説明

直流給電システム及び双方向電力変換装置

【課題】バックアップ用の蓄電池及び電圧補償装置を備えた直流給電システムのさらなる構成簡素化とコストダウンを実現することを目的とする。
【解決手段】交流電圧を直流電圧に変換して外部負荷3への電力供給線9,10へ出力する整流装置2と、蓄電池5と、双方向電力変換回路6と、入出力切替部7とを備える。双方向電力変換回路6は、整流装置2からの直流電圧を降圧して蓄電池5を充電する蓄電池充電機能、及び蓄電池5の電圧を昇圧して電力供給線9,10へ出力することにより外部負荷3へ蓄電池5の電力を供給する負荷電圧補償機能を有する。制御部8は、整流装置2の正常動作時には入出力切替部7のモード切替スイッチ13をオンさせると共に双方向電力変換回路6を蓄電池充電機能で動作させ、整流装置2の異常時にはモード切替スイッチ13をオフさせると共に双方向電力変換回路6を負荷電圧補償機能で動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電力系統から供給される交流電圧を直流電圧に変換して外部負荷へ出力する直流給電システム、及びこの直流給電システムで使用される双方向電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、データセンターや通信ビルなどに構築される情報通信システムでは、使用される情報通信機器の増加に伴い、消費電力が増大している。そのため、地球環境問題の観点からも、情報通信システムでの消費電力を低減することが要求されている。
【0003】
こうした情報通信システムでの消費電力低減を実現するために、商用電源等の交流電力系統から供給される交流電圧を整流装置にて直流電圧に変換して外部負荷である各種情報通信機器に出力する、直流給電システムが注目されている。また、この直流給電システムでは、高効率化のために、出力電圧を高電圧(例えば直流380V)にする動きが進んでいる。
【0004】
そして、この種の直流給電システムには、従来、交流電力系統に系統事故等の異常が生じて整流装置から所定の直流電圧を正常に出力できなくなった場合のバックアップ用として、蓄電池と、この蓄電池の電圧を昇圧して外部負荷へ供給するための電圧補償装置と、交流電力系統若しくは整流装置から電力供給を受けて蓄電池を充電する充電装置とが備えられている。より具体的な構成例を図4に示す。
【0005】
図4に示す従来の直流給電システム120は、交流電力系統からの三相の交流(AC)入力電圧(例えばAC200V)を所定電圧値(例えば直流380V)の直流電圧に変換する整流装置2と、この整流装置2からの直流電圧を外部負荷3へ供給するための正・負の各電力供給線9,10と、蓄電池5と、この蓄電池5を充電するための、交流電力系統からの交流入力電圧を充電用の直流電圧に変換して蓄電池5へ供給する充電装置4と、系統事故等によって整流装置2から所定の直流電圧が正常に出力されなくなった場合に蓄電池5からの電力供給を受けて電力供給線9,10に直流電圧を出力するための電圧補償装置121と、電圧補償装置121を動作させてその出力電圧が所定の直流電圧(例えば上述した380V)となるように制御する制御部122と、を備えている。そして、電圧補償装置121から出力された直流電圧は、逆流防止用のORダイオードD1を介して電力供給線9,10に出力される。
【0006】
電圧補償装置122は、一端が蓄電池5の正極に接続されたインダクタL11と、ドレインがインダクタL11の他端に接続されてソースが蓄電池5の負極に接続された半導体スイッチ(例えばMOSFET,以下「スイッチ」と称す)103と、一端がインダクタL11の一端に接続されて他端がORダイオードD1のアノードに接続されたコンデンサC11と、アノードがスイッチ103のドレインに接続されてカソードがORダイオードD1のアノードに接続されたダイオードD11と、を備えており、制御部122がスイッチ103のスイッチング動作(オン・オフ動作)を制御することにより、蓄電池5の電圧を所定の直流電圧に変換して電力供給線9,10へ出力させる。
【0007】
尚、電圧補償装置122は、系統故障時等に常に動作するわけではなく、蓄電池5の電圧が十分な値(例えば上述した380V)であってその電圧をそのまま電力供給線9,10に出力できる場合は、電圧補償装置122は動作しない。そのため、その場合は、蓄電池5の正極から正極側の電力供給線9への通電経路上に設けられたバイパスダイオードD2を介して、蓄電池5の電圧が電力供給線9,10に出力されることとなる。
【0008】
ところで、図4に例示した従来の直流給電システム120は、交流入力電圧を直流電圧に変換する電力変換器を2つ(整流装置2及び充電装置4)を有すると共に、蓄電池5の電圧を所定の直流電圧に変換する電力変換器(電圧補償装置121)を有しており、これら各電力変換器はいずれも、当該システム120において相当の大きさを占めるものである。
【0009】
更に、実際の直流給電システムでは、外部負荷を複数有し、負荷毎に、整流装置、蓄電池、充電装置、及び電圧補償装置からなるシステム(即ち図4に示した直流給電システム)を構築する場合があるが、そのような場合は特に、負荷の数が多いほど電力変換器の数が多くなる。
【0010】
より具体的な例としては、図5に示すような直流給電システム100が挙げられる。この直流給電システム100は、外部負荷として第1負荷101−1,第2負荷101−2,第3負荷101−3,・・・,第N負荷101−Nを有しており、負荷毎にそれぞれ、その負荷へ直流電圧を供給するための整流装置が備えられている。即ち、第1負荷101−1に対しては第1整流装置102−1から電力供給線111−1を介して直流電圧が供給され、第2負荷101−2に対しては第2整流装置102−2から電力供給線111−2を介して直流電圧が供給され、第3負荷101−3に対しては第3整流装置102−3から電力供給線111−3を介して直流電圧が供給され、第N負荷101−Nに対しては第N整流装置102−Nから電力供給線111−Nを介して直流電圧が供給される。
