説明

皮膚老化防止外用剤

【課題】 加齢に伴い皮膚機能が低下した肌の改善を目的とした老化防止用皮膚外用剤を見出すこと。
【解決手段】 グネモン(Guetum gnemon)の溶媒抽出物を有効成分とし、優れたコラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、エラスターゼ阻害作用、ヒアルロニダーゼ阻害作用を有し、これらを配合した皮膚外用剤を提供することにより、上記の課題を解決し得ることを見出した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚老化防止用外用剤、肌荒れ防止用として用い得る、グネモン(Guetum gnemon)抽出物を有効成分とする皮膚外用剤に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
老化皮膚では、線維芽細胞の活性低下に伴い、真皮マトリックス成分であるコラーゲン線維、エラスチン線維、酸性ムコ多糖の質的、量的な変化が起こる。コラーゲン線維は齢をとるにつれて減少するだけでなく、異常な老化架橋が形成されるため硬直化し、本来の弾力性に富む張りが失われる。エラスチン線維は変性崩壊し、変わってアミノ酸組成の異なるエラスチンが代償性に生産されて機能障害が進行する。またヒアルロン酸は齢をとるにつれて減少し、本来の機能である細胞間隙に水を保持したり、組織内にジェリー状のマトリックスを形成して細胞を保持したり、皮膚の潤滑性と柔軟性を保ち、外力(機械的障害)および細菌感染を防止する機能低下がおこる。その結果皮膚は柔軟性を失って、シワやたるみ、かさつき等の老化現象が発生する。生理的老化皮膚では、このような増殖能の低下、生理的機能低下が観察される。
【0003】
生理的老化皮膚の一因として、線維芽細胞の活性低下に伴う、コラーゲン産生能およびヒアルロン酸産生能の低下があり、これらの増殖能を促進させることは、皮膚にハリや潤いを与え、皮膚の老化防止に重要である。現在まで、皮膚老化防止目的で、コラーゲン産生促進剤が開発されている(例えば、特許文献1参照)。またヒアルロン酸産生促進剤としては、オウバク、レモンおよびユズの抽出物、ゴレンシ、月桃の抽出物などが報告されている。(特許文献2参照)
【0004】
またエラスチンの変性、破壊は、エラスチン分解酵素であるエラスターゼの過剰発現によって起こる。一方、アレルギー疾患に伴う種々の皮膚のトラブルは、加齢と共に皮膚の老化を助長する。従って、皮膚アレルギーを予防することは、皮膚老化を抑えることにつながる。抗アレルギー活性の指標の一つとしてヒアルロニダーゼの阻害活性については、広く知られている。エラスターゼ、ヒアルロニダーゼの活性を抑制することは、皮膚に弾力性やハリを与え、皮膚の老化防止に重要である。現在まで、これら皮膚老化を予防する目的でいくつかのエラスターゼ阻害剤が開発されてきた(例えば、特許文献3参照)。またヒアルロニターゼ活性阻害剤としては、栗又は琵琶の抽出物(例えば、特許文献4参照)を用いることが知られている。
【特許文献1】特開平11−335293号公報、
【特許文献2】特開2001−158728号公報、特開2003−55244号公報
【特許文献3】特開平9−87136号公報、特開平9−95420号公報、特開平10−17460号公報、特開平10−29925号公報、特開平10−36281号公報、特開平10−182414号公報、特開平11−147832号公報、特開平11−171758号公報、特開平11−246337号公報、特開平11−246385号公報、特開平11−263720号公報、特開平11−335229号公報、特開2000−53578号公報、特開2000−119189号公報、特開2000−247830号公報、特開2001−39822号公報、特開2001−58920号公報
【特許文献2】特開平8−217688号公報、特開2001−253830号公報、特開2000−178196号公報、特開平9−67266号公報、特開平6−279255号公報
【特許文献4】特開2003−137726号公報、特開2001−253830号公報、特開2000−178196号公報、特開平9−67266号公報、特開平8−217688号公報、特開平6−279255号公報、
