説明

監視システム、地震速報装置、中継アダプタ及び警報器

【課題】緊急地震速報装置を設置していない部屋であっても地震発生を知ることを可能とする。
【解決手段】緊急地震速報装置25はFM放送による緊急地震速報信号を検出して再生出力すると共に移報信号を出力する。緊急地震速報装置25から出力された移報信号は中継アダプタ26で受信され、緊急地震速報を示すイベント信号を住警器10−1〜10−5に向けて送信する。住警器10−1〜10−5は、警戒エリアの異常を検出した場合に連動元を示す異常警報を出力させると共に異常を示すイベント信号を他の警報器に送信して連動先を示す異常警報を出力させ、更に中継アダプタ26から緊急地震速報を示すイベント信号を受信した場合に緊急地震速報を示す情報を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災やガス漏れなどの異常を検出して警報すると共に他の警報器に信号を送信して警報を連動出力させる警報器に緊急地震速報装置を連携させて緊急地震速報を出力させる監視システム、地震速報装置、中継アダプタ及び警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅における火災やガス漏れなどの異常を検出して警報する警報器が普及している。このうち、住宅用災警報器を住警器と言う。
【0003】
このような住警器にあっては、住警器内にセンサ部と警報部を一体に備え、センサ部で火災を検出すると警報部から音声メッセージなどにより火災警報を出すようにしており、専用の受信設備等を必要とせず住警器単体で火災監視と警報ができることから、設置が簡単でコスト的にも安価であり、一般住宅での設置義務化に伴い広く普及している。
【0004】
一方、複数の住警器間で通信を行うことによって、任意の住警器で火災警報が行われると、他の住警器でも連動して警報を行う、連動型の住警器システムも提案されている。
【0005】
このような住警器システムでは、住警器で火災を検出した場合には、火災を検出した連動元の住警器は、例えば「ウーウー火災警報器が作動しました 確認してください」との音声メッセージを出力するようにしている。住警器で警報が行われた場合、住警器に設けている警報停止スイッチを操作すると、警報を停止するようにしている。
【0006】
一方、所定規模以上の地震発生時に送信される緊急地震速報を受信して警報を発する専用の緊急地震速報装置が知られている。緊急地震速報装置は例えば特定のFMラジオ放送を選局して受信待機状態にあり、緊急地震速報が所定のチャイム音を2回流した後に例えば「緊急地震放送です。強い揺れに警戒してください」という自動音声を2回流すことから、例えば最初のチャイム音を解析して緊急地震速報信号を検出して放送再生動作を起動し、チャイム音に続く自動音声をスピーカから大音量で出力して地震発生を知らせるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−094719号公報
【特許文献2】実用新案登録第3154579号公報
【特許文献3】特開2009−244937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような従来の緊急地震速報装置にあっては、緊急地震速報装置からの音が聞こえる範囲でしか緊急地震速報の放送を聴くことができず、緊急地震速報装置を部屋毎に設置する必要があるが、高コストになったり、各所に設置スペースを確保しなければならないといった問題がある。
【0009】
また、基本的にはFMラジオ受信機であることから、部屋によっては電波事情が悪くFM電波が充分な強度で受信できない場合があり、このような場所に設置しても有効に機能しない恐れもある。
【0010】
本発明は、緊急地震速報装置を設置していない部屋や、FM放送受信環境の良くない場所であっても地震発生を知ることを可能とする監視システム、地震速報装置、中継アダプタ及び警報器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(監視システム)
本発明は、監視システムに於いて、
FM放送による緊急地震速報信号受信をはじめとする速報装置イベントを検出して、検出した所定の速報装置イベントに対応する報知出力制御を行うと共に、検出した所定の速報装置イベントに応じた移報信号を出力する地震速報装置と、
地震速報装置から出力された移報信号に基づいて地震速報装置のイベント内容を示すアダプタイベント信号を送信する中継アダプタと、
警戒エリアの異常をはじめとする警報器イベントを検出して、所定の警報器イベントに対応する報知出力制御を行い、更に中継アダプタから緊急地震速報を示すアダプタイベント信号を受信した場合にアダプタイベント信号の内容に応じた情報出力制御を行う警報器と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
ここで、監視システムの中継アダプタは、
地震速報装置で速報装置イベントを検出した場合に出力される移報信号を受信する移報受信部と、
移報受信部による移報信号の受信をはじめとする中継アダプタのイベントを検出するアダプタイベント検出部と、
アダプタイベント検出部で移報信号の受信を検出した場合に、警報器に、移報信号に対応するアダプタイベント信号を送信する送信制御部と、
を設ける。
【0013】
中継アダプタは、更に、試験スイッチを備え、送信制御部はアダプタイベント検出部により試験スイッチの操作を検出した場合に、地震速報装置及び又は警報器に緊急地震速報試験を示すアダプタイベント信号を送信する。
【0014】
監視システムの警報器は、
監視エリアの物理的現象を検出して検出信号を出力するセンサ部と、
センサ部の検出信号出力に基づく異常の有無をはじめとする警報器イベントを検出するイベント検出部と、
イベント検出部で検出した所定の警報器イベントに応じた報知出力を行う報知部と、
中継アダプタからのアダプタイベント信号を受信する受信処理部と、
外部にイベント信号を送信する送信処理部と、
イベント検出部で中継アダプタからの所定のアダプタイベント信号受信を検出した場合に、報知部に対して、アダプタイベント信号の内容に対応する情報出力制御を行う処理部と、
を設ける。
【0015】
警報器の処理部は、イベント検出部で所定の警報器イベントを検出した場合に、報知部に対し、検出した警報器イベント内容に対応した報知出力制御を行うと共に、送信処理部に、検出した警報器イベントに対応するイベント信号を送信させる。
【0016】
警報器の処理部は、中継アダプタから緊急地震速報試験を示すアダプタイベント信号を受信した場合に、報知部に、緊急地震速報試験を示す情報を出力させる。
【0017】
警報器の処理部は、設定操作により、報知部からの緊急地震速報を示す情報の出力を禁止する禁止モードを設定可能とする
【0018】
(地震速報装置)
また、本発明は、FM放送による緊急地震速報信号を検出して再生出力する地震速報装置に於いて、
緊急地震速報信号受信を検出した場合に外部の機器に移報信号を出力する移報部を設けたことを特徴とする。
【0019】
地震速報装置は、更に速報試験スイッチを備え、速報試験スイッチが操作された場合には、速報試験スイッチ操作を示す速報装置イベントとして検出し、移報部から緊急地震速報試験を示す移報信号を送信する。
【0020】
(中継アダプタ)
また、本発明は、地震速報装置と、1または複数の警報器との間で信号を中継する中継アダプタに於いて、
地震速報装置でFM放送による緊急地震速報信号受信を検出して再生した場合に出力される移報信号を受信する移報受信部と、
移報受信部による移報信号の受信をはじめとする自己のイベントを検出するアダプタイベント検出部と、
アダプタイベント検出部で移報信号受信を検出した場合に、他の機器に緊急地震速報を示すアダプタイベント信号を送信して報知させる送信制御部と、
を設けたことを特徴とする。
【0021】
中継アダプタは、更に試験スイッチを備え、送信制御部はアダプタイベント検出部により試験スイッチの操作を検出した場合に、地震速報装置及び又は警報器に緊急地震速報試験実施を示すアダプタイベント信号を送信して試験報知させる。
【0022】
(警報器)
また、本発明は、
監視エリアの物理的現象を検出して検出信号を出力するセンサ部と、
警報を出力する報知部と、
センサ部の検出信号出力に基づく異常検出をはじめとする警報器イベントを検出するイベント検出部と、
イベント検出部で検出した所定の警報器イベントを示すイベント信号を他の警報器へ送信する送信処理部と、
他の警報器からのイベント信号を受信する受信処理部と、
