説明

目的地案内システム、及び目的地案内装置

【課題】本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、ノードとリンク及びこれらのジオメトリを整備・更新することなく、しかも目印を手掛かりにした直感的でわかりやすい目的地案内システム、及び目的地案内装置を提供することである。
【解決手段】本願発明の目的地案内システムは、複数の目印情報を記憶する目印記憶手段と、自位置を入力する自位置入力手段と、目的地を指定する目的地指定手段と、進むべき目印を抽出する目印抽出手段と、目印を表示する表示手段と、を備え、目印は、目視可能なものであって、当該目印付近から1又は2以上の他の目印を視通可能な位置に設けられたものであり、目印抽出手段が、自位置と目的地と目印情報とに基づいて進むべき目印を抽出し、表示手段が、目的地までの進むべき目印を順次示して目的地まで案内し得るシステムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、車や歩行によって移動する際に、現在地から目的地まで案内するシステムとその装置に関するものであり、より具体的には、順次目印を示すことで目的地まで案内する目的地案内システム、及び目的地案内装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、多くのナビゲーションシステムが利用されるようになってきた。このナビゲーションシステムには、車の道案内をするカーナビゲーションシステムをはじめ、歩行者を案内する歩行者用ナビゲーションシステムが実用化されている。
【0003】
カーナビゲーションシステムは、位置を計測するためのGPS受信機や、現在位置と進行方向を表示するモニタなど、必要な機器を車載することができるということもあって、多くの人に利用されている。
【0004】
一方、歩行者用ナビゲーションシステムは、必要な機器類の携行が容易でないということもあって、カーナビゲーションシステムに比べると、それほど普及していないのが現状である。しかも歩行者の場合、建物内や地下街などGPSでは測位できない場所を移動することもあり、GPSに代わる適当な測位技術もなかったため、この点でも普及が遅れていた。さらに、商店街、複合商業施設、イベント会場などでは、従来からナビゲーションの需要があるものの、これらの地図データや経路データ(以下、「地図等データ」という。)が整備されることは少なく、すなわち実用化のためにはデータ整備から実施することとなり、これも普及のための障壁となっていた。
【0005】
ところが、昨今では携帯電話が著しく普及するとともにその技術が飛躍的に向上した結果、屋内などGPSが使用できない環境であっても、携帯電話を用いて手軽に測位できるようになった。屋内の測位技術としては、例えば、無線LANのアクセスポイントを利用する測位方法(Place Engineなど)、LEDの高速点滅を信号として伝送する可視光通信を利用した測位方法、室内GPSを配置して測位するIMES(Indoor Messaging System)、QRコードやビジュアル・マーカー(ARToolKitなどで利用されるマーカー)やRFIDタグなどから位置情報を取得する測位方法、赤外線通信を利用した測位方法など、種々の測位技術を例示することができる。このような背景の下、歩行者用ナビゲーションシステムも注目されるところとなり、各種サービスが提供されるようになってきた。
【0006】
従来から利用されているナビゲーションシステムでは、GPSなど現在地を測位する手段とともに、移動する者を目的地まで案内するための地図等データを整備する必要があった。この地図等データには、道路や通路などのリンクと、このリンクとリンクの結合点に設けられるノードが欠かせないものであり、例えばカーナビゲーションシステム用の場合、車道をリンクとして整備し、交差点をノードとして整備する必要がある。このノードやリンクには座標が設けられ、さらにノードとリンクの関係が設定され、これらのジオメトリ(幾何情報)と測位結果に基づいて、現在地から目的地までの経路を案内することができるわけである。
【0007】
商店街、複合商業施設、イベント会場などで歩行者をナビゲートする場合も、やはりリンクとノードからなる地図等データを整備する必要があった。図1は、複合商業施設のうち食料品を販売するフロアの店舗配置を示す平面図である。この図に示す食料品フロアをナビゲーションする場合、やはり、入り口や交差点をノードとして、ノードとノードの間をリンクとして、それぞれ整備するとともに、店舗の情報とその位置情報も整備しなければならない。
【0008】
このように、ナビゲーションシステムを実現するためには、ノードとリンク、さらにこれらに関するジオメトリを含む地図等データを整備する必要があり、これらの調査やデータ整備にかかる労力や費用は大きな負担となるという問題を抱えていた。また、道路の新設や改良に伴って地図等データを更新しなければならず、初期整備の負担に加え、運用のためのデータ更新も相当な負担となっていた。特に、イベント会場など一時的に設置される場所では、その費用対効果を考えると地図等データを整備するのは負担となり、そのためこのような場所でナビゲーションシステムが構築されることは極めて稀であった。
【0009】
さらに、従来のナビゲーションシステムでは、「次の交差点を右折」、あるいは「この道を道なりに1kmに進む」といった具合に、ノード(交差点)やリンク(道路)を手がかりとして案内されるものが多かった。ところが実際には、交差点や道路などよりももっと識別しやすいランドマークや標識などの目印が存在し、これらを手がかりにする方が案内される者としてはわかりやすい。しかしながら従来では、データの初期整備や更新の負荷を考慮して、このような目印で案内されることは少なかった。
【0010】
そこで特許文献1では、目印地物のデータ整備し、この目印地物を手がかりにして案内する経路案内システム等を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−203946
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1は、目印地物データを整備するとともに、リンクデータとノードデータを整備し、そのうえ目印地物データをリンク又はノードに関連付けることで、例えば「児童公園(目印地物)を過ぎ200m先の交差点(ノード)を右です。」といった具合に案内される。
