、本発明の抗老化剤は、食品(飲料を含む)に配合することもできる。前記食品としては、特に制限されないが、具体的には、例えば、飴、チューインガム、飲料等が挙げられる。
【0015】
次に、本発明の皮膚外用剤について詳細に説明する。
本発明の皮膚外用剤は、本発明の抗老化剤であるヒトリシズカ抽出物を有効成分として含有する抗老化用皮膚外用剤である。前記抗老化剤の配合量については特に制限はないが、最終形態である皮膚外用剤の全質量に対して、前記ヒトリシズカ抽出物が固形分として0.00005〜1.5質量%(以下、単に「%」という)であるのが好ましく、0.0005〜1.5%であるのがより好ましい。この範囲内であれば、該成分を安定的に配合することができ、且つ高い繊維芽細胞の賦活化、MMP活性の阻害、I型コラーゲン産生の促進、IV型コラーゲン産生の促進、又はエストロゲン様作用の発現をもたらし、それに基づく高い抗老化作用を発揮することができる。また、抽出液を使用する場合は、溶質であるヒトリシズカ抽出物の含有量が上記範囲内であれば、その抽出液濃度は何ら限定されるものではない。
【0016】
本発明の皮膚外用剤の形態は、特に限定されず、例えば、乳液、クリーム、化粧水、美容液、パック、洗浄料、メーキャップ化粧料、分散液、軟膏、液剤、エアゾール、貼付剤、パップ剤、リニメント剤等の、いずれの形態の化粧料であっても外用医薬品等であってもよい。
【0017】
又、本発明の皮膚外用剤は、前記ラジカル消去剤以外に、化粧料や医薬部外品、外用医薬品等に通常使用される各種の成分、即ち、水、アルコール、油剤、界面活性剤、増粘剤、粉体、キレート剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、動植物・微生物由来の抽出物、保湿剤・美白剤・抗炎症剤・細胞賦活剤等の各種薬効剤、香料等を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜加えることができる。
【0018】
本発明は、ヒトリシズカ抽出物を供給することによって、皮膚の老化を防止する方法にも関する。例えば、皮膚の表面に適用して、繊維芽細胞を賦活化、MMP活性を阻害、I型コラーゲン産生を促進、IV型コラーゲン産生を促進、又はエストロゲン様作用を発現して、皮膚の老化を防止し、皮膚の状態の改善、より具体的には、皮膚のしわやたるみを防止又は改善するために利用してもよい。皮膚のしわやたるみを防止又は改善して、皮膚の外観の改善、即ち、美容を目的とするのに利用することができる。
【実施例】
【0019】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
[例1:ヒトリシズカ80vol%含水エチルアルコール抽出物の製造例]
ヒトリシズカの全草10gに、80vol%含水エチルアルコール(エチルアルコールの割合が80vol%)を150mL加え、室温又は加温して1日抽出を行った後、ろ過し、得られたろ液中の溶媒を留去して乾固し、固形分であるヒトリシズカの80vol%含水エチルアルコール抽出物(収量0.8g)を得た。
【0020】
[例2:ヒトリシズカ50vol%含水エチルアルコール抽出物の製造例]
ヒトリシズカの全草10gに、50vol%含水エチルアルコール(エチルアルコールの割合が50vol%)150mLを加え、室温又は加温して1日抽出を行った後、ろ過し、得られたろ液中の溶媒を留去して乾固し、固形分であるヒトリシズカの50vol%含水エチルアルコール抽出物(収量0.75g)を得た。
【0021】
[例3:ヒトリシズカ精製水抽出物の製造例]
ヒトリシズカの全草10gに、精製水を150mL加え、室温又は加温して1日抽出を行った後、ろ過し、得られたろ液中の溶媒を留去して乾固し、固形分であるヒトリシズカ精製水抽出物(収量0.73g)を得た。
【0022】
[例4:線維芽細胞賦活作用の評価]
(測定方法)
24wellプレートに培地を適量加え、ヒト新生児由来皮膚線維芽細胞(NB1RGB)を播種し、37℃、二酸化炭素濃度5%中にて静置した。翌日、例1で得られたヒトリシズカ抽出物の最終濃度が0(対照)、1、10、100μg/mLになるように試料をそれぞれ精製水に溶解させ、被験試料溶液を調製した。培養4日目に培地を交換し、再度、試料を添加した。翌日、MTT(SIGMA社製)を5mg/mLになるよう調製した溶液を、各wellにそれぞれ100μLずつ添加した。4時間培養した後、培地を除去し、イソプロパノールを用いて生成したホルマザンを溶解した。マイクロプレートリーダーを用いてリファレンスを630nmと570nmとで吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。なお、ブルーホルマザンの生成量が多いほど、繊維芽細胞が賦活化されていることを示す。