イベント検出部で異常を検出した場合に、報知部から連動元を示す異常警報を出力させると共に、送信処理部に異常を示すイベント信号を他の警報器に送信させ、一方、他の警報器からの異常を示すイベント信号受信を検出した場合に、報知部から連動先を示す異常警報を出力させる警報処理部と、
を設けた警報器に於いて、
他の機器から緊急地震速報を示すイベント信号を受信した場合に、緊急地震速報を示す情報を報知部から出力させる処理部と、
を設けたことを特徴とする。
【0023】
警報器の処理部は、イベント検出部で他の機器から緊急地震速報試験実施を示すイベント信号受信を検出した場合に、報知部に、緊急地震速報試験実施を示す情報を出力させる。
【0024】
警報器の処理部は、設定操作により緊急地震速報及び又は緊急地震速報試験実施を示す情報の出力を禁止する禁止モードを設定可能とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、火災などの異常を検出して異常警報を出力すると共に他の警報器に異常を示すイベント信号を送信して異常警報を連動させる複数の警報器で構成された住宅用の監視システムに、例えばFM放送による緊急地震速報を受信して再生する地震速報装置を、中継アダプタを介して連携させることで、地震速報装置でFM放送による緊急地震速報を受信した場合に、中継アダプタから緊急地震速報を示すアダプタイベント信号を1または複数の警報器に送信し、各警報器から地震発生を知らせることができ、例えば住宅の一箇所に地震速報装置を設置しているだけで、警報器を設置している他の部屋でも地震発生を知らせることができ、地震速報装置が最小限の台数で済むことから低コスト化でき、また警報器が設置されていれば、どの部屋に居ても確実に地震発生を知って即座に対応することができる。
【0026】
また地震速報装置は複数の警報器に連携していることから、FM放送が良好に受信できる電波事情の良い場所を選んで設置することができ、FM放送による緊急地震速報を確実に受信して地震速報装置自身及び連携している複数の警報器から地震発生を知らせることができる。
【0027】
また、例えば地震速報装置と同じ部屋に設置している警報器については、緊急地震速報や緊急地震速報試験の禁止モードを設定しておくことで、地震速報装置と警報器の両方から地震発生や試験実施が報知されることによる聞き取り難さを解消することができると共に、報知出力する必要のない警報器について、無駄な電力消費を抑えることができる。
【0028】
また、中継アダプタに設けた試験スイッチを操作することで、警報器に試験を示すアダプタイベント信号を送って緊急地震速報の試験を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】緊急地震速報装置、中継アダプタ及び住警器で構成される本発明による監視システムを設置した住宅を示した説明図
【図2】本発明による無線式の住警器の外観を示した説明図
【図3】図1の警報システムに設けた住警器、緊急地震速報装置及び中継アダプタの実施形態を示したブロック図
【図4】本実施形態で使用するイベント信号のフォーマットを示した説明図
【図5】図3の住警器による監視処理を示したフローチャート
【図6】図5に続く住警器の監視処理を示したフローチャート
【図7】図3の緊急地震速報装置による処理を示したフローチャート
【図8】図3の中継アダプタによる処理を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は住宅に対する本発明による監視システムの設置状態を示した説明図である。図1の例にあっては、住宅24に設けられている台所、居間、主寝室、子供部屋、階段室のそれぞれに火災を検出して警報する無線式の住警器(住宅用火災警報器)住警器10−1〜10−4が設置され、FM電波環境の良い居間には緊急地震速報装置25と中継アダプタ26が設置されている。ここで、緊急地震速報装置25は特許請求の範囲に記載した地震速報装置に対応する。
【0031】
住警器10−1〜10−5は、イベント信号を無線により相互に送受信する機能を備え、住宅全体の火災監視を行っている。いま住宅24の子供部屋で万一、火災が発生したとすると、住警器10−4が火災を検出して警報を開始する。この火災を検出して警報を開始することを、住警器における「発報」という。住警器10−4が発報するとき、住警器10−4は連動元として機能し、連動先となる他の住警器10−1〜10−3,10−5に対し、火災発生を示すイベント信号を無線により送信する。他の住警器10−1〜10−3,10−5は、連動元の住警器10−4からの火災発生を示すイベント信号を受信した場合に、警報音と警報表示により連動先としての警報動作を行う。
【0032】
住警器が検出する自己のイベント(警報器イベント)としては、上述の火災発生だけでなく、火災復旧や警報停止、また緊急地震速報や緊急地震速報試験の停止等があり、これらについては後述する。
【0033】
連動元となった住警器10−4の警報音としては、例えば音声メッセージにより「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」を出力する。一方、連動先の住警器10−1〜10−3,10−5にあっては、「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージを出力する。
【0034】
また連動元となった住警器10−4の警報に伴う表示(警報表示)としては、例えばLED22(後述)を点灯させる。一方、連動先の住警器10−1〜10−3,10−5にあっては、LED22を点滅させる。これによって、連動元警報と連動先警報におけるLED22による警報表示を区別できるようにしている。
【0035】
なお、連動元のLED22を点滅とし、連動先のLED22を点灯としても良いし、連動元警報と連動先警報のいずれについても、同じLED22の明滅または点滅、点灯表示であっても良い。また例えば赤色LEDと黄色LEDを設け、連動元は赤色LEDを駆動し、連動先は黄色LEDを駆動するといった2色表示としても良い。もちろん、2つのLEDを一体として、赤色と黄色の両方を発光可能な2色LEDが採用できる。
【0036】
住警器10−1〜10−5が警報音を出している状態で、警報停止スイッチ20(後述)を操作すると、警報音及び警報表示の停止処理が行われる。このとき例えば、連動元である住警器10−4で警報停止操作が行われた場合には、全ての住警器10−1〜10−65の警報を停止し、連動先である住警器10−1〜10−3,10−5のいずれかで警報停止操作が行われた場合には、住警器10−4の警報は停止せず、住警器10−1〜10−3,10−5の警報を停止するようにする。また、次に説明する緊急地震速報装置25や中継アダプタ26からも、同様に警報器の警報停止操作を行うことが出来るようにしても良い。
【0037】
緊急地震速報装置25は、自己のイベント(速報装置イベント)として例えばFM放送による緊急地震速報信号を検出して再生出力すると共に移報信号線で接続された中継アダプタ26に移報信号を出力する。ここで、緊急地震速報装置25で検出するイベントは特許請求の範囲に記載した速報装置イベントに対応する。
【0038】
FM放送による緊急地震速報は「(チャイム音2回)緊急地震速報です。強い揺れに警戒してください。」を2回繰り返す。緊急地震速報装置25は、例えば最初のチャイム音の信号を解析して緊急地震速報信号の受信機を検出して受信待機状態から再生動作に切り替わり、「緊急地震速報です。強い揺れに警戒してください。」の音声を設定音量で出力させる。
【0039】
中継アダプタ26は緊急地震速報装置25から出力された移報信号に基づいて緊急地震速報を示すイベント信号を住警器10−1〜10−5に無線送信する。ここで、中継アダプタ26が検出するイベントは特許請求の範囲に記載したアダプタイベント、また中継アダプタ26から送信するイベント信号は、特許請求の範囲に記載したアダプタイベント信号に対応する。
【0040】
本実施形態の住警器10−1〜10−5は、緊急地震速報装置25及び中継アダプタ26の設置に伴い、中継アダプタ26から緊急地震速報を示すイベント信号を受信した場合に緊急地震速報を示す情報を音声メッセージとして出力する。緊急地震速報を示す情報を音声メッセージとしては例えば「ピーピー 緊急地震速報です。強い揺れに警戒してください。」を出力する。
【0041】
なお、緊急地震速報装置が検出する速報装置イベントとしては、上述の緊急地震速報信号受信の他に、その受信の復旧や、操作部の操作による各種の指示等がある。これらについては後述する。
【0042】
