説明

石英で被覆したポリシリコンおよびその他の資材の洗浄におけるビスコリンおよびトリスコリンの使用工程

ビスコリンおよびトリスコリン化合物に基づいた新規洗浄化学が、基板のエッチングを最小限に抑えながらフォトレジストおよびフラックスを除去することを目的として提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細片および残渣を洗浄、溶媒和、溶解し、および/またはそれらを基板から除去するための成分および工程に関する。より詳細には、石英製品に由来する重合体資材、有機酸化物、有機金属酸化物、および金属酸化物を洗浄するための成分および工程に関する。本発明は、さらに、マイクロ電子回路に由来するフラックス及びレジストを洗浄する成分および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄溶媒が、産業の至る所で使用されている。これらの溶媒は、機能及び有効性において異なる成分をなすあらゆる有機物質および非有機物質から作られる。洗浄溶媒が有効であるためには、洗浄溶媒、除去される物質、周囲物質あるいは基板を検査し、除去される物質あるいは残渣が、洗浄溶媒により、周囲物質を傷めることなく、溶解、溶媒和、あるいは除去され得ることを確認しなければならない。洗浄溶媒を選択する場合には、pH、極性、および化学的反応性、化学的適合性などの幾つかの要因を考慮する必要がある。洗浄溶媒を使用する場合には、環境規制、安全性の問題、および費用などのその他の要因も、考慮する必要がある。
【0003】
コリンおよびその他の溶媒が、産業において多種多様な工程に使用されてきた。これらのコリン成分は、例えば、マイクロプロセッサー業界および自動車業界で、使用されてきた。これらの業界およびその他の業界においては、コリン化合物およびコリン誘導体化合物の使用に伴う問題があった。
【0004】
マイクロプロセッサー業界では、ある装置の最初から最後まで、多種多様な物質が使用されている。一般的に、基本構造の多くは、シリコンかあるいは石英製品(例えば、二酸化ケイ素)から成る。この業界で見られるものは、また、銅、アルミニウム、金、および銀などの金属製品である。これらの複雑な構造を作る工程は、多くの場合非常に微細であるため、機械的形成方法は使用不可能である。フォトリソグラフィー工程は、多くの場合マイクロ電子回路上にパターンを形成するために使用される。この工程は、フォトレジスト材を、基板を被覆した絶縁膜あるいは導電性金属膜(酸化膜、銅膜、あるいはアルミニウム合金膜など)上に使用し、マイクロ電子回路上にパターンを形成するものである。
これらのフォトレジスト材は、マスキング材として基板上にパターンを描く目的で使用され、描かれたパターンが基板上にその後食刻あるいは刻まれるようにするものである。スピン・ステーションは、フォトレジストをウェハ上に分注することにより、ウェハの表面にフォトレジストを塗布するために使用される。スピン・ステーションの部材には、ウェハを保持し回転させるためのスピン・チャック、およびスピン・チャックを回転させるためのモーターに接続されたスピンドルが含まれる。スピン・ステーションの部材には、また、ウェハにフォトレジストを塗布するための捕獲キャップおよび分注部材が含まれる。スピン被覆工程中、チャックの回転がウェハを高速で回転させ、それによりフォトレジストがウェハの表面全体に広がり、余分なフォトレジストがウェハから除去される。基板作製の最終段階には、未露光のレジスト材、および(食刻が用いられた場合は)食刻残渣を、基板から除去することが含まれる。マイクロ電子回路においてウェハを後に使用するのに耐える程充分な完全性を持ったウェハを提供するためには、フォトレジスト、フラックス、その他の細片および残渣をすべて除去することが、非常に重要である。
【0005】
さらに、プラズマエッチング、リアクティブイオンエッチング、イオンミリングもまた、基板にパターンを刻むために使用される。そのようなエッチング工程では、有機金属の副産物化合物が基板材の側壁上に形成され得る。フォトレジスト除去に効果的な最近開発された技術は、プラズマ酸化(プラズマ灰化とも言われている)である。しかし、この工程は、フォトレジストを除去するには効果的であるが、当該エッチング工程で基板材の側壁上に形成された有機金属重合物を除去するのには効果的ではない。
【0006】
ポリイミドもまた、マイクロエレクトロニクスにおいて、作製助剤、保護膜、およびレベル間絶縁体として使用される。ポリイミドを作製助剤として使用することには、ポリイミドをフォトレジスト(すなわち、複数レベルのフォトレジスト法における平坦化層)として、およびイオンインプラントマスクとして塗布することが含まれる。これらの塗布では、当該重合体は、ウェハあるいは基板に塗布され、その後適切な方法により硬化あるいはパターン食刻され、使用後除去される。ポリイミドが一旦硬化に付されると、多くの従来のストリッパは、ポリイミド層を除去するのに充分効果的ではない。そのようなポリイミドの除去は、通常、基板をヒドラジンあるいは酸素プラズマで煮沸することにより、達成される。
【0007】
フォトリソグラフィー工程の捕獲キャップもまた、洗浄する必要がある。スピン・ステーションを通して清浄空気を導入し、捕獲キャップ内環境の温度および湿度を管理する。フォトレジストは一般的に高濃度の揮発性溶媒を含んでいるので、フォトレジストは、捕獲キャップの底部から廃液する前に、急速に乾燥し捕獲キャップの内壁に付着する。レジストは、上面、底面、および遮蔽の内壁に堆積する。処理サイクルをわずか2,3回経た後には、過剰なフォトレジストが捕獲キャップの内壁に堆積し始める。捕獲キャップ内壁のフォトレジストの堆積により、ウェハ周辺の望ましい気流を変え、ウェハ汚染が起こり、また被覆均一性が悪くなる。
【0008】
一般的に、捕獲キャップの洗浄は、スピン・ステーションから捕獲キャップを除去すること、さらに洗浄液を手動で捕獲キャップの汚染された内壁に塗布すること[grammar mistake in the original]により、行われてきた。捕獲キャップ洗浄の別の方法は、二個の回転捕獲キャップを有するシステムに関連している。このシステムでは、これらの捕獲キャップのひとつは、活発に余剰のフォトレジストを捕獲し、洗浄溶媒は、二つ目の捕獲キャップの汚染された内壁上に分注される。これらの工程において使用される溶媒は、多くの場合安全性の問題を引き起こし、そのような問題は健康上のあるいは環境上の害となる可能性がある。このような害は、材料処理コストおよび安全設備コストを増加させることにより、洗浄のコストを全体的に増加させる。
【0009】
従来、フォトレジス材は、例えば二酸化ケイ素のような誘電性材料により絶縁されたアルミニウム製あるいはアルミニウム合金製の配線を作製するために使用されていた。近年開発された配線は、伝導材料および低誘電率の誘電性材料(二酸化ケイ素の誘電定数より小さい誘電定数εを有する誘電性材)として、銅を使用している。銅を積層化させ、結局はアルミニウムを積層化させるために、パターンは、フォトレジストから誘電性材料を通して伝達される。間隙がその後、伝導層により満たされる。この工程はダマシンと呼ばれ、一レベルの配線のみを積層化させる(シングルダマシン)か、あるいはまた水平の配線と接続孔と呼ばれる縦の配線の双方を積層化させる(デュアルダマシン)ことができる。配線の電気抵抗を最小限にするためには、接続孔が基礎をなす金属配線上で常に開放していること、および接続孔が清潔であることが必要である。
【0010】
そのような構造を構築するために、多種多様な工程が開発されてきており、それらの工程は、例えば、アメリカ合衆国特許番号5,739,579、5,635,423、5,705,430、5,686,354に公開されている。これらは、誘電性のあるスタックに任意の層を含み得るが、そのような工程のすべてが以下を共通に有する。
*二つ目の金属層を載せる前に金属に損傷を与えずに、接続孔がエッチング後の残渣がなく清潔であること、
*誘電材料全体が、「開口」と呼ばれるエッチングの最終過程において、基礎をなす銅の側壁および上面に裏面スパッタリングされている銅化合物がないように、清浄されていること
*さらに加工を施すためにウェハをエッチングチェンバーから周囲の大気へ移すことにより、酸化銅化合物であるCuO あるいはCuO2 が生成され、これらは接続孔の抵抗を最小限にするため清浄される必要があること
【0011】
金属不純物の吸収を除去あるいは回避するために、少量(通常、1重量百分率から5重量百分率の間)のコリンあるいはその他の化合物を含めることにより、半導体業界で使用されている材料を清浄することが、以前に説明されている(アメリカ合衆国特許番号4,239,661、4,339,340、日本特許番号6-163495、6-041773、2-275631、1-191450)。
コリンベースはまた、加工陽性フォトレジストを開発するものとしての使用法で、知られている(アメリカ合衆国特許番号4,294,911および4,464,461)。また、これまでに、コリンベースが金属のエッチング剤として薄膜食刻に作用するということ(日本特許番号62-281332およびアメリカ合衆国特許番号4,172,005)、さらに銅をエッチングする場合にコリン原子をエッチングチェンバーに加えると、工程温度を下げ、それゆえに銅の酸化を最小限に抑える働きがあるということが認識されている。アメリカ合衆国特許番号5,846,695は、集積回路の作製におけるフォトレジストおよびフォトレジスト残渣を除去するための、求核アミン類および糖および/または糖アルコール類と併用される、コリンを含む第四級水酸化アンモニウムの水溶液を、公開している。
【0012】
