説明

真空吸着パッド、搬送アーム及び基板搬送装置

【課題】搬送アームに基板を真空吸着して搬送する場合において、容易に交換することができるとともに、長時間吸着してもウェハに固着することがなく、安定してウェハを真空吸着することができる真空吸着パッドを提供する。
【解決手段】基板を真空吸着して搬送する基板搬送装置16の搬送アーム17(19)に形成された取付孔22又は貫通孔に取り付けられて、搬送アーム17(19)に設けられた真空吸引路21と連結されて基板を真空吸着する真空吸着パッド20であって、第1の開口部44が形成された上面部41と、取り付けられたときに取付孔22または貫通孔と対向し、シール部材32を装着する装着部46が形成された側周面部42とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送アームに取付けられ基板を真空吸着する真空吸着パッド、その真空吸着パッドが取付けられた搬送アーム及び基板搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程においては、被処理基板である半導体ウェハ(以下、単に基板又はウェハと記す。)に対し、真空雰囲気で成膜処理やエッチング処理等の基板処理が行われる。最近では、このような基板処理の効率化の観点から、複数の基板処理を行う基板処理室を真空に保持された搬送室に連結し、搬送室に設けられた搬送装置により各基板処理室にウェハを搬送することを可能としたマルチチャンバタイプの基板処理装置が注目されている。
【0003】
一方、マルチチャンバタイプの基板処理装置においては、大気中に置かれたウェハカセットから真空に保持された搬送室へウェハを搬送するために、搬送室とウェハカセットとの間にロードロック室を設け、ロードロック室を介してウェハが搬送される。
【0004】
このうちウェハカセットとロードロック室との間でのウェハの受け渡しは、ウェハカセットとロードロック室の間にあるウェハ搬入出室に設けられた基板搬送装置により行われる。基板搬送装置は、必要最小限の空間で旋回可能とするとともに遠方までウェハを搬送可能とするために多関節構造を有し、伸縮可能になされた搬送アームを有している。また、多関節構造を有する搬送アームの先端には、ウェハを保持するためのピックを有する。基板搬送装置は、ウェハを大気中で搬送するため、ウェハをピックに真空吸着して搬送する。従って、ピックには、ウェハを真空吸着するための真空吸着パッドが設けられている。
【0005】
このような基板搬送装置の搬送アームにおいて真空吸着パッドが用いられている例として、ウェハを真空吸着して保持する真空吸着パッドと、真空吸着パッドに真空吸着保持されたウェハを搬送するためのハンドと、パッドとハンドとの間で真空供給用流路を形成する弾性部材を有し、弾性部材がパッドとハンドとの間に介在されたOリング状弾性部材であり、真空吸着パッドがハンドからの脱落を脱落防止ネジにより防止されている例が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
また、ガラス基板を保持する真空吸着部を、ガラス基板と接するシート部材と、シート部材の下面に設けられてシート部材とアームとに接合される弾性部材と、弾性部材とシート部材とを貫通し、ガラス基板に真空圧を作用させる真空吸着穴とから構成し、ガラス基板を搬送する際は、弾性部材を弾性変形させてシート部材をガラス基板に接触させ、ガラス基板とシート部材で囲まれた空間を真空吸着穴から真空排気し、ガラス基板に真空圧を作用させて真空吸着部に保持させて搬送する例が開示されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−17896号公報
【特許文献2】特開2003−191191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記の真空吸着パッドを取付けた搬送アームによりウェハを真空吸着して搬送するときに、次のような場合がある。
【0009】
ピック剛性が高い場合、ウェハと真空吸着パッドとの間に隙間が生じて、安定して真空吸着ができない場合がある。この場合、安定して真空吸着させるためには、真空吸着パッドの形状を変形しやすい薄い形状にする、又は真空吸着パッドをゴムなどの柔らかい素材により作製することが必要である。
【0010】
しかし、薄い形状の真空吸着パッドを用いるときに、ピックに保持するために、接着しなければならず、真空吸着パッド部分のみを交換することができない場合がある。
【0011】
また、ゴムなどの柔らかい素材により作製された真空吸着パッドを用いるときに、長時間ウェハを吸着する間に真空吸着パッドがウェハに貼り付くことによってウェハがピックに固着してしまい、ウェハがピックから剥がれなくなる場合がある。
【0012】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、搬送アームに基板を真空吸着して搬送する場合において、容易に交換することができるとともに、長時間吸着してもウェハに固着することがなく、安定してウェハを真空吸着することができる真空吸着パッドを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる手段を講じたことを特徴とするものである。
【0014】
本発明は、基板を真空吸着して搬送する基板搬送装置の搬送アームに形成された取付孔又は貫通孔に取り付けられて、前記搬送アームに設けられた真空吸引路と連結されて基板を真空吸着する真空吸着パッドであって、第1の開口部が形成された上面部と、取り付けられたときに前記取付孔または貫通孔と対向し、シール部材を装着する装着部が形成された側周面部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、搬送アームに取付けられた真空吸着パッドにより基板を真空吸着して搬送する場合において、真空吸着パッドを容易に交換することができるとともに、長時間吸着してもウェハに固着することがなく、安定してウェハを真空吸着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す平面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る搬送アームの構成を示す概略斜視図である。
【図3】第1の実施の形態に係る搬送アームの取付孔に真空吸着パッドが取り付けられている状態を模式的に示す断面図である。
【図4】第1の実施の形態に係る真空吸着パッドを示す斜視図である。
【図5】第1の実施の形態に係る搬送アームの真空吸着パッドが湾曲した基板を真空吸着している状態を模式的に示す断面図である。
【図6】第1の実施の形態の第1の変形例に係る搬送アームの取付孔に真空吸着パッドが取り付けられている状態を模式的に示す断面図である。
【図7】第1の実施の形態の第1の変形例に係る搬送アームの真空吸着パッドが湾曲した基板を真空吸着している状態を模式的に示す断面図である。
【図8】第1の実施の形態の第2の変形例に係る搬送アームの取付孔に真空吸着パッドが取り付けられている状態を模式的に示す断面図である。
【図9】第1の実施の形態の第2の変形例に係る搬送アームの真空吸着パッドが湾曲した基板を真空吸着している状態を模式的に示す断面図である。
【図10】第2の実施の形態に係る搬送アームの貫通孔に真空吸着パッドが取り付けられている状態を模式的に示す断面図である。
【図11】第2の実施の形態に係る真空吸着パッドを示す斜視図である。
【図12】第2の実施の形態に係る搬送アームの真空吸着パッドが湾曲した基板を真空吸着している状態を模式的に示す断面図である。
【図13】第2の実施の形態の変形例に係る搬送アームの取付孔に真空吸着パッドが取り付けられている状態を模式的に示す断面図である。
【図14】第3の実施の形態に係る搬送アームの第1の取付孔に真空吸着パッドが取り付けられている状態を模式的に示す断面図である。
【図15】第4の実施の形態に係る搬送アームの第1の貫通孔に真空吸着パッドが取り付けられている状態を模式的に示す断面図である。
【図16】第5の実施の形態に係る搬送アームの貫通孔に真空吸着パッドが取り付けられている状態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明を実施するための形態について図面と共に説明する。
(第1の実施の形態)
最初に、図1を参照し、本発明の第1の実施の形態に係る基板搬送装置を備える基板処理装置について説明する。図1は、本実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す平面図である。
