監視システム
【課題】窓開閉検出装置にセンサ機能を集約し、判断機能は監視盤に持たせて集中監視することで、磁力レベルに窓及びクレセント錠の状態を適切に判断可能とする。
【解決手段】窓開閉検出装置10−1〜10−4は窓の開閉状態に応じた窓開閉検出信号と窓に設けたクレセント錠の開閉状態に応じた錠開閉検出信号を無線送信する。監視盤11は窓開閉検出装置10−1から無線送信された検出信号に基づいて窓の開状態又は閉状態及びクレセント錠の開状態又は閉状態を判定して報知する。
【解決手段】窓開閉検出装置10−1〜10−4は窓の開閉状態に応じた窓開閉検出信号と窓に設けたクレセント錠の開閉状態に応じた錠開閉検出信号を無線送信する。監視盤11は窓開閉検出装置10−1から無線送信された検出信号に基づいて窓の開状態又は閉状態及びクレセント錠の開状態又は閉状態を判定して報知する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓の開閉状態をホールセンサなどの磁気検知素子を使用して検出する窓開閉検出装置を監視盤で集中監視する監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、窓の開閉を検出して無線により監視盤に送信して警報させる無線式の窓開閉検出装置が知られている。このような窓開閉検出装置にあっては、窓ガラスに配置したマグネットの磁力を磁気感知素子で検出し、検出磁力が低下したときに窓開閉と判断して異常検出信号を警報盤に無線送信して警報させる。また窓に設けたクレセント錠の開閉レバーに配置したマグネットの磁力を別の磁気感知素子で検出し、検出磁力が低下したときにクレセント錠の開放と判断して異常検出信号を警報盤に無線送信して警報させている。
【0003】
従来の窓開閉装置に使用される磁気感知素子は主に磁力の強弱に応じて接点を機械的にオン、オフするリードスイッチを使用していたが、近年にあっては、ホール効果を利用して磁力を検出するホールセンサが使用されている。
【0004】
ホールセンサを磁気感知素子として使用する場合、検出対象とするマグネットに近いほど強い磁力がホールセンサを通過することで高いセンサ出力が得られる。ホールセンサで検出した磁力レベルに基づく窓の開閉検出は、窓を閉じた状態で検出される磁力レベルに対し、所定比率だけ低い値を判定閾値として設定する。監視中に、検出している磁気レベルが低下して判定閾値以下になったら窓開と判定して窓開を示す電文を監視装置に送信して警報させる。
【0005】
また窓の開を判定した後に、磁気レベルが増加して判定閾値を超えた時、窓閉と判定して窓閉を示す電文を監視装置に無線送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−281636号公報
【特許文献2】特開2001−14990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の窓開閉検出装置にあっては、ホールセンサにより検出した磁力レベルをプロセッサに取り込んで所定の判定閾値と比較して窓の開閉及びクレセント錠の開閉を判別し、判別結果を監視盤に無線送信して報知しているが、磁力レベルの検出から開閉判断までの処理機能の全てを窓開閉検出装置に組み込んでいるため、小型軽量化に限界があり、また消費電流も増加し、更に、アナログ信号として得られる磁力レベルに基づく開閉以外のより細かな状態の判断をプロセッサで行うことが困難な状況にある。
【0008】
本発明は、窓開閉検出装置にセンサ機能を集約し、判断機能は監視盤に持たせて集中監視することで、磁力レベルに基づき窓及び錠の状態を適切に判断可能とする監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の監視システムは、
窓の監視対象物にマグネットを配置して磁気感知素子が検出した磁力レベルに基づく検出信号を無線送信する窓開閉検出装置と、
窓開閉検出装置から無線送信された検出信号及び予め検出信号により算出して盤内に記憶した閾値に基づいて監視対象物の状態を判定して報知する監視盤と、
を備えたことを特徴する。
【0010】
ここで、窓開閉検出装置は、窓の開閉状態に応じた磁力レベルに基づく窓開閉検出信号と窓に設けた錠の開閉状態に応じた磁力レベルに基づく錠開閉検出信号を無線送信し、
監視盤は、窓開閉検出装置に対する送信要求により窓開閉検出装置から無線送信された各検出信号及び予め記憶した各検出信号毎の閾値に基づいて窓及び錠の開閉状態を判定して報知する監視盤と、を備える。
【0011】
監視盤に設けた操作部の操作により、窓開閉検出装置へ検出信号を要求して受信した検出信号を登録すると共に検出信号に基づいて閾値を算出して登録する。
【0012】
窓開閉検出装置に登録用操作部を備え、登録用操作部の操作により磁力レベルを測定し検出信号を監視盤へ送信し、監視盤は受信した検出信号を登録するとともに受信した検出信号に基づき閾値を算出して登録する。
【0013】
また監視盤は、窓開閉検出装置から受信した検出信号に対し所定比率低い第1判定閾値を算出して監視対象物の状態変化を判定する閾値として登録すると共に、検出信号より所定比率高い第2判定閾値を外部から強力な磁力が加わる不正行為を判別するために算出して登録し、
監視状態で窓開閉検出装置から受信された検出信号が第1判定閾値以下に低下したときに監視対象物の変化を判定し、磁力レベルが第2判定閾値以上に増加したときに不正行為を判定する。
【0014】
さらに監視盤は、窓開閉検出装置の検出信号が閾値を超えた場合には、閾値を超えた窓開閉検出装置及び閾値の種別を特定して警報する。
【0015】
また、監視盤は、複数の窓開閉検出装置毎に検出信号及び閾値を記憶し、各窓開閉検出装置毎に検出信号を受信し前記閾値と比較して監視対象物の状態を判定する。
【0016】
そして窓開閉検出装置に送信要求を順次出力して検出信号を受信し、受信した検出信号が閾値を超えた場合は、閾値を超えた窓開閉検出装置への送信要求の送信比率を高くする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、窓に取り付けられる窓開閉検出装置は、磁力レベルを検出して監視盤に送信するというセンサ機能に集約した装置として設けられ、判断処理を必要としないことでプロセッサなどの処理負担を低減して更なる小型軽量化を図ることができ、判断処理を必要としない分、消費電流も低減して電池寿命を延ばすことができる。
【0018】
また窓開閉状態やクレセント錠開閉状態の判断は、窓に取り付けた窓開閉検出装置のホールセンサで検出している磁力レベルを監視盤で収集し、所定の判定閾値との比較で複数の窓に対し窓及びクレセント錠の開閉状態を判定して報知する処理を、サイズ及び処理性能の面で制約の少ない監視盤に集中して行うことで、より高速で適切な判断処理ができる。
【0019】
また磁力レベルとの比較で開閉を判断するための判定閾値についても、窓開閉検出装置の登録操作で初期登録された磁力レベルを収集して計算により判定閾値を求めてテーブル登録することで、窓開閉検出装置側での処理負担を軽減すると共に、監視盤の集中監視であっても、窓開閉検出装置の実際の設置状況に応じた適切な判定閾値を設定し、正確な窓及びクレセント錠の開閉状態の判断ができる。
【0020】
また、監視盤や窓開閉検出装置に設けた登録処理の操作により、監視盤が開閉状態で使用する判定閾値を、窓開閉検出装置を複数台一括してまたは個別に容易に更新することができる。
【0021】
また、監視盤において閾値を超えた窓開閉検出装置及び閾値の種別を特定して警報することができより詳細な警報を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による監視システムの実施形態を示した説明図
【図2】本実施形態による窓開閉検出装置の設置状態を示した説明図
【図3】本実施形態における窓開閉検出装置の実施形態を示した組立分解図
【図4】図2の設置状態におけるホールセンサとマグネットの関係を示した説明図
【図5】本実施形態における窓開閉検出装置の回路構成を示したブロック図
【図6】図5のAD変換ポートによる磁気レベル検出信号のAD変換特性を示したグラフ図
【図7】本実施形態における窓開閉検出用ホールセンサの検出信号から取得した磁力レベルの距離に対する関係を示したグラフ図
【図8】本実施形態におけるクレセント錠検出マグネットとホールセンサの関係を示した説明図
【図9】本実施形態における施錠検出用ホールセンサの距離に対する磁力レベルの関係を示したグラフ図
【図10】本実施形態における監視盤の実施形態を示したブロック図
【図11】図10の監視盤に設けた管理情報テーブルを示した説明図
【図12】本実施形態の監視盤で用いる電文フォーマットを示した説明図
【図13】本実施形態の監視盤と窓開閉検出装置の間の通信動作を示したタイムチャート
【図14】本実施形態の監視盤による監視制御処理を示したフローチャート
【図15】図14のステップS2における登録処理の詳細を示したフローチャート
【図16】図14のステップS8における窓開閉監視処理の詳細を示したフローチャート
【図17】図14のステップS10におけるクレセント施錠監視処理の詳細を示したフローチャート
【図18】本実施形態の窓開閉検出装置による窓開閉検出処理を示したフローチャート
【図19】図18のステップS53におけるクレセント錠登録処理の詳細を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は住宅を対象とした本発明による監視システムの実施形態を示した説明図である。図1において、住宅1の台所、居間、主寝室、子供部屋に設けた窓のそれぞれには窓開閉検出装置10−1〜10−4が設置され、例えば台所に監視盤11を設置している。
【0024】
外出などの留守にする際には、窓を閉じてそのクレセント錠を閉じた状態で監視盤11を留守番モードにセットすると、窓に設置した窓開閉検出装置10−1〜10−4の監視盤11による集中監視が開始される。
【0025】
監視盤11は周期的なポーリングにより窓開閉検出装置10−1〜10−4から磁気検知素子としてのホールセンサにより検出した磁力レベルを収集し、窓開閉検出装置10−1〜10−4毎に登録した判定閾値との比較で窓開を判別したとき、警報を報知する。
【0026】
図2は本発明による窓開閉検出装置の設置状態を示した説明図である。図2において、本実施形態の窓開閉検出装置10は監視対象とする引き違い窓の窓サッシ12a,12bの縦枠に両面テープ又はビスなどにより固定される。
【0027】
窓開閉検出装置10の上側には、窓サッシ12a,12bを閉じた状態で、相対する位置に窓開閉検出マグネット14を両面テープで貼り付けており、窓開閉検出マグネット14からの磁力を内蔵した磁気検知素子としてホールセンサにより検出している。
【0028】
窓サッシ12a,12bの閉鎖位置で窓開閉検出マグネット14は窓開閉検出装置10に最も近づいて磁力レベルは最大となっており、窓を開くと窓開閉検出マグネット14が窓開閉検出装置10から離れることでホールセンサにより検出している磁力が低下する。
【0029】
また窓開閉検出装置10はその下端を窓サッシ12a,12bに設けているクレセント錠16に近接するように配置し、クレセント錠16の開閉レバー18に貼り付けたクレセント錠検出マグネット20の磁力を下端側に内蔵した別のホールセンサで検出している。
【0030】
クレセント錠16は開閉レバー18を図示の垂直方向に回した操作位置で窓サッシ12a,12bを施錠しており、このときクレセント錠検出マグネット20は窓開閉検出装置10に最も近接してホールセンサで検出する磁力レベルが最大となる。開閉レバー18を下側に回してクレセント錠16を開錠すると、クレセント錠検出マグネット20が離れることでホールセンサで検出している磁力レベルが低下する。