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これまでのコラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤及びエラスターゼ阻害剤、ヒアルロニダーゼ阻害剤の効果は必ずしも十分でなく製品への配合では、有効な結果を得るに至っていない。本発明は、真皮層線維芽細胞における有効なコラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤、またエラスターゼ、ヒアルロニダーゼの酵素活性を抑え、皮膚の張り、弾力を回復・維持することにより、皮膚の老化を防止し、シワやタルミのない若々しい肌を保つ効果を有する抗老化剤、及びこれらの有効なコラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤、エラスターゼ阻害剤、ヒアルロニダーゼ阻害剤を配合し、老化防止、あれ肌防止の皮膚外用剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、以上のような現状に鑑み、広く種々の物質についてコラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、エラスターゼ阻害作用、ヒアルロニダーゼ阻害作用を調べた結果、グネモン(Guetum gnemon)の溶媒抽出物に優れたコラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、エラスターゼ阻害作用、ヒアルロニダーゼ阻害作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。グネモン(Guetum gnemon)抽出物に関しては、美白について検討されている(非特許文献1参照)。しかしグネモン抽出物のコラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、エラスターゼ阻害作用、ヒアルロニダーゼ阻害作用に関する報告はこれまでになく、コラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤、エラスターゼ阻害剤、ヒアルロニダーゼ阻害剤としての皮膚外用剤、美容食品への応用も全く知られていない。
【非特許文献1】Biosci.Biotechnol.Biochem.,67(3),663−665,2003
【発明の効果】
【0006】
本発明の皮膚老化防止剤は、優れたコラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、エラスターゼ阻害作用、ヒアルロニダーゼ阻害作用を有し、これらを配合した皮膚外用剤は、皮膚の老化を防止、改善し、弾力のある、しわやたるみのない、若々しい肌の状態を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明に係る皮膚老化防止外用剤について詳述する。本発明に係る老化防止用皮膚外用剤は、グネモン(Guetum gnemon)を含有することを特徴とする。グネモン(Guetum gnemon)はグネツム科に属する植物であり、アジアの熱帯、亜熱帯、南米、アフリカ南西海岸地域に分布する。本発明では、グネモンの葉、果実、果皮などの地上部を使用することができ、各部位を単独で或いは二種以上の部位を混合して使用することもできる。
【0008】
本発明で用いられる抽出物の調製方法は特に限定されないが、例えば種々の溶媒を用い、低温から加温下において抽出する方法があげられる。
【0009】
具体的に抽出溶媒としては、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等の低級一価アルコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の液状多価アルコール、酢酸エチル等の低級アルキルエステル、ベンゼン、ヘキサン、ペンタン等の炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジプロピルエーテル、アセトニトリル等のエーテル類が例示され、これらの一種又は二種以上の混合溶媒を用いることができる。