下記表に、対照に対する比率を算出した。
【0023】
【表1】

【0024】
[例5:MMP−2活性抑制作用の評価]
(1)MMP−2の調製
ヒトMMP−2 cDNAを、5’PCRプライマー(5’−ggcggatccatggcgccgtcgcccatcatc−3’)、及び3’PCRプライマー(3’−gccgtcgactacaatgtcctgtttgcagat−5’)を用い、MMP−2の3.3kb cDNA断片を含むpSG−GelAを鋳型として、PCR反応を行った。得られた30Alaから474Valまでをコードする1.3kb PCR断片をBam HI/Sal Iで消化し、pTH−72発現ベクター(pTH−MMP2−PC)のBam HI/Sal I部位にクローン化した。
ヒトMMP−2の発現は、Itoh, M. et al.; J.Biolchem.,119:667-673(1996)、精製及び巻き戻し(以下「リフォールディング」とする。)は、西村義文、大野茂雄 監修:タンパク実験プロトコール、細胞工学別冊 実験プロトコールシリーズ2 構造解析編、1997に準じて行った。また、cDNAは、Collier, I. E. et al.; J. Biol. Chem., 263(14), 6579-6587(1998)に記載されているものを使用した。
具体的には、MMP−2のcDNAを含む発現ベクター(pTH−MMP−2)を、大腸菌BL21(DE3)株にトランスフェクトし、IPTGで発現誘導した。発現タンパクは、Ni−NTA樹脂(QUIAGEN INC.,米国)を用いてアフィニティー精製後、リフォールディングを行い、酢酸4−アミノフェニル水銀と37℃、60分間反応を行なうことで活性型へ移行させた後、EDTAを加えた。これを酵素標本とし、蛍光性ペプチド基質(MOCAc/DNP peptide)切断活性反応を行ない、高速液体クロマトグラフィー(カラム:Wakosil5C18、溶離液:30%アセトニトリル+0.1%THF、流速1.0mL/min、検出:励起波長325nm、蛍光波長410nm)による生成物のピーク面積を測定し、これを酵素活性の指標とした。
【0025】
(2)ヒトリシズカ抽出物のMMP−2阻害活性の測定
被験試料を、蒸留水に溶解させて8.0mg/mLとした後、蒸留水にて4.0mg/mL、2.0mg/mLに希釈し、懸濁物を除くため、ろ過を行った。MMP−2阻害活性の測定は、上記調製した活性型MMP−2の40μL、被験試料溶液20μL、アッセイバッファー20μL(トリス−塩酸緩衝液(pH7.5)500mmol/L、塩化ナトリウム1.5mol/L、塩化カルシウム100mmol/L、硫酸亜鉛500μmol/L、アジ化ナトリウム30mmol/L、Brij35 0.05%)を、37℃で15分間プレインキュベーションした後、MOCAc/DNP peptide 120μL(4.16μmol/L)を添加し、37℃で2時間反応させた後、EDTA 10μL(200mmol/L)を添加した。反応液中の生成物について高速液体クロマトグラフィー分析によるピーク面積を測定した。被験試料溶液の代わりに蒸留水を加えた反応液の生成物を100%として、被験試料のMMP−2活性阻害率(%)を求めた。
なお、各被験試料として、ヒトリシズカ抽出物の水溶液(濃度は400μg/mL)を用いた。
【0026】
【表2】

【0027】
[例6:I型コラーゲン産生促進作用の評価]
ヒト正常線維芽細胞(Detroit 551)を、10%のFBS、1%のNEAA、及び1mmol/Lのピルビン酸ナトリウム含有MEMを用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を2×105cells/mLの濃度に上記培地で希釈した後、96wellマイクロプレートに1well当たり100μLずつ播種し、一晩培養した。培養終了後、培地を抜き、0.5%のFBS含有MEMに溶解した被験試料を、各wellに150μL添加し、3日間培養した。培養後、各wellの培地中のコラーゲン量をELISA法により測定した。
コラーゲン産生促進作用の計算方法は以下のとおりである。
コラーゲン産生促進率(%)=A/B×100
A :被験試料添加時のコラーゲン量
B :被験試料無添加時のコラーゲン量
なお、各被験試料として、ヒトリシズカ抽出物の水溶液(濃度は100μg/mL)を用いた。
【0028】
