説明

着信転送システム、着信情報管理システム、交換装置、着信転送方法および着信情報管理プログラム

【課題】携帯電話機への着信を携帯電話機の位置に応じて転送し、通話が成立する可能性が高く、発信者が状況を把握した上で通話することができるようにする。
【解決手段】交換機20は、携帯電話端末10への着信があった場合、携帯電話端末10の制御装置14に対し位置情報を要求する。制御装置14は、位置情報感知装置13が算出した位置情報を、携帯電話端末10の電話番号と共に着信情報管理システム30の制御装置31に送信する。制御装置31は、受信した電話番号および位置情報に対応する着信端末情報、選択順およびメッセージを交換機20に送信する。交換機20は、選択順にしたがって着信端末情報を選択し、選択した着信端末情報にしたがって着信端末の呼出を行う。また、交換機20は、発信者にメッセージを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末への着信を転送する着信転送システム、着信情報管理システム、交換装置、着信転送方法および着信情報管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の携帯端末への着信を、登録された着信転送先(着信端末)に自動的に転送する技術が知られている。しかし、自分の居場所にしたがって着信端末を変更するためには、自分の居場所が変わるたびに着信転送先を変更登録する必要があり、利便性の面で大変わずらわしいという問題がある。
【0003】
このような問題を解決する方式として、移動端末への着呼を指定された転送先に転送する着信転送の制御方式に関し、移動端末の位置により着信転送の実行または解除の可否を自動的に判断して処理することにより着信転送の操作を簡略化する方式が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平9−233550号公報(段落0057,0059,0060)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された方式では、携帯電話機の加入者(所有者)の存在する場所にしたがって、発信者が特定した携帯電話機ではない端末に転送されて着信した場合、発信者にその旨を伝える手段がない。そのため、発信者は、携帯電話機の加入者以外の人が応答する可能性があることを知り得ないという問題がある。また、特許文献1に記載された方式では、携帯電話機が存在する1箇所の位置に対し、1つの着信転送先に転送されるに過ぎない。そのため、転送先でも着信が受け付けられなかった場合には、通話が成立しない可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、携帯電話機への着信を携帯電話機の位置に応じて転送し、通話が成立する可能性が高く、発信者が状況を把握した上で通話することができる着信転送システム、着信転送方法および着信転送プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による着信転送システムは、あらかじめ携帯端末の位置情報に対応付けて、携帯端末に着信があった時の複数の転送先と、各転送先の選択順とを記憶する記憶手段と、携帯端末に着信があった時の携帯端末の位置情報に基づいて、記憶手段が記憶する転送先を特定する転送先特定手段と、記憶手段が記憶する選択順にしたがって、転送先特定手段が特定した転送先に着信を転送する着信転送手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
記憶手段は、着信の転送先に対応付けて、発信者に通知するためのメッセージを記憶し、着信転送手段は、転送先特定手段が特定した着信の転送先に対応するメッセージを、発信者端末に送信することが望ましい。そのような構成によれば、発信者は、着信の転送先に関する情報を得て通話することができる。
【0009】
着信転送手段は、着信の転送先で着信が完了しない場合に、転送先の選択順にしたがって、次の転送先に着信を転送することが望ましい。そのような構成によれば、指定した順に着信の転送先が特定される。
【0010】
着信転送手段は、転送先特定手段が着信の転送先を特定できなかった場合に、携帯端末に着信させてもよい。そのような構成によれば、転送先が特定されない場合には着信があった携帯電話機に着信される。
【0011】
