説明

監視装置

【課題】 遠方に存在する船舶や障害などの物体を速やかに自動検知し、かつ、検知した物体の画像を表示すること。
【解決手段】 レーダ1により、物体の存在が検知された場合には、送光部21から発せられるレーザ光がその物体に照射されるように、送光部21及び受光部22の仰角及び回転角が制御装置3により動かされる。これにより、送光部21から発せられたレーザ光は、物体に反射され、この反射光が受光部22により撮像される。そして、受光部22により取得された画像が、レーザレーダ制御部24の画像処理装置により処理され、処理後の画像信号が制御装置3を介して表示装置4に供給される。これにより、表示装置4に受光部22により取得された画像が表示されることにより、その物体の形状などを確認することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶などにおける障害物などの監視を行う監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、船舶等に設置され、広範囲に渡り物体を探知する監視装置として、レーザレーダ装置を使用した監視装置がある(例えば、特開2002−162466号公報参照)。
このようなレーザレーダ装置を用いた監視装置は、例えば、レーザ光を船舶の周辺に照射し、このレーザ光の反射光をレーザレーダ装置に取り付けられたCCDカメラなどで撮像し、この画像をモニタに表示させることにより、周囲に存在する物体を確認している。
【特許文献1】特開2002−162466号公報(第2−4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述したような従来の監視装置では、モニタに映し出された画像を作業員が確認することによって始めて、物体の存在が確認されるため、迅速に船舶の周辺状況を把握することができない
【0004】
本発明は、上記問題を解決する為になされたもので、レーダからの方位角情報及び距離情報を元にレーザ送受光部を目標物に向け、遠方に存在する船舶や障害などの物体を速やかに自動検知することができる監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明によれば、レーダと、レーザ光を照射する送光手段と、物体により反射された前記レーザ光の反射光を受光する受光手段と、前記受光手段により取得された画像を表示する表示手段と、前記レーダにより物体が検知された場合に、前記レーダに対する前記物体の方位角及び距離に基づいて、前記送光手段から発せられるレーザ光が前記物体に照射されるように、前記送光手段及び前記受光手段を動かす制御手段とを具備する監視装置を提供する。
【0006】
上記構成によれば、周辺に船舶などの物体が存在する場合には、レーダアンテナから発せられた電波が、その物体により反射され、その反射波がレーダアンテナにより受信されることにより、物体の存在が迅速に検知されることとなる。このとき、レーダアンテナにより電波が発せられてから、この電波が目標に反射し、更に、戻ってくるまでの時間を測定することにより、レーダから物体までの距離を演算により得ることができ、また、レーダアンテナの向きから物体が存在する方位角を得ることができる。
このようにしてレーダにより物体の存在が検知された場合には、送光手段から発せられるレーザ光がその物体に照射されるように、例えば、送光手段及び受光手段の仰角及び回転角が制御手段により動かされる。これにより、送光手段から発せられたレーザ光は、物体に反射され、この反射光が受光手段により撮像される。そして、受光手段により取得された画像が、表示手段に表示されることにより、その物体の形状などを確認することが可能となる。
【0007】
上記記載の監視装置において、前記制御手段は、前記レーダと前記送光手段との設置位置の関係に基づいて、前記送光手段に対する前記物体の方位角及び物体までの距離を算出し、この算出結果に基づいて、前記送光手段及び前記受光手段の仰角及び回転角を制御するようにしても良い。
【0008】
上記構成によれば、制御手段により、前記送光手段に対する前記物体の方位角及び物体までの距離が、レーダと送光手段との設置位置の関係に基づいて算出され、この算出結果に基づいて送光手段及び受光手段の仰角及び回転角が制御される。これにより、レーダと送光手段との視差を補正することが可能となる。この結果、レーザ光を物体に高い精度で照射させることができ、物体の様子を画像として、ほぼ確実に捉えることが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の監視装置によれば、遠方に存在する船舶や障害などの物体を速やかに自動検知することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る監視装置の全体構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る監視装置は、レーダ1、レーザレーダ装置2、制御装置(制御手段)3及び表示装置(表示手段)4を備えて構成されている。
レーダ1は、レーダアンテナ11から発せられた電波が、海上などに浮遊している物体、例えば、船舶などに反射した場合、その反射された電波を受信することにより、物体の存在を検知するとともに、その物体までの距離及び方位角を検出する。物体までの距離は、レーダアンテナ11により電波が発せられてから、この電波が目標に反射し、更に、戻ってくるまでの時間を測定することにより得ることが可能であり、また、物体の方位角は、レーダアンテナ11の向きから得ることができる。なお、レーダ1は、周知の技術であり、一般的に用いられているレーダを採用することが可能である。
【0011】