【0018】
基板処理装置1は、所定の真空下で被処理基板としての半導体ウェハ(以下、単に「ウェハ」という。)Wに対して、エッチング等の処理を行うものである。
【0019】
基板処理装置1は、2つの処理ユニット2、3を備えており、各処理ユニット2、3では、それぞれ独立してウェハWのエッチング処理を実施できるように構成されている。各処理ユニット2、3には、それぞれロードロック室6、7がゲートバルブG1を介して接続されている。ロードロック室6、7の処理ユニット2、3と反対側には、搬送室であるウェハ搬入出室8が設けられており、ウェハ搬入出室8のロードロック室6、7と反対側にはウェハWを収容可能なフープ(FOUP)Fを取り付ける3つの接続ポート9、10、11が設けられている。
【0020】
2つの処理ユニット2、3は、各ゲートバルブG1を開放することにより、ロードロック室6、7と連通され、各ゲートバルブG1を閉じることによりロードロック室6、7から遮断される。また、ロードロック室6、7のウェハ搬入出室8に接続される部分にも、ゲートバルブG2が設けられており、ロードロック室6、7は、ゲートバルブG2を開放することによりウェハ搬入出室8に連通され、これらを閉じることにより、ウェハ搬入出室8から遮断される。
【0021】
ロードロック室6、7内には、処理ユニット2、3と、ウェハ搬入出室8との間で、被処理体であるウェハWの搬入出を行う基板搬送装置4、5がそれぞれ設けられている。
【0022】
ウェハ搬入出室8のフープF取付け用の3つの接続ポート9、10、11には、それぞれシャッターが設けられており、接続ポート9、10、11にウェハWを収容したフープFまたは空のフープFが直接取付けられ、取付けられた際にシャッターが外れて外気の侵入を防止しつつウェハ搬入出室8と連通するようになっている。また、ウェハ搬入出室8の片方の側面には、アライメントチャンバー14が設けられており、そこでウェハWのアライメントが行われる。
【0023】
ウェハ搬入出室8内には、フープFに対するウェハWの搬入出およびロードロック室6、7に対するウェハWの搬入出を行う基板搬送装置16が設けられている。基板搬送装置16は、フープFの配列方向に沿ってレール18上を走行可能となっている。また、基板搬送装置16は、多関節構造の搬送アーム17を有しており、搬送アーム17上にウェハWを載せて搬送を行う。
【0024】
このような基板処理装置1においては、まず、大気圧1.3Pa以上の清浄空気雰囲気に保持されたウェハ搬入出室8内の基板搬送装置16により、いずれかのフープFからウェハWを1枚取り出してアライメントチャンバー14に搬入し、ウェハWの位置合わせを行う。次いで、ウェハWをロードロック室6、7のいずれかに搬入し、ロードロック室6、7内を真空引きした後、基板搬送装置4、5のいずれかによりロードロック室6、7のいずれかの内のウェハWを処理ユニット2、3のいずれかに搬入して、基板処理を行う。その後、ウェハWを基板搬送装置4、5のいずれかによりロードロック室6、7のいずれかに搬入し、その中を大気圧に戻した後、ウェハ搬入出室8内の基板搬送装置16によりロードロック室6、7内のウェハWを取り出し、フープFのいずれかに収容する。このような操作をウェハWに対して行い、1ロットの処理が終了する。
【0025】
次に、図2を参照し、搬送アームの構成について説明する。図2は、本実施の形態に係る搬送アームの構成を示す概略斜視図である。
【0026】
基板搬送装置16は、多関節構造の搬送アーム17を複数例えば2つ有している。搬送アーム17は、それぞれ先端にウェハWを保持するためのピック19を有しており、ピック19上にウェハWを載せて搬送を行う。ピック19は、例えばアルミナ(Al)などのセラミックス材料で構成されており、ウェハWを保持する保持面には、ウェハWを真空吸着して保持する真空吸着パッド20が複数例えば3つ取付けられている。真空吸着パッド20は、その吸着力によりピック19上でウェハWが位置ずれを起こしたり、ピック19から落下したりしないようにウェハWを保持する。なお、本発明における搬送アームは、搬送アーム17及び搬送アーム17の先端に設けられたピック19を含む。従って、以下では、「ピック19」を「ピック19(搬送アーム17)」と記す。
【0027】
次に、図3及び図4を参照し、搬送アームの取付孔に取り付けられる真空吸着パッドについて説明する。
【0028】
図3は、本実施の形態に係る搬送アームの取付孔に真空吸着パッドが取り付けられている状態を模式的に示す断面図である。図3(a)は、取付孔の一つの例を示し、図3(b)は、取付孔の他の例を示す。図4は、本実施の形態に係る真空吸着パッドを示す斜視図である。図4(a)は、斜め上方より視た図であり、図4(b)は、斜め下方より視た図である。
【0029】
図3(a)に示す例では、本実施の形態に係るピック19(搬送アーム17)は、真空吸引路21、取付孔22を有する。
【0030】
真空吸引路21は、吸引路溝部23、取付孔連通孔24、吸引路蓋部25を有する。吸引路溝部23は、ピック19(搬送アーム17)のウェハWを真空吸着する側と反対側、すなわちピック19(搬送アーム17)のウェハWを保持する保持面(上面)26と反対面(下面)27の一部にピック19(搬送アーム17)の根元側から取付孔22の下方にかけて形成された溝である。取付孔連通孔24は、吸引路溝部23と取付孔22とを連通する連通孔であり、例えば2つ形成することができる。吸引路蓋部25は、吸引路溝部23をピック19(搬送アーム17)の保持面の反対面(下面)27から覆って密閉する。吸引路溝部23及び取付孔連通孔24は、例えばセラミックス材料よりなるピック19(搬送アーム17)を切削加工することにより形成される。吸引路蓋部25は、例えば金属板をピック19(搬送アーム17)の保持面の反対面(下面)27に貼付加工することにより形成される。
【0031】
真空吸引路21は、ピック19(搬送アーム17)の保持面の反対面(下面)27に形成しなくてもよく、例えば第2の実施の形態で後述する加工孔のように、ピック19(搬送アーム17)の保持面(上面)26と反対面(下面)27との略中間をくり抜き加工して形成してもよい。
【0032】
また、真空吸引路21は、基板搬送装置16又は基板処理装置1の内部あるいは基板処理装置1の外部に設けられた図示しない真空排気機構に接続され、取付孔22、真空吸着パッド20を介し、ウェハWを真空吸着する。
【0033】
取付孔22は、ピック19(搬送アーム17)のウェハWを保持する保持面(上面)26に形成され、ピック19(搬送アーム17)の保持面(上面)26から反対面(下面)27まで貫通せず、保持面(上面)26から反対面(下面)27までの途中まで形成された孔である。取付孔22は、内壁29及び底面30を有する。取付孔22の底面30には、取付孔22と真空吸引路21とを連通する取付孔連通孔24が開口し、開口部31が形成されている。図3(a)に示す例では、取付孔連通孔24が2つ形成され、開口部31も2つ形成されている。開口部31は、3つ以上形成されてもよく、1つのみ形成されてもよい。開口部31は、本発明における第3の開口部に相当する。
【0034】
なお、取付孔22の平面視での形状(保持面上方から視た形状)が、略円形であってもよく、円形以外の方形等の種々の形状であってもよい。また、取付孔22の内壁29には、シール部材32を介して真空吸着パッド20を取り付ける際に、真空吸着パッド20の位置ずれを防止するための装着溝が形成されていてもよい。
【0035】
また、ピック19(搬送アーム17)の保持面(上面)26と反対面(下面)27との間の距離すなわち厚さを、例えば3mmとし、取付孔22を円形形状とするとき、内径を17mm、深さを2mmとすることができる。
【0036】
本実施の形態に係る真空吸着パッド20は、上面部41、側周面部42、下面部43を有する。
【0037】
上面部41には、開口部44が形成されている。開口部44は、2つ形成され、上面部41の中心に対して互いに対称な位置に形成されている。開口部44は、3つ以上形成されてもよく、1つのみ形成されてもよい。開口部44は、本発明における第1の開口部に相当する。また、上面部41には、開口部44を取り囲むように上面部41から突出し、ウェハWの表面と接触する接触部45が形成されている。接触部45は、ゴムなどの柔らかい素材ではなく、剛性の高い素材(具体的には後述する)から成るため、長時間ウェハWと接触していても固着するようなことがなく、ピック19(搬送アーム17)からウェハWが剥がれなくなることを防止する。
【0038】
