説明

皮膚洗浄料

【課題】高級脂肪酸塩が配合された皮膚洗浄料において、泡質がクリーミーで、低温保存安定性に優れ、低温保存時の析出が抑制されてフォーマー容器に充填した場合に吐出性が良好で、さらに水分蒸散量が抑制され、敏感な肌に対してもマイルドな皮膚洗浄料を提供する。
【解決手段】(A)下記一般式(1)
1COOM (1)
(式中、R1は炭素数5〜21の一価炭化水素基を示し、Mはアルカリ金属、又は置換もしくは非置換のアンモニウムを示す。)
で表される脂肪酸塩であって、(一般式(1)のR1が炭素数11以下の一価炭化水素基である脂肪酸塩)/(一般式(1)のR1が炭素数13以上の一価炭化水素基である脂肪酸塩)で表される質量比が1.4〜2.8である脂肪酸塩と、
(B)両性界面活性剤と、
(C)N−アシル−N−メチルアミノ酸塩と
を含有する皮膚洗浄料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高級脂肪酸塩が配合された皮膚洗浄料に関し、より具体的には、泡質がクリーミーで、低温保存安定性に優れ、低温保存時の析出が抑制されてフォーマー容器に充填した場合に吐出性が良好で、さらに経皮水分蒸散量が抑制され、敏感な肌に対してもマイルドな皮膚洗浄料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、洗顔剤等の皮膚洗浄剤には、洗浄主成分として、高級脂肪酸塩、LES、MAP及びアミノ酸系界面活性剤等が知られているが、使用感やきめ細かな泡質、洗浄力等で高級脂肪酸塩が多く使用されている。
【0003】
しかしながら、高級脂肪酸塩を用いると、泡質(クリーミー性)に劣るという問題点や、結晶析出が発生し易く、フォーマー容器に充填した場合には、容器からの吐出性が悪くなる等の問題点があった。以上のことから、高級脂肪酸塩が配合された皮膚洗浄料において、泡質がクリーミーで、低温保存安定性に優れ、低温保存時の析出が抑制されてフォーマー容器に充填した場合に吐出性が良好で、さらに経皮水分蒸散量が抑制され、敏感な肌に対してもマイルドなものが望まれていた。なお、本発明に関連する先行技術文献としては下記が挙げられる。
【0004】
【特許文献1】特開2006−183039号公報
【特許文献2】特開2005−154651号公報
【特許文献3】特開2005−187411号公報
【特許文献4】特開平1−238521号公報
【特許文献5】特開平9−67591号公報
【特許文献6】特開2000−160470号公報
【特許文献7】特開平8−27481号公報
【特許文献8】特開平11−209799号公報
【特許文献9】特開2005−350438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、高級脂肪酸塩が配合された皮膚洗浄料において、泡質がクリーミーで、低温保存安定性に優れ、低温保存時の析出が抑制されてフォーマー容器に充填した場合に吐出性が良好で、さらに経皮水分蒸散量が抑制され、敏感な肌に対してもマイルドな皮膚洗浄料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、(A)下記一般式(1)脂肪酸塩と、(B)両性界面活性剤と、(C)N−アシル−N−メチルアミノ酸塩とを組み合わせ、(A)成分中の脂肪酸における特定の炭素数を有する脂肪酸を特定比率にすることで、泡質がクリーミーで、低温保存安定性に優れ、低温保存時の析出が抑制されてフォーマー容器に充填した場合に吐出性が良好で、さらに経皮水分蒸散量が抑制され、敏感な肌に対してもマイルドな皮膚洗浄料が得られることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0007】
従って、本発明は、
[1].(A)下記一般式(1)
1COOM (1)
(式中、R1は炭素数5〜21の一価炭化水素基を示し、Mはアルカリ金属、又は置換もしくは非置換のアンモニウムを示す。)
で表される脂肪酸塩であって、(一般式(1)のR1が炭素数11以下の一価炭化水素基である脂肪酸塩)/(一般式(1)のR1が炭素数13以上の一価炭化水素基である脂肪酸塩)で表される質量比が1.4〜2.8である脂肪酸塩と、
(B)両性界面活性剤と、
(C)N−アシル−N−メチルアミノ酸塩と
を含有する皮膚洗浄料、
[2].(A)成分の含有量が1〜5質量%、(B)成分の含有量が1.5〜3質量%、(C)成分の含有量が0.3〜1.5質量%である[1]記載の皮膚洗浄料、
[3].フォーマー容器充填用である[1]又は[2]記載の皮膚洗浄料を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高級脂肪酸塩が配合された皮膚洗浄料において、泡質がクリーミーで、低温保存安定性に優れ、低温保存時の析出が抑制されてフォーマー容器に充填した場合に吐出性が良好で、さらに経皮水分蒸散量が抑制され、敏感な肌に対してもマイルドな皮膚洗浄料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の(A)成分は、下記一般式(1)