【0010】
本発明で使用する抽出物は、そのまま用いてもよいが、必要に応じてろ過、濃縮してもよい。また、抽出物をカラムクロマト法、向流分配法等により、分画、精製して用いることもできる。
【0011】
更に、上記のものを減圧乾燥又は凍結乾燥した後、粉末又はペースト状に調製し、適宜製剤化して用いることもできる。
【0012】
(グネモン抽出物の製造例1)
乾燥したグネモンの葉100gに50vol%エタノール溶液3kgを加え、60℃にて8時間攪拌抽出を行い、冷後、ろ過し、抽出物A約2800gを得る。
【0013】
(グネモン抽出物の製造例2)
グネモンの果実100gに50vol%エタノール溶液3kgを加え、60℃にて8時間攪拌抽出を行い、冷後、ろ過し、抽出物B約2800gを得る。
【0014】
(グネモン抽出物の製造例3)
グネモンの果皮100gに50vol%エタノール溶液3kgを加え、60℃にて8時間攪拌抽出を行い、冷後、ろ過し、抽出物C約2800gを得る。
【0015】
(グネモン抽出物の製造例4)
グネモン果実、果皮200gに精製水3kgを加え、80℃にて5時間攪拌抽出する。冷後、ろ過し、抽出物D約2600gを得る。更に、ろ過残渣に50vol%エタノール3kgを加え、60℃にて5時間攪拌抽出する。冷後、ろ過し、抽出物E約2800gを得る。更にろ過残渣に95vol%エタノール3kgを加え、50℃にて5時間攪拌抽出する。冷後、ろ過し、抽出物F約2800gを得る。
【0016】
(グネモン抽出物の製造例5)
上記抽出物Dを減圧下約200gまで濃縮した後、合成吸着体ダイヤイオンHP−20を充填したカラムにて処理し、水洗浄後の10vol%エタノール溶液溶出液、15vol%エタノール溶液溶出液及び20vol%エタノール溶液溶出液を得る。各々の溶出液をそれぞれ50gまで減圧濃縮し、エタノール50gを加え抽出物G,H,Iとする。
【0017】
(グネモン抽出物の製造例6)
グネモン果実、果皮200gに30vol%エタノール4kgを加え、60℃にて5時間攪拌抽出する。冷後、ろ過し、得られたろ液を200gまで減圧濃縮する。濃縮液をカラムクロマト用オクタデジシルシリカ化シリカゲルを充填したカラムにて処理し、10〜20vol%エタノールにて溶出した画分を併せ、減圧濃縮後、減圧乾燥し粉末とした抽出物J約15gを得る。
【0018】
本発明の抽出物は、皮膚老化防止剤としてそのまま利用できるほか、皮膚外用剤にも配合できるが、その配合量は特に規定するものではない。配合する製品の種類、性状、品質、期待する効果の程度により異なるが、乾燥固形物に換算して好ましくは、0.00001〜2.5重量%(以下、単に「%」で示す)、特に0.001〜1.0%がより好ましい。抽出液を使用する場合は、溶質である乾燥固形分の含有量が上記範囲内であれば、その抽出液濃度等は何ら限定されるものではない。
【0019】
本発明の皮膚老化防止剤を皮膚外用剤に用いる場合、上記成分に加えて、さらに必要により、本発明の効果を損なわない範囲内で、通常化粧品、医薬部外品、医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば界面活性剤、油分、保湿剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線防御剤、アルコール類、粉末成分、色剤、香料、水性成分、水、各種皮膚栄養剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0020】
さらに、金属イオン封鎖剤、防腐抗菌剤、細胞賦活剤、皮脂分泌調整剤、消炎剤、収斂剤、美白剤、活性酸素抑制剤、抗アレルギー剤、老化防止剤等、さらに生理活性作用を有する植物抽出物、微生物抽出物及びこれらの抽出分画、精製物等も適宜配合することができる。
【0021】
本発明の皮膚老化防止剤及びこれを配合してなる皮膚外用剤は、一般皮膚化粧料に限定されるものではなく、医薬品、医薬部外品、薬用化粧料等を包含するものである。本発明の皮膚外用剤の剤型は、可溶化系、乳化系、粉末分散系、粉末系等何れでもよく、用途も、化粧水、乳液、クリーム、パック等の基礎化粧料、ファンデーション等のメークアップ化粧料、シャンプー、リンス、石けん、ボディーシャンプーなどのトイレタリー製品、浴用剤等を問わない。