【0013】
このように特許文献1では、ノードとリンク、これらのジオメトリといったデータの整備・更新が必要であり、さらに目印地物データの整備・更新を行う必要がある。すなわち、地図等データの整備・更新に伴う負担は軽減されるどころか、むしろ増大するものであった。
【0014】
また、商店街、複合商業施設、イベント会場などで歩行者をナビゲートする従来手法では、異なる問題を抱えていた。この問題について、図1に示す食料品フロアの歩行者用ナビゲーションシステムの例で説明する。利用者Pが洋菓子を購入する場合、まずナビゲーションシステムで表示される地図から洋菓子店を探す必要があり、ここでは洋菓子店Aと洋菓子店Bを見つけることができる。そして、どちらかの洋菓子店を指定すると、そこまでの経路が示される。しかしながら、利用者Pにとってどちらの洋菓子店が好みに合うかは、実際に行って店舗の様子で判断するしかない。判断するうえでは、店の評判なども参考にしたいところであるが、このような情報を得ることができない。このように従来の歩行者用ナビゲーションシステムでは、利用者P自身が目的地を探すという手間を必要とし、店舗を選択するうえでの参考情報が不足しているという問題を抱えていた。なお、初期データの段階から店舗の詳細情報を整備し、これを表示させることもできるが、この場合一般的には店舗側の情報であって客観性に乏しく、新しい情報(例えば最近利用した者の評価など)も得られないため、やはり参考情報としては十分でない。
【0015】
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、ノードとリンク及びこれらのジオメトリを整備・更新することなく、しかも目印を手掛かりにした直感的でわかりやすい目的地案内システム、及び目的地案内装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願発明は、ノードとリンクを整備しないナビゲーションという発想に基づいて行われたものであって、従来の技術とは発想が異なる発明である。具体的には、目印を設けて、これを手掛かりとして案内する目的地案内システム、及び目的地案内装置である。
【0017】
本願発明の目的地案内システムは、進むべき目印を抽出し、この目印を示して目的地まで案内する目的地案内システムであって、複数の目印情報を記憶する目印記憶手段と、自位置を入力する自位置入力手段と、目的地を指定する目的地指定手段と、進むべき目印を抽出する目印抽出手段と、目印を表示する表示手段と、を備え、前記目印は、目視可能なものであって、当該目印付近から1又は2以上の他の目印を視通可能な位置に設けられたものであり、前記目印情報は、当該目印に関する情報と、当該目印付近から視通可能な目印の情報を、具備するものであり、前記目印抽出手段が、前記自位置と前記目的地と前記目印情報とに基づいて進むべき目印を抽出し、前記表示手段が、目的地までの進むべき目印を順次示すことで、自位置から目的地まで案内し得るシステムである。
【0018】
本願発明の目的地案内システムは、複数の目的地情報を記憶する目的地記憶手段を備え、前記目的地情報は、当該目的地に関する目的地属性情報又は/及び目的地画像情報を具備するものであり、表示手段は、前記目的地記憶手段に記憶された複数の前記目的地属性情報又は/及び目的地画像情報を表示可能であり、目的地指定手段は、前記表示手段によって表示される複数の前記目的地属性情報又は/及び目的地画像情報に基づいて、所望の目的地を選択することで目的地を指定し得るシステムとすることもできる。
【0019】
本願発明の目的地案内システムは、目的地に関する目的地属性情報又は/及び目的地画像情報を入力する目的地情報入力手段を備え、目的地記憶手段は、前記目的地情報入力手段によって入力された目的地属性情報又は/及び目的地画像情報を記憶可能であり、表示手段は、前記目的地情報入力手段によって入力された目的地属性情報又は/及び目的地画像情報を表示可能なシステムとすることもできる。
【0020】
本願発明の目的地案内システムは、目印情報は、当該目印に関する目印属性情報又は/及び目印画像情報を含むものであり、表示手段は、進むべき目印の目印属性情報又は/及び目印画像情報を表示し得るシステムとすることもできる。
【0021】
本願発明の目的地案内システムは、表示手段は、目印記憶手段に記憶された複数の目印属性情報又は/及び目印画像情報を表示可能であり、自位置入力手段は、前記表示手段によって表示される複数の目印属性情報又は/及び目印画像情報に基づいて所望の目印を選択し、この選択した目印を自位置とすることで自位置情報を入力し得るシステムとすることもできる。
【0022】
本願発明の目的地案内システムは、自位置を計測し得る測位手段を備え、前記測位手段で計測された位置情報が、自位置として入力手段に入力され、目印情報が当該目印の位置情報を含むとともに、目的地情報が当該目的地の位置情報を含み、目印抽出手段が、前記自位置情報と、前記目的地の位置情報と、前記目印の位置情報と、に基づいて進むべき目印を抽出するシステムとすることもできる。
【0023】
本願発明の目的地案内システムは、測位手段で計測された位置情報と、目印抽出手段によって抽出された進むべき目印の位置情報と、に基づいて求められる距離が所定閾値以内になると、表示手段は、前記進むべき目印の次の目印を示すシステムとすることもできる。
【0024】
本願発明の目的地案内システムは、測位手段で計測された位置情報と、目印抽出手段によって抽出された進むべき目印の位置情報と、に基づいて求められる距離が所定閾値以内になると、表示手段は、前記進むべき目印の次の目印の方向又は/及び距離を示すシステムとすることもできる。
【0025】
本願発明の目的地案内装置は、自位置を計測して自位置情報として取得する自位置取得機能と、複数の目印情報を記憶する目印記憶機能と、複数の目的地情報を記憶する目的地記憶機能と、目的地を指定する目的地指定機能と、進むべき目印を抽出する目印抽出機能と、目印を表示する表示機能と、を備え、前記目印は、目視可能なものであって、当該目印付近から1又は2以上の他の目印を視通可能な位置に設けられたものであり、前記目印情報は、当該目印の位置情報を含む当該目印に関する情報と、当該目印付近から視通可能な目印の情報と、を具備するものであり、前記目的地情報は、当該目的地の位置情報を、含むものであり、前記目印抽出機能が、前記自位置情報と、前記目的地の位置情報と、前記目印の位置情報と、に基づいて進むべき目印を抽出し、前記表示機能が、目的地までの進むべき目印を順次示すことで、自位置から目的地まで案内し得るものである。