【表3】

【0029】
[例7:IV型コラーゲン産生促進作用の評価]
ヒト正常線維芽細胞(NB1RGB)を10%のFBS含有ダルベッコMEMを用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1.6×105cells/mLの濃度に上記培地で希釈した後、96wellマイクロプレートに1well当たり100μLずつ播種し、一晩培養した。培養終了後、培地を抜き、0.25%のFBS含有ダルベッコMEMに溶解した被験試料を、各wellに150μL添加し、3日間培養した。培養後、各wellの培地中のIV型コラーゲン量をELISA法により測定した。
IV型コラーゲン産生促進作用の計算方法は以下のとおりである。
IV型コラーゲン産生促進率(%)=A/B×100
A :被験試料添加時のIV型コラーゲン量
B :被験試料無添加時のIV型コラーゲン量
なお、各被験試料として、ヒトリシズカ抽出物の水溶液(濃度は下記表中に記載)を用いた。
【0030】
【表4】

【0031】
[例8:エストロゲン様作用の評価]
ヒト乳癌由来細胞(MCF−7)を、10%のFBS、1%のNEAA及び1mmol/Lのピルビン酸ナトリウムを含有するMEMを用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を、活性炭処理した10%のFBS、1%のNEAA、及び1mmol/Lのピルビン酸ナトリウムを含有するフェノールレッド不含MEM(T−MEM)を用いて、3.0×104cells/mLの濃度に希釈した後、48wellプレートに1wellあたり450μLずつ播種し、細胞を定着させるため培養した。6時間後(0日目)にT−MEMで、最終濃度の10倍に調製した被験試料を各wellに100μL添加し培養を続けた。3日目に培地を抜き、T−MEMで終濃度に調製した被験試料を各wellに1mL添加し、さらに培養を続けた。エストロゲン様作用は、MTTアッセイを用いて測定した。培養終了後、培地を抜き、1%のNEAA及び1mmol/Lのピルビン酸ナトリウムを含有するMEMに終濃度0.4mg/mLで溶解したMTTを、各wellに200μLずつ添加した。2時間培養した後に、細胞内に生成したブルーホルマザンを2−プロパノール200μLで抽出した。抽出後、波長570nmにおける吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。なお、ブルーホルマザンの生成量が多いほど、エストロゲン様作用が高いことを示す。ポジティブコントロールとして、10-9mol/Lエストラジオールを使用した。
エストロゲン様作用の計算方法は以下のとおりである。
エストロゲン様作用率(%)=A/B×100
A :被験試料添加時の吸光度
B :被験試料無添加時の吸光度
なお、各被験試料として、ヒトリシズカ抽出物の水溶液(濃度は下記表中に記載)を用いた。
【0032】
【表5】

【0033】
[例9:クリーム]
下記表7に示す組成のクリームを以下の方法により各々調製した。
まず、表7に示す成分(1)〜(6)及び(9)を混合し、加熱して70℃に維持した。この混合物に成分(11)の一部を加熱して70℃に維持したものを加え乳化し、さらに、(11)の残部で溶解した(7)〜(8)及び(10)を混合した。その後、冷却してクリームを各々得た。
【0034】
(試験方法)
被験クリーム1品につき35〜59才の女性15名をパネルとし、毎日朝と夜の2回、12週間にわたって洗顔後に被験クリームの適量を顔面に塗布した。塗布によるしわ改善効果を以下の基準によって評価し、各評価基準に該当する人数を表7に示した。
【0035】
(評価基準)
<評価><内容>
有効 肌のしわが目立たなくなった。
やや有効 肌のしわがあまり目立たなくなった。
無効 使用前と変化なし。
【0036】
(組成及び結果)
【表6】

【0037】
表7に示す結果から、ヒトリシズカ80vol%含水エチルアルコール抽出物及びヒトリシズカ50vol%含水エチルアルコール抽出物を配合した、本発明品1及び2のクリームは、これらを皮膚に適用することにより、肌のしわを改善することができ、張りのある美しい肌とすることが明らかとなった。
【0038】
以下、化粧料への配合例を示すが、これらの処方に限るものではない。
[例10:クレンジングクリーム]
(成分) (%)
(1)ステアリン酸 2.0
(2)ステアリルアルコール 3.0
(3)親油型モノステアリン酸グリセリル 2.0
(4)ミツロウ 1.5
(5)ワセリン 6.0
(6)流動パラフィン 40.0