【0011】
また、負荷毎にそれぞれ個別に、蓄電池(第1蓄電池103−1,第2蓄電池103−2,第3蓄電池103−3,・・・,第N蓄電池103−N)と、これら蓄電池を充電する充電装置(第1充電装置106−1,第2充電装置106−2,第3充電装置106−3,・・・,第N充電装置106−N)と、これら蓄電池の電圧を対応する外部負荷動作用の直流電圧に変換して対応する電力供給線へ出力する電圧補償装置(第1電圧補償装置104−1,第2電圧補償装置104−2,第3電圧補償装置104−3,・・・,第N電圧補償装置104−N)と、これら電圧補償装置の動作を制御する制御部(第1制御部105−1,第2制御部105−2,第3制御部105−3,・・・,第N制御部105−N)とを備えている。
【0012】
更に、各制御部は、それぞれ、対応する整流装置及び外部負荷と通信ライン(第1通信ライン115−1,第2通信ライン115−2,第3通信ライン115−3,・・・,第N通信ライン115−N)を介して情報の送受が可能となっており、対応する整流装置の動作状態や負荷の消費電力に関する情報を取得して、その取得した情報に基づいて対応する電圧補償装置の動作を制御する。
【0013】
このように構成された直流給電システム100では、複数の負荷に対し、負荷毎に、図4に示した直流給電システム120が構築されることとなり、負荷の数が多いほど、電力変換器の数も多くなり、結果、直流給電システム100全体の大規模化、高コスト化を招くことになる。
【0014】
そのため、直流給電システムの実現・普及のためには、システムのさらなる高効率化(電力変換効率の向上や装置構成の簡素化・コストダウンなど)が必要であり、そのためにも、システムを構成する電力変換器の構成の見直しや、電力変換器に求められる機能の精査などが必要不可欠となっている。
【0015】
そして、電力変換器を効率的に構成してコストと設置スペースの節約を実現する技術として、降圧回路を1つ備えると共に、この降圧回路に対する電圧の入出力を切替回路によって切替可能とすることにより、負荷動作用の直流電源からの電圧を降圧回路で降圧して組電池に供給する充電モードと、組電池からの電圧を降圧回路で降圧して負荷へ供給する放電モードとのいずれかで動作させることが可能な双方向コンバータが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2009−171724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、特許文献1において提案されている双方向コンバータは、降圧回路を用いて電力変換を行う構成であり、組電池への充電時には直流電源からの電圧がこの降圧回路で降圧されて充電用の電圧が生成されるのはもちろん、組電池から負荷への電力供給時にも組電池の電圧がその降圧回路で降圧されて負荷へ供給されるため、この双方向コンバータを適用できるケースは自ずと限定されてしまう。
【0018】
つまり、特許文献1に示されているような双方向コンバータを適用できるのは、外部負荷が、通常時に直流電源から供給される電圧より低い電圧(詳しくは組電池の電圧よりもさらに低い電圧)でも動作可能に構成されている場合といった、条件付きのシステムに限られる。そのため、負荷に対して組電池(蓄電池)の電圧よりも高い電圧を供給する必要があるようなシステム、例えば図4に例示したような直流給電システムに対しては、特許文献1に示されているような双方向コンバータを使用することはできない。
【0019】
そのため、図4に例示したような直流給電システムに対しても、システムの機能を何ら損なうことなく、システム全体のさらなる構成の簡素化やコストダウンを実現することが望まれている。
【0020】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、バックアップ用の蓄電池及び電圧補償装置を備えた直流給電システムのさらなる構成簡素化とコストダウンを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、交流電力系統から入力される交流電圧を直流電圧に変換して外部負荷への電力供給線へ出力する整流装置と、蓄電池と、電力供給線と蓄電池の間に設けられた双方向電力変換装置と、を備えた直流給電システムである。そして、双方向電力変換装置は、電力変換回路と制御手段とを備えている。
【0022】
このうち電力変換回路は、電力供給線から入力される整流装置からの直流電圧を降圧して蓄電池へ供給することにより該蓄電池を充電する蓄電池充電機能、及び蓄電池の電圧を昇圧して電力供給線へ出力することにより外部負荷へ該蓄電池の電力を供給する負荷電圧補償機能を有している。
【0023】
そして、制御手段は、整流装置が直流電圧を正常に出力可能なときは電力変換回路を蓄電池充電機能で動作させ、整流装置が直流電圧を正常に出力できないときは電力変換回路を負荷電圧補償機能で動作させる。
【0024】
このように構成された請求項1に記載の直流給電システムでは、電力変換回路が、蓄電池充電機能(整流装置からの直流電圧を降圧して蓄電池へ出力)と負荷電圧補償機能(蓄電池の電圧を昇圧して電力供給線へ出力)とを兼ね備えた、双方向に電力変換が可能な構成となっている。
【0025】
このような構成により、本発明では、整流装置が直流電圧を正常に出力できないときには電力変換回路が負荷電圧補償機能で動作することにより整流装置に代わってこの電力変換回路が外部負荷へ直流電圧を供給する。つまり、従来の電圧補償装置(図4参照)と同様に動作するのである。
【0026】