1COOM (1)
(式中、R1は炭素数5〜21の一価炭化水素基を示し、Mはアルカリ金属、又は置換もしくは非置換のアンモニウムを示す。)
で表される脂肪酸塩であり、2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0010】
1は炭素数5〜21の一価炭化水素基を示し、直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基等が挙げられる。Mはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、又は置換もしくは非置換のアンモニウムを示し、置換のアンモニウムとしてはアミンが挙げられ、具体的には、一級アミン、二級アミン、三級アミン等のアルキルアンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のヒドロキシアルキルアンモニウム等が挙げられる。
【0011】
一般式(1)のR1が炭素数11以下の一価炭化水素基である脂肪酸塩としては、カプロン酸塩、カプリル酸塩、カプリン酸、ラウリン酸塩等が挙げられ、カプリル酸塩、ラウリン酸塩が好ましい。
【0012】
一般式(1)のR1が炭素数13以上の一価炭化水素基である脂肪酸塩としては、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、オレイン酸塩、リノール酸塩、イソステアリン酸塩等が挙げられ、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、オレイン酸塩が好ましい。なお、一般式(1)のR1が炭素数12の一価炭化水素基である脂肪酸塩を含んでいてもよく、脂肪酸塩は常法により得られた脂肪酸塩をそのまま配合してもよく、皮膚洗浄料中に脂肪酸とアルカリとをそれぞれ別々に配合して中和させてもよい。
【0013】
(一般式(1)のR1が炭素数11以下の一価炭化水素基である脂肪酸塩)/(一般式(1)のR1が炭素数13以上の一価炭化水素基である脂肪酸塩)で表される質量比(以下、C11以下/C13以上と略す場合がある)が1.4〜2.8であり、好ましくは1.5〜2.5である。R1が炭素数11以下の一価炭化水素基である脂肪酸塩が多く、その質量比が2.8を超えると、肌に対するマイルド性が弱くなり、泡のクリーミー性が低下する。また、R1が炭素数13以上の一価炭化水素基である脂肪酸塩が多く、その質量比が1.4未満では、低温保存時の析出抑制効果が劣る。なお、上記数値は小数点第2を四捨五入したものである。
【0014】
(A)成分の配合量は、皮膚洗浄料に対して1〜5質量%が好ましく、より好ましくは2.5〜4.5質量%である。配合量が1質量%未満では泡質(クリーミー性)が悪くなる場合があり、5質量%を超えると肌に対するマイルド性が弱くなる場合がある。
【0015】
本発明の(B)成分は両性界面活性剤であり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。(B)成分は(A)脂肪酸塩の低温での溶解度を向上させ、結晶析出を抑制し、泡質も良好になる。
【0016】
(B)成分の配合量は、皮膚洗浄料に対して1.5〜3質量%が好ましく、より好ましくは1.5〜2.5質量%である。配合量が1.5質量%未満では泡質(クリーミー性)が悪くなる場合があり、3質量%を超えると、泡立ちや泡の持続性が悪くなる場合があり、ぬるつき、使用感が悪くなる場合がある。
【0017】
両性界面活性剤としては、イミダゾリン型(アミドアミン型)、アミドアミノ酸塩、カルボベタイン型(アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン)、スルホベタイン型(アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン)等が挙げられる。
【0018】
イミダゾリン型として、ステアロイルアミドアミン、ヤシ油アルキル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等、アルキルベタインとして、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等、アルキルアミドベタインとして、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピル酢酸ベタイン、ラウロイルアミドプロピルベタイン等、アルキルスルホベタインとして、ヤシ油脂肪酸ジメチルスルホプロピルベタイン等、アルキルヒドロキシスルホベタインとして、ラウリルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、スルホベタイン型として、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられるが、好ましくは、カルボベタイン型である。
