説明

磁気軸受部を有する電動機

【課題】回転子が半径方向に移動しても、回転子を支持する磁気支持力が変化し難い磁気軸受部を備えた電動機を提供する。
【解決手段】固定子18と回転子1と空隙に形成され磁気支持力を発生させる磁気回路に、固定子歯8と永久磁石Mg間の空隙の磁気抵抗Rgより磁気抵抗が大きくなる部位を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、スピンドルモータ、ポンプ駆動用モータ、その他の産業機器、情報機器、家電用品に用いられる回転子に機械的な接触力が作用しない磁気軸受部を有する電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電動機の長寿命やメンテナンスフリーを実現するために、回転子を磁気的な力により半径方向に浮上させ、回転子に機械的な接触力が作用しない構造の電動機が開発されている。とりわけ誘導型やリラクタンス型のベアリングレスモータの開発が行なわれている。最近ではモータ効率を向上させるため永久磁石型のベアリングレスモータが開発されている。例えば、直流磁界により半径方向力を制御することが可能となるコンシクエント型のベアリングレスモータの半径方向力とトルクを向上させコスト削減したモータ(特許文献1)や、電機子反作用による半径方向力を低減したモータ(特許文献2)などが提案されている。
【特許文献1】特開2004−357489号公報
【特許文献2】特開2002−272028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
磁気軸受を備えた電動機は、回転子軸とタッチダウン軸受の間に隙間があるので、回転子は回転子軸に直交する面に対して並進運動することが可能となっている。永久磁石を備えた回転子が半径方向に移動すると、固定子コアと永久磁石との空隙が回転子軸中心に対して不均一となる。このように空隙に不均一が発生すると、回転子には不平衡吸引力が生じる。そこで回転子がタッチダウンした状態から半径方向に磁気的に浮上するためには、少なくともこの不平衡吸引力に打ち勝つ大きさの支持力で回転子を支持する必要がある。
【0004】
上記不平衡吸引力に打ち勝つ大きな支持力を得るためには、磁気軸受部を大型化する必要が生じる。また、永久磁石と固定子との間に生ずる不平衡吸引力は、空隙の不均一が拡大するほど大きくなる。このため回転子軸とタッチダウン軸受の隙間を小さくして不平衡吸引力が大きくなりすぎないように空隙の不均一量を制限する方法もある。しかし、隙間を小さくするためには、回転子と固定子の同心度を高める必要があるため、加工や組立のコストが増大する。
また、実質的な支持力の大きさは、支持巻線への通電による支持力と先の吸引力との差分となるため、空隙の不均一による吸引力の変化が大きいと磁気軸受部で発生する支持力が同じでも回転子を支持する実質的な支持力が大きく変化し、回転子の位置制御が不安定となり易い。
空隙の不均一による不平衡吸引力の課題を解消する方法として、不平衡吸引力を制御部で補償することが考えられる。しかし、開発や製造コストを上昇させる。
【0005】
近年、小型モータの設計においては、磁気装荷の割合を高くした設計が多く、回転子と固定子の空隙の不均一による不平衡吸引力が大きくなり易い。また、電動機の大きさに制約があるため磁気軸受部の巻線を増して支持力を増加させるのも困難である。
【0006】
本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、回転子が半径方向に移動しても、回転子を支持する磁気支持力が変化し難い磁気軸受部を備えた電動機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
複数の固定子歯に電動機巻線と磁気支持巻線が巻き付けられた固定子と、固定子歯に対向し、回転子軸に支持され、磁気支持巻線への通電により磁気支持力を発生し、電動機巻線への通電によりトルクを発生する永久磁石を有する回転子と、当該回転子の回転子軸と直交するX−Y方向への回転子の変位を検出する変位検出手段と、回転子の回転位置を検出して電動機巻線への通電を切り換えることにより回転子を回転させるモータ制御部と、変位検出手段により検出された回転子の変位に応じて磁気支持巻線の電流の大きさと方向を制御して回転子のX−Y方向への並進運動を制御する磁気軸受制御部を備えた電動機であって、固定子と回転子と空隙に形成され磁気支持力を発生させる磁気回路に、固定子歯と永久磁石間の空隙の磁気抵抗より磁気抵抗が大きくなる部位を設けたことを特徴とする。