【0026】
本願発明の目的地案内装置は、自位置取得機能で取得された自位置情報と、目印抽出手段によって抽出された進むべき目印の位置情報と、に基づいて求められる距離が所定閾値以内になると、表示機能は、前記進むべき目印の次の目印を示すものとすることもできる。
【0027】
本願発明の目的地案内装置は、測位機能で計測された位置情報と、目印抽出機能によって抽出された進むべき目印の位置情報と、に基づいて求められる距離が所定閾値以内になると、表示機能は、前記進むべき目印の次の目印の方向又は/及び距離を示すものとすることもできる。
【0028】
本願発明の目的地案内装置は、目的地情報は、当該目的地に関する目的地属性情報又は/及び目的地画像情報を含むものであり、表示機能は、目的地記憶機能に記憶された複数の前記目的地属性情報又は/及び目的地画像情報を表示可能であり、目的地指定機能は、前記表示機能によって表示される複数の前記目的地属性情報又は/及び目的地画像情報に基づいて、所望の目的地を選択することで目的地を指定し得るものとすることもできる。
【0029】
本願発明の目的地案内装置は、目的地に関する目的地属性情報又は/及び目的地画像情報を入力する目的地情報入力機能を備え、目的地記憶機能は、前記目的地情報入力機能によって入力された目的地属性情報又は/及び目的地画像情報を記憶可能であり、表示機能は、前記目的地情報入力機能によって入力された目的地属性情報又は/及び目的地画像情報を表示可能なものとすることもできる。
【0030】
本願発明の目的地案内装置は、目印情報は、当該目印に関する目印属性情報又は/及び目印画像情報を含むものであり、表示機能は、進むべき目印の目印属性情報又は/及び目印画像情報を表示し得るものとすることもできる。
【発明の効果】
【0031】
本願発明の目的地案内システム、及び目的地案内装置には、次のような効果がある。
(1)目印によって案内されるので直感的でわかりやすく、確実に目的地に到達することができる。
(2)リンクやノード、あるいはリンクとノードとの関係等のジオメトリを整備する必要がないので、初期データ整備やデータ更新の負担が減り、これらに係る費用を著しく軽減することができる。その結果、一時的に開催されるイベント会場などでも、大きな負荷なくデータを整備することができて、容易に本願発明を実施することができる。
(3)目印の画像や進行方向等を合わせて表示させると、利用者にとってさらに分かりやすい案内をすることができる。
(4)目印を現在位置として入力する仕組みとすれば、測位する必要がなく、位置計測用の手段を省略できるので、さらにコストを下げることができる。
(5)複数の目的地を提示してその中から選択できるようにすると、目的地を指定する操作が直感的でわかりやすいものとなる。
(6)店舗などを目的地とする場合、コミュニケーション・ツール(例えばツイッターなど)によって店舗の評判等を入力できるようにすると、さらに目的地を選択しやすくなる。また、店舗に関する広告を表示することで、位置連動型広告を実現することもできる。あるいは様々な目的地(店舗)を紹介することで、利用者が予定しなかった目的地を選択する場合もあり、利用者や店舗にとって好適である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】食料品を販売するフロアにて、目的の店舗まで案内する例を示す説明図。
【図2】目印と目印の間の視通を説明するためのモデル図。
【図3】利用者が目印であるエスカレータ降り口に立ち、目印である時計を手がかりにしている状況を示す説明図。
【図4】利用者が目印である店看板を見つけ、目的地であるに軽食店に到着した状況を示す説明図。
【図5】進むべき目印が複数選択される場合に、目印や目的地の座標、あるいは目印間の距離などを、あらかじめ整備することなく最短経路(ルート)を推定する方法を説明するためのモデル図。
【図6】本願発明の目的地案内装置の表示画面であり、「周辺情報」を指定した状態を示す説明図。
【図7】本願発明の目的地案内装置の表示画面であり、「おすすめ」を指定した状態を示す説明図。
【図8】本願発明の目的地案内装置の表示画面であり、「検索」を指定した後の一覧表示を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
[実施形態]
本願発明の目的地案内システム、及び目的地案内装置の一実施形態を図に基づいて以下説明する。
【0034】
(全体概要)
本願発明の目的地案内システムと目的地案内装置は、現在の地点から目的地まで案内するものであり、車での移動や歩行による移動などあらゆる移動手段で利用できる。また、利用する場所についても、屋内や屋外あるいは地上や地下など、あらゆる場所で利用可能である。ここでは便宜上、図1に示す複合商業施設のうち食料品を販売するフロア(以下、単に「食料品フロア」という。)にて、目的の店舗まで案内する場合を例に説明する。
【0035】
図1に示すように、今、利用者Pは食料品フロアの入り口に立ち、目的の軽食店Cに行こうとしている。そこで、携帯型端末機1(図3)を持ち、これに目的地である軽食店Cを入力する。すると、現在位置から軽食店Cまでの経路上にある目印が、携帯型端末機1に備えられる表示機能(表示手段)に表示される。このとき、現在位置から軽食店Cまで通過していく順で、目印が表示されるので、利用者Pはこの目印を追っていけば軽食店Cに到達することができるわけである。なお、図1では通路が設けられているが、本願発明では必ずしも道路や通路など通行のために設けられる設備やスペース(いわゆる経路)を必要としない。従来技術では経路を必要としており、例えば特許文献1では経路に相当する道路(リンク)が必要であり、さらにリンクとノードのジオメトリデータも必要としている。この経路を必要としないという点は、本願発明の技術的特徴の一つであり、経路のない場所、例えば公園のように開けた場所でも、噴水やオブジェ等を目印として案内することができるのである。
【0036】
(目 印)