これらの製品の形成中および使用中には、製造過程に由来する余剰の被覆および/またはフラックスが、石英製品に残り得る。電子的な応用においては、生産洗浄過程の高率は、完成装置の信頼性に直接影響を与え得る。例えば、清潔な表面は良好な結合および被覆を確実にするための必要であり、化学汚染は腐蝕を招き、煤塵は電流漏れあるいは電気ショートに繋がる電気伝導経路を作る可能性がある。
これらは、通常、装置が使用され始めた後に起こる時間に関連した故障機序である。これらのフラックスを除去することは、多くの理由があって、マイクロプロセッサ業界に恒久的な困難を呈してきた。その理由のひとつは、異なった反応および許容範囲を有する多種多様な材料の存在である。プリント配線盤からソルダーおよびフラックスを除去することは、本質的に、有機溶媒あるいは水をベースとした洗浄溶液のどちらかで配線盤を洗浄することである。有機溶媒システムには環境への配慮から課せられた限定がますます加えられており、水をベースとしたシステムがフラックス除去工程の優位をしめつつある。どちらのシステムが使用されても、この工程は一般的に溶解・希釈・水洗工程を含み、この工程ではフラックスが、ひとつあるいはそれ以上の表面活性剤の作用を通して、水洗溶媒内で溶解分散する。
【0013】
半導体業界で使用されている既存の洗浄成分は、以下の理由により適切でない。
*アミンを含む製品は、銅との適合性がなく、金属を露出部位で溶解させる
*希釈弗化水素酸水溶液類(DHF)は、誘電性材料の側壁を激しく攻撃することにより側壁ポリマーおよびCuO化合物を除去し、その結果装置の設計寸法を変えてしまう。
さらに、それらの水溶液は、Cu2OあるいはCFx化合物を洗浄するのに効果的でない。
【0014】
任意には、フォトレジストは、銅が露出される前、除去されるかもしれないし、除去されないかもしれない。従来のフォトレジスト除去技術を用いることは、以下の理由のため理想的ではない。
*酸素プラズマの段階は、銅を酸化させ、CuO およびCu2O の状態にするが、これは接続孔の抵抗を高める。
*酸素プラズマの段階は、もし用いられるとすれば、統制されない状態で有機誘電性材をエッチングするため、当該有機誘電性材料に有害である。
*N-メチルピロリドン[N-methyl pyrrolidone]を含む製品のごとき、フォトレジストを除去するために用いられる従来の溶媒は、有機誘電性材の誘電定数および性質を回復させるために、余分な硬化段階を必要とするかもしれない。
【0015】
銅は、比較的安価な金属で、アルミニウム(p=2.7Ω/cm)より良好な伝導性(p=1.7Ω/cm)を有するので、銅が選択されている。しかし、この材料の主たる欠点は、第一には、シリコンへの拡散率が高いことであり、フロントエンド装置に致命的欠陥のリスクをもたらす。第二には、ドライエッチングを施しにくく従来の工程では集積しにくいことである。加えて、銅は、大気条件下では酸化保護膜層を形成せず(アルミニウムは形成するが)、そのためこの金属は扱いにくいものとなっている。
【0016】
間隙を埋める側では、多種多様な候補が示唆されているが、業界の選択した低誘電率の誘電性材料はまだ出現していない。より低い誘電定数を達成するための一般的な傾向は、シリコンが少なく炭素の多い材料を用いることであるということが示されている。そこで、非有機材料(SiO2 ε=4, SiOF ε=3.5)から、シルセスキオキサン関連材料(HSQ, MSQ 3.0<ε<3.5)を経て、有機材料(ベンジルシクロブタンBCB [benzyl cyclobutane]あるいは低誘電率シリコンε=2.7)へ向かっている論理的発展があり、その最終的な低誘電率値が大気間隙により達成される。
【0017】
過去数年間に、設計を誘電層にエッチングし、その後[エッチングを施した誘電層を]導線で満たし平坦化するという構造を持つダマシン型の出現が見られている。デュアルダマシン構造は、配線と接続孔の双方をひとつの堆積段階で集積するという利点を有しており、これにより工程段階数が減り、ゆえにコスト効率がよい。しかし、そのような構造が今日出現した主な理由は、これが銅を導入するための最も簡単な方法であるという事実である。
【0018】
デュアルダマシン構造には変形があり、反射防止被覆、接着促進剤、防湿隔壁、拡散隔壁、研磨停止、埋め込みエッチングマスクなどの工程関連の目的で一連の層を合体させている。
それらが使用されねばならないか否か、およびそれらにどの材料(SiOxNy あるいはSixNy)を使用すべきかは、多くの場合低誘電率材料の最終選択に依存する。
【0019】
極性溶媒およびアミン化合物を含む既知のフォトレジストストリッパの成分は、以下を含む。
【0020】
1.アメリカ合衆国特許番号4,403,029は、フォトレジストストリッパとして有用だが、洗浄剤としては必ずしも有用ではないアルカリと溶媒の混合物を開示している。この混合物は、ジメチルアセトアミド[dimethyl acetaminde]かジメチルホルムアミド[dimethylformamide]、およびアルカノールアミン類[alkanolamines]を含む。
【0021】
2.アメリカ合衆国特許番号4,428,871、4,401,747、および4,395,479は、2-メチルピロリドン[2-pyrrolidone]、ジアルキルスルフォン[dialkylsulfone]、およびアルカノールアミン類[alkanolamines]を含む洗浄剤を開示している。
【0022】
3.アメリカ合衆国特許番号4,744,834は、2-ピロリドン[2-pyrrolidone]およびテトラメチルアンモニウムヒドロキシド[tetramethylammonium hydroxide]を含む洗浄剤を開示している。しかし、そのような除去を行う成分は、金属構造が主としてAl-SiかあるいはAl-Si-Cuであり残渣がアルミニウムとの有機金属化合物しか含まない場合に、および金属層がひとつしかない単純なマイクロ配線製造において、接触開口部および金属配線のエッチングに由来する「側壁ポリマー」を洗浄する時にしか有効でないことが分かった。
【0023】
4.アメリカ合衆国特許番号4,617,251は、陽性のフォトレジストを除去する成分を教示しており、その成分は(A)選択されたアミン化合物(例:2-(2-アミノエトキシ) -エタノール[2-(2-aminoethoxy)-ethanol]、2-(2-アミノエチルアミノ) -エタノール[2-(2-aminoethylamino)-ethanol]、およびそれらの混合物)、および(B)選択された極性溶媒(例:N-メチル-2-ピロリジノン[N-methyl-2-pyrolidinone]、テトラヒドロフルフリルアルコール[tatrahydrofurfuryl alcohol]、イソホロン[isophorone]、ジメチルスルホキシド[dimethyl sulfoxide]、アジピン酸ジメチル[dimethyl adipate]、グルタル酸ジメチル[dimethyl glutarate]、スルホラン[sulfolane]、ガンマ-ブチロラクトン[gamma-butyrolactone]、N,N-ジメチルアセトアミド[N-N-dimethylacetamide]、およびそれらの混合物)を含むものである。参考文献はさらに、水、染料あるいは色素、湿潤剤、界面活性剤、消泡剤をこの成分に添加してよいと教示している。
【0024】
5.アメリカ合衆国特許番号4,770,713は、陽性のフォトレジストを除去する成分を教示しており、その成分は(A)選択されたアミド(例:N,N-ジメチルアセトアミド[N,N-dimethyl acetamide]、N-メチルアセトアミド[N-methyl acetamide]、N,N-ジエチルアセトアミド[N,N-diethylacetamide]、N,N-ジプロピルアセトアミド[N,N-dipropyl acetamide]、N,N-ジエチルプロピオンアミド[N,N-dimethyl propionamide]、N,N-ジエチルブチルアミド[N,N-diethyl butyramide]、およびN-メチル-N-エチルプロピオンアミド[N-methyl-N-ethyl-propiondamide])、および(B)選択されたアミド化合物(例:モノエタノールアミン[monoethanolamine]、モノプロパノールアミン[monopropanolamine]、メチル-アミノエタノール[methyl-aminoethanol])を含むものである。この特許はさらに、このストリッパが水混和性の非イオン性洗剤(例:アルキレン酸化物の凝縮物、アミド、および準極性非イオン性洗剤)を選択肢として含んでもよいと教示している。
【0025】
6.アメリカ合衆国特許番号4,824,763は、陽性の加工フォトレジストを除去する成分を教示しており、その成分は(A)トリアミン(例:ジエチレン-トリアミン[diethylene triamine])、および(B)極性溶媒(例:N-メチル-2-ピロリドン[N-methyl-2-pyrrolidone]、ジメチルホルムアミド[dimethylformamide]、ブチロラクトン[butyrolactone]、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、塩化炭化水素)を含むものである。
【0026】
7.アメリカ合衆国特許番号4,904,571は、プリント配線盤フォトレジスト除去成分を教示しており、その成分は(A)溶媒(例:水、アルコール類、エーテル類、ケトン類、塩化炭化水素、および芳香族炭化水素)、および(B)前記溶媒に溶解させたアルカリ性化合物(例:第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、環状アミン、ポリアミン、第四級アンモニウムアミン、スルホニウム系水酸化物、アルカリ性水酸化物、アルカリ性炭化水素、アルカリ性燐酸、アルカリ性ピロ燐酸)、および(C)前記溶媒に溶解させた水素化ホウ素化合物(例:水素化ホウ素ナトリウム[sodium borohydride]、水素化ホウ素リチウム[lithium borohydride]、ジメチルアミンボロン[dimethyl amine borone]、トリメチルアミンボロン[trimethyl amine borone]、ピリジンボロン[pyridine borone]、第三級ブチルアミンボロン[tert-butyl amine borone]、トリエチルアミンボロン[triethyl amine borone]、モルホリンボロン[morpholine borone])を含むものである。