本発明による着信情報管理システムは、携帯端末への着信を転送する交換装置に転送先を示す情報を送信する着信情報管理システムであって、あらかじめ携帯端末の位置情報に対応付けて、携帯端末に着信があった時の複数の転送先と、各転送先の選択順とを記憶する記憶手段と、携帯端末に着信があった時の携帯端末の位置情報に基づいて、記憶手段が記憶する転送先を特定し、交換装置に特定した転送先を示す情報を送信する転送先特定手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明による交換装置は、あらかじめ携帯端末の位置情報に対応付けて、携帯端末に着信があった時の複数の転送先と、各転送先の選択順とを記憶し、携帯端末に着信があった時の携帯端末の位置情報に基づいて、記憶する転送先を特定する着信情報管理システムから、転送先を示す情報を受信して携帯端末への着信を転送する交換装置であって、着信情報管理システムが記憶する選択順にしたがって、着信情報管理システムが特定した転送先に着信を転送する着信転送手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明による着信転送方法は、あらかじめ携帯端末の位置情報に対応付けて、携帯端末に着信があった時の複数の転送先と、各転送先の選択順とを記憶手段に記憶させ、携帯端末に着信があった時の携帯端末の位置情報に基づいて、記憶手段が記憶する転送先を特定し、記憶手段が記憶する選択順にしたがって、特定した転送先に着信を転送することを特徴とすることを特徴とする。
【0014】
本発明による着信情報管理プログラムは、携帯端末への着信を転送する交換装置に転送先を示す情報を送信するための着信情報管理プログラムであって、コンピュータに、あらかじめ携帯端末の位置情報に対応付けて、携帯端末に着信があった時の複数の転送先と、各転送先の選択順とを記憶手段に記憶させる処理と、携帯端末に着信があった時の携帯端末の位置情報に基づいて、記憶手段が記憶する転送先を特定し、交換装置に特定した転送先を示す情報を送信する処理とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、選択順に応じて最適な着信端末に着信させることができ、着信完了の機会を増やすことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明による着信転送システムの構成例を示すブロック図である。図1に示す着信転送システムは、携帯電話端末10と、交換機20と、着信情報管理システム30とを備える。
【0017】
交換機20および着信情報管理システム30は、固定電話網やインターネットを含む通信ネットワーク40を介して通信可能に接続される。携帯電話端末10は、交換機20を含む携帯電話網および通信ネットワーク40を介して、着信情報管理システム30、発信者が所有する通信端末(発信者端末)50および端末1−1〜1−nと通信可能に接続される。
【0018】
発信者端末50は、例えば、携帯電話端末10に発信を行い、通信ネットワーク40および交換機20を介して通話を行う。また、端末1−1〜1−nは、発信者端末50および携帯電話端末10と通信可能な通信端末であって、携帯電話端末10への着信が転送される着信端末である。発信者端末50および端末1−1〜1−nは、例えば、固定電話機や携帯電話機等である。
【0019】
携帯電話端末10は、表示装置11と、入力装置12と、位置情報感知装置13と、制御装置14とを含む。なお、本実施の形態では、携帯端末が携帯電話機である場合を示すが、PHS等の端末であってもよい。
【0020】
入力装置12は、例えば、情報を入力するためのキー操作部である。入力装置12は、着信情報管理システム30に送信する情報を入力するために使用される。入力装置12は、携帯電話端末10の加入者の操作にしたがって、位置情報と、位置に対応した着信転送先を示す着信端末情報と、端末情報の選択順と、着信端末に接続するために発信者に知らせるべきメッセージとを入力するために用いられる。
【0021】
位置情報感知装置13は、携帯電話端末10の位置情報を感知する。例えば、位置情報感知装置13は、GPS衛星(図示せず。)からGPS信号を受信し、受信したGPS信号に基づいて位置情報(緯度や経度)を求める。また、例えば、位置情報感知装置13は、通信キャリアが提供する位置情報サービスを利用して、基地局から受信する信号に基づいて位置情報を求める。
【0022】
表示装置11は、例えば液晶表示装置や有機ELディスプレイ装置等のディスプレイ装置によって実現され、情報を表示する。例えば、表示装置11は、位置情報感知装置13が求めた位置情報を表示する。
