説明

石英管と金属管との接続構造

【課題】温度を極力高めて生産性を向上させることが可能な石英管と金属管との接続構造を提供する。
【解決手段】火炎を噴射させるバーナとなる石英管31と、石英管31へガスを供給する金属管51との接続構造であって、石英管31及び金属管51の互いの接続端に、互いに突き合わされるフランジ部61,62がそれぞれ形成され、これらのフランジ部61,62の互いに当接される当接面65,66でシールされて接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火炎を生成するバーナの石英管と、この石英管へガスを供給する金属管との接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラス微粒子を生成する技術として、液体のケイ素化合物を気化させ、流量制御しながらキャリアガスと共に金属配管を経て石英ガラスバーナに供給し、酸水素炎による気相加水分解反応で生成したシリカ微粒子をターゲット上に堆積し、かつ、溶融ガラス化して合成石英ガラスインゴットを製造する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、原料ガス供給装置に一端を接続された金属配管の他端には、石英ガラス管の一端が接続されることが記載されている。
【0003】
また、このようなガラス微粒子の生成に用いられるバーナの配管としては、一例として、ガラスバーナとステンレス製原料ガス供給固定配管との間に設けられる2重管構造のガラスバーナ接続用ホースを用いることが知られており、この2重管構造のガラスバーナ接続用ホースは、テフロン(登録商標)製ユニオンを介してガラスバーナの原料供給口に接続される(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、光ファイバ母材の製造に用いられる石英製バーナと、原料ガスの供給用配管、燃焼ガスの各供給用配管およびシールガスの供給用配管との接続方法として、石英製のバーナとの接続側の一部がテフロン製で、他の部分はステンレス製となっているものが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−89161号公報
【特許文献2】特開平5−301720号公報
【特許文献3】特開平8−81234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、ガラス微粒子を生成するバーナには、一般的に石英管が用いられ、ガスの供給配管には金属管が用いられる。これらの石英管と金属管とは、直接接続することなく、テフロンなどのある程度の耐熱性や耐腐食性を有する樹脂から形成された継手を介して接続される。
【0007】
しかし、テフロン等の樹脂からなる継手は、約200℃程度の耐熱性はあるものの、使用温度が高いと、劣化の早まりや密閉部での緩みが生じるため、あまり高温とはせずに約100℃程度に抑えて長期的に安定して用いられる。一方、原料ガスの温度を上げると、ガラス微粒子の堆積密度が高まって収率が上がる傾向があるため、できるだけ原料ガスの温度を高くして生産性を向上させることが望まれる。
【0008】
本発明の目的は、使用温度を極力高めて生産性を向上させることが可能な石英管と金属管との接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決することのできる本発明の石英管と金属管との接続構造は、火炎を噴射させるバーナとなる石英管と、前記石英管へガスを供給する金属管との接続構造であって、
前記石英管及び前記金属管の互いの接続端に、互いに突き合わされるフランジ部であって前記石英管には石英のフランジ部、前記金属管には金属のフランジ部がそれぞれ設けられ、各前記フランジ部の互いに当接される当接面でシールされて接続されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の石英管と金属管との接続構造は、火炎を噴射させるバーナとなる石英管と、前記石英管へガスを供給する金属管との接続構造であって、
前記石英管または前記金属管の一方の接続端に形成された筒部に他方の接続端が嵌合されて他方の接続端の端面からなる当接面と前記筒部の底面からなる当接面とが近接または突き合わされ、
前記筒部と、前記筒部に嵌合された他方の前記接続端との間が接着されて固定されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の石英管と金属管との接続構造は、火炎を噴射させるバーナとなる石英管と、前記石英管へガスを供給する金属管との接続構造であって、
前記石英管または前記金属管の一方の接続端に内周が雌ねじ部とされた筒部が形成され、他方の接続端の外周に雄ねじ部が形成され、