【0027】
8.アメリカ合衆国特許番号5,102,777は、陽性フォトレジスト除去成分を教示しており、その成分は(A)溶媒(例:ピロリドン[pyrrolidone]化合物、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル[diethylene glycol monoalkyl ether]、硫黄酸化物[sulfur oxide]化合物、スルホラン[sulfolane]化合物、またはそれらの混合物)、(B)アミン(例:アルカノールアミン[alkanolamine])、および(C)脂肪酸(例:カプリン酸[capric acid]、ラウリン酸[lauric acid]、タルミトリック酸[talmitric acid]、カプリル酸[caprylic acid]、ミリスチン酸[myristic acid]、オレイン酸[oleic acid]、ステアリン酸[stearic acid]、リノール酸 [linoleic acid]、リノール酸 [linolic acid;〔cis,cis-9,12-Octadecadienoic Acid〕; its other name is linoleic acid; the same as above]、酪酸 [buthylic acid; this might be a spelling mistake for butylic acid]、アビエチン酸[abietic acid]、イソオクトイック酸[isooctoic acid]、イソヘキサデカン酸[isohexadecanoic acid]、イソステアリン酸[isostearic acid]、ベヘン酸[behenic acid]、ウンデシレン酸[undecylenic acid]、ヒドロキシステアリン酸[hydroxystearic acid]、チパノドニック酸[chipanodonic acid]、アラキドン酸[arachidonic acid]、オレオステアリン酸[oleostearic acid]、2-エチルヘキサデカニリック酸[2-ethylhexadecanilic acid]]を含むものである。
【0028】
9.アメリカ合衆国特許番号5,279,791は、レジストを基板から除去する成分を教示しており、その成分は(A)ヒドロキシルアミン[hydroxylamine]、(B)少なくともひとつのアルカノールアミン[alkanolamine]、および任意に(C)少なくともひとつの極性溶媒を含むものである。
【0029】
10.アメリカ合衆国特許番号5,308,745は、アルカリを含むフォトレジスト除去成分を教示しており、その成分は(A)除去溶媒(例:2-ピロリジノン[2-pyrrolidinone]、1-メチル-2-ピロリジノン[1-methyl-2-pyrrolidinone]、1-エチル-2-ピロリジノン[1-ethyl-2-pyrrolidinone]、1-プロピル-2-ピロリジノン[1-propyl-2-pyrrolidinone]、1-ヒドロキシエチル-2-ピロリジノン[1-hydroxylethyl-2-pyrrolidinone]、1-ヒドロキシプロピル-2-ピロリジノン[1-hydroxypropyl-2-pyrrolidinone]、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル[diethylene glycol monoalkylethers]、ジアルキルスルホン[dialkyl sulfones]、ジメチルスルホキシド[dimethy;sulfoxide]、テトラヒドロチオフェン-1,1-ダイオキシド[tetrahydrothiophene-1,1-dioxides]、ポリエチレングリコール[polyethylene glycol]、ジメチルアセトアミド[dimethylacetamide]、ジメチルホルムアミド[dimethylformamide]、(B)求核アミン(例:1-アミノ-2-プロパノール[1-amino-2-propanol]、2-(2-アミノエトキシ)エタノール[2-(2-aminoethoxy)ethanol]、2-アミノエタノール[2-aminoehtanol]、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール[2-(2-aminoethylamino)-ethanol]、2-(2-アミノエチルアミノ)エチルアミン[2-(2-aminoethylamino)ethylamine) )、および(C)窒素を含まない弱い酸(例:酢酸[acetic acid]、フタル酸[phthalic acid]、2-メルカプト安息香酸[2-mercaptobenzoic acid]、2-メルカプトエタノール[2-mercaptpethanol]、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン[1,3,5-trihydroxybenzene]、ピロガロール[pyrogallol]、レソルシノール[resorcinol]、4-tert-ブチルカテコール[4-tert-butylcatechol]、炭酸[carbonic acid]、ふっ化水素酸[hydrofluoric acid])を含むものである。
【0030】
11.アメリカ合衆国特許番号5,334,332は、フォトレジストレジストの除去および洗浄の成分を教示しており、その成分は(A)ヒドロキシルアミン[hydroxylamine]、(B)少なくともひとつのアルカノールアミン[alkanolamine]、(C)水、(D)任意に少なくともひとつの極性溶媒、および(E)任意にキレート試薬(例:チオフェノール[thiophenol], エチレンジアミンテトラ酢酸二 ナトリウム[ethylenediamine tetraacetic acid], 1,2-ジヒドロキシベンゼン[1,2-dihydroxybenzene])を含み、ウェハ上の表面金属汚染を減じるものである。
【0031】
12.アメリカ合衆国特許番号5,399,464は、陽性有機フォトレジストを除去するための成分を教示しており、その成分は(A)トリアミン [triamine] (例:ジエチレントリアミン [diethylene triamine])、(B)非極性あるいは極性の有機溶媒(例:N-メチルピロリドン [N-methyl pyrrolidone])を含むものである。
【0032】
13.アメリカ合衆国特許番号5,417,802は、フォトレジストの除去あるいは金属エッチング後の洗浄に有用な成分を教示しており、その成分は(A)第一級および第二級アミン、(B)溶媒(例:ジメチルスルホキシド[dimethyl sulphoxide]あるいはジメチルアセチルアミド[dimethylacetylamide])、(C)有機リガンド(例:クラウンエーテル[crown ether]あるいはシクロデクストリン類 [cyclodextrines])を含むものである。
【0033】
14.日本特許公報番号63-208043は(関東ケミカルのR.オオタニに対し、1988年8月29 日に発行されたもの)、陽性加工フォトレジスト除去成分を教示しており、その成分は(A)1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン[1,3-dimethyl-2-imidazolidinone]、(B)水溶性有機アミン(例:モノエタノールアミン [monoethanolamine]、2-(2-アミノエトキシ)-エタノール[2-(2-aminoethoxy)-ethanol]、トリエチレン(テトラミン)[triethylene(tetramine)])を含むものである。この出願はまた、界面活性剤を除去剤に添加してよいと教示している。
【0034】
15.日本特許公報番号64-081949は(旭ケミカルのK.マツモトに対し、1989年3月28日に発行されたもの)、陽性加工フォトレジスト除去成分を教示しており、その成分は(A)溶媒(例:ガンマ-ブチロラクトン[gamma-butyrolactone]、N-メチル-ホルムアミド[N-methyl-formamide]、N,N-ジメチルホルムアミド[N,N-dimethylformamide]、N,N-ジメチル-アセトアミド[N,N-dimethyl-acetamide]、N-メチルピロリドン[N-methylpyrrolidone])、(B)アミノアルコール(例:N-ブチル-エタノールアミン [N-butyl-ethanolamine]、N-エチルジエタノールアミン[N-ethyldiethanolamine])、および(C)水を含むものである。
【0035】
16.日本特許公報番号4-350660は(テキサス・インスツルメンツ・ジャパンおよい関東化学株式会社のH.ゴトウに対し、1992年12月4日に発行されたもの)、陽性フォトレジスト除去成分を教示しており、その成分は(A)1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン[1,3-dimethyl-2-imidazolidinone](DMI)、(B)ジメチルスルホキシド(DMSO) [dimethylsulfoxide]、(C)水溶性有機アミン(水溶性有機アミンの量が7重量百分率から30重量百分率のもの)(例:モノエタノールアミン [monoethanolamine]、2-(2-アミノ-エトキシ)エタノール[2-(2-amino-ethoxy)ethanol])を含むものである。
