説明

皮膚外用剤組成物

【課題】pH2以上7未満の範囲で組成物の保存安定性が良好で、殺菌力及び被覆力を有する皮膚外用剤の提供。
【解決手段】殺菌剤である(C)イソプロピルメチルフェノールを含有するpH2以上7未満である皮膚外用剤組成物に、(A)金属酸化物を配合することにより、患部(皮膚変色部等)の被覆力を高め、さらに、(B)モノエステル体の割合が55〜100質量%であるショ糖脂肪酸エステルを配合することで、pH2以上7未満で、金属酸化物を安定に組成物中に分散させ、組成物の保存安定性を向上させることができた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニキビ治療薬に適した皮膚外用剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
湿疹・皮膚炎やニキビ(赤み、ざ瘡)等のように、肌の色が変化したり、肌に凹凸が生じる疾患に対し、隠したり、目立たなくさせながら治療することは、患者の精神面でのQOL(quality of life)を向上させる効果が高いことが知られている。「患部を覆い隠し、目立たなくさせながら治療する」目的で製剤を設計する際、被覆や着色のために顔料を添加する。
【0003】
金属酸化物は良好な被覆性能を有する顔料であるが、金属酸化物を含む製剤(クリーム等)においては、添加しない場合と比べpHが大幅に上昇し、目標とするpHでの製剤設計、特に酸性pHでの製剤設計が困難な状況にある。しかしながら、その様な条件下で安定な製剤設計が必要となる場合がある。例えば、細菌等の微生物はpHによりその増殖能力が変化することが知られており、この繁殖をコントロールする製剤を設計する場合等である。人間の皮膚表面には皮膚常在菌が存在し、菌の代謝により、脂肪酸を産生させることで肌表面を弱酸性〜中性(pH3〜7)に保ち、他の有害菌の繁殖を抑制させている。アルカリ等の製剤が皮膚と接触した場合、元の肌のpH(pH3〜7)に戻るには2〜4時間かかるといわれており、治療製剤において適用部位に雑菌が生える環境を数時間でも与えることは好ましくない。それゆえ、製剤を弱酸性〜中性で設計することが望ましいが、酸性pHでは金属酸化物の安定な製剤化が困難であった。
【0004】
【特許文献1】特開2005−289917号公報
【特許文献2】特開2007−45786号公報
【特許文献3】特開2000−290125号公報
【特許文献4】特開2006−256978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、pH2以上7未満の範囲で組成物の保存安定性が良好で、優れた殺菌力及び被覆力を有する皮膚外用剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、殺菌剤である(C)イソプロピルメチルフェノールを含有するpH2以上7未満である皮膚外用剤組成物に、(A)金属酸化物を配合することにより、患部(皮膚変色部等)の被覆力を高め、さらに、(B)モノエステル体の割合が55〜100質量%であるショ糖脂肪酸エステルを配合することで、pH2以上7未満で、金属酸化物を安定に組成物中に分散させ、組成物の保存安定性を向上させることができることを知見し、本発明をなすに至ったものである。また、(D)非イオン性高分子化合物又は天然由来高分子化合物、(E)ワックスを配合することにより、より組成物の保存安定性を向上できることを知見した。
【0007】
従って、本発明は下記発明を提供する。
[1].(A)金属酸化物、(B)モノエステル体の割合が55〜100質量%であるショ糖脂肪酸エステル、及び(C)イソプロピルメチルフェノールを含有し、pH2以上7未満である皮膚外用剤組成物。
[2].さらに、(D)非イオン性高分子化合物又は天然由来高分子化合物を含有する[1]記載の皮膚外用剤組成物。
[3].さらに、(E)ワックスを含有する[1]又は[2]記載の皮膚外用剤組成物。
[4].O/W型乳化物である[1]〜[3]のいずれかに記載の皮膚外用剤組成物。
[5].ニキビ治療薬である[1]〜[4]のいずれかに記載の皮膚外用剤組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、pH2以上7未満の範囲で組成物の保存安定性が良好で、優れた殺菌力及び被覆力を有する皮膚外用剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の皮膚外用剤組成物は、(A)金属酸化物、(B)モノエステル体の割合が55〜100質量%であるショ糖脂肪酸エステル、及び(C)イソプロピルメチルフェノールを含有し、pH2以上7未満のものである。
【0010】
(A)金属酸化物
金属酸化物は顔料として用いられるもので、皮膚を被覆・着色し、患部を覆い隠しながら治療することができる。金属酸化物は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。金属酸化物としては、酸化鉄(黄色三二酸化鉄、黄酸化鉄、三二酸化鉄(ベンガラ)、黒酸化鉄)、酸化クロム、二酸化チタン等の酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム等が挙げられる。被覆性能(不透明性)に効果のあるものとしては、白色顔料(二酸化チタン、酸化亜鉛)が挙げられ、効果の点から二酸化チタンがより好ましい。着色効果のある着色顔料としては、経時での色の安定性、色の染み出し、ハンドリング性等から、赤色系顔料の三二酸化鉄(ベンガラ)、黄色系顔料の黄色三二酸化鉄、黄酸化鉄、黒色系顔料の黒酸化鉄が好ましい。