【0031】
図3は本実施形態による窓開閉検出装置の組立分解図である。図4において、本実施形態の窓開閉検出装置10は装置本体22とカバー部材24で構成される。
【0032】
装置本体22は、底部側から、ボディケース36及びアンテナ40を備えた回路基板38を組み立てている。
【0033】
回路基板38の上部側にはセンサ基板45が起立され、ここに窓開閉検出用ホールセンサ46を配置している。また回路基板38の下端にはクレセント錠検出用ホール素子48が設置されている。
【0034】
図4は図2の設置状態におけるホールセンサとマグネットの関係を示した説明図であり、図4(A)に平面を示し、図4(B)に横方向から見た状態を示している。
【0035】
図4(A)に示すように、本実施形態の窓開閉検出装置10は内側に位置する窓サッシ12aの縦枠に両面テープ又はビスなどにより取り付けられ、窓開閉検出装置10の右側面に相対して窓サッシ12bのガラス面に窓開閉検出マグネット14を両面テープで接着している。
【0036】
窓開閉検出装置10に内蔵した窓開閉検出用ホールセンサ46は、図4(B)に示すように、窓開閉検出マグネット14に有効検出面を相対するようにセンサ基板45に実装しており、窓サッシ12a,12bを閉じた図示の状態で、装置側面からの距離dは最小となり、窓開閉検出マグネット14は破線で示す磁力線の方向に応じて例えばプラス極性で最大となる磁力レベルの検出信号を出力している。
【0037】
窓閉における最小距離dは、窓サッシの構造や窓開閉検出装置10の取り付け状態により変化するが、本実施形態にあっては、規定範囲内の距離に配置されたときの磁力レベルに対し窓閉の判定結果が効率よく得られるように、アンプによる増幅率を設定している。
【0038】
図5は本実施形態による窓開閉検出装置の回路構成を示したブロック図である。図5において、制御部として設けられたプロセッサ50はワンチップマイコンとして知られたコンピュータであり、1チップにCPU、ROM,RAM、AD変換ポート、各種の入出力ポートなどを備えており、本実施形態ではEEPROMなどの不揮発メモリ68を外付けしている。
【0039】
窓開閉検出用ホールセンサ46で検出した窓ガラスに設けた窓開閉検出マグネット14による磁力レベル検出信号は、増幅回路52で増幅された後にAD変換ポート74に与えられ、デジタル変換した磁力レベル(AD変換値)をプロセッサ50に取り込まれる。
【0040】
また、施錠検出用ホールセンサ48で検出したクレセント錠16の開閉レバー18に設けたクレセント錠検出マグネット20による磁力レベル検出信号も増幅回路54で増幅された後にAD変換ポート76に与えられ、デジタル変換した磁力レベル(AD変換値)をプロセッサ50に取り込まれる。
【0041】
プロセッサ50に対しては、表示部56、登録スイッチ60及び無線送信部66が設けられている。
【0042】
表示部56は赤色LED56aと緑色LED56bの2色LEDを設けており、正常監視中は緑LED56bを点灯し、ローバッテリーなどの障害が発生すると赤色LED56aを点灯する。
【0043】
登録スイッチ60は本実施形態の使用開始時に行う施錠登録モードの設定に使用される。
【0044】
無線送信部66には送信回路68と受信回路70が設けられ、監視盤11からポーリングなどの制御電文を受信し、そのとき検出している磁力レベルを含む応答電文を送信する。
【0045】
不揮発メモリ72には窓開閉検出装置10を窓に設置した状態で行われる登録処理において、窓開閉検出用ホールセンサ46により検出された窓開閉磁力レベル(第1磁力レベル)Vs1が初期登録により記憶されている。また不揮発メモリ72には、登録処理の際に施錠検出用ホールセンサ48により検出された施錠磁力レベル(第2磁力レベル)Vs2が初期登録により記憶されている。更に、不揮発メモリ72には窓開閉検出装置10に割当てられたアドレスが格納される。
【0046】
プロセッサ50にはCPUによるプログラムの実行により実現される機能として、磁力レベル登録部78と磁力レベル転送部80が設けられている。
【0047】
磁力レベル登録部78は、登録スイッチ60の操作により動作し、窓の閉鎖状態で窓開閉検出用ホールセンサ46により検出された窓開閉磁力レベルVs1を不揮発メモリ72に初期登録すると共に、クレセント錠16の閉鎖状態で施錠検出用ホールセンサ48により検出された施錠磁力レベルVs2を不揮発メモリ72に初期登録し、その後、監視盤11からの送信要求により初期登録した窓開閉及び施錠磁力レベルVs1,Vs2を読み出して応答送信する。
【0048】
磁力レベル転送部80は、磁力レベル登録部78による登録処理が完了した後の監視状態おいて、監視盤11からの一括AD変換コマンドを受けて窓開閉検出用ホールセンサ46で検出している窓開閉磁力レベルVs1と施錠検出用ホールセンサ48で検出している施錠磁力レベルVs2を取得して保持し、その後、自己のアドレスを指定したポーリングコマンドによる送信要求を監視盤11から受けた際に、保持している窓開閉磁力レベルVs1と施錠磁力レベルVs2を応答送信する。
【0049】
図6は図5のAD変換ポート74による磁力レベル検出信号のAD変換特性を示したグラフ図である。図5に示した窓開閉検出用ホールセンサ46は磁力線の通過方向によりプラス極性の磁力レベル検出信号とマイナス極性の磁力レベル検出信号を出力する。つまり、図4は窓開閉検出マグネット14を窓開閉検出装置10の右側に配置しているが、窓の構造により、するかにより窓開閉検出装置10の左側に配置する場合もあるため、窓開閉検出用ホールセンサ46が出力する極性が異なる。また、マグネットの向きによっても磁力線が異なることにより極性が異なる。
【0050】
窓開閉検出用ホールセンサ46からの磁力レベル検出信号は増幅回路52で増幅された後にAD変換ポート74により磁力レベルデータ(AD変換値)に変換される。
【0051】
このAD変換ポート74の変換特性は、図6の縦軸に示すように、10進AD変換値として0〜256の値を持ち、入力するプラス極性の磁力レベル検出信号0〜+VmaxをAD変換値128〜256に変換し、入力するマイナス極性の磁力レベル検出信号0〜−VmaxをAD変換値128〜0に変換する。
【0052】
図7は本実施形態における装置側面から窓開閉検出マグネット14までの距離dに対する窓開閉検出用ホールセンサ46で検出した磁力レベルの関係を示したグラフ図である。なお、図7にあっては、説明を簡単にするため、磁力レベル検出信号の極性に関らず、AD変換値を0〜128として示している。
【0053】
図7の特性は、例えば図4の設置状態で、装置側面から窓開閉検出マグネット14までの距離dをd=0〜24mmの範囲で変化させて測定した磁力レベルに対応したAD変換値を示している。
【0054】
このような特性において、例えばd=20mmとなるマグネット配置を予定したとすると、このときのP点に対応した窓開閉磁力レベルVs1が求まる。この初期登録された窓開閉磁力レベルVs1は監視盤11に送られ、監視盤11において窓開閉磁力レベルVs1から所定比率αだけ低い値を第1窓判定閾値TH1として設定し、更に、窓開閉磁力レベルVs1に対し所定比率高い値を強力な磁石を外部から近づける悪戯による不正行為を判定するための第2窓判定閾値TH2として設定する。
【0055】
図8は、本実施形態におけるクレセント錠検出マグネット20と施錠検出用ホールセンサ48の関係を示した説明図である。図8において、窓開閉検出装置10における装置本体22のクレセント錠側の端部には施錠検出用ホールセンサ48が配置され、その前方(下方)にカバー部材24に収納した円錐状の集磁体26を配置している。
【0056】
クレセント錠16の開閉レバー18に設けたクレセント錠検出マグネット20は、開閉レバー18の施錠状態で図示のカバー部材24の外端面から距離hに位置し、この施錠位置での距離hが最小距離となる。クレセント錠検出マグネット20からの磁束は集磁体26の大径入射面に入った後、反対側の小径出射面に収束されて施錠検出用ホールセンサ48を通過する。
【0057】
このようなクレセント錠検出マグネット20による磁束は施錠検出用ホールセンサ48で磁力に応じた電圧信号として検出され、増幅回路54で増幅した後にAD変換ポート76により磁力レベル(AD変換値)として読み込まれる。
【0058】
図9は図8に示した装置端面からクレセント錠検出マグネット20までの距離hに対する施錠錠検出用ホールセンサ48で検出した磁力レベルの関係を示したグラフ図である。なお、AD変換ポート76の変換特性は図6と同じになるが、図9にあっては、説明を簡単にするため、磁力レベル検出信号の極性に関らず、AD変換値を0〜128として示している。
【0059】
ここで例えばクレセント錠検出マグネット20までの距離hがh=10mmであったとすると、P点に対応した施錠磁力レベルVs2が初期登録される。初期登録された施錠磁力レベルVs2は監視盤11に送られ、監視盤11において初期登録した施錠磁力レベルVs2から所定比率下げた値として錠判定閾値TH3が設定される。
【0060】
図10は本発明における監視盤11の実施形態を示したブロック図である。図10において、監視盤11にはプロセッサ84が設けられ、プロセッサ84に対しては、報知部86、操作部88、移報部90、電源部92、無線通信部94及び不揮発メモリ102が設けられている。
【0061】
報知部86は液晶ディスプレイ、LEDなどの表示灯、音響警報用のスピーカなどを備え、監視盤11における監視のためのモード設定表示や留守番モードの設定状態で異常を検出した際の警報表示などを行う。
【0062】
操作部88には、登録スイッチや留守番モードを設定するためのモード設定スイッチなどが設けられている。操作部88の登録スイッチを操作すると、窓に取り付けている複数の窓開閉検出装置に対し初期登録収集コマンドを送信して、それぞれの窓開閉検出装置で初期登録されている窓開閉磁力レベルVs1と施錠磁力レベルVs2を取得し、不揮発メモリ102に設けている管理情報テーブル104に対する判定閾値の作成処理を実行する。
【0063】
電源部92はAC100ボルトから直流電力を作り出して供給する。無線通信部94には送信回路96と受信回路98が設けられており、アンテナ100を使用して、図5に示した窓開閉検出装置10との間で電文の無線送信を行う。
【0064】
不揮発メモリ102には、監視盤11で集中監視している複数の窓開閉検出装置から収集した窓開閉磁力レベルVs1と施錠磁力レベルVs2につき、窓開閉やクレセント錠の開閉を判定するための判定閾値が管理情報テーブル104を使用して登録されており、この判定閾値を用いて、窓開閉、錠開閉を判断する。
【0065】
プロセッサ84には、プログラムの実行により実現される機能として、登録処理部106、磁力レベル取得部108、窓開閉監視部110及び施錠監視部112が設けられている。
【0066】
登録処理部106はシステムを立ち上げる際の操作部88に設けている登録スイッチなどの登録操作で動作し、監視盤11で集中監視している複数の窓開閉検出装置、例えば図1に示した窓開閉検出装置10−1〜10−4に対し、初期登録収集コマンドを送信し、窓開閉検出装置10−1〜10−2の不揮発メモリ72に初期登録されている窓開閉磁力レベルVs1と施錠磁力レベルVs2を収集し、これに基づき、窓の開閉を判定するための第1窓開閉閾値TH1,強いマグネットを近づけて不正行為を判定するための第2窓判定閾値TH2及びクレセント錠の開閉を判定する錠判定閾値TH3を算出し、収集した窓開閉及び施錠磁力レベルVs1,Vs2と共に不揮発メモリ102の管理情報テーブル104に格納する。
【0067】