目印は、目視可能なものであり、できればより目立つものとすることが望ましい。また、その目印に到達したときに、次の目印を手掛かりとして案内することから、当該目印付近に立つと他の目印を見通せる(視通できる)場所に目印は設けられる。なお、当該目印から視通可能な目印(以下、「視通可目印」という。)の数は1つあれば足りるが、もちろん2以上の目印が視通できる場所に設けてもよい。また、当該目印から視通可能であれば視通可目印として選択することができ、必ずしもこの視通可目印から当該目印を視通できる、つまり双方がお互いに視通できる必要はない。
【0037】
図2は、目印と目印の間の視通を説明するためのモデル図である。この図の場合、目印Maに立つと目印Mbを視通することができるので視通可目印となり、同様に、目印Mbでは目印Mcと目印Mdが、目印Mcでは目印Mfが、目印Meでは目印Mdと目印Mfが、視通可目印となる。一方、目印Maに立つと、障害物等の影響から目印Mcを視通することができないので視通可目印とならない。従って図2では、例えば利用者Pが目印Maにいた場合、ここからスタートして、目印Mb→目印Mc→目印Mfの順で目的地(この場合、目印Mf)まで案内することができる。
【0038】
目印は、本願発明の目的地案内システム、及び目的地案内装置が対象とする範囲内で、必要な場所に必要な数だけ設定されるが、必ずしも新たに構造物として目印を建造する必要はなく、既に設置されているものを目印として設定することができる。図3は、利用者Pが目印であるエスカレータ降り口M4に立ち、目印である時計M5を手がかりにしている状況を示す説明図であり、図4は、利用者Pが目印である店看板M6を見つけ、目的地であるに軽食店Cに到着した状況を示す説明図である。なお、M4〜M6は図1のものと対応している。
【0039】
このように目印は、点として特定しやすい時計M5をはじめ、エスカレータの降り口M4など概ねの地点を特定できるもの、店看板M6のように容易に設置撤去できるもの、など様々なものが対象となりうる。もちろん、場合によっては新たに構造物等を構築してこれを目印として設定することもできる。また目印は、必ずしも交差点など経路上の分岐点に設けられる必要はなく、長い直線状の中間点に設けられてもよい。
【0040】
(目印情報)
本願発明の目的地案内システムと目的地案内装置では、目印情報があらかじめ整備される。この目印情報には、この目印に関する情報と、この目印付近に立つと視通できる視通可目印の情報が含まれる。例えば、図3の場合で説明すると、降り口M4の目印情報としては、この目印がエスカレータの降り口であること、視通可目印は時計M5であること、という情報が含まれる。
【0041】
目印情報に含まれる「目印に関する情報」は、その目印の特性を示す文字主体の情報(以下、「目印属性情報」という。)とすることも、この目印を表す画像情報や映像情報(以下、「目印画像情報」という。)とすることも、目印属性情報と目印画像情報との組み合わせとすることもできる。また、目印属性情報は、目印の代表的内容(名称や概要)と詳細内容(時計の色や店舗の様子など)に分けて整備することもできるし、目印画像情報として複数の画像を含めることもできる。さらに目印情報に含まれる「視通可目印の情報」は、前記したとおり、1つに限らず2以上とすることもできる。
【0042】
目印情報には、座標を含めることもできる。この場合、高さの座標を備える3次元座標(X,Y,Z)とすることもできるし、平面座標(X,Y)とすることもできる。
【0043】
本願発明の目的地案内システムと目的地案内装置を実施するうえでは、通常、多数の目印が設定され、すなわち多数の目印情報が整備される。これらの目印情報は目印記憶手段(目印記憶機能)に記憶される。このとき、目印情報のデータベースを構築すると好適である。例えば、目印情報を、識別番号(ID)、文字情報、画像情報、座標情報で構成されるものとすれば、テキスト検索や位置検索が可能となる。
【0044】
(補助目印)
目印は、目視可能な(できればより目立つもの)ものであり、当該目印付近に立つと他の目印を視通できる場所に設けられたものである。一方、目視可能なものであり、当該地付近からは他の目印を視通できないものの、他の目印からは視通可能なものもある。このようなものは補助目印として整備することができる。例えば、指定された目的地をいずれの目印からも視通できない場合、補助目印が目印と目的地を中継することができるので、目的地まで利用者Pを円滑に案内して好適である。補助目印情報は、「視通可目印の情報」を除けば目印情報と同様に整備され、目印記憶手段(目印記憶機能)に記憶される。なお、そこには立ち寄ることはないものの、周辺のどの位置からでも視通可能なもの(例えば、東京タワーやスカイツリーなど)を補助目印として、その補助目印情報を整備することもできる。
【0045】
(自位置)
ここでいう自位置とは、利用者Pが存在している(立っている)場所のことである。本願発明の目的地案内システムや目的地案内装置を利用する場合、開始時点での自位置(つまりスタート地点)を入力することになるが、利用者Pは案内に従って移動していき、自位置は変化してくので、自位置はいわば動的な情報であって必ずしもスタート地点に限らない。
【0046】
自位置は、自位置入力手段(自位置取得機能)によって入力される。このときの自位置は、座標として入力することもできるし、自位置付近の目印情報を指定することによって入力することもできる。自位置付近の目印情報を指定する場合、目印情報のDBから、テキスト検索や位置検索によって、あるいは目印情報の一覧表示の中から選択することによって、付近にある目印を指定しこれを自位置とすることができる。
【0047】
座標として入力する場合、測位手段によって自位置を計測(測位)する必要がある。本願発明における測位手法としては、従来から用いられている種々のものを利用できる。例えば、屋外で即位する場合はGPSを代表例として挙げることができるし、屋内などGPSによる測位が難しい場合には、無線LANのアクセスポイントを利用する測位方法(Place Engineなど)、LEDの高速点滅を信号として伝送する可視光通信を利用した測位方法、室内にGPSを配置して測位するIMES(Indoor Messaging System)、QRコードやビジュアル・マーカー(ARToolKitなどで利用されるマーカー)やRFIDタグなどから位置情報を取得する測位方法、赤外線通信を利用した測位方法など、種々のものを例示することができる。なお、ここで測位によって取得する座標は、3次元座標(X,Y,Z)とすることもできるし、平面座標(X,Y)とすることもできる。