前記筒部に前記接続端をねじ込むことにより、前記接続端の端面からなる当接面と前記筒部の底面からなる当接面とが近接または突き合わされて接続されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の石英管と金属管との接続構造において、前記当接面同士の間にカーボン製のガスケットが挟まれていることが好ましい。
【0013】
本発明の石英管と金属管との接続構造において、それぞれの前記当接面の一方は凹形状であり、他方は凸形状であり、前記凹形状及び前記凸形状が互いに嵌合することが好ましい。
【0014】
本発明の石英管と金属管との接続構造は、火炎を噴射させるバーナとなる石英管と、前記石英管へガスを供給する金属管との接続構造であって、
前記金属管の接続端に形成された筒部に前記石英管の接続端が嵌合され、
前記筒部と前記石英管との間に筒状の押圧部材が装着され、
前記押圧部材と前記筒部の底面との間に設けられたカーボン製のガスケットが前記押圧部材の端面と前記筒部の底面とで挟持されて弾性変形され、前記筒部の内周面と前記石英管の外周面に密着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の石英管と金属管との接続構造によれば、樹脂配管や樹脂継手を介することなく石英管と金属管の石英部分と金属部分とを直接接続及びシールすることができる。これにより、良好なシール状態を確保しつつ金属管から高温のまま石英管へ原料ガス等のガスを供給することができ、ガラス微粒子堆積体を形成するためにガラス微粒子等を生成して堆積させる際の収率を高めて生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の石英管と金属管との接続構造を適用可能なガラス母材の製造装置の概略構成図である。
【図2】本発明に係る石英管と金属管との接続構造を備えたバーナの例を示す概略側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る石英管と金属管との接続構造の断面図である。
【図4】第1実施形態に係る石英管と金属管との接続構造の変形例を示す接続構造部分の断面図である。
【図5】第1実施形態に係る石英管と金属管との接続構造の変形例を示す接続構造部分の断面図である。
【図6】第1実施形態に係る石英管と金属管との接続構造の変形例を示す接続構造部分の断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る石英管と金属管との接続構造の断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る石英管と金属管との接続構造の断面図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係る石英管と金属管との接続構造の断面図である。
【図10】本発明の実施形態に係るフレキシブルチューブと金属管との接続構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る石英管と金属管との接続構造の実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
なお、以下ではVAD法(気相軸付け法)を用いた光ファイバコア部のガラス微粒子堆積方法を例に説明するが、特にこのVAD法によるコア部のガラス微粒子堆積付けに用いられる石英管と金属管との接続構造に限定するものではなく、VAD法を用いたクラッド部のガラス微粒子堆積(ジャケット付け)や、OVD法(外付け法)、MMD法(多バーナ多層付け法)など、直接バーナで原料を反応部に送り込む製法に用いられる、石英管と金属管との接続構造にも適用できる。
【0018】
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態に係る石英管と金属管との接続構造を備えたガラス母材の製造装置10は、VAD法によりガラス微粒子の堆積を行うものであり、側面に排気管11が設けられた反応容器12を備えている。この反応容器12には、その上方から内部に出発材13が吊り下げられる。
【0019】
反応容器12の内部下方には、コア用バーナ14とクラッド用バーナ15とが設けられている。そして、出発材13に対してコア用バーナ14でコア部多孔質ガラス体21を形成すると同時にクラッド用バーナ15でクラッド部多孔質ガラス体22を形成する。
出発材13は、上端部を昇降装置18の支持軸16に把持されており、昇降装置18によって回転と共に昇降可能である。この昇降装置18は、コア部多孔質ガラス体21とクラッド部多孔質ガラス体22とからなるガラス微粒子堆積体20の外径が均一となるように制御装置19によって上昇速度が制御される。
