監視カメラ装置、ならびに、その制御方法および制御プログラム
【課題】監視カメラ装置の監視性能を向上させる。
【解決手段】鏡筒3が、その視野が枠F1から枠F2まで移動すると、その後、鏡筒3の回転移動の速度が低減される。視野が枠F2にまで移動したとき、人物を表わす被写体OB1の顔面が含まれるからである。鏡筒3が、その視野が枠F3まで移動され、さらに、枠F3を超え枠F4に向けて移動するように、回転移動されると、鏡筒3の視野に被写体OB1の顔面が、顔認識処理において顔を認識される態様では含まれなくなる。したがって、それ以降の、つまり、顔認識処理において顔を認識されなくたった後の回転移動では、元の所定の速度で鏡筒3が回転移動する。
【解決手段】鏡筒3が、その視野が枠F1から枠F2まで移動すると、その後、鏡筒3の回転移動の速度が低減される。視野が枠F2にまで移動したとき、人物を表わす被写体OB1の顔面が含まれるからである。鏡筒3が、その視野が枠F3まで移動され、さらに、枠F3を超え枠F4に向けて移動するように、回転移動されると、鏡筒3の視野に被写体OB1の顔面が、顔認識処理において顔を認識される態様では含まれなくなる。したがって、それ以降の、つまり、顔認識処理において顔を認識されなくたった後の回転移動では、元の所定の速度で鏡筒3が回転移動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラ装置に関し、特に、顔認識処理を実行する監視カメラ装置、ならびに、その制御方法および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、監視カメラ装置において、撮影された画像に対して画像処理を行ない、当該画像処理の結果に基づいて撮影対象となった領域の状態を自動的に判断する技術が開示されてきた。
【0003】
たとえば、特許文献1(特開平9−167286号公報)には、所定の警戒区域内を旋回しながら監視する撮像装置を用い、当該撮像装置の監視画像から抽出された赤色分布情報等に基づいて、当該警戒区域内の火災発生を検出する火災検出装置が開示されている。当該火災検出装置では、火災の有無を判断するための閾値が撮像手段の旋回位置に従って変更されるため、旋回位置の変化によって生じる画像の劣化を補正することができ、誤認の可能性を小さくできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−167286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
なお、監視カメラ装置において、監視領域内の侵入者を撮影することが意図される場合、単に監視領域内に侵入者が存在していたことだけでなく、一歩進んだ情報を提供できる画像を撮影することにより、監視性能の向上を図ることが切望されている。
【0006】
本発明は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、監視カメラ装置の監視性能を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従った監視カメラ装置は、画像を撮影する撮像部と、撮像部が撮影した画像を出力する出力部と、領域の移動態様を特定する情報を記憶する記憶部と、出力部から出力される画像の撮影対象となる領域を、記憶部に記憶された情報に対応する移動態様で移動させる移動制御部と、出力部から出力された画像に対して特定の物体を検出する物体検出処理を実行する物体検出手段とを備え、移動制御部は、物体検出手段による物体検出処理において特定の物体が検出された場合に、記憶部に記憶された情報に対応する移動態様を、物体検出手段で検出された特定の物体を検出したと判断した場所が物体検出手段により検出される前において当該場所が出力部から出力される画像に含まれるべき時間より長く出力部から出力される画像の中に含まれるように変更する。
【0008】
また、本発明の監視カメラ装置では、移動制御部は、物体検出処理において特定の物体が検出された場合に、記憶部に記憶された情報に対応する移動態様を、当該移動態様に従った領域の移動速度を低減させるように変更する。
【0009】
また、本発明の監視カメラ装置では、移動制御部は、物体検出処理において特定の物体が検出された場合に、記憶部に記憶された情報に対応する移動態様を、当該移動態様に従った停止時間が延長されるように変更する。
【0010】
また、本発明の監視カメラ装置では、移動制御部は、物体検出処理の結果が特定の物体を含まないというものであった場合に、記憶部に記憶された情報に対応する移動態様を、当該移動態様に従った停止時間を短縮するように変更する。
【0011】
また、本発明の監視カメラ装置では、記憶部は、物体検出処理において特定の物体が検出された場合の特別な移動態様を特定する情報をさらに記憶し、移動制御部は、物体検出処理において特定の物体が検出された場合に、出力部から出力される画像の撮影対象となる領域を、特別な移動態様で移動させる。
【0012】
また、本発明の監視カメラ装置では、移動制御部は、物体検出処理において特定の物体が検出されてから所定時間が経過したことを条件として、出力部から出力される画像の撮影対象となる領域の移動態様を記憶部に記憶された情報に対応する移動態様に戻す。
【0013】
また、本発明の監視カメラ装置では、移動制御部は、物体検出処理において特定の物体が検出されてから物体検出処理の認識率が所定の値以上となったことを条件として、出力部から出力される画像の撮影対象となる領域の移動態様を記憶部に記憶された情報に対応する移動態様に戻す。
【0014】
また、本発明の監視カメラ装置では、移動制御部は、物体検出処理において特定の物体が検出されてから物体検出処理の認識率が所定の値以下となったことを条件として、出力部から出力される画像の撮影対象となる領域の移動態様を記憶部に記憶された情報に対応する移動態様に戻す。
【0015】
また、本発明の監視カメラ装置では、記憶部は、特定の物体の特徴情報を記憶し、移動制御部は、物体検出手段による物体検出処理において特定の物体が検出された場合、認識された特定の物体の特徴が記憶部に記憶された特徴情報と一致しないときにのみ、記憶部に記憶された情報に対応する移動態様を、場所が時間的に長く出力部から出力される画像の中に含まれるように変更する。
【0016】
また、本発明の監視カメラ装置では、移動制御部は、撮像部を移動させることにより、出力部から出力される画像の撮影対象となる領域を移動させる。
【0017】
また、本発明の監視カメラ装置では、移動制御部は、撮像部が撮影した画像において、出力部から出力するために画像を切出す領域を移動させることにより、出力部から出力される画像の撮影対象となる領域を移動させる。
【0018】
本発明に従った監視カメラ装置は、記憶部と、画像を撮影する撮像部とを備えた監視カメラ装置の制御方法であって、撮影部が撮影した画像を出力するステップと、領域の移動態様を特定する情報を記憶部に記憶するステップと、記憶部に記憶された移動態様で、出力する画像の撮影部による撮影対象となる領域を移動させるステップと、出力する画像に対して特定の物体を検出する物体検出処理を実行するステップと、物体検出処理において特定の物体を検出した場合に、当該特定の物体が含まれると認識した場所が、当該特定の物体が検出される前において、出力する画像に含まれるべき時間よりも長い時間、出力される画像に含まれるように、出力する画像の撮影対象となる領域の移動態様を変更するステップとを備える。
【0019】
本発明に従った監視カメラ装置の制御プログラムは、画像を撮影する撮像部を備えた監視カメラ装置を制御するために、メモリとプロセッサとを備えたコンピュータにおいて実行される制御プログラムであって、制御プログラムは、プロセッサに、撮影部が撮影した画像を出力するステップと、メモリに、領域の移動態様を特定する情報を記憶するステップと、移動態様で、出力する画像の撮影部による撮影対象となる領域を移動させるステップと、出力する画像に対して特定の物体を検出する物体検出処理を実行するステップと、物体検出処理において特定の物体を検出した場合に、当該特定の物体が含まれると認識した場所が、当該特定の物体が検出される前において、出力する画像に含まれるべき時間よりも長い時間、出力される画像に含まれるように、出力する画像の撮影対象となる領域の移動態様を変更するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、監視カメラ装置において、撮影対象となる領域が予め記憶された情報に対応する移動態様で移動されるところ、撮影された画像に対する顔認識処理の結果が顔を含むというものであった場合には、上記移動態様が、含まれると認識された顔がより長く撮影される画像の中に含まれるように変更される。
【0021】
これにより、より長く、顔を撮影させることができるため、撮影された画像に含まれる人物の特定が容易になる等、監視カメラ装置の監視性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の監視カメラ装置の第1の実施の形態のハードウェア構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】図1の監視カメラユニットを、図1中の矢印A方向から見た平面図である。
【図3】図1の監視カメラユニットを、図1中の矢印B方向から見た側面図である。
【図4】図1のジョイスティックに対する操作態様を説明するための図である。
【図5】本発明の監視カメラ装置の第1の実施の形態における、オートパン動作を説明するための図である。
【図6】図5のオートパン動作による鏡筒の視野の移動態様を説明するための図である。
【図7】図1の監視カメラ装置の制御ブロック図である。
【図8】本発明の監視カメラ装置の第1の実施の形態における、速度制御処理のフローチャートである。
【図9】本発明の監視カメラ装置の第2の実施の形態における、シーケンス動作による鏡筒の視野の移動態様を説明するための図である。
【図10】本発明の監視カメラ装置の第2の実施の形態における、監視処理のフローチャートである。
【図11】本発明の監視カメラ装置の第3の実施の形態の制御ブロック図である。
【図12】本発明の監視カメラ装置の第3の実施の形態における画像の切出しの一例を説明するための図である。
【図13】本発明の監視カメラ装置の第3の実施の形態における画像の切出しの他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、各図において、同じ機能を奏する要素については、同一の参照符号を付し、その説明は繰返さない。
【0024】
[第1の実施の形態]
(1.全体構成)
図1は、本発明の監視カメラ装置の第1の実施の形態である監視カメラ装置1のハードウェア構成を模式的に示すブロック図である。図2は、図1を矢印A方向から見た平面図である。図3は、図1を矢印B方向から見た側面図である。
【0025】
図1〜図3を参照して、監視カメラ装置1は、広範囲に亘って監視できるように、レンズとCCD(Charge-Coupled Device)素子を有する鏡筒3を水平方向に旋回させるパン機構と、垂直方向に旋回させるチルト機構を具えている。
【0026】
監視カメラ装置1では、被写体の光学像は、レンズを介してCCD素子に取り込まれ、鏡筒3から映像信号として映像信号処理回路40へ出力される。以下、被写体の光学像がCCD素子に取り込まれることを撮像と定義する。なお、本実施の形態では、被写体に存在する主要被写体を監視対象6とする。
【0027】
図1において、鏡筒3は、アーム30の下端部にチルト方向に回動可能に支持されて、チルトモータ31により回転される。アーム30の上端部は、水平面内を360度回転する回転板32に支持される。該回転板32は、スリップ機構33を介して、天井に固定される台座34に取り付けられている。台座34には、パンモータ35が固定されている。該パンモータ35に繋がったパンギア36が回転板32に噛合することにより、回転板32はパン方向に回転する。
【0028】