そして、従来の電圧補償装置は、整流装置が直流電圧を正常に出力可能なときは基本的には動作しないものであったのに対し、本発明の電力変換回路は、負荷電圧補償機能としての動作(即ち電圧補償装置と同様の動作)に加え、更に、整流装置が直流電圧を正常に出力可能なときも、蓄電池充電機能としてではあるが動作して、この間、蓄電池へ充電用の電力を供給する。
【0027】
これにより、従来のように交流電圧から蓄電池充電用の直流電圧を生成して蓄電池を充電するための充電装置を独立して設ける必要がなくなり、直流給電システムのさらなる構成簡素化とコストダウンを実現することが可能となる。しかも、1つの電力変換回路が上記2つの機能で動作可能であるため、従来の電圧補償装置に対し、装置(回路)の利用(稼働)効率の向上も実現される。
【0028】
なお、整流装置が出力する直流電圧について「正常」とは、その直流電圧によって外部負荷を動作させることが可能であることを意味しており、よって、直流電圧を正常に出力できないときというのは、即ち、その整流装置からの直流電圧では外部負荷を正常に動作させることができないときを意味する。そのため、そのような場合は制御手段が電力変換回路を負荷電圧補償機能で動作させるのである。
【0029】
上記構成の直流給電システムは、更に、請求項2に記載のように構成するとよい。即ち、請求項2に記載の直流給電システムは、双方向電力変換装置が、主ダイオードと主スイッチを備えた構成となっている。このうち主ダイオードは、電力変換回路と電力供給線との間の通電経路上に設けられ、電力変換回路から電力供給線への通電を許可してその逆方向の通電は阻止する。主スイッチは、主ダイオードと並列に接続され、主ダイオードの両端を短絡することにより電力供給線から電力変換回路への通電を可能とするためのものである。
【0030】
そして、制御手段は、整流装置が直流電圧を正常に出力可能なときは、主スイッチを閉じて主ダイオードの両端を短絡させると共に電力変換回路を蓄電池充電機能で動作させ、整流装置が直流電圧を正常に出力できないときは、主スイッチを開くと共に電力変換回路を負荷電圧補償機能で動作させる。
【0031】
このように構成された直流給電システムによれば、主ダイオードと並列に主スイッチが設けられているため、蓄電池充電機能での動作時には、主スイッチを閉じることによりこの主スイッチを介して整流装置からの直流電圧を電力変換回路に入力させることができ、これにより蓄電池の充電が可能となる。
【0032】
一方、負荷電圧補償機能での動作時には、主スイッチを開くことにより、電力供給線側から電力変換回路への電力の流入を阻止しつつ、電力変換回路からの直流電圧を電力供給線に出力して外部負荷を動作させることができる。そのため、より信頼性の高い直流給電システムを提供することが可能となる。
【0033】
ここで、電力変換回路は、より具体的には、例えば請求項3に記載のように構成することができる。即ち、電力変換回路は、蓄電池充電機能を実現する降圧回路部と負荷電圧補償機能を実現する昇圧回路部を有している。
【0034】
そして、昇圧回路部は、少なくとも、一端が蓄電池の正極側に接続されたインダクタと、一端が蓄電池の負極側に接続されて他端がインダクタの他端側に接続された第1スイッチと、インダクタと第1スイッチの接続点にアノードが接続された第1ダイオードとにより構成されている。また、降圧回路部は、少なくとも、第1ダイオードに並列接続されて該第1ダイオードの両端を短絡することにより該第1ダイオードのカソード側からアノード側への通電を可能とするための第2スイッチと、アノードが第1スイッチの一端側に接続されてカソードが第1スイッチの他端側に接続された第2ダイオードと、上記インダクタとにより構成されている。
【0035】
そして、制御手段は、電力変換回路を負荷電圧補償機能で動作させる際には、第2スイッチを開くと共に第1スイッチの開閉を制御することにより昇圧回路部を動作させて蓄電池の電圧を昇圧させ、電力変換回路を蓄電池充電機能で動作させる際には、第1スイッチを開くと共に第2スイッチの開閉を制御することにより降圧回路部を動作させて電力供給線から入力される直流電圧を降圧させる。
【0036】
このように構成された直流給電システムでは、双方向電力変換装置を構成する電力変換回路が、降圧回路部及び昇圧回路部を有していると共に、これら各回路部の構成要素のうち、降圧・昇圧のための主要な役割を果たすインダクタについては、降圧回路部及び昇圧回路部の双方で同じ1つのインダクタが共用される。
【0037】
逆に言えば、同じ1つのインダクタを、降圧及び昇圧の双方で共用できるように、降圧回路部及び昇圧回路部がそれぞれ構成されている。
従って、上記構成の直流給電システムによれば、電力変換回路の構成をより簡素化することができ、システム全体のさらなる構成の簡素化・コストダウンが可能となる。
【0038】
次に、請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の直流給電システムであって、外部負荷を複数備えると共に外部負荷毎にそれぞれ電力供給線を有することにより、整流装置からの直流電圧が各電力供給線を介して各外部負荷へ並列に供給されるよう構成されている。そして、外部負荷毎に、その外部負荷に対応した電力供給線に双方向電力変換装置が接続されている。
【0039】
このように構成された直流給電システムによれば、外部負荷毎に双方向電力変換装置を有しているため、外部負荷毎に蓄電池を有する構成ではあるものの、従来のように蓄電池毎に充電装置を設ける必要はなく、蓄電池への充電は電力変換回路を蓄電池充電機能にて動作させることで実現可能である。そのため、外部負荷の数が多くても(即ち蓄電池の数が多くても)、システム全体の大規模化を低く抑えることができる。
【0040】
しかも、整流装置から複数の外部負荷へ並列給電されると共に、外部負荷毎に双方向電力変換装置が設けられているため、各双方向電力変換装置からの出力電圧は、対応する外部負荷へ供給可能であるのはもちろんであるが、対応する外部負荷以外の他の外部負荷に対しても供給可能となる。
【0041】