【0036】
17.日本特許公報番号1999-197523は、液晶表示装置の製造において使用されるフォトレジストの除去成分を教示しており、その成分には、5重量百分率から15重量百分率のアルカノアミン [alkanoamine]、35重量百分率から55重量百分率のスルホキシド[sulfoxide]あるいはスルホン[sulfone]の化合物、および35重量百分率から55重量百分率のグリコールエーテル[glycol ether]を含むものである。
【0037】
18.日本特許公報番号08087118は、除去成分を教示しており、その成分は、50重量百分率から90重量百分率のアルカノアミン [alkanoamine]、50重量百分率から10重量百分率のジメチルスルホキシド[dimethyl sulfoxide]あるいはN-メチル-2-ピロリドン [N-methyl-2-pyrrolidone]を含むものである。
【0038】
19.日本特許公報番号03227009は、除去成分を教示しており、その成分は、エタノールアミン[ethanolamine]およびジメチルスルホキシド[dimethyl sulfoxide]を含むものである。
【0039】
20.日本特許公報番号07069619は、除去成分を教示しており、その成分は、アルカノアミン [alkanoamine]、ジメチルスルホキシド[dimethyl sulfoxide] 、および水を含むものである。
【0040】
21.アメリカ合衆国特許番号5,480,585および日本特許番号平5-181753は、有機除去剤の成分を教示しており、その成分は、アルカノアミン [alkanoamine]、スルホン[sulfone]化合物またはスルホキシド[sulfoxide]化合物 、およびヒドロキシル[hydroxyl]化合物を含むものである。
【0041】
22.日本公開特許番号4-124668は、フォトレジスト除去成分を教示しており、その成分は、20重量百分率から90重量百分率の有機アミン、0.1重量百分率から20重量百分率の燐酸エステル [phosphoric ester]界面活性剤、0.1重量百分率から20重量百分率の2-ブチン1,4-ジオール [2-butyne-1,4-diol]、および残りについてはグリコールモノアルキルエーテル[glycolmonoalkylether]および/または非プロトン性の極性溶媒を含むものである。
【0042】
23.日本公開特許番号 昭64-42653は、フォトレジスト除去成分を教示しており、その成分は、50重量百分率以上(より好ましくは70重量百分率以上)のジメチルスルホキシド[dimethylsulfoxide];ジエチレングリコールモノアルキルエーテル[diethyleneglycolmonoaklylether]、ジエチレングリコールジアルキルエーテル[diethyleneglycoldiaklylether]、ガンマ-ブチロラクトン[gamma-butyrolactone]、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン[1,3-dimethyl-2-imidazolidione;seems to be the same as 1,3-dimethyl-2-imidazolidinone]の群から選択された1重量百分率から50重量百分率の溶媒;0.1重量百分率から5重量百分率の窒素含有有機ヒドロキシル化合物(例:モノエタノールアミン[monoethanolamine])を含むものである。この特許には、ジメチルスルホキシド[dimethylsulfoxide]の量が50重量百分率以下であると除去力が著しく低下し、逆に窒素含有有機ヒドロキシル化合物の量が5重量百分率以上であるとアルミニウムのような金属膜が腐蝕すると記載されている。
【0043】
成分の構成およびその割合によって、前記の除去成分は、フォトレジスト除去力、金属腐蝕性質、除去の後に行うリンス工程の詳細、環境安全、加工性、および価格において、異なった特徴を呈する。幾つかの市販品が、フォトレジスト、および酸素灰化後の行われるプラズマエッチングから発生するプラズマエッチング残渣を洗浄する目的で、現在利用可能である。例えば、EKCテクノロジー・インク[EKC Technology Inc.]により販売されているEKC265TMは、プラズマエッチング洗浄溶液であり、この洗浄溶液は、水、アルカノアミン[alkanoamine]、カテコール[catechol]、およびヒドロキシルアミン[hydroxylamine]から成る。このような成分は、アメリカ合衆国特許番号5,279,771にリー[LEE]に対し開示されている。
【0044】
これらの市販品は、フォトレジストおよびプラズマエッチング残渣を溶解させることができるが、それらに含まれている水とアルカノアミン[alkanoamine]との混合が、基板上にパターン方向に堆積した金属層を攻撃する可能性もまたある。腐蝕抑制剤をこれらの製品に添加すると、基板上に堆積した金属層および酸化層への望ましくない攻撃を軽減することができる。しかし、腐蝕抑制剤を添加しても、これらの製品に含まれている材料は、銅、アルミニウム、アルミニウム合金(例:Al-Cu-Si)、窒化チタン[titanium nitride]、タングステン・チタン[titanium tungsten]などの腐蝕に弱い金属層を攻撃する可能性がある。
【0045】
効果的なプラズマエッチング残渣除去と腐蝕抑制のバランスを取ることは、困難である。その理由は、プラズマエッチング残渣の化学成分が、一般的に基板上の金属層または酸化層の化学成分に類似しているからである。先行技術の洗浄成分で使用されているアルカノアミン[alkanoamine]は、多くの場合プラズマエッチング残渣と基板上の金属層の双方を、水の存在下で攻撃することが知られている。水は多くの場合、例えば大気や湿ったコンポーネントなどに由来する汚染物質として添加され、溶解中にある種のフォトレジスト構造から放出されることさえある。水分含有成分により腐食が引き起こされるという問題があるので、メーカーは、洗浄剤を除去するために、例えばイソプロピルアルコール[isopropyl alcohol]のようなアルコールまたはその他の溶媒に頼るようになった。
【0046】
さらに、洗浄剤を使用した後に使用するリンス(例えば、イソプロピルアルコール[isopropyl alcohol])を使用しなければ、腐蝕は非常に深刻になる可能性がある。加えて、ある種の腐蝕抑制剤は、プラズマエッチング残渣所除去やその他の処理を妨げることが分っている。腐食に弱い基板、特に銅の基板に有用で、少量の水の存在下で金属基板を腐蝕させないストリッパが必要とされている。
【0047】
本発明の除去・洗浄のための成分は、基板自体を攻撃することなく、フォトレジストを除去する。当該基板には、銅、アルミニウム、チタン/タングステン、アルミニウム/シリコン、アルミニウム/シリコン/銅などの金属基板;および酸化シリコン、窒化シリコン、ガリウム/ヒ素などの基板;およびポリカーボネートなどのプラスチック基板を含む[a grammar mistake in the original in this sentence]。洗浄溶液が、多種多様な金属(例えば、アルミニウム、アルミニウム/シリコン/銅、チタン、窒化チタン、チタン/タングステン、タングステン、酸化シリコン、ポリシリコンクリスタルなど)にレジストおよびエッチングを施した結果として発生するあらゆる種の残渣を除去するための要件を考慮すると、加工領域においてより効果的な洗浄化学の必要性が出てくる。
【0048】
レジスト材を完全に除去すること、特にウェハを形成するためのサブマイクロン・プロセス技術の導入に伴ってレジスト材を完全に除去することに加えて、レジスト除去の後に残存するエッチング残渣除去をするための洗浄技術を求める需要がある。残念ながら、基板関連の後続の製造作業または工程段階に悪影響を与えたり妨げたりせずに洗浄を必要とする材料を洗浄することができるという点において、万能な洗浄剤はないということが分っている。洗浄溶液が、フォトレジストおよび多種多様な金属(例えば、アルミニウム、アルミニウム/シリコン/銅、チタン、窒化チタン、チタン/タングステン、タングステン、酸化シリコン、ポリシリコンクリスタル、低誘電率の誘電性材料など)に由来する残渣を除去するための要件を考慮すると、加工領域においてより効果的な洗浄化学の必要性が出てくる。
【発明の開示】
【0049】
発明の要約
(a)極性非プロトン性有機溶媒、好ましくは環状窒素含有化合物、より好ましくはN-アルキル-2-ピロリドン[N-alkyl-2-pyrrolidone](例:約5から約50部、好ましくは約15から約35部、より好ましくは約20から約30部(例えば、24部から26部)の重量のN-メチル-2-ピロリドンあるいはピロリジノン[N-alkyl-2-pyrrolid(in)one]);
(b) 約0.2から約20部、好ましくは約0.5から約10部、より好ましくは約1から約5部(例えば、2部から4部)の重量のビスコリン塩および/またはトリスコリン塩;
(c) 約50から約94部、好ましくは約60から約84部、より好ましくは約66から約76部(例えば、70部から72部)の重量のスルホキシド[sulfoxide]、好ましくはアルキルスルホキシドalkylsulfoxide]、より好ましくはジメチルスルホキシド[dimethyl sulfoxide]、メチルスルホキシド[methyl sulfoxide]、あるいはその混合物からなるもの;
を含む洗浄またはフォトレジスト除去のための組成物(成分)。
【0050】