本実施の形態では、鏡筒3およびこれを支持しまた回転させる部材を合わせて、適宜監視カメラユニットと呼ぶ。監視カメラユニットには、鏡筒3、アーム30、チルトモータ31、回転板32、スリップ機構33、台座34、パンモータ35およびパンギア36が含まれる。
【0029】
鏡筒3は、ズーム動作等を制御するカメラ制御部21に接続される。チルトモータ31は、該モータ31の回転速度、加速度を制御するチルトモータ制御部22に接続される。パンモータ35は、該モータ35の回転速度、加速度を制御するパンモータ制御部23に接続される。
【0030】
カメラ制御部21、チルトモータ制御部22、パンモータ制御部23は、マイクロコンピュータである中央制御部2に接続されている。中央制御部2は、操作キー51やジョイスティック50を具えたコントローラ5に接続される。中央制御部2は、監視カメラ装置1の動作を全体的に制御し、たとえばCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを含む。
【0031】
鏡筒3から出力される映像信号は、映像信号処理回路40にて画像処理される。映像信号処理回路40は、鏡筒3から出力された映像信号を処理することによって得られた画像信号を、表示器4および後述する画像出力部204に出力する。表示器4に出力された画像信号は、表示器4において画像として映し出される。
【0032】
なお、監視カメラ装置1が記録装置(図示略)をさらに備え、鏡筒3から出力される映像信号に対して圧縮処理等を施し、圧縮映像データとして当該記録装置において連続的に記録されても良い。
【0033】
コントローラ5のユーザである監視者は、操作キー51やジョイスティック50を操作して、中央制御部2に信号を送る。中央制御部2は、信号の内容を解析して、カメラ制御部21、チルトモータ制御部22、パンモータ制御部23を制御し、撮影を開始する。
【0034】
鏡筒3から出力される映像信号は、映像信号処理回路40にてノイズ等が除去されて、表示器4に画像として映し出される。監視者は、表示器4の画像を見て、操作キー51やジョイスティック50を操作する。パンモータ35、チルトモータ31が回転して、鏡筒3を、例えば人である監視対象6に向ける。また、必要に応じて、カメラ制御部21を制御して、監視対象6のズーム画像を得る。
【0035】
ジョイスティック50は、図4に示すように、起立姿勢から、数段階の傾き位置K1、K2、K3で示される姿勢を取ることができる。起立姿勢からの傾き角が大きいほど、パンモータ35、チルトモータ31の速度が速くなる。例えば、図4において、ジョイスティック50がK3の位置にあるときに最もパンモータ35、チルトモータ31の速度が速い。ジョイスティック50が傾き位置を保っているときは、パンモータ35、チルトモータ31は一定速度で回転し、ジョイスティック50をK1からK3に向けて倒すと、パンモータ35、チルトモータ31は加速度が増して速く回転する。逆に、K3からK1に向けて戻すと、モータ31およびモータ35は減速する。尚、ジョイスティック50の傾き
が3段階であるのは、例示であって、これに限定されない。
【0036】
監視カメラ装置1は、たとえば天井等に取付けられる。したがって、鏡筒3が図3に実線で示すように、天井に対して真下を向いた位置(以下、「真下位置」と呼ぶ)を基準として、左右両方向に90度チルト方向に旋回できる。鏡筒3が真下位置から左向きに傾いた場合を想定すると、鏡筒3は、鏡筒3の左側下端Cが上となった位置にて被写体の光学像を捉える。しかし、チルトモータ31の回転により、鏡筒3が時計方向に旋回して、真下位置から右向きに傾くと、鏡筒3は、鏡筒3の左側下端Cが下となった位置にて被写体の光学像を捉える。
【0037】
なお、鏡筒3が時計方向に旋回して真下位置に達すると、鏡筒3を該真下位置にて一旦停止させ、パンモータ35を回転させて、鏡筒3を水平面内にて180度回転させてもよい。この後、チルトモータ31を回転させて、鏡筒3を真下位置から右向きに旋回させる。また、鏡筒3を該真下位置にて一旦停止させて、鏡筒3から出力される映像信号を電気的に処理して、上下を合わせた画像を形成するものもある。なお、中央制御部2は、鏡筒3が真下位置に達したことを、位置センサ(図示せず)等の検出出力により認識できる。
【0038】
鏡筒3には、角速度センサ11,12が配設されている。角速度センサ11および角速度センサ12は、たとえばジャイロセンサによって構成され、監視カメラ装置1での画ブレ補正におけるブレの検出にも利用される。回転方向αは、パン方向の旋回の回転方向である。回転方向βは、チルト方向の旋回の回転方向である。角速度信号回路10は、角速度センサ11からの出力に基づいて、垂直方向に沿った軸回りの回転方向(図1中の回転方向α)における角速度を検出する。また、角速度信号回路10は、角速度センサ12からの出力に基づいて、水平方向に沿った軸回りの回転方向(図1中の回転方向β)における角速度を検出する。
【0039】
中央制御部2は、記憶装置2Aに記録されたプログラム(または、監視カメラ装置1本体に対して着脱可能な記録媒体に記録されたプログラム)を実行することにより、監視カメラ装置1の各要素の動作を全体的に制御する。
【0040】
なお、監視カメラ装置1では、鏡筒3は、コントローラ5に対する操作に逐次的に応じて旋回する他に、記憶装置2Aに記録されたプログラムに従ったシーケンス(後述するパンモード時の動作等)に従って動作する。
【0041】
(2.監視処理における鏡筒の視野)
監視カメラ装置1において実行される監視処理では、鏡筒3を予め定められた2つの位置の間で往復運動させながら撮像が行なう、オートパン動作がなされる。鏡筒3の位置は、パン方向の角度とチルト方向の角度によって特定される。2つの位置を特定する情報は、たとえばコントローラ5を操作されることにより入力され、記憶装置2Aに記憶される。なお、2つの位置を特定する情報は、予め記憶装置2Aに記憶されていても良い。
【0042】
図5に示された例では、往復運動の往路において、鏡筒3は、図5中の矢印A1方向に移動する。これにより、鏡筒3の視野は矢印A11方向に移動する。また、復路では、鏡筒3は、矢印A2方向に移動する。これにより、鏡筒3の視野は矢印A12方向に移動する。このように視野が移動することにより、監視カメラ装置1は、被写体OB1〜OB3が存在する監視対象領域全体の画像を撮影することができる。
【0043】
図6に、オートパン動作における鏡筒3の視野の移動態様を示す。
図6に示された例では、鏡筒3は、その視野の中心が、点P1から点P2,点P3を経て、点P4まで移動するような経路上を、往復運動させられる。鏡筒3の往復運動の際に、鏡筒3の視野の中心が描く軌跡が線L1で示されている。なお、点P1を中心とする視野が枠F1で示され、点P2,点P3,点P4のそれぞれを中心とする視野が、枠F2,枠F3,枠F4で示されている。
【0044】
本実施の形態の監視処理では、鏡筒3を一定の速度で上記した往復運動させながら、鏡筒3が撮影した画像に対して顔認識処理が実行される。そして、当該顔認識処理の結果、撮影された画像に顔が含まれると判断されると、鏡筒3の移動速度が、上記した一定の速度よりも遅いものとされる。顔認識処理は、公知の顔検出の技術、たとえば日本電気株式会社の「多重照合顔検出法」に含まれる顔検出の技術によって実現される。「多重照合顔検出法」は、ニューラルネットワーク技術を用いて顔検出、顔器官特徴点検出、認証を行なう技術である。「多重照合顔検出法」では、目などの濃淡コントラストのある領域が顔特徴として抽出され、このように抽出された顔特徴と顔の判定結果とが組み合わされた学習アルゴリズムに基づいて、パターン認識が行なわれる。
【0045】
図6に示す例において、鏡筒3が、その視野の中心を点P1から点P4に線L1に沿うように移動させて回転移動した場合、その視野が枠F1から枠F2まで移動すると、その後、鏡筒3の回転移動の速度が低減される。視野が枠F2にまで移動したとき、人物を表わす被写体OB1の顔面が含まれるからである。その後、鏡筒3が回転運動を続けると、その視野が枠F3に位置するまで、当該低減された速度で回転移動する。鏡筒3が、その視野が枠F3を超え枠F4に向けて移動するように、さらに回転移動されると、鏡筒3の視野に被写体OB1の顔面が、顔認識処理において顔を認識される態様では含まれなくなる。したがって、それ以降の、つまり、顔認識処理において顔を認識されなくたった後の回転移動では、元の所定の速度で鏡筒3が回転移動する。
【0046】
図6では、このような回転移動の速度の変化が、白抜きの矢印およびそれらに付された速度で示されている。また、枠F1〜枠F4の各中心と鏡筒3が、破線で結ばれている。そして、図6では、鏡筒3の回転速度が、その視野の中心が点P1から点P2まで移動する際の速度(上記した一定の速度)がVaで示され、その視野が点P2から点P3まで移動するときの回転速度がVbで示され、そして、その視野の中心が点P3から点P4まで移動するときの回転速度が、Vaで示されている。
【0047】
図6において、被写体OB2と被写体OB3は、ドアを表わしている。鏡筒3の視野に、たとえ被写体OB2や被写体OB3の全体が含まれたとしても、被写体OB1が含まれていなければ、上記した速度の変更は行なわれない。被写体OB1を含まない画像に対して顔認識処理が実行されても、顔が含まれるという処理結果は得られないからである。
【0048】
(3.制御ブロック)
図7は、監視カメラ装置1の制御ブロック図である。
【0049】
図7を参照して、中央制御部2は、中央処理部201、移動制御部202、顔認識処理部203および画像出力部204を含む。また、記憶装置2Aは、中央制御部2によって実行されるプログラムを記憶するプログラム記憶部211と、鏡筒3の移動パターンを規定する情報を記憶するパターン記憶部212とを含む。中央制御部2は、コントローラ5からの入力を受付け、当該入力に基づいて、監視カメラ装置1の動作を制御する。また、中央制御部2は、カメラ制御部21に対して、制御信号を送信する。
【0050】
中央処理部201は、パターン記憶部212に記憶された情報と角速度信号回路10から出力される角速度とに基づいて、移動制御部202に、鏡筒3を移動させるための制御情報を出力する。移動制御部202は、中央処理部201から出力された情報に基づいて、チルトモータ制御部22とパンモータ制御部23のそれぞれに、モータを制御するための情報を出力する。これにより、鏡筒3は、パターン記憶部212に記憶された情報に対応する移動パターンで、移動する。
【0051】
顔認識処理部203は、画像に対して顔画像を検出するための顔認識処理を実行する。本実施の形態では、顔認識処理部203により、画像に対して特定の画像(顔画像)を検出する物体検出処理(顔認識処理)を実行する物体検出手段が構成されている。
【0052】
画像出力部204は、映像信号処理回路40から画像情報の入力を受付け、中央処理部201に出力する。
【0053】
中央処理部201、移動制御部202、顔認識処理部203および画像出力部204は、たとえば中央制御部2に含まれるCPUがプログラム記憶部211に記憶されるプログラムを実行することによって実現されても良いし、中央制御部2に備えられた各部に対応する専用の回路(ASIC(Application Specific Integrated Circuit))によって実現されても良い。
【0054】
(4.監視処理における速度制御処理)
監視カメラ装置1では、上記したように、鏡筒3を往復運動させることにより鏡筒3の視野を往復運動させながら撮像が行なわれる、監視処理が実行される。なお、監視カメラ装置1では、当該監視処理における鏡筒3の移動速度(つまり、その視野の移動速度)が、図6を参照して説明したように、撮影された画像に対する顔認識処理の結果に応じて変更される。図8に、鏡筒3の視野の移動速度を制御する処理である、速度制御処理のフローチャートを示す。
【0055】
速度制御処理では、まずステップSA01で、中央制御部2は、監視カメラ装置1がオートパンモードにあるか否かを判断する。オートパンモードとは、オートパン動作を実行するモードである。そして、監視カメラ装置1が現在オートパンモードではないと判断すると、中央制御部2は速度制御処理をそのまま終了させる。一方、監視カメラ装置1がオートパンモードにあると判断すると(YES判断時)、中央制御部2は、ステップSA02へ処理を進める。