【0011】
(A)成分の皮膚外用剤組成物全量に対する配合量は、それぞれ表現したい色に合わせて、適宜選択されるが、通常1〜30質量%であり、2〜15質量%が好ましく、3〜12質量%がより好ましい。特に、二酸化チタンとして1〜20質量%が好ましく、1〜9質量%がより好ましい。二酸化チタンとしての配合量が1質量%未満だと被覆効果が不十分となるおそれがあり、20質量%を超えると、組成物の保存安定性が低下するおそれがある。
【0012】
本発明の皮膚外用剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で金属酸化物以外の顔料を使用することもできる。金属酸化物以外の顔料としては、皮膚外用剤に使用できる顔料(第十五日本薬局方、医薬品添加物規格2003、日本薬局方外医薬品規格2002、医薬部外品原料規格2006等の各種公定書及び追補記載原料、医薬品添加物事典2007、香粧品原料便覧第5版記載原料等に記載されている顔料)等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。金属酸化物以外の顔料としては、例えば、タルク、カオリン、雲母(マイカ)、ケイ酸アルミニウムマグネシウム等の無機粉末、(A)成分以外の無機白色顔料、無機赤色系顔料、無機褐色系顔料、無機黄色系顔料、無機青色系顔料、無機緑色系顔料、無機紫色系顔料、無機黒色系顔料等の白色顔料及び着色顔料、パール顔料、金属粉末顔料、ポリエチレン粉末等の有機粉末、アゾ系顔料、多環式系顔料、ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ、カーボンブラック等の有機顔料等が挙げられる。中でも、無機粉末、有機粉末等が好適に用いられ、タルク、カオリン、各種雲母(マイカ)、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ポリエチレン粉末が好ましく、タルク、カオリンがより好ましい。タルク、カオリンを配合する場合、皮膚外用剤組成物全量に対する配合量は1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。ケイ酸アルミニウムマグネシウムを配合する場合は、皮膚外用剤組成物全量に対する配合量は0.1〜3質量%が好ましく、0.5〜1.0質量%がより好ましい。この範囲で、性能発現と組成物の保存安定性向上をより図ることができる。
【0013】
表1に顔料の例をまとめたものを示す。
【表1】

【0014】
(B)モノエステル体の割合が55〜100質量%であるショ糖脂肪酸エステル
ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、その炭素数が好ましくは8〜22、より好ましくは12〜20、さらに好ましくは16〜18である。構成脂肪酸の炭素数が少なすぎるとミセル形成能が低下し、増粘ゲル化による粘度安定性に影響するおそれがあり、多すぎると、融点が高くなり低温での組成物の保存安定性が低下するおそれがある。これらの脂肪酸は1種単独で又は2種以上を適宜併用してもよい。脂肪酸は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、また直鎖状脂肪酸でも分岐状脂肪酸でもよく、ヒドロキシル基等の置換基を有していてもよい。
【0015】
これらの脂肪酸として、具体的には、カプロン酸、ペラルゴン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、カプロレイン酸、ウンデシレン酸、ラウロレイン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸、エルカ酸、リシノール酸、イソヘキサン酸(イソカプロン酸)、イソヘプタン酸(イソエナント酸)、イソオクタン酸(イソカプリル酸)、イソノナン酸(イソペラルゴン酸)、イソデカン酸(イソカプリン酸)、イソウンデカン酸、イソドデカン酸(イソラウリン酸)、イソトリデカン酸(イソトリデシル酸)、イソテトラデカン酸(イソミリスチン酸)、イソペンタデカン酸(イソペンタデシル酸)、イソヘキサデカン酸(イソパルミチン酸)、イソヘプタデカン酸(イソマルガリン酸)、イソオクタデカン酸(イソステアリン酸)、イソノナデカン酸(イソノナデシル酸)、イソイコサン酸(イソアラキン酸)、ヒドロキシヘキサン酸、ヒドロキシオクタン酸、ヒドロキシデカン酸、ヒドロキシドデカン酸、ヒドロキシテトラデカン酸、ヒドロキシヘキサデカン酸、ヒドロキシオクタデカン酸、また、これらの混合物であるヤシ油脂肪酸、硬化ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、硬化パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸、長鎖分岐脂肪酸、長鎖α−ヒドロキシ脂肪酸等が挙げられる。これらは光学活性体でもラセミ体でもよく、1種単独で又は2種以上を適且組み合わせて用いることができる。中でも、ステアリン酸が好ましい。
【0016】
ショ糖脂肪酸エステルには、モノエステルの他、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、ペンタエステル、ヘキサエステル、ペプタエステル、オクタエステルまでのポリエステルが挙げられ、混合物として使用される場合が多い。本発明においては、全ショ糖脂肪酸エステル中におけるショ糖脂肪酸モノエステルの割合が55〜100質量%のものを用いる。モノエステル体の割合が55質量%未満だと、(A)成分の分散性が低下し、組成物の保存安定性を向上させることができない。上記割合は55〜80質量%が好ましく、55〜75質量%がより好ましい。モノエステル体の含量が高すぎると、ミセル形成能が低下し増粘ゲル化が必ずしも十分でなく、この範囲でより組成物の保存安定性を向上させることができる。