一実施例では、成分に実質的に水が含まれていない。また別の実施例では、成分に最高で約8部の重量の水が含まれている。
【0051】
また別の実施例では、成分に実質的に以下の物質のうちひとつあるいはそれ以上の物質が含まれていない:添加アミン、添加腐蝕予防剤、添加キレート剤、添加界面活性剤、添加有機溶媒、添加酸、および添加塩基。また別の実施例では、成分に実質的に以下の物質のすべての物質が含まれていない:添加アミン、添加腐蝕予防剤、添加キレート剤、添加界面活性剤、添加有機溶媒、添加酸、および添加塩基。
【0052】
また別の実施例では、成分が本質的に、上記の(a), (b), (c)の3要素から成り立っている。
【0053】
発明の詳細な説明
マイクロ電子回路の製造においては、陽性のフォトレジストが、レチクルのオリジナルマスクパターンをウェハ基板にフォトリソグラフィーおよびプラズマエッチングの手段を利用して移行させるための中間マスクとして使用されている。マイクロ電子回路製造工程におけるひとつの段階は、パターニングを施したフォトレジスト膜を基板から除去させる段階である。
ひとつの方法は、湿潤除去段階に関するもので、この方法ではフォトレジストで被覆された基板がフォトレジスト除去溶液を接触するようになっている。
【0054】
集積回路の製造がより複雑になり、シリコンあるいはその他の半導体ウェハ上に作製される電子回路の寸法がより小さくなるにつれて、フォトレジストまたはその他の重合材、およびそのような材料から生成された残渣を除去するために用いられるテクニックが継続して改善されることが、求められている。
例えばポリイミドのような、フォトレジストまたはその他の重合材は、基板にパターンを食刻する作製工程中に、イオンインプランテーション、プラズマエッチング、リアクティブイオンエッチング、あるいはイオンミリングに晒されることが多い。加えて、フォトレジストまたはその他の重合材を作製工程で使用した後に除去するために、酸素プラズマ酸化が用いられることが多い。そのような高エネルギー工程は、一般的に、フォトレジストを硬化させ、有機金属残渣およびその他の残渣を、作製工程で形成途中の構造の側壁に発生させる結果となる。
【0055】
集積回路の作製には、多種多様な金属層あるいはその他の層が広く利用されており、その例には、アルミニウム、アルミニウム/シリコン/銅、チタン、窒化チタン、チタン/タングステン、タングステン、酸化ケイ素、ポリシリコン結晶などが含まれる。そのような様々な層を使用することにより、様々な有機金属残渣が高エネルギー工程で発生する結果になる。フォトレジストまたはその他の重合材、およびその残渣を除去する上で効果的であることに加えて、除去および洗浄の成分により、集積回路作製で使用されている多種多様な冶金が攻撃されてもならないのである。一般的に、フォトレジスト除去成分というものは、高いフォトレジスト溶解力および除去力を有し、また多種多様な基板に対し除去力を維持していることが好ましい。当該成分は、良好な化学性質(例えば、除去力、金属を腐蝕させない性質、および人体に対する安全性)を有し、またフォトレジスト残渣または不純物が基板に残存することを妨げることが好ましい。
【0056】
本発明の洗浄成分を用いて基板を洗浄する方法は、残渣およびまたはフラックスをその上に有している基板を、本発明の洗浄成分に、残渣を除去するに充分な程度のある時間の間、ある温度で、接触させることを含む。当業者間で既知の攪拌、混練、循環、超音波照射あるいはその他のテクニックを、選択肢として用いてもよい。基板は通常、洗浄成分に浸漬する。時間および温度は、基板から除去される物質に基づき、決定する。一般的に、温度は約摂氏10度から100度の範囲で、好ましくは約摂氏15度から75度の範囲で、より好ましくは約摂氏20度から55度の範囲である。接触時間は、約1分から60分、好ましくは約5分から30分である。一般的に、基板は、成分の使用後、リンスする。リンス成分は、洗浄成分および基板により異なるが、とりわけ、好ましいリンス溶液の例には、イソプロパノールおよび/または脱イオン化水がある。
【0057】
本発明の成分は、残渣およびフラックスを金属および接続孔から除去する上で特に有用であるのみならず、フォトレジストを除去する上で有用である。本成分をフォトレジスト除去剤として応用することは、熟練当業者により容易に達成される。
【0058】
本発明は、極性溶媒およびアミン化合物の量を増加させることにより、上記の条件を満たすフォトレジスト除去成分を提供する。フォトレジスト除去成分には、コリン化合物、溶媒、および任意の安定剤類、キレート剤などが含まれる。
【0059】
また別の実施例では、本発明は、金属と誘電性化合物の多種多様な組み合わせに有用である腐蝕を起こさない除去剤に関する。当該作製法は、銅(例えば、PVD[物理気相成長法]またはエレクトロプレート)、低誘電率の誘電性材料(例えば、コーラル)、またアルミニウム、TEOS [正珪酸四エチル、すなわちSi(OC2H5)4]、はんだバンプなどに有用である。当該成分は、銅の腐蝕を促進することがないので、銅基板に特に有用である。
【0060】
また別の実施例では、本発明は、金属配線を組み込んだ半導体装置の一般的な製造に関する。より詳細には、銅冶金を用いて、好ましくはダマシンあるいはデュアルダマシン構造を組み込んだ銅冶金を用いて、配線レベルでポストエッチング残渣を洗浄する成分と工程に関する。本発明は、さらに、その他のポストエッチング残渣を洗浄する応用(整列させそんじたタングステンプラグの付いたアルミニウムまたはアルミニウム合金の配線など)の成分に関する。
【0061】
例えば、0.18μmテクノロジーなどの変形幾何装置における難点は、配線のRC遅延時間であり、これが装置の性能に限界を与える要因となっている。この遅延は、トラック間の低い誘電定数を、銅をより良好な伝導体として利用することと組み合わせることにより改善し得る。この応用は、この種の配線を集積する上での困難の幾つかを解決することを目指しており、ポスト誘電エッチング洗浄工程に対する新しい戦略である。誘電定数および銅を併用して使用する目的で、新しい洗浄化学および工程を開発することは、工程統合に必須である。
【0062】
銅は容易にはドライエッチングできないので、ダマシンあるいはデュアルダマシン構造を利用することがこの集積を実現するための重要な解決法である。金属間誘電性材料に使用する有機重合材などの新規材料の出現に伴い、また誘電性材料の複雑な層にエッチングを施す必要性に伴い、フォトレジスト除去および洗浄の段階は、新規の戦略的アプローチにより、恩恵を受ける。
【0063】
また別の実施例では、本成分は、ビスコリン化合物、トリスコリン化合物、あるいはそれらの組み合わせ、および溶媒を含む。さらに、これらの成分の各々が幾つかの任意の構成要素を含む。本発明のコリン成分は、1重量百分率から70重量百分率、好ましくは5重量百分率から50重量百分率、最も好ましくは10重量百分率から30重量百分率のコリン化合物を含む。
【0064】
本発明の成分および工程では、コリン化合物は、ビスコリン化合物[ビス-(2-ヒドロキシ-エチル)-ジメチル-アンモニウムイオン [bis-(2-hydroxy-ethyl)-dimethyl-ammonium ion]]、トリスコリン化合物[トリス-(2-ヒドロキシ-エチル)-メチル-アンモニウムイオン [tris-(2-hydroxy-ethyl)-methyl-ammonium ion]]、あるいはそれらの組み合わせであり得る。
【化1】

本発明の成分および工程では、コリン化合物は、水酸化物あるいは塩の形態であり得、それらには、水酸化トリスコリン[tris-choline hydroxide]、水酸化ビスコリン[bis-choline hydroxide]、重炭酸トリスコリン[tris-choline bicarbonate]、重炭酸ビスコリン[bis-choline bicarbonate]、 塩化トリスコリン[tris-choline chloride]、あるいは塩化ビスコリン[bis-choline chloride] が含まれるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、コリン化合物は、水酸化ビスコリン[bis-choline hydroxide]および/または水酸化トリスコリン[tris-choline hydroxide]である。
【0065】
コリン化合物の作製法は、熟練当業者に既知のいかなる生産方法でもよい。一般的な方法には、アメリカ合衆国特許番号2,774,759により教示されているように、トリメチルアミン[trimethylamine] をエチレンクロロヒドリン[ethylene chlorohydrin] あるいは酸化エチレン[ethylene oxide] と反応させる方法が含まれ、その全内容が本申請書に参考文献として明確に組み入れられている。
【0066】
ビスコリンあるいはトリスコリンは、本発明の化合物に有利に利用される。理論に束縛されることを望むのではないが、ビスコリン化合物は石英製品をエッチングするに当り効果が低く、一方トリスコリン化合物は中央窒素にヒドロキシエチル[hydroxyethyl]基が添加されるため石英製品を実質的にはエッチングしないと考えられている。この添加が、これらの基が添加される時に分子の持つ溶媒性質に実質的に影響を与えることなく、立体的に分子を妨害し分子の活性を抑えると考えられている。
この添加のさらなる効果は、アミンあるいはアンモニアの特徴のある臭いをビスコリンあるいはトリスコリンを使用することにより減じ、その結果人間に晒す時間を増加させることができる。さらに、ビスコリンおよび/またはトリスコリン化合物は、乳酸エチル[ethyl lactate]などの溶媒に比べ、残渣発生量が少ない。
【0067】