また緊急地震速報装置25及び又は中継アダプタ26には試験スイッチが設けられており、試験スイッチを操作すると中継アダプタ26を介して、または中継アダプタ26から緊急地震速報試験を示すイベント信号が送信され、住警器10−1〜10−5で受信されて、住警器10−1〜10−5から緊急地震速報試験を示す情報が、例えば音声メッセージ等で出力される。緊急地震速報試験の実施を示す情報として出力される音声メッセージ内容としては例えば「ピーピー 緊急地震速報の試験です。」を出力する。
【0043】
ここで、居間には緊急地震速報装置25と住警器10−1が設置されており、このままでは両方から緊急地震速報や緊急地震速報試験の実施が音声報知されて聞き取り辛くなる。そこで本実施形態にあっては住警器10−1〜10−5に緊急地震速報および/または緊急地震速報試験実施の報知出力を禁止する禁止モードの設定を、ディップスイッチなどにより設定可能としており、例えば居間に設置した住警器10−1については禁止モードを設定しておくことで、中継アダプタ26から緊急地震速報を示すイベント信号を受信しても、緊急地震速報を示す情報は出力しないようにしている。
【0044】
このモード設定機能は住警器側に設けられても良いが、一般的に住警器のほうが緊急地震速報装置に比べて設置台数が多いと考えられるので、システム機器の全体コスト等を考慮して、緊急地震速報装置25に設けるものとしても良い。
【0045】
なお、特に住警器側に禁止モード設定機能を設ける場合には、この設定状態では緊急地震速報試験実施の報知出力も禁止させるのが、より合理的とも考えられるが、住警器についても緊急地震速報装置についても、緊急地震速報試験の実施を示す情報は禁止モードが設定されている場合にも出力するようにしても良い。また、緊急地震速報試験、同試験出力を禁止するモードを別に設定するようにしても良い。
【0046】
図2は本発明による無線式の住警器の外観を示した説明図であり、図2(A)に正面図を、図2(B)に側面図を示している。
【0047】
図2において、本実施形態の住警器10(10−1〜10−5)の筐体はカバー12と本体14で構成されている。カバー12の中央には、周囲に複数の煙流入口を開口し、その内部には検煙部16が配置され、火災による煙が所定濃度に達したときに火災を検出するようにしている。
【0048】
カバー12に設けた検煙部16の左下側には音響穴18が設けられ、この背後にブザーやスピーカを内蔵し、警報音や音声メッセージを出力できるようにしている。検煙部16の下側には警報停止スイッチ20が設けられている。
【0049】
警報停止スイッチ20は住警器10の機能点検を指示する点検スイッチとしての機能を兼ねている。たとえば、火災警報時に警報停止スイッチ20が操作されると警報を停止し、通常状態で警報停止スイッチ20が操作されると機能自己点検を開始して結果を報知する。
【0050】
警報停止スイッチ20は、半透明部材で形成されたスイッチカバーと、スイッチカバーの内部に配置されたタクトスイッチ(図示せず)とで構成されている。スイッチカバー内部のタクトスイッチ近傍には、点線で示すように警報表示を行うLED22が配置されており、LED22が点灯、点滅、明滅作動すると、作動光が警報停止スイッチ20のスイッチカバーの部分を透過してLED22の作動状態が外部から分かるようにしている。
【0051】
また本体14の裏側上部には略中央部に挿通孔を有する取付フック15が設けられており、設置する部屋の壁にビスなどをねじ込み、この取付フック15の挿通孔にビスを通すことで、壁面に住警器10を固定設置することができる。
【0052】
なお図1の住警器10にあっては、検煙部16を備え、火災による煙を検出する住警器を例に取っているが、これ以外に火災による熱を検出するサーミスタ等の温度検出素子を備えた住警器や火災に伴うその他の物理現象を検出する住警器、火災以外にガス漏れを検出する警報器、侵入者や地震その他の異常(異状)を検出する各種の警報器、これらを組み合わせて成る警報器についても、本発明の対象に含まれる。
【0053】
図3は図1の警報システムに設けた緊急地震放送受信機、中継アダプタ及び住警器の実施形態を示したブロック図であり、住警器は居間に設置した住警器10−1について示しているが、他の住警器10−2〜10−5についても同様の構成となる。
【0054】
住警器10−1はワンチップCPUとして知られたプロセッサ28を備え、プロセッサ28に対してはアンテナ31を備えた無線通信部30、記録部(メモリ)32、センサ部34、報知部36、操作部38及び電池電源40を設けている。
【0055】
無線通信部30には送信回路42と受信回路44が設けられ、他の住警器10−2〜10−5との間でイベント信号を無線により送受信できるようにし、更に中継アダプタ26からのイベント信号を受信できるようにしている。なお、後述する緊急地震速報装置25の表示部76やスピーカ74で、住警器10−1による火災警報等を連動報知させる場合には、送信回路42から中継アダプタ26に対して信号の送信も行うことになる。
【0056】
無線通信部30としては、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30(小電力セキュリティシステム無線局の無線設備標準規格)またはSTD−T67(特定小電力無線局テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備の標準規格)に準拠した構成を備える。
【0057】
もちろん無線通信部30としては、日本国内以外の場所については、その地域の割当無線局の標準規格に準拠した内容を持つことになる。
【0058】
記憶部としてのメモリ32には、イベント信号の順番を示す連続番号である連番48、各住警器を特定するID(識別子)となる送信元符号50、図1のように住宅に設置した住警器10−1〜10−5で連動警報を行う連動グループを構成するためのグループ符号52が格納されている。
【0059】
連番48は警報器間の通信に於いてイベント信号の中継処理等を管理するためのものであるが、本発明に直接関係しないので詳細な説明を省略する。
【0060】
送信元符号50としては、国内に提供される住警器の何れとも同一符号として重複しないように例えば26ビットの符号コードとし、住警器のシリアル番号等を利用している。
【0061】
グループ符号52は連動グループを構成する複数の住警器に共通に設定される符号であり、例えば無線通信部30で受信した他の住警器からのイベント信号に含まれるグループ符号がメモリ32に登録しているグループ符号52に一致したときに、このイベント信号を有効な信号として受信して処理することになるので、近隣の住宅等に設置された、連動を要しない他のグループに属する警報器との不要な連動を回避出来る。
【0062】
センサ部34には、煙を検出して信号を出力する検煙部16を設けている。前述のように、センサ部34には検煙部16に代えて、火災による温度を検出するサーミスタ等の温度検出素子や、火災に伴うその他の物理現象変化を検出する各種素子を設けてもよい。
【0063】
報知部36には警報音等を出力するスピーカ56と警報表示等を行うLED22が設けられている。スピーカ56は、図示しない音声合成回路部から、自己が記憶保持している各種の音声メッセージや警報音等を、図示しない増幅部を介して出力する。LED22は点滅や明滅、点灯などにより、火災などの異常その他を表示する。スピーカ56に代えて、ブザー等を用いても良い。またLED22に代え、2色LEDや液晶表示器等を設けても良い。もちろん、LEDと液晶表示器を併設するなどしても良い。
【0064】
操作部38には警報停止スイッチ20が設けられている。警報停止スイッチ20は、報知部36からスピーカ56により火災や障害の警報音を出力しているとき又はLED22により警報表示を行っているときにのみ警報停止スイッチとして機能する。例えば連動元を示す警報中に警報停止スイッチ20を操作すると、警報音及び警報表示は停止され、一方、連動先を示す警報中に警報停止スイッチ20を操作すると、警報音は停止するが、警報表示は停止または所定時間後に停止するといった警報停止処理が行われる。
【0065】
一方、連動元や連動先を示す警報を行っていない通常監視状態においては、警報停止スイッチ20は点検スイッチとして機能し、この状態で警報停止スイッチ20を操作すると、所定の自己点検動作が実行されて報知部36から点検結果を示す音声メッセージなどが出力される。
【0066】
なお、障害警報中に警報停止スイッチ20が操作された場合には、所定の自己点検動作を実施して結果を報知した後に障害警報停止処理を行うようにしても良い。このようにすれば、例えばセンサ故障等を再チェックした後に障害警報停止処理が行われるので、ユーザに対し、故障状態をより明確に認知させることが出来る。そして、このとき障害状態が解消している場合には、例えば「障害は解消しました」等のメッセージを出力して、障害停止処理に移行しても良い。