【0056】
ステップSA02では、中央制御部2は、鏡筒3の回転速度をVaに設定して、ステップSA03に処理を進める。これにより、鏡筒3は、オートパン動作において、速度Vaで回転移動する。
【0057】
ステップSA03では、中央制御部2は、鏡筒3が撮影した画像に対して顔認識処理を実行するための設定(顔検出設定)の内容を確認する。顔検出設定において、ONは、オートパン動作において撮影された画像に対して顔認識処理を実行することを意味し、OFFは、当該処理を実行しないことを意味する。この設定内容は、たとえば、コントローラ5に対する監視者の操作内容に応じて、記憶装置2Aに登録される。そして、中央制御部2は、設定内容がOFFであれば、そのまま速度制御処理を終了させ、設定内容がONであれば、ステップSA04へ処理を進める。
【0058】
ステップSA04では、鏡筒3が撮影した画像に対して顔認識処理を実行し、顔が検出されたか否かを判断する。顔認識処理における顔が検出されたか否かの判断は、たとえば周知の顔認識処理における判断態様を適用することができる。顔認識処理では、鏡筒3がその時点で撮影した画像が、記憶装置2Aの一時記憶エリアに記録され、当該記録された画像に対して、顔認識のための処理が実行される。そして、中央制御部2は、当該画像から顔を検出できたと判断するとステップSA05へ処理を進め、顔が検出できなかったと判断するとステップSA10へ処理を進める。
【0059】
ステップSA10では、中央制御部2は、監視カメラ装置1においてオートパンモードが終了したか否かを判断し、終了したと判断すると速度制御処理をそのまま終了させる。一方、オートパンモードが終了していないと判断すると、ステップSA04へ処理を戻す。
【0060】
ステップSA05では、中央制御部2は、鏡筒3の回転速度の設定値を、ステップSA02で設定したVaから、Vbに切り替える。そして、さらに時間Tbを計時するタイマをオンさせて、ステップSA06へ処理を進める。
【0061】
ステップSA06では、上記タイマの計時時間を1加算更新して、ステップSA07へ処理を進める。
【0062】
ステップSA07では、中央制御部2は、その時点での鏡筒3が撮影した画像に対して顔認識処理を行ない、顔が検出されたか否かを判断する。そして、顔が検出されていないと判断するとステップSA09に処理を進め、検出されたと判断するとステップSA08へ処理を進める。
【0063】
ステップSA08では、規定時間Taと上記タイマの計時時間とを比較し、上記タイマの計時時間が規定時間Taにまだ達していないと判断すると処理をステップSA06へ戻し、規定時間Taに達したと判断するとステップSA09へ処理を進める。
【0064】
ステップSA09では、中央制御部2は、鏡筒3の回転速度の設定値をVaに戻し、速度制御処理を終了させる。
【0065】
これにより、ステップSA05でVbに切り替えられた鏡筒3の回転速度は、Vaに戻される。
【0066】
以上説明した本実施の形態では、監視カメラ装置1のオートパンモードにおいて、鏡筒3がオートパン動作をするようにその移動態様が制御される。そして、当該オートパンモードにおいて撮影された画像に対して顔認識処理が実行され、当該顔認識処理において顔が検出された場合には、鏡筒3の移動速度が、それまでよりも遅いものにされる(ステップSA05)。これにより、当該顔が含まれると判断された場所がより長い時間撮像面の視野に含まれるように、撮像面の移動態様が変更されることになる。
【0067】
なお、図8を参照して説明した速度制御処理では、撮影される画像において顔が検出されなくなった場合(ステップSA07で「顔検出なし」判断時)、または、ステップSA04で顔が検出されたと判断されてから所定時間(規定時間Ta)が経過したと判断されると(ステップSA08で「Ta≦Tb」判断時)、鏡筒3の移動速度は元の速度(Va)に戻される(ステップSA09)。
【0068】
なお、本実施の形態では、オートパンモードにおいて撮影された画像に顔が検出された場合に、鏡筒3の移動速度を遅くするという態様で、鏡筒3の移動態様が変更されたが、このような場合の移動態様の変更は、これに限定されない。たとえば、鏡筒3を、顔が検出された画像を撮影した位置に、顔が検出されなくなるまで、また顔が検出されてから所定時間が経過するまで、停止させるように移動態様を変更してもよい。鏡筒3の移動態様をどのように変更するかを特定する情報を含めた、速度制御処理を実行するためのプログラムは、たとえば記憶装置2Aに記憶されている。
【0069】
[第2の実施の形態]
(1.監視処理における鏡筒の視野)
本実施の形態の監視カメラ装置1では、監視処理において、第1の実施の形態のオートパンモードの代わりに、オートシーケンスモードが実行される。オートシーケンスモードとは、鏡筒3の視野を、予め設定された複数のポイントに順次一定時間ずつ停止させるように移動させるモードである。オートシーケンスモードにおける鏡筒3の移動動作を、以下、適宜「シーケンス動作」と呼ぶ。
【0070】
図9を参照して、オートシーケンス動作を具体的に説明する。
図9は、被写体OB20〜OB23を含む監視対象領域を監視カメラ装置1の鏡筒3に撮影させる例を示している。図9では、鏡筒3が、その視野を、被写体OB20および被写体OB21を含む枠F21、被写体OB22を含む枠F22および被写体OB23を含む枠F23に、一定時間ごとに停止させながら順に位置させるように、シーケンス動作する例が示されている。なお、鏡筒3は、枠F21に視野が位置する回転位置を実線で、枠F22,F23に視野が位置する回転位置を破線で、示されている。点P21〜点P23は、それぞれ枠F21〜枠F23の中心を示す。
【0071】
図9の例では、被写体OB20は、人物を表す。被写体OB21〜OB23は、ドアを表す。
【0072】
本実施の形態では、鏡筒3の撮影する画像に対して顔認識処理が実行され、画像に顔が含まれると判断されると、その位置での停止時間が、上記一定時間から延長される。
【0073】
図9において、鏡筒3の視野が枠F21,枠F22,枠F23の位置にあるとき、枠F21のときにのみ人物が含まれるため、当該位置に視野があるときにのみ撮影された画像に対する顔認識処理の結果、顔が含まれると判断される。したがって、鏡筒3の視野は、枠F21の位置にあるときには、シーケンス動作における停止時間が延長され、枠F22,枠F23の位置にあるときの停止時間よりも長くなる。
【0074】
(2.監視処理における速度制御処理)
図10は、本実施の形態における速度制御処理のフローチャートである。
【0075】
本実施の形態の速度制御処理は、監視処理に対して、鏡筒3の視野の停止時間を制御する処理である。
【0076】
速度制御処理では、まずステップSB01で、中央制御部2は、監視カメラ装置1がオートシーケンスモードにあるか否かを判断する。オートシーケンスモードとは、オートシーケンス動作を実行するモードである。そして、監視カメラ装置1が現在オートシーケンスモードではないと判断すると、中央制御部2は速度制御処理をそのまま終了させる。一方、監視カメラ装置1がオートシーケンスモードにあると判断すると(YES判断時)、中央制御部2は、ステップSB02へ処理を進める。
【0077】
ステップSB02では、中央制御部2は、鏡筒3の視野の各停止位置における停止時間をTcに設定して、ステップSB03に処理を進める。これにより、鏡筒3は、オートシーケンス動作において、停止すべき各位置において、基本的に時間Tcずつ停止して、撮影を行なう。
【0078】
ステップSB03では、中央制御部2は、鏡筒3が撮影した画像に対して顔認識処理を実行するための設定(顔検出設定)の内容を確認する。顔検出設定において、ONは、オートシーケンス動作において撮影された画像に対して顔認識処理を実行することを意味し、OFFは、当該処理を実行しないことを意味する。この設定内容は、たとえば、コントローラ5に対する監視者の操作内容に応じて、記憶装置2Aに登録される。そして、中央制御部2は、設定内容がOFFであれば、そのまま速度制御処理を終了させ、設定内容がONであれば、ステップSB04へ処理を進める。
【0079】
ステップSB04では、鏡筒3が撮影した画像に対して顔認識処理を実行し、顔が検出されたか否かを判断する。そして、中央制御部2は、当該画像から顔を検出できたと判断するとステップSB05へ処理を進め、顔が検出できなかったと判断するとステップSB10へ処理を進める。
【0080】
ステップSB10では、中央制御部2は、監視カメラ装置1においてオートシーケンスモードが終了したか否かを判断し、終了したと判断すると速度制御処理をそのまま終了させる。一方、オートシーケンスモードが終了していないと判断すると、ステップSB04へ処理を戻す。
【0081】
ステップSB05では、中央制御部2は、鏡筒3の停止時間の設定値を、ステップSB02で設定したTcから、Tdに切り替える。そして、さらに時間Teを計時するタイマをオンさせて、ステップSB06へ処理を進める。
【0082】
ステップSB06では、上記タイマの計時時間を1加算更新して、ステップSB07へ処理を進める。
【0083】
ステップSB07では、中央制御部2は、その時点での鏡筒3が撮影した画像に対して顔認識処理を行ない、顔が検出されたか否かを判断する。そして、顔が検出されていないと判断するとステップSB09に処理を進め、検出されたと判断するとステップSB08へ処理を進める。
【0084】
ステップSB08では、規定時間Taと上記タイマの計時時間とを比較し、上記タイマの計時時間が規定時間Taにまだ達していないと判断すると処理をステップSB06へ戻し、規定時間Taに達したと判断するとステップSB09へ処理を進める。
【0085】
ステップSB09では、中央制御部2は、鏡筒3の停止時間の設定値をTcに戻し、速度制御処理を終了させる。
【0086】
これにより、ステップSB05でTdに切り替えられた鏡筒3の停止時間は、Tcに戻される。
【0087】
以上説明した第2の実施の形態では、顔認識処理の結果顔が含まれると判断されると、その位置での停止時間が延長される。これにより、当該顔が含まれると判断された場所がより長い時間撮像面の視野に含まれるように、撮像面の移動態様が変更されることになる。
【0088】
[第3の実施の形態]
以上説明した第1および第2の実施の形態では、鏡筒3がパン方向およびチルト方向に回転されることにより移動され、これにより、鏡筒3の撮像面の視野が移動された。つまり、視野が移動されることにより、顔認識処理の対象とされる画像の撮影対象となる領域(監視対象領域の中の領域)が変更されていた。
【0089】
本実施の形態では、顔認識処理の対象とされる画像の撮影対象となる領域の変更は、鏡筒3を移動させることなく、鏡筒3に比較的広い領域の画像を継続的に撮影させ、撮影された画像から切出される位置が変更されることによって実現される。
【0090】
本実施の形態の監視カメラ装置は、第1および第2の実施の形態の監視カメラ装置1に対して、制御ブロック構成が異なる。以下、本実施の形態の監視カメラ装置1の制御ブロックを、制御ブロック図である図11を参照しつつ説明する。
【0091】
図11を参照して、本実施の形態では、中央制御部2は、中央処理部201、顔認識処理部203、画像記憶部205および画像切出部206を含む。
【0092】
また、記憶装置2Aは、中央制御部2によって実行されるプログラムを記憶するプログラム記憶部211と、鏡筒3から出力される画像から処理対象として切出す画像の位置の変更パターンを規定する情報を記憶するパターン記憶部213とを含む。
【0093】
中央制御部2は、コントローラ5からの入力を受付け、当該入力に基づいて、監視カメラ装置1の動作を制御する。また、中央制御部2は、カメラ制御部21に対して、制御信号を送信する。
【0094】
顔認識処理部203は、画像に対して顔画像を検出するための顔認識処理を実行する。本実施の形態では、顔認識処理部203により、画像に対して特定の画像(顔画像)を検出する物体検出処理(顔認識処理)を実行する物体検出手段が構成されている。