本成分で使用されていて当該工程を実施するために使用されている溶媒は、架橋レジスト膜、フラックス材、および存在する可能性のあるその他の細片に対し、良好な溶解度を有していることが好ましい。溶媒は、基板に強力に接着しているこれらの物質を効果的に除去できることが必要とされる。同時に、当該成分は、基板の腐蝕を促進してはならない。当該成分は、ほとんどの金属誘電材料の組み合わせに有用であり、金属誘電材料の組み合わせの例には、金属としては銅、アルミニウム、タングステン、チタン、クロムなどのうちのひとつあるいはそれ以上;低誘電率の誘電性材料としてはHSQ、 SiLKTM、SiOC、NanoglassTM、HOSPTM、CoralTM、GaAs、TEOSなどのうちのひとつあるいはそれ以上が含まれる。請求項の成分は、銅、またアルミニウム、TEOS、はんだバンプなどに特に有用である。従来の溶媒は[grammar mistake in the original]、保護膜を形成する能力がなく、通常攻撃的な錯化剤を含んでいるので、銅との適合性が良好ではない。
【0068】
本成分で使用されていて当該工程を実施するために使用されている適切な有機溶媒は、熟練当業者に既知のいかなる溶媒でもあり得る。好ましくは、当該成分は、双極子モーメントが3.5以上の極性溶媒、沸点が摂氏130度以上の極性溶媒、あるいはそれらの組み合わせの極性溶媒を含む。本発明の極性溶媒の例としては、ジメチルスルホキシド[dimethyl sulfoxide], エチレングリコール[ethylene glycol], エチレングリコールアルキルエーテル [ethylene glycol alkyl ether], ジエチレングリコールアルキルエーテル[diethylene glycol alkyl ether], トリエチレングリコールアルキルエーテル[triethylene glycol alkyl ether],プロピレングリコール[propylene glycol], プロピレングリコールアルキルエーテル[propylene glycol alkyl ether],N置換ピロリドン[N-substituted pyrrolidone], エチレンジアミン[ethylene diamine], エチレントリアミ[ethylene triamine]が含まれるがこれらに限定されるものではない。本発明の好ましい溶媒には、窒素含有化合物が含まれる。本発明の好ましい窒素含有化合物は、環式で、N-アルキル-2-ピロリドン類[N-alkyl-2-pyrolidones](例:N-メチル-2-ピロリドンまたはN-メチル-2-ピロリジノン[N-methyl-2-pyrolid(in)one]、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン[N-hydroxyethyl-2-pyrolidone]、あるいはそれらの混合物)が含まれるがこれらに限定されるものではない。好ましくは、溶媒は、N-メチルピロリドン[N-methylpyrrolidone]である。
【0069】
N-メチルピロリドン[N-methylpyrrolidone]は、フォトレジストを溶解させる上で強力な溶媒である。当該溶媒の量は、除去成分の全体量に基づき、好ましくは約30重量百分率から約50重量百分率、より好ましくは約35重量百分率から約45重量百分率である。極性の分子であり高度のフォトレジスト除去力を有するN-メチルピロリドン[N-methylpyrrolidone]を使用することにより、当該成分の除去力は、除去工程が繰り返し行われる場合であっても、低下しない。ひとつの実施例では、環式の窒素含有溶媒が存在しており、その量は約5重量百分率から約50重量百分率、好ましくは約15重量百分率から約35重量百分率、より好ましくは約20重量百分率から約30重量百分率、最も好ましくは約20重量百分率から約28重量百分率である。
【0070】
例えば、界面活性剤、キレート剤、腐蝕防止剤など、その他の添加性能化学物質を加えてもよい。好ましくは、これらの性能化学物質の総濃度は、約20重量百分率以下、より好ましくは、約10重量百分率以下である。ひとつの実施例では、当該成分は、添加界面活性剤、添加キレート剤、添加腐蝕防止剤のうちのひとつあるいはそれ以上の物質を実質的に含まない。
【0071】
本発明の任意の構成要素のひとつに、添加アミンがある。適切な添加アミン化合物には、以下の物質およびそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない:ヒドロキシルアミン[hydroxylamine], ヒドラジン[hydrazine], 2-アミノ-2-エトキシエタノール(DGA) [2-amino-2-ethoxy ethanol],モノエタノールアミン(MEA) [monoethanolamine], ジエチルヒドロキシルアミン[diethylhydroxylamine], 2- メチルアミンエタノール[2-methylamine ethanol], モノメチルエタノールアミン[monomethylethanolamine], コリン[cholines], ぎ酸テトラメチルアンモニウム(TMAF) [tetramethylammonium formate], モノイソプロパノールアミン(MIPA) [monoisopropanolamine], ジエタノールアミン(DEA) [diethanolamine], トリエタノールアミン(TEA) [triethanolamine], ジ(エチレン)トリアミン[di(ethylene) triamine],トリ(エチレン)テトラミン[tri(ethylene)tetramine], 水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH) [tetramethylammonium hydroxide], 水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH) [tetrabutyl ammonium hydroxide], それらの塩など。化合物の例としては、モノエタノールアミン[monoethanolamine], 2-(2-アミノエトキシ)エタノール[2-(2-aminoethoxy)ethanol], ジエタノールアミン[diethanolamine], トリエタノールアミン[triethanolamine], および2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール [2-(2-aminoethylamino)ethanol], あるいはそれらのあらゆる組み合わせが挙げられる。ある実施例では、アミンが存在する場合には、そのアミン(好ましくは、モノメチルエタノールアミン(2-メチルアミノ-エタノール) [monomethylethanolamine (2-methylamino-ethanol)])は、約0.2重量百分率から約20重量百分率の範囲、好ましくは約0.5重量百分率から約10重量百分率の範囲、より好ましくは約2重量百分率から約5重量百分率の間に量で出現し得る。アルカノアミンの量が0.2重量百分率未満であれば、当該成分の除去力は時には減じられ、そのような場合には、不純物が基板に残存することがある。アルカノアミンの量が20重量百分率を超えると、成分が層に吸収されるという特徴が減じられ、それにより成分と層との接触角が増加し、フォトレジスト除去力を減じる可能性がある。
【0072】
本発明のまた別の任意の構成要素のひとつに、添加スルホキシドおよび/またはスルホン溶媒がある。適切なスルホキシド溶媒は、以下のうちのひとつあるいはそれ以上を含み得る:ジメチルスルホキシド(DMSO) [dimethyl sulfoxide],メチルスルホキシド[methyl sulfoxide], ジプロピルスルホキシド[dipropylsulfoxide], ジエチルスルホキシド[diethylsulfoxide], メチルエチルスルホキシド[methylethylsulfoxide], ジフェニルスルホキシド[diphenylsulfoxide], メチルフェニルスルホキシド[methylphenylsulfoxide], ジエチルスルホン[diethylsuofone], ジメチルスルホン[dimethylsulfone], 1-1'- ジヒドロキシフェニルスルホキシド[1-1'-dihydroxyphenyl sulfoxide], R3-R10 がそれぞれHであるかあるいはアルキル基であるスルホキシド[sulfoxide]など、あるいはそれらの混合物。
【化2】

ひとつの実施例では、スルホキシドまたはスルホン(好ましくはアルキルスルホキシド[alkylsulfoxide]、より好ましくはジメチルスルホキシド[dimethyl suofoxide]、メチルスルホキシド[methyl sulfoxide]、あるいはそれらの混合物)は、約50重量百分率から約94重量百分率の範囲、より好ましくは約60重量百分率から約84重量百分率の範囲、さらに好ましくは約66重量百分率から約76重量百分率の間の量で、存在してよい。理論に束縛されることを望むのではないが、スルホキシドまたはスルホンがフォトレジストの表面と除去剤成分の間の表面張力を統制すると考えられている。スルホキシドまたはスルホンは、除去剤成分の総量に基づき、好ましくは約10重量百分率から約35重量百分率の範囲、より好ましくは約15重量百分率から約30重量百分率の範囲である。また別の実施例では、当該成分は、添加のスルホキシドまたはスルホン溶媒を実質的に含まなくてもよい。
【0073】
任意に、露出銅を含む構造を洗浄するために用いられる腐蝕防止剤を、作製法に加えてもよい。腐蝕防止剤を含めるとすれば、腐蝕防止剤は一般的に、約0.1重量百分率から約10重量百分率の範囲、あるいは約0.5重量百分率から約5重量百分率の範囲で、含めるとよい。腐蝕防止剤は銅を腐蝕から保護するために用い、多種多様な化学化合物(当業技術からなるその他のシステムにおける銅の腐蝕を防止するために使用されているあらゆる化合物)から選択できる。