【0067】
更に操作部38にはモードスイッチ21が設けられている。モードスイッチ21は本体裏面などに設けたディップスイッチ等であり、緊急地震速報の禁止モードをオン、オフ設定することができる。モードスイッチ21のオンにより禁止モードを設定すると、中継アダプタ26から緊急地震速報を示すイベント信号を受信しても、緊急地震速報を示す情報の出力は行われない。
【0068】
この機能を利用して、例えば緊急地震速報装置が設置されている部屋に住警器も設置されているような場合や、同じ部屋に住警器が複数台設置されている場合等に、必要に応じて所定の機器だけに情報出力させることが出来るので、複数の機器で重複しての情報出力を避けることが出来、このため、この場合例えば禁止設定された住警器の電池消耗を抑制することが出来る等の効果が得られる。
【0069】
電池電源40は、例えば所定セル数のリチウム電池やアルカリ乾電池を使用しており、電池容量としては住警器10−1における無線通信部30を含む回路部全体の低消費電力化により、例えば10年の電池寿命を保証している。
【0070】
プロセッサ28にはプログラムの実行により実現される機能として、イベント検出部58、送信処理部60、受信処理部62、警報処理部64、及び緊急地震速報処理部66の機能が設けられている。
【0071】
イベント検出部58は、センサ部34による異常(ここでは火災)検出、操作部38による警報停止や点検指示、センサ部34の異常検出がなくなる異常復旧等のイベントを検出する。またイベント検出部58は受信処理部62を介して他の住警器10−2〜10−5及び中継アダプタ26から取得したイベント信号の解読結果として得られたイベント内容を検出する。
【0072】
送信処理部60は、イベント検出部58によりセンサ部34による異常検出、操作部38による警報停止や点検指示、センサ部34の異常検出がなくなる異常復旧等の自己のイベントを検出した場合に、検出イベントを示すイベント信号を、無線通信部30から連動先となる住警器に向けて送信させる。受信処理部62は、他の住警器10−2〜10−5及び中継アダプタ26からのイベント信号を、無線通信部30を介して受信解読する。
【0073】
なお、緊急地震速報装置25に設けた操作部78の操作によって住警器10−1〜10−5の火災警報等を停止させる機能を搭載する場合は、中継アダプタ26からのイベント信号の種類として、当該警報停止を示すイベント信号も含まれることになる。
【0074】
警報処理部64は、イベント検出部58で自己の異常として火災を検出した場合にスピーカ56から連動元を示す警報音を出力すると共に、LED22を例えば点灯駆動して連動元を示す警報表示を行い、更に、火災を示すイベント信号を、送信処理部60および送信回路42を介してアンテナ31から他の住警器に向けて送信する。
【0075】
具体的に説明すると、警報処理部66は、センサ部34に設けた検煙部16の煙検出信号からイベント検出部60で火災を検出したときに、報知部36のスピーカ56から連動元を示す警報音例えば「ウーウー 火事です 火事です」を繰り返し出力させると共に、LED22を点灯して連動元を示す警報表示を行い、更に、火災を示すイベント信号を、送信処理部60および無線通信部30の送信回路42によりアンテナ31から他の住警器10−2〜10−5に向けて送信させる。
【0076】
また警報処理部64は、他の住警器10−2〜10−5のいずれかから火災を示すイベント信号を、無線通信部30の受信回路44により受信し、受信処理部64で有効となったときに、報知部36のスピーカ56から連動先を示す警報音例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」となる警報音を繰り返し出力させると共に、LED22を点滅駆動して連動先を示す警報表示を行う。
【0077】
また、イベント検出部58はセンサ障害とローバッテリー障害を検出する。センサ障害の検出は、所定の測定時間間隔T1、例えばT1=1秒間隔でセンサ部34の検煙部16から出力される煙検出信号をA/D変換により読み込んでメモリ32のバッファ領域に保持し、例えば所定の時間間隔T2=10分毎に、メモリ32のバッファ領域に保持している10分間ぶんの検出データの平均値を求め、この平均値が所定の基準レベル(零点レベルという)を下回った場合に出力停止状態である等としてセンサ部16の障害と判定する。
【0078】
このように煙濃度検出信号の10分間平均値が零点レベルを下回る原因は、検煙部16に設けている受光素子の断線、受光アンプの停止などの障害が発生したことによるものである可能性が高い。なお、センサ部16にサーミスタなどの温度検出素子等を設けた場合にも、各種の処理により、同様にセンサ障害を検出することが出来る。
【0079】
ローバッテリー障害の検出は、所定の測定時間間隔T3、例えばT3=4時間間隔で電池電源40の電源電圧をA/D変換により読み込んで所定の閾値電圧と比較し、この閾値電圧以下の場合にローバッテリー障害と判定し、更にローバッテリー障害との判定が連続して所定回数続いたときにローバッテリー障害を確定する。
【0080】
警報処理部64は、イベント検出部58でセンサ障害又はローバッテリー障害を検出した場合に、報知部36のスピーカ56からの警報音とLED22の表示により連動元を示すセンサ障害及び又はローバッテリー障害警報を出力させる。また警報処理部64は、センサ障害又はローバッテリー障害を示すイベント信号を、送信処理部60および送信回路42を介してアンテナ31から他の住警器10−2〜10−5に送信して、当該他の住警器10−2〜10−5に連動先を示すセンサ障害及び又はローバッテリー障害警報を警報音および/または表示で行わせる。
【0081】
同様に、センサ障害及び又はローバッテリー障害を示すイベント信号を、中継アダプタ26へ送信して、これを介して緊急地震速報装置25でも、連動先を示すセンサ障害及び又はローバッテリー警報を出力させるようにしても良い。この場合、中継アダプタ26には住警器からの信号を受信する機能を設け、緊急地震速報装置25へ移報(中継)する機能を設ける。また緊急地震速報装置25は、中継アダプタ26からの信号移報(中継)を受けて、プロセッサ68での解析を経て表示部76やスピーカ74から対応する警報を出力する。センサ障害やローバッテリー障害に限らず、火災警報の場合にも、同様とすることが出来る。
【0082】
更に警報処理部64は、受信回路44および受信処理部60を介して他の住警器10−2〜10−5の何れかからセンサ障害及び又はローバッテリー障害を示すイベント信号を受信した場合に、報知部36のスピーカ56からの警報音と、LED22の表示とにより連動先を示すセンサ障害及び又はローバッテリー障害警報を出力させる。
【0083】
警報処理部64は、イベント検出部58でセンサ障害を検出した場合、報知部36のスピーカ56から連動元(障害元)を示すセンサ障害の警報音として例えば「ピッ 故障です」を複数回連続出力すると共にLED22を例えば点灯し、その後は一定時間毎に「ピッ 故障です」の音声出力とLED22による表示を複数回行う処理を繰り返す。
【0084】
また警報処理部64は、センサ障害を示すイベント信号を他の住警器10−2〜10−5に送信することで、他の住警器10−2〜10−5に連動先を示すセンサ障害警報を出力させる。このとき例えば、スピーカ56からの警報音として「ピッ 別の警報器が故障です」を出力させると共にLED22により連動元とは異なる点滅表示を行わせる。
【0085】
また警報処理部64は、イベント検出部58でローバッテリー障害を検出した場合、報知部36のスピーカ56から連動元(障害元)を示すローバッテリー障害の警報音として例えば「ピッ 電池切れです」を複数回連続出力すると共にLED22を例えば点灯し、その後は、一定時間毎に「ピッ 電池切れです」の音声出力とLED22による表示を複数回行う処理を繰り返す。
【0086】
また警報処理部64は、ローバッテリー障害を示すイベント信号を他の住警器10−2〜10−6に送信することで、他の住警器10−2〜10−5に連動先を示すローバッテリー障害警報を警報音として例えば「ピッ 別の警報器が電池切れです」を出力させると共に、LED22により連動元とは異なる点滅表示を行わせる。
【0087】