【0095】
画像記憶部205は、映像信号処理回路40から入力される画像情報を記憶する。画像記憶部205は、たとえばSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)によって構成される。
【0096】
画像切出部206は、画像記憶部205に入力された画像から、中央処理部201から指示された領域の画像を切出して、中央処理部201に出力する。
【0097】
中央処理部201は、パターン記憶部213に記憶された情報に基づいて、画像切出部206に、切出す画像領域を指示する。これにより、中央処理部201には、鏡筒3によって撮影された画像から、パターン記憶部213に記憶されたパターンに従った位置にある領域の画像が切出されて、入力される。
【0098】
中央処理部201、顔認識処理部203および画像切出部206は、たとえば中央制御部2に含まれるCPUがプログラム記憶部211に記憶されるプログラムを実行することによって実現されても良いし、中央制御部2に備えられた各部に対応する専用の回路(ASIC)によって実現されても良い。
【0099】
図12では、鏡筒3が撮影する画像が、画像100として示されている。そして、中央制御部2は、画像100から、監視対象、つまり、顔認識処理の対象として、画像100から、画像101〜106として示される、画像100内に位置する画像を切り出す。具体的には、画像100は、映像信号処理回路40から画像記憶部205に出力される画像に相当する。画像101〜106は、画像切出部206によって画像記憶部205に記憶された画像から切出された画像に相当する。
【0100】
鏡筒3は、順次、同じ領域を撮影する。これにより、画像100の実際の内容は、鏡筒3の撮像素子からの画像データの転送タイミングごとに入れ替えられる。
【0101】
一方、中央制御部2は、画像100から監視対象(顔認識処理の対象)として画像を切り出す位置を、変更する。
【0102】
(オートパンモード)
たとえば、第1の実施の形態で説明したようなオートパンモードでは、図12に示すように、画像101、画像102、画像103、画像104というように、画像100の中から画像を切り出す位置を隣接する位置へと特定時間ごとに切り替える。
【0103】
そして、第1の実施の形態では、顔認識処理において画像に顔が含まれると判断されると、その時点での鏡筒3の移動速度を低くすることにより、その周辺を遅く移動させ、これにより、当該顔をより長く撮影できるようにしていた。
【0104】
本実施の形態では、顔認識処理において画像に顔が含まれると判断されると、切り出し位置を次の位置に変更するまでの時間が延長される。これにより、切り出し位置の画像100における移動速度が遅くなる。
【0105】
(オートシーケンスモード)
また、第2の実施の形態で説明したようなオートシーケンスモードでは、図13に示すように、画像100の中から画像を切り出す一を、画像111、画像112、画像113、画像111というように、一定時間ごとに順次切り替える。
【0106】
そして、第2の実施の形態では、顔認識処理において画像に顔が含まれると判断されると、その位置での停止速度が延長されていた。
【0107】
本実施の形態では、顔認識処理において画像に顔が含まれると判断されると、切り出し位置を次の位置に変更するまでの時間が延長される。これにより、切り出し位置の画像100における停止速度が遅くなる。
【0108】
[その他の変形例について]
以上説明した各実施の形態では、撮像素子としてCCDが採用されているが、これに限定されず、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)など他の種類の素子が採用されても良い。
【0109】
また、以上説明した各実施の形態では、鏡筒3によって撮影された画像は、監視カメラ装置1の表示器4に出力されて表示されるが、監視カメラ装置1において撮影された画像の取扱いはこれに限定されない。監視カメラ装置1は、鏡筒3が撮影した画像を、通信ネットワークを介して外部の装置に送信しても良い。
【0110】
また、以上説明した各実施の形態では、人が存在するか否かを顔認識処理に基づいて決定していたが、人が存在するか否かを、鏡筒3が撮影した画像中に「肌色」が検出されたか否かに基づいて判断しても良い。
【0111】
また、以上説明した各実施の形態では、顔認識処理の対象となる画像データは、画像出力部204や画像記憶部205に一時的に記憶されていたが、本発明における顔認識処理(物体検出処理)では、映像信号処理回路40から出力されるデータが、上記のように一時的にメモリに記憶されることなく、リアルタイムで処理されても良い。
【0112】
また、以上説明した各実施の形態では、人が存在するか否かに基づいて回転速度や停止時間停止の設定値を調整していたが、本発明はこれに限定されない。顔認識処理の代わりに、鏡筒3の撮影対象となる領域に特定の物体(たとえば、特定の動物等)が存在するか否かを検出する処理(物体検出処理)を実行し、当該特定の物体の有無に基づいて、回転速度の設定値の調整(図7)や停止時間の設定値の調整(図9)の調整を行なっても良い。この場合、物体検出処理では、画像出力部204から中央処理部201に出力される画像または画像切出部206から中央処理部201に出力される画像に対して、特定の物体についてのパターン認識が行なわれることにより、特定の物体の有無が判断される。
【0113】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、各実施の形態で説明された技術的思想は、単独で実施されても良いし、可能な限り組み合わされて実施されることも意図される。
【符号の説明】
【0114】
1 監視カメラユニット、2 中央制御部、2A 記憶装置、3 鏡筒、4 表示器、5 コントローラ、6 監視対象、11,12 角速度センサ、21 カメラ制御部、22 チルトモータ制御部、23 パンモータ制御部、30 アーム、31 チルトモータ、32 回転板、33 スリップ機構、34 台座、35 パンモータ、36 パンギア、40 映像信号処理回路、50 ジョイスティック、51 操作キー、201 中央処理部、202 移動制御部、203 顔認識処理部、204 画像出力部、205 画像記憶部、206 画像切出部、211 プログラム記憶部、212,213 パターン記憶部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラ装置に関し、特に、顔認識処理を実行する監視カメラ装置、ならびに、その制御方法および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、監視カメラ装置において、撮影された画像に対して画像処理を行ない、当該画像処理の結果に基づいて撮影対象となった領域の状態を自動的に判断する技術が開示されてきた。
【0003】
たとえば、特許文献1(特開平9−167286号公報)には、所定の警戒区域内を旋回しながら監視する撮像装置を用い、当該撮像装置の監視画像から抽出された赤色分布情報等に基づいて、当該警戒区域内の火災発生を検出する火災検出装置が開示されている。当該火災検出装置では、火災の有無を判断するための閾値が撮像手段の旋回位置に従って変更されるため、旋回位置の変化によって生じる画像の劣化を補正することができ、誤認の可能性を小さくできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−167286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
なお、監視カメラ装置において、監視領域内の侵入者を撮影することが意図される場合、単に監視領域内に侵入者が存在していたことだけでなく、一歩進んだ情報を提供できる画像を撮影することにより、監視性能の向上を図ることが切望されている。
【0006】
本発明は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、監視カメラ装置の監視性能を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従った監視カメラ装置は、画像を撮影する撮像部と、撮像部が撮影した画像を出力する出力部と、領域の移動態様を特定する情報を記憶する記憶部と、出力部から出力される画像の撮影対象となる領域を、記憶部に記憶された情報に対応する移動態様で移動させる移動制御部と、出力部から出力された画像に対して特定の物体を検出する物体検出処理を実行する物体検出手段とを備え、移動制御部は、物体検出手段による物体検出処理において特定の物体が検出された場合に、記憶部に記憶された情報に対応する移動態様を、物体検出手段で検出された特定の物体を検出したと判断した場所が物体検出手段により検出される前において当該場所が出力部から出力される画像に含まれるべき時間より長く出力部から出力される画像の中に含まれるように変更する。
【0008】
また、本発明の監視カメラ装置では、移動制御部は、物体検出処理において特定の物体が検出された場合に、記憶部に記憶された情報に対応する移動態様を、当該移動態様に従った領域の移動速度を低減させるように変更する。
【0009】
また、本発明の監視カメラ装置では、移動制御部は、物体検出処理において特定の物体が検出された場合に、記憶部に記憶された情報に対応する移動態様を、当該移動態様に従った停止時間が延長されるように変更する。
【0010】
また、本発明の監視カメラ装置では、移動制御部は、物体検出処理の結果が特定の物体を含まないというものであった場合に、記憶部に記憶された情報に対応する移動態様を、当該移動態様に従った停止時間を短縮するように変更する。
【0011】
また、本発明の監視カメラ装置では、記憶部は、物体検出処理において特定の物体が検出された場合の特別な移動態様を特定する情報をさらに記憶し、移動制御部は、物体検出処理において特定の物体が検出された場合に、出力部から出力される画像の撮影対象となる領域を、特別な移動態様で移動させる。
【0012】
また、本発明の監視カメラ装置では、移動制御部は、物体検出処理において特定の物体が検出されてから所定時間が経過したことを条件として、出力部から出力される画像の撮影対象となる領域の移動態様を記憶部に記憶された情報に対応する移動態様に戻す。
【0013】
また、本発明の監視カメラ装置では、移動制御部は、物体検出処理において特定の物体が検出されてから物体検出処理の認識率が所定の値以上となったことを条件として、出力部から出力される画像の撮影対象となる領域の移動態様を記憶部に記憶された情報に対応する移動態様に戻す。
【0014】
また、本発明の監視カメラ装置では、移動制御部は、物体検出処理において特定の物体が検出されてから物体検出処理の認識率が所定の値以下となったことを条件として、出力部から出力される画像の撮影対象となる領域の移動態様を記憶部に記憶された情報に対応する移動態様に戻す。
【0015】
また、本発明の監視カメラ装置では、記憶部は、特定の物体の特徴情報を記憶し、移動制御部は、物体検出手段による物体検出処理において特定の物体が検出された場合、認識された特定の物体の特徴が記憶部に記憶された特徴情報と一致しないときにのみ、記憶部に記憶された情報に対応する移動態様を、場所が時間的に長く出力部から出力される画像の中に含まれるように変更する。
【0016】
また、本発明の監視カメラ装置では、移動制御部は、撮像部を移動させることにより、出力部から出力される画像の撮影対象となる領域を移動させる。
【0017】
また、本発明の監視カメラ装置では、移動制御部は、撮像部が撮影した画像において、出力部から出力するために画像を切出す領域を移動させることにより、出力部から出力される画像の撮影対象となる領域を移動させる。
【0018】