【0020】
図2に示すように、コア用バーナ14は、例えば多重管バーナ(本例では8重管を図示)であり、H2ガスを燃焼ガスとし、O2ガスを助燃ガスとし、Arガス又はN2ガスなどの不活性ガスをキャリアガス又はシールガスとして、SiCl4、ドープ剤としてのGeCl4などの各種の原料ガスによる火炎の加水分解反応により生じたガラス微粒子を、堆積基準点に設置した出発材13に向けて噴出し、堆積させるバーナである。なお、コア用バーナ14は8重管に限ったものではなく、その層数や形状を限定するものでは無い。
【0021】
このコア用バーナ14は、同心円状に配置された径の異なる複数本の石英管31〜38を有しており、中心の石英管31の内部及び石英管31〜38のそれぞれの隙間は、ガスを導入して噴き出すポートとされている。また、中心の石英管31を除く他の石英管32〜38には、ガス供給用の枝管である石英管42〜48が接続されている。そして、1層目及び2層目のポートとなる中心の石英管31及び石英管42には、原料供給装置50から延びるガス供給用の配管であるステンレス等の金属材料から形成された金属管51,52が接続されている。なお、原料配管ではない石英管43〜48には、図示しないガス供給装置に接続された金属管などから、テフロンチューブなどを介してガスが供給される。
【0022】
石英管31には、金属管51を介して原料供給装置50からのガスが供給され、このガスは石英管31の内側であるポート内へ送り込まれる。また、石英管42には、金属管52を介して原料供給装置50からのガスが供給され、このガスは、石英管31,32のそれぞれの隙間からなるポート内へ送り込まれる。
【0023】
これにより、このコア用バーナ14は、その先端から、燃焼ガス、助燃ガス、キャリアガス、シールガス、原料ガスを噴出させて火炎の加水分解反応によりガラス微粒子を生成する。
【0024】
上記のコア用バーナ14では、中心の石英管31の内部からなる1層目のポート及び石英管31,32との隙間からなる2層目のポートへ原料ガス及び燃焼ガスが送り込まれる。なお、1層目のポートには、原料ガスだけが送り込まれる場合もある。
【0025】
ガラス微粒子を生成するバーナにおいて、供給する原料ガスの温度を上げると、生成されるガラス微粒子の堆積密度が高まって収率が上がる傾向がある。このため、上記のコア用バーナ14では、1層目及び2層目のポートへの供給ガスの温度を上げるために、石英管31及び石英管42に繋がる金属管51,52に、発熱線を内蔵したヒータ59が巻き付けられている。そして、このヒータ59によって、供給ガスの温度を約400℃程度まで加熱させることができるようになっている。
【0026】
コア用バーナ14では、ヒータ59によって加熱されたガスが供給される1層目及び2層目のポートに繋がる石英管31と金属管51との接続箇所及び石英管42と金属管52との接続箇所において、これらの石英管31,42と金属管51,52とが、耐熱性の低い樹脂配管や樹脂継手を用いずに直接接続されている。
【0027】
次に、石英管と金属管とを直接接続する本発明の第1実施形態に係る接続構造について、石英管31と金属管51との接続箇所を例示して説明する。
図3に示すように、石英管31には、金属管51との接続端に、円板状のフランジ部61が形成されている。また、金属管51には、石英管31との接続端に、円板状のフランジ部62が形成されている。金属管51は、石英管31と反対側に可撓性を有する金属製のフレキシブルチューブ63が接続されており、フレキシブルチューブ63、または金属管51及びフレキシブルチューブ63の周囲に、ヒータ59(図2参照)が巻き付けられている。
【0028】
これらのフランジ部61,62は、対向面が平滑面からなる当接面65,66とされており、互いの当接面65,66が互いに当接されている。これにより、フランジ部61,62では、それぞれの当接面65,66が互いに密着されてシールされている。
互いに突き合わされたフランジ部61,62は、クランプ部材67によってクランプされている。このクランプ部材67は、周方向に間隔をあけて複数設けられている。これにより、フランジ部61,62は、クランプ部材67によって周方向へわたって強固にクランプされている。
【0029】
このように、第1実施形態に係る接続構造によれば、石英管31及び金属管51のフランジ部61,62の互いに当接される当接面65,66の密着した面接触で接続させることにより、樹脂配管や樹脂継手を介することなく石英管31と金属管51とをシールして接続することができる。これにより、良好なシール状態を確保しつつ金属管51から高温のまま石英管31へ原料ガス等のガスを供給することができる。したがって、ガラス微粒子の収率を高め、ガラス微粒子堆積体20の生産性を向上させることができる。