【0048】
測位手段によって測位された自位置座標を入力するには、自位置入力手段で座標値を直接入力することもできるが、測位手段とその座標値を自動的に取り込む手段とを併せ持った自位置取得手段(機能自位置取得機能)を備えることが望ましい。自位置取得手段(機能自位置取得機能)を備えることで、利用者Pによる座標地入力の手間が省略できるとともに、転記ミス(入力ミス)を防ぐこともできるので好適である。
【0049】
(目的地)
本願発明の目的地案内システムや目的地案内装置を利用する場合、利用者Pは目的地指定手段(目的地指定機能)によって目的地を指定する。目的地の指定は、あらかじめ整備された目的地情報の中から所望のものを選択することで行われる。例えば、目的地をマップ上に表し、そのマップから所望の目的地を選択することができる。あるいは、目的地情報のデータベースを構築しておき、このDBからテキスト検索や位置検索によって所望の目的地を選択することができる。その他、単に目的地情報の一覧を表示させて、この表示から所望の目的地を選択することもできる。
【0050】
目的地は、目印と同様、本願発明が対象とする範囲内で、必要な場所に必要な数だけ設定されるが、必ずしも新たに構造物として目的地を建造する必要はなく、既に設置されているもの(例えば店舗など)を目的地として設定することができる。また、後に説明するように、目印を目的地として兼用することもできる。
【0051】
目的地情報は、当該目的地に関する情報が含む。この「目的地に関する情報」は、その目的地の特性を示す文字主体の情報(以下、「目的地属性情報」という。)とすることも、この目的地を表す画像情報や映像情報(以下、「目的地画像情報」という。)とすることも、目的地属性情報と目的地画像情報との組み合わせとすることもできる。また、目的地属性情報は、目的地の代表的内容(名称や概要)と詳細内容(時計の色や店舗の様子など)に分けて整備することもできるし、目的地画像情報として複数の画像を含めることもできる。
【0052】
目的地情報には、目的地の位置情報として座標を含めることもできる。この場合、3次元座標(X,Y,Z)とすることもできるし、平面座標(X,Y)とすることもできる。この場合、前記したように、目的地をマップ上に表し、そのマップから所望の目的地を選択することができる。
【0053】
複数の目的地情報は目的地記憶手段(目的地記憶機能)に記憶される。このとき、目的地情報のデータベースを構築すると好適である。例えば、目的地情報を、識別番号(ID)、文字情報、画像情報、座標情報で構成されるものとすれば、テキスト検索や位置検索が可能となる。なお、目的地は店舗となる場合もあるので、店舗の種類(衣料品店、食料品、など)、その種類の細別(日本食、洋食、など)、営業日や営業時間など、種々の情報を具備するとさらに検索しやすくなり、利用者Pが当初予定していた目的地とは異なる目的地に魅力を感じて訪れたくなる、など多様な目的地選択が可能となる。
【0054】
また、自位置取得手段(機能自位置取得機能)を備えることで、利用者Pの移動中に定期的に自位置を計測することができる。この計測結果(座標)に基づき、自位置周辺の目的地情報を表示機能や表示手段(以下、これらをまとめて「モニタ」という。)に示すことができるので、利用者Pは現在地周辺の目的地(例えば店舗)を把握することができ、当初予定した店舗よりも近い場所で同種の店舗を見つけることができる。あるいは、自位置周辺の店舗に関する広告を表示することが可能となり、つまり位置連動型広告を実現することもできる。
【0055】
目的地情報は、「視通可目印の情報」を除けば、目印情報と同じ内容とすることができるので、目印情報のみを整備し、これを目印記憶手段(目印記憶機能)に記憶させ、この目印情報(あるいは補助目印情報)の中から、目的地を指定することもできる。あるいは、目印情報(補助目印情報)と目的地情報は(あるいはそれぞれのDBは)、それぞれ別に整備するものの、両者ともに目印記憶手段(目印記憶機能)または目的地記憶手段(目的地記憶機能)のどちらか一方に記憶させることもできる。
【0056】
目的地情報のうち目的地属性情報や目的地画像情報は、目的地情報入力手段(目的地情報入力機能)によって適宜更新する仕組みとすることもできる。この目的地情報入力手段(目的地情報入力機能)の入力権限は自由に設計できるものであり、システム管理者のみに入力権限を与えることもできるし、インターネット回線などを通じて任意の入力者に入力権限を与えることもできる。システム管理者に入力権限を与えると、例えば、店舗側が容易に広告を提供することがきて好適である。あるいは任意の入力者に入力権限を与え、例えば、コミュニケーション・ツール(例えばツイッターなど)によって自由に入力できるようにすると、店舗利用者がその評判等を入力できるので、目的地の指定に種々の情報が増えて好適となる。
【0057】
(目印の抽出)
自位置が入力され(あるいは取得され)、目的地が指定されると、目印抽出手段(目印抽出機能)によって、目印情報の中から進むべき目印が抽出される。目印の抽出は、座標を利用しない場合と、座標に基づく場合と、に大別される。以下、それぞれの場合について個別に説明する。
【0058】
1.座標を利用しない場合
自位置の入力は、利用者Pが目印情報の中から例えば最寄りの目印を選択し、その目印を自位置として指定することで行う。また目的地の指定は、整備された目的地情報の中から検索等により所望のものを選択し、これを目的地として指定することで行う。
【0059】
自位置である目印情報が具備する「視通可目印の情報」に基づいて、目印記憶手段(目印記憶機能)に記憶される目印情報の中から、次の目印となる「進むべき目印」を抽出する。この「進むべき目印」が具備する「視通可目印の情報」に基づいて、さらに「進むべき目印」を抽出する。この処理を、目的地に到着するまで繰り返し実施する。目的地への到着判断(つまり処理終了の判断)は、目的地として目印が指定されている場合は当該目印が「進むべき目印」として抽出されるまでとすることができる。また、目的地として目印が指定されない場合は、あらかじめ目的地情報と目印情報とを関連付けておき、指定された目的地と関連する目印が「進むべき目印」として抽出されるまで、前記処理を実施させることもできる。このようにして抽出された「進むべき目印」の順が、最初の自位置から目的地までの経路である。