また警報処理部64は連動元を示す火災警報または連動先を示す火災警報の出力中に、警報停止スイッチ20の操作を検出した場合、又は他の住警器からの警報停止を示すイベント信号受信を検出した場合、スピーカ56からの音声メッセージとLED22の警報表示による火災警報の出力を停止する。このときはLED22による警報表示については、所定時間継続した後に停止しても良い。
【0088】
また、他の住警器からの警報停止を示すイベント信号受信を検出した場合に、自己が検出している火災が復旧していないときには、自己の警報音および/または警報表示による警報出力を継続するようにしても良い。すなわち、自己の連動元としての警報出力は、自己の警報停止スイッチが操作された場合または自己のセンサ部34からの信号に基づく火災復旧を検出した場合にのみ停止するようにしても良い。
【0089】
更に警報処理部64は、操作部38に設けた警報停止スイッチ20の警報停止操作を、連動元を示す障害警報出力中に検出した場合、自己の連動元を示す警報音を停止すると共に表示を所定時間継続させた後に停止し、更に連動先を示す障害警報出力中の警報器に警報停止信号を送信して警報音と表示を停止させる。
【0090】
緊急地震速報処理部66は、中継アダプタ26から緊急地震速報を示すイベント信号を受信した場合に、緊急地震速報を示す音声メッセージを報知部36のスピーカ56から出力させる。このとき例えばLED22を時に点灯、点滅又は明滅させる。
【0091】
また、緊急地震速報処理部66は、中継アダプタ26から緊急地震速報試験を示す試験イベント信号を受信した場合に、緊急地震速報試験を示す情報を音声メッセージを報知部36のスピーカ56から出力させる。例えばこのときにもLED22を点灯、点滅又は明滅させる。
【0092】
更に、緊急地震速報処理部66は、モードスイッチ21の設定オン操作により緊急地震速報を示す情報の出力を禁止する禁止モードを設定している場合には、中継アダプタ26から緊急地震速報を示すイベント信号を受信しても、緊急地震速報試験を示す情報を音声メッセージの出力は行わない。
【0093】
モードスイッチ21による音声メッセージの出力禁止は、緊急地震速報についても設定できるようにしても良い。また、音声メッセージや音響出力を禁止した場合でも、表示だけは行うようにしても良く、その逆に表示だけを禁止しても良い。更にこれを別に指定できるようにしても良い。即ち、出力禁止の設定は、緊急地震速報と緊急地震速報試験、また音響出力と表示出力について、適宜選択設定できるようにすることが出来る。
【0094】
このようにすれば、報知出力を行うイベントの種類に応じて、その報知方法を選択的に設定できるようになり、利用者の希望や機器の設置状況によって適宜の報知パターンとすることが出来るので、使い勝手が良い。
【0095】
次に緊急地震速報装置25を説明する。緊急地震速報装置25は、プロセッサ68、FM受信部70、音声増幅部72、スピーカ74、表示部76、操作部78、移報部80で構成され、プロセッサ68にはプログラムの実行で実現する機能として緊急地震速報解析部82が設けられている。操作部78には、必要に応じ後述する中継アダプタ26の試験スイッチ90と同様の速報試験スイッチを設けることが出来る。
【0096】
FM受信部70は操作部78の操作で選局したFM局にチューナを同調してFMアンテナ71により放送電波を受信し、音声信号として復調して出力している。音声増幅部72は待機状態では動作を停止しており、そのためスピーカ74から受信されたFM放送の再生出力は行われない。
【0097】
プロセッサ68の解析処理による緊急地震速報信号が検出されると音声増幅部72が動作状態に切り替えられ、その時、FM受信部68から再生出力された緊急地震速報の放送内容をスピーカ74から出力する。表示部76は待機受信表示、緊急地震速報受信表示、選局周波数表示などのFM放送受信に必要な表示を行う。
【0098】
ここで、緊急地震速報だけでなく、例えばFM告知放送を受信して、その内容に応じて適宜の処理を行わせることも出来るが、ここではFM緊急地震速報を受信して緊急地震速報に伴う警報を出力し、また住警器でも同警報を連動出力させる場合について説明する。
【0099】
プロセッサ68に設けた緊急地震速報解析部82は、例えば緊急地震速報の最初に流れる2回のチャイム音を再生した放送音声信号の解析処理により緊急地震速報信号の受信を検出し、音声増幅部72を所定時間動作して緊急地震速報の再生出力をスピーカ74から行わせる。緊急地震速報解析部82による緊急地震速報のチャイム音の解析は、例えば特許文献3に記載されたベクトル相関法などで行う。
【0100】
なお、緊急地震速報受信をはじめ、緊急地震速報装置で検出するイベントを総称して速報装置イベントと言い、特許請求の範囲の速報装置イベントに対応している。
【0101】
また緊急地震速報解析部82はチャイム音の信号解析処理により緊急地震速報信号の受信を検出した場合、移報部80を動作して外部接続している中継アダプタ26に緊急地震速報を示す移報信号を出力する。この移報信号は、緊急地震速報装置25から中継アダプタ26に対して、住警器10−1〜10−5との連携処理を指示するトリガ信号となる。移報部80としては例えば無電圧接点信号を出力する。なお、本実施の形態では、緊急地震速報装置25は商用AC電源で動作する。
【0102】
次に中継アダプタ26を説明する。中継アダプタ26は、プロセッサ84、無線通信部86、移報受信部88及び試験スイッチ90で構成される。プロセッサ84にはプログラムの実行により実現される機能として、イベント検出部96と送信処理部98が設けられている。本実施の形態では図示していないが、必要に応じメモリ等を設けることが出来る。ここで、イベント検出部96は、特許請求の範囲に記載したアダプタイベント検出部に対応する。このイベント検出部96は、移報受信部88による移報信号受信をはじめとして、試験スイッチ90の操作等、中継アダプタの各種イベントを検出し、これらのイベントは特許請求の範囲に於けるアダプタイベントに対応する。
【0103】
無線通信部86には送信回路92が設けられ、住警器10−1〜10−5にイベント信号をアンテナ94から無線により送信できるようにしている。中継アダプタ26から送信されるイベント信号は、特許請求の範囲に於けるアダプタイベント信号に対応する。無線通信部86としては、住警器10−1と同様に、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30またはSTD−T67に準拠した構成を備える。
【0104】
なお、図示しないメモリには、住警器10−1のメモリ32と同様に、イベント信号の順番を示す連続番号である連番、アダプタを特定するID(識別子)となる送信元符号、連動グループを構成するためのグループ符号が格納されている。
【0105】
移報受信部88は緊急地震速報装置25でFM放送による緊急地震速報信号を検出して再生した場合に出力される移報信号を受信する。
【0106】
プロセッサ84に設けたイベント検出部96は移報受信部88による移報信号の受信を含むイベントを検出する。送信制御部98は、イベント検出部96で移報信号受信を検出した場合に、住警器10−1〜10−5側に緊急地震速報を示すイベント信号を送信し、緊急地震速報を示す情報を出力させる。
【0107】
試験スイッチ90は住警器10−1〜10−5側での緊急地震速報を示す情報の出力試験を行う。即ち、試験スイッチ90を操作すると、イベント検出部96により試験スイッチ90の操作が検出され、これに基づき送信処理部98が住警器10−1〜10−5側に緊急地震速報試験を示す試験イベント信号を送信して試験動作させる。中継アダプタ26の電源は商用AC電源であっても良いし、電池電源としても良い。若しくは、緊急地震速報装置25から中継アダプタ26へ電源を供給するようにしても良い。
【0108】
図4は本実施形態で連動警報に使用するイベント信号のフォーマットを示した説明図である。図4において、イベント信号46は連番48、送信元符号50、グループ符号52及びイベント符号54で構成されている。
【0109】
連番48はイベント信号の順番を示す連続番号であり、イベント信号を送信する毎に1つずつ増加させる。また、連番48は住警器10−1〜10−5及び中継アダプタ26の各々で非同期に生成している。連番48は警報器や中継器アダプタ間の、主に無線通信に於いてイベント信号の中継処理等を管理するためのものであるが、本発明に直接関係しないので詳細な説明を省略する。
【0110】
送信元符号50は例えば26ビットの符号であり、シリアル番号等を利用している。グループ符号52は例えば8ビットの符号であり、同一グループを構成する例えば図1の住警器10−1〜10−5及び中継アダプタ26につき同じグループ符号が設定されている。
【0111】