【0030】
また、石英管31と金属管51とを直接接続したので、重量の重い継手を用いた場合と比較して、コア用バーナ14の根元への荷重の付与を極力少なくすることができる。これにより、中心の石英管31が変位して中心のポートがずれ、火炎が不安定になるような不具合をなくすことができる。但し、この接続構造でも、フレキシブルチューブ63の荷重を受ける支持構造を設けることが好ましい。
【0031】
次に、第1実施形態に係る石英管と金属管との接続構造の変形例について説明する。
図4に示す接続構造では、石英管31及び金属管51のフランジ部61,62の当接面65,66同士の間に、ガスケット69が挟まれている。このガスケット69は、耐熱性に優れたカーボン、セラミックなどから形成されたものであり、それぞれの当接面65,66に密着するように円板状に形成されている。
【0032】
このように、ガスケット69を介して当接面65,66を突き合わせた接続構造によれば、接続箇所の密閉性をより高めることができ、極めて良好なシール性を確保することができる。
【0033】
また、図5に示す接続構造では、石英管31及び金属管51のフランジ部61,62におけるそれぞれの当接面65,66の一方は凹形状であり、他方は凸形状であり、これらの凹形状及び凸形状が互いに嵌合するように形成されている。具体的には、石英管31のフランジ部61の当接面65における内周側に凸部65aが形成され、金属管51のフランジ部62の当接面66における内周側に凹部66aが形成されている。そして、互いのフランジ部61,62の当接面65,66を突き合わせることにより、凸部65aが凹部66aに嵌合されている。
【0034】
このように、石英管31及び金属管51のフランジ部61,62におけるそれぞれの当接面65,66を互いに凹凸嵌合させた接続構造の場合も、接続箇所の密閉性をより高めることができ、極めて良好なシール性を確保することができる。
【0035】
また、図6に示す接続構造では、石英管31のフランジ部61aが石英管31とは別体に設けられており、石英管31がフランジ部61a内に嵌合された状態で接着剤75によって接着されて固定されている。フランジ部61aの材質は、石英管31と同様に石英ガラスである。この接着剤75としては、例えば、300℃程度までの耐熱性を有するセラミック接着剤(例えば、アレムコ・プロダクツ社製のセラマボンド)を用いるのが好ましい。また、フランジ部61a,62の当接面65,66同士の間には、図4の構造と同様にガスケット69が挟まれている。
【0036】
また、この構造では、上記のクランプ部材67の代わりに、円弧状の一対のクランプ部材68と、これらを連結する複数本(本例では3本)の締結ボルト68aを用いている。締結ボルト68aはフランジ部61a,62の周方向に均等に配置されることが好ましい。フランジ部61a,62を一対のクランプ部材68で挟み込み、締結ボルト68aを締めこむことにより、フランジ部61a,62が周方向にわたって強固にクランプされている。なお、クランプ部材68を図3,図4,図5のフランジ部61,62に対して用いてもよい。また、図6のフランジ部61a,62に対して上記のクランプ部材67を用いてもよい。
【0037】
このように、石英管31のフランジ部61aが石英管31と別部材であっても、石英からなるフランジ部61aと金属管51のフランジ部62とを強固に接続して、極めて良好なシール性を確保することができる。
【0038】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る石英管と金属管との接続構造について説明する。
なお、第1実施形態と同一構成部分は、同一符号を付して説明を省略する。
図7に示すように、第2実施形態に係る接続構造では、金属管51の接続端に筒部71が形成されており、この筒部71には、石英管31の接続端が嵌合されている。そして、石英管31の端面からなる当接面73と、筒部71の底面からなる当接面74とが突き合わされている。なお、当接面73と当接面74は、必ずしも面同士が接触している必要は無く、多少離れていても良い。また、金属管51の筒部71と、この筒部71に嵌合された石英管31の接続端との間は接着剤75によって接着されて固定されている。この接着剤75としては、例えば、図6の接着剤75と同様のものを用いることができる。
【0039】
このように、第2実施形態に係る接続構造によれば、金属管51の接続端に形成した筒部71に石英管31の接続端を嵌合させ、金属管51の筒部71と石英管31の接続端との間を接着して固定したので、樹脂配管や樹脂継手を介することなく石英管31と金属管51とをシールして直接接続することができる。これにより、良好なシール状態を確保しつつ金属管51から高温のまま石英管31へ原料ガス等のガスを供給することができ、ガラス微粒子の収率を高め、ガラス微粒子堆積体20の生産性を向上させることができる。