また、複数の固定子歯に巻き付けられる電動機巻線と該電動機巻線と対になって複数の固定子歯に巻き付けられ径方向に対向する位置にある固定子歯に同相の巻線が巻き付けられる磁気支持巻線を有する固定子と、電動機巻線への通電によりトルクを発生する永久磁石を有する回転子を備えたことを特徴とする。
また、複数の固定子歯に巻き付けられる電動機巻線を有する第1の固定子と、複数の固定子歯に巻き付けられる磁気支持巻線を有する第2の固定子と、第1の固定子歯に対向し電動機巻線への通電によりトルクを発生する第1の回転子と、第2の固定子歯に対向し磁気支持巻線への通電により磁気支持力を発生する永久磁石を有する第2の回転子が各々同一回転子軸に支持されていることを特徴とする。
【0008】
具体的には、固定子と永久磁石と空隙に形成される磁気回路であって、アウターロータ型モータの場合、永久磁石の内周面が固定子歯と対向しかつ永久磁石が非磁性材料よりなる回転子カップの内周面に保持されるか、または非磁性材料よりなる回転子ヨークの内周面に永久磁石が保持され、該回転子ヨークが磁性材料よりなる回転子カップの内周面に保持されていることを特徴とする。インナーロータ型モータの場合、回転子軸に連結されている非磁性材料よりなる回転子ヨークの外周面に永久磁石が保持されていることを特徴とする。
また、永久磁石を保持する磁性材料よりなる回転子ヨークの一部に固定子歯と永久磁石間の空隙の磁気抵抗より磁気抵抗が大きくなる切欠き部を設けるか又は固定子の一部に固定子歯と永久磁石間の空隙の磁気抵抗より磁気抵抗が大きくなる空隙部を設けることを特徴とする。
また、固定子と回転子と空隙に形成される磁気回路において、磁性材料よりなる回転子ヨーク又は固定子コアの断面積が部分的に縮小されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上述した磁気軸受部を備えた電動機を用いれば、固定子と回転子と空隙に形成され磁気支持力を発生させる磁気回路に、固定子歯と永久磁石間の空隙の磁気抵抗より磁気抵抗が大きくなる部位を設けたので、回転子が半径方向に移動し、固定子と永久磁石の空隙が変化しても不平衡吸引力が変化し難くなる。よって、回転子の位置が変化しても回転子の位置制御に必要な磁気的支持力の変動が小さくなるため、安定した制御動作が行なえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る磁気軸受部を備えた電動機の最良の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。本実施の形態ではアウターロータ型のDCブラシレスモータを例示して説明するが、インナーロータ型のモータについても適用可能である。
【0011】
電動機Mの概略構成について図1及び図2を参照して説明する。先ず、図1は8極12スロットの電動機Mを例示している。回転子1の構成について説明する。図2の左半図において、回転子1は、回転子軸2に支持された非磁性材料よりなるカップ状の回転子カップ3と、回転子カップ3の内周面に固定されたリング状の磁性材料よりなる回転子ヨーク4と、回転子ヨーク4の内周面に固定され、8極に着磁されたリング状の永久磁石Mgから構成されている。尚、図2の右半図のように回転子ヨーク4を省略することもできる。この場合には、永久磁石Mgを支持する回転子カップ3に磁性材料が用いられる。
【0012】
図3は、回転子ヨーク4を省略した電動機Mを例示する。同図において、固定子18の固定子コア5には例えば積層コアが用いられる。複数の固定子歯8は回転方向に30°で突設された歯頭部(8a1、8a2、8b1、8b2、8c1、8c2)を有する。固定子コア5には12個の固定子歯8が放射状に形成されている。固定子歯8にはU相(U1〜U4)、V相(V1〜V4)、W相(W1〜W4)に相当する三相の電動機巻線9と、該電動機巻線9と対になって磁気軸受部Uを構成する磁気支持巻線10(10a1、10a2(a相)、10b1,10b2(b相)、10c1、10c2(c相))が巻き付けられ、電動機巻線9は磁気支持巻線10より永久磁石Mg側に位置している。同相の磁気支持巻線10は直列に接続され、径方向に対向する位置にある2個の固定子歯8に巻き付けられている。
【0013】