【0017】
(B)成分の皮膚外用剤組成物全量に対する配合量は、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜3質量%がより好ましい。0.1質量%未満だと、(A)成分の分散効果が弱くなり、組成物の保存安定性が不十分となるおそれがある。
【0018】
本発明においては、(B)モノエステル体の割合が55〜100質量%であるショ糖脂肪酸エステルと、(B´)モノエステル体の割合が35質量%以下(0〜35質量%)、好ましくは0.1〜35質量%、より好ましくは0.5〜32質量%、さらに好ましくは1〜30質量%であるショ糖脂肪酸エステルとを併用することで、さらに組成物の保存安定性を向上させることができる。ただし、併用の効果を得るためには、(A)金属酸化物と、(B´)モノエステル体の割合が35質量%以下のショ糖脂肪酸エステルとを混合した後、(B)モノエステル体の割合が55〜100質量%であるショ糖脂肪酸エステルを混合する方法で併用する必要がある。なお、(B´)成分は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0019】
(A)金属酸化物は、(B)成分である親水性の活性剤のみで安定性を確保することは可能であるが、(A)金属酸化物の表面が親水性と考えられることから、(A)金属酸化物を、親油性界面活性剤である(B´)モノエステル体の割合が35質量%以下のショ糖脂肪酸エステルで表面処理し、親油性界面活性剤である(B´)成分を顔料表面に配向させた後、親水性界面活性剤である(B)成分を混合し、(B)成分を親油性界面活性剤である(B´)の周りに配向させることにより、(A)金属酸化物周辺に活性剤を密に配向させることができ、(A)金属酸化物を安定分散させることができるものと推測される。このため、上記以外の場合、例えば、(B)成分と(B´)成分とを混合後、(A)成分を混合する場合や、(A)成分と(B)成分とを混合後に(B´)成分を混合する場合には、(B´)成分配合による組成物の保存安定性向上効果が得られないばかりか、逆に安定性が悪くなる場合もある。
【0020】
(B´)成分を配合する場合は、(B´)モノエステル体の割合が35質量%以下のショ糖脂肪酸エステルで表面処理された(A)金属酸化物と、(B)モノエステル体の割合が55〜100質量%であるショ糖脂肪酸エステル、及び(C)イソプロピルメチルフェノールを含有し、pH2以上7未満である皮膚外用剤組成物を提供することができる。なお、表面処理の方法としては、(A)金属酸化物と、(B´)モノエステル体の割合が35質量%以下のショ糖脂肪酸エステルとを混合する方法が挙げられる。好ましくは、適当な分散媒に(A)金属酸化物を分散し、これに(B´)成分を添加し処理する方法、適当な分散媒に(B´)成分を分散し、これに(A)金属酸化物を添加し処理する方法が挙げられる。分散媒としては、多価アルコール、エステル油等が挙げられ、多価アルコールが好ましい。
【0021】
(B´)成分を配合する場合、(B´)成分の皮膚外用剤組成物全量に対する配合量は、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜3質量%がより好ましい。
【0022】
(C)イソプロピルメチルフェノール
イソプロピルメチルフェノールは、湿疹・皮膚炎、ニキビ等の細菌や真菌等の菌による悪化が懸念される疾病に有効な殺菌剤である。(C)成分の皮膚外用剤組成物全量に対する配合量は、0.1〜3.0質量%が好ましく、0.3〜1.0質量%がより好ましい。0.1質量%未満だと殺菌効果が弱くなるおそれがあり、3.0質量%を超えると、皮膚刺激等のおそれがある。
【0023】
本発明の皮膚外用剤組成物には、イソプロピルメチルフェノール以外の殺菌剤を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。殺菌剤としては、例えば、フェノール、パラクロロメタクレゾール、レゾルシン、チモール、ヒノキチオール、オルトフェニルフェノール、パラクロルフェノール、ピロガロール、パラオキシ安息香酸エステル、クロルキシレノール、クロルクレゾール、クレゾール、サリチル酸又はその塩類、ヘキサクロロフィン、トリクロサン等のフェノール系殺菌剤、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化アルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルジアミノエチルグリシン、塩化メチルベンゼトニウム、塩化ラウロイルコラミノホルミルメチルピリジニウ、臭化アルキルイソキノリニウム、臭化ドミフェン、クロルヘキシジン又はその塩(塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン等)等のカチオン性殺菌剤、その他、安息香酸又はその塩類、ウンデシレン酸又はその塩類、ウンデシレン酸モノエタノールアミド、クロラミンT、クロルフェネシン、クロロブタノール、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,3−ジメチロール−5,5−ジメチルヒダントイン、ソルビン酸又はその塩類、チラム、デヒドロ酢酸又はその塩類、トリクロロカルバニリド、ハロカルバン、N,N''−メチレンビス(N'−(3−ヒドロキシメチル−2,5−ジオキソ−4−イミダゾリジニルウレア、ラウロイルサルコシンナトリウム、ジンクピリチオン、ピロクトンオラミン、ベルベリン又はその塩類、感光素201号等が挙げられる。中でも、カチオン性殺菌剤は他の原料による中和等によって効果の消失のおそれがあるため、カチオン性殺菌剤以外の殺菌剤が好ましい。さらに、安全性、有効性、製剤時のハンドリング性や溶解性、匂い等を鑑みると、パラクロロメタクレゾール、レゾルシン、チモール、ヒノキチオール、パラオキシ安息香酸エステル、トリクロサン、ジンクピリチオン、ピロクトンオラミン等が好ましい。