そのため、例えば各外部負荷の消費電力や各蓄電池の充電容量に関する情報に基づいて各双方向電力変換装置の動作(即ち電力変換回路の動作)を制御することで、仮にいずれかの外部負荷に対応した蓄電池が容量不足となっていてその蓄電池によってはその外部負荷を動作させることができない場合であっても、他の何れかの双方向電力変換装置(他の何れかの外部負荷に対応した双方向電力変換装置)からの電力供給を受けてその外部負荷を動作させることができる。
【0042】
つまり、各外部負荷に対応して設けられた双方向電力変換装置は、基本的には自身に対応した外部負荷を動作させるためのものであるものの、システム全体の状態(各蓄電池の容量や各外部負荷の消費電力など)に応じて他の外部負荷にも並列的に供給することができる。
【0043】
次に、請求項5に記載の発明は、電力変換回路と、主ダイオードと、主スイッチと、制御手段とを備えた双方向電力変換装置である。
電力変換回路は、外部の電力供給線に接続された第1の入出力端及び蓄電池が接続された第2の入出力端を有すると共に、電力供給線から第1の入出力端に入力された直流電圧を降圧して第2の入出力端から出力することにより該蓄電池を充電する蓄電池充電機能、及び第2の入出力端から入力された蓄電池の電圧を昇圧して第1の入出力端から電力供給線へ出力する電力供給機能を有する。
【0044】
また、主ダイオードは、 第1の入出力端と電力供給線との間の通電経路上に設けられ、第1の入出力端から電力供給線への通電を許可してその逆方向の通電は阻止するものであり、主スイッチは、主ダイオードと並列に接続され、主ダイオードの両端を短絡することにより電力供給線から第1の入出力端への通電を可能とするためのものである。
【0045】
そして、制御手段は、予め決められた第1の条件が成立した場合には、主スイッチを閉じて主ダイオードの両端を短絡させると共に電力変換回路を蓄電池充電機能で動作させ、予め決められた第2の条件が成立した場合には、主スイッチを開くと共に電力変換回路を電力供給機能で動作させる。
【0046】
このように構成された双方向電力変換装置によれば、請求項1〜4に記載の直流給電システムを構築することができ、その場合、請求項1〜4と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】第1実施形態の直流給電システムの概略構成を表す構成図である。
【図2】第1実施形態の直流給電システムの動作を説明するための説明図である。
【図3】第2実施形態の直流給電システムの概略構成を表す構成図である。
【図4】従来の直流給電システムの概略構成を表す構成図である。
【図5】従来の直流給電システムの概略構成を表す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1に、本実施形態の直流給電システム100の概略構成を示す。尚、図1の直流給電システム100において、図4に示した従来の直流給電システム120と同じ構成要素には図4と同じ符号を付している。
【0049】
本実施形態の直流給電システム100は、交流電力系統からの三相の交流(AC)入力電圧(例えばAC200V)を所定電圧値(例えば直流380V)の直流電圧に変換する整流装置2と、この整流装置2からの直流電圧を外部負荷3へ供給するための正・負の各電力供給線9,10と、蓄電池5と、この蓄電池5を充電する機能及びこの蓄電池の電力を外部負荷3へ供給する機能を有する双方向電力変換回路6と、この双方向電力変換回路6と電力供給線9との間の通電経路上に設けられた入出力切替部7と、双方向電力変換回路6及び入出力切替部7の動作を制御する制御部8と、を備えている。
【0050】
整流装置2は、交流入力電圧を直流電圧に変換して出力するという基本機能の他、停電等の交流電力系統の異常や整流装置2自身の異常等によって電力供給線9,10への直流電圧が低下し、外部負荷3へその動作に必要な直流電圧を正常に出力できなくなった場合(以下「整流出力異常状態」ともいう)に、その旨を示す停電検出信号を制御部8へ出力する。逆に、整流出力異常状態となって停電検出信号を出力した後、その整流出力異常状態から整流装置2が正常な状態(外部負荷3へその動作用の直流電圧を正常に出力可能な状態)となった場合にも、その旨を示す復帰信号を制御部8へ出力する。
【0051】
蓄電池5は、その正極がバイパスダイオードD2を介して正極側の電力供給線9に接続され、その負極は負極側の電力供給線10に接続されている。尚、バイパスダイオードD2は、アノードが蓄電池5の正極に接続されてカソードが正極側の電力供給線9,10に接続されており、これにより、蓄電池5の電圧がこのバイパスダイオードD2を介して電力供給線9,10へ出力可能となっている。
【0052】
また、蓄電池5の正極及び負極は、双方向電力変換回路6にも接続されており、蓄電池5の電圧を双方向電力変換回路6へ入力可能であると共に、双方向電力変換回路6からの充電用の直流電圧を蓄電池5へ出力可能となっている。
【0053】
双方向電力変換回路6は、電力供給線9,10から入力される整流装置2からの直流電圧を降圧して蓄電池5へ供給することにより蓄電池5を充電する蓄電池充電機能、及び蓄電池5の電圧を変換(本例では昇圧)して電力供給線9,10へ出力することにより外部負荷3へ蓄電池5の電力を供給する負荷電圧補償機能を有している。
【0054】
即ち、双方向電力変換回路6は、一端が蓄電池5の正極に接続されたインダクタL1と、ドレインがインダクタL1の他端に接続されてソースが蓄電池5の負極に接続された第1の半導体スイッチ(例えばMOSFET,以下「第1スイッチ」と称す)11と、一端がインダクタL1の一端に接続されて他端がORダイオードD1のアノードに接続されたコンデンサC1と、アノードが第1スイッチ11のドレインに接続されてカソードがコンデンサC1の他端に接続された第1ダイオードD3と、ドレインが第1ダイオードD3のカソードに接続されてソースが第1ダイオードD3のアノードに接続された(即ち第1ダイオードD3に並列接続された)第2の半導体スイッチ(例えばMOSFET,以下「第2スイッチ」と称す)12と、アノードが第1スイッチ11のソースに接続されてカソードが第1スイッチのドレインに接続された第2ダイオードD4と、を備えている。