図11は図10の不揮発メモリ102に格納された情報管理テーブル104を示した説明図である。情報管理テーブル104には、図1の監視システムを対象とした場合、窓開閉監視装置10−1〜10−4の端末アドレスが001〜004であったとすると、各アドレスに対応して窓開閉磁力レベルVs1iと施錠磁力レベルVs2iが、初期登録収集コマンドに基づく収集処理で登録されている(但し、i=1,2,3,4・・・)。
【0068】
続いて、窓開閉磁力レベルVs1iに対し所定比率低い値として計算された窓開閉判断閾値用の第1窓判定閾値TH1iが格納される。また窓開閉磁力レベルVs1iに対し所定比率高い値として、外部から強い磁力を与えて検出機能を失わせる悪戯などの不正行為を判別するための第2窓判定閾値TH2iを算出して登録している。
【0069】
更に、施錠磁力レベルVs2iに対し所定比率低い値として計算した錠判定閾値TH3iが登録されている。
【0070】
このように本実施形態の監視盤11にあっては、各窓開閉検出装置10−1〜10−4において、実際に設置状態で検出した窓開閉磁力レベルVs1iと施錠磁力レベルVs2iに基づき、それぞれ固有の判定閾値を算出して管理情報テーブル104に登録し、これによって一義的な判定閾値によらず、最適な実際の磁力レベルの検出状況に応じた判定閾値を設定して、正確な窓開閉及びクレセント錠の開閉判断を行うことができる。
【0071】
再び図10を参照するに、プロセッサ84に設けた磁力レベル取得部108は、予め定めた所定周期Tごとに、窓開閉検出装置10−1〜10−4に対し一括AD変換コマンドを送信し、これによって、窓開閉検出装置10−1〜10−4側において同時に、窓開閉検出用ホールセンサ46による窓開閉磁力レベルと施錠検出用ホールセンサ48による施錠磁力レベルをAD変換ポート74,76から読み込んで保持させる。
【0072】
磁力レベル取得部108は、一括AD変換コマンドを送信した後は、窓開閉検出装置10−1〜10−4のアドレスを順次指定したポーリングコマンドを送信し、このポーリングコマンドに対する応答として、窓開閉検出装置10−1〜10−4から一括AD変換コマンドの実行で保持している窓開閉磁力レベルVs1及び施錠磁力レベルVs2をデータとして含む応答電文を受信する。
【0073】
窓開閉監視部110は、留守番モードの設定状態において、磁力レベル取得部108のポーリングコマンドにより、窓開閉磁力レベルVs1を受信した際に、管理情報テーブル104のアドレスに対応した第1窓判定閾値TH1と第2窓判定閾値TH2を読み出して比較し、窓開閉磁力レベルVs1が第1窓判定閾値TH1以下であれば窓開と判定し、超えていれば窓閉と判定する。また窓開閉磁力レベルVs1が第2窓判定閾値TH2以上であった場合には、外部から強い磁石を近付けたいたずらによる不正行為と判定し、この場合には窓開と看做す判断を行う。
【0074】
窓開閉監視部110で窓開が判定されると、報知部86による警報表示を行うと共にスピーカなどから音響警報を出し、移報部90から外部機関に対する警報通報を行う。
【0075】
施錠監視部112は、留守番モードの設定状態において、磁力レベル取得部108によるポーリングコマンドで受信された施錠磁力レベルVs2を図11の管理情報テーブル104の対応するアドレスから読み出した錠判定閾値TH3と比較し、錠判定閾値TH3以下であれば錠開を判定し、錠判定閾値TH3を超えていれば錠閉を判定する。
【0076】
施錠監視部112で錠開が判定されると、報知部86による警報を行う。報知の手段は、異常を検出した窓開閉検出装置10を特定して警報を行うだけでなく、どの種類の閾値を超えたのかも報知することができる。
【0077】
なお、正常監視時は、窓開閉検出装置10を順次ポーリングで磁力レベルを収集するが、窓開や錠開の異常が判定されると、異常を判定した窓開閉検出装置10を他よりもポーリング間隔を小さくして重点的に状態監視を行う。
【0078】
図12は本実施形態の監視盤11で用いる電文フォーマットを示した説明図である。図12(A)は監視盤11から窓開閉検出装置側に送信する下り電文114であり、プリアンブル、コマンド、アドレス、チェックコードで構成されている。
【0079】
プリアンブルは「010101・・・」の連続コードであり、受信側におけるPLLなどの位相同期などに使用される。コマンドには、本実施形態にあっては、初期登録収集コマンド、一括AD変換コマンド、ポーリングコマンドなどが設定される。アドレスは下り電文114の送り先となる窓開閉検出装置のアドレスをセットする。なお一括AD変換コマンドなどの共通コマンドについては、各窓開閉検出装置で同時に自己アドレスとして認識可能な共通アドレスをセットする。チェックコードはパリティなどの適宜のチェックコードである。
【0080】
図12(B)は上り電文116であり、窓開閉検出装置10から監視盤11側に送る電文である。上り電文116は、プリアンブル、ステータス、アドレス、窓開閉磁力レベル、施錠磁力レベル及びチェックコードで構成されている。
【0081】
上り電文116におけるステータスは、応答電文の種別に応じたステータスコマンドがセットされる。アドレスは送信元となる窓開閉検出装置自身のアドレスである。窓開閉磁力レベル及び施錠磁力レベルは、初期登録収集コマンドに対する応答用の上り電文116であれば、図5に示したように、不揮発メモリ72に初期登録している磁力レベルVs1と磁力レベルVs2であり、登録処理が終了した後の通常監視状態にあっては、一括AD変換コマンドの受信でAD変換ポート70,72から読み込まれて保持されている磁力レベルである。
【0082】
図13は本実施形態の監視盤11と窓開閉検出装置10−1〜10−4の間の通信動作を示したタイムチャートである。図13(A)は監視盤11の通常監視状態における通信動作であり、所定周期Tごとに一括AD変換コマンド118を送信している。一括AD変換コマンド118を送信すると、図13(B)〜(E)に示す窓開閉検出装置10−1〜10−4側では、それぞれのAD変換ポート74,76から窓開閉用ホールセンサ及び施錠検出用ホールセンサ48で検出されている記録レベルのAD変換データを読み込んで保持するAD変換読込処理120−1〜120−4が実行される。
【0083】
監視盤11が一括AD変換コマンド118を送信すると、これに続いて窓開閉検出装置10−1〜10−4のアドレスを順次指定したポーリングコマンド122−1,122−2,122−3,122−4,・・・122−nを順次送信する。
【0084】
例えば監視盤11がポーリングコマンド112−1を窓開閉検出装置10−1のアドレス1を指定して送信すると、これを窓開閉検出装置10−1が受信し、その前の一括AD変換コマンド118の受信で保持している窓開閉磁力レベルVs1と施錠磁力レベルVs2を含む図12(B)の上り電文116のフォーマット構成を持つ応答電文124−1を送信する。
【0085】
同様に、ポーリングコマンド122−2〜122−4に対し、窓開閉検出装置10−2〜10−4が応答電文124−2〜124−4を送信する。以下、この処理を繰り返すことになる。
【0086】
図14は本実施形態の監視盤11による監視制御処理を示したフローチャートであり、図10を参照して説明すると次のようになる。
【0087】
図14において、監視盤11による監視制御処理は、監視盤11の電源を投入すると、まずステップS1で初期化処理及び自己診断処理を実行する。続いてステップS2に進み、登録処理を実行する。この登録処理の詳細は図15のフローチャートに示しており、窓開閉検出装置10−1〜10−4から初期登録した磁力レベルを収集して、判定閾値の算出と登録を行う。
【0088】
続いてステップS3で監視モードの設定の有無を判別しており、外出の際に留守番モードの設定操作を行うと監視モードの設定が判別され、ステップS4以降の処理に進む。
【0089】
ステップS4にあっては、所定の周期Tに達するごとに一括AD変換コマンドを送信し、ステップS5で窓開閉検出装置の最初のアドレスを指定したポーリングコマンドの送信を行う。ステップS6でポーリング応答を受信すると、ステップS7で窓開閉磁力レベルと施錠磁力レベルを読み込み、ステップS8で窓開閉監視処理を行う。
【0090】
窓開閉監視処理は、管理情報テーブル104からアドレスに対応した図13に示す第1窓判定閾値TH1と第2窓判定閾値TH2を読み出して、窓開閉磁力レベルと比較する。この窓開閉監視処理の判定結果につき、ステップS9で窓開を判定すると、ステップS13に進み、警報処理を実行する。
【0091】
またステップS9で窓開を判定しなかった場合には、ステップS10に進み、クレセント施錠監視処理を行う。クレセント施錠監視処理は、図11の管理情報テーブル104からアドレスに対応した錠判定閾値TH3を読み出して施錠磁力レベルと比較し、その比較結果につき、ステップS11で錠開を判定すると、ステップS13に進んで警報処理を行う。
【0092】
なお、ステップS10のクレセント施錠監視処理はステップS9で窓開を判定しなかった時に行うようにしているが、窓開閉の判定結果に関らず、ステップS10の施錠監視処理は行うようにする。
【0093】
ステップS13で警報処理を行った場合には、ステップS14で警報停止操作があるまで警報処理を継続し、警報停止処理を判別すると、ステップS15で警報停止を行う。
【0094】
ステップS12にあっては、ステップS5のポーリング送信によるアドレスが最終アドレスに達したか否か判定しており、最終アドレスに達するまではステップS5からの処理を繰り返している。ステップS12で最終アドレスが判別されると、ステップS16のローバッテリー受信処理及びステップS17の定期通報受信処理を経て、ステップS3に戻り、監視モードの設定が継続していれば、再びステップS4からの処理を繰り返す。
【0095】
ステップS16のローバッテリー受信処理は、ローバッテリーを起こした窓開閉検出装置からの応答電文、例えばローバッテリー検出に基づく割込みなどによる応答電文を受信して、ローバッテリーを生じた窓開閉検出装置の障害表示などを行う。
【0096】
ステップS17の定期通報受信処理にあっては、例えば窓開閉検出装置側から所定時間に1回、定期通報電文が送られてきており、所定時間を経過しても定期通報電文が受信されない場合には、その窓開閉検出装置に障害が発生していることから、障害警報を出すようになる。
【0097】
図15は図14のステップS2における登録処理の詳細を示したフローチャートである。図15において、監視盤11の登録処理は、ステップS21で初期登録収集コマンドを窓開閉検出装置のアドレスを順次指定しながら送信する。
【0098】
続いてステップS22で応答電文の受信を判別すると、ステップS23に進み、初期登録が正常に行われているか否か判別する。初期登録が正常に行われているか否かは、受信した応答電文に含まれている初期登録された磁力レベルがオールゼロなどとなっており、これにより初期登録が正常に行われていないことを認識する。また応答電文のステータスから認識することも可能である。
【0099】
ステップS23で初期登録が正常であった場合には、ステップS24に進み、応答電文から窓開閉磁力レベルVs1を読み込み、ステップS25で窓開閉磁力レベルVs1より所定比率低い窓開閉判定閾値TH1と、窓開閉磁力レベルVs1より所定比率高い窓開閉判定閾値TH2を算出して、管理情報テーブル104に登録する。
【0100】
続いてステップS26で応答電文から施錠磁力レベルVs2を読み込み、ステップS27で所定比率低い錠判定閾値TH3を算出して管理情報テーブル104に登録する。続いてステップS28で全アドレスの終了の有無をチェックし、未終了であればステップS21に戻り、次のアドレスを指定して同様な処理を繰り返す。
【0101】
図16は図14のステップS8における窓開閉監視処理の詳細を示したフローチャートである。
【0102】