【0019】
本発明の(C)成分はN−アシル−N−メチルアミノ酸塩であり1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。具体的には、N−ラウロイル−N−メチル−β−アラニン塩、N−ラウロイル−N−メチル−グリシン塩、N−ラウロイル−N−メチル−タウリン塩、N−ココイル−N−メチル−タウリン塩等が挙げられ、脂肪酸塩、特にラウリン酸(C12)以下のアルキル鎖長の脂肪酸塩を多く含む場合に、肌に対するマイルド効果がある。塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、又は置換もしくは非置換のアンモニウム塩等が挙げられる。この中でもN−ラウロイル−N−メチル−βアラニン塩が好ましい。
【0020】
(C)成分の配合量は0.3〜1.5質量%であり、好ましくは0.5〜1.0質量%である。配合量が0.3質量%未満では、肌に対するマイルド性が弱くなる場合があり、1.5質量%を超えると、泡質(クリーミー性)が悪くなる場合がある。
【0021】
本発明の皮膚洗浄料には本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分を配合することができる。任意成分としては、皮膚洗浄料に通常用いられているものの中から適宜選択することができ、例えば、油分、シリコーン類、低級又は高級アルコール等のアルコール類、ラノリン誘導体、蛋白誘導体、アクリル樹脂分散液、ビタミン等の薬剤、殺菌剤、防腐剤、pH調整剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、紫外線吸収剤、動植物抽出物又はその誘導体、色素、香料、顔料、無機粉体、粘土鉱物、ナイロン、ポリエチレン等の水不溶性ポリマー粉体、プロピレングリコール、エタノール、グリセリン、水等が挙げられる。
【0022】
本発明の皮膚洗浄料の容器は特に限定されないが、皮膚洗浄料中の低温での析出が抑制されることから、皮膚洗浄料を泡状に吐出させるフォーマー容器充填用として好適であり、フォーマー容器充填用皮膚洗浄料、皮膚洗浄料をフォーマー容器に充填してなる皮膚洗浄料製品、フォーマー容器と、このフォーマー容器に充填されてなる皮膚洗浄料とからなる液体洗浄剤製品とすることが好ましい。
【0023】
フォーマー容器としては、ノンガス型の泡吐出容器が挙げられ、ノンガス型の泡吐出容器としては、皮膚洗浄料を空気と混合して発泡状態で吐出できるものであれば特に限定されず、例えば、ボトル胴部を手で圧搾することによって泡を吐出できるスクイズフォーマー容器、ノズル部を押し下げることによって泡を吐出できるポンプフォーマー容器等が挙げられ、目的に応じて適宜選択することができる。このようなフォーマー容器は、大和製罐(株)製、(株)吉野工業所製等を使用することができる。
【0024】
ノンガス型の泡吐出容器は、通常、泡を形成するための多孔質膜体(材質はナイロン、ポリエステル、ポリオレフィン等のプラスチック材料が好ましい)を有し、皮膚洗浄料が該多孔質膜体を通過することにより泡が形成されるものである。この多孔質膜体のメッシュとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、100メッシュ以上が好ましく、より好ましくは100〜400メッシュであり、さらに好ましくは200〜350メッシュが特に好ましい。
【0025】
また、多孔質膜体の枚数としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、泡性能を向上させる観点から2枚以上が好ましい。より具体的には、特開平7−315463号公報、特開平8−230961号公報、及び特開2005−193972号公報に記載されたフォーマー容器を好適に使用することができる。
【0026】
皮膚洗浄料の性状としては常温で液体状が好ましい。また、フォーマー容器を使用する際、例えば、ノズル部を押し下げることによって泡を吐出できるポンプフォーマー容器と200メッシュ2枚使用する際において、使用する温度条件下で該皮膚洗浄剤組成物の粘度が15mPa・s以下が好ましく、10mPa・s以下が好ましい。皮膚洗浄料は低温下で増粘する傾向にあるが、冬季等で通常に想定される低温下でも問題なく泡として吐出し使用するためには、冬季等の低温下と同じ条件下、例えば5℃においても15mPa・s以下が好ましく、より好ましくは1mPa・s〜10mPa・sである。なお、粘度の測定法はBL型粘度計(ローターNo.1,60ppm,1分後/東京計器(株)製)による。また、本発明の皮膚洗浄料のpH(25℃)は9.0〜11.0が好ましい。