【0022】
次に実施例をあげて説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0023】
(試験例1)コラーゲン産生促進作用の測定
ヒト皮膚由来線維芽細胞を10%ウシ胎児血清(以下FBSと略記)を含むMEM培地にて調製し、96穴プレートに2×10個/穴ずつ播種し、37℃、5%炭酸ガス下、24時間培養した。24時間培養後、PBS(−)にて2回洗浄後、試験試料を添加した無血清培地(5g/LのBSA、0.01mg/LのEGF、1mg/Lのインシュリン及び1mg/Lのハイドロコーチゾンを添加したMEM培地)にて、48時間同条件にて培養した。培養後、培養上清のコラーゲン量をEnzyme−linked immunosorbent assay(ELISA)により測定した。同時に蛋白定量(Lowry法)をおこない、単位蛋白当たりのコラーゲン産生量を算出して、試料を含有しない対照の細胞当たりのコラーゲン産生量を100とした相対値にて表1に示した。
【0024】
【表1】

【0025】
(試験結果)
表1のごとく、グネモン抽出物は、高いコラーゲン産生促進作用があることが確認された。
【0026】
(試験例2)ヒアルロン酸産生促進作用の測定
ヒト皮膚由来線維芽細胞を0.5%ウシ胎児血清(以下FBSと略記)を含むMEM培地にて調製し、96穴プレートに2×10個/穴ずつ播種し、37℃、5%炭酸ガス下、24時間培養した。24時間培養後、試験試料を添加した0.5%FBSを含むMEM培地にて、5日間同条件にて培養した。培養上清のヒアルロン酸量をEnzyme−linked immunosorbent assay(ELISA)により測定した。同時に線維芽細胞数を計測し、細胞当たりのヒアルロン酸産生量を算出して、試料を含有しないブランクの細胞当たりのヒアルロン酸産生量を100とした相対値にて表2に示した。
【0027】
【表2】


【0028】
(試験結果)
表2のごとく、グネモン抽出物は、高いヒアルロン酸産生促進作用があることが確認された。
【0029】
(試験例3)エラスターゼ阻害作用の測定
本発明者らは、線維芽細胞由来エラスターゼ酵素及び合成基質としてSuccinyl−L−alanyl−L−alanyl−L−alanine−p−nitroanilide(Sigma社製)を用いて評価した。
【0030】
(試験方法)
ヒト正常皮膚線維芽細胞を10%ウシ胎児血清を含むMEM培地にて調製し、96穴プレートに1×10個/穴ずつ播種し、37℃、5%炭酸ガス下、24時間培養した。培養後、培地を除去しPBS(−)にて洗浄した後、0.5%TritonX−100含有PBS(−)50μLを各穴に添加し30分放置したものを酵素として用いた。また合成基質をDMSOにて溶解し15mMとし、1mLずつマイクロチューブに分注し凍結保存した。使用前に0.1M HEPES緩衝液(pH7.5,0.5M NaCl)を用いて希釈し6.0mMとした。細胞懸濁液を酵素とした96穴プレートに、それぞれ試験試料25μL、合成基質50μL、を加え、37℃にて2時間インキュベーションした。その後、プレートリーダーで405nmにて吸光度を測定した。
【0031】
測定結果より次式によりエラスターゼ阻害率を算出した。
エラスターゼ阻害率(%)=〔1−(A−B)/(C−D)〕×100
A:試料溶液添加、エラスターゼ添加時の吸光度
B:試料溶液添加、エラスターゼ無添加時の吸光度
C:試料無添加、エラスターゼ添加時の吸光度
D:試料無添加、エラスターゼ無添加時の吸光度
ただし、各無添加のときには、それぞれ精製水、緩衝液を代わりに用いた。各阻害率を表3に示す。
【0032】
【表3】

【0033】
(試験結果)
表3のごとく、グネモン抽出物は、高いエラスターゼ阻害作用があることが確認された。
【0034】
(試験例4)ヒアルロニダーゼ活性阻害作用の測定
ヒアルロニダーゼは、結合組織に分布するヒアルロン酸の加水分解酵素であり、炎症時において活性化され、結合組織のマトリックスを破壊し、炎症系の細胞及び血管の透過性を高める役割を演じると考えられている。また起炎酵素として知られており、抗炎症剤や抗アレルギー剤により阻害されることも知られている。従って、ヒアルロニダーゼ活性阻害作用は、抗アレルギー活性の一つとされている。