側周面部42には、シール部材32を装着する装着溝46(装着部)が形成されている。装着溝46は、装着されるシール部材32が真空吸着パッド20の上面部41側又は下面部43側にずれることを防止するとともに、真空吸着パッド20を取付孔22に気密に取付ける。なお、本実施の形態においては装着部は装着溝46としたが、シール部材32が真空吸着パッド20に対して相対的に位置ずれすることなく取り付けられるようになされていれば良く、例えば、表面加工によって必要な摩擦力が得られるようにしたり、装着部の周囲に位置ずれ防止用の凸部を設けるようにしても良い(以下、同様)。
【0039】
下面部43には、取付孔22の底面30に当接する脚部47が形成されている。脚部47は、下面部43の中心に形成されており、本実施の形態においては下方に頂点を配置した円錐状の形状から成る。勿論、脚部47は、このような形状に限定されるものではなく、例えば棒状であっても良いし、側周面部42から下方に向かうに従って漸次径を狭める円錐状の形状、或いは半球状の突起、その他、下面部43よりも少ない面積で底面30に当接するような形状とすることができる。脚部47は、下面部43の中心でない位置に形成されていてもよい。
【0040】
また、下面部43には、開口部44と連通する開口部48が形成されている。開口部48は、2つ形成され、上面部41の中心に対して互いに対称な位置に形成されている。開口部48は、開口部44に対応し、3つ以上形成されていてもよく、1つ形成されていてもよい。開口部48は、本発明における第2の開口部に相当する。
【0041】
真空吸着パッド20は、装着溝46に装着されたシール部材32を介して、側周面部42が取付孔22の内壁29に取り付けられている。シール部材32を介して側周面部42が取付孔22に対向するように取り付けられることにより、下面部43と取付孔22の底面30とで囲まれた空間を、シール部材32により気密に保持する。その結果、ウェハWは、開口部44、開口部48、開口部31を介してピック19(搬送アーム17)の真空吸引路21により真空吸着される。
【0042】
真空吸着パッド20は、図4に示す例では、平面視における形状が略円形形状を有しているが、シール部材32を介して取付孔22の内壁29に気密に取付けられればよく、円形以外の方形等の種々の形状であってもよい。また、平面視における形状が略円形形状を有している場合、真空吸着パッド20をピック19(搬送アーム17)に装着する際の真空吸着パッド20の水平面内における向きを任意の向きとすることができる。
【0043】
また、真空吸着パッド20は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコシキアルカン(PFA)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)等のフッ素樹脂等により作製することができる。
【0044】
また、ピック19(搬送アーム17)の厚さを3mmとし、取付孔22の内径を16mm、深さを2mmとするとき、真空吸着パッド20の外径を15mm、上面部41から下面部43までの厚さを1.5mmとすることができる。
【0045】
シール部材32として、環状の弾性シール部材を用いることができる。環状の弾性シール部材を用いることにより、真空吸着パッド20をピック19(搬送アーム17)に容易に装着することができる。また、図4に示すように、真空吸着パッド20の平面視における形状が略円形形状である場合には、弾性変形を許容する樹脂製のOリングを用いることもできる。
【0046】
なお、取付孔の底面が吸引路蓋部により構成されるようにしてもよい。このような取付孔の例を図3(b)に示す。
【0047】
図3(b)に示す例では、真空吸引路21aは、取付孔連通孔を有しておらず、取付孔22aと直接連通している。従って、吸引路溝部23aも取付孔22aの下端で取付孔22aに接続している。また、取付孔22aは、ピック19a(搬送アーム17a)の保持面(上面)26から反対面(下面)27まで少なくとも一部貫通するように形成され、貫通した開口部分は、吸引路蓋部25aで覆われ密閉されている。従って、取付孔22aは、内壁29aを有する点は図3(a)に示す例と同様であるものの、底面30aは、吸引路蓋部25aにより構成される。また、真空吸着パッド20の下面部43に形成された脚部47は、吸引路蓋部25aにより構成された底面30aに当接する。
【0048】
図3(b)に示す例によれば、ピック19a(搬送アーム17a)の厚さを、図3(a)に示す例よりも薄くすることができる。
【0049】
次に、図5を参照し、本実施の形態に係る真空吸着パッド20が、ウェハWを安定して真空吸着することができることを説明する。図5は、本実施の形態に係る搬送アームの真空吸着パッドが湾曲した基板Wを真空吸着している状態を模式的に示す断面図である。
【0050】
本実施の形態に係る真空吸着パッド20は、脚部47が取付孔22の底面30に当接し、側周面部42がシール部材32を介して取付孔22の内壁29に取付けられる。脚部47が取付孔22の底面30に当接することによって、上下方向に沿う移動のうち、脚部47が取付孔22の底面30に当接した状態から更に下方に向かう方向の移動は拘束される。一方、側周面部42は、取付孔22の内壁29に気密に取り付けられるものの、シール部材32が環状の弾性シール部材であるため、シール部材32の弾性変形に伴って上下方向及び水平方向に微小移動することができる。
【0051】
そのため、図5に示すように、ウェハWが湾曲している場合、又はウェハWの表面がピック19(搬送アーム17)の保持面(上面)26に平行でない場合にも、取付孔22の底面30に当接した脚部47を支点として上面部41を傾けることができる。また、ウェハWを安定して真空吸着することができ、単純な構造で、真空吸引時に大気圧によって真空吸着パッドが沈み込む減少を防止できる。
【0052】
更に、本実施の形態に係る真空吸着パッド20は、側周面部42がシール部材32を介して取付孔22に取付けられているとともに、上面部41の中心に対して互いに対称となる位置に2つの開口部44が設けられている。そのため、例えばピンセット等の工具の2つの先端を2つの開口部44に挿入して挟持することができ、ピック19(搬送アーム17)に容易に脱着させることができ、真空吸着パッド20の交換作業を容易に行うことができる。
【0053】
また、脚部47が下面部43の中心に形成される場合には、上面部41の変位を最大限許容することができる。
(第1の実施の形態の第1の変形例)
次に、図6及び図7を参照し、本発明の第1の実施の形態の第1の変形例に係る真空吸着パッドについて説明する。
【0054】
本変形例に係る真空吸着パッド20aは、接触部45の側周面部42a側に、薄肉部49を有する点で、第1の実施の形態に係る真空吸着パッドと相違する。
【0055】
図6は、本変形例に係る搬送アームの取付孔に真空吸着パッドが取り付けられている状態を模式的に示す断面図である。図7は、本変形例に係る搬送アームの真空吸着パッドが湾曲した基板を真空吸着している状態を模式的に示す断面図である。なお、以下の文中では、先に説明した部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある(以下の変形例、実施の形態についても同様)。
【0056】
本変形例に係る真空吸着パッド20aが取付けられるピック19(搬送アーム17)、そのピック19(搬送アーム17)を有する基板搬送装置16は、第1の実施の形態と同様にある。
【0057】
本変形例に係る真空吸着パッド20aも、第1の実施の形態と同様に、上面部41、側周面部42a、下面部43を有する。しかしながら、上面部41に形成された接触部45と、側周面部42aとの間に、上下方向に沿う厚み寸法の小さな薄肉部49を有し、上面部41を含めた本体部50と、側周面部42aとは、薄肉部49を介して接続されている。
【0058】
上面部41の中心に対して互いに対称な位置に開口部44が2つ形成されており、開口部44が3つ以上形成されてもよく、1つのみ形成されてもよく、開口部44が本発明における第1の開口部に相当し、また、上面部41から突出し、開口部44を取り囲むように接触部45が形成されているのは、第1の実施の形態と同様である。
【0059】
また、側周面部42aに、シール部材32を装着する装着溝46(装着部)が形成されているのは、第1の実施の形態と同様である。ただし、側周面部42aは、シール部材32を装着できればよく、図6に示すように、シール部材32の上下方向の厚み寸法と略等しくなるように、本体部50よりも上下方向の厚み寸法が小さくてもよい。
【0060】