【0027】
皮膚洗浄料としては特に限定されず、洗顔料、ハンドソープ、ボディソープ等にすることができる。また、本発明の皮膚洗浄料は敏感な肌に対してもマイルドである点から、敏感肌用としても好適である。
【0028】
本発明の皮膚洗浄料の製造方法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、上記(A)〜(C)成分、任意成分、及び水(皮膚洗浄料の全体が100質量%となるように残部配合)を混合して得ることができる。また、皮膚洗浄料を調製する装置としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、この中でも剪断力と全体混合できる複数の攪拌羽根(プロペラ、タービン、ディスパー等)を備えた攪拌装置が好ましい。なお、(A)〜(C)成分及び任意成分は、それぞれ単独で使用してもよく、各成分を含む混合物を使用してもよい。
【実施例】
【0029】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%、比率は質量比を示し、表中の各成分の量は純分換算した量である。
【0030】
[実施例1〜12、及び比較例1〜4]
表1〜3に示す組成の皮膚洗浄料を常法に準じて調製し、ディスペンサーを有する容量500mLのポンプ容器に400mL充填した。また、容量500mLのポンプフォーマー容器(200メッシュ2枚使用)に400mL充填し、ノンエアゾール型泡状皮膚洗浄料を得た。
得られた皮膚洗浄料について下記評価を行った。結果を表中に併記する。
【0031】
低温安定性
皮膚洗浄料を初期値pH10.6(pHメーター:HM−30G/東亜電波工業(株)製で測定)に調整し、この調整した皮膚洗浄料に炭酸ガスを吸収させ、pHを9.6に調整した後、硬質透明ガラス瓶50mLに充填し、5℃に1週間保存して、下記の基準で評価した。
<評価基準>
◎:外観が透明で析出物なし
○:ごく微かに濁っているが析出物なし
△:やや白濁し、析出物が少しある
×:析出物が多く認められる
【0032】
泡質のクリーミー性
皮膚洗浄料約3gを40℃の水道水で濡らしたナイロンタオルに採り、腕を洗浄する時の泡のクリーミー性を評価した。パネラーは評価精度の高い専門パネラー10名で行い、下記の基準に基づいて採点し、結果を平均値で示した。
<評価基準>
7:非常にクリーミー性が高い
6:かなりクリーミー性が高い
5:ややクリーミー性が高い
4:クリーミー性が高くも低くもない
3:クリーミー性がやや低い
2:クリーミー性がかなり低い
1:クリーミー性が非常に低い
【0033】
ポンプフォーマー容器からの吐出性
ノンエアゾール型泡状皮膚洗浄料を5℃に1週間保存したのち、5℃の条件において容器から吐出させる操作を300回繰返し、下記評価基準に基づいてポンプの目詰まり性、吐出性を評価した。評価は5つのサンプルについて行い、結果はその平均値で示した。
<評価基準>
5:ポンプの目詰まりがなく、泡の吐出が容易にできる
4:部分的な目詰まりにより、泡を吐出するためにわずかに力を要するが、品質上問題ない
3:部分的な目詰まりにより、泡を吐出するために力を要するが、品質上問題ない
2:部分的な目詰まりにより、泡を吐出するために強い力を要し、品質上問題がある
1:ポンプの目詰まりにより、泡の吐出ができない
【0034】
経皮水分蒸散量の減少
皮膚洗浄料によって皮膚保護成分が過剰に除去されると経皮水分蒸散量が増加することが知られている。皮膚のバリア機能が低下し経皮水分蒸散量が増進すると、洗浄後のヒリヒリ感やむず痒さ等の刺激感を感じることがある。そこで、皮膚洗浄料3gで30歳代男性パネラー4名が上腕内側部を1分間洗浄し、温度20℃、湿度40%の環境下で30分間順化した後、経皮水分蒸散量測定装置(AS−TW2 ASAHI BIOMED社製)にて各腕につき5回ずつ経皮水分蒸散量の測定を行った。5回の平均値につき、洗浄前の経皮水分蒸散量値を100とした場合の洗浄後の減少率(%)を下記式に基づいて算出し、4名の平均値から、経皮水分蒸散量(皮膚バリア)の減少を評価した。結果を下記評価基準に基づいて示す。
減少率(%)=[洗浄前の水分蒸散量(5回の平均値)−洗浄後の水分蒸散量(5回の平均値)]/洗浄前の水分蒸散量(5回の平均値)×100
洗浄前に比べ経皮水分蒸散量(皮膚バリア)の減少率が低い(評価基準値が高い)皮膚洗浄料は、肌に対してマイルドな洗浄料であるといえる。
<評価基準>
5:減少率が0%以下
4:減少率が1〜20%
3:減少率が21〜40%
2:減少率が41〜60%
1:減少率が61%以上
【0035】
官能評価による肌に対するマイルド性
