説明

硫酸化グリコサミノグリカン産生促進剤およびこれを含有する皮膚外用剤

【課題】新規な硫酸化グリコサミノグリカン産生促進剤、及び老化防止効果を奏する皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】シソ科ハナハッカ属に属する植物の抽出物を有効成分として含む硫酸化グリコサミノグリカン産生促進剤、及び前記硫酸化グリコサミノグリカン産生促進剤を0.0005%〜1.5質量%含有する皮膚外用剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は硫酸化グリコサミノグリカン産生促進剤、および該促進剤を含む皮膚外用剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生体内で、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリンあるいはヘパラン硫酸などの酸性多糖類はグリコサミノグリカン類といわれ、細胞間マトリックスを構成する主要成分として生体の恒常性維持に重要な役割を担っている。酸性多糖類のうち、硫酸基を有するものは硫酸化グリコサミノグリカンと分類される。ヒアルロン酸以外の酸性多糖体は、体内でタンパク質と結合してプロテオグリカンと総称される糖タンパクを形成する。プロテオグリカンは、皮膚においてはデコリン、パーシカン、シンデカン等の存在が知られている。これらプロテオグリカンは、様々な細胞増殖因子や細胞外マトリックス成分と相互作用し、細胞接着、遊走、分化、形態形成、情報伝達等といった細胞活動を制御していることが知られている。よって健全な硫酸化グリコサミノグリカンの産生は生体の機能維持の面から非常に重要である。しかしながら、硫酸化グリコサミノグリカンの産生促進効果があり、且つ安全性が良好な有効成分は今までほとんど知られていなかった。
【0003】
一方、シソ科ハナハッカ属に属する植物抽出物が、ヒアルロン酸産生促進剤(特許文献1)、活性酸素抑制剤(特許文献2)、ヒドロキシラジカル消去剤(特許文献3)、ムコ多糖類断片化抑制剤(特許文献4)、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤(特許文献5)としての効果を有することが知られていたが、上記特許文献には、シソ科ハナハッカ属に属する植物抽出物が硫酸化グリコサミノグリカン産生促進効果を有することについては記載されていない。
【特許文献1】特開平10−095735号公報
【特許文献2】特開平08−119869号公報
【特許文献3】特開平10−036280号公報
【特許文献4】特開平10−036282号公報
【特許文献5】特開2001−192316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、新規な硫酸化グリコサミノグリカン産生促進剤を提供することを課題とする。また、本発明は、皮膚外用剤の有効成分として安全に使用することができ、かつ安定性に優れた、新規な硫酸化グリコサミノグリカン産生促進剤を提供することを課題とする。また、本発明は、硫酸化グリコサミノグリカン産生促進剤を含有する老化防止効果のある皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、シソ科ハナハッカ属に属する植物抽出物が硫酸化グリコサミノグリカン産生を促進する作用を有しており、安全かつ安定性に優れた硫酸化グリコサミノグリカン産生促進剤として皮膚外用剤などの有効成分として使用できることを見出した。本発明は上記の知見に基づいて、さらに検討を重ねて完成されたものである。
【0006】
すなわち、本発明により、シソ科ハナハッカ属に属する植物抽出物を有効成分として含有する硫酸化グリコサミノグリカン産生促進剤が提供される。