【0055】
このように構成された双方向電力変換回路6は、機能別にみれば、蓄電池充電機能を実現するための降圧回路部と負荷電圧補償機能を実現するための昇圧回路部とが混在した回路とみることができる。即ち、主としてインダクタL1と第1スイッチ11と第1ダイオードD3とにより、負荷電圧補償機能を実現するための昇圧回路部が構成され、主としてインダクタL1と第2スイッチ12と第2ダイオードD4とにより、蓄電池充電機能を実現するための降圧回路部が構成される。つまり、インダクタL1は、降圧回路部及び昇圧回路部の双方で共用される。
【0056】
そして、第1スイッチ11のオン・オフ(開閉)は制御部8から第1スイッチ11のゲートに入力される第1スイッチ制御信号S1(ハイレベル又はローレベル)により制御され、第2スイッチ12のオン・オフ(開閉)は制御部8から第2スイッチ12のゲートに入力される第2スイッチ制御信号S2(ハイレベル又はローレベル)により制御される。
【0057】
双方向電力変換回路6の双方の入出力端のうち一方の入出力端(第1ダイオードのカソード側。本発明の第1の入出力端に相当。)と正極側の電力供給線9との間の通電経路上には、入出力切替部7が設けられている。尚、双方向電力変換回路6の双方の入出力端のうち他方の入出力端(インダクタL1の一端側。本発明の第2の入出力端に相当。)は蓄電池5の正極に接続されている。
【0058】
入出力切替部7は、アノードが双方向電力変換回路6の一方の入出力端に接続されてカソードが正極側の電力供給線9に接続されたORダイオードD1と、ソースがORダイオードD1のアノードに接続されてドレインがORダイオードD1のカソードに接続された第3の半導体スイッチ(例えばMOSFET,以下「モード切替スイッチ」と称す)とを備えている。モード切替スイッチ13のオン・オフ(開閉)は、制御部8からモード切替スイッチ13のゲートに入力される第3スイッチ制御信号S3(ハイレベル又はローレベル)により制御される。
【0059】
このように構成された入出力切替部7を備えていることにより、モード切替スイッチ13がオフされている間は、ORダイオードD1によって、双方向電力変換回路6から電力供給線9、10への通電は許可されるもののその逆方向の(電力供給線9,10から双方向電力変換回路6への)通電は阻止される。一方、モード切替スイッチ13がオンされている間は、ORダイオードD1の両端がこのモード切替スイッチ13によって短絡されるため、これにより、電力供給線9,10から双方向電力変換回路6への通電が可能となる。
【0060】
制御部8は、整流装置2からの停電検出信号及び復帰信号に基づいて、双方向電力変換回路6及び入出力切替部7の動作モードを、蓄電池充電モード及び負荷電圧補償モードの何れか一方に切り替える。
【0061】
整流装置2が正常に直流電圧を出力している通常運転時には、交流入力電圧(200V)が整流装置2で直流380Vに変換(AC/DC変換)されて外部負荷3側へ出力される。この場合、制御部8は、蓄電池充電モードにて動作させる。
【0062】
即ち、入出力切替部7のモード切替スイッチ13をオンさせてORダイオードD1の両端を短絡させると共に、双方向電力変換回路6を蓄電池充電機能にて動作させる。具体的には、第1スイッチ11をオフする(開く)と共に第2スイッチ12のスイッチング動作(オン・オフ動作)を制御(例えばデューティ制御)することにより、上述した降圧回路部を動作させて、整流装置2から電力供給線9,10を経て入力される直流電圧を充電用の直流電圧に降圧させ、蓄電池5へ出力させる。
【0063】
一方、整流装置2から直流電圧が正常に出力できない整流出力異常状態になると、整流装置2から制御部8へ停電検出信号が出力されるため、制御部8は、その停電検出信号を受信することで、負荷電圧補償モードにて動作させる。
【0064】
即ち、入出力切替部7のモード切替スイッチ13をオフさせると共に、双方向電力変換回路6を負荷電圧補償機能にて動作させる。具体的には、第2スイッチ12をオフする(開く)と共に第2スイッチ12のスイッチング動作(オン・オフ動作)を制御(例えばデューティ制御)することにより、上述した昇圧回路部を動作させて、蓄電池5の電圧を、整流装置2の正常動作時に整流装置2から出力される直流電圧と同等の電圧値(380V)に昇圧させる。そして、その昇圧後の直流電圧をORダイオードD1を介して電力供給線9,10に出力する。
【0065】
これにより、整流装置2から外部負荷3へ所定の直流電圧を供給できなくなった場合でも、双方向電力変換回路6から供給される直流電圧によって、外部負荷3の動作を継続させることができる。
【0066】
尚、蓄電池5の電圧がすでに外部負荷3を正常動作させることが可能な電圧値である場合は、その電圧をさらに昇圧させる必要はないため、制御部8は、双方向電力変換回路6の動作を停止させる。この場合、蓄電池5の電圧がバイパスダイオードD2を介して電力供給線9,10へ出力されることとなる。
【0067】
そして、整流装置2が再び正常状態に戻った場合は、整流装置2から制御部8へ復帰信号が出力されるため、制御部8は、その復帰信号を受信することで、再び蓄電池充電モードにて動作させる。
【0068】
双方向電力変換回路6は、図4に示した従来の直流給電システム120における電圧補償装置121と比較して明らかなように、電圧補償装置121に対して、第2スイッチ12及び第2ダイオードD4を追加した構成となっている。
【0069】