本発明に従った監視カメラ装置は、記憶部と、画像を撮影する撮像部とを備えた監視カメラ装置の制御方法であって、撮影部が撮影した画像を出力するステップと、領域の移動態様を特定する情報を記憶部に記憶するステップと、記憶部に記憶された移動態様で、出力する画像の撮影部による撮影対象となる領域を移動させるステップと、出力する画像に対して特定の物体を検出する物体検出処理を実行するステップと、物体検出処理において特定の物体を検出した場合に、当該特定の物体が含まれると認識した場所が、当該特定の物体が検出される前において、出力する画像に含まれるべき時間よりも長い時間、出力される画像に含まれるように、出力する画像の撮影対象となる領域の移動態様を変更するステップとを備える。
【0019】
本発明に従った監視カメラ装置の制御プログラムは、画像を撮影する撮像部を備えた監視カメラ装置を制御するために、メモリとプロセッサとを備えたコンピュータにおいて実行される制御プログラムであって、制御プログラムは、プロセッサに、撮影部が撮影した画像を出力するステップと、メモリに、領域の移動態様を特定する情報を記憶するステップと、移動態様で、出力する画像の撮影部による撮影対象となる領域を移動させるステップと、出力する画像に対して特定の物体を検出する物体検出処理を実行するステップと、物体検出処理において特定の物体を検出した場合に、当該特定の物体が含まれると認識した場所が、当該特定の物体が検出される前において、出力する画像に含まれるべき時間よりも長い時間、出力される画像に含まれるように、出力する画像の撮影対象となる領域の移動態様を変更するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、監視カメラ装置において、撮影対象となる領域が予め記憶された情報に対応する移動態様で移動されるところ、撮影された画像に対する顔認識処理の結果が顔を含むというものであった場合には、上記移動態様が、含まれると認識された顔がより長く撮影される画像の中に含まれるように変更される。
【0021】
これにより、より長く、顔を撮影させることができるため、撮影された画像に含まれる人物の特定が容易になる等、監視カメラ装置の監視性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の監視カメラ装置の第1の実施の形態のハードウェア構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】図1の監視カメラユニットを、図1中の矢印A方向から見た平面図である。
【図3】図1の監視カメラユニットを、図1中の矢印B方向から見た側面図である。
【図4】図1のジョイスティックに対する操作態様を説明するための図である。
【図5】本発明の監視カメラ装置の第1の実施の形態における、オートパン動作を説明するための図である。
【図6】図5のオートパン動作による鏡筒の視野の移動態様を説明するための図である。
【図7】図1の監視カメラ装置の制御ブロック図である。
【図8】本発明の監視カメラ装置の第1の実施の形態における、速度制御処理のフローチャートである。
【図9】本発明の監視カメラ装置の第2の実施の形態における、シーケンス動作による鏡筒の視野の移動態様を説明するための図である。
【図10】本発明の監視カメラ装置の第2の実施の形態における、監視処理のフローチャートである。
【図11】本発明の監視カメラ装置の第3の実施の形態の制御ブロック図である。
【図12】本発明の監視カメラ装置の第3の実施の形態における画像の切出しの一例を説明するための図である。
【図13】本発明の監視カメラ装置の第3の実施の形態における画像の切出しの他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、各図において、同じ機能を奏する要素については、同一の参照符号を付し、その説明は繰返さない。
【0024】
[第1の実施の形態]
(1.全体構成)
図1は、本発明の監視カメラ装置の第1の実施の形態である監視カメラ装置1のハードウェア構成を模式的に示すブロック図である。図2は、図1を矢印A方向から見た平面図である。図3は、図1を矢印B方向から見た側面図である。
【0025】
図1〜図3を参照して、監視カメラ装置1は、広範囲に亘って監視できるように、レンズとCCD(Charge-Coupled Device)素子を有する鏡筒3を水平方向に旋回させるパン機構と、垂直方向に旋回させるチルト機構を具えている。
【0026】
監視カメラ装置1では、被写体の光学像は、レンズを介してCCD素子に取り込まれ、鏡筒3から映像信号として映像信号処理回路40へ出力される。以下、被写体の光学像がCCD素子に取り込まれることを撮像と定義する。なお、本実施の形態では、被写体に存在する主要被写体を監視対象6とする。
【0027】
図1において、鏡筒3は、アーム30の下端部にチルト方向に回動可能に支持されて、チルトモータ31により回転される。アーム30の上端部は、水平面内を360度回転する回転板32に支持される。該回転板32は、スリップ機構33を介して、天井に固定される台座34に取り付けられている。台座34には、パンモータ35が固定されている。該パンモータ35に繋がったパンギア36が回転板32に噛合することにより、回転板32はパン方向に回転する。
【0028】
本実施の形態では、鏡筒3およびこれを支持しまた回転させる部材を合わせて、適宜監視カメラユニットと呼ぶ。監視カメラユニットには、鏡筒3、アーム30、チルトモータ31、回転板32、スリップ機構33、台座34、パンモータ35およびパンギア36が含まれる。
【0029】
鏡筒3は、ズーム動作等を制御するカメラ制御部21に接続される。チルトモータ31は、該モータ31の回転速度、加速度を制御するチルトモータ制御部22に接続される。パンモータ35は、該モータ35の回転速度、加速度を制御するパンモータ制御部23に接続される。
【0030】
カメラ制御部21、チルトモータ制御部22、パンモータ制御部23は、マイクロコンピュータである中央制御部2に接続されている。中央制御部2は、操作キー51やジョイスティック50を具えたコントローラ5に接続される。中央制御部2は、監視カメラ装置1の動作を全体的に制御し、たとえばCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを含む。
【0031】
鏡筒3から出力される映像信号は、映像信号処理回路40にて画像処理される。映像信号処理回路40は、鏡筒3から出力された映像信号を処理することによって得られた画像信号を、表示器4および後述する画像出力部204に出力する。表示器4に出力された画像信号は、表示器4において画像として映し出される。
【0032】
なお、監視カメラ装置1が記録装置(図示略)をさらに備え、鏡筒3から出力される映像信号に対して圧縮処理等を施し、圧縮映像データとして当該記録装置において連続的に記録されても良い。
【0033】
コントローラ5のユーザである監視者は、操作キー51やジョイスティック50を操作して、中央制御部2に信号を送る。中央制御部2は、信号の内容を解析して、カメラ制御部21、チルトモータ制御部22、パンモータ制御部23を制御し、撮影を開始する。
【0034】
鏡筒3から出力される映像信号は、映像信号処理回路40にてノイズ等が除去されて、表示器4に画像として映し出される。監視者は、表示器4の画像を見て、操作キー51やジョイスティック50を操作する。パンモータ35、チルトモータ31が回転して、鏡筒3を、例えば人である監視対象6に向ける。また、必要に応じて、カメラ制御部21を制御して、監視対象6のズーム画像を得る。
【0035】
ジョイスティック50は、図4に示すように、起立姿勢から、数段階の傾き位置K1、K2、K3で示される姿勢を取ることができる。起立姿勢からの傾き角が大きいほど、パンモータ35、チルトモータ31の速度が速くなる。例えば、図4において、ジョイスティック50がK3の位置にあるときに最もパンモータ35、チルトモータ31の速度が速い。ジョイスティック50が傾き位置を保っているときは、パンモータ35、チルトモータ31は一定速度で回転し、ジョイスティック50をK1からK3に向けて倒すと、パンモータ35、チルトモータ31は加速度が増して速く回転する。逆に、K3からK1に向けて戻すと、モータ31およびモータ35は減速する。尚、ジョイスティック50の傾き
が3段階であるのは、例示であって、これに限定されない。
【0036】
監視カメラ装置1は、たとえば天井等に取付けられる。したがって、鏡筒3が図3に実線で示すように、天井に対して真下を向いた位置(以下、「真下位置」と呼ぶ)を基準として、左右両方向に90度チルト方向に旋回できる。鏡筒3が真下位置から左向きに傾いた場合を想定すると、鏡筒3は、鏡筒3の左側下端Cが上となった位置にて被写体の光学像を捉える。しかし、チルトモータ31の回転により、鏡筒3が時計方向に旋回して、真下位置から右向きに傾くと、鏡筒3は、鏡筒3の左側下端Cが下となった位置にて被写体の光学像を捉える。
【0037】
なお、鏡筒3が時計方向に旋回して真下位置に達すると、鏡筒3を該真下位置にて一旦停止させ、パンモータ35を回転させて、鏡筒3を水平面内にて180度回転させてもよい。この後、チルトモータ31を回転させて、鏡筒3を真下位置から右向きに旋回させる。また、鏡筒3を該真下位置にて一旦停止させて、鏡筒3から出力される映像信号を電気的に処理して、上下を合わせた画像を形成するものもある。なお、中央制御部2は、鏡筒3が真下位置に達したことを、位置センサ(図示せず)等の検出出力により認識できる。
【0038】
鏡筒3には、角速度センサ11,12が配設されている。角速度センサ11および角速度センサ12は、たとえばジャイロセンサによって構成され、監視カメラ装置1での画ブレ補正におけるブレの検出にも利用される。回転方向αは、パン方向の旋回の回転方向である。回転方向βは、チルト方向の旋回の回転方向である。角速度信号回路10は、角速度センサ11からの出力に基づいて、垂直方向に沿った軸回りの回転方向(図1中の回転方向α)における角速度を検出する。また、角速度信号回路10は、角速度センサ12からの出力に基づいて、水平方向に沿った軸回りの回転方向(図1中の回転方向β)における角速度を検出する。
【0039】
中央制御部2は、記憶装置2Aに記録されたプログラム(または、監視カメラ装置1本体に対して着脱可能な記録媒体に記録されたプログラム)を実行することにより、監視カメラ装置1の各要素の動作を全体的に制御する。
【0040】
なお、監視カメラ装置1では、鏡筒3は、コントローラ5に対する操作に逐次的に応じて旋回する他に、記憶装置2Aに記録されたプログラムに従ったシーケンス(後述するパンモード時の動作等)に従って動作する。
【0041】
(2.監視処理における鏡筒の視野)
監視カメラ装置1において実行される監視処理では、鏡筒3を予め定められた2つの位置の間で往復運動させながら撮像が行なう、オートパン動作がなされる。鏡筒3の位置は、パン方向の角度とチルト方向の角度によって特定される。2つの位置を特定する情報は、たとえばコントローラ5を操作されることにより入力され、記憶装置2Aに記憶される。なお、2つの位置を特定する情報は、予め記憶装置2Aに記憶されていても良い。
【0042】
図5に示された例では、往復運動の往路において、鏡筒3は、図5中の矢印A1方向に移動する。これにより、鏡筒3の視野は矢印A11方向に移動する。また、復路では、鏡筒3は、矢印A2方向に移動する。これにより、鏡筒3の視野は矢印A12方向に移動する。このように視野が移動することにより、監視カメラ装置1は、被写体OB1〜OB3が存在する監視対象領域全体の画像を撮影することができる。
【0043】
図6に、オートパン動作における鏡筒3の視野の移動態様を示す。
図6に示された例では、鏡筒3は、その視野の中心が、点P1から点P2,点P3を経て、点P4まで移動するような経路上を、往復運動させられる。鏡筒3の往復運動の際に、鏡筒3の視野の中心が描く軌跡が線L1で示されている。なお、点P1を中心とする視野が枠F1で示され、点P2,点P3,点P4のそれぞれを中心とする視野が、枠F2,枠F3,枠F4で示されている。
【0044】