また、下面部43の中心に、取付孔22の底面30に当接する脚部47が形成されており、脚部47が下面部43の中心でない位置に形成されていてもよく、開口部44と連通する開口部48が2つ形成されているのは、第1の実施の形態と同様である。
【0061】
また、真空吸着パッド20aが、装着溝46に装着されたシール部材32を介して、側周面部42aが取付孔22に対向するように取付けられ、下面部43と取付孔22の底面30とで囲まれた空間を気密に保持し、また、ウェハWが、開口部44、開口部48、開口部31を介してピック19(搬送アーム17)の真空吸引路21により真空吸着されるのは、第1の実施の形態と同様である。
【0062】
また、シール部材32として、Oリングを含めた環状の弾性シール部材を用いることができるのは、第1の実施の形態と同様である。
【0063】
一方、本変形例では、接触部45が形成された上面部41を含む本体部50と、シール部材32を装着する装着溝46が形成された側周面部42aとが薄肉部49で接続されている。薄肉部49は、本体部50及び側周面部42aと比べて上下の厚み寸法が小さいため、変形しやすい。そのため、シール部材32の弾性変形に伴って上下方向及び水平方向に微小移動することができるのに加え、薄肉部49の弾性変形に伴って更に上下方向及び水平方向に移動することができる。
【0064】
そのため、図7に示すように、ウェハWが大きく湾曲している場合、又はウェハWの表面がピック19(搬送アーム17)の保持面に平行でない場合にも、取付孔22の底面30に当接した脚部47を支点として上面部41を傾けることができる。従って、ウェハWを安定して真空吸着することができる。
【0065】
なお、薄肉部49は、本体部50及び側周面部42aと同一の素材により作製されてもよく、本体部50及び側周面部42aと異なる素材で作製されてもよい。薄肉部49が本体部50及び側周面部42aと異なる素材で作製される場合、薄肉部49における変形が更に容易になる。
(第1の実施の形態の第2の変形例)
次に、図8及び図9を参照し、本発明の第1の実施の形態の第2の変形例に係る真空吸着パッドについて説明する。
【0066】
本変形例に係る真空吸着パッド20bは、下面部43bに脚部が形成されていない点、及び上面部41bに開口部44が1つのみ形成された点で、第1の実施の形態に係る真空吸着パッドと相違する。
【0067】
図8は、本変形例に係る搬送アームの取付孔に真空吸着パッドが取り付けられている状態を模式的に示す断面図である。図9は、本変形例に係る搬送アームの真空吸着パッドが湾曲した基板を真空吸着している状態を模式的に示す断面図である。
【0068】
本変形例に係る真空吸着パッド20bが取付けられるピック19b(搬送アーム17b)を有する基板搬送装置16、基板処理装置1は、第1の実施の形態と同様である。
【0069】
本変形例に係るピック19b(搬送アーム17b)は、図8に示すように、取付孔22bの底面30bにおいて、取付孔22bと真空吸引路21bとを連通する取付孔連通孔24が1つ形成され、取付孔連通孔24が開口する開口部31も1つ形成されている。その他の真空吸引路21b、取付孔22bの構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0070】
本変形例に係る真空吸着パッドも、第1の実施の形態と同様に、上面部41b、側周面部42、下面部43bを有する。
【0071】
上面部41bには、開口部44が形成されている。開口部44は、上面部41bの中心に1つのみ形成されている。開口部44は、本発明における第1の開口部に相当する。また、上面部41bから突出し、開口部44を取り囲むように接触部45が形成されているのは、第1の実施の形態と同様である。
【0072】
また、側周面部42に、シール部材32を装着する装着溝46(装着部)が形成されているのは、第1の実施の形態と同様である。
【0073】
一方、下面部43bには、取付孔22bの底面30bに当接する脚部が形成されていない。従って、本変形例に係る真空吸着パッド20bは、シール部材32を介してピック19b(搬送アーム17b)の取付孔22bに取付けられるのみである。また、開口部44と連通する開口部48は1つ形成されている。
【0074】
また、真空吸着パッド20bが、下面部43bと取付孔22bの底面30bとで囲まれた空間を気密に保持し、また、ウェハWが、開口部44、開口部48、開口部31を介してピック19b(搬送アーム17b)の真空吸引路21bにより真空吸着されるのは、第1の実施の形態と同様である。
【0075】
また、シール部材32として、Oリングを含めた環状の弾性シール部材を用いることができるのは、第1の実施の形態と同様である。
【0076】
本変形例に係る真空吸着パッド20bは、下面部43bに取付孔22bに当接する脚部が形成されておらず、単純な構成を有するが、シール部材32の弾性変形に伴って上下方向及び水平方向に微小移動することができる。
【0077】
そのため、図9に示すように、ウェハWが湾曲している場合、又はウェハWの表面がピック19b(搬送アーム17b)の保持面(上面)26に平行でない場合にも、シール部材32の弾性変形を伴って上面部41bを傾けることができる。従って、ウェハWを安定して真空吸着することができ、単純な構成で、ウェハWの表面に沿うような変位を許容することができる。
(第2の実施の形態)
次に、図10から図12を参照し、本発明の第2の実施の形態に係る搬送アーム及び真空吸着パッドについて説明する。
【0078】
本実施の形態は、ピック19c(搬送アーム17c)に貫通孔22cが形成されている点、真空吸着パッド20cの側周面部42cがシール部材32cを介して貫通孔22cに取り付けられる点で、第1の実施の形態と相違する。
【0079】
図10は、本実施の形態に係る搬送アームの貫通孔に真空吸着パッドが取り付けられている状態を模式的に示す断面図である。図11は、本実施の形態に係る真空吸着パッドを示す斜視図である。図12は、本実施の形態に係る搬送アームの真空吸着パッドが湾曲した基板を真空吸着している状態を模式的に示す断面図である。
【0080】
本実施の形態に係る真空吸着パッド20cが取付けられるピック19c(搬送アーム17c)を有する基板搬送装置16及び基板処理装置1は、第1の実施の形態と同様である。
【0081】
本実施の形態に係るピック19c(搬送アーム17c)は、真空吸引路21c、貫通孔22cを有する。
【0082】
真空吸引路21cは、吸引路溝部23、貫通孔連通孔24c、吸引路蓋部25を有する。吸引路溝部23が、ピック19c(搬送アーム17c)の保持面(上面)26と反対面(下面)27に形成された溝であり、吸引路蓋部25が、吸引路溝部23をピック19c(搬送アーム17c)の保持面(上面)の反対面(下面)27から覆って密閉するのは、第1の実施の形態と同様である。また真空吸引路21cは、図示しない真空排気機構に接続され、貫通孔22c、真空吸着パッド20cを介して、ウェハWを真空吸着する。
【0083】
貫通孔22cは、ピック19c(搬送アーム17c)のウェハWを保持する保持面(上面)26から反対面(下面)27まで貫通するように形成された孔である。貫通孔22cの内壁29cには、貫通孔22cと真空吸引路21cとを連通するL字形状を有する貫通孔連通孔24cが開口し、開口部31cが形成されている。図10に示す例では、貫通孔連通孔24cは1つ形成され、開口部31cも1つ形成されている。貫通孔連通孔24c及び開口部31cは、2つ以上形成されてもよい。開口部31cは、本発明における第3の開口部に相当する。
【0084】
また、貫通孔22cを中心としてL字形状を有する貫通孔連通孔24cの水平方向に延在する部分である水平孔33(ピック19c(搬送アーム17c)の保持面(上面)26と平行な方向に沿って延在する部分)と反対側には、水平孔33と略同軸に水平方向に延在する加工孔34が形成されている。加工孔34は、貫通孔22cの近傍であってピック19c(搬送アーム17c)の端面35からドリル等による穴あけ加工を行って貫通孔22cに連通する水平孔33を形成するためのものである。また、加工孔34は、ピック19c(搬送アーム17c)の端面35で封止部36により封止されている。
【0085】
また、L字形状を有する貫通孔連通孔24cの垂直方向に延在する部分である垂直孔37(ピック19c(搬送アーム17c)の厚さ方向に沿って延在する部分)は、ピック19c(搬送アーム17c)の保持面(上面)26と反対面(下面)27からドリル等による穴あけ加工を行って、水平孔33と連通するように形成する。
【0086】