【0035】
(試験方法)
陽性対照として、阻害活性が既に知られているクロモグリク酸ナトリウム(藤沢薬品工業製)を試験に用いた。試験方法は、Morgan−Elson法を応用する方法にて行なった。
【0036】
試料の適当量を0.1M酢酸緩衝液(pH3.5に調製)にて希釈した溶液0.2mLにヒアルロニダーゼ(Sigma社製,TypeIV−S,最終酵素活性を400NFunit/mL)0.1mLを加え、37℃にて20分間で放置後、活性化剤としてcompound48/80(Sigma社製)の酢酸緩衝液溶液(0.1mg/mL)0.2mLを加え、更に37℃にて20分間放置する。これにヒアルロン酸カリウム(和光純薬工業製)溶液(最終濃度0.4mg/mL)0.5mLを加え、37℃にて40分間放置する。次に、氷上にて0.4N水酸化ナトリウム溶液0.2mLを加えて反応を停止させた後、ホウ酸溶液(ホウ酸4.95gに水50mLを加え、1N水酸化ナトリウム溶液にてpH9.1に調製した後、水を加えて100mLとする)0.2mLを加え、混和後沸騰水浴中にて3分間加熱し酵素を失活させる。次に氷上にて室温まで冷却し、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド試薬(和光純薬工業製、10gに10N塩酸溶液12.5mL、酢酸87.5mLを混合溶解し、使用直前に酢酸にて10倍に希釈する)6mLを加え、37℃にて20分間放置した後、585nmにて吸光度を測定する。なお、試料溶液の代わりに酢酸緩衝液を入れたものを対照とし、各試料溶液、対照について酵素を入れないものブランクとし、次式により阻害活性率を求め、試料濃度を調整することにより50%阻害活性濃度(IC50)を求めた。また陽性試料として、クロモグリク酸ナトリウムを用いた。各阻害率を表4に示す。
阻害率(%)=〔1−(試料溶液の吸光度−試料溶液ブランクの吸光度)/(対照溶液 の吸光度−対照溶液ブランクの吸光度)〕×100
【0037】
【表4】

【0038】
(試験結果)
表4のごとく、グネモン抽出物は、高いヒアルロニダーゼ活性阻害作用があることが確認された。
【0039】
以下にさらに、本発明の処方例を示す。
【0040】
(実施例1)クリーム
下記成分(1)〜(10)、別に下記成分(11)〜(15)を75℃に加温溶解しそれぞれA液及びB液とする。A液にB液を加えて乳化し、攪拌しながら50℃まで冷却し、成分(16)を加え、クリームを調製した。
(成分) (重量%)
(1)ホホバ油 3.0%
(2)スクワラン 2.0%
(3)メチルポリシロキサン 0.5%
(4)ステアリルアルコール 0.5%
(5)セチルアルコール 0.5%
(6)トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル12.5%
(7)モノステアリン酸グリセリル 5.0%
(8)モノステアリン酸ジグリセリル 1.5%
(9)モノステアリン酸デカグリセリル 3.0%
(10)パラオキシ安息香酸プロピル 0.1%
(11)キサンタンガム 0.1%
(12)グネモン抽出物(抽出物C) 2.5%
(13)1,3−ブチレングリコール 2.5%
(14)パラオキシ安息香酸メチル 0.2%
(15)精製水 66.0%
(16)香料 0.1%
【0041】
(実施例2)化粧水
下記成分(5)〜(8)を混合溶解させA液とし、これとは別に下記成分(1)〜(4)及び(9)を混合溶解させてB液とし、A液とB液を均等に混合し、化粧水を調整した。
(成分) (重量%)
(1)クインスシードエキス 8.0%
(2)グリセリン 3.0%
(3)1,3−ブチレングリコール 5.0%
(4)グネモン抽出物(抽出物A) 10.0%
(5)ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステル 1.2%
(6)エチルアルコール 3.0%
(7)パラオキシ安息香酸メチル 0.2%
(8)香料 0.1%
(9)精製水 69.5%
【0042】