図16において、まずステップS31で窓開閉検出用ホールセンサ46により検出された磁力レベルをAD変換値として取得し、ステップS32に進んで前回が窓開判定であることを判別すると、ステップS33に進んで第1窓判定閾値TH1と比較する。ステップS33で磁力レベルが第1窓判定閾値TH1以下であればステップS34に進んで窓開判定する。
【0103】
一方、ステップS33で磁力レベルが第1窓判定閾値TH1を超えていた場合はステップS35で第2窓判定閾値TH2と比較し、第2窓判定閾値TH2以上の場合は、悪戯などにより強力な磁石を外から近づけたことによる磁力レベルの異常な増加と判断し、ステップS34に進んで窓開判定とする。
【0104】
また、ステップS32で前回が開判定であった場合には、ステップS36に進み、磁力レベルが第1窓判定閾値レベルTH1より大きく、第2窓判定閾値TH2より小さいときはステップS37に進んで窓閉判定を行う。
【0105】
図17は図14のステップS10におけるクレセント錠開閉監視処理の詳細を示したフローチャートである。
【0106】
図17において、まずステップS41で施錠検出用ホールセンサ48により検出された磁力レベルをAD変換値として取得し、ステップS42に進んで前回が窓閉判定であることを判別すると、ステップS43に進んで錠判定閾値TH3と比較する。
【0107】
ステップS43で磁力レベルが錠判定閾値TH3以下であればステップS44に進んで錠開判定する。
【0108】
一方、ステップS42で前回が開判定であった場合には、ステップS45に進み、磁力レベルが錠判定閾値レベルTH3より大きいときはステップS46に進んで錠閉判定を行う。
【0109】
図18は本実施形態の窓開閉検出装置10による窓開閉検出処理を示したフローチャートであり、図5の窓開閉検出装置10を参照して説明すると次のようになる。
【0110】
図18において、窓開閉検出処理は、電源を投入すると、ステップS51で初期化処理及び自己診断処理を実行した後、ステップS52で不揮発メモリ72からアドレスなどのメモリデータを読み込み、ステップS53で磁力レベル初期登録処理を実行する。この磁力レベル初期登録処理の詳細は、図19のフローチャートに示すように、不揮発メモリ72に施錠磁力レベルVs2を初期登録する処理となる。
【0111】
続いてステップS54で監視盤11からの一括AD変換コマンドの受信を判別すると、ステップS55に進み、AD変換ポート74から窓開閉検出用ホールセンサ46で検出している窓開閉磁力レベルを読み込み、続いてステップS56でAD変換コンバータ76から施錠検出用ホールセンサ46で検出している施錠磁力レベルを読み込み、RAMなどに保持する。
【0112】
続いてステップS57で自己アドレスを指定したポーリングコマンドの受信を判別すると、ステップS58に進み、図14(B)に示した上り電文116のフォーマット構成を持つ応答電文を作成して送信する。続いてステップS59でローバッテリー監視処理を行い、万一、電池電圧が所定電圧以下に低下したローバッテリーを検出している場合には、割込コマンドによりローバッテリーを監視盤11に通信する。
【0113】
続いてステップS60で定期通報処理を実行する。定期通報処理は、予め定めた一定時間ごとに定期通報コマンドを送信することになる。
【0114】
図19は図18のステップS53における磁力レベル初期登録処理の詳細を示したフローチャートである。図19において、まずステップS61で登録スイッチ60のオン操作を判別しており、磁力レベルの初期登録のため、開閉レバー18を解錠位置に操作してクレセント錠検出マグネット20を最大距離に設定し、カバー部材24を開いて登録スイッチ60を操作すると、登録スイッチオンが判別されてステップS62に進み、赤色LED56aを点滅し、ステップS63で登録モードをスタートする。
【0115】
登録モードではステップS64で登録モードのスタートで起動したタイマにより登録可能期間である所定時間が経過したか否か判別しており、所定時間が経過するまでの間、ステップS65に進み、そのとき施錠検出用ホールセンサ48で検出した磁力レベルを取得し、ステップS66で予め設定した所定の有効レベルと比較し、有効レベルを得られた場合には、ステップS67に進み、不揮発メモリ72に磁力レベルVs2として記憶する。
【0116】
不揮発メモリ72に磁力レベルVs2が有効に初期登録されると、ステップS68で表示部56の緑色LED56bを点灯し、初期登録完了を知らせる。
【0117】
続いてステップS69で監視盤11からの初期登録収集コマンドの受信を判別するとステップS70に進み、不揮発メモリ72に記憶している磁力レベルVs1,Vs2の応答電文を作成して監視盤11に送信する。
【0118】
一方、登録スイッチ60の操作により登録モードを設定している登録可能期間である所定時間の間に、カバー部材24を閉じてクレセント錠16の開閉レバー18を施錠位置に戻す操作を行わなかった場合には、ステップS66で有効レベルを超える磁力レベルが得られないために、ステップS64で登録可能期間の経過を判別してステップS71に進んで赤色LED56aを点滅から点灯に切り替えて初期登録の失敗を表示する。
【0119】
続いてステップS72で監視盤11からの初期登録収集コマンドの受信を判別するとステップS73に進み、ステータスをエラー状態とした応答電文を作成して監視盤11に送信する。
【0120】
なお、上記の実施形態は窓開閉とクレセント錠開閉の両方を検出して監視する場合いを例にとるものであったが、片方のみ検出して監視する監視システムとしても良い。
【0121】
また上記の実施形態にあっては、監視盤11で留守番モードを設定した際に窓開またはクレセント錠開を検出したときに警報を出すようにしているが、留守番モードを設定しない通常の在宅状態にあっても、監視盤11から窓開閉検出装置に対するポーリングを行って、窓の開閉状態、クレセント錠の開閉状態を収集し、監視盤に窓の状態を定常的に表示するようにしてもよい。
【0122】
このような定常的な窓開閉状態の表示によれば、例えば急に雨が降ってきたような場合、監視盤11の表示を見ることで、どこの窓が開いているかがすぐに分かり、適切な対応をとることができる。
【0123】
また上記の実施形態にあっては、窓開閉検出装置から収集した磁力レベルを所定の閾値と比較して窓開、窓閉を判断しているが、窓の開閉状態が磁力レベルのアナログ量として検出できることから、単純な判定閾値との比較によらず、磁力レベルの値の変化から窓の状態をよりきめ細かに判断して監視盤側で判断することも可能である。
【0124】
また、本発明は監視盤11に設けた操作部88の操作により、初期登録時に算出して登録した閾値を任意に変更操作してもよく、また再算出するようにしても良い。経年変化により磁力レベルが変動してくると、マグネットが取り付けられた監視対象の開閉状態を誤判断する可能性がでてくることから、監視盤11から各窓開閉検出装置に点検コマンドを送り、各種の磁力レベルを収集して、図11の管理情報テーブル104に示す磁力レベル初期値及び閾値を算出して再登録することで、経年変化にかかわらず確実な判断を行うことができる。
【0125】
管理情報テーブル104の再登録は、監視盤11の手動操作だけでなく、定期的に自動で点検コマンドを送信して管理情報テーブル104の再設定を行っても良い。通常のポーリング時の各窓開閉検出装置10からの上り電文中116に含まれる磁力レベル値に基づいて、管理情報テーブル104の再設定を行っても良い。各窓が施錠されていることを確認した後に制御盤11の登録操作を行うと、そのときの各窓開閉検出装置が検出している磁力レベルを収集して、閾値を算出し、管理情報テーブル104の設定を行うようにしても良い。登録が正常に完了したかの処理結果を制御盤11で表示する。
【0126】
正常に登録処理が完了しなかった場合は、異常終了した窓開閉検出装置10の表示灯を異常表示させることで、異常処理で終わった窓開閉検出装置を容易に認識することができる。この場合は、窓開閉検出装置に設けた登録スイッチを操作することにより、個別に窓開閉検出装置の登録処理を実行して記憶し、制御盤からのポーリング時に、登録モードである旨を磁力検出レベルとともに制御盤に送信することで、制御盤にて磁力レベルの初期値を登録し、さらに閾値を算出して再登録を行うことができる。
【0127】
窓開閉検出装置に設けた登録スイッチを操作することにより、窓開閉検出装置が個別に制御盤に対して送信して磁力レベル及び閾値の登録処理を行うようにできても良い。
【0128】
また本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0129】
11:監視盤
10,10−1〜10−4:窓開閉検出装置
46:窓開閉検出用ホールセンサ
48:施錠検出用ホールセンサ
78:磁力レベル登録部
80:磁力レベル転送部
82:施錠監視部
106:登録処理部
108:磁力レベル登録部
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓の開閉状態をホールセンサなどの磁気検知素子を使用して検出する窓開閉検出装置を監視盤で集中監視する監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、窓の開閉を検出して無線により監視盤に送信して警報させる無線式の窓開閉検出装置が知られている。このような窓開閉検出装置にあっては、窓ガラスに配置したマグネットの磁力を磁気感知素子で検出し、検出磁力が低下したときに窓開閉と判断して異常検出信号を警報盤に無線送信して警報させる。また窓に設けたクレセント錠の開閉レバーに配置したマグネットの磁力を別の磁気感知素子で検出し、検出磁力が低下したときにクレセント錠の開放と判断して異常検出信号を警報盤に無線送信して警報させている。
【0003】
従来の窓開閉装置に使用される磁気感知素子は主に磁力の強弱に応じて接点を機械的にオン、オフするリードスイッチを使用していたが、近年にあっては、ホール効果を利用して磁力を検出するホールセンサが使用されている。
【0004】
ホールセンサを磁気感知素子として使用する場合、検出対象とするマグネットに近いほど強い磁力がホールセンサを通過することで高いセンサ出力が得られる。ホールセンサで検出した磁力レベルに基づく窓の開閉検出は、窓を閉じた状態で検出される磁力レベルに対し、所定比率だけ低い値を判定閾値として設定する。監視中に、検出している磁気レベルが低下して判定閾値以下になったら窓開と判定して窓開を示す電文を監視装置に送信して警報させる。
【0005】
また窓の開を判定した後に、磁気レベルが増加して判定閾値を超えた時、窓閉と判定して窓閉を示す電文を監視装置に無線送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−281636号公報
【特許文献2】特開2001−14990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の窓開閉検出装置にあっては、ホールセンサにより検出した磁力レベルをプロセッサに取り込んで所定の判定閾値と比較して窓の開閉及びクレセント錠の開閉を判別し、判別結果を監視盤に無線送信して報知しているが、磁力レベルの検出から開閉判断までの処理機能の全てを窓開閉検出装置に組み込んでいるため、小型軽量化に限界があり、また消費電流も増加し、更に、アナログ信号として得られる磁力レベルに基づく開閉以外のより細かな状態の判断をプロセッサで行うことが困難な状況にある。
【0008】
本発明は、窓開閉検出装置にセンサ機能を集約し、判断機能は監視盤に持たせて集中監視することで、磁力レベルに基づき窓及び錠の状態を適切に判断可能とする監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の監視システムは、
窓の監視対象物にマグネットを配置して磁気感知素子が検出した磁力レベルに基づく検出信号を無線送信する窓開閉検出装置と、