なおグループ符号52としては、同一グループの住警器に同一のグループ符号を設定する以外に、予め定めたグループを構成する住警器や中継アダプタに共通な基準符号と、各住警器や中継アダプタ若しくは中継アダプタに接続される緊急地震速報装置に固有な送信元符号との演算から求めた住警器ごとに異なるグループ符号であってもよい。
【0112】
イベント符号54は、火災、ガス漏れ(例えばガス漏れ警報器やガス漏れ検出機能を併せ持つ住警器等の場合)などのイベント内容を表す符号であり、本実施形態にあっては4ビット符号を使用しており、例えば
0001=火災
0010=ガス漏れ(ガス漏れ警報器、火災ガス漏れ複合型警報器等を使用する場合)
0011=警報停止
0100=復旧
0101=センサ障害
0110=ローバッテリー障害
0111=緊急地震速報
1000=緊急地震速報試験
としている。ここで、0000はイベント検出を伴わない、例えば定期通報に使用する。
【0113】
なおイベント符号42のビット数は、5ビット、6ビットと増加させることで、更に多くのイベント内容を表すことができる。例えば、復旧のイベント符号は火災復旧と障害復旧に分けても良い。
【0114】
図5及び図6は図3の住警器10−1における監視処理の例を示したフローチャートである。図5において、住警器10−1の電池電源40による電源供給が開始されると、ステップS1で初期化、自己診断、禁止モード設定の有無を含む各種設定情報の読み込みを実行し、異常がなければステップS2に進み、火災を監視している。センサ部34から出力された煙検出信号が所定の火災レベルを超えるとステップS2で火災を判別してステップS3に進み、連番、送信元符号、グループ符号、火災を示すイベント符号を含むイベント信号を他の住警器10−2〜10−5および中継アダプタ26(中継アダプタに警報器からの信号受信処理機能を備える場合。以下同じ。)に無線送信した後、ステップS4でスピーカ56からの警報音とLED22の、例えば点灯による警報表示とにより連動元を示す火災警報を出力する。
【0115】
続いて、ステップS5でセンサ部34からの煙検出信号が低下して火災状態が解消する火災復旧の有無を判別しており、火災復旧を判別するとステップS6で連番、送信元符号、グループ符号、火災復旧を示すイベント符号を含むイベント信号を他の住警器や中継アダプタに送信した後、ステップS7でスピーカ56からの警報音とLED22の点灯による警報表示とによる連動元を示す火災警報を停止する。なお、LED22による警報表示は所定時間経過後に消灯しても良い。
【0116】
続いてステップS8で警報停止スイッチ20の操作有無を判別し、スイッチ操作が判別されるとステップS9で警報中か否かを判別する。ステップS9で警報中が判別されると、ステップS10に進んで連番、送信元符号、グループ符号、警報停止を示すイベント符号を含むイベント信号を他の住警器や中継アダプタに送信し、ステップS11に進んで連動元を示すスピーカ56からの警報音を停止し、LED22の点灯による警報表示を消灯する。なお、LED22による警報表示は所定時間経過後に消灯しても良い。
【0117】
ステップS9で警報中でないと判別した場合には、所定の点検動作を実施して結果を報知するようにしているが、図示を省略している。
【0118】
続いて図6のステップS12に進み、他の住警器からの火災を示すイベント信号受信の有無を判別している。他の住警器からの火災を示すイベント信号受信を判別すると、ステップS13に進んで連動先を示す火災警報としてスピーカ56からの警報音とLED22の、例えば点滅による警報表示を行う。
【0119】
次にステップS14で他の住警器からの火災復旧を示すイベント信号受信の有無を判別しており、火災復旧を示すイベント信号を受信すると、ステップS15に進んで連動先の警報として行っているスピーカ56からの警報音とLED22の点滅による警報表示を停止する。
【0120】
次にステップS16で他の住警器からの警報停止を示すイベント信号の受信の有無をチェックしており、警報停止を示すイベント信号の受信を判別すると、ステップS17に進んで警報中か否かを判別し、警報中を判別するとステップS18に進んで連動先を示す警報音を停止し、警報表示も停止させる。
【0121】
続いてステップS19で緊急地震速報の禁止モード設定の有無を判別し、禁止モードの設定が無ければステップS20に進んで緊急地震速報を示すイベント信号受信の有無をチェックしており、緊急地震速報を示すイベント信号の受信を判別するとステップS21で緊急地震速報メッセージを報知部36のスピーカ56から出力すると共に、例えばLED22を点灯する。
【0122】
緊急地震速報メッセージは、所定回数出力後若しくは所定時間の経過後、または緊急地震速報装置25から(中継アダプタ26を介して)同メッセージの停止を示すイベント符号を含むイベント信号を受信した場合や、音声や表示による緊急地震速報の出力中に警報停止スイッチ20の操作を判別したときに停止するようにすれば良い(図示省略)。LED22の点灯についても同様となる。
【0123】
なお、音声メッセージ出力停止とLED22による表示出力停止のタイミングは同時である必要は無く、例えば音声メッセージ出力停止からさらに所定時間の経過後にLED22の表示出力を停止するようにすることも出来る。このようにすれば、緊急地震速報メッセージ停止後にも、緊急地震速報メッセージが出力された事実を確認することが出来る。
【0124】
ステップS19で緊急地震速報の禁止モードの設定を判別した場合はステップS20、S21はスキップし、緊急地震速報を示すイベント信号の受信を判別しても緊急地震通報メッセージを出力しない。これは図1のように住警器10−1(図1では10−2)が緊急地震速報装置25と同じ部屋に設置されているような場合に活用できる機能である。
【0125】
このようにすれば、例えば同じ部屋で同じ警報が複数の装置から出力されて混乱を招くことが避けられる。また、禁止モードを設定した住警器の電池消耗を抑えることが出来る。なお、この処理例の場合はステップS19とステップS20の順番を入れ替えることも出来る。
【0126】
続いてステップS22に進んで緊急地震速報の試験を示すイベント信号受信の有無をチェックしており、緊急地震速報の試験を示すイベント信号の受信を判別するとステップS23で緊急地震通報の試験メッセージを報知部36のスピーカ56から出力すると共にLED22を、例えば点灯する。この試験メッセージは、所定回数出力後または所定時間の経過後に停止する(図示省略)。
【0127】
図7は図3に示した緊急地震速報装置25の受信処理例を示したフローチャートである。図7において、緊急地震速報装置25の電源を投入するとステップS31で初期化及び自己診断を行い、エラーが無ければステップS32に進んで操作部78の選局操作によりFM局の選局処理を行う。
【0128】
続いてステップS33の受信待機動作に移行する。受信待機動作はFM受信部70を動作してFM放送電波を受信再生しているが、音声増幅部72の動作は停止してスピーカ74から放送を流していない状態である。
【0129】
そしてステップS34で緊急地震速報のチャイム音受信の有無を緊急地震速報解析部68の解析処理を通じて判別しており、チャイム音受信を判別するとステップS35に進み、音声増幅部72を動作することで、そのとき受信している緊急地震速報の放送をスピーカ74から充分に大きな音量で流す。
【0130】
次にステップS36で移報部80を動作し、中継アダプタ26に緊急地震速報を示す移報信号を出力する。続いてステップ37で例えば所定時間の経過を待ってステップS38に進み、音声増幅部72の動作を停止することで、放送音の再生出力を停止する。
【0131】
所定時間の経過に依らず、操作部78による停止操作を受け付けたときに再生出力を停止させるように構成しても良い。また、放送音の再生出力を停止する際、併せて中継アダプタ26を介して緊急地震速報の停止を示すイベント信号を住警器10−1〜10−5側へ送信するようにしても良い。
【0132】
これは、緊急地震速報装置25から中継アダプタ26に対して専用の信号を出力するようにして、中継アダプタ26がその受信を判別してイベント信号を生成して送信するようにしても実現できるし、中継アダプタ26側で、緊急地震速報装置25からの移報信号を検出した後に同移報信号を検出しなくなった(信号変化があった)ことを判別し、イベント信号を生成して住警器側へ送信するように構成することでも実現できる。もちろん、中継アダプタ26が緊急地震速報を示すイベント信号送信から所定時間経過したことを判定したときに緊急地震速報の停止を示すイベント信号を送信するようにすることも出来る。
【0133】