【0023】
制御装置14は、プログラムに従って動作し、携帯電話端末10の各部の制御を行う。例えば、制御装置14は、交換機20との情報の送受信などの各種の制御を実行する。
【0024】
交換機20(具体的には、デジタル交換機)は、制御装置21と、記憶装置22とを含む。制御装置21は、プログラムに従って動作し、交換処理、情報送受信、着信順制御、発信者へのメッセージ送信等の各種の処理を実行する。記憶装置22は、着信情報管理システム30から受信した着信端末情報、選択順およびメッセージを記憶する。また、制御装置21は、選択順にしたがって着信端末情報を選択し、選択した着信端末情報にしたがって着信端末の呼出を行う。また、制御装置21は、発信者にメッセージを送信する処理を行う。
【0025】
着信情報管理システム30は、例えば、通信キャリアが運営するシステムであり、具体的には、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置によって実現される。着信情報管理システム30は、制御装置31と、記憶装置32とを含む。着信情報管理システム30は、交換機20および通信ネットワーク40を介して、携帯電話端末10から、携帯電話端末10の電話番号、位置情報、着信端末情報と、選択順およびメッセージを含む情報を受信し、あらかじめ記憶装置32に記憶する。
【0026】
記憶装置32は、受信した携帯電話端末10の電話番号、位置情報、着信端末情報と、選択順およびメッセージを記憶する。
【0027】
制御装置31は、プログラムにしたがって動作し、例えば、交換機20との情報の送受信などの各種の制御を実行する。制御装置31は、受信した携帯電話端末10の電話番号及び位置情報に基づいて、記憶装置32が記憶する情報を検索し、対応する着信端末情報、選択順およびメッセージを抽出して、交換機20に送信する処理を実行する。
【0028】
本実施の形態において、記憶手段は、着信情報管理システム30の記憶装置32によって実現される。転送先特定手段は、着信情報管理システム30の制御装置31および交換機20の制御装置21によって実現される。着信転送手段は、交換機20の制御装置21によって実現される。
【0029】
次に、図面を参照して本実施の形態の動作について説明する。まず、着信情報管理システム30の記憶装置32に、位置情報、着信端末情報、選択順およびメッセージを記憶させる動作について説明する。図2は、位置情報、着信端末情報、選択順およびメッセージを記憶させる動作の例を示すフローチャートである。
【0030】
制御装置14は、あらかじめ携帯電話端末10を所有する加入者の操作にしたがって、入力装置12から、位置情報、着信端末情報、選択順およびメッセージを入力する(ステップS1)。図3は、位置情報、着信端末情報、選択順およびメッセージを説明するための説明図である。位置情報、着信端末情報、選択順およびメッセージは、例えば、携帯電話端末10の電話番号に対応付けられた情報である。図3に示すように、位置1情報〜位置m情報のそれぞれについて、着信端末情報「携帯電話端末10情報」、「端末1−1情報」〜「端末1−n情報」が設定される。それぞれの位置1情報〜位置m情報に着目すると、設定された着信端末情報に対し、選択順が割り当てられる。例えば、選択順は、図3に示す各欄に設定される。また、着信端末情報に対応させて、通知メッセージが設定される。
【0031】
着信端末情報は、携帯電話端末10の加入者が所有する別の携帯電話端末の電話番号や、加入者の家庭の固定電話機の電話番号や、加入者が勤める会社の部門代表の電話番号などであってもよい。
【0032】
また、位置情報を入力する場合には、位置情報を知りたい位置に携帯電話端末10を移動させることによって、位置情報感知装置13が算出した位置情報を表示装置11に表示させることができる。例えば、加入者は、表示装置11に表示させた位置情報を参照して入力することができる。
【0033】
携帯電話端末10の制御装置14は、入力された位置情報、着信端末情報、選択順およびメッセージを、交換機20を介して着信情報管理システム30に送信する(ステップS2)。着信情報管理システム30の制御装置31は、携帯電話端末10が送信した位置情報、着信端末情報、選択順およびメッセージを受信し、携帯電話端末10に対応付けて(例えば、携帯電話端末10の端末IDや電話番号に対応付けて)記憶装置32に記憶させる(ステップS3)。
【0034】