窓開閉検出装置から無線送信された検出信号及び予め検出信号により算出して盤内に記憶した閾値に基づいて監視対象物の状態を判定して報知する監視盤と、
を備えたことを特徴する。
【0010】
ここで、窓開閉検出装置は、窓の開閉状態に応じた磁力レベルに基づく窓開閉検出信号と窓に設けた錠の開閉状態に応じた磁力レベルに基づく錠開閉検出信号を無線送信し、
監視盤は、窓開閉検出装置に対する送信要求により窓開閉検出装置から無線送信された各検出信号及び予め記憶した各検出信号毎の閾値に基づいて窓及び錠の開閉状態を判定して報知する監視盤と、を備える。
【0011】
監視盤に設けた操作部の操作により、窓開閉検出装置へ検出信号を要求して受信した検出信号を登録すると共に検出信号に基づいて閾値を算出して登録する。
【0012】
窓開閉検出装置に登録用操作部を備え、登録用操作部の操作により磁力レベルを測定し検出信号を監視盤へ送信し、監視盤は受信した検出信号を登録するとともに受信した検出信号に基づき閾値を算出して登録する。
【0013】
また監視盤は、窓開閉検出装置から受信した検出信号に対し所定比率低い第1判定閾値を算出して監視対象物の状態変化を判定する閾値として登録すると共に、検出信号より所定比率高い第2判定閾値を外部から強力な磁力が加わる不正行為を判別するために算出して登録し、
監視状態で窓開閉検出装置から受信された検出信号が第1判定閾値以下に低下したときに監視対象物の変化を判定し、磁力レベルが第2判定閾値以上に増加したときに不正行為を判定する。
【0014】
さらに監視盤は、窓開閉検出装置の検出信号が閾値を超えた場合には、閾値を超えた窓開閉検出装置及び閾値の種別を特定して警報する。
【0015】
また、監視盤は、複数の窓開閉検出装置毎に検出信号及び閾値を記憶し、各窓開閉検出装置毎に検出信号を受信し前記閾値と比較して監視対象物の状態を判定する。
【0016】
そして窓開閉検出装置に送信要求を順次出力して検出信号を受信し、受信した検出信号が閾値を超えた場合は、閾値を超えた窓開閉検出装置への送信要求の送信比率を高くする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、窓に取り付けられる窓開閉検出装置は、磁力レベルを検出して監視盤に送信するというセンサ機能に集約した装置として設けられ、判断処理を必要としないことでプロセッサなどの処理負担を低減して更なる小型軽量化を図ることができ、判断処理を必要としない分、消費電流も低減して電池寿命を延ばすことができる。
【0018】
また窓開閉状態やクレセント錠開閉状態の判断は、窓に取り付けた窓開閉検出装置のホールセンサで検出している磁力レベルを監視盤で収集し、所定の判定閾値との比較で複数の窓に対し窓及びクレセント錠の開閉状態を判定して報知する処理を、サイズ及び処理性能の面で制約の少ない監視盤に集中して行うことで、より高速で適切な判断処理ができる。
【0019】
また磁力レベルとの比較で開閉を判断するための判定閾値についても、窓開閉検出装置の登録操作で初期登録された磁力レベルを収集して計算により判定閾値を求めてテーブル登録することで、窓開閉検出装置側での処理負担を軽減すると共に、監視盤の集中監視であっても、窓開閉検出装置の実際の設置状況に応じた適切な判定閾値を設定し、正確な窓及びクレセント錠の開閉状態の判断ができる。
【0020】
また、監視盤や窓開閉検出装置に設けた登録処理の操作により、監視盤が開閉状態で使用する判定閾値を、窓開閉検出装置を複数台一括してまたは個別に容易に更新することができる。
【0021】
また、監視盤において閾値を超えた窓開閉検出装置及び閾値の種別を特定して警報することができより詳細な警報を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による監視システムの実施形態を示した説明図
【図2】本実施形態による窓開閉検出装置の設置状態を示した説明図
【図3】本実施形態における窓開閉検出装置の実施形態を示した組立分解図
【図4】図2の設置状態におけるホールセンサとマグネットの関係を示した説明図
【図5】本実施形態における窓開閉検出装置の回路構成を示したブロック図
【図6】図5のAD変換ポートによる磁気レベル検出信号のAD変換特性を示したグラフ図
【図7】本実施形態における窓開閉検出用ホールセンサの検出信号から取得した磁力レベルの距離に対する関係を示したグラフ図
【図8】本実施形態におけるクレセント錠検出マグネットとホールセンサの関係を示した説明図
【図9】本実施形態における施錠検出用ホールセンサの距離に対する磁力レベルの関係を示したグラフ図
【図10】本実施形態における監視盤の実施形態を示したブロック図
【図11】図10の監視盤に設けた管理情報テーブルを示した説明図
【図12】本実施形態の監視盤で用いる電文フォーマットを示した説明図
【図13】本実施形態の監視盤と窓開閉検出装置の間の通信動作を示したタイムチャート
【図14】本実施形態の監視盤による監視制御処理を示したフローチャート
【図15】図14のステップS2における登録処理の詳細を示したフローチャート
【図16】図14のステップS8における窓開閉監視処理の詳細を示したフローチャート
【図17】図14のステップS10におけるクレセント施錠監視処理の詳細を示したフローチャート
【図18】本実施形態の窓開閉検出装置による窓開閉検出処理を示したフローチャート
【図19】図18のステップS53におけるクレセント錠登録処理の詳細を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は住宅を対象とした本発明による監視システムの実施形態を示した説明図である。図1において、住宅1の台所、居間、主寝室、子供部屋に設けた窓のそれぞれには窓開閉検出装置10−1〜10−4が設置され、例えば台所に監視盤11を設置している。
【0024】
外出などの留守にする際には、窓を閉じてそのクレセント錠を閉じた状態で監視盤11を留守番モードにセットすると、窓に設置した窓開閉検出装置10−1〜10−4の監視盤11による集中監視が開始される。
【0025】
監視盤11は周期的なポーリングにより窓開閉検出装置10−1〜10−4から磁気検知素子としてのホールセンサにより検出した磁力レベルを収集し、窓開閉検出装置10−1〜10−4毎に登録した判定閾値との比較で窓開を判別したとき、警報を報知する。
【0026】
図2は本発明による窓開閉検出装置の設置状態を示した説明図である。図2において、本実施形態の窓開閉検出装置10は監視対象とする引き違い窓の窓サッシ12a,12bの縦枠に両面テープ又はビスなどにより固定される。
【0027】
窓開閉検出装置10の上側には、窓サッシ12a,12bを閉じた状態で、相対する位置に窓開閉検出マグネット14を両面テープで貼り付けており、窓開閉検出マグネット14からの磁力を内蔵した磁気検知素子としてホールセンサにより検出している。
【0028】
窓サッシ12a,12bの閉鎖位置で窓開閉検出マグネット14は窓開閉検出装置10に最も近づいて磁力レベルは最大となっており、窓を開くと窓開閉検出マグネット14が窓開閉検出装置10から離れることでホールセンサにより検出している磁力が低下する。
【0029】
また窓開閉検出装置10はその下端を窓サッシ12a,12bに設けているクレセント錠16に近接するように配置し、クレセント錠16の開閉レバー18に貼り付けたクレセント錠検出マグネット20の磁力を下端側に内蔵した別のホールセンサで検出している。
【0030】
クレセント錠16は開閉レバー18を図示の垂直方向に回した操作位置で窓サッシ12a,12bを施錠しており、このときクレセント錠検出マグネット20は窓開閉検出装置10に最も近接してホールセンサで検出する磁力レベルが最大となる。開閉レバー18を下側に回してクレセント錠16を開錠すると、クレセント錠検出マグネット20が離れることでホールセンサで検出している磁力レベルが低下する。
【0031】
図3は本実施形態による窓開閉検出装置の組立分解図である。図4において、本実施形態の窓開閉検出装置10は装置本体22とカバー部材24で構成される。
【0032】
装置本体22は、底部側から、ボディケース36及びアンテナ40を備えた回路基板38を組み立てている。
【0033】
回路基板38の上部側にはセンサ基板45が起立され、ここに窓開閉検出用ホールセンサ46を配置している。また回路基板38の下端にはクレセント錠検出用ホール素子48が設置されている。
【0034】
図4は図2の設置状態におけるホールセンサとマグネットの関係を示した説明図であり、図4(A)に平面を示し、図4(B)に横方向から見た状態を示している。
【0035】
図4(A)に示すように、本実施形態の窓開閉検出装置10は内側に位置する窓サッシ12aの縦枠に両面テープ又はビスなどにより取り付けられ、窓開閉検出装置10の右側面に相対して窓サッシ12bのガラス面に窓開閉検出マグネット14を両面テープで接着している。
【0036】
窓開閉検出装置10に内蔵した窓開閉検出用ホールセンサ46は、図4(B)に示すように、窓開閉検出マグネット14に有効検出面を相対するようにセンサ基板45に実装しており、窓サッシ12a,12bを閉じた図示の状態で、装置側面からの距離dは最小となり、窓開閉検出マグネット14は破線で示す磁力線の方向に応じて例えばプラス極性で最大となる磁力レベルの検出信号を出力している。
【0037】
窓閉における最小距離dは、窓サッシの構造や窓開閉検出装置10の取り付け状態により変化するが、本実施形態にあっては、規定範囲内の距離に配置されたときの磁力レベルに対し窓閉の判定結果が効率よく得られるように、アンプによる増幅率を設定している。
【0038】
図5は本実施形態による窓開閉検出装置の回路構成を示したブロック図である。図5において、制御部として設けられたプロセッサ50はワンチップマイコンとして知られたコンピュータであり、1チップにCPU、ROM,RAM、AD変換ポート、各種の入出力ポートなどを備えており、本実施形態ではEEPROMなどの不揮発メモリ68を外付けしている。
【0039】
窓開閉検出用ホールセンサ46で検出した窓ガラスに設けた窓開閉検出マグネット14による磁力レベル検出信号は、増幅回路52で増幅された後にAD変換ポート74に与えられ、デジタル変換した磁力レベル(AD変換値)をプロセッサ50に取り込まれる。
【0040】
また、施錠検出用ホールセンサ48で検出したクレセント錠16の開閉レバー18に設けたクレセント錠検出マグネット20による磁力レベル検出信号も増幅回路54で増幅された後にAD変換ポート76に与えられ、デジタル変換した磁力レベル(AD変換値)をプロセッサ50に取り込まれる。
【0041】
プロセッサ50に対しては、表示部56、登録スイッチ60及び無線送信部66が設けられている。
【0042】
表示部56は赤色LED56aと緑色LED56bの2色LEDを設けており、正常監視中は緑LED56bを点灯し、ローバッテリーなどの障害が発生すると赤色LED56aを点灯する。
【0043】
登録スイッチ60は本実施形態の使用開始時に行う施錠登録モードの設定に使用される。
【0044】
無線送信部66には送信回路68と受信回路70が設けられ、監視盤11からポーリングなどの制御電文を受信し、そのとき検出している磁力レベルを含む応答電文を送信する。
【0045】
不揮発メモリ72には窓開閉検出装置10を窓に設置した状態で行われる登録処理において、窓開閉検出用ホールセンサ46により検出された窓開閉磁力レベル(第1磁力レベル)Vs1が初期登録により記憶されている。また不揮発メモリ72には、登録処理の際に施錠検出用ホールセンサ48により検出された施錠磁力レベル(第2磁力レベル)Vs2が初期登録により記憶されている。更に、不揮発メモリ72には窓開閉検出装置10に割当てられたアドレスが格納される。