次に、モータ制御部の構成について図4のブロック図を参照して説明する。制御部11(CPU,DSP(Digital Signal Processor)など)には、モータ制御部12と磁気軸受部Uを構成する支持制御部13が設けられている。モータ制御部12は、電動機電流駆動回路14を通じて電動機巻線9のうちいずれか2相(例えばiV及びiW)へ励磁して回転子1にトルクを発生させて、電動機Mを回転駆動する。電動機巻線9への通電切り替えは回転角度センサ15の回転子磁極の検出信号に基づいて行なわれる。
尚、モータ制御部12、電動機電流駆動回路14は電動機Mの外部に設けても良い。
【0014】
磁気軸受部Uの動作について説明する。支持制御部13は、変位検出手段17の回転子1の変位検出信号を演算した結果と、回転角度センサ15の回転子磁極の検出信号の演算結果に基づいて、磁気支持巻線10へ通電するX軸方向及びY軸方向の電流指令値を演算する。そして、支持制御部13は磁気支持巻線電流駆動回路16へ電流指令値を送り、磁気支持巻線電流駆動回路16はa相、b相、c相のうち、所定の磁気支持力を発生させる磁気支持巻線10へ通電して回転子1の並進運動を制御するようになっている。
尚、支持制御部13、磁気支持巻線電流駆動回路16は電動機Mの外部に設けても良い。
【0015】
例えば、図5は、回転子1の回転角度φ(図3参照)が22.5°の場合を示す。このときU相は励磁されず電動機巻線9に流れる電流値が零になる。この状態で、U相の電動機巻線9と対になっている磁気支持巻線10a1に図示方向の電流a1を流すと、永久磁石2の磁束(太い矢印)に加えて支持磁束(細い矢印)が発生する。このとき、一方の歯頭部8a1と永久磁石2との空隙18では磁束密度が減少し、他方の歯頭部8a1と永久磁石2との空隙19では磁束密度が増加する。この結果、回転子1にはX軸方向に磁気支持力(並進力)Fxが発生する。尚、U相の電動機巻線9は励磁されないので、永久磁石2と固定子歯8に発生する磁束に影響を及ぼさない。このように変位検出手段17で検出される回転子1の変位に応じた磁気支持巻線10への通電により回転子1の並進運動を制御して磁気浮上させながらモータの駆動を行うことができる。
【0016】
ここで、互いに対向配置された固定子18の固定子歯8と永久磁石Mgとの間で形成される磁気回路Jにおける空隙の磁束密度の大きさについて図6及び図7を参照して考察する。
図6において、磁気回路Jにおいて固定子歯8と永久磁石Mgとの間で形成される空隙の磁気抵抗をRg、固定子コア5の磁気抵抗Rs、永久磁石Mgの磁気抵抗をRm、永久磁石MgのN極とS極間の磁気抵抗をRo(Rg、Rs、Rm以外の磁気抵抗をすべて含む)、起磁力をUm、磁極面積Sとする。空隙の磁束密度BgはBg=2・Um/(2Rg+Ro+2Rm+Rs)/Sで表される。ここで、固定子コア5の磁気抵抗Rsは空隙の磁気抵抗Rgに比べて極めて小さいので無視できる。よって、Bg≒2・Um/(2Rg+Ro+2Rm)/Sと表される。
【0017】
一般に磁極間に働く力(吸引力)はF=(1/2)μ0×S×Bg2(μ0は真空の透磁率、Bgは空隙の磁束密度)で表される。これより、磁極間に働く力を変化させないためには空隙の磁束密度Bgを変化させないことが有効である。
回転子1が半径方向に移動した場合、Rgのみが変化するので、空隙の磁束密度Bgは2RgとRo+2Rmの比で決まることになる。ここに、2Rmは一定値であるため、2Rgに対して永久磁石Mgの磁極間の磁気抵抗Roを大きく取ることで空隙の磁束密度Bgは空隙の磁気抵抗Rgの変化に対する変動率は小さくなる。逆に永久磁石Mgを支持する磁性体の使用や磁極間の空間距離を短くすることでRoを小さくした場合には、空隙の磁束密度Bgに対してRgが支配的になり、空隙の磁気抵抗Rgの変化に対して空隙の磁束密度Bgが大きく変化し吸引力も大きく変化することになる。
【0018】
図7は、磁気支持巻線a1に2Aの電流を流したときに回転子1の半径方向への芯ずれ量と回転子1に作用する力の大きさの関係を示すグラフ図である。永久磁石Mgとして正弦波着磁と矩形波着磁したものの2種類を使用し、磁性体である回転子ヨーク4がある場合と無い場合について回転子1に作用する力を比較したものである。このグラフ図によれば、永久磁石Mgの磁極間の磁気抵抗Roが大きくなるため、回転子ヨーク4を省略したほうが、力の変化を少なくすることができることが判明した。
【0019】
図2の右半図において、永久磁石Mgが非磁性材料よりなる回転子カップ3の内周面に設けられるのが好ましい。