また、本発明により、上記硫酸化グリコサミノグリカン産生促進剤を含む医薬部外品及び化粧料等の皮膚外用剤が提供される。上記皮膚外用剤は、皮膚などに適用することにより、細胞接着、遊走、増殖、分化、形態形成、情報伝達といった様々な細胞活動を促進し、その結果、老化防止効果をもたらす。別の観点から、本発明によって、シソ科ハナハッカ属に属する植物の抽出物を適用することにより、硫酸化グリコサミノグリカンの産生を促進する方法(但し、人間の治療方法は除く)が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の硫酸化グリコサミノグリカン産生促進剤は、硫酸化グリコサミノグリカン、具体的には、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、及びヘパラン硫酸、の産生を促進する作用を有しており、安全性及び安定性も良好である。従って、老化防止のための皮膚外用剤などの有効成分として使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明の硫酸化グリコサミノグリカン産生促進剤は、有効成分としてシソ科ハナハッカ属に属する植物の抽出物を含むことを特徴とする。シソ科ハナハッカ属に属する植物については、その産地は限定されない。中でも、前記抽出物として、シソ科ハナハッカ属に属するマジョラム(別名:マヨナラ、学名:Origanum majorana Line)の抽出物を用いるのが好ましい。
【0009】
抽出物の調製方法については特に制限されず、一般的な抽出方法を利用して調製することができる。例えば、マジョラムの葉を、溶媒中に所定の時間浸漬することによって調製することができる。抽出溶媒としては特に限定されないが、例えば、水;メチルアルコール、エチルアルコール等の低級一価アルコール;グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の液状多価アルコール;アセトン等のケトン類;エチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル等のエステル類;等の1種又は2種以上を用いることができる。
【0010】
前記抽出物は、そのまま皮膚外用剤に配合してもよいし、適宜の期間そのまま放置し熟成させた後に用いることもできる。必要ならば、本発明の効果に影響のない範囲で、更に、濾過又はイオン交換樹脂等により、脱臭、脱色等の精製処理を施して用いることもできる。又、液体クロマトグラフィー等の分離手段を用い、活性の高い画分を取り出して用いることもできる。
【0011】
前記抽出物は、液状、ペースト状、ゲル状等いずれの形態であってもよい。抽出溶媒を含む液状の抽出物を、減圧乾燥、又は凍結乾燥などにより乾固させて固体状とした後に用いることもできる。また、スプレードライ等により乾燥させて粉末として用いることもできる。
【0012】
本発明の硫酸化グリコサミノグリカン産生促進剤は、種々の用途に用いることができる。本発明の硫酸化グリコサミノグリカン産生促進剤は、安全性も高く、また配合時の安定性にも優れているので、化粧料等の皮膚外用剤の有効成分として用いるのが好ましい。本発明の硫酸化グリコサミノグリカ産生促進剤を含有する皮膚外用剤は、皮膚に適用することにより、硫酸化グリコサミノグリカンの産生を促進し、皮膚のたるみ・しわを防止または軽減する優れた老化防止効果を奏する。本発明の硫酸化グリコサミノグリカン産生促進剤の配合量は特に限定されず、組成物の種類や使用目的に応じて適宜選択可能である。例えば、皮膚への適用を目的とする皮膚外用剤における含有量は、乾燥固形分に換算して好ましくは0.00005〜1.5質量%(以下単に「%」で示す)であり、より好ましくは0.0005〜1%である。この範囲内であれば、前記抽出物を安定に配合することができ、かつ高い老化防止効果を発揮することができる。又、溶液として抽出物を使用する場合は、溶質である乾燥固形分の含有量が上記範囲内であれば、その抽出液濃度は何ら限定されるものではない。
【0013】
また、本発明の皮膚外用剤には、ヒアルロン酸産生促進剤を含有しているのが好ましい。本発明の硫酸化グリコサミノグリカン産生促進剤とヒアルロン酸産生促進剤とを組合せることにより、細胞外マトリックスがより充実し、より高い老化防止効果を得ることができる。
【0014】
前記アルロン酸産生促進剤としては、アセチルグルタミン、ヨクイニン抽出物、チョウジ抽出物、アンズ果汁、トルメンチラ抽出物、ペパーミント抽出物、アロエ抽出物、及び酵母抽出物等が挙げられるが、中でも、アンズ果汁及びアセチルグルタミンが好ましい。
【0015】