【0046】
プロセッサ50にはCPUによるプログラムの実行により実現される機能として、磁力レベル登録部78と磁力レベル転送部80が設けられている。
【0047】
磁力レベル登録部78は、登録スイッチ60の操作により動作し、窓の閉鎖状態で窓開閉検出用ホールセンサ46により検出された窓開閉磁力レベルVs1を不揮発メモリ72に初期登録すると共に、クレセント錠16の閉鎖状態で施錠検出用ホールセンサ48により検出された施錠磁力レベルVs2を不揮発メモリ72に初期登録し、その後、監視盤11からの送信要求により初期登録した窓開閉及び施錠磁力レベルVs1,Vs2を読み出して応答送信する。
【0048】
磁力レベル転送部80は、磁力レベル登録部78による登録処理が完了した後の監視状態おいて、監視盤11からの一括AD変換コマンドを受けて窓開閉検出用ホールセンサ46で検出している窓開閉磁力レベルVs1と施錠検出用ホールセンサ48で検出している施錠磁力レベルVs2を取得して保持し、その後、自己のアドレスを指定したポーリングコマンドによる送信要求を監視盤11から受けた際に、保持している窓開閉磁力レベルVs1と施錠磁力レベルVs2を応答送信する。
【0049】
図6は図5のAD変換ポート74による磁力レベル検出信号のAD変換特性を示したグラフ図である。図5に示した窓開閉検出用ホールセンサ46は磁力線の通過方向によりプラス極性の磁力レベル検出信号とマイナス極性の磁力レベル検出信号を出力する。つまり、図4は窓開閉検出マグネット14を窓開閉検出装置10の右側に配置しているが、窓の構造により、するかにより窓開閉検出装置10の左側に配置する場合もあるため、窓開閉検出用ホールセンサ46が出力する極性が異なる。また、マグネットの向きによっても磁力線が異なることにより極性が異なる。
【0050】
窓開閉検出用ホールセンサ46からの磁力レベル検出信号は増幅回路52で増幅された後にAD変換ポート74により磁力レベルデータ(AD変換値)に変換される。
【0051】
このAD変換ポート74の変換特性は、図6の縦軸に示すように、10進AD変換値として0〜256の値を持ち、入力するプラス極性の磁力レベル検出信号0〜+VmaxをAD変換値128〜256に変換し、入力するマイナス極性の磁力レベル検出信号0〜−VmaxをAD変換値128〜0に変換する。
【0052】
図7は本実施形態における装置側面から窓開閉検出マグネット14までの距離dに対する窓開閉検出用ホールセンサ46で検出した磁力レベルの関係を示したグラフ図である。なお、図7にあっては、説明を簡単にするため、磁力レベル検出信号の極性に関らず、AD変換値を0〜128として示している。
【0053】
図7の特性は、例えば図4の設置状態で、装置側面から窓開閉検出マグネット14までの距離dをd=0〜24mmの範囲で変化させて測定した磁力レベルに対応したAD変換値を示している。
【0054】
このような特性において、例えばd=20mmとなるマグネット配置を予定したとすると、このときのP点に対応した窓開閉磁力レベルVs1が求まる。この初期登録された窓開閉磁力レベルVs1は監視盤11に送られ、監視盤11において窓開閉磁力レベルVs1から所定比率αだけ低い値を第1窓判定閾値TH1として設定し、更に、窓開閉磁力レベルVs1に対し所定比率高い値を強力な磁石を外部から近づける悪戯による不正行為を判定するための第2窓判定閾値TH2として設定する。
【0055】
図8は、本実施形態におけるクレセント錠検出マグネット20と施錠検出用ホールセンサ48の関係を示した説明図である。図8において、窓開閉検出装置10における装置本体22のクレセント錠側の端部には施錠検出用ホールセンサ48が配置され、その前方(下方)にカバー部材24に収納した円錐状の集磁体26を配置している。
【0056】
クレセント錠16の開閉レバー18に設けたクレセント錠検出マグネット20は、開閉レバー18の施錠状態で図示のカバー部材24の外端面から距離hに位置し、この施錠位置での距離hが最小距離となる。クレセント錠検出マグネット20からの磁束は集磁体26の大径入射面に入った後、反対側の小径出射面に収束されて施錠検出用ホールセンサ48を通過する。
【0057】
このようなクレセント錠検出マグネット20による磁束は施錠検出用ホールセンサ48で磁力に応じた電圧信号として検出され、増幅回路54で増幅した後にAD変換ポート76により磁力レベル(AD変換値)として読み込まれる。
【0058】
図9は図8に示した装置端面からクレセント錠検出マグネット20までの距離hに対する施錠錠検出用ホールセンサ48で検出した磁力レベルの関係を示したグラフ図である。なお、AD変換ポート76の変換特性は図6と同じになるが、図9にあっては、説明を簡単にするため、磁力レベル検出信号の極性に関らず、AD変換値を0〜128として示している。
【0059】
ここで例えばクレセント錠検出マグネット20までの距離hがh=10mmであったとすると、P点に対応した施錠磁力レベルVs2が初期登録される。初期登録された施錠磁力レベルVs2は監視盤11に送られ、監視盤11において初期登録した施錠磁力レベルVs2から所定比率下げた値として錠判定閾値TH3が設定される。
【0060】
図10は本発明における監視盤11の実施形態を示したブロック図である。図10において、監視盤11にはプロセッサ84が設けられ、プロセッサ84に対しては、報知部86、操作部88、移報部90、電源部92、無線通信部94及び不揮発メモリ102が設けられている。
【0061】
報知部86は液晶ディスプレイ、LEDなどの表示灯、音響警報用のスピーカなどを備え、監視盤11における監視のためのモード設定表示や留守番モードの設定状態で異常を検出した際の警報表示などを行う。
【0062】
操作部88には、登録スイッチや留守番モードを設定するためのモード設定スイッチなどが設けられている。操作部88の登録スイッチを操作すると、窓に取り付けている複数の窓開閉検出装置に対し初期登録収集コマンドを送信して、それぞれの窓開閉検出装置で初期登録されている窓開閉磁力レベルVs1と施錠磁力レベルVs2を取得し、不揮発メモリ102に設けている管理情報テーブル104に対する判定閾値の作成処理を実行する。
【0063】
電源部92はAC100ボルトから直流電力を作り出して供給する。無線通信部94には送信回路96と受信回路98が設けられており、アンテナ100を使用して、図5に示した窓開閉検出装置10との間で電文の無線送信を行う。
【0064】
不揮発メモリ102には、監視盤11で集中監視している複数の窓開閉検出装置から収集した窓開閉磁力レベルVs1と施錠磁力レベルVs2につき、窓開閉やクレセント錠の開閉を判定するための判定閾値が管理情報テーブル104を使用して登録されており、この判定閾値を用いて、窓開閉、錠開閉を判断する。
【0065】
プロセッサ84には、プログラムの実行により実現される機能として、登録処理部106、磁力レベル取得部108、窓開閉監視部110及び施錠監視部112が設けられている。
【0066】
登録処理部106はシステムを立ち上げる際の操作部88に設けている登録スイッチなどの登録操作で動作し、監視盤11で集中監視している複数の窓開閉検出装置、例えば図1に示した窓開閉検出装置10−1〜10−4に対し、初期登録収集コマンドを送信し、窓開閉検出装置10−1〜10−2の不揮発メモリ72に初期登録されている窓開閉磁力レベルVs1と施錠磁力レベルVs2を収集し、これに基づき、窓の開閉を判定するための第1窓開閉閾値TH1,強いマグネットを近づけて不正行為を判定するための第2窓判定閾値TH2及びクレセント錠の開閉を判定する錠判定閾値TH3を算出し、収集した窓開閉及び施錠磁力レベルVs1,Vs2と共に不揮発メモリ102の管理情報テーブル104に格納する。
【0067】
図11は図10の不揮発メモリ102に格納された情報管理テーブル104を示した説明図である。情報管理テーブル104には、図1の監視システムを対象とした場合、窓開閉監視装置10−1〜10−4の端末アドレスが001〜004であったとすると、各アドレスに対応して窓開閉磁力レベルVs1iと施錠磁力レベルVs2iが、初期登録収集コマンドに基づく収集処理で登録されている(但し、i=1,2,3,4・・・)。
【0068】
続いて、窓開閉磁力レベルVs1iに対し所定比率低い値として計算された窓開閉判断閾値用の第1窓判定閾値TH1iが格納される。また窓開閉磁力レベルVs1iに対し所定比率高い値として、外部から強い磁力を与えて検出機能を失わせる悪戯などの不正行為を判別するための第2窓判定閾値TH2iを算出して登録している。
【0069】
更に、施錠磁力レベルVs2iに対し所定比率低い値として計算した錠判定閾値TH3iが登録されている。
【0070】
このように本実施形態の監視盤11にあっては、各窓開閉検出装置10−1〜10−4において、実際に設置状態で検出した窓開閉磁力レベルVs1iと施錠磁力レベルVs2iに基づき、それぞれ固有の判定閾値を算出して管理情報テーブル104に登録し、これによって一義的な判定閾値によらず、最適な実際の磁力レベルの検出状況に応じた判定閾値を設定して、正確な窓開閉及びクレセント錠の開閉判断を行うことができる。
【0071】
再び図10を参照するに、プロセッサ84に設けた磁力レベル取得部108は、予め定めた所定周期Tごとに、窓開閉検出装置10−1〜10−4に対し一括AD変換コマンドを送信し、これによって、窓開閉検出装置10−1〜10−4側において同時に、窓開閉検出用ホールセンサ46による窓開閉磁力レベルと施錠検出用ホールセンサ48による施錠磁力レベルをAD変換ポート74,76から読み込んで保持させる。
【0072】
磁力レベル取得部108は、一括AD変換コマンドを送信した後は、窓開閉検出装置10−1〜10−4のアドレスを順次指定したポーリングコマンドを送信し、このポーリングコマンドに対する応答として、窓開閉検出装置10−1〜10−4から一括AD変換コマンドの実行で保持している窓開閉磁力レベルVs1及び施錠磁力レベルVs2をデータとして含む応答電文を受信する。
【0073】
窓開閉監視部110は、留守番モードの設定状態において、磁力レベル取得部108のポーリングコマンドにより、窓開閉磁力レベルVs1を受信した際に、管理情報テーブル104のアドレスに対応した第1窓判定閾値TH1と第2窓判定閾値TH2を読み出して比較し、窓開閉磁力レベルVs1が第1窓判定閾値TH1以下であれば窓開と判定し、超えていれば窓閉と判定する。また窓開閉磁力レベルVs1が第2窓判定閾値TH2以上であった場合には、外部から強い磁石を近付けたいたずらによる不正行為と判定し、この場合には窓開と看做す判断を行う。
【0074】
窓開閉監視部110で窓開が判定されると、報知部86による警報表示を行うと共にスピーカなどから音響警報を出し、移報部90から外部機関に対する警報通報を行う。
【0075】
施錠監視部112は、留守番モードの設定状態において、磁力レベル取得部108によるポーリングコマンドで受信された施錠磁力レベルVs2を図11の管理情報テーブル104の対応するアドレスから読み出した錠判定閾値TH3と比較し、錠判定閾値TH3以下であれば錠開を判定し、錠判定閾値TH3を超えていれば錠閉を判定する。
【0076】
施錠監視部112で錠開が判定されると、報知部86による警報を行う。報知の手段は、異常を検出した窓開閉検出装置10を特定して警報を行うだけでなく、どの種類の閾値を超えたのかも報知することができる。
【0077】
なお、正常監視時は、窓開閉検出装置10を順次ポーリングで磁力レベルを収集するが、窓開や錠開の異常が判定されると、異常を判定した窓開閉検出装置10を他よりもポーリング間隔を小さくして重点的に状態監視を行う。
【0078】