本実施の形態の監視処理では、鏡筒3を一定の速度で上記した往復運動させながら、鏡筒3が撮影した画像に対して顔認識処理が実行される。そして、当該顔認識処理の結果、撮影された画像に顔が含まれると判断されると、鏡筒3の移動速度が、上記した一定の速度よりも遅いものとされる。顔認識処理は、公知の顔検出の技術、たとえば日本電気株式会社の「多重照合顔検出法」に含まれる顔検出の技術によって実現される。「多重照合顔検出法」は、ニューラルネットワーク技術を用いて顔検出、顔器官特徴点検出、認証を行なう技術である。「多重照合顔検出法」では、目などの濃淡コントラストのある領域が顔特徴として抽出され、このように抽出された顔特徴と顔の判定結果とが組み合わされた学習アルゴリズムに基づいて、パターン認識が行なわれる。
【0045】
図6に示す例において、鏡筒3が、その視野の中心を点P1から点P4に線L1に沿うように移動させて回転移動した場合、その視野が枠F1から枠F2まで移動すると、その後、鏡筒3の回転移動の速度が低減される。視野が枠F2にまで移動したとき、人物を表わす被写体OB1の顔面が含まれるからである。その後、鏡筒3が回転運動を続けると、その視野が枠F3に位置するまで、当該低減された速度で回転移動する。鏡筒3が、その視野が枠F3を超え枠F4に向けて移動するように、さらに回転移動されると、鏡筒3の視野に被写体OB1の顔面が、顔認識処理において顔を認識される態様では含まれなくなる。したがって、それ以降の、つまり、顔認識処理において顔を認識されなくたった後の回転移動では、元の所定の速度で鏡筒3が回転移動する。
【0046】
図6では、このような回転移動の速度の変化が、白抜きの矢印およびそれらに付された速度で示されている。また、枠F1〜枠F4の各中心と鏡筒3が、破線で結ばれている。そして、図6では、鏡筒3の回転速度が、その視野の中心が点P1から点P2まで移動する際の速度(上記した一定の速度)がVaで示され、その視野が点P2から点P3まで移動するときの回転速度がVbで示され、そして、その視野の中心が点P3から点P4まで移動するときの回転速度が、Vaで示されている。
【0047】
図6において、被写体OB2と被写体OB3は、ドアを表わしている。鏡筒3の視野に、たとえ被写体OB2や被写体OB3の全体が含まれたとしても、被写体OB1が含まれていなければ、上記した速度の変更は行なわれない。被写体OB1を含まない画像に対して顔認識処理が実行されても、顔が含まれるという処理結果は得られないからである。
【0048】
(3.制御ブロック)
図7は、監視カメラ装置1の制御ブロック図である。
【0049】
図7を参照して、中央制御部2は、中央処理部201、移動制御部202、顔認識処理部203および画像出力部204を含む。また、記憶装置2Aは、中央制御部2によって実行されるプログラムを記憶するプログラム記憶部211と、鏡筒3の移動パターンを規定する情報を記憶するパターン記憶部212とを含む。中央制御部2は、コントローラ5からの入力を受付け、当該入力に基づいて、監視カメラ装置1の動作を制御する。また、中央制御部2は、カメラ制御部21に対して、制御信号を送信する。
【0050】
中央処理部201は、パターン記憶部212に記憶された情報と角速度信号回路10から出力される角速度とに基づいて、移動制御部202に、鏡筒3を移動させるための制御情報を出力する。移動制御部202は、中央処理部201から出力された情報に基づいて、チルトモータ制御部22とパンモータ制御部23のそれぞれに、モータを制御するための情報を出力する。これにより、鏡筒3は、パターン記憶部212に記憶された情報に対応する移動パターンで、移動する。
【0051】
顔認識処理部203は、画像に対して顔画像を検出するための顔認識処理を実行する。本実施の形態では、顔認識処理部203により、画像に対して特定の画像(顔画像)を検出する物体検出処理(顔認識処理)を実行する物体検出手段が構成されている。
【0052】
画像出力部204は、映像信号処理回路40から画像情報の入力を受付け、中央処理部201に出力する。
【0053】
中央処理部201、移動制御部202、顔認識処理部203および画像出力部204は、たとえば中央制御部2に含まれるCPUがプログラム記憶部211に記憶されるプログラムを実行することによって実現されても良いし、中央制御部2に備えられた各部に対応する専用の回路(ASIC(Application Specific Integrated Circuit))によって実現されても良い。
【0054】
(4.監視処理における速度制御処理)
監視カメラ装置1では、上記したように、鏡筒3を往復運動させることにより鏡筒3の視野を往復運動させながら撮像が行なわれる、監視処理が実行される。なお、監視カメラ装置1では、当該監視処理における鏡筒3の移動速度(つまり、その視野の移動速度)が、図6を参照して説明したように、撮影された画像に対する顔認識処理の結果に応じて変更される。図8に、鏡筒3の視野の移動速度を制御する処理である、速度制御処理のフローチャートを示す。
【0055】
速度制御処理では、まずステップSA01で、中央制御部2は、監視カメラ装置1がオートパンモードにあるか否かを判断する。オートパンモードとは、オートパン動作を実行するモードである。そして、監視カメラ装置1が現在オートパンモードではないと判断すると、中央制御部2は速度制御処理をそのまま終了させる。一方、監視カメラ装置1がオートパンモードにあると判断すると(YES判断時)、中央制御部2は、ステップSA02へ処理を進める。
【0056】
ステップSA02では、中央制御部2は、鏡筒3の回転速度をVaに設定して、ステップSA03に処理を進める。これにより、鏡筒3は、オートパン動作において、速度Vaで回転移動する。
【0057】
ステップSA03では、中央制御部2は、鏡筒3が撮影した画像に対して顔認識処理を実行するための設定(顔検出設定)の内容を確認する。顔検出設定において、ONは、オートパン動作において撮影された画像に対して顔認識処理を実行することを意味し、OFFは、当該処理を実行しないことを意味する。この設定内容は、たとえば、コントローラ5に対する監視者の操作内容に応じて、記憶装置2Aに登録される。そして、中央制御部2は、設定内容がOFFであれば、そのまま速度制御処理を終了させ、設定内容がONであれば、ステップSA04へ処理を進める。
【0058】
ステップSA04では、鏡筒3が撮影した画像に対して顔認識処理を実行し、顔が検出されたか否かを判断する。顔認識処理における顔が検出されたか否かの判断は、たとえば周知の顔認識処理における判断態様を適用することができる。顔認識処理では、鏡筒3がその時点で撮影した画像が、記憶装置2Aの一時記憶エリアに記録され、当該記録された画像に対して、顔認識のための処理が実行される。そして、中央制御部2は、当該画像から顔を検出できたと判断するとステップSA05へ処理を進め、顔が検出できなかったと判断するとステップSA10へ処理を進める。
【0059】
ステップSA10では、中央制御部2は、監視カメラ装置1においてオートパンモードが終了したか否かを判断し、終了したと判断すると速度制御処理をそのまま終了させる。一方、オートパンモードが終了していないと判断すると、ステップSA04へ処理を戻す。
【0060】
ステップSA05では、中央制御部2は、鏡筒3の回転速度の設定値を、ステップSA02で設定したVaから、Vbに切り替える。そして、さらに時間Tbを計時するタイマをオンさせて、ステップSA06へ処理を進める。
【0061】
ステップSA06では、上記タイマの計時時間を1加算更新して、ステップSA07へ処理を進める。
【0062】
ステップSA07では、中央制御部2は、その時点での鏡筒3が撮影した画像に対して顔認識処理を行ない、顔が検出されたか否かを判断する。そして、顔が検出されていないと判断するとステップSA09に処理を進め、検出されたと判断するとステップSA08へ処理を進める。
【0063】
ステップSA08では、規定時間Taと上記タイマの計時時間とを比較し、上記タイマの計時時間が規定時間Taにまだ達していないと判断すると処理をステップSA06へ戻し、規定時間Taに達したと判断するとステップSA09へ処理を進める。
【0064】
ステップSA09では、中央制御部2は、鏡筒3の回転速度の設定値をVaに戻し、速度制御処理を終了させる。
【0065】
これにより、ステップSA05でVbに切り替えられた鏡筒3の回転速度は、Vaに戻される。
【0066】
以上説明した本実施の形態では、監視カメラ装置1のオートパンモードにおいて、鏡筒3がオートパン動作をするようにその移動態様が制御される。そして、当該オートパンモードにおいて撮影された画像に対して顔認識処理が実行され、当該顔認識処理において顔が検出された場合には、鏡筒3の移動速度が、それまでよりも遅いものにされる(ステップSA05)。これにより、当該顔が含まれると判断された場所がより長い時間撮像面の視野に含まれるように、撮像面の移動態様が変更されることになる。
【0067】
なお、図8を参照して説明した速度制御処理では、撮影される画像において顔が検出されなくなった場合(ステップSA07で「顔検出なし」判断時)、または、ステップSA04で顔が検出されたと判断されてから所定時間(規定時間Ta)が経過したと判断されると(ステップSA08で「Ta≦Tb」判断時)、鏡筒3の移動速度は元の速度(Va)に戻される(ステップSA09)。
【0068】
なお、本実施の形態では、オートパンモードにおいて撮影された画像に顔が検出された場合に、鏡筒3の移動速度を遅くするという態様で、鏡筒3の移動態様が変更されたが、このような場合の移動態様の変更は、これに限定されない。たとえば、鏡筒3を、顔が検出された画像を撮影した位置に、顔が検出されなくなるまで、また顔が検出されてから所定時間が経過するまで、停止させるように移動態様を変更してもよい。鏡筒3の移動態様をどのように変更するかを特定する情報を含めた、速度制御処理を実行するためのプログラムは、たとえば記憶装置2Aに記憶されている。
【0069】
[第2の実施の形態]
(1.監視処理における鏡筒の視野)
本実施の形態の監視カメラ装置1では、監視処理において、第1の実施の形態のオートパンモードの代わりに、オートシーケンスモードが実行される。オートシーケンスモードとは、鏡筒3の視野を、予め設定された複数のポイントに順次一定時間ずつ停止させるように移動させるモードである。オートシーケンスモードにおける鏡筒3の移動動作を、以下、適宜「シーケンス動作」と呼ぶ。
【0070】
図9を参照して、オートシーケンス動作を具体的に説明する。
図9は、被写体OB20〜OB23を含む監視対象領域を監視カメラ装置1の鏡筒3に撮影させる例を示している。図9では、鏡筒3が、その視野を、被写体OB20および被写体OB21を含む枠F21、被写体OB22を含む枠F22および被写体OB23を含む枠F23に、一定時間ごとに停止させながら順に位置させるように、シーケンス動作する例が示されている。なお、鏡筒3は、枠F21に視野が位置する回転位置を実線で、枠F22,F23に視野が位置する回転位置を破線で、示されている。点P21〜点P23は、それぞれ枠F21〜枠F23の中心を示す。
【0071】
図9の例では、被写体OB20は、人物を表す。被写体OB21〜OB23は、ドアを表す。
【0072】
本実施の形態では、鏡筒3の撮影する画像に対して顔認識処理が実行され、画像に顔が含まれると判断されると、その位置での停止時間が、上記一定時間から延長される。
【0073】
図9において、鏡筒3の視野が枠F21,枠F22,枠F23の位置にあるとき、枠F21のときにのみ人物が含まれるため、当該位置に視野があるときにのみ撮影された画像に対する顔認識処理の結果、顔が含まれると判断される。したがって、鏡筒3の視野は、枠F21の位置にあるときには、シーケンス動作における停止時間が延長され、枠F22,枠F23の位置にあるときの停止時間よりも長くなる。
【0074】
(2.監視処理における速度制御処理)
図10は、本実施の形態における速度制御処理のフローチャートである。
【0075】
本実施の形態の速度制御処理は、監視処理に対して、鏡筒3の視野の停止時間を制御する処理である。
【0076】