【0024】
(D)非イオン性高分子化合物又は天然由来高分子化合物
本発明の皮膚外用剤組成物には、組成物の保存安定性を向上させる点から、非イオン性高分子化合物又は天然由来高分子化合物を配合することが好ましい。非イオン性高分子化合物としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール等が挙げられ、天然由来高分子化合物として、アラビアガム、トラガントゴム、アルギン酸又はその塩、カラギーナン、カラヤガム、ジェランガム、寒天、キサンタンガム、グアーガム、カードラン、プルラン、ペクチン、グルコマンナン、タマリンドシードガム、タラガム、デンプン、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、ローカストビンガム、デキストランセルロース又はその誘導体、ケラチン又はその誘導体、コラーゲン又はその誘導体が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、キサンタンガムが好ましい。
【0025】
(D)成分の皮膚外用剤組成物全量に対する配合量は、0.04〜2質量%が好ましく0.05〜2質量%がより好ましく、0.1〜1.0質量%がさらに好ましい。この範囲でより組成物の保存安定性効果を得ることができ、配合量が多すぎると使用感触が悪くなるおそれがある。
【0026】
(E)ワックス
本発明の皮膚外用剤組成物には、組成物の保存安定性を向上させる点から、ワックスを配合することが好ましい。ワックスとしては、例えば、動物由来のワックスとして、ミツロウ(Bees Wax)、サラシミツロウ、ウールワックス、鯨ロウ(Spermaceti Wax:パルミチン酸セチル)、シェラック蝋、イボタロウ、植物由来のワックスとして、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モクロウ、ライスワックス(米ぬか蝋)、石油由来のワックスとして、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、鉱物由来のワックスとして、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、オイルシェル、合成系のワックスとして、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、加工ワックスとして、前述のワックスを酸化させたもの等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、サラシミツロウ、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、鯨ロウが好ましく、組成物の保存安定性の点から、サラシミツロウが好ましい。
【0027】
(E)成分の皮膚外用剤組成物全量に対する配合量は、0.1〜12質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、0.5〜5質量%がさらに好ましい。この範囲でより組成物の保存安定性効果を得ることができ、配合量が多すぎると使用感触が悪くなるおそれがある。
【0028】
本発明の皮膚外用剤組成物の25℃におけるpHは2以上7未満であり、3.0〜6.5が好ましく、より好ましくは4.0〜5.5である。この範囲で優れた殺菌効果を示し、pHが2未満だと皮膚刺激を生じ、7以上だと殺菌力が低下する。pH調整剤としては、乳酸、クエン酸、リン酸、グリコール酸、酒石酸、リンゴ酸、塩酸、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。なお、pHの測定方法は、医薬部外品原料規格2006、一般試験法 pH試験法に従い測定する。
【0029】
本発明の皮膚外用剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、皮膚外用剤組成物に一般的に配合される任意成分を配合することができる。具体的には、(C)成分以外の
有効成分、ノニオン性界面活性剤等の乳化剤、多価アルコール、エステル油、高級アルコール、香料、水等を、それぞれ1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて配合することができる。
【0030】