以上の処理をステップS39で電源オフによる動作停止指示が判別されるまで繰り返す。
【0134】
図8は図3の中継アダプタ26の処理例を示したフローチャートである。図8において、中継アダプタ26の電源を投入するとステップS41で初期化及び自己診断を実行し、エラーが無ければステップS42に進んで緊急地震速報を示す移報信号受信の有無を判別している。ステップS42で緊急地震速報を示す移報信号受信を判別するとステップS43に進み、図4のフォーマットに従った緊急地震速報を示すイベント信号を生成して住警器側に無線送信する。
【0135】
またステップS44では試験スイッチ90の操作の有無を判別しており、試験スイッチ90の操作を判別すると、ステップS43に進んで図4のフォーマットに従った緊急地震速報の試験を示すイベント信号を生成して住警器側に無線送信する。
【0136】
なお、実際には、システム内で緊急地震速報が再生中または報知中、また異常警報が出力中である等のタイミングで試験スイッチ90が操作されたときには、操作受付をキャンセルするか、操作を受け付けて一旦試験待機状態となり、緊急地震速報の再生や報知、異常警報の出力等が停止された後に試験を実施するといった処理が必要になる。
【0137】
もちろん、試験を示すイベント信号を受信した住警器側で、緊急地震速報の報知中であるか否か、また異常警報の出力中であるか否かを判定して、緊急地震速報の報知中や異常警報の出力中には緊急地震速報試験を実施しないようにしても良い。
【0138】
前述のように緊急地震速報装置25や中継アダプタ26からの緊急地震速報の停止を示す信号受信により、住警器の緊急地震速報出力を停止させることが出来るが、緊急地震速報を示すイベント信号送信後、所定時間の経過や緊急地震速報装置からの信号受信によって緊急地震速報の停止を示すイベント信号を送信するまでの間に試験スイッチ90の操作を受け付けたときには、中継アダプタ26は、その時点で緊急地震速報の停止を示すイベント信号を送信するようにしても良い。
【0139】
住警器が音声や表示による緊急地震速報を出力しているときに警報停止スイッチ20の操作判別によって緊急地震速報の出力を停止するようにした場合、住警器は、この緊急地震速報の出力停止に伴って緊急地震速報の停止を示すイベント信号を、中継アダプタ26や緊急地震速報装置25へ送信して、これを受信した中継アダプタ26や緊急地震速報装置25からの緊急地震速報の出力を停止させるようにすることも出来、このようにすればシステムの緊急地震速報出力状況を整合させることが出来る。
【0140】
一方このとき、緊急地震速報装置25だけはこの停止指示をキャンセル(無視)するようにしても良い。このようにすれば、緊急地震速報装置25だけは、自己の放送受信判定や自己の操作部からの停止指示を受け付けたときのみ出力を停止するようになるので、誤操作等による他機器からの停止指示信号によって緊急地震速報が停止されることが無くなるので、防災上の安全を確保できる。
【0141】
なお、このような住警器での緊急地震速報停止操作は、禁止モードが設定された住警器で行われた場合にも有効(緊急地震速報の停止を示すイベント信号送信可)としても良い。
【0142】
また、警報器同士は必ずしも連動するものでなくても良く、所定の警報器が緊急地震速報装置と連携できるものであれば良い。
【0143】
また、警報器や緊急地震速報装置25、中継アダプタ26間の各連携は、無線通信によるものでなくても良く、有線通信によっても、また有線と無線を適宜混在させるものであっても良い。
【0144】
また、中継アダプタ26は、緊急地震速報装置25に内蔵しても良い。この場合、緊急地震速報装置25の移報(送信)部80、中継アダプタの移報受信部88は、適宜の連絡手段に置き換えることが出来る。なお、中継アダプタは緊急地震速報装置と住警器との間で信号の中継を行う機能を有するものであれば良く、その他の機能を複合的に備えるものであっても良い。
【0145】
また、上記の実施形態では複数台の住警器を使用したシステムを例に取って説明したが、住警器は1台であっても良い。逆に、緊急地震速報装置25や中継アダプタ26は複数台であっても良い。
【0146】
また、上記の実施形態にあっては、中継アダプタ26で住警器からの火災を示すイベント信号を受信して、中継アダプタ26からの火災移報を受けた緊急地震速報装置25が連動先として火災警報を出力する例を挙げたが、連動先としての火災報知は中継アダプタ26で行うようにしても良い。
【0147】
即ち、中継アダプタ26にもブザーやスピーカ、表示部を設けて、連動先としての警報を出力させるようにしても良い。このような構成を有する中継アダプタ26にあっては、もちろん、緊急地震速報装置25からの移報信号を受けて住警器に中継送信するだけでなく、自己においても緊急地震速報を報知出力するようにしても良い。そして、このような中継アダプタ26に、自己からの異常警報(例えば火災警報)出力や緊急地震速報出力を、それぞれまたは一括で禁止させる禁止モード設定機能を設けることも出来る。
【0148】
このようにすれば、中継アダプタ26が単なる信号の中継を行うだけでなく、警報や緊急地震速報を出力する装置としても適宜利用できるようになり、必要に応じて報知範囲を拡大することが出来るなど、システムとしての使い勝手が向上する。
【0149】
また、中継アダプタ26の近隣に設置されている住警器からの緊急地震速報出力を禁止することも出来るので、例えば図1において、緊急地震速報装置25は居間に、中継アダプタ26は台所に設置されているような場合には、緊急地震速報装置25および中継アダプタ26から緊急地震速報を音声および表示出力させることで、住警器10−1および10−2からの緊急地震速報出力を禁止することが出来、システム内で電池消耗を抑制できる住警器の数が増すといった効果も得られる。中継アダプタの電源は商用電源若しくは緊急地震速報装置から有線で供給される電源とすれば、より好ましい。
【0150】
また、住警器(住宅用火災警報器)の警報出力機能を禁止することは規格上出来ないが、住警器以外の適宜の警報器を使用する場合には、警報器側の異常警報を禁止させるモードを設けることも出来る。このようにすれば、例えば緊急地震速報装置25や中継アダプタ26からの異常(住警器の場合の火災にあたる)警報を出力させる代わりに、緊急地震速報装置25や中継アダプタ26の近隣に設置されている警報器からの異常警報を禁止させるパターンを採ることも出来る。
【0151】
また、上記の実施形態で警報停止スイッチ20として示した操作手段は、必ずしもスイッチである必要は無く、リモコン装置等を使用して外部からの通信によって警報履歴出力を指示するもの等、どのような手段や方法を適用しても良く、「操作部」はこれら他の手段や方法を含む。
【0152】
また、住警器から中継アダプタや緊急地震速報装置への異常警報(火災警報等)の連動出力は、表示のみで行わせるようにしても良い。例えば、ブザー音や音声メッセージ等の音響警出力は住警器だけで充分足りるが、電力消費の大きなフラッシュライト等を用いて異常発生の視覚的な報知効果を高めたいといった場合には、商用電源や専用電源等を使用していることで電力消費を抑える必要性が比較的低い緊急地震速報装置や中継アダプタに当該フラッシュライト等の表示装置を設けて、住警器の異常(火災)警報に連動して動作させて表示報知の効果を高めても良い。
【0153】
また、上記の実施形態におけるフローチャートは処理の概略例を説明したもので、処理の順番等はこれに限定されない。また各処理や処理と処理の間に必要に応じて遅延時間を設けたり、他の判定を挿入する等が出来る。
【0154】
また、上記実施の形態で示した各機器のプロセッサは、その機能の一部又は全部を、例えばワイヤードロジック等による他の手段に代えることが出来る。
【0155】
また、緊急地震速報装置は、FM放送の緊急地震速報を条規実施の形態のように直接受信しても良いし、別の装置や設備を介して間接的に受信しても良い。
【0156】
また、上記の実施形態で述べた「受信がある」、「受信が無い」、「受信した場合」、「受信を判別」等は、受信した信号が有効なものとして認識されたか否かの判定も含んでいる。
【0157】
また、上記の実施形態は火災を検出して警報する住警器を例にとるものであったが、ガス漏れ警報器、CO警報器、防犯用警報器等各種の警報器を配置した警報システムについても同様に適用できる。
【0158】
また、警報器の規格等によっては、上記実施形態のLEDによる表示が「警報」と認められない場合があるが、本発明では規格上「警報」に含まれるか否かに関わらず、警報表示、警報に伴う表示、または単に表示として記載している。本発明の目的を達成できるものであれば、どのような表示手段を用いても構わない。そして、表示部は警報器と別体に設けられていても良い。