(7)ジメチルポリシロキサン(100CS) 0.5
(8)セスキオレイン酸ソルビタン 1.0
(9)防腐剤 適量
(10)トリエタノールアミン 1.0
(11)プロピレングリコール 10.0
(12)ポリエチレングリコール20000 0.5
(13)カルボキシビニルポリマー 0.05
(14)精製水 残量
(15)ヒトリシズカ50vol%含水エチルアルコール抽出物*1 0.5
(16)カミツレ抽出物*2 0.5
(17)ウイキョウ抽出物*3 0.5
(18)香料 適量
*1:例2で製造した抽出物を含有量1%となるように50vol%含水1,3−ブチレングリコールに溶解したもの
*2:丸善製薬社製
*3:丸善製薬社製
(製法)
A.成分(1)〜(9)を加熱溶解し、70℃に保つ。
B.成分(10)〜(14)を加熱溶解し、70℃に保つ。
C.BにAを加え乳化する。
D.Cを冷却後、成分(15)〜(18)を加え混合し、クレンジングクリームを得た。
得られたクレンジングクリームは軽やかな伸び広がりでメイクの汚れ落ちもよく、皮膚の老化を防止し、健康的な肌を維持するクレンジングクリームであった。
【0039】
[例11:洗顔料]
(成分) (%)
(1)ラウリン酸 5.0
(2)ミリスチン酸 18.5
(3)ステアリン酸 6.0
(4)グリセリン 12.0
(5)ポリエチレングリコール1500 5.0
(6)水酸化カリウム 6.5
(7)精製水 残量
(8)ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 5.0
(9)ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 1.8
(10)ポリオキシエチレン(7.5E.O.)ラウリル
エーテル 2.0
(11)ジステアリン酸エチレングリコール 1.0
(12)ヒドロキシプロピルメチルセルロース1%水溶液 5.0
(13)ヒトリシズカ精製水抽出物*1 0.5
(14)ペパーミント抽出物*2 0.5
(15)ムクロジ抽出物*3 0.5
(16)香料 適量
*1:例3で製造した抽出物を含有量1%となるように50vol%含水1,3−ブチレングリコールに溶解したもの
*2:香栄興業社製
*3:丸善製薬社製
(製法)
A.成分(1)〜(7)を加熱溶解する。
B.成分(8)〜(11)を加熱溶解する。
C.AにBを加え混合する。
D.Cを冷却後、成分(12)〜(16)を加え混合し、洗顔料を得る。
得られたクレンジングクリーム及び洗顔料、はキメ細やかな豊かな泡立ちとさっぱりとした使用感を有しており、皮膚の老化を防止し、健康的な肌を維持する洗顔料であった。
【0040】
[例12:化粧水1]
(成分) (%)
(1)クエン酸 0.05
(2)クエン酸ナトリウム 0.2
(3)ピロリドンカルボン酸ナトリウム(50%)液*1 0.5
(4)グリセリン 3.0
(5)1,3−ブチレングリコール 8.0
(6)L−アスコルビン酸2−グルコシド*2 2.0
(7)水酸化ナトリウム 0.25
(8)ヒトリシズカ50vol%含水エチルアルコール抽出物*3 1.0
(9)エゾウコギ抽出物*4 1.0
(10)ニンジン抽出物*5 1.0
(11)精製水 残量
(12)エチルアルコール 10.0
(13)香料 適量
(14)防腐剤 適量
(15)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 0.5
*1:味の素社製
*2:林原生物化学研究所社製
*3:例2で製造した抽出物を含有量1%となるように50vol%含水1,3−ブチレングリコールに溶解したもの
*4:丸善製薬社製
*5:丸善製薬社製
(製法)
A.成分(1)〜(11)を混合溶解する。
B.成分(12)〜(15)を混合溶解する。
C.AにBを加え混合し、化粧水を得た。
得られた化粧水1はみずみずしくさっぱりとした使用感を有しており、皮膚の老化を防止し、皮膚をみずみずしく保ち、皮膚を滑らかにする化粧水であった。
【0041】
[例13:化粧水2]
(成分) (%)
(1)メドウホーム油 0.1
(2)ホホバ油 0.05
(3)香料 適量
(4)防腐剤 適量
(5)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 0.5
(6)イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化
ヒマシ油(50E.O.) 1.0
(7)エチルアルコール 8.0
(8)グリセリン 5.0
(9)1,3−ブチレングリコール 5.0