つまり、従来の電圧補償装置121は単に蓄電池5の電圧を昇圧させて外部負荷へ供給する負荷電圧補償機能しか備えておらず、整流装置2の正常動作時には基本的に動作していなかったのに対し、上記のように構成部品を追加して蓄電池充電機能をも備えた双方向電力変換回路として構成することで、整流装置2の正常動作時にも動作して蓄電池5の充電を行うようにしている。
【0070】
図2に、本実施形態の直流給電システム1の動作例を示す。図2(a)は、整流装置2の出力電圧(直流電圧)と負荷電圧(外部負荷3に入力される電圧)の変化の一例を示し、図2(b)は電池電圧(蓄電池5の電圧)の変化の一例を示し、図2(c)はインダクタ電流(インダクタL1を流れる電流)の変化の一例を示す。尚、図2(a)において、実線は負荷電圧を示し、波線は整流装置2の出力電圧を示す。
【0071】
図2(a)に示すように、整流装置2が正常に動作している間(0〜約2.2ms)は、整流装置2からの出力電圧(約380V)がそのまま外部負荷3へ入力される。この間、動作モードは蓄電池充電モードに設定され、双方向電力変換回路6は蓄電池充電機能にて動作するため、蓄電池5の充電が行われる。本例では、蓄電池5の充電電圧は約260Vに設定されており(図2(b)参照)、蓄電池5の電圧が約260Vとなるように、双方向電力変換回路6から蓄電池5への出力電圧・出力電流が制御される。また、その充電動作に応じて、インダクタL1にも電流が流れる(図2(c)参照)。
【0072】
そして、停電等によって整流出力異常状態になり、図2(a)に示すように整流装置2からの出力電圧が低下して所定の閾値Vr(例えば360V)以下になると、動作モードは負荷電圧補償モードに切り替わり、双方向電力変換回路6が負荷電圧補償機能での動作を開始する。即ち、蓄電池5の電圧を昇圧して外部負荷3へ出力し、これにより外部負荷3に入力される電圧は、外部負荷3が正常に動作可能なレベルに維持される。このとき、インダクタL1には、昇圧動作に伴う大きな電流(放電電流)が流れる(図2(c)参照)。また、この場合は蓄電池5の充電電力が外部負荷3へ供給されることになるため、蓄電池5の充電電力は徐々に低下していく(図2(b)参照)。
【0073】
尚、双方向電力変換回路6を負荷電圧補償モードで動作させるための上記閾値Vrは、整流装置2からの出力電圧が低下しても外部負荷3の正常な動作を維持させることができる限り、適宜設定することができる。
【0074】
そして、停電等の異常が解消されて整流装置2から再び正常に動作するようになると(約12.5ms)、図2(a)に示すように整流装置2からの出力電圧は正常な値(380V)に回復する。この場合、動作モードは再び蓄電池充電モードに切り替わり、双方向電力変換回路6は蓄電池充電機能にて動作することになるため、インダクタL1にはその充電動作に伴う電流が流れる(図2(c)参照)。また、その充電動作により、蓄電池5の電圧は徐々に上昇していく(図2(b)参照)。
【0075】
尚、本実施形態では、制御部8は、整流装置2からの信号(停電検出信号及び復帰信号)に基づいて動作モードを切り替えるよう構成されているが、このような構成は一例であり、整流装置2から直流電圧が正常に出力可能か否かに応じて動作モードを適切に切り替える事ができる限り、制御部8が何に基づいて動作モードを切り替えるかについては特に限定されるものではない。例えば、整流装置2からの出力電圧を監視して、その出力電圧が正常な範囲内にあるか否かに応じて動作モードを切り替えるように構成してもよい。
【0076】
以上説明したように、本実施形態の直流給電システム1では、従来の電圧補償装置を、構成部品を追加することで双方向電力変換回路6及び入出力切替部7を構成し、双方向電力変換回路6にて、蓄電池充電機能及び負荷電圧補償機能の双方を実現可能としている。
【0077】
しかも、その構成部品の追加は、システム全体のコストに対しては非常に微小であり、機能追加に伴うコストアップは軽微である。
そのため、蓄電池5の充電用として従来は独立して設けられていた充電装置が不要となり、システム全体の構成の簡素化・小型化・コストダウンが可能となる。
【0078】
また、上記のように独立した充電装置が不要となることから、従来の直流給電システムにおいて充電装置が占めていた空間を別の装置等が利用可能となる。そのため、空間の有効利用によるシステムの大容量化が可能となり、効率的なシステム運用が可能となる。
【0079】
しかも、従来の充電装置は、交流入力電圧を直流電圧に変換(AC/DC変換)する構成であったが、本実施形態では、充電用の電圧は、上述したようにインダクタL1と第2スイッチ12と第2ダイオードD4とからなる降圧回路部にて生成(DC/DC変換)されるため、充電用の電圧を生成するための構成もより簡素化され、且つ、その生成時の電力変換効率も向上する。そのため、電力変換効率や稼働率の観点からも、システム全体の高効率化が実現できる。
【0080】
尚、本実施形態において、双方向電力変換回路6は本発明の電力変換回路に相当し、制御部8は本発明の制御手段に相当し、ORダイオードD1は本発明の主ダイオードに相当し、モード切替スイッチ13は本発明の主スイッチに相当する。
【0081】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の直流給電システム50について、図3を用いて説明する。図3に示す本実施形態の直流給電システム50は、外部負荷を複数有し、外部負荷毎にそれぞれ電力供給線を有することにより、整流装置57からの直流電圧が各電力供給線を介して各外部負荷へ並列に供給されるよう構成されたものであり、外部負荷毎に、その外部負荷に対応した電力供給線に、蓄電池、双方向電力変換回路、モード切替スイッチ、及び制御部からなるシステム(即ち図1に示した直流給電システム1のうち整流装置2を除いた構成)が接続されている。
【0082】