レーザレーダ装置2は、送光部(送光手段)21、受光部(受光手段)22、旋回台23、及びレーザレーダ制御部24を備えて構成されている。
上記送光部21は、例えば、レーザ光を発するレーザ発振器211と、レーザ発振器211から発せられたレーザ光を目標物へ照射させる送光レンズ212、及び送光レンズ212の角度を調整するための送光レンズアクチュエータ213を主な構成要素として備えている。
上記レーザ発振器211は、例えば、後述するレーザレーダ制御部24内のレーザ電源246から電源供給をうけ、パルス状のレーザ光を出射する。また、送光レンズアクチュエータ213は、後述するレーザレーダ制御部24から供給される制御信号に基づいて、送光レンズ212の位置を調整する。これにより、送光レンズ212に入射されるレーザ光の角度を調整し、所望の範囲に、レーザ光を出射させることが可能となる。
【0012】
受光部22は、例えば、ズームレンズ221、高速ゲート装置222、及びICCD(イメージインテンシファイアCCD)カメラヘッド223を備えて構成されている。ズームレンズ221は、上記送光部21から発せられ、目標物により反射された反射光を集光して、高速ゲート装置222に導く。高速ゲート装置222は、後述するレーザレーダ制御部24内に設けられた高速ゲート装置制御部244により駆動されるものであり、ズームレンズ221により導かれた光をICCDカメラヘッド223に取り込むシャッタとして機能する。ICCDカメラヘッド223は、取り込んだ光を電気信号に変換し、この電気信号をレーザレーダ制御部24内の画像処理装置245へ出力する。
旋回台23は、後述するレーザレーダ制御部24内の旋回台駆動部241により駆動され、上記送光部21及び受光部22を目標の仰角及び回転角に旋回、固定させる。
ここで、上記送光部21と受光部22とは、その設置位置が固定されたまま旋回するような構成となっている。
【0013】
レーザレーダ制御部24は、上述したように送光部21及び受光部22及び旋回台23を制御するものである。具体的には、レーザレーダ制御部24は、後述の制御装置3から供給される各種制御信号に基づいて、送光部21などを制御するものであり、詳細は後述する。レーザレーダ制御部24は、例えば、旋回台駆動部241、同期回路242、制御信号変換装置243、高速ゲート装置制御部244、画像処理装置245、及びレーザ電源246などを備えている。
制御装置3は、レーダ1の検出信号に基づいて、レーザレーダ装置2を制御するための各種制御信号を生成し、生成した各種制御信号をレーザレーダ制御部24に出力する。また、制御装置3は、レーダ1の検出結果及びレーザレーダ装置2の検出結果を表示装置4へ出力する。
表示装置4は、制御装置3から入力されるレーダ1の検出結果を表示するレーダ用表示部(図示略)及びレーザレーダ装置2の検出結果を表示するレーザレーダ装置用表示部(図示略)を備えている。
【0014】
なお、上述したレーザレーダ制御部24及び制御装置3は、例えば、CPU(中央演算装置)、ROM(Read
Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成されている。後述の各種機能を実現するための一連の処理過程は、プログラムの形式でROM等に記録されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、後述の各種機能を実現させる。
【0015】
次に、本実施形態に係る監視装置の作用について、図2を用いて説明する。
まず、図2に示されるように、監視装置が搭載された船舶10の周辺に物体Aが存在した場合、レーダ1により物体Aの存在が迅速に検知され、その検知結果が制御装置3に供給される。
具体的には、レーダ1のレーダアンテナ11から発せられた電波が、その物体Aにより反射され、その反射波がレーダアンテナ11により受信されることにより、物体Aの存在が検知される。この場合において、物体Aまでの距離r1は、電波がレーダアンテナ11から発せられてから、物体Aに反射し、更に、戻ってくるまでの時間を測定することにより、求められる。また、物体Aの存在する方位角θ1は、レーダアンテナ11の向きから求められる。
【0016】
レーダ1による検知結果が制御装置3に入力されると、制御装置3は、この検出結果を表示装置4に出力する。これにより、レーダ1の検出結果が、表示装置4が備えるレーダ用表示部に表示されることとなる。これにより、船舶の乗組員は、この表示装置4を確認することにより、周囲に物体Aが存在することを確認することが可能となる。
このように、本実施形態に係る監視装置によれば、レーダ1により迅速に物体Aの存在を検知することが可能となる。
【0017】
続いて、制御装置3は、レーダ1によって検知された物体Aの詳細情報を取得するべく、レーダ1による検出結果に基づいて、レーザレーダ装置2を制御する。
具体的には、まず、レーダ1が備えるレーザアンテナ11の設置位置と、レーザレーダ装置2が備える送光部21及び受光部22の設置位置に基づいて、レーザレーダ装置2から物体Aまでの距離r2、及びレーザレーダ装置2に対する物体Aの方位角θ2を算出する。
【0018】
次に、制御装置3は、求めた物体Aまでの距離r2と方位角θ2に基づいて、送光部21から出射されるレーザ光を物体Aに照射させるための送光部21の回転角及び仰角を求める。そして、求めた回転角及び仰角に送光部21を旋回させるための旋回台駆動信号を生成し、これをレーザレーダ制御部24へ出力する。
【0019】
これにより、レーザレーダ制御部24に入力された上記旋回台駆動信号は、制御信号変換装置243により所定のフォーマットに変換され、旋回台駆動部241に供給される。旋回台駆動部241は、この旋回台駆動信号に基づいて旋回台23を駆動する。これにより、旋回台23が回動され、旋回台23の回動に連動して、送光部21及び受光部22が所望の仰角及び回転角まで回動されて、固定される。