速度制御処理では、まずステップSB01で、中央制御部2は、監視カメラ装置1がオートシーケンスモードにあるか否かを判断する。オートシーケンスモードとは、オートシーケンス動作を実行するモードである。そして、監視カメラ装置1が現在オートシーケンスモードではないと判断すると、中央制御部2は速度制御処理をそのまま終了させる。一方、監視カメラ装置1がオートシーケンスモードにあると判断すると(YES判断時)、中央制御部2は、ステップSB02へ処理を進める。
【0077】
ステップSB02では、中央制御部2は、鏡筒3の視野の各停止位置における停止時間をTcに設定して、ステップSB03に処理を進める。これにより、鏡筒3は、オートシーケンス動作において、停止すべき各位置において、基本的に時間Tcずつ停止して、撮影を行なう。
【0078】
ステップSB03では、中央制御部2は、鏡筒3が撮影した画像に対して顔認識処理を実行するための設定(顔検出設定)の内容を確認する。顔検出設定において、ONは、オートシーケンス動作において撮影された画像に対して顔認識処理を実行することを意味し、OFFは、当該処理を実行しないことを意味する。この設定内容は、たとえば、コントローラ5に対する監視者の操作内容に応じて、記憶装置2Aに登録される。そして、中央制御部2は、設定内容がOFFであれば、そのまま速度制御処理を終了させ、設定内容がONであれば、ステップSB04へ処理を進める。
【0079】
ステップSB04では、鏡筒3が撮影した画像に対して顔認識処理を実行し、顔が検出されたか否かを判断する。そして、中央制御部2は、当該画像から顔を検出できたと判断するとステップSB05へ処理を進め、顔が検出できなかったと判断するとステップSB10へ処理を進める。
【0080】
ステップSB10では、中央制御部2は、監視カメラ装置1においてオートシーケンスモードが終了したか否かを判断し、終了したと判断すると速度制御処理をそのまま終了させる。一方、オートシーケンスモードが終了していないと判断すると、ステップSB04へ処理を戻す。
【0081】
ステップSB05では、中央制御部2は、鏡筒3の停止時間の設定値を、ステップSB02で設定したTcから、Tdに切り替える。そして、さらに時間Teを計時するタイマをオンさせて、ステップSB06へ処理を進める。
【0082】
ステップSB06では、上記タイマの計時時間を1加算更新して、ステップSB07へ処理を進める。
【0083】
ステップSB07では、中央制御部2は、その時点での鏡筒3が撮影した画像に対して顔認識処理を行ない、顔が検出されたか否かを判断する。そして、顔が検出されていないと判断するとステップSB09に処理を進め、検出されたと判断するとステップSB08へ処理を進める。
【0084】
ステップSB08では、規定時間Taと上記タイマの計時時間とを比較し、上記タイマの計時時間が規定時間Taにまだ達していないと判断すると処理をステップSB06へ戻し、規定時間Taに達したと判断するとステップSB09へ処理を進める。
【0085】
ステップSB09では、中央制御部2は、鏡筒3の停止時間の設定値をTcに戻し、速度制御処理を終了させる。
【0086】
これにより、ステップSB05でTdに切り替えられた鏡筒3の停止時間は、Tcに戻される。
【0087】
以上説明した第2の実施の形態では、顔認識処理の結果顔が含まれると判断されると、その位置での停止時間が延長される。これにより、当該顔が含まれると判断された場所がより長い時間撮像面の視野に含まれるように、撮像面の移動態様が変更されることになる。
【0088】
[第3の実施の形態]
以上説明した第1および第2の実施の形態では、鏡筒3がパン方向およびチルト方向に回転されることにより移動され、これにより、鏡筒3の撮像面の視野が移動された。つまり、視野が移動されることにより、顔認識処理の対象とされる画像の撮影対象となる領域(監視対象領域の中の領域)が変更されていた。
【0089】
本実施の形態では、顔認識処理の対象とされる画像の撮影対象となる領域の変更は、鏡筒3を移動させることなく、鏡筒3に比較的広い領域の画像を継続的に撮影させ、撮影された画像から切出される位置が変更されることによって実現される。
【0090】
本実施の形態の監視カメラ装置は、第1および第2の実施の形態の監視カメラ装置1に対して、制御ブロック構成が異なる。以下、本実施の形態の監視カメラ装置1の制御ブロックを、制御ブロック図である図11を参照しつつ説明する。
【0091】
図11を参照して、本実施の形態では、中央制御部2は、中央処理部201、顔認識処理部203、画像記憶部205および画像切出部206を含む。
【0092】
また、記憶装置2Aは、中央制御部2によって実行されるプログラムを記憶するプログラム記憶部211と、鏡筒3から出力される画像から処理対象として切出す画像の位置の変更パターンを規定する情報を記憶するパターン記憶部213とを含む。
【0093】
中央制御部2は、コントローラ5からの入力を受付け、当該入力に基づいて、監視カメラ装置1の動作を制御する。また、中央制御部2は、カメラ制御部21に対して、制御信号を送信する。
【0094】
顔認識処理部203は、画像に対して顔画像を検出するための顔認識処理を実行する。本実施の形態では、顔認識処理部203により、画像に対して特定の画像(顔画像)を検出する物体検出処理(顔認識処理)を実行する物体検出手段が構成されている。
【0095】
画像記憶部205は、映像信号処理回路40から入力される画像情報を記憶する。画像記憶部205は、たとえばSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)によって構成される。
【0096】
画像切出部206は、画像記憶部205に入力された画像から、中央処理部201から指示された領域の画像を切出して、中央処理部201に出力する。
【0097】
中央処理部201は、パターン記憶部213に記憶された情報に基づいて、画像切出部206に、切出す画像領域を指示する。これにより、中央処理部201には、鏡筒3によって撮影された画像から、パターン記憶部213に記憶されたパターンに従った位置にある領域の画像が切出されて、入力される。
【0098】
中央処理部201、顔認識処理部203および画像切出部206は、たとえば中央制御部2に含まれるCPUがプログラム記憶部211に記憶されるプログラムを実行することによって実現されても良いし、中央制御部2に備えられた各部に対応する専用の回路(ASIC)によって実現されても良い。
【0099】
図12では、鏡筒3が撮影する画像が、画像100として示されている。そして、中央制御部2は、画像100から、監視対象、つまり、顔認識処理の対象として、画像100から、画像101〜106として示される、画像100内に位置する画像を切り出す。具体的には、画像100は、映像信号処理回路40から画像記憶部205に出力される画像に相当する。画像101〜106は、画像切出部206によって画像記憶部205に記憶された画像から切出された画像に相当する。
【0100】
鏡筒3は、順次、同じ領域を撮影する。これにより、画像100の実際の内容は、鏡筒3の撮像素子からの画像データの転送タイミングごとに入れ替えられる。
【0101】
一方、中央制御部2は、画像100から監視対象(顔認識処理の対象)として画像を切り出す位置を、変更する。
【0102】
(オートパンモード)
たとえば、第1の実施の形態で説明したようなオートパンモードでは、図12に示すように、画像101、画像102、画像103、画像104というように、画像100の中から画像を切り出す位置を隣接する位置へと特定時間ごとに切り替える。
【0103】
そして、第1の実施の形態では、顔認識処理において画像に顔が含まれると判断されると、その時点での鏡筒3の移動速度を低くすることにより、その周辺を遅く移動させ、これにより、当該顔をより長く撮影できるようにしていた。
【0104】
本実施の形態では、顔認識処理において画像に顔が含まれると判断されると、切り出し位置を次の位置に変更するまでの時間が延長される。これにより、切り出し位置の画像100における移動速度が遅くなる。
【0105】
(オートシーケンスモード)
また、第2の実施の形態で説明したようなオートシーケンスモードでは、図13に示すように、画像100の中から画像を切り出す一を、画像111、画像112、画像113、画像111というように、一定時間ごとに順次切り替える。
【0106】
そして、第2の実施の形態では、顔認識処理において画像に顔が含まれると判断されると、その位置での停止速度が延長されていた。
【0107】
本実施の形態では、顔認識処理において画像に顔が含まれると判断されると、切り出し位置を次の位置に変更するまでの時間が延長される。これにより、切り出し位置の画像100における停止速度が遅くなる。
【0108】
[その他の変形例について]
以上説明した各実施の形態では、撮像素子としてCCDが採用されているが、これに限定されず、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)など他の種類の素子が採用されても良い。
【0109】
また、以上説明した各実施の形態では、鏡筒3によって撮影された画像は、監視カメラ装置1の表示器4に出力されて表示されるが、監視カメラ装置1において撮影された画像の取扱いはこれに限定されない。監視カメラ装置1は、鏡筒3が撮影した画像を、通信ネットワークを介して外部の装置に送信しても良い。
【0110】
また、以上説明した各実施の形態では、人が存在するか否かを顔認識処理に基づいて決定していたが、人が存在するか否かを、鏡筒3が撮影した画像中に「肌色」が検出されたか否かに基づいて判断しても良い。
【0111】
また、以上説明した各実施の形態では、顔認識処理の対象となる画像データは、画像出力部204や画像記憶部205に一時的に記憶されていたが、本発明における顔認識処理(物体検出処理)では、映像信号処理回路40から出力されるデータが、上記のように一時的にメモリに記憶されることなく、リアルタイムで処理されても良い。
【0112】
また、以上説明した各実施の形態では、人が存在するか否かに基づいて回転速度や停止時間停止の設定値を調整していたが、本発明はこれに限定されない。顔認識処理の代わりに、鏡筒3の撮影対象となる領域に特定の物体(たとえば、特定の動物等)が存在するか否かを検出する処理(物体検出処理)を実行し、当該特定の物体の有無に基づいて、回転速度の設定値の調整(図7)や停止時間の設定値の調整(図9)の調整を行なっても良い。この場合、物体検出処理では、画像出力部204から中央処理部201に出力される画像または画像切出部206から中央処理部201に出力される画像に対して、特定の物体についてのパターン認識が行なわれることにより、特定の物体の有無が判断される。
【0113】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、各実施の形態で説明された技術的思想は、単独で実施されても良いし、可能な限り組み合わされて実施されることも意図される。
【符号の説明】
【0114】
1 監視カメラユニット、2 中央制御部、2A 記憶装置、3 鏡筒、4 表示器、5 コントローラ、6 監視対象、11,12 角速度センサ、21 カメラ制御部、22 チルトモータ制御部、23 パンモータ制御部、30 アーム、31 チルトモータ、32 回転板、33 スリップ機構、34 台座、35 パンモータ、36 パンギア、40 映像信号処理回路、50 ジョイスティック、51 操作キー、201 中央処理部、202 移動制御部、203 顔認識処理部、204 画像出力部、205 画像記憶部、206 画像切出部、211 プログラム記憶部、212,213 パターン記憶部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を撮影する撮像部と、
前記撮像部が撮影した画像を出力する出力部と、
領域の移動態様を特定する情報を記憶する記憶部と、
前記出力部から出力される画像の撮影対象となる領域を、前記記憶部に記憶された情報に対応する移動態様で移動させる移動制御部と、
前記出力部から出力された画像に対して特定の物体を検出する物体検出処理を実行する物体検出手段とを備え、