有効成分としてはニキビ治療薬剤が挙げられ、イブプロフェンピコノール、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム等の抗炎症剤、イオウ、サリチル等の酸角質軟化剤、レゾルシン、エタノール等の殺菌消毒剤、スルファジアジン、ホモスルファミン等のサルファー剤、ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン等の抗ヒスタミン剤、グリセリン局所保護剤が挙げられる。(A)成分の酸化亜鉛等は収斂保護剤の効果を有する。中でも、ニキビに対しての治療効果の高い、イブプロフェンピコノール、イオウが好ましいが、イオウはニオイがきつく、顔に使用する場面が多いニキビ治療薬の場合、ニオイがほとんどないイブプロフェンピコノールがより好ましい。ニキビ治療薬剤の皮膚外用剤組成物全量に対する配合量は、それぞれの有効性により異なるが、0.05〜5質量%が好ましい。0.05質量%未満では有効性が不十分となるおそれがある。
【0031】
ノニオン性界面活性剤としては、(B)及び(B´)成分以外で、通常の皮膚外用剤に用いられるものであれば特に制限されず、例えば、ポリオキシアルキレン付加型、モノ又はジエタノールアミド型、糖系、アミンオキシド系、グリセリン系等が挙げられる。ポリオキシアルキレン付加型としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレンラウリルエーテル等が挙げられる。モノ又はジエタノールアミド型としては、ラウリン酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、N−ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド等が挙げられる。糖系としては、糖アミド系、ソルビタン脂肪酸エステル系等が挙げられる。アミンオキシド系としては、アシル第3級アミンオキサイドであるラウリルジメチルアミンオキサイド等、アシル第3級ホスフォンオキサイドであるラウリルジメチルホスフォンオキサイド等が挙げられる。グリセリン系としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。中でも、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルが好ましく、中でも、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸ポリエチレングリコールがより好ましい。ノニオン性界面活性剤の皮膚外用剤組成物全量に対する配合量は、0.05〜5質量%が好ましい。0.05質量%未満では、乳化安定性が悪くなるおそれがあり、5質量%を超えると塗布した際にべたつき等が生じるおそれがある。
【0032】
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン、1,3−ブチレングリコール、トリメチロールプロパン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グルコース、マンノース、ガラクトース、ショ糖、フルクトース、マルトース、マルチトール、キシリトール、イノシトール、ソルビタン、ソルビトール等やこれらの多価アルコールのEO付加物が挙げられる。中でも、しっとり感・保湿の点からプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン、1,3−ブチレングリコール、ソルビトールが好ましい。多価アルコールの皮膚外用剤組成物全量に対する配合量は、1〜20質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましい。1質量%未満だとしっとり感・保湿効果が不十分となるおそれがあり、20質量%を超えるとべたつきを生じるおそれがある。
【0033】
エステル油としては、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、オクタン酸セチル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸セトステアリル、オクタン酸イソステアリル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸エチルヘキシル、イソパルミチン酸オクチル、エチルヘキサン酸セチル、ステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、セバシン酸ジエチル、アセチルリシノレイン酸ラノリンアルコール、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、トリカプリル酸グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、トリオキシステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリベヘン酸グリセリル、トリラノリン脂肪酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジノナン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジステアリン酸プロピレングリコール、ジイソステアリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール等が挙げられる。
【0034】