なお、貫通孔22cの平面視での形状(保持面上方から視た形状)が、略円形であってもよく、円形以外の方形等の種々の形状であってもよい。また、貫通孔22cの内壁29cには、シール部材32cを介して真空吸着パッド20cを取り付ける際に、真空吸着パッド20cの位置ずれを防止するための装着溝が形成されていてもよい。
【0087】
また、ピック19c(搬送アーム17c)の保持面(上面)26と反対面(下面)27との間の距離すなわち厚さを例えば3mmとし、貫通孔22cの断面形状を円形形状とするとき、貫通孔22cの内径を17mmとすることができる。
【0088】
なお、図10においては、真空吸着パッド20cが貫通孔22cに取り付けられた際に、真空吸着パッド20cの後述する突起部51cが反対面(下面)27から下方に突出しないように、貫通孔22cの反対面(下面)27側の開口部38cに、切欠部39cが設けられている例を示す。また、開口部38cは、本発明における第4の開口部に相当する。
【0089】
本実施の形態に係る真空吸着パッド20cは、上面部41c、側周面部42c、下面部43cを有し、全体として円筒状の形状を有する。
【0090】
上面部41cには、開口部44cが形成されている。開口部44cは、上面部41cの中心に1つ形成されている。開口部44cは、2つ以上形成されてもよい。開口部44cは、本発明における第1の開口部に相当する。また、上面部41cから突出し、開口部44cを取り囲むように接触部45cが形成されている。
【0091】
側周面部42cには、シール部材32cを装着する装着溝46c(装着部)が複数形成されている。図10に示す例では、装着溝46cが2つ形成されている。
【0092】
また、側周面部42cには、開口部44cと連通する開口部48cが1つ形成されている。開口部48cは、開口部44cに対応し、2つ以上形成されてもよい。開口部48cは、本発明における第2の開口部に相当する。
【0093】
下面部43cには、突起部51cが形成されている。突起部51cは、図10に示すように、ピック19c(搬送アーム17c)のウェハWを真空吸着する側と反対側、すなわちピック19c(搬送アーム17c)の保持面(上面)26の反対面(下面)27に形成され、貫通孔22cを形成する開口部38cに係止される。突起部51cは、貫通孔22cの断面形状よりも大きな断面形状を有している。なお、本実施の形態において突起部51cは下面部43cの全周にわたって形成しているが、一部分だけに形成しても良い。例えば真空吸着パッド20cの突起部51c以外の部位の外径が15mm、貫通孔22cの内径が17mmである場合、突起部51cは、例えば外径を20mmとすることができる。
【0094】
真空吸着パッド20cは、装着溝46cに装着されたシール部材32cを介して、側周面部42cが貫通孔22cの内壁29cに対向するように取付けられている。これにより、側周面部42cと貫通孔22cの内壁29cとで挟まれた空間を、シール部材32cにより気密に保持する。その結果、ウェハWは、開口部44c、開口部48c、開口部31cを介してピック19c(搬送アーム17c)の真空吸引路21cにより真空吸着される。
【0095】
真空吸着パッド20cは、図11に示す例では、平面視における形状が略円形形状(円筒形状)を有しているが、シール部材32cを介して貫通孔22cの内壁29cに気密に取付けられればよく、円形以外の方形等の種々の形状であってもよい。また、平面視における形状が略円形形状を有している場合、真空吸着パッド20cをピック19c(搬送アーム17c)に装着する際の真空吸着パッド20cの水平面内における向きを任意の向きとすることができる。
【0096】
また、真空吸着パッド20c、シール部材32cの材料は、第1の実施の形態と同様にすることができる。
【0097】
本実施の形態に係る真空吸着パッド20cは、突起部51cが貫通孔22cの開口部38cに係止されることにより、上下方向に沿う移動のうち、突起部51cが貫通孔22cの開口部38cに係止された状態から更に上方に向かう方向の移動は拘束される。一方、真空吸着パッド20cの側周面部42cと貫通孔22cの内壁29cとは所定の気密空間を隔ててシール部材32cを挟持しながら対向しており、シール部材32cの弾性変形に伴って、真空吸着パッド20cは、上下方向または水平方向に微小移動することができる。
【0098】
そのため、図12に示すように、ウェハWが湾曲している場合、又はウェハWの表面がピック19c(搬送アーム17c)の保持面(上面)26に平行でない場合にも、シール部材32cの弾性変形に伴って上面部41cを傾けることができる。従って、ウェハWを安定して真空吸着することができる。
【0099】
更に、本実施の形態に係る真空吸着パッド20cは、真空吸引路21cが真空吸着パッド20cを介して基板を真空吸着するときに、図12のF1、F2に示すように、ピック19c(搬送アーム17c)の保持面(上面)26側、及び保持面と反対面(下面)27側の両側から、等しく大気圧による力を受ける。従って、真空吸着パッド20cに加えられる圧力が上下ともに等しくバランスしているため、真空吸引のON、OFF時における気圧差の変動によって、真空吸着パッド20cが上下方向に変位することを防止できる。従って、ウェハWを安定して真空吸着することができる。
【0100】
更に、本実施の形態に係る真空吸着パッド20cは、突起部51cが貫通孔22cの下面側の開口部38cに係止された状態で、側周面部42cがシール部材32cを介して貫通孔22cに取付けられている。そのため、例えばピック19c(搬送アーム17c)の下面側から容易に脱着させることができ、真空吸着パッド20cの交換作業を容易に行うことができる。
(第2の実施の形態の変形例)
次に、図13を参照し、本発明の第2の実施の形態の変形例に係る真空吸着パッドについて説明する。
【0101】
本変形例に係る真空吸着パッド20dは、接触部45dの側周面部42d側に、薄肉部49dを有する点で、第2の実施の形態に係る真空吸着パッドと相違する。
【0102】
図13は、本変形例に係る搬送アームの取付孔に真空吸着パッドが取り付けられている状態を模式的に示す断面図である。
【0103】
本変形例に係る真空吸着パッド20dが取付けられるピック19d(搬送アーム17d)、そのピック19d(搬送アーム17d)を有する基板搬送装置16及び基板処理装置1は、第2の実施の形態と同様である。
【0104】
本変形例に係る真空吸着パッド20dも、第2の実施の形態と同様に、上面部41d、側周面部42d、下面部43dを有する。しかしながら、上面部41dに形成された接触部45dと、側周面部42dとの間に、上下方向に沿う厚み寸法の小さな薄肉部49dを有し、上面部41dを含めた本体部50dと、側周面部42dとは、薄肉部49dを介して接続されている。
【0105】
上面部41dの中心に開口部44dが1つ形成されており、開口部44dが2つ以上形成されてもよく、開口部44dが本発明における第1の開口部に相当し、また、上面部41dから突出し、開口部44dを取り囲むように接触部45dが形成されているのは、第2の実施の形態と同様である。
【0106】
また、側周面部42dは、シール部材32dを装着する装着溝46d(装着部)が2つ形成されることに対応し、上下2箇所に設けられる。従って、薄肉部49dも、側周面部42dに対応し、上下2箇所に設けられる。また、側周面部42dは、シール部材32dを装着できればよいので、図13に示すように、シール部材32dの上下方向の厚み寸法と略等しくなるように、上下方向の厚み寸法が小さくてもよい。
【0107】
また、側周面部42dに、開口部44dと連通する開口部48dが1つ形成されていることは、第2の実施の形態と同様である。
【0108】
また、真空吸着パッド20dが、装着溝46dに装着されたシール部材32dを介して、側周面部42dが取付穴22dに取付けられ、下面部43dと貫通孔22dの内壁29dとで囲まれた空間を気密に保持し、また、ウェハWが、開口部44d、開口部48d、開口部31dを介してピック19d(搬送アーム17d)の真空吸引路21dにより真空吸着されるのは、第2の実施の形態と同様である。
【0109】
また、シール部材32dとして、Oリングを含めた環状の弾性シール部材を用いることができるのは、第1の実施の形態と同様である。
【0110】
一方、本変形例では、接触部45dが形成された上面部41dを含む本体部50dと、シール部材32dを装着する装着溝46dが形成された側周面部42dとが薄肉部49dで接続されている。薄肉部49dは、本体部50d及び側周面部42dと比べて上下の厚み寸法が小さいため、変形しやすい。そのため、シール部材32dの弾性変形に伴って上下方向及び水平方向に微小移動することができるのに加え、薄肉部49dの弾性変形に伴って更に上下方向及び水平方向に移動することができる。