また、本発明の皮膚外用剤を調製するにあたり、本発明の効果を損なわない範囲で他の有効成分、例えば、美白効果、老化防止効果、又は紫外線暴露によるシワ形成抑効果等を奏する他の有効成分、を配合してもよい。より具体的には、紫外線防御剤、抗菌剤、美白剤、抗炎症剤、細胞賦活剤、活性酸素除去剤、保湿剤などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
【0016】
紫外線防御剤としては、例えば、パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸ナトリウム、4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−硫酸、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。
【0017】
抗菌剤としては、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、塩化ベンザルコニウム、フェノキシエタノール、イソプロピルメチルフェノール等が挙げられる。
【0018】
美白剤は日焼け等により生じる皮膚の黒化、色素沈着により生ずるシミ、ソバカス等の発生を防止する作用を有しており、例えば、アルブチン、エラグ酸、リノール酸、ビタミンC及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、グリチルリチン酸及びその誘導体、トラネキサム酸、胎盤抽出物、カミツレ抽出物、カンゾウ抽出物、エイジツ抽出物、オウゴン抽出物、海藻抽出物、クジン抽出物、ケイケットウ抽出物、ゴカヒ抽出物、コメヌカ抽出物、小麦胚芽抽出物、サイシン抽出物、サンザシ抽出物、サンペンズ抽出物、シラユリ抽出物、シャクヤク抽出物、センプクカ抽出物、大豆抽出物、茶抽出物、糖蜜抽出物、ビャクレン抽出物、ブドウ抽出物、ホップ抽出物、マイカイカ抽出物、モッカ抽出物、ユキノシタ抽出物等が挙げられる。
【0019】
抗炎症剤は日焼け後の皮膚のほてりや紅斑等の炎症を抑制する作用を有しており、例えば、イオウ及びその誘導体、グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体、アルテア抽出物、アシタバ抽出物、アルニカ抽出物、インチンコウ抽出物、イラクサ抽出物、オウバク抽出物、オトギリソウ抽出物、カミツレ抽出物、キンギンカ抽出物、クレソン抽出物、コンフリー抽出物、サルビア抽出物、シコン抽出物、シソ抽出物、シラカバ抽出物、ゲンチアナ抽出物等が挙げられる。
【0020】
細胞賦活剤は肌荒れの改善等の目的で用いられ、例えば、カフェイン、鶏冠抽出物、貝殻抽出物、貝肉抽出物、ローヤルゼリー、シルクプロテイン及びその分解物又はそれらの誘導体、ラクトフェリン又はその分解物、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸等のムコ多糖類またはそれらの塩、コラーゲン、酵母抽出物、乳酸菌抽出物、ビフィズス菌抽出物、醗酵代謝抽出物、イチョウ抽出物、オオムギ抽出物、センブリ抽出物、タイソウ抽出物、ニンジン抽出物、ローズマリー抽出物、グリコール酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸等が挙げられる。
【0021】
活性酸素除去剤は、過酸化脂質生成抑制等の作用を有しており、例えば、スーパーオキサイドディスムターゼ、マンニトール、クエルセチン、カテキン及びその誘導体、ルチン及びその誘導体、ボタンピ抽出物、ヤシャジツ抽出物、メリッサ抽出物、羅漢果抽出物、レチノール及びその誘導体、カロチノイド等のビタミンA類、チアミンおよびその誘導体、リボフラビンおよびその誘導体、ピリドキシンおよびその誘導体、ニコチン酸およびその誘導体等のビタミンB類、トコフェロール及びその誘導体等のビタミンE類、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソール等が挙げられる。
【0022】