前記移動制御部は、前記物体検出手段による前記物体検出処理において特定の物体が検出された場合に、前記記憶部に記憶された情報に対応する移動態様を、前記物体検出手段で検出された特定の物体を検出したと判断した場所が前記物体検出手段により検出される前において当該場所が前記出力部から出力される画像に含まれるべき時間より長く前記出力部から出力される画像の中に含まれるように変更する、監視カメラ装置。
【請求項2】
前記移動制御部は、前記物体検出処理において特定の物体が検出された場合に、前記記憶部に記憶された情報に対応する移動態様を、当該移動態様に従った前記領域の移動速度を低減させるように変更する、請求項1に記載の監視カメラ装置。
【請求項3】
前記移動制御部は、前記物体検出処理において特定の物体が検出された場合に、前記記憶部に記憶された情報に対応する移動態様を、当該移動態様に従った停止時間が延長されるように変更する、請求項1または請求項2に記載の監視カメラ装置。
【請求項4】
前記移動制御部は、前記物体検出処理の結果が特定の物体を含まないというものであった場合に、前記記憶部に記憶された情報に対応する移動態様を、当該移動態様に従った停止時間を短縮するように変更する、請求項3に記載の監視カメラ装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記物体検出処理において特定の物体が検出された場合の特別な移動態様を特定する情報をさらに記憶し、
前記移動制御部は、前記物体検出処理において特定の物体が検出された場合に、前記出力部から出力される画像の撮影対象となる領域を、前記特別な移動態様で移動させる、請求項2〜請求項4のいずれかに記載の監視カメラ装置。
【請求項6】
前記移動制御部は、前記物体検出処理において特定の物体が検出されてから所定時間が経過したことを条件として、前記出力部から出力される画像の撮影対象となる領域の移動態様を前記記憶部に記憶された情報に対応する移動態様に戻す、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の監視カメラ装置。
【請求項7】
前記移動制御部は、前記物体検出処理において特定の物体が検出されてから前記物体検出処理の認識率が所定の値以上となったことを条件として、前記出力部から出力される画像の撮影対象となる領域の移動態様を前記記憶部に記憶された情報に対応する移動態様に戻す、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の監視カメラ装置。
【請求項8】
前記移動制御部は、前記物体検出処理において特定の物体が検出されてから前記物体検出処理の認識率が所定の値以下となったことを条件として、前記出力部から出力される画像の撮影対象となる領域の移動態様を前記記憶部に記憶された情報に対応する移動態様に戻す、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の監視カメラ装置。
【請求項9】
前記記憶部は、特定の物体の特徴情報を記憶し、
前記移動制御部は、前記物体検出手段による前記物体検出処理において特定の物体が検出された場合、認識された特定の物体の特徴が前記記憶部に記憶された前記特徴情報と一致しないときにのみ、前記記憶部に記憶された情報に対応する移動態様を、前記場所が時間的に長く前記出力部から出力される画像の中に含まれるように変更する、請求項1〜請求項8のいずれかに記載の監視カメラ装置。
【請求項10】
前記移動制御部は、前記撮像部を移動させることにより、前記出力部から出力される画像の撮影対象となる領域を移動させる、請求項1〜請求項9のいずれかに記載の監視カメラ装置。
【請求項11】
前記移動制御部は、前記撮像部が撮影した画像において、前記出力部から出力するために画像を切出す領域を移動させることにより、前記出力部から出力される画像の撮影対象となる領域を移動させる、請求項1〜請求項9のいずれかに記載の監視カメラ装置。
【請求項12】
記憶部と、画像を撮影する撮像部とを備えた監視カメラ装置の制御方法であって、
前記撮影部が撮影した画像を出力するステップと、
領域の移動態様を特定する情報を前記記憶部に記憶するステップと、
前記記憶部に記憶された移動態様で、出力する画像の前記撮影部による撮影対象となる領域を移動させるステップと、
前記出力する画像に対して特定の物体を検出する物体検出処理を実行するステップと、
前記物体検出処理において特定の物体を検出した場合に、当該特定の物体が含まれると認識した場所が、当該特定の物体が検出される前において、出力する画像に含まれるべき時間よりも長い時間、出力される画像に含まれるように、出力する画像の撮影対象となる領域の移動態様を変更するステップとを備える、監視カメラ装置の制御方法。
【請求項13】
画像を撮影する撮像部を備えた監視カメラ装置を制御するために、メモリとプロセッサとを備えたコンピュータにおいて実行される制御プログラムであって、
前記制御プログラムは、前記プロセッサに、
前記撮影部が撮影した画像を出力するステップと、
前記メモリに、領域の移動態様を特定する情報を記憶するステップと、
前記移動態様で、出力する画像の前記撮影部による撮影対象となる領域を移動させるステップと、
前記出力する画像に対して特定の物体を検出する物体検出処理を実行するステップと、
前記物体検出処理において特定の物体を検出した場合に、当該特定の物体が含まれると認識した場所が、当該特定の物体が検出される前において、出力する画像に含まれるべき時間よりも長い時間、出力される画像に含まれるように、出力する画像の撮影対象となる領域の移動態様を変更するステップとを実行させる、監視カメラ装置の制御プログラム。
【請求項1】
画像を撮影する撮像部と、
前記撮像部が撮影した画像を出力する出力部と、
領域の移動態様を特定する情報を記憶する記憶部と、
前記出力部から出力される画像の撮影対象となる領域を、前記記憶部に記憶された情報に対応する移動態様で移動させる移動制御部と、
前記出力部から出力された画像に対して特定の物体を検出する物体検出処理を実行する物体検出手段とを備え、
前記移動制御部は、前記物体検出手段による前記物体検出処理において特定の物体が検出された場合に、前記記憶部に記憶された情報に対応する移動態様を、前記物体検出手段で検出された特定の物体を検出したと判断した場所が前記物体検出手段により検出される前において当該場所が前記出力部から出力される画像に含まれるべき時間より長く前記出力部から出力される画像の中に含まれるように変更する、監視カメラ装置。
【請求項2】
前記移動制御部は、前記物体検出処理において特定の物体が検出された場合に、前記記憶部に記憶された情報に対応する移動態様を、当該移動態様に従った前記領域の移動速度を低減させるように変更する、請求項1に記載の監視カメラ装置。
【請求項3】
前記移動制御部は、前記物体検出処理において特定の物体が検出された場合に、前記記憶部に記憶された情報に対応する移動態様を、当該移動態様に従った停止時間が延長されるように変更する、請求項1または請求項2に記載の監視カメラ装置。
【請求項4】
前記移動制御部は、前記物体検出処理の結果が特定の物体を含まないというものであった場合に、前記記憶部に記憶された情報に対応する移動態様を、当該移動態様に従った停止時間を短縮するように変更する、請求項3に記載の監視カメラ装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記物体検出処理において特定の物体が検出された場合の特別な移動態様を特定する情報をさらに記憶し、
前記移動制御部は、前記物体検出処理において特定の物体が検出された場合に、前記出力部から出力される画像の撮影対象となる領域を、前記特別な移動態様で移動させる、請求項2〜請求項4のいずれかに記載の監視カメラ装置。
【請求項6】
前記移動制御部は、前記物体検出処理において特定の物体が検出されてから所定時間が経過したことを条件として、前記出力部から出力される画像の撮影対象となる領域の移動態様を前記記憶部に記憶された情報に対応する移動態様に戻す、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の監視カメラ装置。
【請求項7】
前記移動制御部は、前記物体検出処理において特定の物体が検出されてから前記物体検出処理の認識率が所定の値以上となったことを条件として、前記出力部から出力される画像の撮影対象となる領域の移動態様を前記記憶部に記憶された情報に対応する移動態様に戻す、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の監視カメラ装置。
【請求項8】
前記移動制御部は、前記物体検出処理において特定の物体が検出されてから前記物体検出処理の認識率が所定の値以下となったことを条件として、前記出力部から出力される画像の撮影対象となる領域の移動態様を前記記憶部に記憶された情報に対応する移動態様に戻す、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の監視カメラ装置。
【請求項9】
前記記憶部は、特定の物体の特徴情報を記憶し、
前記移動制御部は、前記物体検出手段による前記物体検出処理において特定の物体が検出された場合、認識された特定の物体の特徴が前記記憶部に記憶された前記特徴情報と一致しないときにのみ、前記記憶部に記憶された情報に対応する移動態様を、前記場所が時間的に長く前記出力部から出力される画像の中に含まれるように変更する、請求項1〜請求項8のいずれかに記載の監視カメラ装置。
【請求項10】
前記移動制御部は、前記撮像部を移動させることにより、前記出力部から出力される画像の撮影対象となる領域を移動させる、請求項1〜請求項9のいずれかに記載の監視カメラ装置。
【請求項11】
前記移動制御部は、前記撮像部が撮影した画像において、前記出力部から出力するために画像を切出す領域を移動させることにより、前記出力部から出力される画像の撮影対象となる領域を移動させる、請求項1〜請求項9のいずれかに記載の監視カメラ装置。
【請求項12】
記憶部と、画像を撮影する撮像部とを備えた監視カメラ装置の制御方法であって、
前記撮影部が撮影した画像を出力するステップと、
領域の移動態様を特定する情報を前記記憶部に記憶するステップと、
前記記憶部に記憶された移動態様で、出力する画像の前記撮影部による撮影対象となる領域を移動させるステップと、
前記出力する画像に対して特定の物体を検出する物体検出処理を実行するステップと、
前記物体検出処理において特定の物体を検出した場合に、当該特定の物体が含まれると認識した場所が、当該特定の物体が検出される前において、出力する画像に含まれるべき時間よりも長い時間、出力される画像に含まれるように、出力する画像の撮影対象となる領域の移動態様を変更するステップとを備える、監視カメラ装置の制御方法。
【請求項13】
画像を撮影する撮像部を備えた監視カメラ装置を制御するために、メモリとプロセッサとを備えたコンピュータにおいて実行される制御プログラムであって、
前記制御プログラムは、前記プロセッサに、
前記撮影部が撮影した画像を出力するステップと、
前記メモリに、領域の移動態様を特定する情報を記憶するステップと、
前記移動態様で、出力する画像の前記撮影部による撮影対象となる領域を移動させるステップと、
前記出力する画像に対して特定の物体を検出する物体検出処理を実行するステップと、
前記物体検出処理において特定の物体を検出した場合に、当該特定の物体が含まれると認識した場所が、当該特定の物体が検出される前において、出力する画像に含まれるべき時間よりも長い時間、出力される画像に含まれるように、出力する画像の撮影対象となる領域の移動態様を変更するステップとを実行させる、監視カメラ装置の制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−249869(P2011−249869A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117633(P2010−117633)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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