(実施例3)乳液
下記成分(1)〜(10)、別に(11)〜(14)及び(16)を75℃で加熱溶解させてそれぞれA液及びB液とし、A液にB液を加えて乳化し、攪拌しながら50℃まで冷却し、成分(15)を加え、乳液を調製した。
(成分) (重量%)
(1)ホホバ油 1.0%
(2)スクワラン 2.0%
(3)ベヘニルアルコール 1.0%
(4)トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル 2.0%
(5)テトラグリセリン縮合シリノレイン酸 0.1%
(6)モノオレイン酸プロピレングリコール 0.5%
(7)モノステアリン酸グリセリン 1.0%
(8)モノミリスチン酸ヘキサグリセリル 1.0%
(9)モノミリスチン酸デカグリセリル 0.5%
(10)パラオキシ安息香酸プロピル 0.1%
(11)クインスシードエキス 5.0%
(12)グネモン抽出物(抽出物B) 3.0%
(13)1,3−ブチレングリコール 3.0%
(14)パラオキシ安息香酸メチル 0.1%
(15)香料 0.1%
(16)精製水 79.6%
【0043】
(実施例4)クレンジングジェル
下記成分(1)〜(3)、別に(4)〜(6)及び(8)を70℃で加熱溶解させてそれぞれA液及びB液とし、A液にB液を加えて均一になるまで攪拌する。攪拌しながら、50℃まで冷却し、成分(7)を加え、クレンジングジェルを調製した。
(成分) (重量%)
(1)モノミリスチン酸ヘキサグリセリル 20.0%
(2)流動パラフィン 59.7%
(3)パラオキシ安息香酸エステル 0.3%
(4)グネモン抽出物(抽出物G) 5.0%
(5)濃グリセリン 5.0%
(6)ソルビトール 5.0%
(7)香料 0.1%
(8)精製水 4.9%
【0044】
(実施例6)パック剤
A相、B相、C相をそれぞれ均一に溶解し、A相にB相を加えて可溶化し、次いでC相を加えて均一に溶解し、製する。
(成分) (重量%)
(A相)ジプロピレングリコール 5.0%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 5.0%
(B相)オリーブ油 5.0%
酢酸トコフェノール 0.2%
パラオキシ安息香酸エステル 0.2%
(C相)亜硫酸水素ナトリウム 0.03%
ポリビニルアルコール 13.0%
グネモン抽出物(抽出物E) 1.0%
エタノール 7.0%
精製水 63.77%
【0045】
(実施例7)乳化型ファンデーション
下記成分(1)〜(6)を充分に混合粉砕した粉末部をAとし、(7)(8)をB液、(9)〜(12)及び(14)をC液とする。C液を加熱攪拌後、Aを添加しホモミキサー処理し、さらに過熱混合したB液を加えてホモミキサー処理する。攪拌しながら50℃まで冷却し、(13)を加え、さらに室温まで冷却して製する。
(成分) (重量%)
(1)二酸化チタン 10.3%
(2)セリサイト 5.4%
(3)カオリン 3.0%
(4)黄色酸化鉄 0.7%
(5)ベンガラ 0.4%
(6)黒色酸化鉄 0.2%
(7)デカメチルシクロペンタシロキサン 11.5%
(8)流動パラフィン 8.5%
(9)セスキオレイン酸ソルビタン 3.0%
(10)グネモン抽出物(抽出物F) 1.5%
(11)1,3−ブチレングリコール 5.0%
(12)パラオキシ安息香酸エステル 0.2%
(13)香料 0.2%
(14)精製水 50.1%
【0046】
(実施例8)固形ファンデーション
下記成分(1)〜(7)をブレンダーで均一に混合し、これに(8)〜(14)を加え、よく混練して製する。
(成分) (重量%)
(1)タルク 41.9%
(2)カオリン 15.5%
(3)セリサイト 10.0%
(4)亜鉛華 7.0%
(5)二酸化チタン 3.8%
(6)黄色酸化鉄 2.9%
(7)ベンガラ 0.5%
(8)黒色酸化鉄 0.2%
(9)スクワラン 8.0%
(10)イソステアリン酸 4.0%
(11)モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン 3.0%
(12)オクタン酸イソセチル 2.0%
(13)グネモン抽出物(抽出物H) 1.0%
(14)パラオキシ安息香酸エステル 0.1%