なお、携帯電話端末10の制御装置14は、携帯電話端末10を移動させることによって位置情報を入力する場合、位置を移動するごとに、位置情報、着信端末情報、選択順およびメッセージを着信情報管理システム30に送信してもよい。その場合、着信情報管理システム30の制御装置31は、携帯電話端末10から、位置情報、着信端末情報、選択順およびメッセージを受信するごとに、携帯電話端末10の端末IDや電話番号に対応付けて記憶装置32に記憶させる。
【0035】
次に、携帯電話端末への着信を転送する動作について説明する。図4は、携帯電話端末への着信を転送する動作の例を示すフローチャートである。
【0036】
交換機20は、携帯電話端末10への着信があった場合、携帯電話端末10の制御装置14に対し位置情報を要求する(ステップS11)。
【0037】
携帯電話端末10の制御装置14は、位置情報感知装置13が算出した位置情報を、携帯電話端末10の電話番号と共に交換機20に送信する(ステップS12)。交換機20は、携帯電話端末10から受信した携帯電話端末10の電話番号(携帯電話端末10の端末IDでもよい)と位置情報とを、着信情報管理システム30の制御装置31に送信する。
【0038】
着信情報管理システム30の制御装置31は、記憶装置32を検索し、受信した電話番号および位置情報に対応する着信端末情報、選択順およびメッセージがあるか否かを判断する(ステップS13)。受信した電話番号および位置情報に対応する着信端末情報、選択順およびメッセージがある場合には(YES)、対応する情報を交換機20に送信する(ステップS14)。
【0039】
一方、受信した電話番号および位置情報に対応する情報が記憶装置32に記憶されていない場合には(NO)、制御装置31は、送信すべき情報がない旨を示す情報を交換機20に送信する(ステップS21)。交換機20は、送信すべき情報がない旨を示す情報を受信した場合には、携帯電話端末10に着信させる(ステップS22)。交換機20は、所定の時間間隔で、着信端末への着信が完了したか否かを判断する(ステップS23)。携帯電話端末10への着信が完了しない場合(NO)、交換機20は、呼切断を行う(ステップS24)。着信が完了した場合には(YES)、呼接続を行い(ステップS25)、一連の処理を終了する。
【0040】
交換機20は、着信端末情報、選択順およびメッセージを受信した場合、受信した情報を記憶装置22に記憶させ、選択順にしたがって着信端末情報を選択する。そして、交換機20は、選択した着信端末情報にしたがって着信端末の呼出を行う。また、交換機20は、発信者にメッセージを送信する(ステップS15)。
【0041】
交換機20は、所定の時間間隔で、着信端末への着信が完了したか否かを判断する(ステップS16)。着信が完了した場合には(YES)、呼接続を行い(ステップS19)、一連の処理を終了する。
【0042】
交換機20は、着信端末が携帯電話端末であって電源断や電波が届かないなどの理由や、着信端末が固定電話機であって、呼び出しタイムアウトなどで通話が成立しないなどの理由により、着信が完了しない場合には(NO)、選択順にしたがって次の着信端末情報を選択可能か否かを判断する(ステップS17)。なお、交換機20は、留守番電話着信であることを検出できる場合には、着信が完了しないとしてステップS17の処理を実行してもよい。
【0043】
ステップS17において、選択順にしたがって次の着信端末情報を選択可能である場合には(YES)、交換機20は、ステップS15に移行し、選択した着信端末情報にしたがって着信端末の呼出を行うとともに、発信者にメッセージを送信する。また、選択可能な着信端末情報がない場合には(NO)、交換機20は、呼切断を行い(ステップS18)、一連の処理を終了する。
【0044】
ここで、発信者に送信されるメッセージは、例えば、音声情報であることが望ましい。その場合、着信情報管理システム30の記憶装置32は、メッセージを音声情報として記憶してもよい。また、記憶装置32には文字情報等としてメッセージを記憶し、発信者に送信する際に音声情報に変換してもよい。
【0045】
次に、具体例を用いて本実施の形態の動作を説明する。
【0046】
例えば、携帯電話端末10を所有する加入者は、自宅にいる場合(携帯電話端末が自宅にある場合)には、たとえ携帯電話端末に着信があっても、通信品質等を考えて、自宅の固定電話機で着信したいとする。また、会社にいる場合(携帯電話端末が会社にある場合)には、たとえ携帯電話端末に着信があっても、会社の固定電話機で着信したいとする。また、自宅および会社以外の場所にいるときのみ携帯電話端末で着信したいという前提であるとする。