保湿剤としては、例えば、エラスチン、ケラチン等のタンパク質またはそれらの誘導体、加水分解物並びにそれらの塩、グリシン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、テアニン等のアミノ酸及びそれらの誘導体、ソルビトール、エリスリトール、トレハロース、イノシトール、グルコース、蔗糖およびその誘導体、デキストリン及びその誘導体、ハチミツ等の糖類、D−パンテノール及びその誘導体、尿素、リン脂質、セラミド、オウレン抽出物、ショウブ抽出物、ジオウ抽出物、センキュウ抽出物、ゼニアオイ抽出物、タチジャコウソウ抽出物、ドクダミ抽出物、ハマメリス抽出物、ボダイジュ抽出物、マロニエ抽出物、マルメロ抽出物等が挙げられる。
【0023】
また、本発明の皮膚外用剤には、本発明の硫酸化グリコサミノグリカン産生促進剤以外の任意の成分を配合することができる。そのような成分としては、例えば、アミノ酸、脂質、糖、ホルモン、酵素、核酸などの生理活性物質等を挙げることができるが、これらに限定されることはない。また、本発明の効果を損なわない範囲で、化粧料や医薬部外品、皮膚外用剤等の製造に通常使用される成分、例えば、水(精製水、温泉水、深層水等)、油剤、界面活性剤、金属セッケン、ゲル化剤、粉体、アルコール類、水溶性高分子、皮膜形成剤、樹脂、包接化合物、抗菌剤、香料、消臭剤、塩類、pH調整剤、清涼剤、植物・動物・微生物由来の抽出物、活性酸素除去剤、血行促進剤、収斂剤、抗脂漏剤、保湿剤、キレート剤、角質溶解剤、酵素、ホルモン類、他のビタミン類等を必要に応じて用いることができる。
【0024】
本発明の皮膚外用剤は、パウダー、パウダーファンデーション等の粉体;石けん、リップスティック等の固体;クリーム、乳液、クリームファンデーション等の乳化物;化粧水、美容液等の液体;など、種々の形態の化粧料組成物であるのが好ましい。また、シャンプー、トリートメント、養育毛料等の頭皮用皮膚外用剤であってもよく、これらに限定されることはない。
【実施例】
【0025】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。なお、以下「部」とは、特に断らない限り、「質量部」を意味する。
【0026】
[例1:マジョラム抽出物の調製]
乾燥したマジョラム(Origanum majorana Line)の葉500gに5リットルの50%エチルアルコ−ル水溶液を加えて30℃にて10日間抽出し、減圧濃縮した後、凍結乾燥して5gの抽出物を得た。
【0027】
[例2:硫酸化グリコサミノグリカン産生促進作用の評価]
10%ウシ胎児血清含有ダルベッコ変性MEM培地を含む60mm培養用ディッシュに皮膚真皮線維芽細胞を4×105ずつ播種し、37℃、二酸化炭素濃度5%中にて静置した。一晩放置後、培地を抜き、マジョラム抽出物の最終濃度が0(対照として)、5、20μg/mLになるように溶解した0.5%ウシ胎児血清含有ダルベッコ変性MEM培地に交換し、3日間培養した。培養後、細胞を回収し、1%TritonX−100を含む8mol尿素緩衝液(pH7.5)によって細胞を分解して細胞溶解液とした。得られた細胞抽出液を超音波ホモジナイザーによって粉砕した後に、遠心分離(1000G、10分間)によって細胞核画分を除去し、試験検体を得た。
硫酸化グリコサミノグリカン産生量は、Blyscan sulfated glycosaminogkycan assay(biodye science社製)にて測定した。詳細には、細胞抽出液50μLと水50μLとを、Dye reagent 1mL(1,9−ジメチル−メチレンブルー溶液)に加え、30分間室温にて浸透させながら混合した後、遠心分離により沈渣を得た。得られた沈渣をDissociation reagent(chaotropic saltを含有するプロパノール溶液)200μLに溶解させ、10分間室温にて浸透させながら混合した後、656nmの吸光度を測定した。コンドロイチン−4−硫酸を標準品として上記の試験を行い、作製した検量線から、硫酸化グリコサミノグリカン量を算出した。
下記表に、対照に対する比率を算出した。
【0028】
【表1】

【0029】
[例3:マジョラム抽出液の調製]
例1で得られた抽出物(凍結乾燥粉末)を、50%1,3−ブチレングリコール水溶液に濃度1%となるように溶解して、マジョラム抽出液を調製した。
【0030】
[例4:アンズ果汁液の調製]
アンズ果実1kgを圧搾、ろ過し、得られた液を7倍濃縮し、その85部とグリセリン15部を加えて、アンズ果汁液を調製した。
【0031】
[例5:クリーム]
下記表2に示す組成のクリームを以下の方法により各々調製した。