高級アルコールは一般式ROHで表わされ(式中、Rは炭素数6〜40の飽和又は不飽和の一価炭化水素基であり、直鎖又は分岐鎖のいずれでもよく、水酸基の一部又は全部が水酸基で置換されていてもよい。)、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。具体的には、カプロイルアルコール、カプリリルアルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ヘキシルデカノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、アラキニルアルコール、ベヘニルアルコール、デシルテトラデカノール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、リノレイルアルノール、2−エチルヘキシルアルコール、イソノニルアルコール、3,5,5−トリメチルヘキシルアルコール、イソデシルアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヤシアルコール、パームカーネルアルコール、パームアルコール、オリーブアルコール、大豆アルコール、菜種アルコール、サフラワーアルコール、トウモロコシアルコール、綿実アルコール、ひまわりアルコール、米糠アルコール、亜麻仁アルコール、牛脂アルコール、豚脂アルコール、鶏脂アルコール、魚油アルコール等が挙げられる。中でも、組成物の保存安定性の点から、上記Rが炭素数8〜22のアルコールが好ましく、中でもRが炭素数16〜22のアルコール(セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等)がより好ましい。高級アルコールの皮膚外用剤組成物全量に対する配合量は、1〜20質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましい。この範囲でより組成物の保存安定性が向上し、20質量%を超えると、べたつきを生じるおそれがある。
【0035】
その他の任意成分として、例えば、シリコーン類、エーテル油、アルコール類、ラノリン誘導体、無機塩類、有機塩類、蛋白誘導体、アクリル樹脂分散液、ビタミン等の薬剤、防腐剤、粘度調整剤、BHTやα−トコフェロール等の酸化防止剤、エチレングリコールジ脂肪酸エステル等のパール化剤、乳濁剤、キレート剤、紫外線吸収剤、保湿剤、トニック剤、可溶化剤、動植物抽出物又はその誘導体、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ハイドロトロープ、揮発性油分、疎水性溶媒、希釈性溶媒、色素、香料、粘土鉱物、ナイロン、ポリエチレン等の水不溶性ポリマー粉体等が挙げられる。なお、これら任意成分の配合量は、本発明の効果を損なわない範囲で通常量配合することができる。
【0036】
香料として使用される香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals」,Vol.I and II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)及び「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)及び「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin 」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)及び「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)及び「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)及び「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等で見られ、それぞれを引用することにより本明細書の開示の一部とされる。香料用溶剤としては、エタノール、ベンジルベンゾエート、アセチン(トリアセチン)、MMBアセテート(3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート)、エチレングリコールジブチレート、ヘキシレングリコール、ジブチルセバケート、デルチールエキストラ(イソプロピルミリステート)、メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)、カルビトール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、TEG(トリエチレングリコール)、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、トリプロピレングリコール、アボリン(ジメチルフタレート)、デルチルプライム(イソプロピルパルミテート)、ジプロピレングリコールDPG−FC(ジプロピレングリコール)、ファルネセン、ジオクチルアジペート、トリブチリン(グリセリルトリブタノエート)、ヒドロライト−5(1,2−ペンタンジオール)、プロピレングリコールジアセテート、セチルアセテート(ヘキサデシルアセテート)、エチルアビエテート、アバリン(メチルアビエテート)、シトロフレックスA−2(アセチルトリエチルシトレート)、シトロフレックスA−4(トリブチルアセチルシトレート)、シトロフレックスNo.2(トリエチルシトレート)、シトロフレックスNo.4(トリブチルシトレート)、ドゥラフィックス(メチルジヒドロアビエテート)、MITD(イソトリデシルミリステート)、ポリリモネン(リモネンポリマー)、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。香料組成物は、香料、香料用溶剤及び香料安定化剤から構成されるが、香料用溶剤は、香料組成物中に0.1〜99質量%配合され、好ましくは、0.1〜10質量%配合される。香料安定化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンEとその誘導体、カテキン化合物、フラボノイド化合物、ポリフェノール化合物等が挙げられ、香料組成物中に0.0001〜10質量%配合され、好ましくは、0.001〜5質量%配合される。これらの中で、好ましい安定化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエンが挙げられる。