より具体的には、本実施形態の直流給電システム50は、外部負荷として第1負荷51−1,第2負荷51−2,第3負荷51−3,・・・,第N負荷51−Nを有しており、各外部負荷には、整流装置57からDCバス61に出力された直流電圧(例えば380V)がそれぞれ対応する電力供給線を経て入力される。即ち、第1負荷51−1に対しては整流装置57からの直流電圧が電力供給線61−1を経て供給され、第2負荷51−2に対しては整流装置57からの直流電圧が電力供給線61−2を介して供給され、第3負荷51−3に対しては整流装置57からの直流電圧が電力供給線61−3を介して供給され、第N負荷51−Nに対しては整流装置57からの直流電圧が電力供給線61−Nを介して供給される。
【0083】
また、外部負荷毎にそれぞれ個別に、蓄電池(第1蓄電池52−1,第2蓄電池52−2,第3蓄電池52−3,・・・,第N蓄電池52−N)と、これら蓄電池を充電する蓄電池充電機能及び蓄電池の電圧を昇圧して対応する負荷へ供給する負荷電圧補償機能を備えた双方向電力変換回路(第1双方向電力変換回路53−1,第2双方向電力変換回路53−2,第3双方向電力変換回路53−3,・・・,第N双方向電力変換回路53−N。いずれも第1実施形態の双方向電力変換回路6と同じ構成・機能。)と、これら双方向電力変換回路と対応する電力供給線との間に設けられた入出力切替部(第1入出力切替部54−1,第2入出力切替部54−2,第3入出力切替部54−3,・・・,第N入出力切替部54−N。第1実施形態の入出力切替部7と同じ構成・機能)と、各双方向電力変換回路及び各入出力切替部の動作を制御する制御部(第1制御部55−1,第2制御部55−2,第3制御部55−3,・・・,第N制御部55−N)とを備えている。
【0084】
更に、各制御部は、通信ライン63を介して相互に情報の送受が可能となっており、これにより、各外部負荷の消費電力や各蓄電池の容量に関する情報を取得して、システム全体として各外部負荷が正常に動作できるように、対応する各双方向電力変換回路及び入出力切替部を制御する。
【0085】
図5に示した従来の直流給電システム100では、各整流装置、各蓄電池、及び各電圧補償装置は、外部負荷毎に専用のものとして構成されていた。そのため、図5に例示しているように、第1負荷101−1についてはその消費電力は少なくて対応する第1蓄電池103−1の残容量は大きいため問題なく動作させることができ、第2負荷101−2についてもその消費電力は大きいものの対応する第2蓄電池103−2の残容量も大きいため問題なく動作させることができるものの、第3負荷101−3についてはその消費電力(動作に必要な電力)は大きいのに対して対応する第3蓄電池103−3の残容量は小さい場合は、第1蓄電池103−1の容量には十分な余裕があるにもかかわらず、第3負荷101−3を動作させることができなかった。
【0086】
これに対し、本実施形態の直流給電システム50では、整流装置2から複数の外部負荷へ並列給電されると共に、外部負荷毎に双方向電力変換回路等が設けられているため、各双方向電力変換回路からの出力電圧は、対応する外部負荷へ供給可能であるのはもちろん、対応する外部負荷以外の他の外部負荷に対しても供給可能である。
【0087】
即ち、各外部負荷の消費電力や各蓄電池の充電容量に関する情報に基づいて各双方向電力変換回路等の動作が制御されることで、仮にいずれかの外部負荷に対応した蓄電池が容量不足となっていてその蓄電池によってはその外部負荷を動作させることができない場合であっても、他の何れかの蓄電池からの電力供給を受けてその外部負荷を動作させることができる。
【0088】
そのため、図5と同じく図3に例示しているように、第3負荷51−3の消費電力(動作に要する電力)は大きいにも関わらず対応する第3蓄電池52−3の残容量は小さい場合は、比較的余裕のある第1蓄電池52−1からの電力の供給を受けて第3負荷51−3を動作させることができる。
【0089】
つまり、各外部負荷に対応して設けられた各蓄電池は、基本的には自身に対応した外部負荷へ電力を供給するためのものであるものの、システム全体の状態(各蓄電池の容量や各外部負荷の消費電力など)に応じて他の外部負荷にも並列的に供給することができるのである。
【0090】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0091】
例えば、上記実施形態で例示した双方向電力変換回路の構成はあくまでも一例であり、上述した双方向電力変換回路としての機能を有する限り、その具体的構成は特に限定されるものではない。
【0092】
また、上記実施形態の双方向電力変換回路は、トランスを用いない非絶縁型の電力変換回路からなる構成であったが、このような非絶縁型の構成であることもあくまでも一例であり、例えば、トランスの一次側及び二次側の双方にそれぞれ4つの半導体スイッチからなるフルブリッジ回路を設けることで双方向の電力変換が可能に構成された周知の絶縁型双方向電力変換回路のように、絶縁型の回路にて構成してもよい。
【符号の説明】
【0093】
1,50,100,120…直流給電システム、2,57…整流装置、3…外部負荷、4…充電装置、5…蓄電池、6…双方向電力変換回路、7…入出力切替部、8…制御部、9,10…電力供給線、10…電力供給線、11…第1スイッチ、12…第2スイッチ、13…モード切替スイッチ、51−1…第1負荷、51−2…第2負荷、51−3…第3負荷、51−N…第N負荷、52−1…第1蓄電池、52−2…第2蓄電池、52−3…第3蓄電池、52−N…第N蓄電池、53−1…第1双方向電力変換回路、53−2…第2双方向電力変換回路、53−3…第3双方向電力変換回路、53−N…第N双方向電力変換回路、54−1…第1入出力切替部、54−2…第2入出力切替部、54−3…第3入出力切替部、54−N…第N入出力切替部、55−1…第1制御部、55−2…第2制御部、55−3…第3制御部、55−N…第N制御部、61…DCバス、61−1…電力供給線、61−2…電力供給線、61−3…電力供給線、61−N…電力供給線、63…通信ライン、C1,C11…コンデンサ、D1…ORダイオード、D2…バイパスダイオード、D11…ダイオード、D3…第1ダイオード、D4…第2ダイオード、L1,L11…インダクタ、L11…インダクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電力系統から入力される交流電圧を直流電圧に変換して外部負荷への電力供給線へ出力する整流装置と、