まず、表2に示す成分(1)〜(6)及び(10)を混合し、加熱して70℃に維持した。この混合物に、成分(12)の一部を加熱して70℃に維持したものを加え乳化し、さらに、(12)の残部で溶解した(7)〜(9)及び(11)を混合した。その後、冷却してクリームを各々得た。
【0032】
(試験方法)
被験クリーム1品につき35〜59才の女性15名をパネルとし、毎日朝と夜の2回、12週間にわたって洗顔後に被験クリームの適量を顔面に塗布した。塗布によるしわ改善効果、肌のはり、つや改善効果を以下の基準によって評価し、各評価基準に該当する人数を表2に示した。
【0033】
(評価基準)
<しわ改善効果>
有効 肌のしわが目立たなくなった。
やや有効 肌のしわがあまり目立たなくなった。
無効 使用前と変化なし。
<肌のはり、つや改善効果>
有効 肌のはり、つやが明らかに改善された。
やや有効 肌のはり、つやがやや改善された。
無効 使用前と変化なし。
<安定性試験>
(試験方法)
下記表2に示すクリームを50℃及び5℃に2週間保管し、5℃保管品を対照として、50℃保管品の臭い・外観色の状態を下記基準により評価した。評価結果を表2に合わせて示した。
○:臭い・外観色に変化はみられない或はほとんど変化は見られない。
△:臭い・外観色に少し変化が見られる。
×:臭い・外観色に明らかな変化がある。
【0034】
(組成及び結果)
【表2】

【0035】
表2に示す結果から、マジョラム抽出液を配合した本発明品1のクリームは、皮膚に適用することにより、肌のしわを、はり、つやを改善することができ、美しい肌とすることが明らかとなった。更に、アンズ果汁を配合した本発明品2のクリームは、より高い効果があることが明らかとなった。また、比較例2は、シワ改善や肌のはり、つや改善などの肌効果には優れるものの、臭いや外観色に変化が見られ安定性に劣るものであった。
【0036】
[例6:クレンジングクリーム]
(製法)
A.下記成分(1)〜(9)を加熱溶解し、70℃に保つ。
B.下記成分(10)〜(14)を加熱溶解し、70℃に保つ。
C.BにAを加え乳化する。
D.Cを冷却後、下記成分(15)及び(16)を加え混合し、クレンジングクリームを得た。
(成分) (%)
(1)ステアリン酸 2.0
(2)ステアリルアルコール 3.0
(3)親油型モノステアリン酸グリセリル 2.0
(4)ミツロウ 1.5
(5)ワセリン 6.0
(6)流動パラフィン 40.0
(7)ジメチルポリシロキサン(100CS) 0.5
(8)セスキオレイン酸ソルビタン 1.0
(9)防腐剤 適量
(10)トリエタノールアミン 1.0
(11)プロピレングリコール 10.0
(12)ポリエチレングリコール20000 0.5
(13)カルボキシビニルポリマー 0.05
(14)精製水 残量
(15)マジョラム抽出液*1 0.05
(16)香料 適量
*1:例3で調製したもの
得られたクレンジングクリームは軽やかな伸び広がりでメイクの汚れ落ちもよく、皮膚の老化を防止し、健康的な肌を維持するクレンジングクリームであった。
【0037】
[例7:洗顔料]
(製法)
A.下記成分(1)〜(7)を加熱溶解する。
B.下記成分(8)〜(11)を加熱溶解する。
C.AにBを加え混合する。
D.Cを冷却後、下記成分(12)〜(14)を加え混合し、洗顔料を得る。
(成分) (%)
(1)ラウリン酸 5.0
(2)ミリスチン酸 18.5
(3)ステアリン酸 6.0
(4)グリセリン 12.0
(5)ポリエチレングリコール1500 5.0
(6)水酸化カリウム 6.5
(7)精製水 残量
(8)ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 5.0
(9)ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 1.8
(10)ポリオキシエチレン(7.5E.O.)ラウリル
エーテル 2.0
(11)ジステアリン酸エチレングリコール 1.0
(12)ヒドロキシプロピルメチルセルロース1%水溶液 5.0
(13)マジョラム抽出液*1 0.1
(14)香料 適量
*1:例3で調製したもの
得られた洗顔料は、キメ細やかな豊かな泡立ちとさっぱりとした使用感を有しており、皮膚の老化を防止し、健康的な肌を維持する洗顔料であった。