【0111】
そのため、ウェハWが大きく湾曲している場合、又はウェハWの表面がピック19d(搬送アーム17d)の保持面(上面)26に平行でない場合にも、上面部41dを大きく傾けることができ、ウェハWを安定して真空吸着することができる。
【0112】
なお、薄肉部49dは、第1の実施の形態の第1の変形例と同様に、本体部50d及び側周面部42dと同一の素材により作製されてもよく、本体部50d及び側周面部42dと異なる素材で作製されてもよい。薄肉部49dが本体部50d及び側周面部42dと異なる素材で作製される場合、薄肉部49dにおける変形が更に容易になる。
(第3の実施の形態)
次に、図14を参照し、本発明の第3の実施の形態に係る搬送アーム及び真空吸着パッドについて説明する。
【0113】
本実施の形態は、ピック19e(搬送アーム17e)に第1の取付孔22eが形成され、真空吸着パッド100eが、内側パッド20eと、内側パッド20eが取り付けられる第2の取付孔122eが形成された外側パッド120eとを有する点で、第1の実施の形態に係る真空吸着パッド20と相違する。
【0114】
図14は、本実施の形態に係る搬送アームの第1の取付孔に真空吸着パッドが取り付けられている状態を模式的に示す断面図である。
【0115】
本実施の形態に係る真空吸着パッド100eが取付けられるピック19e(搬送アーム17e)を有する基板搬送装置16及び基板処理装置1は、第1の実施の形態と同様である。
【0116】
本実施の形態では、ピック19e(搬送アーム17e)には第1の取付孔22eが形成される。第1の取付孔22eは、第1の実施の形態における取付孔22と同様である。ただし、本実施の形態では、図14に示すように、真空吸引路21eと第1の取付孔22eとを連通する取付孔連通路24eは、1つ形成される。従って、第1の取付孔22eの底面30eに取付孔連通路24eが開口する開口部31eは1つ形成される。また、開口部31eは、本発明における第5の開口部に相当する。
【0117】
本実施の形態に係る真空吸着パッド100eは、内側パッド20e、外側パッド120eを有する。
【0118】
内側パッド20eは、上面部41e、第1の側周面部42e、第1の下面部43eを有する。
【0119】
上面部41eの中心に対して互いに対称な位置に開口部44eが2つ形成されており、開口部44eが3つ以上形成されてもよく、1つのみ形成されてもよく、開口部44eが本発明における第1の開口部に相当し、また、上面部41eから突出し、開口部44eを取り囲むように接触部45eが形成されているのは、第1の実施の形態と同様である。
【0120】
第1の側周面部42eには、第1のシール部材32eを装着する第1の装着溝46e(装着部)が形成されている。第1の装着溝46eは、第1の実施の形態における装着溝46と同様である。
【0121】
第1の下面部43eには、外側パッド120eに形成された第2の取付孔122eの底面130eに当接する第1の脚部47eが形成されている。第1の脚部47eは、第1の下面部43eの中心に形成されていてもよく、第1の下面部43eの中心でない位置に形成されていてもよい。また、第1の下面部43eには、開口部44eと連通する開口部48eが形成されている。開口部48eは、開口部44eに対応し、3つ以上形成されていてもよく、1つ形成されていてもよい。開口部44eは、本発明における第2の開口部に相当する。
【0122】
内側パッド20eは、第1の装着溝46eに装着された第1のシール部材32eを介して、第1の側周面部42eが外側パッド120eに形成された第2の取付孔122eの内壁129eに対向するように取付けられている。これにより、第1の下面部43eと第2の取付孔122eの底面130eとで囲まれた空間を、第1のシール部材32eにより気密に保持する。
【0123】
外側パッド120eは、第2の取付孔122eが形成され、第2の側周面部142e、第2の下面部143eを有する。
【0124】
第2の取付孔122eは、外側パッド120eのウェハWを保持する保持面(上面)26側に形成され、外側パッド120eを上下に貫通せず、途中まで形成された凹部である。第2の取付孔122eは、内壁129e及び底面130eを有する。第2の取付孔122eの底面130eには、第2の取付孔122eの底面130eから第2の下面部143eにかけて貫通する貫通孔124eが開口し、開口部144eが形成されている。図14に示す例では、貫通孔124e及び開口部144eが1つずつ形成されている。貫通孔124e及び開口部144eは、2つ以上形成されてもよい。開口部144eは、本発明における第3の開口部に相当する。なお、第2の取付孔122eの平面視での形状は、略円形であってもよく、円形以外の方形等の種々の形状であってもよい。
【0125】
第2の側周面部142eには、第2のシール部材132eを装着する第2の装着溝146eが形成されている。
【0126】
第2の下面部143eには、ピック19e(搬送アーム17e)に形成された第1の取付孔22eの底面30eに当接する第2の脚部147eが形成されている。第2の脚部147eが、第2の下面部143eの中心に形成されていてもよく、第2の下面部143eの中心でない位置に形成されていてもよい。また、第2の下面部143eには、開口部144eと連通する開口部148eが形成されている。開口部148eは、開口部144eに対応し、2つ以上形成されていてもよい。開口部148eは、本発明における第4の開口部に相当する。
【0127】
外側パッド120eは、第2の装着溝146eに装着された第2のシール部材132eを介して、第2の側周面部142eがピック19e(搬送アーム17e)に形成された第1の取付孔22eの内壁29eに対向するように取付けられている。これにより、第2の下面部143eと第1の取付孔22eの底面30eとで囲まれた空間を、第2のシール部材132eにより気密に保持する。
【0128】
以上の結果、ウェハWは、開口部44e、開口部48e、開口部144e、開口部148e、開口部31eを介してピック19e(搬送アーム17e)の真空吸引路21eにより真空吸着される。
【0129】
また、第1のシール部材32e及び第2のシール部材132eとして、Oリングを含めた環状の弾性シール部材を用いることができるのは、第1の実施の形態と同様である。
【0130】
本実施の形態に係る真空吸着パッド100eは、内側パッド20e、外側パッド120eよりなる二重構造を有しており、内側パッド20eは、第1のシール部材32e、外側パッド120e、第2のシール部材132eを介して第1の取付孔22eに取付けられる。従って、内側パッド20eは、第1のシール部材32e、第2のシール部材132eの2つのシール部材の弾性変形によって上下方向及び水平方向に移動することができるため、比較的単純な構造で基板吸着パッドをウェハの表面に沿って変位させることができる。
(第4の実施の形態)
次に、図15を参照し、本発明の第4の実施の形態に係る搬送アーム及び真空吸着パッドについて説明する。
【0131】
本実施の形態は、ピック19f(搬送アーム17f)に第1の貫通孔22fが形成され、ピック19f(搬送アーム17f)が、内側パッド20fと、内側パッド20fが取り付けられる第2の貫通孔122fが形成された外側パッド120fとを有する点で、第2の実施の形態に係る真空吸着パッド20cと相違する。
【0132】
図15は、本実施の形態に係る搬送アームの第1の貫通孔に真空吸着パッドが取り付けられている状態を模式的に示す断面図である。
【0133】
本実施の形態に係る真空吸着パッド100fが取付けられるピック19f(搬送アーム17f)を有する基板搬送装置16及び基板処理装置1は、第1の実施の形態と同様である。
【0134】
本実施の形態では、ピック19f(搬送アーム17f)には第1の貫通孔22fが形成される。第1の貫通孔22fは、第2の実施の形態における貫通孔22cと同様である。また、第1の貫通孔22fの内壁29fに形成された、貫通孔連通路24fが開口する開口部31fは、本発明における第5の開口部に相当する。また、貫通孔連通路24fが水平孔33、垂直孔37よりなりL字形状を有すること、加工孔34を有することも、第2の実施の形態と同様である。
【0135】
本実施の形態に係る真空吸着パッド100fは、内側パッド20f、外側パッド120fを有する。
【0136】
内側パッド20fは、上面部41f、第1の側周面部42f、第1の下面部43fを有する。
【0137】