【0037】
皮膚外用剤組成物の剤型は特に限定されず、乳化物、ゲル、液体等が挙げられる。中でも乳化物が好ましく、より好ましくはO/W型乳化物が好ましい。また、本発明の皮膚外用剤組成物は優れた殺菌力を有するため、ニキビ治療薬、湿疹治療薬に好適であり、特にニキビ治療薬として好適である。
【0038】
本発明の皮膚外用剤組成物は、例えば下記(I)の方法で得ることができる。
(I).(A)成分を多価アルコールに分散させた(A)成分分散液を得る。別途(B)成分を含有する水相(必要に応じて(D)成分を含有する)、及び(C)成分を含有する油相(必要に応じて(E)成分を含有する)を調製する。上記水相65〜75℃に上記(A)成分分散液65〜75℃を加え、(A)成分分散液を含む水相を得る。この(A)成分分散液を含む水相に、75〜85℃で加温溶解させた上記油相を、水相を撹拌しながら添加し、O/W型乳化物を得る。このO/W型乳化物を30℃以下に冷却し、皮膚外用剤組成物を得る。
【0039】
(B´)成分を含む場合は、例えば下記(II)の方法で得ることができる。
(II).(A)成分を分散媒に分散させた(A)成分分散液を得る。この(A)成分分散液に(B´)成分を添加し、(A)+(B´)成分を分散媒に分散させた(A)+(B´)分散液を得、上記(B´)成分で表面処理された(A)成分を調製する。別途(B)成分を含有する水相(必要に応じて(D)成分を含有する)、及び(C)成分を含有する油相(必要に応じて(E)成分を含有する)を調製する。上記水相に上記(A)+(B´)分散液(好ましくは65〜75℃)を加え、(A)+(B´)分散液を含む水相を得る。この分散液を含む水相(好ましくは65〜75℃)に上記油相(好ましくは75〜85℃)を添加してO/W型乳化物を得る。分散媒としては、多価アルコール、エステル油等が挙げられ、多価アルコールが好ましい。また、(B´)成分を分散媒に分散させた(B´)成分分散液に、(A)成分を添加し、(A)+(B´)分散液を得てもよい。
【実施例】
【0040】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%を示す。
【0041】
[実施例1〜41、比較例1〜5]
表2〜7に示す成分を配合し、表中に示す(I)又は(II)の下記製造方法で皮膚外用剤組成物(ニキビ治療薬)を調製した。なお、下記(I)又は(II)記載の方法は、実施例1(II)、実施例16(I)の方法を具体的に記載したもので、他の実施例及び比較例は、(I)又は(II)の記載に準じて調製した。得られた皮膚外用剤組成物について、下記評価を行った。結果を表中に併記する。
【0042】
(I)(実施例16)
(1)顔料分散液の調製
金属酸化物(A)に1,3−ブチレングリコールの一部を加え、混練したものを3本ロールミルにて粉砕する(パス回数3回)、これにタルク、カオリンを加え、残りの1,3−ブチレングリコール添加し分散させ、70℃に加温した((A)成分分散液)。
(2)水相の調製
キサンタンガム(D)及びケイ酸アルミニウムマグネシウムを水にて膨潤させ、そこに、ショ糖ステアリン酸エステル(B)、エデト酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸メチルを添加し、70℃に加温した後、乳酸及び(1)で調製した(A)成分分散液を加え分散させ、水相を調製した。
(3)油相の調製
油溶性成分(イソプロピルメチルフェノール(C)、サラシミツロウ(E)、イブプロフェンピコノール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール、セタノール、流動パラフィン、シリコーン、ソルビタン脂肪酸エステル、モノステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40EO))を順次配合し、80℃で加温溶解させ、油相を調製した。
(4)乳化
(2)で調製した水相をホモジナイザーにて撹拌しながら(3)で調製した油相を加えていき、加え終わって5分程そのまま撹拌させ、O/W型乳化物を得た。
(5)その後冷却し、O/W型乳化物が40℃以下になったところで、香料を加え、さらに30℃以下まで冷却し、乳酸によりpHを4.8に調整し、皮膚外用剤組成物を得た。
【0043】
(II)(実施例1)
(1)顔料分散液の調製
金属酸化物(A)に1,3−ブチレングリコールの一部を加え、混練したものを3本ロールミルにて粉砕する(パス回数3回)、これにタルク、カオリン、ショ糖ステアリン酸エステル(モノ30%)(B´)を加え、残りの1,3−ブチレングリコール添加して分散させ、70℃に加温した((A)+(B´)成分分散液)。
(2)水相の調製
キサンタンガム(D)及びケイ酸アルミニウムマグネシウムを水にて膨潤させ、そこに、ショ糖ステアリン酸エステル(モノ75%)(B)、エデト酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸メチルを添加し、70℃に加温した後、乳酸及び(1)で調製した(A)+(B´)成分分散液を加え分散させ、水相を調製した。