【0038】
[例8:化粧水1]
(製法)
A.下記成分(1)〜(8)を混合溶解する。
B.下記成分(9)〜(12)を混合溶解する。
C.AにBを加え混合し、化粧水を得た。
(成分) (%)
(1)クエン酸 0.05
(2)クエン酸ナトリウム 0.2
(3)ピロリドンカルボン酸ナトリウム(50%)液*1 0.5
(4)グリセリン 3.0
(5)1,3−ブチレングリコール 8.0
(6)グリチルレチン酸ジカリウム*1 0.2
(7)マジョラム抽出液*2 0.2
(8)精製水 残量
(9)エチルアルコール 10.0
(10)香料 適量
(11)防腐剤 適量
(12)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 0.5
*1:丸善製薬製
*2:例3で調製したもの
得られた化粧水1はみずみずしくさっぱりとした使用感を有しており、皮膚の老化を防止し、皮膚をみずみずしく保ち、皮膚を滑らかにする化粧水であった。
【0039】
[例9:化粧水2]
(製法)
A.下記成分(1)〜(7)を混合溶解する。
B.下記成分(8)〜(13)を混合溶解する。
C.BにAを加え混合し、化粧水を得る。
(成分) (%)
(1)メドウホーム油 0.1
(2)ホホバ油 0.05
(3)香料 適量
(4)防腐剤 適量
(5)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 0.5
(6)イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化
ヒマシ油(50E.O.) 1.0
(7)エチルアルコール 8.0
(8)グリセリン 5.0
(9)1,3−ブチレングリコール 5.0
(10)ポリエチレングリコール1500 0.1
(11)マジョラム抽出液*1 1.0
(12)アセチルグルタミン*2 0.3
(13)精製水 残量
*1:例3で調製したもの
*2:協和醗酵株式会社製
得られた化粧水2はみずみずしくまろやかな使用感を有しており、皮膚の老化を防止し、皮膚をみずみずしく保ち、皮膚を滑らかにする化粧水であった。
【0040】
[例10:化粧水3]
(製法)
A.下記成分(1)〜(7)を混合溶解する。
B.下記成分(8)〜(12)を混合溶解する。
C.BにAを加え乳化し、化粧水を得る。
(成分) (%)
(1)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 0.08
(2)スクワラン 0.02
(3)セスキオレイン酸ソルビタン 0.05
(3)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 0.05
(4)ポリオキシエチレン(8E.O.)アルキレン(12〜15)
エーテルリン酸 0.1
(5)防腐剤 適量
(6)香料 適量
(7)エチルアルコール 8.0
(8)ジプロプレングリコール 8.0
(9)グリセリン 4.0
(10)マジョラム抽出液*1 0.1
(11)ヨクイニン抽出物*2 0.1
(12)精製水 残量
*1:例3で調製したもの
*2:丸善製薬社製
得られた化粧水3はすっきりとした軽やかな使用感を有しており、皮膚の老化を防止し、皮膚をみずみずしく保ち、皮膚を滑らかにする化粧水であった。
【0041】
[例11:乳液]
(製法)
A.下記成分(1)〜(10)を加熱溶解し、70℃に保つ。
B.下記成分(11)〜(15)を加熱溶解し、70℃に保つ。
C.AにBを加え乳化し、更に下記成分(16)を加え混合する。
D.Cを冷却し、下記成分(17)〜(19)を加え混合し、乳液を得る。
(成分) (%)
(1)ステアリン酸 1.0
(2)セタノール 0.5
(3)親油型モノステアリン酸グリセリン 0.5
(4)流動パラフィン 2.0
(5)スクワラン 3.0
(6)ホホバ油 3.0
(7)パルミチン酸セチル 0.2
(8)防腐剤 適量
(9)モノステアリン酸ソルビタン 0.3
(10)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 0.5
(11)トリエタノールアミン 0.5
(12)1,3−ブチレングリコール 15.0
(13)グリセリン 3.0
(14)ポリエチレングリコール6000 0.5
(15)精製水 残量