図12は本実施形態の監視盤11で用いる電文フォーマットを示した説明図である。図12(A)は監視盤11から窓開閉検出装置側に送信する下り電文114であり、プリアンブル、コマンド、アドレス、チェックコードで構成されている。
【0079】
プリアンブルは「010101・・・」の連続コードであり、受信側におけるPLLなどの位相同期などに使用される。コマンドには、本実施形態にあっては、初期登録収集コマンド、一括AD変換コマンド、ポーリングコマンドなどが設定される。アドレスは下り電文114の送り先となる窓開閉検出装置のアドレスをセットする。なお一括AD変換コマンドなどの共通コマンドについては、各窓開閉検出装置で同時に自己アドレスとして認識可能な共通アドレスをセットする。チェックコードはパリティなどの適宜のチェックコードである。
【0080】
図12(B)は上り電文116であり、窓開閉検出装置10から監視盤11側に送る電文である。上り電文116は、プリアンブル、ステータス、アドレス、窓開閉磁力レベル、施錠磁力レベル及びチェックコードで構成されている。
【0081】
上り電文116におけるステータスは、応答電文の種別に応じたステータスコマンドがセットされる。アドレスは送信元となる窓開閉検出装置自身のアドレスである。窓開閉磁力レベル及び施錠磁力レベルは、初期登録収集コマンドに対する応答用の上り電文116であれば、図5に示したように、不揮発メモリ72に初期登録している磁力レベルVs1と磁力レベルVs2であり、登録処理が終了した後の通常監視状態にあっては、一括AD変換コマンドの受信でAD変換ポート70,72から読み込まれて保持されている磁力レベルである。
【0082】
図13は本実施形態の監視盤11と窓開閉検出装置10−1〜10−4の間の通信動作を示したタイムチャートである。図13(A)は監視盤11の通常監視状態における通信動作であり、所定周期Tごとに一括AD変換コマンド118を送信している。一括AD変換コマンド118を送信すると、図13(B)〜(E)に示す窓開閉検出装置10−1〜10−4側では、それぞれのAD変換ポート74,76から窓開閉用ホールセンサ及び施錠検出用ホールセンサ48で検出されている記録レベルのAD変換データを読み込んで保持するAD変換読込処理120−1〜120−4が実行される。
【0083】
監視盤11が一括AD変換コマンド118を送信すると、これに続いて窓開閉検出装置10−1〜10−4のアドレスを順次指定したポーリングコマンド122−1,122−2,122−3,122−4,・・・122−nを順次送信する。
【0084】
例えば監視盤11がポーリングコマンド112−1を窓開閉検出装置10−1のアドレス1を指定して送信すると、これを窓開閉検出装置10−1が受信し、その前の一括AD変換コマンド118の受信で保持している窓開閉磁力レベルVs1と施錠磁力レベルVs2を含む図12(B)の上り電文116のフォーマット構成を持つ応答電文124−1を送信する。
【0085】
同様に、ポーリングコマンド122−2〜122−4に対し、窓開閉検出装置10−2〜10−4が応答電文124−2〜124−4を送信する。以下、この処理を繰り返すことになる。
【0086】
図14は本実施形態の監視盤11による監視制御処理を示したフローチャートであり、図10を参照して説明すると次のようになる。
【0087】
図14において、監視盤11による監視制御処理は、監視盤11の電源を投入すると、まずステップS1で初期化処理及び自己診断処理を実行する。続いてステップS2に進み、登録処理を実行する。この登録処理の詳細は図15のフローチャートに示しており、窓開閉検出装置10−1〜10−4から初期登録した磁力レベルを収集して、判定閾値の算出と登録を行う。
【0088】
続いてステップS3で監視モードの設定の有無を判別しており、外出の際に留守番モードの設定操作を行うと監視モードの設定が判別され、ステップS4以降の処理に進む。
【0089】
ステップS4にあっては、所定の周期Tに達するごとに一括AD変換コマンドを送信し、ステップS5で窓開閉検出装置の最初のアドレスを指定したポーリングコマンドの送信を行う。ステップS6でポーリング応答を受信すると、ステップS7で窓開閉磁力レベルと施錠磁力レベルを読み込み、ステップS8で窓開閉監視処理を行う。
【0090】
窓開閉監視処理は、管理情報テーブル104からアドレスに対応した図13に示す第1窓判定閾値TH1と第2窓判定閾値TH2を読み出して、窓開閉磁力レベルと比較する。この窓開閉監視処理の判定結果につき、ステップS9で窓開を判定すると、ステップS13に進み、警報処理を実行する。
【0091】
またステップS9で窓開を判定しなかった場合には、ステップS10に進み、クレセント施錠監視処理を行う。クレセント施錠監視処理は、図11の管理情報テーブル104からアドレスに対応した錠判定閾値TH3を読み出して施錠磁力レベルと比較し、その比較結果につき、ステップS11で錠開を判定すると、ステップS13に進んで警報処理を行う。
【0092】
なお、ステップS10のクレセント施錠監視処理はステップS9で窓開を判定しなかった時に行うようにしているが、窓開閉の判定結果に関らず、ステップS10の施錠監視処理は行うようにする。
【0093】
ステップS13で警報処理を行った場合には、ステップS14で警報停止操作があるまで警報処理を継続し、警報停止処理を判別すると、ステップS15で警報停止を行う。
【0094】
ステップS12にあっては、ステップS5のポーリング送信によるアドレスが最終アドレスに達したか否か判定しており、最終アドレスに達するまではステップS5からの処理を繰り返している。ステップS12で最終アドレスが判別されると、ステップS16のローバッテリー受信処理及びステップS17の定期通報受信処理を経て、ステップS3に戻り、監視モードの設定が継続していれば、再びステップS4からの処理を繰り返す。
【0095】
ステップS16のローバッテリー受信処理は、ローバッテリーを起こした窓開閉検出装置からの応答電文、例えばローバッテリー検出に基づく割込みなどによる応答電文を受信して、ローバッテリーを生じた窓開閉検出装置の障害表示などを行う。
【0096】
ステップS17の定期通報受信処理にあっては、例えば窓開閉検出装置側から所定時間に1回、定期通報電文が送られてきており、所定時間を経過しても定期通報電文が受信されない場合には、その窓開閉検出装置に障害が発生していることから、障害警報を出すようになる。
【0097】
図15は図14のステップS2における登録処理の詳細を示したフローチャートである。図15において、監視盤11の登録処理は、ステップS21で初期登録収集コマンドを窓開閉検出装置のアドレスを順次指定しながら送信する。
【0098】
続いてステップS22で応答電文の受信を判別すると、ステップS23に進み、初期登録が正常に行われているか否か判別する。初期登録が正常に行われているか否かは、受信した応答電文に含まれている初期登録された磁力レベルがオールゼロなどとなっており、これにより初期登録が正常に行われていないことを認識する。また応答電文のステータスから認識することも可能である。
【0099】
ステップS23で初期登録が正常であった場合には、ステップS24に進み、応答電文から窓開閉磁力レベルVs1を読み込み、ステップS25で窓開閉磁力レベルVs1より所定比率低い窓開閉判定閾値TH1と、窓開閉磁力レベルVs1より所定比率高い窓開閉判定閾値TH2を算出して、管理情報テーブル104に登録する。
【0100】
続いてステップS26で応答電文から施錠磁力レベルVs2を読み込み、ステップS27で所定比率低い錠判定閾値TH3を算出して管理情報テーブル104に登録する。続いてステップS28で全アドレスの終了の有無をチェックし、未終了であればステップS21に戻り、次のアドレスを指定して同様な処理を繰り返す。
【0101】
図16は図14のステップS8における窓開閉監視処理の詳細を示したフローチャートである。
【0102】
図16において、まずステップS31で窓開閉検出用ホールセンサ46により検出された磁力レベルをAD変換値として取得し、ステップS32に進んで前回が窓開判定であることを判別すると、ステップS33に進んで第1窓判定閾値TH1と比較する。ステップS33で磁力レベルが第1窓判定閾値TH1以下であればステップS34に進んで窓開判定する。
【0103】
一方、ステップS33で磁力レベルが第1窓判定閾値TH1を超えていた場合はステップS35で第2窓判定閾値TH2と比較し、第2窓判定閾値TH2以上の場合は、悪戯などにより強力な磁石を外から近づけたことによる磁力レベルの異常な増加と判断し、ステップS34に進んで窓開判定とする。
【0104】
また、ステップS32で前回が開判定であった場合には、ステップS36に進み、磁力レベルが第1窓判定閾値レベルTH1より大きく、第2窓判定閾値TH2より小さいときはステップS37に進んで窓閉判定を行う。
【0105】
図17は図14のステップS10におけるクレセント錠開閉監視処理の詳細を示したフローチャートである。
【0106】
図17において、まずステップS41で施錠検出用ホールセンサ48により検出された磁力レベルをAD変換値として取得し、ステップS42に進んで前回が窓閉判定であることを判別すると、ステップS43に進んで錠判定閾値TH3と比較する。
【0107】
ステップS43で磁力レベルが錠判定閾値TH3以下であればステップS44に進んで錠開判定する。
【0108】
一方、ステップS42で前回が開判定であった場合には、ステップS45に進み、磁力レベルが錠判定閾値レベルTH3より大きいときはステップS46に進んで錠閉判定を行う。
【0109】
図18は本実施形態の窓開閉検出装置10による窓開閉検出処理を示したフローチャートであり、図5の窓開閉検出装置10を参照して説明すると次のようになる。
【0110】
図18において、窓開閉検出処理は、電源を投入すると、ステップS51で初期化処理及び自己診断処理を実行した後、ステップS52で不揮発メモリ72からアドレスなどのメモリデータを読み込み、ステップS53で磁力レベル初期登録処理を実行する。この磁力レベル初期登録処理の詳細は、図19のフローチャートに示すように、不揮発メモリ72に施錠磁力レベルVs2を初期登録する処理となる。
【0111】
続いてステップS54で監視盤11からの一括AD変換コマンドの受信を判別すると、ステップS55に進み、AD変換ポート74から窓開閉検出用ホールセンサ46で検出している窓開閉磁力レベルを読み込み、続いてステップS56でAD変換コンバータ76から施錠検出用ホールセンサ46で検出している施錠磁力レベルを読み込み、RAMなどに保持する。
【0112】
続いてステップS57で自己アドレスを指定したポーリングコマンドの受信を判別すると、ステップS58に進み、図14(B)に示した上り電文116のフォーマット構成を持つ応答電文を作成して送信する。続いてステップS59でローバッテリー監視処理を行い、万一、電池電圧が所定電圧以下に低下したローバッテリーを検出している場合には、割込コマンドによりローバッテリーを監視盤11に通信する。
【0113】
続いてステップS60で定期通報処理を実行する。定期通報処理は、予め定めた一定時間ごとに定期通報コマンドを送信することになる。
【0114】
図19は図18のステップS53における磁力レベル初期登録処理の詳細を示したフローチャートである。図19において、まずステップS61で登録スイッチ60のオン操作を判別しており、磁力レベルの初期登録のため、開閉レバー18を解錠位置に操作してクレセント錠検出マグネット20を最大距離に設定し、カバー部材24を開いて登録スイッチ60を操作すると、登録スイッチオンが判別されてステップS62に進み、赤色LED56aを点滅し、ステップS63で登録モードをスタートする。
【0115】