【0047】
あらかじめ、携帯電話端末10を所有する加入者は、位置情報感知装置13および表示装置11を用いて、自宅及び会社の存在場所の位置情報を測定し、位置情報、着信端末情報、選択順およびメッセージを入力する。図5は、位置情報、着信端末情報、選択順およびメッセージの設定例を示す説明図である。図5に示す例では、位置情報として、自宅の位置情報、会社の位置情報、自宅及び会社以外の位置情報が設定されている。また、着信端末情報として、携帯電話端末10の電話番号、自宅の固定電話番号、会社の固定電話番号が設定されている。
【0048】
図5には、自宅の位置情報に対し、自宅の固定電話番号の選択順が1であり、携帯電話端末10の選択順が2である場合を例示する。また、会社の位置情報に対し、会社の固定電話番号の選択順が1であり、携帯電話端末10の選択順が2である場合を例示する。また、自宅および会社以外の場所にいるとき、すなわち自宅及び会社以外の位置情報に対し、携帯電話端末10の選択順が1である場合を例示する。図5に示す例では、自宅の固定電話番号に対応させて、通知メッセージ「家の電話を呼び出します」が設定され、会社の固定電話番号に対応させて、通知メッセージ「会社の部門代表電話」が設定されている。また、携帯電話端末10番号にはメッセージが設定されない。
【0049】
携帯電話端末10の制御装置14は、図5に示す位置情報、着信端末情報、選択順およびメッセージを、交換機20を介して着信情報管理システム30に送信する。着信情報管理システム30の制御装置31は、携帯電話端末10が送信した位置情報、着信端末情報、選択順およびメッセージを受信し、記憶装置32に記憶させる。
【0050】
自宅にいる際に携帯電話端末10への着信があった場合、交換機20は、自宅の固定電話番号、携帯電話端末10の順に着信させるとともに、自宅の固定電話番号の呼出中に、発信者にメッセージ「家の電話を呼び出します」を送信する。また、会社にいる際に携帯電話端末10への着信があった場合、交換機20は、会社の固定電話番号、携帯電話端末10の順に着信させるとともに、会社の固定電話番号の呼出中に、発信者にメッセージ「会社の部門代表電話」を送信する。自宅および会社以外の場所にいる際に携帯電話端末10への着信があった場合、交換機20は、携帯電話端末10、自宅の固定電話番号の順に呼出を行うとともに、自宅の固定電話番号の呼出中に、発信者にメッセージ「家の電話を呼び出します」を送信する。
【0051】
以上に説明したように、本発明によれば、位置情報とその位置で着信したい端末とをそれぞれ料金や通話品質等を考慮して登録し、端末の位置情報に基づいて登録された位置情報を検索して着信端末を選択する。そのため、登録した位置に移動したときや、登録した位置から外れたときに、それぞれ登録した端末で着信することができる。
【0052】
また、登録したメッセージを用いて、着信端末に応じたメッセージを発信者に送信することにより、発信者に着信端末の情報を伝えることから、発信者は、状況を把握して通話することができる。例えば、自宅に着信した場合、発信者に、電話をしようとした本人ではなく、家族が電話に出る可能性があることを知らせることができるため、発信者の動揺や戸惑いを軽減させることができる。
【0053】
また、1つの位置に対し、選択順を指定して複数の着信転送先を設定することができる。そして、まず第1の着信端末に着信させ、着信が完了しなかった場合は、次の着信端末に着信させる、というように、着信が完了するまで順次決められた順番で着信先を変えていくことができる。そのため、最適な着信端末に着信させることができるとともに、着信完了の機会を増やすことができる。
【0054】
なお、上記の実施の形態では、交換機20と着信情報管理システム30とが別個の装置である場合を例示したが、交換機20が着信情報管理システム30の機能を包含してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、携帯電話機への着信を転送するために適用することができ、特に、現在位置に応じて適切な転送先に転送して通話を成立させるために効果的に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明による着信転送システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】位置情報、着信端末情報、選択順およびメッセージを記憶させる動作の例を示すフローチャートである。