(16)カルボキシビニルポリマー1%溶液 8.0
(17)マジョラム抽出液*1 0.5
(18)チョウジ抽出物*2 0.5
(19)香料 適量
*1:例3で調製したもの
*2:丸善製薬社製
得られた乳液は滑らかでコクのある使用感を有しており、皮膚の老化を防止し、皮膚に高いエモリエント感を付与し、皮膚を柔軟にする乳液であった。
【0042】
[例12:クリーム]
(製法)
A.下記成分(1)〜(13)を加熱溶解し、70℃に保つ。
B.下記成分(14)〜(19)を加熱溶解し、70℃に保つ。
C.AにBを加え乳化し、混合する。
D.Cを冷却し、下記成分(20)、(21)及び(22)を加え混合し、クリームを得る。
(成分) (%)
(1)ステアリン酸 2.5
(2)セタノール 2.5
(3)親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
(4)ワセリン 2.0
(5)ジペンタエリトリット脂肪酸エステル*1 2.0
(6)ミリスチン酸イソトリデシル 5.0
(7)流動パラフィン 8.0
(8)スクワラン 5.0
(9)ミツロウ 1.0
(10)パルミチン酸セチル 2.0
(11)セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
(12)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 1.5
(13)パルミチン酸レチノール 0.2
(14)防腐剤 適量
(15)トリエタノールアミン 1.2
(16)1,3−ブチレングリコール 8.0
(17)グリセリン 2.0
(18)ポリエチレングリコール20000 0.5
(19)精製水 残量
(20)カルボキシビニルポリマー1%水溶液 10.0
(21)マジョラム抽出液*2 1.0
(22)香料 適量
*1:コスモール168AR(日清オイリオグループ社製)
*2:例3で調製したもの
得られたクリームは滑らかでコクのある使用感を有しており、皮膚の老化を防止し、皮膚に高いエモリエント感を付与し、皮膚を柔軟にするクリームであった。
【0043】
[例13:美容液]
(製法)
A.下記成分(1)〜(8)を混合溶解する。
B.下記成分(9)〜(17)を混合溶解する。
C.BにAを加え混合し、美容液を得る。
(成分) (%)
(1)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 0.1
(2)メドウホーム油 0.05
(3)ホホバ油 0.05
(4)防腐剤 適量
(5)香料 適量
(6)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 0.5
(7)イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化
ヒマシ油(50E.O.) 1.5
(8)エチルアルコール 5.0
(9)グリセリン 4.0
(10)ジプロピレングリコール 8.0
(11)1,3−ブチレングリコール 8.0
(12)乳酸ナトリウム 0.5
(13)ピロリドンカルボン酸ナトリウム(50%)液*1 0.5
(14)ヒドロキシエチルセルロース 0.08
(15)アルギン酸ナトリウム 0.05
(16)マジョラム抽出液*2 1.0
(17)精製水 残量
*1:味の素社製
*2:例3で調製したもの
得られた美容液はまろやかでマイルドな使用感を有しており、皮膚の老化を防止し、皮膚に高い保湿感とエモリエント感を付与し、皮膚をみずみずしく柔軟にする美容液であった。
【0044】
[例14:パック(ピールオフ型)]
(製法)
A.下記成分(1)〜(5)を加熱溶解する。
B.下記成分(6)〜(10)を混合溶解する。
C.Aを冷却後、B、下記成分(11)を加え混合し、パックを得る。
(成分) (%)
(1)ポリビニルアルコール 12.0
(2)メチルセルロース 0.1
(3)グリセリン 3.0
(4)1,3−ブチレングリコール 5.0
(5)精製水 残量
(6)香料 適量
(7)防腐剤 適量
(8)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 0.1
(9)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 1.0