(15)香料 0.1%
【0047】
(実施例9)ヘアートニック
下記成分(5)に(1)〜(4)及び(7)を加え、攪拌溶解した後、(6)及び(8)を加えてさらに攪拌して製する。
(成分) (重量%)
(1)グリセリン 3.0%
(2)L−メントール 0.1%
(3)センブリエキス 2.0%
(4)グネモン抽出物(抽出物I) 5.0%
(5)エタノール 53.0%
(6)香料 0.2%
(8)精製水 36.7%
【0048】
(実施例10)シャンプー
下記成分を加温均一に混合し製する。
(成分) (重量%)
(1) N−ヤシ油脂肪酸グルタミン酸トリエタノール 25.0%
アミン
(2)ラウリン酸ジエタノールアミド 5.0%
(3)ミリスチン酸カリウム 5.0%
(4)ジステアリン酸エチレングリコール 2.0%
(5)ポリエチレングリコール400 15.0%
(6)ホホバ油 1.0%
(7)グネモン抽出物(抽出物A) 3.0%
(8)クロルキシレノール 0.1%
(9)ビタミンE 0.1%
(10)パラオキシ安息香酸エステル 0.2%
(11)香料 0.3%
(12)精製水 43.3%
【0049】
(実施例11)浴用剤
(成分) (重量%)
(1)乾燥硫酸ナトリウム 40.0%
(2)炭酸水素ナトリウム 57.5%
(3)オリーブ油 0.2%
(4)グネモン抽出物(抽出物B) 0.1%
(5)軽質無水ケイ酸 0.3%
(6)香料 1.7%
(7)黄色202号の(1) 0.2%
【0050】
(試験例2)使用効果試験
本発明の皮膚外用剤を使用した場合の効果試験を行った。使用テストは、乾燥、シワ、つや・張りのない肌で悩む女性40名(30〜60歳)をパネラーとして、毎日朝夕の2回、洗顔後に20名には実施例3の乳液適量を3ケ月間塗布した。また対照として20名には、グネモン抽出物を精製水に置き換えたものを使用した。評価方法は、下記の基準で行い、結果を表5に記載した。使用期間中に皮膚の異常を訴えた者はなかった。
【0051】
「つや・張り」
有効 :肌のつや・張りが増した
やや有効 :肌のつや・張りがやや増した
無効または不明 :使用前と変化なし、またはわからない
「肌あれ」
有効 :肌あれが改善した
やや有効 :肌あれがやや改善した
無効または不明 :使用前と変化なし、またはわからない
【0052】
【表5】

【0053】
表5に示したように、皮膚の老化を防止、肌あれを改善し、弾力のあるシワやたるみのない、若々しい肌の状態を維持することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グネツム科グネモン(Guetum gnemon)の溶媒抽出物を有効成分とするコラーゲン産生促進剤。
【請求項2】
請求項1のコラーゲン産生促進剤を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項3】
グネツム科グネモン(Guetum gnemon)の溶媒抽出物を有効成分とするヒアルロン酸産生促進剤。
【請求項4】
請求項3のヒアルロン酸産生促進剤を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項5】
グネツム科グネモン(Guetum gnemon)の溶媒抽出物を有効成分とするエラスターゼ阻害剤。
【請求項6】
請求項5のエラスターゼ阻害剤を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項7】
グネツム科グネモン(Guetum gnemon)の溶媒抽出物を有効成分とするヒアルロニダーゼ阻害剤。
【請求項8】
請求項7のヒアルロニダーゼ阻害剤を含有することを特徴とする皮膚外用剤。

【公開番号】特開2006−169225(P2006−169225A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−382550(P2004−382550)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(599000212)香栄興業株式会社 (33)
【出願人】(300041527)有限会社アクセス・ジェイピイ (1)
【Fターム(参考)】