【図3】位置情報、着信端末情報、選択順およびメッセージを説明するための説明図である。
【図4】携帯電話端末への着信を転送する動作の例を示すフローチャートである。
【図5】位置情報、着信端末情報、選択順およびメッセージの設定例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0057】
1−1〜1−n 端末
10 携帯電話端末
11 表示装置
12 入力装置
13 位置情報感知装置
14 制御装置
20 交換機
21 制御装置
22 記憶装置
30 着信情報管理システム
31 制御装置
32 記憶装置
40 通信ネットワーク
50 発信者端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
あらかじめ携帯端末の位置情報に対応付けて、前記携帯端末に着信があった時の複数の転送先と、前記各転送先の選択順とを記憶する記憶手段と、
前記携帯端末に着信があった時の前記携帯端末の位置情報に基づいて、前記記憶手段が記憶する転送先を特定する転送先特定手段と、
前記記憶手段が記憶する選択順にしたがって、前記転送先特定手段が特定した転送先に着信を転送する着信転送手段と
を備えたことを特徴とする着信転送システム。
【請求項2】
記憶手段は、着信の転送先に対応付けて、発信者に通知するためのメッセージを記憶し、
着信転送手段は、転送先特定手段が特定した着信の転送先に対応するメッセージを、発信者端末に送信する
請求項1記載の着信転送システム。
【請求項3】
着信転送手段は、着信の転送先で着信が完了しない場合に、転送先の選択順にしたがって、次の転送先に着信を転送する請求項1または請求項2記載の着信転送システム。
【請求項4】
着信転送手段は、転送先特定手段が着信の転送先を特定できなかった場合に、携帯端末に着信させる請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の着信転送システム。
【請求項5】
携帯端末への着信を転送する交換装置に転送先を示す情報を送信する着信情報管理システムであって、
あらかじめ前記携帯端末の位置情報に対応付けて、前記携帯端末に着信があった時の複数の転送先と、前記各転送先の選択順とを記憶する記憶手段と、
前記携帯端末に着信があった時の前記携帯端末の位置情報に基づいて、前記記憶手段が記憶する転送先を特定し、前記交換装置に特定した転送先を示す情報を送信する転送先特定手段と
を備えたことを特徴とする着信情報管理システム。
【請求項6】
あらかじめ携帯端末の位置情報に対応付けて、前記携帯端末に着信があった時の複数の転送先と、前記各転送先の選択順とを記憶し、前記携帯端末に着信があった時の前記携帯端末の位置情報に基づいて、記憶する転送先を特定する着信情報管理システムから、転送先を示す情報を受信して前記携帯端末への着信を転送する交換装置であって、
前記着信情報管理システムが記憶する選択順にしたがって、前記着信情報管理システムが特定した転送先に着信を転送する着信転送手段を
備えたことを特徴とする交換装置。
【請求項7】
あらかじめ携帯端末の位置情報に対応付けて、前記携帯端末に着信があった時の複数の転送先と、前記各転送先の選択順とを記憶手段に記憶させ、
前記携帯端末に着信があった時の前記携帯端末の位置情報に基づいて、前記記憶手段が記憶する転送先を特定し、
前記記憶手段が記憶する選択順にしたがって、特定した転送先に着信を転送する
ことを特徴とする着信転送方法。
【請求項8】
携帯端末への着信を転送する交換装置に転送先を示す情報を送信するための着信情報管理プログラムであって、
コンピュータに、
あらかじめ前記携帯端末の位置情報に対応付けて、前記携帯端末に着信があった時の複数の転送先と、前記各転送先の選択順とを記憶手段に記憶させる処理と、
前記携帯端末に着信があった時の前記携帯端末の位置情報に基づいて、前記記憶手段が記憶する転送先を特定し、前記交換装置に特定した転送先を示す情報を送信する処理と
を実行させるための着信情報管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−193287(P2008−193287A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−23908(P2007−23908)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】