(10)ポリエチレングリコール1500 0.1
(11)ヒトリシズカ精製水抽出物*1 1.0
(12)グリチルリチン酸ジカリウム*2 0.5
(13)レイシ抽出物*3 0.5
(14)精製水 残量
*1:例3で製造した抽出物を含有量1%となるように50vol%含水1,3−ブチレングリコールに溶解したもの
*2:丸善製薬社製
*3:丸善製薬社製
(製法)
A.成分(1)〜(7)を混合溶解する。
B.成分(8)〜(14)を混合溶解する。
C.BにAを加え混合し、化粧水を得る。
得られた化粧水2はみずみずしくまろやかな使用感を有しており、皮膚の老化を防止し、皮膚をみずみずしく保ち、皮膚を滑らかにする化粧水であった。
【0042】
[例14:化粧水3]
(成分) (%)
(1)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 0.08
(2)スクワラン 0.02
(3)セスキオレイン酸ソルビタン 0.05
(4)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 0.05
(5)ポリオキシエチレン(8E.O.)アルキレン(12〜15)
エーテルリン酸 0.1
(6)防腐剤 適量
(7)香料 適量
(8)エチルアルコール 8.0
(9)ジプロプレングリコール 8.0
(10)グリセリン 4.0
(11)ヒトリシズカ80vol%含水エチルアルコール抽出物*1 0.5
(12)ヒアルロン酸ナトリウム1%水溶液*2 3.0
(13)テンチャ抽出物*3 0.5
(14)精製水 残量
*1:例1で製造した抽出物を含有量1%となるように50vol%含水1,3−ブチレングリコールに溶解したもの
*2:紀文フードケミファ社製
*3:丸善製薬社製
(製法)
A.成分(1)〜(8)を混合溶解する。
B.成分(9)〜(14)を混合溶解する。
C.BにAを加え乳化し、化粧水を得る。
得られた化粧水3はすっきりとした軽やかな使用感を有しており、皮膚の老化を防止し、皮膚をみずみずしく保ち、皮膚を滑らかにする化粧水であった。
【0043】
[例15:乳液]
(成分) (%)
(1)ステアリン酸 1.0
(2)セタノール 0.5
(3)親油型モノステアリン酸グリセリン 0.5
(4)流動パラフィン 2.0
(5)スクワラン 3.0
(6)ホホバ油 3.0
(7)パルミチン酸セチル 0.2
(8)防腐剤 適量
(9)モノステアリン酸ソルビタン 0.3
(10)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 0.5
(11)ニコチン酸トコフェロール*1 0.1
(12)トリエタノールアミン 0.5
(13)1,3−ブチレングリコール 15.0
(14)グリセリン 3.0
(15)ポリエチレングリコール6000 0.5
(16)精製水 残量
(17)カルボキシビニルポリマー1%溶液 8.0
(18)ヒトリシズカ50vol%含水エチルアルコール抽出物*2 0.5
(19)ゲンノショウコ抽出物*3 0.5
(20)シイタケ抽出物*4 0.5
(21)香料 適量
*1:エーザイ社製
*2:例2で製造した抽出物を含有量1%となるように50vol%含水1,3−ブチレングリコールに溶解したもの
*3:丸善製薬社製
*4:丸善製薬社製
(製法)
A.成分(1)〜(11)を加熱溶解し、70℃に保つ。
B.成分(12)〜(16)を加熱溶解し、70℃に保つ。
C.AにBを加え乳化し、更に成分(17)を加え混合する。
D.Cを冷却し、成分(18)〜(21)を加え混合し、乳液を得る。
得られた乳液は滑らかでまろやかな使用感を有しており、皮膚の老化を防止し、皮膚に保湿感と適度なエモリエント感を付与し、皮膚を柔軟にする乳液であった。
【0044】
[例16:クリーム]
(成分) (%)
(1)ステアリン酸 2.5
(2)セタノール 2.5
(3)親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
(4)ワセリン 2.0
(5)ジペンタエリトリット脂肪酸エステル*1 2.0
(6)ミリスチン酸イソトリデシル 5.0
(7)流動パラフィン 8.0
(8)スクワラン 5.0
(9)ミツロウ 1.0
(10)パルミチン酸セチル 2.0
(11)セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
(12)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 1.5
(13)防腐剤 適量
(14)トリエタノールアミン 1.2