(10)エチルアルコール 13.0
(11)マジョラム抽出液*1 0.1
*1:例3で調製したもの
得られたパックは適度な清涼感と高い緊張感を有しており、皮膚の老化を防止し、パックした後の皮膚に適度な保湿感とはり感を付与し、皮膚を柔軟にするパックであった。
【0045】
[例15:マッサージクリーム]
(製法)
A.下記成分(1)〜(10)を加熱溶解し、70℃に保つ。
B.下記成分(11)〜(14)を加熱溶解し、70℃に保つ。
C.BにAを加え乳化する。
D.Cを冷却後、下記成分(15)、(16)、及び(17)を加え混合し、マッサージクリームを得た。
(成分) (%)
(1)ステアリン酸 2.0
(2)ステアリルアルコール 2.5
(3)親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
(4)セスキオレイン酸ソルビタン 1.0
(5)パルミチン酸セチル 1.0
(6)ジペンタエリトリット脂肪酸エステル*1 4.0
(7)ワセリン 20.0
(8)流動パラフィン 28.0
(9)ジメチルポリシロキサン(100CS) 0.5
(10)ニコチン酸トコフェロール*2 0.1
(11)水酸化ナトリウム 0.1
(12)ジプロピレングリコール 7.0
(13)カルボキシビニルポリマー 0.1
(14)精製水 残量
(15)マジョラム抽出液*3 0.5
(16)アンズ果汁*4 0.5
(17)香料 適量
*1:コスモール168AR(日清オイリオグループ社製)
*2:エーザイ社製
*3:例3で調製したもの
*4:例4で調製したもの
得られたマッサージクリームはコクがある滑らかな使用感を有しており、マッサージ効果が高く、皮膚の老化を防止し、皮膚に潤いとはり感を付与し、皮膚を滑らかにするマッサージクリームであった。
【0046】
[例16:リキッドファンデーション]
(製法)
A.下記成分(1)〜(7)を加熱溶解する。
B.Aに下記成分(8)〜(11)を加え、均一に混合し、70℃に保つ。
C.下記成分(12)〜(14)を加熱溶解し、70℃に保つ。
D.CにBを加えて乳化する。
E.Dを冷却後、下記成分(15)及び(16)を加え混合し、リキッドファンデーションを得た。
(成分) (%)
(1)ステアリン酸 2.0
(2)セタノール 0.5
(3)ベヘニルアルコール 1.0
(4)ワセリン 2.5
(5)流動パラフィン 5.0
(6)自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 1.0
(7)防腐剤 適量
(8)酸化チタン 6.0
(9)着色顔料 4.0
(10)マイカ 2.0
(11)タルク 4.0
(12)カルボキシメチルセルロース 0.2
(13)ベントナイト 0.4
(14)精製水 残量
(15)マジョラム抽出液*1 0.2
(16)香料 適量
*1:例3で調製したもの
得られたリキッドファンデーションは軽やかな伸び広がりのある使用感を有しており、皮膚の老化を防止し、均一で美しい仕上がりとなるリキッドファンデーションであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シソ科ハナハッカ属に属する植物の抽出物を有効成分として含有する硫酸化グリコサミノグリカン産生促進剤。
【請求項2】
シソ科ハナハッカ属に属する植物がマジョラム(別名:マヨナラ、学名:Origanum majorana Line)である請求項1に記載の硫酸化グリコサミノグリカン産生促進剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の硫酸化グリコサミノグリカン産生促進剤を0.0005%〜1.5質量%含有する皮膚外用剤。
【請求項4】
更に、ヒアルロン酸産生促進剤を含有する請求項3に記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2008−94799(P2008−94799A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−280971(P2006−280971)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】