【0159】
また、上記の実施形態では、電池電源によって動作する住警器を例に取ったが、電池電源以外の電源で動作するものにも本発明を適用できる。
【0160】
また、上記の実施形態は住宅用に限らずビルやオフィス用など各種用途の警報器にも適用でき、さらに用途の異なる警報器を適宜組み合わせたシステムにも適用できる。
【0161】
また、上記の実施形態は緊急地震速報装置と警報器としての住警器を連携させる場合を例に取ったが、これに加えて例えばインターホンや給湯用リモコン装置等、任意の装置を連携させるシステムとしても良い。
【0162】
また、上記の実施形態は警報器にセンサ部と警報出力処理部を一体に設けた場合を例にとるが、他の実施形態として、センサ部と警報出力処理部を別体とした警報器であっても良い。
【0163】
また、本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0164】
10,10−1〜10−14:住警器
12:カバー
14:本体
16:検煙部
17:取付フック
18:音響孔
20:警報停止スイッチ
22:LED
24:住宅
25:緊急地震速報装置
26:中継アダプタ
28,68,84:プロセッサ
31:アンテナ
30,86:無線通信部
32:メモリ
34:センサ部
36:報知部
38:操作部
40:電池電源
42:送信回路
44,92:受信回路
46:イベント信号、アダプタイベント信号
48:連番
50:送信元符号
52:グループ符号
54:イベント符号
56,74::スピーカ
58:イベント検出部
60:送信処理部
62:受信処理部
64:警報処理部
66:緊急地震速報処理部
70:FM受信部
71:FMアンテナ
72:音声増幅部76:表示部
78:操作部
80:移報部
88:移報受信部
82:緊急地震速報解析部
90:試験スイッチ
96:アダプタイベント検出部
98:送信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
FM放送による緊急地震速報信号受信をはじめとする速報装置イベントを検出して、検出した速報装置イベントに対応する報知出力制御を行うと共に、検出した所定の速報装置イベントに応じた移報信号を出力する地震速報装置と、
前記地震速報装置から出力された前記移報信号に基づいて前記地震速報装置のイベント内容を示すアダプタイベント信号を送信する中継アダプタと、
警戒エリアの異常をはじめとする警報イベントを検出して、所定の警報イベントに対応する報知出力制御を行い、更に前記中継アダプタから前記緊急地震速報を示すアダプタイベント信号を受信した場合に前記アダプタイベント信号の内容に応じた情報出力制御を行う警報器と、
を備えたことを特徴とする監視システム。
【請求項2】
請求項1記載の監視システムに於いて、
前記中継アダプタは、
前記地震速報装置で前記速報装置イベントを検出した場合に出力される移報信号を受信する移報受信部と、
前記移報受信部による移報信号の受信をはじめとする中継アダプタのイベントを検出するアダプタイベント検出部と、
前記アダプタイベント検出部で前記移報信号の受信を検出した場合に、前記警報器に前記移報信号に対応するイベント信号を送信する送信制御部と、
を設けたことを特徴とする監視システム。
【請求項3】
請求項2記載の監視システムに於いて、前記中継アダプタは、更に、試験スイッチを備え、前記送信制御部は前記アダプタイベント検出部により試験スイッチの操作を検出した場合に、前記地震速報装置及び又は前記警報器に緊急地震速報試験を示すイベント信号を送信することを特徴とする監視システム。
【請求項4】
請求項1記載の監視システムに於いて、
前記警報器は、
監視エリアの物理的現象を検出して検出信号を出力するセンサ部と、
前記センサ部の検出信号出力に基づく異常の有無をはじめとする警報イベントを検出するイベント検出部と、
前記イベント検出部で検出した所定の警報器イベントに応じた報知出力を行う報知部と、
前記中継アダプタからのアダプタイベント信号を受信する受信処理部と、
外部にイベント信号を送信する送信処理部と、
前記イベント検出部で前記中継アダプタから所定のアダプタイベント信号受信した場合に、前記報知部に対して、前記アダプタイベント信号の内容に対応する情報出力制御を行う処理部と、
を設けたことを特徴とする監視システム。
【請求項5】
請求項4記載の監視システムに於いて、前記警報器の処理部は、前記イベント検出部で所定の警報イベントを検出した場合に、前記報知部に対し、検出した前記警報イベント内容に対応した報知出力制御を行うと共に、前記送信処理部に検出した前記警報イベントに対応するイベント信号を送信させることを特徴とする監視システム。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の監視システムに於いて、前記警報器の処理部は、前記中継アダプタから緊急地震速報試験を示すアダプタイベント信号を受信した場合に、前記報知部に、緊急地震速報試験を示す情報を出力させることを特徴とする監視システム。
【請求項7】
請求項4又は5に記載の監視システムに於いて、前記警報器の処理部は、設定操作により、前記報知部から緊急地震速報を示す情報の出力を禁止する禁止モードを設定可能としたことを特徴とする監視システム。
【請求項8】
FM放送による緊急地震速報信号を検出して再生出力する地震速報装置に於いて、
前記緊急地震速報信号を検出した場合に外部の機器に移報信号を出力する移報部を設けたことを特徴とする地震速報装置。
【請求項9】
請求項8記載の地震速報装置に於いて、更に速報試験スイッチを備え、当該速報試験スイッチが操作された場合には、速報試験スイッチ操作を示す速報装置イベントとして検出し、前記移報部から緊急地震速報試験を示す移報信号を送信することを特徴とする地震速報装置。
【請求項10】
地震速報装置と、1または複数の警報器との間で中継する中継アダプタに於いて、
前記地震速報装置でFM放送による緊急地震速報信号受信を検出して再生した場合に出力される移報信号を受信する移報受信部と、
前記移報受信部による移報信号の受信をはじめとする自己のイベントを検出するアダプタイベント検出部と、
前記アダプタイベント検出部で移報信号受信を検出した場合に、他の機器に緊急地震速報を示すイベント信号を送信して報知させる送信制御部と、
を設けたことを特徴とする中継アダプタ。
【請求項11】
請求項10記載の中継アダプタに於いて、更に試験スイッチを備え、前記送信制御部は前記イベント検出部により試験スイッチの操作を検出した場合に、前記地震速報装置および又は前記警報器に緊急地震速報試験を示すアダプタイベント信号を送信して試験報知させることを特徴とする中継アダプタ。
【請求項12】
監視エリアの物理的現象を検出して検出信号を出力するセンサ部と、
警報を出力する報知部と、
前記センサ部の検出信号出力に基づく異常有無をはじめとする警報器イベントを検出するイベント検出部と、
前記イベント検出部で検出した所定の警報器イベントを示すイベント信号を他の警報器へ送信する送信処理部と、
他の警報器からのイベント信号を受信する受信処理部と、
前記イベント検出部で異常を検出した場合に、前記報知部から連動元を示す異常警報を出力させると共に、前記送信処理部に異常を示すイベント信号を他の警報器に送信させ、一方、他の警報器から異常を示すイベント信号受信を検出した場合に、前記報知部から連動先を示す異常警報を出力させる警報処理部と、
を設けた警報器に於いて、
他の機器から緊急地震速報を示すイベント信号を受信した場合に、緊急地震速報を示す情報を前記報知部から出力させる処理部と、
を設けたことを特徴とする警報器。
【請求項13】
請求項12記載の警報器に於いて、前記処理部は、前記イベント検出部で他の機器から緊急地震速報試験実施を示すイベント信号受信を検出したば場合に、前記報知部に、緊急地震速報試験実施を示す情報を出力させることを特徴とする警報器。
【請求項14】
請求項12記載の警報器に於いて、前記処理部は、設定操作により緊急地震速報及び又は緊急地震速報試験実施を示す情報の出力を禁止する禁止モードを設定可能としたことを特徴とする警報器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−175524(P2011−175524A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40022(P2010−40022)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】