【0060】
「進むべき目印」が複数選択される場合、以降、順次枝分かれして「進むべき目印」が抽出され、結果的に複数の「進むべき目印」の組み合わせ(つまり経路)が抽出される。この場合、すべての経路を提示して利用者Pに選択させてもよいし、あらかじめ目印と目印との間の距離を整備しておき、最短距離となる経路のみを利用者Pに提示することもできる。
【0061】
また「進むべき目印」が複数選択される場合、目印や目的地の座標、あるいは目印間の距離などを、あらかじめ整備することなく最短経路(ルート)を推定することもできる。図5に基づいて具体的に説明する。まず、自位置として指定した目印(図5では目印A)から目的地(図5では目印Z)に向かう経路を計算する(1次解析)。あわせて、目的地(目印Z)から自位置とした目印(目印A)に向かう経路も計算する(2次解析)。図5に示すように、1次解析(自位置から目的地の順路)、2次解析(目的地から自位置の逆路)ともに、目印ごとに複数の選択肢があっていわばアメーバ状に経路が広がり、結果的に種々の経路が求められていく。1次解析によって求められる複数の経路(順路)と、2次解析によって求められる複数の経路(逆路)を照らし合わせると、それぞれの経路で共通する目印(図5では目印N)を持つケース(順路と逆路の組み合わせ)がある。このとき、自位置である目印(目印A)をスタートして、共通する目印(目印N)を経由し、目的地(目印Z)に到達するまでの経路を、最短経路(コース)とすることができる。
【0062】
「進むべき目印」は、最初の自位置から目的地まで順番に、モニタに表示される。つまり、図1を例に説明すれば、M1→M2→M3→M4→M5→M6、の順でモニタ上に表示される。このとき、常にM1からM6までを一連で表示させてもよいし、「進むべき目印」(例えばM2)に到達するたびにその旨を入力させ、これにより次の「進むべき目印」(例えばM3)にモニタ表示を変更することもできる。あるいは、常にM1からM6までを一連で表示させたうえで、「進むべき目印」(例えばM2)に到達した旨を入力させることによって、次の「進むべき目印」(例えばM3)を強調表示(ハイライト)することもできる。
【0063】
当該目印を中心に前後の目印との位置関係をあらかじめ整備しておけば、当該目印に到達した旨を入力することによって、次の「進むべき目印」の方向を示す矢印や文字情報(右折や左折、右斜め前方、11時方向、など)をモニタに表示させることができる。また、目印と目印との間の距離をあらかじめ整備しておけば、当該目印に到達した旨を入力することによって、次の「進むべき目印」までの距離をモニタに表示させることもできる。
【0064】
自位置と目的地の情報に基づいて抽出された「進むべき目印」の順である経路は、自位置と目的地の情報が入力されたタイミングで演算処理することもできるし、種々の自位置(目印)と目的地の組み合わせからあらかじめ整備しておくこともできる。ただし、目印情報の数が多い場合は、情報が入力されたタイミングで演算処理することが望ましい。
【0065】
2.座標に基づく場合
自位置の座標は、測位手段と座標取り込み手段とを併せ持った自位置取得手段(機能自位置取得機能)によって取得される。この測位→座標取得の一連の処理は、利用者Pの操作によってその都度実施する仕組みとすることもできるし、定期的かつ自動的に実施する仕組みとすることもできる。
【0066】
目印抽出手段(目印抽出機能)によって、自位置の座標に近い目印が検索される。そのため、この場合は目印情報に座標が含まれている。そして、検索された目印情報が具備する「視通可目印の情報」に基づいて、目印記憶手段(目印記憶機能)に記憶される目印情報の中から、次の目印となる「進むべき目印」を抽出する。この「進むべき目印」が具備する「視通可目印の情報」に基づいて、さらに「進むべき目印」を抽出する。この処理を、目的地に到着するまで繰り返し実施する。目的地への到着判断(つまり処理終了の判断)は、目的地として目印が指定されている場合は当該目印が「進むべき目印」として抽出されるまでとすることができる。また、目的地として目印が指定されない場合は、目的地から所定範囲内にある目印が「進むべき目印」として抽出されるまで、前記処理を実施させることもできる。目的地からの所定範囲は、事前に閾値として設けられた距離(半径)である。そのため、この場合は目的地情報に座標が含まれている。このようにして抽出された「進むべき目印」の順が、最初の自位置から目的地までの経路である。
【0067】
「進むべき目印」が複数選択される場合、以降、順次枝分かれして「進むべき目印」が抽出され、結果的に複数の「進むべき目印」の組み合わせ(つまり経路)が抽出される。この場合、すべての経路を提示して利用者Pに選択させてもよいし、目印間の距離を計算して適切な経路のみを利用者Pに提示することもできる。なおこの適切な経路は、最短距離となる経路、あるいは距離が短いものから数えて5つまでの経路、など適宜設計することができる。
【0068】
「進むべき目印」は、最初の自位置から目的地まで順番に、モニタに表示される。つまり、図1を例に説明すれば、M1→M2→M3→M4→M5→M6、の順でモニタ上に表示される。このとき、常にM1からM6までを一連で表示させてもよい。あるいは、定期的かつ自動的に測位することとし、利用者Pが「進むべき目印」(例えばM2)に到達したことを目印抽出手段(目印抽出機能)によって自動的に判断させ、これにより次の「進むべき目印」(例えばM3)にモニタ表示を変更することもできる。さらに、常にM1からM6までを一連で表示させたうえで、「進むべき目印」(例えばM2)に到達した旨を目印抽出手段(目印抽出機能)によって自動的に判断させることによって、次の「進むべき目印」(例えばM3)を強調表示(ハイライト)することもできる。なお、目印抽出手段(目印抽出機能)によって、利用者Pが「進むべき目印」に到達したことを判断させる場合、自動測位によって取得された自位置の座標が、「進むべき目印」から所定範囲内にあるか否かで判断させることができる。目印からの所定範囲は、事前に閾値として設けられた距離(半径)である。
【0069】