(15)1,3−ブチレングリコール 8.0
(16)グリセリン 2.0
(17)ポリエチレングリコール20000 0.5
(18)精製水 残量
(19)カルボキシビニルポリマー1%水溶液 10.0
(20)アルブチン*2 3.0
(21)ヒトリシズカ80vol%含水エチルアルコール抽出物*3 1.0
(22)セリン*4 1.0
(23)甘草抽出物*5 0.5
(24)ヨクイニン抽出物*6 0.5
(25)香料 適量
*1:コスモール168AR(日清オイリオグループ社製)
*2:和光純薬工業社製
*3:例1で製造した抽出物を含有量1%となるように50vol%含水1,3−ブチレングリコールに溶解したもの
*4:味の素社製
*5:丸善製薬社製
*6:丸善製薬社製
(製法)
A.成分(1)〜(13)を加熱溶解し、70℃に保つ。
B.成分(14)〜(18)を加熱溶解し、70℃に保つ。
C.AにBを加え乳化し、更に成分(19)を加え混合する。
D.Cを冷却し、成分(20)〜(25)を加え混合し、クリームを得る。
得られたクリームは滑らかでコクのある使用感を有しており、皮膚の老化を防止し、皮膚に高いエモリエント感を付与し、皮膚を柔軟にするクリームであった。
【0045】
[例17:美容液]
(成分) (%)
(1)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 0.1
(2)メドウホーム油 0.05
(3)ホホバ油 0.05
(4)パルミチン酸レチノール*1 0.2
(5)酢酸トコフェロール*2 0.1
(6)防腐剤 適量
(7)香料 適量
(8)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 0.5
(9)イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化
ヒマシ油(50E.O.) 1.5
(10)エチルアルコール 5.0
(11)グリセリン 4.0
(12)ジプロピレングリコール 8.0
(13)1,3−ブチレングリコール 8.0
(14)乳酸ナトリウム 0.5
(15)ピロリドンカルボン酸ナトリウム(50%)液*3 0.5
(16)ヒドロキシエチルセルロース 0.08
(17)アルギン酸ナトリウム 0.05
(18)ヒトリシズカ80vol%含水エチルアルコール抽出物*4 0.2
(19)ハマナス抽出物*5 0.5
(20)ゲンチアナ抽出物*6 0.5
(21)精製水 残量
*1:ロシュ社製
*2:エーザイ社製
*3:味の素社製
*4:例1で製造した抽出物を含有量1%となるように50vol%含水1,3−ブチレングリコールに溶解したもの
*5:丸善製薬社製
*6:丸善製薬社製
(製法)
A.成分(1)〜(9)を混合溶解する。
B.成分(10)〜(21)を混合溶解する。
C.BにAを加え混合し、美容液を得る。
得られた美容液はまろやかでマイルドな使用感を有しており、皮膚の老化を防止し、皮膚に高い保湿感とエモリエント感を付与し、皮膚をみずみずしく柔軟にする美容液であった。
【0046】
[例18:パック(ピールオフ型)]
(成分) (%)
(1)ポリビニルアルコール 12.0
(2)メチルセルロース 0.1
(3)グリセリン 3.0
(4)1,3−ブチレングリコール 5.0
(5)精製水 残量
(6)香料 適量
(7)防腐剤 適量
(8)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 0.1
(9)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 1.0
(10)エチルアルコール 13.0
(11)ヒトリシズカ50vol%含水エチルアルコール抽出物*1 0.5
(12)甘草抽出物*2 0.5
(13)オノニス抽出物*3 0.5
*1:例2で製造した抽出物を含有量1%となるように50vol%含水1,3−ブチレングリコールに溶解したもの
*2:丸善製薬社製
*3:丸善製薬社製
(製法)
A.成分(1)〜(5)を加熱溶解する。
B.成分(6)〜(10)を混合溶解する。
C.Aを冷却後、B、成分(11)〜(13)を加え混合し、パックを得る。
得られたパックは適度な清涼感と高い緊張感を有しており、皮膚の老化を防止し、パックした後の皮膚に適度な保湿感とはり感を付与し、皮膚を柔軟にするパックであった。
【0047】
[例19:マッサージクリーム]
(成分) (%)
(1)ステアリン酸 2.0
(2)ステアリルアルコール 2.5