【0020】
続いて、制御装置3は、送信部21から物体Aまでの距離r2に基づいて、物体Aの情報をレーザレーダ装置2にて確実に捕らえられるような各種制御信号を生成し、生成した制御信号をレーザレーダ制御部24に出力する。
具体的には、制御装置3は、レーザ光を所定のタイミングで出射させるために必要となる同期制御信号、物体Aにより反射されたレーザ光を確実にICCDカメラヘッド223に取り込むためのシャッタ駆動信号などを生成し、これらをレーザレーダ制御部24に出力する。
【0021】
制御装置3から出力された上記同期制御信号及びシャッタ駆動信号は、レーザレーダ制御部24内の制御信号変換装置243を経由して、同期回路242、高速ゲート装置制御部244へそれぞれ供給される。
同期回路242は、入力された同期制御信号に基づいて、レーザ光の送光と受光の同期を取るための同期信号を生成し、この同期信号をレーザ電源246及び高速ゲート装置制御部244に出力する。
レーザ電源246は、同期回路242から供給された同期信号に基づいて、送光部21内のレーザ発振器211の動作信号を生成し、この動作信号に基づいてレーザ発振器211を駆動する。これにより、所定のタイミングでレーザ発信器211からパルスレーザ光が発せられることとなる。
一方、高速ゲート装置制御部244は、制御装置3から入力されたシャッタ駆動信号及び同期回路242から入力された同期信号に基づいて、受光部22の高速ゲート装置222を駆動する。
【0022】
これにより、まず、レーザ電源246によりレーザ発振器211が駆動されることにより、所定のタイミングでパルス状のレーザ光がレーザ発振器211から出射される。このレーザ光は、送光レンズ212により所定の範囲に拡張されて、物体Aが存在する範囲へ出射され、更に、物体Aにより反射された上記レーザ光が受光部22に導かれることとなる。この場合において、上述の高速ゲート装置制御部244が上記シャッタ駆動信号に基づいて高速ゲート装置22を駆動することにより、物体Aにより反射されてきたレーザ光のみをICCDカメラヘッド223に取り込むことが可能となる。
【0023】
そして、ICCDカメラヘッド223により取り込まれた画像の情報は、電気信号としてレーザレーダ制御部24内の画像処理装置245に出力される。画像処理装置245は、入力された画像信号に所定の画像処理を施し、処理後の画像信号を出力する。画像処理装置245からの画像信号は、制御信号変換装置243を経由して制御装置3へ入力される。制御装置3は、入力された画像信号を表示装置4に出力する。これにより、物体Aの画像が可視情報として、表示装置4のレーザレーダ装置用表示部に表示されることとなる。
この結果、レーザレーダ装置用表示部に表示された画像を乗組員が確認することにより、レーダ1により検知された物体Aの詳細情報、例えば、形状や大きさなどの情報を取得することが可能となる。
【0024】
以上、述べてきたように、本実施形態に係る監視装置によれば、レーダ1を用いることにより、物体の存在を迅速に検知することが可能となる。そして、レーダ1により物体の存在が検知された場合には、レーザレーダ装置2により、その物体を検出するので、レーダ1だけでは取得することのできない情報、例えば、その物体の形状や大きさなどの情報までも得ることが可能となる。また、レーザレーダ装置2により物体の情報を取得するに当たり、制御装置3が自動的にレーザレーダ装置2を制御するので、物体に係る詳細情報を自動的に得ることが可能となる。これにより、遠方に存在する船舶や障害などの物体を速やかに自動検知することができるという効果を奏する。
【0025】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係る監視装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る監視装置の作用を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0027】
1 レーダ
2 レーザレーダ装置
3 制御装置
4 表示装置
11 レーザレーダ
21 送光部
22 受光部
23 旋回台
24 レーザレーダ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダと、
レーザ光を照射する送光手段と、
物体により反射された前記レーザ光の反射光を撮像する受光手段と、
前記受光手段により取得された画像を表示する表示手段と、
前記レーダにより物体が検知された場合に、前記レーダに対する前記物体の方位角及び距離に基づいて、前記送光手段から発せられるレーザ光が前記物体に照射されるように、前記送光手段及び前記受光手段を動かす制御手段と
を具備する監視装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記レーダと前記送光手段との設置位置の関係に基づいて、前記送光手段に対する前記物体の方位角及び物体までの距離を算出し、この算出結果に基づいて、前記送光手段及び前記受光手段の仰角及び回転角を制御する請求項1に記載の監視装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−250626(P2006−250626A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−65621(P2005−65621)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】