蓄電池と、
前記電力供給線と前記蓄電池の間に設けられた双方向電力変換装置と、
を備え、
前記双方向電力変換装置は、
該電力供給線から入力される前記整流装置からの前記直流電圧を降圧して前記蓄電池へ供給することにより該蓄電池を充電する蓄電池充電機能、及び前記蓄電池の電圧を昇圧して前記電力供給線へ出力することにより前記外部負荷へ該蓄電池の電力を供給する負荷電圧補償機能を有する電力変換回路と、
前記整流装置が前記直流電圧を正常に出力可能なときは前記電力変換回路を前記蓄電池充電機能で動作させ、前記整流装置が前記直流電圧を正常に出力できないときは前記電力変換回路を前記負荷電圧補償機能で動作させる制御手段と、を備えている
ことを特徴とする直流給電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の直流給電システムであって、
前記双方向電力変換装置は、
前記電力変換回路と前記電力供給線との間の通電経路上に設けられ、該電力変換回路から該電力供給線への通電を許可してその逆方向の通電は阻止する主ダイオードと、
前記主ダイオードと並列に接続され、該主ダイオードの両端を短絡することにより前記電力供給線から前記電力変換回路への通電を可能とするための主スイッチと、
を備え、
前記制御手段は、前記整流装置が前記直流電圧を正常に出力可能なときは、前記主スイッチを閉じて前記主ダイオードの両端を短絡させると共に前記電力変換回路を前記蓄電池充電機能で動作させ、前記整流装置が前記直流電圧を正常に出力できないときは、前記主スイッチを開くと共に前記電力変換回路を前記負荷電圧補償機能で動作させる
ことを特徴とする直流給電システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の直流給電システムであって、
前記電力変換回路は、前記蓄電池充電機能を実現する降圧回路部と前記負荷電圧補償機能を実現する昇圧回路部を有し、
前記昇圧回路部は、少なくとも、
一端が前記蓄電池の正極側に接続されたインダクタと、
一端が前記蓄電池の負極側に接続されて他端が前記インダクタの他端側に接続された第1スイッチと、
前記インダクタと前記第1スイッチの接続点にアノードが接続された第1ダイオードと、
により構成され、
前記降圧回路部は、少なくとも、
前記第1ダイオードに並列接続され、該第1ダイオードの両端を短絡することにより該第1ダイオードのカソード側からアノード側への通電を可能とするための第2スイッチと、
アノードが前記第1スイッチの一端側に接続されてカソードが前記第1スイッチの他端側に接続された第2ダイオードと、
前記インダクタと、
により構成されており、
前記制御手段は、前記電力変換回路を前記負荷電圧補償機能で動作させる際には、前記第2スイッチを開くと共に前記第1スイッチの開閉を制御することにより前記昇圧回路部を動作させて前記蓄電池の電圧を昇圧させ、前記電力変換回路を前記蓄電池充電機能で動作させる際には、前記第1スイッチを開くと共に前記第2スイッチの開閉を制御することにより前記降圧回路部を動作させて前記電力供給線から入力される前記直流電圧を降圧させる
ことを特徴とする直流給電システム。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の直流給電システムであって、
前記外部負荷を複数備えると共に該外部負荷毎にそれぞれ前記電力供給線を有することにより、前記整流装置からの直流電圧が前記各電力供給線を介して前記各外部負荷へ並列に供給されるよう構成されており、
前記外部負荷毎に、該外部負荷に対応した前記電力供給線に前記双方向電力変換装置が接続されている
ことを特徴とする直流給電システム。
【請求項5】
外部の電力供給線に接続された第1の入出力端及び蓄電池が接続された第2の入出力端を有すると共に、前記電力供給線から前記第1の入出力端に入力された直流電圧を降圧して前記第2の入出力端から出力することにより該蓄電池を充電する蓄電池充電機能、及び前記第2の入出力端から入力された前記蓄電池の電圧を昇圧して前記第1の入出力端から前記電力供給線へ出力する電力供給機能を有する電力変換回路と、
前記第1の入出力端と前記電力供給線との間の通電経路上に設けられ、該第1の入出力端から該電力供給線への通電を許可してその逆方向の通電は阻止する主ダイオードと、
前記主ダイオードと並列に接続され、該主ダイオードの両端を短絡することにより前記電力供給線から前記第1の入出力端への通電を可能とするための主スイッチと、
予め決められた第1の条件が成立した場合には、前記主スイッチを閉じて前記主ダイオードの両端を短絡させると共に前記電力変換回路を前記蓄電池充電機能で動作させ、予め決められた第2の条件が成立した場合には、前記主スイッチを開くと共に前記電力変換回路を前記電力供給機能で動作させるための制御手段と、
を備えたことを特徴とする双方向電力変換装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−120414(P2012−120414A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270742(P2010−270742)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(593063161)株式会社NTTファシリティーズ (475)
【Fターム(参考)】