また、図2の左半図の構成において、非磁性材料(アルミニウム、真鍮、ゴムなど)よりなる回転子ヨーク4の内周面に永久磁石Mgが保持され、回転子ヨーク4の外周面が磁性材料よりなる回転子カップ3の内周面に保持されていてもよい。この場合には固定子歯8と永久磁石Mg間の空隙とは別の空隙を磁気回路中に設けた場合と同じ効果が得られる。
【0020】
また、他例としては、図8において、永久磁石Mgを保持する磁性材料からなる回転子ヨーク4の一部に固定子歯8と永久磁石Mg間の空隙による磁気抵抗Rgより磁気抵抗が大きくなる切欠き部19を設けるか又は固定子1の一部に固定子歯8と永久磁石Mg間の空隙による磁気抵抗Rgより磁気抵抗が大きくなる空隙部20を設けてもよい。
或いは、固定子歯8と永久磁石Mg間に形成される磁気回路Jにおいて、磁性材料よりなる回転子ヨーク4又は固定子コア5の断面積Sが部分的に縮小されていてもよい。これにより、断面積Sを減少させた部位で磁気飽和が発生し、空隙形成と同等の効果(磁気飽和した磁性体の透磁率は空気の透磁率に近くなる)が得られる。
【0021】
また、上記実施例では、8極12スロットのモータについて説明したが、これに限るものではない。例えば相数をn(自然数)とした時、4n個のスロットを有するベアリングレスモータに適用出来る。さらに、2Pスロット(Pは自然数)、P極の2相モータについても適用することが可能である。また、回転子に永久磁石を有さない誘導型やリラクタンス型のベアリングレスモータについても適用可能である。
また、上記実施例では回転子ヨーク3の回転軸として回転子軸2を設けているが、回転子軸2がないモータについても適用可能である。
【0022】
以上のような構成により回転子が半径方向に移動しても、不平衡吸引力に大きな変化が起こり難くなるので、磁気軸受部Uを大型化したり、機械的な中心と磁気的な中心を精密に一致させたりする必要もなくなるため、ベアリングレスモータを小型化でき、かつ製造コストも低く抑えることが可能となる。
【0023】
尚、上述した実施例では、電動機巻線9と磁気支持巻線10が同じ固定子歯8に巻き付けられる電動機と磁気軸受部Uが一体となったベアリングレスモータの例で説明をしたが、これに限定されるものではない。例えば、電動機巻線9と磁気支持巻線10が別の固定子に巻かれ、電動機部分とは別に1個又は複数の磁気軸受部Uを備え、磁気支持部の固定子歯に対向して永久磁石が備えられている磁気軸受部Uを有する電動機にも適用しても同じような効果を得ることができる。
【0024】
一例として、電動機Mの軸方向両側に磁気軸受部Uを設けたインナーロータ型の電動機について説明する。図9において、複数の固定子歯8に巻き付けられる電動機巻線9を有する第1の固定子21と、複数の固定子歯23に巻き付けられる磁気支持巻線10を有する第2の固定子22が各々設けられている。即ち、電動機部分の第1の固定子21とその軸方向両側に磁気軸受部Uの第2の固定子22が別個に設けられている。また回転子軸2には、固定子歯8に対向し、電動機巻線9への励磁によりトルクを発生する永久磁石Mgを有する第1の回転子24と、固定子歯23に対向し、磁気支持巻線10への励磁により磁気支持力を発生する第2の回転子25が各々別個に設けられている。即ち、電動機Mの第1の回転子24とその軸方向両側に磁気軸受部Uの第2の回転子25が別個に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】ベアリングレスモータの平面図である。
【図2】ベアリングレスモータの垂直断面図である。
【図3】ベアリングレスモータの水平断面図である。
【図4】モータの制御系を示すブロック構成図である。
【図5】磁気支持力の発生原理の一例を示す説明図である。
【図6】固定子歯と永久磁石間の空隙の磁束密度の大きさを考察する磁気回路の説明図である。
【図7】磁性体ヨークの有無に応じた磁気支持力の大きさの変化を示すグラフ図である。
【図8】他例に係るベアリングレスモータの平面図である。
【図9】他例に係るベアリングレスモータの垂直断面図である。
【符号の説明】
【0026】
M 電動機
Mg 永久磁石
U 磁気軸受部
1 回転子
2 回転子軸
3 回転子カップ
4 回転子ヨーク
5 固定子コア
8 固定子歯
9 電動機巻線
10 磁気支持巻線
11 制御部
12 モータ制御部
13 支持制御部
14 電動機電流駆動回路
15 回転角度センサ