登録モードではステップS64で登録モードのスタートで起動したタイマにより登録可能期間である所定時間が経過したか否か判別しており、所定時間が経過するまでの間、ステップS65に進み、そのとき施錠検出用ホールセンサ48で検出した磁力レベルを取得し、ステップS66で予め設定した所定の有効レベルと比較し、有効レベルを得られた場合には、ステップS67に進み、不揮発メモリ72に磁力レベルVs2として記憶する。
【0116】
不揮発メモリ72に磁力レベルVs2が有効に初期登録されると、ステップS68で表示部56の緑色LED56bを点灯し、初期登録完了を知らせる。
【0117】
続いてステップS69で監視盤11からの初期登録収集コマンドの受信を判別するとステップS70に進み、不揮発メモリ72に記憶している磁力レベルVs1,Vs2の応答電文を作成して監視盤11に送信する。
【0118】
一方、登録スイッチ60の操作により登録モードを設定している登録可能期間である所定時間の間に、カバー部材24を閉じてクレセント錠16の開閉レバー18を施錠位置に戻す操作を行わなかった場合には、ステップS66で有効レベルを超える磁力レベルが得られないために、ステップS64で登録可能期間の経過を判別してステップS71に進んで赤色LED56aを点滅から点灯に切り替えて初期登録の失敗を表示する。
【0119】
続いてステップS72で監視盤11からの初期登録収集コマンドの受信を判別するとステップS73に進み、ステータスをエラー状態とした応答電文を作成して監視盤11に送信する。
【0120】
なお、上記の実施形態は窓開閉とクレセント錠開閉の両方を検出して監視する場合いを例にとるものであったが、片方のみ検出して監視する監視システムとしても良い。
【0121】
また上記の実施形態にあっては、監視盤11で留守番モードを設定した際に窓開またはクレセント錠開を検出したときに警報を出すようにしているが、留守番モードを設定しない通常の在宅状態にあっても、監視盤11から窓開閉検出装置に対するポーリングを行って、窓の開閉状態、クレセント錠の開閉状態を収集し、監視盤に窓の状態を定常的に表示するようにしてもよい。
【0122】
このような定常的な窓開閉状態の表示によれば、例えば急に雨が降ってきたような場合、監視盤11の表示を見ることで、どこの窓が開いているかがすぐに分かり、適切な対応をとることができる。
【0123】
また上記の実施形態にあっては、窓開閉検出装置から収集した磁力レベルを所定の閾値と比較して窓開、窓閉を判断しているが、窓の開閉状態が磁力レベルのアナログ量として検出できることから、単純な判定閾値との比較によらず、磁力レベルの値の変化から窓の状態をよりきめ細かに判断して監視盤側で判断することも可能である。
【0124】
また、本発明は監視盤11に設けた操作部88の操作により、初期登録時に算出して登録した閾値を任意に変更操作してもよく、また再算出するようにしても良い。経年変化により磁力レベルが変動してくると、マグネットが取り付けられた監視対象の開閉状態を誤判断する可能性がでてくることから、監視盤11から各窓開閉検出装置に点検コマンドを送り、各種の磁力レベルを収集して、図11の管理情報テーブル104に示す磁力レベル初期値及び閾値を算出して再登録することで、経年変化にかかわらず確実な判断を行うことができる。
【0125】
管理情報テーブル104の再登録は、監視盤11の手動操作だけでなく、定期的に自動で点検コマンドを送信して管理情報テーブル104の再設定を行っても良い。通常のポーリング時の各窓開閉検出装置10からの上り電文中116に含まれる磁力レベル値に基づいて、管理情報テーブル104の再設定を行っても良い。各窓が施錠されていることを確認した後に制御盤11の登録操作を行うと、そのときの各窓開閉検出装置が検出している磁力レベルを収集して、閾値を算出し、管理情報テーブル104の設定を行うようにしても良い。登録が正常に完了したかの処理結果を制御盤11で表示する。
【0126】
正常に登録処理が完了しなかった場合は、異常終了した窓開閉検出装置10の表示灯を異常表示させることで、異常処理で終わった窓開閉検出装置を容易に認識することができる。この場合は、窓開閉検出装置に設けた登録スイッチを操作することにより、個別に窓開閉検出装置の登録処理を実行して記憶し、制御盤からのポーリング時に、登録モードである旨を磁力検出レベルとともに制御盤に送信することで、制御盤にて磁力レベルの初期値を登録し、さらに閾値を算出して再登録を行うことができる。
【0127】
窓開閉検出装置に設けた登録スイッチを操作することにより、窓開閉検出装置が個別に制御盤に対して送信して磁力レベル及び閾値の登録処理を行うようにできても良い。
【0128】
また本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0129】
11:監視盤
10,10−1〜10−4:窓開閉検出装置
46:窓開閉検出用ホールセンサ
48:施錠検出用ホールセンサ
78:磁力レベル登録部
80:磁力レベル転送部
82:施錠監視部
106:登録処理部
108:磁力レベル登録部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓の監視対象物にマグネットを配置して磁気感知素子が検出した磁力レベルに基づく検出信号を無線送信する窓開閉検出装置と、
前記窓開閉検出装置から無線送信された前記検出信号及び予め前記検出信号により算出して盤内に記憶した閾値に基づいて前記監視対象物の状態を判定して報知する監視盤と、
を備えたことを特徴する監視システム。
【請求項2】
請求項1記載の監視システムに於いて、
前記窓開閉検出装置は、窓の開閉状態に応じた磁力レベルに基づく窓開閉検出信号と窓に設けた錠の開閉状態に応じた磁力レベルに基づく錠開閉検出信号を無線送信し、
前記監視盤は、前記窓開閉検出装置に対する送信要求により前記窓開閉検出装置から無線送信された各検出信号及び予め記憶した各検出信号毎の閾値に基づいて窓及び錠の開閉状態を判定して報知する監視盤と、
を備えたことを特徴する監視システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の監視システムに於いて、
前記監視盤に設けた操作部の操作により、前記窓開閉検出装置へ検出信号を要求して受信した検出信号を登録すると共に前記検出信号に基づいて前記閾値を算出して登録すること特徴とする監視システム。
【請求項4】
請求項1または2に記載の窓開閉検出装置に於いて、前記窓開閉検出装置に登録用操作部を備え、前記登録用操作部の操作により磁力レベルを測定し検出信号を前記監視盤へ送信し、前記監視盤は受信した検出信号を登録するとともに受信した検出信号に基づき閾値を算出して登録すること特徴とする監視システム。
【請求項5】
請求項1記載の監視システムに於いて、
前記監視盤は、前記窓開閉検出装置から受信した検出信号に対し所定比率低い第1判定閾値を算出して前記監視対象物の状態変化を判定する閾値として登録すると共に、前記検出信号より所定比率高い第2判定閾値を外部から強力な磁力が加わる不正行為を判別するために算出して登録し、
監視状態で前記窓開閉検出装置から受信された検出信号が前記第1判定閾値以下に低下したときに監視対象物の変化を判定し、前記磁力レベルが前記第2判定閾値以上に増加したときに不正行為を判定することを特徴とする監視システム。
【請求項6】
請求項5記載の監視システムに於いて、
前記監視盤は、前記窓開閉検出装置の検出信号が閾値を超えた場合には、閾値を超えた窓開閉検出装置及び閾値の種別を特定して警報することを特徴とする監視システム。
【請求項7】
請求項1記載の監視システムに於いて、
前記監視盤は、複数の前記窓開閉検出装置毎に前記検出信号及び閾値を記憶し、各窓開閉検出装置毎に検出信号を受信し前記閾値と比較して監視対象物の状態を判定することを特徴とする監視システム。
【請求項8】
請求項7記載の監視システムに於いて、前記監視盤は、前記窓開閉検出装置に送信要求を順次出力して検出信号を受信し、受信した検出信号が閾値を超えた場合は、閾値を超えた窓開閉検出装置への送信要求の送信比率を高くすることを特徴とする監視システム。
【請求項1】
窓の監視対象物にマグネットを配置して磁気感知素子が検出した磁力レベルに基づく検出信号を無線送信する窓開閉検出装置と、
前記窓開閉検出装置から無線送信された前記検出信号及び予め前記検出信号により算出して盤内に記憶した閾値に基づいて前記監視対象物の状態を判定して報知する監視盤と、
を備えたことを特徴する監視システム。
【請求項2】
請求項1記載の監視システムに於いて、
前記窓開閉検出装置は、窓の開閉状態に応じた磁力レベルに基づく窓開閉検出信号と窓に設けた錠の開閉状態に応じた磁力レベルに基づく錠開閉検出信号を無線送信し、
前記監視盤は、前記窓開閉検出装置に対する送信要求により前記窓開閉検出装置から無線送信された各検出信号及び予め記憶した各検出信号毎の閾値に基づいて窓及び錠の開閉状態を判定して報知する監視盤と、
を備えたことを特徴する監視システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の監視システムに於いて、
前記監視盤に設けた操作部の操作により、前記窓開閉検出装置へ検出信号を要求して受信した検出信号を登録すると共に前記検出信号に基づいて前記閾値を算出して登録すること特徴とする監視システム。
【請求項4】
請求項1または2に記載の窓開閉検出装置に於いて、前記窓開閉検出装置に登録用操作部を備え、前記登録用操作部の操作により磁力レベルを測定し検出信号を前記監視盤へ送信し、前記監視盤は受信した検出信号を登録するとともに受信した検出信号に基づき閾値を算出して登録すること特徴とする監視システム。
【請求項5】
請求項1記載の監視システムに於いて、
前記監視盤は、前記窓開閉検出装置から受信した検出信号に対し所定比率低い第1判定閾値を算出して前記監視対象物の状態変化を判定する閾値として登録すると共に、前記検出信号より所定比率高い第2判定閾値を外部から強力な磁力が加わる不正行為を判別するために算出して登録し、
監視状態で前記窓開閉検出装置から受信された検出信号が前記第1判定閾値以下に低下したときに監視対象物の変化を判定し、前記磁力レベルが前記第2判定閾値以上に増加したときに不正行為を判定することを特徴とする監視システム。
【請求項6】
請求項5記載の監視システムに於いて、
前記監視盤は、前記窓開閉検出装置の検出信号が閾値を超えた場合には、閾値を超えた窓開閉検出装置及び閾値の種別を特定して警報することを特徴とする監視システム。
【請求項7】
請求項1記載の監視システムに於いて、
前記監視盤は、複数の前記窓開閉検出装置毎に前記検出信号及び閾値を記憶し、各窓開閉検出装置毎に検出信号を受信し前記閾値と比較して監視対象物の状態を判定することを特徴とする監視システム。
【請求項8】
請求項7記載の監視システムに於いて、前記監視盤は、前記窓開閉検出装置に送信要求を順次出力して検出信号を受信し、受信した検出信号が閾値を超えた場合は、閾値を超えた窓開閉検出装置への送信要求の送信比率を高くすることを特徴とする監視システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−250573(P2010−250573A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99635(P2009−99635)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【出願人】(591273269)株式会社サーキットデザイン (29)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【出願人】(591273269)株式会社サーキットデザイン (29)
【Fターム(参考)】
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