(3)親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
(4)セスキオレイン酸ソルビタン 1.0
(5)パルミチン酸セチル 1.0
(6)ジペンタエリトリット脂肪酸エステル*1 4.0
(7)ワセリン 20.0
(8)流動パラフィン 28.0
(9)ジメチルポリシロキサン(100CS) 0.5
(10)水酸化ナトリウム 0.1
(11)ジプロピレングリコール 7.0
(12)カルボキシビニルポリマー 0.1
(13)精製水 残量
(14)ヒトリシズカ精製水抽出物*2 0.5
(15)加水分解コンキオリン抽出物*3 0.5
(16)ローズマリー抽出物*4 1.0
(17)香料 適量
*1:コスモール168AR(日清オイリオグループ社製)
*2:例3で製造した抽出物を含有量1%となるように50vol%含水1,3−ブチレングリコールに溶解したもの
*3:丸善製薬社製
*4:丸善製薬社製
(製法)
A.成分(1)〜(9)を加熱溶解し、70℃に保つ。
B.成分(10)〜(13)を加熱溶解し、70℃に保つ。
C.BにAを加え乳化する。
D.Cを冷却後、成分(14)〜(17)を加え混合し、マッサージクリームを得た。
得られたマッサージクリームはコクがある滑らかな使用感を有しており、マッサージ効果が高く、皮膚の老化を防止し、皮膚に潤いとはり感を付与し、皮膚を滑らかにするマッサージクリームであった。
【0048】
[例20:リキッドファンデーション]
(成分) (%)
(1)ステアリン酸 2.0
(2)セタノール 0.5
(3)ベヘニルアルコール 1.0
(4)ワセリン 2.5
(5)流動パラフィン 5.0
(6)自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 1.0
(7)防腐剤 適量
(8)酸化チタン 6.0
(9)着色顔料 4.0
(10)マイカ 2.0
(11)タルク 4.0
(12)カルボキシメチルセルロース 0.2
(13)ベントナイト 0.4
(14)精製水 残量
(15)ヒトリシズカ50vol%含水エチルアルコール抽出物*1 0.5
(16)オウバク抽出物*2 0.5
(17)茶抽出物*3 0.5
(18)香料 適量
*1:例2で製造した抽出物を含有量1%となるように50vol%含水1,3−ブチレングリコールに溶解したもの
*2:丸善製薬社製
*3:丸善製薬社製
(製法)
A.成分(1)〜(7)を加熱溶解する。
B.Aに成分(8)〜(11)を加え、均一に混合し、70℃に保つ。
C.成分(12)〜(14)を加熱溶解し、70℃に保つ。
D.CにBを加えて乳化する。
E.Dを冷却後、成分(15)〜(18)を加え混合し、リキッドファンデーションを得た。
得られたリキッドファンデーションは軽やかな伸び広がりのある使用感を有しており、皮膚の老化を防止し、均一で美しい仕上がりとなるリキッドファンデーションであった。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の繊維芽細胞賦活剤、MMP活性阻害剤、I型コラーゲン産生促進剤、IV型コラーゲン産生促進剤及びエストロゲン様作用発現剤は、皮膚外用剤、食料品等の有効成分として利用することができる。特に、化粧料等の皮膚外用剤に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトリシズカ抽出物を有効成分とする繊維芽細胞賦活剤。
【請求項2】
ヒトリシズカ抽出物を有効成分とするマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)活性阻害剤。
【請求項3】
ヒトリシズカ抽出物を有効成分とするI型コラーゲン産生促進剤。
【請求項4】
ヒトリシズカ抽出物を有効成分とするIV型コラーゲン産生促進剤。
【請求項5】
ヒトリシズカ抽出物を有効成分とするエストロゲン様作用発現剤。
【請求項6】
ヒトリシズカ抽出物を有効成分として含有する抗老化用皮膚外用剤。
【請求項7】
ヒトリシズカ抽出物を供給することによって、繊維芽細胞を賦活化、MMP活性を阻害、I型コラーゲン産生を促進、IV型コラーゲン産生を促進、又はエストロゲン様作用を発現して、皮膚の老化を防止する方法(但し、人間の治療方法は除く)。

【公開番号】特開2008−88074(P2008−88074A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−268345(P2006−268345)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】