敏感肌女性10名(専門パネラー)が皮膚洗浄料で皮膚を洗浄後、ヒリヒリ感やむず痒さ等の刺激感について官能評価した。下記基準にて評価し、結果を10名の平均値で示した。
<評価基準>
4点:全く刺激感がない
3点:僅かに刺激感がある
2点:やや刺激感がある
1点:強い刺激感がある
【0036】
粘度
BL型粘度計(ローターNo.1,60ppm,1分後/東京計器(株)製)、5℃で測定した。
【0037】
【表1】

【0038】
【表2】

【0039】
【表3】

【0040】
[実施例13]
抗炎症剤配合液体洗浄剤組成物
以下に示す配合組成の抗炎症剤配合液体洗浄剤組成物を常法により調製した。
質量%
ラウリン酸カリウム 2.00
カプリン酸カリウム 0.50
ミリスチン酸カリウム 1.00
パルミチン酸カリウム 0.50
N−ラウロイル−N−メチル−βアラニンカリウム 1.5
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 3.00
POE(10)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド 1.00
プロピレングリコール 8.00
1,3−ブチレングリコール 2.00
ソルビトール 0.50
アクリル酸アルキル共重合体エマルション 0.02
シリコーンエマルジョン 0.10
スチレン重合体エマルジョン 0.10
エデト酸四ナトリウム四水塩 0.20
グリチルリチン酸ジカリウム 0.20
香料 1.00
青色1号 0.00015
黄色4号 0.0001
水酸化カリウム pH10.0に調整量
精製水 残量
合計 100.00
脂肪酸塩の比率(C11以下/C13以上)=1.7
【0041】
[実施例14]
デオドラント及び殺菌用泡状洗浄剤組成物
以下に示す配合組成のデオドラント及び殺菌用泡状洗浄剤組成物を常法により調製した。
質量%
ラウリン酸カリウム 3.00
ミリスチン酸カリウム 1.00
パルミチン酸カリウム 0.50
N−ラウロイル−N−メチル−βアラニンカリウム 0.30
ラウリン酸アミドプロピルベタイン 2.00
ラウリルジメチルアミンオキシド 1.00
ジプロピレングリコール 15.00
1,3−ブチレングリコール 4.00
カチオン化セルロース 0.05
エタノール 2.00
イソプロピルメチルフェノール 0.10
ピロクトンオラミン 0.10
L−メントール 0.30
香料 1.00
青色1号 0.0001
水酸化カリウム pH10.0に調整量
精製水 残量
合計 100.00
脂肪酸塩の比率(C11以下/C13以上)=2.0
【0042】
[実施例15]
ベビー用マイルド液体洗浄剤組成物
以下に示す配合組成のベビー用マイルド液体洗浄剤組成物を常法により調製した。
質量%
ラウリン酸カリウム 3.00
ミリスチン酸カリウム 1.00
パルミチン酸カリウム 0.50
N−ラウロイル−N−メチル−βアラニンカリウム 0.30
ラウリン酸アミドプロピルベタイン 3.00
N−ラウロイル−L−グルタミン酸カリウム 5.00
モノ−N−ラウリルリンゴ酸アミド 1.00
ラウリルジメチルアミンオキシド 1.00
ローズマリーエキス 1.00
ホホバ油 0.50
香料 0.10
水酸化カリウム pH9.00に調整量
精製水 残量
合計 100.00
脂肪酸塩の比率(C11以下/C13以上)=2.0
【0043】
上記実施例13〜15の洗浄剤組成物は、泡質がクリーミーで、低温保存安定性に優れ、低温保存時の析出が抑制されてフォーマー容器に充填した場合に吐出性が良好で、さらに経皮水分蒸散量が抑制され、敏感な肌に対してもマイルドな皮膚洗浄料であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)
1COOM (1)
(式中、R1は炭素数5〜21の一価炭化水素基を示し、Mはアルカリ金属、又は置換もしくは非置換のアンモニウムを示す。)
で表される脂肪酸塩であって、(一般式(1)のR1が炭素数11以下の一価炭化水素基である脂肪酸塩)/(一般式(1)のR1が炭素数13以上の一価炭化水素基である脂肪酸塩)で表される質量比が1.4〜2.8である脂肪酸塩と、
(B)両性界面活性剤と、
(C)N−アシル−N−メチルアミノ酸塩と
を含有する皮膚洗浄料。
【請求項2】
(A)成分の含有量が1〜5質量%、(B)成分の含有量が1.5〜3質量%、(C)成分の含有量が0.3〜1.5質量%である請求項1記載の皮膚洗浄料。
【請求項3】
フォーマー容器充填用である請求項1又は2記載の皮膚洗浄料。

【公開番号】特開2008−115137(P2008−115137A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−302392(P2006−302392)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】