【0040】
また、この第2実施形態に係る接続構造において、接続箇所の密閉性を高めるために、当接面73,74の間に、リング状に形成されたカーボン製のガスケットを介在させても良く、また、当接面73,74を凹凸形状に形成して互いに凹凸嵌合させても良い。
なお、上記の例では、金属管51に筒部71を形成したが、石英管31に筒部を形成して金属管51の接続端を嵌合させ、接続端と筒部とを接着して固定しても良い。但し、石英管に筒部を形成するのは、金属管に筒部を形成するより困難なので、金属管を外側にする方が好ましい。
【0041】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る石英管と金属管との接続構造について説明する。
なお、第1,第2実施形態と同一構成部分は、同一符号を付して説明を省略する。
図8に示すように、第3実施形態に係る接続構造では、金属管51の接続端に筒部81が形成されており、この筒部81の内周には、雌ねじ部82が形成されている。また、石英管31の接続端の外周には、雄ねじ部83が形成されている。そして、金属管51の筒部81に、石英管31の接続端をねじ込むことにより、筒部81の雌ねじ部82に石英管31の接続端の雄ねじ部83が螺合されている。また、石英管31の接続端の端面からなる当接面85と筒部81の底面からなる当接面86との間には、リング状に形成されたカーボン製またはセラミック製などのガスケット84が設けられており、金属管51の筒部81に石英管31の接続端をねじ込むことにより、それぞれの当接面85,86の間にガスケット84が挟まれている。
【0042】
このように、第3実施形態に係る接続構造によれば、金属管51の接続端に形成した筒部81に石英管31の接続端をねじ込み、石英管31の接続端の端面からなる当接面85と筒部81の底面からなる当接面86との間にカーボン製のガスケット84を挟み込んで接続しているので、樹脂配管や樹脂継手を介することなく石英管31と金属管51とをシールして直接接続することができる。これにより、良好なシール状態を確保しつつ金属管51から高温のまま石英管31へ原料ガス等のガスを供給することができ、ガラス微粒子の収率を高め、ガラス微粒子堆積体20の生産性を向上させることができる。
特に、互いに螺合される筒部81の雌ねじ部82と石英管31の雄ねじ部83とがラビリンスシールとなり、接続箇所における高いシール性を得ることができる。
【0043】
また、金属管51の筒部81に石英管31の接続端をねじ込む際に互いの当接面85,86が擦れて削れることによる気密不良なども、ガスケット84によって防止することができる。なお、このガスケット84を設けずに、金属管51の筒部81に石英管31の接続端をねじ込んで互いの当接面85,86を直接当接させてシールして接続しても良く、また、当接面85,86を凹凸形状に形成して互いに凹凸嵌合させても良い。
なお、上記の例では、金属管51に筒部81を形成したが、石英管31に筒部を形成して金属管51の接続端をねじ込んで接続しても良い。但し、第2実施形態と同様に、石英管に筒部を形成するのは、金属管に筒部を形成するより困難なので、金属管を外側にする方が好ましい。
【0044】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る石英管と金属管との接続構造について説明する。
なお、第1〜3実施形態と同一構成部分は、同一符号を付して説明を省略する。
図9に示すように、第4実施形態に係る接続構造では、金属管51の接続端に筒部91が形成されており、この筒部91に石英管31の接続端が嵌合されている。この筒部91には、その内周面に雌ねじ部92が形成されている。また、筒部91には、外周面に雄ねじ部93が形成された筒状の押圧リング(押圧部材)94がねじ込まれ、これにより、筒部91と石英管31との間に押圧リング94が装着されている。この押圧リング94は、例えば、金属、カーボンあるいはセラミックから形成されている。
【0045】
押圧リング94の端面と筒部91の底面との間には、リング状に形成されたカーボン製のガスケット95が設けられている。このガスケット95は、筒部91に押圧リング94をねじ込むことにより、押圧リング94の端面と筒部91の底面とで挟持されて弾性変形し、筒部91の内周面と石英管31の外周面に密着する。
【0046】