上面部41fに、上面部41fの中心に開口部44fが1つ形成されており、開口部44fが2つ以上形成されてもよく、開口部44fが本発明における第1の開口部に相当し、また、上面部41fから突出し、開口部44fを取り囲むように接触部45fが形成されているのは、第1の実施の形態と同様である。
【0138】
第1の側周面部42fには、第1のシール部材32fを装着する第1の装着溝46f(装着部)が2つ形成されている。
【0139】
また、第1の側周面部42fには、開口部44fと連通する開口部48fが1つ形成されている。開口部48fは、開口部44fに対応し、2つ以上形成されてもよい。開口部48fは、本発明における第2の開口部に相当する。
【0140】
第1の下面部43fには、第1の突起部51fが形成されている。第1の突起部51fは、図15に示すように、ピック19f(搬送アーム17f)のウェハWを保持する保持面(上面)26と反対面(下面)27に形成され、外側パッド120fに形成される第2の貫通孔122fを形成する開口部138fの切欠部139fに係止される。第1の突起部51fは、第2の貫通孔122fの断面形状よりも大きな断面形状を有している。
【0141】
内側パッド20fは、第1の装着溝46fに装着された第1のシール部材32fを介して、第1の側周面部42fが外側パッド120fに形成された第2の貫通孔122fの内壁129fに対向するように取付けられている。これにより、第1の側周面部42fと第2の貫通孔122fの内壁129fとで挟まれた空間を、第1のシール部材32fにより気密に保持する。
【0142】
外側パッド120fは、中心に第2の貫通孔122fが形成され、第2の側周面部142f、第2の下面部143fを有する。
【0143】
第2の貫通孔122fは、外側パッド120fのウェハWを保持する側の保持面(上面)126から反対面(下面)127まで貫通するように形成された孔である。第2の貫通孔122fの内壁129fには、第2の貫通孔122fと第1の貫通孔22fとを連通する貫通孔124fが開口し、開口部144fが形成されている。図15に示す例では、貫通孔124f及び開口部144fが1つずつ形成されている。貫通孔124f及び開口部144fは、2つ以上形成されてもよい。また、開口部144fは、本発明における第3の開口部に相当する。なお、第2の貫通孔122fの平面視での形状は、略円形であってもよく、円形以外の方形等の種々の形状であってもよい。
【0144】
第2の側周面部142fには、第2のシール部材132fを装着する第2の装着溝146fが2つ形成されている。また、第2の側周面部142fには、開口部144fと連通する開口部148fが1つ形成されている。開口部148fは、開口部144fに対応し、2つ以上形成されてもよい。開口部148fは、本発明における第4の開口部に相当する。
【0145】
第2の下面部143fには、第2の突起部151fが形成されている。第2の突起部151fは、図15に示すように、外側パッド120fのウェハWを保持する側の保持面(上面)126と反対面(下面)127に形成され、ピック19f(搬送アーム17f)に形成される第1の貫通孔22fを形成する開口部38fの切欠部39fに係止される。第2の突起部151fは、第1の貫通孔22fの断面形状よりも大きな断面形状を有している。
【0146】
外側パッド120fは、第2の装着溝146fに装着された第2のシール部材132fを介して、第2の側周面部142fがピック19f(搬送アーム17f)に形成された第1の貫通孔22fの内壁29fに対向するように取付けられている。これにより、第2の側周面部142fと第1の貫通孔22fの内壁29fとで挟まれた空間を、第2のシール部材132fにより気密に保持する。
【0147】
以上の結果、ウェハWは、開口部44f、開口部48f、開口部144f、開口部148f、開口部31fを介してピック19f(搬送アーム17f)の真空吸引路21fにより真空吸着される。
【0148】
また、第1のシール部材32f及び第2のシール部材132fとして、Oリングを含めた環状の弾性シール部材を用いることができるのは、第1の実施の形態と同様である。
【0149】
本実施の形態に係る真空吸着パッド100fも、第3の実施の形態と同様に、内側パッド20f、外側パッド120fよりなる二重構造を有しており、内側パッド20fは、第1のシール部材32f、外側パッド120f、第2のシール部材132fを介して第1の取付孔22fに取付けられる。従って、比較的単純な構造で基板吸着パッドを基板表面に沿って変位させることができる。
【0150】
また、第2の実施の形態と同様に、保持面(上面)26側と反対面(下面)27側の双方から大気圧力が作用するため、これらがバランスして、真空吸着の際に真空吸着パッドが変位しにくい。
(第5の実施の形態)
次に、図16を参照し、本発明の第5の実施の形態に係る真空吸着パッドについて説明する。
【0151】
本実施の形態は、第3の実施の形態に係る内側パッドを、取付孔が形成された外側パッドを介して、搬送アームの貫通孔に取り付けるものである。
【0152】
図16は、本実施の形態に係る搬送アームの貫通孔に真空吸着パッドが取り付けられている状態を模式的に示す断面図である。
【0153】
本実施の形態では、真空吸着パッド100gが取付けられるピック19g(搬送アーム17g)を有する基板搬送装置16及び基板処理装置1は、第1の実施の形態と同様である。また、真空吸着パッド100gが取付けられるピック19g(搬送アーム17g)は、第4の実施の形態と同様である。また、真空吸着パッド100gは、内側パッド20g、外側パッド120gを有し、内側パッド20gは、第3の実施の形態に係る内側パッド20eと同様である。
【0154】
外側パッド120gは、中心に第2の取付孔122gが形成され、第2の側周面部142g、第2の下面部143gを有する。
【0155】
第2の取付孔122gは、外側パッド120gのウェハWを保持する側の保持面(上面)126に形成され、外側パッド120gの保持面(上面)126から反対面(下面)127まで貫通せず、保持面(上面)126から反対面(下面)127までの途中まで形成された凹部である。第2の取付孔122gの内壁129gには、第2の取付孔122gから第2の側周面部142gにかけて貫通する貫通孔124gが開口し、開口部144gが形成されている。図16に示す例では、貫通孔124g及び開口部144gが1つずつ形成されている。貫通孔124g及び開口部144gは、2つ以上形成されてもよい。開口部144gは、本発明における第3の開口部に相当する。
【0156】
第2の側周面部142gには、第2のシール部材132gを装着する第2の装着溝146g(装着部)が2つ形成されている。第2の装着溝146gは、第4の実施の形態における第2の装着溝146fと同様である。
【0157】
また、第2の側周面部142gには、開口部144gと連通する開口部148gが1つ形成されている。開口部148gは、開口部144gに対応し、2つ以上形成されてもよい。開口部148gは、本発明における第4の開口部に相当する。
【0158】
また、第2の下面部143gには、第4の実施の形態と同様に、第2の突起部151gが形成されている。
【0159】
本実施の形態に係る真空吸着パッド100gも、第3の実施の形態及び第4の実施の形態と同様に、内側パッド20g、外側パッド120gよりなる二重構造を有しており、内側パッド20gは、第1のシール部材32g、外側パッド120g、第2のシール部材132gを介して第1の取付孔22gに取付けられる。従って、比較的単純な構造で基板吸着パッドをウェハの表面に沿って変位させることができる。
【0160】
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0161】
また、本発明に係る基板搬送装置を備えた基板処理装置は、基板処理としてエッチング処理に限定されるものではなく、成膜処理、塗布処理、現像処理、洗浄処理を含めた広範な種類の基板処理を行う基板処理装置に適用可能なものである。
【0162】
なお、本発明に係る各実施形態においては、下方からウェハを水平に支持する搬送アームに取り付けられる真空吸着パッドについて述べてきたが、本発明は係る向きに限定されるものではない。すなわち、上方からウェハを水平に真空吸着する搬送アームに取り付けられる真空吸着パッドであっても良いし、水平ではなく、垂直や斜め方向にウェハを真空吸着する搬送アームに取り付けられる真空吸着パッドであっても良い。
【符号の説明】
【0163】
1 基板処理装置
16 基板搬送装置
17 搬送アーム
19 ピック
20 真空吸着パッド
21 真空吸引路
22 取付孔
29 内壁
30 底面
32 シール部材
41 上面部
42 側周面部
43 下面部
45 接触部