目印抽出手段(目印抽出機能)によって、利用者Pが「進むべき目印」に到達したことを判断させる場合、当該目印と「進むべき目印」それぞれの座標に基づいて、モニタに種々の案内表示をさせることができる。すなわち、利用者Pが「進むべき目印」に到達したタイミングで、次の「進むべき目印」までの距離をモニタに表示させることができる。また、電子コンパスなど方位を取得できる手段(機能)を携帯型端末機1に備えておけば、次の「進むべき目印」の方向を示す矢印や文字情報(右折や左折、右斜め前方、11時方向、など)を、利用者Pが「進むべき目印」に到達したタイミングでモニタ表示させることもできる。
【0070】
(表示手段)
目印情報(目印属性情報、目印画像情報等)や進むべき目印、目的地属性情報や目的地画像情報など、本願発明の目的地案内システムや目的地案内装置によって示される情報は、表示手段によって、あるいは携帯型端末機1に具備される表示機能によって表示される。
【0071】
(目的地案内装置)
本願発明の目的地案内装置は、前記した自位置取得機能、目印記憶機能、目的地記憶機能、目的地指定機能、目印抽出機能、表示機能と、を備えるものであり、さらに目的地情報入力機能を備えたものとすることもできる。なおこれらの機能に加えて、他の機能を具備することもできる。また、例えば携帯型端末機1のような機器に、これらの機能をすべて具備させることもできるし、サーバと端末(携帯型端末機1)といったように機能を分散させて具備させることもできる。例えば、端末側が自位置取得機能、目的地指定機能、及び表示機能を具備し、サーバ側が目印記憶機能、目的地記憶機能、及び目印抽出機能を具備するものとすることができる。この場合、端末側で入力(取得、指定)された情報は、端末側が具備する通信機能でサーバ側に送信され、これら情報をサーバ側が具備する通信機能で受信し、受信した情報に基づきサーバ側で処理した結果が端末側に送信され手表示される。なお、この通信手段は無線とすることも優先とすることも可能である。また、端末側に目的地情報入力機能を持たせることができるほか、前記のとおり、端末側やサーバ側に他の機能を具備させることもできる。
【0072】
(実施例)
本願発明の目的地案内システムと目的地案内装置の実施例を、図に基づいて説明する。なお、ここで説明する実施例は、目印抽出手段(目印抽出機能)が座標に基づいて処理する場合である。
【0073】
(1)図1に示すように、利用者Pは食料品フロアの入り口付近にいる。ここで携帯型端末機1を手に持ち、目的地案内システムをスタートさせる。すると、自動的に携帯型端末機1の自位置取得機能(測位手段)によって自位置の座標が計測される。
(2)図6に示すように、「周辺情報」を指定(クリックやタップ)すると、自位置周辺の店舗が表示される。その状態から、「おすすめ」を指定(クリックやタップ)すると、図7に示すようにこの食料品フロアでお勧めされる店舗や、クチコミのあった店舗などが一覧表示される。この一覧から目的地となる店舗を指定することができる。この場合、目的の店舗の欄の「Navi(図7)」を指定すると、案内が開始される。
(3)あるいは、図6の「検索」を指定し、所望の条件で検索すると、図8のように条件にあった店舗が一覧表示される。この中から目的地を指定することもできる。この場合も、目的の店舗の欄の「Navi(図8)」を指定することで、案内が開始される。
(4)このようにして目的地(ここでは、図1の軽食店Cとする)が指定されると、目印抽出機能によって「進むべき目印M1」が抽出され、携帯型端末機1のモニタに表示される。このとき、「進むべき目印M1」の内容を示す文字情報(目印属性情報)とこの目印の画像(目印画像情報)が合わせてモニタに表示される。
(5)利用者Pが「進むべき目印M1」に近づき、自動測位された自位置の座標が「進むべき目印M1」から所定範囲内となると、次の「進むべき目印M2」が抽出され、携帯型端末機1のモニタに表示される。このとき、携帯型端末機1が具備する電子コンパスによって進行方向(携帯型端末機1の方向)が計測されて、次の「進むべき目印M2」の方向を示す矢印が表示される。
(6)「進むべき目印」の抽出が、目印M3、目印M4、目印M5、と繰り返し行われる。利用者Pが、目印M5である時計M5(図3)に近づくと、最終的に目印M6である店看板M6がモニタ表示され、利用者Pは店看板M6に移動するとともに目的の軽食店Cを発見することができる(図4)。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本願発明の画像合成システム及び目的地案内装置は、屋内に限らず屋外の広い範囲でも利用可能であり、車や自転車等での移動にも利用できる。また、地下鉄の構内、大学や総合病院など、施設や部署が複雑に配置されている場所、あるいはイベント会場など一時的に開催される場所にも利用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 携帯型端末機
A (一方の)洋菓子店
B (他方の)洋菓子店
C (目的地である)軽食店
M1〜M3 目印
M4 エスカレータ降り口(目印)
M5 時計(目印)
M6 店看板(目印)
Ma〜Mf 目印
P 利用者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
進むべき目印を抽出し、この目印を示して目的地まで案内する目的地案内システムであって、
複数の目印情報を記憶する目印記憶手段と、自位置を入力する自位置入力手段と、目的地を指定する目的地指定手段と、進むべき目印を抽出する目印抽出手段と、目印を表示する表示手段と、を備え、
前記目印は、目視可能なものであって、当該目印付近から1又は2以上の他の目印を視通可能な位置に設けられたものであり、
前記目印情報は、当該目印に関する情報と、当該目印付近から視通可能な目印の情報を、具備するものであり、
前記目印抽出手段が、前記自位置と前記目的地と前記目印情報とに基づいて進むべき目印を抽出し、前記表示手段が、目的地までの進むべき目印を順次示すことで、自位置から目的地まで案内し得ることを特徴とする目的地案内システム。
【請求項2】
請求項1記載の目的地案内システムにおいて、
複数の目的地情報を記憶する目的地記憶手段を備え、
前記目的地情報は、当該目的地に関する目的地属性情報又は/及び目的地画像情報を具備するものであり、