16 磁気支持巻線電流駆動回路
17 変位検出手段
18 固定子
19 切欠き部
20 空隙部
21 第1の固定子
22 第2の固定子
23 磁極歯
24 第1の回転子
25 第2の回転子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の固定子歯に電動機巻線と磁気支持巻線が巻き付けられた固定子と、
固定子歯に対向し、回転子軸に支持され、磁気支持巻線への通電により磁気支持力を発生し、電動機巻線への通電によりトルクを発生する永久磁石を有する回転子と、
当該回転子の回転子軸と直交するX−Y方向への回転子の変位を検出する変位検出手段と、
回転子の回転位置を検出して電動機巻線への通電を切り換えることにより回転子を回転させるモータ制御部と、
変位検出手段により検出された回転子の変位に応じて磁気支持巻線の電流の大きさと方向を制御して回転子のX−Y方向への並進運動を制御する磁気軸受制御部を備えた電動機であって、
固定子と回転子と空隙に形成され磁気支持力を発生させる磁気回路に、固定子歯と永久磁石間の空隙の磁気抵抗より磁気抵抗が大きくなる部位を設けたことを特徴とする磁気軸受部を備えた電動機。
【請求項2】
複数の固定子歯に巻き付けられる電動機巻線と該電動機巻線と対になって複数の固定子歯に巻き付けられ径方向に対向する位置にある固定子歯に同相の巻線が巻き付けられる磁気支持巻線を有する固定子と、電動機巻線への通電によりトルクを発生する永久磁石を有する回転子を備えたことを特徴とする請求項1記載の磁気軸受部を備えた電動機。
【請求項3】
複数の固定子歯に巻き付けられる電動機巻線を有する第1の固定子と、複数の固定子歯に巻き付けられる磁気支持巻線を有する第2の固定子と、
第1の固定子歯に対向し電動機巻線への通電によりトルクを発生する第1の回転子と、第2の固定子歯に対向し磁気支持巻線への通電により磁気支持力を発生する永久磁石を有する第2の回転子が各々同一回転子軸に支持されていることを特徴とする請求項1記載の磁気軸受部を備えた電動機。
【請求項4】
固定子と回転子と空隙に形成される磁気回路であって、永久磁石が非磁性材料よりなる回転子カップの内周面に保持されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の磁気軸受部を備えた電動機。
【請求項5】
非磁性材料よりなる回転子ヨークの内周面に永久磁石が保持され、該回転子ヨークが磁性材料よりなる回転子カップの内周面に保持されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の磁気軸受部を備えた電動機。
【請求項6】
回転子軸に支持され非磁性材料よりなる回転子ヨークの外周面に永久磁石が保持されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の磁気軸受部を備えた電動機。
【請求項7】
永久磁石を保持する磁性材料よりなる回転子ヨークの一部に固定子歯と永久磁石間の空隙の磁気抵抗より磁気抵抗が大きくなる切欠き部を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の磁気軸受部を備えた電動機。
【請求項8】
固定子の一部に固定子歯と永久磁石間の空隙の磁気抵抗より磁気抵抗が大きくなる空隙部を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の磁気軸受部を備えた電動機。
【請求項9】
固定子と回転子と空隙に形成される磁気回路であって、磁性材料よりなる回転子ヨーク又は固定子コアの断面積が部分的に縮小されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の磁気軸受部を備えた電動機。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図3】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−289283(P2008−289283A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−131996(P2007−131996)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【出願人】(000106944)シナノケンシ株式会社 (316)
【Fターム(参考)】