46 装着溝
47 脚部
49 薄肉部
50 本体部
51 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を真空吸着して搬送する基板搬送装置の搬送アームに形成された取付孔又は貫通孔に取り付けられて、前記搬送アームに設けられた真空吸引路と連結されて基板を真空吸着する真空吸着パッドであって、
第1の開口部が形成された上面部と、
取り付けられたときに前記取付孔または貫通孔と対向し、シール部材を装着する装着部が形成された側周面部と
を有することを特徴とする真空吸着パッド。
【請求項2】
前記シール部材を介して取付けられることを特徴とする請求項1に記載の真空吸着パッド。
【請求項3】
前記取付孔の底面に当接する脚部が形成された下面部を有する請求項1又は請求項2に記載の真空吸着パッド。
【請求項4】
前記下面部と前記取付孔の底面とで挟まれた空間を、前記シール部材により気密に保持することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の真空吸着パッド。
【請求項5】
前記下面部に前記第1の開口部と連通する第2の開口部が形成され、
前記取付孔の底面に第3の開口部が形成され、
前記基板を、前記第2の開口部、及び前記第3の開口部を介して真空吸着することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の真空吸着パッド。
【請求項6】
前記脚部が前記下面部の中心に形成されたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の真空吸着パッド。
【請求項7】
前記側周面部と前記貫通孔の内壁とで挟まれた空間を、前記シール部材により気密に保持することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の真空吸着パッド。
【請求項8】
前記側周面部に前記第1の開口部と連通する第2の開口部が形成され、
前記貫通孔の内壁に第3の開口部が形成され、
前記基板を、前記第2の開口部、及び前記第3の開口部を介して真空吸着することを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項7に記載の真空吸着パッド。
【請求項9】
突起部が形成された下面部を有し、
前記突起部は、前記搬送アームの前記基板を真空吸着する側と反対側に形成され、前記貫通孔を形成する第4の開口部に係止されることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項7又は請求項8に記載の真空吸着パッド。
【請求項10】
前記シール部材は、環状の弾性シール部材であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の真空吸着パッド。
【請求項11】
前記上面部に、前記第1の開口部を取り囲むように前記上面部から突出し、基板表面と接触する接触部が形成されたことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載の真空吸着パッド。
【請求項12】
前記接触部の前記側周面部側に、薄肉部を有することを特徴とする請求項11に記載の真空吸着パッド。
【請求項13】
前記シール部材は、弾性変形を許容する樹脂製のOリングであることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれかに記載の真空吸着パッド。
【請求項14】
前記装着部は、装着溝であることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれかに記載の真空吸着パッド。
【請求項15】
基板を真空吸着して搬送する基板搬送装置の搬送アームに形成された第1の取付孔に取り付けられて、前記搬送アームに設けられた真空吸引路と連結されて基板を真空吸着する真空吸着パッドであって、
内側パッドと、前記内側パッドが取り付けられる第2の取付孔が形成された外側パッドとを有し、
前記内側パッドは、
第1の開口部が形成された上面部と、
取り付けられたときに前記第2の取付孔と対向し、第1のシール部材を装着する第1の装着部が形成された第1の側周面部と、
前記第2の取付孔の底面に当接する第1の脚部が形成された第1の下面部と
を有し、
前記外側パッドは、
取り付けられたときに前記第1の取付孔と対向し、第2のシール部材を装着する第2の装着部が形成された第2の側周面部と、
前記第1の取付孔の底面に当接する第2の脚部が形成された第2の下面部と
を有し、
前記第1の装着部に装着された前記第1のシール部材を介して、前記第1の側周面部が前記第2の取付孔に取り付けられ、
前記第2の装着部に装着された前記第2のシール部材を介して、前記第2の側周面部が前記第1の取付孔に取り付けられることを特徴とする真空吸着パッド。
【請求項16】
前記第1の下面部と前記第2の取付孔の底面とで挟まれた空間を、前記第1のシール部材により気密に保持し、
前記第2の下面部と前記第1の取付孔の底面とで挟まれた空間を、前記第2のシール部材により気密に保持することを特徴とする請求項15に記載の真空吸着パッド。
【請求項17】
前記第1の下面部に前記第1の開口部と連通する第2の開口部が形成され、
前記第2の取付孔の底面に第3の開口部が形成され、
前記第2の下面部に前記第3の開口部と連通する第4の開口部が形成され、
前記第1の取付孔の底面に第5の開口部が形成され、
前記基板を、前記第2の開口部、前記第3の開口部、前記第4の開口部及び前記第5の開口部を介して真空吸着することを特徴とする請求項15又は請求項16に記載の真空吸着パッド。
【請求項18】
基板を真空吸着して搬送する基板搬送装置の搬送アームに形成された第1の貫通孔に取り付けられて、前記搬送アームに設けられた真空吸引路と連結されて基板を真空吸着する真空吸着パッドであって、
内側パッドと、前記内側パッドが取り付けられる第2の貫通孔が形成された外側パッドとを有し、
前記内側パッドは、
第1の開口部が形成された上面部と、
取り付けられたときに前記第2の貫通孔と対向し、第1のシール部材を装着する第1の装着部が複数形成された第1の側周面部と
を有し、
前記外側パッドは、
取り付けられたときに前記第1の貫通孔と対向し、第2のシール部材を装着する第2の装着部が複数形成された第2の側周面部を有し、
前記第1の装着部に装着された前記第1のシール部材を介して、前記第1の側周面部が前記第2の貫通孔に取り付けられ、
前記第2の装着部に装着された前記第2のシール部材を介して、前記第2の側周面部が前記第1の貫通孔に取り付けられることを特徴とする真空吸着パッド。
【請求項19】
前記第1の側周面部と前記第2の貫通孔の内壁とで挟まれた空間を、前記第1のシール部材により気密に保持し、
前記第2の側周面部と前記第1の貫通孔の内壁とで挟まれた空間を、前記第2のシール部材により気密に保持することを特徴とする請求項18に記載の真空吸着パッド。
【請求項20】
前記第1の側周面部に前記第1の開口部と連通する第2の開口部が形成され、
前記第2の貫通孔の内壁に第3の開口部が形成され、
前記第2の側周面部に前記第3の開口部と連通する第4の開口部が形成され、
前記第1の貫通孔の内壁に第5の開口部が形成され、
前記基板を、前記第2の開口部、前記第3の開口部、前記第4の開口部、及び前記第5の開口部を介して真空吸着することを特徴とする請求項18又は請求項19に記載の真空吸着パッド。
【請求項21】
前記第1のシール部材又は前記第2のシール部材は、弾性変形を許容する樹脂製のOリングであることを特徴とする請求項15から請求項20のいずれかに記載の真空吸着パッド。
【請求項22】
前記第1の装着部又は前記第2の装着部は、装着溝であることを特徴とする請求項15から請求項21のいずれかに記載の真空吸着パッド。
【請求項23】
前記第1の開口部は、複数形成されることを特徴とする請求項1から請求項22のいずれかに記載の真空吸着パッド。
【請求項24】
請求項1から請求項23のいずれかに記載の真空吸着パッドが取り付けられる搬送アーム。
【請求項25】
請求項24に記載の搬送アームを備えた基板搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−29388(P2011−29388A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173195(P2009−173195)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】