表示手段は、前記目的地記憶手段に記憶された複数の前記目的地属性情報又は/及び目的地画像情報を表示可能であり、
目的地指定手段は、前記表示手段によって表示される複数の前記目的地属性情報又は/及び目的地画像情報に基づいて、所望の目的地を選択することで目的地を指定し得ることを特徴とする目的地案内システム。
【請求項3】
請求項2記載の目的地案内システムにおいて、
目的地に関する目的地属性情報又は/及び目的地画像情報を入力する目的地情報入力手段を備え、
目的地記憶手段は、前記目的地情報入力手段によって入力された目的地属性情報又は/及び目的地画像情報を記憶可能であり、
表示手段は、前記目的地情報入力手段によって入力された目的地属性情報又は/及び目的地画像情報を表示可能であることを特徴とする目的地案内システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の目的地案内システムにおいて、
目印情報は、当該目印に関する目印属性情報又は/及び目印画像情報を含むものであり、
表示手段は、進むべき目印の目印属性情報又は/及び目印画像情報を表示し得ることを特徴とする目的地案内システム。
【請求項5】
請求項4記載の目的地案内システムにおいて、
表示手段は、目印記憶手段に記憶された複数の目印属性情報又は/及び目印画像情報を表示可能であり、
自位置入力手段は、前記表示手段によって表示される複数の目印属性情報又は/及び目印画像情報に基づいて所望の目印を選択し、この選択した目印を自位置とすることで自位置情報を入力し得ることを特徴とする目的地案内システム。
【請求項6】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の目的地案内システムにおいて、
自位置を計測し得る測位手段を備え、
前記測位手段で計測された位置情報が、自位置として入力手段に入力され、
目印情報が当該目印の位置情報を含むとともに、目的地情報が当該目的地の位置情報を含み、
目印抽出手段が、前記自位置情報と、前記目的地の位置情報と、前記目印の位置情報と、に基づいて進むべき目印を抽出することを特徴とする目的地案内システム。
【請求項7】
請求項6記載の目的地案内システムにおいて、
測位手段で計測された位置情報と、目印抽出手段によって抽出された進むべき目印の位置情報と、に基づいて求められる距離が所定閾値以内になると、
表示手段は、前記進むべき目印の次の目印を示すことを特徴とする目的地案内システム。
【請求項8】
請求項6又は請求項7記載の目的地案内システムにおいて、
測位手段で計測された位置情報と、目印抽出手段によって抽出された進むべき目印の位置情報と、に基づいて求められる距離が所定閾値以内になると、
表示手段は、前記進むべき目印の次の目印の方向又は/及び距離を示すことを特徴とする目的地案内システム。
【請求項9】
進むべき目印を抽出し、この目印を示して目的地まで案内する目的地案内装置であって、
自位置を計測して自位置情報として取得する自位置取得機能と、複数の目印情報を記憶する目印記憶機能と、複数の目的地情報を記憶する目的地記憶機能と、目的地を指定する目的地指定機能と、進むべき目印を抽出する目印抽出機能と、目印を表示する表示機能と、を備え、
前記目印は、目視可能なものであって、当該目印付近から1又は2以上の他の目印を視通可能な位置に設けられたものであり、
前記目印情報は、当該目印の位置情報を含む当該目印に関する情報と、当該目印付近から視通可能な目印の情報と、を具備するものであり、
前記目的地情報は、当該目的地の位置情報を、含むものであり、
前記目印抽出機能が、前記自位置情報と、前記目的地の位置情報と、前記目印の位置情報と、に基づいて進むべき目印を抽出し、
前記表示機能が、目的地までの進むべき目印を順次示すことで、自位置から目的地まで案内し得ることを特徴とする目的地案内装置。
【請求項10】
請求項9記載の目的地案内装置において、
自位置取得機能で取得された自位置情報と、目印抽出手段によって抽出された進むべき目印の位置情報と、に基づいて求められる距離が所定閾値以内になると、
表示機能は、前記進むべき目印の次の目印を示すことを特徴とする目的地案内システム。
【請求項11】
請求項9又は請求項10記載の目的地案内装置において、
測位機能で計測された位置情報と、目印抽出機能によって抽出された進むべき目印の位置情報と、に基づいて求められる距離が所定閾値以内になると、
表示機能は、前記進むべき目印の次の目印の方向又は/及び距離を示すことを特徴とする目的地案内装置。
【請求項12】
請求項9乃至請求項13のいずれか1項に記載の目的地案内装置において、
目的地情報は、当該目的地に関する目的地属性情報又は/及び目的地画像情報を含むものであり、
表示機能は、目的地記憶機能に記憶された複数の前記目的地属性情報又は/及び目的地画像情報を表示可能であり、
目的地指定機能は、前記表示機能によって表示される複数の前記目的地属性情報又は/及び目的地画像情報に基づいて、所望の目的地を選択することで目的地を指定し得ることを特徴とする目的地案内装置。
【請求項13】
請求項12記載の目的地案内装置において、
目的地に関する目的地属性情報又は/及び目的地画像情報を入力する目的地情報入力機能を備え、
目的地記憶機能は、前記目的地情報入力機能によって入力された目的地属性情報又は/及び目的地画像情報を記憶可能であり、
表示機能は、前記目的地情報入力機能によって入力された目的地属性情報又は/及び目的地画像情報を表示可能であることを特徴とする目的地案内装置。
【請求項14】
請求項9乃至請求項13のいずれか1項に記載の目的地案内装置において、
目印情報は、当該目印に関する目印属性情報又は/及び目印画像情報を含むものであり、
表示機能は、進むべき目印の目印属性情報又は/及び目印画像情報を表示し得ることを特徴とする目的地案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−194058(P2012−194058A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58234(P2011−58234)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(390023249)国際航業株式会社 (55)
【Fターム(参考)】