(3)油相の調製
油溶性成分(イソプロピルメチルフェノール(C)、サラシミツロウ(E)、イブプロフェンピコノール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール、セタノール、流動パラフィン、シリコーン、ソルビタン脂肪酸エステル、モノステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40EO)を順次配合し、80℃で加温溶解させ、油相を調製した。
(4)乳化
(2)で調製した水相をホモジナイザーにて撹拌しながら(3)で調製した油相を加えていき、加え終わって5分程そのまま撹拌させ、O/W型乳化物を得た。
(5)その後冷却し、O/W型乳化物が40℃以下になったところで、香料を加え、さらに30℃以下まで冷却し、乳酸によりpHを4.8に調整し、皮膚外用剤組成物を得た。
【0044】
<pH測定法>
医薬部外品原料規格2006、一般試験法 pH試験法に従い測定した。
【0045】
<保存安定性>
皮膚外用剤組成物50gを50mLのガラス瓶につめ、40℃・3ヶ月保存後の安定性を、下記評価基準に基づき評価した。
[評価基準]
A:まったく問題ない(分離していない)
B:やや減粘がみられるが問題ない(分離していない)
C:減粘がみられるが問題ない(分離していない)
D:上層又は下層に若干の分離がみられる
E:あきらかな分離が確認される
【0046】
<殺菌力>
カップ法による評価
供試菌:P.acnes JCM6473及び、S.haemolyticus
培地及び培養条件:P.acnes(変法GAM寒天培地、嫌気培養)、S.haemolyticus(変法GAM寒天培地、通常培養)
培地上にコンラージ棒にて均一に供試菌を塗布した上に外径8mm、内径6mmステンレスカップ(筒状)をのせ、筒内に皮膚外用剤組成物1mLを注射筒で0.2mL目盛り分加え、32℃・3日間嫌気培養したときの阻止円を測定した。結果を、下記評価基準に基づいて示した。
[評価基準]
A:上記菌共に阻止円の大きさが10mm以上
B:上記菌共に阻止円の大きさが5mm以上10mm未満
C:上記菌共に阻止円が確認される
D:上記菌いずれかの阻止円が確認される
E:上記菌共に阻止円が確認されない
【0047】
<皮膚刺激>
評価パネラー20名に、得られた皮膚外用組成物を上腕内側部に1×1cm四方の部分に0.2g塗り、その上から擦れたり、水等で洗い落ちたりしないよう、評価部に不織布をつけ、その上から透明フィルム(ニチバンカリテープ No.0811)をし、24時間後に、下記皮膚刺激評点に基づき皮膚刺激を評価した。結果を、20名の平均値から、下記評価基準に基づいて示した。
[皮膚刺激評点]
4点:刺激性がない
3点:刺激性がほとんどない
2点:刺激性がややある
1点:刺激性が明らかにある
[評価基準]
A:3.8点以上
B:3.5点以上〜3.8点未満
C:3.0点以上〜3.5点未満
D:2.0点以上〜3.0点未満
E:2.0点未満
【0048】
<被覆力>
パネラー20名が、下記被覆力評点に基づき被覆力を官能評価した。結果を、20名の平均値から、下記評価基準に基づいて示した。
[被覆力評点]
7点:非常に良い
6点:かなり良い
5点:やや良い
4点:どちらともいえない
3点:やや悪い
2点:かなり悪い
1点:非常に悪い
[評価基準]
A:5.5点以上
B:5.0点以上〜5.5点未満
C:4.5点以上〜5.0点未満
D:3.0点以上〜4.5点未満
E:3.0点未満
【0049】
<使用感>
パネラー20名が、下記使用感評点に基づき使用感を官能評価した。結果を20名の平均値から、下記評価基準に基づいて示した。
[使用感評点]
7点:非常に良い
6点:かなり良い
5点:やや良い
4点:どちらともいえない
3点:やや悪い
2点:かなり悪い
1点:非常に悪い
[評価基準]
A:5.5点以上
B:5.0点以上〜5.5点未満
C:4.5点以上〜5.0点未満
D:3.0点以上〜4.5点未満
E:3.0点未満
【0050】
【表2】

【0051】
【表3】

【0052】
【表4】

【0053】
【表5】

【0054】
【表6】

【0055】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)金属酸化物、(B)モノエステル体の割合が55〜100質量%であるショ糖脂肪酸エステル、及び(C)イソプロピルメチルフェノールを含有し、pH2以上7未満である皮膚外用剤組成物。
【請求項2】
さらに、(D)非イオン性高分子化合物又は天然由来高分子化合物を含有する請求項1記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項3】
さらに、(E)ワックスを含有する請求項1又は2記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項4】
O/W型乳化物である請求項1〜3のいずれか1項記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項5】
ニキビ治療薬である請求項1〜4のいずれか1項記載の皮膚外用剤組成物。

【公開番号】特開2009−149568(P2009−149568A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−329604(P2007−329604)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】