【化3】

より具体的には、上に示した一般クラスの化合物(X, Y, およびZが, C, N, O, S, およびPから選択された化合物)を用いてよい。
これらの条件の下において、原子価要件およびペンダントR基の存在を、適切に設定してよい。ペンダントR基は、独立してHとして選択してよく、また任意に置換C1-C6直鎖 [substituted C1-C6 straight]、分岐あるいはシクロアルキル[branched or cyclo alkyl]、アルケニルあるいはアルキニル基[alkenyl or alkynyl group] 、直鎖あるいは分岐アルコキシ基[straight or branched alkoxy group]として、さらに任意に置換アシル基[substituted acyl group]、直鎖あるいは分岐アルコキシ基[straight or branched alkoxy group]、アミジル基[amidyl group]として、ヒドロキシル基[hydroxyl group]、ハロゲンまたはカルボキシル基、アルコキシアルキル基[alkoxyalkyl group]、アルキルアミノ基[alkylamino group]、アルキルスルフォニル基[alkylsulfonyl group]、あるいはスルホン酸基[sulfonic acid group]として、あるいはそのような化合物の塩として、選択してよい。好ましい実施例では、X, Y, およびZはそれぞれ窒素、窒素、炭素であり、R1-R5は水素である。また別の好ましい実施例では、X, Y, およびZは窒素であり、R3は水素で、R4 およびR5はベンゼン環を形成する。
【0074】
また別のクラスの銅腐蝕防止剤であるヒドロキシベンゼン類を、独立して、または本書に既に挙げられているクラスと結合させて、本発明で用いてもよい。これらは、以下の構造式を持つ一般クラスを含む:
【化4】

上記の構造式中、n=1-4であり, R6は1回から5回存在してよく、また独立してHとして選択してよく、また任意に置換C1-C6直鎖 [substituted C1-C6 straight]、分岐あるいはシクロアルキル[branched or cyclo alkyl]、アルケニルあるいはアルキニル基[alkenyl or alkynyl group] 、直鎖あるいは分岐アルコキシ基[straight or branched alkoxy group]として、さらに任意に置換アシル基[substituted acyl group]、直鎖あるいは分岐アルコキシ基[straight or branched alkoxy group]、アミジル基[amidyl group]、ハロゲンまたはカルボキシル基[halogen, carboxyl group]、アルコキシアルキル基[alkoxyalkyl group]、アルキルアミノ基[alkylamino group]、アルキルスルフォニル基[alkylsulfonyl group]、あるいはスルホン酸基[sulfonic acid group]として、あるいはそのような化合物の塩として、選択してよい。そのような腐蝕防止剤の適切な具体例には、カテコール[catechol]、t-ブチルカテコール[t-butyl catechol]など、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0075】
また別のクラスの銅腐蝕防止剤には、非有機塩およびその他の腐蝕防止剤が含まれる。適切な非有機塩の例としては、硝酸塩[nitrate salts](例:アンモニウム[ammonium], カリウム[potassium], ナトリウム[sodium], 硝酸ルビジウム[rubidium nitrate])、硝酸アルミニウム[aluminum nitrate], 硝酸亜鉛[zinc nitrate]が含まれるがこれらに限定されるものではない。その他の適切な腐蝕防止剤には、ベンゾトリアゾール[benzotriazole], ピロガロール[pyrogallol], 没食子酸[gallic acid]、およびそれらの組み合わせが含まれるがこれらに限定されるものではない。
【0076】
当該成分は、任意に、硝酸、リン酸、硫酸、炭酸のような、ヒドロキシルアミン[hydroxylamine]またはヒドロキシルアミン塩[hydroxylamine salt]を含んでよい。そのような成分を含める場合には、ヒドロキシルアミン[hydroxylamine]またはヒドロキシルアミン塩[hydroxylamine salt]の重量の約0.2%から約12%の範囲が望ましい。
【0077】
さらに、本発明の成分には、キレート剤および/または界面活性剤を加えてもよい。適切なキレート剤が、公開アメリカ合衆国特許番号5,672,577(1997年9月30日Leeに対し発行されたもの)に説明されており、本書に参考文献として組み入れられている。
キレーターを添加することにより、エッチング残渣またはフォトレジストの除去剤として使用される作製法の効果が、さらに改善される。そのような成分を含める場合には、キレート剤の重量の約0.2%から約12%の範囲が望ましい。
【0078】
適切な界面活性剤には、ポリ(ビニルアルコール)[poly(vinyl alcohol)]、ポリエチレンイミン[poly(ethyleneimine)]、および陰イオン性、陽イオン性、非イオン性、両性イオン、シリコン系として分類される界面活性成分のあらゆるものが、含まれる。好ましい界面活性剤は、ポリ(ビニルアルコール)[poly(vinyl alcohol)]、ポリエチレンイミン[poly(ethyleneimine)]である。そのような成分を含める場合には、界面活性剤の重量の約0.01%から約5%の範囲が望ましい。
【0079】
構成要素の組み合わせによっては、pHを許諾可能値に調整するために、酸およびまたは塩基を添加する必要がでてくる場合がある。本発明で用いるに適した酸は、有機酸あるいは非有機酸である。酸の例としては、硝酸[nitric acid]、硫酸[sulfuric acid]、リン酸[phosphoric acid]、塩酸[hydrochloric acid](塩酸[hydrochloric acid]は金属を腐蝕させる可能性があるが);有機酸としては、ギ酸[formic acid]、酢酸[acetic acid]、プロピオン酸[propionic acid]、酪酸[n-butyric acid]、イソ酪酸[isobutylic acid]、安息香酸[benzoic acid]、アスコルビン酸[ascorbic acid]、グルコン酸[gluconic acid]、リンゴ酸[malic acid]、マロン酸[malonic acid]、グリコール酸[glycolic acid]、蓚酸[oxalic acid]、こはく酸[succinic acid]、酒石酸[tartaric acid]、くえん酸[citric acid]、没食子酸[gallic acid]が含まれる。
【0080】
洗浄溶液のpH調整に適した腐食剤構成要素は、あらゆる塩基(例:ナトリウム、カリウム、水酸化マグネシウムなど)から構成されていてよい。重大な問題は、これらの塩基が移動イオンを最終作製法に導入してしまうことである。移動イオンは、半導体業界で今日生産されたコンピュータチップを破壊する可能性がある。水酸化アンモニウムまたはその誘導体(例:水酸化トリメチル-2- ヒドロキシエチルアンモニウム(コリン)[trimethyl-2-hydroxyethyl ammonium(choline)hydroxide] など)を含むその他の塩基を用いてもよい。
【0081】
ひとつの実施例では、当該成分は、添加酸を実質的に含まない。また別の実施例では、当該成分は、添加塩基を実質的に含まない。さらに別の実施例では、当該成分は、添加酸も添加塩基も実質的に含まない。
【0082】
当該成分は、好ましくは、水を含まないことが望ましいが、実施例によっては、水を含んでいてもよい。その場合水の量は、好ましくは約10%未満、より好ましくは約5%未満、さらに好ましくは約1%未満である。
【0083】
好ましい実施例では、除去剤/洗浄剤は以下を含む:
【0084】
(a)極性非プロトン性有機溶媒、好ましくは環状窒素含有化合物、より好ましくはN-アルキル-2-ピロリドン[N-alkyl-2-pyrrolidone](例:約5重量百分率から50重量百分率、好ましくは約15重量百分率から35重量百分率、より好ましくは約20重量百分率から30重量百分率(例えば、24重量百分率から26重量百分率)の重量のN-メチル-2-ピロリドンあるいはN-アルキル-2-ピロリドンまたはN-アルキル-2-ピロリジノン[N-alkyl-2-yrrolid(in)one]);
【0085】
(b) 約0.2重量百分率から20重量百分率、好ましくは約0.5重量百分率から10重量百分率、より好ましくは約1重量百分率から5重量百分率(例えば、1 重量百分率から3重量百分率)の重量のビスコリン塩および/またはトリスコリン塩;
【0086】
(c) 約50重量百分率から94重量百分率、好ましくは約60重量百分率から84重量百分率、より好ましくは約66重量百分率から76重量百分率(例えば、70重量百分率から72重量百分率)の重量のスルホキシド[sulfoxide]、好ましくはアルキルスルホキシド[alkyl sulfoxide]、より好ましくはジメチルスルホキシド[dimethyl sulfoxide]、メチルスルホキシド[methyl sulfoxide]、あるいはその混合物からなるもの。
【0087】
好ましい実施例では、除去剤/洗浄剤は以下の三つの構成要素を本質的には含む:
【0088】