このように、第4実施形態に係る接続構造によれば、金属管51の接続端に形成した筒部91に石英管31の接続端を嵌合させ、さらに、筒部91に押圧リング94をねじ込んで装着し、筒部91の底面と押圧リング94の端面との間のカーボン製のガスケット95を挟み込んで弾性変形させて筒部91の内周面と石英管31の外周面に密着させて接続しているので、樹脂配管や樹脂継手を介することなく石英管31と金属管51とをシールして直接接続することができる。これにより、良好なシール状態を確保しつつ金属管51から高温のまま石英管31へ原料ガス等のガスを供給することができ、ガラス微粒子の収率を高め、ガラス微粒子堆積体20の生産性を向上させることができる。
【0047】
なお、上記の第1〜第4実施形態において、金属管51における石英管31と反対側に金属製のフレキシブルチューブ63を接続するには、図10に示すように、金属継手98を用いれば良い。この金属継手98は、両端に継手部98aを有しており、一方の継手部98aを金属管51に接合させ、他方の継手部98aをフレキシブルチューブ63に接合させる。これにより、金属管51とフレキシブルチューブ63とを容易に接続させることができる。
【0048】
また、上記の実施形態では、コア用バーナ14の中心の石英管31と金属管51との接続箇所を例示して説明したが、本発明の接続構造は、原料ガスが供給される石英管42と金属管52との接続箇所に適用できる。また、VAD法によるコア用バーナに適用するだけでなく、他の製法における石英管と金属管との接続箇所にも適用できる。
【符号の説明】
【0049】
14:コア用バーナ(バーナ)、31,42〜48:石英管、51〜58:金属管、61,62:フランジ部、63:フレキシブルチューブ、65,66,73,74,85,86:当接面、67,68:クランプ部材、69,76,84,95:ガスケット、71,81,91:筒部、75:接着剤、82:雌ねじ部、83:雄ねじ部、94:押圧リング(押圧部材)、98:金属継手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
火炎を噴射させるバーナとなる石英管と、前記石英管へガスを供給する金属管との接続構造であって、
前記石英管及び前記金属管の互いの接続端に、互いに突き合わされるフランジ部であって前記石英管には石英のフランジ部、前記金属管には金属のフランジ部がそれぞれ設けられ、各前記フランジ部の互いに当接される当接面でシールされて接続されていることを特徴とする石英管と金属管との接続構造。
【請求項2】
火炎を噴射させるバーナとなる石英管と、前記石英管へガスを供給する金属管との接続構造であって、
前記石英管または前記金属管の一方の接続端に形成された筒部に他方の接続端が嵌合されて他方の接続端の端面からなる当接面と前記筒部の底面からなる当接面とが近接または突き合わされ、
前記筒部と、前記筒部に嵌合された他方の前記接続端との間が接着されて固定されていることを特徴とする石英管と金属管との接続構造。
【請求項3】
火炎を噴射させるバーナとなる石英管と、前記石英管へガスを供給する金属管との接続構造であって、
前記石英管または前記金属管の一方の接続端に内周が雌ねじ部とされた筒部が形成され、他方の接続端の外周に雄ねじ部が形成され、
前記筒部に前記接続端をねじ込むことにより、前記接続端の端面からなる当接面と前記筒部の底面からなる当接面とが近接または突き合わされて接続されていることを特徴とする石英管と金属管との接続構造。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載の石英管と金属管との接続構造であって、
前記当接面同士の間にカーボン製のガスケットが挟まれていることを特徴とする石英管と金属管との接続構造。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項に記載の石英管と金属管との接続構造であって、
それぞれの前記当接面の一方は凹形状であり、他方は凸形状であり、前記凹形状及び前記凸形状が互いに嵌合することを特徴とする石英管と金属管との接続構造。
【請求項6】
火炎を噴射させるバーナとなる石英管と、前記石英管へガスを供給する金属管との接続構造であって、
前記金属管の接続端に形成された筒部に前記石英管の接続端が嵌合され、
前記筒部と前記石英管との間に筒状の継手が装着され、
前記継手と前記筒部の底面との間に設けられたカーボン製のガスケットが前記継手の端面と前記筒部の底面とで挟持されて弾性変形され、前記筒部の内周面と前記石英管の外周面に密着されていることを特徴とする石英管と金属管との接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−148911(P2012−148911A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7536(P2011−7536)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】