(a) 双極子モーメントが3.5以上の極性非プロトン性有機溶媒、好ましくは環状窒素含有化合物、より好ましくはN-アルキル-2-ピロリドン[N-alkyl-2-pyrrolidone](例:約5重量百分率から50重量百分率、好ましくは約15重量百分率から35重量百分率、より好ましくは約20重量百分率から30重量百分率(例えば、24重量百分率から26重量百分率)の重量のN-メチル-2-ピロリドンあるいはピロリジノン[N-alkyl-2-pyrrolid(in)one]);
【0089】
(b) 約0.2重量百分率から20重量百分率、好ましくは約0.5重量百分率から10重量百分率、より好ましくは約1重量百分率から5重量百分率(例えば、1 重量百分率から3重量百分率)の重量のビスコリンおよび/またはトリスコリン;
【0090】
(c) 約50重量百分率から94重量百分率、好ましくは約60重量百分率から84重量百分率、より好ましくは約66重量百分率から76重量百分率(例えば、70重量百分率から72重量百分率)の重量のスルホキシド[sulfoxide]、好ましくはアルキルスルホキシド[alkyl sulfoxide]、より好ましくはジメチルスルホキシド[dimethyl sulfoxide]、メチルスルホキシド[methyl sulfoxide]、あるいはその混合物からなるもの。
【実施例】
【0091】
次の実施例は、本発明を実証する目的を以って、石英製品を洗浄し、プリント配線盤およびウェハからフォトレジストを除去するために使用することができる化学成分を要約するためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0092】
実施例1: ウェハ上のフォトレジストの除去剤としてコリン誘導体を使用した成分
【表1】

【0093】
実施例1は、ウェハ上の液体フォトレジストの除去剤としてコリン誘導体を適用するために使用できる成分である。
【0094】
実施例2: プリント配線盤上の乾燥膜フォトレジストの除去剤としてコリン誘導体を使用した成分
【表2】

【0095】
実施例2は、プリント配線盤上の乾燥膜フォトレジストの除去剤としてコリン誘導体を適用するために使用できる成分である。
【0096】
実施例3:フォトレジスト膜の現像剤としてコリン誘導体を使用した成分
【表3】

【0097】
実施例3は、フォトレジスト膜の現像剤としてコリン誘導体を適用するために使用できる成分である。
【0098】
実施例4: プリント配線盤上の乾燥膜フォトレジストの除去剤としてコリン誘導体を使用した別の成分
【表4】

【0099】
実施例4は、プリント配線盤上の乾燥膜フォトレジストの銅適合除去剤としてコリン誘導体を適用するために使用できる成分である。
【0100】
実施例5: 石英製品の洗浄剤として、あるいはまたプリント配線盤上のフォトレジストの除去剤として、使用できる好ましい成分
【表5】

【0101】
請求項に記載されている本発明の範囲から逸脱する[a typo mistake in the original]ことなく、説明した本発明の形態および内容につき多種多様な変更を加えてよいことは、熟練当業者には言うまでもないことである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 約5重量百分率から約50重量百分率の双極子モーメントが約3.5以上の極性非プロトン性窒素含有溶媒;
(b) 約0.2重量百分率から約20重量百分率の、ビスコリン塩、トリスコリン塩、およびそれらの混合物から成る群から選択されたコリン誘導体;および
(c) 約50重量百分率から約94重量百分率の、スルホキシド、スルホン、およびそれらの混合物から成る群から選択された硫黄含有溶媒
を含む洗浄またはフォトレジスト除去のための組成物。
【請求項2】
極性非プロトン性窒素含有溶媒がN-メチル-2-ピロリドン [N-methyl-2-pyrrolidone]を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
極性非プロトン性窒素含有溶媒が約15重量百分率から約35重量百分率の量で存在する請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
極性非プロトン性窒素含有溶媒が約20重量百分率から約30重量百分率の量で存在する請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
極性非プロトン性窒素含有溶媒が約24重量百分率から約26重量百分率の量で存在する請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
コリン誘導体が約0.5重量百分率から約10重量百分率の量で存在する請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
コリン誘導体が約1重量百分率から約5重量百分率の量で存在する請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
コリン誘導体が約1重量百分率から約3重量百分率の量で存在する請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
硫黄含有溶媒がジメチルスルホキシド[dimethyl sulfoxide]、メチルスルホキシド[methyl sulfoxide]、あるいはそれらの混合物を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
硫黄含有溶媒が約60重量百分率から約84重量百分率の量で存在する請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
硫黄含有溶媒が約66重量百分率から約76重量百分率の量で存在する請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
硫黄含有溶媒が約70重量百分率から約72重量百分率の量で存在する請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
さらに実質的に水分が含まれていない請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
添加アミン、添加腐蝕予防剤、添加キレート剤、添加界面活性剤、添加有機溶媒、添加酸、および添加塩基のうちひとつあるいはそれ以上の物質が、さらに実質的に含まれていない請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
添加アミン、添加腐蝕予防剤、添加キレート剤、添加界面活性剤、添加有機溶媒、添加酸、および添加塩基のすべての物質が、さらに実質的に含まれていない請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
水が、最高で約10重量百分率の量で含まれている請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
(a) 約5重量百分率から約50重量百分率の双極子モーメントが約3.5以上の極性非プロトン性窒素含有溶媒;
(b) 約0.2重量百分率から約20重量百分率の、ビスコリン塩、トリスコリン塩、およびそれらの混合物から成る群から選択されたコリン誘導体;および
(c) 約50重量百分率から約94重量百分率の、スルホキシド、スルホン、およびそれらの混合物から成る群から選択された硫黄含有溶媒
から本質的には成る洗浄またはフォトレジスト除去のための組成物。
【請求項18】
極性非プロトン性窒素含有溶媒がN-メチル-2-ピロリドン [N-methyl-2-pyrrolidone]を含む請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
極性非プロトン性窒素含有溶媒が約15重量百分率から約35重量百分率の量で存在する請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
極性非プロトン性窒素含有溶媒が約20重量百分率から約30重量百分率の量で存在する請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
コリン誘導体が約0.5重量百分率から約10重量百分率の量で存在する請求項17に記載の組成物。
【請求項22】
コリン誘導体が約1重量百分率から約5重量百分率の量で存在する請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
硫黄含有溶媒がジメチルスルホキシド[dimethyl sulfoxide]、メチルスルホキシド[methyl sulfoxide]、あるいはそれらの混合物を含む請求項17に記載の組成物。
【請求項24】
硫黄含有溶媒が約60重量百分率から約84重量百分率の量で存在する請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
硫黄含有溶媒が約66重量百分率から約76重量百分率の量で存在する請求項24に記載の組成物。


【公表番号】特表2007−510173(P2007−510173A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536846(P2006−536846)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/035148
【国際公開番号】WO2005/043250
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(596106607)イーケーシー テクノロジー,インコーポレイティド (6)
【Fターム(参考)】